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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】給水装置および通信端末
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/10 20060101AFI20241118BHJP
   F04B 49/06 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
F04B49/10 311
F04B49/06 311
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020122368
(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公開番号】P2022018920
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】玉川 充
(72)【発明者】
【氏名】志水 章紀
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
【審査官】森 秀太
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-070786(JP,A)
【文献】特開2006-219988(JP,A)
【文献】特開2019-011609(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0052423(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/10
F04B 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データ取得部、識別子復元部、無線通信インタフェース、制御盤情報取得部、及び、接続設定部を有し、サーバと通信可能な通信端末であって、
前記画像データ取得部は、
ポンプユニットと制御盤を有する給水装置の外面に設けられる、前記ポンプユニットを一意に識別するポンプ識別表示であって、前記ポンプユニットを一意に識別するポンプ識別子を変換した二次元コードを含む前記ポンプ識別表示をカメラによって撮影した画像データを取得し、
前記識別子復元部は、
前記画像データに含まれる前記二次元コードから前記ポンプ識別子を復元し、
前記サーバは、
前記ポンプ識別子と、前記ポンプユニットを一意に識別する前記ポンプ識別子に関連付けられる制御盤識別子によって一意に識別される制御盤制御盤情報とを含むデータベースを管理し、
前記無線通信インタフェースは、
周囲の接続可能なデバイスをスキャンすることで、発見された前記デバイスのデバイス情報を含むデバイスリストを作成し、
前記制御盤情報取得部は、
前記サーバから予め前記データベースをダウンロードし、
前記ダウンロードしたデータベースを、前記復元したポンプ識別子に基づいて検索することにより、前記復元したポンプ識別子に関連付けられた前記制御盤識別子によって一意に識別される前記制御盤を特定するための前記制御盤情報を当該データベースから取得し、
前記接続設定部は、前記デバイスリストが前記制御盤情報を含むか判定し、当該制御盤情報を含む場合に、前記無線通信インタフェースを前記制御盤に接続させる、
通信端末。
【請求項2】
前記デバイスリストが前記制御盤情報を含んでいない場合に、前記ポンプユニットを制御する制御盤が前記データベースに登録されていないことを報知する未登録制御盤報知部をさらに具備する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記給水装置は、着脱可能なポンプカバーをさらに具備し、
前記ポンプ識別表示は、前記ポンプカバーの外面に設けられ、
前記通信端末は、
前記サーバから受信された、前記給水装置を含む複数の給水装置のポンプ識別子および設置位置情報を表すマップデータを取得するマップデータ取得部と、
前記マップデータを表示装置に表示させるマップデータ表示部と
をさらに具備する、
請求項1または請求項2に記載の通信端末。
【請求項4】
ポンプユニットを一意に識別するポンプ識別表示が外面に設けられ、
前記ポンプ識別表示は、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載された通信端末の前記画像データ取得部が取得する前記画像データとして前記カメラによって撮影される、給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば給水装置および通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォンなどの通信端末が給水装置のデータを取得できるようにするために、当該給水装置の制御盤を通信可能に構成して通信端末と通信を行わせることがある。例えば特許文献1([0032],[0076],[0078])には、ポンプの制御盤が通信部を備えること、およびスマートフォンなどの外部表示器が給水装置から受信したシリアル番号などのデータを外部サーバへ送信して記憶させること、が開示されている。
【0003】
また、例えば特許文献2([0024],[0039])には、ポンプの制御盤のケース表面に、ポンプの制御手段と携帯端末との間で交信するための交信プログラムに関する情報と、ポンプの運転制御に必要な各種データをダウンロードできるウェブサイトへのURL(Uniform Resource Locator)とが記録された二次元コードをシールとして貼り付けることが知られている。さらに、特許文献2には、携帯端末がこの交信プログラムを起動すると、ポンプの制御手段と自動的に通信を行い、現在のポンプの運転状況をこの携帯端末の表示部に表示するように動作することも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-62884号公報
【文献】特開2006-219988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技法によれば、外部表示器は、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)の技術によって、制御盤内の制御部と接続される([0076])。NFCは、通信距離が数センチメートル程度であるとされている。故に、この技法によれば、外部表示器の周囲数メートル~数十メートル程度に他の給水装置が存在していたとしても、通信相手の取り違えは生じないであろう。
【0006】
他方、Bluetooth(登録商標)またはWi-Fiの通信距離は最大100メートル程度であるとされている。故に、これらの無線通信方式によれば、通信端末の周囲数メートル~数十メートル程度に目的の給水装置以外の給水装置が存在する場合に、通信端末に接続可能な複数の給水装置から通信相手を正しく選択する必要がある。
【0007】
