(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】医用イメージングシステムおよびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20241118BHJP
【FI】
A61B6/03 577
A61B6/03 570Z
(21)【出願番号】P 2023519320
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2021077351
(87)【国際公開番号】W WO2022073958
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-06-13
(32)【優先日】2020-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523108935
【氏名又は名称】オットー-フォン-ゲーリケ-ウニベルジテート・マグデブルク
【氏名又は名称原語表記】Otto-von-Guericke-Universitaet Magdeburg
【住所又は居所原語表記】Universitaetsplatz 2,39106 Magdeburg,Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【氏名又は名称】森川 元嗣
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】パッサレッティ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フリシュ、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】プファイファー、ティム
(72)【発明者】
【氏名】ローゼ、ゲオルグ
【審査官】佐藤 賢斗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0275982(US,A1)
【文献】特開2020-081858(JP,A)
【文献】特表2013-542019(JP,A)
【文献】特表2005-525891(JP,A)
【文献】特表2015-530207(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0279031(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
介入器具(1)が患者(52)に導入される、介入の間持続的なCTイメージングのために構成された医用イメージングシステムにおいて、前記医用イメージングシステムは、前記患者(52)の撮影領域に放射線を
持続的に繰り返し照射し、前記患者(52)の前記照射された領域からデータを取得し、前記取得したデータから画像を生成
し、前記システムは、前記患者(52)の中に導入された
前記介入器具(1)の位置、
および/または空間的向
きに依存した、前記生成される画像の画質に影響を与える前記システムの少なくとも1つのパラメータの自動適応的調整のために構成されることを特徴とする、医用イメージングシステム。
【請求項2】
前記システムは、前記患者(52)に前記システムによって照射される放射線量に影響を与えることによる、前記画質の適応的調整のために構成されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システムは、前記システムの次のパラメータ、
a)管電流、
b)管電圧、
c)前記患者(52)の前記照射される領域のサイズ、
d)前記患者(52)の前記照射される領域の位置、
e)(回転あたりの)投影の数、
f)露光時間
のうちの1つ、いくつか、またはすべてに影響を与えることによる、前記画質の適応的調整のために構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
高画質の領域および低画質の領域が、所定のデータベースによって定義されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムは、前記患者(52)の中への前記介入器具(1)の前記導入中に、開始位置(4)からターゲット位置(3)まで、前記画質を数回変化させるように構成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、前記介入器具(1)が前記ターゲット位置(3)に到達したときに、前記画質を低下させるように構成されることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、前記介入器具(1)が前記患者(52)内を前記開始位置(4)から前記ターゲット位置(3)まで移動する、事前に計算された経路の関数としての、前記画質の自動適応的調整のために構成されることを特徴とする、請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、前記開始位置(4)から前記ターゲット位置(3)までの前記介入器具(1)の前記経路上にある事前に定義されたリスク位置(2)で、前記画質を向上させるように構成されることを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
