(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】電動弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20241118BHJP
F16K 37/00 20060101ALI20241118BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20241118BHJP
H02K 11/215 20160101ALI20241118BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20241118BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
F16K37/00 D
H02K5/22
H02K11/215
H02K11/33
(21)【出願番号】P 2022579447
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 JP2022002381
(87)【国際公開番号】W WO2022168651
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2021018392
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 竜也
(72)【発明者】
【氏名】松原 悠太
(72)【発明者】
【氏名】荒井 裕介
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-161152(JP,A)
【文献】特開2016-103966(JP,A)
【文献】国際公開第2013/140685(WO,A1)
【文献】特開2008-140728(JP,A)
【文献】特開2016-163416(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114439989(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00 - 31/05
H02K 5/00 - 5/26
H02K 11/00 - 11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体と、前記弁本体に接合されたキャンと、前記キャンの内側に配置されたマグネットローターと、
前記マグネットローターとともに回転される永久磁石と、前記キャンが配置される内側空間を有するステーターユニットと、を有する電動弁であって、
前記永久磁石が、前記マグネットローターに固定され、
前記ステーターユニットが、ハウジングと、前記ハウジングに収容され
、前記マグネットローターとともにモーターを構成する円筒形状のステーターと、平板形状のメイン基板と、平板形状のサブ基板と、前記サブ基板に設けられ
、前記永久磁石から生じる磁場を検知するように配置された磁気センサーと、を有し、
前記ハウジングが、前記内側空間に隣接して配置されたサブ基板空間を有し、
前記サブ基板の第1端部が、基板端子を介して前記メイン基板と接続され、
前記サブ基板の第2端部が、前記サブ基板空間において前記内側空間の近傍に配置され、
前記磁気センサーが、前記基板端子よりも前記内側空間の近くに配置されていることを特徴とする電動弁。
【請求項2】
弁本体と、前記弁本体に接合されたキャンと、前記キャンの内側に配置されたマグネットローターと、前記キャンが配置される内側空間を有するステーターユニットと、を有する電動弁であって、
前記ステーターユニットが、ハウジングと、前記ハウジングに収容され
、前記マグネットローターとともにモーターを構成する円筒形状のステーターと、平板形状のメイン基板と、平板形状のサブ基板と、前記サブ基板に設けられ
、前記マグネットローターの磁極から生じる磁場を検知するように配置された磁気センサーと、を有し、
前記ハウジングが、前記内側空間に隣接して配置されたサブ基板空間を有し、
前記サブ基板の第1端部が、基板端子を介して前記メイン基板と接続され、
前記サブ基板の第2端部が、前記サブ基板空間において前記内側空間の近傍に配置され、
前記磁気センサーが、前記基板端子よりも前記内側空間の近くに配置されていることを特徴とする電動弁。
【請求項3】
前記ハウジングが、前記内側空間と前記サブ基板空間とを区画する隔壁を有している、請求項1
または請求項2に記載の電動弁。
【請求項4】
前記ハウジングが、前記サブ基板が圧入される圧入溝を有している、請求項1
~請求項3のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項5】
前記圧入溝の内面には、前記圧入溝に前記サブ基板が圧入されることにより弾性変形する突部が設けられている、請求項
4に記載の電動弁。
【請求項6】
前記磁気センサーが、前記第2端部に配置されている、請求項1~請求項
5のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項7】
前記メイン基板が、前記ステーターの軸方向と平行に配置され、
前記サブ基板が、前記メイン基板に対して直角に配置されている、請求項1~請求項
6のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項8】
前記サブ基板が、前記軸方向と平行になるように配置されている、請求項
7に記載の電動弁。
【請求項9】
弁本体と、前記弁本体に接合されたキャンと、前記キャンの内側に配置されたマグネットローターと、前記キャンが配置される内側空間を有するステーターユニットと、を有する電動弁であって、
前記ステーターユニットが、ハウジングと、前記ハウジングに収容された円筒形状のステーターと、平板形状のメイン基板と、平板形状のサブ基板と、前記サブ基板に設けられた磁気センサーと、を有し、
