(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】組織レポート生成システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/063 20230101AFI20241115BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241115BHJP
【FI】
G06Q10/063
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2024094121
(22)【出願日】2024-06-11
【審査請求日】2024-06-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320005501
【氏名又は名称】株式会社電通
(73)【特許権者】
【識別番号】505340537
【氏名又は名称】株式会社電通デジタル
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(74)【代理人】
【識別番号】100220423
【氏名又は名称】榊間 城作
(72)【発明者】
【氏名】塩坂 文緒
(72)【発明者】
【氏名】杉内 威允
(72)【発明者】
【氏名】坪根 勇介
(72)【発明者】
【氏名】白上 慎也
(72)【発明者】
【氏名】福田 匡宏
(72)【発明者】
【氏名】ツェレンサンブー バーサンドルジ
(72)【発明者】
【氏名】ツェレンナドミド ビャムバジャブ
(72)【発明者】
【氏名】ガンゾリグ オド
(72)【発明者】
【氏名】バーサン ビャムドルジ
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2637481(KR,B1)
【文献】特許第7483170(JP,B1)
【文献】特開2023-096804(JP,A)
【文献】特開2008-234090(JP,A)
【文献】特開2021-163122(JP,A)
【文献】倉田優希,GPTsで『ニュース要約くん』を作ったので、実際にこのメモで要約ニュースを配信してみる。,[online],日本,2023年11月12日,[令和6年7月8日検索],インターネット, <URL:https://note.com/kurayu_ai/n/n3a1cd325751f#83d4f7da-0920-4b00-b234-1c9b8d4cc0d3>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の学習データを用いて機械学習することによって生成された既存の学習モデルを用いて、組織に関するレポートを生成する組織レポート生成システムであって、
前記組織レポート生成システムは、
前記レポートを生成する対象組織の組織名が入力される入力部と、
前記入力部に入力された前記組織名に基づいて、前記対象組織に関するニュース情報を収集するニュース情報収集部と、
前記既存の学習モデルを用いて、前記レポートを生成するためのデータ前処理を行うデータ前処理部であって、前記データ前処理は、前記既存の学習モデルに、前記ニュース情報収集部によって収集されたニュース情報を入
力して、前記ニュース情報と前記対象組織との関係性の有無、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるか、および、前記ニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリー、をそれぞれ推定して出力
させる処理である、前記データ前処理部と、
前記既存の学習モデルを用いて、前記データ前処理の結果を利用したレポート項目生成処理を行うレポート項目生成部であって、前記レポート項目生成処理は、前記既存の学習モデルに、前記対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるかの推定結果、および、前記ニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリーの推定結果を入
力して、前記対象組織に関するレポートを構成する複数のレポート項目のそれぞれを生成して出力
させる処理である、前記レポート項目生成部と、
前記レポート項目生成部から出力される複数のレポート項目をまとめて、前記対象組織に関するレポートを生成するレポート生成部と、
を備える、組織レポート生成システム。
【請求項2】
前記入力部には、前記対象組織の組織名に加えて、前記対象組織のホームページ情報が入力され、
前記ニュース情報収集部は、前記対象組織のホームページ情報に基づいて、前記対象組織に関するニュース情報を収集し、
前記データ前処理部は、前記対象組織のホームページから収集されたニュース情報については、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるかを推定せず、
前記レポート項目生成部は、
前記既存の学習モデルを用いて、前記対象組織のホームページから収集されたニュース情報のうち前記対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報、および、前記対象組織のホームページから収集されたニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリーの推定結果を入力として、前記対象組織のビジョンおよびバリューを反映したニュースサマリーを、前記複数のレポート項目のうちの一つとして生成して出力する、請求項1に記載の組織レポート生成システム。
【請求項3】
前記レポート項目生成部は、
前記既存の学習モデルを用いて、前記対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるかの推定結果、および、前記ニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリーの推定結果を入力として、前記対象組織が置かれている環境についてのニュースサマリーを、前記複数のレポート項目のうちの一つとして生成して出力する、請求項1に記載の組織レポート生成システム。
【請求項4】
前記レポート項目生成部は、
前記既存の学習モデルを用いて、前記対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるかの推定結果、および、前記ニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリーの推定結果を入力として、前記対象組織のSWOT分析の分析結果を、前記複数のレポート項目のうちの一つとして生成して出力する、請求項1に記載の組織レポート生成システム。
【請求項5】
前記レポート項目生成部は、
前記既存の学習モデルを用いて、前記対象組織のSWOT分析の分析結果を入力として、前記対象組織のSO分析、ST分析、または、WO分析の分析結果のいずれかに基づいて作成されるPRメッセージを、前記複数のレポート項目のうちの一つとして生成して出力する、請求項4に記載の組織レポート生成システム。
【請求項6】
