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特許7588741コヒーレントLIDARのピッチ-キャッチスキャニングのための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】コヒーレントLIDARのピッチ-キャッチスキャニングのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20241115BHJP
   G01S 17/34 20200101ALI20241115BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20241115BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/34
G01S17/931
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024037015
(22)【出願日】2024-03-11
(62)【分割の表示】P 2022102598の分割
【原出願日】2019-08-14
(65)【公開番号】P2024073521
(43)【公開日】2024-05-29
【審査請求日】2024-03-12
(31)【優先権主張番号】62/727,294
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520390450
【氏名又は名称】オーロラ・オペレイションズ・インコーポレイティッド
【氏名又は名称原語表記】AURORA OPERATIONS, INC.
【住所又は居所原語表記】1654 Smallman Street, Pittsburgh, PA 15222, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100209657
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】クラウチ,ステファン シー.
(72)【発明者】
【氏名】アンガス,エドワード ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ミルビッチ,ミシェル
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-202857(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0146189(US,A1)
【文献】特開平08-201520(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0145481(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/51
13/00 - 13/95
17/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の光検出および距離測定(LIDAR)センサシステムであって、
ビームを生成するように構成されたレーザーソースと、
前記ビームに基づいて送信信号を出力するように構成された送信導波管と、
前記送信信号を受信し、前記送信信号をあるスキャンレートでオブジェクトに向けて出力するように構成された1つ以上のスキャニング光学器機と、
前記スキャンレートと、前記オブジェクトの検出のためのターゲット距離とに関連する間隔だけ前記送信導波管から離隔した受信導波管であって、前記オブジェクトによる前記送信信号の反射または散乱からのリターン信号を受信するように構成された受信導波管と、
を備え
前記1つ以上のスキャニング光学器機は、回転軸を中心に回転するように構成されたポリゴンスキャナを含み、
前記ポリゴンスキャナの前記スキャンレートは、約毎秒1000度ないし約毎秒7000度である、LIDARセンサシステム。
【請求項2】
前記1つ以上のスキャニング光学器機が、前記送信信号を第1の角度で受信し、前記送信信号を前記スキャンレートで第2の角度ないし第3の角度の角度範囲にわたって出力するように構成される、請求項1に記載のLIDARセンサシステム。
【請求項3】
前記ターゲット距離が約100メートルないし約300メートルである、請求項1に記載のLIDARセンサシステム。
【請求項4】
前記1つ以上のスキャニング光学器機および前記受信導波管の間にコリメーション光学器機をさらに備え、前記コリメーション光学器機が、前記1つ以上のスキャニング光学器機からの前記リターン信号を前記受信導波管の先端にフォーカシングするように構成される、請求項1に記載のLIDARセンサシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のLIDARセンサシステムであって、
前記間隔が第1間隔であり、前記受信導波管が第1受信導波管であり、前記リターン信号が第1リターン信号であり、前記第1受信導波管が、前記角度範囲の第1部分にわたって第1距離で前記第1リターン信号を受信するように構成され、
前記LIDARセンサシステムが、前記第1間隔よりも大きな第2間隔だけ前記送信導波管から離隔した第2受信導波管をさらに備え、前記第2受信導波管が、前記角度範囲の第2部分にわたって第2距離で第2リターン信号を受信するように構成される、請求項1に記載のLIDARセンサシステム。
【請求項6】
自律走行車制御システムであって、
ビームを生成するように構成されたレーザーソースと、
前記ビームに基づいて送信信号を出力するように構成された送信導波管と、
前記送信信号を受信し、前記送信信号をあるスキャンレートでオブジェクトに向けて出力するように構成された1つ以上のスキャニング光学器機と、
前記送信導波管からある間隔だけ離隔した受信導波管であって、前記間隔は、前記スキャンレートと、前記オブジェクトの検出のためのターゲット距離とに関連し、前記オブジェクトによる前記送信信号の反射または散乱からのリターン信号を受信するように構成された受信導波管と、
1つ以上のプロセッサと、
を備え、前記1つ以上のプロセッサが、
前記リターン信号に基づいて前記オブジェクトまでの距離または前記オブジェクトの速度の少なくとも一方を決定し、
前記距離または前記速度の少なくとも一方に基づいて自律走行車の動作を制御する
ように構成され
前記1つ以上のスキャニング光学器機は、回転軸を中心に回転するように構成されたポリゴンスキャナを含み、
前記ポリゴンスキャナの前記スキャンレートは、約毎秒1000度ないし約毎秒7000度である、自律走行車制御システム。
【請求項7】
前記1つ以上のスキャニング光学器機が、前記送信信号を第1の角度で受信し、前記送信信号を前記スキャンレートで第2の角度ないし第3の角度の角度範囲にわたって出力するように構成される、請求項に記載の自律走行車制御システム。
【請求項8】
前記ターゲット距離が約100メートルないし約300メートルである、請求項に記載の自律走行車制御システム。
【請求項9】
前記1つ以上のスキャニング光学器機および前記受信導波管の間にコリメーション光学器機をさらに備え、前記コリメーション光学器機が、前記1つ以上のスキャニング光学器機からの前記リターン信号を前記受信導波管の先端にフォーカシングするように構成される、請求項に記載の自律走行車制御システム。
【請求項10】
請求項に記載の自律走行車制御システムであって、
前記間隔が第1間隔であり、前記受信導波管が第1受信導波管であり、前記リターン信号が第1リターン信号であり、前記第1受信導波管が、前記角度範囲の第1部分にわたって第1距離で前記第1リターン信号を受信するように構成され、
前記LIDARセンサシステムが、前記第1間隔よりも大きな第2間隔だけ前記送信導波管から離隔した第2受信導波管をさらに備え、前記第2受信導波管が、前記角度範囲の第2部分にわたって第2距離で第2リターン信号を受信するように構成される、請求項に記載の自律走行車制御システム。
【請求項11】
LIDARセンサシステムを備える自律走行車であって、
前記LIDARセンサシステムが、
ビームを生成するように構成されたレーザーソースと、
前記ビームに基づいて送信信号を出力するように構成された送信導波管と、
前記送信信号を受信し、前記送信信号をあるスキャンレートでオブジェクトに向けて出力するように構成された1つ以上のスキャニング光学器機と、
前記送信導波管からある間隔だけ離隔した受信導波管であって、前記間隔は、前記スキャンレートと、前記オブジェクトの検出のためのターゲット距離とに関連し、前記オブジェクトによる前記送信信号の反射または散乱からのリターン信号を受信するように構成された受信導波管と、
前記リターン信号に基づいて前記オブジェクトまでの距離または前記オブジェクトの速度の少なくとも一方を決定するように構成された1つ以上のプロセッサと、
を備え、
操向システムと、
制動システムと、
前記オブジェクトまでの前記距離または前記オブジェクトの前記速度の少なくとも一方に基づいて前記操向システムまたは前記制動システムの少なくとも一方を制御するように構成された車両コントローラと、
をさらに備え
前記1つ以上のスキャニング光学器機は、回転軸を中心に回転するように構成されたポリゴンスキャナを含み、
前記ポリゴンスキャナの前記スキャンレートは、約毎秒1000度ないし約毎秒7000度である、自律走行車。
【請求項12】
前記1つ以上のスキャニング光学器機が、前記送信信号を第1の角度で受信し、前記送信信号を前記スキャンレートで第2の角度ないし第3の角度の角度範囲にわたって出力するように構成される、請求項11に記載の自律走行車。
【請求項13】
前記ターゲット距離が約100メートルないし約300メートルである、請求項11に記載の自律走行車。
【請求項14】
前記1つ以上のスキャニング光学器機および前記受信導波管の間にコリメーション光学器機をさらに備え、前記コリメーション光学器機が、前記1つ以上のスキャニング光学器機からの前記リターン信号を前記受信導波管の先端にフォーカシングするように構成される、請求項11に記載の自律走行車。
【請求項15】
請求項11に記載の自律走行車であって、
前記間隔が第1間隔であり、前記受信導波管が第1受信導波管であり、前記リターン信号が第1リターン信号であり、前記第1受信導波管が、前記角度範囲の第1部分にわたって第1距離で前記第1リターン信号を受信するように構成され、
前記LIDARセンサシステムが、前記第1間隔よりも大きな第2間隔だけ前記送信導波管から離隔した第2受信導波管をさらに備え、前記第2受信導波管が、前記角度範囲の第2部分にわたって第2距離で第2リターン信号を受信するように構成される、請求項11に記載の自律走行車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本出願は、35U.S.C.§119(e)に基づいて、全体の内容が本明細書に完全に説明されたように、参照としてここに含まれる2018年9月 5日付に出願された米国出願第62/727、294号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
光検出および距離測定のためのニーモニック(Mnemonic)のLIDAR(ライダー)と呼ばれ、時には、レーザーレーダー(RADAR、Radio-wave Detection and Ranging)とも呼ばれるレーザーを用いる距離の光学検出は、高度測定から、イメージング、衝突回避に至るまで様々な応用分野で使用される。LIDARは、RADARのような従来のマイクロ波距離測定システム(Microwave Ranging System)よりも小さいビームの大きさでより微細なスケール範囲(Scale Range)の解像度を提供する。距離の光学検出は、オブジェクト(Object)についての光パルスの往復移動時間(Round Trip Travel Time)に基づく直接距離測定と、送信されたチャープ(Chirped)光信号とオブジェクトから散乱してリターンされた信号との間の周波数差に基づくチャープ検出と、自然信号から区別可能な単一周波数位相変化のシーケンスに基づく位相エンコーディング検出(Phase-Encoded Detection)を含むいくつかの他の技術で達成され得る。
【0003】
収容可能な距離精度および検出感度を実現するため、直接長距離LIDAR(Direct Long Range LIDAR)システムは、低いパルス反復率(Pulse Repetition Rate)および非常に高いパルスピークパワーを有する短いパルスレーザーを使用する。高いパルスパワーは、光学コンポーネントの急激な性能低下につながり得る。チャープおよび位相エンコーディングLIDAR(Chirped and Phase-Encoded LIDAR)システムは、相対的に低いピーク光パワーを有する長い光パルスを使用する。この構成において、距離精度は、パルス持続時間ではなく、チャープ帯域幅または長さと、位相コードの帯域幅に応じて増加し、したがって、優れた距離精度が相変らず獲得され得る。
【0004】
光搬送波(Optical Carrier)を変調するために広帯域無線周波数(Radio Frequency、RF)の電気信号を用いて有用な光帯域幅が実現された。LIDARの最近の発展は、光学検出器でリターンされた信号と組み合わさる基準信号として同じ変調された光搬送波を使用して基準光信号とリターン光信号との間の周波数または位相での差に比例するRF帯域における相対的に低いビート(Beat)周波数を結果に応じた電気信号で生成することを含む。検出器における周波数差についてのこれらの種類のビート周波数検出は、ヘテロダイン検出(Heterodyne Detection)という。これは、直ちに、そして安価に使用できるRFコンポーネントを使用する利点のような当該分野に知れたいくつかの長所を有する。
【0005】
本発明者による最近の研究は、LIDARシステムとそれぞれの外部オブジェクトの間のベクトルで改善された距離だけでなく、相対的な符号を有する(Signed)速度を提供するリターンされた信号からドップラーシフト(Doppler Shift)を検出するための光学コンポーネントの新しい配列とコヒーレント(Coherent)処理を示している。このシステムは、ここで高解像度距離ドップラーLIDAR(Hi-res Range-Doppler LIDAR)システムと呼ばれる。例えば、世界知的所有権機関(WIPO)公報WO2018/160240およびWO2018/144853を参照し得る。
【0006】
このような改善は、ターゲット速度があるか、またはなくても、適切な周波数または位相コンテンツのペンシルのように薄いレーザービーム(Pencil Thin Laser Beam)で距離を提供する。このようなビームを場面(Scene)にスイープ(Sweep)すると、周囲の物体の位置および速度に関する情報が獲得され得る。この情報は、自律走行またはドライバー支援自動車のような自律走行車のための制御システムで価値のあるものと予想される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
距離精度とターゲットの速度精度を提供するサンプリングおよび処理は、累積時間(Integration Time)と呼ばれる時間間隔で様々な持続時間を有する1つ以上のレーザー信号の累積 (Integration)を伴う。タイムリーな方式で場面をカバーすることは、車両が車両前方の空間内に(多くの場合、約1ないし数秒の特定時間内に移動される約1ないし数十メートルの距離で)進みすぎる前に車両周囲の環境を理解するために自律走行車の周囲に様々な角度を(多くの場合、約数千回)サンプリングするのに十分な、(多くの場合、1ないし数十マイクロ秒の間、1つ以上の信号を含む)十分に正確な測定を繰り返すことを伴う。特定時間(多くの場合、サイクルまたはサンプリング時間という)内にカバーできる異なる角度の数は、サンプリングレートによる。ここで、車両が環境を通過して移動することにより、自律走行車の近くの環境を効率的に判断するために、1つ以上のLIDARビームを用いて距離および速度精度のための累積時間、サンプリングレートおよび異なるサンプリング角度パターンの間にトレードオフが行われ得ることを認識した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1実施例セットにおいて、自律走行車でLIDARシステムのスキャンパターンを最適化するための方法は、プロセッサにおいて、バイスタティックトランシーバの受信導波管(Waveguide)から分離間隔(Separation)だけ離隔したバイスタティックトランシーバの送信導波管によって信号が送信された後に、ターゲットによって反射して受信導波管によって受信された信号の第1信号対雑音比(SNR)値を示すデータを受信するステップを含む。第1SNR値は、ターゲットの距離の値に基づき、第1SNR値は、LIDARシステムのスキャンレートのそれぞれの値についてのものである。方法は、プロセッサにおいて、ターゲットの距離の値に基づく信号の第2SNR値を受信するステップをさらに含み、第2SNR値は、示すデータをLIDARシステムの累積時間のそれぞれの値についてのものである。方法は、プロセッサにおいて、スキャンパターンの角度範囲を定義する第1角度および第2角度を示すデータを受信するステップをさらに含む。方法は、プロセッサにおいて、角度範囲内のそれぞれの角度でターゲットの最大設計距離を示すデータを受信するステップをさらに含む。方法は、角度範囲内のそれぞれの角度に対して、最大設計距離に基づく第1SNR値が最小SNRしきい値を超過する大きいスキャンレートのうち、最大値に基づいてLIDARシステムの最大スキャンレートを決定するステップをさらに含む。方法は、角度範囲内のそれぞれの角度に対して、最大設計距離に基づく第2SNR値が最小SNRしきい値を超過する累積時間のうち、最小値に基づいてLIDARシステムの最小累積時間を決定するステップをさらに含む。方法は、プロセッサを用いて角度範囲内のそれぞれの角度での最大スキャンレートおよび最小累積時間に基づいてLIDARシステムのスキャンパターンを定義するステップをさらに含む。方法は、スキャンパターンに応じてLIDARシステムを作動させるステップをさらに含む。
【0009】
他の実施例において、システム、装置またはコンピュータ読み取り可能な媒体は、前述の方法の1つ以上のステップを行うように構成される。
【0010】
また他の様態、特徴および利点は、本発明を行うために考慮される最上のモードを含む多数の特定の実施例および実装例を単純に例示することによって、続く詳細な説明から簡単に理解できる。また、他の実施例は、他の異なる特徴および利点を有し得、これらの多くの具体的内容は、すべて本発明の思想および範囲を逸脱することなく、様々な明白な側面で修正できる。したがって、図面および説明は、本質的に制限的であるものではなく、例示的であるものとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付された図面における実施例は、制限的な方式ではなく、例示的な方式で説明され、類似の参照番号については、類似の要素を指す。
【0012】
図1a】一実施例によって一連の2進数(Binary Digit)の例示的な送信信号を距離の測定のためにリターンされた光信号とともに示す概略的なグラフ、
【0013】
図1b】一実施例によって基準信号の例示的なスペクトルとドップラーシフトされたリターン信号(Doppler Shifted Return Signal)の例示的なスペクトルを示す概略的なグラフ、
【0014】
図1c】一実施例によってドップラーシフトされたリターン信号の位相成分の例示的な交差-スペクトル(Cross-Spectrum)を示す概略的なグラフ、
【0015】
図1d】一実施例によって距離に関する例示的な光チャープ(Optical Chirp)測定を示すグラフセット、
【0016】
図1e】対称LO信号を使用するグラフであって、一実施例によってドップラーシフトがないとき、リターン信号を周波数時間プロット(Frequency Time Plot)で破線として示し、
【0017】
図1f】対称LO信号を使用する図1eと同様のグラフであって、一実施例によって非ゼロドップラーシフトがあるとき、この周波数時間プロットでリターン信号を破線として例示、
【0018】
図2a】一実施例によって高解像度(Hi-res)LIDARシステムの例示的なコンポーネントを示すブロック図、
【0019】
図2b】一部の実施例で使用される高解像度ドップラーシステムのための鋸歯状( Saw Tooth)スキャンパターンを示すブロック図、
【0020】
図2c】一実施例によって高解像度ドップラーLIDARシステムによって生成された例示的な速度ポイントクラウド(Speed Point Cloud)を示すイメージ、
【0021】
図2d】一実施例によって高解像度LIDARシステムの例示的なコンポーネントを示すブロック図、
【0022】
図2e】一実施例によってバイスタティック(Bistatic)LIDARシステムの例示的なコンポネントの側面図を示すブロック図、
【0023】
図2f】一実施例によって図2eの例示的なコンポーネントの上面図を示すブロック図、
【0024】
図3a】一実施例によって車両に取り付けられた少なくとも1つの高解像度LIDARシステムを含む例示的なシステムを示すブロック図、
【0025】
図3b】一実施例によって車両に取り付けられた少なくとも1つの高解像度LIDARシステムを含む例示的なシステムを示すブロック図、
【0026】
図3c】一実施例によって図3bのLIDARシステムから多数の角度で送信されたビームの一例を示すブロック図、
【0027】
図3d】一実施例によって車両に取り付けられた少なくとも1つの高解像度LIDARシステムを含む例示的なシステムを示すブロック図、
【0028】
図4a】一実施例によってスキャニングなしの図2dのシステムから送信された信号についての例示的な信号対雑音比(SNR)対ターゲット距離を示すグラフ、
