(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】乾式二重床構造、床パネル、及び支持脚
(51)【国際特許分類】
E04F 15/024 20060101AFI20241118BHJP
E04F 15/20 20060101ALI20241118BHJP
E04B 1/82 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
E04F15/024 601B
E04F15/024 601G
E04F15/024 602C
E04F15/20
E04B1/82 J
(21)【出願番号】P 2022088090
(22)【出願日】2022-05-30
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】593207787
【氏名又は名称】ツカ・カナモノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100137648
【氏名又は名称】吉武 賢一
(72)【発明者】
【氏名】針谷 義昭
(72)【発明者】
【氏名】中川 修
【審査官】齋藤 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-190078(JP,A)
【文献】特開2019-120090(JP,A)
【文献】特開2012-062715(JP,A)
【文献】米国特許第04967529(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00 - 15/22
E04B 1/82
E04B 1/98
E04B 5/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床スラブ上に固定された支持脚に支持固定されて敷き並べられた針葉樹構造用合板を有する乾式二重床構造であって、
前記針葉樹構造用合板の各々は、裏面中央部に木目が延びる繊維方向と略直交する方向に延在する補強用帯板と、前記針葉樹構造用合板裏面の側縁部に沿って延在する連結用帯板と、を備え、
隣接する一方の前記針葉樹構造用合板の前記連結用帯板に、隣接する他方の前記針葉樹構造用合板の裏面側縁部が載置されて連結され、
前記針葉樹構造用合板と前記補強用帯板と
の間、及び、前記針葉樹構造用合板と前記連結用帯板との間に、制振材が挟持されるとともに、
敷き並べられた前記針葉樹構造用合板のうち、構造躯体の壁際に沿って支持固定された前記針葉樹構造用合板は、前記補強用帯板と前記連結用帯板との残余スペースに、木目が延びる繊維方向と略平行に、増設用の制振材を挟んで制振材固定用帯板が固定され、
前記支持脚は、天面に制振材を備え、該天面の制振材を介して前記針葉樹構造用合板を支持する、
前記乾式二重床構造。
【請求項2】
前記針葉樹構造用合板のうち、構造躯体の梁上に固定された前記支持脚により支持された前記針葉樹構造用合板は、前記補強用帯板と前記連結用帯板との残余スペースに、前記補強用帯板に対して略直角方向に向け、増設用の制振材を挟んで固定した制振材固定用帯板を更に備える、請求項1に記載の乾式二重床構造。
【請求項3】
前記針葉樹構造用合板上に石膏ボードが敷設され、前記石膏ボード上にフローリング材が敷設され、壁際に沿って支持された前記針葉樹構造用合板は際根太を介さずに前記支持脚によって支持されるとともに、壁際に沿って支持された前記針葉樹構造用合板、前記石膏ボード、及び、前記フローリング材が、構造躯体の壁との間に所定の隙間が設けられている、請求項1又は2に記載の乾式二重床構造。
【請求項4】
壁際に配列された前記針葉樹構造用合板を支持する前記支持脚と前記
壁の壁面との間に、前記支持脚に取り付けられた緩衝パッキンが介在されている、請求項1に記載の乾式二重床構造。
【請求項5】
前記補強用帯板と前記制振材との間に、前記補強用帯板の金属プレートが介在され、
前記金属プレートは、溝状であって、前記補強用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されて前記補強用帯板の両側面に沿って延びるフランジ部と、前記補強用帯板の長さ方向に沿って延び前記ウェブ部に形成された長孔と、を備え、
前記針葉樹構造用合板に前記制振材及び前記補強用帯板を連結する釘が、前記長孔に挿通されている、
請求項1に記載の乾式二重床構造。
【請求項6】
前記連結用帯板と前記制振材との間に、前記連結用帯板の金属プレートが介在され、
前記金属プレートは、溝状であって、前記連結用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されて前記連結用帯板の両側面に沿って延びるフランジ部と、前記連結用帯板の長さ方向に沿って延び前記ウェブ部に形成された長孔と、を備え、
前記針葉樹構造用合板に前記制振材及び前記連結用帯板を連結する釘が、前記長孔に挿通されている、
請求項1に記載の乾式二重床構造。
【請求項7】
