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特許7588763レーザ発振電流の差をリバランスするためのレーザのアクティブ電流シフト
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  • 特許-レーザ発振電流の差をリバランスするためのレーザのアクティブ電流シフト 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】レーザ発振電流の差をリバランスするためのレーザのアクティブ電流シフト
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/042 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
H01S5/042 630
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024520861
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2022077659
(87)【国際公開番号】W WO2023057493
(87)【国際公開日】2023-04-13
【審査請求日】2024-06-04
(31)【優先権主張番号】21201364.3
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヴェント マティアス
(72)【発明者】
【氏名】アルランドゥ カルネクマール
(72)【発明者】
【氏名】コルネリッセン ヒューゴ ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ヴドヴィン オレクサンデル ヴァレンティノヴィッチ
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-184537(JP,A)
【文献】国際公開第2021/079611(WO,A1)
【文献】特開2010-273503(JP,A)
【文献】実開昭58-13698(JP,U)
【文献】特表2016-534502(JP,A)
【文献】特開2016-059258(JP,A)
【文献】特開2005-310998(JP,A)
【文献】特開2012-114338(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0189028(US,A1)
【文献】米国特許第8599891(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
H01L 33/00-33/64
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/
H05B 47/00-47/29
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レーザ要素及び第1コンデンサを含む第1レーザモジュールであって、前記第1レーザ要素が、前記第1コンデンサと直列に結合される第1レーザモジュールと、
第2レーザ要素及び第2コンデンサを含む第2レーザモジュールであって、前記第2レーザ要素が、前記第2コンデンサと直列に結合され、前記第1レーザモジュールが、前記第2レーザモジュールと直列に結合される第2レーザモジュールと、
前記第1レーザ要素に第1バイアス電流を供給し、前記第2レーザ要素に第2バイアス電流を供給するよう適合されるバイアス電流源と、
前記第1コンデンサに交番電流を供給するよう適合される変調電流源とを有するレーザ要素モジュールであって、
前記バイアス電流源及び前記変調電流源が、アクティブなとき、前記第1レーザ要素及び前記第2レーザ要素に、常に、前記第1レーザ要素のレーザ発振電流閾値及び前記第2レーザ要素のレーザ発振電流閾値よりも大きい総電流を供給するよう構成されるレーザ要素モジュール。
【請求項2】
前記バイアス電流源が、
前記第1レーザ要素と並列に結合される第1シャントスイッチと、
前記第2レーザ要素と並列に結合される第2シャントスイッチと、
前記第1レーザ要素、前記第1シャントスイッチ、前記第2レーザ要素及び前記第2シャントスイッチに定電流を供給するよう適合される電流源とを有し、