患者(52)の撮影領域に放射線を繰り返し照射し、前記患者(52)の前記照射された領域からデータを取得し、前記取得したデータから画像を生成する
請求項1から8のいずれか一項に記載の医用イメージングシステムにおいて、画質を適応的に調整するためのコンピュータプログラム(53)であって、前記コンピュータプログラム(53)は、前記システムのコンピュータ(31)で前記コンピュータプログラム(53)が実行されると、次のステップ、
a)前記患者(52)の中に導入された介入器具(1)の位置、空間的向き、および/またはタイプを識別する少なくとも1つの値を入力するステップと、
b)前記入力された値の関数として、それによって前記生成される画像の前記画質に影響を与える前記システムの少なくとも1つのパラメータの適応的調整が行われ得る調整値を計算するステップと
c)前記生成される画像の前記画質に影響を与える前記システムの少なくとも1つのパラメータの前記調整を可能にする、前記システムの少なくとも1つの制御コンポーネント(54、55、56)に前記調整値を出力するステップと
を実行するように構成される、コンピュータプログラム(53)。
【請求項10】
前記コンピュータプログラム(53)は、前記介入器具(1)が前記患者(52)内を開始位置(4)からターゲット位置(3)までたどる、事前に計算された経路の特性値を入力し、前記特性値に依存して前記調整値を計算するように構成されていることを特徴とする、請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の撮影領域に放射線を繰り返し照射し、患者の照射された領域からデータを取得し、その取得したデータから画像を生成する医用イメージングシステムに関する。本発明は、請求項8に記載のコンピュータプログラムにさらに関する。
【0002】
より一般には、本発明は、医用イメージングシステムおよび患者の領域、特に患者の体内に位置する領域の画像を収集するための手順の分野に関する。医用イメージングシステムは、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)システムまたは磁気共鳴イメージング(MRI)システムであり得る。本発明は、特に、患者における手術中、いわゆる介入中の医用イメージングの分野、つまり、アブレーションデバイスまたは生検針のような介入器具を用いたイメージング誘導介入の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、米国特許第9,545,232号では、移動針検出および針アーチファクトを改善するためのCT移動を備えた介入コンピュータ断層撮影アプリケーションが知られている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、患者とオペレータの両方のために介入手順のための医用イメージングシステムを改善することである。さらに、このような医用イメージングシステムを制御するためのコンピュータプログラムが要求されている。
【0005】
本発明の目的は、前述の種類の医用イメージングシステムによって達成され、システムは、患者の中に導入された介入器具の位置、空間的向き、および/またはタイプに依存した、生成される画像の画質に影響を与えるシステムの少なくとも1つのパラメータの自動適応的調整のために構成される。本発明は、患者の局所構造情報に基づいた治療画像シーケンスのための適応的画質調整に関する。現在の技術水準では、介入低侵襲治療手順では、画質は、CTのX線管の管電流を変更することなどによって、オペレータ自身によって調整される。十分な画質のための客観的な基準がない。
【0006】
標準的な診断CTイメージングでは、画像データ取得内で線量を調節するためのさまざまな方法がある。最も一般的な方法は、検出器の画像生データの画像ノイズ比の計算に基づくオンライン電流調節である。ノイズが高すぎる場合、180°投影の線量が増加される。診断画像は、診断のために常に高い品質を必要とするため、線量は比較的高くする必要がある。
【0007】
介入CTイメージングでは、画質に関する要件が異なる。CTイメージングは、患者の完全な診断スキャンを行うためには使用されず、腫瘍などのターゲット区域に医療機器(針や治療アプリケータなど)を位置決めするために使用される。
【0008】