前記補強用帯板と前記制振材との間に、前記補強用帯板の金属プレートが介在され、
前記金属プレートは、溝状であって、前記補強用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されたフランジ部と、を備え、
前記補強用帯板は、前記フランジ部が摺動可能に嵌るスリット溝が形成されている、
請求項1に記載の乾式二重床構造。
【請求項8】
前記連結用帯板と前記制振材との間に、前記連結用帯板の金属プレートが介在され、
前記金属プレートは、溝状であって、前記連結用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されたフランジ部と、を備え、
前記連結用帯板は、前記フランジ部が摺動可能に嵌るスリット溝が形成されている、
請求項1に記載の乾式二重床構造。
【請求項9】
乾式二重床の床下地に用いられる床パネルであって、
針葉樹構造用合板と、
前記針葉樹構造用合板の裏面中央部に木目が延びる繊維方向と略直交する方向に延在し固定された補強用帯板と、
前記針葉樹構造用合板の裏面側縁部に沿って延在し、該裏面側縁部からはみ出して固定され、隣接配置される他の床パネルを連結するための連結用帯板と、
前記補強用帯板及び前記連結用帯板の其々の一側面に設けられ、前記針葉樹構造用合板との間に挟まれた制振材と、
を備える、前記床パネル。
【請求項10】
前記針葉樹構造用合板の裏面において、前記補強用帯板及び前記連結用帯板の残余スペースに、前記補強用帯板に対して略直角方向に向けて、制振材を挟んで固定した制振材固定用帯板を更に備える、請求項
9に記載の床パネル。
【請求項11】
前記補強用帯板と前記制振材との間に、前記補強用帯板の金属プレートが介在され、
前記金属プレートは、溝状であって、前記補強用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されて前記補強用帯板の両側面に沿って延びるフランジ部と、前記補強用帯板の長さ方向に沿って前記ウェブ部に形成された長孔と、を備え、
前記針葉樹構造用合板に前記制振材及び前記補強用帯板を連結する釘が、前記長孔に挿通されている、
請求項9に記載の床パネル。
【請求項12】
前記連結用帯板と前記制振材との間に、前記連結用帯板の金属プレートが介在され、
前記金属プレートは、溝状であって、前記連結用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されて前記連結用帯板の両側面に沿って延びるフランジ部と、前記連結用帯板の長さ方向に沿って前記ウェブ部に形成された長孔と、を備え、
前記針葉樹構造用合板に前記制振材及び前記連結用帯板を連結する釘が、前記長孔に挿通されている、
請求項9に記載の床パネル。
【請求項13】
前記補強用帯板と前記制振材との間に、前記補強用帯板の金属プレートが介在され、
前記金属プレートは、溝状であって、前記補強用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されたフランジ部と、を備え、
前記補強用帯板は、前記フランジ部が長さ方向に摺動可能に嵌る凹部が形成されている、
請求項9に記載の床パネル。
【請求項14】
前記連結用帯板と前記制振材との間に、前記連結用帯板の金属プレートが介在され、
前記金属プレートは、溝状であって、前記連結用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されたフランジ部と、を備え、
前記連結用帯板は、前記フランジ部が長さ方向に摺動可能に嵌る凹部が形成されている、
請求項9に記載の床パネル。
【請求項15】
請求項1に記載の乾式二重床構造に使用される支持脚であって、
床スラブに固定するためのベースプレートと、前記ベースプレートに立設された雄螺子部と、前記雄螺子部に高さ調節可能に設けられた受プレートと、前記受プレート上に取り付けられた減衰ゴムシートと、前記減衰ゴムシート上に取り付けられた天板と、前記天板上に取り付けられた制振材と、を備える
前記支持脚。
【請求項16】
前記天板の側面に、構造躯体の壁に当接させるための緩衝パッキンが取り付けられている、請求項15に記載の支持脚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式二重床構造に係り、特に遮音性能を高めた乾式二重床構造、及び、前記乾式二重床に用いられる床パネル、並びに、前記乾式二重床構造に用いられる支持脚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)、或いは鉄骨造(S造)の建築物の床スラブに支持脚を固定し、床の下地となる構造用合板を前記支持脚により支持し、前記構造用合板の裏面に補強用帯板材と連結用帯板材と設けて床構造の剛性を高めることにより、いわゆる太鼓現象を抑制し、重量床衝撃音に対する高い遮音性能を向上させた乾式二重床構造が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の乾式二重床構造を備える床では、所望の遮音性能が得られている場合と、遮音性能が低下している場合とがあり、遮音性能にバラツキが生じていた。
