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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】ラックの保持システム
(51)【国際特許分類】
   B65B 23/02 20060101AFI20241118BHJP
【FI】
B65B23/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020213265
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022099479
(43)【公開日】2022-07-05
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(72)【発明者】
【氏名】南部 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】大島 祥吾
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特許第6684511(JP,B1)
【文献】特開平09-202307(JP,A)
【文献】米国特許第04787799(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵パックが載せられる複数枚の折り畳み式の棚板と、その棚板の左右に設けられる側フレームとを備えるラックに、卵パックを積み込む際に用いられる、ラックの保持システムであって、
各側フレームの前端部に接触して移動を規制する規制部と、
これら規制部を作動させて前記側フレームと前記棚板との間の隙間を調整する制御部とを備える、ラックの保持システム。
【請求項2】
前記規制部は、一対の側壁を備える、請求項1記載のラックの保持システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記卵パックを積み込む場合と折り畳み式の棚板を展開する場合とで前記規制部を移動させる、請求項1または2記載のラックの保持システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラックに卵パックを積み込む際に用いられるラックの保持システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
GPセンターにて卵がパック詰めされた卵パックは、段ボール箱やコンテナに箱詰めされたり、ロールインナーと呼ばれる専用の移動式のラックに載せられたりする(例えば、下記特許文献1を参照)。
【0003】
移動式のラックは、複数の棚板を備え、各棚板上に卵パックが積み重ねられる。この状態で、ラックは移動され、そのまま売り場に陳列が可能である。移動式のラックは、非使用時にコンパクトに収容できるように、棚板やフレームが折り畳み式になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3209255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1の移動式のラックは、フレームが可動式のものであり、折り畳み式の棚板を引き出した後にもフレームと棚板との間にあそびがあるため、ラックの姿勢は一定に保たれていないことが多い。そのため、卵パックの積み込みや折り畳み式の棚板の引き出しを作業者が行う場合には、作業者の感覚により、ラックを安定させるための調整を行っていた。しかしながら、卵パックの積み込みや棚板の引き出しを自動化させようとした場合に、このフレームの不安定さが自動化を妨げる一因となっていた。
【0006】
本発明は、移動式のラックへの卵パックの積み込みや棚板の引き出し動作を自動化させても、卵パックが積み込まれた移動式のラックの生産をスムーズに行うことができるラックの保持システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のラックの保持システムは、卵パックが載せられる複数枚の折り畳み式の棚板と、その棚板の左右に設けられる側フレームとを備えるラックに、卵パックを積み込む際に用いられる、ラックの保持システムであって、規制部と、制御部とを備える。規制部は、各側フレームの前端部に接触して移動を規制する。制御部は、これら規制部を作動させて前記側フレームと前記棚板との間の隙間を調整する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移動式のラックへの卵パックの積み込みや棚板の引き出し動作を自動化させても、卵パックが積み込まれた移動式のラックの生産をスムーズに行うことができるラックの保持システムを提供することができる。
【0009】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態にかかる卵パックの積み込みシステムの側面図である。
図2】同実施形態にかかる卵パックの積み込みシステムの要部を示す側面図である。
