(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】測定位置推奨装置および測定位置推奨方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/00 20060101AFI20241115BHJP
F24F 11/30 20180101ALI20241115BHJP
【FI】
G01N33/00 C
F24F11/30
(21)【出願番号】P 2024524048
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(86)【国際出願番号】 JP2022022213
(87)【国際公開番号】W WO2023233551
(87)【国際公開日】2023-12-07
【審査請求日】2024-08-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嘉人
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-273794(JP,A)
【文献】特開平7-98142(JP,A)
【文献】特開2005-16931(JP,A)
【文献】特開2013-40693(JP,A)
【文献】特開2001-116742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/00 - 33/46
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の部屋における空気環境の測定位置を推奨する測定位置推奨装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能なプログラムを記憶するメモリとを備え、
前記プロセッサは、
前記部屋の在室者数がピークになるピーク時間帯における在室者の情報と、前記測定位置と前記在室者の位置との距離に関する第1条件を含む決定条件とに基づき、前記測定位置を決定し、
決定した前記測定位置を出力する、測定位置推奨装置。
【請求項2】
前記在室者の情報は、前記部屋における前記在室者の人流を示す情報を前記部屋のマップに重ね合わせた人流マップを含む、請求項1に記載の測定位置推奨装置。
【請求項3】
前記在室者の情報は、前記部屋における前記在室者の混雑度を示す情報を前記部屋のマップに重ね合わせた混雑度マップを含む、請求項1に記載の測定位置推奨装置。
【請求項4】
前記決定条件は、さらに、前記測定位置と前記部屋の出入口との距離に関する第2条件と、前記測定位置における通路幅に関する第3条件とを含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の測定位置推奨装置。
【請求項5】
前記測定位置は、複数の位置を含み、
前記プロセッサは、
前記在室者の情報と前記決定条件とに基づき、前記複数の位置および前記複数の位置の優先度を決定し、
決定した前記複数の位置および前記複数の位置の優先度を出力する、請求項1~
請求項3のいずれか1項に記載の測定位置推奨装置。
【請求項6】
前記ピーク時間帯は、複数の時間帯を含み、
前記プロセッサは、
前記複数の時間帯の各々について、前記在室者の情報と前記決定条件とに基づき、前記複数の位置および前記複数の位置の優先度を決定し、
前記複数の時間帯の各々について、決定した前記複数の位置および前記複数の位置の優先度を出力する、請求項5に記載の測定位置推奨装置。
【請求項7】
建物の部屋における空気環境の測定位置を推奨する測定位置推奨方法であって、
前記部屋の在室者数がピークになるピーク時間帯における在室者の情報と、前記測定位置と前記在室者の位置との距離に関する第1条件を含む決定条件とに基づき、前記測定位置を決定するステップと、
決定した前記測定位置を出力するステップとを備える、測定位置推奨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建物の部屋における空気環境の測定位置を推奨する測定位置推奨装置および測定位置推奨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル衛生管理法には、建物内の温度、二酸化炭素の濃度等の空気環境を測定し、測定結果が所定の基準を満たすか否かを確認することが義務づけられている。たとえば、特開2001-116742号公報(特許文献1)には、建物内の空気環境の測定に関する技術が開示されている。
【0003】
オフィスビル等の建物の管理者は、業務時間中に1日2回の空気環境測定を実施する必要があるが、どの時間に測定すべきなのかは法律上規定がない。このため、たとえば、午前と午後とに分けて任意のおおよその一定時刻に測定を行うなどしている。
【0004】
一方で、たとえば、オフィスビルに入居する企業側には、従業員の安全管理という観点から、オフィス(部屋)内の在室人数がピークとなる時間帯であっても、二酸化炭素濃度等の値が基準値以下になっていることを確認したいというニーズがある。このように、現状では、建物管理者の空気環境測定の実施タイミングと、入居者側が希望する実施タイミングとが合致していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
入居者のニーズに応えようとした場合、空気環境の測定者(建物管理者)は、部屋内の在室人数がピークとなっている状態において、在室者(従業員)の作業の妨げとならないように空気環境を測定する必要がある。ところが、部屋内が混雑した状態で空気環境を測定する場合、たとえば、狭い通路で測定することで在室者が通路を通れなくなったり、通行量の多い出入口前で測定することで在室者の通行の妨げとなったり、業務に必要な資料を置いている棚の前で測定することで在室者の業務の妨げとなりやすい。
