IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソフトバンクモバイル株式会社の特許一覧

特許7588747無線中継装置、ゲートウェイ装置及び通信システム
<>
  • 特許-無線中継装置、ゲートウェイ装置及び通信システム 図1
  • 特許-無線中継装置、ゲートウェイ装置及び通信システム 図2
  • 特許-無線中継装置、ゲートウェイ装置及び通信システム 図3
  • 特許-無線中継装置、ゲートウェイ装置及び通信システム 図4
  • 特許-無線中継装置、ゲートウェイ装置及び通信システム 図5
  • 特許-無線中継装置、ゲートウェイ装置及び通信システム 図6
  • 特許-無線中継装置、ゲートウェイ装置及び通信システム 図7
  • 特許-無線中継装置、ゲートウェイ装置及び通信システム 図8
  • 特許-無線中継装置、ゲートウェイ装置及び通信システム 図9
  • 特許-無線中継装置、ゲートウェイ装置及び通信システム 図10
  • 特許-無線中継装置、ゲートウェイ装置及び通信システム 図11
  • 特許-無線中継装置、ゲートウェイ装置及び通信システム 図12
  • 特許-無線中継装置、ゲートウェイ装置及び通信システム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】無線中継装置、ゲートウェイ装置及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 84/06 20090101AFI20241115BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20241115BHJP
   H04B 7/185 20060101ALI20241115BHJP
   H04B 7/15 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
H04W84/06
H04W16/26
H04B7/185
H04B7/15
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024093917
(22)【出願日】2024-06-10
【審査請求日】2024-06-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】太田 喜元
(72)【発明者】
【氏名】長手 厚史
【審査官】横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/037327(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2024-0069665(KR,A)
【文献】特開2009-218639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
H04B 7/14- 7/22
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4、6
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムであって、
基地局装置と端末装置との間のFDD(周波数分割複信)方式の通信を中継する非再生型の無線中継装置と、前記基地局装置に接続され前記無線中継装置と無線通信可能なゲートウェイ装置と、を備え、
前記無線中継装置と前記端末装置との間のサービスリンク及び前記無線中継装置と前記ゲートウェイ装置との間のフィーダリンクに、複数の周波数チャネルが隣接配置されたFDD上り回線帯域と複数の周波数チャネルが隣接配置されたFDD下り回線帯域とが所定のガードバンドを介して離隔配置された同一周波数帯を用い、
前記無線中継装置は、
前記サービスリンクの送受信と前記フィーダリンクの送受信とに共用される共用アンテナと、
前記共用アンテナを介して前記端末装置から受信した前記FDD上り回線帯域の第1周波数チャネルにおけるREV(リバース)リンク信号の周波数を、前記FDD下り回線帯域の第2周波数チャネルの周波数に変換し、前記共用アンテナを介して前記ゲートウェイ装置から受信した前記FDD上り回線帯域の第2周波数チャネルにおけるFWD(フォワード)リンク信号の周波数を、前記FDD下り回線帯域の第1周波数チャネルの周波数に変換する周波数変換部と、
前記周波数変換部で周波数が変換された前記FDD下り回線帯域の前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号を増幅する単一の電力増幅器と、を有し、
前記ゲートウェイ装置は、
前記フィーダリンクの送受信に使用されるフィーダリンクアンテナと、
前記基地局装置から受信した前記FDD下り回線帯域の第1周波数チャネルにおける前記FWDリンク信号の周波数を、前記FDD上り回線帯域の第2周波数チャネルの周波数に変換し、前記フィーダリンクアンテナを介して前記無線中継装置から受信した前記FDD下り回線帯域の第2周波数チャネルにおける前記REVリンク信号の周波数を、前記FDD上り回線帯域の第1周波数チャネルの周波数に変換する周波数変換部と、
前記周波数変換部で周波数が変換された前記FDD上り回線帯域の前記FWDリンク信号を増幅する第1電力増幅器と、
前記周波数変換部で周波数が変換された前記FDD上り回線帯域の前記REVリンク信号を増幅する第2電力増幅器と、を有する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1の通信システムにおいて、
前記無線中継装置は、前記共用アンテナを介して受信した前記FDD上り回線帯域における前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号を増幅する単一のローノイズ増幅器を備える、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項1の通信システムにおいて、
前記無線中継装置の前記周波数変換部は、
前記FDD上り回線帯域の前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号を復調してベースバンド信号を生成する復調部と、
前記ベースバンド信号における前記REVリンク信号の周波数チャネルを前記第1周波数チャネルから前記第2周波数チャネルに切り替え、前記ベースバンド信号における前記FWDリンク信号の周波数チャネルを前記第2周波数チャネルから前記第1周波数チャネルに切り替えるベースバンド信号処理部と、
前記周波数チャネルを切り替えた前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号のベースバンド信号で搬送波を変調して前記FDD下り回線帯域の前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号の送信信号を生成する変調部と、
を有する、ことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項3の通信システムにおいて、
前記ベースバンド信号処理部は、
前記復調部で復調した前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号を含むベースバンド信号を、第1ベースバンド信号及び第2ベースバンド信号に2分岐する信号分岐部と、
前記第1ベースバンド信号における前記FWDリンク信号を抽出し、チャネル帯域の周波数幅分だけ低周波側に周波数をシフトする第1周波数シフト部と、
前記第2ベースバンド信号における前記REVリンク信号を抽出し、チャネル帯域の周波数幅分だけ高周波側に周波数をシフトする第2周波数シフト部と、
前記第1周波数シフト部で処理した第1ベースバンド信号及び前記第2周波数シフト部で処理した第2ベースバンド信号を合成する信号合成部と、
を有する、ことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項4の通信システムにおいて、
前記第1周波数シフト部は、
前記ベースバンド信号の帯域中心f0に前記FWDリンク信号が位置するように、前記第1ベースバンド信号の周波数を前記チャネル帯域の2分の1だけ低周波数側にシフトする前段シフト部と、
前記帯域中心f0を中心として前記FWDリンク信号を選択的に通過させる帯域通過フィルターと、
前記端末装置に対する送信電力が一定電力になるように利得制御して前記第1ベースバンド信号を増幅する利得制御型の電力増幅器と、
前記帯域中心f0に前記FWDリンク信号の高周波数端部が位置するように、前記第1ベースバンド信号の周波数を前記チャネル帯域の2分の1だけ低周波数側にシフトする後段シフト部と、を有し、
前記第2周波数シフト部は、
前記ベースバンド信号の帯域中心f0に前記REVリンク信号が位置するように、前記第2ベースバンド信号の周波数を前記チャネル帯域の2分の1だけ高周波数側にシフトする前段シフト部と、
前記帯域中心f0を中心として前記REVリンク信号を選択的に通過させる帯域通過フィルターと、
前記帯域中心f0に前記REVリンク信号の低周波数端部が位置するように、前記第2ベースバンド信号の周波数を前記チャネル帯域の2分の1だけ高周波数側にシフトする後段シフト部と、を有する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかの通信システムにおいて、
前記無線中継装置は、上空に位置する飛行体又は浮揚体の機体に設けられ、前記共用アンテナを介して地上又は海上のサービスエリアに向けて一又は複数のセルを形成し前記セルに在圏する一又は複数の端末装置と無線通信する上空中継型の無線中継装置である、ことを特徴とする通信システム。
【請求項7】