診断イメージング方法とは異なり、介入CTでは、針の先端が位置しているスライスが数枚だけ必要とされる。ただし、これらのスライスは、ライブで、つまり、5フレーム毎秒以上で更新されなければならない。
【0009】
患者に放射線を使用するほとんどの医用イメージングシステムでは、最適な画質のためには、高放射線量が要求されることが認識されている。これは、CT診断手順などにおける標準的な診断イメージングに必要かもしれないが、介入手順全体では要求されないことがわかっている。介入手順のかなりの部分では、介入器具を患者の体内で開始位置からターゲット位置に誘導するには、大幅に低下された画質で十分である。例えば、開始位置に近いまたはターゲット位置に到達したときは、非常に低い画質で十分である。介入器具が患者の体内のリスクを伴う領域を通過するときに、より高い画質が要求される。
【0010】
本発明によれば、画質は、介入器具の位置、空間的向き、および/またはタイプに従って、介入手順中にリアルタイムで制御され得る。例えば、鋭いエッジのないタイプの介入器具が使用されるときは、介入手順の大部分では低画質で十分であり得る。針のような鋭いエッジがある介入器具が使用される場合は、リスクを伴う領域を通過するためになど、より高い画質が要求されることがある。
【0011】
同様に、画質は、介入器具の位置および/または空間的向きに依存して制御され得る。位置は、ターゲット位置まで誘導される介入器具の遠位端に対して定義され得る。
【0012】
本発明は、介入手順のかなりの部分で画質を低下させることを可能にするため、患者に放射線負荷を引き起こす放射線量も減少され得る。結果として、システムは、イメージング誘導介入中の線量調節手順による適応的画質調整によって線量減少を可能にする。
【0013】
これは、介入器具の位置、空間的向き、および/またはタイプを識別するデータに基づいた画質調整のための自律的なフィードバックループシステムを可能にする。
【0014】
本発明の有利な実施形態によれば、システムは、患者にシステムによって照射される放射線量に影響を与えることによる、画質の適応的調整のために構成されることが提案されている。放射線量が、いくつかの異なるパラメータによって影響を受けることができることが有利である。これは、画質のこのような適応的調整を実施するための大きな自由度を与える。
【0015】
本発明の有利な実施形態によれば、システムは、システムの次のパラメータ、
a)管電流、
b)管電圧、
c)患者の照射される領域のサイズ、
d)患者の照射される領域の位置、
e)(回転あたりの)投影の数、
f)露光時間、
のうちの1つ、いくつか、またはすべてに影響を与えることによる、画質の適応的調整のために構成されることが提案されている。
【0016】
照射角度は、X線管の実際の回転角度によってCTシステム内で定義され得る。
【0017】
本発明の有利な実施形態によれば、高画質の領域および低画質の領域が、所定のデータベースによって、または(例えばAIベースの)フィードバック決定モデルによってオンラインで、定義されることが提案されている。したがって、高画質の領域および低画質の領域は、患者での介入手順が開始される前に計画され得る。例えば、患者、ならびに高画質の領域および低画質の領域における介入器具の経路の計画は、介入手順が開始される前に、CTイメージングなど、標準的な診断イメージングを使用して計画され得る。
【0018】
本発明の有利な実施形態によれば、システムは、患者の中への介入器具の導入中に、開始位置からターゲット位置まで、画質を数回変化させるように構成されることが提案されている。結果として、介入手順のいくつかの段階において、要求される画質のみが適用される。例えば、これらの目的を果たすために、放射線量は画質ニーズに従って調節され得る。
【0019】
本発明の有利な実施形態によれば、システムは、介入器具がターゲット位置に到達したときに、画質を低下させるように構成されることが提案されている。これには、介入器具を導入している間に、患者だけでなくオペレータも短い時間間隔の間にのみ高線量放射線に暴露され得るが、ターゲット位置で介入作業(治療目的のためのエネルギーの局所的な適用など)が行われるより長い時間期間には、放射線量は減少され得るという利点がある。
【0020】
本発明の有利な実施形態によれば、システムは、介入器具が患者内を開始位置からターゲット位置まで動かされる、事前に計算された経路の関数としての、画質の自動適応的調整のために構成されることが提案されている。これには、介入器具の事前に計算された経路のデータが、放射線の線量調節にも使用され得るという利点がある。介入手順を行うには、いずれにしても経路の計算が要求される。
【0021】
本発明の有利な実施形態によれば、システムは、開始位置からターゲット位置までの介入器具の経路上にある事前に定義されたリスク位置で、画質を向上させるように構成されることが提案されている。例えば、そのようなリスク位置またはリスク構造は、動脈または神経であり得る。