【0007】
この場合、在室者の作業の妨げとなるだけでなく、在室者に不快な思いをさせてしまう。こうした状況を回避するために、室内の在室人数が少ない時間帯において空気環境を測定した場合は、入居者側のニーズに答えることができない。このように、建物管理者が空気環境の測定作業をしやすい条件と入居者のニーズを満たす条件とは相反する要素がある。
【0008】
入居者のニーズを満たしつつ円滑に空気環境を測定するためには、室内の混雑状況および利用状況を理解した上で、適切な作業位置および適切な作業タイミングを決定して測定作業を行う必要がある。しかしながら、このようにしようとすると、建物の状況を熟知した者でなければ対応が難しいという問題が発生する。
【0009】
本開示は、かかる問題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、建物に不慣れな測定者であっても好適な位置および時間帯で空気環境を測定することができる測定位置推奨装置および測定位置推奨方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に従う測定位置推奨装置は、建物の部屋における空気環境の測定位置を推奨する装置である。測定位置推奨装置は、プロセッサと、プロセッサによって実行可能なプログラムを記憶するメモリとを備える。プロセッサは、部屋の在室者数がピークになるピーク時間帯における在室者の情報と、測定位置と在室者の位置との距離に関する第1条件を含む決定条件とに基づき、測定位置を決定する。プロセッサは、決定した測定位置を出力する。
【0011】
測定位置推奨方法は、建物の部屋における空気環境の測定位置を推奨する方法である。測定位置推奨方法は、部屋の在室者数がピークになるピーク時間帯における在室者の情報と、測定位置と在室者の位置との距離に関する第1条件を含む決定条件とに基づき、測定位置を決定するステップと、決定した測定位置を出力するステップとを備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、建物に不慣れな測定者であっても好適な位置および時間帯で空気環境を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の実施の形態に従う測定ポイント推奨システムの全体構成図である。
【
図2】測定ポイント推奨システムのハードウェア構成を示す図である。
【
図3】測定ポイント推奨システムが実行する処理を説明するための図である。
【
図7】測定ポイントマップ生成処理のフローチャートである。
【
図10】変形例に係る測定ポイント推奨システムが実行する処理を説明するための図である。
【
図12】測定ポイントマップの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0015】
図1は、本開示の実施の形態に従う測定ポイント推奨システム100の全体構成図である。
図1に示すように、測定ポイント推奨システム100は、測定ポイント推奨装置(「測定位置推奨装置」とも称する)10と、位置監視装置20と、端末30と、入退室管理システム80と、複数の無線通信機72と、複数のカメラ70とを備える。
【0016】
測定ポイント推奨装置10は、建物の部屋における空気環境の測定ポイント(「測定位置」とも称する)を推奨する装置である。測定ポイント(測定位置)とは、ビル衛生管理法に定められた、建物内の温度、二酸化炭素の濃度等の空気環境を測定する位置である。
【0017】
本実施の形態における「部屋」とは、建物において壁等で仕切られた区画を示し、「室」とも称する。また、部屋は、居室以外にも共用部分である廊下、ロビー等の区画も含むものであってもよい。
【0018】
本実施の形態では、建物の一例としてオフィスビル内の測定ポイントを推奨する場合を例として説明する。本オフィスビルには、ビルを管理するビル管理者が駐在している。ビル管理者(「測定者」とも称する)は、ビル衛生管理法に従って空気環境を測定する。
【0019】
本実施の形態において、オフィスビル内には、複数の会社が入居しているものとする。各会社は、1または複数の部屋(居室)を使用している。各会社の従業員は、ICカードを所持しているものとする。従業員は、各部屋の出入口に設置されたカードリーダにICカードを読み取らせて、各部屋に入退室するものとする。各部屋への入退室は入退室管理システム80により管理されている。
【0020】
測定ポイント推奨装置10、位置監視装置20、端末30および入退室管理システム80は、通信網NW(代表的には、インターネット)を介して互いに通信可能に構成されている。オフィスビル内には、複数の無線通信機72および複数のカメラ70が設置されており、これらによって、オフィスビル内の従業員等(警備員、清掃員等も含む)の現在位置が計測可能に構成されている。
【0021】
たとえば、無線通信機62はカード型の通信機であり、従業員4は無線通信機62を携帯している。無線通信機62は、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy、「Bluetooth」が登録商標)通信規格に従う通信方式を用いて、従業員4の位置を検出するための信号を発信する。BLE通信規格に代えて、UWB(Ultra Wide Band)通信規格等に従う通信方式を用いてもよい。または、無線通信機62は、例えばLTE(Long Term Evolution)等の無線通信規格に従う通信方式を用いて、従業員4を識別するためのID(Identification)等を示す信号等を位置監視装置20へ送信する。
【0022】