基地局装置と端末装置との間のFDD(周波数分割複信)方式の通信を中継する非再生型の無線中継装置であって、
前記無線中継装置と前記端末装置との間のサービスリンク及び前記無線中継装置と前記基地局装置に接続されたゲートウェイ装置との間のフィーダリンクに、複数の周波数チャネルが隣接配置されたFDD上り回線帯域と複数の周波数チャネルが隣接配置されたFDD下り回線帯域とが所定のガードバンドを介して離隔配置された同一周波数帯を用い、
前記サービスリンクの送受信と前記フィーダリンクの送受信とに共用される共用アンテナと、
前記共用アンテナを介して前記端末装置から受信した前記FDD上り回線帯域の第1周波数チャネルにおけるREV(リバース)リンク信号の周波数を、前記FDD下り回線帯域の第2周波数チャネルの周波数に変換し、前記共用アンテナを介して前記ゲートウェイ装置から受信した前記FDD上り回線帯域の第2周波数チャネルにおけるFWD(フォワード)リンク信号の周波数を、前記FDD下り回線帯域の第1周波数チャネルの周波数に変換する周波数変換部と、
前記周波数変換部で周波数が変換された前記FDD下り回線帯域の前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号を増幅する単一の電力増幅器と、
を備える、ことを特徴とする無線中継装置。
【請求項8】
請求項7の無線中継装置において、
前記共用アンテナを介して受信した前記FDD上り回線帯域における前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号を増幅する単一のローノイズ増幅器を備える、
ことを特徴とする無線中継装置。
【請求項9】
請求項7の無線中継装置において、
前記周波数変換部は、
前記FDD上り回線帯域の前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号を復調してベースバンド信号を生成する復調部と、
前記ベースバンド信号における前記REVリンク信号の周波数チャネルを前記第1周波数チャネルから前記第2周波数チャネルに切り替え、前記ベースバンド信号における前記FWDリンク信号の周波数チャネルを前記第2周波数チャネルから前記第1周波数チャネルに切り替えるベースバンド信号処理部と、
前記周波数チャネルを切り替えた前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号のベースバンド信号で搬送波を変調して前記FDD下り回線帯域の前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号の送信信号を生成する変調部と、
を有する、ことを特徴とする無線中継装置。
【請求項10】
請求項9の無線中継装置において、
前記ベースバンド信号処理部は、
前記復調部で復調した前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号を含むベースバンド信号を、第1ベースバンド信号及び第2ベースバンド信号に2分岐する信号分岐部と、
前記第1ベースバンド信号における前記FWDリンク信号を抽出し、チャネル帯域の周波数幅分だけ低周波側に周波数をシフトする第1周波数シフト部と、
前記第2ベースバンド信号における前記REVリンク信号を抽出し、チャネル帯域の周波数幅分だけ高周波側に周波数をシフトする第2周波数シフト部と、
前記第1周波数シフト部で処理した第1ベースバンド信号及び前記第2周波数シフト部で処理した第2ベースバンド信号を合成する信号合成部と、
を有する、ことを特徴とする無線中継装置。
【請求項11】
請求項10の無線中継装置において、
前記第1周波数シフト部は、
前記ベースバンド信号の帯域中心f0に前記FWDリンク信号が位置するように、前記第1ベースバンド信号の周波数を前記チャネル帯域の2分の1だけ低周波数側にシフトする前段シフト部と、
前記帯域中心f0を中心として前記FWDリンク信号を選択的に通過させる帯域通過フィルターと、
前記端末装置に対する送信電力が一定電力になるように利得制御して前記第1ベースバンド信号を増幅する利得制御型の電力増幅器と、
前記帯域中心f0に前記FWDリンク信号の高周波数端部が位置するように、前記第1ベースバンド信号の周波数を前記チャネル帯域の2分の1だけ低周波数側にシフトする後段シフト部と、を有し、
前記第2周波数シフト部は、
前記ベースバンド信号の帯域中心f0に前記REVリンク信号が位置するように、前記第2ベースバンド信号の周波数を前記チャネル帯域の2分の1だけ高周波数側にシフトする前段シフト部と、
前記帯域中心f0を中心として前記REVリンク信号を選択的に通過させる帯域通過フィルターと、
前記帯域中心f0に前記REVリンク信号の低周波数端部が位置するように、前記第2ベースバンド信号の周波数を前記チャネル帯域の2分の1だけ高周波数側にシフトする後段シフト部と、を有する、
ことを特徴とする無線中継装置。
【請求項12】
請求項7乃至11のいずれかの無線中継装置において、
当該無線中継装置は、上空に位置する飛行体又は浮揚体の機体に設けられ、前記共用アンテナを介して地上又は海上のサービスエリアに向けて一又は複数のセルを形成し前記セルに在圏する一又は複数の端末装置と無線通信する上空中継型の無線中継装置である、
ことを特徴とする無線中継装置。
【請求項13】
基地局装置に接続され、前記基地局装置と端末装置との間のFDD(周波数分割複信)方式の通信を中継する非再生型の無線中継装置と無線通信可能なゲートウェイ装置であって、
前記無線中継装置と前記端末装置との間のサービスリンク及び前記無線中継装置と前記ゲートウェイ装置との間のフィーダリンクに、複数の周波数チャネルが隣接配置されたFDD上り回線帯域と複数の周波数チャネルが隣接配置されたFDD下り回線帯域とが所定のガードバンドを介して離隔配置された同一周波数帯を用い、
前記フィーダリンクの送受信に使用されるフィーダリンクアンテナと、
前記基地局装置から受信した前記FDD下り回線帯域の第1周波数チャネルにおける前記FWDリンク信号の周波数を、前記FDD上り回線帯域の第2周波数チャネルの周波数に変換し、前記フィーダリンクアンテナを介して前記無線中継装置から受信した前記FDD下り回線帯域の第2周波数チャネルにおける前記REVリンク信号の周波数を、前記FDD上り回線帯域の第1周波数チャネルの周波数に変換する周波数変換部と、
前記周波数変換部で周波数が変換された前記FDD上り回線帯域の前記FWDリンク信号を増幅する第1電力増幅器と、
前記周波数変換部で周波数が変換された前記FDD上り回線帯域の前記REVリンク信号を増幅する第2電力増幅器と、を備える、
ことを特徴とするゲートウェイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線中継装置を介した基地局装置と端末装置との間の通信の中継に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上空に滞在可能な高高度プラットフォーム局(HAPS)(「高高度疑似衛星」ともいう。)等の上空滞在型の無線中継装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この無線中継装置における通信回線は、その無線中継装置と移動通信網側のゲートウェイ(GW)装置との間のフィーダリンク(中継無線区間)と、無線中継装置と端末装置との間のサービスリンクとで構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2016/0046387号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記上空滞在型の無線中継装置等に用いることができる非再生型の無線中継装置を備えた通信システムにおいて、移動通信網側の基地局装置と端末装置とのFDD(周波数分割複信)方式の通信を維持するとともに、無線中継装置の軽量化及び低消費電力化を図りたい、という課題がある
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る通信システムは、基地局装置と端末装置との間のFDD(周波数分割複信)方式の通信を中継する非再生型の無線中継装置と、前記基地局装置に接続され前記無線中継装置と無線通信可能なゲートウェイ装置と、を備える。この通信システムは、前記無線中継装置と前記端末装置との間のサービスリンク及び前記無線中継装置と前記ゲートウェイ装置との間のフィーダリンクに、複数の周波数チャネルが隣接配置されたFDD上り回線帯域と複数の周波数チャネルが隣接配置されたFDD下り回線帯域とが所定のガードバンドを介して離隔配置された同一周波数帯を用いる。前記無線中継装置は、前記サービスリンクの送受信と前記フィーダリンクの送受信とに共用される共用アンテナと、前記共用アンテナを介して前記端末装置から受信した前記FDD上り回線帯域の第1周波数チャネルにおけるREV(リバース)リンク信号の周波数を、前記FDD下り回線帯域の第2周波数チャネルの周波数に変換し、前記共用アンテナを介して前記ゲートウェイ装置から受信した前記FDD上り回線帯域の第2周波数チャネルにおけるFWD(フォワード)リンク信号の周波数を、前記FDD下り回線帯域の第1周波数チャネルの周波数に変換する周波数変換部と、前記周波数変換部で周波数が変換された前記FDD下り回線帯域の前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号を増幅する単一の電力増幅器と、を有する。前記ゲートウェイ装置は、前記フィーダリンクの送受信に使用されるフィーダリンクアンテナと、前記基地局装置から受信した前記FDD下り回線帯域の第1周波数チャネルにおける前記FWDリンク信号の周波数を、前記FDD上り回線帯域の第2周波数チャネルの周波数に変換し、前記フィーダリンクアンテナを介して前記無線中継装置から受信した前記FDD下り回線帯域の第2周波数チャネルにおける前記REVリンク信号の周波数を、前記FDD上り回線帯域の第1周波数チャネルの周波数に変換する周波数変換部と、前記周波数変換部で周波数が変換された前記FDD上り回線帯域の前記FWDリンク信号を増幅する第1電力増幅器と、前記周波数変換部で周波数が変換された前記FDD上り回線帯域の前記REVリンク信号を増幅する第2電力増幅器と、を有する。
