IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 山佐株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-遊技機 図1
  • 特許-遊技機 図2
  • 特許-遊技機 図3
  • 特許-遊技機 図4
  • 特許-遊技機 図5
  • 特許-遊技機 図6
  • 特許-遊技機 図7
  • 特許-遊技機 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20241118BHJP
【FI】
A63F5/04 650
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020159281
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022052819
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390026620
【氏名又は名称】山佐株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三森 和典
(72)【発明者】
【氏名】八鍬 祐治
【審査官】温井 脩市
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-058454(JP,A)
【文献】特開2022-032154(JP,A)
【文献】特開2021-074296(JP,A)
【文献】特開2017-029503(JP,A)
【文献】特開2016-221127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機において、
遊技者の開始操作により図柄変動を開始し、遊技者の停止操作により図柄変動を停止し、停止時の図柄組合せによって遊技者に特典を付与するメインリールと、
遊技の演出に使用されるサブリールと、
演出画像を表示可能な表示画面を有し、遊技の進行に合わせた演出を実行する表示装置と、
前記メインリールの図柄変動と停止時の図柄組合せを制御可能なメイン制御手段と、
前記サブリールによる演出および前記表示装置による演出を制御するサブ制御手段と、
を備え、
前記メインリールの図柄変動が停止したとき、前記サブリールの表示態様は前記メインリールの図柄変動が停止したときの表示態様と同じか、あるいは、類似するものであり、
前記表示画面は、前記メインリールに隣接して配置されるとともに、前記表示画面における前記メインリールの近接した所定領域に、前記サブリールが前記メインリールであるとの誤認を防止するための誤認防止表示が行われる誤認防止表示領域が設定され、
前記表示画面は、前記メインリールと重なる透過領域を備え、
前記表示画面では、
少なくとも遊技者の開始操作により前記メインリールが図柄変動している間は、前記誤認防止表示領域に前記誤認防止表示が行われ、
遊技者の停止操作に基づいて前記メインリールの図柄変動が停止した後に所定の画面切り換え条件が成立した場合は、前記表示画面にデモ画面が表示され、当該デモ画面が表示されている間は前記誤認防止表示領域に前記誤認防止表示が行われず、
前記透過領域が透明に制御されている期間は前記誤認防止表示領域に前記誤認防止表示が行われ、
前記表示画面に前記デモ画面とは異なる演出画面が表示され、前記透過領域が不透明に制御されている期間は前記誤認防止表示領域に前記誤認防止表示が行われないことがある
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技機において、
遊技者の開始操作により図柄変動を開始し、遊技者の停止操作により図柄変動を停止し、停止時の図柄組合せによって遊技者に特典を付与するメインリールと、
遊技の演出に使用されるサブリールと、
演出画像を表示可能な表示画面を有し、遊技の進行に合わせた演出を実行する表示装置と、
前記メインリールの図柄変動と停止時の図柄組合せを制御可能なメイン制御手段と、
前記サブリールによる演出および前記表示装置による演出を制御するサブ制御手段と、
を備え、
前記メインリールの図柄変動が停止したとき、前記サブリールの表示態様は前記メインリールの図柄変動が停止したときの表示態様と同じか、あるいは、類似するものであり、
前記表示画面は、前記メインリールに隣接して配置されるとともに、前記表示画面における前記メインリールの近接した所定領域に、前記サブリールが前記メインリールであるとの誤認を防止するための誤認防止表示が行われる誤認防止表示領域が設定され、
前記表示画面では、
少なくとも遊技者の開始操作により前記メインリールが図柄変動している間は、前記誤認防止表示領域に前記誤認防止表示が行われ、
前記遊技機の有利度を変更することが可能な設定変更状態にある間は前記誤認防止表示領域に前記誤認防止表示が行われず、
前記特典が与えられることを前記表示画面で報知する確定画面では前記誤認防止表示が行われないことがある
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変表示列が停止したときの図柄組合せに応じて遊技媒体が払い出される遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一例であるスロットマシンでは、それぞれベルやスイカなどの図柄が複数付された複数のリールを備え、全てのリールが停止したときの図柄組合せに応じて所定枚数のメダルが払い出される。また、メダルの払い出しに関わるリールとは別に演出用のサブリールが設けられたものもある。例えば、特許文献1に記載のスロットマシンでは、メインリールの下方に液晶表示器が配設され、該液晶表示器に複数個の変動表示窓をマトリクス状に表示して3×3=9個のマス目からなるサブリールが形成される。サブリールでは、メインリールの停止図柄の内容に応じた図柄組合せが表示され、メインリールの停止態様を遊技者に報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-50385号公報(段落0025~0039、0075~0084等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のスロットマシンでは、スタートスイッチの操作を契機として、メインリールの回転開始とともにサブリールの変動表示が開始され、ストップスイッチの操作に伴って、メインリールが停止するのと同じように変動表示が停止する。このような場合、メダルの払い出しの有無が、メインリールかサブリールのどちらの停止態様の結果なのかを混同するおそれがある。また、液晶表示器には、サブリールの表示だけでなく、サブリールとは異なる演出画面を表示させる場合があるが、このような場合は当該演出画面の表示領域を極力大きくして演出効果を向上させたいという要望がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、演出用のサブリールが設けられた遊技機において、メインリールとサブリールの誤認を防止しつつ、演出画像を表示可能な表示画面を効率的に使用できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる遊技機は、遊技者の開始操作により図柄変動を開始し、遊技者の停止操作により図柄変動を停止し、停止時の図柄組合せによって遊技者に特典を付与するメインリールと、遊技の演出に使用されるサブリールと、演出画像を表示可能な表示画面を有し、遊技の進行に合わせた演出を実行する表示装置と、前記メインリールの図柄変動と停止時の図柄組合せを制御可能なメイン制御手段と、前記サブリールによる演出および前記表示装置による演出を制御するサブ制御手段と、を備え、前記メインリールの図柄変動が停止したとき、前記サブリールの表示態様は前記メインリールの図柄変動が停止したときの表示態様と同じか、あるいは、類似するものであり、前記表示画面は、前記メインリールに隣接して配置されるとともに、前記表示画面における前記メインリールの近接した所定領域に、前記サブリールが前記メインリールであるとの誤認を防止するための誤認防止表示が行われる誤認防止表示領域が設定され、前記表示画面は、前記メインリールと重なる透過領域を備え、前記表示画面では、少なくとも遊技者の開始操作により前記メインリールが図柄変動している間は、前記誤認防止表示領域に前記誤認防止表示が行われ、遊技者の停止操作に基づいて前記メインリールの図柄変動が停止した後に所定の画面切り換え条件が成立した場合は、前記表示画面にデモ画面が表示され、当該デモ画面が表示されている間は前記誤認防止表示領域に前記誤認防止表示が行われず、前記透過領域が透明に制御されている期間は前記誤認防止表示領域に前記誤認防止表示が行われ、前記表示画面に前記デモ画面とは異なる演出画面が表示され、前記透過領域が不透明に制御されている期間は前記誤認防止表示領域に前記誤認防止表示が行われないことがあることを特徴としている。また、上記目的を達成するために、本発明にかかる遊技機は、遊技者の開始操作により図柄変動を開始し、遊技者の停止操作により図柄変動を停止し、停止時の図柄組合せによって遊技者に特典を付与するメインリールと、遊技の演出に使用されるサブリールと、演出画像を表示可能な表示画面を有し、遊技の進行に合わせた演出を実行する表示装置と、前記メインリールの図柄変動と停止時の図柄組合せを制御可能なメイン制御手段と、前記サブリールによる演出および前記表示装置による演出を制御するサブ制御手段と、を備え、前記メインリールの図柄変動が停止したとき、前記サブリールの表示態様は前記メインリールの図柄変動が停止したときの表示態様と同じか、あるいは、類似するものであり、前記表示画面は、前記メインリールに隣接して配置されるとともに、前記表示画面における前記メインリールの近接した所定領域に、前記サブリールが前記メインリールであるとの誤認を防止するための誤認防止表示が行われる誤認防止表示領域が設定され、前記表示画面では、少なくとも遊技者の開始操作により前記メインリールが図柄変動している間は、前記誤認防止表示領域に前記誤認防止表示が行われ、前記遊技機の有利度を変更することが可能な設定変更状態にある間は前記誤認防止表示領域に前記誤認防止表示が行われず、前記特典が与えられることを前記表示画面で報知する確定画面では前記誤認防止表示が行われないことがあることを特徴としてもよい。
