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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】溝蓋
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/06 20060101AFI20241118BHJP
【FI】
E03F5/06 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020206043
(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公開番号】P2022092998
(43)【公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501028149
【氏名又は名称】株式会社オカグレート
(74)【代理人】
【識別番号】100101627
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 宜延
(72)【発明者】
【氏名】岡島 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】坪井 博己
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-332741(JP,A)
【文献】実開昭55-178079(JP,U)
【文献】特開2011-127311(JP,A)
【文献】特開2007-120114(JP,A)
【文献】特開2017-066688(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1058174(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0362883(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/00 - 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯幅方向を上下に起立させて互いに平行配設された複数の主部材と、該主部材とで格子状に配設された連結材と、前記主部材の両外側で平行配設され、且つ前記連結材の両端部に固着された一対の端板と、前記主部材の両側端に固着されて、前記端板とで方形枠部を形成する一対の側当て板とを、具備し、
且つ両方の該側当てが、帯板に係る長手方向の一側縁を含むベース部を帯幅方向に残し、他側縁から該一側縁へ向けて、前記主部材の配設ピッチに合せた櫛歯状の切欠を形成した櫛歯状板部を他側縁側に設け、さらにベース部と櫛歯状板部の境界域で折れ曲る屈折側当て板に形成されて、
該屈折側当て板の前記ベース部が帯幅方向を起立して、ベース部の上縁と各主部材側端の上地点とが一致するように合わせて前記主部材の側端上部に固着されると共に、起立した該ベース部の下側から前記櫛歯状板部が主部材を挟み込むようにしながら該主部材の長手方向中央へ向けて延在し、該櫛歯状板部に係る舌板部分の上面が先端へ向かって下降傾斜面に形成され、側溝に設置したとき、舌板部分の先端が、側溝の段差部分を越えて側溝の流路上まで張り出すか又は側溝の側壁部近くまで配され、該屈側当て板の該舌板部分が側溝の段差部分の頭上を覆うようにしたことを特徴とする溝蓋。
【請求項2】
前記主部材の下縁よりも前記舌板部分の下降傾斜面の下端の方が上方に配され、該舌板部分に浮かし部分が設けられる請求項1に記載の溝蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝や集水桝の上面開口等に通水性を確保して蓋をする溝蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、側溝等の上面開口に蓋をする溝蓋はグレーチングとも呼ばれ、歩道,道路などに広く用いられおり、雨天で降り注ぐ雨水を側溝内へ流しながら、該溝蓋の上を歩行したり車両走行したりできるようになっている。
??ただ、雨天時には、図11に示すように雨水と共に路面上に在る砂や泥土等のゴミRFが一緒に溝蓋BGへ流れ込み、側溝9の段差部分910に堆積する問題がある。ゴミRFは地表GLから近い段差面910上に溜まるので、目につき易く景観を損ねる。また定期的に清掃するにも労力負担となり、そのための清掃コストがかかる。
