(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】平衡線路-不平衡線路変換器及びアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01P 5/10 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
H01P5/10 C
(21)【出願番号】P 2024555039
(86)(22)【出願日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 JP2023000896
【審査請求日】2024-09-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 拓真
(72)【発明者】
【氏名】大島 毅
(72)【発明者】
【氏名】湯川 秀憲
(72)【発明者】
【氏名】深沢 徹
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-204381(JP,A)
【文献】特開平10-335911(JP,A)
【文献】AHN, Hee-ran,Novel Generic Asymmetric and Symmetric Equivalent Circuits of 90°Coupled Transmission-Line Sections Applicable to Marchand Baluns,IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques,Volume 65, Issue 3,2017年01月04日,Pages 746-760
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部が第1の信号端部とされ、他端部が短絡される第1の伝送線路、及び一端部が第2の信号端部とされ、他端部が短絡される第2の伝送線路を有する平衡側線路と、
一端部が第3の信号端部とされ、他端部が開放端とされ、前記第1の伝送線路と第1の結合線路を構成する第1の伝送線路部、及び前記第2の伝送線路と第2の結合線路を構成する第2の伝送線路部を有する不平衡側線路と、
前記第2の伝送線路の一端部に接続された第1のオープンスタブと、
前記不平衡側線路に接続され、前記第1のオープンスタブと第3の結合線路を構成する第2のオープンスタブと
を備える平衡線路-不平衡線路変換器。
【請求項2】
第1の導体層、及び前記第1の導体層と異なる層である第2の導体層を有する多層の誘電体基板を備え、
前記平衡側線路及び前記第1のオープンスタブは前記第1の導体層に形成され、
前記不平衡側線路及び前記第2のオープンスタブは前記第2の導体層に形成される、
請求項1に記載の平衡線路-不平衡線路変換器。
【請求項3】
前記不平衡側線路の第1の伝送線路部は前記平衡側線路の第1の伝送線路に層間方向において対向配置され、
前記不平衡側線路の第2の伝送線路部は前記平衡側線路の第2の伝送線路に層間方向において対向配置され、
前記不平衡側線路は前記平衡側線路の第1の伝送線路と第2の伝送線路の間のギャップに層間方向において対向して配置される接続線路部を有し、
前記第2のオープンスタブは前記不平衡側線路の接続線路部に接続される、
請求項2に記載の平衡線路-不平衡線路変換器。
【請求項4】
第1の導体層、前記第1の導体層と異なる層である第2の導体層、及び前記第1の導体層及び第2の導体層と異なる層である接地層を有する多層の誘電体基板を備え、
前記第1の伝送線路が前記第1の導体層に形成され、前記第1の伝送線路の一端部が前記第1の導体層に形成された第1の信号線に接続され、前記第1の伝送線路の他端部が前記接地層に接続され、前記第1の伝送線路が外方に延在する第1の線路部と前記第1の線路部から直角に屈曲されて延在する第2の線路部と前記第2の線路部から内方に直角に屈曲されて延在する第3の線路部とを有し、
前記第2の伝送線路が前記第1の導体層に形成され、前記第2の伝送線路の一端部が前記第1の導体層に形成された第2の信号線に接続され、前記第2の伝送線路の他端部が前記接地層に接続され、前記第2の伝送線路の一端部の端面が前記第1の伝送線路の一端部の端面にギャップを介して対向配置され、前記第2の伝送線路が外方に延在する第1の線路部と前記第1の線路部から直角に屈曲されて延在する第2の線路部と前記第2の線路部から内方に直角に屈曲されて延在する第3の線路部とを有し、
前記不平衡側線路が前記第2の導体層に形成され、前記不平衡側線路の一端部が前記第2の導体層に形成された第3の信号線に接続され、前記不平衡側線路の一端部の端面が前記不平衡側線路の他端部の端面と対向配置され、前記不平衡側線路の一端部及び他端部が前記第1の伝送線路の他端部及び前記第2の伝送線路の他端部と対向した位置に配置され、 前記不平衡側線路の第1の伝送線路部の一端部が前記不平衡側線路の一端部であり、前記不平衡側線路の第2の伝送線路部の他端部が前記不平衡側線路の他端部であり、前記不平衡側線路の第1の伝送線路部と第2の伝送線路部とは連続的に形成され、前記不平衡側線路の第1の伝送線路部が前記第1の伝送線路の第1の線路部と第2の線路部と第3の線路部それぞれと対向配置される第1の線路部と第2の線路部と第3の線路部を有し、前記不平衡側線路の第2の伝送線路部が前記第2の伝送線路の第1の線路部と第2の線路部と第3の線路部それぞれと対向配置される第1の線路部と第2の線路部と第3の線路部を有し、
前記第1のオープンスタブが前記第1の導体層に形成され、前記第2の伝送線路の一端部から内側に延在され、
前記第2のオープンスタブが前記第2の導体層に形成され、前記不平衡側線路の一端部と対向する位置に配置される前記不平衡側線路の線路部から前記第1のオープンスタブと対向して前記内側に延在される、
請求項1に記載の平衡線路-不平衡線路変換器。
【請求項5】
前記第1のオープンスタブが、前記第2の伝送線路の一端部から内方に延在する延伸部と前記延伸部から内側に屈曲されて延在し、前記第2のオープンスタブに対向する結合部を有する請求項4に記載の平衡線路-不平衡線路変換器。
【請求項6】
前記第1のオープンスタブにおいて、前記延伸部と前記結合部との屈曲部の外側に切り欠きを有する請求項5に記載の平衡線路-不平衡線路変換器。
【請求項7】
前記第1のオープンスタブにおいて、前記延伸部と前記結合部との屈曲部の外側に円弧上の切り欠きを有する請求項5に記載の平衡線路-不平衡線路変換器。
【請求項8】
前記第1のオープンスタブが、前記第2の伝送線路の一端部から内側に延在し、前記第2のオープンスタブに対向する結合部を有する請求項4に記載の平衡線路-不平衡線路変換器。
【請求項9】
前記第1のオープンスタブ及び前記第2のオープンスタブそれぞれの長さは、伝送される信号の中心周波数における波長の1/30波長から1/4波長の長さである請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の平衡線路-不平衡線路変換器。
【請求項10】
第1の導体層、前記第1の導体層と異なる層である第2の導体層、及び前記第1の導体層及び第2の導体層と異なる層である接地層を有する多層の誘電体基板を備え、
前記第1の伝送線路が前記第1の導体層に直線状に形成され、前記第1の伝送線路の一端部が前記第1の導体層に形成された第1の信号線に接続され、前記第1の伝送線路の他端部が前記接地層に接続され、
前記第2の伝送線路が前記第1の導体層に直線状に形成され、前記第2の伝送線路の一端部が前記第1の導体層に形成された第2の信号線に接続され、前記第2の伝送線路の他端部が前記接地層に接続され、前記第2の伝送線路の一端部の端面が前記第1の伝送線路の一端部の端面にギャップを介して対向し、前記第2の伝送線路と前記第1の伝送線路が一直線上に配置され、
前記不平衡側線路が前記第2の導体層に直線状に形成され、前記不平衡側線路の一端部が前記第2の導体層に形成された第3の信号線に接続され、前記不平衡側線路の一端部及び他端部が前記第1の伝送線路の他端部及び前記第2の伝送線路の他端部と対向した位置に配置され、前記不平衡側線路の第1の伝送線路部の一端部が前記不平衡側線路の一端部であり、前記不平衡側線路の第2の伝送線路部の他端部が前記不平衡側線路の他端部であり、前記不平衡側線路の第1の伝送線路部と第2の伝送線路部とは連続的に形成され、前記不平衡側線路の第1の伝送線路部が前記第1の伝送線路と対向配置され、前記不平衡側線路の第2の伝送線路部が前記第2の伝送線路と対向配置され、
前記第1のオープンスタブが前記第1の導体層に形成され、前記第2の伝送線路の一端部から前記第2の伝送線路と直交する方向に延在され、
前記第2のオープンスタブが前記第2の導体層に形成され、前記不平衡側線路の中央部に前記第1のオープンスタブと対向して前記不平衡側線路と直交する方向に延在される、
請求項1に記載の平衡線路-不平衡線路変換器。
【請求項11】
前記第1のオープンスタブが、前記第1の伝送線路の一端部の端面と前記第2の伝送線路の一端部の端面の間のギャップを埋めるように前記第2の伝送線路の一端部の端面から延在する延伸部と前記延伸部から直角に屈曲されて延在し、前記第2のオープンスタブに対向する結合部を有する請求項10に記載の平衡線路-不平衡線路変換器。
【請求項12】
前記第1のオープンスタブにおいて、前記延伸部と前記結合部との屈曲部の外側に切り欠きを有する請求項11に記載の平衡線路-不平衡線路変換器。
【請求項13】
前記第1のオープンスタブにおいて、前記延伸部と前記結合部との屈曲部の外側に円弧上の切り欠きを有する請求項11に記載の平衡線路-不平衡線路変換器。
【請求項14】
前記第1のオープンスタブが、前記第2の伝送線路の一端部から直角に屈曲されて延在し、前記第2のオープンスタブに対向する結合部を有する請求項10に記載の平衡線路-不平衡線路変換器。
【請求項15】
前記第1のオープンスタブ及び前記第2のオープンスタブそれぞれの長さは、伝送される信号の中心周波数における波長の1/30波長から1/4波長の長さである請求項10から請求項14のいずれか1項に記載の平衡線路-不平衡線路変換器。
【請求項16】
前記平衡側線路と、前記不平衡側線路と、前記第1のオープンスタブと、前記第2のオープンスタブは同じ導体層に形成される請求項1に記載の平衡線路-不平衡線路変換器。
【請求項17】
不平衡信号が入力され、入力された不平衡信号に基づいた電波を送信するアンテナ素子と、
前記アンテナ素子が送信する電波に対する平衡信号を出力する信号源と、
前記信号源からの平衡信号が入力され、入力された平衡信号を不平衡信号に変換して前記アンテナ素子に出力する、請求項1から
請求項8、請求項10から請求項14、または請求項16のいずれか1項に記載の平衡線路-不平衡線路変換器と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項18】
不平衡信号が入力され、入力された不平衡信号に基づいた電波を送信するアンテナ素子と、
前記アンテナ素子が送信する電波に対する平衡信号を出力する信号源と、
前記信号源からの平衡信号が入力され、入力された平衡信号を不平衡信号に変換して前記アンテナ素子に出力する、請求項9に記載の平衡線路-不平衡線路変換器と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項19】
不平衡信号が入力され、入力された不平衡信号に基づいた電波を送信するアンテナ素子と、
前記アンテナ素子が送信する電波に対する平衡信号を出力する信号源と、
前記信号源からの平衡信号が入力され、入力された平衡信号を不平衡信号に変換して前記アンテナ素子に出力する、請求項15に記載の平衡線路-不平衡線路変換器と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項20】
平衡信号が入力され、入力された平衡信号に基づいた電波を送信するアンテナ素子と、
前記アンテナ素子が送信する電波に対する不平衡信号を出力する信号源と、
前記信号源からの不平衡信号が入力され、入力された不平衡信号を平衡信号に変換して前記アンテナ素子に出力する、請求項1から
請求項8、請求項10から請求項14、または請求項16のいずれか1項に記載の平衡線路-不平衡線路変換器と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項21】
平衡信号が入力され、入力された平衡信号に基づいた電波を送信するアンテナ素子と、
前記アンテナ素子が送信する電波に対する不平衡信号を出力する信号源と、
前記信号源からの不平衡信号が入力され、入力された不平衡信号を平衡信号に変換して前記アンテナ素子に出力する、請求項9に記載の平衡線路-不平衡線路変換器と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項22】
平衡信号が入力され、入力された平衡信号に基づいた電波を送信するアンテナ素子と、
前記アンテナ素子が送信する電波に対する不平衡信号を出力する信号源と、
前記信号源からの不平衡信号が入力され、入力された不平衡信号を平衡信号に変換して前記アンテナ素子に出力する、請求項15に記載の平衡線路-不平衡線路変換器と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項23】
それぞれは不平衡信号又は平衡信号の他方の信号が入力信号として入力され、当該入力信号に基づいた電波を送信する複数のアンテナ素子を有するアンテナ素子群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子それぞれに対応し、それぞれは対応する前記アンテナ素子が送信する電波に対する前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を出力信号として出力する複数の信号源を有する信号源群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子それぞれ及び前記信号源群の複数の信号源それぞれに対応し、それぞれは対応する前記信号源からの出力信号が入力され、入力された前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を前記不平衡信号又は前記平衡信号の他方の信号に変換して対応する前記アンテナ素子に出力する、請求項1から
請求項8、請求項10から請求項14、または請求項16のいずれか1項に記載の複数の平衡線路-不平衡線路変換器を有する変換器群と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項24】
それぞれは不平衡信号又は平衡信号の他方の信号が入力信号として入力され、当該入力信号に基づいた電波を送信する複数のアンテナ素子を有するアンテナ素子群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子それぞれに対応し、それぞれは対応する前記アンテナ素子が送信する電波に対する前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を出力信号として出力する複数の信号源を有する信号源群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子それぞれ及び前記信号源群の複数の信号源それぞれに対応し、それぞれは対応する前記信号源からの出力信号が入力され、入力された前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を前記不平衡信号又は前記平衡信号の他方の信号に変換して対応する前記アンテナ素子に出力する、請求項9に記載の複数の平衡線路-不平衡線路変換器を有する変換器群と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項25】
それぞれは不平衡信号又は平衡信号の他方の信号が入力信号として入力され、当該入力信号に基づいた電波を送信する複数のアンテナ素子を有するアンテナ素子群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子それぞれに対応し、それぞれは対応する前記アンテナ素子が送信する電波に対する前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を出力信号として出力する複数の信号源を有する信号源群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子それぞれ及び前記信号源群の複数の信号源それぞれに対応し、それぞれは対応する前記信号源からの出力信号が入力され、入力された前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を前記不平衡信号又は前記平衡信号の他方の信号に変換して対応する前記アンテナ素子に出力する、請求項15に記載の複数の平衡線路-不平衡線路変換器を有する変換器群と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項26】
それぞれは不平衡信号又は平衡信号の他方の信号が入力信号として入力され、当該入力信号に基づいた電波を送信する複数のアンテナ素子を有するアンテナ素子群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子それぞれに対応し、それぞれは対応する前記アンテナ素子が送信する電波に対する前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を出力信号として出力する複数の信号源を有する複数の信号源グループを具備する信号源群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子それぞれ及び前記信号源群の複数の信号源グループそれぞれに対応し、それぞれは対応する前記信号源グループの複数の信号源からの出力信号が入力され、入力された前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を前記不平衡信号又は前記平衡信号の他方の信号に変換して対応する電力合成回路を介して対応する前記アンテナ素子に出力する、請求項1から
請求項8、請求項10から請求項14、または請求項16のいずれか1項に記載の複数の平衡線路-不平衡線路変換器を有する複数の変換器グループを具備する変換器群と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項27】
それぞれは不平衡信号又は平衡信号の他方の信号が入力信号として入力され、当該入力信号に基づいた電波を送信する複数のアンテナ素子を有するアンテナ素子群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子それぞれに対応し、それぞれは対応する前記アンテナ素子が送信する電波に対する前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を出力信号として出力する複数の信号源を有する複数の信号源グループを具備する信号源群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子それぞれ及び前記信号源群の複数の信号源グループそれぞれに対応し、それぞれは対応する前記信号源グループの複数の信号源からの出力信号が入力され、入力された前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を前記不平衡信号又は前記平衡信号の他方の信号に変換して対応する電力合成回路を介して対応する前記アンテナ素子に出力する、請求項9に記載の複数の平衡線路-不平衡線路変換器を有する複数の変換器グループを具備する変換器群と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項28】
それぞれは不平衡信号又は平衡信号の他方の信号が入力信号として入力され、当該入力信号に基づいた電波を送信する複数のアンテナ素子を有するアンテナ素子群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子それぞれに対応し、それぞれは対応する前記アンテナ素子が送信する電波に対する前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を出力信号として出力する複数の信号源を有する複数の信号源グループを具備する信号源群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子それぞれ及び前記信号源群の複数の信号源グループそれぞれに対応し、それぞれは対応する前記信号源グループの複数の信号源からの出力信号が入力され、入力された前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を前記不平衡信号又は前記平衡信号の他方の信号に変換して対応する電力合成回路を介して対応する前記アンテナ素子に出力する、請求項15に記載の複数の平衡線路-不平衡線路変換器を有する複数の変換器グループを具備する変換器群と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項29】
