(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】エレベータ用ガバナシステムの動作試験装置
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20241115BHJP
B66B 5/06 20060101ALI20241115BHJP
B66B 1/34 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B5/06 Z
B66B1/34 Z
(21)【出願番号】P 2023557583
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(86)【国際出願番号】 JP2021040972
(87)【国際公開番号】W WO2023079734
(87)【国際公開日】2023-05-11
【審査請求日】2024-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】久保 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 勇来
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 康司
(72)【発明者】
【氏名】座間 秀隆
(72)【発明者】
【氏名】中山 徹也
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-001083(JP,A)
【文献】特開2020-007085(JP,A)
【文献】国際公開第2006/073015(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 5/06
B66B 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごに設けられる画像センサによって取得されるガイドレールの表面の画像に基づいて乗りかごの過速状態を検出すると非常止め装置を作動させるガバナシステムの動作を試験するエレベータ用ガバナシステムの動作試験
装置において、
前記ガイドレールの表面状態を模擬し、前記乗りかごの昇降方向に沿って流れるパターンの動画像を表示する被検出体を備え、
前記動画像が前記画像センサによって取得され、
前記ガイドレールに取り付けられることを特徴とするエレベータ用ガバナシステムの動作試験
装置。
【請求項2】
乗りかごに設けられる画像センサによって取得されるガイドレールの表面の画像に基づいて乗りかごの過速状態を検出すると非常止め装置を作動させるガバナシステムの動作を試験するエレベータ用ガバナシステムの動作試験装置において、
前記ガイドレールの表面状態を模擬し、前記乗りかごの昇降方向に沿って流れるパターンの動画像を表示する被検出体を備え、
前記動画像が前記画像センサによって取得され、
前記被検出体は画像表示装置であり、
前記画像表示装置に表示される前記動画像の再生を制御する画像制御装置を備えることを特徴とするエレベータ用ガバナシステムの動作試験装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のエレベータ用ガバナシステムの動作試験装置において、
前記乗りかごを停止させた状態で、前記動画像が前記画像センサによって取得されることを特徴とするエレベータ用ガバナシステムの動作試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ用非常止め装置を作動させるエレベータ用ガバナシステムの動作を試験する動作試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータ装置には、乗りかごの昇降速度を常時監視して、所定の過速状態に陥った乗りかごを非常停止させるために、ガバナおよび非常止め装置が備えられている。ガバナのプーリには、乗りかごに結合されたガバナロープが巻き掛けられている。乗りかごが昇降すると、乗りかごとともにガバナロープが動くため、プーリが回転する。プーリが回転すると、プーリに設けられている振子が、遠心力によって振れる。乗りかごが過速状態となり振子の振れが大きくなると、振子によってガバナロープの把持機構が作動し、ガバナロープの動きが拘束される。これにより、乗りかご側の非常止め装置が作動し、乗りかごが非常停止する。
【0003】
このようなエレベータ装置では、昇降路内に長尺物であるガバナロープを敷設するため、省スペース化および低コスト化が難しい。また、ガバナロープが振れる場合、昇降路内における構造物とガバナロープとが干渉しやすくなる。
【0004】
これに対し、上述のような機械的なガバナを用いず、乗りかごの速度に基づいて非常止め装置を作動させる従来技術として、特許文献1に記載された技術が知られている。
【0005】