前記第1シャントスイッチが、前記第1レーザ要素を通る電流が、動作中、決して、前記第1レーザ要素の前記レーザ発振電流閾値未満に低下しないように、前記第1レーザ要素から前記定電流の一部を分流するよう適合され、
前記第2シャントスイッチが、前記第2レーザ要素を通る電流が、動作中、決して、前記第2レーザ要素の前記レーザ発振電流閾値未満に低下しないように、前記第2レーザ要素から前記定電流の一部を分流するよう適合される請求項1に記載のレーザ要素モジュール。
【請求項3】
前記第1シャントスイッチ及び前記第2シャントスイッチが、リニア電流制御モードで動作される請求項2に記載のレーザ要素モジュール。
【請求項4】
前記第1バイアス電流が、前記第1レーザ要素の前記レーザ発振電流閾値と、前記交番電流のピーク・ツー・ピーク電流の半分との合計に等しく、前記第2バイアス電流が、前記第2レーザ要素の前記レーザ発振電流閾値と、前記交番電流の前記ピーク・ツー・ピーク電流の半分との合計に等しい請求項に記載のレーザ要素モジュール。
【請求項5】
前記バイアス電流源が、前記第1コンデンサと前記第1レーザ要素との間の第1ノードにおいて、前記第1バイアス電流を前記第1レーザ要素に供給するよう適合され、前記バイアス電流源が、前記第2コンデンサと前記第2レーザ要素との間の第2ノードにおいて、前記第2バイアス電流を前記第2レーザ要素に供給するよう適合される請求項に記載のレーザ要素モジュール。
【請求項6】
前記変調電流源が、前記第1コンデンサを介して前記第1レーザ要素に前記交番電流を供給するよう適合され、前記変調電流源が、前記第2コンデンサを介して前記第2レーザ要素に前記交番電流を供給するよう適合される請求項に記載のレーザ要素モジュール。
【請求項7】
前記バイアス電流源が、
前記第1レーザ要素と並列に前記第1シャントスイッチを結合するための第1ダイオードと、
前記第1レーザ要素と並列に結合される第3コンデンサと、
前記第2レーザ要素と並列に前記第2シャントスイッチを結合するための第2ダイオードと、
前記第2レーザ要素と並列に結合される第4コンデンサとを有する請求項に記載のレーザ要素モジュール。
【請求項8】
第1インダクタ及び第2インダクタを更に有し、
前記第3コンデンサが、前記第1インダクタを介して前記第1レーザ要素と並列に結合され、前記第4コンデンサが、前記第2インダクタを介して前記第2レーザ要素と並列に結合される請求項7に記載のレーザ要素モジュール。
【請求項9】
前記第1シャントスイッチ及び前記第2シャントスイッチが、パルス幅変調信号で動作される請求項8に記載のレーザ要素モジュール。
【請求項10】
前記第1レーザ要素からの光出力を検知するための、及び前記第2レーザ要素からの光出力を検知するための光センサを更に有し、
前記光センサが、制御信号を生成するよう適合され、前記制御信号が、前記第1レーザ要素及び前記第2レーザ要素のレーザ発振の発生の判定を提供するよう適合される請求項に記載のレーザ要素モジュール。
【請求項11】
前記第1レーザ要素からの光出力を検知するための第1光センサ、及び前記第2レーザ要素からの光出力を検知するための第2光センサを更に有し、
前記第1光センサが、第1制御信号を生成するよう適合され、前記第1制御信号が、前記第1レーザ要素のレーザ発振の発生の判定を提供するよう適合され、
前記第2光センサが、第2制御信号を生成するよう適合され、前記第2制御信号が、前記第2レーザ要素のレーザ発振の発生の判定を提供するよう適合される請求項に記載のレーザ要素モジュール。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のレーザ要素モジュールと、前記レーザ要素モジュールを囲むためのハウジングとを有する照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ要素モジュールに関する。本発明は、更に、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザダイオードは、繊細な構成要素であり、高い入力電力のために構築される場合でも、レーザダイオードに給電するために慎重なドライバ設計を必要とする。