それぞれは不平衡信号又は平衡信号の他方の信号が入力信号として入力され、当該入力信号に基づいた電波を送信する複数のアンテナ素子を有する複数のアンテナ素子グループを具備するアンテナ素子群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子グループそれぞれに対応し、それぞれは対応する前記アンテナ素子グループの複数のアンテナ素子が送信する電波に対する前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を出力信号として出力する複数の信号源を有する信号源群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子グループそれぞれ及び前記信号源群の複数の信号源それぞれに対応し、それぞれは対応する前記信号源からの出力信号が入力され、入力された前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を前記不平衡信号又は前記平衡信号の他方の信号に変換して電力分配回路を介して対応する前記アンテナ素子グループの複数のアンテナ素子に出力する、請求項1から
請求項8、請求項10から請求項14、または請求項16のいずれか1項に記載の複数の平衡線路-不平衡線路変換器を有する変換器群と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項30】
それぞれは不平衡信号又は平衡信号の他方の信号が入力信号として入力され、当該入力信号に基づいた電波を送信する複数のアンテナ素子を有する複数のアンテナ素子グループを具備するアンテナ素子群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子グループそれぞれに対応し、それぞれは対応する前記アンテナ素子グループの複数のアンテナ素子が送信する電波に対する前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を出力信号として出力する複数の信号源を有する信号源群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子グループそれぞれ及び前記信号源群の複数の信号源それぞれに対応し、それぞれは対応する前記信号源からの出力信号が入力され、入力された前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を前記不平衡信号又は前記平衡信号の他方の信号に変換して電力分配回路を介して対応する前記アンテナ素子グループの複数のアンテナ素子に出力する、請求項9に記載の複数の平衡線路-不平衡線路変換器を有する変換器群と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項31】
それぞれは不平衡信号又は平衡信号の他方の信号が入力信号として入力され、当該入力信号に基づいた電波を送信する複数のアンテナ素子を有する複数のアンテナ素子グループを具備するアンテナ素子群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子グループそれぞれに対応し、それぞれは対応する前記アンテナ素子グループの複数のアンテナ素子が送信する電波に対する前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を出力信号として出力する複数の信号源を有する信号源群と、
それぞれが前記アンテナ素子群の複数のアンテナ素子グループそれぞれ及び前記信号源群の複数の信号源それぞれに対応し、それぞれは対応する前記信号源からの出力信号が入力され、入力された前記不平衡信号又は前記平衡信号の一方の信号を前記不平衡信号又は前記平衡信号の他方の信号に変換して電力分配回路を介して対応する前記アンテナ素子グループの複数のアンテナ素子に出力する、請求項15に記載の複数の平衡線路-不平衡線路変換器を有する変換器群と、
を備えるアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、平衡信号、いわゆる差動信号を不平衡信号、いわゆる単相信号に変換する、又は不平衡信号を平衡信号に変換する平衡線路-不平衡線路変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
平衡線路-不平衡線路変換器の一種であるマーチャントバランが非特許文献1に示されている。
非特許文献1に示されたマーチャントバランは、1セットの結合された伝送ラインセクション(one set of coupled transmission-line sections、以下、2つの結合伝送ラインと略称する)と2つの同一の非結合伝送ラインセクション(two identical uncoupled transmission-line sections、以下、2つの非結合伝送ラインと称する)で構成されている。
【0003】
このように構成されたマーチャントバランには、2つの結合伝送ライン間に製造上ギャッブが存在するため、2つの非結合伝送ライン間に接続セグメント(connecting segment)が介在する。
その結果、接続セグメントによる寄生インダクタンスが生じマーチャンドバランの電気特性が劣化する。
非特許文献1では、接続セグメントによる寄生インダクタンスを補償するため、2つの結合伝送ラインの終端に高さwvであるVIP(vertically installed planar structure)を形成している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Hee-Ran Ahn, ”Novel Generic Asymmetric and Symmetric Equivalent Circuits of 90° Coupled Transmission-Line Sections Applicable to Marchand Baluns,“ IEEE TRANSACTIONs ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES, VOL. 65, NO. 3, MARCH 2017, p.p.746-760
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に示されたマーチャントバランは、以上のように構成されているので、VIPという3次元構造をとっているため、構造が複雑、かつ同一基板上にアンテナ素子を複数個配置する平面型のアレーアンテナ等への適用が困難であり、しかも、小型化に適さない構造である。
【0006】
本開示は上記した点に鑑みてなされたものであり、平衡信号を伝送する2つの伝送線路間の通過位相差を向上させた上で、小型化が図れる平衡線路-不平衡線路変換器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、一端部が第1の信号端部とされ、他端部が短絡される第1の伝送線路、及び一端部が第2の信号端部とされ、他端部が短絡される第2の伝送線路を有する平衡側線路と、一端部が第3の信号端部とされ、他端部が開放端とされ、第1の伝送線路と第1の結合線路を構成する第1の伝送線路部、及び第2の伝送線路と第2の結合線路を構成する第2の伝送線路部を有する不平衡側線路と、第2の伝送線路の一端部に接続された第1のオープンスタブと、 不平衡側線路に接続され、第1のオープンスタブと第3の結合線路を構成する第2のオープンスタブと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、第2の伝送線路の一端部に接続された第1のオープンスタブと、不平衡側線路に接続され、第1のオープンスタブと第3の結合線路を構成する第2のオープンスタブを備えたので、簡易で小型な構成により、平衡線路-不平衡線路変換器の電気特性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器における要部を示す構成斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器における平衡側線路及び不平衡側線路を示す誘電体基板の裏面から見た透視図(表面層及び裏面層の接地層を省略)である。
【
図3】実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器における平衡側線路を示す上面図である。
【
図4】実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器における不平衡側線路を示す上面図である。
【
図7】実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器における等価回路を示す図である。
【
図8】比較例としての平衡線路-不平衡線路変換器における等価回路を示す図である。
【
図9】実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器における反射特性を示す図である。
【
図10】実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器における通過特性を示す図である。
【
図11】実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器における通過位相差を示す図である。
【
図12】実施の形態2に係る平衡線路-不平衡線路変換器における平衡側線路の第2の伝送線路の一部及び第1のスタブを示す上面図である。
【
図13】実施の形態3に係る平衡線路-不平衡線路変換器における平衡側線路の第2の伝送線路の一部及び第1のスタブを示す上面図である。
【
図14】実施の形態4に係る平衡線路-不平衡線路変換器における平衡側線路及び第1のスタブを示す上面図である。
【
図15】実施の形態5に係る平衡線路-不平衡線路変換器における平衡側線路及び不平衡側線路を示す上面透視図である。
【
図16】実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器における平衡側線路及び不平衡側線路を示す上面透視図である。
【
図17】実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器における平衡側線路を示す上面図である。
【
図18】実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器における不平衡側線路を示す上面図である。
【
図19】実施の形態7に係る平衡線路-不平衡線路変換器における平衡側線路を示す上面図である。
【
図20】実施の形態8に係る平衡線路-不平衡線路変換器における平衡側線路及び不平衡側線路を示す上面透視図である。
【
図21】実施の形態9に係るアンテナ装置を示す概略構成図である。
【
図22】実施の形態10に係るアンテナ装置を示す概略構成図である。
【
図23】実施の形態11に係るアレーアンテナ装置を示す概略構成図である。
【
図24】実施の形態12に係るアレーアンテナ装置を示す概略構成図である。
【
図25】実施の形態13に係るアレーアンテナ装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器を
図1から
図11を用いて説明する。
実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、平衡信号、いわゆる差動信号を不平衡信号、いわゆる単相信号に変換する、又は不平衡信号を平衡信号に変換する平衡線路-不平衡線路変換器のいずれにも適用できる。
実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、主にサブテラヘルツ帯又はテラヘルツ帯などの高域の周波数で動作する平衡線路‐不平衡線路変換器に適している。
以下の説明では、説明が煩雑になるので、主として平衡信号を不平衡信号に変換する平衡線路-不平衡線路変換器について説明する。
【0011】
実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、
図1から
図6に示すように、多層の誘電体基板1と、第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3を有する平衡側線路と、不平衡側線路4と、第1のオープンスタブ5と、第2のオープンスタブ6と、第1の信号線7と、第2の信号線8と、第3の信号線9を備える。
【0012】
誘電体基板1は、内部に少なくとも第1の導体層11と第2の導体層12を有し、一主面、本例においては表面に接地層13を有し、他主面、本例においては裏面に接地層14を有する。
誘電体基板1において、裏面から表面への方向、つまり層間方向、
図5及び
図6に示す紙面上下方向(以下、Z軸方向という)に第1の導体層11と第2の導体層12が順次形成される。
なお、第1の導体層11と第2の導体層12は、表面から裏面への方向に順次形成されるものでもよい。
【0013】
誘電体基板1は、樹脂基板又はセラミック基板といった材料が選定される。
これら材料は所望のコスト及び電気特性に応じて選択してもよい。
なお、実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器が、アンテナ装置に用いられる多層の誘電体基板、例えば、アンテナ装置におけるアンテナ素子の前段で完結する高周波パッケージ、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit:無線周波数集積回路)、又は、アンテナ素子を含まない高周波モジュールに用いられる多層の誘電体基板に組み込まれた場合、平衡線路-不平衡線路変換器が組み込まれた領域以外の誘電体基板における第1の導体層、第2の導体層、表面の導体層、及び裏面の導体層は配線層としても利用される。
【0014】
本例において、4層の誘電体基板1を示しているが、少なくとも内部に第1の導体層11と第2の導体層12を有すればよく、4層以上の誘電体基板1であればよい。
平衡線路-不平衡線路変換器が組み込まれる用途に応じて適宜4層又は4層以上の誘電体基板1が選択される。
例えば、受動回路又はアクティブ回路とともに平衡線路-不平衡線路変換器が誘電体基板1に組み込まれる場合、受動回路又はアクティブ回路との伝送線路の配線を考慮して4層以上の誘電体基板1に平衡線路-不平衡線路変換器を組み込んでもよい。
【0015】
平衡側線路を構成する第1の伝送線路2は、一端部21が第1の信号端部とされ、他端部22が短絡される。
第1の伝送線路2は誘電体基板1の第1の導体層11に形成される。
第1の伝送線路2の一端部21が誘電体基板1の第1の導体層11に形成された第1の信号線7に接続される。
第1の伝送線路2と第1の信号線7は連続する導体層により一体に形成される。
第1の信号線7は、
図2及び
図3に示すように、紙面上下方向(以下、Y軸方向という)、本例においては第1の伝送線路2の一端部21よりY軸の-方向(紙面下方向)に直線状に形成される。
【0016】
第1の信号線7は平衡線路又は平衡回路(以下、平衡回路も含めて平衡線路と総称する。)からの平衡信号の一方の信号が入力される場合は第1の入力信号線として機能し、第1の伝送線路2における第1の信号端部21は入力端として機能する。
第1の信号線7が平衡線路へ平衡信号の一方の信号を出力する場合は第1の出力信号線として機能し、第1の伝送線路2における第1の信号端部21は出力端として機能する。
第1の信号線7が平衡線路に対して平衡信号の一方の信号を入出力する場合は第1の入出力信号線として機能し、第1の伝送線路2における第1の信号端部21は入出力端として機能する。
【0017】
第1の伝送線路2の他端部22が接地層、本例においては裏面の接地層14にビア(VIA)Vaを介して接続される。
第1の伝送線路2は、
図2及び
図3に示すように、第1の信号線7から一端部21において直角に外方へ、つまり、紙面左方向(以下、紙面左右方向をX軸方向、左方向を-方向という)に屈曲されて延在する第1の線路部23と、第1の線路部23から直角にY軸の+方向に屈曲されて延在する第2の線路部24と、第2の線路部24から直角に内方へ、つまり、X軸の+方向に直角に屈曲されて延在する第3の線路部25とを有する。
【0018】
すなわち、第1の伝送線路2における第1の線路部23と第2の線路部24と第3の線路部25が連続する導体層により一体に形成され、矩形の3辺を構成する。
第1の線路部23と第3の線路部25は対向し、X軸に平行に配置される。
第1の伝送線路2の長さ、つまり一端部21から他端部22までの長さは、伝送する信号の中心周波数に対して90度の長さである。
【0019】
平衡側線路を構成する第2の伝送線路3は、一端部31が第2の信号端部とされ、他端部32が短絡される。
第2の伝送線路3は誘電体基板1の第1の導体層11に形成される。
第2の伝送線路3の一端部31が誘電体基板1の第1の導体層11に形成された第2の信号線8に接続される。
第2の伝送線路3と第2の信号線8は連続する導体層により一体に形成される。
第2の信号線8は、
図2及び
図3に示すように、本例においては第2の伝送線路3の一端部31よりY軸の-方向に直線状に形成され、第1の信号線7と並行して配置される。
【0020】
第2の信号線8は平衡線路からの平衡信号の他方の信号が入力される場合は第2の入力信号線として機能し、第2の伝送線路3における第2の信号端部31は入力端として機能する。
第2の信号線8が平衡線路へ平衡信号の他方の信号を出力する場合は第2の出力信号線として機能し、第2の伝送線路3における第2の信号端部31は出力端として機能する。
第2の信号線8が平衡線路に対して平衡信号の他方の信号を入出力する場合は第2の入出力信号線として機能し、第2の伝送線路3における第2の信号端部31は入出力端として機能する。
【0021】
第2の伝送線路3の他端部32が接地層、本例においては裏面の接地層14にビア(VIA)Vbを介して接続される。
第2の伝送線路3は、
図2及び
図3に示すように、第2の伝送線路3から一端部31において直角に外方へ、つまり、X軸の+方向に屈曲されて延在する第1の線路部33と、第1の線路部33から直角にY軸の+方向に屈曲されて延在する第2の線路部34と、第2の線路部34から直角に内方へ、つまり、X軸の-方向に直角に屈曲されて延在する第3の線路部35とを有する。
【0022】
すなわち、第2の伝送線路3における第1の線路部33と第2の線路部34と第3の線路部35が連続する導体層により一体に形成され、矩形の3辺を構成する。
第1の線路部33と第3の線路部35は対向し、X軸に平行に配置される。
第2の伝送線路3の長さ、つまり一端部31から他端部32までの長さは、伝送する信号の中心周波数に対して90度の長さである。
【0023】
第1の伝送線路2における一端部21の端面と第2の伝送線路3における一端部31の端面が対向して配置される。
第1の伝送線路2における一端部21の端面と第2の伝送線路3における一端部31の端面との間には、第1の伝送線路2と第2の伝送線路3のインピーダンスを実現するためなどにより、ギャップG1を有して配置される。
第1の信号線7と第2の信号線8もギャップG1と同じ間隔を有して配置される。
【0024】
第1の伝送線路2における他端部22の端面と第2の伝送線路3における他端部32の端面が間隔を有して対向して配置される。
第1の伝送線路2における第2の線路部24と第2の伝送線路3における第2の線路部34は対向し、Y軸に平行に配置される。
要するに、第1の伝送線路2と第2の伝送線路3は、
図2及び
図3に示す中心線O-Oに対して線対称に配置され、同じ形状である。
中心線O-Oは、第1の信号線7と第2の信号線8の中央に位置し、第1の信号線7と第2の信号線8に対して平行にY軸方向に延びる仮想線である。
【0025】
不平衡側線路4は、一端部41が第3の信号端部とされ、他端部42が開放端とされる。
不平衡側線路4は、第1の伝送線路2と第1の結合線路C1を構成する第1の伝送線路部43と、第2の伝送線路3と第2の結合線路C2を構成する第2の伝送線路部44と、第1の伝送線路部43と第2の伝送線路部44を接続する接続線路部45を有する。
【0026】
不平衡側線路4は誘電体基板1の第2の導体層12に形成される。