所定の学習データを用いて機械学習することによって生成された既存の学習モデルを用いて、組織に関するレポートを生成する組織レポート生成システムで実行される方法あって、
前記方法は、
前記レポートを生成する対象組織の組織名が入力される入力ステップと、
前記入力ステップで入力された前記組織名およびに基づいて、前記対象組織に関するニュース情報を収集するニュース情報収集ステップと、
前記既存の学習モデルを用いて、前記レポートを生成するためのデータ前処理を行うデータ前処理ステップであって、前記データ前処理は、前記既存の学習モデルに、前記ニュース情報収集ステップで収集されたニュース情報を入
力して、前記ニュース情報と前記対象組織との関係性の有無、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるか、および、前記ニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリー、をそれぞれ推定して出力
させる処理である、前記データ前処理ステップと、
前記既存の学習モデルを用いて、前記データ前処理の結果を利用したレポート項目生成処理を行うレポート項目生成部であって、前記レポート項目生成処理は、前記既存の学習モデルに、前記対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるかの推定結果、および、前記ニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリーの推定結果を入
力して、前記対象組織に関するレポートを構成する複数のレポート項目のそれぞれを生成して出力
させる処理である、前記レポート項目生成ステップと、
前記レポート項目生成ステップで出力される複数のレポート項目をまとめて、前記対象組織に関するレポートを生成するレポート生成ステップと、
を含む、方法。
【請求項7】
所定の学習データを用いて機械学習することによって生成された既存の学習モデルを用いて、組織に関するレポートを生成する組織レポート生成システムで実行されるプログラムであって、
前記プログラムは、前記組織レポート生成システムに、
前記レポートを生成する対象組織の組織名が入力される入力処理と、
前記入力処理で入力された前記組織名に基づいて、前記対象組織に関するニュース情報を収集するニュース情報収集処理と、
前記既存の学習モデルを用いて、前記レポートを生成するためのデータ前処理を行うデータ前処理であって、前記既存の学習モデルに、前記ニュース情報収集処理で収集されたニュース情報を入
力して、前記ニュース情報と前記対象組織との関係性の有無、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるか、および、前記ニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリー、をそれぞれ推定して出力
させる、前記データ前処理処理と、
前記既存の学習モデルを用いて、前記データ前処理の結果を利用したレポート項目生成処理であって、前記既存の学習モデルに、前記既存の学習モデルを用いて、前記対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるかの推定結果、および、前記ニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリーの推定結果を入
力して、前記対象組織に関するレポートを構成する複数のレポート項目のそれぞれを生成して出力
させる、前記レポート項目生成処理と、
前記レポート項目生成処理で出力される複数のレポート項目をまとめて、前記対象組織に関するレポートを生成するレポート生成処理と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の学習モデルを用いて組織に関するレポートを生成する組織レポート生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業情報が記載された企業レポートをユーザに通信回線を介して配信するシステムが提案されている(例えば特許文献1参照)。従来のシステムでは、ユーザが設定した企業IDを取得してシステムに記憶させ、また、企業ID及び企業情報を取得してデータベースに記憶させ、さらに、企業IDを含むトリガー情報を取得してデータベースに記憶させる。そして、ユーザID毎にシステムに記憶された企業IDを取得してデータベースに記憶されたトリガー情報と照合させ、照合された企業IDに基づいてデータベースから企業情報を抽出し、ユーザID毎に企業レポートを作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のシステムにおいては、既存の学習モデル(例えば、GPT(Generative Pre-trained Transformer)を用いて企業レポートを作成すること、特に、様々な観点を含む企業レポート(複数のレポート項目を含む企業レポート)を作成することについては、何らの提案もなされていない。特に、既存の学習モデル(例えばGPTなど)を用いてレポートを作成する場合には、真実ではない情報を含んだレポートが生成されてしまう、すなわち、レポートの信頼性が低くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、既存の学習モデルを用いて、様々な観点を含むレポート(複数のレポート項目を含む対象組織に関するレポート)を容易に生成できるとともに、そのレポートの信頼性を高めることのできる組織レポート生成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の組織レポート生成システムは、組織に関するレポートを生成する組織レポート生成システムであって、前記組織レポート生成システムは、前記レポートを生成する対象組織の組織名が入力される入力部と、前記入力部に入力された前記組織名に基づいて、前記対象組織に関するニュース情報を収集するニュース情報収集部と、所定の学習データを用いて機械学習することによって生成された既存の学習モデルを用いて、前記ニュース情報収集部によって収集されたニュース情報を入力として、前記ニュース情報と前記対象組織との関係性の有無、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるか、および、前記ニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリー、をそれぞれ推定して出力するデータ前処理部と、前記既存の学習モデルを用いて、前記対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるかの推定結果、および、前記ニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリーの推定結果を入力として、前記対象組織に関するレポートを構成する複数のレポート項目のそれぞれを生成して出力するレポート項目生成部と、前記レポート項目生成部から出力される複数のレポート項目をまとめて、前記対象組織に関するレポートを生成するレポート生成部と、を備えている。
