(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】包装システム
(51)【国際特許分類】
B65B 25/14 20060101AFI20241118BHJP
B65B 51/09 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
B65B25/14 B
B65B51/09 B
(21)【出願番号】P 2023208696
(22)【出願日】2023-12-11
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000154130
【氏名又は名称】株式会社不二鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠山 哲則
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-034308(JP,A)
【文献】特開昭63-012423(JP,A)
【文献】特開2004-106861(JP,A)
【文献】特開昭59-142924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 25/14
B65B 51/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材の耳部を菊折りする菊折装置と、
前記耳部の菊折りを補助するための菊折補助装置とを備え、
前記包装材は、円柱状または円筒状の被包装物品の外周面を覆う外周面包装部と、前記被包装物品の端面に対して突出する前記耳部とを有し、前記外周面包装部および前記耳部が円筒状に形成され、
前記菊折補助装置は、前記菊折装置による菊折りが行われる前に、前記耳部に複数の折り目を形成するように構成され、
前記複数の折り目は、周方向に間隔を隔てて配置され、前記被包装物品の軸方向に延びるように形成され
、
前記菊折補助装置は、周方向に間隔を隔てて配置された複数の折り目形成部を含み、
前記折り目形成部は、前記軸方向に延びる受け部と、前記受け部に回動可能に設けられた押付部とを有し、
前記受け部は、隙間を有し、前記耳部を径方向内側から支持するように構成され、
前記押付部は、回動されることによって前記受け部の隙間に対して進退するように構成され、
前記受け部と前記押付部との間に前記耳部が挟み込まれることにより、前記耳部に前記折り目が形成されるように構成されていることを特徴とする包装システム。
【請求項2】
請求項1に記載の包装システムにおいて、
前記菊折補助装置は、前記複数の折り目形成部を移動させる第1移動機構を含み、
前記第1移動機構は、回転可能に設けられた第1プレートおよび第2プレートを有し、
前記第1プレートには、径方向に延びる直線孔が周方向に間隔を隔てて複数形成され、前記第2プレートには、弧状に湾曲された湾曲孔が周方向に間隔を隔てて複数形成され、前記複数の折り目形成部の受け部は、それぞれ、対応する直線孔および湾曲孔と嵌合されており、
前記第1プレートが回転されることにより、前記複数の折り目形成部の受け部が回転されるとともに、前記第2プレートが前記第1プレートに対して回動されることにより、前記複数の折り目形成部の受け部がそれぞれ直線孔に沿って径方向に移動されるように構成されていることを特徴とする包装システム。
【請求項3】
請求項2に記載の包装システムにおいて、
前記菊折補助装置は、前記複数の折り目形成部を作動させる作動機構を含み、
前記作動機構は、前記第1プレートとともに回転するように設けられた第3プレートを有し、
前記第3プレートは、前記押付部と係合され、前記軸方向に移動可能に構成され、
前記第3プレートが前記第1プレートに対して近い側に位置する場合に、前記押付部が径方向外側を向くとともに、前記第3プレートが前記第1プレートに対して遠い側に位置する場合に、前記押付部が前記軸方向を向いて前記受け部の隙間に配置されるように構成されていることを特徴とする包装システム。
【請求項4】
包装材の耳部を菊折りする菊折装置と、
前記耳部の菊折りを補助するための菊折補助装置とを備え、
前記包装材は、円柱状または円筒状の被包装物品の外周面を覆う外周面包装部と、前記被包装物品の端面に対して突出する前記耳部とを有し、前記外周面包装部および前記耳部が円筒状に形成され、
前記菊折補助装置は、前記菊折装置による菊折りが行われる前に、前記耳部に複数の折り目を形成するように構成され、
前記複数の折り目は、周方向に間隔を隔てて配置され、前記被包装物品の軸方向に延びるように形成され、
