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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】設計支援装置及び設計支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/20 20200101AFI20241115BHJP
   G06F 111/06 20200101ALN20241115BHJP
【FI】
G06F30/20
G06F111:06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024543719
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(86)【国際出願番号】 JP2022032900
(87)【国際公開番号】W WO2024047828
(87)【国際公開日】2024-03-07
【審査請求日】2024-07-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 直
(72)【発明者】
【氏名】坂本 裕介
(72)【発明者】
【氏名】毬山 利貞
(72)【発明者】
【氏名】小山田 将亜
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-191887(JP,A)
【文献】特開2001-022815(JP,A)
【文献】特開2022-090249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/398
G06N 3/00 - 5/04
G06Q 10/04
G06Q 50/04
H02K 1/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機の設計データの候補として、複数の設計パラメータを含む複数の設計候補データを取得し、それぞれの設計候補データの第1の評価値を取得するデータ取得部と、
前記データ取得部により取得された複数の設計候補データの中から、前記第1の評価値が相対的に高い上位数個の設計候補データを第1の設計候補データとして選択し、それぞれの第1の設計候補データから、前記複数の設計パラメータを含む第2の設計候補データを生成するデータ生成部と、
それぞれの第1の設計候補データに含まれている複数の設計パラメータに基づいて、それぞれの第1の設計候補データの第2の評価値を算出し、それぞれの第2の設計候補データに含まれている複数の設計パラメータに基づいて、それぞれの第2の設計候補データの第2の評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値算出部により算出された第2の評価値に基づいて、前記複数の第1の設計候補データと前記複数の第2の設計候補データとの中から、前記電動機の設計データとして用いる設計候補データを選択する設計データ選択部と
前記データ取得部により取得されたそれぞれの設計候補データに含まれている複数の設計パラメータと、それぞれの設計パラメータの希求水準と、それぞれの設計パラメータの理想値とを用いて、それぞれの設計候補データの第1の評価値を算出し、それぞれの設計候補データの第1の評価値を前記データ取得部に出力する前処理部と
を備えた設計支援装置。
【請求項2】
前記前処理部は、
前記データ取得部により取得されたそれぞれの設計パラメータの希求水準の設定を受け付けるインタフェース部を備えていることを特徴とする請求項記載の設計支援装置。
【請求項3】
前記前処理部は、
前記データ取得部により取得されたそれぞれの設計候補データと、それぞれの設計候補データの第1の評価値とを表示するための表示データを生成して、前記表示データを表示装置に出力し、
前記インタフェース部は、
前記データ取得部により取得されたそれぞれの設計パラメータの希求水準の修正を受け付けることを特徴とする請求項記載の設計支援装置。
【請求項4】
前記データ生成部は、
それぞれの第2の設計候補データに含まれる複数の設計パラメータの中のいずれかの設計パラメータの値が、生成元の第1の設計候補データに含まれている、前記いずれかの設計パラメータに対応する設計パラメータの値と異なるように、それぞれの第2の設計候補データを生成することを特徴とする請求項1記載の設計支援装置。
【請求項5】
データ取得部が、電動機の設計データの候補として、複数の設計パラメータを含む複数の設計候補データを取得し、それぞれの設計候補データの第1の評価値を取得し、
データ生成部が、前記データ取得部により取得された複数の設計候補データの中から、前記第1の評価値が相対的に高い上位数個の設計候補データを第1の設計候補データとして選択し、それぞれの第1の設計候補データから、前記複数の設計パラメータを含む第2の設計候補データを生成し、
評価値算出部が、それぞれの第1の設計候補データに含まれている複数の設計パラメータに基づいて、それぞれの第1の設計候補データの第2の評価値を算出し、それぞれの第2の設計候補データに含まれている複数の設計パラメータに基づいて、それぞれの第2の設計候補データの第2の評価値を算出し、
設計データ選択部が、前記評価値算出部により算出された第2の評価値に基づいて、前記複数の第1の設計候補データと前記複数の第2の設計候補データとの中から、前記電動機の設計データとして用いる設計候補データを選択し、
前処理部が、前記データ取得部により取得されたそれぞれの設計候補データに含まれている複数の設計パラメータと、それぞれの設計パラメータの希求水準と、それぞれの設計パラメータの理想値とを用いて、それぞれの設計候補データの第1の評価値を算出し、それぞれの設計候補データの第1の評価値を前記データ取得部に出力する
