(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】地盤改良装置
(51)【国際特許分類】
E02D 3/12 20060101AFI20241118BHJP
【FI】
E02D3/12 102
(21)【出願番号】P 2024090335
(22)【出願日】2024-06-03
【審査請求日】2024-07-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595018916
【氏名又は名称】株式会社シロタ
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】増山 昌崇
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-203711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向を軸に回転する回転駆動装置と、
前記第1の方向と直交する第2の方向に延在し、前記回転駆動装置の回転力を伝達する伝達支持機構と、
前記伝達支持機構に支持され、
前記回転駆動装置の回転力を伝達されて前記第1の方向を軸に回転
する第1の回転軸機構と、
前記第1の回転軸機構の回転軸に対して放射状に延在する複数の第1の回転棒部材と、
前記伝達支持機構
の支持体に支持され、前記第2の方向を軸に回転可能な第2の回転軸機構と、
前記第2の回転軸機構の回転軸に対して放射状に延在する複数の第2の回転棒部材とを備え、
前記第2の回転棒部材は、第1の回転棒部材に係合し、
第1の回転棒状部材が回転することにより、第2の回転棒状部材が回転し、
前記第1の回転棒状部材および前記第2の回転棒状部材により掘削することを特徴とする、地盤改良装置。
【請求項2】
さらに、前記第2の方向と交差する第3の方向に延在し、前記第3の方向を軸に回転可能な第3の回転軸機構と、
前記第3の回転軸機構の回転軸に対して放射状に延在する複数の第3の回転棒部材とを備え、
前記第3の回転棒部材は、第1の回転棒部材に係合し、
第1の回転棒状部材が回転することにより、第3の回転棒状部材が回転する、請求項1に記載の地盤改良装置。
【請求項3】
さらに、前記第3の方向と異なり、第2の方向と交差する第4の方向に延在し、前記第4の方向を軸に回転可能な第4の回転軸機構と、
前記第4の回転軸機構の回転軸に対して放射状に延在する複数の第4の回転棒部材とを備え、
前記第4の回転棒部材は、第1の回転棒部材に係合し、
第1の回転棒状部材が回転することにより、第4の回転棒状部材が回転する、請求項2に記載の地盤改良装置。
【請求項4】
前記第2の方向において前記第1の回転軸機構を挟んで前記第2の回転軸機構と反対側で前記伝達支持機構に支持され、前記第1の方向を軸に回転可能な第5の回転軸機構と、
前記第5の回転軸機構の回転軸を中心に放射状に延在する複数の回転掘削部材とを備え、
前記第5の回転軸機構は前記回転駆動装置の回転力により回転する、請求項1に記載の地盤改良装置。
【請求項5】
さらに、前記第1の回転軸機構は、前記第1の回転軸機構の回転軸を中心に放射状に延在する複数の回転掘削部材を備える、請求項1に記載の地盤改良装置。
【請求項6】
ベースマシンと、ベースマシンに取付けられ、第1の方向を軸に回転する回転駆動装置と、
前記第1の方向と直交する第2の方向に延在し、前記回転駆動装置の回転力を伝達する伝達支持機構と、
前記伝達支持機構に支持され、
前記回転駆動装置の回転力を伝達されて前記第1の方向を軸に回転
する第1の回転軸機構と、
前記第1の回転軸機構の回転軸に対して放射状に延在する複数の第1の回転棒部材と、
前記伝達支持機構
の支持体に支持され、前記第2の方向を軸に回転可能な第2の回転軸機構と、
前記第2の回転軸機構の回転軸に対して放射状に延在する複数の第2の回転棒部材とを備え、
前記第2の回転棒部材は、第1の回転棒部材に係合し、