【0007】
この構成によれば、メインリールが図柄変動している間は、該メインリールに近接した表示画面の誤認防止表示領域に誤認防止表示が行われ、デモ画面が表示されている間は誤認防止表示が行われない。遊技によってはメインリールの図柄変動の停止操作タイミングによって本来遊技者が得られる利益を逃す場合があり、このような場合はいわゆる目押しが必要になるが、当該遊技でメインリールとサブリールの誤認があると、前記利益を逃すおそれがある。そこで、少なくともメインリールが図柄変動している間は誤認防止表示することで、サブリールをメインリールと誤認して本来得られるはずの利益を逃すという不利益が生じるのを防止できる。一方、デモ画面が表示されている状態など、メインリールが停止している状態ではサブリールをメインリールと誤認しても前記利益を逃すおそれがないため、このような場合は誤認防止表示を行わずにデモ演出を優先させることができる。
【0008】
また、前記表示画面は、遊技者から見たときに前記メインリールに重なる領域があり、前記メインリールに重なる領域は、前記サブ制御手段の制御により透明とすることが可能な透過領域であり、前記誤認防止表示領域と前記透過領域とは重複しないようにしてもよい。
【0009】
この構成によれば、メインリールと誤認防止表示とが重なることがないため、誤認防止表示がメインリールの視認の邪魔になるのを防止できる。
【0010】
また、前記サブ制御手段は、前記透過領域を透明に制御している間は、前記誤認防止表示領域に前記誤認防止表示が行われるように前記表示装置を制御し、前記透過領域に演出画像が表示されている間は、前記誤認防止表示領域に前記誤認防止表示が行われないように前記表示装置を制御してもよい。
【0011】
この構成によれば、透過領域に演出画像が表示される場合のように表示画面の演出を目立たせたい場合は、誤認防止表示を表示しないことで当該演出に集中させることができる。
【0012】
また、前記サブ制御手段は、遊技者の停止操作に基づいて前記メインリールの図柄変動が停止してから前記デモ画面が表示されるまでの間は、前記誤認防止表示領域に前記誤認防止表示が行われるように前記表示装置を制御してもよい。
【0013】
この構成によれば、通常はメインリールの図柄変動が停止しても、デモ画面が表示される前に次の遊技を行うため、メインリールの図柄変動の停止を契機に誤認防止表示を止める構成では頻繁に誤認防止表示の有無が切り替わることで処理負荷が増大する可能性があるが、このような場合は誤認防止表示を継続することで、表示切替にかかる処理負荷を軽減することができる。
【0014】
また、前記サブ制御手段は、前記表示画面に前記デモ画面が表示されているときに遊技者による特定操作があった場合は、遊技に関連する設定を行うことが可能なメニュー画面に移行するように前記表示装置を制御するとともに、当該メニュー画面が表示されている間は前記誤認防止表示領域に前記誤認防止表示が行われないように前記表示装置を制御してもよい。
【0015】
この構成によれば、メニュー画面が表示されている間は、メインリールの図柄変動が停止している状態であり、メインリールの図柄変動の停止操作タイミングによって本来遊技者が得られる利益を逃すおそれがないため、このような場合は誤認防止表示を行わないことで、メニュー画面の表示領域を広くできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態にかかるスロットマシンの斜視図である。
図2】リールの図柄配列を示す図である。
図3】スロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
図4】メイン制御基板およびサブ制御基板の機能を示す機能ブロック図である。
図5】役と入賞図柄との関係を示す図である。
図6】メインリールとサブリールの誤認防止表示の一例を示す図である。
図7】メインリールとサブリールの誤認防止表示の他の例を示す図である。
図8】遊技状態に応じた誤認防止表示の有無を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
本発明の一実施形態に係る遊技機の一例であるスロットマシン1について、図1図8を参照して説明する。
【0018】
(構成)
スロットマシン1の構成の概略について図1および図2を参照して説明する。
【0019】
この実施形態におけるスロットマシン1は、予め設定された複数の遊技状態のうちのいずれかの遊技状態において、メダルなどの遊技媒体が規定数投入されることを条件とする遊技者の操作に基づいて一回の遊技が実行されるものであって、例えば図1に示すように構成されている。すなわち、このスロットマシン1では、筐体3の前面が前面扉5により開閉自在に閉塞され、この前面扉5のほぼ中央高さの位置に操作板7が配設されると共に、この操作板7の上方に正面板9が配設されている。
【0020】
そして、この正面板9には横長矩形の表示窓11が設けられている。また、表示窓11の内側には、図1図2に示すように、複数種類の図柄を予め定められた順序で可変表示する左・中・右リール13L,13M,13Rが配置されている。これら左・中・右リール13L,13M,13Rには、複数種類の図柄(例えば、「赤7」「青7」「BAR1」「BAR2」「BE1(ベル1)」「BE2(ベル2)」「CH(チェリー)」「WM(スイカ)」「RP(リプレイ)」「BL(ブランク)」)が合計20個、所定の配列でそれぞれ設けられている。また、各図柄には、0番から19番までのコマ番号が順に付されている。そして、例えば、コマ番号0番から19番までの図柄が印刷されたリールテープがリールの周面に貼り付けられて各リール13L,13M,13Rがそれぞれ形成される。また、各リール13L,13M,13Rが回転すると、コマ番号19番、18番、…、0番、19番、…の予め定められた順に複数の図柄がそれぞれ表示窓11に変動表示される。表示窓11からは、各リール13L,13M,13Rの回転が停止すると、図柄が上段、中段および下段にそれぞれ1個の合計3個ずつ覗くように設定されている。すなわち、3個すべてのリール13L,13M,13Rが停止すると、縦3列横3行に配列された合計9個の図柄が表示窓11に停止表示されるようになっている。なお、この実施形態では、リール13Lが「中段」、中リール13Mが「中段」、右リール13Rが「中段」の1ライン(センターライン)が入賞ラインとして設定されている。
【0021】
また、各リール13L,13M,13Rをそれぞれ独立して回転駆動できるように、各リール13L,13M,13Rには、それぞれステッピングモータにより構成される図3
に示すリールモータ14L,14M,14Rが連結されている。
【0022】
更に、操作板7には、内部に貯留されているクレジットメダルから1枚ずつのメダル投入を指示するためのベットスイッチ15、クレジットメダルから1ゲーム(遊技)あたりの最大投入枚数(3枚に設定されている)のメダル投入を指示するための最大ベットスイッチ17、各リール13L,13M,13Rを回転させて各図柄の可変表示を開始させるレバー状のスタートスイッチ19、左・中・右リール13L,13M,13Rの回転をそれぞれ停止させて各図柄の可変表示を停止させる左・中・右ストップスイッチ21L,21M,21R、クレジットメダルを払い出すための精算スイッチ23、およびメダル投入口25が設けられている。なお、この実施形態では、1ゲームに必要なメダル投入数(規定数)は、3枚の1種類が設定されている。また、各リール13L,13M,13Rにより複数種類の図柄を可変表示する複数の可変表示列が形成されており、各ストップスイッチ21L,21M,21Rは、各リール13L,13M,13Rそれぞれに対応して設けられている。
【0023】
また、正面板9の上方のほぼ中央には、動画などを表示して遊技者に当選や入賞などを告知したり、各ストップスイッチ21L,21M,21Rの操作態様を報知したりする演出を行うための液晶表示器27(本発明の「表示装置」に相当)が設けられ、液晶表示器27のすぐ上方には、各種の入賞図柄が表示された説明パネル29が設けられ、液晶表示器27および説明パネル29の左右には、音楽や音声などによる演出を行うためのスピーカ31L,31Rがそれぞれ設けられている。また、説明パネル29およびスピーカ31L,31Rの上辺には中央ランプ部33Mが配設され、その左右には左・右ランプ部33L,33Rがそれぞれ配設されている。各ランプ部33M,33L,33Rには、それぞれ発光ダイオードなどの光源が配設されている。これらのランプ部33M,33L,33Rは一体的に形成され、遊技者に当選や入賞を告知するなどの演出を行うための上部ランプ部33を構成している。