設計支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、設計支援装置及び設計支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動機の設計データは、複数の設計パラメータを含んでいる。複数の設計パラメータとしては、例えば、磁束密度、巻線温度、始動電流、トルク特性、許容拘束時間、効率、又は、力率がある。複数の設計パラメータの中には、トレードオフの関係がある2つ以上の設計パラメータが含まれていることがある。トレードオフの関係がある2つ以上の設計パラメータは、互いに影響し合うため、電動機の設計者は、設計データを容易に設計できないことがある。
【0003】
電動機の設計を支援する設計支援装置(以下「従来の設計支援装置」という)がある。
従来の設計支援装置は、記憶部及び演算部を備えている。記憶部は、電動機の設計データの候補として、複数の設計候補データを記憶している。それぞれの設計候補データは、複数の設計パラメータを含んでいる。
演算部は、記憶部に記憶されているそれぞれの設計候補データに含まれている複数の設計パラメータに基づいて、それぞれの設計候補データの評価値を算出する。そして、演算部は、電動機の設計データとして、記憶部に記憶されている複数の設計候補データの中から、評価値が最も高い設計候補データを選択する。
ところで、特許文献1には、評価値を算出するための評価関数を決定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-74994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の設計支援装置の記憶部に記憶される設計候補データの個数は、有限である。このため、記憶部に記憶されている設計候補データよりも、評価値の高い設計候補データ(以下「高評価設計候補データ」という)が記憶部に記憶されないことが起こり得る。このような場合、演算部は、電動機の設計データとして、高評価設計候補データを選択することができないという課題があった。従来の設計支援装置が、仮に、特許文献1に開示されている技術を用いて、評価値を算出するための評価関数を決定したとしても、高評価設計候補データが記憶部に記憶されないことは、依然として、起こり得る。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、事前に用意されている設計候補データよりも、評価値の高い設計候補データがある場合に、評価値の高い設計候補データを電動機の設計データとして選択することができる設計支援装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る設計支援装置は、電動機の設計データの候補として、複数の設計パラメータを含む複数の設計候補データを取得し、それぞれの設計候補データの第1の評価値を取得するデータ取得部と、データ取得部により取得された複数の設計候補データの中から、第1の評価値が相対的に高い上位数個の設計候補データを第1の設計候補データとして選択し、それぞれの第1の設計候補データから、複数の設計パラメータを含む第2の設計候補データを生成するデータ生成部とを備えている。また、設計支援装置は、それぞれの第1の設計候補データに含まれている複数の設計パラメータに基づいて、それぞれの第1の設計候補データの第2の評価値を算出し、それぞれの第2の設計候補データに含まれている複数の設計パラメータに基づいて、それぞれの第2の設計候補データの第2の評価値を算出する評価値算出部と、評価値算出部により算出された第2の評価値に基づいて、複数の第1の設計候補データと複数の第2の設計候補データとの中から、電動機の設計データとして用いる設計候補データを選択する設計データ選択部と、データ取得部により取得されたそれぞれの設計候補データに含まれている複数の設計パラメータと、それぞれの設計パラメータの希求水準と、それぞれの設計パラメータの理想値とを用いて、それぞれの設計候補データの第1の評価値を算出し、それぞれの設計候補データの第1の評価値をデータ取得部に出力する前処理部とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、事前に用意されている設計候補データよりも、評価値の高い設計候補データがある場合に、評価値の高い設計候補データを電動機の設計データとして選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る設計支援装置2を含む設計支援システムを示す構成図である。
図2】実施の形態1に係る設計支援装置2のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図3】設計支援装置2が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合のコンピュータのハードウェア構成図である。
図4】設計支援装置2の処理手順である設計支援方法を示すフローチャートである。
図5】目的関数gの一例を示す説明図である。
図6図6Aは、N個の設計候補データx’~ x’のそれぞれに含まれているM個の設計パラメータg(y’)を示す説明図である。図6Bは、データ生成部13により選択された第1の設計候補データz1,h(h=1,・・・,H)に含まれているM個の設計パラメータg(y’)を示す説明図である。
図7】第2の設計候補データz2,jの生成例(1)を示す説明図である。
図8】第2の設計候補データz2,jの生成例(2)を示す説明図である。
図9】第2の設計候補データz2,jの生成例(3)を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示をより詳細に説明するために、本開示を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る設計支援装置2を含む設計支援システムを示す構成図である。
図2は、実施の形態1に係る設計支援装置2のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図1において、設計支援システムは、設計データ記憶部1、設計支援装置2及び表示装置3を備えている。