【0007】
この構成によれば、レポートを生成する対象となる組織(対象組織)の組織名が入力されると、入力された組織名に基づいて収集されたニュース情報(対象組織に関するニュース情報)に基づいて、既存の学習モデル(例えばGPTなど)を用いて、複数のレポート項目を含む対象組織に関するレポートが生成される。この場合、まず、既存の学習モデルを用いたデータ前処理が行われ、収集されたニュース情報から、ニュース情報と対象組織との関係性の有無、ニュース情報が肯定的な内容であるか否か、および、対象組織の業界と業種のカテゴリーがそれぞれ推定される。そして、次に、既存の学習モデルを用いて複数のレポート項目のそれぞれが生成される。このとき、対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報が用いられるため、生成されるレポート項目の信頼性が高い。また、ニュース情報が肯定的な内容であるか否かや対象組織の業界と業種のカテゴリーを用いて、様々な観点から複数のレポート項目が生成される。このようにして、既存の学習モデルを用いて、様々な観点を含むレポート(複数のレポート項目を含む対象組織に関するレポート)を容易に生成できるとともに、そのレポートの信頼性を高めることができる。
【0008】
また、本発明の組織レポート生成システムでは、前記入力部には、前記対象組織の組織名に加えて、前記対象組織のホームページ情報が入力され、前記ニュース情報収集部は、前記対象組織のホームページ情報に基づいて、前記対象組織に関するニュース情報を収集し、前記データ前処理部は、前記対象組織のホームページから収集されたニュース情報については、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるかを推定せず、前記レポート項目生成部は、前記既存の学習モデルを用いて、前記対象組織のホームページから収集されたニュース情報のうち前記対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報、および、前記対象組織のホームページから収集されたニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリーの推定結果を入力として、前記対象組織のビジョンおよびバリューを反映したニュースサマリーを、前記複数のレポート項目のうちの一つとして生成して出力してもよい。
【0009】
この構成によれば、対象組織の組織名に加えて対象組織のホームページ情報が入力されると、入力されたホームページ情報に基づいて収集されたニュース情報(対象組織に関するニュース情報)に基づいて、既存の学習モデル(例えばGPTなど)を用いて、複数のレポート項目を含む対象組織に関するレポートが生成される。この場合、既存の学習モデルを用いてデータ前処理では、ニュース情報が肯定的な内容であるか否かの推定は行われない。そして、既存の学習モデルを用いて複数のレポート項目が生成されるときに、対象組織のホームページから収集されたニュース情報のうち対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報、および、対象組織のホームページから収集されたニュース情報から特定される対象組織の業界と業種のカテゴリーの推定結果に基づいて、対象組織のビジョンおよびバリューを反映したニュースサマリーが、複数のレポート項目のうちの一つとして生成される。このようにして、対象組織に関するレポートとして、「対象組織のビジョンおよびバリューを反映したニュースサマリー」という観点(レポート項目)を含むレポートを生成することができる。
【0010】
また、本発明の組織レポート生成システムでは、前記レポート項目生成部は、前記既存の学習モデルを用いて、前記対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるかの推定結果、および、前記ニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリーの推定結果を入力として、前記対象組織が置かれている環境についてのニュースサマリーを、前記複数のレポート項目のうちの一つとして生成して出力してもよい。
【0011】
この構成によれば、既存の学習モデル(例えばGPTなど)を用いて複数のレポート項目が生成されるときに、対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報、ニュース情報が肯定的な内容であるか否かの推定結果、および、ニュース情報から特定される対象組織の業界と業種のカテゴリーの推定結果に基づいて、対象組織が置かれている環境についてのニュースサマリーが、複数のレポート項目のうちの一つとして生成される。このようにして、対象組織に関するレポートとして、「対象組織が置かれている環境についてのニュースサマリー」という観点(レポート項目)を含むレポートを生成することができる。
【0012】
また、本発明の組織レポート生成システムでは、前記レポート項目生成部は、前記既存の学習モデルを用いて、前記対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるかの推定結果、および、前記ニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリーの推定結果を入力として、前記対象組織のSWOT分析の分析結果を、前記複数のレポート項目のうちの一つとして生成して出力してもよい。
【0013】
この構成によれば、既存の学習モデル(例えばGPTなど)を用いて複数のレポート項目が生成されるときに、対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報、ニュース情報が肯定的な内容であるか否かの推定結果、および、ニュース情報から特定される対象組織の業界と業種のカテゴリーの推定結果に基づいて、対象組織のSWOT分析の分析結果が、複数のレポート項目のうちの一つとして生成される。このようにして、対象組織に関するレポートとして、「対象組織のSWOT分析の分析結果」という観点(レポート項目)を含むレポートを生成することができる。
【0014】
また、本発明の組織レポート生成システムでは、前記レポート項目生成部は、前記既存の学習モデルを用いて、前記対象組織のSWOT分析の分析結果を入力として、前記対象組織のSO分析、ST分析、または、WO分析の分析結果のいずれかに基づいて作成されるPRメッセージを、前記複数のレポート項目のうちの一つとして生成して出力してもよい。
【0015】
この構成によれば、既存の学習モデル(例えばGPTなど)を用いて複数のレポート項目が生成されるときに、対象組織のSWOT分析の分析結果に基づいて、当該SWOT分析から得られるSO分析、ST分析、WO分析を組み合わせたPRメッセージが、複数のレポート項目のうちの一つとして生成される。このようにして、対象組織に関するレポートとして、「対象組織のSO分析、ST分析、または、WO分析の分析結果のいずれかに基づいて作成されるPRメッセージ」という観点(レポート項目)を含むレポートを生成することができる。
【0016】