本発明は、通信端末が自らの無線接続しようとする給水装置の制御盤を容易に特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、通信端末は、画像データ取得部、識別子復元部、無線通信インタフェース、制御盤情報取得部、及び、接続設定部を有し、サーバと通信可能な通信端末である。画像データ取得部は、ポンプユニットと制御盤を有する給水装置の外面に設けられる、ポンプユニットを一意に識別するポンプ識別表示であって、前記ポンプユニットを一意に識別するポンプ識別子を変換した二次元コードを含む前記ポンプ識別表示をカメラによって撮影した画像データを取得する。前記識別子復元部は、前記画像データに含まれる前記二次元コードから前記ポンプ識別子を復元する。前記サーバは、前記ポンプ識別子と、当該ポンプ識別子に関連付けられる制御盤識別子によって一意に識別される制御盤の制御盤情報とを含むデータベースを管理する。前記無線通信インタフェースは、周囲の接続可能なデバイスをスキャンすることで、発見された前記デバイスのデバイス情報を含むデバイスリストを作成する。前記制御盤情報取得部は、前記サーバから予め前記データベースをダウンロードし、前記ダウンロードしたデータベースを、前記復元したポンプ識別子に基づいて検索することにより、前記復元したポンプ識別子に関連付けられた前記制御盤識別子によって一意に識別される前記制御盤を特定するための前記制御盤情報を当該データベースから取得する。前記接続設定部は、前記デバイスリストが前記制御盤情報を含むか判定し、当該制御盤情報を含む場合に、前記無線通信インタフェースを前記制御盤に接続させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通信端末が自らの無線接続しようとする給水装置の制御盤を容易に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る給水装置の外観を例示する図。
図2図1の給水装置の外面に取り付けられた銘板を例示する図。
図3】実施形態に係る給水装置、通信端末、およびサーバを含むポンプ管理システムを例示する図。
図4】実施形態に係る給水装置を例示するブロック図。
図5】実施形態に係る通信端末を例示するブロック図。
図6】実施形態に係るサーバを例示するブロック図。
図7図5の通信端末の動作を例示するフローチャート。
図8図6のサーバの動作を例示するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら実施形態の説明を述べる。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることもある。
【0013】
なお、以降の説明において便宜上、設備を給水装置とするが、設備はこれに限定されない。例えば、設備は、揚水、排水などの任意の用途のポンプを備えた装置であってもよいし、かかる装置とも異なる種々の電気または機械設備、例えば、給湯機、コンピュータ、OA(Office Automation)機器、家電機器、ロボット、産業機械、などであってもよい。また、以降の説明において、「ポンプ」または「給水装置」の用語は、より広義の用語である「設備」として、または他の設備の名称として適宜読み替え可能である。例えば、「ポンプデータ」、および「ポンプ管理システム」は、「設備データ」、および「設備管理システム」などとして読み替えることができる。さらに、以降の説明において、「制御盤」は、給水装置の制御装置として典型的に用いられている用語であるが、より広義な「制御装置」として適宜読み替えることができる。なお、後述されるように、「制御盤」ないし「制御装置」は、その制御対象、例えば給水装置、の外面に備えられた識別表示を読み取った通信端末と無線接続することになる。故に、「制御盤」ないし「制御装置」は、その制御対象と一体化されているか、またはその制御対象の周囲(例えば、制御対象付近の通信端末が無線接続可能な範囲内)に設置される必要がある。
【0014】
(実施形態)
実施形態に係る給水装置の外観の一例を図1に示す。図1の給水装置10は、後述されるポンプユニット20および制御盤30を覆う、着脱可能なポンプカバー11を有する。さらに、ポンプカバー11の外面には、銘板12が貼り付けられている。銘板12は、例えば、給水装置10の製造時に貼り付けられる。
【0015】
銘板12は、給水装置10に関する種々の情報が記載されたフィルムシールであり得る。具体的には、銘板12には、図2に例示されるように、給水装置10の製品名ないし機種名に相当する形式、形式を番号化した製品番号、給水装置10の吐出し量、全揚程、などのスペック、ポンプユニット20の個体識別番号に相当する製造番号が記載され得る。製造番号は、ポンプユニット20を一意に識別するポンプ識別子に相当する。
【0016】
さらに、銘板12には、このポンプ識別子を変換したコード13が記載される。コード13は、典型的には例えばQRコード(登録商標)に代表される二次元コードであるが、これと異なる画像、または符号列であってもよい。
【0017】
なお、図1では、給水装置10はポンプカバー11を有しており、このポンプカバー11の外面に銘板12が貼り付けられているが、これは一例に過ぎない。本実施形態は、銘板12は、ポンプカバー11の有無に関わらず給水装置の外面、すなわちポンプカバー11またはポンプユニット20(のケース)の外面、に貼り付けられ得る。さらに、銘板12を貼り付ける代わりに例えばコード13を印刷または凹凸を付けるなどして、給水装置の外面(例えば、ポンプカバー11の外面)にコード13を含むポンプ識別表示が設けられてもよい。ここで、ポンプ識別表示は、コード13以外に、ポンプ識別子としての文字列(数字列、記号列を含み得る)を含んでもよい。後述される通信端末100は、かかるポンプ識別子をOCR(Optical Character Recognition)を利用して直接的に読み取ることもできる。
【0018】
給水装置10は、例えば、水道本管に直結され、水道本管を流れる水を直接増圧し、建造物に設けられた蛇口やシャワーヘッド等の供給先に給水する、いわゆる直結増圧型給水装置であり得る。
【0019】
この給水装置10は、実施形態に係る通信端末100および実施形態に係るサーバ200を含むポンプ管理システムに組み込むことができる。かかるポンプ管理システムは、図3に例示されるように、給水装置10-1,10-2,10-3,・・・と、サーバ200と、サーバ50と、作業員40-1,40-2,・・・が所持する通信端末100-1,100-2,・・・とを含む。
【0020】
なお、図3における各装置の数は例示に過ぎない。例えば、サーバ200またはサーバ50は、複数台のサーバとして冗長化されてもよい。給水装置10および通信端末100の数は任意であるので、給水装置10の数は3台より多くても少なくてもよいし、通信端末100の数は2台より多くても少なくてもよい。
【0021】
サーバ200は、例えばクラウドサーバであって、各通信端末100からポンプデータを収集し、これらを集約して蓄積する。例えば、サーバ200は、給水装置10(またはポンプユニット20)の個体識別番号に相当する製造番号に紐付けて当該給水装置10に関するポンプデータを蓄積してもよい。また、サーバ200は、蓄積したポンプデータの利活用を行ってもよい。さらに、サーバ200は、通信端末100からの要求に応じて、または自発的に、ポンプデータまたは給水装置10に関わるその他のデータ(例えば、マニュアルデータ、ソフトウェア、ファームウェア)を、通信端末100へ送信してもよい。
【0022】