前記ハウジングが、前記内側空間に隣接して配置されたサブ基板空間を有し、
前記サブ基板の第1端部が、基板端子を介して前記メイン基板と接続され、
前記サブ基板の第2端部が、前記サブ基板空間において前記内側空間の近傍に配置され、
前記磁気センサーが、前記基板端子よりも前記内側空間の近くに配置され、
前記メイン基板が、前記ステーターの軸方向と平行に配置され、
前記サブ基板が、前記メイン基板に対して直角に配置され、
前記ステーターユニットが、前記ハウジングと接合されたケースをさらに有し、
前記ケースが、壁部と、前記壁部に設けられた支持柱と、を有し、
前記壁部が、前記サブ基板空間と接続されるケース開口を有し、
前記支持柱が、前記軸方向と直交する方向に延在しかつ前記支持柱の先端が前記内側空間から離れる方向に向けられており、
前記メイン基板が、貫通孔を有し、
前記サブ基板が、前記ケースと前記サブ基板空間とにまたがって配置され、
前記サブ基板には、サブ基板支持部材が取り付けられ、
前記サブ基板支持部材が、筒形状の取付部を有し、
前記支持柱が、前記取付部の内側および前記貫通孔に配置され、
前記支持柱の先端の径が、前記貫通孔の径より大きく、
前記取付部が、前記壁部と前記メイン基板とに挟まれている
、電動弁。
【請求項10】
前記電動弁が、
前記マグネットローターが一方向に回転すると前記弁本体に設けられたポートに近づき、前記マグネットローターが他方向に回転すると前記ポートから離れる弁体と、
前記磁気センサーが出力した信号に基づいて、前記ポートの開度を演算する演算装置と、を有する、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の電動弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動弁の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の電動弁は、キャンと、マグネットローターと、永久磁石と、ステーターと、基板と、を有している。キャンは、上端が塞がれた円筒形状を有している。マグネットローターは、キャンの内側に配置されている。永久磁石は、キャンの内側においてマグネットローターの上方に配置されている。永久磁石は、マグネットローターとともに回転される。ステーターは、キャンの外周面にマグネットローターと同軸に配置されている。基板には、永久磁石の回転角度を検出する磁気センサーが設けられている。磁気センサーがキャン(永久磁石)の近傍に配置されることで、回転角度の検出精度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した電動弁では、基板がキャンの上方に配置されている。基板はマグネットローターの回転軸と直交しており、磁気センサーがキャンの近傍に配置されている。そのため、電動弁は、平面視の形状が大きく、高さ寸法も大きい。また、基板がキャンの側方に配置され、基板がマグネットローターの回転軸と平行な構成では、基板とキャンとの間にステーターがあり、磁気センサーをキャンの近傍に配置できない。
【0005】
そこで、本発明は、キャンの近くに磁気センサーを配置できる小型の電動弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る電動弁は、弁本体と、前記弁本体に接合されたキャンと、前記キャンの内側に配置されたマグネットローターと、前記キャンが配置される内側空間を有するステーターユニットと、を有する電動弁であって、前記ステーターユニットが、ハウジングと、前記ハウジングに収容された円筒形状のステーターと、平板形状のメイン基板と、平板形状のサブ基板と、前記サブ基板に設けられた磁気センサーと、を有し、前記ハウジングが、前記内側空間に隣接して配置されたサブ基板空間を有し、前記サブ基板の第1端部が、基板端子を介して前記メイン基板と接続され、前記サブ基板の第2端部が、前記サブ基板空間において前記内側空間の近傍に配置され、前記磁気センサーが、前記基板端子よりも前記内側空間の近くに配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、磁気センサーが、サブ基板に設けられている。ハウジングが、キャンが配置される内側空間に隣接して配置されたサブ基板空間を有している。サブ基板の第1端部が、基板端子を介してメイン基板と接続されている。サブ基板の第2端部が、サブ基板空間において内側空間の近傍に配置されている。サブ基板において、第2端部は第1端部の反対側にある。そして、磁気センサーが、基板端子よりも内側空間の近くに配置されている。このようにしたことから、磁気センサーをキャンの近くに配置できる。電子部品をメイン基板とサブ基板とに分散して実装することで、メイン基板を小さくすることができる。そのため、キャンの近くに磁気センサーを配置できるとともに、電動弁を小型化できる。
【0008】
本発明において、前記ハウジングが、前記内側空間と前記サブ基板空間とを区画する隔壁を有していることが好ましい。このようにすることで、キャンからサブ基板への静電気放電を防止できる。内側空間に進入した水分がサブ基板空間に進入することを防止できる。
【0009】
本発明において、前記ハウジングが、前記サブ基板が圧入される圧入溝を有していることが好ましい。このようにすることで、ハウジングによってサブ基板を支持することができ、サブ基板を支持するための別部材を省略できる。
【0010】
本発明において、前記圧入溝の内面には、前記圧入溝に前記サブ基板が圧入されることにより弾性変形する突部が設けられていることが好ましい。このようにすることで、突部がサブ基板を押して、サブ基板をより確実に支持することができる。
【0011】
本発明において、前記磁気センサーが、前記第2端部に配置されていることが好ましい。このようにすることで、磁気センサーをキャンにより近づけて配置できる。