本発明の方法は、組織に関するレポートを生成する組織レポート生成システムで実行される方法あって、前記方法は、前記レポートを生成する対象組織の組織名が入力される入力ステップと、前記入力ステップで入力された前記組織名およびに基づいて、前記対象組織に関するニュース情報を収集するニュース情報収集ステップと、所定の学習データを用いて機械学習することによって生成された既存の学習モデルを用いて、前記ニュース情報収集ステップで収集されたニュース情報を入力として、前記ニュース情報と前記対象組織との関係性の有無、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるか、および、前記ニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリー、をそれぞれ推定して出力するデータ前処理ステップと、前記既存の学習モデルを用いて、前記対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるかの推定結果、および、前記ニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリーの推定結果を入力として、前記対象組織に関するレポートを構成する複数のレポート項目のそれぞれを生成して出力するレポート項目生成ステップと、前記レポート項目生成ステップで出力される複数のレポート項目をまとめて、前記対象組織に関するレポートを生成するレポート生成ステップと、を含んでいる。
【0017】
この方法によっても、上記のシステムと同様に、レポートを生成する対象となる組織(対象組織)の組織名が入力されると、入力された組織名に基づいて収集されたニュース情報(対象組織に関するニュース情報)に基づいて、既存の学習モデル(例えばGPTなど)を用いて、複数のレポート項目を含む対象組織に関するレポートが生成される。この場合、まず、既存の学習モデルを用いたデータ前処理が行われ、収集されたニュース情報から、ニュース情報と対象組織との関係性の有無、ニュース情報が肯定的な内容であるか否か、および、対象組織の業界と業種のカテゴリーがそれぞれ推定される。そして、次に、既存の学習モデルを用いて複数のレポート項目のそれぞれが生成される。このとき、対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報が用いられるため、生成されるレポート項目の信頼性が高い。また、ニュース情報が肯定的な内容であるか否かや対象組織の業界と業種のカテゴリーを用いて、様々な観点から複数のレポート項目が生成される。このようにして、既存の学習モデルを用いて、様々な観点を含むレポート(複数のレポート項目を含む対象組織に関するレポート)を容易に生成できるとともに、そのレポートの信頼性を高めることができる。
【0018】
本発明のプログラムは、組織に関するレポートを生成する組織レポート生成システムで実行されるプログラムであって、前記プログラムは、前記組織レポート生成システムに、前記レポートを生成する対象組織の組織名が入力される入力処理と、前記入力処理で入力された前記組織名に基づいて、前記対象組織に関するニュース情報を収集するニュース情報収集処理と、所定の学習データを用いて機械学習することによって生成された既存の学習モデルを用いて、前記ニュース情報収集処理で収集されたニュース情報を入力として、前記ニュース情報と前記対象組織との関係性の有無、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるか、および、前記ニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリー、をそれぞれ推定して出力するデータ前処理処理と、前記既存の学習モデルを用いて、前記対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報、前記ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるかの推定結果、および、前記ニュース情報から特定される前記対象組織の業界と業種のカテゴリーの推定結果を入力として、前記対象組織に関するレポートを構成する複数のレポート項目のそれぞれを生成して出力するレポート項目生成処理と、前記レポート項目生成処理で出力される複数のレポート項目をまとめて、前記対象組織に関するレポートを生成するレポート生成処理と、を実行させる。
【0019】
このプログラムによっても、上記のシステムと同様に、レポートを生成する対象となる組織(対象組織)の組織名が入力されると、入力された組織名に基づいて収集されたニュース情報(対象組織に関するニュース情報)に基づいて、既存の学習モデル(例えばGPTなど)を用いて、複数のレポート項目を含む対象組織に関するレポートが生成される。この場合、まず、既存の学習モデルを用いたデータ前処理が行われ、収集されたニュース情報から、ニュース情報と対象組織との関係性の有無、ニュース情報が肯定的な内容であるか否か、および、対象組織の業界と業種のカテゴリーがそれぞれ推定される。そして、次に、既存の学習モデルを用いて複数のレポート項目のそれぞれが生成される。このとき、対象組織との関係性が有ると推定されたニュース情報が用いられるため、生成されるレポート項目の信頼性が高い。また、ニュース情報が肯定的な内容であるか否かや対象組織の業界と業種のカテゴリーを用いて、様々な観点から複数のレポート項目が生成される。このようにして、既存の学習モデルを用いて、様々な観点を含むレポート(複数のレポート項目を含む対象組織に関するレポート)を容易に生成できるとともに、そのレポートの信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、既存の学習モデルを用いて、様々な観点を含むレポートを容易に生成できるとともに、そのレポートの信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態における組織レポート生成システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態において収集されるニュース情報の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態におけるデータ前処理の結果の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態において生成されるニュースサマリー(企業内部)の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態において生成されるニュースサマリー(企業外部)の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施の形態におけるSWOT分析の分析結果の一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態においてSO分析の分析結果から作成されるPRメッセージの一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施の形態においてST分析の分析結果から作成されるPRメッセージの一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施の形態においてWO分析の分析結果から作成されるPRメッセージの一例を示す図である。
