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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】ハーネス型安全帯用D環
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20241118BHJP
【FI】
A62B35/00 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021015209
(22)【出願日】2021-02-02
(65)【公開番号】P2022118590
(43)【公開日】2022-08-15
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】591000676
【氏名又は名称】ポリマーギヤ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 弘明
(72)【発明者】
【氏名】福井 博隆
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-148803(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0313746(US,A1)
【文献】特開2018-140286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高所作業用のハーネス型安全帯に使用するD環であって、
長さおよび幅を有する板状のD環本体を備え、
前記D環本体には、命綱と連結するための第1の開口と、前記D環本体の幅方向にのび、前記ハーネス型安全帯の一対のベルトの折返し部がそれぞれ挿通され得る第2および第3の開口と、が設けられ、さらに、
前記第2および前記第3の開口のうちの少なくとも一方の開口に対応する単一または一対のベルト止め部材を備え、
前記ベルト止め部材は、対応する前記少なくとも一方の開口の長さよりも長い単一または一対の差込部を有し、さらに、
前記D環本体および/または前記ベルト止め部材に設けられ、前記ベルト止め部材を、前記D環本体の一面側において、前記差込部が前記対応する少なくとも一方の開口を前記D環本体の幅方向に跨いだ状態で、前記D環本体に対し係止または固定するための係止/固定手段を備え、
前記少なくとも一方の開口に対応する前記ベルトの前記折返し部が挿通されて前記D環本体の前記一面側に突出し、かつ前記突出した折返し部の対向するベルト部分間に対応する前記差込部が挿通された状態で、前記ベルト止め部材が前記D環本体に係止または固定され、
前記単一または前記一対のベルト止め部材は、前記D環本体の幅に対応する長さを有する単一または一対の細長い部材からなり、前記細長い部材の本体が前記差込部を形成し、
前記係止/固定手段は、
前記D環本体の前記一面の幅方向両側に立設された一対の側壁を有し、
前記一対の側壁のうちの一方の側壁における前記少なくとも一方の開口に対応する位置に係合孔が形成される一方、前記一対の側壁のうちの他方の側壁の上端面における前記少なくとも一方の開口に対応する位置には係合溝が形成され、
前記係止/固定手段は、さらに、
前記細長い部材の一端に設けられて前記一端から当該細長い部材の長さ方向外向きに突出する、前記D環本体の対応する前記係合孔と係合し得る第1の突起と、
前記細長い部材の他端に設けられて前記他端から当該細長い部材の長さ方向外向きに突出する、前記D環本体の対応する前記係合溝と係合し得る第2の突起と、を有しているものであることを特徴とするD環。
【請求項2】
高所作業用のハーネス型安全帯に使用するD環であって、
長さおよび幅を有する板状のD環本体を備え、
前記D環本体には、命綱と連結するための第1の開口と、前記D環本体の幅方向にのび、前記ハーネス型安全帯の一対のベルトの折返し部がそれぞれ挿通され得る第2および第3の開口と、が設けられ、さらに、
前記第2および前記第3の開口のうちの少なくとも一方の開口に対応する単一または一対のベルト止め部材を備え、
前記ベルト止め部材は、対応する前記少なくとも一方の開口の長さよりも長い単一または一対の差込部を有し、さらに、
前記D環本体および/または前記ベルト止め部材に設けられ、前記ベルト止め部材を、前記D環本体の一面側において、前記差込部が前記対応する少なくとも一方の開口を前記D環本体の幅方向に跨いだ状態で、前記D環本体に対し係止または固定するための係止/固定手段を備え、
前記少なくとも一方の開口に対応する前記ベルトの前記折返し部が挿通されて前記D環本体の前記一面側に突出し、かつ前記突出した折返し部の対向するベルト部分間に対応する前記差込部が挿通された状態で、前記ベルト止め部材が前記D環本体に係止または固定され、