本従来技術では、監視装置が、乗りかごの位置と速度を検出する検出手段におけるかご速度検出部からの速度情報に基づいて運転状況に異常があると判断すると、非常止め装置に作動信号を出力する。また、特許文献1(
図15)に記載される移動体の位置・速度検出装置は、移動体が備えるカメラによって撮影される画像に基づいて、移動体の速度を検出する。移動体がエレベータである場合、昇降路の壁や柱が撮影される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
機械式のガバナの動作試験では、プーリからガバナロープを外して、駆動装置によりプーリを回転させることにより、乗りかごを停止させた状態で、動作試験を行うことができる。しかし、カメラの画像に基づいて乗りかごの速度を検出するガバナシステムでは、乗りかごを停止させて、動作試験を実施することが難しい。
【0008】
そこで、本発明は、昇降路内の画像に基づいて非常止め装置を作動させるガバナシステムの動作を、乗りかごを停止させた状態で試験することができる、エレベータ用ガバナシステムの動作試験装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明によるエレベータ用ガバナシステムの動作試験装置は、乗りかごに設けられる画像センサによって取得されるガイドレールの表面の画像に基づいて乗りかごの過速状態を検出すると非常止め装置を作動させるガバナシステムの動作を試験するものであって、ガイドレールの表面状態を模擬し、乗りかごの昇降方向に沿って流れるパターンの動画像を表示する被検出体を備え、動画像が画像センサによって取得され、さらに、次のいずれかの手段を備える。
第1の手段は、ガイドレールに取り付けられることである。
第2の手段は、被検出体は画像表示装置であり、画像表示装置に表示される動画像の再生を制御する画像制御装置を備えることである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ガイドレールの画像に基づいて非常止め装置を作動させるガバナシステムの動作を、乗りかごを停止させた状態で試験することができる、
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例であるエレベータ装置の概略構成図である。
【
図2】実施例における電動作動器の構成を示す平面図である。
【
図3】ガイドレール(
図1)の露出表面の画像の一例を示す模式図である。
【
図4】実施例における動作試験装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】実施例におけるロープレスガバナシステムの動作試験装置の外観を示す、
図1におけるA方向矢視図および正面図である。
【
図6】ガイドレールの表面状態を模擬するパターンの一例を示す概略図である。
【
図7】実施例におけるロープレスガバナシステムの動作試験処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、実施例により、図面を用いながら説明する。なお、各図において、参照番号が同一のものは同一の構成要件あるいは類似の機能を備えた構成要件を示している。
【0014】
図1は、本発明の一実施例であるエレベータ装置の概略構成図である。
【0015】
図1に示すように、エレベータ装置は、乗りかご1と、画像センサ3と、電動作動器10と、駆動機構(12~20)と、引上げロッド21と、非常止め装置2とを備えている。
【0016】
乗りかご1は、建築物に設けられる昇降路内に主ロープ(図示せず)により吊られており、ガイド装置を介してガイドレール4に摺動可能に係合している。駆動装置(巻上機:図示せず)により主ロープが摩擦駆動されると、乗りかご1は昇降路内を昇降する。
【0017】
画像センサ3は、乗りかご1に設けられ、昇降路内における静止物であるガイドレール4の表面画像を取得する。ガイドレール4として、一般的なT型ガイドレールが適用される。
【0018】
本実施例では、ガイドレール4の表面画像として、T字の足部の先端部の表面画像が取得される。後述する画像処理装置(
図2)は、画像センサ3によって取得されるガイドレール4の表面画像に基づいて、乗りかご1の位置および速度を計測する。例えば、所定時間における画像特徴量の移動距離から速度を算出される。
【0019】
なお、画像センサ3としては、CCDやCMOSセンサなどが適用される。
【0020】
電動作動器10は、本実施例では電磁操作器であり、乗りかご1の上部に配置される。電磁操作器は、例えば、ソレノイドもしくは電磁石によって作動する可動片もしくは可動杆を備えるものである。電動作動器10は、ガバナシステムによって乗りかご1の所定の過速状態が検出されるときに作動する。このとき、操作レバー11に機械的に接続されている駆動機構(12~20)により、引上げロッド21が引き上げられる。これにより、非常止め装置2が制動状態となる。
【0021】
なお、駆動機構(12~20)については後述する。
【0022】