サーバ50は、例えば給水装置10を生産、販売および/または保守する業者によって運用されるオンプレミスサーバである。サーバ50は、サーバ200と連携して、ポンプデータを遠隔集中管理および利活用し得る。サーバ50は、例えば、新たに製造された給水装置10またはポンプユニット20の製造番号の登録をサーバ200に要求してもよい。なお、クラウドサーバおよびオンプレミスサーバを併用することはオプションであり、サーバ200およびサーバ50はそのどちらかに統合させることもできる。
【0023】
この給水装置10は、図4に例示されるように、ポンプユニット20と、制御盤30と、図示されない吸込配管および吐出配管とを含む。給水装置10は、ポンプユニット20により、吸込配管を介して一次側にある水を取り込み、吐出配管を介して二次側へ給水する。吸込配管は、例えば、水道本管から分岐された水道分管およびポンプユニット20を接続する。吐出配管は、ポンプユニット20とその二次側の給水先とを接続する。
【0024】
なお、ポンプユニット20は、複数台のポンプを含んでいてもよい。この場合に、給水装置10は、複数台のポンプを交互に駆動する交互運転、複数台のポンプを同時に駆動する並列運転、などを行うことができる。
【0025】
制御盤30は、ポンプユニット20(に含まれる各ポンプのモータ)と電気的に接続され、当該ポンプユニット20を制御する。具体的には、制御盤30は、各種センサからのセンシング信号に基づいて、インバータを介してポンプユニット20に含まれる各ポンプのモータの駆動を制御する。
【0026】
例えば、制御盤30は、給水装置10の吸込配管および吐出配管に取り付けられポンプの吸込圧力および吐出圧力を検出可能な圧力センサからのセンシング信号に基づいて、ポンプの運転中に例えば推定末端圧力一定制御または目標圧力一定制御を行い得る。また、制御盤30は、ポンプの運転中にモータを所望の回転数で駆動するように制御することができ、必要に応じてモータの回転数を増減させる。
【0027】
さらに、制御盤30は、ポンプユニット20に含まれるポンプの二次側の配管に取り付けられ当該配管に流れる水の流量を検出可能な流量センサからのセンシング信号に基づいて、流量が小水量であることを検知するとポンプを停止させ得る。そして、制御盤30は、圧力センサからのセンシング信号に基づいてポンプの二次側の圧力が予め定められた始動圧力以下に低下したことを検知すると、ポンプを再駆動する。
【0028】
さらに、制御盤30は、かかるポンプユニット20の制御に加えてポンプデータの出力を行う。詳細は後述するが、制御盤30は、ポンプデータを蓄積しており、ポンプデータを、当該制御盤30に接続した通信端末へ例えばBluetoothで送信する。これにより、例えば作業員が所持するスマートフォンなどの通信端末にポンプデータを取得させることができる。
【0029】
制御盤30は、図示されないI/O部、通信I/F(インタフェース)、インバータ、プロセッサ、メモリ、などを含む。また、制御盤30(のI/O部)は、ポンプユニット20、および入力装置に接続される。なお、入力装置は、制御盤30とは別体であってもよいし、制御盤30に組み込まれていてもよい。
【0030】
I/O部は、例えばポートなどの入出力インタフェースである。I/O部は、ポンプユニット20、入力装置、および/またはインバータから、例えば、ポンプデータ(センシング信号を含み得る)、ユーザ入力(コマンドを含み得る)、などの種々のデータを受け取り、プロセッサへ送る。他方、I/O部は、プロセッサから、例えばインバータ制御信号を受け取ってインバータへ送る。
【0031】
入力装置は、例えば、操作パネル、タッチパネル、キーボード、マウス、などのユーザ入力を受け付ける装置と、前述の圧力センサ、マイクロホン、カメラなどのセンサとを含み得る。
【0032】
通信I/Fは、例えばBluetooth、Wi-Fiなどの無線通信技術を用いて、通信端末100に接続可能である。すなわち、通信I/F は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)基板などの無線通信インタフェースを含み得る。通信I/Fは、種々のデータをプロセッサから受け取って通信端末100へ送信したり、通信端末100から種々のデータを受信してプロセッサへ送ったりする。
【0033】
インバータは、I/O部を介してプロセッサからインバータ制御信号を受け取る。インバータは、このインバータ制御信号に応じて動作する。例えば、インバータは、運転停止信号または運転開始信号に相当するインバータ制御信号に応じて運転を停止または開始し得る。また、インバータは、回転数制御信号に相当するインバータ制御信号に応じて、その担当するモータの回転数を制御し得る。
【0034】
プロセッサは、典型的にはマイコンであるが、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサは、例えば、入出力制御、通信制御、ポンプ制御、などを行う。
【0035】
メモリは、プロセッサが各処理を実現するために当該プロセッサによって実行されるプログラム、例えば、ファームウェア、OS(Operating System)、ポンプ制御プログラム、ポンプデータ管理プログラム、など、および当該プロセッサによって使用されるデータ、例えばユーザ入力、ポンプデータ、などを一時的に格納するメモリを含んでいる。メモリは、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAM(Random Access Memory)を含み得る。
【0036】
プロセッサは、I/O部からポンプデータを取得し、これをメモリに書き込む。ポンプデータは、例えば、ポンプの識別情報、ポンプの出荷情報、ポンプの故障情報、ポンプの運転情報、ポンプのメンテナンス情報、ポンプに関する連絡先情報、ポンプのパラメータ、ポンプの設置情報、およびポンプに関するセンシング信号のうちの一部または全部を含み得る。
【0037】
ポンプの識別情報は、例えば、前述の形式、製品番号、製造番号などを含み得る。さらに、ポンプの識別情報は、制御盤30(の制御基板)の個体識別番号に相当する製造番号を含み得るが、かかる製造番号は例えば給水装置10の製造時にメモリに保存され得る。制御盤30の製造番号は、制御盤識別子と呼ぶこともできる。
【0038】
ポンプの出荷情報は、ポンプの生産時/検査時に設定され得る。ポンプの出荷情報は、例えば、ポンプの代表特性などを含み得る。ポンプの代表特性は、例えば1つまたは複数の性能項目についての同機種の複数台のポンプの性能の平均値または他の統計値である。例えば、給水装置10の性能を測定し、測定された性能を同項目の代表特性と比較することで、当該給水装置10の検査や経年劣化の診断することが可能となる。
【0039】
ポンプの故障情報は、例えば、ポンプの故障履歴であり得る。具体的には、ポンプの故障情報は、給水装置10の故障イベント毎に、故障発生日時、故障要因、および/または故障発生時の給水装置10のステータス、などを含み得る。ポンプの故障情報は、過去所定期間に亘る全ての故障イベントに関する情報要素を含んでいてもよいし、故障発生日時が新しい順に所定個数の故障イベントに関する情報要素を含んでいてもよい。また、給水装置10のステータスは、例えばインバータから取得した電圧/電流値、圧力センサから取得したセンシング信号またはこれに基づき算出された圧力値、流量センサから取得したセンシング信号またはこれに基づき算出された流量値、モータの回転周波数値、積算運転時間、積算運転回数、などを含み得る。ここで、積算運転時間、および/または積算運転回数は、例えばプロセッサによって給水装置10の運転実態に応じて算出され、メモリに書き込まれ得る。
