IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機ビルテクノサービス株式会社の特許一覧

特許7588757自動走行装置、および自動走行装置の制御方法
<>
  • 特許-自動走行装置、および自動走行装置の制御方法 図1
  • 特許-自動走行装置、および自動走行装置の制御方法 図2
  • 特許-自動走行装置、および自動走行装置の制御方法 図3
  • 特許-自動走行装置、および自動走行装置の制御方法 図4
  • 特許-自動走行装置、および自動走行装置の制御方法 図5
  • 特許-自動走行装置、および自動走行装置の制御方法 図6
  • 特許-自動走行装置、および自動走行装置の制御方法 図7
  • 特許-自動走行装置、および自動走行装置の制御方法 図8
  • 特許-自動走行装置、および自動走行装置の制御方法 図9
  • 特許-自動走行装置、および自動走行装置の制御方法 図10
  • 特許-自動走行装置、および自動走行装置の制御方法 図11
  • 特許-自動走行装置、および自動走行装置の制御方法 図12
  • 特許-自動走行装置、および自動走行装置の制御方法 図13
  • 特許-自動走行装置、および自動走行装置の制御方法 図14
  • 特許-自動走行装置、および自動走行装置の制御方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】自動走行装置、および自動走行装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/243 20240101AFI20241115BHJP
   B60W 30/09 20120101ALI20241115BHJP
   B60W 30/18 20120101ALI20241115BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20241115BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20241115BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20241115BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
G05D1/243
B60W30/09
B60W30/18
B60W40/02
B60W60/00
G05D1/43
G08G1/00 X
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024507299
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2022011927
(87)【国際公開番号】W WO2023175776
(87)【国際公開日】2023-09-21
【審査請求日】2024-07-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嘉人
【審査官】渡邊 捷太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-162029(JP,A)
【文献】特開平08-320727(JP,A)
【文献】特開2002-199511(JP,A)
【文献】特開2016-031703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/18
B60W 30/09
B60W 60/00
B60W 40/02
G08G 1/00
G05D 1/43
G05D 1/243
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビル内を走行する自動走行装置であって、
前記自動走行装置の本体に設置された照度計と、
無線通信機と、
プログラムを記憶するメモリと、
前記メモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記照度計から得られる照度に基づいて、前記自動走行装置が所在するエリアの照明装置が消灯していることを検出し、かつ前記エリアの照明装置を管理している照明制御装置から前記無線通信機を通じて前記エリアの照明装置のスイッチがオンであるとの通知を受けたときに、前記エリアの照明装置が停電状態であると判断して、前記自動走行装置の走行を停止する、自動走行装置。
【請求項2】
自動走行装置の本体に設置された照明装置をさらに備え、