前記単一のベルト止め部材は、前記D環本体の幅に対応する長さの実質上U字状をなす単一の平板状部材からなり、前記平板状部材の一対の脚部の間隔は前記第2および前記第3の開口間の間隔に対応し、前記一対の脚部が前記差込部を形成しているものであることを特徴とするD環。
【請求項3】
前記係止/固定手段は、
前記D環本体の前記一面の幅方向両側に立設された一対の側壁を有し、
前記一対の側壁のうちの一方の側壁における前記第2および第3の開口に対応する位置にそれぞれ前記平板状部材の前記一対の脚部がそれぞれ挿通され得るガイド孔が形成される一方、前記一対の側壁のうちの他方の側壁における前記第2の開口に対応する位置と前記第3の開口に対応する位置の間の領域には係合孔が形成され、
前記係止/固定手段は、さらに、
前記平板状部材の基端に設けられて前記基端から前記平板状部材の長さ方向外向きに突出する、前記D環本体の前記係合孔と係合し得る突起と、
前記D環本体の前記一方の側壁および前記平板状部材の前記一対の脚部間に設けられ、前記平板状部材の前記一対の脚部が前記D環本体の前記ガイド孔に挿通され、かつ前記平板状部材の前記突起が前記D環本体の前記係合孔に係合した状態で、前記平板状部材を前記D環本体の前記他方の側壁に向けて付勢するバネ部材と、を有し、
前記D環が、さらに、前記D環本体に取り付けられて前記一対の側壁間の空間を被覆するカバーを備えたことを特徴とする請求項2に記載のD環。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業用のハーネス型安全帯に使用されるD環に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のハーネス型安全帯として、例えば、特許文献1、2に記載されたものがある。
特許文献1、2に記載のハーネス型安全帯は、作業者の上半身に装着される上半身側ベルト部分と、作業者の下半身に装着される下半身側ベルト部分からなり、上半身側ベルト部分を構成する一対の肩ベルトにおける作業者の背中の位置に、命綱と連結するためのD環が取り付けられている。
【0003】
この場合、D環の肩ベルトへの取り付けは、一対の肩ベルトをD環に通した状態で、各肩ベルトを、D環および肩ベルトの連結のための連結部材の複数のベルト挿通孔のそれぞれに挿通することによってなされる。
【0004】
また、一対の肩ベルトのそれぞれと下半身側ベルト部分を構成する一対の腿ベルトのそれぞれが連結(接合)されている。
【0005】
しかしながら、このハーネス型安全帯においては、D環の肩ベルトへの取り付けが、連結部材を用いて、一対の肩ベルトをD環および連結部材の各ベルト挿通孔に挿通することによってなされるので、D環の肩ベルトに対する取り付けに先立って、肩ベルトの両端の処理を完了すること(例えば、肩ベルトの一端を他のベルトに連結(縫合)し、かつ肩ベルトの他端には他のベルトとの連結のための連結金具を取り付けること等)ができなかった。
【0006】
そのため、ハーネス型安全帯を構成する各ベルトのアッセンブルを複数の工程に分けて個別に行わねばならず、生産性の低下および製造コストの増大を招いていた。
【0007】
また、高所作業現場において、作業者に装着されたハーネス型安全帯のD環に命綱の一端のフックが連結され、命綱の他端のフックは適当な支持構造物(または親綱)に連結される。
【0008】
そして、作業者が墜落した場合には、作業者は、その背中の位置において、命綱を介して支持構造物(または親綱)から宙づり状態で支持されるが、このときの衝撃荷重は作業者の全身に分散されるので、作業者の安全が十分に確保される。
【0009】
しかしながら、このハーネス型安全帯によれば、作業者が逆さま状態で墜落したときに、D環が衝撃荷重によって連結部材とともに肩ベルトに沿って作業者の腰の位置に向けてずれ動き、作業者が、腰の後ろ側の位置において宙づり状態となる場合があり、このような場合には、衝撃荷重が作業者の肩および首の付け根周辺に集中し、作業者の安全が十分に確保されないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2018-140286号公報
【文献】特許第6444665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、ハーネス型安全帯の生産性を上げ、製造コストを低減することにある。