複数の無線通信機72および複数のカメラ70は、例えば、オフィスビルの天井45に適当な距離をおいて設置される。複数の無線通信機72は、従業員4の無線通信機62と同じ通信規格に従う通信方式を用いて、従業員4の無線通信機62から発生される信号を受信するとともに、その受信強度を検知する。無線通信機72における受信強度から、オフィスビル内における従業員4の位置を測定することができる。無線通信機72は、従業員4の無線通信機62から受信した信号の受信強度を位置監視装置20へ出力する。
【0023】
カメラ70は、オフィスビル内を撮像し、撮像画像(動画像)を位置監視装置20へ出力する。撮像画像には、オフィスビル内に存在する従業員等の画像が含まれている。なお、無線通信機72およびカメラ70は、壁に設置されてもよい。
【0024】
位置監視装置20には、天井45に設置された複数の無線通信機72およびカメラ70が通信接続されている。本実施の形態における位置監視装置20は、屋内位置情報装置および監視カメラ装置を含む。屋内位置情報装置は、無線通信機72からの情報に基づき従業員4の位置情報を管理する。監視カメラ装置は、カメラ70からの情報に基づき従業員5の位置情報を管理する。
【0025】
位置監視装置20は、屋内位置情報装置および監視カメラ装置を含んで構成されるものであってもよいし、屋内位置情報装置および監視カメラ装置のいずれかを含んで構成されるものであってもよい。
【0026】
位置監視装置20(屋内位置情報装置)は、無線通信機72において受信される信号の受信強度を無線通信機72から受信し、各無線通信機72における受信強度から、オフィスビル内における従業員等の位置を測定する。また、位置監視装置20(監視カメラ装置)は、カメラ70からの撮像画像(動画像)に基づいて、従業員等の位置を測定する。さらに、位置監視装置20は、無線通信機62の位置情報およびカメラ70からの撮像画像(動画像)に基づいて、人流データ(「動線データ」とも称する)を生成する。位置監視装置20は、人流データを、通信網NWを経由して測定ポイント推奨装置10へ送信可能である。
【0027】
なお、オフィスビル内の各部屋には、無線通信機72およびカメラ70のいずれかが設置されていればよい。部屋に無線通信機72が設置されている場合は、無線通信機72を用いて部屋内の従業員の位置情報を取得する。部屋にカメラ70が設置されている場合は、カメラ70を用いて部屋内の従業員の位置情報を取得する。
【0028】
測定ポイント推奨装置10は、オフィスビルのビル管理者3に対して、オフィスビルの各部屋における空気環境の測定ポイントを推奨する。具体的には、測定ポイント推奨装置10は、ピーク時間帯における複数の測定ポイントを部屋ごとに決定する。ビル管理者3は、決定された測定ポイントを端末30上で確認することができる。
【0029】
なお、本実施の形態では、位置監視装置20と測定ポイント推奨装置10を別体として構成されているが、これに限定されず、一つのサーバ装置として構成してもよい。
【0030】
端末30は、通信網NWを介して、測定ポイント推奨装置10と通信可能に接続されている。端末30は、通信機能および表示機能を有する情報処理装置であり、代表的にはスマートフォンまたはタブレットである。端末30は、ビル管理者3等によって利用され得る。なお、端末30は、スマートフォンまたはタブレット等の携帯端末に限定されず、オフィスビル内に設置されたPC(Personal Computer)等であってもよい。
【0031】
端末30は、典型的には、ウェブブラウザを有している。端末30は、測定ポイント推奨装置10にアクセスし、画面データ(WEB画面)を自装置に表示する。あるいは、インストールされた専用のアプリケーションソフトウェアを用いて端末30から測定ポイント推奨装置10にアクセスするようにしてもよい。
【0032】
図2は、測定ポイント推奨システム100のハードウェア構成を示す図である。上述のように、測定ポイント推奨システム100は、測定ポイント推奨装置10と、位置監視装置20と、端末30と、入退室管理システム80と、複数の無線通信機72と、複数のカメラ70とを備える。
【0033】
測定ポイント推奨装置10は、主たる構成要素として、プログラムを実行するプロセッサ11と、データを不揮発的に格納するROM(Read Only Memory)12と、プロセッサ11によるプログラムの実行により生成されたデータ、または、入力装置を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM(Random Access Memory)13と、データを不揮発的に格納するHDD(Hard Disk Drive)14と、通信IF(Interface)15とを含む。各構成要素は、相互にデータバス16によって接続されている。
【0034】
なお、通信IF15は、入退室管理システム80、位置監視装置20および端末30と、測定ポイント推奨装置10との間で通信を行うためのインターフェイスである。HDD14は、各種データを格納する。なお、測定ポイント推奨装置10は、HDD14の代わりに、または、HDD14とともに他の不揮発性記憶装置を備えていてもよい。
【0035】
位置監視装置20は、主たる構成要素として、プロセッサ21、ROM22、RAM23、HDD24、および通信IF25を含む。各構成要素は、相互にデータバス26によって接続されている。通信IF25は、測定ポイント推奨装置10、無線通信機72およびカメラ70との間で通信を行なうためのインターフェイスである。HDD24は、従業員等の情報、オフィスビルの情報、従業員等の位置情報等を記憶する。
【0036】
なお、
図2には、プロセッサ11,21,31の各々がプログラムを実行することによって必要な処理が提供される構成例を示したが、これらの提供される処理の一部または全部を、専用のハードウェア回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を用いて実装してもよい。