前記プロセッサは、前記エリアの照明装置が停電状態であると判断したときには、前記自動走行装置の走行を停止するとともに、前記自動走行装置の照明装置を点灯させる、請求項1記載の自動走行装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記照度計から得られる照度に基づいて、前記エリアの照明装置が消灯していることを検出し、かつ前記照明制御装置から前記無線通信機を通じて前記エリアの照明装置のスイッチがオフであるとの通知を受けたときに、前記エリアの照明装置が指示に従ってオフに設定されたと判断して、前記自動走行装置を停止させず、前記自動走行装置の照明装置を点灯させない、請求項2記載の自動走行装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記エリアの照明装置が消灯していることを検出したときに、前記照明制御装置に前記無線通信機を通じて前記エリアの照明装置の状態を問合せる問合せ信号を送信し、前記問合せ信号に応じて前記照明制御装置から送信される応答信号を前記無線通信機を通じて受信し、前記応答信号は、前記エリアの照明装置のスイッチの状態を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の自動走行装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記エリアの照明装置が停電状態であると判断したときには、前記無線通信機を通じて、前記エリアの照明装置が停電状態であることを前記自動走行装置を管理する管理装置に通知する、請求項1~4のいずれか1項に記載の自動走行装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記エリアの照明装置が停電状態であると判断して、前記自動走行装置の走行を停止した後、前記照度計から得られる照度に基づいて、前記エリアの照明装置が点灯していることを検出したときには、前記自動走行装置の走行を再開させる、請求項1記載の自動走行装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、エリア、前記エリアの照度、季節、時間帯、および天気から、前記エリアの照明装置の状態を推論する学習済モデルを用いて、前記自動走行装置が現在所在するエリア、前記照度計から得られる前記エリアの現在の照度、現在の季節、現在の時間帯、および現在の天気から、前記エリアの照明装置が現在点灯しているか否かを推論する、請求項1~6のいずれか1項に記載の自動走行装置。
【請求項8】
ビル内を走行する自動走行装置の制御方法であって、前記自動走行装置は、前記自動走行装置の本体に設置された照度計と、無線通信機と、プログラムを記憶するメモリと、前記メモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサとを備え、前記自動走行装置の制御方法は、
前記プロセッサが、前記照度計から得られる照度に基づいて、前記自動走行装置が所在するエリアの照明装置が消灯していることを検出し、かつ前記エリアの照明装置を管理している照明制御装置から前記無線通信機を通じて前記エリアの照明装置のスイッチがオンであるとの通知を受けたときに、前記エリアの照明装置が停電状態であると判断して、前記自動走行装置の走行を停止するステップを備える、自動走行装置の制御方法。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記エリアの照明装置が停電状態であると判断したときには、前記自動走行装置の照明装置を点灯させるステップをさらに備える、請求項記載の自動走行装置の制御方法。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記照度計から得られる照度に基づいて、前記エリアの照明装置が消灯していることを検出し、かつ前記照明制御装置から前記無線通信機を通じて前記エリアの照明装置のスイッチがオフであるとの通知を受けたときに、前記エリアの照明装置が指示に従ってオフに設定されたと判断するステップをさらに備える、請求項記載の自動走行装置の制御方法。
【請求項11】
前記プロセッサが、前記エリアの照明装置が消灯していることを検出したときに、前記照明制御装置に前記無線通信機を通じて前記エリアの照明装置の状態を問合せる問合せ信号を送信するステップと、
前記プロセッサが、前記問合せ信号に応じて前記照明制御装置から送信される応答信号を前記無線通信機を通じて受信するステップをさらに備え、前記応答信号は、前記エリアの照明装置のスイッチの状態を含む、請求項8~10のいずれか1項に記載の自動走行装置の制御方法。
【請求項12】