非常止め装置2は、乗りかご1の左右に一台ずつ配置される。各非常止め装置2が備える図示しない一対の制動子は、制動位置および非制動位置の間で可動であり、制動位置においてガイドレール4を挟持する。さらに、非常止め装置2は、乗りかご1の下降により、乗りかご1に対して相対的に上昇すると、制動子とガイドレール4との間に作用する摩擦力により制動力を生じる。これにより、非常止め装置2は、乗りかご1が過速状態に陥ったときに作動し、乗りかご1を非常停止させる。
【0023】
本実施例のエレベータ装置は、ガバナロープを用いない、いわゆるロープレスガバナシステムを備えるものであり、乗りかご1の昇降速度が定格速度を超えて第一過速度(例えば、定格速度の1.3倍を超えない速度)に達すると、駆動装置(巻上機)の電源およびこの駆動装置を制御する制御装置の電源が遮断される。また、乗りかご1の下降速度が第二過速度(例えば、定格速度の1.4倍を超えない速度)に達すると、乗りかご1に設けられる電動作動器10が電気的に駆動され、非常止め装置2を作動させて、乗りかご1が非常停止される。
【0024】
本実施例において、ロープレスガバナシステムは、前述の画像センサ3と、画像センサ3の出力信号に基づいて乗りかご1の過速状態を判定する安全コントローラとから構成される。この安全コントローラは、画像センサの出力信号に基づいて画像処理によって計測される乗りかご1の速度が第一過速度に達したと判定すると、駆動装置(巻上機)の電源およびこの駆動装置を制御する制御装置の電源を遮断するための指令信号を出力する。また、安全コントローラは、計測される速度が第二過速度に達したと判定すると、電動作動器10を作動させるための指令信号を出力する。
【0025】
前述のように、非常止め装置2が備える一対の制動子が引上げロッド21によって引き上げられると、一対の制動子がガイドレール4を挟持する。引上げロッド21は、電動作動器10に接続される駆動機構(12~20)によって駆動される。
【0026】
以下、この駆動機構の構成について説明する。
【0027】
電動作動器10の操作レバー11と第1の作動片16が連結され、略T字状の第1リンク部材が構成される。操作レバー11および第1の作動片16はそれぞれT字の頭部および足部を構成する。略T字状の第1リンク部材は、操作レバー11と第1の作動片16の連結部において、第1の作動軸19を介してクロスヘッド50に回動可能に支持される。T字の足部となる第1の作動片16における操作レバー11と第1の作動片16の連結部とは反対側の端部に、一対の引上げロッド21の一方(図中左側)の端部が接続される。
【0028】
接続片17と第2の作動片18が連結され、略T字状の第2リンク部材が構成される。接続片17および第2の作動片18はそれぞれT字の頭部および足部を構成する。略T字状の第2リンク部材は、接続片17と第2の作動片18の連結部において、第2の作動軸20を介してクロスヘッド50に回動可能に支持される。T字の足部となる第2の作動片18における接続片17と第2の作動片18の連結部とは反対側の端部に、一対の引上げロッド21の他方(図中左側)の端部が接続される。
【0029】
電動作動器用筐体30の内部から外部に伸びる操作レバー11の端部と、接続片17の両端部の内、第2の作動軸20よりも乗りかご1の上部に近い端部とが、それぞれ、乗りかご1上に横たわる駆動軸12の一端(図中左側)と他端(図中右側)とに接続される。駆動軸12は、クロスヘッド50に固定される固定部14を摺動可能に貫通している。また、駆動軸12は、押圧部材15を貫通し、押圧部材15は駆動軸12に固定されている。なお、押圧部材15は、固定部14の第2リンク部材(接続片17、第2の作動片18)側に位置する。固定部14と押圧部材15の間に、弾性体である駆動ばね13が位置し、駆動ばね13には駆動軸12が挿通されている。
【0030】
電動作動器10が作動すると、すなわち本実施例では電磁石への通電が遮断されると、駆動ばね13の付勢力に抗して操作レバー11の動きを拘束する電磁力が消失するので、押圧部材15に加わる駆動ばね13の付勢力によって、駆動軸12が長手方向に沿って駆動される。このため、第1リンク部材(操作レバー11、第1の作動片16)が第1の作動軸19の回りに回動するとともに、第2リンク部材(接続片17、第2の作動片18)が第2の作動軸20の回りに回動する。これにより、第1リンク部材の第1の作動片16に接続される一方の引上げロッド21が駆動されて引き上げられるとともに、第2リンク部材の第2の作動片18に接続される他方の引上げロッド21が駆動されて引き上げられる。
【0031】
さらに、本実施例においては、
図1に示すように、非常止め装置2を作動させる上述のロープレスガバナシステムの動作を試験する動作試験装置200が、ガイドレール4に着脱可能に取り付けられている。
【0032】