図3】同実施形態にかかる卵パックの積み込み動作の一例を示す側面図である。
図4】同実施形態にかかる卵パックの積み込みシステムを示す平面図である。
図5】同実施形態にかかる卵パックの積み込みシステムの要部を示す平面図である。
図6】同実施形態にかかる一対の側壁の移動態様を概略的に示す平面図である。
図7】同実施形態にかかる一対の側壁の移動態様を概略的に示す平面図である。
図8】同実施形態にかかる一対の側壁の移動態様を概略的に示す平面図である。
図9】同実施形態にかかる一対の側壁の周辺を拡大して示す平面図である。
図10】同実施形態で用いられるラックの要部を示す斜視図である。
図11】同実施形態にかかる卵パックの積み込みシステムの使用例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態にかかるラックの保持システム5について、図1図11を用いて説明する。
【0012】
ラックの保持システム5は、複数の卵パックPが移動式のラック9に収納される卵パックPの積み込みシステムSで用いられる。卵パックPは、移動式のラック9の開口部から自動で積み込まれる。保持システム5は、移動式のラック9を所定の位置に保持する。
【0013】
ラック9は、複数枚の棚板91と、後ろフレーム92と、対をなす側フレーム93と、複数個のキャスター94とを備える。
【0014】
棚板91は、折り畳み式のものである。棚板91は、後ろフレーム92に軸を介して取り付けられており、2つ折りの状態から、後ろフレーム92および側フレーム93の内側に展開される。棚板91は、手前側に引き出された使用状態と折り畳まれて奥側に位置する収納状態との間で状態変更可能である。使用状態の棚板91の上方には、卵パックPが収納される収納空間が形成される。収納空間には、卵パックPが上下に積み重ねられる。
【0015】
側フレーム93は、折り畳み式のものである。側フレーム93は、後ろフレーム92に軸を介して取り付けられており、後ろフレーム92と重なる状態と、後ろフレーム92に対してほぼ直角に開かれた状態とをとる。側面フレーム93は、内側に棚板受け95を備える。棚板受け95は、棚板91が移動する下限位置をそれぞれ規定する。棚板受け95の前方端にはフック96が設けられる。このフック96と、使用状態の棚板91の前端部97とが係り合い、棚板91が棚板受け95上に保持される。
【0016】
卵パックの積み込みシステムSは、ラック搬送部1と、ラック供給部(図示しない)と、ラック排出部(図示しない)と、パック供給部2と、移載部3と、昇降部(図示しない)と、ラックの保持システム5とを備える。
【0017】
ラック搬送部1は、移動式のラック9を横向きに送り出す。ラック供給部と、ラック排出部とは、それぞれ、ラック搬送部1の上流側と、下流側とに設けられる。なお、ラック9の供給・排出は、自動で行われてもよいし、手動で行われてもよい。
【0018】
ラック供給部は、卵パックPが積み込まれる所定位置までラック9を送り出す。このときのラック9は、移動式のラック9の側フレーム93が後ろフレーム92から開かれ、一番下の棚板91が展開された状態である。
【0019】
ラック排出部は、所定位置から移動式のラック9を送り出す。このときのラック9は、移動式のラック9の各棚板91上に卵パックPが積み込まれた状態である。
【0020】
パック供給部2は、複数の卵パックPを送り出す。パック供給部2は、上流側に卵をパックに収容する包装装置(図示せず)が配置され、下流側に一時待機領域21を備える。
【0021】
移載部3は、搬送されてきた複数の卵パックPを移動式のラック9に移載する。移載部3は、卵パックPを一時待機領域21から持ち上げ、移動式のラック9へ移載する。移載部3は、ロボットヘッド31と、ロボットアーム32とを備える。
【0022】
ロボットヘッド31は、複数の卵パックPを保持するパック保持部33を備える。パック保持部33は、例えば、複数の吸着部材34によって構成される。各吸着部材34は、卵パックPの天面側を吸着するもので、真空機構(図示しない)に接続される。
【0023】
ロボットアーム32は、ロボットヘッド31の位置姿勢を変更可能なものである。ロボットアーム32は、一時待機領域21と移動式のラック9との間でロボットヘッド31を移動させる。ロボットアーム32は、例えば、6軸垂直多関節ロボット等の、任意に作動する慣用の多関節ロボットが適用される。この他に、ロボットアーム32は、ロボットヘッド31をX軸、Y軸およびZ軸に対して、任意に移動させることができるロボットまたは装置など種々のものを採用できる。
【0024】
昇降部は、上下方向に移動する。昇降部は、使用状態の棚板91に卵パックPを移載する移載部3の上下方向の移動に合わせて移動する。昇降部は、パック供給部2と、移載部3と、後述する第1のストッパー6とを同時に移動させる。
【0025】
ラックの保持システム5は、第1のストッパー6(「規制部」に相当する)と、第2のストッパー7と、第3のストッパー8と、制御部52とを備える。