【0024】
なお、この実施形態では、各リール13L,13M,13Rを視認可能にする表示窓11の上方の近接する位置に液晶表示器27の表示画面27a(図6参照)が配設されるが、矩形状の表示画面27aの各リール13L,13M,13Rに近接する領域、具体的には図6に示すように、表示画面27aの上辺27a1、下辺27a2、右辺27a3、左辺27a4のうち、各リール13L,13M,13Rに最も近い下辺27a2寄りの位置に、後述する誤認防止表示領域27cが設定されている。
【0025】
また、操作板7の下方には、装飾画などが表示された下部パネル35が設けられ、この下部パネル35の左右には、それぞれ複数の光源が例えば2列に並んで配置された下部ランプ部37L,37Rが設けられている。また、下部パネル35の下方には、メダル払出口39や、このメダル払出口39から払い出されるメダルを受けるメダル受け41が設けられている。また、正面板9には入賞ラインが描かれ、正面板9の左下隅にはクレジットメダルの貯留枚数を表示するクレジット表示器45が配設されている。このクレジット表示器45は、例えば2個の7セグメントLEDで構成され、2桁の貯留枚数(最大で50枚)が表示可能になっている。
【0026】
また、クレジット表示器45の下方には、入賞時のメダルの払い出し枚数を表示するためのペイアウト表示器46が配設される。この表示器46は、クレジット表示器45と同様、2個の7セグメントLEDで構成されている。なお、ペイアウト表示器46は、エラー情報の表示に兼用される。
【0027】
また、各リール13L,13M,13Rを支持する支持枠体(図示省略)が、筐体3内の後壁に固定されている。筐体3内の支持枠体の下方には、メダルをメダル払出口39に排出するためのホッパーユニット43(図3参照)が配設されている。また、メダル投入口25付近の裏面側には、メダル投入口25に投入されたメダルが正規のものか否かを選別して正規のメダルのみをホッパーユニット43に導くメダルセレクタ48(図3参照)が配設されている。また、ホッパーユニット43の左側には、操作ボックス49(図3参照)が筐体3内の左側壁に固定されている。この操作ボックス49には、電源のオンオフを切り換える電源スイッチ50(図3参照)が設けられるとともに、設定変更処理のためのキーシリンダおよび押しボタン式の設定変更ボタン52(図3参照)が設けられている。
【0028】
続いて、スロットマシン1の電気的な構成について図3を参照して説明する。図3はスロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
【0029】
図3において、投入センサ53は、筐体3内部のメダル投入口25近傍であってメダルセレクタ48部分に設けられ、メダル投入口25に投入されたメダルを1枚ずつ検出するものである。払出センサ54は、ホッパーユニット43の出口に設けられ、メダル払出口39に払い出されるメダルを1枚ずつ検出するものである。
【0030】
左・中・右位置センサ55L,55M,55Rは、左・中・右リール13L,13M,13Rの回転位置をそれぞれ検出するためのもので、例えば左・中・右リール13L,13M,13Rにそれぞれ設けられた突起部を検出するフォトインタラプタからなり、左・中・右リール13L,13M,13Rが回転すると、一周ごとに突起部を検出してその検出信号をメイン制御基板63に出力する。この実施形態では、例えば左・中・右位置センサ55L,55M,55Rが上記突起部を検出したときに、それぞれコマ番号19番の図柄が表示窓11の中段に位置するように構成されている。
【0031】
変更処理開始スイッチ56は、操作ボックス49のキーシリンダの内部に設けられており、設定変更キー(図示省略)をキーシリンダに挿入して回転することによりオンオフが切り換えられる。設定変更ボタン52は、操作ボックス49内に設けられ、設定変更中は1回押す度に1つ上位の設定値に仮設定される。
【0032】
ホッパーモータ57はホッパーユニット43に配設され、その駆動によりメダルをメダル払出口39に向けて払い出すものである。
【0033】
また、このスロットマシン1では、遊技の進行に関する制御を行うメインCPU61(本発明の「メイン制御手段」に相当)が実装されたメイン制御基板63と、メイン制御基板63から送信された情報に基づき遊技の進行に合わせた演出の制御を行うサブCPU71(本発明の「サブ制御手段」に相当)が実装されたサブ制御基板73とが別々に設けられており、メイン制御基板63からサブ制御基板73に対して各種の遊技情報が一方向で送信される。
【0034】
メイン制御基板63のRAM65はスロットマシン1の遊技状態などの遊技に関するデータを一時的に記憶するものであり、各種のデータを格納するための各種の記憶領域が形成されている。
【0035】
また、メイン制御基板63のROM67は予め設定されたデータ(図4の役抽選テーブル671、停止テーブル672など)を含む遊技機用プログラム(スロットマシン1用のプログラム)を記憶する。
【0036】
また、メイン制御基板63のメインCPU61は、タイマ割込などの割込機能を有し、ROM67に記憶された遊技機用プログラムを実行することにより、遊技の進行に関する処理を行う。また、メインCPU61は、役抽選手段105(図4参照)による役抽選結果(後述する役の入賞に必要な情報も含む)に関する情報、各ストップスイッチ21L,21M,21R、スタートスイッチ19等の遊技者により操作される操作器具の操作に関する情報などの種々の遊技情報をコマンド形式でサブ制御基板73(サブCPU71)に送信する。
【0037】
また、サブ制御基板73のメモリ75は、各種データを一時的に記憶するRAM部と、演出用の各種プログラムなどを記憶するROM部とを備えている。また、サブ制御基板73のサブCPU71は、タイマ割込などの割込機能を有し、サブCPU71は、メインCPU61から送信されるスロットマシン1に関する各種の遊技情報に基づいてメモリ75に格納されたプログラムを実行することで、遊技者に対する遊技に関連する演出の内容を決定する。また、サブ制御基板73のサブCPU71は、決定された演出の内容に基づいて、サブ制御基板73が有するI/Oポートを介して、液晶表示器27やスピーカ31L,31Rなどの演出機器の制御を行う。
【0038】
(メイン制御基板)
次に、メイン制御基板63について、図4図5を参照して詳細に説明する。
【0039】
図4に示すように、メイン制御基板63は、ROM67に格納されたプログラムを実行することにより実現される種々の機能や、ハードウェアが制御されることにより実現される種々の機能を備えている。
【0040】
(1)遊技制御手段100
遊技制御手段100は、スロットマシン1の遊技を制御するためのものであり、一般的な遊技である通常遊技(RT0)および遊技者にとって通常遊技よりも有利な遊技であるビックボーナス遊技(BB遊技)およびレギュラーボーナス遊技(RB遊技)と、両ボーナス遊技(BB遊技、RB遊技)の内部当選の持越し状態の遊技(RT1、RT2)とを実行する。
【0041】
通常遊技(通常遊技状態)で特別役「BB」に入賞すると、BB遊技(ボーナス遊技状態)に移行する。BB遊技で、例えば、384枚を超えるメダルの払い出しがあった場合など所定のBB遊技終了条件が成立すると、BB遊技が終了して通常遊技に戻る。通常遊技で特別役「RB」に入賞すると、RB遊技に移行する。RB遊技において、例えば、119枚を超えるメダルの払い出しがあった場合など所定のRB遊技終了条件が成立すると、RB遊技が終了して通常遊技(RT0)に戻る。
【0042】
通常遊技で特別役「BB」に当選したにもかかわらず入賞しなかった場合は、BB遊技の内部当選の持越し状態である内部当選中遊技(RT1)に移行する。内部当選中遊技で持越し状態中の特別役「BB」に入賞するとBB遊技に移行し、上述のBB遊技終了条件の成立により通常遊技(RT0)に戻る。
【0043】
通常遊技において、特別役「RB」に当選したにもかかわらず入賞しなかった場合は、RB遊技の内部当選の持ち越し状態である内部当選中遊技(RT2)に移行する。当該遊技(RT2)で持ち越し状態中の特別役「RB」に入賞するとRB遊技に移行し、上述のRB遊技終了条件の成立により通常遊技(RT0)に戻る。なお、BB、RB遊技終了条件は、例えば、獲得枚数が所定値に達することなど、適宜設定することができる。
【0044】
ここで、通常遊技の流れの一例について説明する。この実施形態では、スロットマシン1は、3枚のメダルで1遊技(1ゲーム)が行われるように構成されており、ベット枚数カウンタ651は、投入メダルの数を3枚まで記憶する。投入センサ53、ベットスイッチ15または最大ベットスイッチ17により3枚のメダルが投入されると、表示窓11の中央(中段)の水平な入賞ライン(センターライン)が有効となる。そして、規定数である3枚のメダルの投入を条件にスタートスイッチ19が操作されると、役抽選手段105により予め設定された複数の当選役(抽選結果)に当選したか否かの役抽選が行われる。ここで、メイン制御基板63は、左・中・右リール13L,13M,13Rの全ての回転を開始させ、表示窓11に表示される各リール13L,13M,13Rの図柄を各リール13L,13M,13Rの回転角に合わせて判別することを開始する。