【0005】
そこで、本発明は、遮音性能のバラツキを低減し得る乾式二重床構造、及び、それに用いる床パネル、並びに支持脚を提供することを主たる目的とする。
【0006】
また、本発明は、低コストで施工可能な乾式二重床構造を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明者等による鋭意研究の結果、構造躯体の壁或いは梁から離れた位置で支持されている構造用合板については所望の遮音性能が得られているが、構造躯体の壁或いは梁に沿って支持された構造用合板は、遮音性能が低下することを見出した。
【0008】
構造用合板に接合する補強用帯状板を増設して更に剛性を高めることにより、遮音性能を高めることが考えられたが、構造躯体の強度が求められる場所(外壁、梁)に配置された構造用合板は、補強用帯板材を増設して剛性を高めると、遮音性能は逆に低下することが判明した。そのため、構造用合板の剛性を高めて太鼓現象を抑制するにも限界があった。
【0009】
そこで、上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る乾式二重床構造は、 鉄筋コンクリート建築の床スラブ上に固定された支持脚に支持固定されて敷き並べられた針葉樹構造用合板を有する乾式二重床構造であって、前記針葉樹構造用合板の各々は、裏面中央部に木目が延びる繊維方向と略直交する方向に延在する補強用帯板と、前記針葉樹構造用合板裏面の側縁部に沿って延在する連結用帯板と、を備え、隣接する一方の前記針葉樹構造用合板の前記連結用帯板に、隣接する他方の前記針葉樹構造用合板の裏面側縁部が載置されて連結され、前記針葉樹構造用合板と前記補強用帯板との間、及び、前記針葉樹構造用合板と前記連結用帯板との間に、制振材が挟持されるとともに、敷き並べられた前記針葉樹構造用合板のうち、構造躯体の壁際に沿って支持固定された前記針葉樹構造用合板は、前記補強用帯板と前記連結用帯板との残余スペースに、木目が延びる繊維方向と略平行に、増設用の制振材を挟んで制振材固定用帯板が固定され、前記支持脚は、天面に制振材を備え、該天面の制振材を介して前記針葉樹構造用合板を支持する。
【0010】
前記針葉樹構造用合板のうち、構造躯体の梁上に固定された前記支持脚により支持された前記針葉樹構造用合板は、前記補強用帯板と前記連結用帯板との残余スペースに、前記補強用帯板に対して略直角方向に向け、増設用の制振材を挟んで固定した制振材固定用帯板を更に備え得る。
【0011】
また、前記針葉樹構造用合板上に石膏ボードが敷設され、前記石膏ボード上にフローリング材が敷設され、壁際に沿って支持された前記針葉樹構造用合板は際根太を介さずに前記支持脚によって支持されるとともに、壁際に沿って支持された前記針葉樹構造用合板、前記石膏ボード、及び、前記フローリング材が、構造躯体の壁との間に所定の隙間が設けられ得る。
【0012】
更に、壁際に配列された前記針葉樹構造用合板を支持する前記支持脚と前記壁の壁面との間に、前記支持脚に取り付けられた緩衝パッキンが介在され得る。
【0013】
ある実施態様において、前記補強用帯板と前記制振材との間に、前記補強用帯板の金属プレートが介在され、前記金属プレートは、溝状であって、前記補強用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されて前記補強用帯板の両側面に沿って延びるフランジ部と、前記補強用帯板の長さ方向に沿って延び前記ウェブ部に形成された長孔と、を備え、前記針葉樹構造用合板に前記制振材及び前記補強用帯板を連結する釘が、前記長孔に挿通されている。
【0014】
ある実施態様において、前記連結用帯板と前記制振材との間に、前記連結用帯板の金属プレートが介在され、前記金属プレートは、溝状であって、前記連結用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されて前記連結用帯板の両側面に沿って延びるフランジ部と、前記連結用帯板の長さ方向に沿って延び前記ウェブ部に形成された長孔と、を備え、前記針葉樹構造用合板に前記制振材及び前記連結用帯板を連結する釘が、前記長孔に挿通される。
【0015】
ある実施態様において、前記補強用帯板と前記制振材との間に、前記補強用帯板の金属プレートが介在され、前記金属プレートは、溝状であって、前記補強用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されたフランジ部と、を備え、前記補強用帯板は、前記フランジ部が摺動可能に嵌るスリット溝が形成される。
【0016】
ある実施態様において、前記連結用帯板と前記制振材との間に、前記連結用帯板の金属プレートが介在され、前記金属プレートは、溝状であって、前記連結用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されたフランジ部と、を備え、前記連結用帯板は、前記フランジ部が摺動可能に嵌るスリット溝が形成される。