【0022】
介入器具位置決めプロセスのいくつかの段階では、リスク構造を侵害するリスクがない軟組織構造のみが存在するため、画質は低くてもよい。低画質とは、例えば、高ノイズ、高アーチファクト(例えば、介入器具による金属アーチファクトなど)を意味する。一方で、介入器具の経路のいくつかの段階は、リスク構造に非常に近い場合がある。このため、より高い画質が必要である。画質は、画像解像度、画像ノイズ、アーチファクト、画像シャープネス、および1秒あたりの画像数(フレームレート)など、影響を与えるいくつかのパラメータのうちの1つまたは複数で表され得る。画質が低下される場合は、解像度が低下され得る、および/または、ノイズが増加され得る、および/または、アーチファクトが増加され得る、および/または、画像シャープネスが低下され得る、および/または、フレームレートが低下され得る。
【0023】
本発明の目的は、患者の撮影領域に放射線を繰り返し照射し、患者の照射された領域からデータを取得し、その取得したデータから画像を生成する医用イメージングシステムにおいて、画質を適応的に調整するためのコンピュータプログラムによってさらに達成される。コンピュータプログラムは、システムのコンピュータでコンピュータプログラムが実行されると、次のステップ、
a)患者の中に導入された介入器具の位置、空間的向き、および/またはタイプを識別する少なくとも1つの値を入力するステップと、
b)入力された値の関数として、生成される画像の画質に影響を与えるシステムの少なくとも1つのパラメータの適応的調整が行われ得る調整値を計算するステップと、
c)生成される画像の画質に影響を与えるシステムの少なくとも1つのパラメータの調整を可能にする、システムの少なくとも1つの制御コンポーネントに調整値を出力するステップと
を実行するように構成される。
【0024】
そのようなコンピュータプログラムを用いて、前述したものと同じ利点が達成され得る。また、前述のシステムのいくつかの機能も、さらなるプログラムステップとしてコンピュータプログラムにおいて実装され得る。
【0025】
例えば、コンピュータプログラムは、介入器具が患者内を開始位置からターゲット位置までたどる、事前に計算された経路の特性値を入力し、特性値に依存して調整値を計算するように構成され得る。
【0026】
コンピュータは、PC、ラップトップ、ノートブック、タブレットもしくはスマートフォンのような任意の市販のコンピュータ、または、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラもしくはFPGA、もしくはシステムオンチップ(SoC)、またはこれらの要素の組み合わせであり得る。
【0027】
加えて、システムは、「関心ボリュームイメージング」(VOI)と呼ばれる線量節約アプローチと連動することができる。このアプローチでは、患者の全身に関する画像情報を有している必要がないという問題が対処されている。挿入からターゲットまでの介入器具の経路を表す領域のみが必要である。このVOIイメージングは、VOIの外側の領域の放射線を吸収するX方向およびZ方向のアクティブコリメータリーフを使用して実現され得る。投影データの欠落した情報(切り捨てられた画像データと呼ばれる)は、モデル仮定または患者の身体の事前情報によって部分的に補償され得る。このVOI方法では画質は劣るが、低侵襲のイメージング誘導介入中の線量を減少させる可能性が高い。
【0028】
他の特徴:
- 挿入点から終点までの患者内の、針などのデバイスの経路をイメージングするシステム
- システムは、前に計算された経路点に依存して、その画質を自動的に調整する
- 高画質の領域および低画質の領域は、自動または手動によるリスク構造検出とともに術前の計画スキャンによって定義される
- システムは、アーチファクトを回避するために、挿入されたデバイスのトポロジ、場所、および向きに依存して、その画質を自動的に調整する
- システムは、X線線量を増減することによって、画質を自動的に調整する。線量は次の方法で調節され得る:
- 管電流を変更する
- 管電圧を変更する
- 露光時間を変更する
- 投影の数を変更する
- 照射されるボリュームを変更する
- オペレータ(医師)が、平均画質、最低画質、および最高画質(境界条件)を調整できるが、システムも自動的に調整することができる。
【0029】
本発明は、模範的な実施形態および図面を使用してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図3】コンピュータプログラムと医用イメージングシステムとの相互作用を示す図。
【
図4】2つの異なる位置にある管を有するCTシステムを示す図。
【