【0029】
図4b】一実施例によってファーフィールド(Far Field)における図4aのSNRトレースの形状を作る1/r2乗損失を示すトレースの一例を示すグラフ と、
【0030】
図4c】一実施例によってスキャニングなしの図2dのシステムから送信された信号についてのコリメートビーム直径対距離の一例を示すグラフ、
【0031】
図4d】一実施例によってスキャニングなしの図2dのシステムから送信された信号についての収集効率に関連するSNR対距離の一例を示すグラフ、
【0032】
図4e】一実施例によって図2eのシステムで様々なターゲット距離およびスキャン速度についてのビーム離脱(Walkoff)の一例を示すイメージ、
【0033】
図4f】一実施例によって図2eのシステムで様々なスキャンレート(Scan Rate)についてのカップリング効率対ターゲット距離の一例を示すグラフ、
【0034】
図4g】一実施例によって図2eのシステムで様々なスキャンレートについてのSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフ、
【0035】
図4h】一実施例によって移動する車両に取り付けられた図2eのシステムでビームの従来のスキャン軌跡の一例を示すグラフ、
【0036】
図4i】一実施例によって図2eのシステムで様々な累積時間(Integration Time)についてのSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフ、
【0037】
図4j】一実施例によって図2eのシステムで測定レート対ターゲット距離の一例を示すグラフ、
【0038】
図4k】一実施例によって図2eのシステムで様々な分離間隔の値についてのSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフ、
【0039】
図4l】一実施例によって図2eのシステムで様々なSNR値についての分離間隔対ターゲット距離の一例を示すグラフ、
【0040】
図4m】一実施例によって図2eのシステムで様々な分離間隔の値についてのSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフ、
【0041】
図4n】一実施例によって図2eのシステムで様々なSNR値についての分離間隔対ターゲット距離の一例を示すグラフ、
【0042】
図4o】一実施例によって図2eのシステムで最小臨界SNRを有する様々なターゲット距離についての分離間隔対スキャン速度の一例を示すグラフ、
【0043】
図5】一実施例によって図2eのシステムで多数の角度範囲にわたった時間についての垂直角度の一例を示すグラフ、
【0044】
図6】一実施例によってLIDARシステムのスキャンパターンを最適化するための例示的な方法を示すフローチャート、
【0045】
図7】本発明の一実施例を実装できるコンピュータシステムを示すブロック図、
【0046】
図8】本発明の一実施例を実装できるチップセットを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0047】
LIDARシステムのスキャニングのための方法、装置、システムおよびコンピュータ読み取り可能な媒体が説明される。以下の説明において、説明の目的に、本明細書の完全な理解を提供するために様々な具体的な詳細内容が説明される。しかし、このような具体的な内容なしに本発明が実施されることができるということが当該技術分野における通常の技術者に明らかであろう。他の場合において、本発明を不必要に曖昧にすることを避けるためによく知られている構造と装置は、ブロック図の形として例示される。
【0048】
広い範囲を表す数値範囲とパラメータは、たとえ近似値であっても、具体的な非限定的な例で説明される数値は、できるだけ正確に報告される。しかし、任意の数値は、本発明の作成時点で、これらのそれぞれの実験測定で発見された標準偏差から必然的に発生する特定の誤差を内在的に含む。また、文脈から特に明確でない限り、本発明に提示された数値は、最下位の数字によって与えられる含蓄された精度を有する。したがって、値1.1は、1.05から1.15までの値を暗示する。「約」という用語は、与えられた値を中心に、より広い範囲を表すのに使用され、文脈から特に明確でない限り、「約1.1」が1.0から1.2まで暗示するように、最下位の数字の周辺のより広い範囲を暗示する。もし、最下位の数字が不明であれば、「約」という用語は、2の因数(Factor of Two)を意味する。例えば、「約X」は、範囲が0.5Xないし2Xの値を暗示し、例えば、「約100」は、範囲が50ないし200の値を暗示する。さらに、本発明に開示されたすべての範囲は、その中に含まれる任意の下位の範囲およびすべての下位の範囲を含むものと理解されるべきである。例えば、正のパラメータについての「10未満」の範囲は、0(Zero)の最小値と10の最大値との間の(そして、0の最小値と10の最大値を含む)任意の下位の範囲およびすべての下位の範囲、すなわち、0以上の最小値と10以下の最大値を有する任意の下位の範囲およびすべての下位の範囲、例えば、1ないし4を含む。
【0049】
本発明の一部の実施例は、高解像度LIDARシステムと連携して以下で説明される。本発明の1つの実施例は、高解像度バイスタティック(Bistatic)LIDARシステムと連携して説明される。本発明の他の実施例は、個人用自動車での単一前面装着(Single Front Mounted)高解像度ドップラーLIDARシステムと連携して説明される。しかし、実施例は、このような状況に制限されない。他の実施例において、重畳したり、重畳しない視野を有し、ドップラーコンポネントを有したり、有しない同じタイプまたは他の高解像度LIDARの1つまたは多数のシステムまたはパイロットされたり、自律的なより小さかったり、より大きい地上、海上または空中運送手段に取り付けられた1つ以上のこのようなシステムが使用される。
1.位相エンコーディング(Phase-Encoded)検出概要
【0050】
距離測定のための光位相エンコーディング信号を用いて送信信号は、送信された信号の一部についての搬送波(Carrier)と同相(Inphase)であり(位相=0)、次に、短い時間間隔の間にシンボルΔφによって表現される1つ以上の位相変化だけ変動し(したがって、位相=0、Δφ、2Δφ...)、送信信号に対して繰り返しに2以上の位相値の間で前後にスイッチングする。一定の位相の最も短い間隔は、パルス持続時間τと呼ばれるエンコーディングのパラメータであり、通常、帯域で最も低い周波数の多数の周期の持続時間 である。逆(1/τ)は、ボーレート(Baud Rate)であり、それぞれのボーは、シンボルを示す。送信信号の時間中のこのような一定の位相パルスの数(N)は、シンボルの数(N)であり、エンコーディングの長さを示す。2進(Binary)エンコーディングにおいて、2つの位相値が存在し、最も短い間隔の位相が1つの値について0とみなされ得、他の1つの値は、1とみなされ得、したがって、シンボルは、1ビット(Bit)であり、ボーレートもビットレート(Bit Rate)と呼ばれる。多重(Multiple)位相エンコーディングで多数の位相値が存在する。例えば、Δφ*{0、1、2および3}のような4つの位相値は、Δφ=π/2(90度)に対して{0、π/2、πおよび3π/2}とそれぞれ同じであり、したがって、4つの位相値は、それぞれ0、1、2、3を示し得る。この例において、それぞれのシンボルは、2ビットであり、ビットレートは、ボーレートの2倍である。
【0051】
位相シフトキーイング(Phase-Shift Keying、PSK)は、基準信号(搬送波)の位相を変更(変調)させることによって、データを伝達するデジタル変調方式(Digital Modulation Scheme)を意味する。変調は、正確な時間にサイン入力とコサイン入力を変化させることによって刻印する。無線周波数(RF)において、PSKは、無線LAN、無線周波数認識(RFID)およびブルートゥース(登録商標)通信のために手広く使用される。代替的に、一定の基準波(Reference Wave)に対して動作する代わりに、送信は、それ自体に対して動作し得る。単一の送信波形の位相変化は、シンボルとみなされ得る。このシステムにおいて、復調器は(基準波についての)、位相その自体ではなく、受信信号の位相変化を決定する。前記方式が連続する位相の間の差に依存するため、これは、差動位相シフトキーイング(Differential Phase-Shift Keying、DPSK)と称される。復調器が受信信号の正確な位相を決定するために基準信号のコピーを有する必要がないため、DPSKは、通信アプリケーションで通常のPSKよりもかなり簡単に実装できる(したがって、これは非コヒーレント(Non-Coherent)方式である)。
【0052】
送信機および受信機が同じ装置内にあるため、光距離測定応用に、コヒーレントPSKが使用できる。搬送波周波数(Carrier Frequency)は、光周波数(f)であり、RF周波数(f)は、光搬送波(Optical Carrier)に変調される。シンボルの数(N)と持続時間τは、要求される距離精度と解像度を実現するために選択される。シンボルのパターンは、ノイズとコード化された(Coded)信号の他のソースから区別できるように選択される。したがって、送信された信号とリターンされた信号との間の強い相関関係は、反射するか、または後方散乱した(Backscattered)信号の強い表示である。送信された信号は、1つ以上のシンボルのブロックで構成され、それぞれのブロックは、ノイズが存在する場合にも反射するか、または後方散乱したリターンとの強い相関関係を提供するほど十分に長い。次の議論において、送信された信号は、ブロック当たりN個のシンボルのM個のブロックで構成され、MとNは、負ではない整数である。
【0053】
図1aは、一実施例によって一連の2進数(Binary Digit)として例示的な送信された信号を距離の測定のためにリターンされた光信号とともに示す概略的なグラフ120である。水平軸122は、0(Zero)での開始時間後の時間を任意単位(Arbitrary Unit)で示す。垂直軸124aは、周波数(f+f)での光送信信号の振幅を0についての任意単位で示す。垂直軸124bは、周波数(f+f)でのリターンされた光信号の振幅を0についての任意単位で示し、トレースを分離するために軸124aからオフセットされる。トレース125は、00011010から開始して省略符号で表示されたように、継続するコードを生成するために図1aに示すような位相変化を有するM*N2進シンボルの送信信号を示す。トレース126は、動いていないオブジェクトから散乱した理想的な(ノイズがない)リターン信号を示す(したがって、リターンは、ドップラーシフトされない)。振幅は、減少されるが、コード00011010は、認識可能である。トレース127は、動いているオブジェクトから散乱することによって、ドップラーシフトされる理想的な(ノイズがない)リターン信号を示す。リターンは、適切な光周波数(f+f)になく、予想した周波数帯域内でよく検出されず、したがって、振幅が減少する。
【0054】
リターンの観察された周波数(f’)は、数1によって与えられるドップラー効果によるリターンの正確な周波数(f=f+f)と異なる。
【数1】



ここで、cは、媒質内の光の速度であり、vは、観察者の速度であり、vは、ソースと受信機を連結するベクトルによるソースの速度である。観察者とソースが両者の間のベクトル上で同じ方向に同じ速度で動いている場合、2つの周波数は、同じであることに注目するべきである。2つの周波数の間の差(Δf=f’-f)は、距離測定について問題点を引き起こすドップラーシフト(Δf)であり、数2によって与えられる。
【数2】



誤差の大きさは、信号の周波数fに応じて増加することに注目するべきである。また、静止したLIDARシステム(v=0)の場合、毎秒10メートル(v=10)で移動するオブジェクトと約500THzの周波数を有する可視光線についてのドップラーシフトの大きさは、約16メガヘルツ(MHz、1MHz=10ヘルツ(Hz)、1Hz=毎秒1サイクル)であることに注目するべきである。以下に説明される様々な実施例において、距離計算のためにデータを処理するためにドップラーシフトの誤差が検出されて使用される。
【0055】
位相コード化された距離測定(Phase Coded Ranging)で、位相コード化されたリターンの到達は、送信された信号または他の基準信号をリターンされた信号と交差相関(Cross-Correlations)させることによって、リターンされた信号内で検出され、RF信号のためのコードをヘテロダイン(Heterodyne)検出を用いる光検出器(Optical Detector)からの電気信号と交差相関させ、RF帯域に戻すダウンミキシング(Down-Mixing)することによって、実質的に実装する。任意の1つのラグ(Lag)のための交差相関は、2つのトレースをコンボリューション処理(Convolving)することによって、すなわち、2つのトレース内の対応する値を乗じ、トレース内のすべての点(Point)に対して加算した後、それぞれのタイムラグ(Time Lag)に対して繰り返すことによって計算される。代替的に、交差相関は、2つのトレースそれぞれのフーリエ変換を乗じた後に、フーリエ逆変換すなわち、逆方向フーリエ変換(Inverse Fourier Transform )を行うことによって達成され得る。高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform、FFT)のための効率的なハードウェアとソフトウェアの具現は、順方向フーリエ変換と逆方向フーリエ変換の両方のために広く用いられ得る。
【0056】
交差相関の計算は、通常、リターンの振幅と位相が光検出器から検出された後に、アナログまたはデジタル電気信号を用いて行われることに注目するべきである。光検出器における信号を容易にデジタル化できるRF周波数範囲に移動させるために、光リターン信号は、検出器に衝突する前に基準信号と光学的にミックスされる。位相エンコード化された送信光信号のコピーは、基準信号として使用できるが、レーザーによって出力される連続波搬送波周波数光信号(Continuous Wave Carrier Frequency Optical Signal)を基準信号として使用し、検出器によって出力される電気信号の振幅と位相の両方をキャプチャすることも可能であり、多くの場合好ましい。
【0057】
動いていないオブジェクトから反射する(したがって、リターンがドップラーシフトされない)理想的な(ノイズがない)リターン信号について、ピークは、送信信号の開始後に時間Δtで発生する。これは、リターン信号が時間Δtで開始する送信位相コードバージョンを含むことを示す。反射する(または後方散乱する)オブジェクトについての距離Rは、数3によって与えられるように、媒質内の光の速度Cに基づく双方向旅行時間遅延(Two Way Travel Time Delay)から計算される。
【数3】

【0058】
動いているオブジェクトから散乱した(したがって、リターンがドップラーシフトされた)理想的な(ノイズがない)リターン信号について、リターン信号は、適切な周波数ビン(Frequency Bin)内の位相エンコーディングを含まず、相関関係は、すべてのタイムラグ(Time Lag)について低く保持され、ピークは、容易に検出されず、ノイズがある場合には、多くの場合に検出可能ではない。したがって、Δtは、容易に決定されず、距離Rは、容易に生成されない。
【0059】
本発明者の以前研究の様々な実施例によると、ドップラーシフトは、リターン信号の電気的処理で決定され、ドップラーシフトは、交差相関計算を補正するために使用される。したがって、ピークは、より容易に発見され、距離は、より容易に決定され得る。図1bは、一実施例によって送信信号の例示的スペクトルとドップラーシフトされた複素数リターン信号の例示的スペクトルを示す概略的なグラフ140である。水平軸142は、光搬送波fからオフセットされたRF周波数を任意単位で示す。垂直軸144aは、スペクトル密度(Spectral Density)とも呼ばれる特定の狭い周波数ビンの振幅を0に相対的な任意単位で示す。垂直軸144bは、スペクトル密度を0に相対的な任意単位で示 し、トレースを分離するために垂直軸144aからオフセットされる。トレース145は、送信信号を示し、ピークは、適切なRFfで発生する。トレース146は、LIDARシステムに向けて動いているオブジェクトから後方散乱し、より高い周波数でドップラーシフト(ブルーシフト(Blue Shift)と呼ばれる)された理想的な(ノイズがない)複素数リターン信号を示す。リターンは、適切なRFfでピークを有しない。しかし、代わりにΔfほどシフトされた周波数fにブルーシフトされる。実際に、リターンの同相および直交位相 (In-Phase and Quadrature、I/Q)成分をすべて示す複素数リターンが、+Δfでピークを決定するのに使用されるため、ドップラーシフトの方向と、センサとオブジェクトとの間のベクトル上のターゲットの移動方向が単一リターンで明らかに示される。
【0060】
一部のドップラー補償(Doppler Compensation)実施例において、図1bに示すように、送信信号とリターン信号の両方のスペクトルを得、それぞれでピークを見つけた次に対応するピークの周波数を減算することによってΔfを捜す代わりに、RF帯域でダウンミキシングされたリターン信号の同相および直交位相成分の交差スペクトル(Cross Spectrum)を取ることがより効果的である。図1cは、一実施例によって例示的な交差スペクトルを示す概略的なグラフ150である。水平軸152は、基準スペクトルについての周波数シフトを任意単位で示し、垂直軸154は、交差スペクトルの振幅を0に相対的な任意単位で示す。トレース155は、LIDARシステムに向けて動いている第1オブジェクト(ΔfD1のブルーシフト=図1bにおけるΔf)とLIDARシステムから離れている第2オブジェクト(ΔfD2のレッドシフト(Red Shift))によって生成された理想的な(ノイズがない)リターン信号との交差スペクトルを示す。1つのピークは、成分のうちの1つがブルーシフトΔfD1されるときに発生し、他のピークは、成分のうちの1つがレッドシフトΔfD2されるときに発生する。したがって、ドップラーシフトが決定される。このシフトは、衝突防止アプリケーションのために重要であり得る、LIDAR付近のオブジェクトの符号を有する接近速度(Signed Velocity of Approach)を決定するのに用いられ得る。しかし、I/Q処理が完了していない場合、ピークは、+/-ΔfD1および+/-ΔfD2の両方に示され、したがって、ドップラーシフトの符号およびこれによる移動方向で曖昧さが存在する。
【0061】
本発明者の以前研究でより詳細に説明したように、交差スペクトル内で検出されるドップラーシフトは、ピーク135がラグ(Lag)Δtでドップラー補償されたドップラーシフトされたリターンで明らかになり、距離Rが決定されるように、交差相関を補正するのに使用される。一部の実施例において、全体の内容が本明細書に完全に説明されたように、本明細書によって参照として含まれ、発明の名称が「Method and system for Doppler detection and Doppler correction of optical phase-encoded range detection」である世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization)公報WO2018/144853により詳細に説明したように、同時I/Q処理が行われる。他の実施例において、全体の内容が本明細書に完全に説明されたように、本明細書によって参照として含まれ、発明の名称が「Method and System for Time Separated Quadrature Detection of Doppler Effects in Optical Range Measurements」であるS.Crouchなどによる特許出願公報により詳細に説明されたように、ドップラーリターンの符号(Sign)を決定するために直列I/Q処理が用いられる。他の実施例において、ドップラー補正を決定するために他の手段が使用され、様々な実施例において、ドップラー補正を行うために当該技術分野に知られている任意の方法が使用される。一部の実施例において、ドップラーシフトに起因する誤差は、容認されるか、または無視され、どのようなドップラー補正も距離測定に適用されない。
2.チャープ検出概要(Chirped Detection Overview )
【0062】
図1dは、一実施例によって例示的な光チャープ距離測定(Optical Chirp Measurement of Range)を示すグラフセットである。水平軸102は、4つのグラフすべてについて同じであり、時間を約ミリ秒(ms、1ms=10-3秒)の任意単位で示す。グラフ100は、送信光信号として使用される光のビームのパワーを示す。グラフ100の垂直軸104は、送信信号のパワーを任意単位で示す。トレース106は、時間0で開始して制限されたパルス持続時間τの間、パワーがOnであることを示す。グラフ110は、送信信号の周波数を示す。垂直軸114は、送信周波数を任意単位で示す。トレース116は、パルスの持続時間τにわたってパルスの周波数がfからfに増加し、これによって帯域幅B=f-fを有することを示す。周波数変化率は、(f-f)/τである。
【0063】