文献から知られているように、良好な状態を維持される(well-sustained)レーザダイオードは、100000時間の全期待寿命(total expected lifetime)を有し得るが、ドライバ及び取り付け条件が完全に調整されていない場合には、数マイクロ秒で故障する可能性がある。更に、短いサージ電流が、壊滅的光学損傷(Catastrophic Optical Damage)(COD)をもたらす可能性がある。光出力パワー(optical output power)を増大させるために駆動電流が過電流レベルまで増大される場合には、光出力が急に低下し、回復不可能な損傷を引き起こす。これは、レーザダイオードの縁端部の一部を溶かし、結晶の点欠陥(point crystal defect)を形成しながら、レーザダイオードにおいて短絡を引き起こす高出力レベルによって引き起こされる。
【0003】
本質的に、レーザダイオードは、損傷を受けやすい。動作周波数は、1GHzを超える場合があり、これに加えて、レーザダイオードは、一般に、2乃至5ボルトで動作される低電圧デバイスである。
【0004】
今日では、レーザダイオードの給電は、大幅に向上しており、それ故、レーザダイオードの信頼性は、大幅に向上している。レーザダイオードはまた、全般照明を提供するために興味深いものになっている。光源においては、所望の総光出力を供給するために、単一のハウジング内に複数のレーザ要素が配置される。光源全体に給電するために単一の電流源が使用されることができるように、レーザ要素が直列構成で配置される。この構成の不利な点は、各レーザ要素が同じ電流を受け取る一方で、各レーザ要素のレーザ発振電流(lasing current)が異なる場合があることである。このことは、所与の駆動電流振幅においてレーザ要素ごとに異なる光出力をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、各レーザ要素が異なるレーザ発振電流閾値を有する場合にレーザ要素の直列ストリングが使用される場合に生じる課題を解決するレーザ要素モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題を解決するために、本発明の第1態様においては、レーザ要素モジュールが提供される。前記レーザ要素モジュールは、
第1レーザ要素及び第1コンデンサを含む第1レーザモジュールであって、前記第1レーザ要素が、前記第1コンデンサと直列に結合される第1レーザモジュールと、
第2レーザ要素及び第2コンデンサを含む第2レーザモジュールであって、前記第2レーザ要素が、前記第2コンデンサと直列に結合され、前記第1レーザモジュールが、前記第2レーザモジュールと直列に結合される第2レーザモジュールと、
前記第1レーザ要素に第1バイアス電流を供給し、前記第2レーザ要素に第2バイアス電流を供給するよう適合されるバイアス電流源と、
前記第1コンデンサに交番電流を供給するよう適合される変調電流源とを有し、
前記バイアス電流源及び前記変調電流源は、アクティブなとき、前記第1レーザ要素及び前記第2レーザ要素に、常に、前記第1レーザ要素のレーザ発振電流閾値及び前記第2レーザ要素のレーザ発振電流閾値よりも大きい総電流を供給するよう構成される。
【0007】
この例においては、前記第1レーザ要素と前記第2レーザ要素とが、直列に結合され、2つのタイプの電流源で給電される。バイアス電流源は、前記第1レーザ要素及び前記第2レーザ要素にバイアス電流を供給するために使用され、変調電流源は、前記第1レーザモジュール及び前記第2レーザモジュールに交番電流を供給するよう適合される。前記バイアス電流と前記交番電流との合計は、それらが前記レーザ発振電流を超えるような大きさのものである。好ましくは、前記バイアス電流と前記交番電流との合計は、それらが、前記レーザ要素モジュールの動作中、常に、前記レーザ発振電流を超えるような大きさのものである。前記第1レーザ要素及び前記第2レーザ要素を通る電流を決して低下させないことによって、前記レーザ要素は、レーザ発振(lasing)を維持し、前記レーザ要素がその最も効率的なモードで動作することを可能にし、前記レーザ要素がまずレーザ発振状態になる必要がないことから、前記光出力においてより高速な変調を実施することも可能にする。更に、全てのレーザ要素に単一の変調電流が供給されることができ、各レーザ要素が同じ変調光を出力することを可能にする。