図5】自動画質調整を有する医用イメージングシステムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、持続的なCTイメージングを用いた従来の経皮的(面内)介入の3つの段階を示している。針などの介入器具1が患者の中に導入される。介入器具1の遠位端は、開始位置4から、腫瘍などのターゲット構造が位置しているターゲット位置3まで、事前に計算された経路をたどる。この経路では、神経や動脈など、いくつかのリスク位置2が考慮される必要がある。これらのリスク構造に損傷を与えないために、介入器具1は非常に慎重に誘導される必要がある。これは、少なくともリスク構造2の領域において高い画質を要求する。
【0032】
図1aでは、介入器具1の遠位端は開始位置4にある。
図1bでは、介入器具1の遠位端はリスク位置2に到達している。
図1cでは、介入器具1の遠位端はターゲット位置3に到達している。
【0033】
図2は、
図1に示されているものと同じ介入手順と同じ3つの段階a、b、cとを示している。
図2では、生成される画像の画質に影響を与えるシステムの少なくとも1つのパラメータの自動適応的調整が適用されている。この場合、画像のサイズは関心ボリュームに縮小される。
図2aは、リスクが低く、画質に対する要求が低いため、使用される放射線量が少ない区域に挿入した後の介入器具を示している。
図2bは、リスク位置2にあるリスク構造のために、精度に対する要求が高い区域における介入器具を示している。画質は、放射線量を増加することによって自動的に向上される。
図2cは、介入器具がターゲット位置3にあるターゲット構造に達したことを示している。したがって、画質は、例えば、放射線量を減少することによって再び低下させることができる。
【0034】
図3は、例えば、FPGAにコンピュータプログラムを実装することによって、医用イメージングシステムに、画質を適応的に調整するためのコンピュータプログラムを埋め込むための実施例を示している。医用イメージングシステムは、検出器30と、例えばX線管である放射線源33とを備える。検出器は、CTシステムで使用されているように、X線検出器であり得る。システムはさらに、固定コンピューティングユニット32と、FPGAの形の追加のコンピューティングユニット31とを備える。固定コンピューティングユニット32は、患者の事前に取得したデータセット内のリスク構造のセグメント化を定義するデータを提供する。検出器30は、患者からの投影データをコンピューティングユニット31に提供する。コンピューティングユニット31は、次のステップを実行することができる。
【0035】
- 反復的再構成
- 投影データおよび再構成されたデータに基づくアーチファクト分析
- 事前に定義されたリスク構造を統合し、介入器具の位置に基づいた高画質である可能性のある領域および低画質である可能性のある領域の特定
- (前述の方法による)線量調節のための決定フィードバックシステムアルゴリズム
コンピューティングユニット31は、放射線源33の電流の電流値を計算し、それらを、放射線源33を制御する制御ユニットに送る。放射線源33の電流を調節することによって、放射線量は、本発明に従って調整され得る。結果として、画質は、患者内の介入器具のさまざまな位置の品質ニーズに従って調整される。
【0036】
図4は、2つの異なる位置における放射線源33を有する医用イメージングシステムを示している。放射線源33は、患者の周りの回転移動を実行するガントリ51に取り付けられ得る。放射線源33の電流調節は、管の回転角度に依存する患者の不規則な形態のため、基本的に常に可能である。右の図は、関心区域における高画質のための追加の品質調節された電流を示している。
【0037】
図5は、例えば、X線管である放射線源33と、コリメータ50と、ガントリ51と、放射線検出器30と、コンピューティングユニット31とを有する医用イメージングシステムを示している。さらに、介入手順のためにターゲット構造を有する患者52を配置するためのいくらかのスペースがある。放射線源33は、コリメータ50を介して患者に放射線を提供する。コリメータ50を用いて、患者52の照射される領域のサイズおよび位置が制御され得る。ガントリ51は、例えば、角度αで患者52の周りを回転され得る。放射線源33およびコリメータ50は、ガントリ51に取り付けられているため、同じように回転され得る。さらに、検出器30もガントリ51に取り付けられているため、放射線源33およびコリメータ50と同じように回転される。
【0038】
例えばFPGAであるコンピューティングユニット31は、いくつかのアルゴリズムを有するコンピュータプログラム53を備える。さらに、コンピューティングユニット31は、コリメータ50を制御する関心ボリューム制御セクション54を備える。さらに、コンピューティングユニット31は、放射線源33の実際の電流の制御を提供する電流調節制御セクション55を備える。加えて、コンピューティングユニット31は、放射線源33および検出器30によって行われる投影の数および投影角度を制御する投影制御セクション56を備える。