不平衡側線路4の第1の伝送線路部43は第1の伝送線路2にZ軸方向において対向して配置される。
不平衡側線路4の第2の伝送線路部44は第2の伝送線路3にZ軸方向において対向して配置される。
第1の伝送線路部43と第2の伝送線路部44は接続線路部45を介して連続的に形成される。
【0027】
不平衡側線路4の一端部41は第1の伝送線路2の他端部22にZ軸方向において対向した位置に配置される。
不平衡側線路4の他端部42は第2の伝送線路3の他端部32にZ軸方向において対向した位置に配置される。
不平衡側線路4の第1の伝送線路部43の一端部が不平衡側線路4の一端部41であり、不平衡側線路4の第2の伝送線路部44の他端部が不平衡側線路4の他端部42である。
【0028】
不平衡側線路4の一端部41の端面は第1の伝送線路2の他端部22の端面より他端部42側に位置する。
不平衡側線路4の他端部42の端面は第2の伝送線路3の他端部32の端面とZ軸方向に形成される平面上に位置する。
不平衡側線路4の一端部41の端面と他端部42の端面との間の間隔は、第1の伝送線路2における一端部21の端面と第2の伝送線路3における一端部31の端面との間のギャップG1より狭い。
【0029】
不平衡側線路4の接続線路部45は第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間のギャップG1に対してZ軸方向に対向して配置される。
不平衡側線路4における第1の伝送線路部43と第2の伝送線路部44と接続線路部45が連続する導体層により一体に形成され、一端部41の端面と他端部42の端面との間の間隔を除いて矩形の4辺を構成する。
【0030】
不平衡側線路4の一端部41が第2の導体層12に形成された第3の信号線9に接続される。
不平衡側線路4と第3の信号線9は連続する導体層により一体に形成される。
第3の信号線9は、
図2及び
図4に示すように、不平衡側線路4の一端部41よりY軸の+方向に直線状に形成される。
第3の信号線9は第1の信号線7及び第2の信号線8に対してY軸方向において反対側に位置する。
【0031】
第3の信号線9は不平衡線路からの不平衡信号が入力される場合は入力信号線として機能し、不平衡側線路4における第3の信号端部41は入力端として機能する。
第3の信号線9が不平衡線路へ不平衡信号を出力する場合は出力信号線として機能し、不平衡側線路4における第3の信号端部41は出力端として機能する。
第3の信号線9が不平衡線路に対して不平衡信号を入出力する場合は第3の入出力信号線として機能し、不平衡側線路4における第3の信号端部41は入出力端として機能する。
【0032】
不平衡側線路4の第1の伝送線路部43が第1の伝送線路2の第1の線路部23と第2の線路部24と第3の線路部25それぞれとZ軸方向に絶縁層を介して対向配置される第1の線路部43aと第2の線路部43bと第3の線路部43cを有する。
第3の線路部43cが第3の信号端部41から一端部41において直角に外方へ、つまり、X軸の-方向に屈曲されて延在し、第2の線路部43bが第3の線路部43cから直角にY軸の-方向に屈曲されて延在し、第1の線路部43aが第2の線路部43bから直角に内方へ、つまり、X軸の+方向に直角に屈曲されて延在し、第1の線路部43aの他端が接続線路部45の一端となる。
【0033】
不平衡側線路4の第2の伝送線路部44が第2の伝送線路3の第1の線路部33と第2の線路部34と第3の線路部35それぞれとZ軸方向に絶縁層を介して対向配置される第1の線路部44aと第2の線路部44bと第3の線路部44cを有する。
第3の線路部44cが開放端42から外方へ、つまり、X軸の+方向に延在し、第2の線路部44bが第3の線路部44cから直角にY軸の-方向に屈曲されて延在し、第1の線路部44aが第2の線路部44bから直角に内方へ、つまり、X軸の-方向に直角に屈曲されて延在し、第1の線路部44aの一端が接続線路部45の他端となる。
【0034】
不平衡側線路4の長さ、つまり一端部41から他端部42までの第1の伝送線路部43と第2の伝送線路部44と接続線路部45を経由した長さは、伝送する信号の中心周波数に対して180度の長さである。
【0035】
平衡側線路を構成する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3並びに第1の信号線7及び第2の信号線8は、誘電体基板1の表面に形成された接地層13と裏面に形成された接地層14との間に挟まれたストリップ線路として形成される。
不平衡側線路4の第1の伝送線路部43と第2の伝送線路部44と接続線路部45と第3の信号線9は、接地層13と接地層14との間に挟まれたストリップ線路として形成される。
【0036】
このように平衡側線路及び不平衡側線路4をストリップ線路により形成することにより、誘電体基板1の基材の実効比誘電率を平衡側線路と不平衡側線路4とで一致させることができる。
なお、平衡側線路と不平衡側線路4のいずれか一方を、ストリップ線路ではなく、誘電体基板1の表面又は裏面に線路を形成するマイクロストリップ線路により形成してもよい。
【0037】
平衡側線路を構成する第1の伝送線路2と不平衡側線路4の第1の伝送線路部43、及び平衡側線路を構成する第2の伝送線路3と不平衡側線路4の第2の伝送線路部44は、
図2に示すように、誘電体基板1の裏面から透視して見ると完全に重なる。
すなわち、第1の伝送線路2と第2の伝送線路3と不平衡側線路4は同じ幅を有し、第1の伝送線路2と第1の伝送線路部43は同じ形状であり、第2の伝送線路3と第2の伝送線路部44は同じ形状であり、X軸方向及びY軸方向が一致している。
【0038】
なお、第1の伝送線路2と第1の伝送線路部43により構成される第1の結合線路C1における結合量、及び第2の伝送線路3と第2の伝送線路部44により構成される第2の結合線路C2における結合量を調整するために、第1の伝送線路2と第1の伝送線路部43におけるX軸方向及びY軸方向の重なり具合、及び第2の伝送線路3と第2の伝送線路部44におけるX軸方向及びY軸方向の重なり具合をずらしてもよい。
また、第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と不平衡側線路4の幅は、各線路の特性インピーダンスに応じて、異なる線路幅としてもよい。
【0039】
第1のオープンスタブ5は平衡側線路を構成する第2の伝送線路3の一端部31に接続される。
第1のオープンスタブ5は誘電体基板1の第1の導体層11に形成される。
すなわち、不平衡側線路4における開放端42側に位置する第2の伝送線路部44と第2の結合線路C2を構成する第2の伝送線路3の一端部、つまり、第2の信号線8が接続される端部に第1のオープンスタブ5は接続される。
第1のオープンスタブ5は、第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間のギャップG1が位置する第2の伝送線路3の端部に、第1の導体層11により第2の伝送線路3と一体に形成される。
【0040】
第1のオープンスタブ5は第2の伝送線路3の一端部から内側、つまり、Y軸の+方向に延在する。
第1のオープンスタブ5は、
図2及び
図3に示すように、第2の伝送線路3の一端部31から内方、つまり、X軸の-方向に延在する延伸部51と延伸部51からY軸の+方向に直角に屈曲されて延在し、第2のオープンスタブ6に対向する結合部52を有する。
【0041】
結合部52の第1の伝送線路2の一端側に位置する側端面は、
図3に示す中心線O-Oに対して第1の伝送線路2の一端側に配置される。
第1のオープンスタブ5の長さ、厳密には結合部52の長さは、伝送される信号の中心周波数における波長の数分の一波長、例えば、1/30波長から1/4波長の長さである。
【0042】
例えば、RFICにおいて、多層の誘電体基板1における内層に位置する第1の導体層11及び第2の導体層12それぞれに、第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3を有する平衡側線路と不平衡側線路4それぞれを形成し、第1の導体層11と第2の導体層12の間の絶縁層の厚みを数ミクロンとすると、第1のオープンスタブ5の長さは1/20波長程度の長さとするのが好ましい。
【0043】
第2のオープンスタブ6は不平衡側線路4に接続される。
第2のオープンスタブ6は誘電体基板1の第2の導体層12に形成される。
第2のオープンスタブ6は第1のオープンスタブ5と第3の結合線路C3を構成する。
第2のオープンスタブ6は、不平衡側線路4における第1の伝送線路部43の第1の線路部43aの他端と接するように不平衡側線路4の接続線路部45の一端部に接続される。
第2のオープンスタブ6は不平衡側線路4の接続線路部45から内側、つまり、Y軸の+方向に延在する。
【0044】
第2のオープンスタブ6は第1のオープンスタブ5と絶縁層を介して第1のオープンスタブ5と対向配置され、第1のオープンスタブ5に対してX軸方向において第1の伝送線路2側に位置する。
第2のオープンスタブ6の第2の伝送線路3の一端側に位置する側端面は、
図1に示す中心線O-Oに対して第1の伝送線路2の一端側に配置される。
第2のオープンスタブ6と第1のオープンスタブ5の結合部52はY軸に対して平行な2直線として配置され、第2のオープンスタブ6と第1のオープンスタブ5の結合部52は第3の結合線路C3を構成する。
第1のオープンスタブ5の結合部52と第2のオープンスタブ6は中心線O-Oに対して非対称に配置される。
【0045】
第1のオープンスタブ5の結合部52と第2のオープンスタブ6が絶縁層を介して第3の結合線路C3を構成するので、結合部52と第2のオープンスタブ6がキャパシタを構成する。
第1のオープンスタブ5と第2のオープンスタブ6は容量性素子として機能する。
その結果、不平衡側線路4の接続線路部45による寄生インダクタンスを、結合部52と第2のオープンスタブ6によるキャパシタンスと第1のオープンスタブ5及び第2のオープンスタブ6それぞれが有するキャパシタンスが打ち消すように機能する。
【0046】
接続線路部45による寄生インダクタンスを第3の結合線路C3を構成する第1のオープンスタブ5と第2のオープンスタブ6によるキャパシタンスにより打ち消すことができるため、接続線路部45による寄生インダクタンスによる平衡線路-不平衡線路変換器の電気特性の劣化、つまり、平衡側線路における第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間の通過位相差の劣化を抑制し、通過位相差を改善できる。
【0047】
また、第1のオープンスタブ5の延伸部51が、第1の伝送線路2と第2の伝送線路3のギャップG1を埋めるように作用するので、第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間の通過位相差をさらに改善できる。
すなわち、延伸部51の端面と第1の伝送線路2における一端部21の端面とのギャップG2は、
図2及び
図3に示すようにギャップG1より狭く、不平衡側線路4の接続線路部45の長さを実質上短くできるため、接続線路部45による寄生インダクタンスを小さくでき、接続線路部45による電気特性の劣化を軽減できる。
その結果、第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間の通過位相差を改善できる。
【0048】
第2のオープンスタブ6の長さは、伝送される信号の中心周波数における波長の数分の一波長、例えば、1/30波長から1/4波長の長さである。
例えば、RFICにおいて、多層の誘電体基板1における内層に位置する第1の導体層11及び第2の導体層12それぞれに、第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3を有する平衡側線路と不平衡側線路4それぞれを形成し、第1の導体層11と第2の導体層12の間の絶縁層の厚みを数ミクロンとすると、第2のオープンスタブ6の長さは1/20波長程度の長さとするのが好ましい。
【0049】
このように、第1のオープンスタブ5の長さ及び第2のオープンスタブ6の長さが数分の一の波長であるので、第1のオープンスタブ5及び第2のオープンスタブ6により、平衡線路-不平衡線路変換器が大型化することはない。
しかも、第1のオープンスタブ5及び第2のオープンスタブ6が平衡側線路及び不平衡側線路4の内側に配置されるので、第1のオープンスタブ5及び第2のオープンスタブ6を設けたとしても、平衡線路-不平衡線路変換器の大きさに影響はなく、平衡線路-不平衡線路変換器の小型化が図れる。
【0050】
なお、第1のオープンスタブ5と第2のオープンスタブ6との位置関係は、第3の結合線路C3における設定した結合量を達成できれば良いので、
図2に示したように、X軸方向にずらした構成でもよく、また、X軸方向において、第1のオープンスタブ5の結合部52と第2のオープンスタブ6が重なる構成でもよい。
【0051】
次に、実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器の動作について説明する。
平衡信号を不平衡信号に変換する平衡線路-不平衡線路変換器について説明する。
実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器の等価回路図を
図7に示す。
第1の信号線7を流れる平衡信号の一方の信号は第1の信号端部21に入力され、第1の伝送線路2に流れる。
第1の伝送線路2に流れる一方の信号は、第1の結合線路C1を構成する第1の伝送線路2と不平衡側線路4の第1の伝送線路部43との電磁界結合により、第1の伝送線路部43に不平衡信号として流れ、第3の信号端部41から第3の信号線9に出力される。
【0052】
第2の信号線8を流れる平衡信号の他方の信号は第2の信号端部31に入力され、第2の伝送線路3に流れる。
第2の伝送線路3に流れる他方の信号は、第2の結合線路C2を構成する第2の伝送線路3と不平衡側線路4の第2の伝送線路部44との電磁界結合により、第2の伝送線路部44に不平衡信号として流れ、接続線路部45及び第1の伝送線路2を介して第3の信号端部41から第3の信号線9に出力される。
【0053】
接続線路部45には、
図7に示すように、第1のオープンスタブ5及び第2のオープンスタブ6により構成される第3の結合線路C3が並列に接続される。
接続線路部45のインダクタンスと第3の結合線路C3のキャパシタンスによるLC回路が、不平衡側線路4の第1の伝送線路部43の他端と第2の伝送線路部44の一端との間のインピーダンス整合をとるため、不平衡側線路4に対する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3の間の通過位相差が改善される。
【0054】
実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器において、第1のオープンスタブ及び第2のオープンスタブ6により構成される第3の結合線路C3を備えたことによる通過位相差が改善される点について、
図9から
図11を用いて説明する。
図9は、平衡線路-不平衡線路変換器の電磁界解析結果の一つである、不平衡側線路4の第3の信号端部41(出力端:反射端)における反射特性を示す図である。
図9において、横軸は伝送する信号の中心周波数で規格化した周波数を示し、縦軸は反射振幅S-Parameter:S11[dB]を示し、実線ES11は実施の形態1における反射特性曲線を示し、破線RS11は比較例における反射特性曲線を示す。
【0055】
比較例は、実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器に対して第1のオープンスタブ5及び第2のオープンスタブ6がなく、その他の構成は実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器と同じ平衡線路-不平衡線路変換器である。
比較例の等価回路を
図8に示す。
【0056】
図9から理解されるように、実施の形態1における反射特性は、第1のオープンスタブ5及び第2のオープンスタブ6により構成される第3の結合線路C3を設けたことにより、比較例に対して共振周波数のずれは多少生じているものの、反射振幅のレベルは同等であり、第3の結合線路C3は反射特性に大きな影響を与えていない。
すなわち、反射特性において、実施の形態1は比較例に対して遜色がない。
【0057】
図10は、平衡線路-不平衡線路変換器の電磁界解析結果の一つである、平衡側線路の入力端から不平衡側線路4の第3の信号端部41(出力端)における通過特性を示す図である。
図10において、横軸は伝送する信号の中心周波数で規格化した周波数を示し、縦軸は通過振幅S-Parameter:S21とS31[dB]を示し、実線ES21は実施の形態1における第1の伝送線路2の第1の信号端部21(第1の入力端)から不平衡側線路4の第3の信号端部41(出力端)における通過特性曲線を示し、破線ES31は実施の形態1における第2の伝送線路3の第2の信号端部31(第2の入力端)から不平衡側線路4の第3の信号端部41(出力端)における通過特性曲線を示し、一点鎖線RS21は比較例における第1の伝送線路の第1の入力端から不平衡側線路の出力端における通過特性曲線を示し、一点鎖線RS31は比較例における第2の伝送線路の第2の入力端から不平衡側線路の出力端における通過特性曲線を示す。
【0058】
図10から理解されるように、規格化周波数0.7~1.4において、第1の伝送線路の第1の入力端から不平衡側線路の出力端における通過振幅と第2の伝送線路の第2の入力端から不平衡側線路の出力端における通過振幅との通過振幅差において、実施の形態1が比較例に対して約2.5dB改善されている。
【0059】
図11は、平衡線路-不平衡線路変換器の電磁界解析結果の一つである、不平衡側線路4に対する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3の間の通過位相差を示す図である。
図11において、横軸は伝送する信号の中心周波数で規格化した周波数を示し、縦軸は位相差Phase difference[deg.]を示し、実線Eは実施の形態1における通過位相差曲線を示し、破線Rは比較例における通過位相差曲線を示す。
図11から理解されるように、規格化周波数0.7~1.4における通過位相差の傾きにおいて、実施の形態1が比較例に対して小さく、実施の形態1の通過位相差は広域にわたって理想とされる約180度である。
【0060】
以上のように、実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、第2の伝送線路3の一端部31に接続された第1のオープンスタブ5と、不平衡側線路4に接続され、第1のオープンスタブ5と第3の結合線路C3を構成する第2のオープンスタブを備えたので、簡易で小型な構成により、平衡線路-不平衡線路変換器の電気特性を向上できる。
【0061】
また、実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、不平衡側線路4に存在する接続線路部45による寄生インダクタンスによる第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間の通過位相差を第3の結合線路C3により改善できる。
【0062】
実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器において、第1のオープンスタブ5及び第2のオープンスタブ6が平衡側線路及び不平衡側線路4の内側に配置されるので、通過位相差を改善できる第1のオープンスタブ5及び第2のオープンスタブ6を設けたとしても、平衡線路-不平衡線路変換器の大きさに影響はなく、平衡線路-不平衡線路変換器の小型化が図れる。
【0063】
なお、実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器をRFICとしての機能を充実化させるためにRFICに適用した場合、複数の配線層を有するRFICにおいて、2つの異なる層の配線層を利用して実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器を形成してもよい。
また、RFICにおいて、半導体プロセスの後工程技術である再配線層を用いた構成とし、RFICの配線層と再配線層の2つの異なる層の配線層を利用して実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器を形成してもよい。
さらに、多層の再配線層を有するRFICの場合に、RFICに形成された各種回路と、再配線層とを区別した状態で、再配線層内の異なる層を用いて実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器を形成してもよい。
【0064】
実施の形態2.