また、本発明の別の課題は、ハーネス型安全帯において、墜落時の作業者の姿勢によらず、常に作業者の安全が確保できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、高所作業用のハーネス型安全帯に使用するD環であって、長さおよび幅を有する板状のD環本体を備え、前記D環本体には、命綱と連結するための第1の開口と、前記D環本体の幅方向にのび、前記ハーネス型安全帯の一対のベルトの折返し部がそれぞれ挿通され得る第2および第3の開口と、が設けられ、さらに、前記第2および前記第3の開口のうちの少なくとも一方の開口に対応する単一または一対のベルト止め部材を備え、前記ベルト止め部材は、対応する前記少なくとも1つの開口の長さよりも長い単一または一対の差込部を有し、さらに、前記D環本体および/または前記ベルト止め部材に設けられ、前記ベルト止め部材を、前記D環本体の一面側において、前記差込部が前記対応する少なくとも1つの開口を前記D環本体の幅方向に跨いだ状態で、前記D環本体に対し係止または固定するための係止/固定手段を備え、前記少なくとも一方の開口に対応する前記ベルトの前記折返し部が挿通されて前記D環本体の前記一面側に突出し、かつ前記突出した折返し部の対向するベルト部分間に対応する前記差込部が挿通された状態で、前記ベルト止め部材が前記D環本体に係止または固定されるものであることを特徴とするD環を構成したものである。
【0013】
上記構成において、好ましくは、前記単一または前記一対のベルト止め部材は、前記D環本体の幅に対応する長さを有する単一または一対の細長い部材からなり、前記細長い部材の本体が前記差込部を形成している。
【0014】
さらに好ましくは、前記係止/固定手段は、前記細長い部材の両端にそれぞれ設けられたU字状の折り曲げ部からなり、前記細長い部材の両端の前記折り曲げ部には前記D環本体の両側縁が挿通可能になっており、前記細長い部材が、前記突出した折返し部の前記対向するベルト部分間に挿通された状態で、前記折り曲げ部を通じて前記D環本体に、前記D環本体の一端側から前記両側縁に沿って嵌め込まれる。
【0015】
また好ましくは、前記係止/固定手段は、前記D環本体の前記一面の幅方向両側に立設された一対の側壁を有し、前記一対の側壁のうちの一方の側壁における前記少なくとも一方の開口に対応する位置に係合孔が形成される一方、前記一対の側壁のうちの他方の側壁の上端面における前記少なくとも一方の開口に対応する位置には係合溝が形成され、前記係止/固定手段は、さらに、前記細長い部材の一端に設けられて前記一端から当該細長い部材の長さ方向外向きに突出する、前記D環本体の対応する前記係合孔と係合し得る第1の突起と、前記細長い部材の他端に設けられて前記他端から当該細長い部材の長さ方向外向きに突出する、前記D環本体の対応する前記係合溝と係合し得る第2の突起と、を有している。
【0016】
また、上記構成において、好ましくは、前記単一のベルト止め部材は、前記D環本体の幅に対応する長さの実質上U字状をなす単一の平板状部材からなり、前記平板状部材の一対の脚部の間隔は前記第2および前記第3の開口間の間隔に対応し、前記一対の脚部が前記差込部を形成している。
【0017】
さらに好ましくは、前記係止/固定手段は、前記D環本体の前記一面の幅方向両側に立設された一対の側壁を有し、前記一対の側壁のうちの一方の側壁における前記第2および第3の開口に対応する位置にそれぞれ前記平板状部材の前記一対の脚部がそれぞれ挿通され得るガイド孔が形成される一方、前記一対の側壁のうちの他方の側壁における前記第2の開口に対応する位置と前記第3の開口に対応する位置の間の領域には係合孔が形成され、前記係止/固定手段は、さらに、前記平板状部材の基端に設けられて前記基端から前記平板状部材の長さ方向外向きに突出する、前記D環本体の前記係合孔と係合し得る突起と、前記D環本体の前記一方の側壁および前記平板状部材の前記一対の脚部間に設けられ、前記平板状部材の前記一対の脚部が前記D環本体の前記ガイド孔に挿通され、かつ前記平板状部材の前記突起が前記D環本体の前記係合孔に係合した状態で、前記平板状部材を前記D環本体の前記他方の側壁に向けて付勢するバネ部材と、を有し、前記D環が、さらに、前記D環本体に取り付けられて前記一対の側壁間の空間を被覆するカバーを備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、D環が、命綱と連結するための第1の開口と、ハーネス型安全帯の一対のベルトがそれぞれ挿通され得る第2および第3の開口と、第2および第3の開口のうちの少なくとも一方の開口に対応する単一または一対のベルト止め部材とを備え、ベルト止め部材が対応する開口の長さよりも長い単一または一対の差込部を有するようにした。
【0019】