【0006】
本発明の他の態様に係る無線中継装置は、基地局装置と端末装置との間のFDD(周波数分割複信)方式の通信を中継する非再生型の無線中継装置である。この無線中継装置は、前記無線中継装置と前記端末装置との間のサービスリンク及び前記無線中継装置と前記ゲートウェイ装置との間のフィーダリンクに、複数の周波数チャネルが隣接配置されたFDD上り回線帯域と複数の周波数チャネルが隣接配置されたFDD下り回線帯域とが所定のガードバンドを介して離隔配置された同一周波数帯を用いる。前記無線中継装置は、前記サービスリンクの送受信と前記フィーダリンクの送受信とに共用される共用アンテナと、前記共用アンテナを介して前記端末装置から受信した前記FDD上り回線帯域の第1周波数チャネルにおけるREV(リバース)リンク信号の周波数を、前記FDD下り回線帯域の第2周波数チャネルの周波数に変換し、前記共用アンテナを介して前記ゲートウェイ装置から受信した前記FDD上り回線帯域の第2周波数チャネルにおけるFWD(フォワード)リンク信号の周波数を、前記FDD下り回線帯域の第1周波数チャネルの周波数に変換する周波数変換部と、前記周波数変換部で周波数が変換された前記FDD下り回線帯域の前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号を増幅する単一の電力増幅器と、を備える。
【0007】
本発明の更に他の態様に係るゲートウェイ装置は、基地局装置に接続され、前記基地局装置と端末装置との間のFDD(周波数分割複信)方式の通信を中継する非再生型の無線中継装置と無線通信可能なゲートウェイ装置である。このゲートウェイ装置は、前記無線中継装置と前記端末装置との間のサービスリンク及び前記無線中継装置と前記ゲートウェイ装置との間のフィーダリンクに、複数の周波数チャネルが隣接配置されたFDD上り回線帯域と複数の周波数チャネルが隣接配置されたFDD下り回線帯域とが所定のガードバンドを介して離隔配置された同一周波数帯を用いる。前記ゲートウェイ装置は、前記フィーダリンクの送受信に使用されるフィーダリンクアンテナと、前記基地局装置から受信した前記FDD下り回線帯域の第1周波数チャネルにおける前記FWDリンク信号の周波数を、前記FDD上り回線帯域の第2周波数チャネルの周波数に変換し、前記フィーダリンクアンテナを介して前記無線中継装置から受信した前記FDD下り回線帯域の第2周波数チャネルにおける前記REVリンク信号の周波数を、前記FDD上り回線帯域の第1周波数チャネルの周波数に変換する周波数変換部と、前記周波数変換部で周波数が変換された前記FDD上り回線帯域の前記FWDリンク信号を増幅する第1電力増幅器と、前記周波数変換部で周波数が変換された前記FDD上り回線帯域の前記REVリンク信号を増幅する第2電力増幅器と、を備える。
【0008】
前記無線中継装置は、前記共用アンテナを介して受信した前記FDD上り回線帯域における前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号を増幅する単一のローノイズ増幅器を備えてもよい。
【0009】
前記無線中継装置の前記周波数変換部は、前記FDD上り回線帯域の前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号を復調してベースバンド信号を生成する復調部と、前記ベースバンド信号における前記REVリンク信号の周波数チャネルを前記第1周波数チャネルから前記第2周波数チャネルに切り替え、前記ベースバンド信号における前記FWDリンク信号の周波数チャネルを前記第2周波数チャネルから前記第1周波数チャネルに切り替えるベースバンド信号処理部と、前記周波数チャネルを切り替えた前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号のベースバンド信号で搬送波を変調して前記FDD下り回線帯域の前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号の送信信号を生成する変調部と、を有してもよい。
【0010】
前記ベースバンド信号処理部は、前記復調部で復調した前記REVリンク信号及び前記FWDリンク信号を含むベースバンド信号を、第1ベースバンド信号及び第2ベースバンド信号に2分岐する信号分岐部と、前記第1ベースバンド信号における前記FWDリンク信号を抽出し、チャネル帯域の周波数幅分だけ低周波側に周波数をシフトする第1周波数シフト部と、前記第2ベースバンド信号における前記REVリンク信号を抽出し、チャネル帯域の周波数幅分だけ高周波側に周波数をシフトする第2周波数シフト部と、前記第1周波数シフト部で処理した第1ベースバンド信号及び前記第2周波数シフト部で処理した第2ベースバンド信号を合成する信号合成部と、を有してもよい。
【0011】
前記第1周波数シフト部は、前記ベースバンド信号の帯域中心f0に前記FWDリンク信号が位置するように、前記第1ベースバンド信号の周波数を前記チャネル帯域の2分の1だけ低周波数側にシフトする前段シフト部と、前記帯域中心f0を中心として前記FWDリンク信号を選択的に通過させる帯域通過フィルターと、前記端末装置に対する送信電力が一定電力になるように利得制御して前記第1ベースバンド信号を増幅する利得制御型の電力増幅器と、前記帯域中心f0に前記FWDリンク信号の高周波数端部が位置するように、前記第1ベースバンド信号の周波数を前記チャネル帯域の2分の1だけ低周波数側にシフトする後段シフト部と、を有してもよい。また、前記第2周波数シフト部は、前記ベースバンド信号の帯域中心f0に前記REVリンク信号が位置するように、前記第2ベースバンド信号の周波数を前記チャネル帯域の2分の1だけ高周波数側にシフトする前段シフト部と、前記帯域中心f0を中心として前記REVリンク信号を選択的に通過させる帯域通過フィルターと、前記帯域中心f0に前記REVリンク信号の低周波数端部が位置するように、前記第2ベースバンド信号の周波数を前記チャネル帯域の2分の1だけ高周波数側にシフトする後段シフト部と、を有してもよい。
【0012】
前記無線中継装置は、上空に位置する飛行体又は浮揚体の機体に設けられ、前記共用アンテナを介して地上又は海上のサービスエリアに向けて一又は複数のセルを形成し前記セルに在圏する一又は複数の端末装置と無線通信する上空中継型の無線中継装置であってもよい。
【0013】
前記周波数変換、前記信号の復調、前記周波数チャネルの切り替え、前記信号の変調、前記信号の分岐、前記信号の合成、前記周波数のシフト、前記電力増幅器の利得の制御の少なくとも一つの処理を行うプログラムは、機械学習済みモデルを含んでもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基地局装置と端末装置との間のFDD方式の通信を中継する非再生型の無線中継装置において、基地局装置と端末装置とのFDD方式の通信を維持するとともに、無線中継装置の軽量化及び低消費電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る上空滞在型の無線中継装置を備える通信システムの全体構成の一例を示す説明図である。
図2図2(a)は、実施形態に係る非再生型の無線中継装置を用いたリピータシステムの一例を示す説明図である。図2(b)は、参考例に係る再生型の無線中継装置を用いた基地局システムの一例を示す説明図である。
図3図3は、参考例に係る地上配置型の無線中継装置を備える一般的な通信システムを示す説明図である。
図4図4は、図3の参考例に係る通信システムにおける無線中継装置の構成例を示すブロック図である。
図5図5は、他の参考例に係るフィーダリンク及びサービスリンクに別々の周波数帯を用いる周波数変換型の無線中継装置を備える通信システムを示す説明図である。
図6図6は、図5の参考例に係る無線中継装置によるフィーダリンク及びサービスリンクにおけるFDD方式の無線通信で用いられる周波数帯を示す説明図である。
図7図7は、図5の参考例に係る通信システムの無線中継装置及びゲートウェイ装置の構成例を示すブロック図である。
図8図8は、実施形態に係るフィーダリンク及びサービスリンクに同一周波数帯を用いる周波数変換型の無線中継装置を備える通信システムの一例を示す説明図である。
図9図9は、図8の実施形態に係る無線中継装置によるフィーダリンク及びサービスリンクにおけるFDD方式の無線通信で用いられる同一周波数帯の一例を示す説明図である。
図10図10は、図8の実施形態に係る無線中継装置を備える通信システムにおける同一周波数帯内の周波数チャネルの変換の一例を示す説明図である。
図11図11は、図5の参考例に係る無線中継装置を備える通信システムにおける別々の周波数帯内の周波数チャネルの変換を示す説明図である。
図12図12は、図8の実施形態に係る通信システムの無線中継装置及びゲートウェイ装置の構成例及び周波数チャネルの変換の一例を示すブロック図である。