【0037】
端末30は、主たる構成要素として、プロセッサ31、ROM32、RAM33、入力部34、ディスプレイ35、および通信IF36を含む。各構成要素は、相互にデータバス37によって接続されている。入力部34は、ユーザ(例えば、ビル管理者等)からの入力を受け付ける。ディスプレイ35は、プロセッサ11での処理結果を表示する。入力部34とディスプレイ35とを一体化したタッチパネルディスプレイを採用してもよい。通信IF36は、測定ポイント推奨装置10との間で通信を行なうためのインターフェイスである。HDD34は、インストールされたアプリケーションソフトウェア等を記憶する。
【0038】
位置監視装置20は、従業員等の動きを監視する。位置監視装置20には、天井45に設置された複数の無線通信機72およびカメラ70が通信接続されている。複数の無線通信機72およびカメラ70は、天井45に適当な距離をおいて設置され、オフィスビル内に存在する従業員4,5の動きを検知するために用いられる。従業員4が所持する無線通信機62は、無線通信機72と同様に、BLE通信規格またはUWB通信規格等に従う通信方式を用いて、従業員4の位置を検出するための信号を発信する。
【0039】
無線通信機72は、従業員4が所持する無線通信機62と同じ通信規格に従う通信方式を用いて、無線通信機62から発生される信号を受信するとともに、その受信強度を検知する。無線通信機72は、無線通信機62から受信した信号の受信強度を位置監視装置20へ出力する。カメラ70は、オフィスビル内を撮像し、撮像画像(動画像)を位置監視装置20へ出力する。撮像画像には、オフィスビル内を通行する従業員5の画像が含まれている。
【0040】
位置監視装置20は、無線通信機72において受信される信号の受信強度を無線通信機72から受信し、各無線通信機72における受信強度からオフィスビル内における従業員4の位置を測定する。また、位置監視装置20は、公知の画像解析技術を用いて、複数のカメラ70による撮像画像から従業員5の位置を測定する。
【0041】
位置監視装置20は、これらの位置の測定情報に基づいて、オフィスビル内の各部屋における人流を示す人流データ(人の動線を示す動線データ)を生成する。これらの人流データは、履歴情報としてHDD24に記憶される。位置監視装置20は、生成した人流データ(履歴情報)を、通信網NWを経由して測定ポイント推奨装置10へ送信可能である。
【0042】
入退室管理システム80は、オフィスビルの各部屋での入退室を管理するシステムである。入退室管理システム80は、管理装置81と、複数のカードリーダ82とを備える。管理装置61は、カードリーダ82を制御し、入退室を管理する装置である。カードリーダ82は、居室の入口および出口に設置され、入退室する際に使用される。
【0043】
従業員が所持するICカードを居室の入口に設置されたカードリーダ82に読み取らせると、居室の扉が解錠されて従業員が入室可能となる。従業員が所持するICカードを居室の出口に設置されたカードリーダ82に読み取らせると、居室の扉が解錠されて従業員が退室可能となる。
【0044】
入退室管理システム80は、複数のカードリーダ82から取得した入退室情報を部屋(居室)ごとに管理している。入退室管理システム80は、居室への入室者情報と居室への退室者情報に基づいて、居室における現在の在室者数をカウントして、これを在室者数データ(後述の
図4参照)として保持している。
【0045】
次に、測定ポイント推奨システム100が実行する処理を説明する。
図3は、測定ポイント推奨システム100が実行する処理を説明するための図である。本処理は、測定ポイント推奨装置10、入退室管理システム80、位置監視装置20および端末30が実行する処理により構成される。本処理において、最終的には、測定ポイント推奨装置10が生成された測定ポイントマップが端末30上で表示される。
【0046】
まず、測定ポイント推奨装置10は、入退室管理システム80に対して在室者数データを要求する(S11)。入退室管理システム80は、在室者数データの要求を受信すると、在室者数データを抽出する(S21)。
【0047】
図4は、在室者数データの一例を示す図である。在室者数データは、日付、時間帯および部屋名に対応する在室者数が記録されたデータである。在室者数データは、「日付」に記録された日付において、「時間帯」に記録された時間帯での、「部屋名」に記録された部屋(居室)での「在室者数」を示すデータである。
【0048】
ここで、オフィスビルには、X社を含む複数の会社が入居しており、X社の従業員は、A302およびA303の居室を含む複数の居室で働いているものとする。A302に自席があるX社の従業員は、A302の出入口に設置されたカードリーダ82に、自身が所持するICカードをかざして入退室を行う。
【0049】
入退室管理システム80は、このカードリーダ82からの入退室データに基づき、A302の在室者数をカウントする。入退室管理システム80は、A302の入口のカードリーダを用いて入室処理が行われた場合は、A302内の在室者数を1人増加させる。入退室管理システム80は、A302の出口のカードリーダを用いて退室処理が行われた場合は、A302内の在室者数を1人減少させる。
【0050】
入退室管理システム80は、1時間毎に在室者数を集計する。たとえば、入退室管理システム80は、8:00~9:00における1分ごとの入退室者数の平均値を算出し、8時台の時間帯の在室者数として在室者数データに記録する。
【0051】
たとえば、
