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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】柱状コア専用収容箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/20 20060101AFI20241115BHJP
   G01N 1/04 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B65D85/20 Z
G01N1/04 J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024172001
(22)【出願日】2024-10-01
【審査請求日】2024-10-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】393003505
【氏名又は名称】復建調査設計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】小田 高幸
(72)【発明者】
【氏名】藤田 琢磨
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特許第3610344(JP,B2)
【文献】特開2002-347842(JP,A)
【文献】実開平03-035451(JP,U)
【文献】特開昭62-204140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/20
G01N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状コアを収容する一組の緩衝材と、
前記一組の緩衝材が内部に収容されている一組の箱体と、
を有し、
前記緩衝材は、
直方体状の基部と、
前記基部の一面側に開口する溝部と、
を有して、
前記溝部は前記基部の長手方向に沿って形成されており、前記溝部と前記基部の一面との境界部に、前記溝部の長手方向に沿った段差が設けられていて、前記一組の箱体の厚さが同じであることを特徴とする柱状コア専用収容箱。
【請求項2】
柱状コアを収容する一組の緩衝材と、
前記一組の緩衝材を内部に収容する一組の箱体と、
を有し、
前記緩衝材は、
直方体状の基部と、
前記基部の一面側に開口する溝部と、
を有して、
前記溝部は前記基部の長手方向に沿って形成されており、前記溝部と前記基部の一面との境界部に、前記溝部の長手方向に沿った面取り加工が施されていて、前記一組の箱体の厚さが同じであることを特徴とする柱状コア専用収容箱。
【請求項3】
請求項1または2に記載する柱状コア専用収容箱において、
前記緩衝材の前記基部の短手方向に沿った断面視における前記溝部の形状は、半円形なる形状であることを特徴とする柱状コア専用収容箱。
【請求項4】
請求項1に記載する柱状コア専用収容箱において、
前記緩衝材の前記基部は発泡樹脂製であり、
前記基部の一面側には二以上の溝部を有していることを特徴とする柱状コア専用収容箱。
【請求項5】
請求項1に記載する柱状コア専用収容箱において、
前記一組の箱体の縁部には一対の抜差し丁番が設けられており、
前記一組の抜差し丁番を互いに嵌め合わせることで前記一組の箱体が前記抜差し丁番を中心に開閉できて、かつ前記一組の抜差し丁番を互いに分離することで前記一組の箱体が互いに分離できることを特徴とする柱状コア専用収容箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ボーリングにより採取された柱状コアなどを収容する柱状コア専用収容箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボーリングによって採取された柱状コアは、地質調査や研究において貴重な資料であり、その保存や管理が重要である。柱状コアは、地質層の分析や評価に用いられるため、正確に保管されることが求められている。柱状コアの保管には専用の収容箱が使用されることが多いが、保管方法や取り扱いには注意が必要である。
【0003】
現在、柱状コアの保管に使用される収容箱には、特許文献1ないし5に開示されている様に木製やプラスチック製のものが多く存在している。これらの収容箱は、柱状コアを安全に保管するためのものであり、運搬や保存時に柱状コアを保護する目的で使用される。また、調査や観察の際には、柱状コアを収容箱から一旦取り出し、必要な部分を観察・撮影することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-90130号公報
【文献】特開昭62-204140号公報