前記菊折装置は、周方向に間隔を隔てて配置された複数の折込部を含み、
前記被包装物品の端面付近で前記複数の折込部が径方向内側に移動されることにより、前記耳部が前記被包装物品の端面側に折り込まれながら、隣接する折込部の間に折りひだが形成され、前記複数の折込部が回転されることにより、前記折りひだが前記被包装物品の端面側に倒されるように構成されていることを特徴とする包装システム。
【請求項5】
請求項4に記載の包装システムにおいて、
前記菊折装置は、前記複数の折込部を移動させる第2移動機構を含み、
前記第2移動機構は、回転可能に設けられた第4プレートおよび第5プレートを有し、
前記第4プレートには、径方向に延びる直線孔が周方向に間隔を隔てて複数形成され、前記第5プレートには、弧状に湾曲された湾曲孔が周方向に間隔を隔てて複数形成され、前記複数の折込部は、それぞれ、対応する直線孔および湾曲孔と嵌合されており、
前記第4プレートが回転されることにより、前記複数の折込部が回転されるとともに、前記第5プレートが前記第4プレートに対して回動されることにより、前記複数の折込部がそれぞれ直線孔に沿って径方向に移動されるように構成されていることを特徴とする包装システム。
【請求項6】
請求項5に記載の包装システムにおいて、
前記折込部は、前記耳部の折り目を押し込むように構成されていることを特徴とする包装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装材の耳部を菊折りする菊折装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。包装材は、円筒状の被包装物品の外周面を覆う外周面包装部と、被包装物品の端面に対して突出する耳部とを有し、外周面包装部および耳部が円筒状に形成されている。
【0003】
特許文献1の菊折装置は、回転可能な回転台と、回転台に設けられたアームと、アームの先端に設けられた折込部とを含んでいる。アームおよび折込部は、回転台の周方向に間隔を隔てて複数配置されている。折込部は、アームおよび回転台によって移動されるように構成されている。
【0004】
そして、アームによって折込部が被包装物品の端面に近づきつつ径方向内側に移動されることにより、耳部が被包装物品の端面側に折り込まれながら、隣接する折込部の間に折りひだが形成される。その後、回転台によって折込部が回転されることにより、折りひだが被包装物品の端面側に倒される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、包装材が薄い場合や、被包装物品の直径が大きい場合には、耳部が垂れ下がりやすくなり、その状態で菊折りが行われると、仕上がりが悪化するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、菊折りの仕上がりの改善を図ることが可能な包装システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による包装システムは、包装材の耳部を菊折りする菊折装置と、耳部の菊折りを補助するための菊折補助装置とを備える。包装材は、円柱状または円筒状の被包装物品の外周面を覆う外周面包装部と、被包装物品の端面に対して突出する耳部とを有し、外周面包装部および耳部が円筒状に形成されている。菊折補助装置は、菊折装置による菊折りが行われる前に、耳部に複数の折り目を形成するように構成されている。複数の折り目は、周方向に間隔を隔てて配置され、被包装物品の軸方向に延びるように形成される。そして、菊折補助装置は、周方向に間隔を隔てて配置された複数の折り目形成部を含み、折り目形成部は、軸方向に延びる受け部と、受け部に回動可能に設けられた押付部とを有し、受け部は、隙間を有し、耳部を径方向内側から支持するように構成され、押付部は、回動されることによって受け部の隙間に対して進退するように構成され、受け部と押付部との間に耳部が挟み込まれることにより、耳部に折り目が形成されるように構成されている。
【0009】
このように構成することによって、複数の折り目により、耳部が垂れ下がりにくくすることができる。
【0011】
この場合において、菊折補助装置は、複数の折り目形成部を移動させる第1移動機構を含み、第1移動機構は、回転可能に設けられた第1プレートおよび第2プレートを有し、第1プレートには、径方向に延びる直線孔が周方向に間隔を隔てて複数形成され、第2プレートには、弧状に湾曲された湾曲孔が周方向に間隔を隔てて複数形成され、複数の折り目形成部の受け部は、それぞれ、対応する直線孔および湾曲孔と嵌合されており、第1プレートが回転されることにより、複数の折り目形成部の受け部が回転されるとともに、第2プレートが第1プレートに対して回動されることにより、複数の折り目形成部の受け部がそれぞれ直線孔に沿って径方向に移動されるように構成されていてもよい。