【0045】
その後、左・中・右リール13L,13M,13Rが加速され、左・中・右位置センサ55L,55M,55Rにより、左・中・右リール13L,13M,13Rの回転位置が所定の基準位置であることが検出されると、すべてのストップスイッチ21L,21M,21Rの操作が有効となる。各ストップスイッチ21L,21M,21Rの操作が有効となった後、左ストップスイッチ21Lが操作されると左リール13Lが停止し、中ストップスイッチ21Mが操作されると中リール13Mが停止し、右ストップスイッチ21Rが操作されると右リール13Rが停止する。このように、各ストップスイッチ21L,21M,21Rの操作により、各ストップスイッチ21L,21M,21Rに対応する左・中・右リール13L,13M,13Rの回転が停止する。
【0046】
そして、3個すべての左・中・右ストップスイッチ21L,21M,21Rが操作されると、各左・中・右リール13L,13M,13Rの回転が停止する。このとき、所定の図柄が、有効となった表示窓11の中段の入賞ライン上の所定の位置に停止すると、入賞となる。そして、入賞態様に応じた枚数のメダルが、クレジットされるか、またはメダル払出口39から払い出される。また、メダルの払い出しに代えて、あるいはメダルの払い出しとともに、遊技者に対して所定の利益が付与されることもある。
【0047】
具体的には、この実施形態では、ボーナス役(特別役)として「BB」、「RB」、「シフトA」~「シフトD」、小役として「1枚役A」~「1枚役C」、「ベルA」、「ベルB」、再遊技役として「リプレイA」、「リプレイB」が予め設定されている(図5参照)。
【0048】
役名称「BB」は当選役グループ「BB」の構成役であり、入賞態様として、各リール13L,13M,13Rの図柄「赤7」が入賞ラインに揃う図柄組合せが設定されている。役名称「RB」は当選役グループ「RB」の構成役であり、入賞態様として、入賞ラインに図柄「BAR1」-「BAR1」-「BAR1」が揃う図柄組合せが設定されている。
【0049】
役名称「シフトA」は当選役グループ「1枚役+シフト」の構成役であり、入賞態様として、入賞ラインに図柄「青7」-「CH」-「CH」が揃う図柄組合せが設定されている。また、役名称「シフトB」は当選役グループ「1枚役+シフト」の構成役であり、入賞態様として、入賞ラインに図柄「赤7」-「CH」-「CH」が揃う図柄組合せが設定されている。また、役名称「シフトC」は当選役グループ「1枚役+シフト」の構成役であり、入賞態様として、入賞ラインに図柄「BAR1」-「CH」-「CH」が揃う図柄組合せが設定されている。また、役名称「シフトD」は当選役グループ「1枚役+シフト」の構成役であり、入賞態様として、入賞ラインに図柄「BAR2」-「CH」-「CH」が揃う図柄組合せが設定されている。
【0050】
役名称「1枚役A」は当選役グループ「1枚役」、「1枚役+シフト」および「全小役」それぞれの構成役であり、入賞態様として、入賞ラインに図柄「BE1」-「CH」-「CH」が揃う図柄組合せが設定されている。役名称「1枚役B」は当選役グループ「1枚役」、「1枚役+シフト」および「全小役」それぞれの構成役であり、入賞態様として、入賞ラインに図柄「BE1」-「RP」-「RP」が揃う図柄組合せが設定されている。役名称「1枚役C」は当選役グループ「1枚役」、「1枚役+シフト」および「全小役」それぞれの構成役であり、入賞態様として、入賞ラインに図柄「BE2」-「RP」-「RP」が揃う図柄組合せが設定されている。
【0051】
役名称「ベルA」は当選役グループ「共通ベル」および「全小役」それぞれの構成役であり、入賞態様として、入賞ラインに図柄「BE1」-「BE1」-「BE1」が揃う図柄組合せが設定されている。また、役名称「ベルB」は当選役グループ「共通ベル」および「全小役」それぞれの構成役であり、入賞態様として、入賞ラインに図柄「BE2」-「BE1」-「BE1」が揃う図柄組合せが設定されている。
【0052】
役名称「リプレイA」は当選役グループ「リプレイ」の構成役であり、入賞態様として、入賞ラインに図柄「RP」-「RP」-「RP」が揃う図柄組合せが設定されている。また、役名称「リプレイB」は当選役グループ「リプレイ」の構成役であり、入賞態様として、入賞ラインに図柄「赤7」-「RP」-「RP」が揃う図柄組合せが設定されている。
【0053】
(2)設定変更手段101
図4の設定変更手段101は、所定の設定変更操作に基づいて、出玉率(総払出枚数÷総メダル投入数×100[%])の調整をするための設定(設定1~設定6)を変更するものである。各設定の出玉率は、例えば、設定値毎にボーナス役(「BB」、「RB」)の当選確率を変えることで調整できる。
【0054】
ここで、設定値を変更するための設定変更操作の一例について説明する。例えば、スロットマシン1の電源が投入される前に変更処理開始スイッチ56(設定キー)をON状態にし、電源を投入すると、設定変更処理が開始される。このとき、設定変更ボタン52(リセットスイッチ)を1回押すと、電源投入前に設定された設定値から1つ上位の設定値に仮設定される(例えば、設定3から設定4に仮設定)。その後は、設定変更ボタン52を押す度に1つ上位の設定値に仮設定される。但し、仮設定値が6の場合に設定変更ボタン52を押すと、設定値が1に戻って仮設定される。そして、最後に、スタートスイッチ19のON操作により設定値が確定し、その時の仮設定値がスロットマシン1の設定値になる。なお、設定変更手段101は、設定変更を行った場合は、設定値記憶領域653に記憶されている設定値を変更後の設定値に書き換える。
【0055】
(3)テーブル選択手段102
図4のテーブル選択手段102は、遊技制御手段100により制御される遊技の種類(通常遊技や内部当選中遊技、BB、RB遊技など)、および、設定変更手段101により設定された設定値(設定1から設定6)に基づき、複数の役抽選テーブル671から1つの役抽選テーブルを選択するものである。すなわち、例えば通常遊技では、テーブル選択手段102は、役抽選テーブルとして、入賞確率の設定値(設定1~設定6)に応じて役抽選テーブル671(通常遊技用役抽選テーブル)を選択する。
【0056】
(4)乱数発生手段103
図4の乱数発生手段103は、抽選用の乱数を所定の範囲内で発生させるものである。また、乱数発生手段103は、例えば、発振回路と、この発振回路が発生させたクロック信号をカウントするカウンタ回路とによって構成することができる(いわゆるハード乱数)。なお、乱数発生手段103は、例えば、平均採中法で乱数を発生させる手段や、あるいは素数の加算によって乱数を発生させる手段によって構成することもできる。これらの手段は、例えば、メインCPU61に所定のプログラムを実行させることによって構成することができる(いわゆるソフト乱数)。また、ハード乱数とソフト乱数の双方を備え、それらの結果に基づき乱数をソフト的に生成するようにしてもよい。また、この実施形態では、後述する役抽選手段105に用いられる乱数を発生させる。
【0057】
(5)乱数抽出手段104
図4の乱数抽出手段104は、乱数発生手段103が発生する乱数値を抽出するもので、当該乱数値を所定の条件で抽出する。この実施形態では、乱数抽出手段104は、スタートスイッチ19が操作されたタイミングで乱数値を抽出する。なお、乱数発生手段103は、カウンタ回路などによって構成されるため、乱数発生手段103が発生させる数値は、厳密には乱数ではない。しかしながら、スタートスイッチ19が操作されるタイミングはランダムであると考えられるため、乱数抽出手段104が抽出する数値は、実質的には乱数として取り扱うことができる。
【0058】
(6)役抽選手段105
図4の役抽選手段105は、予め設定された複数の役に当選したか否かを抽選により決定するもので、図4に示すように、役抽選判定手段105aを備えている。
【0059】
この実施形態では、1または複数の当選役で構成された複数の当選役グループが設定され、当選役グループごとに役抽選が行われる。例えば、当選役グループとして、「BB」、「RB」、「リプレイ」、「1枚役」、「1枚役+シフト」、「共通ベル」、「全小役」が設定されている。
【0060】
なお、複数の役で構成された当選役グループに当選した場合は、全ての構成役への入賞が許容された状態になり、各ストップスイッチ21L,21M,21Rの操作タイミング(操作態様)に応じていずれかの構成役に入賞するか、あるいは、取りこぼしが発生する。
【0061】
また、各役には、それぞれ固有の上位役番号または下位役番号が16進数で対応付けされている。そして、役抽選手段105の役抽選結果に基づいて、当選した当選役に上位役番号が対応付けされていれば、当選した当選役に対応付けされている上位役番号が役抽選結果記憶領域652の上位記憶領域に格納される。また、当選した当選役に下位役番号が対応付けされていれば、当選した当選役に対応付けされている下位役番号が役抽選結果記憶領域652の下位記憶領域に格納される。
【0062】