実施の形態2に係る平衡線路-不平衡線路変換器を、
図12を用いて説明する。
実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、第1のオープンスタブ5がX軸の-方向に延在する延伸部51と延伸部51からY軸の+方向に直角に屈曲されて延在する結合部52を有するものである。
これに対して、実施の形態2に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、延伸部51と結合部52との屈曲部の外側に切り欠き53を有する点が実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器と相違し、その他の点については同じである。
図12中、
図1から
図6に示した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0065】
以下に、実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器との相違点である第1のオープンスタブ5について主として説明し、その他の構成要素については説明を省略する。
第1のオープンスタブ5は、第2の伝送線路3の一端部から内方、つまり、X軸の-方向に延在する延伸部51と、延伸部51からY軸の+方向に屈曲されて延在し、第2のオープンスタブ6に対向する結合部52を有する。
【0066】
第1のオープンスタブ5は、延伸部51において、延伸部51と結合部52との屈曲部の外側に切り欠き53を有する。
切り欠き53は、延伸部51と結合部52との外側に位置する接点から延伸部51の外辺に向かって内角が45度を持つ直線的に切り欠いた切り欠きである。
【0067】
平衡側線路を構成する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と不平衡側線路4における折り曲げ箇所による電気的に容量性過多の状態を、延伸部51と結合部52との屈曲部の外側に切り欠き53を設ける、つまり、当該屈曲部を一部削ることにより電気特性を調整できる。
特に、高周波を取り扱う場合、高周波に対して影響を及ぼす電気的に容量性過多の状態を、切り欠き53を設けることにより調整できる。
なお、切り欠き53に対する内角は45度に限られるものではなく、キャパシタンスの調整量に合わせて内角が90度未満であればよい。
【0068】
結合部52の第1の伝送線路2の一端側に位置する側端面は、実施の形態1における結合部52と同様に、
図3に示す中心線O-Oに対して第1の伝送線路2の一端側に配置される。
第1のオープンスタブ5の長さ、厳密には結合部52の長さは、伝送される信号の中心周波数における波長の数分の一波長、例えば、1/30波長から1/4波長の長さである。
【0069】
なお、第1のオープンスタブ5と第2のオープンスタブ6との位置関係は、実施の形態1において説明したと同様に、X軸方向にずらした構成でもよく、また、X軸方向において、第1のオープンスタブ5の結合部と第2のオープンスタブ6が重なる構成でもよい。
【0070】
このように構成された実施の形態2に係る平衡線路-不平衡線路変換器も、実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器と同様な効果を有する他、第1のオープンスタブ5に切り欠き53を設けることにより、平衡側線路を構成する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と不平衡側線路4の折り曲げ箇所による電気的に容量性過多の状態を容易に調整でき、電気特性を調整できる。
【0071】
実施の形態3.
実施の形態3に係る平衡線路-不平衡線路変換器を、
図13を用いて説明する。
実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、第1のオープンスタブ5がX軸の-方向に延在する延伸部51と延伸部51からY軸の+方向に直角に屈曲されて延在する結合部52を有するものである。
これに対して、実施の形態3に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、延伸部51と結合部52との屈曲部の外側に円弧状の切り欠き53を有する点が実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器と相違し、その他の点については同じである。
図13中、
図1から
図6に示した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0072】
以下に、実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器との相違点である第1のオープンスタブ5について主として説明し、その他の構成要素については説明を省略する。
第1のオープンスタブ5は、第2の伝送線路3の一端部から内方、つまり、X軸の-方向に延在する延伸部51と、延伸部51からY軸の+方向に屈曲されて延在し、第2のオープンスタブ6に対向する結合部52を有する。
【0073】
第1のオープンスタブ5は、延伸部51において、延伸部51と結合部52との屈曲部の外側に円弧状の切り欠き53を有する。
切り欠き53は、延伸部51と結合部52との外側に位置する接点から延伸部51の外辺に向かって1/4の円弧に切り欠いた切り欠きである。
【0074】
第1のオープンスタブ5が切り欠き53を有することにより、平衡側線路を構成する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と不平衡側線路4の折り曲げ箇所による電気的に容量性過多の状態を容易に調整でき、電気特性を調整できる。
しかも、切り欠き53が円弧状であるので、容量性過多を構成する寄生のキャパシタンス成分をより緩和できる。
なお、切り欠き53は1/4の円弧に限られるものではなく、キャパシタンスの調整量に合わせて角を丸めた形状であればよい。
【0075】
結合部52の第1の伝送線路2の一端側に位置する側端面は、実施の形態1における結合部52と同様に、
図3に示す中心線O-Oに対して第1の伝送線路2の一端側に配置される。
第1のオープンスタブ5の長さ、厳密には結合部52の長さは、伝送される信号の中心周波数における波長の数分の一波長、例えば、1/30波長から1/4波長の長さである。
【0076】
なお、第1のオープンスタブ5と第2のオープンスタブ6との位置関係は、実施の形態1において説明したと同様に、X軸方向にずらした構成でもよく、また、X軸方向において、第1のオープンスタブ5の結合部と第2のオープンスタブ6が重なる構成でもよい。
【0077】
このように構成された実施の形態3に係る平衡線路-不平衡線路変換器も、実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器と同様な効果を有する他、第1のオープンスタブ5に円弧状の切り欠き53を設けることにより、平衡側線路を構成する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と不平衡側線路4の折り曲げ箇所による電気的に容量性過多の状態を構成する寄生のキャパシタンス成分を緩和して容易に調整でき、電気特性を調整できる。
【0078】
実施の形態4.
実施の形態4に係る平衡線路-不平衡線路変換器を、
図14を用いて説明する。
実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、第1のオープンスタブ5がX軸の-方向に延在する延伸部51と延伸部51からY軸の+方向に直角に屈曲されて延在する結合部52を有するものである。
これに対して、実施の形態4に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、第1のオープンスタブ5が第2の伝送線路3の一端部31からY軸の+方向に直角に屈曲されて延在し、第2のオープンスタブ6に対向する直線形状である点が実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器と相違し、その他の点については同じである。
図14中、
図1から
図6に示した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0079】
以下に、実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器との相違点である第1のオープンスタブ5について主として説明し、その他の構成要素については説明を省略する。
第1のオープンスタブ5は、第2の伝送線路3の一端部31において、第1の線路部33から内方、つまり、Y軸の+方向に直角に屈曲されて延在する。
第1のオープンスタブ5は第2の信号線8とY軸に沿って連続する。
第1のオープンスタブ5の長さは、伝送される信号の中心周波数における波長の数分の一波長、例えば、1/30波長から1/4波長の長さである。
【0080】
第1のオープンスタブ5の長さと第2のオープンスタブ6との長さは同程度である。
なお、第1のオープンスタブ5と第2のオープンスタブ6との位置関係は、実施の形態1において説明したと同様に、X軸方向にずらした構成でもよく、また、X軸方向において、第1のオープンスタブ5と第2のオープンスタブ6が重なる構成でもよい。
【0081】
このように構成された実施の形態4に係る平衡線路-不平衡線路変換器も、実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器と同様な効果を有する他、第2の伝送線路3と第2の信号線8と第1のオープンスタブ5により構成される構造を簡易にできる。
【0082】
実施の形態5.
実施の形態5に係る平衡線路-不平衡線路変換器を、
図15を用いて説明する。
実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、平衡側線路を構成する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と第1のオープンスタブ5と第1の信号線7と第2の信号線8が誘電体基板1の第1の導体層11に形成され、不平衡側線路4と第2のオープンスタブ6と第3の信号線9が誘電体基板1の第2の導体層12に形成される。
すなわち、実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器において、平衡側線路を構成する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と不平衡側線路4がブロードサイド結合される。
【0083】
これに対して、実施の形態5に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、平衡側線路を構成する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と第1のオープンスタブ5と第1の信号線7と第2の信号線8と、不平衡側線路4と第2のオープンスタブ6と第3の信号線9が誘電体基板1の同じ導体層に形成される点が実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器と相違し、その他の点については同じである。
【0084】
すなわち、実施の形態5に係る平衡線路-不平衡線路変換器において、平衡側線路を構成する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と不平衡側線路4が共平面結合される。
この場合、平衡側線路を構成する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と不平衡側線路4との距離を大きくせず、平衡線路-不平衡線路変換器としての機能及び特性が得られる距離に設計される。
図15中、
図1から
図6に示した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0085】
以下に、実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器との相違点を中心に説明する。
第1の伝送線路2と第1の信号線7の形状は実施の形態1における第1の伝送線路2と第1の信号線7の形状と同様である。
すなわち、次のように構成される。
第1の伝送線路2の一端部21が第1の信号線7に接続され、第1の伝送線路2の他端部22が接地層にビアVaを介して接続される。
【0086】
第1の伝送線路2は、第1の信号線7から外方に延在する第1の線路部23と第1の線路部23から直角に屈曲されて延在する第2の線路部24と第2の線路部24から内方に直角に屈曲されて延在する第3の線路部25とを有する。
第1の信号線7は第1の伝送線路2と連続する導体層により一体に形成され、第1の伝送線路2の一端部21から直角に屈曲されてY軸の-方向に直線状に形成される。
【0087】
第2の伝送線路3と第2の信号線8の形状は実施の形態1における第2の伝送線路3と第2の信号線8の形状と同様である。
すなわち、次のように構成される。
第2の伝送線路3の一端部31が第2の信号線8に接続され、第2の伝送線路3の他端部32が接地層にビアVbを介して接続される。
第2の伝送線路3の一端部31の端面が第1の伝送線路2の一端部21の端面にギャップG1を介して対向配置される。
【0088】
第1の信号線7と第2の信号線8もギャップG1と同じ間隔を有して配置される。
第2の伝送線路3は、第2の信号線8から外方に延在する第1の線路部33と第1の線路部33から直角に屈曲されて延在する第2の線路部34と第2の線路部34から内方に直角に屈曲されて延在する第3の線路部35とを有する。
第2の信号線8は第2の伝送線路3と連続する導体層により一体に形成され、第2の伝送線路3の一端部31から直角に屈曲されてY軸の-方向に直線状に形成される。
【0089】
不平衡側線路4の形状は実施の形態1における不平衡側線路4の形状と同様である。
すなわち、次のように構成される。
不平衡側線路4は第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と同じ導体層に形成され、第1の伝送線路2と第2の伝送線路3により囲まれた領域内に第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と対向して配置される。
不平衡側線路4は、第1の伝送線路2と第1の結合線路C1を構成する第1の伝送線路部43と第2の伝送線路3と、第2の結合線路C2を構成する第2の伝送線路部44と、第1の伝送線路部43と第2の伝送線路部44との間に介在して第1の伝送線路部43と第2の伝送線路部44を連続的に形成するための接続線路部45を有する。
【0090】
不平衡側線路4の一端部41が第3の信号線9に接続され、不平衡側線路4の他端部42が開放端とされる。
不平衡側線路4の一端部41の端面が不平衡側線路4の他端部42の端面と対向配置され、不平衡側線路4は矩形形状をなす。
不平衡側線路4の一端部41及び他端部42が第1の伝送線路2の他端部22及び第2の伝送線路3の他端部32と対向した位置に配置される。
不平衡側線路4の第1の伝送線路部43の一端部が不平衡側線路4の一端部41であり、不平衡側線路4の第2の伝送線路部44の他端部が不平衡側線路4の他端部42である。
【0091】
第3の信号線9は、不平衡側線路4の一端部41より外方であるY軸の+方向に直線状に形成され、第1の伝送線路2の他端部22と第2の伝送線路3の他端部32との間から外方に延在する。
不平衡側線路4の第1の伝送線路部43が第1の線路部43aと第2の線路部43bと第3の線路部43cを有する。
第1の伝送線路部43における第1の線路部43aと第2の線路部43bと第3の線路部43cそれぞれは、第1の伝送線路2の第1の線路部21と第2の線路部22と第3の線路部23それぞれと対向配置される。
【0092】
不平衡側線路4の第2の伝送線路部44が第1の線路部44aと第2の線路部44bと第3の線路部44cを有する。
第2の伝送線路部44における第1の線路部44aと第2の線路部44bと第3の線路部44cそれぞれは、第2の伝送線路3の第1の線路部31と第2の線路部32と第3の線路部33それぞれと対向配置される。
【0093】
第1のオープンスタブ5は平衡側線路を構成する第2の伝送線路3の一端部に接続される。
第1のオープンスタブ5は、第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間のギャップG1が位置する第2の伝送線路3の端部に第2の伝送線路3と一体に形成される。
第1のオープンスタブ5は第2の伝送線路3の一端部から外側、つまり、Y軸の-方向に延在し、第1の信号線7と第2の信号線8の間に介在する。
【0094】
第1のオープンスタブ5は、第2の伝送線路3の一端部から内方、つまり、X軸の-方向に延在する延伸部51と延伸部51からY軸の-方向に直角に屈曲されて延在し、第2のオープンスタブ6に対向する結合部52を有する。
第1のオープンスタブ5の長さ、厳密には結合部52の長さは、伝送される信号の中心周波数における波長の数分の一波長、例えば、1/30波長から1/4波長の長さである。
【0095】
第2のオープンスタブ6は不平衡側線路4に接続される。
第2のオープンスタブ6は第1のオープンスタブ5と第3の結合線路C3を構成する。
第2のオープンスタブ6は、不平衡側線路4の接続線路部45に接続される。
第2のオープンスタブ6は不平衡側線路4の接続線路部45から外側、つまり、Y軸の-方向に延在し、第1のオープンスタブ5の結合部52と対向して第1の信号線7と第2の信号線8の間に介在する。
第2のオープンスタブ6の長さ、厳密には第1のオープンスタブ5の結合部52と対向配置される部分の長さは、伝送される信号の中心周波数における波長の数分の一波長、例えば、1/30波長から1/4波長の長さである。
【0096】
このように構成された実施の形態5に係る平衡線路-不平衡線路変換器も、実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器と同様な効果を有する。
なお、平衡側線路及び不平衡側線路4をストリップ線路により形成、平衡側線路及び不平衡側線路4をマイクロストリップ線路により形成、もしくは、平衡側線路及び不平衡側線路4の一方をストリップ線路、他方をマイクロストリップ線路により形成してもよい。
【0097】
実施の形態6.