図13図13は、図8の実施形態に係る通信システムの無線中継装置におけるベースバンド信号処理部の構成例及び周波数チャネルの変換の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本書に記載された実施形態に係る非再生型の無線中継装置を備える通信システム(無線中継システム)は、基地局と端末装置との間の送信周波数と受信周波数が互いに異なるFDD(周波数分割複信)方式の無線中継において、フィーダリンク(中継無線区間)の信号とサービスリンク(サービス無線区間)の信号を同一周波数帯の複数の隣接周波数チャネルに束ねて中継する。これにより、基地局装置と端末装置とのFDD方式の通信を維持するとともに、フィーダリンク及びサービスリンクの送信回路、受信回路及びアンテナを共通化し、無線中継装置の軽量化及び低消費電力化を図ることができる。
【0017】
図1は、実施形態に係る単一の基地局装置80に対応した単一セル構成の通信システムの全体構成の一例を示す説明図である。なお、本実施形態に係る通信システムは、複数のセルを形成する複数セル構成の通信システムであってもよい。また、本実施形態に係る通信システムは、複数の端末装置(以下「UE」(ユーザ装置)ともいう。)60への同時接続や低遅延化などに対応する第4世代又はその後の世代の移動通信の3次元化ネットワークの実現に適する。また、本明細書に開示する通信システム、無線中継装置、基地局装置、ゲートウェイ装置及び端末装置に適用可能な移動通信の標準規格は、第4世代の移動通信の標準規格、及び、第4世代以降の世代の移動通信の標準規格を含む。
【0018】
図1に示すように、通信システムは、上空プラットフォームを構成する上空中継型の無線中継装置を有する高高度プラットフォーム局(HAPS)(「高高度疑似衛星」、「成層圏プラットフォーム」ともいう。)10を備えている。HAPS10は、上空滞在型(「空中浮揚型」ともいう)の通信プラットフォームであり、所定高度の空域に位置して、対象のサービスエリア20Aから所定高度までのセル形成目標空域に3次元セル(3次元エリア)20Cを形成する。
【0019】
HAPS10は、自律制御又は外部から制御により地面又は海面から100[km]以下の高高度の空域(浮揚空域)に浮遊あるいは飛行して位置するように制御される飛行体又は浮揚体の機体100に、無線中継装置(以下「中継通信局」ともいう。)110が搭載されたものである。HAPS10が位置する空域は、例えば、高度が18[km]以上及び50[km]以下の成層圏の空域であってもよい。この空域は、気象条件が比較的安定している高度15[km]以上25[km]以下の空域であってもよく、特に高度がほぼ20[km]の空域であってもよい。
【0020】
HAPS10で3次元セルを形成する目標の空域であるセル形成目標空域は、HAPS10が位置する空域と従来のマクロセル基地局等の基地局(例えばLTEのeNodeB又は次世代のgNodeB)がカバーする地面近傍のセル形成領域との間に位置する、所定高度範囲(例えば、地上から1000[m]以下の高度までの範囲又は50[m]以上1000[m]以下の高度範囲)の空域であってもよい。
【0021】
セル形成目標空域は、海、川又は湖の上空であってもよい。また、HAPS10で形成する3次元セルは、地上又は海上に位置するUE(端末装置)60との間でも通信できるよう地面又は海面に達するように形成してもよい。
【0022】
HAPS10は、上空に位置する飛行体又は浮揚体等の機体100に設けられた中継通信局110の共用アンテナ120を介してUE60と無線通信する。HAPS10は、例えばバッテリー及び太陽光発電システムの少なくとも一方を備え電力で飛行することができる。HAPS10は、図示のソーラープレーン型のHAPSのほか、飛行船型のHAPSであってもよい。また、中継通信局110が設けられるHAPS10は、人工衛星(例えば、通信衛星)、気球、又は、ドローン、UAS(Unmanned Aircraft Systems)等の無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)であってもよい。また、HAPS10は、動力源として、バッテリー及びエンジンの少なくとも一方を備えて飛行してもよい。UAVは、例えば、燃料で飛行する無人飛行機、又は、バッテリー等で飛行するドローンであってもよい。
【0023】
中継通信局110は、サービス無線区間のサービスリンク及び中継無線区間のフィーダリンクに共用される共用アンテナ(以下「HAPSアンテナ」ともいう。)120を備える。中継通信局110は、HAPSアンテナ(共用アンテナ)120を介して、UE60と間でサービスリンクSLの通信を行うことができる。HAPSアンテナ120は、例えば、対象のサービスエリア20Aにセル20Cを形成するビームの方向及び幅を制御することができるビームフォーミング制御可能なアレイアンテナである。セル形成目標空域においてビームが通過する領域が3次元セル20Cである。セル20Cが地上(又は海上など)に到達した複数の通信エリアがフットプリント20Fである。
【0024】
HAPSアンテナ120は、対象のサービスエリア20Aに複数のセル(例えば、3個のセル、又は、7個のセル)を形成する複数のビームのそれぞれについてビームの方向及び幅を制御することができるビームフォーミング制御可能なアレイアンテナであってもよい。セル形成目標空域において互いに隣り合う複数のビームは部分的に重なってもよい。
【0025】
中継通信局110は、HAPSアンテナ120を介して、地上(又は海上等)に設けられたHAPS用のゲートウェイ装置(「フィーダ局」ともいう。以下「GW局」という。)70との間でフィーダリンクFLの通信を行うことができる。HAPSアンテナ120は、例えば指向性(指向性ビームの方向)を制御できるアレイアンテナである。
【0026】
HAPSアンテナ120は、例えば、複数のアンテナ素子が2次元的に又は3次元的に配列され、地上に向けて複数のビームを形成可能な単数又は複数のアレイアンテナである。HAPSアンテナ120は、多数のアンテナ素子が2次元配列され、水平方向と垂直方向のビーム指向性を制御できるMassiveアンテナであってもよい。
【0027】
GW局70は、フィーダリンク用アンテナ(以下「FLアンテナ」ともいう。)71を介して、中継通信局110と間でフィーダリンクFLの通信を行うことができる。FLアンテナ71は、例えば指向性(指向性ビームの方向)を制御できるアンテナである。FLアンテナ71は、例えば、複数のアンテナ素子が2次元的に又は3次元的に配列された単数又は複数のアレイアンテナである。FLアンテナ71は、多数のアンテナ素子が2次元配列され、水平方向と垂直方向の指向性を制御できるMassiveアンテナであってもよい。
【0028】
図1において、フィーダリンクFL(F)及びサービスリンクSL(F)は、GW局70からHAPS10を経由してUE60に向かうフォワードリンク(以下「下りリンク」ともいう)である。フィーダリンクFL(R)及びサービスリンクSL(R)は、UE60からHAPS10を経由してGW局70に向かうリバースリンク(以下「上りリンク」ともいう。)である。
【0029】
UE60は、地上又は海上などでユーザが使用する端末装置である。UE60は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、移動通信機能を有する携帯パソコン等であり、携帯端末、移動局、移動機、携帯型の通信端末とも呼ばれる。UE60は、自動車等の車両、遠隔操縦可能な小型のヘリコプター等の航空機であるドローンなどの移動体に組み込まれたモジュール状の移動局であってもよいし、IoT(Internet of Things)向けデバイスの端末装置であってもよい。
【0030】
UE60は、中継通信局110及びGW局70を介して、移動通信網のコアネットワーク85に接続されている基地局装置80とFDD方式で通信を行うことができる。UE60は、基地局装置80及び移動通信網のコアネットワーク85を介してインターネットなどの外部の通信網90にアクセスすることもできる。
【0031】
本実施形態の通信システムにおいて、基地局装置80とUE(端末装置)60との間の各無線区間でFDD(周波数分割複信)方式の通信を行う。すなわち、中継通信局110とUE60との間のサービスリンクの下りリンク(フォワードリンク)及び上りリンク(リバースリンク)の複信方式、基地局装置80とGW局70との間の下りリンク(フォワードリンク)及び上りリンク(リバースリンク)の複信方式、並びに、中継通信局110とGW局70との間の下りリンク(フォワードリンク)及び上りリンク(リバースリンク)の複信方式はいずれも、FDD(周波数分割複信)方式である。
【0032】
中継通信局110及びGW局70を介した基地局装置80とUE60との無線通信のアクセス方式は、特定の方式に限定されず、例えば、FDMA(Frequency Division Multiple Access)方式、TDMA(Time Division Multiple Access)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、又は、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)であってもよい。
【0033】
また、中継通信局110とUE60との間のサービスリンクの無線通信には、ダイバーシティ・コーディング、送信ビームフォーミング、空間分割多重化(SDM:Spatial Division Multiplexing)等の機能を有し、送受信両方で複数のアンテナを同時に利用することにより、単位周波数当たりの伝送容量を増やすことができるMIMO(多入力多出力:Multi-Input and Multi-Output)技術を用いてもよい。また、前記MIMO技術は、1つの基地局が1つのUEと同一時刻・同一周波数で複数の信号を送信するSU-MIMO(Single-User MIMO)技術でもよいし、1つの基地局が複数の異なるUEに同一時刻・同一周波数で信号を送信又は複数の異なる基地局が1つのUEに同一時刻・同一周波数で信号を送信するMU-MIMO(Multi-User MIMO)技術であってもよい。