第1の回転棒状部材が回転することにより、第2の回転棒状部材が回転し、
前記第1の回転棒状部材および前記第2の回転棒状部材により掘削する、地盤改良システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤を掘削し攪拌する地盤改良装置に関し、特に回転駆動装置および複数の回転軸機構を用いて地盤を効果的に改良する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤改良装置は、地盤に対して回転運動を行うことで地盤を掘削し、改良する技術が広く使用されている。これらの装置は通常、単一の回転軸を用いて掘削部材(回転翼)等を回転させ、掘削を行う形態がほとんどであった。
【0003】
しかし、この形態では、掘削効率が低く、地盤の均一な改良が難しいという課題があった。特に、土の粘性が高い場合、掘削された土砂が掘削翼の回転に伴って共回りし、撹拌不足により不均質な改良柱体が形成されたり、改良の効率が低下することがあった。
【0004】
これらを防止するために、共回り防止翼を備えた地盤改良装置が提案されている。例えば、特許文献1には、センタ軸に対して中心対称に設置された掘削翼と、掘削翼の上部に配置された少なくとも1つの横回転翼、掘削翼と横回転翼との間に中心対称に配置され、掘削翼および横回転翼よりも径方向外側にまで延びた共回り防止翼を備えた装置が開示されている。
【0005】
共回り防止翼は掘削翼よりも長く形成され、掘削ロッドに対して回転自在に装着されるため、掘削孔の外周地盤の抵抗を受けて静止し、土壌の掘削効率が向上したり、固化材スラリーを良好に攪拌することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の地盤改良装置では、回転駆動力をギアで伝達し、掘削翼と横回転翼を共回りさせることで土壌の共回りが防止され、掘削土塊のせん断攪拌が行われる。しかし、これらの装置は、回転駆動力の伝達にギアを用いるため、ギアの製造や組み立てにおいて高い精度が要求され、製造コストが高額になってしまう。
【0008】
また、使用中の各部摩耗により、長期間にわたって高精度を維持することが難しくなる。さらに、ギアの摩耗や破損が生じやすく、メンテナンス頻度が増加するという課題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決するために提案されたものであり、多方向の回転軸の回転体をギアによらず回転力に対して伝達して掘削を行える地盤改良装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)地盤改良装置は、第1の方向を軸に回転する回転駆動装置と、前記第1の方向と直交する第2の方向に延在し、前記回転駆動装置の回転力を伝達する伝達支持機構と、前記伝達支持機構に支持され、前記第1の方向を軸に回転可能な第1の回転軸機構と、前記第1の回転軸機構の回転軸に対して放射状に延在する複数の第1の回転棒状部材と、前記伝達支持機構に支持され、前記第2の方向を軸に回転可能な第2の回転軸機構と、前記第2の回転軸機構の回転軸に対して放射状に延在する複数の第2の回転棒状部材とを備え、前記第2の回転棒状部材は、第1の回転棒状部材に係合し、第1の回転棒状部材が回転することにより、第2の回転棒状部材が回転することを特徴とする。
【0011】
この地盤改良装置は、第1の方向を回転軸に回転する第1の回転軸機構と、第1の方向に直交する第2の方向に回転する第2の回転軸機構と、第1の回転軸機構の回転に応じて回転する第1の回転棒状部材と、第2の回転軸機構の回転に応じて回転する第2の回転棒状部材とを備え、2軸の回転で掘削を行うことができる。
【0012】
このとき、第2回転棒状部材が、第1の棒状回転部材に係合することにより回転するため、効率よく掘削できるにもかかわらず、地盤改良装置は2軸で回転させるためにギアを必要としない。これにより、ギアの摩耗や破損が生じることがなく、メンテナンス頻度も抑制できる。