【0012】
この場合において、菊折補助装置は、複数の折り目形成部を作動させる作動機構を含み、作動機構は、第1プレートとともに回転するように設けられた第3プレートを有し、第3プレートは、押付部と係合され、軸方向に移動可能に構成され、第3プレートが第1プレートに対して近い側に位置する場合に、押付部が径方向外側を向くとともに、第3プレートが第1プレートに対して遠い側に位置する場合に、押付部が軸方向を向いて受け部の隙間に配置されるように構成されていてもよい。
【0013】
また、本発明による包装システムは、包装材の耳部を菊折りする菊折装置と、耳部の菊折りを補助するための菊折補助装置とを備える。包装材は、円柱状または円筒状の被包装物品の外周面を覆う外周面包装部と、被包装物品の端面に対して突出する耳部とを有し、外周面包装部および耳部が円筒状に形成されている。菊折補助装置は、菊折装置による菊折りが行われる前に、耳部に複数の折り目を形成するように構成されている。複数の折り目は、周方向に間隔を隔てて配置され、被包装物品の軸方向に延びるように形成される。そして、菊折装置は、周方向に間隔を隔てて配置された複数の折込部を含み、被包装物品の端面付近で複数の折込部が径方向内側に移動されることにより、耳部が被包装物品の端面側に折り込まれながら、隣接する折込部の間に折りひだが形成され、複数の折込部が回転されることにより、折りひだが被包装物品の端面側に倒されるように構成されている。
【0014】
この場合において、菊折装置は、複数の折込部を移動させる第2移動機構を含み、第2移動機構は、回転可能に設けられた第4プレートおよび第5プレートを有し、第4プレートには、径方向に延びる直線孔が周方向に間隔を隔てて複数形成され、第5プレートには、弧状に湾曲された湾曲孔が周方向に間隔を隔てて複数形成され、複数の折込部は、それぞれ、対応する直線孔および湾曲孔と嵌合されており、第4プレートが回転されることにより、複数の折込部が回転されるとともに、第5プレートが第4プレートに対して回動されることにより、複数の折込部がそれぞれ直線孔に沿って径方向に移動されるように構成されていてもよい。
【0015】
この場合において、折込部は、耳部の折り目を押し込むように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の包装システムによれば、菊折りの仕上がりの改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態の包装システムの概略を説明するための模式図である。
【
図2】包装システムによって菊折りされる包装材の一例を示した斜視図である。
【
図3】
図1の包装システムの菊折補助装置の構成を示した図である。
【
図4】
図3の菊折補助装置の移動機構を説明するための図である。
【
図5】
図3の菊折補助装置の作動機構を説明するための図である。
【
図6】
図3の菊折補助装置の折り目形成部を説明するための図である。
【
図7】
図3の菊折補助装置において折り目形成部が径方向外側に移動された状態を示した図である。
【
図8】
図7の菊折補助装置において押付部が回動された状態を示した図である。
【
図9】
図6の折り目形成部の押付部が回動された状態を示した図である。
【
図10】菊折補助装置によって折り目が形成された耳部の一例を示した図である。
【
図11】
図1の包装システムの菊折装置の構成を示した図である。
【
図12】
図11の菊折装置の移動機構を説明するための図である。
【
図13】
図11の菊折装置において折込部が径方向内側に移動された状態を示した図である。
【
図14】
図12の菊折装置において折込部が径方向内側に移動された状態を示した図である。
【
図15】
図13の菊折装置において押込片が軸方向に移動された状態を示した図である。
【
図16】菊折装置によって菊折りされて端面包装部が形成された状態の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
【0019】
まず、
図1および
図2を参照して、本実施形態による包装システム100の概略について説明する。
【0020】
包装システム100は、包装材150を用いて巻取ロール160の包装を行うように構成されている。巻取ロール160(