【0034】
上記構成の通信システムにおいて、例えば基地局装置80からの信号がGW局70及びHAPS10の中継通信局110で中継され、地上のUE60に通信サービスを提供することができる。特に、本実施形態の通信システムによれば、上空プラットフォームとして機能するHAPS10により、高度18[km]以上及び50[km]以下(特に20[km]程度)の成層圏から直接地上のUE(端末装置)60等に超広域の移動通信サービスを提供することができる。また、HAPS10からなる上空プラットフォームは、大規模災害等を用途とした新たな通信フォームとして注目されている。
【0035】
HAPS10の機体100に搭載された中継通信局(無線中継装置)110は、送受信信号を再生せずに中継する非再生型(以下「リピータ型」ともいう。)の中継通信局である。一般に、HAPS10の中継通信局110を介した無線中継システムとしては、図2(a)に示すリピータシステムと図2(b)の基地局システムがある。図2(a)のリピータシステムでは、HAPS10の機体100に搭載された中継通信局110が非再生型のリピータとして機能する中継局であり、GW局70及び中継通信局110を介したベントパイプ状の経路により、基地局装置80とUE60との間の通信を直接中継する。図2(a)のリピータシステムは、基地局装置80を地上に設置できるため中継通信局(無線中継装置)110の軽量化及び低消費電力化に有利であり、また、マルチオペレータ運用が容易である。一方、図2(b)の基地局システムでは、HAPS10の機体100に搭載された中継通信局110が基地局装置80を有し、中継通信局110の基地局装置80がFWA等のバックホール回線を介して移動通信網のコアネットワーク85に接続され、送受信信号を再生してUE60との無線通信を行う。図2(b)の基地局システムでは、基地局装置80を含む中継通信局110の装置構成が複雑になり、軽量化及び低消費電力化に不利であり、また、マルチオペレータ運用が難しい。
【0036】
図3は、参考例に係る地上配置型の無線中継装置82を備える一般的な通信システムを示す説明図である。図3において、移動通信網のコアネットワーク85に接続されている基地局装置80は、基地局アンテナ81を介して、対象のサービスエリア20A(1)に向けてセル20C(1)を形成する。セル20C(1)内に配置された無線中継装置(中継局)82は、基地局アンテナ81とは反対側に位置する拡張対象のサービスエリア20A(2)に向けてセル20C(2)を形成し、基地局装置80の基地局アンテナ81とセル20C(2)内の端末装置60との間の無線通信を中継する。
【0037】
図3の参考例の通信システムでは、サービス無線区間(サービスリンク)及び中継無線区間(フィーダリンク)に同一の周波数(チャネル)が使用される。例えば、基地局装置80からUE60に向かうフォワードリンク(下りリンク)ではサービス無線区間及び中継無線区間に同一の周波数(チャネル)f1DLが使用され、UE60から基地局装置80に向かうリバースリンク(上りリンク)ではサービス無線区間及び中継無線区間に同一の周波数(チャネル)f1ULが使用される。このように同一の周波数(チャネル)f1DL、f1ULが使用されるため、無線中継装置82において回り込み干渉が発生するおそれがある。そのため、図3の無線中継装置82は、サービス無線区間(サービスリンク)及び中継無線区間(フィーダリンク)が空間的に異なる場合に利用される。また、図3の無線中継装置82は、同一の周波数(チャネル)f1DL、f1ULが使用されることによる回り込み干渉を除去(又は抑圧)する干渉キャンセラと併用されることが多い。しかしながら、HAPS10の中継通信局110は上空を飛行して移動したり回転したりするため、サービス無線区間及び中継無線区間が空間的に重なる場合があり、回り込み干渉を除去(又は抑圧)できないおそれがある。そのため、サービス無線区間及び中継無線区間に同一の周波数(チャネル)を使用する中継方式をHAPS10の中継通信局110に適用するのは難しい。
【0038】
図4は、図3の参考例に係る通信システムにおける無線中継装置82の構成例を示すブロック図である。図4において、無線中継装置82は、フィーダリンク用アンテナ(FLアンテナ)821とサービスリンク用アンテナ(SLアンテナ)822とデュプレクサ8231,8232とローノイズ増幅器(LNA)8233,8234と電力増幅器(PA)8235,8236と信号処理部8237とを備える。基地局アンテナ81からFLアンテナ821及びデュプレクサ8231を介して受信したフォワードリンク(下りリンク)の受信信号は、LNA8233で増幅され、デジタルフィルタ及び回り込み干渉キャンセラの機能を有する信号処理部8237で処理された後、PA8235で所定の電力まで増幅され、デュプレクサ8232を介してSLアンテナ822から端末装置60のアンテナ61に向けて送信される。また、端末装置60のアンテナ61からSLアンテナ822及びデュプレクサ8232を介して受信したリバースリンク(上りリンク)の受信信号は、LNA8234で増幅され、デジタルフィルタ及び回り込み干渉キャンセラの機能を有する信号処理部8237で処理された後、PA8236で所定の電力まで増幅され、デュプレクサ8231を介してFLアンテナ821から基地局アンテナ81に向けて送信される。
【0039】
図3及び図4に示す参考例に係る通信システムにおける無線中継装置82では、重量及び消費電力が大きい電力増幅器(送信アンプ)を2つ設ける必要があるため、無線中継装置82の軽量化及び低消費電力化に不利である。
【0040】
図5は、他の参考例に係るフィーダリンク及びサービスリンクに別々の周波数帯を用いる周波数変換型の無線中継装置(中継通信局)110'を備える通信システムを示す説明図である。なお、図5において、前述の図1と同様な構成部分については、同じ符号を付し、それらの説明は省略する。図5の参考例の通信システムでは、サービス無線区間(サービスリンク)及び中継無線区間(フィーダリンク)に別々の周波数帯が使用される。
【0041】
例えば、図6に示すように、端末装置60のアンテナ61と中継通信局110'のサービスリンク用アンテナ(SLアンテナ)111との間のサービス無線区間には、サービスリンク用の第1周波数帯310(例えば900MHz帯(Band8))が使用される。第1周波数帯310には、所定帯域(例えば5MHz)の複数の周波数チャネルf1、f2,f3が隣接配置されたFDD下り回線帯域(以下「下り帯域」ともいう。)311と、所定帯域(例えば5MHz)の複数の周波数チャネルf1、f2,f3が隣接配置されたFDD上り回線帯域(以下「上り帯域」ともいう。)312が、所定のガードバンドを介して離隔配置されている。フォワードリンクの無線通信には、第1周波数帯310の下り帯域311の第1周波数チャネルf1DLが使用され、リバースリンクの無線通信には、第1周波数帯310の上り帯域312の第1周波数チャネルf1ULが使用される。
【0042】
また、図6に示すように、GW局70のFLアンテナ71と中継通信局110'のフィーダリンク用アンテナ(FLアンテナ)112との間の中継無線区間には、前記第1周波数帯310とは異なるフィーダリンク用の第2周波数帯320(例えば2GHz帯(Band1))が使用される。第2周波数帯320には、所定帯域(例えば5MHz)の複数の周波数チャネルf1、f2,f3,f4が隣接配置された下り帯域(FDD下り回線帯域)321と、所定帯域(例えば5MHz)の複数の周波数チャネルf1、f2,f3,f4が隣接配置された(FDD上り回線帯域)322とが、所定のガードバンドを介して離隔配置されている。フォワードリンクの無線通信には、第2周波数帯320のFDD下り回線帯域321の第1周波数チャネルf1DLが使用され、リバースリンクの無線通信には、第2周波数帯320のFDD上り回線帯域322の第1周波数チャネルf1ULが使用される。
【0043】
図5及び図6に示すようにサービス無線区間(サービスリンク)及び中継無線区間(フィーダリンク)に互いに異なる別々の周波数帯310,320を使用する中継通信局110'は、サービス無線区間及び中継無線区間が空間的に重なる場合にも使用できる。また、中継通信局110'での回り込み干渉が発生しないため、回り込み干渉キャンセラが不要である。
【0044】
図7は、図5の参考例に係る通信システムにおける中継通信局110'及びゲートウェイ装置(GW局)70の構成例を示すブロック図である。図7において、GW局70は、FLアンテナ71とデュプレクサ701,702とフォワードリンク信号経路703とリバースリンク信号経路704とを備える。フォワードリンク信号経路703は、ローノイズ増幅器(LNA)7031と信号処理部7032と電力増幅器(PA)7033とを有する。リバースリンク信号経路704は、ローノイズ増幅器(LNA)7041と信号処理部7042と電力増幅器(PA)7043とを有する。
【0045】
GW局70において、基地局装置80からデュプレクサ701を介して受信した所定のサービスリンク用周波数fSLのフォワードリンク(下りリンク)の受信信号は、LNA7031で増幅され、周波数変換(fSL→fFL)及びデジタルフィルタの機能を有する信号処理部7032で処理される。所定のフィーダリンク用周波数fFLに変換されたフォワードリンク(下りリンク)の信号は、PA7033で所定の電力まで増幅され、デュプレクサ702を介してFLアンテナ71から中継通信局110'のFLアンテナ112に向けて送信される。また、中継通信局110'のFLアンテナ112からFLアンテナ71及びデュプレクサ702を介して受信した所定のフィーダリンク用周波数fFLのリバースリンク(上りリンク)の受信信号は、LNA7041で増幅され、周波数変換(fFL→fSL)及びデジタルフィルタの機能を有する信号処理部7042で処理される。所定のサービスリンク用周波数fSLに変換されたリバースリンク(上りリンク)の信号は、PA7043で所定の電力まで増幅され、デュプレクサ701を介して基地局装置80に送信される。