動作試験装置200は、画像センサ3によって画像が検出される被検出体を備えている。被検出体は、ガイドレールの表面状態を模擬したパターンを有し、パターンは乗りかご1の走行方向に沿って流れる。ロープレスガバナシステムは、このような被検出体の画像を画像センサ3によって検出することにより、被検出体のパターンの流れる速度を検出する。したがって、乗りかご1を走行させずに停止させたままでも、ロープレスガバナシステムを動作させることができる。
【0033】
図2は、本実施例における電動作動器10の構成を示す、
図1の設置状態における平面図である。なお、
図2に示す電動作動器10は、
図1においては、電動作動器用筐体30内に格納されている。
【0034】
図2には、電動作動器10を作動させるロープレスガバナシステム(3,90,103)の構成を併記する。
図2において、非常止め装置2(
図1)は非制動状態であり、電動作動器10は待機状態である。すなわち、エレベータ装置は、通常の運転状態である。
【0035】
図2に示すように、待機状態においては、操作レバー11に接続される可動部材である可動子34が、コイルが通電されて励磁されている電磁石35a,35bに、電磁力によって吸着されている。これにより、駆動軸12(
図1)および操作レバー11を介して可動子34に作用する駆動ばね13(
図1)の付勢力Fに抗して、可動子34の動きが拘束されている。したがって、電動作動器10は、駆動ばね13の付勢力に抗して、駆動機構(12~20:
図1)の動きを拘束している。
【0036】
可動子34は、電磁石35a,35bの磁極面に吸着される吸着部34aと、吸着部34aに固定され、操作レバー11が接続される支持部34bを有する。操作レバー11は、接続ブラケット38を介して、支持部34bに回動可能に接続される。電動作動器10において、待機時に可動子34の吸着部34aが位置する位置には、可動子検出スイッチ109が設けられる。
【0037】
可動子34は、さらに、吸着部34aに固定されるカム部34cを有する。可動子34が待機位置に位置するとき、カム部34cによって可動子検出スイッチ109が操作される。可動子検出スイッチ109は、カム部34cによって操作されると、オン状態からオフ状態へ、もしくはオフ状態からオン状態へ、遷移する。したがって、可動子検出スイッチ109の状態に応じて、可動子34が待機位置に位置しているか否かを検出できる。本実施例では、後述するエレベータコントローラ6が、可動子検出スイッチ109の状態に基づいて、可動子34が待機位置に位置しているか否かを判定する。
【0038】
本実施例では、可動子34において、少なくとも吸着部34aは、磁性体からなる。磁性体として、好ましくは、低炭素鋼やパーマロイ(鉄・ニッケル合金)などの軟磁性体が適用される。
【0039】
図2中における他の機構部(36,37,39,41)については、後述する。
【0040】
電磁石35a,35bは、直流電源111によって励磁される。電磁石35aの励磁回路において、電磁石35aのコイルの一端は、電気接点104aを介して、直流電源111の高電位側に接続され、かつ電磁石35aのコイルの他端は、直流電源111の低電位側に接続される。電磁石35bの励磁回路において、電磁石35bのコイルの一端は、電気接点104bを介して、直流電源111の高電位側に接続され、かつ電磁石35bのコイルの他端は、直流電源111の低電位側に接続される。
【0041】
電気接点104a,104bは、安全コントローラ103によってオン・オフが制御される。電動作動器10の待機状態では、安全コントローラ103は、電気接点104a,104bの各々を、オン状態に制御する。これにより、電磁石35a,35bのコイルが通電されるので、電磁石35a,35bが電磁力を発生する。
【0042】
なお、電気接点104a,104bの各々は、例えば、電磁リレー、電磁接触器、電磁開閉器などが備える接点から構成される。
【0043】
次に、非常止め装置2が作動する時における電動作動器10の動作について説明する。
【0044】
電動作動器10は、ロープレスガバナシステムによって作動される。本実施例において、ロープレスガバナシステムは、画像センサ3と、画像処理装置90と、安全コントローラ103とから構成される。なお、安全コントローラ103が、画像処理装置90の機能を備えていてもよい。
【0045】
画像処理装置90は、画像センサ3によって取得されるガイドレール4の表面画像に対して画像処理を施すことにより、乗りかご1の速度を演算し、演算された速度値を示す検出速度信号S1を出力する。安全コントローラ103は、画像処理装置90から入力した検出速度信号S1に基づいて、乗りかご1の昇降速度が第一過速度(例えば、定格速度の1.3倍を超えない速度)に達したかを判定する。さらに、安全コントローラ103は、検出速度信号S1に基づいて、乗りかご1の下降速度が第二過速度(例えば、定格速度の1.4倍を超えない速度(>第一過速度))に達したかを判定する。
【0046】
安全コントローラ103は、乗りかご1の昇降速度が第一過速度に達したと判定すると、開閉器70(例えば、電磁開閉器)へオフ指令S2を送出する。開閉器70は、オフ指令信号S2を受けると、動力電源60からエレベータコントローラ6および巻上機8への電力供給を遮断する。このため、巻上機8のトラクションモータ81が停止するとともに、巻上機8のブレーキ82が制動状態となる。これにより、乗りかご1が停止される。