実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器を、
図16から
図18を用いて説明する。
実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3はそれぞれ矩形の3辺を構成する形状をし、第1の伝送線路2と第2の伝送線路3が対向配置されて矩形の4辺を構成し、不平衡側線路4は矩形の4辺を構成する形状をしている。
【0098】
これに対して、実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3はそれぞれ一直線状をし、不平衡側線路4及び第3の信号線9が一直線状をしている点が実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器と相違し、その他の点については同じである。
図16から
図18中、
図1から
図6に示した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0099】
以下に、実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器との相違点である、第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と、不平衡側線路4及び第3の信号線9について主として説明する。
実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、
図16から
図18に示すように、多層の誘電体基板1と、第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3を有する平衡側線路と、不平衡側線路4と、第1のオープンスタブ5と、第2のオープンスタブ6と、第1の信号線7と、第2の信号線8と、第3の信号線9を備える。
【0100】
平衡側線路を構成する第1の伝送線路2は、一端部21が第1の信号端部とされ、他端部22が短絡される。
第1の伝送線路2は誘電体基板1の第1の導体層11に形成される。
第1の伝送線路2は、
図16及び
図17に示すように、一端部21から外方であるX軸の-方向に直線状に形成される。
【0101】
第1の伝送線路2の一端部21が誘電体基板1の第1の導体層11に形成された第1の信号線7に接続される。
第1の伝送線路2と第1の信号線7は連続する導体層により一体に形成される。
第1の信号線7は、
図16及び
図17に示すように、第1の伝送線路2の一端部21から直角に屈曲されてY軸の-方向に直線状に形成される。
第1の伝送線路2の他端部22が接地層、本例においては裏面の接地層14にビアVaを介して接続される。
第1の伝送線路2の長さ、つまり一端部21から他端部22までの長さは、伝送する信号の中心周波数に対して約90度の長さである。
【0102】
平衡側線路を構成する第2の伝送線路3は、一端部31が第2の信号端部とされ、他端部32が短絡される。
第2の伝送線路3は誘電体基板1の第1の導体層11に形成される。
第2の伝送線路3は、
図16及び
図17に示すように、一端部31から外方であるX軸の+方向に直線状に形成される。
【0103】
第1の伝送線路2における一端部21の端面と第2の伝送線路3における一端部31の端面が対向して配置される。
第1の伝送線路2における一端部21の端面と第2の伝送線路3における一端部31の端面との間には、第1の伝送線路2と第2の伝送線路3のインピーダンスを実現するためなどにより、ギャップG1を有して配置される。
第1の伝送線路2と第2の伝送線路3は、電磁波の伝送方向が逆向きとなるように配置される。
【0104】
第2の伝送線路3の一端部31が誘電体基板1の第1の導体層11に形成された第2の信号線8に接続される。
第2の伝送線路3と第2の信号線8は連続する導体層により一体に形成される。
第2の信号線8は、
図16及び
図17に示すように、第2の伝送線路3の一端部31から直角に屈曲されてY軸の-方向に直線状に形成され、第1の信号線7と並行して配置される。
第1の信号線7と第2の信号線8もギャップG1と同じ間隔を有して配置される。
【0105】
第2の伝送線路3の他端部32が接地層、本例においては裏面の接地層14にビアVbを介して接続される。
第2の伝送線路3の長さ、つまり一端部31から他端部32までの長さは、伝送する信号の中心周波数に対して約90度の長さである。
【0106】
不平衡側線路4は、一端部41が第3の信号端部とされ、他端部42が開放端とされる。
不平衡側線路4は、第1の伝送線路2と第1の結合線路C1を構成する第1の伝送線路部43と、第2の伝送線路3と第2の結合線路C2を構成する第2の伝送線路部44と、第1の伝送線路部43と第2の伝送線路部44を接続する接続線路部45を有する。
不平衡側線路4は誘電体基板1の第2の導体層12に形成される。
【0107】
不平衡側線路4の第1の伝送線路部43は第1の伝送線路2にZ軸方向において絶縁層を介して対向して配置される。
不平衡側線路4の第2の伝送線路部44は第2の伝送線路3にZ軸方向において絶縁層を介して対向して配置される。
第1の伝送線路部43と第2の伝送線路部44は接続線路部45を介して連続的に形成される。
【0108】
不平衡側線路4の一端部41は第1の伝送線路2の他端部22にZ軸方向において絶縁層を介して対向した位置に配置される。
不平衡側線路4の他端部42は第2の伝送線路3の他端部32にZ軸方向において絶縁層を介して対向した位置に配置される。
不平衡側線路4の第1の伝送線路部43の一端部が不平衡側線路4の一端部41であり、不平衡側線路4の第2の伝送線路部44の他端部が不平衡側線路4の他端部42である。
【0109】
不平衡側線路4の一端部41の端面は第1の伝送線路2の他端部22の端面とZ軸方向に形成される平面上に位置する。
不平衡側線路4の他端部42の端面は第2の伝送線路3の他端部32の端面とZ軸方向に形成される平面上に位置する。
不平衡側線路4の接続線路部43は第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間のギャップG1に対してZ軸方向に対向して絶縁層を介して配置される。
【0110】
不平衡側線路4における第1の伝送線路部43と第2の伝送線路部44と接続線路部43が連続する導体層により一体に形成され、
図16及び
図18に示すように、一端部41から他端部42までX軸に平行に直線状に形成される。
不平衡側線路4の一端部41が第2の導体層12に形成された第3の信号線9に接続される。
不平衡側線路4と第3の信号線9は連続する導体層により一体に形成される。
第3の信号線9は、
図16及び
図18に示すように、不平衡側線路4の一端部41からX軸の-方向に直線状に形成される。
【0111】
不平衡側線路4の長さ、つまり一端部41から他端部42までの第1の伝送線路部43と第2の伝送線路部44と接続線路部45を経由した長さは、伝送する信号の中心周波数に対して約180度の長さである。
【0112】
平衡側線路を構成する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3並びに第1の信号線7及び第2の信号線8は、誘電体基板1の表面に形成された接地層13と裏面に形成された接地層14との間に挟まれたストリップ線路として形成される。
不平衡側線路4の第1の伝送線路部43と第2の伝送線路部44と接続線路部45と第3の信号線は、接地層13と接地層14との間に挟まれたストリップ線路として形成される。
なお、平衡側線路と不平衡側線路4のいずれか一方を、ストリップ線路ではなく、誘電体基板1の表面又は裏面に線路を形成するマイクロストリップ線路により形成してもよい。
【0113】
平衡側線路を構成する第1の伝送線路2と不平衡側線路4の第1の伝送線路部43、及び平衡側線路を構成する第2の伝送線路3と不平衡側線路4の第2の伝送線路部44は、
図16に示すように、誘電体基板1の裏面から透視して見ると完全に重なる。
すなわち、第1の伝送線路2と第2の伝送線路3と不平衡側線路4は同じ幅を有し、X軸に沿って直線状に配置される。
第1の伝送線路2と第2の伝送線路3と不平衡側線路4が直線状であるので、平衡信号及び不平衡信号に対する伝搬経路における不連続の影響をなくすことができ、実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器の場合以上に不平衡側線路4の接続線路部45による寄生インダクタンスを見かけ上小さくでき、電気特性が向上する。
【0114】
なお、第1の伝送線路2と第1の伝送線路部43により構成される第1の結合線路C1における結合量、及び第2の伝送線路3と第2の伝送線路部44により構成される第2の結合線路C2における結合量を調整するために、第1の伝送線路2と第1の伝送線路部43におけるY軸方向の重なり具合、及び第2の伝送線路3と第2の伝送線路部44におけるY軸方向の重なり具合をずらしてもよい。
また、第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と不平衡側線路4の幅は、各線路の特性インピーダンスに応じて、異なる線路幅としてもよい。
【0115】
第1のオープンスタブ5は平衡側線路を構成する第2の伝送線路3の一端部31に接続される。
第1のオープンスタブ5は誘電体基板1の第1の導体層11に形成される。
第1のオープンスタブ5は、第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間のギャップG1が位置する第2の伝送線路3の端部に、第1の導体層11により第2の伝送線路3と一体に形成される。
【0116】
第1のオープンスタブ5は第2の伝送線路3の一端部からY軸の+方向、つまり、第2の信号線8と反対側に延在する。
第1のオープンスタブ5は、
図16及び
図17に示すように、第2の伝送線路3の一端部31からX軸の-方向に延在する延伸部51と延伸部51からY軸の+方向に直角に屈曲されて延在し、第2のオープンスタブ6に対向する結合部52を有する。
【0117】
結合部52の第1の伝送線路2の一端側に位置する側端面は、
図16に示す中心線O-Oに対して第1の伝送線路2の一端側に配置される。
第1のオープンスタブ5の長さ、厳密には結合部52の長さは、伝送される信号の中心周波数における波長の数分の一波長、例えば、1/30波長から1/4波長の長さである。
【0118】
例えば、RFICにおいて、多層の誘電体基板1における内層に位置する第1の導体層11及び第2の導体層12それぞれに、第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3を有する平衡側線路と不平衡側線路4それぞれを形成し、第1の導体層11と第2の導体層12の間の絶縁層の厚みを数ミクロンとすると、第1のオープンスタブ5の長さは1/20波長程度の長さとするのが好ましい。
【0119】
第2のオープンスタブ6は不平衡側線路4に接続される。
第2のオープンスタブ6は誘電体基板1の第2の導体層12に形成される。
第2のオープンスタブ6は第1のオープンスタブ5と第3の結合線路C3を構成する。
第2のオープンスタブ6は、不平衡側線路4の接続線路部45の一端部に接続される。
第2のオープンスタブ6は不平衡側線路4の接続線路部45からY軸の+方向に延在する。
【0120】
第2のオープンスタブ6は第1のオープンスタブ5と絶縁層を介して第1のオープンスタブ5と対向配置され、第1のオープンスタブ5に対してX軸方向において第1の伝送線路2側に位置する。
第2のオープンスタブ6の第2の伝送線路3の一端側に位置する側端面は、
図16に示す中心線O-Oに対して第1の伝送線路2の一端側に配置される。
第2のオープンスタブ6と第1のオープンスタブ5の結合部52はY軸に対して平行な2直線として配置され、第1のオープンスタブ5の結合部52と結合線路C3を構成する。
【0121】
接続線路部45による寄生インダクタンスを第3の結合線路C3を構成する第1のオープンスタブ5と第2のオープンスタブ6によるキャパシタンスにより打ち消すことができるため、接続線路部45による寄生インダクタンスによる平衡線路-不平衡線路変換器の電気特性の劣化、つまり、平衡側線路における第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間の通過位相差の劣化を抑制し、通過位相差を改善できる。
【0122】
また、第1のオープンスタブ5の延伸部51が、第1の伝送線路2と第2の伝送線路3のギャップG1を埋めるように作用するので、第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間の通過位相差をさらに改善できる。
第2のオープンスタブ6の長さは、伝送される信号の中心周波数における波長の数分の一波長、例えば、1/30波長から1/4波長の長さである。
【0123】
例えば、RFICにおいて、多層の誘電体基板1における内層に位置する第1の導体層11及び第2の導体層12それぞれに、第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3を有する平衡側線路と不平衡側線路4それぞれを形成し、第1の導体層11と第2の導体層12の間の絶縁層の厚みを数ミクロンとすると、第2のオープンスタブ6の長さは1/20波長程度の長さとするのが好ましい。
【0124】
なお、第1のオープンスタブ5と第2のオープンスタブ6との位置関係は、第3の結合線路C3における設定した結合量を達成できれば良いので、
図16に示したように、X軸方向にずらした構成でもよく、また、X軸方向において、第1のオープンスタブ5の結合部52と第2のオープンスタブ6が重なる構成でもよい。
【0125】
実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器の動作について説明する。
平衡信号を不平衡信号に変換する平衡線路-不平衡線路変換器について説明する。
実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器の等価回路図は、
図7に示した実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器の等価回路図と同じであり、基本的には実施の形態1に係る平衡線路-不平衡線路変換器の動作と同じである。
【0126】
接続線路部45には、
図7に示すように、第1のオープンスタブ5及び第2のオープンスタブ6により構成される第3の結合線路C3が並列に接続される。
接続線路部45のインダクタンスと第3の結合線路C3のキャパシタンスによるLC回路が、不平衡側線路4の第1の伝送線路部43の他端と第2の伝送線路部44の一端との間のインピーダンス整合をとるため、不平衡側線路4に対する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3の間の通過位相差が改善される。
【0127】
また、第1のオープンスタブ5の延伸部51の端面と第1の伝送線路2における一端部21の端面とのギャップG2は、
図16及び
図17に示すようにギャップG1より狭く、不平衡側線路4の接続線路部45の長さを実質上短くできるため、接続線路部45による寄生インダクタンスを小さくでき、接続線路部45による電気特性の劣化を軽減できる。
その結果、第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間の通過位相差を改善できる。
【0128】
以上のように、実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、第2の伝送線路3の一端部31に接続された第1のオープンスタブ5と、不平衡側線路4に接続され、第1のオープンスタブ5と第3の結合線路C3を構成する第2のオープンスタブを備えたので、不平衡側線路4に存在する接続線路部45による寄生インダクタンスによる第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間の通過位相差を第3の結合線路C3により改善でき、簡易で小型な構成により、平衡線路-不平衡線路変換器の電気特性を向上できる。
【0129】
また、実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、第1の伝送線路2と第2の伝送線路3と不平衡側線路4を直線状としたので、平衡信号及び不平衡信号に対する伝搬経路における不連続の影響をなくすことができ、電気特性を向上できる。
【0130】
なお、実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器をRFICとしての機能を充実化させるためにRFICに適用した場合、複数の配線層を有するRFICにおいて、2つの異なる層の配線層を利用して実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器を形成してもよい。
また、RFICにおいて、半導体プロセスの後工程技術である再配線層を用いた構成とし、RFICの配線層と再配線層の2つの異なる層の配線層を利用して実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器を形成してもよい。
さらに、多層の再配線層を有するRFICの場合に、RFICに形成された各種回路と、再配線層とを区別した状態で、再配線層内の異なる層を用いて実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器を形成してもよい。
【0131】
またさらに、第1のオープンスタブ5の形状は、実施の形態2に示したと同様に、延伸部51と結合部52との屈曲部の外側に切り欠き53を有するものとしてもよく、また、実施の形態3に示したと同様に、延伸部51と結合部52との屈曲部の外側に円弧状の切り欠き53を有するものとしてもよい。
【0132】
また、第1のオープンスタブ5は、実施の形態4に示した考え方と同様に、第2の伝送線路3の一端部31からY軸の+方向に直角に屈曲されて延在し、第2のオープンスタブ6に対向する直線形状であってもよい。
すなわち、第1のオープンスタブ5は、第2の伝送線路3の一端部からY軸の+方向、つまり第2の信号線8に対して反対側に直角に屈曲されて延在し、第2の信号線8とY軸に沿って連続するものであってもよい。
この時の第1のオープンスタブ5の長さは、第2のオープンスタブ6との長さは同じであり、伝送される信号の中心周波数における波長の数分の一波長、例えば、1/30波長から1/4波長の長さである。
【0133】
実施の形態7.