【0012】
本発明において、前記メイン基板が、前記ステーターの軸方向と平行に配置され、前記サブ基板が、前記メイン基板に対して直角に配置されていることが好ましい。このようにすることで、電動弁をより小型化できる。
【0013】
本発明において、前記サブ基板が、前記軸方向と平行になるように配置されていることが好ましい。表面実装タイプのパッケージを有する磁気センサーのうち、パッケージの上面(磁気センサーを実装する基板と平行な面)に感磁面を有する磁気センサーは比較的安価である。そして、サブ基板がステーターの軸方向と平行になるように配置されることで、サブ基板に設けられた磁気センサーのパッケージの上面をキャンの外周面と対向するように配置できる。これにより、比較的安価な磁気センサーを採用することができ、電動弁の部品コストを抑えることができる。
【0014】
本発明において、前記ステーターユニットが、前記ハウジングと接合されたケースをさらに有し、前記ケースが、壁部と、前記壁部に設けられた支持柱と、を有し、前記壁部が、前記サブ基板空間と接続されるケース開口を有し、前記支持柱が、前記軸方向と直交する方向に延在しかつ前記支持柱の先端が前記内側空間から離れる方向に向けられており、前記メイン基板が、貫通孔を有し、前記サブ基板が、前記ケースと前記サブ基板空間とにまたがって配置され、前記サブ基板には、サブ基板支持部材が取り付けられ、前記サブ基板支持部材が、筒形状の取付部を有し、前記支持柱が、前記取付部の内側および前記貫通孔に配置され、前記支持柱の先端の径が、前記貫通孔の径より大きく、前記取付部が、前記壁部と前記メイン基板とに挟まれていることが好ましい。このようにすることで、サブ基板支持部材の取付部をケースの壁部とメイン基板とで挟み、サブ基板支持部材を固定できる。そのため、サブ基板を確実に支持することができる。
【0015】
本発明において、前記電動弁が、前記マグネットローターとともに回転される永久磁石をさらに有し、前記磁気センサーが、前記永久磁石から生じる磁場を検知するように配置されていることが好ましい。このようにすることで、永久磁石はマグネットローターより強い磁場を生じるため、磁気センサーによって検知できる磁場の範囲をより広げることができる。そのため、磁気センサーの配置の制約を緩和できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、キャンの近くに磁気センサーを配置できるとともに、電動弁を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施例に係る電動弁の断面図である。
【
図2】
図1の電動弁が有するステーターユニットの断面図である。
【
図3】
図1の電動弁が有するメイン基板の斜視図である。
【
図4】
図1の電動弁が有するサブ基板の斜視図である。
【
図6】
図2のステーターユニットの組立時の斜視図である。
【
図8】
図2のステーターユニットの組立時の他の斜視図である。
【
図10】本発明の第2実施例に係る電動弁の断面図である。
【
図11】
図10の電動弁が有するステーターユニットの断面図である。
【
図13】
図10の電動弁が有するサブ基板およびサブ基板支持部材の斜視図である。
【
図15】本発明の第3実施例に係る電動弁の断面図である。
【
図16】
図15の電動弁が有するステーターユニットの断面図である。
【
図17】
図15の電動弁が有するサブ基板およびサブ基板支持部材の斜視図である。
【
図18】
図15の電動弁が有するサブ基板およびサブ基板支持部材の他の斜視図である。
【
図19】
図15の電動弁が有するステーターの極歯と2つの磁気センサーとの位置関係を示す図である。
【
図20】
図15の電動弁が有するステーターの極歯と2つの磁気センサーとの位置関係を示す他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例に係る電動弁1について、
図1~
図9を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1実施例に係る電動弁の断面図である。
図2は、
図1の電動弁が有するステーターユニットの断面図である。
図3は、
図1の電動弁が有するメイン基板の斜視図である。
図4は、
図1の電動弁が有するサブ基板の斜視図である。
図5は、
図1のV-V線に沿う断面図である。
図5において、ステーターユニットの内側空間に配置された部材については記載を省略している。
図6は、
図2のステーターユニットの組立時の斜視図である。
図7は、
図6の一部を拡大した斜視図である。
図6、
図7は、ハウジングのサブ基板空間にサブ基板を配置する前の状態を示している。
図8は、
図2のステーターユニットの組立時の他の斜視図である。
図9は、
図8の一部を拡大した斜視図である。
図8、
図9は、ハウジングのサブ基板空間にサブ基板を配置した後の状態を示している。各図において、矢印Xで示すX方向が左右方向(横方向)であり、矢印Yで示すY方向が前後方向であり、矢印Zで示すZ方向が上下方向である。矢印Xにおいて「X」の文字がある方が右方向であり、矢印Yにおいて「Y」の文字がある方が前方向であり、矢印Zにおいて「Z」の文字がある方が上方向である。
【0020】
各図に示すように、電動弁1は、弁本体10と、キャン20と、駆動機構30と、弁体40と、ステーターユニット50と、を有している。
【0021】
弁本体10は、例えば、アルミニウム合金などの金属製である。弁本体10は、本体部11と、円筒部12と、鍔部13と、を有している。本体部11は、直方体形状を有している。円筒部12は、本体部11の上面から突出している。円筒部12は、本体部11にねじ構造により取り付けられている。本体部11には、弁室14と、流路15、16と、が設けられている。流路15は、弁室14に接続されている。流路16は、ポート17を介して弁室14に接続されている。鍔部13は、円環板形状を有している。鍔部13の内周縁は、円筒部12の上部に接合されている。