【
図10】本発明の実施の形態において生成される注目すべきニュース(企業内部)の一例を示す図である。
【
図11】本発明の実施の形態において生成される注目すべきニュース(企業外部)の一例を示す図である。
【
図12】本発明の実施の形態において生成されるマインドマップの一例を示す図である。
【
図13】本発明の実施の形態において生成される時系列グラフの一例を示す図である。
【
図14】本発明の実施の形態における組織レポート生成システムの動作を説明のためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態の組織レポート生成システムについて、図面を用いて説明する。本実施の形態では、企業に関するレポート(企業レポート)の生成等に用いられる組織レポート生成システムの場合を例示する。本実施の形態の組織レポート生成システムは、既存の学習モデルを用いて企業レポートを生成する機能を備えている。この機能は、組織レポート生成システムのメモリ領域などに格納されるプログラムによって実現される。
【0023】
本発明の実施の形態の組織レポート生成システムの構成を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の組織レポート生成システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、組織レポート生成システム1は、インターネット網などのネットワークNを介して、ユーザ装置2と接続されている。本実施の形態において、組織レポート生成システム1は、例えばクラウドサーバ装置などで構成されている。また、ユーザ装置2は、例えば業務用のコンピュータ装置などで構成されており、キーボードやマウスなどの入力部3や、ディスプレイなどの表示部4を備えている。
【0024】
組織レポート生成システム1は、入力部5と、ニュース情報収集部6と、データ前処理部7と、レポート項目生成部8と、レポート生成部9と、出力部10と、記憶部11を備えている。入力部5には、ユーザ装置2の入力部3で入力された企業名(レポートを生成する対象企業の企業名。例えば「A社」など)が入力される。入力部5には、対象企業の企業名に加えて、対象企業のホームページ情報(例えば「A社のホームページのURL」など)が入力されてもよい。また、入力部5には、ニュース情報を収集する期間(例えば「過去1か月」や「過去1年」など)が入力されてもよい。
【0025】
ニュース情報収集部6は、入力部5に入力された企業名に基づいて、対象企業に関するニュース情報を収集する機能を備えている。対象企業の企業名に加えて、対象企業のホームページ情報や期間が入力部5に入力された場合には、ニュース情報収集部6は、それらのホームページ情報や期間に基づいて、対象企業に関するニュース情報を収集することができる。例えば、ニュース情報収集部6は、クローリングによって対象企業に関するニュース情報を収集する。また、ニュース情報収集部6は、複数のクローラー(例えば、信頼度の高いニュースサイトをクローリングする独自クローラーと、外部の事業者が提供する外部クローラ―)を用いて対象企業に関するニュース情報を収集してもよい。
【0026】
図2は、ニュース情報収集部6によって収集されたニュース情報(本文)の一例を示す図である。
図2には、「企業A」という企業名と、「企業Aのホームページ情報(URL)」と、「過去1年」という期間が入力された場合の例が示されている。このような様々なニュース情報がクローリングによって収集される。なお、クローリングには、公知の技術を用いることができる。
【0027】
データ前処理部7は、既存の学習モデルを用いてデータ前処理を行う機能を備えている。具体的には、ニュース情報収集部6によって収集されたニュース情報を入力として、ニュース情報と対象企業との関係性の有無、ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるか、および、ニュース情報から特定される対象企業の業界と業種のカテゴリーを、それぞれ推定して出力する処理が、既存の学習モデルを用いたデータ前処理として実行される。この場合、データ前処理部7は、対象企業のホームページから収集されたニュース情報については、ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるかを推定しない。なお、既存の学習モデルは、所定の学習データを用いて機械学習することによって生成された学習モデル(例えば「GPT」など)である。機械学習には、ニューラルネットワークによるディープラーニング等の任意の手法が用いられる。
【0028】
本実施の形態では、データ前処理部7は、「入力されたニュース情報と対象企業の企業名に基づいて、ニュース情報と対象企業との関係性の有無、ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるか、および、ニュース情報から特定される対象企業の業界と業種のカテゴリーを推定させる」ようなデータ前処理用のプロンプトを生成し、そのプロンプトを既存の学習モデルに入力する。その結果、データ前処理部7は、既存の学習モデルからの出力としてデータ前処理の結果を取得することができる。
【0029】
図3は、データ前処理の結果(既存の学習モデルによる推定結果)の一例を示す図である。
図3の例では、ニュース情報と対象企業との関係性の有無の推定結果が、「関係性」の欄に「有」または「無」として記載されている。また、
図3の例では、ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるかの推定結果が、「トーン」の欄に「肯定的」または「否定的」として記載されている。さらに、
図3の例では、ニュース情報から特定される対象企業の業界と業種のカテゴリーの推定結果が、「業界」と「業種」の欄にそれぞれ「投資」と「財務実績」などとして記載されている。なお、
図3に示すように、データ前処理の結果には、ニュース情報の「タイトル(そのニュース情報のタイトル)」や「URL(そのニュース情報のソース)」や「分類(そのニュース情報のソースが企業内部であるか、企業外部であるか)」や「日付(そのニュース情報の公表日)」などが付与されてもよい。
【0030】
レポート項目生成部8は、既存の学習モデル(例えば「GPT」など)を用いて、データ前処理の結果から、対象企業に関するレポート(企業レポート)を構成する複数のレポート項目のそれぞれを生成して出力する機能を備えている。具体的には、対象企業との関係性が有ると推定されたニュース情報、ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるかの推定結果、および、ニュース情報から特定される対象企業の業界と業種のカテゴリーの推定結果を入力として、複数のレポート項目のそれぞれを生成して出力する処理が、既存の学習モデルを用いて実行される。なお、レポート項目生成部8は、公知の技術を用いて、その他のレポート項目を生成して出力する処理を行うこともできる。レポート項目生成部8の機能の詳細については、後述する。