実施の形態7に係る平衡線路-不平衡線路変換器を、
図19を用いて説明する。
実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、第1の信号線7及び第2の信号線8それぞれを同一方向であるY軸の-方向に第1の伝送線路2の一端部21と第2の伝送線路3の一端部31それぞれから延在して形成している。
これに対して、実施の形態7に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、第1の信号線7を第1の伝送線路2の一端部21からY軸の+方向に延在して形成し、第2の信号線8を第2の伝送線路3の一端部31からY軸の-方向に延在して形成している点が実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器と相違し、その他の点については同じである。
図19中、
図16から
図18に示した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0134】
以下に、実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器との相違点である第1の信号線7及び第2の信号線8と第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3並びに第1のスタブ5との関係について主として説明し、その他の構成要素については説明を省略する。
第1の信号線7は第1の伝送線路2と連続する導体層により一体に形成され、第1の伝送線路2の一端部21から直角に屈曲されてY軸の+方向に直線状に形成される。
第2の信号線8は第2の伝送線路3と連続する導体層により一体に形成され、第2の伝送線路3の一端部31から直角に屈曲されてY軸の-方向に直線状に形成される。
第1の信号線7と第2の信号線8は、第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3が配置されるX軸に沿った直線に対して互いにY軸に平行に反対側に延在する。
【0135】
第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間隔、つまり、X軸方向に対向する第1の伝送線路2の側面と第2の伝送線路3の側面の間隔は、第1の伝送線路2における一端部21の端面と第2の伝送線路3における一端部31の端面との間のギャップG1と同じである。
【0136】
第1のオープンスタブ5は、第2の伝送線路3の一端部31からX軸の-方向に延在する延伸部51と延伸部51からY軸の+方向に直角に屈曲されて延在し、第2のオープンスタブ6に対向する結合部52を有する。
第1の信号線7と第1のオープンスタブ5の結合部52は間隔を空けて平行に配置される。
【0137】
このように構成された実施の形態7に係る平衡線路-不平衡線路変換器も、実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器と同様の効果を有する。
なお、第1の信号線7をY軸の-方向に直線状に形成し、第2の信号線8及び第1のオープンスタブ5の結合部52をY軸の+方向に直線状に形成しても良い。
【0138】
また、第1のオープンスタブ5の形状は、実施の形態2に示したと同様に、延伸部51と結合部52との屈曲部の外側に切り欠き53を有するものとしてもよく、また、実施の形態3に示したと同様に、延伸部51と結合部52との屈曲部の外側に円弧状の切り欠き53を有するものとしてもよい。
さらに、第1のオープンスタブ5は、実施の形態4に示した考え方と同様に、第2の伝送線路3の一端部31からY軸の+方向に直角に屈曲されて延在し、第2のオープンスタブ6に対向する直線形状であってもよい。
【0139】
実施の形態8.
実施の形態8に係る平衡線路-不平衡線路変換器を、
図20を用いて説明する。
実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、平衡側線路を構成する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と第1のオープンスタブ5と第1の信号線7と第2の信号線8が誘電体基板1の第1の導体層11に形成され、不平衡側線路4と第2のオープンスタブ6と第3の信号線9が誘電体基板1の第2の導体層12に形成される。
すなわち、実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器において、平衡側線路を構成する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と不平衡側線路4がブロードサイド結合される。
【0140】
これに対して、実施の形態8に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、平衡側線路を構成する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と第1のオープンスタブ5と第1の信号線7と第2の信号線8と、不平衡側線路4と第2のオープンスタブ6と第3の信号線9が誘電体基板1の同じ導体層に形成される点が実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器と相違し、その他の点については同じである。
すなわち、実施の形態8に係る平衡線路-不平衡線路変換器において、平衡側線路を構成する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と不平衡側線路4が共平面結合される。
この場合、平衡側線路を構成する第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と不平衡側線路4との距離を大きくせず、平衡線路-不平衡線路変換器としての機能及び特性が得られる距離に設計される。
図20中、
図16から
図18に示した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0141】
以下に、実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器との相違点を中心に説明する。
第1の伝送線路2と第1の信号線7の形状は実施の形態6における第1の伝送線路2と第1の信号線7の形状と同様である。
すなわち、次のように構成される。
第1の伝送線路2の一端部21が第1の信号線7に接続され、第1の伝送線路2の他端部22が接地層にビアVaを介して接続される。
第1の伝送線路2は一端部21から外方であるX軸の-方向に直線状に形成される。
第1の信号線7は第1の伝送線路2と連続する導体層により一体に形成され、第1の伝送線路2の一端部21から直角に屈曲されてY軸の-方向に直線状に形成される。
【0142】
第2の伝送線路3と第2の信号線8の形状は実施の形態6における第2の伝送線路3と第2の信号線8の形状と同様である。
すなわち、次のように構成される。
第2の伝送線路3の一端部31が第2の信号線8に接続され、第2の伝送線路3の他端部32が接地層にビアVbを介して接続される。
第2の伝送線路3の一端部31の端面が第1の伝送線路2の一端部21の端面にギャップG1を介して対向配置される。
【0143】
第2の伝送線路3は一端部31から外方であるX軸の+方向に直線状に形成される。
第2の信号線8は第2の伝送線路3と連続する導体層により一体に形成され、第2の伝送線路3の一端部31から直角に屈曲されてY軸の-方向に直線状に形成される。
第1の信号線7と第2の信号線8もギャップG1と同じ間隔を有して配置される。
【0144】
不平衡側線路4の形状は実施の形態6における不平衡側線路4の形状と同様である。
すなわち、次のように構成される。
不平衡側線路4は第1の伝送線路2及び第2の伝送線路3と同じ導体層に形成される。
不平衡側線路4の一端部41が第3の信号線9に接続され、不平衡側線路4の他端部42が開放端とされる。
【0145】
不平衡側線路4は、第1の伝送線路2と第1の結合線路C1を構成する第1の伝送線路部43と、第2の伝送線路3と第2の結合線路C2を構成する第2の伝送線路部44と、第1の伝送線路部43と第2の伝送線路部44を接続する接続線路部45を有する。
不平衡側線路4は一端部41から他端部42までX軸に平行に直線状に形成され、第1の伝送線路部43と第2の伝送線路部44と接続線路部45は一直線状に形成される。
【0146】
第1の伝送線路部43が第1の伝送線路2にY軸方向に対向して配置され、第2の伝送線路部44が第2の伝送線路3にY軸方向に対向して配置され、接続線路部45が第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間のギャップG1に対してY軸方向に対向して配置される。
第3の信号線9は不平衡側線路4と連続する導体層により一体に形成され、不平衡側線路4の一端部41からX軸の-方向に直線状に形成される。
【0147】
第1のオープンスタブ5は第2の伝送線路3の一端部からX軸の-方向に延在する延伸部51と延伸部51からY軸の-方向に直角に屈曲されて延在し、第1の信号線7と第2の信号線8の間に介在する結合部52を有する。
第2のオープンスタブ6は、不平衡側線路4の接続線路部45からY軸の-方向に延在し、第1のオープンスタブ5の結合部52と対向して第1の信号線7と第2の信号線8の間に介在する。
第1のオープンスタブ5と第2のオープンスタブ6は第3の結合線路C3を構成する。
【0148】
このように構成された実施の形態8に係る平衡線路-不平衡線路変換器も、実施の形態6に係る平衡線路-不平衡線路変換器と同様な効果を有する。
なお、平衡側線路及び不平衡側線路4をストリップ線路により形成、平衡側線路及び不平衡側線路4をマイクロストリップ線路により形成、もしくは、平衡側線路及び不平衡側線路4の一方をストリップ線路、他方をマイクロストリップ線路により形成してもよい。
【0149】
実施の形態9.
実施の形態9に係るアンテナ装置を
図21を用いて説明する。
実施の形態9に係るアンテナ装置はアンテナ素子200Aと信号源300Aと平衡線路-不平衡線路変換器100Aを備える。
平衡線路-不平衡線路変換器100Aは、平衡信号、いわゆる差動信号を不平衡信号、いわゆる単相信号に変換する平衡線路-不平衡線路変換器であり、実施の形態1から実施の形態8のいずれかに示した平衡線路-不平衡線路変換器である。
【0150】
なお、ここでは送信系のアンテナ装置として以降説明する。
受信系に関しても、アンテナ素子と接続される能動回路のコンポーネント、つまり、アンテナ素子200が受信した電波に基づく受信信号を平衡線路-不平衡線路変換器100が変換した信号を処理する受信回路300が異なるのみであり、構成としては同様である。
【0151】
アンテナ素子200Aは不平衡信号が入力され、入力された不平衡信号に基づいた電波を送信する。
アンテナ素子200Aはパッチアンテナ又はスロットアンテナである。
アンテナ素子200Aは設計仕様を満たしていればよく、パッチアンテナ又はスロットアンテナ以外のアンテナでもよい。
アンテナ素子200Aは出力信号線として機能する第3の信号線9に接続され、平衡線路-不平衡線路変換器100Aからの不平衡信号が入力される。
【0152】
信号源300Aはアンテナ素子200Aが送信する電波に対する平衡信号を出力する。
信号源300Aは増幅器又はミクサといったアクティブコンポーネントを指す能動回路である。
能動回路の前段に配置される入力線路から能動回路へアンテナ素子200Aから送信される電波に対する電力が供給され、入力された電力が能動回路内を伝送されて平衡信号として出力される。
信号源300Aは入力信号線として機能する第1の信号線7及び第2の信号線8に接続される。
【0153】
信号源300Aからの平衡信号の一方の信号は第1の信号線7を介して平衡線路-不平衡線路変換器100Aの第1の伝送線路2に入力される。
信号源300Aからの平衡信号の一方の信号と差動信号の関係にある他方の信号は第2の信号線8を介して平衡線路-不平衡線路変換器100Aの第2の伝送線路3に入力される。
【0154】
平衡線路-不平衡線路変換器100Aにおいて、第1の伝送線路2に入力された平衡信号の一方の信号は第1の結合線路C1を構成する不平衡側線路4の第1の伝送線路部43との電磁界結合により第1の伝送線路部43に不平衡信号として流れ、第2の伝送線路3に入力された平衡信号の他方の信号は第2の結合線路C2を構成する不平衡側線路4の第2の伝送線路部44との電磁界結合により第2の伝送線路部4に不平衡信号として流れ、第1のオープンスタブ5と第2のオープンスタブ6とにより構成される第3の結合線路C3により第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間の通過位相差を改善されて不平衡信号として第3の信号線9に出力される。
【0155】
このように構成された実施の形態9に係るアンテナ装置は、信号源300Aからの平衡信号を実施の形態1から実施の形態8のいずれかに示した平衡線路-不平衡線路変換器100Aにより不平衡信号としてアンテナ素子200Aに出力されるので、平衡線路-不平衡線路変換器100Aのサイズを小さくして電気特性を向上させることができるため、アンテナ装置の小型化を実現したうえで、アンテナ装置としての電気特性を向上させることができる。
【0156】
実施の形態9に係るアンテナ装置において、平衡線路-不平衡線路変換器100Aと信号源300Aを構成する能動回路を同じ多層の誘電体基板1に組み込んでもよい。
また、平衡線路-不平衡線路変換器100Aをプリント基板に設けられた多層の誘電体層(本件では誘電体基板として扱う)に形成し、信号源300Aを構成する能動回路をRFICに組み込んでもよい。
この場合、平衡線路-不平衡線路変換器100Aが形成された誘電体層及び能動回路を組み込んだRFICはワイヤボンディングにより電気的接続がされてもよく、また、RFICははんだボールなどの導電性材料を用いてプリント基板にフリップチップ実装されてもよい。
【0157】
アンテナ素子200Aも、平衡線路-不平衡線路変換器100Aと信号源300Aを構成する能動回路と同じ多層の誘電体基板1に組み込んだRFIC上に搭載し、オンチップアンテナの構成としてもよい。
また、アンテナ素子200Aは平衡線路-不平衡線路変換器100Aが誘電体層に形成されたプリント基板上に形成してもよい。
【0158】
実施の形態10.
実施の形態10に係るアンテナ装置を
図22を用いて説明する。
実施の形態10に係るアンテナ装置はアンテナ素子200Bと信号源300Bと平衡線路-不平衡線路変換器100Bを備える。
平衡線路-不平衡線路変換器100Bは、不平衡信号、いわゆる単相信号を平衡信号、いわゆる差動信号に変換する平衡線路-不平衡線路変換器であり、実施の形態1から実施の形態8のいずれかに示した平衡線路-不平衡線路変換器である。
【0159】
なお、ここでは送信系のアンテナ装置として以降説明する。
受信系に関しても、アンテナ素子と接続される能動回路のコンポーネント、つまり、アンテナ素子200が受信した電波に基づく受信信号を平衡線路-不平衡線路変換器100が変換した信号を処理する受信回路300が異なるのみであり、構成としては同様である。
【0160】
アンテナ素子200Bは平衡信号が入力され、入力された平衡信号に基づいた電波を送信する。
アンテナ素子200Bはモノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、又はビバルディアンテナのいずれかのアンテナである。
アンテナ素子200Bは設計仕様を満たしていればよく、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、又はビバルディアンテナ以外のアンテナでもよい。
アンテナ素子200Bは出力信号線として機能する第1の信号線7及び第2の信号線8に接続され、平衡線路-不平衡線路変換器100Bからの平衡信号が入力される。
【0161】
信号源300Bはアンテナ素子200Bが送信する電波に対する不平衡信号を出力する。
信号源300Bは増幅器又はミクサといったアクティブコンポーネントを指す能動回路である。
能動回路の前段に配置される入力線路から能動回路へアンテナ素子200Bから送信される電波に対する電力が供給され、入力された電力が能動回路内を伝送されて不平衡信号として出力される。
信号源300Bは入力信号線として機能する第3の信号線9に接続される。
【0162】
信号源300Bからの不平衡信号は第3の信号線9を介して平衡線路-不平衡線路変換器100Bの不平衡側線路4に入力される。
平衡線路-不平衡線路変換器100Bにおいて、不平衡側線路4に入力された不平衡信号は第1の伝送線路部43と第1の結合線路C1を構成する第1の伝送線路2との電磁界結合により第1の伝送線路2に平衡信号の一方の信号として流れ、また、第2の伝送線路部44と第2の結合線路C2を構成する第2の伝送線路3との電磁界結合により第2の伝送線路3に平衡信号の他方の信号として流れ、第1のオープンスタブ5と第2のオープンスタブ6とにより構成される第3の結合線路C3により第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間の通過位相差を改善されて平衡信号として第1の信号線7及び第2の信号線8に出力される。
【0163】
このように構成された実施の形態10に係るアンテナ装置は、信号源300Bからの不平衡信号を実施の形態1から実施の形態8のいずれかに示した平衡線路-不平衡線路変換器100Bにより平衡信号としてアンテナ素子200Bに出力されるので、平衡線路-不平衡線路変換器100Bのサイズを小さくして電気特性を向上させることができるため、アンテナ装置の小型化を実現したうえで、アンテナ装置としての電気特性を向上させることができる。
【0164】
実施の形態10に係るアンテナ装置において、平衡線路-不平衡線路変換器100Bと信号源300Bを構成する能動回路を同じ多層の誘電体基板1に組み込んでもよい。
また、平衡線路-不平衡線路変換器100Bをプリント基板に設けられた多層の誘電体層に形成し、信号源300Bを構成する能動回路をRFICに組み込んでもよい。
【0165】
この場合、平衡線路-不平衡線路変換器100Bが形成された誘電体層及び能動回路を組み込んだRFICはワイヤボンディングにより電気的接続がされてもよく、また、RFICははんだボールなどの導電性材料を用いてプリント基板にフリップチップ実装されてもよい。
【0166】
アンテナ素子200Bも、平衡線路-不平衡線路変換器100Bと信号源300Bを構成する能動回路と同じ多層の誘電体基板1に組み込んだRFIC上に搭載し、オンチップアンテナの構成としてもよい。
また、アンテナ素子200Bは平衡線路-不平衡線路変換器100Aが誘電体層に形成されたプリント基板上に形成してもよい。
【0167】
実施の形態11.