図2参照)は、円筒状に形成されており、中空状の巻芯161と、巻芯161に巻き付けられた帯状のシート162とを有する。包装材150は、たとえば紙製のシート状部材である。なお、巻取ロール160は、本発明の「被包装物品」の一例である。
【0021】
図1に示すように、包装システム100は、巻付装置(図示省略)と、菊折補助装置1と、菊折装置2と、搬送装置3とを備えている。搬送装置3は、巻付装置、菊折補助装置1および菊折装置2の順に巻取ロール160を搬送するように構成されている。すなわち、搬送装置3は、巻取ロール160を搬送方向(Dc方向)に送るために設けられている。巻付装置は、巻取ロール160の外周に包装材150を巻き付けるように構成されている。
【0022】
ここで、
図2に示すように、巻付装置によって巻き付けられた包装材150は、巻取ロール160の外周面を覆うように円筒状に形成され、周方向における両端部が接合されている。具体的には、包装材150は、巻取ロール160の外周面を覆う外周面包装部151と、巻取ロール160の端面から突出する耳部(余裕部)152とを有する。外周面包装部151および耳部152は円筒状に形成され、耳部152は外周面包装部151の軸方向(X方向)における両端部からそれぞれ連なるように形成されている。
【0023】
図1に示すように、菊折補助装置1および菊折装置2は、それぞれ、搬送方向と直交する方向(X方向)において対向するように左右一対で設けられている。このため、一方側の菊折補助装置1および菊折装置2により一方側の耳部152に対して処理が施されるとともに、他方側の菊折補助装置1および菊折装置2により他方側の耳部152に対して処理が施されるようになっている。
【0024】
菊折補助装置1は、菊折装置2による菊折り(ギャザリング)が行われる前に、耳部152に複数の折り目152a(
図10参照)を形成するように構成されている。複数の折り目152aにより、耳部152を垂れ下がりにくくすることが可能である。すなわち、菊折補助装置1は、耳部152の菊折りを補助するために設けられている。菊折装置2は、包装材150の耳部152を菊折りするように構成されている。つまり、菊折装置2は、耳部152を折り畳むことにより、巻取ロール160の端面を覆う包装材150の端面包装部153(
図16参照)を形成するように構成されている。
【0025】
-菊折補助装置-
次に、
図3~
図10を参照して、本実施形態の菊折補助装置1について説明する。
【0026】
菊折補助装置1には、巻付装置によって包装材150が巻き付けられた巻取ロール160が供給されるようになっている。
図3に示すように、菊折補助装置1は、複数(たとえば、12個)の折り目形成部11と、複数の折り目形成部11を移動させる移動機構12と、複数の折り目形成部11を作動させる作動機構13とを含んでいる。なお、
図3等では、見やすさを考慮して、複数の折り目形成部11のうちの一部のみを示した。また、移動機構12は、本発明の「第1移動機構」の一例である。
【0027】
複数の折り目形成部11は、後述するエアシリンダ132の周囲において周方向に間隔を隔てて配置されている。各折り目形成部11は、長尺な板状体である受け部111および押付部112を有し、押付部112が受け部111に回動可能に設けられている。そして、受け部111および押付部112の間に耳部152が挟み込まれることにより、耳部152に折り目152aが形成されるようになっている。
【0028】
受け部111は、エアシリンダ132の軸方向(X方向)に延びるように形成されている。受け部111は、隙間111a(
図6参照)を有し、耳部152を径方向内側から支持するように構成されている。受け部111の基端側には、挟持ローラ111bおよび嵌合ローラ111cが設けられている。
【0029】
押付部112は、作動機構13によって回動されることにより、受け部111の隙間111aに対して進退するように構成されている。押付部112の基端側には、回動軸112aおよび係合ローラ112bが設けられている。押付部112は、回動軸112aを介して受け部111に回動可能に取り付けられている。
【0030】
移動機構12は、プレート121および122と、プレート121を回転させる動力源であるモータ123と、プレート122を回転させる動力源であるモータ124とを有する。プレート121および122は、後述するシリンダ本体132aに回転可能に設けられている。プレート121および122は隣接するように配置され、プレート121がプレート122に対して搬送装置3側に配置されている。また、プレート121の回転を検出するエンコーダ(図示省略)が設けられるとともに、プレート122の回転を検出するエンコーダ(図示省略)が設けられている。なお、プレート121および122は、それぞれ、本発明の「第1プレート」および「第2プレート」の一例である。