【0012】
設計データ記憶部1は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、あるいは、DVD(Digital Versatile Disc)によって実現される。
設計データ記憶部1は、電動機の設計データの候補として、複数の設計候補データを記憶している。それぞれの設計候補データは、複数の設計パラメータを含んでいる。設計パラメータは、電動機の設計諸元である。
設計データ記憶部1に記憶されている設計候補データは、例えば、過去に設計された電動機の設計データである。今回の設計対象の電動機と、過去に設計された電動機とは、設置される環境条件、又は、動作条件が異なる等の理由から、今回の設計対象の電動機の設計データとして、過去に設計された電動機の設計データをそのまま利用できないことがある。
【0013】
複数の設計パラメータとしては、例えば、磁束密度、巻線温度、始動電流、トルク特性、許容拘束時間、効率、又は、力率がある。
磁束密度、巻線温度及び始動電流のそれぞれは、上限値を上回ってはいけないという設計条件を有する設計パラメータである。トルク特性、許容拘束時間、効率及び力率のそれぞれは、下限値を下回ってはいけないという設計条件を有する設計パラメータである。
また、複数の設計パラメータの中には、トレードオフの関係がある2つ以上の設計パラメータが含まれていることがある。例えば、2つ以上の設計パラメータの中の或る設計パラメータの性能が高まるように設定されたときには、2つ以上の設計パラメータの中の他の設計パラメータの性能が低下してしまうような場合、或る設計パラメータと他の設計パラメータとは、トレードオフの関係にある。或る設計パラメータと他の設計パラメータとは、互いに影響し合うため、電動機の設計者は、設計データを容易に設計できないことがある。例えば、効率とトルク特性とは、トレードオフの関係がある。
【0014】
設計支援装置2は、電動機の設計を支援する装置である。
設計支援装置2は、データ取得部11、前処理部12、データ生成部13、評価値算出部14及び設計データ選択部15を備えている。
表示装置3は、設計支援装置2から出力された表示データに従って設計候補データ、第1の評価値及び電動機の設計データ等を図示せぬディスプレイに表示させる。
【0015】
データ取得部11は、例えば、図2に示すデータ取得回路21によって実現される。
データ取得部11は、設計データ変換部11aを備えている。
データ取得部11は、設計データ記憶部1から、複数の設計候補データを取得し、前処理部12から、それぞれの設計候補データの第1の評価値を取得する。
設計データ変換部11aは、それぞれの設計候補データに含まれているそれぞれの設計パラメータを目的関数に代入することで、それぞれの設計パラメータを変換する。
目的関数は、設計パラメータが代入されると、変換後の設計パラメータを出力する関数である。また、目的関数は、例えば、極小値を有する関数であって、上下限範囲内の上限値付近、又は、上下限範囲内の下限値付近で、第1の評価値が最小になる関数である。
データ取得部11は、複数の変換後の設計パラメータを含む複数の設計候補データを前処理部12及びデータ生成部13のそれぞれに出力し、それぞれの設計候補データの第1の評価値をデータ生成部13に出力する。
図1に示す設計支援装置2では、データ取得部11が、設計データ変換部11aを備えている。しかし、これは一例に過ぎず、設計データ変換部11aが、データ取得部11の外部に設けられていてもよい。
【0016】
前処理部12は、例えば、図2に示す前処理回路22によって実現される。
前処理部12は、インタフェース部12aを備えている。
インタフェース部12aは、例えば、マウス、キーボード、又は、タッチパネルによって実現されるマンマシンインタフェースである。
インタフェース部12aは、データ取得部11により取得されたそれぞれの設計パラメータの希求水準の設定を受け付ける処理のほか、希求水準の修正を受け付ける処理を行う。
また、インタフェース部12aは、それぞれの設計パラメータの理想値の設定を受け付ける処理を行う。
前処理部12は、データ取得部11により取得されたそれぞれの設計候補データに含まれている複数の設計パラメータと、それぞれの設計パラメータの希求水準と、それぞれの設計パラメータの理想値とを用いて、それぞれの設計候補データの第1の評価値を算出する。
前処理部12は、それぞれの設計候補データの第1の評価値をデータ取得部11に出力する。
また、前処理部12は、データ取得部11により取得されたそれぞれの設計候補データと、それぞれの設計候補データの第1の評価値とを表示するための表示データを生成し、表示データを表示装置3に出力する。
【0017】
図1に示す設計支援装置2では、前処理部12が、インタフェース部12aを備えている。しかし、これは一例に過ぎず、インタフェース部12aが、前処理部12の外部に設けられていてもよい。
また、図1に示す設計支援装置2では、前処理部12が、複数の変換後の設計パラメータを含むそれぞれの設計候補データを表示するための表示データを生成している。しかし、これは一例に過ぎず、前処理部12が、データ取得部11から、設計データ記憶部1に記憶されているそれぞれの設計候補データを取得し、それぞれの設計候補データを表示するための表示データを生成するようにしてもよい。
また、図1に示す設計支援装置2では、前処理部12が、それぞれの設計候補データに含まれている複数の変換後の設計パラメータと、それぞれの設計パラメータの希求水準と、それぞれの設計パラメータの理想値とを用いて、それぞれの設計候補データの第1の評価値を算出している。しかし、これは一例に過ぎず、前処理部12が、設計データ記憶部1に記憶されているそれぞれの設計候補データに含まれている複数の設計パラメータと、それぞれの設計パラメータの希求水準と、それぞれの設計パラメータの理想値とを用いて、それぞれの設計候補データの第1の評価値を算出するようにしてもよい。
【0018】