【0046】
また、図7において、中継通信局110'は、FLアンテナ112とデュプレクサ113,114とフォワードリンク信号経路115とリバースリンク信号経路116とを備える。フォワードリンク信号経路115は、ローノイズ増幅器(LNA)1151と信号処理部1152と電力増幅器(PA)1153とを有する。リバースリンク信号経路116は、ローノイズ増幅器(LNA)1161と信号処理部1162と電力増幅器(PA)1163とを有する。
【0047】
中継通信局110'において、GW局70のFLアンテナ71からFLアンテナ112及びデュプレクサ113を介して受信した所定のフィーダリンク用周波数fFLのフォワードリンク(下りリンク)の受信信号は、LNA1151で増幅され、周波数変換(fFL→fSL)及びデジタルフィルタの機能を有する信号処理部1152で処理される。所定のサービスリンク用周波数fSLに変換されたフォワードリンク(下りリンク)の信号は、PA1153で所定の電力まで増幅され、デュプレクサ114を介してサービスリンク用アンテナ(「SLアンテナ」ともいう。)111から端末装置60のアンテナ61に向けて送信される。また、端末装置60のアンテナ61からSLアンテナ111及びデュプレクサ114を介して受信した所定のサービスリンク用周波数fSLのリバースリンク(上りリンク)の受信信号は、LNA1161で増幅され、周波数変換(fSL→fFL)及びデジタルフィルタの機能を有する信号処理部1162で処理される。所定のフィーダリンク用周波数fFLに変換されたリバースリンク(上りリンク)の信号は、PA1163で所定の電力まで増幅され、デュプレクサ113を介してGW局70のFLアンテナ71に向けて送信される。
【0048】
図5図7に示す参考例に係る通信システムにおける中継通信局(無線中継装置)110'では、重量及び消費電力が大きい電力増幅器(送信アンプ)を2つ設ける必要があるため、中継通信局(無線中継装置)110'の軽量化及び低消費電力化に不利である。
【0049】
本実施形態の通信システムに備える上空滞在型の中継通信局(無線中継装置)110(図1参照)のようなHAPSやUAV等の上空プラットフォーム用の無線装置では軽量化及び低消費電力化が重要である。本実施形態の中継通信局110を介した無線中継システムは、前述の図2(a)に示す装置構成が簡易であるマルチオペレータ運用向けのリピータ型の中継通信局110を用いた無線中継方式のリピータシステムである。このリピータシステムは、図2(b)の基地局システムに比して、中継通信局(無線装置)110の軽量化及び低消費電力化に有利である。ここで、リピータシステムを構成する中継通信局110において消費電力の大半を占めるのは送信アンプ(電力増幅器)である。また、熱源となる送信アンプの放熱機構は重量部材である。従って、上空滞在型の中継通信局(無線中継装置)110のような上空プラットフォーム用の無線装置では、送信アンプを含む無線回路部分の低消費電力及び軽量化が重要である。
【0050】
本実施形態では、フィーダリンク信号とサービスリンク信号を同一周波数帯の隣接チャネルに束ねて中継することにより、中継通信局110において単一の送信アンプ(電力増幅器)をフィーダリンクとサービスリンクに共用し、中継通信局110の軽量化・低消費電力化を図っている。
【0051】
図8は、実施形態に係るフィーダリンク及びサービスリンクに同一周波数帯を用いる周波数変換型の中継通信局(無線中継装置)110を備える通信システムの一例を示す説明図である。なお、図8において、前述の図1と同様な構成部分については、同じ符号を付し、それらの説明は省略する。図8において、サービス無線区間(サービスリンク)及び中継無線区間(フィーダリンク)に同一の周波数帯が使用される。
【0052】
例えば、図9に示すように、端末装置60のアンテナ61と中継通信局110のHAPSアンテナ(共用アンテナ)120との間のサービス無線区間(サービスリンク)には、無線中継区間(フィーダリンク)と共用される周波数帯(以下「共用周波数帯」ともいう。)330(例えば900MHz帯(Band8))が使用される。共用周波数帯330には、所定帯域(例えば5MHz)の複数の周波数チャネルf1、f2,f3が隣接配置されたFDD下り回線帯域(以下「下り帯域」ともいう。)331と、所定帯域(例えば5MHz)の複数の周波数チャネルf1、f2,f3が隣接配置されたFDD上り回線帯域332とが、所定のガードバンドを介して離隔配置されている。フォワードリンクの無線通信には、共用周波数帯330におけるFDD上り回線帯域332の第2周波数チャネルf2UL(フィーダリンク)と、FDD下り回線帯域331の第1周波数チャネルf1DL(サービスリンク)とが使用される。また、リバースリンクの無線通信には、共用周波数帯330におけるFDD上り回線帯域332の第1周波数チャネルf1UL(サービスリンク)と、FDD下り回線帯域331の第2周波数チャネルf2DL(フィーダリンク)とが使用される。
【0053】
図10は、図8の実施形態に係る中継通信局(無線中継装置)110を備える通信システムにおける同一周波数帯(共用周波数帯)330内の周波数チャネルの変換の一例を示す説明図である。図10において、フォワードリンクの無線通信の場合、基地局装置80は、通常のFDD通信と同様に、第1周波数帯310における下り帯域311の第1周波数チャネルf1DLを介してGW局(ゲートウェイ装置)70に、サービスリンクのフォワードリンク信号(以下「FWDリンク信号」ともいう。)SL(F)を送信する。GW局70は、基地局装置80から受信したサービスリンクのFWDリンク信号SL(F)の周波数を、共用周波数帯330の下り帯域331の第1周波数チャネルf1DLから上り帯域332の第2周波数チャネルf2ULに変換する。GW局70は、周波数変換後の信号を、フィーダリンクのフォワードリンク信号(FWDリンク信号)FL(F)として、上り帯域332の第2周波数チャネルf2ULを介して中継通信局110に送信する。中継通信局110は、GW局70から受信したフィーダリンクのFWDリンク信号FL(F)の周波数を、共用周波数帯330の上り帯域332の第2周波数チャネルf2ULから下り帯域331の第1周波数チャネルf1DLに変換する。中継通信局110は、周波数変換後の信号を、サービスリンクのFWDリンク信号SL(F)として、下り帯域331の第1周波数チャネルf1DLを介して端末装置60に送信する。端末装置60は、通常のFDD通信と同様に、第1周波数帯310における下り帯域311の第1周波数チャネルf1DLを介して中継通信局110から、サービスリンクのFWDリンク信号SL(F)を受信する。
【0054】
一方、図10において、リバースリンクの無線通信の場合、端末装置60は、通常のFDD通信と同様に、第1周波数帯310における上り帯域312の第1周波数チャネルf1ULを介して中継通信局110に、サービスリンクのリバースリンク信号(以下「REVリンク信号」ともいう。)SL(R)を送信する。中継通信局110は、端末装置60から受信したサービスリンクのREVリンク信号SL(R)の周波数を、共用周波数帯330の上り帯域332の第1周波数チャネルf1DLから下り帯域331の第2周波数チャネルf2DLに変換する。中継通信局110は、周波数変換後の信号を、フィーダリンクのリバースリンク信号(REVリンク信号)FL(R)として、下り帯域331の第2周波数チャネルf2DLを介してGW局70に送信する。GW局70は、中継通信局110から受信したフィーダリンクのREVリンク信号FL(R)の周波数を、共用周波数帯330の下り帯域331の第2周波数チャネルf2DLから上り帯域332の第1周波数チャネルf1ULに変換する。GW局70は、周波数変換後の信号を、サービスリンクのREVリンク信号SL(R)として、上り帯域332の第1周波数チャネルf1ULを介して基地局装置80に送信する。基地局装置80は、通常のFDD通信と同様に、第1周波数帯310における上り帯域312の第1周波数チャネルf1ULを介してGW局70から、サービスリンクのREVリンク信号SL(R)を受信する。
【0055】
図10において、中継通信局110は、サービスリンクのFWDリンク信号SL(F)及びフィーダリンクのREVリンク信号FL(R)を、共用周波数帯330の下り帯域331における互いに隣接した複数の第1周波数チャネルf1DL及び第2周波数チャネルf2DLに束ねて増幅して一括送信することができる。従って、本実施形態の中継通信局110では、フォワードリンク及びサービスリンクについて送信回路の電力増幅器(送信アンプ)及びアンテナ120をそれぞれ共通化することができる。
【0056】
また、本実施形態の中継通信局110では、リバースリンクのサービスリンク信号SL(R)とフォワードリンクのフィーダリンク信号FL(F)を、共用周波数帯330の上り帯域332における互いに隣接した複数の第1周波数チャネルf1UL及び第2周波数チャネルf2ULに束ねて一括受信して増幅することができる。従って、本実施形態の無線中継装置110では、フォワードリンク及びサービスリンクについて受信回路のローノイズ増幅器(LNA)を共通化することもできる。
【0057】
図11は、図5の参考例に係る中継通信局(無線中継装置)110'を備える通信システムにおける別々の周波数帯310、320内の周波数チャネルの変換を示す説明図である。なお、図11において、前述の図10と同様な構成部分については、同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0058】