【0040】
ポンプの運転情報は、例えば、ポンプの最新の1つまたはロギングされた複数の時点におけるステータスであり得る。具体的には、ポンプの運転情報は、例えばインバータから取得した各時点の電圧/電流値、圧力センサから取得した各時点のセンシング信号またはこれに基づき算出された圧力値、流量センサから取得した各時点のセンシング信号またはこれに基づき算出された流量値、モータの各時点の回転周波数値、各時点の積算運転時間、各時点の積算運転回数、プロセッサによって判定された給水装置10の運転状態(例えば、正常、電力供給停止、故障、など)、などを含み得る。
【0041】
ポンプのメンテナンス情報は、例えば、ポンプの次の推奨点検タイミング、部品/全体の次の推奨交換タイミング、などであり得る。ここで、これらのタイミングは、例えばプロセッサによって算出され、メモリに書き込まれ得る。プロセッサは、ポンプの最新の点検タイミング/部品の最新の交換タイミングに所定期間、例えば10年、を加算することで、ポンプの次の推奨点検タイミングおよび/または部品/全体の次の推奨交換タイミングを算出してもよいし、或いはポンプの運転情報および/または故障情報に基づいてこれらのタイミングを予測してもよい。また、ポンプのメンテナンス情報は、部品/全体の交換実施タイミングなどのメンテナンス履歴情報を含み得る。
【0042】
ポンプに関する連絡先情報は、例えば、給水装置10のポンプデータまたは給水装置10に関わるその他のデータを閲覧するためのWebページの所在を表すURL、給水装置10の修理、点検、交換などを作業員のための窓口の連絡先、例えば給水装置10が設置された現場の最寄りの営業所の電話番号、などを含み得る。ここで、連絡先は、例えば、電話番号、メールアドレス、FAX番号、などであり得る。また、給水装置10の故障時と非故障時とで異なる連絡先が用意されてもよいし、さらに故障要因別に異なる連絡先が用意されてもよい。
【0043】
ポンプのパラメータは、例えば給水装置10の設定圧力、などを含み得る。ポンプのパラメータは、例えば(認証後の)ユーザ入力に応じて変更可能であってよい。ポンプの設置情報は、例えば給水装置10の納入日、設置日、設置場所、オーナー情報、などを含み得る。ポンプに関するセンシング信号は、例えば、圧力センサ、流量センサ、などの出力の履歴であり得る。
【0044】
また、プロセッサは、メモリからポンプデータ、例えば、圧力センサ、および/または流量センサから取得したセンシング信号(またはこれに基づく圧力値、および/または流量値)、および/または回転周波数値を継続的に読み出す。そして、プロセッサは、メモリに保存されたポンプ制御プログラムによって決まる制御ポリシーに従い、最新のセンシング信号等に応じてインバータ制御信号を生成し、これをI/O部を介してインバータへ送る。
【0045】
さらに、プロセッサは、例えば前述のポンプのパラメータの設定変更を指示するユーザ入力を受け付けることもあり得る。かかるユーザ入力は、例えば、操作パネルまたはタッチパネルの所定のボタンを押下する、或いは、所定のボタンを所定のパターンで押下することで発行されてもよいし、キーボードに所定のキーワードを入力したり、マイクロホンに向けて当該キーワードを発話したりすることで発行されてもよい。この場合に、プロセッサは、かかるユーザ入力によって指示されたパラメータを、メモリに書き込み得る。なお、パラメータの設定変更の前または後に、プロセッサによるユーザ認証が行われてもよい。
【0046】
メモリは、前述の種々のポンプデータを保存する。ポンプデータは、メモリに予め保存されている情報要素のデータ、プロセッサによって取得および/または生成された情報要素のデータを含み得る。メモリに保存されたポンプデータは、ポンプユニット20の制御のためにプロセッサによって読み出されたり、通信端末100への報告のためにプロセッサによって読み出されたりする。
【0047】
制御盤30の(例えばケースの)外面には、当該制御盤30を一意に識別する制御盤識別表示が設けられ得る。この制御盤識別表示は、例えばフィルムなどの銘板を貼り付けることで設けられてもよいし、印刷または凹凸などにより設けられてもよい。制御盤識別表示は、制御盤識別子、例えば制御盤30の製造番号、を変換したコード、例えば二次元コード、および/または当該制御盤識別子を表示する文字列(数字列、記号列を含み得る)を含む。
【0048】
ただし、後述するように通信端末100は、制御盤識別表示ではなくポンプ識別表示を撮影した画像データに基づいて、適切な通信相手を容易に特定できる。故に、この制御盤識別表示は、前述のコード13などのポンプ識別表示とは異なり、給水装置10の外面に設けられる必要はない。例えば、制御盤識別表示は、ポンプカバー11またはその他の部品によって覆われていてもよい。
【0049】
実施形態に係る通信端末100は、例えば、モバイル端末(例えば、タブレット、スマートフォン、ラップトップ、など)、PC(Personal Computer)、バーコードリーダ、などであり得るが、これらに限られない。
【0050】
通信端末100は、給水装置10の外面に設けられたポンプ識別表示を撮影した画像データに基づいて、適切な制御盤を容易に特定し、当該制御盤と無線通信を行うための接続を設定することができる。ここで、適切な制御盤とは、後述されるサーバ200によって管理されるデータベースにおいてポンプ識別子に関連付けられる制御盤識別子によって一意に識別される制御盤を意味する。故に、この通信端末100によれば、その無線通信の相手となる給水装置10の制御盤を容易に特定することができる。
【0051】
具体的には、図5に例示されるように、通信端末100は、I/O部110と、通信I/F 120と、プロセッサ130と、メモリ140とを含む。また、通信端末100(のI/O部110)は、入力装置150に接続される。なお、入力装置150は、通信端末100とは別体であってもよいし、通信端末100に組み込まれていてもよい。
【0052】
I/O部110は、例えばポートなどの入出力インタフェースである。I/O部110は、入力装置150から、例えば、画像データ、位置データ、などの種々のデータを受け取り、プロセッサ130へ送る。
【0053】
入力装置150は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス、などのユーザ入力を受け付ける装置と、例えば、カメラ、マイクロホン、などのセンサと、位置測定装置(典型的にはGPS(Global Positioning System)受信モジュール)とを含み得る。
【0054】
通信I/F 120は、例えば、移動通信(例えば、3G、4G、5G、モバイルWiMAX)、Wi-Fi、WiMAXなどの通信技術を利用して、ネットワーク、典型的にはインターネット経由でサーバ200と通信をする。通信I/F 120は、種々のデータをプロセッサ130から受け取ってサーバ200へ送信したり、サーバ200から種々のデータを受信してプロセッサ130へ送ったりする。
【0055】
また、通信I/F 120は、例えばBluetooth、Wi-Fiなどの無線通信技術を用いて、給水装置10(正確には制御盤30)に接続可能である。すなわち、通信I/F 120は、例えばBLE基板などの無線通信インタフェースを含み得る。通信I/F 120は、種々のデータをプロセッサ130から受け取って給水装置10へ送信したり、給水装置10から種々のデータを受信してプロセッサ130へ送ったりする。