データ生成部13は、例えば、図2に示すデータ生成回路23によって実現される。
データ生成部13は、データ取得部11から、複数の変換後の設計パラメータを含む複数の設計候補データを取得する。
データ生成部13は、複数の設計候補データの中から、第1の評価値が相対的に高い上位数個の設計候補データを第1の設計候補データとして選択する。
図1に示す設計支援装置2では、データ生成部13が、データ取得部11から、複数の変換後の設計パラメータを含む複数の設計候補データを取得している。しかし、これは一例に過ぎず、データ生成部13が、データ取得部11から、設計データ記憶部1に記憶されている複数の設計候補データを取得するようにしてもよい。
データ生成部13は、それぞれの第1の設計候補データから、複数の設計パラメータを含む第2の設計候補データを生成する。
具体的には、データ生成部13は、それぞれの第2の設計候補データに含まれる複数の設計パラメータの中のいずれかの設計パラメータの値が、生成元の第1の設計候補データに含まれている、いずれかの設計パラメータに対応する設計パラメータの値と異なるように、それぞれの第2の設計候補データを生成する。
データ生成部13は、それぞれの第1の設計候補データと、それぞれの第2の設計候補データとを評価値算出部14に出力する。
【0019】
評価値算出部14は、例えば、図2に示す評価値算出回路24によって実現される。
評価値算出部14は、データ生成部13により選択されたそれぞれの第1の設計候補データに含まれている複数の設計パラメータに基づいて、それぞれの第1の設計候補データの第2の評価値を算出する。
評価値算出部14は、データ生成部13により生成されたそれぞれの第2の設計候補データに含まれている複数の設計パラメータに基づいて、それぞれの第2の設計候補データの第2の評価値を算出する。
評価値算出部14は、それぞれの第1の設計候補データと、それぞれの第1の設計候補データの第2の評価値と、それぞれの第2の設計候補データと、それぞれの第2の設計候補データの第2の評価値とを設計データ選択部15に出力する。
【0020】
設計データ選択部15は、例えば、図2に示す設計データ選択回路25によって実現される。
設計データ選択部15は、評価値算出部14により算出された第2の評価値に基づいて、複数の第1の設計候補データと複数の第2の設計候補データとの中で、電動機の設計データとして用いる設計候補データを選択する。
設計データ選択部15は、電動機の設計データを例えば図示せぬ設計データ管理装置に出力する。
また、設計データ選択部15は、電動機の設計データを表示するための表示データを生成し、表示データを表示装置3に出力する。
【0021】
図1では、設計支援装置2の構成要素であるデータ取得部11、前処理部12、データ生成部13、評価値算出部14及び設計データ選択部15のそれぞれが、図2に示すような専用のハードウェアによって実現されるものを想定している。即ち、設計支援装置2が、データ取得回路21、前処理回路22、データ生成回路23、評価値算出回路24及び設計データ選択回路25によって実現されるものを想定している。
データ取得回路21、前処理回路22、データ生成回路23、評価値算出回路24及び設計データ選択回路25のそれぞれは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらを組み合わせたものが該当する。
【0022】
設計支援装置2の構成要素は、専用のハードウェアによって実現されるものに限るものではなく、設計支援装置2が、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現されるものであってもよい。
ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして、コンピュータのメモリに格納される。コンピュータは、プログラムを実行するハードウェアを意味し、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)が該当する。
【0023】
図3は、設計支援装置2が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合のコンピュータのハードウェア構成図である。
設計支援装置2が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合、データ取得部11、前処理部12、データ生成部13、評価値算出部14及び設計データ選択部15におけるそれぞれの処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムがメモリ31に格納される。そして、コンピュータのプロセッサ32がメモリ31に格納されているプログラムを実行する。
【0024】
また、図2では、設計支援装置2の構成要素のそれぞれが専用のハードウェアによって実現される例を示し、図3では、設計支援装置2がソフトウェア又はファームウェア等によって実現される例を示している。しかし、これは一例に過ぎず、設計支援装置2における一部の構成要素が専用のハードウェアによって実現され、残りの構成要素がソフトウェア又はファームウェア等によって実現されるものであってもよい。
【0025】
次に、図1に示す設計支援装置2の動作について説明する。
図4は、設計支援装置2の処理手順である設計支援方法を示すフローチャートである。
データ取得部11は、設計データ記憶部1から、電動機の設計データの候補として、Nの設計候補データxを取得する(図4のステップST1)。n=1,・・・,Nであり、Nは、2以上の整数である。
設計候補データxは、設計パラメータyを含んでいる。m=1,・・・,Mであり、Mは、2以上の整数である。
データ取得部11の設計データ変換部11aは、例えば、図5に示すような目的関数gを記憶している。
【0026】
図5は、目的関数gの一例を示す説明図である。
図5において、横軸は、設計パラメータyであり、縦軸は、目的関数gの値を示すg(y’)である。y’は、設計パラメータyが正規化されたものである。