実施の形態11に係るアンテナ装置を
図23を用いて説明する。
実施の形態11に係るアンテナ装置は複数のアンテナ素子200
1~200
nを備えたアレーアンテナ装置である。
すなわち、実施の形態11に係るアンテナ装置は、実施の形態9に示したアンテナ素子200Aと信号源300Aと平衡線路-不平衡線路変換器100Aを備えるアンテナ装置を1組としてn組備えたアンテナ装置である。nは2以上の自然数であり、複数である。
なお、ここでは送信系のアンテナ装置として以降説明する。
受信系に関しても、アンテナ素子と接続される能動回路のコンポーネント、つまり、アンテナ素子200が受信した電波に基づく受信信号を平衡線路-不平衡線路変換器100が変換した信号を処理する受信回路300が異なるのみであり、構成としては同様である。
【0168】
実施の形態11に係るアンテナ装置は複数のアンテナ素子2001~200nを有するアンテナ素子群と複数の信号源3001~300nを有する信号源群と複数の平衡線路-不平衡線路変換器1001~100nを有する変換器群と制御部400を備える。
平衡線路-不平衡線路変換器1001~100nそれぞれとアンテナ素子2001~200nそれぞれと信号源3001~300nそれぞれは対応して設けられ、それぞれが実施の形態9に示したアンテナ素子200Aと信号源300Aと平衡線路-不平衡線路変換器100Aと同様の構成として1組を構成する。
【0169】
すなわち、変換器群を構成する平衡線路-不平衡線路変換器1001~100nそれぞれは、平衡信号、いわゆる差動信号を不平衡信号、いわゆる単相信号に変換する平衡線路-不平衡線路変換器であり、実施の形態1から実施の形態8のいずれかに示した平衡線路-不平衡線路変換器である。
【0170】
アンテナ素子群を構成するアンテナ素子2001~200nそれぞれは、出力信号線として機能する対応する第3の信号線91~9nそれぞれに接続され、対応する平衡線路-不平衡線路変換器1001~100nそれぞれからの不平衡信号が入力される。
アンテナ素子2001~200nそれぞれは対応する平衡線路-不平衡線路変換器1001~100nそれぞれから入力された不平衡信号に基づいた電波を送信する。
アンテナ素子2001~200nそれぞれは実施の形態9におけるアンテナ素子200Aと同様である。
【0171】
信号源群を構成する信号源3001~300nそれぞれはアンテナ素子群を構成するアンテナ素子3001~300nそれぞれに対応する。
信号源3001~300nそれぞれは対応するアンテナ素子2001~200nそれぞれが送信する電波に対する平衡信号を出力信号として出力する。
信号源3001~300nそれぞれは入力信号線として機能する対応する第1の信号線71~7nそれぞれ及び第2の信号線81~8nそれぞれに接続される。
【0172】
信号源3001~300nそれぞれからの平衡信号の一方の信号は対応する第1の信号線71~7nそれぞれを介して対応する平衡線路-不平衡線路変換器1001~100nそれぞれの第1の伝送線路2に入力される。
信号源3001~300nそれぞれからの平衡信号の一方の信号と差動信号の関係にある他方の信号は対応する第2の信号線81~8nそれぞれを介して対応する平衡線路-不平衡線路変換器1001~100nそれぞれの第2の伝送線路3に入力される。
信号源2001~200nそれぞれは実施の形態9における信号源200Aと同様である。
【0173】
平衡線路-不平衡線路変換器1001~100nそれぞれにおいて、第1の伝送線路2に入力された平衡信号の一方の信号は第1の結合線路C1を構成する不平衡側線路4の第1の伝送線路部43との電磁界結合により第1の伝送線路部43に不平衡信号として流れ、第2の伝送線路3に入力された平衡信号の他方の信号は第2の結合線路C2を構成する不平衡側線路4の第2の伝送線路部44との電磁界結合により第2の伝送線路部4に不平衡信号として流れ、第1のオープンスタブ5と第2のオープンスタブ6とにより構成される第3の結合線路C3により第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間の通過位相差を改善されて不平衡信号として第3の信号線9に出力される。
【0174】
制御部400は、信号源群を構成する信号源3001~300nそれぞれを制御し、信号源3001~300nそれぞれへの電力の供給及び入力された電力に対する平衡信号としての出力のタイミングを制御する。
制御部400からの制御により、アンテナ素子群を構成するアンテナ素子2001~200nそれぞれからの電波の送信が制御され、アンテナ装置はアレーアンテナ装置として機能する。
【0175】
このように構成された実施の形態11に係るアンテナ装置は、アンテナ素子と信号源と平衡線路-不平衡線路変換器から構成される組をn組備え、信号源3001~300nそれぞれからの平衡信号を実施の形態1から実施の形態8のいずれかに示した対応する平衡線路-不平衡線路変換器1001~100nそれぞれにより不平衡信号として対応するアンテナ素子2001~200nそれぞれに出力されるので、平衡線路-不平衡線路変換器1001~100nによる変換器群のサイズを小さくして平衡線路-不平衡線路変換器1001~100nそれぞれの電気特性を向上させることができるため、アレーアンテナ装置の小型化を実現した上で、アレーアンテナ装置としての電気特性を向上させることができる。
【0176】
実施の形態11に係るアンテナ装置において、変換器群と信号源群を構成する能動回路それぞれを同じ多層の誘電体基板1に組み込んでもよい。
また、変換器群をプリント基板に設けられた多層の誘電体層に形成し、信号源群を構成する能動回路をRFICに組み込んでもよい。
この場合、平衡線路-不平衡線路変換器100Aが形成された誘電体層及び能動回路を組み込んだRFICはワイヤボンディングにより電気的接続がされてもよく、また、RFICははんだボールなどの導電性材料を用いてプリント基板にフリップチップ実装されてもよい。
【0177】
アンテナ素子群も、変換器群と信号源群を構成する能動回路それぞれと同じ多層の誘電体基板1に組み込んだRFIC上に搭載し、オンチップアレーアンテナの構成としてもよい。
また、アンテナ素子群は変換器群が誘電体層に形成されたプリント基板上に形成してもよい。
【0178】
なお、実施の形態11に係るアンテナ装置は、実施の形態9に示したアンテナ素子200Aと信号源300Aと平衡線路-不平衡線路変換器100Aを備えるアンテナ装置を1組としてn組備えたアンテナ装置としたが、他のアンテナ装置として実施の形態10に示したアンテナ素子200Bと信号源300Bと平衡線路-不平衡線路変換器100Bを備えるアンテナ装置を1組としてn組備え、制御部400により制御されるアンテナ装置としてもよい。
【0179】
この場合、変換器群を構成する平衡線路-不平衡線路変換器1001~100nそれぞれは、不平衡信号、いわゆる単相信号を平衡信号、いわゆる差動信号に変換する平衡線路-不平衡線路変換器であり、実施の形態1から実施の形態8のいずれかに示した平衡線路-不平衡線路変換器である。
アンテナ素子群を構成するアンテナ素子2001~200nそれぞれは、対応する平衡線路-不平衡線路変換器1001~100nそれぞれから入力された平衡信号に基づいた電波を送信し、実施の形態10におけるアンテナ素子200Bと同様である。
信号源群を構成する信号源3001~300nそれぞれは対応するアンテナ素子2001~200nそれぞれが送信する電波に対する不平衡信号を出力信号として平衡線路-不平衡線路変換器1001~100nそれぞれに出力し、実施の形態10における信号源200Bと同様である。
【0180】
実施の形態12.
実施の形態12に係るアンテナ装置を
図24を用いて説明する。
実施の形態12に係るアンテナ装置は複数のアンテナ素子200
1~200
nを備えたアレーアンテナ装置である。
実施の形態11に係るアンテナ装置は、アンテナ素子200
1~200
nそれぞれに対して平衡線路-不平衡線路変換器100
1~100
nと信号源300
1~300
nを1対1に対応させた1組として構成している。
【0181】
これに対して、実施の形態12に係るアンテナ装置は、アンテナ素子2001~200nそれぞれに対して平衡線路-不平衡線路変換器10011、10012~100n1、100n2と信号源30011、30012~300n1、300nを1対p(pは2以上の自然数、複数)に対応させた1組として構成している。
本例においてはp=2として説明する。
なお、ここでは送信系のアンテナ装置として以降説明する。
受信系に関しても、アンテナ素子と接続される能動回路のコンポーネント、つまり、アンテナ素子200が受信した電波に基づく受信信号を平衡線路-不平衡線路変換器100が変換した信号を処理する受信回路300が異なるのみであり、構成としては同様である。
【0182】
実施の形態12に係るアンテナ装置は、複数のアンテナ素子2001~200nを有するアンテナ素子群と、複数の信号源30011、30012~300n1、300n2を有する複数の信号源グループを具備する信号源群と、複数の平衡線路-不平衡線路変換器10011、10012~100n1、100n2を有する複数の変換器グループを具備する変換器群と、制御部400と、複数の電力合成回路5001~500nを有する合成回路群を備える。
【0183】
アンテナ素子2001~200nそれぞれと信号源グループそれぞれと変換器グループそれぞれは対応して設けられる。
変換器グループそれぞれは、本例においては2個の平衡線路-不平衡線路変換器100111、10012~100n1100n2を1つのグループとする。
平衡線路-不平衡線路変換器10011、10012~100n1、100n2それぞれは、平衡信号、いわゆる差動信号を不平衡信号、いわゆる単相信号に変換する平衡線路-不平衡線路変換器であり、実施の形態1から実施の形態8のいずれかに示した平衡線路-不平衡線路変換器である。
【0184】
合成回路群を構成する複数の電力合成回路5001~500nそれぞれは複数のアンテナ素子2001~200nそれぞれに対応し、第1の入力端及び第2の入力端と出力端を有する。
電力合成回路5001~500nそれぞれは第1の入力端及び第2の入力端それぞれに入力された同じ不平衡信号を合成して1つの不平衡信号として出力端に出力する。
【0185】
電力合成回路5001~500nそれぞれの第1の入力端と及び第2の入力端は、対応する複数の変換器グループそれぞれの2個の平衡線路-不平衡線路変換器10011、10012~100n1、100n2の不平衡側線路4からの不平衡信号が出力される出力信号線として機能する対応する2つの第3の信号線911、912~9n1、9n2それぞれに接続される。
【0186】
アンテナ素子群を構成するアンテナ素子2001~200nそれぞれは、対応する電力合成回路5001~500nそれぞれの出力端に接続され、対応する変換器グループの2個の平衡線路-不平衡線路変換器10011、10012~100n1、100n2それぞれからの2つの不平衡信号が合成されて入力される。
【0187】
アンテナ素子2001~200nそれぞれは、2つの不平衡信号が合成された不平衡信号に基づいた電波を送信する。
アンテナ素子2001~200nそれぞれの電力量は電力合成回路5001~500nそれぞれによって不平衡信号の2倍の電力量となる。
アンテナ素子2001~200nそれぞれは実施の形態9におけるアンテナ素子200Aと同様である。
【0188】
信号源群を構成する信号源グループそれぞれはアンテナ素子群を構成するアンテナ素子3001~300nそれぞれに対応する。
信号源グループそれぞれは、本例においては2個の信号源30011、30012~300n1、300n2を1つのグループとする。
信号源グループそれぞれを構成する2個の信号源30011、30012~300n1、300n2それぞれは対応するアンテナ素子2001~200nそれぞれが送信する電波に対する平衡信号を出力信号として出力する。
【0189】
信号源グループそれぞれを構成する2個の信号源30011、30012~300n1、300n2それぞれはそれぞれが信号源グループそれぞれに対応する入力信号線として機能する2つの第1の信号線711、712~7n1、7n2それぞれ及び第2の信号線811、812~8n1、8n2それぞれに接続される。
信号源グループそれぞれを構成する2個の信号源30011、30012~300n1、300n2それぞれからの平衡信号の一方の信号は信号源グループそれぞれに対応する第1の信号線711、712~7n1、7n2それぞれを介して信号源グループそれぞれに対応する変換器グループの平衡線路-不平衡線路変換器10011、10012~100n1、100n2それぞれの第1の伝送線路2に入力される。
【0190】
信号源グループそれぞれを構成する2個の信号源30011、30012~300n1、300n2それぞれからの平衡信号の他方の信号は信号源グループそれぞれに対応する第2の信号線811、812~8n1、8n2それぞれを介して信号源グループそれぞれに対応する変換器グループの平衡線路-不平衡線路変換器10011、10012~100n1、100n2それぞれの第2の伝送線路3に入力される。
信号源30011、30012~300n1、300n2それぞれは実施の形態9における信号源300Aと同様である。
【0191】
平衡線路-不平衡線路変換器10011、10012~100n1、100n2それぞれにおいて、第1の伝送線路2に入力された平衡信号の一方の信号は第1の結合線路C1を構成する不平衡側線路4の第1の伝送線路部43との電磁界結合により第1の伝送線路部43に不平衡信号として流れ、第2の伝送線路3に入力された平衡信号の他方の信号は第2の結合線路C2を構成する不平衡側線路4の第2の伝送線路部44との電磁界結合により第2の伝送線路部4に不平衡信号として流れ、第1のオープンスタブ5と第2のオープンスタブ6とにより構成される第3の結合線路C3により第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間の通過位相差を改善されて不平衡信号として第3の信号線9に出力される。
【0192】
制御部400は、信号源群を構成する信号源30011、30012~300n1、300n2それぞれを信号源グループ毎に制御し、信号源30011、30012~300n1、300n2それぞれへの電力の供給及び入力された電力に対する平衡信号としての出力のタイミングを制御する。
制御部400からの制御により、アンテナ素子群を構成するアンテナ素子2001~200nそれぞれからの電波の送信が制御され、アンテナ装置はアレーアンテナ装置として機能する。
【0193】
このように構成された実施の形態12に係るアンテナ装置は、アンテナ素子と複数の信号源を有する信号源グループと複数の平衡線路-不平衡線路変換器を有する変換器グループを備える構成の組をn組備え、信号源グループ単位で制御される信号源30011、30012~300n1、300n2それぞれからの平衡信号を実施の形態1から実施の形態8のいずれかに示した信号源グループそれぞれに対応する変換器グループの平衡線路-不平衡線路変換器10011、10012~100n1、100n2それぞれにより不平衡信号として変換器グループそれぞれに対応するアンテナ素子2001~200nそれぞれに出力されるので、平衡線路-不平衡線路変換器10011、10012~100n1、100n2による変換器群のサイズを小さくして平衡線路-不平衡線路変換器10011、10012~100n1、100n2それぞれの電気特性を向上させることができ、アンテナ素子2001~200nそれぞれに供給する電力量を大きくできるため、アレーアンテナ装置の小型化を実現し、アンテナ素子2001~200nそれぞれから送信される電力を大きくした上で、アレーアンテナ装置としての電気特性を向上させることができる。
【0194】
実施の形態12に係るアンテナ装置において、変換器群と信号源群を構成する能動回路と合成回路群それぞれを同じ多層の誘電体基板1に組み込んでもよい。
また、変換器群をプリント基板に設けられた多層の誘電体層に形成し、信号源群を構成する能動回路をRFICに組み込み、合成回路群をプリント基板上に形成してもよい。
この場合、変換器群が形成された誘電体層及び能動回路を組み込んだRFICはワイヤボンディングにより電気的接続がされてもよく、また、RFICははんだボールなどの導電性材料を用いてプリント基板にフリップチップ実装されてもよい。
【0195】
アンテナ素子群も、変換器群と信号源群を構成する能動回路と合成回路群それぞれと同じ多層の誘電体基板1に組み込んだRFIC上に搭載し、オンチップアレーアンテナの構成としてもよい。
また、アンテナ素子群は変換器群が誘電体層に形成されたプリント基板上に形成してもよい。
【0196】
なお、実施の形態12に係るアンテナ装置は、実施の形態9に示したアンテナ素子200Aと複数の信号源300Aを有する信号源グループと複数の平衡線路-不平衡線路変換器100Aを有する変換器グループを備えるアンテナ装置を1組としてn組備えたアンテナ装置としたが、他のアンテナ装置として実施の形態10に示したアンテナ素子200Bと複数の信号源300Bを有する信号源グループと複数の平衡線路-不平衡線路変換器100Bを有する変換器グループを備えるアンテナ装置を1組としてn組備え、制御部400により制御されるアンテナ装置としてもよい。
【0197】
この場合、変換器群を構成する平衡線路-不平衡線路変換器10011、10012~100n1、100n2それぞれは、不平衡信号、いわゆる単相信号を平衡信号、いわゆる差動信号に変換する平衡線路-不平衡線路変換器であり、実施の形態1から実施の形態8のいずれかに示した平衡線路-不平衡線路変換器である。
【0198】
アンテナ素子群を構成するアンテナ素子2001~200nそれぞれは、対応する変換器グループを構成する複数の平衡線路-不平衡線路変換器10011、10012~100n1、100n2それぞれから入力された平衡信号に基づいた電波を送信し、実施の形態10におけるアンテナ素子200Bと同様である。
【0199】
信号源群を構成する信号源30011、30012~300n1、300n2それぞれは信号源群グループに対応するアンテナ素子2001~200nそれぞれが送信する電波に対する不平衡信号を出力信号として信号源群グループに対応する変換器グループの平衡線路-不平衡線路変換器10011、10012~100n1、100n2それぞれに出力し、実施の形態10における信号源200Bと同様である。
【0200】
実施の形態13.