【0056】
プロセッサ130は、典型的にはCPUであるが、マイコン、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ130は、例えば、入出力制御、通信制御、識別子の復元、などを行う。
【0057】
メモリ140は、プロセッサ130が各処理を実現するために当該プロセッサ130によって実行されるプログラム、例えば、ファームウェア、OS、ポンプ管理プログラム、識別子復元プログラム、など、および当該プロセッサ130によって使用されるデータ、例えば、画像データ、ポンプデータ、などを一時的に格納するメモリを含んでいる。メモリは、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。
【0058】
プロセッサ130は、メモリ140に保存されたプログラムを実行することで、図5の画像データ取得部131、識別子復元部132、制御盤情報取得部133、接続設定部134、未登録制御盤報知部135、ポンプデータ取得部136、およびポンプデータ報告部137として機能し得る。また、メモリ140は、ポンプデータ記憶部141を含み得る。
【0059】
画像データ取得部131は、入力装置150(例えば、カメラ)からI/O部110を介して、ポンプ識別表示を撮影した画像データを取得し、これを識別子復元部132へ送る。
【0060】
識別子復元部132は、画像データ取得部131から画像データを受け取る。識別子復元部132は、例えばメモリ140に保存されたデータ復元プログラムによって決まる所定のアルゴリズムに従って、画像データに含まれるポンプ識別表示、より具体的にはコード13、から元のポンプユニット20を一意に識別するポンプ識別子を復元する。識別子復元部132は、復元したポンプ識別子を制御盤情報取得部133へ送る。また、識別子復元部132は、復元したポンプ識別子をポンプデータ記憶部141に書き込み得る。
【0061】
例えば、コード13がQRコードである場合には、データ復元プログラムは、QRコードリーダ(ソフトウェア)であり得る。また、識別子復元部132は、コード13の誤り訂正を行ってからポンプ識別子を復元してもよい。
【0062】
制御盤情報取得部133は、識別子復元部132からポンプ識別子を受け取る。制御盤情報取得部133は、サーバ200によって管理されるデータベースにおいてこのポンプ識別子に関連付けられる制御盤識別子によって識別される制御盤に関わる制御盤情報を取得する。この制御盤情報は、無線通信インタフェースとしての通信I/F 120が接続可能なデバイスのデバイス情報を含むデバイスリストから上記制御盤を特定するために用いられる。この制御盤情報によって特定される制御盤は通常、制御盤30と一致する。しかしながら、例えば古い制御盤から新たな制御盤30への交換が行われ、かつ制御盤30に関わる制御盤情報がデータベースに登録されていない場合には、制御盤情報によって特定される制御盤は制御盤30と一致しない。
【0063】
ここで、デバイスリストは、例えば、通信I/F 120が周囲の接続可能な、例えばBluetoothの場合にはペアリング可能な、デバイスをスキャンすることで作成可能である。デバイスリストには、スキャンにより発見されたデバイス情報としてデバイスの名称などが含められる。すなわち、制御盤情報は、デバイスとしての制御盤の名称などであって、例えば制御盤識別子そのものであり得る。
【0064】
制御盤情報取得部133は、ポンプ識別子に基づく制御盤情報の検索をサーバ200に要求してもよい。具体的には、制御盤情報取得部133は、制御盤情報の検索要求を発行し、これを通信I/F 120がサーバ200へ送信してもよい。この検索要求には、例えばポンプ識別子が含められる。そして、制御盤情報取得部133は、通信I/F 120によって受信された検索結果、例えば制御盤情報、を取得してもよい。
【0065】
或いは、制御盤情報取得部133は、サーバ200から予めデータベースをダウンロードしておき、このダウンロードしたデータベースから制御盤情報を検索してもよい。これにより、通信端末100は、サーバ200との通信ができない場合にも適切な通信相手を特定することができる。ここで、ダウンロードされるデータベースはサーバ200によって管理されるデータベースの全体であってもよいがその一部であってもよい。ダウンロードされるデータベースは、例えば、一部地域に設置された給水装置のエントリを抽出することで準備されてもよいし、例えば、ポンプ識別子および制御盤情報を含む一部の項目を抽出することで準備されてもよい。
【0066】
接続設定部134は、制御盤情報取得部133から制御盤情報を受け取る。そして、接続設定部134は、デバイスリストがこの制御盤情報を含むか否かを判定する。そして、デバイスリストが制御盤情報を含む場合に、接続設定部134は、制御盤情報によって特定される制御盤30に通信I/F 120を接続させる。Bluetoothの例では、接続設定部134は、通信I/F 120と制御盤30とのペアリングを行い、それから当該通信I/F 120を当該制御盤30に接続させる。他方、デバイスリストが制御盤情報を含まない場合に、接続設定部134は、デバイスリストに含まれる通信端末100にとって未知の制御盤情報、またはデバイスリストが制御盤情報を含まないことを示す情報を未登録制御盤報知部135へ送る。なお、接続設定部134は、接続の設定を自動で行ってもよいし、通信端末100の操作者、例えば作業員40、からの承認後に接続の設定を行ってもよい。
【0067】
未登録制御盤報知部135は、接続設定部134からデバイスリストに含まれる未知の制御盤情報、またはデバイスリストが制御盤情報を含まないことを示す情報を受け取とると、制御盤30の制御盤情報がデータベースに登録されていないことを報知する。
【0068】
例えば、未登録制御盤報知部135は、接続設定部134から受け取った情報を、通信I/F 120経由でサーバ200へ送信することで、制御盤30の制御盤情報がデータベースに登録されていないことをサーバ200に報知してもよい。サーバ200は、デバイスリストに含まれる未知の制御盤情報が報知された場合には、当該制御盤情報をデータベースから検索し、検索結果を通信端末100に返してもよい。データベースに登録されている制御盤情報は、通信端末100の周囲にある、コード13によって識別される給水装置10とは異なる給水装置に内蔵された制御盤に対応する。他方、データベースに登録されていない制御盤情報は、コード13によって識別される給水装置10に現在取り付けられている制御盤30に対応する可能性がある。
【0069】
或いは、未登録制御盤報知部135は、接続設定部134から受け取った情報に応じたコンテンツを、例えば図示されない出力装置に出力させることで、制御盤30の制御盤情報がデータベースに登録されていないことを通信端末100の操作者、例えば作業員40、に報知してもよい。例えば、「制御盤が交換されている可能性があります」、「ポンプカバーを外して制御盤のQRコードを撮影して下さい」、などのメッセージが表示装置に表示されてもよいし、音声案内として出力されてもよい。
【0070】
ポンプデータ取得部136は、通信I/F 120が制御盤30と接続した後に、通信I/F 120が制御盤30から受信するポンプデータを取得する。ポンプデータの詳細は前述の通りである。ポンプデータは、接続の確立後に制御盤30によって自発的に送信されてもよいし、ポンプデータ取得部136によって発行され通信I/F 120によって送信される取得要求への応答として送信されてもよい。ポンプデータ取得部136は、取得したポンプデータをポンプデータ記憶部141に書き込む。