こうしたことから、ゴミRFが堆積しないようなグレーチングが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-159189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1はその請求項1に記載のごとく「…前記グレーチング溝蓋の両側縁に、受縁を覆う被覆部材を配設したことを特徴とするグレーチング溝蓋における異物堆積防止装置」であり、グレーチング溝蓋の他に、ゴミが堆積しないようにする被覆部材たる別部材が必要であった。被覆部材のコスト増に加え、部品点数が増える分、管理コスト負担,輸送コスト負担となる。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するもので、部品点数を増やすことなく、側溝の段差部分にゴミが堆積しないようにする溝蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、帯幅方向を上下に起立させて互いに平行配設された複数の主部材と、該主部材とで格子状に配設された連結材と、前記主部材の両外側で平行配設され、且つ前記連結材の両端部に固着された一対の端板と、前記主部材の両側端に固着されて、前記端板とで方形枠部を形成する一対の側当て板とを、具備し、且つ両方の該側当てが、帯板に係る長手方向の一側縁を含むベース部を帯幅方向に残し、他側縁から該一側縁へ向けて、前記主部材の配設ピッチに合せた櫛歯状の切欠を形成した櫛歯状板部を他側縁側に設け、さらにベース部と櫛歯状板部の境界域で折れ曲る屈折側当て板に形成されて、該屈折側当て板の前記ベース部が帯幅方向を起立して、ベース部の上縁と各主部材側端の上地点とが一致するように合わせて前記主部材の側端上部に固着されると共に、起立した該ベース部の下側から前記櫛歯状板部が主部材を挟み込むようにしながら該主部材の長手方向中央へ向けて延在し、該櫛歯状板部に係る舌板部分の上面が先端へ向かって下降傾斜面に形成され、側溝に設置したとき、舌板部分の先端が、側溝の段差部分を越えて側溝の流路上まで張り出すか又は側溝の側壁部近くまで配され、該屈側当て板の該舌板部分が側溝の段差部分の頭上を覆うようにしたことを特徴とする溝蓋にある。
請求項2の発明たる溝蓋は、請求項1で、前記主部材の下縁よりも前記舌板部分の下降傾斜面の下端の方が上方に配され、該舌板部分に浮かし部分が設けられることを特徴とする。
【0007】
(作用)
請求項1の発明のごとく、主部材の側端上部に固着されると共に、起立したベース部の下側から櫛歯状板部が主部材を挟み込むようにしながら主部材の長手方向中央へ向けて延在し、櫛歯状板部に係る舌板部分の上面が先端へ向かって下降傾斜面に形成されると、降り注いだ雨水周りにゴミがあれば、ゴミを同伴して方形枠部から舌板部分の下降傾斜面上を通って側溝内へ流れ落ちる。
側溝の段差部分は、その頭上が舌板部分に覆われるので、ゴミは該段差部分に入り込めない。
【発明の効果】
【0008】
本発明の溝蓋は、側溝の段差部分の頭上を覆う舌板部分がある屈側当て板を、従来の溝蓋の側板に代わる部材にすると、部品点数を増やさずに、雨水の流れがゴミを同伴させて、前記舌板部分を流れ落ちるようにして側溝内へ到達する。段差部分にゴミが堆積しないようになり、ゴミ除去による手間やコストが省け、且つ常時、段差部分が綺麗な状態に維持され、景観向上に役立つなど優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1の溝蓋の平面図である。
図2図1のII-II線断面図に側溝断面図を付加した説明断面図である。
図3図2の側溝に図1の溝蓋を載置した説明断面図である。
図4図3の部分拡大斜視図である。
図5】(イ)が図1で用いた屈折側当て板の平面図、(ロ)が(イ)のV-V線断面図、(ハ)が(イ)の屈折前の平板状材の平面図、(ニ)が(ハ)のIV-IV線断面図である。
図6図2に代わる他態様の溝蓋の説明断面図である。
図7図2に代わる別態様の溝蓋の説明断面図である。
図8】参考形態2の溝蓋の平面図である。
図9】(イ)が図8に用いた屈折側当て板の平面図、(ロ)が(イ)のIX-IX線断面図である。
図10図8のX-X線断面図である。
図11】従来技術の溝蓋の説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る溝蓋について詳述する。