【0017】
また、本発明の一態様に係る床パネルは、乾式二重床の床下地に用いられる床パネルであって、針葉樹構造用合板と、前記針葉樹構造用合板の裏面中央部に木目が延びる繊維方向と略直交する方向に延在し固定された補強用帯板と、前記針葉樹構造用合板の裏面側縁部に沿って延在し、該裏面側縁部からはみ出して固定され、隣接配置される他の床パネルを連結するための連結用帯板と、前記補強用帯板及び前記連結用帯板の其々の一側面に設けられ、前記針葉樹構造用合板との間に挟まれた制振材と、を備える。
【0018】
前記床パネルは、前記針葉樹構造用合板の裏面において、前記補強用帯板及び前記連結用帯板の残余スペースに、前記補強用帯板に対して略直角方向に向けて、制振材を挟んで固定した制振材固定用帯板を更に備え得る。
【0019】
前記支持脚は、前記天板の側面に、構造躯体の壁に当接させるための緩衝パッキンが取り付けられ得る。
【0020】
前記床パネルは、前記補強用帯板と前記制振材との間に、前記補強用帯板の金属プレートが介在され、前記金属プレートは、溝状であって、前記補強用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されて前記補強用帯板の両側面に沿って延びるフランジ部と、前記補強用帯板の長さ方向に沿って延び前記ウェブ部に形成された長孔と、を備え、前記針葉樹構造用合板に前記制振材及び前記補強用帯板を連結する釘が、前記長孔に挿通され得る。
【0021】
前記床パネルは、前記連結用帯板と前記制振材との間に、前記連結用帯板の金属プレートが介在され、前記金属プレートは、溝状であって、前記連結用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されて前記連結用帯板の両側面に沿って延びるフランジ部と、前記連結用帯板の長さ方向に沿って延び前記ウェブ部に形成された長孔と、を備え、前記針葉樹構造用合板に前記制振材及び前記連結用帯板を連結する釘が、前記長孔に挿通され得る。
【0022】
前記床パネルは、前記補強用帯板と前記制振材との間に、前記補強用帯板の金属プレートが介在され、前記金属プレートは、溝状であって、前記補強用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されたフランジ部と、を備え、前記補強用帯板は、前記フランジ部が長さ方向に摺動可能に嵌る凹部が形成され得る。
【0023】
前記床パネルは、前記連結用帯板と前記制振材との間に、前記連結用帯板の金属プレートが介在され、前記金属プレートは、溝状であって、前記連結用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されたフランジ部と、を備え、前記連結用帯板は、前記フランジ部が長さ方向に摺動可能に嵌る凹部が形成され得る。
【0024】
また、本発明の一態様に係る支持脚は、床スラブに固定するためのベースプレートと、前記ベースプレートに立設された雄螺子部と、前記雄螺子部に高さ調節可能に設けられた受プレートと、前記受プレート上に取り付けられた減衰ゴムシートと、前記減衰ゴムシート上に取り付けられた天板と、前記天板上に取り付けられた制振材と、を備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、針葉樹構造用合板の裏面に、繊維方向と略直交方向の補強用帯板及び連結用帯板で制振材を挟み、支持脚でも制振材を挟むとともに、構造躯体の壁際、梁の箇所で支持される針葉樹構造用合板の裏面には、繊維方向と平行な制振材固定用帯板で増設用の制振材を挟むことにより、床全体に亘って所望の遮音性能を得る。
【0026】
床下地に用いられる針葉樹構造用合板は、木目が延びる繊維方向と直交する撓み曲線が、木目が延びる繊維方向と平行な撓み曲線より、曲率が大きくなるという性質がある。例えば、針葉樹構造用合板の中心部(重心位置)に集中荷重をかけた場合、中心部を通る断面は、繊維方向と平行な断面より、繊維方向と直交する断面の方が、撓みが大きくなる。従って、木目の延びる繊維方向と略直交方向に補強用帯板を設けることにより、所望の剛性を確保して撓み量を有効に抑制することができる。また、補強用帯板で撓みを抑えることにより、針葉樹構造用合板を薄くすることもでき、低コスト化を図ることもできる。
【0027】
また、構造躯体の壁際、梁の箇所で支持される針葉樹構造用合板のみ、制振材の増設することにより、制振材の材料費を抑えつつ、遮音性能を向上させることができる。
【0028】