図11の参考例において、フォワードリンクの無線通信の場合、GW局70は、基地局装置80から受信したサービスリンクのFWDリンク信号SL(F)の周波数を、第1周波数帯310の下り帯域311の第1周波数チャネルf1DLから、第2周波数帯320の下り帯域321の第1周波数チャネルf1DLに変換する。GW局70は、周波数変換後の信号を、フィーダリンクのFWDリンク信号FL(F)として、第2周波数帯320の下り帯域321の第1周波数チャネルf1DLを介して中継通信局110'に送信する。中継通信局110'は、GW局70から受信したフィーダリンクのFWDリンク信号FL(F)の周波数を、第2周波数帯320の下り帯域321の第1周波数チャネルf1DLから、第1周波数帯310の下り帯域311の第1周波数チャネルf1DLに変換する。中継通信局110'は、周波数変換後の信号を、サービスリンクのFWDリンク信号SL(F)として、第1周波数帯310の下り帯域311の第1周波数チャネルf1DLを介して端末装置60に送信する。
【0059】
一方、図11において、リバースリンクの無線通信の場合、中継通信局110'は、端末装置60から受信したサービスリンクのREVリンク信号SL(R)の周波数を、第1周波数帯310の上り帯域312の第1周波数チャネルf1ULから、第2周波数帯320の上り帯域322の第1周波数チャネルf1ULに変換する。中継通信局110'は、周波数変換後の信号を、フィーダリンクのREVリンク信号FL(R)として、第2周波数帯320の上り帯域322の第1周波数チャネルf1ULを介してGW局70に送信する。GW局70は、中継通信局110'から受信したフィーダリンクのREVリンク信号FL(R)の周波数を、第2周波数帯320の上り帯域322の第1周波数チャネルf1ULから、第1周波数帯310の上り帯域312の第1周波数チャネルf1ULに変換する。GW局70は、周波数変換後の信号を、サービスリンクのREVリンク信号SL(R)として、第1周波数帯310の上り帯域312の第1周波数チャネルf1ULを介して基地局装置80に送信する。
【0060】
図11の参考例において、中継通信局110'は、サービスリンクのFWDリンク信号SL(F)を、第1周波数帯310の下り帯域311の第1周波数チャネルf1DLで増幅して送信し、フィーダリンクのREVリンク信号FL(R)を、第1周波数帯310とは異なる第2周波数帯320の上り帯域322の第1周波数チャネルf1ULで増幅して送信する。従って、参考例の中継通信局110'では、フォワードリンク及びサービスリンクについて送信回路の電力増幅器(送信アンプ)を共通化することができない。
【0061】
また、中継通信局110'は、サービスリンクのREVリンク信号SL(R)を、第1周波数帯310の上り帯域312の第1周波数チャネルf1ULで受信して増幅し、フィーダリンクFWDリンク信号FL(F)を、第1周波数帯310とは異なる第2周波数帯320の下り帯域321における第1周波数チャネルf1DLで受信して増幅する。従って、参考例の中継通信局110'では、フォワードリンク及びサービスリンクについて受信回路のローノイズ増幅器(LNA)を共通化することもできない。
【0062】
図12は、図8の実施形態に係る通信システムの中継通信局(無線中継装置)110及びゲートウェイ装置(GW局)70の構成例及び周波数チャネルの変換の一例を示すブロック図である。図12中のfSL1は、GW局70及び中継通信局110を介して基地局装置80と端末装置60との間で送受信される信号の周波数(以下「第1サービスリンク周波数」ともいう。)を示している。また、図12中のfSL2は、GW局70と中継通信局110との間で送受信される共用周波数帯330における信号の周波数(以下「第2サービスリンク周波数」ともいう。)を示している。図12において、第1サービスリンク周波数fSL1は、サービスリンク用の第1周波数帯310の下り帯域311及び上り帯域312それぞれの第1周波数チャネルfの周波数f1DL,f1UL、並びに、共用周波数帯330の下り帯域331及び上り帯域332それぞれの第1周波数チャネルfの周波数f1DL,f1ULに対応する。また、第2サービスリンク周波数fSL2は、共用周波数帯330の下り帯域331及び上り帯域332それぞれの第2周波数チャネルfの周波数f2DL,f2ULに対応する。サービスリンク用の第1周波数帯310及び共用周波数帯330は、同一周波数帯(例えば900MHz帯(Band8))である。
【0063】
図12において、GW局70は、FLアンテナ71とデュプレクサ701,702とフォワードリンク信号経路703とリバースリンク信号経路704とを備える。フォワードリンク信号経路703は、ローノイズ増幅器(LNA)7031と信号処理部7032と電力増幅器(PA)7033とを有する。リバースリンク信号経路704は、ローノイズ増幅器(LNA)7041と信号処理部7042と電力増幅器(PA)7043とを有する。
【0064】
GW局70において、基地局装置80からデュプレクサ701を介して受信した第1サービスリンク用周波数fSL1(図示の例では、第1周波数帯310における下り帯域311の第1周波数チャネルf1DL)のFWDリンク(下りリンク)信号は、LNA7031で増幅され、周波数変換(f1DL→f2UL)及びデジタルフィルタの機能を有する信号処理部7032で処理される。第2サービスリンク用周波数fSL2(図示の例では、共用周波数帯330における上り帯域332の第2周波数チャネルf2UL)に変換されたFWDリンク(下りリンク)信号は、PA7033で所定の電力まで増幅され、デュプレクサ702を介してFLアンテナ71から中継通信局110のHAPSアンテナ120に向けて送信される。
【0065】
中継通信局110のHAPSアンテナ120からFLアンテナ71及びデュプレクサ702を介して受信した第2サービスリンク用周波数fSL2(図示の例では、共用周波数帯330における下り帯域331の第2周波数チャネルf2DL)のREVリンク(上りリンク)信号は、LNA7041で増幅され、周波数変換(f2DL→f1UL)及びデジタルフィルタの機能を有する信号処理部7042で処理される。第1サービスリンク用周波数fSL1(図示の例では、第1周波数帯310における上り帯域312の第1周波数チャネルf1UL)に変換されたREVリンク(上りリンク)信号は、PA7043で所定の電力まで増幅され、デュプレクサ701を介して基地局装置80に送信される。
【0066】
また、図12において、中継通信局110は、フィーダリンク(FL)及びサービスリンク(SL)に共通に用いられるFL&SL共通アンテナとしての単一のHAPSアンテナ(共用アンテナ)120と、単一のデュプレクサ113と、単一のローノイズ増幅器(LNA)117を有するFL&SL共通受信回路と、信号処理部118と、単一の電力増幅器(PA)119を有するFL&SL共通送信回路とを備える。信号処理部118は、周波数変換(f2UL→f1DL,f1UL→f2DL)及びデジタルフィルタの機能を有する周波数変換部である。
【0067】
中継通信局110において、GW局70のFLアンテナ71からHAPSアンテナ120及びデュプレクサ113を介して受信した第2サービスリンク周波数fSL2(図示の例では、共用周波数帯330における上り帯域332の第2周波数チャネルf2UL)のフォワードリンク(下りリンク)の受信信号は、LNA117で増幅され、周波数変換(f2UL→f1DL)及びデジタルフィルタの機能を有する信号処理部118で処理される。第1サービスリンク用周波数fSL1(図示の例では、第1周波数帯310における下り帯域311の第1周波数チャネルf1DL)に変換されたフォワードリンク(下りリンク)の信号は、PA119で所定の電力まで増幅され、デュプレクサ113を介してHAPSアンテナ120から端末装置60のアンテナ61に向けて送信される。
【0068】
端末装置60のアンテナ61からHAPSアンテナ120及びデュプレクサ113を介して受信した第1サービスリンク用周波数fSL1(図示の例では、共用周波数帯330における上り帯域332の第1周波数チャネルf1UL)のリバースリンク(上りリンク)の受信信号は、LNA117で増幅され、周波数変換(f1UL→f2DL)及びデジタルフィルタの機能を有する信号処理部118で処理される。第2サービスリンク周波数fSL2(図示の例では、共用周波数帯330における下り帯域331の第2周波数チャネルf2DL)に変換されたリバースリンク(上りリンク)の信号は、PA119で所定の電力まで増幅され、デュプレクサ113を介してGW局70のFLアンテナ71に向けて送信される。
【0069】
図12の中継通信局(無線中継装置)110によれば、フィーダリンクの送信信号(REVリンク信号)とサービスリンクの送信信号(FWDリンク信号)に同一周波数帯(共用周波数帯)330の隣接周波数チャネルf,fを用いることにより、中継通信局110のフィーダリンクのREVリンク信号及びサービスリンクのFWDリンク信号を単一の電力増幅器(送信アンプ)119で増幅することができる。従って、従来2台用いていた電力増幅器(送信アンプ)を1台にして中継通信局110の軽量化と低消費電力化を実現することができる。また、図12の中継通信局110によれば、従来の周波数変換型の無線中継装置(図5図7参照)ではサービスリンク及びフィーダリンクの周波数帯310、320ごとに分離して実行した信号処理を共通の回路で実行することできるため、信号処理部の回路の軽量化を実現することができる。
【0070】