【0031】
図4に示すように、プレート121には、径方向に延びる直線孔121aが周方向に間隔を隔てて複数形成されている。プレート122には、弧状に湾曲された湾曲孔122aが周方向に間隔を隔てて複数形成されている。複数の湾曲孔122aは、渦状に形成されている。たとえば、直線孔121aおよび湾曲孔122aは、それぞれ、折り目形成部11と対応するように12個設けられている。対応する直線孔121aおよび湾曲孔122aは、軸方向(X方向)から見た場合に交差するように配置されている。
【0032】
そして、プレート121の直線孔121aには、対応する折り目形成部11の受け部111が挿通(嵌合)され、その受け部111の挟持ローラ111bによってプレート121が挟持されている。挟持ローラ111bは、直線孔121aの傍でプレート121の表面に沿って転動可能に構成されている。このため、折り目形成部11の受け部111は、直線孔121aに沿って移動可能にプレート121に組み付けられている。したがって、プレート121が回転されることにより、複数の折り目形成部11の受け部111が回転されるようになっている。
【0033】
また、プレート122の湾曲孔122aには、対応する折り目形成部11の受け部111の嵌合ローラ111cが嵌合されている。嵌合ローラ111cは、湾曲孔122a内でその湾曲孔122aに沿って転動可能に構成されている。このため、プレート122がプレート121に対して回動され、直線孔121aに対する湾曲孔122aの交差する位置が変化することにより、複数の折り目形成部11の受け部111がそれぞれ直線孔121aに沿って径方向に移動されるようになっている。なお、プレート121および122が一体的に回転されることにより、複数の折り目形成部11の受け部111が径方向に移動されることなく回転される。すなわち、折り目形成部11の径方向の位置を保ちながら回転させることも可能である。
【0034】
図3に示すように、作動機構13は、プレート131と、プレート131を軸方向(X方向)に移動させる動力源であるエアシリンダ132とを有する。菊折補助装置1では、エアシリンダ132の軸方向が巻取ロール160の軸方向を向くようにされている。なお、プレート131は、本発明の「第3プレート」の一例である。
【0035】
エアシリンダ132は、シリンダ本体132aと、シリンダ本体132a内を移動可能なピストン132bと、ピストン132bに連結されたピストンロッド132cとを有する。シリンダ本体132aは、巻取ロール160に対して移動可能に構成されている。ピストンロッド132cの先端には、プレート131が回転可能に組み付けられている。
【0036】
プレート131は、プレート121と接続され、プレート121とともに回転するように設けられている。プレート131は、プレート121と隣接するように配置され、プレート121に対して搬送装置3側に配置されている。
【0037】
図5に示すように、プレート131には、径方向に延びる直線孔131aが周方向に間隔を隔てて複数形成されている。直線孔131aは、プレート131の径方向の外側端部にまで達して、径方向の外側端部が開放されている。直線孔131aは、直線孔121aと対応するように配置され、たとえば12個設けられている。直線孔131aの内側面には、径方向に延びる係合溝131bが形成されている。すなわち、直線孔131aは、プレート131を厚み方向に貫通するように形成され、係合溝131bは、プレート131の厚み方向の一部に設けられている。
【0038】
図6に示すように、プレート131の直線孔131aには、対応する折り目形成部11の受け部111が挿通されている。係合溝131bには、押付部112の係合ローラ112bが係合されている。係合ローラ112bは、係合溝131b内でその係合溝131bに沿って転動可能に構成されている。
【0039】
そして、
図3に示すように、エアシリンダ132のピストンロッド132cが退避され、プレート131がプレート121に対して近い側に位置する場合には、押付部112が径方向外側を向くようにされている。一方、
図8に示すように、エアシリンダ132のピストンロッド132cが突出され、プレート131がプレート121に対して遠い側に位置する場合には、押付部112が軸方向(X方向)を向いて受け部111の隙間111a(