床上で人が飛び跳ねたり、床上への落下物等による衝撃が床面に加わることにより針葉樹構造用合板が撓み、振動となって空気振動音が発生し、いわゆる太鼓現象を生じるが、壁際の針葉樹構造用合板は、壁際に沿って延びる際根太を介さずに支持脚により支持されるとともに、その上に敷設される石膏ボード、フローリング材とともに構造壁との間に隙間を有することにより、針葉樹構造用合板の裏面に沿って伝播する空気振動が、際根太に遮られることなく、構造壁との間の隙間を通り抜けることができ、太鼓現象を有効に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係る乾式二重床構造の第1実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1の乾式二重床構造に使用される床パネルを裏面側から視た斜視図である。
【
図3】
図2の床パネルを表側から視た斜視図である。
【
図4】
図1の乾式二重床構造に使用される床パネルを裏面側から視た斜視図である。
【
図5】
図4の床パネルを表側から視た斜視図である。
【
図6】
図1の乾式二重床構造に使用される支持脚を示す斜視図である。
【
図7】
図1の乾式二重床構造に使用される支持脚を示す斜視図である。
【
図9】
図1の乾式二重床構造に石膏ボードとフローリング材を施工した後の要部拡大断面図である。
【
図10】鉄骨系又は鉄筋系の建築物の骨組みを示す水平断面図である。
【
図11】本発明に係る乾式二重床構造の第2実施形態に用いる床パネルの分解斜視図である。
【
図13】本発明に係る乾式二重床構造の第2実施形態に用いる他の床パネルの分解斜視図である。
【
図15】本発明に係る乾式二重床構造の第2実施形態に用いる金属プレートを示す斜視図である。
【
図16】本発明に係る乾式二重床構造の第2実施形態に用いる床パネルの部分拡大断面図である。
【
図17】本発明に係る乾式二重床構造の第2実施形態に用いる床パネルの一部を切欠いて示す拡大平面図である。
【
図18】本発明に係る乾式二重床構造の第2実施形態に用いる床パネルの平常時(a)と撓み時(b)とを示す部分拡大側面図である。
【
図19】本発明に係る乾式二重床構造の第2実施形態の施工状態を示す平面図である。
【
図20】
図15の金属プレートの変更態様を示す斜視図である。
【
図21】
図20の金属プレートを連結用帯板又は補強用帯板に嵌めた状態を示す斜視図である。
【
図22】
図21の金属プレートを備える床パネルの部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係る乾式二重床構造の実施形態について、以下に
図1~
図22を参照して説明する。なお、全図及び全実施形態を通じて同一又は類似の構成部分に同符号を付した。
【0031】
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る乾式二重床構造1は、鉄筋コンクリート建築の構造躯体の壁2の壁際に沿って床スラブ3上に所定間隔で固定された支持脚4と、壁2から離れた中間の所定位置において床スラブ3上に固定された支持脚5と、四隅部を支持脚4及び支持脚5に支持された床パネル6と、四隅部を支持脚5に支持された床パネル7と、を備える。
【0032】
床パネル6は、
図2及び
図3を参照して、四辺形の針葉樹構造用合板8と、針葉樹構造用合板8の裏側の略中央部に制振材9を介して針葉樹構造用合板8の側辺部と略平行に固定された補強用帯板10と、針葉樹構造用合板8の裏側に制振材11を介して補強用帯板10と略直交する方向に固定された制振材固定用帯板12と、針葉樹構造用合板8の直交する2つの側縁部の裏面に制振材13を介して固定され、隣接配置される他の床パネル6又は他の床パネル7の側縁部が制振材13を介して載置され固定されて連結される連結用帯板14と、を備える。なお、図示されていない側の壁際に配置される床パネル6は、連結用帯板14が一つの側縁部にのみ設けられる場合もある。
【0033】
補強用帯板10は、針葉樹構造用合板8の撓みに対して補強するものであり、針葉樹構造用合板8の両端部に亘って延在するように固定されている。補強用帯板10は、針葉樹構造用合板8の木目が延びる繊維方向Z(
図2)と略直交する方向に固定されることにより、撓みに対して補強され得る。上記したように、針葉樹構造用合板8は、木目が延びる繊維方向(
図2のZ方向)と直交する撓み曲線が、木目が延びる繊維方向と平行な撓み曲線より、曲率が大きくなるという性質がある。例えば、針葉樹構造用合板8の中心部(重心位置)に集中荷重をかけた場合、中心部を通る断面は、繊維方向と直交する断面の方が、繊維方向と平行な断面より、撓み量が大きくなる。従って、木目の延びる繊維方向Zと略直交方向に補強用帯板10を設けることにより、撓み量を有効に抑制することができる。繊維方向Zは、針葉樹構造用合板8の表層部における繊維方向である。
【0034】
制振材固定用帯板12は、補強用帯板10及び連結用帯板14の残余スペースに、補強用帯板10と略直交する方向、即ち、針葉樹構造用合板8の木目が延びる繊維方向Zに沿って固定される。そのため、補強用帯板10の長さの半分以下の長さであり、針葉樹構造用合板8の剛性を高めて補強することを目的とするものではなく、単に、制振材11を針葉樹構造用合板8に取り付けて、針葉樹構造用合板8に取り付けられる制振材の面積を増加する目的に用いられる。なお、制振材固定用帯板12は、図示例において補強用帯板10を挟むようにして2本が固定されているが、1本のみとすることもできる。