前記プロセッサが、前記エリアの照明装置が停電状態であると判断したときには、前記無線通信機を通じて、前記エリアの照明装置が停電状態であることを前記自動走行装置を管理する管理装置に通知するステップをさらに備える、請求項8~11のいずれか1項に記載の自動走行装置の制御方法。
【請求項13】
前記プロセッサが、前記エリアの照明装置が停電状態であると判断して、前記自動走行装置の走行を停止した後、前記照度計から得られる照度に基づいて、前記エリアの照明装置が点灯していることを検出したときには、前記自動走行装置の走行を再開させるステップをさらに備える、請求項記載の自動走行装置の制御方法。
【請求項14】
前記プロセッサが、エリア、前記エリアの照度、季節、時間帯、および天気から、前記エリアの照明装置の状態を推論する学習済モデルを用いて、前記自動走行装置が現在所在するエリア、前記照度計から得られる前記エリアの現在の照度、現在の季節、現在の時間帯、および現在の天気から、前記エリアの照明装置が現在点灯しているか否かを推論するステップをさらに備える、請求項8~13のいずれか1項に記載の自動走行装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動走行装置、学習装置、自動走行装置の制御方法、および学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
停電時に、機械的作動を停止することによって、人との衝突を回避することができる自動走行装置が知られている。たとえば、特許文献1に記載の自動走行装置は、周囲の明るさを検知する検知手段の出力が所定値以下になると停電と判定して、機械的作動を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-320727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、周囲が暗くなるのは、停電が発生した場合に限らない。夜間などの人が不在となる期間に、ユーザの操作によって照明装置がオフとされる場合もある。このような場合に、自動走行装置が人との衝突を避けるために機械的作動を停止すると、自動走行装置の作業が滞ることになる。
【0005】
それゆえに、本開示の目的は、照明装置が自発的にオフされた時ではなく、実際に停電が発生した時に限り、人との衝突を回避する処理を実行することができる自動走行装置、学習装置、自動走行装置の制御方法、および学習方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のビル内を走行する自動走行装置は、自動走行装置の本体に設置された照度計と、無線通信機と、プログラムを記憶するメモリと、メモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサとを備える。プロセッサは、照度計から得られる照度に基づいて、自動走行装置が所在するエリアの照明装置が消灯していることを検出し、かつエリアの照明装置を管理している照明制御装置から無線通信機を通じてエリアの照明装置のスイッチがオンであるとの通知を受けたときに、エリアの照明装置が停電状態であると判断して、自動走行装置の走行を停止する。
【0007】
本開示の学習装置は、プログラムを記憶するメモリと、メモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサとを備える。プロセッサは、エリア、エリアの照度、季節、時間帯、および天気と、エリアの照明装置の状態とを含む学習用データを取得し、学習用データを用いて、エリア、エリアの照度、季節、時間帯、および天気から、エリアの照明装置の状態を推論する学習済モデルを生成する。
【0008】
本開示のビル内を走行する自動走行装置の制御方法において、自動走行装置は、自動走行装置の本体に設置された照度計と、無線通信機と、プログラムを記憶するメモリと、メモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサとを備える。自動走行装置の制御方法は、プロセッサが、照度計から得られる照度に基づいて、自動走行装置が所在するエリアの照明装置が消灯していることを検出し、かつエリアの照明装置を管理している照明制御装置から無線通信機を通じてエリアの照明装置のスイッチがオンであるとの通知を受けたときに、エリアの照明装置が停電状態であると判断して、自動走行装置の走行を停止するステップを備える。
【0009】