図4の例では、10月6日の8:00~9:00の1時間(8時台)でA302の部屋において在室者数(の平均)が10人であったことが示されている。同様に、10月6日の9:00~10:00(9時台)の1時間でA302において在室者数が50人であることが示されている。以下、A302の在室者数は、57人(10時台)、36人(11時台)、28人(12時台)、40人(13時台)、45人(14時台)・・・と推移していることが示されている。
【0052】
また、A303において、10月6日の在室者数は30人(8時台)、5人(9時台)、5人(10時台)、10人(11時台)、20人(12時台)、10人(13時台)、5人(14時台)・・・と推移していることが示されている。
【0053】
上記例においては、10月6日のA302およびA303のデータを例示しているが、在室者数データには、10月6日を含む直近の複数日(たとえば、365日)における、オフィスビル内の全ての部屋のデータが記録されている。
【0054】
図3に戻り、入退室管理システム80は、測定ポイント推奨装置10に対して、在室者数データを送信する(S22)。測定ポイント推奨装置10は、入退室管理システム80から在室者数データを取得する(S12)。次に、測定ポイント推奨装置10は、ピーク時間帯データを生成する(S13)。
【0055】
本実施の形態においては、月に1回、空気環境の測定を行うものとする。当月において空気環境を測定すべき日として、1ヶ月の中で最も在室者数が多くなりそうな日を選択すればよい。たとえば、取得した1年分(365日)の在室者数データのそれぞれの日について各時間帯の在室者数の総和を算出する。そして、在室者数の総和が多くなる複数の日を測定日の候補として設定するようにしてもよい。
【0056】
たとえば、毎月、6日に在室者数の総和(各月の平均値)が最も多くなり、15日に在室者数の総和(各月の平均値)が次に多くなるのであれば、6日、15日を候補日として抽出するようにしてもよい。
【0057】
あるいは、第1月曜日~第1金曜日、第2月曜日~第2金曜日・・・のように日付を分類してもよいし、月の第1出勤日(休日を含まない)、第2出勤日、第3出勤日・・・のように日付を分類してもよい。たとえば、営業部がある居室(部屋)であって、営業の打合せがある第1出勤日(平日)は全員出社するといったような場合、第1出勤日が候補日として抽出され得る。また、朝礼により朝の9時台が最も人が多くなる(その他の時間帯は外回りで外出する)のであれば、9時台が混雑時間帯として抽出される。部屋内が混雑する(ピークとなる)日付・時間帯は、たとえば、過去1年分あるいは2年分のデータから公知の統計処理により推測させるようにしてもよい。
【0058】
図5は、ピーク時間帯データの一例を示す図である。本例では、簡単のため、過去30日分のデータを取得し、最も在室者数の総和が多かった「6日」(本例では、10月6日)のデータを候補日のデータとして選択したものとする。ピーク時間帯データは、在室者数データにおいて各部屋の在室者数が多い時間帯のデータが抽出されたものである。各部屋において在室者数が最も多い時間帯と次に多い時間帯のデータを抽出してもよい。
【0059】
図4の例では、A302において最も在室者数が多くなる時間帯は10時台(57人)であり、次に在室者数が多くなる時間帯は9時台(50人)である。A303において最も在室者数が多くなる時間帯は8時台(30人)であり、次に在室者数が多くなる時間帯は12時台(20人)である。このため、これらのデータを抽出して、
図5に示すようなピーク時間帯データを生成している。
【0060】
なお、本例においては、1時間ごとに時間帯を区切っているが、これに限らず、15分ごとに時間帯を区切ってもよく、30分ごとに時間帯を区切ってもよい。また、在室者数が最も多いデータを2つ抽出するものに限らず、3つ以上抽出するものであってもよい。また、過去30日分のピーク時間帯データを取得し、30日×24時間分の在室者数データのうち在室者数が多い順に複数(2つ、または、3つ以上)のデータを部屋ごとに抽出するようにしてもよい。
【0061】
本実施の形態においては、部屋の在室者数がピークになる時間帯を「ピーク時間帯」と称する。上記例のように、ピーク時間帯は複数あってもよい。「在室者数がピークになる時間帯」とは、在室者数データにおいて、在室者数が最も多くなる時間帯、あるいは、在室者数が多くなる複数の時間帯を指す(
図5に示した時間帯)。
【0062】
図3に戻り、測定ポイント推奨装置10は、位置監視装置20に対して、ピーク時間帯における人流マップを要求する(S14)。上記例では、10月6日の9時台および10時台のA302の人流マップと、10月6日の8時台および12時台のA303の人流マップが要求される。位置監視装置20は、人流マップの要求を受信すると、ピーク時間帯における人流マップを生成する(S23)。
【0063】
図6は、人流マップの一例を示す図である。
図6に示されるのは、10月6日の9時台のA302の人流マップである。位置監視装置20は、オフィスビル内における人の人流(動線)を示す人流データ(動線データ)を履歴情報としてHDD24に記憶している。
【0064】
本例では、位置監視装置20は、10月6日の9時台のA302の人流マップを生成するものとする。この場合、HDD24に記憶された履歴情報から、A302の10月6日9時~10時の人流データを抽出する。図示しないが、各人流データは動線番号が割り振られており、動線番号ごとに、部屋名(たとえば、A302)と、各時刻に対応する人の位置情報(座標)とが記録されている。
【0065】
一例を示すと、動線番号「23456」、部屋名「A302」、時刻1「9:13:32」の座標1(X,Y)=(124,23)、時刻2「9:13:33」の座標2(X,Y)=(125,23)、時刻3「9:13:34」の座標2(X,Y)=(126,23)・・・のように記録されている。