リターンされた信号は、グラフ110のように時間を表す水平軸102と周波数を表す垂直軸114を有するグラフ160に示される。また、グラフ110のチャープ116がグラフ160上に点線で示される。強度(図示せず)が減少され、Δtだけ遅延した送信基準信号である第1リターン信号は、トレース166aで与えられる。リターンされた信号が2Rの距離を移動した後に、外部オブジェクトから受信されるとき、リターンされた信号は、前述の数3によって2R/cで与えられる遅延した時間Δtで開始する(ここで、Rは、ターゲットまでの距離であり、cは、媒質における光の速度(約3×10m/s))。この時間の間、周波数fは、距離に基づく量だけ変更され、周波数変化率に遅延時間を乗じて与えられる。これは、数4aによって与えられる。
【数4】



の値は、デチャーピング(De-chirping)と呼ばれる時間ドメインミキシング動作で送信信号116とリターン信号166aとの間の周波数差によって測定される。したがって、距離Rは、数4bによって与えられる。
もちろん、パルスが完全に送信された後にリターン信号が到着すると、すなわち、2R/cがτよりも大きければ、数4aおよび4bは、有効ではない。この場合に、基準信号は、リターンされた信号が基準信号と重畳することを保証するように知れた量または定められた量だけ遅延する。基準信号の定められた遅延時間または知れた遅延時間は、数4bから計算された距離に追加される追加距離を提供するために光の速度Cと乗じられる。媒質で光の速度の不確実性によって絶対距離は不正確であり得るが、これは、ほとんど一定の誤差(Near-Constant Error)であり、周波数差を基盤とした相対的距離は、相変らず非常に正確である。
【0064】
一部の状況において、送信された光ビームによって照明される地点(ペンシルビームの断面(Pencil Beam Cross Section))は、半透明オブジェクトの前方および後方、またはLIDARから様々な距離にあるオブジェクトのより近い部分とより遠い部分、または照明された地点内で2つの分離したオブジェクトのように異なる距離にある2つ以上の異なる散乱体に出会う。このような環境において、グラフ160にトレース166bで表示されたように、第2減少した強度および異なるように遅延した信号も受信される。これは、数4bを使用して異なる距離を提供するfの異なる測定値を有する。一部の状況では、複数の追加のリターンされた信号が受信される。
【0065】
グラフ170は、第1リターンされた信号166aと基準チャープ116との間の差の周波数fを示す。水平軸102は、図1dで整列した他のすべてのグラフのように時間を示し、垂直軸164は、より拡大したスケール上で周波数差を示す。トレース176は、送信されたチャープに応答して測定された一定の周波数fを示し、数4bによって与えられる特定の距離を示す。第2リターンされた信号166bは、存在する場合、デチャーピング中に異なるより大きい値のf(図示せず)を発生させ、結果的に、数4bを使用してより大きい距離を算出するであろう。
【0066】
デチャーピングのための一般的な方法は、基準光信号とリターン光信号を同じ光検出器に指向させるものである。検出器の電気的出力は、検出器に収束する2つの信号の周波数差と同じか、またはこれに依存するビート周波数(Beat Frequency)によって左右される。このような電気的出力信号のフーリエ変換は、ビート周波数でピークを算出するであろう。このようなビート周波数は、テラヘルツ(THz、1THz=1012ヘルツ)の光周波数の範囲ではないメガヘルツ(MHz、1MHz=10Hz=毎秒10サイクル)の無線周波数(RF)範囲内にある。このような信号は、マイクロプロセッサまたは特殊製作されたFFT(Fast Fourier Transform)またはその他のデジタル信号処理(Digital Signal Processing、DSP)集積回路で行われるFFTアルゴリズムのような一般的かつ安価なRFコンポーネントによって容易に処理される。他の実施例において、リターン信号は、(局部発振器(Local Oscillator)の役目をするチャープと比べて)局部発振器の役目をする連続波(Continuous Wave、CW)トーン(Tone)と混合(Mix)される。これは、その自体がチャープ(またはすべての送信波形)である検出信号につながる。この場合、検出された信号は、Kachelmyer1990に説明されているように、デジタルドメインで整合フィルタリング(Matched Filtering)を経るであろう。短所は、デジタイザー(Digitizer)帯域幅の要求事項が一般的により高いものである。そうでない場合、コヒーレント検出の肯定的な面は保持される。
【0067】
一部の実施例において、LIDARシステムは、同時アップおよびダウンチャープ(Simultaneous Up and Down Chirps)を生成するように変更される。この接近方式は、他のものの中でも、オブジェクトの速度差、実際に距離を変更するオブジェクトに対するLIDAR位置変更またはビーム内の一時的な散乱体(Scatterers)、またはこれらの組み合わせによって誘発される変動性を除去する。それでは、この接近方式は、アップおよびダウンチャープで測定されたドップラーシフトおよび距離が事実上同じであり、最も有用に結合され得ることを保証する。ドップラー方式は、高い確率の正確な補償のために周波数空間で非対称にシフトされたリターンペアの並列キャプチャ(Parallel Capture)を保証する。
【0068】
図1eは、一実施例によって対称LO信号を使用するグラフであり、ドップラーシフトがないとき、リターン信号を周波数時間プロット(Frequency Time Plot)で破線として示す。水平軸は、時間を10-5秒(数十マイクロ秒)の例示的な単位で示す。垂直軸は、搬送波周波数fまたは基準信号に対する光送信信号の周波数をギガヘルツ(GHz、1GHz=10ヘルツ)の例示的な単位で示す。パルス持続時間の間、いつでも2つの光周波数を含む光ビームが生成される。1つの周波数が、例えば、fからfに増加し(例えば、光搬送波の1ないし2GHzの上)、同時に他の周波数がfからfに減少する(例えば、光搬送波の1ないし2GHzの下)。2つの周波数帯域(例えば、fないしfの帯域1と、fないしfの帯域2)は、オーバーラップされないため、送信信号およびリターン信号が通過周波数fから開始する通過帯域を有する高域通過フィルタや低域通過フィルタまたはこれらの組み合わせによって光学的に分離できる。例えば、f<f<f<f<fであり得る。開示される実施例において、より高い周波数がアップチャープを提供し、より低い周波数がダウンチャープを提供するが、他の実施例においては、より高い周波数がダウンチャープを生成し、より低い周波数がアップチャープを生成する。
【0069】
一部の実施例において、2つの異なるレーザーソースが毎時間ごとにそれぞれのビームで2つの異なる光周波数を生成するのに使用される。しかし、一部の実施例において、単一の光搬送波は、単一のRFチャープによって変調され、同時アップおよびダウンチャープの役目をする対称的な側波帯(Symmetrical Sideband)を生成する。この実施例のうち、一部において、一般的に搬送波周波数に多くのエネルギーを残さない2重側波帯マッハツェンダ強度変調器(Double Sideband Mach-Zehnder Intensity Modulator)が使用され、代わりに、ほとんどすべてのエネルギーが側波帯に入る。
【0070】
側波帯対称(Sideband Symmetry)の結果として、同じ次数の側波帯が使用されると、2つの光チャープの帯域幅は、同じである。他の実施例において、他の側波帯が使用され、例えば、2つの2次側波帯が使用されるか、1次側波帯および重畳しない2次側波帯が使用されるか、または一部の他の組み合わせが使用される。
【0071】
全体の内容が本明細書に完全に説明されたように、本明細書によって参照として含まれ、発明の名称が「Method and System for Doppler Detection and Doppler Correction of Optical Chirped Range Detection」である公報WO2018/160240に説明したように、送信TXおよび局部発振器LOチャープ波形を選択するとき、システムの周波数シフトされた帯域(Frequency Shifted Band)が利用可能なデジタイザー(Digitizer)帯域幅を最大限に活用することが有利である。一般的に、これは、0に近い範囲周波数ビート(Range Frequency Beat)を有するように、アップチャープまたはダウンチャープをシフトして達成される。
【0072】
図1fは、対称LO信号を使用する図1eと同様のグラフであり、非ゼロのドップラーシフトがあるとき、周波数時間プロットでリターン信号を破線として示す。例えば、距離効果(Range Effect)を発生させるブルーシフトがfであれば、アップチャープのビート周波数は、オフセットだけ増加されてf+Δfで発生し、ダウンチャープのビート周波数は、f-Δfにオフセットだけ減少される。したがって、アップチャープは、ダウンチャープよりも高い周波数帯域にあり、これによってこれらを分離する。Δfが予想したドップラー効果よりも大きければ、アップチャープおよびダウンチャープに関連する距離での曖昧さはない。次に、測定されたビートは、適切なアップチャープおよびダウンチャープ範囲を得るために知れたΔfの正しい符号が付与された値に補正され得る。チャープされた波形の場合、時間分離されたI/Q処理(時間ドメインマルチプレクシング(Time Domain Multiplexing)とも知られる)が前述の他の接近方式のハードウェアの要求事項を克服するために使用できる。その場合に、AOMが実数値(Real Valued)の信号についての距離ドップラーの曖昧さを打開するために使用できる。一部の実施例において、スコアリングシステム(Scoring System)が前記の引用された公報でより詳細に説明されたように、アップおよびダウンチャープリターンをペアリングするのに使用される。他の実施例において、前記でより詳細に説明されたように、I/Q処理がドップラーチャープの符号を決定するのに使用できる。
3.光検出ハードウェア概要
【0073】
高解像度距離ドップラー検出システムを使用する方法を説明するために、一部の包括的なハードウェア接近方式が説明される。図2aは、一実施例によって高解像度距離LIDARシステムの例示的なコンポーネントを示すブロック図である。光信号は、矢印で表示される。電子的な(Electronic)有線または無線連結は、矢先がない線分で表示される。レーザーソース212は、持続時間Dを有する位相コード化されたり、チャープされた光信号203を生成するために、スプリッタ216の以前または以後に、変調器282aから位相または周波数変調された搬送波201を放出する。スプリッタ216は、基準経路220に使用するための変調された(または、図示されたように、変調されない)光信号を分離する。ビーム201のエネルギーの大部分を有する本明細書で送信信号(Transmitted Signal)とも呼ばれるターゲットビーム205が生成される。また、少ない量ではあるが、オブジェクト(図示せず)から散乱したリターンされた光291と良好な混合を生成するに十分な量のエネルギーを有する変調されるか、または変調されていない基準ビーム207aが生成される。例示された実施例において、基準ビーム207aは、変調器282bで個別に変調される。基準ビーム207aは、基準経路220を通過し、基準ビーム207bとして1つ以上の検出器に指向される。一部の実施例において、基準経路220は、基準ビーム207bが関心距離の範囲内でLIDAR外部のオブジェクトから散乱した光とともに検出器アレイ230に到逹するのに十分な知れた遅延を導入する。一部の実施例において、基準ビーム207bは、別個の発振器から局部的に基準ビーム207bを生成する以前の接近方式を参照して局部発振器(Local Oscillator、LO)信号と命名される。様々な実施例において、柔軟性が低い接近方式からより柔軟な接近方式まで網羅し、基準は、1)経路の長さがよくマッチングされるように検出器アレイで送信ビームの一部をまた反射させるために場面(Scene)内にミラーを配置すること、2)経路の長さを近くマッチングさせ、特定の距離について観察されたり、予測された位相または周波数差を補償するための経路長さ調節を用いたり、利用せず、図2aで提案されたように、検出器アレイ付近の光学機器を用いて基準ビームをブロードキャスト(Broadcast)するためにファイバー遅延を用いること、3)経路長さの不一致(Mismatch)を補償するための別個の変調を生成するために周波数シフティングデバイス(音響光学変調器(Acousto-Optic Modulator、AOM))または局部発振器の波形変調の時間遅延を用いること、または一部の組み合わせを通じて散乱するか、または反射したフィールドに到着することになる。一部の実施例において、リターンが遅延なしに、基準信号と十分に重畳するように、オブジェクトは十分に近く、送信持続時間は十分に長い。
【0074】
送信信号は、多くの場合、一部のスキャニング光学機器(Scanning Optics)218を介して関心領域を照明するために送信される。検出器アレイは、ペアをなすか、またはペアをなさない単一の検出器またはオブジェクトからのリターンされたビーム291におおよそ垂直な平面に配列されたペアをなすか、またはペアをなさない検出器の1次元(1D)または2次元(2D)アレイである。基準ビーム207bおよびリターンされたビーム291は、適切に検出される光特性信号を生成するために0またはその以上の光ミキサー284で結合される。干渉パターンの周波数、位相または振幅または一部の組み合わせは、獲得システム240によってそれぞれの検出器に対して信号持続時間Dの間、複数回記録される。信号持続時間当たり処理される時間的(Temporal)サンプルの数または累積時間(Integration Time)は、ダウン-レンジ規模(Down-Range Extent)に影響を与える。数または累積時間は、多くの場合、信号当たりシンボルの数、信号反復率(Signal Repetition Rate)および可用カメラフレームレート(Available Camera Frame Rate)に基づいて選択される実質的な考慮事項である。フレームレートは、サンプリング帯域幅であり、「デジタイザー(Digitizer)周波数」と呼ばれる。距離規模(Range Extent)の唯一の根本的な限界は、レーザーのコヒーレンス(Coherence)長さおよび(明確な距離測定のために)これが繰り返す前のチャープまたは固有位相コードの長さである。これは、リターンされたヘテロダイン(Heterodyne)信号またはビット(Bits)のデジタルレコードが以前の送信履歴から送信ビットの任意の部分と比較されたり、交差相関できるため、 可能になる。
【0075】
獲得されたデータは、図7を参照して後述されるコンピュータシステムまたは図8を参照して後述されるチップセットのような処理システム250に利用可能になる。スキャナ制御モジュール270は、以下で説明される1つ以上の実施例によって、スキャニング光学器機218を駆動するためのスキャニング信号を提供する。1つの実施例において、スキャナ制御モジュール270は、図6のフローチャートを参照して以下で説明される方法600の1つ以上のステップを行うための命令語を含む。処理システム250で符号付きのドップラー補償モジュール(Signed Doppler Compensation Module)(図示せず)は、ドップラーシフトの符号と大きさを決定し、任意の他の補正とともにそれに基づく補正された距離を決定する。また、処理システム250は、変調器282a、282bを駆動する1つ以上の電気信号を送信するための変調信号モジュール(図示せず)を含む。一部の実施例において、処理システムは、システム200が設置される車両を制御するための車両制御モジュール272をさらに含む。
【0076】
任意の既知の装置またはシステムがレーザーソース212、変調器282a、282b、ビームスプリッタ216、基準経路220、光ミキサー284、検出器アレイ230、スキャニング光学機器218または獲得システム240を具現するために使用できる。瞳孔面(Pupil Plane)を通過する焦点またはターゲット上の焦点または投光照明(Flood)についての光カップリング(Optical Coupling)は、示されていない。本明細書に使用されたように、光カプラ(Optical Coupler)は、他のものの中でも、真空、空気、ガラス、クリスタル、ミラー、レンズ、光サーキュレータ(Optical Circulator)、ビームスプリッタ、位相板(Phase Plate)、偏光子(Polarizer)、光ファイバー(Optical Fiber)、光ミキサーのような他のコンポーネントを単独または一部の組み合わせのように、1つのコンポーネントから他のコンポーネントに光を指向させるために空間座標内で光の伝搬(Propagation)に影響を与える任意のコンポーネントである。
【0077】
また、図2aは、一実施例による同時アップおよびダウンチャープLIDARシステムのためのコンポーネントの例を示す。この実施例において、変調器282aは、送信されたビーム205の光経路に追加された周波数シフタ(Shifter)である。他の実施例において、これとは異なり、周波数シフタは、リターンされたビーム291の光経路または基準経路220に追加される。一般的に、変調器(例えば、AOM、Acousto-Optic Modulator)として使用される装置が関連する損失を有し、損失コンポーネントを受信側に配置するか、または光増幅器の後ろに配置することは、不利であるため、周波数シフティング(Frequency Shifting)要素は、局部発振器(Local Oscillator(LO)、基準経路ともいう)側または送信側(光増幅器の前)に変調器282bとして追加される。光シフタの目的は、光検出器230によって出力される電気信号の分析において、例えば、処理システム250でFFTコンポーネントによってピックアップされ得る異なる周波数帯域でアップおよびダウンチャープのビート周波数が発生するように、基準信号の周波数について送信信号(またはリターン信号)の周波数を知れた量(Δf)だけシフトするものである。一部の実施例において、平衡検出器(Balanced Detector)から由来するRF信号は、FFTを介して分離される帯域とともに直接デジタル化される。一部の実施例において、平衡検出器から由来するRF信号は、直接デジタル化できる低帯域(アップチャープまたはダウンチャープのうち、1つに対応)と基底帯域に電子的にダウンミックス(Down-Mixed)された後に、デジタル化できる高帯域(反対するチャープに対応)に分離するためにアナログRF電子装置を用いて前処理される。両方の実施例は、検出された信号の帯域を使用可能なデジタイザーリソース(Digitizer Resource)に一致させる経路を提供する。一部の実施例において、(例えば、直接距離測定の実施例において)変調器282aは、除外される。
【0078】
図2bは、一部の従来技術の実施例で使用される高解像度ドップラーシステムのための簡単な鋸歯型(Saw Tooth)スキャンパターンを示すブロック図である。スキャンは、(水平に)方位角(Azimuth Angle)範囲をスイープし、(0傾斜の水平方向(Level Direction)の上下の垂直に)傾斜角(Inclination Angle)の範囲をスイープ(Sweep)する。以下で説明される様々な実施例において、他のスキャンパターンが使用される。当該技術分野に知られている任意のスキャンパターンが様々な実施例で使用できる。例えば、一部の実施例において、全体の内容それぞれが本明細書によってまるで本明細書に説明されたように、参照によって含まれる世界知的所有権機関公報WO2018/125438で説明された方法を用いて適応型(Adapted)スキャニングが行われる。
【0079】
図2cは、一実施例によって高解像度ドップラーLIDARシステムによって生成された例示的な速度ポイントクラウドを示すイメージである。イメージ内のそれぞれのピクセルは、ピクセルに関連する傾斜角および方位角で距離または強度または相対的速度または一部の組み合わせを示すポイントクラウド(Point Cloud)におけるポイントを示す。
【0080】
図2dは、一実施例によって高解像度(Hi-res)LIDARシステム200’の例示的なコンポーネントを示すブロック図である。一実施例において、システム200’は、ここで論議される特徴を除いてシステム200と類似している。一実施例において、システム200’は、モノスタティックトランシーバ(Monostatic Transceiver)を用いて構成されるコヒーレントLIDARシステムである。システム200’は、送信経路222上の単一モード光導波管に沿ってサーキュレーター226を介してコリメート光学機器229の焦点平面内に位置した単一モード光導波管の先端(Tip)217の外へ搬送波201を送信するソース212を含む。一実施例において、先端217は、コリメート光学機器229の焦点平面の臨界距離(例えば、約100μm)内またはコリメート光学機器229の焦点長さの約0.1%ないし約0.5%内に位置する。他の実施例において、コリメート(Collimating)光学機器229は、2重(Doublet)、非球面または多重要素デザインのうち、1つ以上を含む。一実施例において、光導波管の先端217を抜け出る搬送波210は、スキャニング光学器機218によって角度範囲227にわたってスキャンされるコリメートされたターゲットビーム205’に光学器機229によって作られる。一部の実施例において、搬送波201は、コリメーション光学器機229の上流にある変調器282aで位相または周波数変調される。他の実施例において、変調器282は、除外される。一実施例において、リターンビーム291が単一モード光導波管の先端217で受信されるように、オブジェクトからリターンされたビーム291は、スキャニング光学機器218によって指向され、コリメーション光学機器229によって先端217にフォーカシングされる。次に、一実施例において、リターンビーム291は、サーキュレーター226によって受信経路224に沿って単一モード光導波管内に、そして、リターンビーム291が局部発振器経路220に沿って単一モード光導波管を介して指向される基準ビーム207bと結合される光ミキサー284に再指向(Redirect)される。1つの実施例において、システム200’は、基準信号207bとリターンされたビーム291の最大空間モード重畳(Maximum Spatial Mode Overlap)がリターンされた信号291と局部発振器207bとの間のヘテロダインミキシング(光干渉)効率を最大化するという原理のもとで動作する。このモノスタティック配列は、バイスタティック(Bistatic)LIDARシステムに連関する易しくない整列手続きを回避するのに役立つため、有利である。