この実施形態では、役抽選結果記憶領域652は、RAM65に2バイトのデータ領域として割当てられており、役抽選結果記憶領域652は、それぞれ1バイトのデータ領域が割当てられた、特別役に関する役抽選結果を記憶する上位記憶領域と、小役、BB中増加役および再遊技役に関する役抽選結果を記憶する下位記憶領域とを備えている。
【0063】
具体的には、ボーナス役(「BB」、「RB」、「シフトA」~「シフトD」)で構成される当選役グループ「BB」、「RB」、「シフトA」~「シフトD」のいずれかに当選した場合には、当選した役に対応付けされている”01h(BB)”または”02h(RB)”または”03h(シフトA~D)”のいずれかが上位記憶領域に記憶される。また、小役および再遊技役により構成される当選役グループのいずれかに当選した場合には、各役に対応付けされている”01h”~”09h”のいずれかが下位記憶領域に記憶される。
【0064】
そして、この実施形態では、役抽選手段105の役抽選に用いられる役抽選テーブル671には、各当選役グループにそれぞれ抽選データが設定されている。役抽選テーブル671は、各当選役グループに当選したか否かの役抽選を行うためのものであって、各抽選データにより、乱数発生手段103が発生する乱数の全範囲中での当選領域が決定される。
【0065】
なお、詳細な説明は省略するが、役抽選テーブル671には、役抽選におけるメダル数増加の期待値が異なる複数種類の抽選データが設けられており、この実施形態では、期待値が最も低い設定1から期待値が最も高い設定6までの6種類の抽選データが当選役グループごとに設けられている。
【0066】
a)役抽選判定手段105a
役抽選判定手段105aは、乱数抽出手段104が抽出した乱数値と、テーブル選択手段102が選択した役抽選テーブル671に含まれる抽選データとを照合して、乱数抽選結果の判定を行うものである。すなわち、この役抽選判定手段105aは、乱数抽出手段104が抽出した乱数値と、複数の役抽選テーブル671からテーブル選択手段102により選択された抽選テーブルに含まれる抽選データを照合して、乱数抽選の結果が、特別役当選か、小役当選か、BB中増加役当選か、再遊技役当選か、あるいはハズレかを判定する。そして、役抽選判定手段105aによる判定結果が、RAM65に形成された役抽選結果記憶領域652に記憶される。
【0067】
(7)操作判定手段106
図4の操作判定手段106は、メイン制御基板63に入力される各ストップスイッチ21L,21M,21Rが操作されることによる検出信号に基づいて、各ストップスイッチ21L,21M,21Rの操作順序を判定するものである。
【0068】
(8)リール検出手段107
図4のリール検出手段107は、左・中・右位置センサ55L,55M,55Rの検出信号と、左・中・右リール13L,13M,13Rを駆動する各リールモータ14L,14M,14Rへの供給パルス数とに基づき、左・中・右リール13L,13M,13Rの回転位置をそれぞれ検出するものである。この場合、リール検出手段107は、左・中・右リール13L,13M,13Rの回転中および回転停止時に、所定の基準位置(この実施形態では例えば、表示窓11の中段)に位置する図柄に対応するコマ番号をそれぞれ検出する。
【0069】
(9)停止制御手段108
図4の停止制御手段108は、役抽選手段105の役抽選結果および各ストップスイッチ21L,21M,21Rの操作態様に基づいて、各リール13L,13M,13Rの停止制御を行うものである。この場合、停止制御手段108は、1遊技毎に、停止テーブル672を用いて各リール13L,13M,13Rの停止制御を行う。
【0070】
停止テーブル672は、役抽選手段105の役抽選結果それぞれに対応して複数のテーブルが設定されている。この停止テーブル672は、各リール13L,13M,13Rの停止位置を決定するためのものであって、ストップスイッチ21L,21M,21Rが操作されたときのリール13L,13M,13Rの回転位置に応じて、各リール13L,13M,13Rの滑りコマ数をあらかじめ定めたものである。
【0071】
具体的には、停止テーブル672は、各リール13L,13M,13Rそれぞれについて、対応する各ストップスイッチ21L,21M,21Rが1番目に操作されたときの第1停止用の停止テーブルと、2番目に操作されたときの第2停止用の停止テーブルと、3番目に操作されたときの第3停止用の停止テーブルとを個別に備えている。そして、各リール13L,13M,13Rそれぞれに対応する第1停止用の停止テーブルと、第2停止用の停止テーブルと、第3停止用の停止テーブルとには、役抽選手段105の役抽選結果に対応して、異なる滑りコマ数が定められている。
【0072】
そして、停止制御手段108は、役抽選手段105の役抽選結果と、操作判定手段106により判定された、ストップスイッチ21L,21M,21Rのうち、いずれのストップスイッチが何番目に操作されたのかという情報とに基づいて、複数の停止テーブル672の中から一の停止テーブル672を選択する。次に、この選択した一の停止テーブル672と、各リール13L,13M,13Rのうち、操作されたストップスイッチに対応するリールの、ストップスイッチが操作されたときの回転位置とから、操作されたストップスイッチに対応するリールの滑りコマ数を決定する。
【0073】
ここで、滑りコマ数が0と決定されれば、直ちにリールの回転を停止させる。すなわち、滑りコマ数が0と決定されると、ストップスイッチが操作されたときに表示窓11の上段に表示されていた図柄は、そのまま表示窓11の上段に停止表示される。また、滑りコマ数が1と決定されれば、1コマ分だけリールを回転させて停止させる。すなわち、滑りコマ数が1と決定されると、ストップスイッチが操作されたときに表示窓11の上段に表示されていた図柄は、リールの回転方向に1コマずれて、表示窓11の中段に停止表示される。
【0074】
また、停止制御手段108は、役抽選手段105の役抽選結果が複数の当選役のいずれかへの当選であれば、この役抽選結果に基づいて選択された停止テーブル672と、各ストップスイッチ21L,21M,21Rが操作されたときの各リール13L,13M,13Rの回転位置とから、当選役に入賞するように各リール13L,13M,13Rの滑りコマ数を決定して、各リール13L,13M,13Rの停止制御を行う。
【0075】
また、停止制御手段108は、役抽選手段105による役抽選結果がハズレであれば、この役抽選結果に基づいて選択された停止テーブル672と、各ストップスイッチ21L,21M,21Rが操作されたときの各リール13L,13M,13Rの回転位置とから、複数の役のいずれにも入賞しないように各リール13L,13M,13Rの滑りコマ数を決定して、各リール13L,13M,13Rの停止制御を行う。なお、この実施形態では、滑りコマ数に上限(4コマ)が設けられており、ストップスイッチ21L,21M,21Rの操作タイミングによって、当選した役に入賞させることができない「取りこぼし」が発生する。この場合、停止制御手段108は、「取りこぼし」が生じる場合は、当選していない他の役に入賞しないように各リール13L,13M,13Rの停止制御を行う。
【0076】
また、この実施形態では、複数の役で構成された当選役グループに当選したときは、再遊技役、小役、ボーナス役の優先順序で入賞するように、各リール13L,13M,13Rの停止制御が行われる。
【0077】
(10)図柄判定手段109
図4の図柄判定手段109は、リール検出手段107により検出された各リール13L,13M,13Rそれぞれの回転位置に基づき、停止制御手段108により停止制御された各リール13L,13M,13Rの図柄の表示態様が、予め定められた表示態様であるかどうかの判定を行うものである。
【0078】
具体的には、図柄判定手段109は、停止制御手段108により全てのリール13L,13M,13Rが停止制御されたときに、各リール13L,13M,13Rの回転位置情報を取得して入賞ラインの図柄組合せを特定する。そして、特定した図柄組合せが、所定の当選役の入賞にかかる図柄組合せに該当する場合は、当該当選役に入賞したと判定し、いずれにも該当しない場合はハズレと判定する。
【0079】
(11)払出制御手段110
図4の払出制御手段110は、図柄判定手段109が、いずれかの当選役に入賞したと判定したときに、それがメダル払い出しのある入賞であれば、ホッパーユニット43を動作させて、入賞した役に対応した払出数だけメダルを払い出すものである。ただし、クレジットメダルの貯留枚数が上限値(この実施形態では例えば50枚)に達していない場合は、払出数分だけクレジットメダルの枚数を増加する。
【0080】
(12)メダル制御手段111
図4のメダル制御手段111は、メダルセレクタ48の動作を制御することにより、メダル受入可と受入不可とを切換えるものである。
【0081】
(13)コマンド作成手段112
図4のコマンド作成手段112は、役抽選手段105の役抽選結果に関する情報、各ストップスイッチ21L,21M,21R、スタートスイッチ19等の遊技者により操作される操作器具の操作に関する情報、遊技状態に関する情報などの種々の情報をサブ制御基板73(サブCPU71)に送信するためのコマンドを生成するものである。そして、コマンド作成手段112により生成されたコマンドは、コマンド送信手段113によりサブ制御基板73に送信される。