【0022】
キャン20は、例えば、ステンレスなどの金属製である。キャン20は、上端が塞がれた円筒形状を有している。キャン20の下端は、鍔部13の外周縁に接合されている。
【0023】
駆動機構30は、弁体40を上下方向(軸線L方向)に移動させる。駆動機構30は、マグネットローター31と、弁軸ホルダー32と、ガイドブッシュ33と、弁軸34と、永久磁石38と、を有している。
【0024】
マグネットローター31は、円筒形状を有している。マグネットローター31の外径は、キャン20の内径より若干小さい。マグネットローター31の外周面には、複数のN極および複数のS極が設けられている。複数のN極および複数のS極は、上下方向に延在しており、周方向に等間隔でかつ交互に配置されている。本実施例において、マグネットローター31は、N極を12個有し、S極を12個有している。
【0025】
弁軸ホルダー32は、上端が塞がれた円筒形状を有している。弁軸ホルダー32の上部には支持リング35が固定されている。支持リング35は、マグネットローター31と弁軸ホルダー32とを連結している。弁軸ホルダー32の内周面には、雌ねじ32cが設けられている。
【0026】
ガイドブッシュ33は、第1円筒部33aと、第2円筒部33bと、を一体的に有している。第2円筒部33bの外径は、第1円筒部33aの外径より小さい。第2円筒部33bは、第1円筒部33aの上端に同軸に連設されている。第2円筒部33bの外周面には、雄ねじ33cが設けられている。雄ねじ33cは、弁軸ホルダー32の雌ねじ32cと螺合される。第1円筒部33aは、弁本体10の円筒部12に設けられた嵌合孔12aに圧入されている。ガイドブッシュ33は、弁本体10と結合されている。
【0027】
弁軸34は、円柱形状を有している。弁軸34の上部34aは、弁軸ホルダー32を貫通している。弁軸34の上部34aには、抜け止め用のプッシュナット36が取り付けられている。弁軸34は、ガイドブッシュ33および円筒部12に挿入されている。弁軸34の下部は、弁室14に配置されている。弁軸34は、上方を向く円環状の平面である段部34bを有している。弁軸ホルダー32と弁軸34の段部34bとの間には、閉弁ばね37が配置されている。閉弁ばね37は、圧縮コイルばねである。閉弁ばね37は、弁軸34を下方に向けて押している。
【0028】
永久磁石38は、キャン20の内側においてマグネットローター31の上方に配置されている。永久磁石38は、円環平板形状を有している。永久磁石38は、1つのN極と1つのS極とを有しており、N極とS極とは径方向に対向するように配置されている。永久磁石38は、固定具39を介して支持リング35に固定されている。永久磁石38は、マグネットローター31とともに回転される。
【0029】
弁体40は、弁軸34の下端に一体的に連設されている。弁体40は、弁室14に配置されている。弁体40は、駆動機構30によって上下方向に移動される。弁体40の移動によってポート17が開閉される。
【0030】
ステーターユニット50は、ステーター60と、ハウジング70と、ケース80と、メイン基板90と、サブ基板100と、磁気センサー110と、を有している。
【0031】
ステーター60は、円筒形状を有している。ステーター60は、マグネットローター31とともにステッピングモーターを構成している。ステーター60は、上段ステーター61と、下段ステーター62と、合成樹脂製のモールド63と、を有している。
【0032】
上段ステーター61は、下段ステーター62の上に同軸に配置されている。上段ステーター61は、周方向に等間隔に並んで配置された複数のクローポール型の極歯61a、61bを有している。下段ステーター62は、周方向に等間隔に並んで配置された複数のクローポール型の極歯62a、62bを有している。本実施例において、上段ステーター61は、極歯61aを12個有し、極歯61bを12個有している。下段ステーター62は、極歯62aを12個有し、極歯62bを12個有している。極歯61a、62aの先端は下方に向いており、極歯61b、62bの先端は上方に向いている。極歯62a、62bは、軸線L方向から見たときに互いに隣り合う極歯61aと極歯61bとの間の中央の位置に配置されている。上段ステーター61が通電されると、極歯61aと極歯61bとは互いに異なる極性の磁極となる。下段ステーター62が通電されると、極歯62aと極歯62bとは互いに異なる極性の磁極となる。モールド63は、上段ステーター61および下段ステーター62内に充填されている。モールド63は、複数の極歯61a、61b、62a、62bとともにステーター60の内周面60aを形成している。ステーター60の内周面60aの径は、キャン20の外周面の径と同じである。モールド63は、端子支持部64を有している。
【0033】
端子支持部64は、上段ステーター61および下段ステーター62から横方向に延びるように配置されている。端子支持部64は、複数の端子65を支持している。複数の端子65は、端子支持部64の先端から横方向に突出している。複数の端子65は、上段ステーター61および下段ステーター62が有するコイルに接続されている。
【0034】
ハウジング70は、合成樹脂製である。ハウジング70は、射出成形によって成形されている。ハウジング70は、ステーター60を収容している。ハウジング70は、ステーター60と一体成形(インサート成形)されていてもよい。ステーター60とハウジング70とを別々に作製し、ハウジング70の内側にステーター60を嵌め込んでもよい。ハウジング70は、周壁部71と、ドーム部72と、筒状部73と、を一体的に有している。
【0035】