【0081】
図2eは、一実施例によってバイスタティックLIDARシステム200’’の例示的なコンポネントの例示的な側断面図を示すブロック図である。図2fは、一実施例によって図2eのバイスタティックLIDARシステム200’’の例示的なコンポネントの上面図を示すブロック図である。一実施例において、バイスタティックLIDARシステム200’’は、図2dのシステム200’と類似しており、ここで論議される特徴を含む。
【0082】
一実施例において、システム200’’は、送信導波管223と1つ以上の受信導波管225a、225bを含むバイスタティックトランシーバ215を含む。第1受信導波管225aは、送信導波管223から分離間隔221aだけ離隔する。送信導波管からの受信導波管のこのような分離は、光が1つの位置から放出(ピッチ(Pitch))され、他の位置で受信(キャッチ(Catch))されるため、ピッチ-キャッチ(Pitch Catch)配列という。第2受信導波管225bは、送信導波管223から間隔221aよりも大きい分離間隔221bだけ離隔する。 図2fが2つの受信導波管225a、225bを示すが、システムは、2つの受信導波管に限定されず、1つの受信導波管または2つより多い受信導波管を含み得る。例示的な一実施例において、バイスタティックトランシーバ215は、バイスタティックトランシーバ絞り(Aperture)の役割をするように、密接に離隔した導波管の製造を許容する平面光回路(Planar Light Circuit)のようなオン-チップ(On-Chip)導波管技術によって支援される。例示的な一実施例において、バイスタティックトランシーバ215は、カリフォルニア州サンノゼのNeoPhotonics(登録商標) Corporationによって開発された平面光波回路技術を特徴とする。他の例示的な実施例において、バイスタティックトランシーバ215は、平面光波回路技術の標準製造工程についての最小の修正でカスタムメイド製作される。また他の例示的な実施例において、バイスタティックトランシーバ215は、オハイオ州コロンバスのPLC Connections(登録商標)によって製造される。
【0083】
一実施例において、システム200’’でソース212は、搬送波、すなわち、ビーム201を送信経路222を介して送信導波管223に沿って送信導波管223の先端217に送信する。1つの実施例において、システム200’’は、サーキュレーター226を除外し、有益には、これはシステム200’’のコストと複雑さを減少させる。送信導波管223の先端217を抜け出る搬送波201は、システム200’のように、コリメーション光学器機229によってコリメートターゲットビーム205’に作られる。
【0084】
一実施例において、スキャニング光学器機218は、複数のミラーまたはファセット(Facet)245a、245bを有し、回転軸243を中心に角速度249で回転するように構成されたポリゴンスキャナ(Polygon Scanner)244である。1つの例示的な実施例において、ポリゴンスキャナ244は、一定の速度で回転軸243を中心に回転するように構成される。例示的な一実施例において、ポリゴンスキャナ244は、次の特性、すなわち、Copal回転ミラー(Copal Turned Mirror)を有するBlackmore(登録商標) Sensorsによって製造されたもの、約2インチまたは範囲が約1インチないし約3インチである内接直径(Inscribed Diameter)を有するもの、それぞれのミラーが約0.5インチの高さを有するか、またはその範囲が約0.25インチないし約0.75インチであるもの、全体の高さが約2.5インチまたは約2インチないし約3インチの範囲であるもの、エンコーダポールペアスイッチング(Encoder Pole-Pair Switching)を用いて3相ブラシレス直流(Brushless Direct Current、BLDC)モータによって電力が供給されるもの、約1,000rpm(毎分回転数)ないし約5,000rpm範囲の回転速度を有するもの、約5:1の減少比と、コリメータ231についての距離が約1.5インチであるか、または1インチないし約2インチの範囲であるもののうち、1つ以上を有する。他の実施例において、システム200’’のスキャニング光学器機218は、ポリゴンスキャナ244ではない任意の光学器機である。
【0085】
一実施例において、コリメートターゲットビーム205’は、ポリゴンスキャナ244が角速度249で回転することによってポリゴンファセット245のうちの1つからスキャンされたビーム205’’に反射し、角度範囲227にわたってスキャンされる。1つの実施例において、送信導波管223と受信導波管225を含むバイスタティックトランシーバ215は、第1平面(例えば、図2fの平面)に配列され、ポリゴンスキャナ244は、同じ第1平面(または、第1平面と平行な平面)上の角度範囲227にわたってビーム205’’の方向を調整する。他の実施例において、第1平面は、回転軸243に直交する。この説明の目的で、「平行な(Parallel)」は、±10度以内を意味し、「直交する(Orthogonal)」は、90±10度以内を意味する。
【0086】
一実施例において、ビーム205’’は、所定の距離に位置したターゲットによって後方散乱し、リターンビーム291’は、破線の輪郭で示されているように、ファセットがコリメーション光学機器229に向かって少し動いた後に、ファセットのうちの1つによって反射される。コリメーション光学機器229は、リターンビーム291’を何よりも以下で集合的に受信導波管225と呼ばれる受信導波管225a、225bの先端217のオフセット位置内にフォーカシングする。回転するポリゴンによって生成されたオフセットは、システム200’’の信号対雑音比(SNR)を改善するために送信導波管と受信導波管との間に分離間隔を設けるために様々な実施例で活用される。
【0087】
図2fに示すように、ポリゴンスキャナ244は、ターゲットについての往復移動時間の間、例えば、ビーム205’’がファセット245aからターゲットに反射する時間と、リターンビーム291’がファセット245aから光学器機229に反射する時間の間に、第1指向(Orientation)(例えば、実線)から第2指向(例えば、点線)に回転する。1つの実施例において、この時間の間のファセット245aの回転は、入射ビーム205’に相対的な角度228でファセット245aによって偏向するリターンビーム291’を説明する。一実施例において、(例えば、往復移動時間に基づく)ターゲット距離および/またはポリゴンスキャナ244の回転速度および/またはバイスタティックトランシーバ215におけるリターンビーム291’のイメージ418(図4e)の直径は、角度228を決定し、これによって、分離間隔221aは、リターンビーム291’が受信導波管225aの先端にフォーカシングされるように、送信導波管223に関する受信導波管225aを配置するために選択される。一実施例において、数5は、分離間隔221、ポリゴンスキャナ244の回転速度およびターゲット距離との間の関係を示す。
【数5】



ここで、yは、分離間隔221であり、Focal Lengthは、コリメーション光学器機229の焦点長さ(メートル単位)であり、Rotation Rateは、ポリゴンスキャナ244の回転速度(毎秒ラジアン単位)であり、cは、光の速度(毎秒メートル単位)であり、Rangeは、ターゲット距離(メートル単位)である。
【0088】
一実施例において、システム200’’の1つ以上のパラメータの値は、リターンビーム291’の信号対雑音比(SNR)を最適化するためにシステム200’’の設計段階中に選択される。1つの実施例において、このようなパラメータの値は、SNRを最適化するための角度範囲227にわたるターゲット設計距離に基づいて選択されたポリゴンスキャナ244の回転速度の値を含む。図4gは、一実施例によって図2eのシステム200’’における様々なスキャンレートについてのSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸404は、デシベル(dB)単位のSNRである。第1トレース440dは、ビームがスキャンされないターゲット距離に基づいて受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291’のSNRを示す。第2トレース440bは、遅いスキャンレート(例えば、約毎秒2、500度)でビームがスキャンされるターゲット距離に基づいて受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291’のSNRを示す。第3トレース440cは、最適のスキャンレート(例えば、約5、500度/秒)でビームがスキャンされるターゲット距離に基づいて受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291’のSNRを示す。また、SNRしきい値442(例えば、約10dB)が示される。したがって、システム200’’を設計するとき、ユーザーは、まず角度範囲にわたったターゲット設計距離(例えば、0mないし150m)を決定した後、図4gを用いてどのトレース440b、440c、440dがそのターゲット設計距離にわたってSNRしきい値442の上にSNRを維持するかどうかをすぐに判断する。この例示的な実施例において、トレース440cがターゲット設計距離(例えば、0mないし150m)にわたってSNRしきい値442の上にSNRを維持し、したがって、ユーザーは、システム200’’を設計するにおいて、トレース440cに連関する最適のスキャン速度(例えば、約5、500度/秒)を選択する。したがって、ポリゴンスキャナ244は、この最適のスキャン速度に基づいて固定された回転速度を有するように設定される。したがって、有益には、トレース440は、特に、ポリゴンスキャナ244の固定されたスキャン速度を選択するとき、ユーザーがシステム200’’を設計する効率的な方法を提供する。一実施例において、それぞれのトレース440は、システム200’’を用いてそれぞれのトレース440に連関するポリゴンスキャナのそれぞれのスキャン速度でリターンビーム291’のSNRを測定して生成される。トレース440は、図4gに示したものに限定されず、類似の手段を用いて生成される任意のSNRトレースを含む。
【0089】
他の実施例において、システム200’の設計段階中に選択される設計パラメータの値は、SNRを最適化するためにポリゴンスキャナ244のスキャン速度と角度範囲227にわたったターゲット設計距離に基づいて選択された分離間隔221の値を含む。図4kは、一実施例によって遅い固定されたスキャン速度(例えば、4,000度/秒)で図2eのシステム200’’における様々な分離間隔221の値についてのSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸404は、デシベル(dB)単位のSNRである。第1トレース464aは、4wの分離間隔221についてのターゲット距離に基づいて受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291’のSNRを示し、wは、送信導波管223の直径である。第2トレース464bは、0の分離間隔221(例えば、0w)についてのターゲット距離に基づいて受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291’のSNRを示す。第1トレース464aと第2トレース464bとの間のそれぞれのトレース464は、分離間隔221の値における0.25w減少を示す。1つの実施例において、トレース464cがターゲット設計距離にわたってSNRしきい値442よりも大きいSNR値を有するため、トレース464cが第1設計距離(例えば、0mないし250m)について選択される。トレース464cに連関する分離間隔221は、0.25wであり、したがって分離間隔221は、ターゲット設計距離(例えば、0mないし250m)と遅い固定されたスキャン速度(例えば、4,000度/秒)でシステム200’’を設計するときに、0.25wに設定される。図4lは、遅い固定されたスキャン速度(例えば、4,000度/秒)を有するシステム200’’についての複数のSNRトレース466を示すグラフである。水平軸402に沿う特定の設計ターゲット距離(例えば、250m)について、SNRトレース466は、トレース466に関連するSNRレベルを維持できる(垂直軸409に沿う)分離間隔221の値を伝達する。例示的な一実施例において、250mの設計ターゲット距離について、トレース466aは、18dBのSNRが多数の値(例えば、約0.25wおよび約2.75w)の分離間隔221で維持でき、したがって、システム200’’を設計するときにユーザーに異なる選択事項を提供することを示す。図4kに加えて、トレース466は、知れた設計ターゲット距離および固定されたスキャン速度に基づいてシステム200’’を設計するときに、ユーザーに迅速なルックアップ(Look Up)手段を提供する。一実施例において、図4kのトレース464のように、トレース466は、システム200’’を用いて多数のターゲット距離値にわたった多数の分離間隔221の値でリターンビーム291’のSNRを測定することによって生成される。さらに、トレース466は、図4lに示したものに限定されず、他の設備パラメータを用いてシミュレーションされたり、測定され得る。
【0090】
図4mは、図4kと類似しているが、速い固定されたスキャン速度(例えば、12,000度/秒)についてのグラフを示す。第1トレース465aは、第1トレース464aと類似しており、4wの分離間隔221についてのものである。第2トレース465bは、第1トレース464bと類似しており、0の分離間隔221(例えば、0w)についてのものである。同じターゲット設計距離(例えば、0mないし250m)を用いると、トレース465cがターゲット設計距離にわたってSNRしきい値442よりも大きいSNR値を有するため、トレース465cが選択される。トレース465cに連関する分離間隔221は、2.75wであり、したがって、ポリゴンスキャナ244が高い固定されたスキャン速度(例えば、12,000度/秒)で作動すれば、システム200’’における分離間隔221は、2.75wに設定される。したがって、システム200’’を設計するとき、ユーザーは、まず角度範囲にわたってターゲット設計距離(例えば、0mないし250m)を決定した後に、トレース465のうち、どれがポリゴンスキャナ244の固定されたスキャン速度およびターゲット設計距離にわたってSNRしきい値442よりも大きいSNRを維持するのかを迅速に判断するために図4mを使用できる。トレースは、送信導波管223と受信導波管225との間の要求される分離間隔221を提供するように、ハードウェアを設計するのに使用できる。
【0091】
図4nは、速い固定されたスキャン速度(例えば、12,000度/秒)を有するシステム200’’についての複数のSNRトレース467を示すグラフである。水平軸402に沿う特定の設計ターゲット距離(例えば、100m)について、SNRトレース467は、トレース467に関連するSNRレベルを維持できる(垂直軸409に沿う)分離間隔221の値を伝達する。例示的な一実施例において、100mの設計ターゲット距離について、トレース467aは、28dBのSNRが多数の値(例えば、約0.75wおよび2.25w)の分離間隔221で維持できることを示す。図4mに加えて、トレース467は、知れた設計ターゲット距離および固定されたスキャン速度に基づいてシステム200’’を設計するとき、ユーザーに速いルックアップ手段を提供する。一実施例において、図4mのトレース465のように、トレース467は、システム200’’を用いて多数のターゲット距離値にわたった多数の分離間隔221の値でリターンビーム291’のSNRを測定することによって生成される。さらに、トレース467は、図4nに示されたものに限定されない。
【0092】
図4oは、一実施例によって図2eのシステムで最小臨界SNRを有する様々なターゲット距離値についての分離間隔対スキャン速度の一例を示すグラフである。水平軸403は、毎秒キロ度(Kilodegree Per Secomd)単位のスキャン速度である。垂直軸409は、w(例えば、光ファイバーモード半径(Fiber Mode Radius))単位の分離間隔である。水平軸403に沿う特定のスキャン速度において、トレース469は、トレース469に連関する設計ターゲット距離値にわたってSNRしきい値442(例えば、10dB)を維持するための分離間隔221の値を提供する。例示的な一実施例において、12,000度/秒のスキャン速度について、トレース469aは、250mの設計ターゲット距離についてSNRしきい値442を維持するための約2.75wの分離間隔221の値を示す。これは、図4mのトレース465cの例示的な実施例と符合する。さらに、例示的な一実施例において、4,000度/秒のスキャン速度について、トレース469aは、250mの設計ターゲット距離についてSNRしきい値442を維持するための約0.25wの分離間隔221の値を示す。これは、図4kのトレース464cの例示的な実施例と符合する。したがって、図4oは、システム200’’の設計および製造中に有用な追加の有益なルックアップグラフを提供する。
【0093】
一実施例において、受信導波管225aは、送信導波管223の直径wの約2ないし5倍の分離間隔221aを有し、より遠い距離(例えば、約50mよりも大きい)に位置したターゲットからリターンビーム291’を受信するのに使用される。より遠い距離に位置したターゲットについて、往復移動時間は、より長く、ファセット245aは、図2fに示されたものよりも大きい程度に回転し、したがって、リターンビーム291’は、コリメーション光学器機229により大きい角度だけ偏向する。しかし、より遠い距離に位置したターゲットについて、イメージ418が受信導波管225aに適切な分離間隔221aだけ移動することを保障するためにバイスタティックトランシーバ215上のリターンビーム291’のイメージ418(図4e)の直径は、より小さく、これにより分離間隔221aは、より小さいサイズおよび範囲(例えば、増加した精度)を有する。1つの実施例において、分離間隔221は、(例えば、1より小さい)イメージ418の直径の比に基づく。
【0094】
一実施例において、受信導波管225bは、送信導波管223の直径wの約5ないし10倍の分離間隔221aを有し、より小さい(例えば、約50mよりも小さい)距離に位置したターゲットからリターンビーム291’を受信するのに使用される。より小さい距離に位置したターゲットについて、往復移動時間はより短く、ファセット245aは、図2fに示されたものよりも少ない程度で回転し、したがって、リターンビーム291’は、コリメーション光学器機229により少ない角度だけ偏向する。しかし、より小さい距離に位置したターゲットについて、受信導波管225bで最小SNRを達成するためにより大きいイメージ418が特定の量だけ移動されるかどうかについてのより広い許容範囲があるため、バイスタティックトランシーバ215におけるリターンビーム291’のイメージ418(図4e)の直径は、より大きく、これにより分離間隔221aは、より大きいサイズおよび範囲(例えば、減少した精度)を有する。
【0095】
したがって、一実施例において、受信導波管225a、225bは、ビーム205’’が固定された回転速度で角度範囲227にわたってスキャンされることによって異なる距離にあるターゲットからリターンビーム291’を受信するのに使用できる。例示的な一実施例において、導波管225aは、角度範囲227の第1部分にわたってより長い距離に位置したターゲットからリターンビーム291’を受信し、導波管225bは、角度範囲227の第2部分にわたってより短い距離に位置したターゲットからリターンビーム291’を受信する。しかし、他の実施例において、ビーム205’’が(例えば、約0mないし約250mの)角度範囲227にわたってスキャンされることにより、単に1つの受信導波管225aまたは225bを使用して1つのターゲット距離の値以内または一定のターゲット距離の値の範囲以内のターゲットからリターンビーム291’を受信する。
【0096】
一実施例において、リターンが送信されたビームと同じ経路にないため、システム200’’は、サーキュレーター226を除外し、したがって、受信導波管225aは、オフセットされた受信経路224に沿って提供されて光ミキサー284に連結される。基準ビーム207bが光ミキサー284で受信導波管225aからのリターンビーム291’と結合されるように、基準ビーム207bは、LO経路220に沿って導波管内から送信される。多数の異なる距離についてチューニングされる多数の受信導波管225a、225bが提供される一実施例において、受信導波管225bが受信経路224に沿って提供され、それぞれの基準ビーム207bが受信導波管225bからのリターンビーム291’と結合されるそれぞれの光ミキサー284に連結されるように、類似の配列が受信導波管225bに提供される。バイスタティックトランシーバ215内に1つの受信導波管225aがある1つの実施例において、単に1つの処理チャネル(例えば、LO経路に沿う1つの受信導波管、1つの光ミキサー、1つの導波管)が提供される。多数の受信導波管225a、225bが提供される他の実施例において、多数の処理チャネルが提供される。したがって、システム200’’は、受信導波管225の数と同じ数の処理チャネルを含む。