【0008】
更なる例においては、前記バイアス電流源は、
前記第1レーザ要素と並列に結合される第1シャントスイッチと、
前記第2レーザ要素と並列に結合される第2シャントスイッチと、
前記第1レーザ要素、前記第1シャントスイッチ、前記第2レーザ要素及び前記第2シャントスイッチに定電流を供給するよう適合される電流源とを有し、
前記第1シャントスイッチは、前記第1レーザ要素を通る電流が、動作中、決して、前記第1レーザ要素のレーザ発振電流閾値未満に低下しないように、前記第1レーザ要素から前記定電流の一部を分流する(shunt)よう適合され、
前記第2シャントスイッチは、前記第2レーザ要素を通る電流が、動作中、決して、前記第2レーザ要素のレーザ発振電流閾値未満に低下しないように、前記第2レーザ要素から前記定電流の一部を分流するよう適合される。
【0009】
この例においては、前記バイアス電流源の好ましい例についてより詳細に説明する。前記バイアス電流源は、前記第1レーザ要素と並列に結合される第1シャントスイッチを有する。前記バイアス電流源は、前記第2レーザ要素と並列に結合される第2シャントスイッチも有する。前記第1レーザ要素、前記第1シャントスイッチ、前記第2レーザ要素及び前記第2シャントスイッチの組み合わせに定電流を供給するために電流源が使用される。好ましくは、前記電流源は、前記第1レーザ要素の前記レーザ発振電流閾値及び前記第2レーザ要素の前記レーザ発振電流閾値よりも大きい電流を供給する。前記第1シャントスイッチは、前記第1レーザ要素を通る電流が、動作中、決して、前記第1レーザ要素のレーザ発振電流閾値未満に低下しないように、前記第1レーザ要素から前記定電流の一部を分流する。前記第2シャントスイッチは、前記第2レーザ要素を通る電流が、動作中、決して、前記第2レーザ要素のレーザ発振電流閾値未満に低下しないように、前記第2レーザ要素から前記定電流の一部を分流する。前記バイアス電流源は、この例においては、前記第1レーザ要素又は前記第2レーザ要素のいずれかを通る電流が、それぞれのレーザ要素のいずれかの前記レーザ発振電流未満に低下するのを防止する機能を有する。
【0010】
更なる例においては、前記第1シャントスイッチ及び前記第2シャントスイッチは、リニア電流制御モードで動作される。
【0011】
前記シャントスイッチをリニア電流制御モードで動作させることは、前記レーザ要素に前記レーザ発振電流を供給する前記バイアス電流を制御する簡単なやり方を提供する。
【0012】
更なる例においては、前記第1バイアス電流は、前記第1レーザ要素の前記レーザ発振電流と、前記交番電流のピーク・ツー・ピーク電流の半分との合計に等しく、前記第2バイアス電流は、前記第2レーザ要素の前記レーザ発振電流と、前記交番電流の前記ピーク・ツー・ピーク電流の半分との合計に等しい。
【0013】
好ましくは、前記第1バイアス電流は、前記第1レーザ要素の前記レーザ発振電流と、前記交番電流のピーク・ツー・ピーク電流の半分との合計に等しい。
【0014】
更に、前記第2バイアス電流は、前記第2レーザ要素の前記レーザ発振電流と、前記交番電流の前記ピーク・ツー・ピーク電流の半分との合計に等しい。
【0015】
前記変調電流源によって交番電流が供給されるとき、この交番電流はピーク・ツー・ピーク電流振幅を有する。いずれかのレーザ要素を通る電流がそれぞれのレーザ発振電流閾値未満に低下するのを回避するために、前記バイアス電流は、前記変調電流の半分と、それぞれのレーザ発振電流閾値振幅との合計である。
【0016】
更なる例においては、前記バイアス電流源は、前記第1コンデンサと前記第1レーザ要素との間の第1ノードにおいて、前記第1バイアス電流を前記第1レーザ要素に供給するよう適合され、且つ前記バイアス電流源は、前記第2コンデンサと前記第2レーザ要素との間の第2ノードにおいて、前記第2バイアス電流を前記第2レーザ要素に供給するよう適合される。
【0017】
好ましくは、前記第1バイアス電流は、前記第1コンデンサを通過することなく、前記第1レーザ要素に供給される。前記第2バイアス電流は、前記第2コンデンサを通過することなく、前記第2レーザ要素に供給される。換言すれば、前記バイアス電流源は、前記第1レーザ要素及び前記第2レーザ要素に直接接続される。