【0013】
(2)前記した地盤改良装置は、さらに、前記第2の方向と交差する第3の方向に延在し、前記第3の方向を軸に回転可能な第3の回転軸機構と、前記第3の回転軸機構の回転軸に対して放射状に延在する複数の第3の回転棒状部材とを備え、前記第3の回転棒状部材は、第1の回転棒状部材に係合し、第1の回転棒状部材が回転することにより、第3の回転棒状部材が回転する。
【0014】
この地盤改良装置は、さらに、第3の方向を回転軸に回転する第3の回転軸機構と、第3の回転軸機構の回転に応じて回転する第3の回転棒状部材とを備え、3軸の回転で掘削を行うことができる。このとき、第3回転棒状部材が、第1の棒状回転部材に係合することにより回転するため、効率よく掘削できるにもかかわらず、地盤改良装置は3軸で回転させるためにギアを必要としない。これにより、ギアの摩耗や破損が生じることがなく、メンテナンス頻度も抑制できる。
【0015】
(3)前記した地盤改良装置は、さらに、前記第3の方向と異なり、第2の方向と交差する第4の方向に延在し、前記第4の方向を軸に回転可能な第4の回転軸機構と、前記第4の回転軸機構の回転軸に対して放射状に延在する複数の第4の回転棒状部材とを備え、前記第4の回転棒状部材は、第1の回転棒状部材に係合し、第1の回転棒状部材が回転することにより、第4の回転棒状部材が回転する。
【0016】
この地盤改良装置は、さらに、第4の方向を回転軸に回転する第4の回転軸機構と、第4の回転軸機構の回転に応じて回転する第4の回転棒状部材とを備え、4軸の回転で掘削を行うことができる。このとき、第4回転棒状部材が、第1の棒状回転部材に係合することにより回転するため、効率よく掘削できるにもかかわらず、地盤改良装置は4軸で回転させるためにギアを必要としない。これにより、ギアの摩耗や破損が生じることがなく、メンテナンス頻度も抑制できる。
【0017】
(4)前記した地盤改良装置は、前記第2の方向において前記第1の回転軸機構を挟んで前記第2の回転軸機構と反対側で前記伝達支持機構に支持され、前記第1の方向を軸に回転可能な第5の回転軸機構と、前記第5の回転軸機構の回転軸を中心に放射状に延在する複数の回転掘削部材とを備え、前記第5の回転軸機構は前記回転駆動装置の回転力により回転する。
【0018】
この地盤改良装置は、さらに、第1の回転軸機構の上側に第5の回転軸機構を備え、第5の回転軸機構に設けられる回転掘削部材により、2段階で掘削を行うことができる。これにより、先端側の第2の回転軸機構、第3の回転軸機構、第4の回転軸機構が掘削した土壌を第1の回転軸機構と第5の回転軸機構の2段階でさらに掘削することで高深度まで対応することできる。
【0019】
(5)前記した地盤改良装置は、前記第1の回転軸機構の回転軸を中心に放射状に延在する複数の回転掘削部材を備える。この地盤改良装置は、第1の回転軸機構が、第1の回転棒状部材とは別に回転掘削部材を備えることにより、掘削効率を向上させることができる。
【0020】
(6)ベースマシンと、ベースマシンに取付けられ、第1の方向を軸に回転する回転駆動装置と、前記第1の方向と直交する第2の方向に延在し、前記回転駆動装置の回転力を伝達する伝達支持機構と、前記伝達支持機構に支持され、前記第1の方向を軸に回転可能な第1の回転軸機構と、前記第1の回転軸機構の回転軸に対して放射状に延在する複数の第1の回転棒状部材と、前記伝達支持機構に支持され、前記第2の方向を軸に回転可能な第2の回転軸機構と、前記第2の回転軸機構の回転軸に対して放射状に延在する複数の第2の回転棒状部材とを備え、前記第2の回転棒状部材は、第1の回転棒状部材に係合し、第1の回転棒状部材が回転することにより、第2の回転棒状部材が回転することを特徴とする。
【0021】
この地盤改良システムは、第1の方向を回転軸に回転する第1の回転軸機構と、第1の方向に直交する第2の方向に回転する第2の回転軸機構と、第1の回転軸機構の回転に応じて回転する第1の回転棒状部材と、第2の回転軸機構の回転に応じて回転する第2の回転棒状部材とを備え、2軸の回転で掘削を行うことができる。