【0026】
第1のストッパー6と、第2のストッパー7と、第3のストッパー8とは、移動式のラック9の前後左右方向への移動を規制する。本実施形態では、複数のストッパーが協働して移動を規制する。
【0027】
第1のストッパー6は、側フレーム93をそれぞれ保持する。第1のストッパー6は、可動式のもので、制御部52により、前後方向に突出及び退避動作を行い、また、左右方向にも作動する。第1のストッパー6は、側フレーム93の前端部98に接触する。第1のストッパー6は、一対の側壁61と奥壁62とを備える。各側壁61は、テーパー状に形成された案内部63と、側フレーム93の前端部が嵌まる嵌め合い部64とを備える。一対の側壁61間の距離は、固定されている。第1のストッパー6が突出した状態で、各側壁61は、側フレーム93の前端部98の左右側面に当たるか近接し、奥壁62は、側フレーム93の前面に当たる。この状態で、ラック9は、第2のストッパー7側に押しつけられる。
【0028】
第2のストッパー7は、後ろフレーム92を背面側から保持する。第2のストッパー7は、固定式のもので、後ろフレーム92の背面部に接触する。第2のストッパー7は、ラック搬送部1に設けられている。
【0029】
第3のストッパー8は、後ろフレーム92を左右両側からそれぞれ保持する。第3のストッパー8は、可動式のもので、制御部52により、前後方向に突出及び退避動作を行う。なお、図1及び図2では、退避位置にある第3のストッパー8を二点鎖線で示している。第3のストッパー8は、後ろフレーム92の左右端部にそれぞれ接触する。第3のストッパー8は、ラック搬送部1に設けられている。
【0030】
制御部52は、CPU、内部メモリ、入出力インターフェース、AD変換部などの専用のコンピュータまたは汎用のコンピュータによって構成される。内部メモリに格納されたプログラムにしたがって、CPUおよびその周辺機器が協働することによって、制御部52としての機能が発揮される。
【0031】
制御部52は、ラック9を移動させる場合とラック9を所定位置に固定する場合とで第1のストッパー6及び第3のストッパー8を作動させる。具体的には、制御部52は、ラック9を移動させる場合は、第1のストッパー6及び第3のストッパー8を退避方向に移動させて、ラック9の移動に干渉しない位置まで退避させる。また、制御部52は、ラック9を所定位置に固定させる場合は、第1のストッパー6及び第3のストッパー8を突出方向に移動させて、ラック9の姿勢を固定する。制御部52は、ラック9の姿勢を固定する際に側フレーム93と棚板91との間の隙間を調整するように第1のストッパー6を作動させる。
【0032】
制御部52は、折り畳み式の棚板91を展開する場合は、卵パックPを積み込む場合よりも側フレーム93と棚板91との隙間が小さくなるように調整する。制御部52は、卵パックPを積み込む場合と折り畳み式の棚板91を展開する場合とで第1のストッパー6を移動させる。制御部52は、卵パックPを積み込む場合と折り畳み式の棚板91を展開する場合とで一対の側壁61の位置が互いに異なるように、一対の側壁61を移動させる。具体的には、図6に示すように、卵パックPを積み込む場合は、対をなす第1のストッパー6を互いに離れる方向へ移動させて、側フレーム93が開く方向に外向きの力を加える。また、図7に示すように、制御部52は、折り畳み式の棚板91を展開する場合は、対をなす第1のストッパー6を、卵パックPを積み込むときに比べて互いに近づく方向へ移動させて、側フレーム93を適切な位置に保持する。すなわち、展開状態にされた棚板91とフック96とが係り合うことができる位置に側フレーム93を配置するよう、第1のストッパー6を位置づける。
【0033】
また、制御部52は、昇降部を制御する。制御部52は、昇降部を上下方向に移動させたり、昇降部を所定高さ位置で停止させたりする。制御部52は、卵パックPを積み込む棚板91の高さの変更に応じて、第1のストッパー6を移動させる。制御部52は、卵パックPが積み込まれる棚板91の近傍に第1のストッパー6が接触するように移動させる。具体的には、棚板91の1段目に卵パックPを積み込むときよりも、棚板91の2段目に卵パックPを積み込むときの方が、第1のストッパー6の側フレーム93に接触する位置が高く設定されている。
【0034】
また、制御部52は、移載部3を制御する。制御部52は、卵パックPをパック保持部33で保持したり、解除したり、一時待機領域21からラック9まで卵パックPを移動させたりする。さらに、制御部52は、収納状態の棚板91を保持部(例えば、パック保持部33)で保持/解除して、棚板91を使用状態にする。
【0035】
次に、卵パックの積み込みシステムSを用いた収納方法の一例について、図11を用いて説明する。
【0036】
まず、昇降部を用いて移載部3、第1のストッパー6、パック供給部2を、最下段の棚板91に対応する高さ位置に設定しておく。第1のストッパー6は、退避状態にしてある。
【0037】