【0047】
安全コントローラ103は、乗りかご1の下降速度が第二過速度に達したと判定すると、電気接点104a,104bに対し、それぞれオフ指令信号S
3,S
4を送出する。オフ指令信号S
3,S
4により、電気接点104a,104bは、オン状態(
図2)からオフ状態に遷移する。このため、電磁石35a,35bの励磁が停止されるので、可動子34に作用する電磁力が消失する。これにより、可動子34の吸着部34aが電磁石35a,35bに吸着されることによる可動子34の拘束が解けるので、可動子34は、駆動ばね13の付勢力(
図2におけるF)によって、待機状態における位置(
図2)から、駆動ばね13の付勢力の方向(図中の右方向)に移動する。本実施例では、可動子34は、支持部材41に当接する位置、すなわち
図2において二点鎖線で示すように、非常止め装置動作時の位置Pまで移動する。
【0048】
可動子34の拘束が解けるのに伴い、駆動軸12の押圧部材15(
図1)が受ける、固定部14(
図1)から押圧部材(
図1)へ向かう方向の、駆動ばね13(
図1)の付勢力によって駆動軸12が駆動される。駆動軸12が駆動されると、駆動軸12に接続される第1リンク部材(操作レバー11および第1の作動片16:
図1)が第1の作動軸19(
図1)の回りに回動する。これにより、第1の作動片16に接続される引上げロッド21(
図1)が引き上げられる。また、駆動軸12が駆動されると、駆動軸12に接続される第2リンク部材(接続片17および第2の作動片18:
図1)が第2の作動軸20(
図1)の回りに回動する。これにより、第2の作動片18に接続される引上げロッド21(
図1)が引き上げられるので、非常止め装置2が作動する。
【0049】
次に、電動作動器10の復帰動作について説明する。なお、電動作動器10を復帰動作させるとき、予めエレベータコントローラ6への電力供給が復旧されている。
【0050】
電動作動器10を作動状態から
図2に示すような待機状態に復帰させるためには、次に述べるように、機構部(36,37,39,41)および電気機器部(6,37,112)によって、可動子34を移動位置(
図2の位置P)から待機時の位置(
図2)に戻す。
【0051】
電動作動器10は、可動子34を駆動するために送りねじ36を有する。送りねじ36は、復帰用モータ37の回転軸に同軸に接続されるとともに、支持部材41によって回転可能に支持される。電磁石35a,35bは、送りナット部(図示せず)を備える電磁石支持板39に固定されている。電磁石支持板39における送りナット部は送りねじ36と螺合する。送りねじ36は、復帰用モータ37によって回転される。復帰用モータ37は、モータコントローラ112によって駆動される。
【0052】
モータコントローラ112は、復帰用モータ37の駆動回路を備えており、エレベータコントローラ6からの制御指令に応じて、復帰用モータ37の回転を制御する。復帰用モータ37は、DCモータおよびACモータのいずれでもよい。
【0053】
なお、エレベータコントローラ6は、乗りかご1の通常運転を制御し、乗りかご1の運転状態に関する情報を有している。本実施例では、上述のように、エレベータコントローラ6は、さらに、電動作動器10が備える復帰用モータ37を制御する機能および復帰用モータ37の動作を確認する機能を有する。
【0054】
電動作動器10を待機状態に復帰させるとき、エレベータコントローラ6は、モータコントローラ112に対し、復帰用モータ37の回転指令を送出する。モータコントローラ112は、回転指令を受けると、復帰用モータ37を駆動して送りねじ36を回転させる。回転する送りねじ36と電磁石支持板39が備える送りナット部とによって、復帰用モータ37の回転が、送りねじ36の軸方向に沿った電磁石35a,35bの直線的移動に変換される。これにより、電磁石35a,35bは、
図2に示す可動子34の移動位置Pに近づき、可動子34に当接する。
【0055】
モータコントローラ112は、復帰用モータ37の制御のために、モータ電流を監視している。上述のように電磁石35a,35bが可動子34に当接すると、復帰用モータ37の負荷が増大するので、モータ電流が増加する。モータコントローラ112は、モータ電流が増加して所定値を超えたら、電磁石35a,35bが可動子34に当接したと判定する。モータコントローラ112は、この判定結果を、安全コントローラ103およびエレベータコントローラ6に送る。
【0056】
安全コントローラ103は、モータコントローラ112から判定結果を受けると、電気接点104a,104bの各々に対し、オン指令を出力する。オン指令により、電気接点104a,104bは、オフ状態からオン状態に遷移する。このため、電磁石35a,35bが励磁される。可動子34における吸着部34aは、励磁された電磁石35a,35bによる電磁力が作用して、電磁石35a,35bに吸着される。