【0022】
このとき、第2回転棒状部材が、第1の棒状回転部材に係合することにより回転するため、効率よく掘削できるにもかかわらず、地盤改良装置は2軸で回転させるためにギアを必要としない。これにより、ギアの摩耗や破損が生じることがなく、メンテナンス頻度も抑制できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、多方向の回転軸の回転体をギアによらず回転力を伝達して掘削を行える地盤改良装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係る地盤改良システムを示す側面図である。
【
図2】
図1に示す地盤改良システムの地盤改良装置を示す正面図である。
【
図3】
図1に示す地盤改良システムの地盤改良装置を示す側面図である。
【
図4】
図1に示す地盤改良システムの地盤改良装置を示す底面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る地盤改良装置を示す正面断面図である。
【
図6】本発明の実施形態の変形例に係る地盤改良システムを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る地盤改良装置S2について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態において、
図2における左右方向を第1の方向(X方向)といい、
図2における上下方向を第2の方向(Y方向)といい、
図2における紙面に垂直な方向を第5の方向(Z方向)という。さらに、
図3において第2の方向に対して左に所定角度傾いた方向を第3の方向(Y1方向)といい、
図3における第2の方向に対して右に所定角度傾いた方向を第4の方向(Y2方向)という。
【0026】
<地盤改良装置の構成>
図1に示すように、地盤改良システムSは、パイルドライバーのような大型のベースマシンS1と、ベースマシンS1のリーダの先端に取り付けられた地盤改良装置S2とを備える。本発明に係る地盤改良システムSによれば、地盤改良装置S2が地下に向けて地盤を掘削することにより地盤改良が行われる。
【0027】
図2~
図5に示すように、地盤改良装置S2は、回転駆動装置6と、伝達支持機構7と、第1の回転軸機構1と、第2の回転軸機構2と、第3の回転軸機構3と、第4の回転軸機構4と、第5の回転軸機構5と、複数の第1の回転棒状部材11と、複数の第2の回転棒状部材21と、複数の第3の回転棒状部材31と、複数の第4の回転棒状部材41と、複数の回転掘削部材50とを備える。
【0028】
回転駆動装置6は、従来よく知られるホイールモータのようなモータであり、動力源に接続されて動力を回転力に変換する。また、回転駆動装置6は、伝達支持機構7の上端側に支持されており、第1の方向(X方向)を軸に回転する。
【0029】
伝達支持機構7は、回転駆動装置6の回転力を第1の回転軸機構1と、第5の回転軸機構5に伝達する。具体的には、伝達支持機構7は、第1~第5の回転軸機構1、2、3、4、5を支持する支持体71と、支持体71内に設けられ回転可能に支持体71に支持された後述する第1の伝達ギアGおよびと第2の伝達ギアG2を備える。
【0030】
詳細には、
図5に示すように、伝達支持機構7は、回転駆動装置6の第1の方向を軸とした回転力を第2の方向を軸とした回転力に変換するピニオンギアGPと、ピニオンギアGPと後述する第5の回転軸機構5の第5の回転ギア55とに介在し、回転駆動装置6の回転力を第5の回転軸機構5に伝達する第1の伝達ギアG1と、第5の回転軸機構5の第5の回転ギア55と第1の回転軸機構1の第1の回転ギア15に介在し、回転駆動装置6の回転力を第5の回転軸機構5を介して第1の回転軸機構1に伝達する第2の伝達ギアG2を備える。
【0031】