【0097】
一実施例において、リターンビーム291’が重畳しない期間に順次に受信導波管225a、225bから受信されるため、獲得システム240および/または処理システム250は、受信導波管225からリターンビーム291’を順次的な期間に応じて処理(例えば、第1期間の間に、受信導波管225aからのリターンビーム291’を処理し、第2期間の間に、受信導波管225bからのリターンビーム291’を処理)するように構成される。

4.コヒーレントLIDARシステムパラメータ
【0098】
一実施例において、システム200’のモノスタティックコヒーレントLIDAR性能は、いわゆる「リンクバジェット(Link Budget)」にシステムパラメータを含むことによってモデリングされる。リンクバジェットは、様々なシステムおよびターゲットパラメータについて信号対雑音比(SNR)の予想値を推定する。1つの実施例において、システム側におけるリンクバジェットは、出力光パワー、累積時間、検出器特性、導波管連結における挿入損失、イメージングされたスポット(Imaged Spot)とモノスタティック収集導波管(Monostatic Collection Waveguide)との間のモード重畳および光トランシーバ特性のうち、1つ以上を含む。他の実施例において、ターゲット側におけるリンクバジェットは、大気(Atmospheric)特性、ターゲット反射度(Reflectivity)およびターゲット距離のうち、1つ以上を含む。
【0099】
図4aは、一実施例によってスキャニングなしの図2dのシステム200’でリターンされたビーム291についての例示的な信号対雑音比(SNR)対ターゲット距離を示すグラフである。他の実施例において、図4aは、図2aのシステム200におけるリターンされたビーム291についてのSNR対ターゲット距離の一例を示す。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離である。垂直軸404は、デシベル(dB)単位のSNRである。トレース410は、ニアフィールド(Near Field)406とファーフィールド(Far Field)に分割されたSNR対距離の値を示し、相対的に平坦な傾きを有するトレース410のニアフィールド406から負の傾き(例えば、約10m当たり-20dB)を有するトレース410のファーフィールド408へ遷移する。リターンされたビーム291が通過する散乱する大気がターゲットまでの距離の2乗によって増加し、リターンされたビーム291を収集するための光導波管の先端217の表面積が固定されるため、ファーフィールド408におけるSNR減少は、「r2乗(r-square)」の損失によって支配される。図4bは、一実施例によってファーフィールド408におけるSNRトレース410の形状を作る1/r2乗の損失を示すトレース411の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位の距離であり、垂直軸407は、単位のないパワー損失である。
【0100】
ニアフィールド406において、SNRの1次ドライバー(Driver)は、コリメーション光学器機229によって先端217にフォーカシングされる前のコリメートされたリターンビーム291の直径である。図4cは、一実施例によってスキャニングなしの図2dのシステム200’でリターンビーム291についてのコリメートビーム直径対距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸405は、メートル(m)単位のリターンビーム291の直径である。一実施例において、トレース414は、リターンビーム291が光導波管の先端217にフォーカシングされる以前にコリメーション光学器機229に入射するコリメートされたリターンビーム291の直径を示す。トレース414は、コリメーション光学器機229に入射するコリメートされたリターンビーム291の直径が増加するターゲット距離に応じて増加することを示す。
【0101】
一実施例において、ニアフィールド406におけるコリメートされたリターンビーム291の直径がより大きいターゲット距離で増加するにつれて、コリメーション光学器機229によって先端217にフォーカシングされたリターンビーム291の直径は縮小する。図4dは、一実施例によってスキャニングなしの図2dのシステムから送信された信号についての先端217におけるリターンビーム291の収集効率に関連するSNR対距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸404は、デシベル(dB)単位のSNRである。トレース416は、ターゲット距離に基づいてコリメーション光学器機229によって先端217でフォーカシングされたリターンされたビーム291のニアフィールドSNRを示す。ニアフィールド406内の近い距離でコリメーション光学器機229によって先端217にフォーカシングされたリターンされたビーム291のイメージ418aは、単一モード光ファイバー先端217のコアサイズよりも十分に大きい。したがって、収集効率に関連するSNRは、相対的に低い。ニアフィールド406内のより長い距離でコリメーション光学器機229によって先端217にフォーカシングされたリターンされたビーム291のイメージ418bは、イメージ418aよりもはるかに小さく、したがって、収集効率に起因するSNRは、より長い距離で増加する。一実施例において、トレース416は、ニアフィールド406のSNRがより長い距離でフォーカシングされたリターンされたビーム291の改善された収集効率に基づいて正の傾き(例えば、10メートル当たり+20dB)を有することを示している。1つの実施例において、ニアフィールドSNRにおけるこのような正の傾きは、「r-2乗」の損失に起因する図4bで論議されたニアフィールドSNRにおける負の傾きを相殺させ、したがって、ニアフィールド406におけるトレース410の相対的に平坦な領域につながる。図4dのSNRトレース416における正の傾きは、ファーフィールド408まで延長されず、したがって、ファーフィールド408におけるSNRトレース410に示すように、図4bの「r-2乗」損失がファーフィールド408SNRを支配する。
【0102】
図4aないし図4dに係る論議がターゲット距離の関数としてリターンされたビーム291のSNRを予想するが、図4aないし図4dで予想されるSNRは、モノスタティックコヒーレントLIDARシステム200’であり、図2eに示されたリターンビームのオフセットまたはスキャニング光学器機218のスキャンレート(Scan Rate)を考慮しないため、スキャンされたモノスタティックコヒーレントLIDARシステム200’の性能を完全に特徴化しない。以下、図4eないし図4gは、ビーム205’’が0よりも大きいスキャンレートでスキャンされるバイスタティックコヒーレントLIDARシステム200’’と連携して論議される。一実施例において、リターンビーム291’の往復移動遅延(Round Trip Delay)によって、ビームがスキャニング光学器機218(例えば、ポリゴンスキャナ244)によってスキャンされているときに、リターンビーム291’の受信モードは、送信されたビーム205’の送信導波管から左右にシフトするか、または「離脱(Walk Off)」するであろう。一実施例において、リターンビーム291’は、送信されたビーム205’に相対的な角度228に偏向され、左右のシフトまたは「離脱」が分離間隔221aに対応するか、または分離間隔221aのしきい値内にある場合、コリメーション光学器機229は、受信導波管225aの先端217へリターンビーム291’をフォーカシングする。一実施例において、しきい値は、受信導波管225aの先端217におけるリターンビーム291’のイメージの直径の最大比(例えば、1よりも小さい比)である。1つの実施例において、有益には、離脱は、送信導波管225aとのリターンビーム291’のイメージ418の重畳が最適収集効率につながるようにするものであり、例えば、離脱は、イメージ418の中心が受信導波管225の先端217の±10%内にあるようにするものである。
【0103】
図4eは、一実施例によって図2eのシステム200’’における様々なターゲット距離およびスキャン速度についてのビーム離脱の一例を示すイメージである。水平軸402は、ターゲット距離であり、垂直軸422は、スキャニング光学器機218を用いたビームのスキャン速度である。図4eが示すように、フォーカシングされたリターンビーム291’のイメージ418aが送信導波管223の先端217に集中されて短いターゲット距離でビーム離脱がないことを示し、フォーカシングされたリターンビーム291’のイメージ418bも送信導波管223の先端217に集中されて遠いターゲット距離でビーム離脱がないことを示すため、ビームがスキャンされないとき(下部行)には、ビーム離脱はない。一実施例において、ビーム291’が受信導波管225の先端217またはその近くに集中されず、および/またはビーム離脱がほとんどまたは全然ないため、ビーム離脱が送信導波管223と受信導波管225との間の分離間隔221のしきい値内にない。結果的に、これはバイスタティックトランシーバシステム200’’についての最適の配列ではない。図4eに示すように、イメージ418aの直径は、分離間隔221よりも大きく、したがって、リターンビーム291’のイメージ418aは、受信導波管225の先端217と部分的に重畳する。結果的に、リターンビーム291’の一部の部分がより短いターゲット距離で受信導波管225の先端217から受信され、したがって、ビーム205’’がスキャンされないときにも、信号対雑音比(SNR)は、0よりも大きい。さらに、図4eに示すように、イメージ418bの直径は、分離間隔221よりも小さいか、これとほぼ同じであり、したがって、リターンビーム291’のイメージ418bの直径は、より長いターゲット距離について受信導波管225の先端217と重畳しないことがある。その結果、ビーム205’’がスキャンされないとき、リターンビーム291’は、より長いターゲット距離で受信導波管225の先端からほとんどまたは全然受信されない。
【0104】
ビーム205’’が中間スキャン速度でスキャンされるとき(図4eの中間行)、フォーカシングされたリターンビーム291’のイメージ418aと送信導波管223の先端217との間で短い距離についての中間ビーム離脱419aが観察され、フォーカシングされたリターンビーム291’のイメージ418bと送信導波管223の先端217との間で遠いターゲット距離についてのより大きいビーム離脱419bが観察される。より長いターゲット距離についてのビーム離脱419bがより短いターゲット距離についてのビーム離脱419aよりも大きいとしても、リターンビーム291’は、受信導波管225におけるイメージ418aのはるかに大きい直径によってより短いターゲット距離でより高いSNRを有する。離脱419bがイメージ418bの直径の比より小さいため、これは、遠いターゲット距離についてのバイスタティックトランシーバシステム200’’のための最適の配列ではない。しかし、一部の実施例において、より短いターゲット距離についてのイメージ418aの増加した直径が小さい離脱419aにもかかわらず、SNRしきい値よりも大きいリターンビーム291’のSNRを提供できるため、ポリゴンスキャナ244が中間スキャン速度で回転しているときに、受信導波管225aがより短いターゲット距離内のリターンビーム291’を受信するように、間隔221は、離脱419aに基づいて選択される。
【0105】
ビーム205’’が高いスキャン速度でスキャンされるとき(図4eの上部行)、中間スキャン速度でのビーム離脱419aを超過するビーム離脱421aが短い距離で観察され、中間スキャン速度でのビーム離脱419bを超過するビーム離脱421bが長い距離で観察される。したがって、ビーム離脱は、ターゲット距離とスキャン速度が増加するにつれて増加する。一実施例において、増加したターゲット距離は、時間遅延を誘発し、その間に、イメージ418a、4l8bが送信導波管223の先端217から遠く移動する。したがって、モード重畳のモデルがこの離脱を適切に説明する。1つの実施例において、このようなモデルは、イメージ418の直径に基づいてビーム離脱419、421を(例えば、イメージ418の直径の半分より大きくないように)制限しなければならず、したがって、より短いターゲット距離にあるターゲット418aについて、ビーム離脱419、421の許容可能な範囲についてのより広い許容範囲がある。1つの実施例において、ポリゴンスキャナ244が固定された最適のスキャン速度で設定されるように、そして、より短い距離のターゲットからリターンされたビーム291’が受信導波管225bに偏向され、より長い距離のターゲットからリターンされたビーム291’が受信導波管225aに偏向するように、間隔221bは、ビーム離脱421aに基づいて調整され、間隔221aは、ビーム離脱421bに基づいて調整される。この例示的な実施例において、ビーム離脱421aは、間隔221aのしきい値内にあり、ビーム離脱421bは、間隔221bのしきい値内にある。
【0106】
図4fは、一実施例によって図2eのシステム200’’における様々なスキャンレートについてのカップリング効率対ターゲット距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸430は、単位がないカップリング効率である。一実施例において、カップリング効率は、分離間隔221とビーム離脱419、421および/またはイメージ418の直径の間の差に反比例する(例えば、より大きい直径について、分離間隔221とビーム離脱419、421との間の差により広い許容範囲があり、より小さい直径について、差により狭い許容範囲がある)。第1トレース432aは、ビーム205’のスキャニングがないことに基づいて様々なターゲット距離についてモノスタティックシステム200’における光ファイバー先端217にフォーカシングされたリターンビーム291のカップリング効率を示す。カップリング効率は、広い範囲のターゲット距離について相対的に高く、一定に維持される。第2トレース432cは、ビームの中間スキャンレートに基づいて様々なターゲット距離について受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291’のカップリング効率を示す。一実施例において、中間スキャンレートでのカップリング効率は、長いターゲット距離(例えば、約450m)でピークに到逹した後、このような長いターゲット距離より長く、短いターゲット距離について減少する。第3トレース432bは、ビームの高いスキャンレートに基づいて様々なターゲット距離について受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291’のカップリング効率を示す。一実施例において、高いスキャンレートのカップリング効率は、中間ターゲット距離(例えば、約180m)でピークに到逹した後、ターゲット距離が増加するにつれて減少する。第4トレース432dは、ビームのスキャニングがないことに基づいて様々なターゲット距離について受信導波管225aの先端217にフォーカシングされたリターンビーム291’のカップリング効率を示す。ビームのスキャニングがないことが送信導波管223に中心を置いたリターンビーム291’を提供するため(図4eの下部行)、カップリング効率は、ターゲット距離の全体にわたって約0である。結果的に、ビーム205’’のスキャニングがないことは、バイスタティックLIDARシステム200’’についての有益な動作モードではない。
【0107】
図4fにおけるトレースに基づいて、スキャニングがなければ、受信導波管225内へのカップリング効率がほとんど発生しないか、または全然発生せず、したがって、バイスタティックLIDARシステム200’’について最適ではない。また、遅すぎるスキャンすれば、広いターゲット距離(例えば、<300m)内で見られない。この場合に、フォーカシングされたリターンビーム291’のイメージ418bのビーム離脱419bが非常に長いターゲット距離(例えば、300m以上)で分離間隔221に接近するだけである。結果的に、これは少なくともこのような非常に長い距離よりも短い距離(例えば、距離<300mであるターゲット)を有するターゲットについてリターンビーム291’のデータをキャプチャするために、遅いスキャン速度でバイスタティックLIDARシステム200’’を作動させることは、最適ではない。また、図4fは、最適速度のスキャニング(例えば、トレース432b)により、広いターゲット距離(例えば、約100ないし約300m)内に位置したターゲットが見ることができることを示す。これは、ビーム離脱421bが分離間隔221のしきい値内にあることに基づく。例示的な一実施例において、中間スキャン速度は、約1,000度/秒ないし約2,000度/秒の範囲内にあり、最適のスキャン速度は、約4,000度/秒ないし約7,000度/秒の範囲内にある。
【0108】
図4gは、一実施例によって図2eのシステム200’’における様々なスキャンレートについてのSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸404は、デシベル(dB)単位のSNRである。第1トレース440dは、ビームがスキャンされないターゲット距離に基づいて受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291’のSNRを示す。ビームがスキャンされないときにビーム離脱がないとしても、フォーカシングされたリターンビーム291’のイメージ418aは、受信導波管225の先端217と部分的に重畳し(図4eの下部行)、したがって、SNRは、0よりも大きく、イメージ418aの直径が相対的に大きいため、SNRしきい値よりも大きいことがある。さらに、長いターゲット距離についてビームがスキャンされないときに(図4eの下部行)、フォーカシングされたリターンビーム291’のイメージ418bの直径は、より短いターゲット距離よりもはるかに小さく、受信導波管225の先端217と重畳し得ない。したがって、一部のターゲット距離(例えば、90m)を超えると、トレース440dのSNRは、0に接近する。
【0109】
第2トレース440bは、遅いスキャンレート(例えば、約毎秒2、500度)でビームがスキャンされるターゲット距離に基づいて受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291’のSNRを示す。例示的な一実施例において、遅いスキャンレートは、約2、500度/秒(度毎秒)であるか、約1,000度/秒ないし約4,000度/秒の範囲内に、または約500度/秒ないし約5,000度/秒の範囲内にある。第3トレース440cは、最適のスキャンレート(例えば、約5,500度/秒)でビームがスキャンされる場合に、ターゲット距離に基づいて受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291’のSNRを示す。例示的な一実施例において、最適のスキャンレートは、約5,500度/秒であるか、約4,000度/秒ないし約7,000度/秒の範囲内に、または約3,000度/秒ないし約8,000度/秒の範囲内にある。一実施例において、遅いスキャンレートおよび最適のスキャンレートは、ビームの大きさおよび/または分離間隔221および/またはシステム200’’の目標を含むシステム200’’の1つ以上のパラメータに基づく。例示的な一実施例において、前述した遅いスキャンレートおよび最適のスキャンレートの数値範囲は、約400メートル(m)の最大ターゲット距離までイメージをスキャンするのに使用される約1センチメートル(cm)の直径を有するコリメートビームに基づく。
【0110】
最終的に、ビーム離脱419、421と分離間隔221との間の差は、コヒーレントバイスタティックLIDARシステム200’’におけるSNRの重要な抑制者(Inhibitor)であり、および/または特定ターゲット距離についてのイメージ418の直径は、臨界SNRを達成するためのこの差の許容誤差または精度を示す。一実施例において、バイスタティックシステム200’’におけるビームのスキャンレートは、角度範囲および結果的なターゲット距離にわたって固定されたスキャンレート(例えば、ポリゴンスキャナ244の角速度249の固定された速度)に設定され、固定されたスキャンレートは、固定されたスキャンレートの連関するSNRがターゲット距離にわたってSNRしきい値より大きいように選択される。従来のコヒーレントLIDARシステムにおいて、これは相対的に低い固定されたスキャンレートがスキャン軌跡460にわたってビームをスキャンするのに使用されるようにし、これは図4hに示すように、隣接するスキャンの間に大きいギャップ462をもたらす。スキャン速度の限界は、ビーム軌跡460に沿う稠密なサンプリングにつながる。ビームが適正に大きい視野(例えば、いずれの次元でも数十度)にわたってスキャンされるとき、ビーム軌跡は、角度カバレッジで大きいギャップ462を残す。これは大きいギャップ462内に位置したターゲットが検出されないため、理想的ではない。長方形サンプリングの「正方形グリッド(Square Grid)」は、達成されない。代わりに、スキャン軌跡460に沿うサンプリングと10:1より大きいことがある軌跡460との間のギャップ462の間に非対称が観察される。この問題を念頭に置いて、固定されたビームスキャン速度を最大化することと、この概念についての効率的なハードウェア解決策(例えば、ポリゴンスキャナ244)を生成することのうち、1つ以上を含む種々の相互補完的解決策がここに提示される。