【0018】
更なる例においては、前記変調電流源は、前記第1コンデンサを介して前記第1レーザ要素に前記交番電流を供給するよう適合され、且つ前記変調電流源は、前記第2コンデンサを介して前記第2レーザ要素に前記交番電流を供給するよう適合される。
【0019】
前記バイアス電流源によって供給される電流は、前記変調電流源によって供給される電流から独立していることが好ましい。示されている例においては、これは、一方の電流を交番電流として供給し、他方の電流を直流電流として供給することによって行われる。示されている例においては、前記バイアス電流が、直流電流として供給され、前記変調電流が、交番電流として供給される。前記変調電流は、第1コンデンサを介して前記第1レーザ要素への前記バイアス電流と組み合わされ、第2コンデンサを介して前記第2レーザ要素への前記バイアス電流と組み合わされる。
【0020】
更なる例においては、前記バイアス電流源は、
前記第1レーザ要素と並列に前記第1シャントスイッチを結合するための第1ダイオードと、
前記第1レーザ要素と並列に結合される第3コンデンサと、
前記第2レーザ要素と並列に前記第2シャントスイッチを結合するための第2ダイオードと、
前記第2レーザ要素と並列に結合される第4コンデンサとを有する。
【0021】
より詳細な例においては、前記レーザ要素には、フィルタをかけて、前記レーザ要素における高周波電流を除去するための並列コンデンサが設けられる。前記バイアス電流源によるコンデンサの望ましくない放電を防止するために、前記シャントスイッチを前記レーザ要素に結合するためにダイオードが使用される。
【0022】
更なる例においては、前記レーザ要素モジュールは、第1インダクタ及び第2インダクタを有し、
前記第3コンデンサは、前記第1インダクタを介して前記第1レーザ要素と並列に結合され、前記第4コンデンサは、前記第2インダクタを介して前記第2レーザ要素と並列に結合される。
【0023】
追加のインダクタは、前記レーザ要素を通る電流の追加のフィルタリングを提供するために使用されることができる。
【0024】
更なる例においては、前記第1シャントスイッチ及び前記第2シャントスイッチは、パルス幅変調信号で動作される。
【0025】
現在説明されている、対応するレーザ要素に結合されるスイッチ、ダイオード、インダクタ及びコンデンサのトポロジでは、前記スイッチは、パルス幅変調(PWM)動作で動作され得る。
【0026】
更なる例においては、前記変調電流源は、前記交番電流の周波数を制御することによって、前記第1レーザ要素及び前記第2レーザ要素への電流を変調するよう適合される。
【0027】
更なる例においては、前記レーザ要素モジュールは、前記第1レーザ要素からの光出力を検知するための、及び前記第2レーザ要素からの光出力を検知するための光センサを更に有し、
前記光センサは、制御信号を生成するよう適合され、前記制御信号は、前記第1レーザ要素及び前記第2レーザ要素のレーザ発振の発生の判定を提供するよう適合される。
【0028】
各レーザ要素の光出力は、各レーザ要素がレーザ発振しているかどうかを判定するために使用されることができる。
【0029】
光センサは、前記第1レーザ要素及び前記第2レーザ要素によって生成される光を検出するために使用される。前記光センサは、前記第1レーザ要素及び前記第2レーザ要素のレーザ発振時点(lasing moment)を決定するためにコントローラによって使用される制御信号を生成する。
【0030】
更なる例においては、前記レーザ要素モジュールは、前記第1レーザ要素からの光出力を検知するための第1光センサ、及び前記第2レーザ要素からの光出力を検知するための第2光センサを有し、
前記第1光センサは、第1制御信号を生成するよう適合され、前記第1制御信号は、前記第1レーザ要素のレーザ発振の発生の判定を提供するよう適合され、
前記第2光センサは、第2制御信号を生成するよう適合され、前記第2制御信号は、前記第2レーザ要素のレーザ発振の発生の判定を提供するよう適合される。
【0031】
第1光センサは、前記第1レーザ要素がレーザ発振しているかどうかを判定するために使用されることができる。第2光センサは、前記第2レーザ要素がレーザ発振しているかどうかを判定するために使用されることができる。