【0039】
図3と同様に、検出器30は、コンピューティングユニット31に投影データを提供する。さらに、介入器具1に関する追加情報が、追加のインターフェースを介してコンピューティングユニット31に提供され得る。
【0040】
コンピュータプログラム53では、アーチファクト評価、ノイズ評価、および例えば放射線源33の放射線量の線量調節による画質の自動適応的調整など、いくつかのアルゴリズムが実行される。コンピュータプログラム53は、制御セクション54、55、56に入力データを提供する。
【0041】
関心ボリューム制御セクション54は、例えば回転角度αに依存する異なるシャッタ位置を提供するなどして、コリメータ50を制御する。電流調節制御セクション55は、放射線源33の電流を制御するための電流値を提供する。投影制御セクション56は、ガントリ制御、放射線源33、および検出器30に、取得パラメータおよびアクティブな角度位置を提供する。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 患者(52)の撮影領域に放射線を繰り返し照射し、前記患者(52)の前記照射された領域からデータを取得し、前記取得したデータから画像を生成する医用イメージングシステムにおいて、前記システムは、前記患者(52)の中に導入された介入器具(1)の位置、空間的向き、および/またはタイプに依存した、前記生成される画像の画質に影響を与える前記システムの少なくとも1つのパラメータの自動適応的調整のために構成されることを特徴とする、医用イメージングシステム。
[2] 前記システムは、前記患者(52)に前記システムによって照射される放射線量に影響を与えることによる、前記画質の適応的調整のために構成されることを特徴とする、[1]に記載のシステム。
[3] 前記システムは、前記システムの次のパラメータ、
a)管電流、
b)管電圧、
c)前記患者(52)の前記照射される領域のサイズ、
d)前記患者(52)の前記照射される領域の位置、
e)(回転あたりの)投影の数、
f)露光時間
のうちの1つ、いくつか、またはすべてに影響を与えることによる、前記画質の適応的調整のために構成されることを特徴とする、[1]または[2]に記載のシステム。
[4] 高画質の領域および低画質の領域が、所定のデータベースによって定義されることを特徴とする、[1]から[3]のいずれか一項に記載のシステム。
[5] 前記システムは、前記患者(52)の中への前記介入器具(1)の前記導入中に、開始位置(4)からターゲット位置(3)まで、前記画質を数回変化させるように構成されることを特徴とする、[1]から[4]のいずれか一項に記載のシステム。
[6] 前記システムは、前記介入器具(1)が前記ターゲット位置(3)に到達したときに、前記画質を低下させるように構成されることを特徴とする、[5]に記載のシステム。
[7] 前記システムは、前記介入器具(1)が前記患者(52)内を前記開始位置(4)から前記ターゲット位置(3)まで移動する、事前に計算された経路の関数としての、前記画質の自動適応的調整のために構成されることを特徴とする、[5]または[6]に記載のシステム。
[8] 前記システムは、前記開始位置(4)から前記ターゲット位置(3)までの前記介入器具(1)の前記経路上にある事前に定義されたリスク位置(2)で、前記画質を向上させるように構成されることを特徴とする、[7]に記載のシステム。
[9] 患者(52)の撮影領域に放射線を繰り返し照射し、前記患者(52)の前記照射された領域からデータを取得し、前記取得したデータから画像を生成する医用イメージングシステムにおいて、画質を適応的に調整するためのコンピュータプログラム(53)であって、前記コンピュータプログラム(53)は、前記システムのコンピュータ(31)で前記コンピュータプログラム(53)が実行されると、次のステップ、
a)前記患者(52)の中に導入された介入器具(1)の位置、空間的向き、および/またはタイプを識別する少なくとも1つの値を入力するステップと、
b)前記入力された値の関数として、それによって前記生成される画像の前記画質に影響を与える前記システムの少なくとも1つのパラメータの適応的調整が行われ得る調整値を計算するステップと
c)前記生成される画像の前記画質に影響を与える前記システムの少なくとも1つのパラメータの前記調整を可能にする、前記システムの少なくとも1つの制御コンポーネント(54、55、56)に前記調整値を出力するステップと
を実行するように構成される、コンピュータプログラム(53)。
[10] 前記コンピュータプログラム(53)は、前記介入器具(1)が前記患者(52)内を開始位置(4)からターゲット位置(3)までたどる、事前に計算された経路の特性値を入力し、前記特性値に依存して前記調整値を計算するように構成されていることを特徴とする、[9]に記載のコンピュータプログラム。