そして、第2および第3の開口のうち対応するベルト止め部材がある開口については、当該開口に対応するベルトの折返し部を挿通し、当該開口から突出した折返し部の対向するベルト部分間にベルト止め部材の差込部を挿通した状態でベルト止め部材をD環本体に係止または固定する一方、第2および第3の開口のうち対応するベルト止め部材がない開口については、対応するベルトを当該開口に挿通した後、折り返す。
【0020】
こうして、ハーネス型安全帯の一対のベルトを、その少なくとも一方のベルトについてはD環のベルト挿通口を挿通させることなく、互いに連結するとともに、D環をハーネス型安全帯に取り付けることができる。
【0021】
それによって、D環のベルトへの取り付けに先立って、当該ベルトの両端の処理(例えば、ベルトの一端を他のベルトに連結(縫合)し、かつベルトの他端には他のベルトとの連結のための連結金具を取り付けること等)を行い、ハーネス型安全帯を構成するベルトの組付けをある程度まで完成させておくことができ、その結果、ハーネス型安全帯の最終的なアッセンブルを1つのライン上で行うことが可能になり、生産性が向上し、製造コストの低減が図れる。
【0022】
また、例えば、ハーネス型安全帯を、その上半身側安全帯部分が、それぞれ作業者の背中の位置において折り返された上部ベルトおよび下部ベルトを有するように構成し、上部ベルトおよび下部ベルトを作業者の背中の位置においてD環を介して互いに連結し、同時にD環をハーネス型安全帯(上半身側安全帯部分)に取り付ける。
【0023】
この連結は、次の2つの方法のうちのいずれかに従って行う。
(1)上部ベルトおよび下部ベルトのうちの一方のベルト、例えば下部ベルトの折返し部を第2および第3の開口のうちの一方、例えば第2の開口に挿通し、第2の開口から突出した折返し部の対向するベルト部分間にベルト止め部材の差込部を挿通した状態で、ベルト止め部材をD環本体に係止または固定する。他方、上部ベルトは、第3の開口に挿通した後、折り返す。
【0024】
(2)下部ベルトおよび上部ベルトの折返し部をそれぞれ第2および第3の開口に挿通し、各折返し部の対向するベルト部分間に対応するベルト止め部材の差込部を挿通して、ベルト止め部材をD環本体に係止または固定する。
【0025】
この場合、いずれの方法で連結しても、作業者が墜落したとき、D環が作業者の腰の位置までずれ動くことが防止され、作業者は、常に、背中の位置において安全に宙づり状態で支持される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】(A)は、本発明の1実施例によるハーネス型安全帯用D環の斜視図であり、(B)は(A)の変形例を示す斜視図である。
図2図1(A)のD環のハーネス型安全帯への取付け方法を説明する斜視図である。
図3図1(A)のD環がハーネス型安全帯に取り付けられた状態を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は(A)のD環の長さ方向における断面図である。
図4図1(B)のD環がハーネス型安全帯に取り付けられた状態を示す図3に類似の図である。
図5図1(A)のD環を備えたハーネス型安全帯の一例を示す平面図である。
図6】(A)は、図5のハーネス型安全帯のD環付近を拡大した平面図であり、(B)は(A)のD環の長さ方向における断面図である。
図7図6(A)のD環の取付け部の分解斜視図である。
図8】本発明の別の実施例によるハーネス型安全帯用D環の斜視図である。
図9図8(A)のD環のハーネス型安全帯への取付け方法を説明する斜視図である。
図10図8(B)のD環のハーネス型安全帯への取付け方法を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の構成を好ましい実施例に基づいて説明する。
図1(A)は本発明の1実施例によるハーネス型安全帯用D環の斜視図である。
【0028】
図1(A)を参照して、本発明のハーネス型安全帯用D環10は、長さおよび幅を有する板状のD環本体1を備えている。
D環本体1には、命綱と連結するための第1の開口2aと、D環本体1の幅方向にのび、ハーネス型安全帯の一対のベルトの折返し部がそれぞれ挿通され得る第2および第3の開口2b、2cとが設けられている。
【0029】
D環10は、また、第2の開口2bに対応し、第2の開口2bの長さよりも長い差込部を有するベルト止め部材を備えている。
ベルト止め部材は、この実施例では、D環本体1の幅に対応する長さを有する細長い部材3からなり、細長い部材3の本体3aが差込部を形成している。
【0030】
D環10は、さらに、ベルト止め部材に設けられ、ベルト止め部材をD環本体1の一面側において、差込部が第2の開口2bをD環本体1の幅方向に跨いだ状態で、D環本体1に対し係止または固定するための係止/固定手段を備えている。