図1は実施形態1の溝蓋の平面図、図2図1のII-II線断面図に側溝断面図を加えた断面図、図3図2の側溝に溝蓋を載置した断面図、図4図3の部分拡大斜視図、図5は(イ)が図1の屈折側当て板の平面図で、(ロ)がそのV-V線断面図、(ハ)が(イ)の屈折前の平板状材の平面図で、(ニ)がそのIV-IV線断面図、図6は他態様の溝蓋の断面図、図7は別態様の溝蓋の断面図、図8は実施形態2の溝蓋の平面図、図9は(イ)が図8の屈折側当て板の平面図、(ロ)がそのIX-IX線断面図、図10図8のX-X線断面図を示す。尚、各図は判り易くするため要部を強調図示し、また本発明と直接関係しない部分を省略する。
【0011】
以下、本発明に係る溝蓋について詳述する。
(1)実施形態1
溝蓋Gは、複数の主部材1と、連結材2と、一対の端板4と、一対の側当て板5とを、具備する。ここでの溝蓋Gは、側溝9の上面開口に蓋をする図1図4のようなグレーチングである。路面GLから一段下がった側溝9の段差部分910に、横断面L字形の受枠6を固定設置し、該受枠6を介して段差部分910に受け支えられる溝蓋Gとなっている。
【0012】
主部材1は、側溝9を跨ぐべくその溝幅に合わせた長さの炭素鋼製やステンレス鋼製等の帯板状金属加工品である。長手方向等断面形状の通称Iバーやフラットバー等と呼ばれる主部材1が帯幅方向を上下に起立させて、一定ピッチで互いに平行配設される。本実施形態はIバーの主部材1を用いているが、簡略図示する。ここで、本発明でいう「主部材1が帯幅方向を上下に起立させて」の「上下」や「上側」,「下側」とは、側溝9に使用設置された図3の溝蓋Gでいえば、文字通り、紙面上下や紙面上側,紙面下側を指す。
主部材1が側溝9の長手方向に所定ピッチで複数配される溝蓋Gであり、側溝9に蓋をしたときに、各主部材1は溝開口の上からの荷重を受け支える溝蓋Gの主要部になる。そのため、ベアリングバーとかメインバーとも呼ばれる。
帯板状の主部材1が帯幅方向を垂直にし、隣接する主部材1との間に隙間を確保しながら平行に並べられて溝蓋Gに組み立てられる。
【0013】
連結材2は、主部材1に直交させて該主部材1とで格子状に形成する金属製部材である。連結材2が主部材1とで格子状に配設されることによってスリットSができる。雨天時などで、降った雨が雨水となって路面GLをはって溝蓋Gに辿り着き、該スリットSを通って側溝9内へ落ちていく。尚、図1図7での路面GLはU字側溝の側壁上面を表す。
本実施形態の連結材2はツイストバーと呼ばれる金属製棒状材を採用する(図1図4)。連結材2が複数本在る場合には、図1のように所定ピッチで平行配設される。
【0014】
端板4は、前記連結材2の両端部21に固着される一対の帯板状体で、主部材1と略同じ帯幅、帯長になる。端板4は、帯幅方向を起立させ、主部材1の両外側で、該主部材1に対し平行配設される。端板4は主部材1と異なり平鋼を用いてもよいが、ここでの端板4は主部材1と同一のIバーを用いる。端板4と最外側の主部材1との隙間幅は主部材1間のスリット幅SWに合わす。
端板4、主部材1、及び連結材2は公知の溝蓋Gの構成部材と同じである。該端板4及び各主部材1をその帯幅方向を起立させ、且つ所定ピッチで配設した後、これらと直交するようにして所定間隔を離して、端板4の上側厚み面及び各主部材1の上側厚み面に連結材2を載置する。その後、端板4,各主部材1と連結材2とを電気圧接固定して格子状にし、さらに全ての主部材1の両側端11が次に述べる側当て板5に固着されて、図1ごとくの縦に長い方形盤の本溝蓋Gに組立てられる。
【0015】
側当て板5は、一対の前記端板4とで方形枠部3を形成する一対の金属製長尺部材である(図5のイ)。従来の溝蓋BGでは、平鋼の帯板からなる側板fで方形枠部3を形成したが、本発明は、一対の側当て板5の少なくとも片方に本発明の特徴的部分たる屈折側当て板5Aが用いられる。
本実施形態は両方の側当て板5を屈折側当て板5Aとする。帯板に係る長手方向の一側縁5aを含むベース部51を帯幅方向に一定幅だけ残す。そして、他側縁5bから該一側縁5aへ向けて、前記主部材1の配設ピッチに合せた櫛歯状の切欠520を形成した櫛歯状板部52が他側縁5b側に設けられ、さらにベース部51と櫛歯状板部52の境界域55で折り曲げられた屈折側当て板5Aにする。符号551は屈折ラインを示す。図3図5のごとく、ベース部51が帯板の一側縁からその帯幅長の約1/3の長さは帯幅方向にベース部511としてそのまま残す状態とし、他側縁側から一側縁側へ向け、帯板に係る帯幅長の残り約2/3の長さに切欠520を入れて、櫛歯状板部52が形成される。切欠520の幅は、主部材厚みtに対応させ、溝蓋Gが完成した時に図4のごとく櫛歯状板部52の隣接する舌板部分521が、主部材1の主板面12に近接して挟むような幅が確保される。