【0082】
例えば、役抽選手段105による役抽選が実行されたときに、役抽選結果を識別できるコマンドを作成する。サブ制御基板73では、送られてきたコマンドに基づき、種々の処理を実行する。
【0083】
(14)コマンド送信手段113
図4のコマンド送信手段113は、メイン制御基板63からサブ制御基板73へ、種々のデータを含む通信コマンドを一方通行で送信するものである。すなわち、コマンド送信手段113は、通常遊技、BB遊技、RB遊技などの遊技状態、役抽選手段105の役抽選結果、図柄判定手段109による図柄判定結果、各リール13L,13M,13Rの回転・停止状態、払出制御手段110によるメダルの払出状態、前面扉5の開放または閉塞の状態、スロットマシン1のエラー状態など、スロットマシン1の状態を表すデータをサブ制御基板73へ送信する。
【0084】
また、コマンド送信手段113は、投入センサ53により投入メダルが検出されたとき、ベットスイッチ15が操作されたとき、最大ベットスイッチ17が操作されたとき、再遊技役の入賞に伴って自動投入(賭数の自動設定処理)が行われるとき、ベット枚数カウンタ651に格納されるベット枚数分のメダル投入が行われたことを表すデータをサブ制御基板73に送信する。
【0085】
また、コマンド送信手段113は、払出制御手段110により払い出されるメダル数を表すデータや、スタートスイッチ19およびストップスイッチ21L,21M,21Rなどの各種スイッチが遊技者により操作されたことを示すデータなどもサブ制御基板73に送信する。
【0086】
(サブ制御基板)
次に、サブ制御基板73について詳細に説明する。サブ制御基板73は、メイン制御基板63から送信された通信コマンドを受信し、メイン制御基板63の動作や状態に応じた演出を行うものである。図4に示すように、サブ制御基板73は、メモリ75に格納されたプログラムを実行することにより実現される種々の機能や、ハードウェアにより実現される種々の機能を備えている。
【0087】
(1)コマンド受信手段200
図4のコマンド受信手段200は、メイン制御基板63のコマンド送信手段113により送信された種々のデータを含む通信コマンドを受信するものである。コマンド受信手段200は、メイン制御基板63から送信される通信コマンドを受信し、通信コマンドを受信すれば、通信コマンドの種類に応じてサブ制御基板73が備える各機能に通知を行う。
【0088】
(2)演出内容決定手段201
図4の演出内容決定手段201は、コマンド受信手段200が受信した通信コマンドに応じて、演出の内容を決定するためのものである。具体的には、遊技の進行や、役抽選手段105の役抽選結果などに対応して予め設定された演出パターンから、液晶表示器27に表示される動画を決定したり、スピーカ31L,31Rから流れる音楽を決定したり、上部ランプ部33や下部ランプ部37L,37Rの光源を一斉にあるいは個別に点滅したりするなどの演出を決定する。
【0089】
(通常演出)
例えば、演出内容決定手段201は、コマンド受信手段200が役抽選手段105の役抽選結果に関するコマンドを受信した場合、当該役抽選結果に対応する演出群の中から一の演出を実行演出内容に決定する。この演出群の中には、役抽選結果を遊技者に示唆する演出が含まれる。また、演出内容決定手段201は、コマンド受信手段200が、当選した役に入賞した旨の情報を受信した場合は、その入賞役を示唆する演出を実行する演出内容に決定する。
【0090】
(サブリール演出)
この実施形態では、液晶表示器27の表示画面27aにおいて、リール13L,13M,13R(メインリール)に模したサブリールを表示して、メインリールの停止態様に応じた演出が行われる。演出内容決定手段201は、サブリール27bの表示内容を決定する。サブリール27bは、図6に示すように表示画面27aの右上領域に設定されている。サブリール27bは、矩形状の枠の中に横並びの3つの矩形枠が配置されており、それぞれ、左側の枠(左サブリール27b1)が左リール13L、真ん中の枠(中サブリール27b2)が中リール13M、右側の枠(右サブリール27b3)が右リール13Rに対応している。
【0091】
この実施形態では、メインリールは、各リール13L,13M,13Rそれぞれにおいて、上、中、下段の3コマ分の図柄が表示窓11から表示されるのに対して、サブリールでは、各サブリール27b1,27b2,27b3はそれぞれ1コマ分の図柄が表示される。なお、各サブリール27b1,27b2,27b3についても、メインリールの各リール13L,13M,13Rと同様に、それぞれ3コマ分の図柄の変動表示を行うようにしてもよい。
【0092】
サブリール27bは、メインリール(リール13L,13M,13R)の回転開始の契機と、回転停止(図柄変動の停止)の契機とが同じとなっている。すなわち、1遊技に必要なメダルの賭け数が設定されている状態でスタートスイッチ19が操作されると、メインリール(リール13L,13M,13R)の回転が開始するが、このとき、サブリール27bの図柄変動も開始する(図6(a)参照)。
【0093】
サブリールの図柄変動の開始は、スタートスイッチ19が操作されたときに、コマンド送信手段113からその旨を示すコマンドがサブ制御基板73に送信され、当該コマンドをコマンド受信手段200が受信したことを契機に、演出内容決定手段201がサブリール27bの図柄変動を開始するという演出内容に決定する。なお、スタートスイッチ19が操作されても、遊技間の最小時間として設定されている所定時間(例えば4秒)を経過していない場合は当該所定時間を経過するまで待機となり、メインリール(リール13L,13M,13R)の回転開始が遅れる場合があるが、この場合は、メインリールの回転が開始する前にサブリール27bの図柄変動表示が開始する場合がある。
【0094】
その後、メインリールの各リール(左リール13L,中リール13M,右リール13R)が定常回転となると、各ストップスイッチ21L,21M,21Rの操作が有効になる。この状態で、遊技者が例えば左ストップスイッチ21Lを押下すると、上述の停止制御手段108により役抽選結果に応じたリールの停止制御が行われ、左リール13Lの回転が停止する。このとき、左サブリール27b1の図柄変動も停止する。なお、この実施形態では、図柄変更が停止したときに左サブリール27b1に表示される図柄は、左リール13Lの回転が停止したときに、入賞ラインを構成する中段に位置する図柄を模した図柄が表示される。例えば、左リール13Lが停止したときに、左リール13Lの中段に図柄「赤7」が停止していた場合、左サブリール27b1には、図柄「赤7」が表示される。
【0095】
左ストップスイッチ21Lが押下されたときに、コマンド送信手段113からその旨を示すコマンドと、左リール13Lの回転停止位置を特定可能な情報(例えば、停止制御手段108が選択した停止テーブル672に関する情報)を含むコマンドとがサブ制御基板73に送信される。これらのコマンドをコマンド受信手段200が受信したことを契機に、演出内容決定手段201が左サブリール27b1において左リール13Lの中段に停止している図柄を模した図柄を表示した状態で、左サブリール27b1の図柄変動を停止するという演出内容に決定する。
【0096】
続いて、遊技者が例えば中ストップスイッチ21Mを押下すると、上述の停止制御手段108により役抽選結果と第1停止リールの停止態様とに応じたリールの停止制御が行われ、中リール13Mの回転が停止する。このとき、中サブリール27b2の図柄変動も停止する。なお、この実施形態では、図柄変更が停止したときに中サブリール27b2に表示される図柄は、中リール13Mの回転が停止したときに、入賞ラインを構成する中段に位置する図柄を模した図柄が表示される。例えば、中リール13Mが停止したときに、中リール13Lの中段に図柄「赤7」が停止していた場合、中サブリール27b2には、図柄「赤7」が表示される。
【0097】
中ストップスイッチ21Mが押下された場合、コマンド送信手段113からその旨を示すコマンドと、中リール13Mの回転停止位置を特定可能な情報(例えば、停止制御手段108が選択した停止テーブル672に関する情報)を含むコマンドとがサブ制御基板73に送信される。これらのコマンドをコマンド受信手段200が受信したことを契機に、演出内容決定手段201が中サブリール27b2において中リール13Mの中段に停止している図柄を模した図柄を表示した状態で、中サブリール27b2の図柄変動を停止するという演出内容に決定する。
【0098】
そして、遊技者が例えば最終停止の右ストップスイッチ21Rを押下すると、停止制御手段108により役抽選結果と第2停止リールまでの停止態様とに応じたリールの停止制御が行われ、右リール13Rの回転が停止する。このとき、右サブリール27b3の図柄変動も停止する。なお、この実施形態では、図柄変更が停止したときに右サブリール27b3に表示される図柄は、右リール13Rの回転が停止したときに、入賞ラインを構成する中段に位置する図柄を模した図柄が表示される。例えば、右リール13Rが停止したときに、右リール13Rの中段に図柄「赤7」が停止していた場合、右サブリール27b3には、図柄「赤7」が表示される。これにより、メインリールの全てのリール13L,13M,13Rの回転が停止するとともに、サブリール27bの全てのリール27b1,27b2,27b3の図柄変動が停止する(図6(b)参照)。このとき、サブリール27bの図柄表示態様を見ればボーナス役「BB」に入賞したとこが分かる。