【0111】
ビームのスキャンレートに加えて、リターンビーム291’のSNRは、獲得システム240および/または処理システム250がリターンビーム291’をサンプリングして処理する累積時間によって影響を受ける。一部の実施例において、ビームは、離散角度(Discrete Angles)の間にスキャンされ、それぞれの離散角度におけるそれぞれの累積時間についての角度範囲227内の離散角度で固定された状態またはほとんど固定された状態に維持される。他の実施例において、ビームは、角度範囲227の全体にわたって固定されたスキャンレート(例えば、ポリゴンスキャナ244を用いて)でスキャンされる。リターンビーム291’のSNRは、累積時間および/またはターゲット距離および/またはスキャンレートおよび/または分離間隔221によって影響を受ける。以前に論議されたように、ビームの断面積は、ターゲット距離に応じて増加し、増加した大気散乱をもたらし、したがって、リターンビーム291’の強度は、距離増加に応じて減少する。したがって、より長いターゲット距離からのリターンビーム291’について同じSNRを達成するためにより長い累積時間が必要である。
【0112】
図4iは、一実施例によって図2eのシステム200’’における様々な累積時間についてのSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸404は、デシベル(dB)単位のSNRである。第1トレース450aは、ターゲット距離にわたったリターンビーム291’のSNR値を示し、ここでシステム200’’は、第1累積時間(例えば、3.2μs)に設定される。第2トレース450bは、ターゲット距離にわたったリターンビーム291’のSNR値を示し、ここでシステム200’’は、第2累積時間(例えば、1.6μs)に設定される。第3トレース450cは、ターゲット距離にわたったリターンビーム291’のSNR値を示し、ここでシステム200’’は、第3累積時間(例えば、800ns)に設定される。第4トレース450dは、ターゲット距離にわたったリターンビーム291’のSNR値を示し、ここでシステム200’’は、第4累積時間(例えば、400ns)に設定される。トレース450は、固定されたターゲット距離について累積時間の増加に応じてSNRが増加することを示している。また、トレース450は、固定された累積時間についてリターンビーム291’のSNRが以前に論議された理由で増加した距離に応じて減少することを示している。一実施例において、固定された累積時間に関連するSNRがターゲット距離にわたってSNRしきい値452を超過するように、固定された累積時間(例えば、1.6μs)が角度範囲227および結果的な目標範囲におけるスキャニングのために選択される。
【0113】
他の実施例は、それぞれの角度におけるターゲット距離を用いて角度範囲227内のそれぞれの角度で累積時間を最小化し、角度範囲227にわたって累積時間を最小化することを含む。図4jは、一実施例によって図2eのシステム200’’における測定レート(Measurement Rate)対ターゲット距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸474は、毎秒許容可能な百万単位の測定についての単位時間当たり許容可能な測定回数である。トレース476は、それぞれのターゲット距離における毎秒許容可能な測定回数を示す。一実施例において、トレース476は、累積時間の逆数、例えば、毎秒それぞれのターゲット距離で検出されることができるリターンビーム291’の数を示し、累積時間は、それぞれのターゲット距離でリターンビーム291’を処理するのにどれだけかかるかを示している。また、トレース478が提供され、これはそれぞれのターゲット距離における毎秒許容可能な測定回数の良い目標である。トレース478は、与えられたADC(Analog to Digital Converter)レートについての2の累乗の間隔に基づく。トレース478は、デジタル化したサンプルの数が2の累乗であるとき、このような長さ信号についての高速フーリエ変換がより効率的であるため、毎秒許容可能な測定回数の良い目標を示す。トレース450は、導波管分離間隔221、送信信号205’のパワーおよびコリメーション光学器機229の焦点長さを含むが、これに限定されない1つ以上のシステム200’’のパラメータに基づいて変更される。
5.車両制御概要
【0114】
一部の実施例において、車両に取り付けられた高解像度ドップラーLIDARシステムから受信されたデータに基づいて車両が少なくとも部分的に制御される。
【0115】
図3aは、一実施例によって車両310に取り付けられた少なくとも1つの高解像度ドップラーLIDARシステム320を含む例示的なシステム301を示すブロック図である。一実施例において、LIDARシステム320は、LIDARシステム200、200’、200’’のうち、1つと類似している。車両は、星311によって表示された質量中心を有し、矢印313によって与えられる前方方向に移動する。一部の実施例において、車両310は、処理システム250の車両制御モジュール272のようなプロセッサからの信号に応答して動作される操向または制動システム(図示せず)のようなコンポーネントを含む。一部の実施例において、車両は、図8に示されたチップセット(Chip Set)のようなオン-ボード(On-Brard)プロセッサ314を有する。一部の実施例におけるオン-ボードプロセッサ314は、図7に示すように、遠隔プロセッサと有線または無線で通信する。一実施例において、LIDARシステムの処理システム250は、オン-ボードプロセッサ314と通信可能に結合されたり、LIDARシステムの処理システム250は、車両制御モジュール272が処理システム250にとって車両の方向および速度を制御するために車両の操向または制動システムに1つ以上の信号を送信させるように、オン-ボードプロセッサ314の動作を実行するのに使用される。高解像度ドップラーLIDARは、方位角視野324だけでなく、車両310周辺におけるスポット(Spots)を照明する垂直角度(図3b)を通じて一方の側から将来(Future)のビーム323によって表示される他の側にスイープ(Sweep)するスキャニングビーム322を使用する。一部の実施例において、視野は、360度の方位角である。一部の実施例において、傾斜角の視野は、約+10度ないし約-10度であるか、またはこれのサブセットである。システム320がシステム200’’である一部の実施例において、視野324は、角度範囲227によって定義される。システム301を設計するのにおいて、視野324上のそれぞれの角度でビームのあらかじめ定められた最大設計範囲が決定され、視野324の範囲内のそれぞれの角度で最大予想ターゲット距離を示す。例示的な一実施例において、最大設計距離は、視野324上の固定された値であるか、または固定された範囲の値である。例示的な一実施例において、視野324にわたった最大設計距離は、約200メートルであるか、または約150メートルないし約300メートルの範囲内にある。
【0116】
一部の実施例において、車両は、当該技術分野によく知られている他のものの中で、GPSセンサ、走行距離計(Odometer)、回転速度計(Tachometer)、温度センサ、真空センサ、電圧または電流センサのような補助センサ(図示せず)を含む。一部の実施例において、回転情報を提供するためにジャイロスコープ330が含まれる。
【0117】
図3bは、一実施例によって車両310に取り付けられた少なくとも1つの高解像度LIDARシステム320を含む例示的なシステム301’を示すブロック図である。一実施例において、LIDARシステム320は、システム200またはシステム200’またはシステム200’’と類似している。一実施例において、車両310は、矢印313に基づく前方方向に地面349(例えば、道路)の上に移動する。LIDARシステム320は、矢印313に対して測定された第1角度に指向された第1ビーム342から矢印313に対して測定された第2角度に指向された第2ビーム346への角度範囲326にわたってスキャンする。1つの実施例において、第1角度および第2角度は、地面349に対してほぼ直交して指向された垂直平面内の垂直角度である。この説明の目的上、「ほぼ直交して(About Orthogonal)」とは、地面349についての法線の±20度以内を意味する。LIDARシステム320がシステム200’’と類似している一部の実施例において、角度範囲326は、角度範囲227によって定義される。
【0118】
システム301’を設計するのにおいて、それぞれの角度におけるビームのあらかじめ定められた最大設計距離が決定され、これは範囲326内のそれぞれの角度における最大予想ターゲット距離を示す。他の実施例において、それぞれの角度における最大設計距離は、あらかじめ定められず、規則的に測定されて増分時間周期で処理システム250のメモリ内にアップデートされる。一実施例において、第1ビーム342は、地面349に向けて指向され、車両310からの一部の最大設計距離内で地面349と交差する。したがって、第1角度でシステム320は、地面349を超えて位置したターゲットを考慮しない。一実施例において、第1ビーム342の第1角度は、矢印313に対して約-15度であるか、または約-25度ないし約-10度の範囲内にあり、最大設計距離は、約4メートル(m)であるか、約1mないし約10mの範囲内にあるか、または約2mないし約6mの範囲内にある。一実施例において、第2ビーム346は、空に向けて指向され、車両310からの一部の最大設計距離内で上限347と交差する。したがって、第2角度でシステム320は、上限347の上に位置したターゲットを考慮しない。一実施例において、上限347は、(例えば、0mの高度を定義する)地面349から約12mの高度または約8mないし15m範囲内の高度にあり、第2ビーム346の第2角度は、矢印313に対して約15度であるか、または約10度ないし約25度の範囲内にあり、最大設計距離は、約7mであるか、約4mないし約10mの範囲内にあるか、または約1mないし約15mの範囲内にある。一部の実施例において、上限347高度は、LIDARシステム320の高度による(例えば、地面349が0mと定義されるときに、約1.5mであるか、または約1m ないし約4mの範囲内にある)。一実施例において、第1ビーム342と第2ビーム346との間の中間ビーム344は、矢印313とほぼ平行に指向され、車両310から最大設計距離に位置したターゲット343を交差する。1つの例示的な実施例において、図3bは、スケールに合わせて図示せず、ターゲット343は、示されたものよりも車両310からはるかに遠い距離に位置する。この説明の目的であって、「ほぼ平行に(About Paralled)」とは、矢印313の約±10度以内または約±15度以内を意味する。例示的な一実施例において、ターゲット343の最大設計距離は、約200mであるか、約150mないし約300mの範囲内にあるか、または約100mないし約500mの範囲内にある。
【0119】
図3bが地面349の上に移動するように構成された車両310に取り付けられたLIDARシステムを示しているが、本発明の実施例は、このようなタイプの車両に限定されず、LIDARシステムは、飛行するように構成された空中飛行体310’(例えば、乗用空中飛行体)に取り付けることができる。一実施例において、飛行体310’は、1つ以上のターゲット343が存在する地面349の上に飛行するように構成される。図3dは、一実施例によって地面349の上に飛行するように構成された飛行体310’に取り付けられた少なくとも1つの高解像度LIDARシステム320を含む例示的なシステム301’’を示すブロック図である。一実施例において、LIDARシステム320は、矢印313に対して第1角度をなす第1ビーム342’の最大設計距離が地面349に相対的な下限(Floor)348に基づいて定義されるという点を除いて、システム301’のLIDARシステム320と類似の方式で作動する。例示的な一実施例において、下限348は、約0mないし約-10mの範囲内または約0mないし約-2mの範囲内のシステム320の高度に相対的な高度を有する。他の例示的な実施例において、上限347は、約0mないし約10mの範囲内のシステム320の高度に相対的な高度を有する。他の例示的な実施例において、第1角度は、約-30度であるか、または約-60度ないし約-15度の範囲内にある。一部の実施例において、第1角度は、上限347の第2角度と同じであり、それに反対側にあり得る。
6.コヒーレントLIDARシステムにおけるスキャンパターンを最適化するための方法
【0120】
図6は、LIDARシステムのバイスタティックスキャンパターンを最適化するための例示的な方法600を示すフローチャートである。一部の実施例において、システム600は、自律走行車に取り付けられたLIDARシステムのスキャンパターンを最適化するためのものである。ステップが図6で例示の目的で特定の手順で累積ステップとして示されるが、他の実施例において、1つ以上のステップまたはその一部は、異なる手順で行われるか、時間的に直列または並列に重畳するか、省略されるか、1つ以上の追加ステップが追加されるか、または方法が一部の組み合わせ方式で変更される。
【0121】
601ステップにおいて、バイスタティックトランシーバの送信導波管によって送信された後にターゲットによって反射し、バイスタティックトランシーバの受信導波管によって受信された信号の第1SNR値を示すデータがプロセッサから受信され、受信導波管は、送信導波管から分離間隔だけ離隔する。第1SNR値は、ターゲットの距離の値に基づき、第1SNR値は、LIDARシステムのスキャンレートのそれぞれの値についてのものである。一実施例において、601ステップにおける第1SNR値は、ビーム205’が送信導波管223によって送信された後にターゲットによって反射し、バイスタティックトランシーバ215の受信導波管225によって受信されたリターンビーム291’の第1SNR値であり、受信導波管225は、送信導波管223から分離間隔221だけ離隔する。1つの実施例において、データは、システム200’’で受信導波管225a、225bのうち、1つまたは両者の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291’の第1SNR値である。他の実施例において、ステップ601におけるデータは、システム200’’で検出器アレイ230にフォーカシングされたリターンビーム291’の第1SNR値である。1つの実施例において、データは、リターンビーム291’のSNR値を示すトレース440bおよび/またはトレース440cおよび/またはトレース440dの値を含み、それぞれのトレース440は、ビームのスキャンレートのそれぞれの値についてのものである。例示的な一実施例において、トレース440b、440c、440dは、同じ値の分離間隔221に基づき、ステップ601でトレース440b、440c、440dの複数のセットがそれぞれの複数の値の分離間隔221に対して受信される。一部の実施例において、データは、トレース440b、440c、440dに限定されず、図4gに示されたものよりも少ないか、またはより多くのトレースのSNR値を含み、それぞれのSNRトレースは、スキャンレートのそれぞれの値に基づき、および/またはトレース440b、440c、440dは、分離間隔221の特定値に基づく。
【0122】
他の実施例において、601ステップで受信されたデータは、スキャンレートのそれぞれの個別値(Each Respective Value)および/または分離間隔221のそれぞれの値についてターゲット距離にわたってトレースを形成するのに使用できるSNR値を含む。1つの実施例において、トレース464、466が固定された値のスキャンレート(例えば、4,000度/秒)に基づいて多数の値の分離間隔221に対して提供される。他の実施例において、トレース465、467が固定された値のスキャンレート(例えば、12,000度/秒)に基づいて多数の値の分離間隔221に対して提供される。また他の実施例において、ステップ601でSNRしきい値を達成するためにトレース469がそれぞれのターゲット距離に対して提供され、トレース469は、特定の固定されたスキャン速度について必要な分離間隔221値を示す。例示的な一実施例において、ステップ601におけるデータは、処理システム250のメモリに格納され、それぞれのセットの第1SNR値は、LIDARシステムのスキャンレートの連関する値および/または分離間隔221の連関する値とともに格納される。1つの実施例において、601ステップにおける第1SNR値は、約0メートルないし約500メートルの範囲(例えば、自動車)内に、または約0メートルないし約1,000メートルの範囲(例えば、飛行体)で約2,000度/秒ないし約6,000度/秒または約1,000度/秒ないし約7,000度/秒の範囲内のスキャンレートについておよび/または約0wないし4wまたは0wないし10wの範囲の分離間隔221値に対して獲得され、wは、送信導波管223の直径である。一部の実施例において、第1SNR値は、あらかじめ定められ、ステップ601でプロセッサによって受信される。他の実施例において、第1SNR値は、LIDARシステムによって測定され、続いてステップ601でプロセッサによって受信される。1つの実施例において、データは、入力装置712を用いてステップ601で入力され、および/または近距離通信網780、インターネット790または外部サーバー792からネットワークリンク778を介して処理システム250のメモリ704にアップロードされる。
【0123】
一実施例において、601ステップにおける第1SNR値(例えば、トレース440b、440c、440d)は、第1分離間隔221aに基づいて第1受信導波管225aによって受信されたリターンビーム291’に対して受信され、他のセットの第1SNR値(例えば、トレース440b、440c、440d)は、第2分離間隔221bに基づいて第2受信導波管225bによって受信されたリターンビーム291’に対して受信される。1つの例示的な実施例において、受信導波管225a、225bによって受信されたリターンビーム291’に対する第1SNR値は、あらかじめ定められ、ステップ601でプロセッサによって受信される。他の例示的な実施例において、受信導波管225a、225bによって受信されたリターンビーム291’に対する第1SNR値は、LIDARシステムによって測定され、続いて601ステップでプロセッサによって受信される。
【0124】
603ステップにおいて、ターゲットの距離の値に基づいてターゲットによって反射し、LIDARシステムによって検出された信号の第2SNR値を示すデータがプロセッサから受信され、ここで第2SNR値は、LIDARシステムの累積時間のそれぞれの値についてのものである。一実施例において、603ステップにおけるデータは、それぞれの累積時間についてシステム200’’でフォーカシングされたリターンビーム291’の第2SNR値であり、この累積時間の間、ビームが獲得システム240および/または処理システム250によって処理される。1つの実施例において、データは、リターンビーム291’のSNR値を示すトレース450aおよび/またはトレース450bおよび/またはトレース450cおよび/またはトレース450dの値を含み、それぞれのトレース450は、ビームが獲得システム240および/または処理システム250によって処理される累積時間のそれぞれの値についてのものである。一部の実施例において、データは、トレース450a、450b、450c、450dに限定されず、図4iに示されたものよりも少ないか、またはより多くのトレースを含み、それぞれのSNRトレースは、累積時間のそれぞれの値に基づく。他の実施例において、データは、トレースである必要はなく、代わりに累積時間のそれぞれの個別値(Each Respective Value)についてターゲット距離にわたってトレースを形成するのに使用されるSNR値である。例示的な一実施例において、603ステップにおけるデータは、処理システム250のメモリに格納され、それぞれのセットの第2SNR値は、LIDARシステムの累積時間の連関する値とともに格納される。1つの実施例において、603ステップにおける第2SNR値は、約0メートルないし約500メートルの範囲にわたって(例えば、自動車)または約0メートルないし約1,000メートルの範囲から(例えば、飛行体)約100ナノ秒(ns)ないし約5ミリ秒(μs)の累積時間値に対して獲得される。一部の実施例において、第2SNR値は、あらかじめ定められ、ステップ603でプロセッサによって受信される。他の実施例において、第2SNR値は、LIDARシステムによって測定され、続いてステップ603でプロセッサによって受信される。1つの実施例において、データは、入力装置712を用いて603ステップで入力され、および/または近距離通信網780、インターネット790または外部サーバー792からネットワークリンク778を介して処理システム250のメモリ704にアップロードされる。
【0125】
605ステップにおいて、角度範囲227を定義する第1角度および第2角度を示すデータがプロセッサから受信される。1つの実施例において、605ステップにおける第1角度と第2角度は、入力装置712(例えば、マウスまたはポインティング装置716)を用いて入力され、および/またはネットワークリンク778を介して処理システム250にアップロードされる。角度範囲227が図3aの視野324である1つの実施例において、第1角度は、第1ビーム322と車両310の移動方向を示す矢印313との間の角度として定義され、第2角度は、第2ビーム323と矢印313との間の角度として定義される。
【0126】