周壁部71は、円筒形状を有している。周壁部71の内側にステーター60が配置されている。ドーム部72は、上端が塞がれた円筒形状を有している。ドーム部72の外径は、周壁部71の外径より小さい。ドーム部72は、周壁部71の上端に連設されている。ドーム部72の内周面72a(すなわち、ハウジング70の内周面)の径は、ステーター60の内周面60aの径と同じである。ドーム部72の内周面72aは、ステーター60の内周面60aに連なっている。ドーム部72の内周面72aおよびステーター60の内周面60aは、ステーターユニット50の内側空間74を形成している。内側空間74にはキャン20が挿入され、ステーター60がキャン20の外周面に配置される。筒状部73は、円筒形状を有している。筒状部73の外径は、周壁部71の外径より小さい。筒状部73は、周壁部71の下端に連設されている。筒状部73は、弁本体10の円筒部12を囲むように配置されている。筒状部73と円筒部12との間には、円環形状の封止部材18が配置されている。封止部材18は、ゴム材などの弾性材料で構成されている。封止部材18は、内側空間74に水分が進入することを抑制する。
【0036】
ハウジング70は、サブ基板空間75を有している。サブ基板空間75は、横方向に延在しており、ハウジング70の側面に開口している。サブ基板空間75は、内側空間74に隣接して配置されている。内側空間74とサブ基板空間75との間に隔壁76が設けられている。隔壁76は、内側空間74とサブ基板空間75とを区画している。
図5に示すように、隔壁76の断面は、キャン20の外周面に沿う円弧形状を有している。
【0037】
サブ基板空間75の内面には、2つの圧入溝77が設けられている。圧入溝77は、横方向に延在している。2つの圧入溝77は、前後方向に互いに対向するように配置されている。圧入溝77のそれぞれの内面には、複数の突部78が設けられている。複数の突部78のうちの一部の突部78(
図7の突部78a)は、上下方向に対向するように配置されている。複数の突部78のうち他の一部の突部78(
図7の一方の圧入溝77の突部78bと図示しない他方の圧入溝77の突部78b)は、前後方向に対向するように配置されている。突部78は、圧入溝77にサブ基板100が圧入されると、圧縮されて弾性変形する。複数の突部78は、圧入溝77に圧入されたサブ基板100を上下方向および前後方向に押して、サブ基板100を支持する。
【0038】
ケース80は、合成樹脂製である。ケース80は、射出成形によって成形されている。ケース80は、ハウジング70の側方に配置されている。ケース80は、ケース本体81と、蓋体82と、コネクタ83と、を有している。ケース本体81は、1つの側面が開口した直方体箱形状を有している。蓋体82は、平板形状を有している。蓋体82は、ケース本体81の側面の開口を塞ぐように配置されている。コネクタ83は、楕円筒形状を有している。コネクタ83は、ケース本体81から横方向(右方向)に延びるように配置されている。ケース本体81とコネクタ83とは、一体的に形成されている。
【0039】
ケース本体81は、側壁部84を有している。側壁部84は、平板形状を有している。側壁部84は、蓋体82と横方向に対向するように配置されている。側壁部84には、四角形状のケース開口84aが設けられている。ケース開口84aは、ハウジング70のサブ基板空間75と接続される。側壁部84におけるケース開口84aの周縁部が、ハウジング70と接合されている。また、ケース本体81は、支持柱85を複数有している。支持柱85は、円柱形状を有している。支持柱85は、側壁部84から横方向(右方向)に延在している。支持柱85の先端85aは、内側空間74から離れる方向に向けられている。
【0040】
メイン基板90は、電子部品が実装されるプリント基板である。メイン基板90は、平板形状を有している。メイン基板90は、ケース80に収容されている。メイン基板90は、前後方向および上下方向と平行になるように配置されている。メイン基板90の内側空間74を向く面には、基板コネクタ91が設けられている。メイン基板90には、図示しないマイクロコンピューターが実装されている。このマイクロコンピューターは、磁気センサー110の出力信号を演算処理する演算装置として機能する。メイン基板90には、複数の支持柱85のそれぞれに対応する貫通孔92が設けられている。貫通孔92には、支持柱85の先端85aが挿入され、支持柱85の先端85aは、例えば、赤外線カシメ加工によって、貫通孔92の径より大きい径になるように変形される。メイン基板90は、支持柱85によって支持されている。メイン基板90には、ステーター60の複数の端子65が接続されている。
【0041】
サブ基板100は、電子部品が実装されるプリント基板である。サブ基板100は、平板形状を有している。サブ基板100は、ハウジング70のサブ基板空間75に配置されている。サブ基板100は、横方向および前後方向と平行になるように配置されている。サブ基板100の前後方向に対向する両端部は、圧入溝77に圧入されている。サブ基板100は、圧入溝77の突部78によって、上下方向および前後方向に挟まれている。サブ基板100は、メイン基板90に対して直角(概ね直角を含む)に配置されている。サブ基板100の第1端部100aは、メイン基板90の近傍に配置されている。サブ基板100の第2端部100bは、ハウジング70の隔壁76の近傍(すなわち内側空間74の近傍)に配置されている。第1端部100aと第2端部100bとは、左右方向に対向する。サブ基板100は、メイン基板90の近傍から内側空間74の近傍まで延在している。第2端部100bにおける隔壁76に対向する部分は、隔壁76に沿う円弧形状を有している。これにより、サブ基板100を隔壁76により近づけて配置することができ、サブ基板100に配置された磁気センサー110とマグネットローター31との距離をより短くすることができる。
【0042】
サブ基板100の第1端部100aには、基板端子101が設けられている。基板端子101は、メイン基板90の基板コネクタ91に接続される。サブ基板100は、基板端子101および基板コネクタ91を介してメイン基板90に接続される。なお、基板端子101がメイン基板90に設けられ、基板コネクタ91がサブ基板100に設けられていてもよい。