目的関数gは、図5に示すように、極小値を有する関数である。図5の例では、正規化後の設計パラメータy’が1.0に近いところに、極小値が存在している。ただし、図5に示す目的関数gの波形は、デフォルメされており、実際の波形と完全には一致していない。
図5の例では、目的関数gの値である変換後の設計パラメータg(y’)の上下限範囲は、0.0~1.0である。目的関数gは、上下限範囲内の上限値付近、又は、上下限範囲内の下限値付近で、第1の評価値Vが最小になる関数である。
【0027】
設計データ変換部11aは、設計候補データxに含まれている設計パラメータyが、上限値yUP,mを上回ってはいけないという設計条件を有する設計パラメータであれば、以下の式(1)に示すように、設計パラメータyを正規化する。上限値yUP,mを上回ってはいけないという設計条件を有する設計パラメータは、例えば、磁束密度、巻線温度、又は、始動電流である。
設計データ変換部11aは、設計候補データxに含まれている設計パラメータyが、下限値yLO,mを下回ってはいけないという設計条件を有する設計パラメータであれば、以下の式(2)に示すように、設計パラメータyを正規化する。下限値yLO,mを下回ってはいけない設計パラメータは、例えば、トルク特性、又は、許容拘束時間である。
式(1)に示す設計パラメータyの正規化では、y=yUP,mであれば、正規化後の設計パラメータy’が“1”、y=yLO,mであれば、正規化後の設計パラメータy’が“0”となるように行われる。
また、式(2)に示す設計パラメータyの正規化では、y=yUP,mであれば、正規化後の設計パラメータy’が“0”、y=yLO,mであれば、正規化後の設計パラメータy’が“1”となるように行われる。
【0028】

【0029】
設計データ変換部11aは、以下の式(3)に示すように、設計候補データxに含まれている正規化後の設計パラメータy’を目的関数gに代入することで、正規化後の設計パラメータy’を変換し、変換後の設計パラメータg(y’)を得る。
【0030】

式(3)において、γは、閾値である。
LO,m<y’<yUP,mであるときは、0<g(y’)<1、y’がyUP,mとほぼ等しいときは、g(y’)はほぼ1.0になる。また、y’>yUP,mであるときは、g(y’)が無限大になる。
【0031】
データ取得部11は、設計データ変換部11aによる変換後の設計パラメータg(y’)~g(y’)を含む設計候補データx’(n=1,・・・,N)を前処理部12に出力する。
【0032】
前処理部12は、データ取得部11から、設計候補データx’(n=1,・・・,N)を取得する。
前処理部12のインタフェース部12aは、設計候補データx’に含まれている正規化後の設計パラメータy’(m=1,・・・,M)の希求水準f aspの設定を受け付ける。
具体的には、例えば、電動機の設計者が、インタフェース部12aを用いて、設計パラメータy’の希求水準f aspを設定する操作を行えば、インタフェース部12aが、希求水準f aspの設定を受け付ける。希求水準f aspは、設計者が所望する水準を示すものであり、理想値f idealよりも低い水準である。電動機の設計者は、例えば、満足化トレードオフ法等の希求水準法を用いることで、M個の希求水準f asp~f aspを求めることが可能である。
また、インタフェース部12aは、設計候補データx’に含まれている正規化後の設計パラメータy’の理想値f idealの設定を受け付ける。
具体的には、例えば、電動機の設計者が、インタフェース部12aを用いて、設計パラメータy’の理想値f idealを設定する操作を行えば、インタフェース部12aが、理想値f idealの設定を受け付ける。
【0033】
前処理部12は、例えば、以下の式(4)に示す評価関数に、変換後の設計パラメータg(y’)と、希求水準f aspと、理想値f idealとを代入することで、設計候補データx’の第1の評価値Vを算出する。
【0034】

式(4)において、maxは、m=1,・・・,Mの中で、( )内の値が最大になるmを探索し、その最大値をVとする数学記号である。
【0035】
図1に示す設計支援装置2では、前処理部12が、式(4)に示す評価関数を用いて、設計候補データx’の第1の評価値Vを算出している。しかし、これは一例に過ぎず、前処理部12が、式(4)以外の評価関数を用いて、第1の評価値Vを算出するものであってもよい。式(4)以外の評価関数は、例えば、電動機の設置条件、又は、動作条件を含むものであってもよい。
【0036】
前処理部12は、例えば、第1の評価値Vが高い順に、N個の設計候補データx’~ x’をソートし、ソート後の設計候補データx’~ x’を表示するための表示データを生成し、表示データを表示装置3に出力する。
表示装置3は、ソート後の設計候補データx’~ x’を図示せぬディスプレイに表示させる。
例えば、電動機の設計者は、ディスプレイに表示されているソート後の設計候補データx’~ x’を確認する。
電動機の設計者は、N個の設計候補データx’~ x’が意図通りにソートされていなければ、インタフェース部12aを用いて、設計パラメータy’の希求水準f aspを修正する操作を行うことができる。
インタフェース部12aが、希求水準f aspの修正を受け付ければ、前処理部12は、修正後の希求水準f aspを用いて、再度、設計候補データx’の第1の評価値Vを算出する。
N個の設計候補データx’~ x’が設計者の意図通りにソートされれば、前処理部12は、設計候補データx’の第1の評価値V(n=1,・・・,N)をデータ取得部11に出力する。
【0037】
データ取得部11は、前処理部12から、設計候補データx’の第1の評価値V(n=1,・・・,N)を取得する(図4のステップST2)。
データ取得部11は、設計候補データx’と、第1の評価値Vとをデータ生成部13に出力する。
【0038】
データ生成部13は、データ取得部11から、設計候補データx’(n=1,・・・,N)と、第1の評価値Vとを取得する。