【0071】
また、ポンプデータ取得部136は、通信I/F 120がサーバ200から受信するポンプデータを取得する。ポンプデータの詳細は前述の通りである。ポンプデータは、サーバ200によって自発的に送信されてもよいし、ポンプデータ取得部136によって発行され通信I/F 120によって送信される取得要求への応答として送信されてもよい。ポンプデータ取得部136は、取得したポンプデータをポンプデータ記憶部141に書き込む。
【0072】
ポンプデータ報告部137は、ポンプデータ記憶部141に保存されたポンプデータのうちの少なくとも一部を読み出し、通信I/F 120を介してサーバ200に報告する。なお、報告対象となるポンプデータは、予め定められていてもよいし、給水装置10(正確には制御盤30)、作業員40、サーバ50、通信端末100、またはサーバ200、が選択可能であってもよい。
【0073】
ポンプデータ記憶部141は、前述の種々のポンプデータを保存する。ポンプデータは、ポンプデータ記憶部141に予め保存されている情報要素のデータ、識別子復元部132によって復元された情報要素のデータ、および/またはサーバ200からダウンロードした情報要素のデータを含み得る。ポンプデータ記憶部141に保存されたポンプデータは、サーバ200への報告のためにポンプデータ報告部137によって読み出されたり、作業員40の作業支援のために図示されない表示装置によって出力されたりする。
【0074】
実施形態に係るサーバ200は、1台または複数台のサーバコンピュータであり得る。具体的には、図6に例示されるように、サーバ200は、通信I/F 210と、プロセッサ220と、メモリ230とを含む。サーバ200は、各通信端末100から収集したポンプデータを集中管理する。さらに、サーバ200は、かかるポンプデータを利活用してもよい。
【0075】
例えば、サーバ200に集約された、各給水装置10のポンプの識別情報およびメンテナンス情報に基づいて、次の推奨点検タイミング、部品/全体の次の推奨交換タイミングなどの近い給水装置10を特定し、特定された給水装置10のオーナー情報を例えば点検、部品交換または全交換などのメンテナンスに関する営業活動の優先顧客情報として選定して営業担当者に通知することができる。さらに、特定された給水装置10のオーナー情報をさらに当該給水装置10の設置場所情報に基づいてグループ化し、上記優先顧客情報を地域別に選定して各地域の営業担当者に通知することもできる。或いは、特定された給水装置10のオーナーに、点検、部品交換、全交換などのメンテナンスを推奨するメッセージ、例えば、電子メール、SNS(Social Networking Service)メッセージ、ダイレクトメール、FAXなどを送ってもよい。
【0076】
また、サーバ200に集約された、各給水装置10のポンプの識別情報、メンテナンス情報、運転情報および/または故障情報に基づいて、給水装置10の各機種またはその部品の発注数を予測し、予測した発注数を生産計画、物流計画の立案に役立てることもできる。例えば、給水装置10の各機種またはその部品に関する故障情報の統計を取ることで、給水装置10の各機種またはその部品の故障頻度が算出可能であり、当該故障頻度に給水装置10の各機種またはその部品の総数を乗算することで単位期間あたりに必要となる交換数=発注数を見積もることができる。さらに、給水装置10の各機種またはその部品の総数を給水装置10の設置場所情報に基づいてグループ化すれば、発注数を地域別に見積もることもできる。故に、例えば、どの機種の給水装置10またはその部品をどこの工場でどれくらい生産すべきか、また生産した給水装置10またはその部品をどこの倉庫または販売店にどれくらい運ぶべきか、を統計ベースで計画することができる。さらに、かかる発注数予測に基づいて、例えば交換作業を代行するサービス協力業者への発注量を予測することもできる。
【0077】
さらに、サーバ200に集約された、各給水装置10のポンプの識別情報および設置情報に基づいて、給水装置10の各機種がいつ、どこに設置されたかを俯瞰するマップデータを作成して営業担当者に提供することができる。このマップデータを用いて、営業担当者は、例えば自らが担当する地域内で、需要のある機種の給水装置10や、設置から長期間経過した給水装置10のオーナーを把握して効率的な営業活動を行うことができる。
【0078】
通信I/F 210は、例えば、光通信などの通信技術を利用して、ネットワーク、典型的にはインターネット経由で通信端末100と通信をする。通信I/F 210は、種々のデータをプロセッサ220から受け取って通信端末100へ送信したり、通信端末100から種々のデータを受信してプロセッサ220へ送ったりする。
【0079】
プロセッサ220は、典型的にはCPUであるが、マイコン、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ220は、例えば、通信制御、データベースの操作、などを行う。
【0080】
メモリ230は、プロセッサ220が各処理を実現するために当該プロセッサ220によって実行されるプログラム、例えば、ファームウェア、OS、ポンプ管理プログラム、ポンプデータ利活用プログラム、など、および当該プロセッサ220によって使用されるデータ(例えばポンプデータ)、当該ポンプデータが登録されたデータベース、などを一時的に格納するメモリを含んでいる。メモリは、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。
【0081】
プロセッサ220は、メモリ230に保存されたプログラムを実行することで、図6の検索要求取得部221、データベース検索部222、制御盤情報通知部223、ポンプデータ取得部224、およびデータベース登録部225として機能し得る。また、メモリ230は、データベース記憶部231を含み得る。
【0082】
なお、データベース記憶部231は、サーバ200に備えられたHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、などの補助記憶装置、またはサーバ200がアクセス可能なデータベースサーバに含まれてもよい。
【0083】
検索要求取得部221は、通信I/F 210によって通信端末100から受信された検索要求を取得する。検索要求取得部221は、取得した検索要求をデータベース検索部222へ送る。
【0084】
データベース検索部222は、検索要求取得部221から検索要求を受け取り、これに従ってデータベース記憶部231に構築されているデータベースを検索する。データベース検索部222は、データベースの検索結果を制御盤情報通知部223へ送る。
【0085】
制御盤情報通知部223は、データベース検索部222からデータベースの検索結果を受け取る。制御盤情報通知部223は、この検索結果に含まれ得る制御盤情報を、通信I/F 210を介して通信端末100に通知する。この制御盤情報は、通信端末100からの検索要求に含まれるポンプ識別子に関連付けられる制御盤識別子によって識別される制御盤に対応する。
【0086】
ポンプデータ取得部224は、通信I/F 210によって通信端末100から受信されたポンプデータを取得する。ポンプデータ取得部224は、取得したポンプデータをデータベース登録部225へ送る。