第1の回転軸機構1は、第2の伝達ギアG2に係合し、回転駆動機構からの回転力を伝達される第1の回転ギア15と、第1の回転ギア15の外側に設けられる一対の第1の回転部材12と、各第1の回転部材12に結合し、第1の方向に延在する第1の延在部材13とを備える。第1の回転部材12および第1の延在部材13は、第1の回転ギア15の回転に応じて第1の方向を軸に回転する。
【0032】
第1の回転ギア15は、伝達支持機構7に回転可能に支持されており、第1の回転ギア15に設けられた各第1の回転部材12と、各第1の回転部材12に結合した第1の延在部材13とは、伝達支持機構7に回転可能に支持されている。これにより、第1の回転軸機構1は、伝達支持機構7に支持される。
【0033】
複数の第1の回転棒状部材11は、一対の第1の回転部材12の一方に設けられており、当該第1の回転部材12の回転軸から略同一平面内で放射状に延在する。第1の回転棒状部材11は、後述する第2の回転棒状部材21、第3の回転棒状部材31、第4の回転棒状部材41と係合可能な長さで延在する。本実施形態において、
図3に示すように、12本の第1の回転棒状部材11が、相互に等角度で放射状に延在するように設けられている。なお、
図3において、第1の回転軸機構1に設けられた回転掘削部材50の記載は省略する。
【0034】
さらに、第1の回転軸機構1は、複数の回転掘削部材50を有する。具体的には、複数の回転掘削部材50は、第1の回転棒状部材11が設けられた第1の回転部材12とは異なる他方の第1の回転部材12に設けられており、当該第1の回転部材12の回転軸から放射方向に延在する。複数の回転掘削部材は、本実施形態において、4本の回転掘削部材50が、第1の回転部材12から相互に等角度で放射状に延在するように設けられている。なお、第1の回転部材12に設けられる回転掘削部材は、第2の回転棒状部材21、第3の回転棒状部材31および第4の回転棒状部材41と係合しない長さに調整されている。
【0035】
また、一対の第1の延在部材13のそれぞれには、当該第1の延在部材13の回転軸から放射状に延在する回転掘削部材50が設けられている。本実施形態において、各第1の延在部材13に4本の回転掘削部材50が、第1の延在部材13の延在方向の異なる位置に設けられている。なお、第1の回転部材12に設けられる回転掘削部材50と、第1の延在部材13に設けられる回転掘削部材50とは異なる長さを有する。
【0036】
第2の回転軸機構2は、第1の方向に直交する第2の方向を軸に回転可能に伝達支持機構7の支持体71の先端に設けられた第2の回転部材22を備える。第2の回転部材22が伝達支持機構7の支持体71に回転可能に取り付けられることにより、第2の回転軸機構2は、伝達支持機構7に対して回転することができる。また、第2の回転部材22の回転軸の先端側には三角板状の先端部材26が設けられている。
【0037】
第2の回転棒状部材21は、第2の回転部材22の回転軸から略同一平面内で放射状に延在するように第2の回転部材22に取付けられている。第2の回転棒状部材21は、少なくとも第1の回転棒状部材11と係合し、かつ、回転掘削部材50に干渉しない長さを有する。本実施形態において、4本の第2の回転棒状部材21が、第2の回転部材22から相互に等角度で放射状に延在するように設けられている。また、各第2の回転棒状部材21には、先端方向に延在する一対の先端爪部材27が設けられている。
【0038】
第2の回転軸機構2は、第2の回転棒状部材21が、回転する第1の回転棒状部材11に係合することにより回転する。これにより、第2の回転部材22、先端部材26が、第2の方向を軸に回転する。
【0039】
第3の回転軸機構3は、第1の方向および第2の方向に交差する第3の方向を軸に回転可能に伝達支持機構7の支持部の先端に設けられた第3の回転部材32を備える。第3の回転部材32が伝達支持機構7に回転可能に取り付けられることにより、第3の回転軸機構3は、伝達支持機構7に支持されている。
【0040】