角度範囲227が図3bの視野326である他の実施例において、第1角度は、第1ビーム342と車両310の移動方向を示す矢印313との間の角度として定義され、第2角度は、第2ビーム346と矢印313との間の角度として定義される。一実施例において、第1角度と第2角度は、矢印313に対して対称であり、例えば、第1角度と第2角度は、同じであり、互いに反対である。1つの実施例において、第1角度は、第1ビーム342が地面349に向けて指向されるように選択され、第2角度は、第2ビーム346が地面349から上限347に向けて指向されるように選択される。
【0127】
1つの実施例において、601、603および605ステップは、1つのステップで同時に行われ、ここで601、603および605ステップにおけるデータは、1つの同時ステップでプロセッサから受信される。
【0128】
607ステップにおいて、角度範囲内のそれぞれの角度でターゲットの最大設計距離を示すデータがプロセッサから受信される。一実施例において、最大設計距離は、角度範囲227内のそれぞれの角度におけるターゲットのあらかじめ定められた最大ターゲット距離である。1つの実施例において、607ステップにおけるそれぞれの角度でのターゲットの最大設計距離は、図3aの視野324に基づく。例示的な一実施例において、最大設計距離は、視野324にわたって固定された値であるか、または固定された範囲の値である。例示的な一実施例において、視野324にわたった最大設計距離は、約250メートルであるか、または約150メートルないし約300メートルの範囲内にある。
【0129】
他の実施例において、607ステップにおけるデータは、角度範囲326より大きい第1角度範囲にわたって提供される。1つの実施例において、607ステップにおけるデータは、角度範囲にわたって増分角度(Incremental Angle)で提供され、増分角度は、約0.005度ないし約0.01度の範囲内または約0.0005度ないし約0.01度の範囲内で選択される。
【0130】
1つの例示的な実施例において、607ステップにおけるデータは、入力装置712(例えば、マウスまたはポインティング装置716)を用いて入力され、および/またはネットワークリンク778を介して処理システム250にアップロードされる。一部の実施例において、最大設計距離は、あらかじめ定められ、607ステップ中に受信される。他の実施例において、システム200、200’、200’’は、角度範囲227内のそれぞれの角度で最大設計距離を測定するために使用され、続いてそれぞれの角度での最大設計距離が607ステップで処理システム250によって受信される。
【0131】
609ステップにおいて、LIDARシステムのSNRが最小SNRしきい値よりも大きいようにLIDARシステムの最大スキャンレートが角度範囲227内のそれぞれの角度で決定される。一実施例において、609ステップにおける固定された最大スキャンレートが角度範囲227内の角度について決定される。角度範囲227にわたって最大設計距離についての値の範囲が607ステップで受信されたデータに基づいてまず決定される。次に601ステップで受信された第1SNR値が角度範囲227にわたった最大設計距離の値または値の範囲(例えば、約150mないし約300m)について決定され、これらの第1SNR値のうち、いずれが最小SNRしきい値を超過するかがさらに決定される。1つの実施例において、トレース440b、440c、440dの値が角度範囲227にわたって最大設計距離の値の範囲(例えば、約80mないし約120m)について決定され、トレース440dの値だけが最大設計距離の値の範囲(例えば、約80mないし約120m)に対して最小SNRしきい値442を超過するとさらに決定される。トレース440dの値だけが最小SNRしきい値442を超過するため、角度範囲227にわたった固定された最大スキャンレートは、トレース440dに対応するスキャンレートに設定される。例示的な一実施例において、ステップ609で最大スキャンレートを決定することは、受信導波管225a、225bの先端217でのリターンビーム291’のビーム離脱419、421(図4e)が分離間隔221のしきい値内にあることを保障し、しきい値は、先端でのリターンビーム291’のイメージ418の直径に基づく(例えば、より大きい直径についてより大きいしきい値と、より小さい直径についてより小さいしきい値)。例示的な一実施例において、しきい値は、受信導波管225の先端217でのリターンビーム291’のイメージ418の直径の比である。例示的な一実施例において、比は、約0.5であるか、または約0.3ないし約0.7の範囲内にある。
【0132】
他の実施例において、609ステップにおける分離間隔221の異なる値に対応する第1SNR値(例えば、トレース464、465、466、467、469が最小SNRしきい値442を超過し、最小SNRしきい値442を超過する第1SNR値のうち、最大の第1SNR値(例えば、固定されたスキャン速度4,000度/秒についてのトレース464のうち、1つまたは固定されたスキャン速度12,000度/秒についてのトレース465のうち、1つ)を決定するのに使用される。一実施例において、システム200’’の設計段階中に、送信導波管223と受信導波管225との間の分離間隔221は、決定された第1SNR値に対応する分離間隔221の値に基づき、固定された最大スキャンレートは、決定された第1SNR値に対応するスキャンレートに基づいて選択される(例えば、分離間隔221の値は、0mないし250mのターゲット設計距離についてトレース465cに基づいて2.75wで選択され、および/または固定されたスキャンレートは、トレース465について12,000度/秒の固定されたスキャンレートに基づいて選択される)。1つの例示的な実施例において、SNRが角度範囲227の第1部分にわたって(例えば、ターゲット距離>80mに対して)SNRしきい値442を超過するように、第1分離間隔221a(例えば、0.25w)に対応する第1SNR値(例えば、トレース464c)が固定されたスキャンレート(例えば、4,000度/秒)について使用され、SNRが角度範囲227の第2部分にわたって(例えば、ターゲット距離<80mに対して)SNRしきい値442を超過するように、第2分離間隔221b(例えば、5w)に対応する第1SNR値(例えば、トレース464a)が固定されたスキャンレートについて使用される。この実施例において、角度範囲227にわたった固定された最大スキャンレートは、最適のスキャンレートに設定される。有益には、この実施例は、スキャンレートが角度範囲227にわたって固定される間に、角度範囲227にわたって最大設計距離の異なる部分からリターンビーム291’を検出するために多数の受信導波管225a、 225bを使用する(例えば、受信導波管225aは、より長い距離にあるターゲットからリターンビーム291’を受信し、受信導波管225bは、より短い距離にあるターゲットからリターンビーム291’を受信する)。角度範囲227が角度範囲326である例示的な一実施例において、受信導波管225bは、送信されたビーム342、346に基づいて第1および第2角度でリターンビーム291’を受信し、受信導波管225aは、中間送信されたビーム344に基づいてリターンビーム291’を受信する。
【0133】
他の実施例において、609ステップにおける、それぞれの最大スキャンレートが角度範囲227内のそれぞれの角度について決定される。それぞれの角度において、その角度についての最大設計距離が607ステップで受信されたデータに基づいてまず決定される。次に、601ステップで受信された第1SNR値が角度での最大設計距離について決定され、これらの第1SNR値のうち、いずれが最小SNRしきい値を超過するかがさらに決定される。1つの実施例において、トレース440b、440c、440dの値が最大設計距離(例えば、約90m)について決定され、トレース440b、440cの値が最小SNRしきい値442を超過するとさらに決定される。最小SNRしきい値を超過するこれらの第1SNR値のうち、最大スキャンレートを有する第1SNR値が選択され、最大スキャンレートがその角度について609ステップで決定される。前記実施例において、最大設計距離(例えば、約90m)で最小SNRしきい値442を超過するトレース440b、440cの値のうち、トレース440c値が最大スキャンレートとして選択され、最大スキャンレート(例えば、トレース440cに連関する最適のスキャンレート)がその角度について609ステップで決定される。1つの例示的な実施例において、図4gは、第1および第2角度でビーム342、346についてステップ609で決定された最大スキャンレート(例えば、トレース440cに基づく最適のスキャンレート)が第1および第2角度との間の角度でビーム344についてステップ609に決定された最大スキャン(例えば、トレース440bに基づく遅いスキャンレート)よりも大きいことを示す。このような例示的な実施例において、スキャニング光学器機218のスキャンレートは、角度範囲227にわたって変更され、リターンビーム291’は、より短いターゲット距離に対応する角度範囲227のその部分について速いスキャンレートでスキャンされ(例えば、ビーム342、346)、より長いターゲット距離に対応する角度範囲227のその部分について遅いスキャンレートでスキャンされる(例えば、ビーム344)。このような例示的な実施例において、1つの受信導波管225が角度範囲227にわたってリターンビーム291’をキャプチャするのに使用される。例示的な一実施例において、ステップ609で最大スキャンレートを決定することは、受信導波管225の先端217におけるリターンビーム291’のビーム離脱419(図4e)が分離間隔221のしきい値内にあることを保障し、しきい値は、先端217におけるリターンビーム291’のイメージ418の直径の比よりも小さい。例示的な一実施例において、比は、約0.5であるか、または約0.3ないし約0.7の範囲内にある。
【0134】
図3cは、一実施例によって図3bのLIDARシステム320から多数の角度345a、345bで送信されたビーム343a、343bの一例を示すブロック図である。1つの実施例において、ビーム343a、343bは、第1ビーム342と中間ビーム344との間の中間ビームである。他の実施例において、ビーム343aは、第1ビーム342であり、ビーム343bは、第1ビーム342の後に処理される後続ビームである。609ステップにおいて、LIDARシステム320の最大スキャンレートが角度345aで決定される。角度345aでのビーム343aの最大設計距離(例えば、30m)が607ステップにおけるデータを用いてまず決定される。次に、最大設計距離についての601ステップからの第1SNR値が決定される。例示的な一実施例において、第1SNR値は、トレース440b、440c、440dの値を含む。次に、最大設計距離におけるこれらの第1SNR値のうち、いずれが最小SNRしきい値を超過するかが決定される。例示的な実施例において、最大設計距離(例えば、30m)におけるトレース440b、440c、440dの値は、すべて最小SNRしきい値442を超過する。次に、これらの第1SNR値のうち、いずれが最大スキャンレートを有するのかが判断され、この最大スキャンレートがその角度について609ステップで決定される。例示的な実施例において、トレース440cが最大スキャンレートを有し、したがって、この最大スキャンレートが角度345aでビーム343aをスキャンするのに使用される。一実施例において、図4iは、第1および第2角度におけるビーム342、346について611ステップで決定された最小スキャンレート(トレース450dに基づく400ns)が第1および第2角度との間の角度でのビーム344について611ステップで決定された最小累積時間(トレース450aに基づく3.2μs)よりも短いことを示す。
【0135】
611ステップにおいて、LIDARシステムのSNRが最小SNRしきい値よりも大きいように、LIDARシステムの最小累積時間が角度範囲227内のそれぞれの角度で決定される。最大設計距離が角度範囲227にわたって固定された値または固定された範囲の値を有する一部の実施例において、611ステップにおける、固定された最小累積時間が固定された最大設計距離(例えば、200m)または最大設計距離の固定された値の範囲(例えば、180mないし220m)に基づいて角度範囲227にわたって決定される。他の実施例において、角度範囲227内のそれぞれの角度でその角度についての最大設計距離が607ステップで受信されたデータに基づいてまず決定される。次に、603ステップで受信された第2SNR値がその角度で最大設計距離について決定され、これらの最大SNR値のうち、いずれが最小SNRしきい値を超過するかがさらに決定される。1つの実施例において、トレース450a、450b、450c、450dの値が最大設計距離(例えば、約120m)についてまたは最大設計距離についての値の範囲について決定され、トレース450a、450b、450cの値が最小SNRしきい値452を超過するとさらに決定する。最小SNRしきい値を超過するこれらの第2SNR値のうち、最小累積時間を有する第2SNR値が選択され、最小累積時間がその角度または角度範囲227について611ステップで決定される。前記実施例において、最大設計距離(例えば、120m)で最小SNRしきい値452を超過するトレース450a、450b、450cの値のうち、最小累積時間を有するトレース450c値が選択され、最小累積時間(例えば、約800ns)がその角度について611ステップで決定される。
【0136】
611ステップにおいて、角度345aでLIDARシステム320の最小累積時間が決定される。角度345aでのビーム343aの最大設計距離(例えば、30m)が607ステップにおけるデータを用いてまず決定される。次に、最大設計距離についての603ステップからの第2SNR値が決定される。例示的な一実施例において、第2SNR値は、トレース450a、450b、450c、450dの値を含む。次に、最大設計距離におけるこれらの第2SNR値のうち、いずれが最小SNRしきい値を超過するかが決定される。例示的な実施例において、最大設計距離(例えば、30m)でのトレース450a、450b、450c、450dの値がすべて最小SNRしきい値452を超過する。次に、これらのSNR値のうち、いずれが最小累積時間を有するかが決定され、この最小累積時間がその角度について611ステップで決定される。例示的な実施例において、トレース450dは、最小累積時間(例えば、400ns)を有し、したがって、この最小累積時間が角度345aでビーム343aを処理するのに使用される。
【0137】
613ステップにおいて、609、611ステップの他の繰り返しを行うために角度範囲227内に追加角度が残っているのかが判断される。最大設計距離が角度範囲227にわたって固定された値を有するか、または固定された範囲の値を有する一部の実施例において、609、611ステップは、最大設計距離の固定された値または固定された範囲の値に基づいてそれぞれ一回行われ、613、615ステップは、省略され、方法600は、617ステップに進行する。この実施例において、固定された最大スキャンレートが最大設計距離の固定された値または固定された範囲の値に基づいて609ステップで決定され、固定された最小累積時間が最大設計距離の固定された値または固定された範囲の値に基づいて611ステップで決定される。
【0138】
1つの実施例において、609、611ステップの初期繰り返しが範囲326内の第1ビーム342の第1角度で行われた角度範囲326についての613ステップにおける613ステップは、609、611ステップの以前繰り返しが角度範囲326内の第2ビーム346の第2角度以上であったかどうかの判断を含む。609、611ステップの初期繰り返しが範囲326の第2角度で行われた他の実施例において、613ステップは、609、611ステップの以前繰り返しが角度範囲326の第1角度以上であったかどうかの判断を含む。角度範囲内のより多くの角度が残っていると613ステップで判断すると、方法は、615ブロックに進行する。範囲326内にこれ以上の角度が残っていないと613ステップで判断すると、方法は、617ブロックに進行する。
【0139】
615ステップにおいて、初期角度で609、611ステップの以前繰り返しを行った後に、609、611ステップを繰り返す後続角度についての判断が行われる。一実施例において、図3cは、初期ビーム343aの初期角度345aで609、611ステップの以前繰り返しを行った後に、609、611ステップを繰り返す後続ビーム343bの後続角度345bを示している。一実施例において、615ステップは、後続角度345bおよび初期角度345aと後続角度345bとの間の角度増分350aについての判断を含む。1つの実施例において、後続角度345bは、初期角度345a、609ステップで決定された角度345aでの最大スキャンレートおよび611ステップで決定された角度345aでの最小累積時間に基づく。一実施例において、後続角度θは、初期角度θ、最大スキャンレートSおよび最小累積時間Iに基づき、次の数を用いる。
【数6】



一実施例において、初期角度345aが-15度であり、最大スキャンレートが毎秒15度であり、最小累積時間が2μsであれば、後続角度345bは、数6を用いて約-14.97度である。615ステップで後続角度を決定した後、609、611ステップが後続角度で繰り返されるように、方法は、609ブロックに再進行する。
【0140】
617ステップにおいて、609、611ステップのこれ以上の繰り返しが行われる必要がないと判断された後、角度範囲326内のそれぞれの角度での609ステップからの最大スキャンレートおよびステップ611からの最小累積時間に基づいてLIDARシステムのスキャンパターンが定義される。最大設計距離が角度範囲227にわたって固定された値または固定された範囲の値を有する一部の実施例において、固定された最大スキャンレートが最大設計距離の固定された値または固定された範囲の値に基づいて609ステップで決定され、固定された最小累積時間が最大設計距離の固定された値または固定された範囲の値に基づいて611ステップで決定される。この実施例において、617ステップにおけるスキャンパターンは、角度範囲227にわたってそれぞれの角度での固定された最大スキャンレートおよび固定された最小累積時間に基づいて定義される。
【0141】
他の実施例において、スキャンパターンは、第1ビーム342の第1角度と第2ビーム346の第2角度との間の角度範囲326内のそれぞれの角度についての最大スキャンレートおよび最小累積時間を含む。例示的な一実施例において、スキャンパターンは、処理システム250のメモリ(例えば、メモリ704)に格納される。他の例示的な実施例において、スキャンパターンでの隣接する角度の間の角度増分が615ステップで決定され、例えば、角度増分は、615ステップにおける後続角度と初期角度との間の間隔である。他の例示的な実施例において、図3cは、615ステップのための後続角度345bと初期角度345aとの間の角度増分350aおよび617ステップで決定されたスキャンパターンを示す。
【0142】
619ステップにおいて、LIDARシステムは、617ステップで決定されたスキャンパターンに応じて作動する。最大設計距離が角度範囲227にわたって固定された値または固定された範囲の値を有する1つの実施例において、固定された最大スキャンレートが最大設計距離の固定された値または固定された範囲の値に基づいて609ステップで決定される。この実施例において、619ステップにおけるLIDARシステムのビームは、角度範囲227にわたってスキャニング光学器機218を用いて固定された最大スキャンレートでスキャンされる。例示的な一実施例において、619ステップにおけるビーム205’’は、固定された最大スキャンレートでポリゴンスキャナ244を用いてスキャンされる。1つの実施例において、処理システム250は、ポリゴンスキャナ244にとって角速度249の速度が固定された最大スキャンレートとなるようにする信号をポリゴンスキャナ244に送信する。さらに、この実施例において、LIDARシステムの最小累積時間は、最大設計距離についての固定された値または固定された範囲の値に基づく固定された最小累積時間に基づく。一実施例において、ビーム205’’がポリゴンスキャナ244の隣接するファセット245によってスキャンされることにより、ビーム205’’は、角度範囲227にわたって連続にスキャンされる。したがって、例示的な一実施例において、ビーム205’’は、角度範囲227にわたってファセット245aによってスキャンされ、続いて、ビーム205’’は、角度範囲227にわたってファセット245bによってスキャンされる。619ステップのうち、リターンビーム291’は、コリメーション光学器機229によって受信導波管225の先端217内にフォーカシングされる。多数の受信導波管225a、225bが提供される例示的な一実施例において、ビーム205’’が角度範囲227の第1部分にわたって固定された最大スキャンレートでスキャンされるとき(例えば、より遠いターゲット距離;ビーム344)、リターンビーム291’は、第1受信導波管225aの先端217内にフォーカシングされ、ビーム205’’が角度範囲227の第2部分にわたって固定された最大スキャンレートでスキャンされるとき(例えば、より短いターゲット距離;ビーム342、346)、リターンビーム291’は、第2受信導波管225bの先端内にフォーカシングされる。他の例示的な実施例において、1つの受信導波管225aがあり、受信導波管225bが省略され、ビーム205’’が角度範囲227(例えば、視野324)にわたって固定された最大スキャンレートでスキャンされることにより、リターンビーム291’は、受信導波管225aの先端から受信される。
【0143】