【0031】
係止/固定手段は、この実施例では、細長い部材3の両端に設けられたU字状の折り曲げ部4a、4bからなっている。
細長い部材3の両端の折り曲げ部4a、4bにはD環本体1の両側縁1a、1bが挿通可能になっている。
【0032】
次に、本発明のD環10のハーネス型安全帯への取付け方法を説明する。
図2(A)~(C)は図1(A)のD環のハーネス型安全帯への取付け方法を説明する斜視図であり、図3(A)は図1(A)のD環がハーネス型安全帯に取り付けられた状態を示す斜視図であり、図3(B)は図3(A)におけるD環の長さ方向の断面図である。
【0033】
図2(A)を参照して、まず、ハーネス型安全帯の一対のベルト5、6のうちの一方のベルト5の折返し部5aが、D環本体1の第2の開口2bに挿通され、他方のベルト6は、D環本体1の第3の開口2cに挿通された後、折り返される。
【0034】
次いで、図2(A)および(B)に示すように、第2の開口2bから突出した折返し部5aの互いに対向するベルト部分間に細長い部材3(本体3a)が挿通される。
【0035】
そして、図2(C)に示すように、細長い部材3(本体3a)が、折返し部5aの対向するベルト部分間に挿通された状態で、折り曲げ部4a、4bを通じてD環本体1に、D環本体1の一端側(第1の開口2a側)から両側縁1a、1bに沿って嵌め込まれる。
【0036】
さらに、ベルト5の本体が第2の開口2bから引き抜く向きに引っ張られ、それによって、図3(A)および(B)に示すように、ベルト5が互いに対向する細長い部材3の側縁および第2の開口2bの側縁間の隙間に食い込むとともに、細長い部材3(本体3a)は第2の開口2bをD環本体1の幅方向に跨いだ状態でD環本体1に係止される。
【0037】
そして、ベルト5に対して一定程度の張力(作業者の墜落時に想定される衝撃力に相当)が第2の開口2bから引き抜く向きに及ぼされても、細長い部材3のこの係止状態は維持され、よって、ベルト5がD環本体1から抜けてしまうことはない。
【0038】
こうして、ハーネス型安全帯の一対のベルト5、6が本発明のD環10によって互いに連結されるとともに、D環10がハーネス型安全帯に強固に取り付けられる。
【0039】
なお、上記実施例では、D環本体1の第2および第3の開口2b、2cのうちの一方の開口(第2の開口2b)のみに対応する単一の細長い部材(ベルト止め部材)3を備えたが、図1(B)に示すように、D環本体1の第2および第3の開口2b、2cのそれぞれに対応する一対の細長い部材(ベルト止め部材)3を備えることもできる。
【0040】
この場合には、図4(A)および(B)に示すように、一対のベルト5、6の折返し部5a、6aがそれぞれD環本体1の第2および第3の開口2b、2cに挿通される。そして、各折返し部2b、2cについて、上と同様にして、対応する細長い部材3が当該折返し部5a、6aの対向するベルト部分間に挿通された状態でD環本体1に嵌め込まれ、D環本体1に係止される。
【0041】
本発明によれば、ハーネス型安全帯の一対のベルト5、6を、その少なくとも一方のベルトについてはD環10、10’のベルト挿通口2b、2cを挿通させることなく、互いに連結するとともに、D環10、10’をハーネス型安全帯(ベルト5、6の連結部)に取り付けることができる。
【0042】
それによって、D環10、10’のベルト5、6への取り付けに先立って、当該ベルト5、6の両端の処理(例えば、ベルト5、6の一端を他のベルト5、6に連結(縫合)し、かつベルト5、6の他端には他のベルトとの連結のための連結金具を取り付けること等)を行い、ハーネス型安全帯を構成するベルトの組付けをある程度まで完成させておくことができ、その結果、ハーネス型安全帯の最終的なアッセンブルを1つのライン上で行うことが可能になり、生産性が向上し、製造コストの低減が図れる。
【0043】
また、例えば、ハーネス型安全帯を、その上半身側安全帯部分が、それぞれ作業者の背中の位置において折り返された上部ベルト(ベルト6)および下部ベルト(ベルト5)を有するように構成し、上部ベルト(ベルト6)および下部ベルト(ベルト5)を作業者の背中の位置において本発明のD環10、10’を介して互いに連結し、同時にD環10、10’をハーネス型安全帯(上半身側安全帯部分)に取り付ける。
【0044】
この連結は、次の2つの方法のうちのいずれかに従って行う。