【0035】
床パネル7は、
図4及び
図5を参照して、四辺形の針葉樹構造用合板15と、針葉樹構造用合板15の裏側の略中央部に制振材16を介して針葉樹構造用合板15の側縁部と略平行に固定された補強用帯板17と、針葉樹構造用合板15の直交する2つの側縁部の裏側に制振材18を介して固定され、隣接配置される他の床パネル6又は他の床パネル7の側縁部が制振材18を介して載置され固定されて連結される連結用帯板19と、を備える。補強用帯板17も、針葉樹構造用合板15の木目が延びる繊維方向Zと略直交する方向に固定されることにより、撓みに対して有効に補強される。
【0036】
図示例において、針葉樹構造用合板8及び針葉樹構造用合板15は、何れも、縦908mm×横908mm×厚さ12mmであり、針葉樹合板で形成されている。また、図示例において、補強用帯板10、補強用帯板17、連結用帯板14、連結用帯板19は、何れも、長さ816mm×幅90mm×厚さ30mm(厚さは30~40mmとすることができる。)であり、好ましくは、LVL(単板積層材)が用いられるが、針葉樹構造用合板で形成することもできる。
【0037】
制振材9、11、13、16、18は、床パネル6及び床パネル7の遮音性を高めるために用いられる制振材として公知の材料を使用することができる。制振材は、一般に、音源等に貼り付けて、音により振動が伝播する物体の振動を減衰させて振動そのものを抑え込み、いわゆる固体伝播音を低減するものである。そのため、制振材9、11、13、16、18は、針葉樹構造用合板8,15,補強用帯板10,17,連結用帯板14,19よりも、高密度の材料が用いられる。建築分野における制振材は、主として床下地としての構造用合板の全面に敷き詰めて用いられ、例えば、ゴム系制振材、樹脂系制振材、アスファルト系制振材、石膏ボード等が知られている。ゴム系或いは樹脂系の制振材の材質としては、例えば、ブチルゴム、硬質ポリウレタンフォーム、酢酸ビニル等が知られている。アスファルト系制振材としては、例えば、金属等の無機材料を混入したアスファルトシートであって高密度且つ粘弾性を有するものが知られている。
【0038】
制振材9、11、13、16、18は、其々、補強用帯板10,17、制振材固定用帯板12、連結用帯板14,19に、予め貼着しておくことができる。補強用帯板10,17、制振材固定用帯板12、連結用帯板14,19を其々、針葉樹構造用合板8,15に釘留めすることにより、制振材9、11、13、16、18が挟持され、サンドイッチ構造とすることができる。
【0039】
壁際に固定される支持脚4は、
図6を参照して、制振材20を天面に備え、制振材20を介して針葉樹構造用合板8を支持する。支持脚4は、床スラブ3に固定するためのベースプレート21と、ベースプレート21に立設された雄螺子部22と、雄螺子部22に高さ調節可能に設けられた受プレート23と、受プレート23上に取り付けられた減衰ゴムシート24と、減衰ゴムシート24上に取り付けられた天板25と、天板25上に取り付けられた制振材20と、天板25の側面に取り付けられた緩衝パッキン26と、を備える。図示例における支持脚4の制振材20を除いた構成は、上記特許文献1(特開2020-190078号公報)によって公知の支持脚と同様の構成を有している。
【0040】
壁際から離れた位置に固定された支持脚5は、
図7を参照して、制振材27を天面に備え、制振材27を介して針葉樹構造用合板15を支持する。支持脚5は、床スラブ3に固定するためのベースプレート28と、ベースプレート28に立設された雄螺子部29と、雄螺子部29に高さ調節可能に設けられた受プレート30と、受プレート30上に取り付けられた減衰ゴムシート31と、減衰ゴムシート31上に取り付けられた天板32と、天板32上に取り付けられた制振材27と、を備える。
【0041】
制振材20、27は、上記制振材と同じ材質を用いることができる。天板25、32は、補強用帯板10,17、連結用帯板14,19と同じ材質を用いることができる。
【0042】
上記構成の乾式二重床構造は、次のように施工される。先ず、床スラブ3上に支持脚4及び支持脚5が所定位置に設置され、接着剤により床スラブ3に固定され、高さ調整がなされる。
【0043】
次に、床の角隅に床パネル6を配置する。その再、床パネル6の直交する2つの側縁部に固定された連結用帯板14、14は、壁に沿わせないように配置する。床の角隅の床パネル6を配置したのち、順次、隣接する床パネル6を壁際に沿って配置する。
【0044】
床パネル6は、
図8及び
図9に示すように、構造躯体の壁2と所定距離離して隙間Xを設けて支持脚4に固定する。床パネル6と支持脚4とは、釘留め等により連結することができる。
【0045】