【0016】
そして、該屈折側当て板5Aの前記ベース部51が帯幅方向を起立して、前記主部材1の側端上部111にベース部51のベース面511が固着される。起立した該ベース部51の下側から前記櫛歯状板部52が主部材側端11から主部材1を挟み込むようにしながら該主部材1の長手方向中央へ向けて延在し、該櫛歯状板部52に係る舌板部分521の上面521aを先端へ向かって下降傾斜面に形成する。一本の帯板から切断加工と曲げ加工によって、一又は複数の屈折側当て板5Aができる。
【0017】
本実施形態は、ベース部51の一側縁5a側を上にして起立させ、そのベース部51の高さを主部材1に係る帯幅高さの約1/2とする。図2のごとく、該ベース部51の上縁(屈折側当て板5Aの一側縁5aになる)と各主部材側端11の上地点とが一致するよう合わせ、且つベース部51の下側に配した櫛歯状板部52が主部材1を主部材一側端11から図4のごとく挟み込む状態にして、ベース部51が主部材1の側端上部111に固着される。
ここで、従来の溝蓋BGにあって、屈折側当て板5Aに相当する側板fは、溝蓋BGの上面開口を覆って蓋としての強度を保つ主部材1の両側端11に固着して、該主部材1の帯幅方向を起立状態に維持するための部材である(図11)。よって、ベース部51が主部材1に係る帯幅高さの約1/2となって、主部材1の側端上部111に固着する本溝蓋Gが形成されても、該ベース部51が各主部材1を起立維持できるので、何ら支障ない。
【0018】
また、屈折側当て板5Aは、前記主部材1の側端上部111に固着されたベース部51の下側から、櫛歯状板部52が帯状主部材1の中央へ向けて延在する。櫛歯状板部52は、本溝蓋Gを側溝9に設置したとき、該溝蓋Gが側溝9の段差部分910を庇のように覆う。すなわち、ベース部51から側溝9の溝中央へ向け、櫛歯状板部52の舌板部分521が下降傾斜しながら張り出す。舌板部分521は舌片状にして、図4のごとく舌板部分521の両側辺が起立する主部材1の主板面12に接するか近接されるよう配される。
雨天時に降った雨が図3,図4の矢印で示すように、路面GLをはい、雨水となって溝蓋G内へ向かうと、屈折側当て板5Aの傾斜がある舌板部分521上を流れ、その傾斜面を流れ落ちる雨水の勢いでもってゴミRFも同伴して側溝9内へ流れ落とすことができる所望の溝蓋Gになっている。
【0019】
ここで、前記舌板部分521の先端が段差部分910を越えて側溝9の流路90上まで張り出すのがより好ましいが、図4のように舌板部分521の先端が側溝9の側壁部91近くまで配されておれば、舌板部分521の先端と側溝流路90との間に段差部分910が少し露出していても特に問題ない。舌板部分521上の傾斜面を流れる雨水の勢いで、その雨水に同伴したゴミRFを側溝流路90へ流し落すことができるからである。
また、図4のように、櫛歯状板部52に係る舌板部分521の下降傾斜面の下端が、主部材1の下縁よりも上方に配される。下降傾斜する舌板部分521の下端が主部材1の下端よりも僅かでも手前の上方位置で止まると、舌板部分521に浮かし部分αができ、より好ましい溝蓋Gになる。溝蓋Gの下面から舌板部分521が出っ張らないので、路面GLに置いた時にぐらついたり路面GLを傷つけたりせず、さらに搬送等で複数の溝蓋Gを密着させて積み重ねられるからである。
【0020】
前記屈折側当て板5Aは、例えば次のように作製できる。まず平鋼等の縦長の帯板に、主部材1の配設ピッチに合わせた図5(ハ),(ニ)のような櫛歯状切欠520をプレス加工やレーザー加工で形成する。ここでは、型を要するプレス加工と違って、小ロットでもプログラミングすれば、低コストで容易く対応可能なレーザー加工を採用する。次いで、ベンディングマシン等を用いて、各切欠520の切欠底5201を結ぶライン又はその付近で、切欠520入り縦長帯板の長手方向に屈曲ライン551ができるよう折り曲げて、一側縁5a側のベース部51と切欠520のある櫛歯状板部52との境界域55で屈折する図5(イ),(ロ)ごとくの屈折側当て板5Aとする。図5(ロ)に示すように、屈折側当て板5Aの側面視で、垂直起立するベース部51に対し、その下端から櫛歯状板部52の舌板部分521が先端に向け水平よりも下降傾斜して延在形成される。