【0032】
別の例においては、照明器具が、前記レーザ要素モジュールと、前記レーザ要素モジュールを囲むためのハウジングとを有する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
ここで、添付図面を参照して本発明の例について説明する。
図1】レーザ要素モジュールの例を示す。
図2】レーザ要素の順方向電流対光パワーのグラフを示す。
図3】レーザ要素モジュールの更なる例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図を参照して本発明について説明する。
【0035】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、説明の目的のためのものでしかなく、本発明の範囲を限定しようとするものではないことは理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるようになるだろう。図は、単に概略的なものに過ぎず、縮尺通りには描かれていないことも、理解されたい。図の全体を通して、同じ参照符号は、同じ又は同様のパーツを示すために使用されていることも、理解されたい。
【0036】
図1は、レーザ要素モジュールの例を示している。レーザ要素モジュールは、総光出力を制御するためにレーザ要素を通る電流を変調するための単一の電流源を介して給電されるときに、レーザ要素の直列接続が各レーザ要素間で均一な光を発することを可能にする。レーザ要素モジュールは、レーザ要素モジュールの動作中ずっと各レーザ要素に少なくとも必要なレーザ発振電流が供給されるように、各レーザ要素にバイアス電流を供給するための個別の専用電流源を使用する。各レーザ要素は、構成要素自体の公差により、及びジャンクション温度の上昇はレーザ発振電流の増加を必要とすることから、そのジャンクション温度により、(わずかに)異なるレーザ発振電流閾値を有する。これは、各レーザ要素が異なるバイアス電流を必要とすることを意味する。バイアス電流源は、全てのレーザ要素をそれらのレーザ発振モードに維持する電流が各レーザ要素に供給されるように、この調整された電流をレーザ要素の各々に供給し、追加のDC電流を加えることによって変調のためにレーザ要素にバイアスをかける。その結果、各レーザ要素は、全レーザ要素出力の利用率及び効率を向上させる変調のために最適にバイアスをかけられる。直列接続されるレーザ要素に供給される変調電流は、レーザ要素ごとにほぼ同じである所望の光出力を生成するために、レーザ要素ごとに同一の電流を各レーザ要素に供給することを可能にする。
【0037】
図1においては、レーザ要素モジュールは、第1レーザモジュール1と、第2レーザモジュール2と、第3レーザモジュール3とを有する。この例においては、3つのレーザモジュールが示されている。レーザ要素モジュールは、2つ以上のレーザモジュールを有することができ、故に、3つのレーザモジュールを具備する各例は、2つ以上のレーザモジュールが使用される例においても使用されることができることは理解されるべきである。各レーザモジュールには、レーザ要素、及びレーザ要素と直列のコンデンサが設けられる。第1レーザモジュール1は、第1レーザ要素D12と直列に結合される第1コンデンサC12を有する。第2レーザモジュール2は、第2レーザ要素D22と直列に結合される第2コンデンサC22を有する。第3レーザモジュール3は、第3レーザ要素Dn2と直列に結合される第3コンデンサCn2を有する。3つのレーザモジュールは直列構成で結合される。レーザモジュールの直列構成に変調電流源5が結合される。変調電流源5は、レーザモジュールに交番電流Imodを供給する。変調電流Imodは、交流(AC)電流であり得る、交番電流である。変調電流Imodは、第1コンデンサC12を介して第1レーザ要素D12に供給される。変調電流Imodは交番電流であることから、第1コンデンサC12は電流を伝えることが可能である。実際には、コンデンサは、直流(DC)電流のみを遮断する。変調電流は、次いで、第2コンデンサC22を介して第2レーザ要素D22に供給される。変調電流は、次いで、第3コンデンサCn2を介して第3レーザ要素Dn2に供給される。好ましくは、変調電流Imodは、変調電流源5によって、特定の周波数を持つ電圧をレーザモジュールに供給することによって供給され得る。この電圧は、コンデンサ及びレーザ要素のインピーダンスに印加される。コンデンサのインピーダンスが、最も支配的な(dominant)インピーダンスである。コンデンサは、変調電流源5によって供給される電流に対して周波数依存インピーダンスを提供する。