【0087】
データベース登録部225は、ポンプデータ取得部224からポンプデータを受け取る。そして、データベース登録部225は、このポンプデータに含まれるキーデータ、例えば、ポンプ識別子に関連付けて、当該ポンプデータに含まれる他のデータをデータベース記憶部231に構築されているデータベースに登録する。
【0088】
データベース記憶部231は、前述のデータベースを保存する。このデータベースは、データベース登録部225によってエントリ(ポンプデータ)を追加、変更または削除され得る。また、このデータベースに登録されているエントリは、データベース検索部222によって検索され得る。
【0089】
以下、図7を用いて、通信端末100の動作例を説明する。
まず、画像データ取得部131は、給水装置10の外面、例えばポンプカバー11の外面、に設けられたポンプ識別表示を撮影した画像データをI/O部110を介して取得する(ステップS301)。識別子復元部132は、ステップS301において取得された画像データ中の二次元コードからポンプ識別子を復元する(ステップS302)。
【0090】
制御盤情報取得部133は、ステップS302において復元されたポンプ識別子に対応する制御盤情報の検索を、通信I/F 120を介してサーバ200に要求する(ステップS303)。それから、制御盤情報取得部133は、通信I/F 120によってサーバ200から受信された、制御盤情報を含むデータベースの検索結果を取得する(ステップS304)。
【0091】
接続設定部134は、デバイスリストが、ステップS304において取得された制御盤情報を含んでいるか否かを検査する(ステップS305)。デバイスリストがこの制御盤情報を含んでいる場合には、処理はステップS306へ進む。そうでなければ、処理はステップS309へ進む。
【0092】
ステップS306において、接続設定部134は、デバイスリストからステップS304において取得された制御盤情報によって特定されるデバイス、すなわち制御盤30、を選択し、通信I/F 120と制御盤30との間の接続を確立する。
【0093】
ステップS306の後に、ポンプデータ取得部136は、通信I/F 120によって制御盤30から受信されたポンプデータを取得する(ステップS307)。ポンプデータ報告部137は、ステップS307において取得されたポンプデータの一部もしくは全部、またはこれらを加工したデータを、通信I/F 120を介してサーバ200に報告し(ステップS308)、図7の動作は終了する。
【0094】
ステップS309において、未登録制御盤報知部135は、制御盤30の制御盤情報がデータベースに登録されていないことを通信端末100の操作者またはサーバ200に報知し、図7の動作は終了する。
【0095】
以下、図8を用いて、サーバ200の動作例を説明する。
通信I/F 210は、いずれかの通信端末100からの検索要求またはポンプデータの受信を待ち受ける(ステップS401およびステップS405)。通信I/F 210が検索要求を受信すると処理はステップS402へ進み、通信I/F 210がポンプデータを受信すると処理はステップS406へ進む。
【0096】
ステップS402において、検索要求取得部221は、通信I/F 210によって受信された検索要求を取得する。データベース検索部222は、ステップS402において取得された検索要求に含まれるポンプ識別子に対応する制御盤情報を、データベース記憶部231に構築されているデータベースから検索する(ステップS403)。制御盤情報通知部223は、ステップS403において見つかった制御盤情報を、通信I/F 210を介して通信端末100に通知する(ステップS404)。
【0097】
ステップS404の後に、通信I/F 210は、いずれかの通信端末100からの検索要求またはポンプデータの受信を待ち受ける(ステップS401およびステップS405)。通信I/F 210が検索要求を受信すると処理はステップS402へ進み、通信I/F 210がポンプデータを受信すると処理はステップS406へ進む。
【0098】
ステップS406において、ポンプデータ取得部224は、通信I/F210によって受信されたポンプデータを取得する。データベース登録部225は、ステップS406において取得されたポンプデータを、データベース記憶部231に構築されているデータベースに登録する(ステップS407)。
【0099】
ステップS407の後に、通信I/F 210は、いずれかの通信端末100からの検索要求またはポンプデータの受信を待ち受ける(ステップS401およびステップS405)。通信I/F 210が検索要求を受信すると処理はステップS402へ進み、通信I/F 210がポンプデータを受信すると処理はステップS406へ進む。
【0100】
以上説明したように、実施形態に係る給水装置は、その外面にポンプユニットを一意に識別するポンプ識別子を変換したコードを含むポンプ識別表示が設けられる。そして、実施形態に係る通信端末は、このポンプ識別表示を撮影した画像データに基づいて制御盤情報を取得し、この制御盤情報を用いてこのポンプ識別表示によって識別されるポンプユニットに関連付けてデータベースに登録されている制御盤に無線通信インタフェースを接続させる。故に、これらの給水装置および通信端末によれば、当該通信端末が自らの無線接続しようとする給水装置の制御盤を容易に特定することができる。
【0101】
(変形例1)
複数の給水装置10が互いに近接して、例えば数メートル圏内に設置されている場合に、これらの給水装置10の間でポンプカバー11の入れ替わりが生じることがあり得る。例えば、作業員40が、これら給水装置10のポンプカバー11を全て外し、各給水装置10のメンテナンスを行い、それから各給水装置10にポンプカバー11を取り付けるとする。この場合に、ある給水装置10-1に含まれるポンプユニット20-1を識別するポンプ識別表示が設けられたポンプカバー11-1が、別のポンプユニット20-2を含む給水装置10-2に取り付けられることがあり得る。
【0102】
かかるポンプカバー11の入れ替わりが生じた後に、作業員40が、給水装置10―2に取り付けられたポンプカバー11-1の外面に設けられたポンプ識別表示を撮影して通信端末100に当該給水装置10-2のポンプデータを取得させようとしたとする。この場合に、通信端末100が接続するのは給水装置10-2ではなく給水装置10-1に含まれる制御盤30-1である。故に、作業員40は、通信端末100によって取得されたポンプデータが給水装置10-2のものであると誤認したまま作業を続けることになる。これにより、例えば作業員40が、通信端末100によって取得されたポンプデータから不具合を察知したとしても、給水装置10-2のパラメータを不必要に調整する一方で給水装置10-1を放置する、といった事態が生じ得る。
【0103】
そこで、通信端末100は、サーバ200から付近に設置された複数の給水装置10のポンプ識別子および設置位置情報を表すマップデータを受信し、これを図示されない表示装置に表示してもよい。かかるマップデータは、データベースに登録されたポンプデータに基づいてサーバ200によって作成され得る。
【0104】
具体的には、通信端末100のプロセッサ130は、メモリ140に保存されたプログラムを実行することで、マップデータ取得部およびマップデータ表示部としてさらに機能してもよい。さらに、通信端末100のI/O部110は、図示されない表示装置に接続されてよい。表示装置は、典型的には液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイなどである。