先に設置された床パネル6の連結用帯板14に、続いて隣接して設置する床パネル6の側縁部を載せて、釘留めする。隣り合う床パネル6、6は、一つの支持脚4によって支持される。
【0046】
壁際に沿って床パネル6の設置が終わったら、床パネル7を順次、支持脚5に支持させて敷設する。支持脚5は、4枚の床パネルの角部、或いは、2枚の床パネルと2枚の床パネルの角部を、同時に支持する。
【0047】
こうして床パネル6及び床パネル7が敷設された後、
図9に示すように、例えば、その上に、石膏ボード33が敷設され、さらにその上にフローリング材34が敷設される。フローリング材34と幅木35との間には約2mmと隙間が設けられ、フローリング材34と壁面との間には約5mmの隙間が設けられている。
【0048】
上記構成を有する乾式二重床構造の作用効果について、以下に説明する。
【0049】
鉄筋コンクリート造りの建物では、構造上の強度が求められる部位である構造躯体の壁2を通じて、いわゆる固体伝播音が伝わりやすい。壁際の床パネル6は、制振材9に加えて、制振材11を追加することにより制振性能を高められているため、遮音性能が高められる。
【0050】
壁際から離れた位置にある床パネル7は、パネル剛性は床パネル6と同等であるが、床パネル6と比較して制振材11を備えないため、床パネル6に比して制振性能が低い。しかしながら、補強用帯板17によって固定された制振材16により、一定の制振効果が得られるとともに、床パネル6によって囲まれているため、床パネル7で生じた固体伝播音は、壁2に伝播する前に、床パネル6で減衰させることがきる。そして、床パネル7は床パネル6に比して、低コストで製作可能であるため、床構造のコストの増加を抑制することができる。
【0051】
また、床パネル6、7は、補強用帯板10は、針葉樹構造用合板8の略中央部において、木目の延びる繊維方向と略直交する方向に固定されるため、所望の剛性を確保して撓み量を有効に抑制することができる。床パネル6,7の撓み量を抑制することで、太鼓現象も抑制される。また、補強用帯板10で撓みを抑えることにより、針葉樹構造用合板8を薄くすることもでき、低コスト化を図ることもできる。
【0052】
また、制振材9、11、13、16、18、20、27は、補強用帯板10、17、制振材固定用帯板12、連結用帯板14、19、支持脚4、支持脚5と、針葉樹構造用合板8との間に介在させる構成であるため、床パネル全面に制振材を配設する従来構成に比して制振材の使用量を削減し、所望の遮音性能を得ることができる。
【0053】
更に、壁際の床パネル6は、壁2との間に所定幅の隙間Xをあけて配設され、石膏ボード33及びその上のフローリング材34も、壁2との間に隙間Yを設けることにより、固体伝播音が床パネル6から外壁に伝わらず、床パネル6,7の撓みによって生じる床下の空間伝播音は、隙間X,Yを通じて、床下から床上へ伝播することができ、いわゆる太鼓現象が抑制される。
【0054】
従来の床構造では、壁際の構造用合板は壁面に沿って延びる際根太が支持脚に固定されているため、床上の歩行音や床上での衝撃音等よって生じる空気伝播音が、床下に沿って伝播し、際根太で遮られることにより太鼓現象を助長し、階下に騒音として伝わるが、本発明では、際根太が無いため、床上の歩行音や床上での衝撃音等は、際根太に遮らえずに床下を伝播し、壁との上記隙間を通じて床から床上に伝播することができ、
図1,9に矢印Aで示すように隙間Xを通って床上の室内に逃げることができるので、階下へ伝播するいわゆる太鼓現象による騒音を低減することができる。
【0055】
また、支持脚4は、緩衝パッキン26を介して壁2に当接することにより、床パネル6から支持脚4を通じて壁2へ固体伝播音が減衰される。また、支持脚4は、制振材18を介して床パネル6の針葉樹構造用合板8を支持しているため、針葉樹構造用合板8から支持脚4を通じて、壁2或いは床スラブ3へ伝搬する固体伝播音も減衰させることができる。支持脚5も同様に、制振材20によって、壁2或いは床スラブ3への固体伝播音の伝播も減衰させることができる。
【0056】
本発明に係る乾式二重床構造によれば、上記のように遮音性能を向上し得るため、床スラブ3のかぶり厚さを従来より薄くしても、高い遮音性能が得られる。
【0057】
制振材9、11、13、16、18は、床パネル6、7に予め組み込まれているため、建築現場での制振材の敷設作業が不要となり、施工性が向上する。
【0058】
鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、鉄骨造(S造)の建築物の場合、
図10に示すように、コンクリート(C)で被覆された鉄骨(S)や鉄筋(R)による骨組みが、外壁等の壁2に沿って、及び梁36の部分にあり、これらの構造躯体の強度が要求される箇所であり、遮音性能が低下する部分であるため、骨組みとなる梁36や、床スラブ3に形成される構造躯体のT型梁がある場合には、それらの梁上に設置される支持脚(不図示)によって、制振材11が増設された床パネル6が支持されることが好ましい。
【0059】
次に、本発明の第2実施形態について、