【文献】実用新案登録第3072332号公報
【文献】特許第3610344号公報
【文献】特許第4936166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1ないし5に開示されている従来の収容箱にはいくつかの技術的な課題が存在していた。例えば、従来の収容箱に一旦保管された柱状コアの側面全体を観察したり、継ぎ目なく撮影したりすることは困難であった。また、柱状コアを保護しながら効率的に収容・取り出しを行うための工夫が不足しており、運搬中や保管中に柱状コアが破損するリスクも存在していた。このような問題を解決するため、より使いやすく安全な柱状コア専用の収容箱が求められていた。
【0006】
そこで、本発明は、ボーリングによって採取された柱状コアの側面を保護しつつ、柱状コアの全体を継ぎ目なく観察・撮影できる柱状コア専用の収容箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る柱状コア専用収容箱は、柱状コアを収容する一組の緩衝材と、前記一組の緩衝材が内部に収容されている一組の箱体と、を有し、前記緩衝材は、直方体状の基部と、前記基部の一面側に開口する溝部と、を有して、前記溝部は前記基部の長手方向に沿って形成されており、前記溝部と前記基部の一面との境界部に、前記溝部の長手方向に沿った段差が設けられていて、前記一組の箱体の厚さが同じであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る柱状コア専用収容箱は、柱状コアを収容する一組の緩衝材と、前記一組の緩衝材を内部に収容する一組の箱体と、を有し、前記緩衝材は、直方体状の基部と、前記基部の一面側に開口する溝部と、を有して、前記溝部は前記基部の長手方向に沿って形成されており、前記溝部と前記基部の一面との境界部に、前記溝部の長手方向に沿った面取り加工が施されていて、前記一組の箱体の厚さが同じであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る柱状コア専用収容箱において、前記緩衝材の前記基部の短手方向に沿った断面視における前記溝部の形状は、半円形なる形状であることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る柱状コア専用収容箱において、前記緩衝材の前記基部は発泡樹脂製であり、前記基部の一面側には二以上の溝部を有していることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る柱状コア専用収容箱において、前記一組の箱体の縁部には一対の抜差し丁番が設けられており、前記一組の抜差し丁番を互いに嵌め合わせることで前記一組の箱体が前記抜差し丁番を中心に開閉できて、かつ前記一組の抜差し丁番を互いに分離することで前記一組の箱体が互いに分離できることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の柱状コア専用収容箱は、箱体の内部に配置された緩衝材が柱状コアの側面を保護するため、移動や保管中における柱状コアの損傷を防止する効果を奏する。
【0013】
さらに、緩衝材の基部に設けられた溝部が柱状コアの長手方向に沿って形成されており、基部と溝部の境界部には段差があることで柱状コアを固定した状態でも、柱状コアの側面全体を継ぎ目なく観察・撮影することが可能である。以上より、本発明の柱状コア専用収容箱は、柱状コアの保護と観察・撮影の容易さを両立させた専用の収容箱として、従来技術には無い優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の柱状コア専用収容箱1の正面側からの斜視図(閉状態)である。
図2】本発明の柱状コア専用収容箱1の背面側からの斜視図(閉状態)である。
図3】本発明の柱状コア専用収容箱1の正面側からの斜視図(開状態)である。
図4】本発明の柱状コア専用収容箱1の斜視図(分離状態:緩衝材あり)である。
図5】本発明の柱状コア専用収容箱1の斜視図(分離状態:緩衝材なし)である。
図6】本発明の柱状コア専用収容箱1の緩衝材2Aの斜視図である。
図7】本発明の柱状コア専用収容箱1の緩衝材2Aの平面図である。
図8図7に示す緩衝材2AのX-X線断面図である。
図9図8示す緩衝材2Aの部分拡大図である。
図10】柱状コア専用収容箱1の箱体3Bに収容された柱状コアW11~W13の状態を示す斜視図である。
図11】柱状コア専用収容箱1を各箱体3A,3Bに分離した状態を示す斜視図である。
図12】箱体3Bに収容された柱状コアW11~W13の状態を示す斜視図である。
図13】各箱体3A,3Bを互いに結合した状態を示す斜視図である。
図14】柱状コア専用収容箱1を閉じた状態を示す斜視図である。