実施の形態13に係るアンテナ装置を
図25を用いて説明する。
実施の形態13に係るアンテナ装置は複数のアンテナ素子200
1~200
nを備えたアレーアンテナ装置である。
実施の形態11に係るアンテナ装置は、アンテナ素子200
1~200
nそれぞれに対して平衡線路-不平衡線路変換器100
1~100
nと信号源300
1~300
nを1対1に対応させた1組として構成している。
【0201】
これに対して、実施の形態13に係るアンテナ装置は、アンテナ素子2001~200nそれぞれに対して平衡線路-不平衡線路変換器1001~100mと信号源3001~300mを1対1/qに対応させた1組として構成している。
qは2以上の自然数、つまり複数であり、mはn/qである。
本例においてはq=2として説明する。
なお、ここでは送信系のアンテナ装置として以降説明する。
受信系に関しても、アンテナ素子と接続される能動回路のコンポーネント、つまり、アンテナ素子200が受信した電波に基づく受信信号を平衡線路-不平衡線路変換器100が変換した信号を処理する受信回路300が異なるのみであり、構成としては同様である。
【0202】
実施の形態13に係るアンテナ装置は、複数のアンテナ素子2001~200nを有する複数のアンテナ素子グループを具備するアンテナ素子群と、複数のアンテナ素子グループに対応する複数の信号源3001~300mを有する信号源群と、複数のアンテナ素子グループに対応する複数の平衡線路-不平衡線路変換器1001~100mを有する変換器群と、制御部400と、複数の電力分配回路6001~600mを有する分配回路群を備える。
【0203】
複数のアンテナ素子グループそれぞれと複数の信号源3001~300mそれぞれと複数の平衡線路-不平衡線路変換器1001~100mそれぞれは対応して設けられる。
対応して受けられた複数のアンテナ素子グループそれぞれと複数の信号源3001~300mそれぞれと複数の平衡線路-不平衡線路変換器1001~100mそれぞれは1つのサブアレーを構成する。
本例において、2つのアンテナ素子と1つ信号源と1つの平衡線路-不平衡線路変換器によりサブアレーを構成し、m個のサブアレーによりアレーアンテナを構成する。
【0204】
平衡線路-不平衡線路変換器1001~100mそれぞれは、平衡信号、いわゆる差動信号を不平衡信号、いわゆる単相信号に変換する平衡線路-不平衡線路変換器であり、実施の形態1から実施の形態8のいずれかに示した平衡線路-不平衡線路変換器である。
分配回路群を構成する複数の電力分配回路6001~600mそれぞれは複数のアンテナ素子グループそれぞれに対応し、入力端と第1の出力端及び第2の出力端を有する。
電力分配回路6001~600mそれぞれは入力端に入力された不平衡信号を分配して2つの不平衡信号とし、第1の出力端及び第2の出力端それぞれに同じ不平衡信号を出力する。
【0205】
電力分配回路6001~600mそれぞれの入力端は、対応する複数の平衡線路-不平衡線路変換器1001~100mそれぞれの不平衡側線路4からの不平衡信号が出力される出力信号線として機能する対応する第3の信号線91~9mそれぞれに接続される。
アンテナ素子群を構成するアンテナ素子2001~200nそれぞれは、アンテナ素子グループそれぞれに対応する分配回路6001~600mそれぞれの第1の出力端及び第2の出力端それぞれに接続され、アンテナ素子グループそれぞれに対応する平衡線路-不平衡線路変換器1001~100mそれぞれからの不平衡信号が対応する分配回路6001~600mそれぞれにより2つに分配されて入力される。
【0206】
アンテナ素子2001~200nそれぞれは、アンテナ素子グループそれぞれに対応する分配回路6001~600mそれぞれにより2つに分配された不平衡信号に基づいた電波を送信する。
アンテナ素子2001~200nそれぞれは、アンテナ素子グループ毎、つまり、サブアレー毎に同じ不平衡信号に基づいた電波を送信する。
アンテナ素子グループそれぞれは、本例においては2個のアンテナ素子2001~200nを1つのグループとする。
アンテナ素子2001~200nそれぞれは実施の形態9におけるアンテナ素子200Aと同様である。
【0207】
信号源群を構成する信号源3001~300mそれぞれはアンテナ素子群を構成する複数のアンテナ素子グループそれぞれに対応する。
信号源3001~300mそれぞれはそれぞれに対応する入力信号線として機能する2つの第1の信号線71~7mそれぞれ及び第2の信号線81~8mそれぞれに接続される。
【0208】
信号源3001~300mそれぞれからの平衡信号の一方の信号はそれぞれに対応する平衡線路-不平衡線路変換器1001~100mそれぞれの第1の伝送線路2に入力される。
信号源3001~300mそれぞれからの平衡信号の他方の信号はそれぞれに対応する平衡線路-不平衡線路変換器1001~100mそれぞれの第2の伝送線路3に入力される。
信号源3001~300mそれぞれは実施の形態9における信号源200Aと同様である。
【0209】
平衡線路-不平衡線路変換器1001~100mそれぞれにおいて、第1の伝送線路2に入力された平衡信号の一方の信号は第1の結合線路C1を構成する不平衡側線路4の第1の伝送線路部43との電磁界結合により第1の伝送線路部43に不平衡信号として流れ、第2の伝送線路3に入力された平衡信号の他方の信号は第2の結合線路C2を構成する不平衡側線路4の第2の伝送線路部44との電磁界結合により第2の伝送線路部4に不平衡信号として流れ、第1のオープンスタブ5と第2のオープンスタブ6とにより構成される第3の結合線路C3により第1の伝送線路2と第2の伝送線路3との間の通過位相差を改善されて不平衡信号として第3の信号線9に出力される。
【0210】
制御部400は、信号源群を構成する信号源3001~300mそれぞれを制御し、信号源3001~300mそれぞれへの電力の供給及び入力された電力に対する平衡信号としての出力のタイミングを制御する。
制御部400からの制御により、アンテナ素子群を構成するアンテナ素子2001~200nそれぞれからの電波の送信がアンテナ素子グループ毎に制御され、アンテナ装置はアンテナ素子グループ毎にサブアレーとして作用するアレーアンテナ装置として機能する。
【0211】
このように構成された実施の形態13に係るアンテナ装置は、複数のアンテナ素子グループと信号源と平衡線路-不平衡線路変換器を備える構成の組をn組備え、アンテナ素子グループ毎にサブアレーとして作用し、信号源3001~300mそれぞれからの平衡信号を実施の形態1から実施の形態8のいずれかに示したそれぞれに対応する平衡線路-不平衡線路変換器1001~100mそれぞれにより不平衡信号としてそれぞれに対応するアンテナ素子グループ毎に複数のアンテナ素子2001~200nそれぞれに出力されるので、平衡線路-不平衡線路変換器1001~100mによる変換器群のサイズを小さくして平衡線路-不平衡線路変換器1001~100mそれぞれの電気特性を向上させることができるため、アレーアンテナ装置の小型化を実現した上で、アレーアンテナ装置としての電気特性を向上させることができる。
【0212】
実施の形態13に係るアンテナ装置において、変換器群と信号源群を構成する能動回路と分配回路群それぞれを同じ多層の誘電体基板1に組み込んでもよい。
また、変換器群をプリント基板に設けられた多層の誘電体層に形成し、信号源群を構成する能動回路をRFICに組み込み、分配回路群をプリント基板上に形成してもよい。
この場合、変換器群が形成された誘電体層及び能動回路を組み込んだRFICはワイヤボンディングにより電気的接続がされてもよく、また、RFICははんだボールなどの導電性材料を用いてプリント基板にフリップチップ実装されてもよい。
【0213】
アンテナ素子群も、変換器群と信号源群を構成する能動回路と分配回路群それぞれと同じ多層の誘電体基板1に組み込んだRFIC上に搭載し、オンチップアレーアンテナの構成としてもよい。
また、アンテナ素子群は変換器群が誘電体層に形成されたプリント基板上に形成してもよい。
【0214】
なお、実施の形態13に係るアンテナ装置は、アンテナ素子グループを構成する実施の形態9に示した複数のアンテナ素子200Aと信号源300Aと平衡線路-不平衡線路変換器100Aを備えるアンテナ装置を1組としてn組備えたアンテナ装置としたが、他のアンテナ装置としてアンテナ素子グループを構成する実施の形態10に示したアンテナ素子200Bと信号源300Bと平衡線路-不平衡線路変換器100Bを備えるアンテナ装置を1組としてn組備え、制御部400により制御されるアンテナ装置としてもよい。
【0215】
この場合、変換器群を構成する平衡線路-不平衡線路変換器1001~100mそれぞれは、不平衡信号、いわゆる単相信号を平衡信号、いわゆる差動信号に変換する平衡線路-不平衡線路変換器であり、実施の形態1から実施の形態8のいずれかに示した平衡線路-不平衡線路変換器である。
【0216】
アンテナ素子群を構成するアンテナ素子2001~200nそれぞれは、アンテナ素子グループ毎に対応する複数の平衡線路-不平衡線路変換器1001~100mそれぞれから入力された平衡信号に基づいた電波を送信し、実施の形態10におけるアンテナ素子200Bと同様である。
【0217】
信号源群を構成する信号源3001~300mそれぞれはそれぞれに対応するアンテナ素子グループ毎にアンテナ素子2001~200nそれぞれが送信する電波に対する不平衡信号を出力信号として信号源3001~300mに対応する平衡線路-不平衡線路変換器1001~100mそれぞれに出力し、実施の形態10における信号源200Bと同様である。
【0218】
なお、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0219】
本開示に係る平衡線路-不平衡線路変換器は、主にサブテラヘルツ帯又はテラヘルツ帯などの高域の周波数で動作する平衡線路‐不平衡線路変換器に適している。
本開示に係る平衡線路-不平衡線路変換器は通信及びレーダなどの高周波機器に用いられる平衡線路‐不平衡線路変換器に好適である。
【符号の説明】
【0220】
100A、100B、1001~100n、10011、10012~100n1、100n2 平衡線路-不平衡線路変換器、1 誘電体基板、11 第1の導体層、12 第2の導体層、13、14 接地層、2 第1の伝送線路、23 第1の線路部、24 第2の線路部、25 第3の線路部、3 第2の伝送線路、33 第1の線路部、34 第2の線路部、35 第3の線路部、4 不平衡側線路、43 第1の伝送線路部、43a 第1の線路部、43b 第2の線路部、43c 第3の線路部、44 第2の伝送線路部、44a 第1の線路部、44b 第2の線路部、44c 第3の線路部、45 接続線路部、5 第1のオープンスタブ、51 延伸部、52 結合部、53 切り欠き、6 第2のオープンスタブ、7、71~7n、711、712~7n1、7n2 第1の信号線、8、81~8n、811、812~8n1、8n2 第2の信号線、9、91~9n、911、912~9n1、9n2 第3の信号線、C1 第1の結合線路、C2 第2の結合線路、C3 第3の結合線路、200A、200B、2001~200n アンテナ素子、300A、300B、3001~300n、30011、30012~300n1、300n2 能動回路、400 制御部、5001~500n 電力合成回路、6001~600m 電力分配回路。
【要約】
平衡線路-不平衡線路変換器は、一端部(21)が第1の信号端部とされ、他端部(22)が短絡される第1の伝送線路(2)、及び一端部(31)が第2の信号端部とされ、他端部(32)が短絡される第2の伝送線路(3)を有する平衡側線路と、一端部(41)が第3の信号端部とされ、他端部(42)が開放端とされ、第1の伝送線路(2)と第1の結合線路(C1)を構成する第1の伝送線路部(43)、及び第2の伝送線路(3)と第2の結合線路(C2)を構成する第2の伝送線路部(44)を有する不平衡側線路(4)と、第2の伝送線路(3)の一端部(31)に接続された第1のオープンスタブ(5)と、 不平衡側線路(4)に接続され、第1のオープンスタブ(5)と第3の結合線路(C3)を構成する第2のオープンスタブ(6)と、を備える。