【0099】
右ストップスイッチ21Rが押下されたときに、コマンド送信手段113からその旨を示すコマンドと、右リール13Rの回転停止位置を特定可能な情報(例えば、停止制御手段108が選択した停止テーブル672に関する情報)を含むコマンドとがサブ制御基板73に送信される。これらのコマンドをコマンド受信手段200が受信したことを契機に、演出内容決定手段201が右サブリール27b3において右リール13Rの中段に停止している図柄を模した図柄を表示した状態で、右サブリール27b3の図柄変動を停止するという演出内容に決定する。
【0100】
なお、この実施形態では、液晶表示器27にメインリールを模したサブリール27b(ビデオリール)を表示するようにしたが、例えば、メインリールとは別に物理的なサブリールを配設するようにしてもよい。この場合も、サブリールの回転開始契機と、回転停止リールとが、メインリールの回転開始契機と、回転停止契機とが同じとなるようにするとよい。
【0101】
また、メインリール(リール13L,13M,13R)とサブリール27bとの図柄変動の開始、停止については、全ての態様が同じである必要はなく、例えば、メインリールの回転開始タイミングとサブリール27bの図柄変動の開始タイミングは同じであるが、メインリールの第2停止までは、サブリール27bの各サブリール27b1,27b2,27b3の図柄変動は継続し、メインリールの最終停止のタイミングでサブリール27bの全てのサブリール27b1,27b2,27b3の図柄変動が停止するようにしてもよい。
【0102】
また、メインリールの図柄と、サブリール27bの図柄とは必ずしも同じ図柄である必要はなく、例えば、サブリール27bの表示図柄がメインリールの特定図柄と対応するものであってもよい。また、メインリールの停止図柄組合せと、サブリール27bの停止図柄組合せとが対応するものであってもよい。例えば、入賞にかかる図柄組合せが、入賞ラインとは異なるラインに同じ図柄が停止する図柄組合せ(例えば、右上がりラインに図柄「BE1」が揃う図柄組合せ)である役に入賞した場合に、サブリール27bの各矩形枠27b1,27b2,27b3それぞれに当該同じ図柄(例えば、図柄「BE1」)を表示するようにしてもよい。また、特定のリールのみ入賞にかかる図柄(例えば、図柄「CH(チェリー)」)が設定され、他のリールについてはどの図柄でも入賞となる役が設定されていた場合、当該役に入賞したときに、象徴的な図柄である図柄「CH(チェリー)」をサブリール27bの各矩形枠27b1,27b2,27b3それぞれに表示するなど、入賞役に基づいて図柄をサブリール27bに表示するようにしてもよい。
【0103】
(誤認防止表示)
また、この実施形態では、メインリール(左リール13L、中リール13M、右リール13R)と、サブリール27b(左サブリール27b1、中サブリール27b2、右サブリール27b3)とを備えるため、遊技者がサブリール27bをメインリールと誤認するのを防止しるために、液晶表示器27に誤認防止表示が行われる。演出内容決定手段201は、誤認防止表示を実施するか否かにかかる、表示画面27aの表示内容も決定する。
【0104】
液晶表示器27の表示画面27aのメインリール(左リール13L、中リール13M、右リール13R)の近傍に誤認防止表示領域27cが設定されており、当該領域27cに誤認防止表示として「回胴リール」の文字が表示される。この実施形態では、誤認防止表示領域27cは、表示画面27aの4つの辺(上辺27a1、下辺27a2、右辺27a3、左辺27a4)のうち、メインリールに最も近い下辺27a2の近傍に設定されている(図6参照)。
【0105】
次に、演出内容決定手段201により決定される誤認防止表示の有無について図6および図8を参照して説明する。なお、以下ではスタートスイッチ19の操作を契機にメインリールが回転を開始してから全てのリール13L,13M,13Rが停止してメダルの払い出し処理が終了するまでの期間を遊技中とし、その他の期間を非遊技中とする。
【0106】
メインリールが回転している間は、サブリール27bとの誤認が生じる可能性が高いため、この間は原則、液晶表示器27の表示画面27aにおいて誤認防止表示が行われる。具体的には、例えば、1遊技に必要なメダルの賭け数が設定されてから、スタートスイッチ19が操作されることによりリール13L,13M,13Rの回転が開始し、ストップスイッチ21L,21M,21Rが操作されて全てのリール13L,13M,13Rが停止するまでの間は、誤認防止表示が継続する。
【0107】
なお、演出内容決定手段201は、全てのリール13L,13M,13Rが停止した後、遊技が行われていない状態が所定時間(例えば、30秒)経過した場合、液晶表示器27の表示画面27aにおいてデモ画面を表示するという演出内容に決定する(図6(c)参照)。ここで、遊技が行われていない状態とは、例えば、遊技者により、メダルの投入操作(ベットスイッチ15,17の操作を含む)などの遊技者による操作がない状態である。
【0108】
デモ画面では、遊技が行われていない状態であり、サブリール27bの表示が行われず、メインリールとサブリール27bとの誤認は生じない。したがって、通常画面からデモ画面に切り替わった場合は、誤認防止表示領域27cの誤認防止表示を止める(図6(c))。これにより、デモ画面において使用できる表示画面27aの領域を増やすことができる。ただし、全てのリール13L,13M,13Rが停止してからデモ画面が表示されるまでの間は、次の遊技が開始する可能性がある。このような場合は、誤認防止表示が継続する。したがって、デモ画面が表示される前に遊技が繰り返し行われていた場合は、原則として誤認防止表示が継続する。
【0109】
メダルの精算中は、非遊技のときしか発生しない。また、精算スイッチ23が操作された場合は、表示画面27aの中央領域に「精算中」の文字が表示される。当該状態中は誤認防止表示が行われる。設定確認中は、非遊技のときしか発生せず、当該状態中は誤認防止表示が行われない。
【0110】
遊技を進行できないエラー状態は、遊技中と非遊技中のいずれの場合も発生し得る。エラー状態では液晶表示器27の表示画面27aには、サブリール27bが表示されず、例えば「エラー中」などの文字が表示される。当該状態中はメインリールとサブリール27bの誤認は生じないため、誤認防止表示は行われない。
【0111】
ボーナス役に当選してから入賞するまでの間は、液晶表示器27の表示画面27aの「ボーナス確定」などの文字が表示されてボーナス役に当選していることが報知される場合がある。「ボーナス確定」の表示が行われた以降は、当該ボーナス役に入賞するまでの間は遊技中であろうと非遊技中であろうと当該表示が維持される。「ボーナス確定」表示が行われている間は、遊技中、非遊技中のいずれでも誤認防止表示が行われる。
【0112】
ボーナス状態中(BB中、RB中)は、液晶表示器27の表示画面27aの通常画面からボーナス中の画面に切り替わる。ボーナス中の遊技中は、メインリールとサブリール27bの誤認が生じ得ることから当該状態中は誤認防止表示が行われる。一方、ボーナス状態中の非遊技では、誤認防止表示は行われない。例えば、ボーナス役に入賞した遊技ではボーナス入賞したことを報知する映像が表示画面27aに表示される。当該映像は次の遊技が開始されるまで継続する。より具体的に説明すると、通常遊技では、メインリールが停止してからデモ画面に切り替わるまでの間は表示画面27aに誤認防止表示が継続するが、ボーナス役に入賞した遊技ではメインリールが停止してボーナスの入賞が確定すると直ちに表示画面27aがボーナス入賞の報知映像に切り替わり、これに伴って誤認防止表示が消される。このような場合(非遊技中)に誤認防止表示を行わないことで、当該報知画面の見栄えをよくすることができる。なお、ボーナス状態中の非遊技でも誤認防止表示を行うようにしてもよい。また、この実施形態ではいわゆるAT機能が搭載されていないが、ATが搭載された遊技機の場合の誤認防止表示の有無は、ボーナス状態中の場合と同じ構成にするとよい。
【0113】
また、この実施形態では、疑似遊技が行われる場合はないが、疑似遊技が行われている場合は誤認防止表示が行われるようにしてもよい。なお、疑似遊技とは、メダルの投入→スタートスイッチ19の操作→リール回転→ストップスイッチ21L,21M,21Rの操作→リール停止の手順で行われる通常遊技とは異なる遊技であって、スタートスイッチ19の操作およびストップスイッチ21L,21M,21Rの操作によってリールの回転/停止が行われる演出としての遊技である。
【0114】
また、この実施形態では、表示画面27aにデモ画面が表示されている場合などの非遊技中は、メニューボタン(図示省略)を押すと(本発明の「特定操作」に相当)、液晶表示器27の表示画面27aがメニュー画面に切り替わり、遊技者が音量や光量の調整など各種機能の調整を行うことが可能になっている。メニュー画面が表示されている間はメインリールとサブリール27bの誤認が発生しないことから、当該期間中は誤認防止表示が行われない。
【0115】
(液晶表示器の変形例)
