(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】掃除機用ノズル
(51)【国際特許分類】
A47L 5/14 20060101AFI20241118BHJP
A47L 9/08 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
A47L5/14
A47L9/08
(21)【出願番号】P 2024098683
(22)【出願日】2024-06-19
【審査請求日】2024-06-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522454220
【氏名又は名称】シティコマース有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】竹内 寿浩
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-147629(JP,A)
【文献】実開平01-069457(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0042396(US,A1)
【文献】特開2001-112676(JP,A)
【文献】特開平07-275165(JP,A)
【文献】特表2002-526233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 5/14
A47L 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気掃除機が備える吸引ホースの先端に接続される掃除機用ノズルであって、
一端が該吸引ホースの先端に接続され、他端が吸引口である吸引部と、
外部から空気を導入する吹出空気導入口および導入した該空気を該吸引口の近傍に吹出す吹出口を有する吹出部と、から成り、
該吸引部は、一端から他端まで直管状の管部と、該管部の側面から膨出した膨出部を持ち、
該
膨出部には、該吸引部内の吸引気流によって回転する吸引ファンが設けられ、
該吸引ファンの羽根部は、長方形の平板状であり、該吸引ファンの回転軸は、吸引ファン保持部で保持され、
該回転軸及び吸引ファン保持部は、管部内に露出せずに膨出部に存すると共に、該吸引ファンの羽根部の先端部は、管部内に突出しており、
該吹出部には、該吹出部内の吹出気流を生成する吹出ファンが設けられ、
該吸引ファンと該吹出ファンは、一体として回転し、
該吸引気流の一部は、
吸引ファンの羽根部の先端に接触して該吸引ファンを回転させたのち外周方向に流れて管部内を通過すると共に、残りの吸引気流は、吸引ファンの羽根部に接触することなく直線的に吸引ファンの回転領域の外周の外側を通
って管部内を通過し、管部内に露出していない吸引ファンの回転軸に吸引気流が直接当たらないことを特徴とする掃除機用ノズル。
【請求項2】
前記吸引口の前方に、円錐形のコーン部を持ち、該コーン部は、透明又は半透明で変形可能であることを特徴とする請求項1に記載の掃除機用ノズル。
【請求項3】
前記吸引ファンの回転軸方向は、前記吸引気流の方向と垂直であり、
前記管部内を前記吸引気流が通る大きさである断面積に対して、吸引ファンによって、管部の一部を最も塞いだ際、吸引ファンの部分での断面積が、半分以上あることを特徴とする請求項1に記載の掃除機用ノズル。
【請求項4】
前記吹出部からの空気の吹出量を調整する吹出量調整部があり、
前記吹出ファンの回転側面には、回転外周を周とする円板部があり、
該吹出量調整部は、該円板部へ付勢し、前記吹出ファンの回転を制動する制動部を持ち、該円板部への該制動部の付勢量を変えることで前記吹出ファンの回転量を調整し、該吹出量を調整することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の掃除機用ノズル。
【請求項5】
前記吹出部からの空気の吹出量を調整する吹出量調整部があり、
該吹出量調整部は、前記吹出空気導入口の全部又は一部を覆うことで、該吹出量を調整することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の掃除機用ノズル。
【請求項6】
前記吹出部からの空気の吹出量を調整する吹出量調整部があり、
前記吸引ファンの回転軸の位置を移動し、前記吸引ファンの回転領域の外周の外側を通る前記吸引気流の量を変更することで、前記吸引ファン及び前記吹出ファンの回転量を調整し、該吹出量を調整することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の掃除機用ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機用ノズルに関し、詳しくは、吹出機能付掃除機用ノズルの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、掃除機のアタッチメントとして、吹出機能を付加し、掃除の対象物の周囲の埃を舞い上がらせ、吸引するものが検討されていた。
吹出気流を作る方法の一つとして、吸引気流によりファンを回し、それに連動して、吹出側のファンを回す方法がある。この方法は、別の動力を使うことなく、吹出気流を作ることができるが、吸引気流内の埃が、ファンの羽根や軸に絡むことがあり、メンテナンスが煩雑となっていた。
そこで、吹出機能において、吸引気流のファンを用いながら、ファンへの埃等の付着を回避することができる技術が求められていた。
【0003】