本開示の学習方法は、プロセッサが、エリア、エリアの照度、季節、時間帯、および天気と、エリアの照明装置の状態とを含む学習用データを取得するステップと、プロセッサが、学習用データを用いて、エリア、エリアの照度、季節、時間帯、および天気から、エリアの照明装置の状態を推論する学習済モデルを生成するステップとを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、照明装置が自発的にオフされた時ではなく、実際に停電が発生した時に限り、人との衝突を回避するための処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1のビルシステムの構成を表わす図である。
図2】自動走行装置10の構成例を表わす図である。
図3】照明制御装置20の構成例を表わす図である。
図4】実施の形態1の処理概要を表わす図である。
図5】自動走行装置10から照明制御装置20へ送信する問合せ信号の例を表わす図である。
図6】照明制御装置20から自動走行装置10へ送信する応答信号の例を表わす図である。
図7】自動走行装置10から自動走行装置の管理装置30へ送信する状態通知信号の例を表わす図である。
図8】自動走行装置10の動作手順を表わすフローチャートである。
図9】照明制御装置20の動作手順を表わすフローチャートである。
図10】照明スイッチテーブルの例を表わす図である。
図11】推定のための要因となる入力B1、推定結果である出力B2との関係の例を表わす図である。
図12】学習装置201の構成例を表わす図である。
図13】学習装置201の学習処理の手順を表わすフローチャートである。
図14】制御装置15内の推論処理部115の構成例を表わす図である。
図15】推論処理部115による推論手順を表わすフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1のビルシステムの構成を表わす図である。
【0013】
このビルシステムは、ビルの照明装置1と、照明スイッチ(SW)2と、照明制御装置20と、自動走行装置10と、自動走行装置の管理装置30とを備える。
【0014】
ビルの照明装置1は、たとえば、フロアの天井などに配置される。
照明スイッチ(SW)2は、エリアごとに配置される。照明スイッチ(SW)2は、ユーザの操作によってオンされたときに、エリア内のすべての照明装置1をオンに設定し、ユーザの操作によってオフされたときに、エリア内のすべてのビルの照明装置1をオフに設定する。
【0015】
照明制御装置20は、照明スイッチ2との通信によって、照明スイッチ2がオン状態であるか、またはオフ状態であるかを管理する。
【0016】
自動走行装置10は、たとえば、自立走行型の清掃ロボット、警備ロボット、配送ロボット、または案内ロボットなどである。自動走行装置10は、ビル内を自立的に移動することができる。
【0017】
自動走行装置の管理装置30は、自動走行装置10との通信によって自動走行装置10を管理および制御する。
【0018】
ビルシステムの上記各構成要素との間は、イントラネットによって、通信が可能である。イントラネットは、例えばBLE(Bluetooth Low Energy、「Bluetooth」は登録商標)通信規格に従う通信方式、UWB(Ultra Wide Band)通信規格に従う通信方式、WiFi通信規格に従う通信方式が用いられる。また、イントラネットに代わりインターネットによって通信する場合は、例えばLTE(Long Term Evolution)通信規格に従う通信方式が用いられる。
【0019】
図2は、自動走行装置10の構成例を表わす図である。
自動走行装置10は、無線通信機11と、照度計12と、照明装置13と、制御装置15と、駆動部14とを備える。制御装置15は、メモリ17と、プロセッサ16とを備える。メモリ17は、プログラムを記憶する。プロセッサ16は、メモリ17内のプログラムを実行する。以下で説明する制御装置15の動作は、プロセッサ16がメモリ17内のプログラムを実行することによって行われる。
【0020】
無線通信機11は、イントラネットを通じて、照明制御装置20、および自動走行装置の管理装置30との間で通信を行なう。
【0021】
照度計12は、自動走行装置10の本体に設置され、自動走行装置10の周囲の照度を測定する。
【0022】
照明装置13は、自動走行装置10の本体に設置され、自動走行装置10の周囲を照らす。
【0023】
駆動部14は、自動走行装置10が走行するための駆動力を発生する。駆動部14は、例えば、自動走行装置10が移動するための車輪と、車輪を駆動するモータとを含む。モータは、バッテリ18から電力の供給を受けて作動することができる。
【0024】
バッテリ18は、自動走行装置10を構成する各機器が作動するための電力を供給する。
【0025】