図11~
図19を参照して説明する。床パネル6は、連結用帯板14と制振材13との間、及び、補強用帯板10と制振材9との間に、金属プレート37が挟持される。同様に、床パネル7も、連結用帯板19と制振材18との間、及び、補強用帯板17と制振材16との間に、金属プレート37が挟持される。
【0060】
金属プレート37は、好ましくは、板厚0.4~1.6mmの鋼板を溝形にプレス加工したプレス鋼板で形成することができる。図示例において、針葉樹構造用合板8,15は板厚15mm、連結用帯板14、19及び補強用帯板10,17は、LVL(単層積層材)で板厚28mm、金属プレート37は板厚0.8mmである。
【0061】
金属プレート37は、
図15及び
図16に示すように、ウェブ部37aと、ウェブ部37aの両側に曲げ形成されたフランジ部37b、37bと、ウェブ部37aに形成された長孔37cと、を備える。ウェブ部37aは、連結用帯板14,19と制振材13,18との間、及び、補強用帯板10,17と制振材9,16との間に、それぞれ挟まれる。フランジ部37b、37bは、連結用帯板14,19及び補強用帯板10,17のそれぞれの側面に沿うように配置される。
【0062】
針葉樹構造用合板8,15に補強用帯板10,17及び連結用帯板14,19を釘留めするための釘38が、長孔37cに挿通される。
図17を参照して、長孔37cの幅寸法Wは、好ましくは釘38の直径の2~3倍の長さとされる。また、長孔37cの長さ寸法Lは、床パネル6,7に撓み変形を生じた際に、釘38と長孔37cとが緩衝しない長さに設定されている。釘留め用の釘38と長孔37cとの寸法関係を上記のように設定することにより、釘38と長孔37cとの緩衝による、こすれ音や衝突音の発生を防止することができる。
【0063】
図18を参照して、床パネル6,7は、荷重がかかると撓むが、金属プレート37にフランジ部37bを設けて床パネル6.7の曲げ弾性率を向上させて、ずり変形Sによる床パネル6,7の撓み振動の早期減衰を行い、床パネル6,7の撓み振動による音圧の発生を低減し、振動音を抑制することができる。また、床パネル6,7の面密度並びに強度を向上させることで、遮音性能を向上させることができる。
【0064】
床パネルの針葉樹構造用合板8,15は胴差し又は床梁で構成される横架材によって両側縁が支持されるため、補強用帯板10,17及び連結用帯板14,19の長さ方向両端部は、中間部に比べて撓み量は小さい。そのため、金属プレート37は、連結用帯板14,19及び補強用帯板10,17の長さより短めにしておき、連結用帯板14,19及び補強用帯板10,17の中間部に配置することができる。
【0065】
また、金属プレート37を設けることにより、連結用帯板14,19及び補強用帯板10,17を薄くして、床パネル6,7を軽量化し、低コスト化を図ることができる。
【0066】
床パネル6,7は、金属プレート37を介在させることにより、針葉樹構造用合板8,15の撓みをいっそう抑制し、床パネル6,7の振動を抑え込むことにより、振動音の抑制効果を高めることができる。
【0067】
次に、
図20~
図22を参照して、上記金属プレートの変更態様について説明する。変更態様に係る金属プレート37Aは、ウェブ部37aの幅が
図15に示した実施形態のものより狭くなっている。そのため、連結用帯板14,19及び補強用帯板10,17には、金属プレート37Aのフランジ部37b、37bが嵌るスリット溝39,39が平行に形成されている。ウェブ部37aが、連結用帯板14,19と制振材13,18との間、及び、補強用帯板10,17と制振材9,16との間に挟まれる。
【0068】
ウェブ部37aの幅を連結用帯板14,19及び補強用帯板10,17の幅より小さくすることにより、連結用帯板14,19及び補強用帯板10,17は、スリット溝39,39に沿って金属プレート37の両側に釘38を打つスペースが確保されるため、金属プレート37のような長孔37cを設けなくて良い。スリット溝37は、フランジ部37bより例えば2~5cm程度長く形成されてあって、フランジ部37bがスリット溝37内でその長さ方向に摺動可能となっており、床パネル6,7が撓み変形した場合に、フランジ部37bがスリット溝37の端部と干渉しないようになっている。金属プレート37Aのその他の構成は、上記金属プレート37と同様である。
【0069】
本発明は、上記の実施形態に限定解釈されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 乾式二重床構造
2 外壁
3 床スラブ
4、5 支持脚
6、7 床パネル
8、15 針葉樹構造用合板
9、11、13、16、18、20、27 制振材
10、17 補強用帯板
12 制振材固定用帯板
14、19 連結用帯板
21、28 ベースプレート
22、29 雄螺子部
23、30 受プレート
24、31 減衰ゴムシート
25、32 天板
26 緩衝パッキン
36 梁
37、37A 金属プレート
39 スリット溝