(1)上部ベルト(ベルト6)および下部ベルト(ベルト5)のうちの一方のベルト、例えば下部ベルト(ベルト5)の折返し部(折返し部5a)をD環本体1の第2および第3の開口2b、2cのうちの一方、例えば第2の開口2bに挿通し、第2の開口2bから突出した折返し部の対向するベルト部分間に細長い部材(ベルト止め部材)3を挿通した状態で、細長い部材(ベルト止め部材)3をD環本体1に係止する。他方、上部ベルト(ベルト6)は、第3の開口2cに挿通した後、折り返す(D環10を使用した場合)。
【0045】
(2)下部ベルト(ベルト5)および上部ベルト(ベルト6)の折返し部(折返し部6a、5a)をそれぞれ第2および第3の開口2b、2cに挿通し、各折返し部(折返し部6a、5a)の対向するベルト部分間に対応する細長い部材(ベルト止め部材)3を挿通して、細長い部材(ベルト止め部材)3をD環本体1に係止または固定する(D環10’を使用した場合)。
【0046】
この場合、いずれの方法で連結しても、作業者が墜落したとき、D環10、10’が作業者の腰の位置までずれ動くことが防止され、作業者は、常に、背中の位置において安全に宙づり状態で支持される。
【0047】
図5図1(A)のD環を備えたハーネス型安全帯を例示した平面図であり、図6(A)は図5のハーネス型安全帯のD環付近を拡大した平面図であり、図6(B)は図6(A)におけるD環の長さ方向の断面図である。また、図7図6(A)のD環の取付け部の分解斜視図である。
【0048】
図5を参照して、この実施例では、ハーネス型安全帯11は、中央で折り返され、当該折返し部が作業者の背中の位置にあり、一端側が作業者の一方の肩、および胸および腰の一側を経て作業者の一方の腿の位置までのび、他端側が作業者の他方の肩、および胸および腰の他側を経て作業者の他方の腿の位置までのびる第1のベルト12と、中央で折り返され、当該折返し部が作業者の背中の位置にあり、一端側が作業者の腰の一側を経て作業者の一方の腿の位置までのび、他端側が作業者の腰の他側を経て作業者の他方の腿の位置までのびる第2のベルト13とを有している。
【0049】
そして、第1のベルト12の折返し部と第2のベルト13の折返し部が、作業者の背中の位置において、本発明のD環10によって連結されている。
なお、この実施例では、ハーネス型安全帯11におけるD環10の取付け部を整形して、ハーネス型安全帯の装着を容易にし、また装着感を向上させるため、図6および図7に示すように、ベルト分岐板14がD環10の裏面側に重ねて配置されている。
【0050】
ベルト分岐板14は、図7に示すように、第2のベルト13の折返し部13aが挿通される平行な一対の長穴14a、14bと、第1のベルト12が挿通される、それぞれ八の字状に配置された各一対の長穴14c、14d;14e、14fとを有している。
【0051】
第1および第2のベルト12、13の折返し部の連結は、次のようになされている。
すなわち、図6および図7に示すように、まず、第2のベルト13の折返し部13aが、ベルト分岐板14の長穴14aにベルト分岐板14の表側から裏側に向けて挿通された後、長穴14bに裏側から表側に向けて挿通され、次いで、D環本体1の第2の開口2bにD環本体1の裏側から挿通される。
【0052】
次いで、図2~3に示した方法に従い、細長い部材3が、第2の開口2bから突出した折返し部13aの互いに対向するベルト部分間に挿通された状態で、D環本体1の両側縁に沿って嵌め込まれ、D環本体1に係止される。
【0053】
また、第1のベルト12が、ベルト分岐板14の長穴14cにベルト分岐板14の表側から裏側に向けて挿通された後、長穴14eに裏側から表側に向けて挿通され、次いで、D環本体1の第3の開口2cにD環本体1の表側から裏側に向けて挿通されて折り返され、さらに、ベルト分岐板14の長穴14fに表側から裏側に向けて挿通された後、長穴14dに裏側から表側に向けて挿通される。
【0054】
再び図5を参照して、さらに、第1および第2のベルト12、13の一端側同士が、作業者の腰の一側の位置において、連結金具15aに挿通されることによって連結され、第1および第2のベルト12、13の他端側同士が、作業者の腰の他側の位置において、連結金具15bに挿通されることによって連結されている。
【0055】
さらに、第1および第2のベルト12、13の一端同士が、作業者の一方の腿の位置において、バックル16a、16bによって着脱可能にかつ長さ調節可能に連結され、第1および第2のベルト12、13の他端同士が、作業者の他方の腿の位置において、バックル17a、17bによって着脱可能にかつ長さ調節可能に連結されている。
【0056】
ハーネス型安全帯11は、また、第1のベルト12の一端側および他端側を、作業者の胸の位置において着脱可能に連結する一対の第3のベルト18a、18bと、第2のベルト13の一端側および他端側を作業者の尻の位置において連結する第4のベルト19とを有している。
【0057】