【0038】
各レーザ要素には、バイアス電流源4が接続される。バイアス電流源4の目的は、各個別レーザ要素のレーザ発振電流の相違が補償されるように各レーザ要素に必要な電流を供給することである。好ましくは、バイアス電流源4は、変調電流によって供給される電流に関係なく、個別LASER間のレーザ発振電流における差を補償することによって同じ光出力パワーレベルにおいてレーザ要素にバイアスをかけるのに十分な電流を供給する。好ましくは、バイアス電流源4によって供給される電流は、レーザ要素を通して共通の変調電流5が印加されることができるように、レーザ発振電流の不一致を補償する。
【0039】
バイアス電流源4は、第1レーザ要素D12と並列に結合される第1シャントスイッチQ11を有してもよい。バイアス電流源4は、第2レーザ要素D22と並列に結合される第2シャントスイッチQ21を有してもよい。バイアス電流源4は、第3レーザ要素Dn2と並列に結合される第3シャントスイッチQn1を有してもよい。
【0040】
バイアス電流源4は、電流源を有してもよい。電流源は、第1シャントスイッチQ11と第1レーザ要素D12との並列組み合わせ、第2シャントスイッチQ21と第2レーザ要素D22との並列組み合わせ、及び第3シャントスイッチQn1と第3レーザ要素Dn2との並列組み合わせにバイアス電流Ibiasを供給し得る。この例においては、全ての並列組み合わせに単一のバイアス電流Ibiasを供給するために単一の電流源が使用される。この例においては、電流源が、レーザ要素のいずれかのために必要とされる最大バイアス電流よりも大きいバイアス電流Ibiasを供給することが望ましい。
【0041】
図1において示されている例においては、バイアス電流Ibiasは、第1シャントスイッチQ11と第1レーザ要素D12との第1並列組み合わせに供給される。第1レーザ要素D12は、特定のレーザ発振電流閾値を有する。電流源によって供給される電流は、個々のレーザ要素ごとのレーザ発振電流の変動が補償されることを確実にするよう、この特定のバイアス電流よりも大きい。これは、バイアス電流Ibiasの一部は第1レーザ要素D12からそらされる必要があることを意味する。第1シャントスイッチQ11は、電流源によって供給される過剰電流が第1レーザ要素D12からそらされるように、パルス幅変調(PWM)モードで動作され得る。バイアス電流Ibiasは、本質的に、バイアスをかける、第1レーザ要素D12に供給される電流と、第1シャントスイッチQ11を介してそらされる過剰電流との間で分けられる。これらの2つの電流は、次いで、第1レーザ要素D12、コンデンサC11及び第1シャントスイッチQ11の出力において再び組み合わされる。この電流は、次いで、第2シャントスイッチQ21と第2レーザ要素D22との第2並列組み合わせに供給される。第1シャントスイッチQ11と第1レーザ要素D12との第1並列組み合わせと同様の電流分布が生じる。第1及び第2並列組み合わせと同様に、第3シャントスイッチQn1と第3レーザ要素Dn2との第3並列組み合わせに同様の電流分布が供給される。
【0042】
各レーザ要素と並列に、コンデンサが、フィルタをかけてレーザ要素を通る電流から高周波成分を除去するよう配置されることができる。第1レーザ要素D12と並列に、コンデンサC11が配置されてもよい。第2レーザ要素D22と並列に、コンデンサC21が配置されてもよい。第3レーザ要素Dn2と並列に、コンデンサCn1が配置されてもよい。コンデンサとレーザ要素との間の並列接続は、誘導性構成要素によって実現されてもよい。これは、シャントスイッチをパルス幅操作制御信号で動作させることも可能にし得る。これは、シャントスイッチのリニア電流調整と比較して、より電力効率が良い可能性がある。
【0043】