図15】柱状コア専用収容箱1をひっくり返した状態を示す斜視図である。
図16】柱状コア専用収容箱1の箱体3Aに収容された柱状コアW11~W13の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。本発明の柱状コア専用収容箱1が閉じた状態における正面側からの斜視図を図1、本発明の柱状コア専用収容箱1が閉じた状態における背面側からの斜視図(閉状態)を図2にそれぞれ示す。
【0016】
本発明の一実施形態である柱状コア専用収容箱1は、図1および図2に示すように、一組の緩衝材2(図1および図2では図示されていない)と、この緩衝材2を収容するための直方体形状の一組の箱体3(3A,3B)で構成されている。柱状コア専用収容箱1の正面側、すなわち各箱体3A,3Bの開閉操作を行う側には、図1に示す様に留め具K(K1,K2)が設けられており、背面側には図2に示す様に各箱体3A,3Bの縁部には一対の抜差し丁番4(4A,4B)が設けられている。
【0017】
柱状コア専用収容箱1を開いた状態の正面側から見た斜視図を図3、柱状コア専用収容箱1の分離状態を示す斜視図を図4に示す。柱状コア専用収容箱1は正面側の留め具K1,K2を開放(開錠)することで、図3に示す様に抜差し丁番4A,4Bを中心に箱体3A,3Bを開くことができ、各箱体3A,3Bの内部に配置された一組の緩衝材2A,2Bが確認できる。
【0018】
また、柱状コア専用収容箱1は、図4に示す様に一対の抜差し丁番4A、4Bを互いに分離することで、各箱体3A,3Bを分離することができる。以下、本発明の柱状コア専用収容箱1を形成する箱体3(3A,3B)および緩衝材2(2A,2B)の詳細について図面を用いて説明する。
【0019】
<箱体3(3A,3B)>
本発明の柱状コア専用収容箱1を形成する箱体3A,3Bの斜視図を図5に示す。箱体3A,3Bは、図5に示す様に全体として一面側が開放された直方体形状で構成されており、一組の箱体3A,3Bは共に同じ形状である。すなわち、図5に示す様に一組の箱体3A,3Bの幅(長手方向)、奥行(短手方向)および厚さの各寸法は同じである。また、箱体3A,3Bの内部には後述する緩衝材を収容できる空間が設けられている。この箱体3(3A,3B)は、設置や移動が容易になるように軽量かつ耐久性のある素材が使用されている。特に、運搬時における衝撃や振動にも強く、柱状コアを安全に保護する機能に重点が置かれている。また、箱体3(3A,3B)の内部構造は後述の緩衝材の大きさや材質などに応じて自由にカスタマイズ可能で、様々な大きさや形状の柱状コアにも対応できる。
【0020】
また、緩衝材を収容する空間の周囲には、四方にわたって枠材が直立して形成されており、長辺の枠材の縁部には図5に示す様に箱体3A,3Bの開閉操作を行う留め具K1,K2が設けられている。さらに、留め具K1,K2に対向する位置(もう一方の長辺の枠材の縁部)には、図5に示す様に抜差し丁番4A,4Bが取り付けられている。これら一対の抜差し丁番4A,4Bを互いに嵌め合わせることで、一組の箱体3A,3Bを互いに結合させて、柱状コア専用収容箱1の開閉が可能になる。
【0021】
とりわけ、抜差し丁番4A,4Bは、特に頻繁な開閉が行われる現場においても摩耗しにくい構造となっており、ステンレス鋼などの耐久性に優れた素材が採用されている。これにより、長期間にわたり安定した使用が可能であり、メンテナンスの頻度を大幅に低減することができる。なお、柱状コアから発生する水分(水滴)を柱状コア専用収容箱1の外部へ放出するため、図1図2および図5に示すよぅに箱体3A、3Bの内部と外部を貫通する空気穴31~36を設けることもできる。これにより、柱状コアの長期間の保存においても湿気の蓄積が防止され、柱状コアの劣化を最小限に抑えることができる。この設計は特に湿気の多い環境での使用を想定しており、信頼性の高い構造となっている。
【0022】
<緩衝材2(2A,2B)>
本発明の柱状コア専用収容箱1の一部を形成する緩衝材2Aの斜視図を図6、同緩衝材2Aの平面図を図7図7に示す緩衝材2AのX-X線断面図を図8図8示す緩衝材2Aの溝部22Aの部分拡大図を図9にそれぞれ示す。緩衝材2(2A,2B)は、図6および図7に示すように、直方体状の基部21を有しており、その一面21Fには3条の溝部22(22A,22B,22C)が形成されている。この溝部22は基部21の長手方向NDに沿って配置されており、柱状コアの形状や寸法に応じてカスタマイズが可能で、様々なサイズの柱状コアに対応できる。また、溝部22(22A,22B,22C)は滑らかに成形されており、柱状コアの損傷を防ぐよう設計されている。
【0023】