このハーネス型安全帯においては、第1および第2のベルト12、13における連結金具15a、15bから上の部分が、作業者の上半身に装着される上半身側安全帯部分を形成し、連結金具15a、15bから下の部分が、作業者の下半身に装着される下半身側安全帯部分を形成している。
【0058】
そして、上半身側安全帯部分は、それぞれ作業者の背中の位置において折り返された上部ベルト(第1のベルト12)および下部ベルト(第2のベルト13)を有し、上部ベルト(第1のベルト12)および下部ベルト(第2のベルト13)が作業者の背中の位置において本発明のD環10を介して互いに連結され、同時にD環10がハーネス型安全帯(上半身側安全帯部分)に取り付けられている。
【0059】
図8(A)は、本発明の別の実施例によるハーネス型安全帯用D環の斜視図であり、図9は、図8(A)のハーネス型安全帯用D環のハーネス型安全帯への取付け方法を説明する斜視図である。
図8(A)および図9に示した実施例は、図1図3に示した実施例と、係止/固定手段の構成が異なるだけである。よって、図8(A)および図9中、図1図3に示したものと同一の構成要素には同一番号を付し、以下ではそれらの詳細な説明を省略する。
【0060】
図8(A)に示すように、この実施例では、D環20の係止/固定手段は、D環本体1の一面の幅方向両側に立設された一対の側壁21a、21bを有している。
そして、一対の側壁21a、21bのうちの一方の側壁21bにおける第2の開口2bに対応する位置に係合孔22が形成される一方、一対の側壁21a、21bのうちの他方の側壁21aの上端面における第2の開口2bに対応する位置には係合溝23が形成されている。
【0061】
係止/固定手段は、さらに、細長い部材(ベルト止め部材)3の一端に設けられて当該一端から細長い部材3の長さ方向外向きに突出する、D環本体1の対応する係合孔22と係合し得る第1の突起24と、細長い部材3の他端に設けられて当該他端から細長い部材3の長さ方向外向きに突出する、D環本体1の対応する係合溝23と係合し得る第2の突起25とを有している。
【0062】
なお、この実施例では、細長い部材3の両端に、ベルトを案内するためのL字形の拡張部26a、26bが設けられるが、拡張部26a、26bは必要に応じて設けられ、本発明に必須の構成要素ではない。
【0063】
このD環20の使用方法は次のとおりである。
図9(A)に示すように、まず、まず、ハーネス型安全帯の一対のベルト5、6のうちの一方のベルト5の折返し部5aが、D環本体1の第2の開口2bに挿通され、他方のベルト6は、D環本体1の第3の開口2cに挿通された後、折り返される。
【0064】
次に、第2の開口2bから突出した折返し部5aの互いに対向するベルト部分間に細長い部材3(本体3a)が挿通される。このとき、細長い部材3の本体3aおよび拡張部26a間の間隙中に対応するベルト部分が挿通される。
【0065】
そして、この状態で、図9(B)に示すように、細長い部材3の第1の突起24がD環本体1の側壁21bの係合孔22に嵌め込まれ、次いで、図9(C)に示すように、細長い部材3の第2の突起25がD環本体1の側壁21aの係合溝23と嵌合せしめられ、それによって、細長い部材3がD環本体1に固定される。
【0066】
この実施例においても、図1図3に示した実施例と同様の効果が得られる。
【0067】
図8(B)は、本発明のさらに別の実施例によるハーネス型安全帯用D環の斜視図であり、図10は、図8(B)のハーネス型安全帯用D環のハーネス型安全帯への取付け方向を説明する斜視図である。
図8(B)および図10に示した実施例は、図1図3に示した実施例と、ベルト止め部材および係止/固定手段の構成が異なる。よって、図8(B)および図10中、図1図3に示したものと同一の構成要素には同一番号を付し、以下ではそれらの詳細な説明を省略する。
【0068】
図8(B)に示すように、この実施例では、D環30のベルト止め部材は、D環本体1の幅に対応する長さの実質上U字状をなす平板状部材31からなっている。
そして、平板状部材31の一対の脚部31a、31bの間隔は第2および第3の開口2b、2c間の間隔に対応しており、また、一対の脚部31a、31bがベルト止め部材の差込部を形成している。
【0069】
また、一対の脚部31a、31bのそれぞれの先端部に、脚部31a、31bの両側から幅方向外向きに突出する押圧部32が設けられている。
【0070】
D環30の係止/固定手段は、D環本体1の一面の幅方向両側に立設された一対の側壁33a、33bを有している。