シャントスイッチの制御は、対応するシャントスイッチの各制御ゲートに制御信号を供給するコントローラで行われることができる。示されている例においては、各シャントスイッチが、それ自身のゲートドライバを有する。第1シャントスイッチQ11は、コントローラから第1制御信号G11を受信する第1ゲートドライバによって制御される。第2シャントスイッチQ21は、コントローラから第2制御信号G21を受信する第2ゲートドライバによって制御される。第3シャントスイッチQn1は、コントローラから第3制御信号Gn1を受信する第3ゲートドライバによって制御される。
【0044】
制御信号は、リニア電流調整モード又はPWM電流調整モードでシャントスイッチを駆動するために使用されることができる。
【0045】
各レーザ要素のレーザ発振電流閾値は、幾つかのやり方で決定されることができる。レーザ発振電流閾値は、組み立て時に又は工場において、測定又は決定されることができる。
【0046】
例えば経年劣化又は温度による、レーザ要素のいずれのレーザ発振電流閾値の如何なる変動も、モニタされ、補正されるように、レーザ要素モジュール自体においてレーザ発振電流閾値を決定することが好ましい場合がある。
【0047】
図2は、レーザ要素の動作のより詳細を示している。レーザ要素は、光を生成することを可能にする電流を受け取り得る。電流が低いときには、レーザ要素は、レーザ発振していないが、極めて低い効率で非常に少量の光を生成する。電流が増加されるときには、レーザ要素は、より多くの光を生成する。レーザ発振閾値10に達したとき、レーザ要素は、レーザ発振モードに入る。光が、より効率的に生成される。レーザ発振閾値は、順方向電流当たりの光パワーの割合の急峻度が急に増加する時点におけるグラフの屈曲部に位置する。好ましくは、バイアス電流は、レーザ要素のレーザ発振閾値10と、交番電流又は変調電流のピーク・ツー・ピーク電流の半分との合計に等しいレベルに設定される。このレベルは、図2においてバイアス電流閾値11として示されている。レーザ要素に供給される交番電流は、レーザ要素における電流の変調を提供し得る。好ましくは、この電流変調は、レーザ発振閾値10と最大電流12との間で行われる。この変調は、電流がレーザ発振閾値10未満に低下するのを防止し、レーザ要素をレーザ発振状態に維持する。閾値12は、例えば、レーザ要素の安全動作が保証されることができる閾値、例えば、最大動作電流であり得る。
【0048】
光パワーの変調は、光を介したデータ通信、例えば符号化光及びLi-Fi(Light Fidelity)を提供するために使用され得る。
【0049】
図3は、図1において示されているようなレーザ要素モジュールの改良例を示している。主な特徴及び回路は、同様の特徴を表す同様の参照符号を持つ図1において示されているようなレーザ要素モジュールのものと同様である。図2において示されているのと同様に、バイアス電流源4は、最も高い必要なバイアス電流よりも高いDC電流を供給するために使用される。更に、バイアス電流源4には、改良されたシャントスイッチング回路が設けられている。図1及び2において示されているような随意のダイオードD11、D21及びDn1は、ここでは、この例においてはMOSFETであるスイッチQ12、Q21及びQn1に置き換えられている。ダイオードの場合に生じるような順方向への伝導時には、スイッチは閉じられることができ、このことは伝導損失を減少させる。これは、コンデンサがインダクタを介してレーザ要素と並列にある場合にとりわけ興味深い。
【0050】
示されている例においては、コントローラは、光センサに結合される。第1光センサD13は、第1レーザ要素D12から生成される光を検知するために使用され得る。第2光センサD23は、第2レーザ要素D22から生成される光を検知するために使用され得る。第1光センサD13は、第1レーザ要素D12から生成される光を検知するために使用され得る。
【0051】
示されている例においては、レーザ要素モジュールは、任意のタイプのレーザ要素を含み得る。レーザ要素の例の完全に網羅されてはいない一覧は、VCSEL(垂直共振器面発光レーザ)、端面発光レーザダイオード、バンド間カスケードレーザ、量子カスケードレーザである。
【0052】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する他の変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3