【0066】
HDD24は、各部屋のフロアマップを記憶している。フロアマップは、天井からフロアを見た平面図を模式的に示す画像である。上記の座標(X,Y)により、各部屋のフロアマップ内の位置を特定できる。
【0067】
図6の画面91には、A302のフロアマップが示されている。
図6に示すように、A302には、複数のドア、机、棚、会議室が設けられている。具体的には、A302には、A302に出入りするための2か所のドアD、A302室内に設けられた小会議室R1、大会議室R2、役員室R3、壁沿いに設置された棚B2,B4,C4、プリンタB3、打ち合わせ机C1、棚C2、および、A302で働く従業員に各自割当てられた机C3(自席)が設置されている。また、小会議室R1、大会議室R2、役員室R3の各出入口にはドアDが設けられるとともに、小会議室R1には会議机B1、大会議室R2には会議机B5、役員室R3には打ち合わせ机B6、机B7、プリンタB8がそれぞれ設けられている。
【0068】
位置監視装置20は、フロアマップに人流データを重ねて人流マップを生成する。
図6の画面91は、A302のフロアマップにA302の10月6日9時~10時の人流データを重ねて生成した人流マップである。
【0069】
画面91中の人流LがA302内で働く従業員の人流を示している。
図6で示された人流Lは、ドアDから机C3(自席)に向かう人流データ、小会議室R1、大会議室R2、役員室R3から机C3に向かう人流データ、机C3から棚B2,B4,C4、プリンタB3あるいは打ち合わせ机C1に向かう人流データなどの各座標データが、フロアマップ上にプロットされている。
【0070】
図3に戻り、位置監視装置20は、測定ポイント推奨装置10に対して、人流マップを送信する(S24)。測定ポイント推奨装置10は、位置監視装置20から人流マップを取得する(S15)。
【0071】
次に、測定ポイント推奨装置10は、測定ポイントマップ生成処理を実行する(S16)。
図7は、測定ポイントマップ生成処理のフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、測定ポイント推奨装置10によって実行される。
【0072】
測定ポイント推奨装置10は、部屋の在室者数がピークになるピーク時間帯(
図5で示した時間帯)における「在室者(従業員)の情報」と、後述する「決定条件」とに基づき、測定ポイントを決定する。「在室者の情報」は、部屋における在室者の人流を示す情報を部屋のマップに重ね合わせた人流マップを含む。以下、具体的に説明する。
【0073】
測定ポイントマップ生成処理が開始すると、測定ポイント推奨装置10は、ステップ(以下、単に「S」と表記する)101において、人流マップ情報を取得する。
【0074】
測定ポイント推奨装置は、S102において、決定条件と在室者の情報(人流マップ)に基づき測定ポイントを決定する。決定条件は、測定ポイントと在室者の位置との距離に関する第1条件(条件1)と、測定ポイントと部屋の出入口との距離に関する第2条件(条件2)と、測定ポイントにおける通路幅に関する第3条件(条件3)とを含む。
【0075】
具体的には、条件1は、人流が少ない位置が測定ポイントとなることである。より具体的には、条件1は、人流から特定される在室者の位置を避けた位置に測定ポイントが存在することである。人が通る経路上で測定を行うと、在室者(従業員)の通行の妨げになるからである。
【0076】
条件2は、出入口に近い位置に測定ポイントがあることである。測定ポイントが出入口から遠くなればなるほど、ビル管理者(測定者)が測定ポイントに到着するまでの移動距離が長くなり、移動中に在室者(従業員)の通行の妨げになる可能性が高いからである。
【0077】
第3条件は、通路幅が広い通路上に測定ポイントがあることである。通路幅が広ければ、在室者(従業員)が管理者(測定者)を迂回して移動することができ、通行の妨げになりにくいからである。
【0078】
測定ポイント推奨装置10は、S103において、抽出した測定ポイントに優先順位を設定する。測定ポイント推奨装置は、S104において、人流マップに測定ポイント情報を重ね合わせて測定ポイントマップを生成し、測定ポイントマップ生成処理を終了する。
【0079】
以下、
図8を用いて説明する。
図8は、測定ポイントマップの一例を示す図である。
図8の測定ポイントマップは、
図6に示した人流マップに測定ポイント情報を重ね合わせて生成された測定ポイントマップである。
【0080】
図8には、測定ポイント情報として測定ポイントP1~P3が示されている。測定ポイントP1には、優先順位=1位が設定されている。測定ポイントP2には、優先順位=2位が設定されている。測定ポイントP3には、優先順位=3位が設定されている。
【0081】
測定ポイントP1~P3として、人流から特定される在室者の位置を避けた位置が選択されている(条件1)。その際、壁から離れており、なるべく在室者の多い場所が優先順位が高くなるように評価値が設定される。本例では、壁から遠く、中央にある机C3に近い測定ポイントP1、P2、P3の順に高い評価値が設定される。
【0082】
また、通路幅が広い通路上に測定ポイントがある場合に優先順位が高くなるように評価値が設定される(条件3)。本例では、測定ポイントP2、P1、P3の通路幅は同程度に広い。
【0083】
測定ポイントの決定は、たとえば、以下のように行ってもよい。まず、フロアマップを複数の小さな区画に分割し、分割された各区画を測定ポイントの候補とする。このうち、人流と重なる区画を除外し(条件1)、残った区画のそれぞれについて、フロアの中心に近ければ近いほど数値が大きくなるように評価値Aを設定し、出入り口に近ければ近いほど数値が大きくなるように評価値Bを設定し、通路が広ければ広いほど数値が大きくなるように評価値Cを設定する。そして、総合評価値=評価値A+評価値B+評価値Cを算出する。