【0057】
エレベータコントローラ6は、モータコントローラ112から前述の判定結果を受けると、復帰用モータ37の逆転指令をモータコントローラ112に送る。モータコントローラ112は、逆転指令を受けると、復帰用モータ37の回転方向を逆にして、送りねじ36を逆転させる。これにより、電磁石35a,35bに吸着されている可動子34は、駆動ばね13の付勢力を受けながら、電磁石35a,35bとともに、待機時の位置(
図2)に向けて移動する。
【0058】
可動子34が待機位置に到達すると、可動子検出スイッチ109が、可動子34が備えるカム部34cによって操作される。可動子検出スイッチ109が操作されると、エレベータコントローラ6は、可動子34が待機位置に位置していると判定する。エレベータコントローラ6は、この判定結果に基づき、復帰用モータ37の停止指令をモータコントローラ112に送る。モータコントローラ112は、停止指令を受けると、復帰用モータ37の回転を停止する。
【0059】
可動子検出スイッチ109に代えて、他の位置検出センサ、例えば、光電式位置センサ、磁気式位置センサ、近接センサ(容量型、誘導型)などを適用してもよい。
【0060】
図3は、ガイドレール4(
図1)の露出表面の画像の一例を示す模式図である。
【0061】
図3では、画像センサ3(
図1,2)によって取得される、時刻tにおける画像I(t)と時刻t+Δt(Δt:フレーム周期)における画像I(t+Δt)を示す。いずれも、ガイドレール4を構成する鋼材の露出表面の画像であり、鋼材の露出表面における凹凸分布を示す輝度分布のパターンを示す。なお、時刻tから時刻t+Δtまでの間、乗りかご1(
図1)は下降している。
【0062】
乗りかご1が移動しているため、
図3に示すように、画像I(t)と画像I(t+Δt)との間では、画像のずれdが生じる。なお、
図3では、乗りかご1が下降しているため、画像フレーム中で、上方向に画像のずれdが生じる。
【0063】
画像処理装置90(
図2)は、この画像のずれdを、本実施例では、画像相関法を用いて、画像I(t)と画像I(t+Δt)を比較することにより算出する。この場合、画像I(t)もしくはその一部を、画像フレーム中で、ガイドレール4の長手方向に沿って所定量ずつ移動しながら、移動した画像I(t)と画像I(t+Δt)との相関関数値が算出される。相関関数値が最大値となる場合の画像I(t)の総移動量が画像のずれdとされる。画像処理装置90は、画像のずれdとフレーム周期とから、乗りかごの速度v(=d/Δt)を算出する。
【0064】
なお、ガイドレール4には、表面に凹凸をつけるために、研磨などにより表面仕上げが施されていることが好ましい。また、画像センサ3は、ガイドレール4の表面を照らす光源を備えていることが好ましい。これらにより、乗りかご1の速度の検出精度が向上する。
【0065】
図4は、本実施例における動作試験装置200の機能構成を示すブロック図である。
【0066】
図4に示すように、動作試験装置200は、画像センサ3が画像を検出する被検出体となる画像表示装置202と、画像表示装置202に表示される動画像の再生を制御する画像制御装置201とを備える。
【0067】
画像制御装置201は、ガイドレールの表面状態を模擬したパターンが、表示画面内で直線的に流れる動画を表示する。動画データは、記憶部203に記憶されている。制御部206からの画像再生指令により、駆動部204は、記憶部203が記憶する動画データに基づいて、画像表示装置202を駆動する。これにより、画像制御装置201は、ガイドレールの表面状態を模擬したパターンの動画を表示する。
【0068】
動画データは、ロープレスガバナの動作試験の前に、予め記憶部203に記憶される。本実施例では、制御部206からの通信指令に応じて、通信部205が、動画データを、複数のエレベータの稼働状態を監視する管制センター300が備えるサーバ装置301から、通信ネットワーク400を介して、ダウンロードする。ダウンロードした動画データが、記憶部203に記憶される。
【0069】
制御部206は、動画の再生速度を変化させることができる。これにより、パターンの流れる速度を、動力電源60が遮断される第一過速度まで上昇させることができ、さらに非常止め装置2が作動する第二過速度まで上昇させることができる。
【0070】
図5は、本実施例におけるロープレスガバナシステムの動作試験装置200(
図1)の外観を示す、
図1におけるA方向矢視図および正面図である。
【0071】
本実施例は、動作試験装置200として、スマートフォンやタブレット端末などの携帯情報端末210が適用される。画像表示装置202は、携帯情報端末210が備える液晶ディスプレイからなる。
【0072】
携帯情報端末210が操作されると、携帯情報端末210が記憶する動画データが再生される。このとき、
図5に示す画像制御装置201は、ガイドレールの表面状態を模擬したパターンが乗りかご1の昇降方向(