制御装置15は、照度計12から得られる照度に基づいて、自動走行装置10が所在するエリアの照明装置1が消灯していることを検出し、かつ自動走行装置10が所在するエリアの照明装置1を管理している照明制御装置20から無線通信機11を通じて自動走行装置10が所在するエリアの照明装置の照明スイッチ2がオンであるとの通知を受けたときに、自動走行装置10が所在するエリアの照明装置1が停電状態であると判断して、自動走行装置10の走行を停止するとともに、自動走行装置10の照明装置13を点灯させる。
【0026】
制御装置15は、照度計12から得られる照度に基づいて、自動走行装置10が所在するエリアの照明装置1が消灯していることを検出し、かつ自動走行装置10が所在するエリアの照明装置1を管理している照明制御装置20から無線通信機11を通じて自動走行装置10が所在するエリアの照明装置の照明スイッチ2がオンであるとの通知を受けたときに、自動走行装置10が所在するエリアの照明装置1が指示に従ってオフに設定されたと判断して、自動走行装置10を停止させず、自動走行装置10の照明装置13を点灯させない。
【0027】
より具体的には、制御装置15は、自動走行装置10が所在するエリアの照明装置1が消灯していることを検出したときに、照明制御装置20に無線通信機11を通じて、自動走行装置10が所在するエリアの照明装置1の状態を問合せる問合せ信号を送信する。制御装置15は、問合せ信号に応じて照明制御装置20から送信される応答信号を無線通信機11を通じて受信する。応答信号は、自動走行装置10が所在するエリアの照明装置1の照明スイッチ2の状態を含む。
【0028】
制御装置15は、自動走行装置10が所在するエリアの照明装置1が停電状態であると判断したときには、無線通信機11を通じて、自動走行装置10が所在するエリアの照明装置1が停電状態であることを自動走行装置の管理装置30に通知する。
【0029】
制御装置15は、自動走行装置10が所在するエリアの照明装置1が停電状態であると判断して、自動走行装置10の走行を停止し、自動走行装置10の照明装置13を点灯させた後、照度計12から得られる照度に基づいて、自動走行装置10が所在するエリアの照明装置1が点灯していることを検出したときには、自動走行装置10の走行を再開させるとともに、自動走行装置10の照明装置13を消灯させる。
【0030】
図3は、照明制御装置20の構成例を表わす図である。
照明制御装置20は、無線通信機21と、制御装置22とを備える。制御装置22は、メモリ24と、プロセッサ23とを備える。メモリ24は、プログラムを記憶する。プロセッサ23は、メモリ24内のプログラムを実行する。以下で説明する制御装置22の動作は、プロセッサ23がメモリ24内のプログラムを実行することによって行われる。
【0031】
無線通信機21は、イントラネットを通じて、照明スイッチ(SW)2、および自動走行装置10との間で通信を行なう。
【0032】
制御装置22は、無線通信機21を通じて、自動走行装置10から問合せ信号を受信し、無線通信機を通じて、自動走行装置10に応答信号を送信する。制御装置22は、無線通信機21を通じて、照明スイッチ2の状態(オンまたはオフ)を取得する。
【0033】
図4は、実施の形態1の処理概要を表わす図である。
自動走行装置10の制御装置15は、照度計12によって計測された自動走行装置10の周辺の照度に基づいて、自動走行装置10の所在するエリアのビルの照明装置1がオフであると判断した場合は、無線通信機11を通じて、問合せ信号を照明制御装置20へ送信する。
【0034】
照明制御装置20の制御装置22は、自動走行装置10の所在するエリアの照明装置1の照明スイッチ2がオフに設定されている場合には、照明スイッチ2がオフであることを表わす応答信号を無線通信機21を通じて自動走行装置10に送信する。自動走行装置10の制御装置15は、無線通信機11を通じて、この応答信号を受信し、自動走行装置10の所在するエリアが停電状態でないと判断する(パターン1)。
【0035】
照明制御装置20の制御装置22は、自動走行装置10の所在するエリアの照明装置1の照明スイッチ2がオンに設定されている場合には、照明スイッチ2がオンであることを表わす応答信号を無線通信機21を通じて自動走行装置10に送信する。自動走行装置10の制御装置15は、無線通信機11を通じて、この応答信号を受信し、自動走行装置10の所在するエリアが停電状態であると判断する(パターン2)。
【0036】
停電によって照明制御装置20に給電されていないときには、照明制御装置20の制御装置22は、応答信号を送信できない。自動走行装置10の制御装置15は、応答信号を受信しないときには、自動走行装置10の所在するエリアが停電状態であると判断する(パターン3)。