データ生成部13は、N個の設計候補データx’~ x’の中から、第1の評価値Vが相対的に高い上位H個の設計候補データを第1の設計候補データz1,hとして選択する(図4のステップST3)。h=1,・・・,Hである。Hは、1以上の整数である。
図6Aは、N個の設計候補データx’~ x’のそれぞれに含まれているM個の設計パラメータg(y’)を示す説明図である。図6Aの例では、N=5、M=2である。
図6Bは、データ生成部13により選択された第1の設計候補データz1,h(h=1,・・・,H)に含まれているM個の設計パラメータg(y’)を示す説明図である。図6の例では、H=3、M=2である。
【0039】
図6A及び図6Bにおいて、横軸は設計パラメータg(y’)、縦軸は、横軸は設計パラメータg(y’)である。●は、設計候補データx’(n=1,・・・,5)、○は、第1の設計候補データz1,h(h=1,2,3)を示している。
丸数字は、第1の評価値Vが高い順番を示している。丸数字=1の評価値は、第1の設計候補データz1,1の評価値Vであり、第1の評価値V~Vの中で、最も高い。
丸数字=2の評価値は、第1の設計候補データz1,2の評価値Vであり、第1の評価値V~Vの中で、2番目に高い。丸数字=3の評価値は、第1の設計候補データz1,3の評価値Vであり、第1の評価値V~Vの中で、3番目に高い。
第1の評価値Vが高い第1の設計候補データz1,hの周辺に存在している設計候補データの評価値は、第1の設計候補データz1,hの遠くに存在している設計候補データの評価値よりも高いことが多い。
【0040】
データ生成部13は、第1の設計候補データz1,hから、M個の設計パラメータを含む第2の設計候補データz2,j(j=1,・・・,J)を生成する(図4のステップST4)。Jは、1以上の整数である。
具体的には、データ生成部13は、第2の設計候補データz2,jに含まれるM個の設計パラメータg(y”)~g(y”)の中のいずれかの設計パラメータg(y”)の値が、生成元の第1の設計候補データz1,hに含まれている設計パラメータg(y’)の値と異なるように、第2の設計候補データz2,jを生成する。
データ生成部13は、第1の設計候補データz1,hと第2の設計候補データz2,jとを評価値算出部14に出力する。
以下、データ生成部13による第2の設計候補データz2,jの具体的な生成例を説明する。
【0041】
[生成例(1)]
H=3である場合、データ生成部13は、図7に示すように、第1の設計候補データz1,1、第1の設計候補データz1,2及び第1の設計候補データz1,3によって囲まれる領域を設定する。
図7は、第2の設計候補データz2,jの生成例(1)を示す説明図である。
図7において、横軸は、第1の設計候補データz1,hに含まれている設計パラメータg(y’)及び第2の設計候補データz2,jに含まれている設計パラメータg(y”)である。縦軸は、第1の設計候補データz1,hに含まれている設計パラメータg(y’)及び第2の設計候補データz2,jに含まれている設計パラメータg(y”)である。
黒い太線は、第1の設計候補データz1,1、第1の設計候補データz1,2及び第1の設計候補データz1,3によって囲まれている矩形の領域を示している。ここでは、黒い太線が、矩形の領域を示している。しかし、これは一例に過ぎず、例えば、黒い太線は、第1の設計候補データz1,1、第1の設計候補データz1,2及び第1の設計候補データz1,3のそれぞれが頂点に存在する三角形の領域を示すものであってもよい。したがって、データ生成部13は、データ生成部13により選択されたH個の第1の設計候補データz1,1~z1,Hのそれぞれが頂点に存在するH角形の領域を設定するものであってもよい。
領域内に存在しているそれぞれの△は、第1の設計候補データz1,hに含まれているいずれかの設計パラメータg(y’)と異なる設計パラメータg(y”)を含む設計候補データである。図7の例では、領域内に13個の△が存在している。
【0042】
図7において、例えば、第1の設計候補データz1,1の左隣りに存在している△は、第1の設計候補データz1,1に含まれている設計パラメータg(y’)と同じ値の設計パラメータg(y”)を含んでいるものの、第1の設計候補データz1,1に含まれている設計パラメータg(y’)と同じ値の設計パラメータg(y”)を含んでいない。そして、当該△は、設計パラメータg(y’)よりも、例えば設計パラメータg(y’)の分解能分だけ、値が小さい設計パラメータg(y”)を含んでいる。
例えば、第1の設計候補データz1,2の上隣りに存在している△は、第1の設計候補データz1,2に含まれている設計パラメータg(y’)と同じ値の設計パラメータg(y”)を含んでいるものの、第1の設計候補データz1,2に含まれている設計パラメータg(y’)と同じ値の設計パラメータg(y”)を含んでいない。そして、当該△は、設計パラメータg(y’)よりも、例えば設計パラメータg(y’)の分解能分だけ、値が大きい設計パラメータg(y”)を含んでいる。
【0043】
データ生成部13は、領域内に存在している13個の△の全てを第2の設計候補データz2,j(j=1,・・・,J)として生成する。
ただし、第2の設計候補データz2,jの上限個数が決められている場合、データ生成部13は、13個の△の中から、第1の評価値Vが相対的に高い上限個数分の△を選択し、選択した上限個数分の△のそれぞれを第2の設計候補データz2,j(j=1,・・・,J)として生成する。この場合のJは、第2の設計候補データz2,jの上限個数である。
それぞれの△の第1の評価値Vについては、例えば、データ生成部13が、前処理部12と同様に、式(4)を用いて算出する。この場合、データ生成部13は、前処理部12から、希求水準f aspと、理想値f idealとを取得している必要がある。
【0044】
[生成例(2)]
データ生成部13は、図8に示すように、第1の設計候補データz1,h(h=1,・・・,H)のそれぞれを囲む領域を設定する。
図8は、第2の設計候補データz2,jの生成例(2)を示す説明図である。