溝部22(22A,22B,22C)の断面は、図8に示す様に半円形であり、円柱状の柱状コアがこの半円形の溝部22(22A,22B,22C)に収まるよう設計されている。また、溝部22(22A,22B,22C)と基部21の一面21Fの境界には、図6および図7に示す様に溝部22(22A,22B,22C)の長手方向NDに沿って段差d1~d6が形成されている。
【0024】
また、柱状コアから発生する水分(水滴)を柱状コア専用収容箱1の外部へ放出するため、図7に示すよぅに溝部22(22A,22B,22C)と基部21の背面を貫通する空気穴23~25を設けることもできる。これにより、柱状コアに蓄積された水分が外部に効率よく排出され、内部の湿気が抑制される。この構造は、柱状コアの品質維持に非常に重要な役割を果たしている。
【0025】
例えば、溝部22Aの両側(基部21の短手方向MD側)には、図6および図8に示す様に溝部22Aの長手方向NDに沿って2条の段差d1,d2が形成されている。当該溝部22Aに円柱状の柱状コアWが収容されている場合、図9に示す様に柱状コアWの斜め上方2箇所から2台の撮影機器C1,C2を用いて観察・撮影する場合を想定する。本発明の柱状コア専用収容箱の一部を形成する緩衝材には、図6ないし図9に示す様に溝部22Aに段差d1,d2が設けられているので、目視による観察や撮影機器C1,C2による撮影は、図9に示す様に基部21の一面21Fよりも下方に位置する柱状コアWの側面(側周面)まで観察・撮影できる。
【0026】
すなわち、柱状コア専用収容箱の一部を形成する緩衝材の溝部22Aに収容されている柱状コアWに対して、2台の撮影機器C1,C2により撮影を行う場合、2台の撮影機器C1,C2による柱状コアWの撮影範囲E1,E2が互いに重複する撮影範囲を形成しながら、結果として柱状コアWの中心Oを起点にした撮影可能範囲θは180°を超えることになる。この180°を超える全撮影範囲E1,E2は、柱状コアWの全体的な形状や外観を詳細に捉えることができるため、品質管理や検査工程において非常に有効である。
【0027】
なお、図6ないし図9に示す緩衝材2Aの実施形態において、溝部22(22A,22B,22C)と基部21の一面21Fの境界に段差d1~d6を設けた形態としているが、当該境界部分に緩衝材2の長手方向NDに沿ったR面取りやC面取りなどの面取り加工を施した場合でも、図9に示す基部21の一面21Fよりも下方に位置する柱状コアWの側面(側周面)まで観察・撮影できる。また、本実施形態では、溝部22(22A,22B,22C)の断面形状を図8および図9に示す様に半円形としているが、四角形などの矩形としても構わない。
【0028】
次に、前述した柱状コア専用収容箱内に収容・保管された柱状コアの観察(撮影)方法について図面を用いて説明する。柱状コアの観察(撮影)時における柱状コア専用収容箱などの状態を図10ないし図16に示す。本実施形態において、柱状コアの側周面全体を撮影するためには、まず柱状コア専用収容箱の片側の箱体を開けて一度撮影を行い、その後、柱状コア専用収容箱をひっくり返して反対側の箱体を開け、再度撮影を行う必要がある。この観察(撮影)方法は、柱状コアを傷つけることなく、側面の全周にわたって正確に観察・撮影することを可能にする。以下に、その具体的な手順を詳細に説明する。
【0029】
<第1ステップ:柱状コア専用収容箱の設置と撮影機器の配置>
まず、柱状コア専用収容箱1の緩衝材2Bの溝部22(22D~22F)に柱状コアを収容する。溝部22には前述したように図7および図8に示す段差d(d1~d6)が設けられており、これによって柱状コアが安定して固定され、撮影時に柱状コアが移動しないよう保持される。また、柱状コア専用収容箱1は、柱状コアを保護するだけでなく、安定した撮影環境を提供する機能も有している。
【0030】
撮影前には、柱状コア専用収容箱1を平坦な場所に設置し、一組の箱体3A,3Bが揺れないように調整することが重要である。図示しないカメラやビデオなどの撮影機器は、柱状コアの半周が撮影範囲に入るよう、片側に適切な距離を保って配置する。この際、カメラやビデオなどの撮影機器の焦点や角度の調整が重要であり、柱状コアの表面に対して正確な映像を得るために、複数の角度からの撮影が望ましい。また、撮影環境の照明についても、光源が均一であることを確認し、影や反射を最小限に抑えるように配置することが、品質の高い画像取得につながる。
【0031】
<第2ステップ:片側の箱体を開けて観察・撮影>
次に、図10に示す様に柱状コア専用収容箱1の片側の箱体3Aを慎重に開ける。この際、箱体が急に開いて柱状コアW11~W13に衝撃を与えないよう、ゆっくりと開閉することが好ましい。箱体3Aを開くことで、柱状コアW11~W13の半周部分が露出し、これにより柱状コアW11~W13の一部が直接確認可能となる。箱体3A,3Bを図11に示す様に抜差し丁番4A,4Bで分離して、図12に示す様に撮影対象となる箱体3Bのみとする。