【0043】
磁気センサー110は、回転角度センサーである。磁気センサー110は、表面実装タイプのパッケージを有する。磁気センサー110は、サブ基板100の第2端部100bに設けられている。磁気センサー110は、基板端子101よりも内側空間74の近くに配置されている。磁気センサー110は、永久磁石38とキャン20および隔壁76を介して横方向に対向するように配置されている。磁気センサー110は、永久磁石38から生じる磁場を検知して、永久磁石38の回転角度に応じた信号を出力する。
【0044】
電動弁1において、弁本体10の円筒部12、ポート17、キャン20、マグネットローター31、弁軸ホルダー32、ガイドブッシュ33、弁軸34、弁体40、ステーターユニット50の内側空間74、ステーター60(上段ステーター61、下段ステーター62)、ハウジング70(周壁部71、筒状部73)は、それぞれの軸が軸線Lに一致する。
【0045】
次に、電動弁1の動作について説明する。
【0046】
電動弁1において、マグネットローター31が一方向に回転するように、上段ステーター61および下段ステーター62に通電する。マグネットローター31とともに弁軸ホルダー32が回転する。弁軸ホルダー32の雌ねじ32cとガイドブッシュ33の雄ねじ33cとのねじ送り作用により、弁軸ホルダー32が下方に移動する。弁軸ホルダー32とともに弁軸34も下方に移動して弁体40がポート17を閉じる(閉弁状態)。
【0047】
電動弁1において、マグネットローター31が他方向に回転するように、上段ステーター61および下段ステーター62に通電する。マグネットローター31とともに弁軸ホルダー32が回転する。弁軸ホルダー32の雌ねじ32cとガイドブッシュ33の雄ねじ33cとのねじ送り作用により、弁軸ホルダー32が上方に移動する。弁軸ホルダー32とともに弁軸34も上方に移動して弁体40がポート17を開く(開弁状態)。
【0048】
永久磁石38は、キャン20の内側でマグネットローター31とともに回転される。磁気センサー110は、キャン20が配置される内側空間74の近傍に配置されており、永久磁石38の回転角度に応じた信号を出力する。磁気センサー110が出力した信号は、基板端子101および基板コネクタ91を介してサブ基板100からメイン基板90に送られる。メイン基板90に設けられたマイクロコンピューターは、磁気センサー110が出力した信号に基づいて、ポート17の開度などを演算する。
【0049】
次に、電動弁1の組立方法について説明する。
【0050】
ステーターユニット50を組み立てる。まず、ハウジング用金型にステーター60を設置し、ステーター60とハウジング70とが一体となるようにハウジング70を射出成形する。ケース用金型にコネクタ83の端子部品を設置し、ケース本体81とコネクタ83と端子部品とが一体となるようにケース本体81とコネクタ83とを射出成形する。また、蓋体82を射出成形する。
図6に示すように、超音波溶着加工または赤外線溶着加工によってケース本体81の側壁部84をハウジング70に接合し、サブ基板空間75とケース開口84aとを接続する。
図8に示すように、サブ基板100をケース開口84aを通じてサブ基板空間75に挿入する。このとき、サブ基板100の前後方向に対向する両端部を、圧入溝77に圧入する。これにより、圧入溝77によってサブ基板100が支持される。サブ基板100は、ケース80とサブ基板空間75とにまたがって配置される。そして、サブ基板100の基板端子101をメイン基板90の基板コネクタ91に接続しつつ、支持柱85の先端85aをメイン基板90の貫通孔92に挿入する。赤外線カシメ加工によって支持柱85の先端85aを拡大変形する。これにより、支持柱85によってメイン基板90が支持される。メイン基板90にステーター60の複数の端子65をはんだ付けする。蓋体82をケース本体81に接合して、ステーターユニット50が完成する。
【0051】
ステーターユニット50とは別工程で、弁本体10と、キャン20と、駆動機構30と、弁体40と、を組み合わせた弁本体アセンブリを作製する。そして、ステーターユニット50の内側空間74にキャン20を挿入し、弁本体10にステーターユニット50を固定して、電動弁1が完成する。
【0052】
以上説明したように、電動弁1は、弁本体10と、弁本体10に接合されたキャン20と、キャン20の内側に配置されたマグネットローター31と、キャン20が配置される内側空間74を有するステーターユニット50と、を有している。ステーターユニット50が、ハウジング70と、ハウジング70に収容された円筒形状のステーター60と、上下方向と平行になるように配置された平板形状のメイン基板90と、メイン基板90に対して直角に配置された平板形状のサブ基板100と、サブ基板100に設けられた磁気センサー110と、を有している。ハウジング70が、内側空間74に隣接して配置されたサブ基板空間75を有している。サブ基板100の第1端部100aが、基板端子101を介してメイン基板90と接続されている。サブ基板100の第2端部100bが、サブ基板空間75において内側空間74の近傍に配置されている。そして、磁気センサー110が、サブ基板100の第2端部100bに配置されている。
【0053】
電動弁1では、メイン基板90に対してサブ基板100が直角に配置され、サブ基板100の第2端部100bが内側空間74の近傍に配置されている。第2端部100bには、磁気センサー110が配置されている。そのため、磁気センサー110をキャン20の近くに配置できる。メイン基板90が、上下方向と平行になるように配置されているので、電動弁1の平面視の形状を小さくでき、高さ寸法も小さくできる。電子部品をメイン基板90とサブ基板100とに分散して実装することで、メイン基板90を小さくすることができる。そのため、キャン20の近くに磁気センサー110を配置できるとともに、電動弁1を小型化できる。