図5中の上下方向)に沿って直線的に流れる動画を表示する。このようなパターンの動画像を画像センサ3によって取得することにより、ロープレスガバナシステムにおける画像処理装置90(
図2)は、速度検出信号S
1を出力する。
【0073】
本実施例では、携帯情報端末210を操作して、動画の再生速度を変化させることにより、パターンの流れる速度を、動力電源60が遮断される第一過速度まで上昇させることができ、さらに非常止め装置2が作動する第二過速度まで上昇させることができる。
【0074】
なお、動作試験装置200として、携帯情報端末210が適用されるので、ロープレスガバナシステムの動作を試験する時には、動作試験装置200を容易に作業場所(例えば、かご上)へ搬入することができる。さらに、動作試験装置200をガイドレール4に取り付ければ、電源への接続などの作業をすることなく、ロープレスガバナシステムの試験を速やかに開始することができる。
【0075】
携帯情報端末210は、ケース220に収納されている。画像表示装置202の表示画面は、ケース220に覆われることなく露出している。ケース220は、表示画面に対向する背面側に、永久磁石230を備えている。動作試験装置200は、永久磁石230によって、
図1に示すように、鋼材からなるガイドレール4に着脱可能に取り付けられる。このとき、動作試験装置200は、画像表示装置202の表示画面が画像センサ3に対向するように、かつ、表示画面に表示されるパターンの動画像が乗りかご1の昇降方向に沿って流れるように、ガイドレール4に取り付けられる。
【0076】
動作試験装置200を上述のようにガイドレール4に取り付けた後、携帯情報端末210を操作して、動画像を再生する。携帯情報端末210を操作して、再生速度を上昇させながら、被検出体である画像表示装置202が表示する動画像を画像センサ3によって検出することにより、動画像におけるパターンの流れる速度を検出する。これにより、乗りかご1を停止させたまま、ロープレスガバナシステムの動作を試験することができる。
【0077】
図6は、ガイドレール4の表面状態を模擬するパターンの一例を示す概略図である。
【0078】
図6に示すパターンは、ガイドレール4を構成する鋼材の露出表面における凹凸分布を示す輝度分布のパターン(
図3)を模擬する。
図6の例では、長さおよび幅が異なる複数の矩形状もしくは短冊状の図形が、不規則に分散配置されている。
【0079】
図形は、矩形状や短冊状に限らず、楕円状などの規則的形状の図形でもよい。また、図形は、
図3に示すガイドレール4の露出表面の輝度分布のパターンのように、不規則な形状の図形でもよい。
【0080】
図7は、本実施例におけるロープレスガバナシステムの動作試験処理の流れを示すフローチャートである。なお、本実施例においては、保守技術者が動作試験処理を実行する。
【0081】
保守技術者の作業開始時点では、乗りかご1もしくは図示されない釣合い錘が、昇降路内において機械的にロックされている。これにより、乗りかご1は、停止状態が維持される。また、エレベータコントローラ6の動作モードは、通常運転から保守運転に切り替えられている。
【0082】
作業が開始されると、ステップS1において、保守技術者は、乗りかご1の上に乗りこむ。
【0083】
次に、ステップS2において、保守技術者は、動作試験装置200(携帯情報端末210)をガイドレール4に取り付けて、保守用の被検出体(画像表示装置202)を設置する。
【0084】
次に、ステップS3において、保守技術者は、動作試験装置200(携帯情報端末210)を操作して、前述の動画像の再生を開始させる。
【0085】
次に、ステップS4において、保守技術者は、動作試験装置200(携帯情報端末210)を操作して、動画像の再生速度を上昇させる。
【0086】
次に、ステップS5において、保守技術者は、動画像の再生速度を上昇させながら、ロープレスガバナシステムが第一過速度を検出したかを判定する。本実施例では、保守技術者は、巻上機8のブレーキ82の状態を確認し、ブレーキ82が開放状態から制動状態に遷移したら、ロープレスガバナシステムが第一過速度を検出したと判定する。
【0087】
保守技術者は、第一過速度が検出されたと判定すると(ステップS5のYES)、次にステップS6を実行し、第一過速度が検出されていないと判定すると(ステップS5のNO)、再度ステップS5を実行する。
【0088】
ステップS6において、保守技術者は、第一過速度の検出速度値を確認する。このとき、例えば、保守技術者は、画像処理装置90もしくは安全コントローラ103が備える速度表示器(例えば、LED表示器(2進数、16進数など))が示す速度値を読み取る。
【0089】
次に、ステップS7において、保守技術者は、動作試験装置200(携帯情報端末210)を操作して、動画像の再生速度をさらに上昇させる。
【0090】