なお、図12において、中継通信局110に備える周波数変換部としての機能を有する信号処理部118は、復調部とベースバンド信号処理部と変調部とを有してもよい。復調部は、共用周波数帯330のFDD上り回線帯域332のREVリンク信号及びFWDリンク信号を復調して中間周波数のベースバンド信号(デジタル信号)を生成する。ベースバンド信号処理部は、復調部で生成したベースバンド信号におけるREVリンク信号の周波数チャネルを第1周波数チャネルf1ULから第2周波数チャネルf2DLに切り替える。また、ベースバンド信号処理部は、復調部で生成したベースバンド信号におけるFWDリンク信号の周波数チャネルを第2周波数チャネルf2ULから第1周波数チャネルf1DLに切り替える。変調部は、周波数チャネルを切り替えたREVリンク信号及びFWDリンク信号のベースバンド信号で高周波の搬送波を変調し、第1周波数帯310のFDD下り回線帯域311のREVリンク信号及びFWDリンク信号の送信信号を生成する。
【0071】
図13は、図8の実施形態に係る通信システムの中継通信局(無線中継装置)110における信号処理部118のベースバンド信号処理部1100の構成例及び周波数チャネルの変換の一例を示すブロック図である。なお、図13では、ベースバンド信号処理部1100の複数の主要点A~EにおけるFWDリンク信号400(FL)~405(FL)及びREVリンク信号400(RL)~405(RL)とベースバンド周波数領域における周波数チャネルCH1,CH2との関係についても図示している。図中のBは周波数チャネルCH1,CH2の帯域幅(チャネル帯域)であり、f0はベースバンド信号の中心周波数である。
【0072】
図13において、ベースバンド信号処理部1100は、信号分岐部1110と第1周波数シフト部(フォワードリンク用PassA)1120と第2周波数シフト部(リバースリンク用PassB)1130と信号合成部1140とを有する。信号分岐部1110は、前記復調部で復調した端末装置60からのREVリンク信号400(RL)及びGW局70からのFWDリンク信号を含むベースバンド信号(入力デジタル信号)を、フォワードリンク用のPassAにおける第1周波数シフト部1120への第1ベースバンド信号と、リバースリンク用のPassBにおける第2周波数シフト部1130への第2ベースバンド信号とに2分岐する。第1周波数シフト部1120は、第1ベースバンド信号におけるFWDリンク信号を抽出し、チャネル帯域の周波数幅B分だけ低周波側に周波数をシフトする。第2周波数シフト部1130は、第2ベースバンド信号におけるREVリンク信号を抽出し、チャネル帯域の周波数幅B分だけ高周波側に周波数をシフトする。信号合成部1140は、第1周波数シフト部(PassA)1120で処理した第1ベースバンド信号及び第2周波数シフト部(PassB)1130で処理した第2ベースバンド信号を合成して出力する。合成されたベースバンド信号におけるFWDリンク信号405(FL)は端末装置60へ送信され、REVリンク信号405(RL)はGW局70へ送信される。
【0073】
第1周波数シフト部1120は、前段シフト部1121と帯域通過フィルター(BPF)1122と利得制御型の電力増幅器1123と後段シフト部1124とを有する。前段シフト部1121は、第1ベースバンド信号の帯域中心f0にFWDリンク信号401(FL)が位置するように、第1ベースバンド信号の周波数をチャネル帯域Bの2分の1だけ低周波数側にシフトさせる。帯域通過フィルター(BPF)1122は、所定の帯域通過周波数特性451を有し、前記帯域中心f0を中心としてFWDリンク信号401(FL)を選択的に通過させる。利得制御型の電力増幅器1123は、所定の制御信号(例えば、第5世代又はLTEの移動通信標準規格における同期信号)に基づいて端末装置60に対する送信電力が一定電力になるように利得制御して前記第1ベースバンド信号を増幅する。後段シフト部1124は、前記帯域中心f0にFWDリンク信号403(FL)の高周波数端部が位置するように、第1ベースバンド信号の周波数をチャネル帯域Bの2分の1だけ低周波数側にシフトさせる。FWDリンク信号403(FL)はGW局70から受信され、端末装置60へ送信される信号である。
【0074】
第2周波数シフト部1130は、前段シフト部1131と帯域通過フィルター(BPF)1132と後段シフト部1133とを有する。前段シフト部1131は、前記第2ベースバンド信号の帯域中心f0にREVリンク信号402(RL)が位置するように、第2ベースバンド信号の周波数をチャネル帯域Bの2分の1だけ高周波数側にシフトさせる。帯域通過フィルター(BPF)1132は、所定の帯域通過周波数特性452を有し、前記帯域中心f0を中心としてREVリンク信号402(RL)を選択的に通過させる。後段シフト部1133は、前記帯域中心f0にREVリンク信号404(RL)の低周波数端部が位置するように、第2ベースバンド信号の周波数をチャネル帯域Bの2分の1だけ高周波数側にシフトさせる。REVリンク信号404(RL)は端末装置60から受信され、GW局70へ送信される信号である。
【0075】
以上、本実施形態によれば、移動通信網側の基地局装置80及び端末装置60におけるFDD方式の通信を維持することができるとともに、中継通信局(無線中継装置)110において、サービスリンクのFWDリンク信号SL(F)及びフィーダリンクのREVリンク信号FL(R)を単一の電力増幅器(送信アンプ)119で増幅して一括送信することができるため、中継通信局110の軽量化及び低消費電力化を図ることができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、中継通信局(無線中継装置)110において、サービスリンクのREVリンク信号SL(R)及びフィーダリンクのFWDリンク信号FL(F)を一括受信し、単一のローノイズ電力増幅器(受信アンプ)117で増幅することができるため、更に中継通信局110の軽量化及び低消費電力化を図ることができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、基地局装置80及び端末装置60はそれぞれ、通常のFDD通信と同様にサービスリンク信号を送受信することができるため、基地局装置80及び端末装置60のそれぞれの無線通信の構成を変更することなく、基地局装置80及び端末装置60におけるFDD方式の通信を維持することができる。
【0078】
本発明は、移動通信網側の基地局装置及び端末装置におけるFDD方式の通信を維持するとともに無線中継装置の軽量化及び低消費電力化を図ることができるため、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【0079】
なお、本明細書で説明された処理工程並びに無線中継装置及び通信システムの構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0080】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、基地局、基地局装置、ゲートウェイ装置、無線中継装置、端末装置、ネットワークの各種ノード、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0081】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0082】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0083】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0084】
20A :サービスエリア
20C :セル
20F :フットプリント
60 :端末装置
61 :アンテナ
70 :GW局(ゲートウェイ装置)
71 :FLアンテナ
80 :基地局装置
85 :コアネットワーク
90 :通信網
100 :機体
110 :中継通信局(無線中継装置)
111 :SLアンテナ
112 :FLアンテナ
113 :デュプレクサ
117 :ローノイズ増幅器(LNA)
118 :信号処理部
119 :電力増幅器(PA)
120 :HAPSアンテナ(共用アンテナ)
310 :第1周波数帯
330 :共用周波数帯
701 :デュプレクサ
702 :デュプレクサ
703 :フォワードリンク信号経路
704 :リバースリンク信号経路
1100 :ベースバンド信号処理部
1110 :信号分岐部
1120 :第1周波数シフト部
1121 :前段シフト部
1122 :帯域通過フィルター(BPF)
1123 :電力増幅器
1124 :後段シフト部
1130 :第2周波数シフト部
1131 :前段シフト部
1132 :帯域通過フィルター(BPF)
1133 :後段シフト部
1140 :信号合成部
7031 :ローノイズ増幅器(LNA)
7032 :信号処理部
7033 :電力増幅器(PA)
7041 :ローノイズ増幅器(LNA)
7042 :信号処理部
7043 :電力増幅器(PA)
【要約】
【課題】基地局装置と端末装置とのFDD方式の通信を維持するとともに、無線中継装置の軽量化及び低消費電力化を図ることができる通信システムを提供する。
【解決手段】
サービスリンク及びフィーダリンクに、複数の周波数チャネルが隣接配置されたFDD上り回線帯域と複数の周波数チャネルが隣接配置されたFDD下り回線帯域とが所定のガードバンドを介して離隔配置された同一周波数帯(共用周波数帯)を用いる。無線中継装置は、共用アンテナと、FDD上り回線帯域の第1周波数チャネルにおけるREV(リバース)リンク信号の周波数をFDD下り回線帯域の第2周波数チャネルの周波数に変換し、FDD上り回線帯域の第2周波数チャネルにおけるFWD(フォワード)リンク信号の周波数をFDD下り回線帯域の第1周波数チャネルの周波数に変換する周波数変換部と、REVリンク信号及びFWDリンク信号を増幅する単一の電力増幅器とを有する。
【選択図】図12
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13