【0031】
レポート生成部9は、レポート項目生成部8から出力される複数のレポート項目をまとめて、対象企業に関するレポート(企業レポート)を生成する機能を備えている。複数のレポート項目をまとめる場合には、公知の技術を利用することができる。出力部10は、レポート生成部9で生成された企業レポートを出力する機能を備えている。レポート生成部9で生成された企業レポートは、出力部10からユーザ装置2に送られて、ユーザ装置2の表示部4に表示される。記憶部11は、大容量のメモリ等で構成されており、企業レポートを生成するために必要なデータやプログラムを記憶している。
【0032】
ここで、レポート項目生成部8が有する機能について詳しく説明する。レポート項目生成部8は、機能ブロックとして、ニュースサマリー生成部80と、SWOT分析部81と、PRメッセージ生成部82と、注目ニュース生成部83と、マインドマップ生成部84と、時系列グラフ生成部85を備えている。
【0033】
ニュースサマリー生成部80は、既存の学習モデルを用いて、対象企業のホームページから収集されたニュース情報のうち対象企業との関係性が有ると推定されたニュース情報、および、対象企業のホームページから収集されたニュース情報から特定される対象企業の業界と業種のカテゴリーの推定結果を入力として、対象企業のビジョンおよびバリューを反映したニュースサマリー(企業内部)を、複数のレポート項目のうちの一つとして生成して出力する機能を備えている。
【0034】
本実施の形態では、ニュースサマリー生成部80は、「対象企業との関係性が有ると推定されたニュース情報、および、対象企業の業界と業種のカテゴリーの推定結果に基づいて、その対象企業のビジョンおよびバリューを反映したニュースサマリー(企業内部)を生成させる」ようなニュースサマリー(企業内部)生成用のプロンプトを生成し、そのプロンプトを既存の学習モデルに入力する。その結果、ニュースサマリー生成部80は、既存の学習モデルからの出力として、
図4に示すような「ニュースサマリー(企業内部)」を取得することができる。
【0035】
また、ニュースサマリー生成部80は、既存の学習モデルを用いて、対象企業との関係性が有ると推定されたニュース情報、ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるかの推定結果、および、ニュース情報から特定される対象企業の業界と業種のカテゴリーの推定結果を入力として、対象企業が置かれている環境についてのニュースサマリー(企業外部)を、複数のレポート項目のうちの一つとして生成して出力する機能を備えている。
【0036】
本実施の形態では、ニュースサマリー生成部80は、「対象企業との関係性が有ると推定されたニュース情報、ニュース情報が肯定的な内容であるか否かの推定結果、および、対象企業の業界と業種のカテゴリーの推定結果に基づいて、その対象企業が置かれている環境についてのニュースサマリー(企業外部)を生成させる」ようなニュースサマリー(企業外部)生成用のプロンプトを生成し、そのプロンプトを既存の学習モデルに入力する。その結果、ニュースサマリー生成部80は、既存の学習モデルからの出力として、
図5に示すような「ニュースサマリー(企業外部)」を取得することができる。
【0037】
SWOT分析部81は、既存の学習モデルを用いて、対象企業との関係性が有ると推定されたニュース情報、ニュース情報が肯定的な内容であるか否定的な内容であるかの推定結果、および、ニュース情報から特定される対象企業の業界と業種のカテゴリーの推定結果を入力として、対象企業のSWOT分析の分析結果を、複数のレポート項目のうちの一つとして生成して出力する機能を備えている。
【0038】
本実施の形態では、SWOT分析部81は、「対象企業との関係性が有ると推定されたニュース情報、ニュース情報が肯定的な内容であるか否かの推定結果、および、対象企業の業界と業種のカテゴリーの推定結果に基づいて、対象企業のSWOT分析の分析結果を生成させる」ようなSWOT分析用のプロンプトを生成し、そのプロンプトを既存の学習モデルに入力する。その結果、SWOT分析部81は、既存の学習モデルからの出力として、
図6に示すような「SWOT分析の分析結果」を取得することができる。
【0039】
PRメッセージ生成部82は、既存の学習モデルを用いて、対象企業のSWOT分析の分析結果を入力として、対象企業のSO分析、ST分析、または、WO分析の分析結果のいずれかに基づいて作成されるPRメッセージを、複数のレポート項目のうちの一つとして生成して出力する機能を備えている。
【0040】
本実施の形態では、PRメッセージ生成部82は、「対象企業のSWOT分析の分析結果に基づいて、対象企業のSO分析の分析結果に基づいて作成されるPRメッセージを生成させる」ようなPRメッセージ(SO分析パターン)生成用のプロンプトを生成し、そのプロンプトを既存の学習モデルに入力する。その結果、PRメッセージ生成部82は、既存の学習モデルからの出力として、
図7に示すような「PRメッセージ(SO分析パターン)」を取得することができる。
【0041】
また、本実施の形態では、PRメッセージ生成部82は、「対象企業のSWOT分析の分析結果に基づいて、対象企業のST分析の分析結果に基づいて作成されるPRメッセージを生成させる」ようなPRメッセージ(ST分析パターン)生成用のプロンプトを生成し、そのプロンプトを既存の学習モデルに入力する。その結果、PRメッセージ生成部82は、既存の学習モデルからの出力として、
図8に示すような「PRメッセージ(ST分析パターン)」を取得することができる。
【0042】
また、本実施の形態では、PRメッセージ生成部82は、「対象企業のSWOT分析の分析結果に基づいて、対象企業のWO分析の分析結果に基づいて作成されるPRメッセージを生成させる」ようなPRメッセージ(WO分析パターン)生成用のプロンプトを生成し、そのプロンプトを既存の学習モデルに入力する。その結果、PRメッセージ生成部82は、既存の学習モデルからの出力として、
図9に示すような「PRメッセージ(WO分析パターン)」を取得することができる。
【0043】
注目ニュース生成部83は、データ前処理が施されたニュース情報に、所定のウェイト計算処理を施すことによってウェイト値を付与し、ウェイト値の高いニュース情報を、「注目すべきニュース」として複数のレポート項目のうちの一つとして生成して出力する機能を備えている。ウェイト計算処理では、ニュース情報に「質スコア(0~100)」と「量スコア(0~100)」が付与される。そして、ウェイト値の高いニュース情報(例えば、「量スコア」が高い上位5件のニュース情報)が「注目すべきニュース」として出力される。なお、ウェイト計算処理は、公知の技術を用いることができる。
【0044】
本実施の形態では、注目ニュース生成部83は、データ前処理で「分類」として「企業内部」が付与されたニュース情報に基づいて、
図10に示すような「注目すべきニュース(企業内部)」を生成することができる。また、注目ニュース生成部83は、データ前処理で「分類」として「企業外部」が付与されたニュース情報に基づいて、