図8において、横軸は、第1の設計候補データz1,hに含まれている設計パラメータg(y’)及び第2の設計候補データz2,jに含まれている設計パラメータg(y”)である。縦軸は、第1の設計候補データz1,hに含まれている設計パラメータg(y’)及び第2の設計候補データz2,jに含まれている設計パラメータg(y”)である。
領域(1)は、第1の設計候補データz1,1を囲んでいる領域であり、領域(2)は、第1の設計候補データz1,2を囲んでいる領域である。また、領域(3)は、第1の設計候補データz1,3を囲んでいる領域である。
図8の例では、領域(1)~(3)のそれぞれの大きさは、互いに同じであり、領域(1)~(3)のそれぞれは、8個の△を含んでいる。
しかし、これは一例に過ぎず、領域(1)~(3)のそれぞれの大きさが、互いに異なっていてもよい。また、領域(1)~(3)におけるそれぞれの形状は、四角形に限るものではなく、四角形以外の多角形であってもよい。
【0045】
データ生成部13は、領域(1)~(3)内のそれぞれに存在している8個の△の全てを第2の設計候補データz2,j(j=1,・・・,J)として生成する。
ただし、第2の設計候補データz2,jの上限個数が決められている場合、データ生成部13は、23(=8×3-1)個の△の中から、第1の評価値Vが相対的に高い上限個数分の△を選択し、選択した上限個数分の△のそれぞれを第2の設計候補データz2,j(j=1,・・・,J)として生成する。領域(3)の左上の頂点に存在している△は、領域(1)の右下の頂点に存在している△と重複している。このため、ここでは、24(=8×3)個の△の中ではなく、23(=8×3-1)個の△の中から、第1の評価値Vが相対的に高い上限個数分の△が選択される。この場合も、それぞれの△の第1の評価値Vについては、例えば、データ生成部13が、前処理部12と同様に、式(4)を用いて算出する。
また、第2の設計候補データz2,jの上限個数が決められている場合、データ生成部13は、第1の評価値V(n=1,2,3)に基づいて、領域(1)~(3)内のそれぞれから選択可能な第2の設計候補データの個数Sel(n)を算出する。
例えば、上限個数がLであり、0≦V≦1.0であれば、個数Sel(n)は、以下の式(5)のように算出される。
Sel(n)=L×V/1.0 (5)
【0046】
例えば、L=10、V=0.5、V=0.3、V=0.2であれば、データ生成部13は、領域(1)内から選択可能な第2の設計候補データの個数Sel(1)として、“5”を算出する。また、データ生成部13は、領域(2)内から選択可能な第2の設計候補データの個数Sel(2)として、“3”を算出し、領域(3)内から選択可能な第2の設計候補データの個数Sel(3)として、“2”を算出する。
この例では、データ生成部13は、領域(1)内に存在している8個の△の中で、第1の評価値Vが相対的に高いSel(1)(=5個)の△のそれぞれを第2の設計候補データz2,jとして生成する。
また、データ生成部13は、領域(2)内に存在している8個の△の中で、第1の評価値Vが相対的に高いSel(2)(=3個)の△のそれぞれを第2の設計候補データz2,jとして生成する。
また、データ生成部13は、領域(3)内に存在している8個の△の中で、第1の評価値Vが相対的に高いSel(3)(=2個)の△のそれぞれを第2の設計候補データz2,jとして生成する。
【0047】
[生成例(3)]
生成例(2)では、データ生成部13が、第1の設計候補データz1,h(h=1,・・・,H)のそれぞれが中心に存在するような領域を設定している。
しかし、これは一例に過ぎず、データ生成部13は、図9に示すように、第1の設計候補データz1,h(h=1,・・・,H)のそれぞれが領域の境界付近に存在するような領域(1)~(3)を設定してもよい。領域の設定以外の処理については、生成例(3)は、生成例(2)と同様である。
図9は、第2の設計候補データz2,jの生成例(3)を示す説明図である。
図9において、横軸は、第1の設計候補データz1,hに含まれている設計パラメータg(y’)及び第2の設計候補データz2,jに含まれている設計パラメータg(y”)である。縦軸は、第1の設計候補データz1,hに含まれている設計パラメータg(y’)及び第2の設計候補データz2,jに含まれている設計パラメータg(y”)である。
【0048】
評価値算出部14は、データ生成部13から、第1の設計候補データz1,h(h=1,・・・,H)と第2の設計候補データz2,j(j=1,・・・,J)とを取得する。
評価値算出部14は、以下の式(6)に示すように、第1の設計候補データz1,hに含まれている正規化後の設計パラメータy’(m=1,・・・,M)に基づいて、第1の設計候補データz1,hの第2の評価値E1,hを算出する(図4のステップST5)。
【0049】

式(6)において、sumは、m=1,・・・,Mのそれぞれにおける( )内の値の合計値をE1,hとする数学記号である。
【0050】
評価値算出部14は、以下の式(7)に示すように、第2の設計候補データz2,jに含まれている設計パラメータy”(m=1,・・・,M)に基づいて、第2の設計候補データz2,jの第2の評価値E2,jを算出する(図4のステップST5)。
【0051】

【0052】
評価値算出部14は、第1の設計候補データz1,h(h=1,・・・,H)と、第1の設計候補データz1,hの第2の評価値E1,hと、第2の設計候補データz2,j(j=1,・・・,J)と、第2の設計候補データz2,jの第2の評価値E2,jとを設計データ選択部15に出力する。
【0053】
設計データ選択部15は、評価値算出部14から、第1の設計候補データz1,h(h=1,・・・,H)と、第1の設計候補データz1,hの第2の評価値E1,hと、第2の設計候補データz2,j(j=1,・・・,J)と、第2の設計候補データz2,jの第2の評価値E2,jとを取得する。