【0084】
そして、総合評価値が大きい順に測定ポイントP1(優先順位=1)、P2(優先順位=2)、P3(優先順位=3)を決定する。本例では、測定ポイントとして3点を決定したが、測定ポイント数は何点であっても構わない。
【0085】
評価値の算出の際には、評価値A(壁からの遠さ)、評価値B(条件2)、評価値C(条件3)の順に比重が高くなる(評価値が大きくなる)ように評価値を設定する。また、人流からの距離(条件1)が遠いほど数値が大きくなるように評価値A’を設定するようにしてもよい。この場合、評価値A、評価値A’、評価値B、評価値Cの順に比重が高くなるように評価値を設定する。そして、総合評価値=評価値A+評価値A’+評価値B+評価値Cを算出する。
【0086】
このように、本実施の形態において、測定ポイント推奨装置10は、在室者の情報(人流データ)と決定条件(条件1~3)とに基づき、複数の測定ポイントとこれに対応した優先順位(測定ポイント情報)を決定している。具体的には、測定ポイント推奨装置10は、壁から離れておりかつ人流を避けた位置であって、できる限り、出入口から近くて通路幅が広い位置で測定を行えるように、測定ポイントを決定している。
【0087】
上記例では、10月6日の9時台のA302の人流マップを用いた例について示したが、
図5に例示したように、10時台のA302の人流マップ、8時台および12時台のA303の人流マップについても、それぞれ複数の測定ポイントとこれに対応した優先順位(測定ポイント情報)を決定する。
【0088】
このように、ピーク時間帯は複数ある。測定ポイント推奨装置10は、複数のピーク時間帯の各々について、在室者の情報と決定条件とに基づき、複数の測定ポイントおよびこれに対応した優先順位(測定ポイント情報)を決定している。そして、対応するフロアマップにそれぞれの人流情報および測定ポイント情報を重ね合わせて測定ポイントマップを生成する。
【0089】
図3に戻り、端末30から測定ポイントマップが要求されると(S25)、測定ポイント推奨装置10は、端末30に対して、生成した全ての測定ポイントマップを送信(出力)する(S17)。
【0090】
端末30は、測定ポイント推奨装置10から測定ポイントマップを受信すると、測定ポイントマップを表示する(S26)。
図9は、端末30における画面表示例を示す図である。
図9に示すように、端末30の画面93の右側には、
図8に示した測定ポイントマップ(10月6日9時台のA302における例)が表示されている。
【0091】
画面93の左側には、測定ポイントマップ選択メニューが表示されている。本メニューには、対象とする建物を切り替える「建物指定」ボタン、建物の階を切り替える「フロア指定」ボタン、部屋を切り替える「部屋指定」ボタン、時間帯を切り替える「時間帯指定」ボタンが用意されている。
【0092】
本測定ポイントマップは、建物「Aビル」、フロア「3階」、部屋「A302」、時間帯「9時台」を指定して表示されたものである。他にも、
図5のピーク時間帯データは、建物「Aビル」、フロア「3階」、部屋「A302」、時間帯「10時台」を指定して表示される測定ポイントマップと対応している。また、建物「Aビル」、フロア「3階」、部屋「A303」、時間帯「8時台」を指定して表示される測定ポイントマップ、および、建物「Aビル」、フロア「3階」、部屋「A303」、時間帯「12時台」を指定して表示される測定ポイントマップと対応している。
【0093】
図示しないが、日付を切り替える「日付指定」ボタンを設けるようにしてもよい。たとえば、ピークとなる日が「6日」および「15日」に設定されている場合は、「6日」および「15日」における測定ポイントマップを選択可能である。また、時間帯指定において日付も含めて選択できるようにしてもよい(たとえば、「6日の9時台」、「15日の10時台」等)。
【0094】
以上説明したように、本実施の形態においては、測定ポイント推奨装置10は、オフィスビルの部屋における空気環境の測定ポイントを推奨する。測定ポイント推奨装置10は、部屋の在室者数がピークになるピーク時間帯における在室者の情報と、決定条件とに基づき、測定ポイントを決定する。測定ポイントと在室者の位置との距離に関する第1条件と、測定ポイントと部屋の出入口との距離に関する第2条件と、測定ポイントにおける通路幅に関する第3条件とを含む。測定ポイント推奨装置10は、決定した測定ポイントを出力する。これにより、計測ニーズの高いピーク時間帯であっても、人流を避けることができるため、測定者(ビル管理者)の作業によって在室者(従業員)の作業(通行)の妨げとなることがない。このように、建物に不慣れな測定者であっても好適な位置および時間帯で空気環境を測定することができる。
【0095】
また、優先順位付きで複数の測定ポイントが提示されるため、測定者は、たとえば、優先順位の高い測定ポイントに人がいたとしても、次に優先順位の高い測定ポイントで測定することができる。また、複数の日付・時間帯が提示されるため、測定者の都合のよい日付・時間帯を選択して測定することができる。
【0096】
本実施の形態においては、
図3に示したように、入退室管理システム80が在室者データを生成するようにした。しかし、これに限らず、位置監視装置20が在室者データを生成してもよい。
【0097】
また、本実施の形態においては、
図3に示したように、位置監視装置20が人流マップを生成し、測定ポイント推奨装置10が人流マップに基づき測定ポイントマップを生成するようにした。しかし、これに限らず、位置監視装置20が混雑度マップを生成し、測定ポイント推奨装置10が混雑度マップに基づき測定ポイントマップを生成するようにしてもよい。