図9参照)に配置されるようになっている。
【0040】
[菊折補助装置の動作]
菊折補助装置1では、たとえば、複数の折り目形成部11が径方向において最も内側に配置されている。そして、包装材150が巻き付けられた巻取ロール160が供給されると、シリンダ本体132aが巻取ロール160に近づくように移動されることにより、
図3に示すように、折り目形成部11の受け部111が耳部152の内側に挿入される。
【0041】
そして、モータ124によってプレート122が回動されることにより、
図7に示すように、折り目形成部11が径方向外側に移動される。このときの折り目形成部11の移動量は、耳部152の直径に応じて設定されている。このため、受け部111により耳部152が径方向内側から支持される。たとえば、耳部152の直径が予め設定されており、複数の受け部111の径方向の外側端部を結んだ仮想円が耳部152の直径となるようにモータ124が駆動される。
【0042】
次に、エアシリンダ132のピストンロッド132cが突出され、プレート131が巻取ロール160側に移動されることにより、
図8および
図9に示すように、押付部112が回動軸112aを支点として回動される。このため、押付部112が受け部111の隙間111aに進入して、受け部111に支持される耳部152が押付部112によって押し付けられる。すなわち、受け部111と押付部112との間に耳部152が挟み込まれる。
【0043】
その後、押付部112と受け部111との間に耳部152が挟み込まれた状態で、シリンダ本体132aが巻取ロール160から離れるように移動される。これにより、耳部152を挟み込む押付部112および受け部111が耳部152から引き抜かれる。このため、
図10に示すように、耳部152に折り目152aが形成される。
【0044】
-菊折装置-
次に、
図11~
図16を参照して、本実施形態の菊折装置2について説明する。
【0045】
菊折装置2には、菊折補助装置1によって耳部152に折り目152aが形成された巻取ロール160が供給されるようになっている。
図11に示すように、菊折装置2は、複数(たとえば、12個)の折込部21と、複数の折込部21を移動させる移動機構22と、複数(たとえば、12個)のサポートロッド23と、押込機構24とを含んでいる。なお、
図11等では、見やすさを考慮して、複数の折込部21およびサポートロッド23のうちの一部のみを示し、耳部152の折り目152aを図示省略した。また、移動機構22は、本発明の「第2移動機構」の一例である。
【0046】
複数の折込部21は、後述するエアシリンダ242の周囲において周方向に間隔を隔てて配置されている。折込部21は、アーム211と、折込板212と、ガイド棒213とを有する。アーム211は、エアシリンダ242の軸方向(X方向)に延びるように形成されている。アーム211の基端側には、挟持ローラ211aおよび嵌合ローラ211bが設けられている。折込板212は、アーム211の先端に取り付けられ、軸方向から見て二等辺三角形状に形成されている。折込板212は、頂角が径方向内側を向くように配置されている。ガイド棒213は、折込板212の頂角に取り付けられ、軸方向に延びるように形成されている。ガイド棒213は、折込板212に対してアーム211と同じ側に配置されている。
【0047】
移動機構22は、プレート221および222と、プレート221を回転させる動力源であるモータ223と、プレート222を回転させる動力源であるモータ224とを有する。プレート221および222は、後述するシリンダ本体242aに回転可能に設けられている。プレート221および222は隣接するように配置され、プレート221がプレート222に対して搬送装置3側に配置されている。また、プレート221の回転を検出するエンコーダ(図示省略)が設けられるとともに、プレート222の回転を検出するエンコーダ(図示省略)が設けられている。なお、プレート221および222は、それぞれ、本発明の「第4プレート」および「第5プレート」の一例である。
【0048】
図12に示すように、プレート221には、径方向に延びる直線孔221aが周方向に間隔を隔てて複数形成されている。プレート222には、弧状に湾曲された湾曲孔222aが周方向に間隔を隔てて複数形成されている。複数の湾曲孔222aは、渦状に形成されている。たとえば、直線孔221aおよび湾曲孔222aは、それぞれ、折込部21と対応するように12個設けられている。対応する直線孔221aおよび湾曲孔222aは、軸方向(X方向)から見た場合に交差するように配置されている。
【0049】