かくのごとく、図3の左側にある屈折側当て板5Aで説明すると、起立するベース部51に対しその下端を中心に時計回りで約120°の鈍角にして、該下端から櫛歯状板部52が先端に向け下降傾斜する本実施形態の屈折側当て板5Aが造られている。
符号5202は切欠壁、符号61は受枠6の底板部、符号62は受枠6の立板部、符号Gaは溝蓋Gの上面、符号CLは主部材1の下部と舌板部分521と段差部分910(詳しくは受枠6)で囲われた囲い空間を示す。
【0021】
尚、本発明は上記実施形態に示すものに限らず、多くの変形が本発明の技術的思想内で可能である。図1図5の溝蓋Gに限らず、例えば図6,図7のような溝蓋Gも適用範囲である。図6は、図2の溝蓋下面の両側に嵩上げ部材が固着された落し込みタイプの溝蓋Gである。図2に比べて図6のように路面GLから段差部分910が深い箇所になる側溝9に適用される。
また、図7は溝蓋Gを段差部分910にボルト固定するボルト固定タイプの溝蓋Gである。該溝蓋Gは、主部材1,屈側当て板5Aに固着したベースプレートBPの孔へ、段差部分910に設けた植込みボルトBTのボルト軸を通し、ワッシャWHを介して袋ナットNで側溝9に螺着固定される。袋ナットNでボルト止めする箇所は、平面視の矩形溝蓋Gの例えば四隅に設けられる。符号PLは補強プレートを示す。ベースプレートBPを取付けた右側の屈折側当て板5Aで、ベースプレートBPを取付ける箇所だけは、舌板部分521を折り曲げずに、ベース部51から櫛歯状板部52の下端まで図示のごとく直下する板部にしている。
さらに、図示を省略するが、本溝蓋Gを平面視略正方形にして例えば集水桝等にも適用できる。本発明と同様の作用,効果を発揮するからである。
【0022】
(2)参考形態2
本参考形態の溝蓋Gは図8図10ごとくの溝蓋Gである。
??側当て板5に係る屈側当て板5が、図9のようなベース部51と櫛歯状板部52とを備える。帯板に係る長手方向の一側縁5aを含むベース部51を帯幅方向に残し、他側縁5bから該一側縁5aへ向けて、主部材1の配設ピッチに合せた櫛歯状の切欠520を形成した櫛歯状板部52を他側縁5b側に設け、さらにベース部51と櫛歯状板部52の境界域55で折れ曲る屈折側当て板5Aに形成したものありで、その基本構成が実施形態1と略同じである。
【0023】
しかるに、本屈折側当て板5Aは、ベース部51が帯幅方向を起立して、主部材1の側端上部111に固着されると共に、起立した該ベース部51の上側から櫛歯状板部52が主部材1を挟み込むようにしながら主部材1の長手方向中央へ向けて延在し、櫛歯状板部52に係る舌板部分521の上面521aが先端へ向かって下降傾斜面に形成される。
そのため、図10の左側にある屈折側当て板5Aでいえば、主部材1の側端上部111に固着させたベース部51に対し、該ベース部51の上端を中心に反時計回りで約60°の鋭角にして、舌板部分521が該上端から先端に向け下降傾斜するものになっている。ベース部51は、真っ直ぐな一側縁5a側が下側になるようにして、主部材1の側端上部111に固着される。
ベース部51の大きさが実施形態1と略同じでも、舌板部分521はベース部51の上端の高い位置から主部材1の中央へ向けて延在できるため、該舌板部分521の傾斜面を図示のごとく長くすることができる。舌板部分521が高い位置から長くなることによって、段差部分910の頭上を該舌板部分521でほぼ完全に覆うことができ、段差部分910上へのゴミ堆積を解消できる。さらに、図10のごとく、溝蓋GのスリットSへ導く枠部3の上縁から、舌板部分521が側溝9の幅方向中央へ向けて下降傾斜面を形成するので、舌板部分521が路面GLからの雨水を側溝9内へ積極的に導いて雨水の呑み込み性能を高めた溝蓋Gにもなる。
【0024】
本参考形態の溝蓋Gも、舌板部分521の下降傾斜面の下端が前記主部材1の下縁よりも上方に配される構成とする。溝蓋Gは一対の側当て板5のうち片方が屈折側当て板5Aでもよいが、図示のごとく両方ともに屈折側当て板5Aとする。端板4は主部材1と同じものにしている。
他の主部材1,連結材2,端板4等の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0025】
(3)効果