図11に示すような「注目すべきニュース(企業外部)」を生成することができる。
【0045】
マインドマップ生成部84は、データ前処理が施されたニュース情報に基づいて、対象企業に関するマインドマップを生成する機能を備えている。マインドマップの生成は、公知の技術を用いることができる。
【0046】
本実施の形態では、マインドマップ生成部84は、データ前処理で「分類」として「企業内部」が付与されたニュース情報に基づいて、
図12(a)に示すような「マインドマップ(企業内部)」を生成することができる。また、マインドマップ生成部84は、データ前処理で「分類」として「企業外部」が付与されたニュース情報に基づいて、
図12(b)に示すような「マインドマップ(企業外部)」を生成することができる。
【0047】
時系列グラフ生成部85は、データ前処理が施されたニュース情報に基づいて、対象企業に関するニュース情報の時系列グラフを生成する機能を備えている。時系列グラフは、例えば、横軸をニュース情報の日付とし、縦軸をニュース情報の数(ニュース数)としたグラフである。時系列グラフの生成は、公知の技術を用いることができる。
【0048】
本実施の形態では、時系列グラフ生成部85は、データ前処理で「トーン」として「肯定的」が付与されたニュース情報に基づいて、
図13に示すような「時系列グラフ(
図13において白丸と折れ線で図示したグラフ)」を生成することができる。また、時系列グラフ生成部85は、データ前処理で「トーン」として「否定的」が付与されたニュース情報に基づいて、
図13に示すような「時系列グラフ(
図13において黒丸と折れ線で図示したグラフ)」を生成することができる。
【0049】
以上のように構成された組織レポート生成システム1について、
図14のシーケンス図を参照してその動作を説明する。
【0050】
本実施の形態の組織レポート生成システム1を用いて企業レポートを生成する場合には、まず、ユーザ装置2で、企業レポートを生成する対象企業の企業名(例えば「A社」など)、対象企業のホームページ情報(例えば「A社のホームページのURL」など)、ニュース情報を収集する期間(例えば「過去1年」など)を入力する(S1)。入力された企業名、ホームページ情報、期間の情報は、ユーザ装置2から組織レポート生成システム1へ送信される(S2)。
【0051】
組織レポート生成システム1では、企業名、ホームページ情報、期間の情報が入力されると、それらの情報に基づいてニュース情報(
図2参照)の収集が行われ(S3)、既存の学習モデル(例えば「GPT」など)を用いて、収集したニュース情報に対してデータ前処理(
図3参照)が行われる(S4)。そして、既存の学習モデル(例えば「GPT」など)を用いて、データ前処理の結果に基づいて複数のレポート項目が生成される(S5~S12)。
【0052】
具体的には、既存の学習モデルを用いて、対象企業のビジョンおよびバリューを反映した「ニュースサマリー(企業内部)」(
図4参照)が、複数のレポート項目のうちの一つとして生成される(S5)。また、既存の学習モデルを用いて、対象企業が置かれている環境についての「ニュースサマリー(企業外部)」(
図5参照)が、複数のレポート項目のうちの一つとして生成される(S6)。また、既存の学習モデルを用いて、対象企業の「SWOT分析の分析結果」(
図6参照)が、複数のレポート項目のうちの一つとして生成される(S7)。また、既存の学習モデルを用いて、「対象企業のSO分析、ST分析、WO分析の分析結果に基づいて作成されるPRメッセージ」(
図7~
図9参照)が、複数のレポート項目のうちの一つとして生成される(S8)。
【0053】
さらに、データ前処理で「企業内部」が付与されたニュース情報に基づいて、「注目すべきニュース(企業内部)」(
図10参照)が、複数のレポート項目のうちの一つとして生成される(S9)。また、データ前処理で「企業外部」が付与されたニュース情報に基づいて、「注目すべきニュース(企業外部)」(
図11参照)が、複数のレポート項目のうちの一つとして生成される(S10)。また、データ前処理が施されたニュース情報に基づいて、対象企業に関する「マインドマップ」(
図12参照)が、複数のレポート項目のうちの一つとして生成される(S11)。また、データ前処理が施されたニュース情報に基づいて、対象企業に関するニュース情報の「時系列グラフ」(
図13参照)が、複数のレポート項目のうちの一つとして生成される(S12)。
【0054】
そして、上記(S5~S12)のようにして生成された複数のレポート項目をまとめて、対象企業に関するレポート(企業レポート)が生成される(S13)。生成された企業レポートは、組織レポート生成システム1からユーザ装置2へ送信され(S14)、ユーザ装置2の表示部4で表示される(S15)。
【0055】
このような本実施の形態の組織レポート生成システム1によれば、レポートを生成する対象となる企業(対象企業)の企業名が入力されると、入力された企業名に基づいて収集されたニュース情報(対象企業に関するニュース情報)(
図2参照)に基づいて、既存の学習モデル(例えばGPTなど)を用いて、複数のレポート項目を含む対象企業に関するレポートが生成される。この場合、まず、既存の学習モデルを用いたデータ前処理(
図3参照)が行われ、収集されたニュース情報から、ニュース情報と対象企業との関係性の有無、ニュース情報が肯定的な内容であるか否か、および、対象企業の業界と業種のカテゴリーがそれぞれ推定される。そして、次に、既存の学習モデルを用いて複数のレポート項目のそれぞれが生成される(
図4~
図9参照)。
【0056】
このとき、対象企業との関係性が有ると推定されたニュース情報が用いられるため、生成されるレポート項目の信頼性が高い。また、ニュース情報が肯定的な内容であるか否かや対象企業の業界と業種のカテゴリーを用いて、様々な観点から複数のレポート項目が生成される。このようにして、既存の学習モデルを用いて、様々な観点を含むレポート(複数のレポート項目を含む対象企業に関するレポート)を容易に生成できるとともに、そのレポートの信頼性を高めることができる。
【0057】
また、本実施の形態では、対象企業の企業名に加えて対象企業のホームページ情報が入力されると、入力されたホームページ情報に基づいて収集されたニュース情報(対象企業に関するニュース情報)に基づいて、既存の学習モデル(例えばGPTなど)を用いて、複数のレポート項目を含む対象企業に関するレポートが生成される。
【0058】
この場合、既存の学習モデルを用いてデータ前処理では、ニュース情報が肯定的な内容であるか否かの推定は行われない。そして、既存の学習モデルを用いて複数のレポート項目が生成されるときに、対象企業のホームページから収集されたニュース情報のうち対象企業との関係性が有ると推定されたニュース情報、および、対象企業のホームページから収集されたニュース情報から特定される対象企業の業界と業種のカテゴリーの推定結果に基づいて、対象企業のビジョンおよびバリューを反映したニュースサマリーが、複数のレポート項目のうちの一つとして生成される。このようにして、対象企業に関するレポートとして、対象企業のビジョンおよびバリューを反映した「ニュースサマリー(企業内部)」という観点(レポート項目)を含むレポートを生成することができる(