第3の回転棒状部材31は、第3の回転部材32から第3の回転部材32の回転軸から略同一平面内で放射状に延びるように回転機構に取付けられている。本実施形態において、4本の第3の回転棒状部材31が、相互に等間隔で放射状に延在するように設けられている。また、各第3の回転棒状部材31には、先端方向に延在する一対の先端爪部材37が設けられている。
【0041】
第3の回転軸機構3は、第3の回転棒状部材31が、回転する第1の回転棒状部材11に係合することにより回転する。これにより、第3の回転部材32が、第3の方向を軸に回転する。
【0042】
第4の回転軸機構4は、第1の方向および第2の方向に交差する第4の方向を軸に回転可能に伝達支持機構7の支持部の先端に設けられた第4の回転部材42を備える。第4の回転部材42が伝達支持機構7に回転可能に取り付けられることにより、第4の回転軸機構4は、伝達支持機構7に支持されている。
【0043】
第4の回転棒状部材41は、第4の回転部材42から第4の回転部材42の回転軸から略同一平面内で放射状に延びるように回転機構に取付けられている。本実施形態において、4本の第4の回転棒状部材41が、相互に等間隔で放射状に延在するように設けられている。また、各第4の回転棒状部材41には、先端方向に延在する一対の先端爪部材47が設けられている。
【0044】
第4の回転軸機構4は、第4の回転棒状部材41が、回転する第1の回転棒状部材11に係合することにより回転する。これにより、第4の回転部材42が、第4の方向を軸に回転する。
【0045】
第5の回転軸機構5は、第1の伝達ギアG1に係合し、回転駆動機構からの回転力を伝達される第5の回転ギア55と、第5の回転ギア55の外側に設けられる一対の第5の回転部材52と、各第5の回転部材52に結合し、第1の方向に延在する第5の延在部材53とを備える。
【0046】
第5の回転ギア55は、伝達支持機構7に回転可能に支持されており、第5の回転ギア55に設けられた各第5の回転部材52と、各第5の回転部材52に結合した第5の延在部材53とは、伝達支持機構7に回転可能に支持されている。これにより、第5の回転軸機構5は、伝達支持機構7に支持される。
【0047】
さらに、第5の回転軸機構5は、複数の回転掘削部材50を有する。具体的には、各第5の回転部材52には、当該第5の回転部材52の回転軸から放射方向に延在する少なくとも1本の回転掘削部材50が設けられている。本実施形態において、1対の回転掘削部材50が、第5の回転部材52から直線状に延材している。
【0048】
また、各第5の回転部材52には、回転軸に対して放射状に延在する複数本の回転掘削部材50が設けられている。複数本の回転掘削部材50は、第5の延在部材53の延在方向の異なる位置に、第1の方向からの平面視で、相互に等角度で放射状に延在するように設けられている。本実施形態において、4本の回転掘削部材50が、第5の延在部材53の延在方向の異なる位置で、各第5の延在部材53から放射状に延材している。
【0049】
<地盤改良装置の動作>
地盤改良装置S2の動作を開始すると、まず、回転駆動装置6が第1の方向を軸に回転する。回転駆動装置6が回転すると、ピニオンギアGPを介して第1の伝達ギアG1が回転し、第1の伝達ギアG1に係合する第5の回転ギア55が回転する。
【0050】
第5の回転ギア55が回転することにより、第5の回転ギア55に結合する一対の第5の回転部材52および一対の第5の延在部材53が回転し、各第5の回転部材52および各第5の延在部材53に設けられた回転掘削部材50が回転する。
【0051】
また、第5の回転ギア55が回転することにより、第5の回転ギア55に係合する第2の伝達ギアG2が回転し、第2の伝達ギアG2に係合する第1の回転ギア15が回転する。
【0052】
第1の回転ギア15が回転することにより、第1の回転ギア15に結合する一対の第1の回転部材12および一対の第1の延在部材13が回転し、一方の第1の回転部材12に設けられた第1の回転棒状部材11と、他方の第1の回転部材12および各第1の延在部材13に設けられた回転掘削部材50が回転する。