【0037】
パターン2およびパターン3の場合は、自動走行装置10の制御装置15は、自動走行装置10の所在するエリアが停電状態であることを表わす状態通知信号を無線通信機11を通じて自動走行装置の管理装置30へ送信する。
【0038】
自動走行装置10の制御装置15は、照度計12によって計測された自動走行装置10の周辺の照度に基づいて、自動走行装置10の所在するエリアの照明装置1がオンに復旧したと判断した場合は、無線通信機11を通じて、自動走行装置10の所在するエリアが復電したことを表わす状態通知信号を無線通信機11を通じて自動走行装置の管理装置30へ送信する。
【0039】
図5は、自動走行装置10から照明制御装置20へ送信する問合せ信号の例を表わす図である。問合せ信号は、自動走行装置のID、自動走行装置の業務種別、および自動走行装置の所在するエリアのIDなどを含む。自動走行装置の業務種別は、清掃、警備、案内、または配送などである。
【0040】
図6は、照明制御装置20から自動走行装置10へ送信する応答信号の例を表わす図である。応答信号は、自動走行装置のID、自動走行装置の所在するエリアのID、および自動走行装置の所在するエリアの照明スイッチの状態などを含む。照明スイッチの状態は、オンまたはオフである。
【0041】
図7は、自動走行装置10から自動走行装置の管理装置30へ送信する状態通知信号の例を表わす図である。状態通知信号は、自動走行装置のID、自動走行装置の業務種別、自動走行装置の所在するエリアのID、および自動走行装置の所在するエリアの電力供給状態などを含む。電力供給状態は、停電または復電である。
【0042】
図8は、自動走行装置10の動作手順を表わすフローチャートである。
ステップS101において、照度計12は、自動走行装置10の周辺の照度を検出する。
【0043】
ステップS102において、制御装置15は、検出された照度に基づいて、自動走行装置10が所在しているエリアの照明装置1がオフであるか否かを判断する。照明装置1がオフであると判断した場合には、処理がステップS103に進む。たとえば、制御装置15は、検出された照度が予め定められた閾値以下のときに、照明装置1がオフであると判断し、検出された照度が予め定められた閾値を超えるときに、照明装置1がオンであると判断してもよい。
【0044】
ステップS103において、制御装置15は、自動走行装置10の業務および走行を一時停止させる。このように一時停止するのは、停電の可能性があるからである。停電状態のときに、人が衝突するのを回避するためである。
【0045】
ステップS104において、制御装置15は、自動走行装置10が所在するエリアの照明スイッチ2の状態を問合せる問合せ信号(図5を参照)を無線通信機11を通じて照明制御装置20へ送信する。このように問合せるのは、照明装置1がオフとなるのは、ユーザが自発的に照明スイッチ2をオフにすることによる場合と、停電によって照明装置1に電力が供給されていない場合とがあるからである。
【0046】
ステップS105において、制御装置15が無線通信機11を通じて、応答信号(図6を参照)を受信した場合には、処理がステップS106に進む。制御装置15が無線通信機11を通じて応答信号を受信しない場合には、処理がステップS109に進む。
【0047】
S106において、応答信号に含まれる照明スイッチの状態がオフの場合には、処理がステップS107に進む。応答信号に含まれる照明スイッチの状態がオンの場合には、処理がステップS109に進む。
【0048】
ステップS107において、制御装置15は、自動走行装置10が所在するエリアが停電状態ではないと判断し、通常モードを維持する。
【0049】
ステップS108において、制御装置15は、自動走行装置10の業務および走行を再開させる。このように制御するのは、照明スイッチ2がユーザによって自発的にオフに設定された場合には、自動走行装置10が所在するエリアに人が所在していないと考えられるため、自動走行装置10に清掃、警備などの通常の業務を実行させても、人が自動走行装置10に衝突することがないからである。
【0050】
ステップS109において、制御装置15は、自動走行装置10が所在するエリアが停電状態であると判断し、停電モードに移行する。
【0051】
ステップS110において、制御装置15は、自動走行装置10の業務および走行の停止を継続させる。このように制御するのは、夜間などと異なり停電時には、自動走行装置10が所在するエリアに人が所在していると考えられるため、自動走行装置10に清掃、警備などの通常の業務を実行させると、人が自動走行装置10に衝突する可能性があるからである。
【0052】