【0098】
混雑度マップは、部屋における在室者の混雑度を示す情報を部屋のマップに重ね合わせたものである。この場合、測定ポイント推奨装置10は、混雑度マップを含む在室者の情報と決定条件とに基づき、測定ポイントおよび優先順位を決定する。なお、人流マップあるいは混雑度マップは、位置監視装置20から取得したデータに基づき測定ポイント推奨装置10が生成するようにしてもよい。
【0099】
以下、
図10,
図11を用いて説明する。
図10は、変形例に係る測定ポイント推奨システムが実行する処理を説明するための図である。
図10での処理において、上記に説明した違い以外は、
図3での処理と同じである。
【0100】
まず、測定ポイント推奨装置10は、位置監視装置20に対して在室者数データを要求する(S31)。位置監視装置20は、在室者数データの要求を受信すると、在室者数データを抽出し(S41)、測定ポイント推奨装置10に対して、在室者数データを送信する(S42)。
【0101】
上述のように、位置監視装置20は、無線通信機72からの情報およびカメラ70からの情報に基づき従業員等の位置を測定することができる。位置監視装置20は、これらの位置情報から、各時間の各部屋における従業員等の人数をカウントすることができる。さらに、位置監視装置20は、従業員等の人数から、
図4に示したような各部屋の時間帯別の在室者数を示す在室者数データを生成する。
【0102】
測定ポイント推奨装置10は、入退室管理システム80から在室者数データを取得すると(S32)、ピーク時間帯データを生成する(S33)。
【0103】
測定ポイント推奨装置10は、位置監視装置20に対して、混雑度マップを要求する(S34)。位置監視装置20は、混雑度マップの要求を受信すると、混雑度マップを生成し(S43)、測定ポイント推奨装置10に対して、混雑度マップを送信する(S44)。
【0104】
図11は、混雑度マップの一例を示す図である。以下、位置監視装置20が、10月6日の9時台のA302の混雑度マップを生成する例について説明する。位置監視装置20は、オフィスビル内における人の位置情報を時刻とともにHDD24に記憶している。
【0105】
この場合、HDD24に記憶された情報から、A302の10月6日9時台における人の位置情報が抽出される。そして、
図6と同様に、抽出された位置情報をフロアマップにプロットされる。フロアマップは、複数の小さな区画に分割される。そして、各区画においてプロットされた位置情報の数に応じて混雑度が設定される。ここでは、プロットされた位置情報の数が多い順に、混雑度1、混雑度2、混雑度3、混雑度4に各区画を分類する。そして、混雑度1に分類された区画に混雑度A1の画像を表示し、混雑度2に分類された区画に混雑度A2の画像を表示し、混雑度3に分類された区画に混雑度A3の画像を表示し、混雑度4に分類された区画に混雑度A4の画像を表示する。
【0106】
たとえば、
図11では、ドアDの付近では混雑度の最も高い混雑度A1あるいは次に混雑度の高い混雑度A2が多く表示されている。ドアDから離れるほど、混雑度A3あるいは混雑度A4の画像が表示されている様子が示されている。
【0107】
測定ポイント推奨装置10は、位置監視装置20から混雑度マップを取得すると(S35)、測定ポイントマップ生成処理を実行する(S36)。本変形例においては、
図7で示した測定ポイントマップ生成処理と異なり、混雑度マップを取得し、決定条件と在室者の情報(混雑度マップ)に基づき測定ポイントを決定する。
【0108】
また、測定ポイントマップは、混雑度マップに測定ポイント情報を重ねて生成される。その際、測定ポイントと在室者の位置との距離に関する条件1に関し、混雑度から特定される在室者の位置を避けた位置が測定ポイントとして決定される。
【0109】
図12は、測定ポイントマップの一例を示す図である。
図8の例と同様に、
図11の混雑度マップに測定ポイントP1~P3が重ね合わされて測定ポイントマップが生成されている。本例において、混雑度1~4が設定された区画(混雑度A1~A4が表示された区画)を避けた位置に測定ポイントP1~P3が設定される。その他の条件および評価値の算出方法については、
図8の例と同様である。
【0110】
図10に戻り、端末30から測定ポイントマップが要求されると(S45)、測定ポイント推奨装置10は、端末30に対して、測定ポイントマップを送信する(S37)。端末30は、測定ポイント推奨装置10から測定ポイントマップを受信すると、
図12に示したような測定ポイントマップを表示する(S46)。
【0111】
以上説明したように、本変形例においても、計測ニーズの高いピーク時間帯であっても、混雑した場所を避けることができるため、測定者(ビル管理者)の作業によって在室者(従業員)の作業(通行)の妨げとなることがない。このように、建物に不慣れな測定者(管理者)であっても好適な位置および時間帯で空気環境を測定することができる。
【0112】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示により示される技術的範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
4,5 従業員、3 ビル管理者、10 測定ポイント推奨装置、20 位置監視装置、11,21,31 プロセッサ、12,22,32 ROM、13,23,33 RAM、14,24 HDD、15,25,36 通信IF、16,26,37 データバス、30 端末装置、34 入力部、35 ディスプレイ、45 天井、62,72 無線通信機、70 カメラ、80 入退室管理システム、81 管理装置、82 カードリーダ、91~94 画面、100 測定ポイント推奨システム、NW 通信網。