図4参照)。
【0059】
また、本実施の形態では、既存の学習モデル(例えばGPTなど)を用いて複数のレポート項目が生成されるときに、対象企業との関係性が有ると推定されたニュース情報、ニュース情報が肯定的な内容であるか否かの推定結果、および、ニュース情報から特定される対象企業の業界と業種のカテゴリーの推定結果に基づいて、対象企業が置かれている環境についてのニュースサマリーが、複数のレポート項目のうちの一つとして生成される。このようにして、対象企業に関するレポートとして、対象企業が置かれている環境についての「ニュースサマリー(企業外部)」という観点(レポート項目)を含むレポートを生成することができる(
図5参照)。
【0060】
また、本実施の形態では、既存の学習モデル(例えばGPTなど)を用いて複数のレポート項目が生成されるときに、対象企業との関係性が有ると推定されたニュース情報、ニュース情報が肯定的な内容であるか否かの推定結果、および、ニュース情報から特定される対象企業の業界と業種のカテゴリーの推定結果に基づいて、対象企業のSWOT分析の分析結果が、複数のレポート項目のうちの一つとして生成される。このようにして、対象企業に関するレポートとして、対象企業の「SWOT分析の分析結果」という観点(レポート項目)を含むレポートを生成することができる(
図6参照)。
【0061】
また、本実施の形態では、既存の学習モデル(例えばGPTなど)を用いて複数のレポート項目が生成されるときに、対象企業のSWOT分析の分析結果に基づいて、当該SWOT分析から得られるSO分析、ST分析、または、WO分析のいずれかを含むPRメッセージが、複数のレポート項目のうちの一つとして生成される。このようにして、対象企業に関するレポートとして、「対象企業のSO分析、ST分析、または、WO分析の分析結果のいずれかに基づいて作成されるPRメッセージ」という観点(レポート項目)を含むレポートを生成することができる(
図7~
図9参照)。
【0062】
上記のような本実施の形態の組織レポート生成システム1によれば、ターゲット企業に関連するニュースを信頼できるソースからリアルタイムで取得し、企業広報に関連する各種分析を行うことができる。そのため、取得したニュース情報を元にした詳細かつ具体的な独自プロンプトにより、企業・組織に適したSWOT分析やPR活動の提案が可能になる。
【0063】
本実施の形態では、ニュース情報収集部6(クロール機能)を備えることにより、指定期間内の企業に関連するニュースをすべて収集することが可能である。ニュース情報収集部6は、企業のホームページからプレスリリースやニュースなどを収集することが可能であるとともに(内部クロール機能)、企業に言及しているグローバルニュースを収集することが可能である(外部クロール機能)。
【0064】
また、本実施の形態では、データ前処理部6(データ前処理機能)を備えることにより、各ニュース記事を既存の学習モデル(例えば「GPT」など)に提示し、データをクレンジング後、SWOT分析を生成するための各種の出力を得ることが可能である。ここで、各種の出力には、「関係性」「トーン」「業界とカテゴリの分類」「注目ニュース」「ニュースサマリー」が含まれる。
【0065】
この場合、「関係性」により、ニュースが組織に関連しているかを判断することが可能である。「トーン」により、各ニュースのセンチメントを分析することが可能である。「業界とカテゴリの分類」により、取得したニュースが、企業の関連業界とカテゴリなのかを特定することが可能である。「注目ニュース」により、すべてのニュースを独自スコアで評価し、企業や組織にとって最も注目すべきものを選択できる。独自スコアには、Qualityスコア(信頼できるニュースソーススコア)と、Quantityスコア(ニュース分布と業界、カテゴリデータから算出した、ターゲット企業に対する各ニュース項目の影響力を示すスコア)が含まれる。「ニュースサマリー(企業内部)」により、注目ニュースと高度なプロンプトを使用して、組織のビジョンと価値の要約を作成することが可能である。「ニュースサマリー(企業外部)」により、信頼度の高い情報を使用して、企業を取り巻く環境に関連する外部ニュースの要約を生成することが可能である。
【0066】
また、本実施の形態では、マインドマップ生成部84(ビジュアル化機能)により、企業の関連業界とカテゴリからマインドマップを構築することができる。また、時系列グラフ生成部85(ビジュアル化機能)により、企業に関連するニュース数と時間との関係を可視化することができる。また、SWOT分析部81(カテゴリ別データに基づくSWOT分析機能)により、カテゴリ別データを使用して企業のSWOT分析を実行し、トークン制限の問題に対処することが可能である。さらに、レポート生成部9(レポートの出力機能)により、各種の分析結果を指定したレポートのレイアウトで出力することが可能である。
【0067】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0068】
例えば、以上の説明では、企業に関するレポートを生成する例について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、企業以外の団体や組合やチームなどに関するレポートについても同様に生成することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明にかかる組織レポート生成システムは、既存の学習モデルを用いて、様々な観点を含むレポートを容易に生成でき、そのレポートの信頼性を高めることができるという効果を有し、企業に関するレポート(企業レポート)の生成等に用いられ、有用である。
【符号の説明】
【0070】
1 組織レポート生成システム
2 ユーザ装置
3 入力部
4 表示部
5 入力部
6 ニュース情報収集部
7 データ前処理部
8 レポート項目生成部
9 レポート生成部
10 出力部
11 記憶部
80 ニュースサマリー生成部
81 SWOT分析部
82 PRメッセージ生成部
83 注目ニュース生成部
84 マインドマップ生成部
85 時系列グラフ生成部
【要約】
【課題】 既存の学習モデルを用いて、様々な観点を含む企業レポートを容易に生成でき、その企業レポートの信頼性を高めることのできる組織レポート生成システムを提供する。
【解決手段】 組織レポート生成システム1は、レポートを生成する対象企業の企業名が入力されると、対象企業に関するニュース情報を収集し、既存の学習モデルを用いて、収集されたニュース情報から、ニュース情報と対象企業との関係性の有無、ニュース情報が肯定的な内容であるか否か、対象企業の業界と業種のカテゴリーをそれぞれ推定する。そして、既存の学習モデルを用いて、対象企業との関係性が有ると推定されたニュース情報、ニュース情報が肯定的な内容であるか否かの推定結果、対象企業の業界と業種のカテゴリーの推定結果から、複数のレポート項目のそれぞれを生成し、それらをまとめて、対象企業に関するレポート(企業レポート)を生成する。
【選択図】
図1