ラック供給部を用いて移動式のラック9を所定箇所に配置する(ステップS1)。第2のストッパー7は、ラック搬送部1を移動する移動式のラック9をガイドする。移動式のラック9は、ロボットヘッド31が届く範囲に配置される。このとき、移動式のラック9は、最下段の棚板91は使用状態になっており、2段目以降の棚板91は、収納状態で折り畳まれている。
【0038】
第3のストッパー8で移動式のラック9を固定する(ステップS2)。続いて、第1のストッパー6で移動式のラック9を固定する(ステップS3)。ステップS2とS3は同時に行われてもよい。ステップS3では、制御部52は、側フレーム93の一の高さ位置、すなわち、今から卵パックPが移載される最下段の棚板91の近傍を第1のストッパー6で保持する。第1のストッパー6は、例えば、最下段の棚板91を受ける棚板受け95の近傍に当接する。制御部52は、第1のストッパー6を前方に突出させて、ラック9を第2のストッパー7側へ押しつける。また、制御部52は、第1のストッパー6の左右方向の位置を調節して、当該第1のストッパー6によって側フレーム93を可動域の最大まで広げた状態で、移載部3が卵パックPを最下段の棚板91に積み込む(ステップS4)。制御部52は、側フレーム93と棚板91との間の隙間を調整して、側フレーム93の棚板受け95付近と棚板91の側方との間に形成されている隙間が大きくなる位置で側フレーム93を固定しているので、側フレーム93の内側ギリギリの場所に卵パックを積み込むことができ、積み込み作業を自動化させても積載量を確保することができる。パック供給部2では、上流側から搬送された卵パックPが一時待機領域21に集められる。一時待機領域21上に、例えば、3つの卵パックPが集まった状態で、移載動作が開始される。
【0039】
最下段の棚板91への積み込みが終わると、制御部52は、第1のストッパー6を互いに近づく方向へと移動させて、保持部は、折り畳み式の棚板91を展開する(ステップS5)。制御部52は、側フレーム93と棚板91との間の隙間を調整して、側フレーム93の棚板受け95付近と棚板91の側方との間に形成されている隙間が小さくなる位置で側フレーム93を固定しているので、フック96を適切な位置に配置でき、折り畳み式の棚板91を引き出す作業を自動化させても確実に棚板91の前端部97をフック96に係わり合わせることができる。本実施形態では、卵パックPを移載する際と同じロボットヘッド31を用いて、収納状態から使用状態に展開される。具体的には、制御部52は、パック保持部33で棚板91を吸着し、その状態のままロボットヘッド31を手前側に移動させることで、折り畳み式の棚板91が展開される。なお、ステップS5は、ステップS6~S8の後に行ってもよい。
【0040】
次に、第1のストッパー6を解除する(ステップS6)。すなわち、制御部52は、第1のストッパー6を退避動作させる。その後、昇降部を用いて第1のストッパー6を上方に移動させる(ステップS7)。昇降部は、移載部3、第1のストッパー6、パック供給部2を、下から2段目の棚板91に対応する高さ位置に設定する。
【0041】
ステップS3に準じた方法で、第1のストッパー6で移動式のラック9を固定する(ステップS8)。すなわち、第1のストッパー6は、一の高さ位置での保持状態が解除された後、一の高さ位置とは異なる他の高さ位置で、第1のストッパー6によって側フレーム93を保持する。そして、ステップS4に準じた方法で、移載部3が卵パックPを2段目の棚板91に積み込む(ステップS9)。
【0042】
2段目の棚板91への積み込みが終わり、ステップS5に準じた方法で、移載部3が折り畳み式の棚板91を展開する(ステップS10)。その後、ステップS6に準じた方法で、第1のストッパー6を解除して(ステップS11)、昇降部を用いて上方に移動させる(ステップS12)。昇降部は、移載部3、第1のストッパー6、パック供給部2を下から3段目の棚板91に対応する高さ位置に設定する。なお、ステップS10は、ステップS11~S13の後に行ってもよい。
【0043】
ステップS8に準じた方法で、第1のストッパー6で移動式のラック9を固定する(ステップS13)。そして、ステップS9に準じた方法で、移載部3が卵パックPを3段目の棚板91に積み込む(ステップS14)。
【0044】
3段目の棚板91への積み込みが終わり、ステップS10に準じた方法で、移載部3が折り畳み式の棚板91を展開する(ステップS15)。その後、ステップS11に準じた方法で、第1のストッパー6を解除して(ステップS16)、昇降部を用いて上方に移動させる(ステップS17)。昇降部は、移載部3、第1のストッパー6、パック供給部2を下から4段目の棚板91に対応する高さ位置に設定する。なお、ステップS15は、ステップS16~S18の後に行ってもよい。
【0045】
ステップS13に準じた方法で、第1のストッパー6で移動式のラック9を固定する(ステップS18)。そして、ステップS14に準じた方法で、移載部3が卵パックPを4段目の棚板91に積み込む(ステップS19)。
【0046】