そして、一対の側壁33a、33bのうちの一方の側壁33bにおける第2および第3の開口2b、2cに対応する位置にそれぞれ平板状部材31の一対の脚部31a、31bがそれぞれ挿通され得るガイド孔34a、34bが形成される一方、一対の側壁33a、33bのうちの他方の側壁33aにおける第2の開口2bに対応する位置と第3の開口2cに対応する位置の間の領域には係合孔35が形成されている。
【0071】
係止/固定手段は、さらに、平板状部材31の基端に設けられて当該基端から平板状部材31の長さ方向外向きに突出する、D環本体1の係合孔35と係合し得る突起36と、D環本体1の側壁33bおよび平板状部材31の一対の脚部31a、31bの押圧部32間に設けられ、平板状部材31の一対の脚部31a、31bがD環本体1のガイド孔34a、34bに挿通され、かつ平板状部材31の突起36がD環本体の係合孔35に係合した状態で、平板状部材31をD環本体1の側壁33aに向けて付勢するバネ部材37とを有している。
【0072】
この場合、バネ部材37は、中央の平坦部と、平坦部の両端にそれぞれ接続した一対の傾斜部からなる実質上V字形の板状をなし、平坦部は、平板状部材31の一対の脚部31a、31bの間隔に対応する長さを有している。また、バネ部材37の一対の傾斜部にはそれぞれ、脚部31a、31bの幅よりも長いが、押圧部32の長さよりも短い長さの挿通穴37a、37bが形成されている。
【0073】
さらに、D環30は、D環本体1に取り付けられて一対の側壁33a、33b間の空間を被覆するカバー38を備えている。
【0074】
このD環30の使用方法は次のとおりである。
図10(A)に示すように、まず、まず、ハーネス型安全帯の一対のベルト5、6の折返し部5a、6aがそれぞれD環本体1の第2および第3の開口2b、2cに挿通され、第2および第3の開口2b、2cから突出した2つの折返し部5a、6aのそれぞれの互いに対向するベルト部分間に平板状部材31の対応する脚部31a、31bが挿通される。
【0075】
そして、この状態で、図10(B)に示すように、一対の脚部31a、31bの先端に、バネ部材37が、挿通穴37a、37bを通じて、当該先端に向かう方向に末広がりになる配置で嵌め込まれた後、平板状部材31の一対の脚部31a、31bの先端がD環本体1の側壁33bのガイド孔34a、34bに嵌め込まれる。
【0076】
さらに、図10(C)に示すように、平板状部材31がバネ部材37の付勢力に抗して側壁33bに向けて押されるとともに、平板状部材31の突起36が側壁33aの係合孔35に嵌め込まれ、それによって、平板状部材31がD環本体1に固定される。
そして、カバー38がD環本体1に取り付けられる。
【0077】
この実施例においても、図1図3に示した実施例と同様の効果が得られる。
【0078】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明の構成は上記実施例に限定されず、当業者が本願の特許請求の範囲に記載した構成の範囲内で種々の変形例を案出し得ることは言うまでもない。
【0079】
例えば、D環のベルト止め部材および係止/固定手段はいずれも上記実施例に限定されず、単一または一対のベルト止め部材が、第2および第3の開口のうちの少なくとも一方の開口に対応して備えられ、ベルト止め部材が対応する開口の長さよりも長い単一または一対の差込部を有していれば、ベルト止め部材はどのような構成を有していてもよく、また、係止/固定手段は、D環本体および/またはベルト止め部材に設けられ、ベルト止め部材を、D環本体の一面側において、差込部が対応する開口をD環本体の幅方向に跨いだ状態で、D環本体に対し係止または固定するものであれば、任意の構成を有し得る。
【符号の説明】
【0080】
1 D環本体
1a、1b 側縁
2a 第1の開口
2b 第2の開口
2c 第3の開口
3 細長い部材(ベルト止め部材)
3a 本体(差込部)
4a、4b 折り曲げ部(係止/固定手段)
5 ベルト
5a 折返し部
6 ベルト
6a 折返し部
10、10’ D環
11 ハーネス型安全帯
12 第1のベルト
13 第2のベルト
13a 折返し部
14 ベルト分岐板
14a~14f 長穴
15a、15b 連結金具
16a、16b バックル
17a、17b バックル
18a、13b 第3のベルト
19 第4のベルト
20 D環
21a、21b 側壁
22 係合孔
23 係合溝
24 第1の突起
25 第2の突起
26a、26b 拡張部
30 D環
31 平板状部材
31a、31b 脚部
32 押圧部
33a、33b 側壁
34a、34b ガイド孔
35 係合孔
36 突起
37 バネ部材
37a、37b 挿通穴
38 カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10