このように構成した溝蓋Gは、ベース部51が主部材1の側端上部111に固着されると共に、該ベース部51の下側又は上側から櫛歯状板部52に係る舌板部分521が主部材1を挟み込むようにしながら、主部材1の長手方向中央へ向け、該舌板部分521の上面が下降傾斜面に形成されると、側溝9の段差部分910の上方を舌板部分521が庇のごとく覆うので、段差部分910(詳しくは受枠6)にゴミRFが堆積しなくなる。
路面GLをはって溝蓋G内へ向かった雨水は、溝蓋G内のスリットSを通ると共に、枠部3を構成する屈折側当て板5Aの傾斜がある舌板部分521上を流れ落ちていく。本溝蓋Gを側溝9に設置した際、段差部分910の上方にある溝蓋Gに係る主部材1間のスリットSを、舌片状の各舌板部分521が庇のように覆っているので、段差部分910(詳しくは受枠6の底板部61)にゴミRFが入り込んで溜まることがない。該段差部分910の上面側が、庇になる舌板部分521で雨宿りの軒下状態になっており、段差部分910にゴミRFが入り込まない。一対の前記側当て板5を両方ともに屈折側当て板5Aにすれば、側溝9の両サイドに在る段差部分910へゴミRFが溜まるのを防止できる。側溝段差部分910にゴミRFを溜めおかないことによる景観向上、定期メンテナンス時のゴミRFを除去する負担軽減等に効を奏する。
【0026】
しかも、段差部分910にゴミRFが堆積しないようにする効果は、従来の溝蓋Gに存在するエンドプレートとも称される側板fと単に置き換える屈折側当て板5Aによって得られるものであり、特許文献1のような被覆部材の別部材を要せず、部品点数を増やすことがなく極めて優れものの溝蓋Gになっている。部品増加に伴うコストアップや部品発注,在庫管理の負担増を回避できる。
また、端板4が主部材1からなると、主部材1と連結材2と屈折側当て板5Aの三部品だけで溝蓋Gを簡単に組立てることができ、部品管理、コスト低減等に大いに貢献する。
【0027】
さらに、主部材1の下縁よりも舌板部分521の下降傾斜面の下端の方が上方に配されると、複数の溝蓋Gを隙間なく積み重ねることができる。主部材1の長手方向を立てて、複数の溝蓋Gを重ね置きする場合も、溝蓋G間の隙間をなくすことができるので、該溝蓋Gの搬送,ハンドリングの作業向上につながる。
【0028】
さらにいえば、参考形態2は、ベース部51が主部材1の側端上部111に固着され、該ベース部51の上側から舌板部分521の上面521aを先端へ向かって下降傾斜面に形成すると、雨水の呑み込み性能を高めることにもなる。図10の段差部分910に載って蓋をした溝蓋Gは、集中豪雨等で雨水が一旦流入すると、舌板部分521と段差部分910とで囲われた囲い空間CL(図4参照)内の空気は雨水の流れに引き寄せられ奪われる。空気が奪われると、囲い空間内CLが減圧されるので、その後はこの減圧の力で舌板部分521上に流れる雨水を側溝9内へと導き、雨水の呑み込み性能を高めて、越流現象を抑制することができる。
【0029】
ちなみに、実施形態1の溝蓋Gも参考形態2の溝蓋Gほどでないにしても、囲い空間CLを形成するので、越流現象を抑制する効果がある。しかも、実施形態1の溝蓋Gは路面GL上から見た外観は、一見すると従来品と変わらない。且つ、段差部分910の近くで舌板部分521の下降傾斜面を形成するので、重量的にも、参考形態2の舌板部分521の長さよりも短くでき軽量となり、また切欠520が設けられる分、従来の側板fとも重量がさほど変わらない。
それでいて、路面GLから溝蓋へ入り込むゴミRFを、舌板部分521の下降傾斜面の落差を利用して、雨水と一緒に側溝流路90へと流し落し、溝蓋G自身が側溝段差部分910にゴミRFを溜め置かない自律作用を備えている。
このように本発明の溝蓋Gは、上述した種々の優れた効果を発揮し、極めて有益である。
【0030】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。主部材1,連結材2,枠部3,端板4,側当て板5,屈折側当て板5A,側溝9等の形状,大きさ,個数,材料,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。
【符号の説明】
【0031】
1 主部材
11 主部材側端
111 側端上部
2 連結材
3 枠部(方形枠部)
4 端板
5 側当て板
5a 一側縁
5b 他側縁
5A 屈側当て板
51 ベース部
52 櫛歯状板部
520 切欠
521 舌板部分
55 境界域
α 浮かし部分
9 側溝
90 流路
91 側壁部
G 溝蓋
GL 路面(地表)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11