そして、プレート221の直線孔221aには、対応する折込部21のアーム211が挿通(嵌合)され、そのアーム211の挟持ローラ211aによってプレート221が挟持されている。挟持ローラ211aは、直線孔221aの傍でプレート221の表面に沿って転動可能に構成されている。このため、折込部21のアーム211は、直線孔221aに沿って移動可能にプレート221に組み付けられている。したがって、プレート221が回転されることにより、複数の折込部21のアーム211が回転されるようになっている。
【0050】
また、プレート222の湾曲孔222aには、対応する折込部21のアーム211の嵌合ローラ211bが嵌合されている。嵌合ローラ211bは、湾曲孔222a内でその湾曲孔222aに沿って転動可能に構成されている。このため、プレート222がプレート221に対して回動され、直線孔221aに対する湾曲孔222aの交差する位置が変化することにより、複数の折込部21のアーム211がそれぞれ直線孔221aに沿って径方向に移動されるようになっている。なお、プレート221および222が一体的に回転されることにより、複数の折込部21のアーム211が径方向に移動されることなく回転される。すなわち、折込部21の径方向の位置を保ちながら回転させることも可能である。
【0051】
複数のサポートロッド23は、エアシリンダ242の周囲において周方向に間隔を隔てて配置されている。サポートロッド23は、プレート221の外縁部に取り付けられ、周方向において折込部21と交互に配置されている。
図11に示すように、サポートロッド23は、回動可能であり、プレート221の外縁部から径方向内側に傾斜するように設けられている。
【0052】
押込機構24は、押込片241と、押込片241を軸方向(X方向)に移動させる動力源であるエアシリンダ242とを有する。菊折装置2では、エアシリンダ242の軸方向が巻取ロール160の軸方向を向くようにされている。エアシリンダ242は、シリンダ本体242aと、シリンダ本体242a内を移動可能なピストン242bと、ピストン242bに連結されたピストンロッド242cとを有する。シリンダ本体242aは、巻取ロール160に対して移動可能に構成されている。ピストンロッド242cの先端には、押込片241が取り付けられている。
【0053】
[菊折装置の動作]
菊折装置2では、たとえば、複数の折込部21が径方向において最も外側に配置されている。そして、耳部152に折り目152aが形成された巻取ロール160が供給されると、シリンダ本体242aが巻取ロール160に近づくように移動されることにより、
図11に示すように、サポートロッド23が耳部152の内側に挿入されるとともに、折込部21が耳部152の外側に配置される。このとき、サポートロッド23により耳部152の先端側(開放端側)が支持され、折込板212が巻取ロール160の端面付近に配置されている。また、折込板212の頂角が折り目152aと対応する位置に配置されている。すなわち、サポートロッド23は、周方向において折り目152aの間に配置されている。
【0054】
そして、モータ224によってプレート222が回動されることにより、
図13および
図14に示すように、折込部21が径方向内側に移動される。このため、折込板212により、耳部152が巻取ロール160の端面側に折り込まれながら、隣接する折込板212の間に折りひだが形成される。折込開始時には折込板212の頂角が耳部152の折り目152aに当接され、その折り目152aを起点にして折り込みが行われる。また、折込部21の径方向内側への移動が完了される前に、サポートロッド23が耳部152の内側から抜けて元の状態に戻される。なお、複数の折込部21は径方向において最も内側まで移動され、その際のモータ224の回転量は予め設定されている。
【0055】
次に、モータ223および224によってプレート221および222が一体的に回転されることにより、折込部21の折込板212が回転され、折りひだが巻取ロール160の端面側に倒される。これにより、耳部152が折り畳まれ、巻取ロール160の端面を覆う包装材150の端面包装部153(
図16参照)が形成される。
【0056】
その後、エアシリンダ242のピストンロッド242cが突出されることにより、
図15に示すように、押込片241が巻芯161に押し込まれる。このため、押込片241により、包装材150の端面包装部153の径方向内側端部が巻芯161の内側に押し込まれる。
【0057】
-効果-