【0105】
マップデータ取得部は、通信I/F 120がサーバ200から受信するマップデータを取得する。マップデータは、サーバ200によって自発的に送信されてもよいし、マップデータ取得部によって発行され通信I/F 120によって送信される取得要求への応答として送信されてもよい。マップデータ取得部は、取得したマップデータをマップデータ表示部へ送る。
【0106】
マップデータ表示部は、マップデータ取得部からマップデータを受け取り、これをI/O部110へ送る。これにより、マップデータ表示部は、表示装置にマップデータを表示させる。
【0107】
作業員40は、表示装置に表示されたマップデータと周囲の状況とを見比べて、通信端末100が接続している給水装置10が、周囲の複数の給水装置10のいずれであるか、すなわち、どこに設置されているか、を確認したうえでポンプデータを通信端末100に取得させることができる。
【0108】
さらに、作業員40がマップデータを参考に複数の給水装置10の間でポンプカバー11を交換することで、ポンプカバー11の入れ替わりを解消することもできる。
【0109】
(変形例2)
上記実施形態の説明において、通信端末100は、画像データからポンプ識別子を復元し、この復元したポンプ識別子を含む検索要求をサーバ200に送信することとした。しかしながら、通信端末100がポンプ識別子を復元することはオプションである。すなわち、通信端末100は、画像データをサーバ200へ送信し、サーバ200が画像データからポンプ識別子を復元してもよい。
【0110】
(変形例3)
ポンプ識別表示の撮影には、GPS機能付きカメラが用いられてもよい。これにより、画像データに位置データを付加することが可能となる。通信端末100は、位置データを、復元されたポンプ識別子または画像データとともにサーバ200へ送信してもよい。これにより、サーバ200は、未登録の設置位置情報をデータベースに登録することができる。
【0111】
上述の実施形態は、本発明の概念の理解を助けるための具体例を示しているに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図されていない。実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々な構成要素の付加、削除または転換をすることができる。
【0112】
上述の実施形態では、いくつかの機能部を説明したが、これらは各機能部の実装の一例に過ぎない。例えば、1つの装置に実装されると説明された複数の機能部が複数の別々の装置に亘って実装されることもあり得るし、逆に複数の別々の装置に亘って実装されると説明された機能部が1つの装置に実装されることもあり得る。
【0113】
上記各実施形態において説明された種々の機能部は、回路を用いることで実現されてもよい。回路は、特定の機能を実現する専用回路であってもよいし、プロセッサのような汎用回路であってもよい。
【0114】
上記各実施形態の処理の少なくとも一部は、例えば汎用のコンピュータに搭載されたプロセッサを基本ハードウェアとして用いることでも実現可能である。上記処理を実現するプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納して提供されてもよい。プログラムは、インストール可能な形式のファイルまたは実行可能な形式のファイルとして記録媒体に記憶される。記録媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、半導体メモリなどである。記録媒体は、プログラムを記憶でき、かつ、コンピュータが読み取り可能であれば、何れであってもよい。また、上記処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] ポンプユニットと、
前記ポンプユニットを制御する制御盤と
を具備し、
前記ポンプユニットを一意に識別するポンプ識別子を変換したコードを含むポンプ識別表示が外面に設けられる、
給水装置。
[2] 前記ポンプ識別表示は、前記ポンプユニットを一意に識別するポンプ識別子を変換した二次元コードを含む、[1]に記載の給水装置。
[3] 前記制御盤は、外面に当該制御盤を一意に識別する制御盤識別表示が設けられる、[1]または[2]に記載の給水装置。
[4] 着脱可能なポンプカバーをさらに具備し、
前記ポンプ識別表示は、前記ポンプカバーの外面に設けられる、
[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の給水装置。
[5] ポンプユニットを有する給水装置の外面に設けられる、前記ポンプユニットを一意に識別するポンプ識別表示をカメラによって撮影した画像データを取得する画像データ取得部と、
サーバによって管理されるデータベースにおいて前記ポンプユニットを一意に識別するポンプ識別子に関連付けられる制御盤識別子によって一意に識別される制御盤を、無線通信インタフェースが接続可能なデバイスのデバイス情報を含むデバイスリストから特定するための制御盤情報を取得する制御盤情報取得部と、
前記デバイスリストが前記制御盤情報を含む場合に、前記無線通信インタフェースを前記制御盤に接続させる接続設定部と
を具備する、通信端末。
[6] 前記ポンプ識別表示は、前記ポンプ識別子を変換した二次元コードを含み、
前記通信端末は、前記二次元コードから前記ポンプ識別子を復元する識別子復元部をさらに具備し、
前記制御盤情報取得部は、復元された前記ポンプ識別子に基づく前記制御盤情報の検索を前記サーバに要求する、
[5]に記載の通信端末。
[7] 前記デバイスリストが前記制御盤情報を含んでいない場合に、前記ポンプユニットを制御する制御盤が前記データベースに登録されていないことを報知する未登録制御盤報知部をさらに具備する、[5]または[6]に記載の通信端末。
[8] 前記給水装置は、着脱可能なポンプカバーをさらに具備し、
前記ポンプ識別表示は、前記ポンプカバーの外面に設けられ、
前記通信端末は、
前記サーバから受信された、前記給水装置を含む複数の給水装置のポンプ識別子および設置位置情報を表すマップデータを取得するマップデータ取得部と、
前記マップデータを表示装置に表示させるマップデータ表示部と
をさらに具備する、
[5]乃至[7]のいずれか1項に記載の通信端末。
【符号の説明】
【0115】
10・・・給水装置、11・・・ポンプカバー、12・・・銘板、13・・・コード、20・・・ポンプユニット、40・・・作業員、50,200・・・サーバ、100・・・通信端末、110・・・I/O部、120,210・・・通信I/F、130,220・・・プロセッサ、131・・・画像データ取得部、132・・・識別子復元部、133・・・制御盤情報取得部、134・・・接続設定部、135・・・未登録制御盤報知部、136,224・・・ポンプデータ取得部、137・・・ポンプデータ報告部、140,230・・・メモリ、141・・・ポンプデータ記憶部、150・・・入力装置、221・・・検索要求取得部、222・・・データベース検索部、223・・・制御盤情報通知部、225・・・データベース登録部
図1
図2
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図8