次に、ステップS8において、保守技術者は、動画像の再生速度を上昇させながら、ロープレスガバナシステムが第二過速度を検出したかを判定する。本実施例では、保守技術者は、電動作動器10が作動して非常止め装置2が動作したかを確認し、電動作動器10が作動したら、ロープレスガバナシステムが第二過速度を検出したと判定する。
【0091】
保守技術者は、第二過速度が検出されたと判定すると(ステップS8のYES)、次にステップS9を実行し、第二過速度が検出されていないと判定すると(ステップS8のNO)、再度ステップS8を実行する。
【0092】
ステップS9において、保守技術者は、第二過速度の検出速度値を確認する。このとき、例えば、保守技術者は、ステップS6と同様に、画像処理装置90もしくは安全コントローラ103が備える速度表示器が示す速度値を読み取る。
【0093】
次に、ステップS10において、保守技術者は、動作試験装置200(携帯情報端末210)を操作して、動画像の再生を停止させる。
【0094】
次に、ステップS11において、保守技術者は、動作試験装置200(携帯情報端末210)をガイドレール4から取り外して、保守用の被検出体(画像表示装置202)を回収する。
【0095】
次に、ステップS12において、保守技術者は、ロープレスガバナシステムをリセットして、過速度検出状態を解除する。
【0096】
次に、ステップS13において、保守技術者は、ロープレスガバナシステムを復帰動作モードにセットし、電動作動器10を通常状態(
図2)に復帰させる。
【0097】
次に、ステップS14において、保守技術者は、乗りかご1の上から降りて、一連の処理を終了する。
【0098】
ステップS5,S8において、保守技術者は、機器の動作を確認する代わりに、安全コントローラ103が出力するオフ指令信号を確認してもよい。この場合、保守技術者は、
図2に示すオフ指令信号S
2を確認することにより、第一過速度の検出を確認するとともに、
図2に示すオフ指令信号S
3,S
4を確認することにより、第二過速度の検出を確認する。これらのオフ指令信号は、保守技術者が携帯する保守ツールによって確認できる。
【0099】
ステップS6,S9において、保守技術者は、表示器の表示に代えて、
図2に示す検出速度信号S
1に基づいて、速度値を読み取ってもよい。この場合、保守ツールが、検出速度信号S
1を入力して、検出速度信号S
1に基づいて速度値を演算する。保守ツールは、演算した速度値を表示または記録する。
【0100】
なお、保守ツールが備えるコンピュータシステムにより、ステップS3~S10の処理を実行してもよい。この場合、保守技術者が保守ツールを操作して処理の実行を開始させると(ステップS3)、保守ツールは、動作試験装置200(携帯情報端末210)に制御指令(再生速度指令)を送出しながら、オフ指令信号S
2(
図2)に基づいて第一過速度の検出を確認するとともに、オフ指令信号S
3,S
4(
図2)を確認することにより、第二過速度の検出を確認する。また、保守ツールは、検出速度信号S
1(
図2)に基づいて、第一および第二過速度の速度値を演算する。
【0101】
上述の実施例によれば、ガイドレール4の表面状態を模擬するパターンを乗りかご1の昇降方向に動かすことにより、乗りかご1を走行させることなく、画像センサ3が取得するパターンの画像に基づいて、模擬的に乗りかご1の速度が検出される。したがって、乗りかご1が停止した状態で、ロープレスガバナシステムの動作を試験することができる。
【0102】
本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置き換えをすることが可能である。
【0103】
例えば、電動作動器10は、乗りかご1の下方部や側方部に設けられてもよい。この場合、保守技術者の作業場所は、適宜設定される。
【0104】
また、エレベータ装置は、機械室を有するものでもよいし、機械室を有しないいわゆる機械室レスエレベータでもよい。
【符号の説明】
【0105】
1…乗りかご、2…非常止め装置、3…画像センサ、4…ガイドレール、6…エレベータコントローラ、8…巻上機、10…電動作動器、11…操作レバー、12…駆動軸、13…駆動ばね、14…固定部、15…押圧部材、16…第1の作動片、17…接続片、18…第2の作動片、19…第1の作動軸、20…第2の作動軸、21…引上げロッド、30…電動作動器用筐体、34…可動子、34a…吸着部、34b…支持部、34c…カム部、35a,35b…電磁石、36…送りねじ、37…復帰用モータ、38…接続ブラケット、39…電磁石支持板、41…支持部材、50…クロスヘッド、60…動力電源、70…開閉器、81…トラクションモータ、82…ブレーキ、90…画像処理装置、103…安全コントローラ、104a,104b…電気接点、109…可動子検出スイッチ、111…直流電源、112…モータコントローラ、200…動作試験装置、201…画像制御装置、202…画像表示装置、203…記憶部、204…駆動部、205…通信部、206…制御部、210…携帯情報端末、220…ケース、230…永久磁石、300…管制センター、301…サーバ装置、400…通信ネットワーク