ステップS111において、制御装置15は、自動走行装置10の照明装置13を点灯させる。照明装置13を点灯することによって自動走行装置10が存在することを周囲の人に知らせることができるので、人が自動走行装置10に衝突するのを回避できる。
【0053】
ステップS112において、制御装置15は、自動走行装置10の所在するエリアが停電状態であることを通知するために、状態通知信号(図7を参照)を自動走行装置の管理装置30へ送信する。自動走行装置10の管理者は、停電があったことを知り、停電時における定められた作業などを実行することができる。
【0054】
ステップS113において、照度計12は、自動走行装置10の周辺の照度を検出する。
【0055】
ステップS114において、制御装置15は、検出された照度に基づいて、自動走行装置10が所在しているエリアの照明装置1がオンであるか否かを判断する。照明装置1がオンであると判断した場合には、処理がステップS115に進む。
【0056】
ステップS115において、制御装置15は、自動走行装置10が所在するエリアが復電したと判断し、通常モードに戻る。
【0057】
ステップS116において、制御装置15は、自動走行装置10の業務および走行を再開させる。復電によって、人が自動走行装置10と衝突する可能性がなくなったと考えられるため、自動走行装置10に通常の作業をさせることができる。
【0058】
ステップS117において、制御装置15は、自動走行装置10の所在するエリアが復電したことを示す状態通知信号(図7を参照)を自動走行装置の管理装置30へ送信する。自動走行装置10の管理者は、復電したことを知ることができる。
【0059】
図9は、照明制御装置20の動作手順を表わすフローチャートである。
ステップS201において、照明制御装置20の制御装置22が無線通信機21を通じて、問合せ信号(図5を参照)を受信したときには、処理がステップS202に進む。
【0060】
ステップS202において、照明制御装置20の制御装置は、記憶している照明スイッチテーブルから、自動走行装置10が所在するエリアの照明スイッチの状態を読み出す。
【0061】
図10は、照明スイッチテーブルの例を表わす図である。照明スイッチテーブルは、エリアを表わすエリアのIDと、エリアの照明スイッチの状態(オン/オフ)とを定める。
【0062】
ステップS203において、自動走行装置10が所在するエリアの照明スイッチ2の状態がオンのときには、処理がステップS204に進み、自動走行装置10が所在する照明スイッチ2の状態がオフのときには、処理がステップS205に進む。
【0063】
ステップS204において、制御装置22は、オンを照明スイッチの状態として含む応答信号(図6を参照)を無線通信機21を通じて、自動走行装置10に送信する。
【0064】
ステップS205において、制御装置22は、オフを照明スイッチの状態として含む応答信号(図6を参照)を無線通信機21を通じて、自動走行装置10に送信する。
【0065】
実施の形態2.
制御装置15は、AI(Artificial Intelligence)を用いて、照明装置1の状態を推定するものとしてもよい。
【0066】
図11は、推定のための要因となる入力B1、推定結果である出力B2との関係の例を表わす図である。入力B1は、エリア、エリアの照度、季節、時間帯、および天気を含む。出力B2は、エリアの照明装置1の状態であり、オンまたはオフである。
【0067】
図12は、学習装置201の構成例を表わす図である。学習装置201は、データ取得部202、およびモデル生成部203を備える。データ取得部202およびモデル生成部203の機能は、プロセッサが、メモリに記憶されたプログラムを実行することによって実現される。
【0068】
プロセッサは、エリアと、エリアの照度、季節、時間帯、および天気と、エリアの照明装置の状態とを含む学習用データを取得し、学習用データを用いて、エリア、エリアの照度、季節、時間帯、および天気から、エリアの照明装置の状態を推論する学習済モデルを生成する。
【0069】
データ取得部202は、入力B1のデータ、および出力B2のデータ(教師データ)を学習用データとして取得する。
【0070】
モデル生成部203は、データ取得部202から出力される入力B1のデータ、および出力B2のデータの組合せからなる学習用データに基づいて、入力B1から出力B2を推論する学習済モデルを生成する。モデル生成部203は、たとえばニューラルネットワークを用いた教師あり学習を用いて、学習を行うことができる。モデル生成部203に用いられる学習アルゴリズムとしては、特徴量そのものの抽出を学習する、深層学習(Deep Learning)を用いることもできる。モデル生成部203は、学習を実行することによって生成した学習済モデルを学習済モデル記憶装置300に記憶する。