【0032】
箱体3Bにおいて、露出した柱状コアW11~W13が緩衝材2Bにしっかりと固定されていることを確認し、その状態で図示しない撮影機器によって半周面を撮影する。例えば、図9に示す様に複数のカメラ等の撮影機器を使用することで、露出している柱状コア全体の撮影範囲を確保し、見落としなく画像を記録できる。撮影中、撮影機器の設定や焦点が正確に合わせられているか、特に注意が必要である。さらに、撮影機器の位置は、観察の対象となる範囲に応じて適切に調整されるべきであり、撮影後には画像の確認作業も欠かさず行うことが推奨される。
【0033】
<第3ステップ:柱状コア専用収容箱を一旦閉じてひっくり返す>
撮影が終了したら、図13に示す様に箱体3Bに箱体3Aを抜差し丁番で結合して、図14に示す様に開けた箱体3Aを再び閉じ、留め具K1,K2によってしっかりと閉める。箱体3A,3Bが完全に閉じられたことを確認した後、図15に示す様に柱状コア専用収容箱1を慎重に持ち上げて、表裏をひっくり返す。この際、柱状コアが内部で動かないようにするために、持ち上げ方や作業のスピードに注意が必要である。
【0034】
特に、大型の柱状コアを扱う際は、二人以上の作業者が協力して箱体を操作することで、安全かつ効率的な作業が可能になる。柱状コア専用収容箱をひっくり返す際、柱状コアW11~W13にかかる重力の変化や、柱状コア専用収容箱1内での柱状コアW11~W13の状態を常に意識しておくことが重要である。また、この過程では、柱状コアW11~W13の周囲に配置された緩衝材の状態も再確認し、緩衝材が正しい位置に保持されているかどうかをチェックすることが求められる。
【0035】
<第4ステップ:反対側の箱体を開けて観察・撮影>
柱状コア専用収容箱1をひっくり返した後、図16に示す様に反対側の箱体3Bを開ける。今度は、柱状コアW11~W13が緩衝材2Aの溝部22A~22Cによってしっかりと固定されていることを確認する。この確認が完了したら、図11および図12に示すように一組の箱体3A,3Bを互いに分離し、今度は柱状コアW11~W13が収容された箱体3Aのみとして、図示しない撮影機器を使用して反対側から柱状コアW11~W13の撮影を再度行う。
【0036】
撮影機器の位置と角度を再度調整し、柱状コアW11~W13の撮影範囲が完全にカバーされていることを確認する。必要に応じて、撮影機器の焦点や露出設定を変更し、光の反射などが発生しないように配慮する。反対側からの撮影では、これまで撮影できなかった部分を詳細に観察することができる。特に、光源や撮影機器の配置を工夫することで、柱状コア全体の均一な観察が可能となり、柱状コアの外周面を余すところなく記録できる。
【0037】
また、このステップでは、両方の側周面から撮影した画像を照合し、柱状コア全体の外観や表面状態を確認する。また、撮影データを統合する際には、映像の重複部分を確認し、解析しやすい形式に整えることが重要である。これにより、柱状コアの完全な記録が得られ、今後の品質管理や検査において有用なデータとなる。
【0038】
<第5ステップ:柱状コア専用収容箱の閉鎖と原状復帰>
撮影が完了したら、箱体3Bを閉じて留め具K1,K2を再度閉める。これにより柱状コア専用収容箱1が再び完全に閉じられ、柱状コアW11~W13が保護された状態になる。柱状コア専用収容箱1を元の位置に戻し、柱状コアW11~W13の側周面の全周撮影が完了する。
【符号の説明】
【0039】
1 柱状コア専用収容箱
2(2A,2B) 緩衝材
3(3A,3B) 箱体
4(4A,4B) 抜差し丁番
21 基部
21F 基部の一面
22(22A~22C)溝部
23~25 空気穴
31~36 空気穴
d(d1~d6) 段差
E1,E2 撮影範囲
K(K1,K2) 留め具
ND 基部の長手方向
MD 基部の短手方向
O 柱状コアの中心
W,W11~W13 柱状コア
θ 撮影可能範囲
【要約】
【課題】柱状コアの側周面を保護しつつ、柱状コアの側周面全体を連続的に観察・撮影できる柱状コア専用収容箱を提供することを課題とする。
【解決手段】一組の緩衝材2A,2Bと、緩衝材が内部に収容されている一組の箱体3A,3Bと、一組の箱体3A,3Bの縁部に設けられている一対の抜差し丁番と、を有し、緩衝材2A,2Bは、直方体状の基部と、基部の一面側に開口する溝部22A~22Fと、を有して、溝部22A~22Fは基部の長手方向に沿って形成されており、溝部22A~22Fと基部の一面との境界部に、溝部22A~22Fの長手方向に沿った段差を設けた柱状コア専用収容箱1とする。
【選択図】図3


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16