【0054】
また、ハウジング70が、内側空間74とサブ基板空間75とを区画する隔壁76を有している。このようにすることで、キャン20からサブ基板100への静電気放電を防止できる。内側空間74に進入した水分がサブ基板空間75に進入することを防止できる。
【0055】
また、ハウジング70が、サブ基板100が圧入される圧入溝77を有している。このようにすることで、ハウジング70によってサブ基板100を支持することができ、サブ基板100を支持するための別部材を省略できる。
【0056】
また、圧入溝77の内面には、圧入溝77にサブ基板100が圧入されることにより弾性変形する突部78が設けられている。このようにすることで、突部78がサブ基板100を押して、サブ基板100をより確実に支持することができる。
【0057】
また、電動弁1は、マグネットローター31とともに回転される永久磁石38を有している。そして、磁気センサー110が、永久磁石38から生じる磁場を検知するように配置されている。このようにすることで、永久磁石38はマグネットローター31より強い磁場を生じるため、磁気センサー110によって検知できる磁場の範囲をより広げることができる。そのため、磁気センサー110の配置の制約を緩和できる。
【0058】
なお、電動弁1は、サブ基板100が上下方向と直交するように配置された構成を有しているが、サブ基板100が上下方向と平行になるように配置された構成を有していてもよい。表面実装タイプのパッケージを有する磁気センサーのうち、パッケージの上面(磁気センサーを実装する基板と平行な面)に感磁面を有する磁気センサーは比較的安価である。そして、サブ基板100が上下方向と平行になるように配置されることで、サブ基板100に設けられた磁気センサー110のパッケージの上面をキャン20の外周面と対向するように配置できる。これにより、比較的安価な磁気センサー110を採用することができ、電動弁1の部品コストを抑えることができる。
【0059】
(第2実施例)
以下、本発明の第2実施例に係る電動弁1Aについて、
図10~
図14を参照して説明する。
【0060】
図10は、本発明の第2実施例に係る電動弁の断面図である。
図11は、
図10の電動弁が有するステーターユニットの断面図である。
図12は、
図10の電動弁が有するメイン基板の斜視図である。
図13は、
図10の電動弁が有するサブ基板およびサブ基板支持部材の斜視図である。
図14は、
図10のXIV-XIV線に沿う断面図である。
図14において、ステーターユニットの内側空間に配置された部材については記載を省略している。以下の説明において、第1実施例に係る電動弁1と同一(実質的に同一を含む)の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
各図に示すように、電動弁1Aは、弁本体10と、キャン20と、駆動機構30と、弁体40と、ステーターユニット50Aと、を有している。ステーターユニット50Aは、ステーター60と、ハウジング70と、ケース80と、メイン基板90と、サブ基板100と、サブ基板支持部材105と、磁気センサー110と、を有している。なお、メイン基板90は、基板コネクタ91に代えて、基板端子101が挿入されるスルーホール93が設けられている。
【0062】
サブ基板支持部材105は、平板部106と、2つの取付部107と、を有している。平板部106は、サブ基板100に固定されている。平板部106は、サブ基板100の上面に重なるように配置されている。平板部106は、サブ基板100とともに、ケース80とサブ基板空間75とにまたがって配置されている。取付部107は、円筒形状を有している。取付部107の内径は、ケース80の支持柱85の径と同じである。取付部107は、平板部106の前後方向の両端部に連設されている。2つの取付部107は、ケース本体81の側壁部84とメイン基板90とに挟まれている。サブ基板支持部材105は、サブ基板100を支持している。サブ基板支持部材105を有することにより、サブ基板100をより確実に支持することができる。
【0063】
次に、ステーターユニット50Aの組立方法について説明する。
【0064】
ステーターユニット50Aの組立方法は、ハウジング70を射出成形する工程からケース本体81をハウジング70に接合する工程までは、第1実施例のステーターユニット50の組立方法と同じである。サブ基板100にサブ基板支持部材105の平板部106を固定する。取付部107に支持柱85を挿入しつつ、サブ基板100および平板部106をケース開口84aを通じてサブ基板空間75に挿入する。このとき、サブ基板100の前後方向に対向する両端部を、圧入溝77に圧入する。なお、本実施例では、サブ基板100の第2端部100bの先端のみが圧入溝77に圧入される。これにより、圧入溝77によってサブ基板100が支持される。そして、サブ基板100の基板端子101をメイン基板90のスルーホール93に挿入しつつ、支持柱85の先端85aをメイン基板90の貫通孔92に挿入する。赤外線カシメ加工によって支持柱85の先端85aを拡大変形する。これにより、支持柱85によってメイン基板90が支持され、側壁部84とメイン基板90とに取付部107が挟まれる。サブ基板支持部材105によってサブ基板100が支持される。メイン基板90にステーター60の複数の端子65およびサブ基板100の基板端子101をはんだ付けする。蓋体82をケース本体81に接合して、ステーターユニット50Aが完成する。
【0065】
電動弁1Aは、第1実施例に係る電動弁1と同様の効果を有する。
【0066】
(第3実施例)
以下、本発明の第3実施例に係る電動弁1Bについて、
図15~
図20を参照して説明する。
【0067】
図15は、本発明の第3実施例に係る電動弁の断面図である。