【0053】
第1の回転棒状部材11の回転によって、第1の回転棒状部材11に係合する、第2の回転棒状部材21と、第3の回転棒状部材31と、第4の回転棒状部材41とが回転する。
【0054】
第1~第5の回転棒状部材と、複数の回転掘削部材50が回転することにより、地盤改良装置S2は、地面を掘削しながら所定の深度まで掘り進む。特に、このとき第2の回転棒状部材21、第3の回転棒状部材31および第4の回転棒状部材41は異なる方向を軸に回転するので、地盤改良装置S2の掘削作業の効率が格段に向上する。
【0055】
<変形例>
本実施形態において、地盤改良装置S2は、パイルドライバーのような大型のベースマシンS1に取付けられる形態について説明した。しかし、地盤改良装置S2は、
図6に示すように、ユンボのような小型のベースマシンS5に取り付けられてもよく、地盤改良装置S2は、掘削の深度や、掘削環境に応じて、取り付けられるベースマシンを選択される。
【0056】
本実施形態において、地盤改良装置S2は、第1の回転軸機構1、第2の回転軸機構2、第3の回転軸機構3、第4の回転軸機構4および第5の回転軸機構5を有する形態について説明した。しかし、地盤改良装置S2は、少なくとも、第1の回転軸機構1、第2の回転軸機構2を有すればよい。なお、第3の回転軸機構3、第4の回転軸機構4および第5の回転軸機構5のように複数の回転軸機構を設けることにより、掘削効率を向上することができる。
【0057】
本実施形態において、伝達支持機構7は、支持体71内に設けられた伝達ギアによって第1の回転軸機構1の回転力を伝達する形態について説明した。しかし、伝達支持機構7は、第1の回転軸機構1の回転力を伝達するものであれば、スプロケットと伝達チェーンのような構成により回転力を伝達するものであってもよい。
【0058】
以上、本発明の実施形態に係る地盤改良システムについて説明した。ただし、地盤改良システムは、上記の実施形態に限定されず、発明の目的を達成する範囲で他の構成とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、地盤改良のような土木工事に利用できる。
【符号の説明】
【0060】
S :地盤改良システム
S1 :ベースマシン
S2 :地盤改良装置
S5 :ベースマシン
G1 :第1の伝達ギア
G2 :第2の伝達ギア
GP :ピニオンギア
1 :第1の回転軸機構
2 :第2の回転軸機構
3 :第3の回転軸機構
4 :第4の回転軸機構
5 :第5の回転軸機構
6 :回転駆動装置
7 :伝達支持機構
11 :第1の回転棒状部材
12 :第1の回転部材
13 :第1の延在部材
15 :第1の回転ギア
21 :第2の回転棒状部材
22 :第2の回転部材
26 :先端部材
27 :先端爪部材
31 :第3の回転棒状部材
32 :第3の回転部材
37 :先端爪部材
41 :第4の回転棒状部材
42 :第4の回転部材
47 :先端爪部材
50 :回転掘削部材
52 :第5の回転部材
53 :第5の延在部材
55 :第5の回転ギア
71 :支持体
【要約】 (修正有)
【課題】本発明によれば、多方向の回転軸の回転体にギアによらず回転力を伝達して掘削を行える地盤改良装置を提供する。
【解決手段】地盤改良装置は、第1の方向を軸に回転する回転駆動装置と、前記第1の方向と直交する第2の方向に延在し、前記回転駆動装置の回転力を伝達する伝達支持機構と、前記伝達支持機構に支持され、前記第1の方向を軸に回転可能な第1の回転軸機構と、前記第1の回転軸機構の回転軸に対して放射状に延在する複数の第1の回転棒部材と、前記伝達支持機構に支持され、前記第2の方向を軸に回転可能な第2の回転軸機構と、前記第2の回転軸機構の回転軸に対して放射状に延在する複数の第2の回転棒部材とを備え、前記第2の回転棒部材は、第1の回転棒部材に係合し、第1の回転棒状部材が回転することにより、第2の回転棒状部材が回転することを特徴とする。
【選択図】
図2