【0071】
図13は、学習装置201の学習処理の手順を表わすフローチャートである。
ステップA1において、データ取得部202は、入力B1のデータ、および出力B2のデータ(教師データ)を取得する。
【0072】
ステップA2において、モデル生成部203は、データ取得部202によって取得される入力B1のデータ、および出力B2のデータ(教師データ)の組合せからなる学習用データに従って、いわゆる教師あり学習により、入力B1から出力B2を推論する学習済モデルを生成する。
【0073】
ステップA3において、学習済モデル記憶装置300は、モデル生成部203が生成した学習済モデルを記憶する。
【0074】
図14は、制御装置15内の推論処理部115の構成例を表わす図である。推論処理部115は、データ取得部402、および推論部403を備える。データ取得部402および推論部403の機能は、プロセッサ16が、メモリ17に記憶されたプログラムを実行することによって実現される。
【0075】
プロセッサ16は、エリア、エリアの照度、季節、時間帯、および天気から、エリアの照明装置1の状態を推論する学習済モデルを用いて、自動走行装置10が現在所在するエリア、照度計12から得られる自動走行装置10が所在するエリアの現在の照度、現在の季節、現在の時間帯、および現在の天気から、自動走行装置10が所在するエリアの照明装置が現在点灯しているか否かを推論する。
【0076】
データ取得部402は、入力B1のデータを取得する。
推論部403は、学習済モデルを利用して、出力B2を推論する。すなわち、推論部403は、学習済モデルにデータ取得部402で取得した入力B1のデータを入力することによって、入力B1から推論される出力B2を出力することができる。
【0077】
図15は、推論処理部115による推論手順を表わすフローチャートである。
ステップB1において、データ取得部402は、入力B1のデータを取得する。
【0078】
ステップB2において、推論部403は、学習済モデル記憶装置300に記憶された学習済モデルに入力B1のデータを入力し、出力B2のデータを得る。
【0079】
ステップB2において、推論部403は、学習済モデルにより得られた出力B2のデータ、すなわち、照明装置1の状態(オンまたはオフ)を出力する。制御装置15は、出力された照明装置の状態(オンまたオフ)を図8のステップS102の処理で利用する。
【0080】
変形例.
(1)照明スイッチの状態
上記の実施形態では、自動走行装置10が自動走行装置が所在するエリアを知らせる問合せ信号を照明制御装置20に送信し、照明制御装置20が自動走行装置が所在するエリアの照明スイッチの状態を知らせる応答信号を自動走行装置10に送信したが、これに限定されるものではない。自動走行装置10が、自動走行装置が所在するエリアを知らせない問合せ信号を照明制御装置20に送信し、照明制御装置20がビル内のすべてのエリアの照明スイッチの状態を知らせる応答信号を自動走行装置10に送信するものとしてもよい。この場合には、自動走行装置10の制御装置15は、応答信号に含まれるビル内のすべてのエリアの照明スイッチの状態から自動走行装置10が所在するエリアの照明スイッチの状態を抽出すればよい。
【0081】
(2)照明制御装置
照明スイッチ2がIoT(Internet of Things)照明スイッチとし、照明スイッチ2が照明制御装置を備えるものとしてもよい。
【0082】
照明スイッチ2内の照明制御装置は、自動走行装置10から問合せ信号を受信した場合に、照明スイッチ2の状態を知らせる応答信号を自動走行装置10に送信すればよい。自動走行装置10は、複数の応答信号を受信した場合には、自動走行装置10が所在するエリアの照明スイッチ2からの応答信号のみを選択することによって、自動走行装置10が所在するエリアの照明スイッチ2の状態を知ることができる。
【0083】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0084】
1,13 照明装置、2 照明スイッチ、10 自動走行装置、11,21 無線通信機、12 照度計、14 駆動部、15,22 制御装置、16,24 プロセッサ、17,23 メモリ、18 バッテリ、20 照明制御装置、30 自動走行装置の管理装置、115 推論処理部、201 学習装置、202,402 データ取得部、203 モデル生成部、300 学習済モデル記憶装置、403 推論部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15