4段目の棚板91への積み込みが終わると、ステップS16に準じた方法で、第1のストッパー6を解除して(ステップS20)、第3のストッパー8も解除する(ステップS21)。移動可能な状態になった移動式のラック9は、ラック搬送部1の所定箇所からラック排出部へ向けて移動される。以上のような一連のステップを経て、卵パックPが積み込まれたラック9が生産される。
【0047】
以上説明したように、本実施形態にかかるラックの保持システム5は、ラック9に、卵パックPを積み込む際に用いられるものである。ラック9は、卵パックPが載せられる複数枚の折り畳み式の棚板91と、その棚板91の左右に設けられる側フレーム93とを備える。ラックの保持システム5は、第1のストッパー6と、制御部52とを備える。第1のストッパー6は、各側フレーム93の前端部98に接触して前後左右方向への移動を規制する。制御部52は、これら第1のストッパー6を作動させて側フレーム93と棚板91との間の隙間を調整する。そのため、棚板91の展開動作をスムーズに行うことができあり、また、後ろフレーム92や側フレーム93の内側ギリギリの場所まで、卵パックPを積み込んだりすることができる。
【0048】
第1のストッパー6は、一対の側壁61を備える。制御部52は、卵パックPを積み込む場合と折り畳み式の棚板91を展開する場合とで第1のストッパー6を移動させる。制御部52は、卵パックPを積み込む場合と折り畳み式の棚板91を展開する場合とで一対の側壁61の位置が互いに異なるように一対の側壁61を移動させる。
【0049】
ラックの保持システム5は、複数枚の折り畳み式の棚板91の左右に設けられる側フレーム93を備えるラック9に、側フレーム93を所定の姿勢に保持して卵パックPを積み込むものである。ラックの保持システム5は、一対の側壁61と、制御部52とを備える。一対の側壁61は、各側フレーム93の左右方向の移動を規制する。制御部52は、一対の側壁61間に設けられた部分で各側フレーム93の前後方向の移動を規制するように側壁61を移動させる。
【0050】
なお、本発明は上述した実施形態に限られない。
【0051】
規制部は、図示したものには限られず、ストッパーの数も上述した実施例には限られない。規制部は、複数の高さ位置にそれぞれ配置されているものであってもよい。それら複数の高さ位置のストッパーを、切り替えて使うようなものであってもよい。すなわち、複数のストッパーのうち、第1の高さ位置に配置されたもので保持、解除した後に、第2の高さ位置に配置されたもので保持を行ってもよい。また、一対の側壁61を備えていなくてもよい。規制部が可動式のものの場合に、固定と退避との間での動きはどのようなものであってもよい。さらに、卵パックPを積み込む場合と折り畳み式の棚板91を展開する場合とで規制部が移動しなくてもよい。
【0052】
制御部52は、規制部を作動させて側フレーム93と棚板91との間の隙間を調整するものであれば、例えば、少なくとも折り畳み式の棚板91を展開する場合に適した位置に側フレーム93を位置づけるように規制部を作動させるものが好ましく、規制部が左右に動かないものであってもよい。
【0053】
昇降部は、少なくとも第1のストッパー6を昇降させればよい。すなわち、パック供給部2や移載部3は、第1のストッパー6とは別のタイミングで昇降するもの、または、上下方向に移動しないものであってもよい。
【0054】
卵パックPは、10個入りのパックに限らない。卵パックPは、蓋の天面が平坦な「フラットパック」であってもよいし、卵の形状に沿った凹凸が蓋に形成されている「レギュラーパック」であってもよい。
【0055】
移載部3は、多関節ロボットを利用したものには限られない。パック保持部33は、吸着タイプのものには限られない。例えば、卵パックPを側方から保持するパック保持部33であってもよい。折り畳み式の棚板91を展開させるステップは、卵パックPを移載するロボットとは異なる装置を用いるなどしてもよい。
【0056】
移動式のラック9は、棚板が3枚のものであってもよい。この場合には、パック積み込みシステムSを用いた収納方法のうち、ステップS15~S19を省略すればよい。
【0057】
ラックの保持システム5は、棚板91に直接卵パックPが積み込まれる場合の他に、いったん移動式のラック9とは別の場所で卵パックPを中間容器に複数個収容し、卵パックPが入った中間容器を棚板91上に積み込む際に用いられてもよい。中間容器は、少なくとも複数の卵パックを下側から支えることができる底板を備えていればよく、例えば段ボール箱のように側壁を備えているものが好ましい。
【0058】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、卵パックの積み込みシステムに利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
P…卵パック
5…ラックの保持システム
52…制御部
61…側壁
9…ラック
91…棚板
93…側フレーム
97…前端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11