本実施形態では、上記のように、菊折補助装置1が設けられることによって、耳部152に折り目152aが形成されるので、耳部152を垂れ下がりにくくすることができる。これにより、菊折装置2において折込板212により耳部152が折り込まれる際の耳部152の偏りが抑制されるので、菊折りの仕上がりの改善を図ることができる。なお、包装システム100は、包装材150が薄い場合や、巻取ロール160の直径が大きい場合に、特に好適である。
【0058】
また、本実施形態では、折込板212が巻取ロール160の端面付近で径方向内側に移動されることによって、耳部152の根元付近から折り込みが行われることにより、折込板が巻取ロールの端面に近づきつつ折込板による耳部の折り込みが行われる従来の場合に比べて、耳部152の根元付近(菊折り後の端面包装部153における径方向の外側部分)が揃いやすくなるので、これによっても菊折りの仕上がりの改善を図ることができる。
【0059】
また、本実施形態では、折込板212の頂角が耳部152の折り目152aを押し込むことによって、折り目152aを利用して耳部152を折り込みやすくすることができる。
【0060】
また、本実施形態では、受け部111および押付部112を有する折り目形成部11が設けられることによって、耳部152に折り目152aを容易に形成することができる。
【0061】
また、本実施形態では、直線孔121aを有するプレート121および湾曲孔122aを有するプレート122を含む移動機構12が設けられることによって、複数の折り目形成部11を同時に、径方向に移動させるとともに、回転させることができる。また、耳部152の直径に応じて折り目形成部11の位置を調整可能であり、直径の異なる耳部152に対応することができる。
【0062】
また、本実施形態では、押付部112と係合されたプレート131を含む作動機構13が設けられることによって、複数の押付部112を同時に回動させることができる。
【0063】
また、本実施形態では、直線孔221aを有するプレート221および湾曲孔222aを有するプレート222を含む移動機構22が設けられることによって、複数の折込部21を同時に、径方向に移動させるとともに、回転させることができる。
【0064】
また、本実施形態では、サポートロッド23が設けられることによって、折込板212による折り込みが行われるときに、耳部152がサポートロッド23に支持されるので、折りひだを精度よく形成することができる。
【0065】
また、本実施形態では、ガイド棒213が設けられることによって、折込板212による折り込みが行われるときに、耳部152が径方向外側に倒れにくくすることができる。
【0066】
-他の実施形態-
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0067】
たとえば、本実施形態では、押付部112と受け部111との間に耳部152が挟み込まれた状態で、シリンダ本体132aが巻取ロール160から離れるように移動される例を示したが、これに限らず、押付部および受け部による耳部の挟み込みが解除された後に、シリンダ本体が巻取ロールから離れるように移動されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 菊折補助装置
2 菊折装置
11 折り目形成部
12 移動機構(第1移動機構)
13 作動機構
21 折込部
22 移動機構(第2移動機構)
100 包装システム
111 受け部
111a 隙間
112 押付部
121 プレート(第1プレート)
121a 直線孔
122 プレート(第2プレート)
122a 湾曲孔
131 プレート(第3プレート)
150 包装材
151 外周面包装部
152 耳部
152a 折り目
160 巻取ロール(被包装物品)
221 プレート(第4プレート)
221a 直線孔
222 プレート(第5プレート)
222a 湾曲孔
【要約】
【課題】菊折りの仕上がりの改善を図ることが可能な包装システムを提供する。
【解決手段】包装システム100は、包装材150の耳部152を菊折りする菊折装置2と、耳部152の菊折りを補助するための菊折補助装置1とを備える。包装材150は、円筒状の巻取ロール160の外周面を覆う外周面包装部151と、巻取ロール160の端面に対して突出する耳部152とを有し、外周面包装部151および耳部152が円筒状に形成されている。菊折補助装置1は、菊折装置2による菊折りが行われる前に、耳部152に複数の折り目を形成するように構成されている。複数の折り目は、周方向に間隔を隔てて配置され、巻取ロール160の軸方向に延びるように形成される。
【選択図】
図1