設計データ選択部15は、第2の評価値E1,h(h=1,・・・,H)と第2の評価値E2,j(j=1,・・・,J)とに基づいて、第1の設計候補データz1,1~z1,Hと第2の設計候補データz2,1~z2,Jとの中で、電動機の設計データとして用いる設計候補データを選択する(図4のステップST6)。
具体的には、設計データ選択部15は、第2の評価値E1,1~E1,H,E2,1~E2,Jを互いに比較することで、最も高い第2の評価値を特定する。
そして、設計データ選択部15は、電動機の設計データとして、第1の設計候補データz1,1~z1,Hと第2の設計候補データz2,1~z2,Jとの中から、最も高い第2の評価値に対応する設計候補データを選択する。
【0054】
設計データ選択部15は、電動機の設計データを例えば図示せぬ設計データ管理装置に出力する。
また、設計データ選択部15は、電動機の設計データを表示するための表示データを生成し、表示データを表示装置3に出力する。
【0055】
以上の実施の形態1では、電動機の設計データの候補として、複数の設計パラメータを含む複数の設計候補データを取得し、それぞれの設計候補データの第1の評価値を取得するデータ取得部11と、データ取得部11により取得された複数の設計候補データの中から、第1の評価値が相対的に高い上位数個の設計候補データを第1の設計候補データとして選択し、それぞれの第1の設計候補データから、複数の設計パラメータを含む第2の設計候補データを生成するデータ生成部13とを備えるように、設計支援装置2を構成した。また、設計支援装置2は、それぞれの第1の設計候補データに含まれている複数の設計パラメータに基づいて、それぞれの第1の設計候補データの第2の評価値を算出し、それぞれの第2の設計候補データに含まれている複数の設計パラメータに基づいて、それぞれの第2の設計候補データの第2の評価値を算出する評価値算出部14と、評価値算出部14により算出された第2の評価値に基づいて、複数の第1の設計候補データと複数の第2の設計候補データとの中から、電動機の設計データとして用いる設計候補データを選択する設計データ選択部15とを備えている。したがって、設計支援装置2は、事前に用意されている設計候補データよりも、評価値の高い設計候補データがある場合に、評価値の高い設計候補データを電動機の設計データとして選択することができる。
【0056】
また、実施の形態1では、データ取得部11により取得されたそれぞれの設計候補データに含まれている複数の設計パラメータと、それぞれの設計パラメータの希求水準と、それぞれの設計パラメータの理想値とを用いて、それぞれの設計候補データの第1の評価値を算出し、それぞれの設計候補データの第1の評価値をデータ取得部11に出力する前処理部12を備えるように、設計支援装置2を構成した。したがって、設計支援装置2は、データ生成部13により選択される上位数個の設計候補データが、設計者の所望する性能を実現できる可能性の高い設計パラメータを含む設計候補データである確率が向上する。また、データ生成部13により生成される第2の設計候補データが、設計者の所望する性能を実現できる可能性の高い設計パラメータを含む設計候補データである確率が向上する。
【0057】
実施の形態1では、前処理部12が、データ取得部11により取得されたそれぞれの設計パラメータの希求水準の設定を受け付けるインタフェース部12aを備えるように、設計支援装置2を構成した。したがって、設計支援装置2は、設計者が所望の希求水準を設定することができる。
【0058】
また、実施の形態1では、前処理部12が、データ取得部11により取得されたそれぞれの設計候補データと、それぞれの設計候補データの第1の評価値とを表示するための表示データを生成して、表示データを表示装置3に出力する。そして、インタフェース部12aが、データ取得部11により取得されたそれぞれの設計パラメータの希求水準の修正を受け付けるように、設計支援装置2を構成した。したがって、設計支援装置2は、例えば、設計者が、所望の設計候補データを第1の設計候補データとして選択することができる。
【0059】
図1に示す設計支援装置2では、設計データ変換部11aが、上下限範囲内の上限値付近、又は、上下限範囲内の下限値付近で、第1の評価値Vが最小になる目的関数gを用いて、正規化後の設計パラメータy’を変換している。
しかし、これは一例に過ぎず、正規化後の設計パラメータy’が、下限値よりも大きければ、値が高いほど良好な設計パラメータである場合、設計データ変換部11aは、以下の式(8)に示すような目的関数gを用いて、正規化後の設計パラメータy’を変換するようにしてもよい。値が高いほど良好な設計パラメータとしては、例えば、効率、又は、力率がある。
【0060】

式(8)において、y’>yLO,mであるときは、g(y’)<1になる。
【0061】
図1に示す設計支援装置2では、評価値算出部14が、式(6)に従って、第1の設計候補データz1,hの第2の評価値E1,hを算出し、式(7)に従って、第2の設計候補データz2,jの第2の評価値E2,jを算出している。
しかし、これは一例に過ぎず、評価値算出部14は、以下の式(9)に従って、第1の設計候補データz1,hの第2の評価値E1,hを算出し、以下の式(10)に従って、第2の設計候補データz2,jの第2の評価値E2,jを算出するようにしてもよい。
【0062】

【0063】
なお、本開示は、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本開示は、設計支援装置及び設計支援方法に適している。
【符号の説明】
【0065】
1 設計データ記憶部、2 設計支援装置、3 表示装置、11 データ取得部、11a 設計データ変換部、12 前処理部、12a インタフェース部、13 データ生成部、14 評価値算出部、15 設計データ選択部、21 データ取得回路、22 前処理回路、23 データ生成回路、24 評価値算出回路、25 設計データ選択回路、31 メモリ、32 プロセッサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9