619ステップにおいて、LIDARシステムの1つ以上のパラメータがシステム200’’の設計段階中に選択される。例示的な一実施例において、送信導波管223と受信導波管225との間の分離間隔221の値がグラフ464、465、466、467、469のうち、1つ以上の使用に基づいて選択され、ユーザーは、リターンビーム291’のSNRしきい値を得るために設計ターゲット距離およびスキャン速度の知れた値に基づいて分離間隔221の値を決定する。また他の例示的な実施例において、ポリゴンスキャナ244のスキャン速度の値がグラフ464、465、466、467、469、440の使用に基づいて選択され、ユーザーは、リターンビーム291’のSNRしきい値を得るために設計ターゲット距離および分離間隔221の知れた値に基づいてスキャン速度の値を決定する。
【0144】
他の実施例において、619ステップにおけるLIDARシステムのビームは、1つ以上のサイクルのうち、角度範囲326内でスキャンされ、それぞれの角度でのビームのスキャンレートは、その角度についてのスキャンパターンでの最大スキャンレートであり、それぞれの角度でのLIDARシステムの累積時間は、その角度についての最小累積時間である。1つの実施例において、619ステップにおける、それぞれの角度でLIDARシステムの処理システム250は、それぞれの角度でのスキャンレートがその角度についてのスキャンパターンの最大スキャンレートとなるようにスキャニング光学器機218に1つ以上の信号を送信する。さらに、1つの実施例において、619ステップでそれぞれの角度でLIDARシステムの処理システム250は、累積時間がその角度についてのスキャンパターンの最小累積時間になるように、それぞれの角度で受信されたリターンされたビーム291について獲得システム240および/または処理システム250の累積時間を調整する。有益には、これはLIDARシステムがそれぞれの角度で適切なSNRを維持することを保障しながら、ビームが最大スキャンレートでスキャンされ、リターンビームがそれぞれの角度で最も短い累積時間に処理されることを保障する。
【0145】
図5は、一実施例によって図2eのシステムで多数の角度範囲にわたった時間についての垂直角度の一例を示すグラフである。水平軸502は、秒(s)単位の時間であり、垂直軸は、ラジアン(rad)単位の角度である。トレース540は、619ステップにおける多数のスキャンパターンのうちのビームについてスキャニング中の時間についてのビームの角度を示す。時間上の一瞬間でのトレース540の傾きは、その時間でのビームのスキャンレートを示す。一実施例において、トレース540の領域542は、ビームが上限347に向けて指向されるときのより速いスキャンレート(例えば、トレース540の高い傾き)を示し、トレース540の領域544は、ビームが地面349に向けて指向されるときのより速いスキャンレート(例えば、トレース540の高い傾き)を示し、そして、トレース540の領域546は、ビームが地面349と平行に指向されるときのより遅いスキャンレート(例えば、トレース540の低い傾き)を示している。ビーム205’’が固定された最大スキャンレートでスキャンされる他の実施例において、トレースは、角度範囲227にわたって固定された傾きを示している。
【0146】
他の実施例において、619ステップの間または後に、プロセッサは、619ステップ途中にLIDARシステムによって収集されたデータに少なくとも部分的に基づいて車両310を作動させる。1つの実施例において、LIDARシステムの処理システム250および/または車両310のプロセッサ314は、619ステップでLIDARシステムによって収集されたデータに基づいて車両の操向および/または制動システムに1つ以上の信号を送信する。1つの例示的な実施例において、処理システム250は、LIDARデータに応答して車両310の位置を制御するために車両310の操向または制動システムに1つ以上の信号を送信する。他の実施例において、処理システム250は、619ステップで収集されたLIDARデータに基づいて車両310のプロセッサ314に1つ以上の信号を送信し、これによって、プロセッサ314は、車両310の操向および制動システムに1つ以上の信号を送信する。
7.コンピュータハードウェア概要
【0147】
図7は、本発明の一実施例を実装できるコンピュータシステム700を示すブロック図である。コンピュータシステム700は、コンピュータシステム700の他の内部および外部コンポーネントの間に情報を伝達するためのバス710のような通信メカニズムを含む。情報は、典型的には電圧である測定可能な現状の物理的信号として表されるが、他の実施例では、磁気相互作用、電磁相互作用、圧力相互作用、化学相互作用、分子原子相互作用および量子相互作用のような現象を含む。例えば、N極およびS極磁場、または0の電圧および非ゼロの電圧は、2進数(ビット)の2つの状態(0、1)を示す。他の現象は、より高いベースの数を示し得る。測定前に複数の同時量子状態の重畳は、量子ビット(クビット)を示す。1つ以上の数字シーケンスは、数字または文字についてのコードを示すのに使用されるデジタルデータを構成する。一部の実施例において、アナログデータと呼ばれる情報は、特定の範囲内の測定可能な値の近接連続体(Near Continuum)に表示される。コンピュータシステム700またはその一部は、本明細書に説明された1つ以上の方法のうち、1つ以上のステップを行うための手段を構成する。
【0148】
2進数シーケンスは、数字または文字についてのコードを示すのに使用されるデジタルデータを構成する。バス710は、情報がバス710に連結された装置の間に迅速に送信されるように、多くの並列情報コンダクタ(Parallel Conductors of Information)を含み得る。情報を処理するための1つ以上のプロセッサ702がバス710と結合される。プロセッサ702は、情報についての一連の動作を行う。一連の動作は、バス710から情報を取得することと、バス710上に情報を配置することを含む。また、一連の動作は、通常、2つ以上の情報単位の比較、情報単位の位置シフト、加算または乗算のような2つ以上の情報単位の結合を含む。プロセッサ702によって行われる動作シーケンスは、コンピュータ命令語を構成する。
【0149】
また、コンピュータシステム700は、バス710に結合されたメモリ704を含む。ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)または他の動的格納装置のようなメモリ704は、コンピュータ命令語を含む情報を格納する。動的メモリは、その中に格納された情報がコンピュータシステム700によって変更されるようにする。RAMは、メモリアドレスと呼ばれる位置に格納された情報単位が隣接するアドレスの情報と独立して格納され、検索されるようにする。また、メモリ704は、コンピュータ命令語の実行中に一時的な値を格納するためにプロセッサ702によって使用される。また、コンピュータシステム700は、読み取り専用メモリ(Read Only Memory、ROM)706またはコンピュータシステム700によって変更されない命令語を含む静的情報を格納するためにバス710に結合された他の静的格納装置を含む。また、コンピュータシステム700がオフになったり、それとも電力が損失されるときにも持続する命令語を含む情報を格納するための磁気ディスクまたは光ディスクのような不揮発性(永久)格納装置708がバス710に結合され得る。
【0150】
命令語を含む情報は、人間ユーザーによって操作される文字と数字のキーを含むキーボードのような、外部入力装置712またはセンサからプロセッサによって使用するためにバス710に提供される。センサは、その周辺の状態を検出し、このような検出をコンピュータシステム700で情報を表すために使用される信号と互換可能な信号に変換する。主に人間と相互作用するために使用されるバス710に結合された他の外部装置は、イメージを提供するためのCRT(Cathode Ray Tube)または液晶ディスプレイ(LCD)のようなディスプレイ装置714を含み、ディスプレイ714に提供される小さいカーソルイメージの位置を制御し、ディスプレイ714上に提供されるグラフィック要素に関連する命令を発行するためのマウスまたはトラックボールまたはカーソル方向キーのようなポインティング装置716を含む。
【0151】
図示された実施例において、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)720のような特殊目的のハードウェアがバス710に結合される。特殊目的のハードウェアは、特別な目的のためにプロセッサ702によって迅速に実行されない動作を十分に迅速に実行するように構成される。ASICの例は、ディスプレイ714のためのイメージを生成するためのグラフィックス加速器カード、ネットワークを介して送信されたメッセージを暗号化および復号化するための暗号化ボード(Cryptographic Board)、音声認識およびハードウェア内でより効率的に実装されている一部の複雑な一連の動作を繰り返しに行うロボットアーム(Robotic Arm)および医療スキャニング装備のような特別な外部装置とのインターフェースを含む。
【0152】
また、コンピュータシステム700は、バス710に連結された通信インターフェース770の1つ以上の例を含む。通信インターフェース770は、プリンター、スキャナおよび外部ディスクのような独自のプロセッサで動作する様々な外部装置についての双方向通信カップリングを提供する。一般的に、カップリングは、独自のプロセッサを有する様々な外部装置が接続されるローカルネットワーク780に接続されるネットワークリンク778を用いて行われる。例えば、通信インターフェース770は、パーソナルコンピュータ上の並列ポートまたは直列ポートまたはUSB(Universal Serial Bus)ポートであり得る。一部の実施例において、通信インターフェース770は、ISDN(Integrated Services Digital Network)カードまたはDSL(Digital Subscriber Line)カードまたは対応するタイプの電話回線への情報通信連結を提供する電話モデムである。一部の実施例において、通信インターフェース770は、バス710上の信号を同軸ケーブルを介する通信連結のための信号または光ファイバーケーブルを介する通信連結のための光信号に変換するケーブルモデムである。他の例として、通信インターフェース770は、イーサネット(Ethernet)のような互換可能な近距離通信網(Local Area Network、LAN)にデータ通信接続を提供するLANカードであり得る。また、無線リンクが具現できる。電波(Radio Wave)、光波(Optical Wave)および赤外線波(Infrared Wave)を含む音波および電磁波のような搬送波は、ワイヤまたはケーブルなしで空間を通過する。信号は、振幅、周波数、位相、偏光または搬送波の他の物理的特性の人工的な変動を含む。無線リンクについて、通信インターフェース770は、デジタルデータのような情報ストリームを運搬する赤外線および光信号を含む電気、音響または電磁信号を送受信する。
【0153】
本明細書において、コンピュータ読み取り可能な媒体という用語は、実行のための命令語を含む情報をプロセッサ702に提供するのに参与する任意の媒体を指すのに使用される。このような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体および送信媒体を含むが、ここに限定されない様々な形態を取り得る。不揮発性媒体は、例えば、格納装置708のような、光または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、例えば、動的メモリ704を含む。送信媒体は、例えば、同軸ケーブル、銅線、光ファイバーケーブルおよび電波、光波および赤外線波を含む音波および電磁波のような、有線またはケーブルなしで空間を通過する波を含む。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な格納媒体という用語は、送信媒体を除外し、プロセッサ702に情報を提供するのに参与する任意の媒体を指すために使用される。
【0154】
コンピュータ読み取り可能な媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブル(Flexible)ディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意の他の磁気媒体、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、デジタルビデオディスク(DVD)または他の光媒体、パンチカード、ペーパーテープ、またはホールパターンを有する任意の他の物理的媒体、RAM、PROM(プログラム可能なROM)、EPROM(消去可能なPROM)、FLASH-EPROM、または他のメモリチップまたはカートリッジ、搬送波、またはコンピュータが読み取ることができる任意の他の媒体を含む。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な非一時的な(Non-Transitory)格納媒体という用語は、搬送波および他の信号を除外し、プロセッサ702に情報を提供するのに参与する任意の媒体を指すために使用される。
【0155】
1つ以上の有形の媒体(Tangible Media)内にエンコードされたロジッグは、コンピュータ読み取り可能な格納媒体上のプロセッサ命令語およびASIC720のような特殊目的のハードウェアのうち、1つまたは両方を含む。
【0156】
ネットワークリンク778は、通常、情報を使用するか、または処理する他の装置への1つ以上のネットワークを介する情報通信を提供する。例えば、ネットワークリンク778は、ローカルネットワーク780を介してホストコンピュータ782またはインターネットサービス提供者(ISP)によって運営される装備784に接続を提供し得る。ISP装備784は、現在に一般的にインターネット790と呼ばれるネットワークの公開的かつ全世界的なパケット-交換通信ネットワークを介してデータ通信サービスを提供する。インターネットに接続されたサーバー792と呼ばれるコンピュータは、インターネットを介して受信された情報に応答してサービスを提供する。例えば、サーバー792は、ディスプレイ714におけるプレゼンテーションのためのビデオデータを表す情報を提供する。
【0157】
本発明は、本明細書に説明された技術を具現するためのコンピュータシステム700の使用に関するものである。本発明の一実施例によると、この技術は、メモリ704に含まれた1つ以上の命令語の1つ以上のシーケンスを行うプロセッサ702に応答してコンピュータシステム700によって行われる。ソフトウェアおよびプログラムコードとも呼ばれるこれらの命令語は、格納装置708のような他のコンピュータ読み取り可能な媒体からメモリ704に読み込まれることができる。メモリ704に含まれた命令語のシーケンスの実行は、プロセッサ702にとって本明細書に説明された方法のステップを行うようにする。他の実施例において、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)720のようなハードウェアが本発明を具現するためにソフトウェアの代わりに、またはソフトウェアとともに使用できる。したがって、本発明の実施例は、ハードウェアとソフトウェアの任意の特定の組み合わせに制限されない。
【0158】
ネットワークリンク778および通信インターフェース770を介する他のネットワークを介して送信された信号は、コンピュータシステム700に、そして、それからの情報を運搬する。コンピュータシステム700は、他のものの中でも、ネットワーク780、790を介して、ネットワークリンク778および通信インターフェース770を介して、プログラムコードを含む情報を送受信し得る。インターネット790を用いる一例において、サーバー792は、インターネット790、ISP装備784、ローカルネットワーク780および通信インターフェース770を介して、コンピュータ700から送信されたメッセージによって要請された特定アプリケーションのためのプログラムコードを送信する。受信されたコードは、受信されるときにプロセッサ702によって行われるか、後で行うために格納装置708または他の不揮発性格納装置に格納されるか、またはその両方であり得る。このような方式であって、コンピュータシステム700は、搬送波での信号の形態でアプリケーションプログラムコードを得られる。
【0159】
様々な形態のコンピュータ読み取り可能な媒体は、実行のためにプロセッサ702に命令語またはデータ、またはこの両方の1つ以上のシーケンスを運搬するのに関連し得る。例えば、命令語およびデータは、初期にホスト782のような遠隔コンピュータの磁気ディスク上に運搬され得る。遠隔コンピュータは、命令語およびデータをその動的メモリにローディングし、モデムを使用して電話回線を介して命令語およびデータを送信する。コンピュータシステム700にローカルなモデムは、電話回線上で命令語およびデータを受信し、赤外線送信機を使用して命令語およびデータをネットワークリンク778の役割をする赤外線搬送波上の信号に変換する。通信インターフェース770の役割をする赤外線検出器は、赤外線信号内に運搬された命令語およびデータを受信し、命令語およびデータを表す情報をバス710上に位置させる。バス710は、情報をメモリ704に運搬し、プロセッサ702は、命令語とともに送信されたデータの一部を用いてメモリ704から命令語を検索して実行する。メモリ704で受信された命令語およびデータは、プロセッサ702による実行前または後に格納装置708に選択的に格納され得る。
【0160】
図8は、本発明の一実施例が具現できるチップセット800を示す。チップセット800は、本明細書に説明された方法の1つ以上のステップを行うようにプログラミングされ、例えば、1つ以上の物理的パッケージ(例えば、チップ)に含まれた図7に関連して説明されたプロセッサおよびメモリコンポーネントを含む。例として、物理的パッケージは、物理的強度、サイズの保存および/または電気的相互作用の制限のような1つ以上の特性を提供するために構造的アセンブリ(例えば、ベースボード)上の1つ以上の材料、コンポーネントおよび/またはワイヤの配列を含む。所定の実施例において、チップセットは、単一チップで具現できることが考慮される。チップセット800またはその一部は、本明細書に説明された方法の1つ以上のステップを行うための手段を構成する。
【0161】
1つの実施例において、チップセット800は、チップセット800のコンポーネントの間で情報を伝達するためのバス801のような通信メカニズムを含む。プロセッサ803は、命令語を実行し、例えば、メモリ805に格納された情報を処理するためにバス801に連結される。プロセッサ803は、それぞれのコアが独立して行うように構成された1つ以上のプロセッシングコアを含み得る。マルチコアプロセッサは、単一の物理的パッケージ内で多重処理を可能にする。マルチコアプロセッサの例は、2つ、4つ、8つまたはその以上のプロセッサコアを含む。代替的または追加的に、プロセッサ803は、命令語、パイプライニング(Pipelining)およびマルチスレッディング(Multithreading)の独立した実行を可能にするためにバス801を介して直列で構成された1つ以上のマイクロプロセッサを含み得る。また、プロセッサ803は、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)または1つ以上のASIC809のような所定の処理機能および作業を行うための1つ以上の特殊コンポーネントを伴い得る。DSP807は、通常、プロセッサ803と独立して実世界の信号(例えば、サウンド)をリアルタイムで処理するように構成される。同様に、ASIC809は、汎用プロセッサによって容易に実行されない特殊機能を行うように構成され得る。本明細書に説明された発明的機能を実行することを支援するための他の特殊コンポーネントは、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)(図示せず)、1つ以上のコントローラー(図示せず)または1つ以上の他の特殊目的のコンピュータチップを含む。
【0162】
プロセッサ803および随伴するコンポーネントは、バス801を介してメモリ805に連結される。メモリ805は、実行されるときに本明細書に説明された方法の1つ以上のステップを行うように、実行可能な命令語を格納するための動的メモリ(例えば、RAM、磁気ディスク、書き込み可能な光ディスクなど)および静的メモリ(例えば、ROM、CD-ROMなど)の両方を含む。メモリ805は、本明細書に説明された方法のうち、1つ以上のステップの実行に関連したり、その実行によって生成されたデータを格納する。
8.変更、拡張および修正
【0163】
前述の詳細な説明において、本発明は、具体的な実施例を参照して説明されている。しかし、本発明のより広い思想および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更が行われ得ることが明らかである。したがって、明細書および図面は、制限的な意味ではなく、例示的な意味とみなされるべきである。本明細書および請求項の全体にわたって、文脈上他に要求しない限り、「含み」および「含んでいる」のような「含む」という単語およびその変形は、任意の他の項目、要素またはステップ、または項目、要素またはステップのグループを排除しない言及した項目、要素またはステップ、または項目、要素またはステップのグループの包含を意味するものと理解できるであろう。また、不定冠詞は、冠詞によって修飾される1つ以上の項目、要素またはステップを表すものと意図される。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図4g
図4h
図4i
図4j
図4k
図4l
図4m
図4n
図4o
図5
図6
図7
図8