図16は、
図15の電動弁が有するステーターユニットの断面図である。
図17、
図18は、
図15の電動弁が有するサブ基板およびサブ基板支持部材の斜視図である。
図19、
図20は、
図15の電動弁が有するステーターの極歯と2つの磁気センサーとの位置関係を示す図である。
図19は、ステーターの軸方向から見た図である。
図19において、マグネットローターの磁極を半楕円形状で模式的に示している。
図19において、マグネットローターの内側の部材およびステーターのモールドの記載を省略している。
図20は、ステーターの径方向から見た図である。
図20において、磁気センサーおよびステーターの極歯を模式的に示している。以下の説明において、第2実施例に係る電動弁1Aと同一(実質的に同一を含む)の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
各図に示すように、電動弁1Bは、弁本体10と、キャン20と、駆動機構30Bと、弁体40と、ステーターユニット50Bと、を有している。駆動機構30Bは、永久磁石38および固定具39を省略していること以外は、電動弁1Aの駆動機構30と同一の構成を有する。ステーターユニット50Bは、ステーター60と、ハウジング70と、ケース80と、メイン基板90と、サブ基板100と、サブ基板支持部材105と、2つの磁気センサー110Bと、を有している。
【0069】
磁気センサー110Bは、ホールICである。磁気センサー110Bは、表面実装タイプのパッケージを有する。磁気センサー110Bは、サブ基板100の第2端部100bに設けられている。2つの磁気センサー110Bは、前後方向に並べて配置されている。具体的には、2つの磁気センサー110Bは、軸線Lに対して等距離でかつ軸線L周りに間隔をあけて配置されている。2つの磁気センサー110Bは、軸線L方向から見たときに隔壁76の外面に沿うように並べて配置されている。磁気センサー110Bは、マグネットローター31とキャン20および隔壁76を介して横方向に対向するように配置されている。磁気センサー110Bは、マグネットローター31の磁極が生じる磁束密度を検知する。磁気センサー110Bは、検知した磁束密度に応じた信号を出力する。磁気センサー110Bの信号に基づいて、マグネットローター31の回転角度(回転量)および回転方向を検出できる。
【0070】
なお、電動弁1Bでは、サブ基板100の上面に基板端子101が取り付けられ、サブ基板100の下面にサブ基板支持部材105の平板部106が取り付けられている。
【0071】
図20に示すように、2つの磁気センサー110Bのうちの一方が、上段ステーター61の複数の極歯61aのうちの1つの中心線C1上に配置されており、他方が複数の極歯61aのいずれの中心線上にも配置されていない。各中心線は、軸線Lと平行な直線である。このようにすることで、2つの磁気センサー110Bの信号波形の位相がずれるため、当該信号波形に基づいてマグネットローター31の回転方向を検出することができる。特に、本実施例では、2つの磁気センサー110Bのうちの他方が下段ステーター62の極歯62bの中心線C2上に配置されている。換言すると、中心線C2は、隣接する極歯61aと極歯61bとの間の中央の位置を通る。これにより、2つの磁気センサー110Bの信号波形が重なる期間を短くすることができる。具体的には、2つの磁気センサー110Bとして、例えば、N極が近くにあるときに信号Hを出力し、N極が近くにないときに信号Lを出力するホールICを用いた場合、マグネットローター31が回転しているときの2つの磁気センサー110Bの信号波形において信号Hが重なる期間を短くすることができる。そのため、マグネットローター31の回転角度の検出精度を高めることができる。
【0072】
本明細書において、「円筒」や「円柱」等の部材の形状を示す各用語は、実質的にその用語の形状を有する部材にも用いられている。例えば、「円筒形状の部材」は、円筒形状の部材と実質的に円筒形状の部材とを含む。
【0073】
上記に本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。前述の実施例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨に反しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1…電動弁、1A…電動弁、1B…電動弁、10…弁本体、11…本体部、12…円筒部、12a…嵌合孔、13…鍔部、14…弁室、15…流路、16…流路、17…ポート、20…キャン、30…駆動機構、30B…駆動機構、31…マグネットローター、32…弁軸ホルダー、32c…雌ねじ、33…ガイドブッシュ、33a…第1円筒部、33b…第2円筒部、33c…雄ねじ、34…弁軸、34a…上部、34b…段部、35…支持リング、36…プッシュナット、37…閉弁ばね、38…永久磁石、39…固定具、40…弁体、50…ステーターユニット、50A…ステーターユニット、50B…ステーターユニット、60…ステーター、60a…内周面、61…上段ステーター、61a、61b…極歯、62…下段ステーター、62a、62b…極歯、63…モールド、64…端子支持部、65…端子、70…ハウジング、71…周壁部、72…ドーム部、72a…内周面、73…筒状部、74…内側空間、75…サブ基板空間、76…隔壁、77…圧入溝、78…突部、78a…突部、78b…突部、80…ケース、81…ケース本体、82…蓋体、83…コネクタ、84…側壁部、84a…ケース開口、85…支持柱、85a…先端、90…メイン基板、91…基板コネクタ、92…貫通孔、93…スルーホール、100…サブ基板、100a…第1端部、100b…第2端部、101…基板端子、105…サブ基板支持部材、106…平板部、107…取付部、110…磁気センサー、110B…磁気センサー、L…軸線