上記した実施形態では、液晶表示器27の表示画面27aがメインリールの上方に配置されている場合を例として説明したが、当該表示画面27aの部分と正面板9の部分とを一体的に液晶パネルで形成し、表示画面270aとしてもよい(図7参照)。この場合は、メインリール(左リール13L、中リール13M、右リール13R)の前方にも液晶パネル(表示画面270a)が配置されるが、表示制御手段202の制御により表示画面270aの全部または一部を透明とすることができるようになっている。そして、メインリールの前方領域270d(本発明の「透過領域」に相当:以下、透明可能領域270dという場合もある。)を透明に制御することで、メインリールを視認できるようにしている。なお、この実施形態ではメインリールの前方領域が、図1に示す表示窓11に対応する領域に設定されている。
【0116】
また、表示画面270aの左上部の領域にサブリール270bの表示領域が設定されている。サブリール270bの図柄変動表示の開始タイミングや停止タイミング、並びに表示内容は上記した実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0117】
また、この実施形態において透明可能領域270dは、矩形状をなし、上辺270d1、下辺270d2、右辺270d3、左辺270d4を有する。また、透明可能領域270dの外側であって、透明可能領域270dの右辺270d3の近傍に誤認防止表示領域270cが設定されており、当該領域270cに誤認防止表示が行われる。ここで、誤認防止表示領域270cを透明可能領域270dの外側に設定するのは、透明可能領域270d内に設定するとメインリールの視認の邪魔になるためである。また、誤認防止表示領域270cを右辺270d3の近傍に設定するのは、メインリールと近接させることで、メインリールに関する表示であることを分かりやすくするためである。したがって、誤認防止表示領域270cの設定箇所は、透明可能領域270dの外側であって、透明可能領域270dの近傍であれば適宜変更可能である。なお、誤認防止表示を行う場合と行わない場合は、図6および図8を参照して説明した上記実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0118】
透明可能領域270dは、少なくともメインリール(左リール13L、中リール13M、右リール13R)が回転している間は透明に制御される。なお、メインリール(左リール13L、中リール13M、右リール13R)が回転している間に本来なら透明可能領域270dに跨る演出画像を表示画面270aに表示する場合も、透明可能領域270dだけは透明制御を維持し、メインリールの視認性を確保する。
【0119】
また、全てのリール13L,13M,13Rが停止した後に、ボーナス入賞の報知を行うときや、レア役当選の報知を行うときには、透明可能領域270dの透明制御を中止して当該領域270dを含む表示画面270aの略全ての領域が演出画面として使用される。
【0120】
また、全てのリール13L,13M,13Rが停止した後、遊技が行われていない状態が所定時間(例えば、30秒)経過した場合(本発明の「所定の画面切り換え条件が成立」に相当)は、液晶表示器27の表示画面270aにおいてデモ画面が表示される。このとき、透明可能領域270dの透明制御が中止されるとともに、サブリール270bの表示が中止され、表示画面270aの全体にデモ画面が表示される。
【0121】
(3)表示制御手段202
図4の表示制御手段202は、演出内容決定手段201から送信された信号に含まれるデータに基づいて、液晶表示器27に動画(画像)を表示したり、上部ランプ部33や下部ランプ部37L,37Rの光源を一斉にあるいは個別に点滅したりするなどの演出を実行するものである。
【0122】
(4)音声制御手段203
図4の音声制御手段203は、演出内容決定手段201から送信された信号に含まれるデータに基づいて、スピーカ31L,31Rから音楽を流したり、音声を出力したりするなどの演出を実行するものである。
【0123】
したがって、上記した実施形態によれば、図柄変動の開始契機と、変動停止契機とがメインリール(左リール13L、中リール13M、右リール13R)と同じであるサブリール27b、270bを設けた場合は、メインリールとサブリール27b,270bの誤認が生じやすい。遊技によってはメインリールの停止にかかるストップスイッチ21L,21M,21Rの操作タイミングによって当選役に入賞させることができない取りこぼしが発生する場合があり、このような場合はいわゆる目押しが必要になるが、当該遊技でメインリールとサブリール27b,270bの誤認があると、取りこぼしが発生するおそれがある。この実施形態では、メインリールの近傍に配設された液晶表示器27の表示画面27a,270aにおいて、メインリール近傍に誤認防止表示領域27c,270cを設定し、当該領域27c,270cで誤認防止表示を行うように構成したため、サブリール27b,270bをメインリールと誤認することに基づいた取りこぼしを防止できる。一方、デモ画面が表示されている状態など、メインリールが停止している状態ではサブリール27b,270bをメインリールと誤認しても取りこぼしが発生するおそれがないため、このような場合は誤認防止表示を行わずにデモ演出を優先させることができる。
【0124】
また、正面板9には、入賞役の図柄組合せの一覧や入賞ラインなどの様々な表示が必要とされているため、正面板9にさらに誤認防止表示領域を設けると、他の表示が小さくなって視認性が低下するおそれがあるが、この実施形態において誤認防止表示は、液晶表示器27の表示画面27a,270aを利用して行われるため、正面板9に誤認防止表示を印刷したりや貼り付ける必要がなく、他の表示の視認性が低下するのを防止できる。
【0125】
また、表示画面27a,270aにデモ画面が表示される状況のように、メインリールが停止した後であって、メインリールとサブリール27b,270bの誤認が発生しない状況では、誤認防止表示を行わないようにしたため、状況に応じて表示画面27a,270aを効率的に使用できる。
【0126】
また、図7のようにメインリールの前方にも表示画面270aが配置された構成において、メインリールを視認可能にする透明可能領域270dとは異なる領域に誤認防止表示領域270cを設定しているため、メインリールと誤認防止表示とが重なることがなく、誤認防止表示がメインリールの視認の邪魔になるのを防止できる。
【0127】
また、この実施形態では、透明可能領域270dが透明に制御されている状況など、メインリールとサブリール27b,270bの誤認が生じ得る状況では誤認防止表示を行うが、透明可能領域270dにも演出画像が表示されている状況のように、メインリールとサブリール27b,270bの誤認が生じない状況では誤認防止表示を行わない。このようにすると、透明可能領域270dに演出画像が表示される場合のように表示画面270aの演出を目立たせたい場合は、誤認防止表示を行わないことで当該演出に集中させることができる。
【0128】
また、メインリール(各リール13L,13M,13R)の全ての回転が停止してからデモ画面が表示されるまでの間は誤認防止表示が継続される。通常はメインリールの回転が停止しても、デモ画面が表示される前に次の遊技を行うため、メインリールの図柄変動の停止を契機に誤認防止表示を止める構成では頻繁に誤認防止表示の有無が切り替わることでサブCPU71の処理負荷が増大する可能性がある。しかしながら、この実施形態では、メインリールの全ての回転が停止してからデモ画面が表示されるまでの間は誤認防止表示が継続されるため、表示切替にかかるサブCPU71の処理負荷を軽減することができる。
【0129】
また、表示画面27a,270aにデモ画面が表示されている場合などの非遊技中にメニューボタンが押下されると表示画面27a,270aの表示内容がメニュー画面に切り替わるが、メニュー画面が表示されている間は、メインリールの図柄変動が停止している状態である。このような場合は、メインリールの停止にかかるストップスイッチ21L,21M,21Rの操作タイミングによって取りこぼしが発生するすおそれがなくなっているため、このような場合は誤認防止表示を行わないことで、メニュー画面の表示領域を広くできる。
【0130】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、誤認防止表示領域27c,270cの設定位置は、メインリール(左リール13L、中リール13M、右リール13R)の近傍であれば適宜変更可能である。
【0131】
また、非遊技中であって設定変更を行っている状態では、誤認防止表示を行わないようにしてもよい。
【0132】
本発明は、複数種類の図柄を可変表示する可変表示列を複数有する表示手段と、前記可変表示列それぞれの可変表示を停止させる停止操作手段とを備え、全ての前記可変表示列が停止したときの図柄組合せに応じて遊技媒体が払い出される遊技機に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0133】
1…スロットマシン、13L,13M,13R…リール(メインリール)、27…液晶表示器(表示装置)、27b,270b…サブリール、61…メインCPU(メイン制御手段)、71…サブCPU(サブ制御手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8