このような問題に対して、従来からも様々な技術が提案されている。例えば、クリーナのアタッチメント(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。より詳しくは、吸引式クリーナとの接続部を有する吸気路の先端開口部の内側に噴気口を設け、吸気路を流れる気流によって駆動されるタービン翼で噴気口に外気を供給するタービン翼を回転させるようにしたクリーナのアタッチメントである。
しかしながら、ファンへの埃等の絡みつきについては記載されておらず、上記問題の解決には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、掃除機用ノズルにおける吸引気流のファンを用いて吹出気流を作るアタッチメントにおいて、吸引側ファンへの埃の絡みを防止することができ、メンテナンス容易なアタッチメントとすることが可能な掃除機用ノズルを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決すため、本発明は、一端が吸引ホースの先端に接続され、他端が吸引口である吸引部と、外部から空気を導入する吹出空気導入口および導入した空気を該吸引口の近傍に吹出す吹出口を有する吹出部と、から成り、吸引部には、吸引部内の吸引気流によって回転する吸引ファンが設けられ、吹出部には、吹出部内の吹出気流を形成する吹出ファンが設けられ、吸引ファンと吹出ファンは、一体として回転し、吸引気流の一部は、吸引ファンの回転領域の外周の外側を通る手段を採る。
【0007】
また、本発明は、吸引ファンの羽根が、長方形の平板状であり、吸引ファンの回転軸は、吸引ファン保持部で保持され、吸気部は、一端から他端までの管部と、管部の側面から膨出した膨出部を持ち、回転軸は、膨出部にある手段を採る。
【0008】
さらに、本発明は、吸引口の前方には、円錐形のコーン部を持ち、コーン部は、透明又は半透明で変形可能である手段を採る。
【0009】
またさらに、本発明は、吸引ファンの回転軸方向は、吸引気流の方向と垂直であり、管部内を吸引気流が通る大きさである断面積に対して、吸引ファンによって、管部の一部を最も塞いだ際、吸引ファンの部分での断面積が、半分以上ある手段を採る。
【0010】
さらにまた、本発明は、吹出部からの空気の吹出量を調整する吹出量調整部があり、吹出ファンの回転側面には、回転外周を周とする円板部があり、吹出量調整部は、円板部へ付勢し、吹出ファンの回転を制動する制動部を持ち、円板部への該制動部の付勢量を変えることで吹出ファンの回転量を調整し、吹出量を調整する手段を採る。
【0011】
またさらに、本発明は、吹出部からの空気の吹出量を調整する吹出量調整部があり、吹出量調整部は、吹出空気導入口の全部又は一部を覆うことで、吹出量を調整する手段を採る。
【0012】
そしてまた、本発明は、吹出部からの空気の吹出量を調整する吹出量調整部があり、吸引ファンの回転軸の位置を移動し、吸引ファンの回転領域の外周の外側を通る吸引気流の量を変更することで、吸引ファン及び前記吹出ファンの回転量を調整し、吹出量を調整する手段を採る。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る掃除機用ノズルによれば、吸引気流のファンを用いて吹出気流を作るアタッチメントにおいて、吸引側ファンへの埃の絡みを防止することができ、メンテナンス容易なアタッチメントとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る掃除機用ノズルの実施形態を示す全体斜視図である。
【
図2】本発明に係る掃除機用ノズルにおける吸引ファンと吹出ファンの関係を説明する模式図、断面図である。
【
図3】本発明に係る掃除機用ノズルにおける吸引ファンの動作を説明する断面図である。
【
図4】本発明に係る掃除機用ノズルにおける吹出ファンの動作を説明する断面図である。
【
図5】本発明に係る掃除機用ノズルにおける他の実施例の動作を示す断面図である。
【
図6】本発明に係る掃除機用ノズルにおける他の実施例の動作を示す模式図である。
【
図7】本発明に係る掃除機用ノズルにおける他の実施例の動作を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る掃除機用ノズルは、吸引気流のファンを用いながら、ファンへの埃等の付着を回避できることを最大の特徴とする。
以下、本発明に係る掃除機用ノズルの実施形態を、図面に基づいて説明する。
なお、本発明に係る掃除機用ノズルは、下記に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状や寸法、構造等の範囲内で適宜変更することができるものである。
【0016】
図1から
図7に従って、本発明を説明する。
図1は、本発明に係る掃除機用ノズルの実施形態を示しており、(a)は全体斜視図、(b)は吹出口にキャップ部を付けた状態の斜視図である。
図2は、本発明に係る掃除機用ノズルにおける吸引ファンと吹出ファンの関係を示しており、(a)は吸引ファンと吹出ファンの関係を説明する模式図、(b)は吸引部と吹出部を上部から見た断面模式図、(c)は吸引ファンと吹出ファンを後方から見た断面図である。
図3は、本発明に係る掃除機用ノズルにおける吸引ファンの動作を説明する図であって、(a)は吸引ファンの断面図、(b)は吸引ファンでのゴミの挙動を説明する断面模式図、(c)は一般的なタービン翼によるファンでのゴミの挙動を説明する断面模式図、(d)は吸引ファンの回転軸の位置が吸引気流路の管部にある場合のゴミの挙動を説明する断面模式図である。
図4は、本発明に係る掃除機用ノズルにおける吹出ファンの動作を示しており、(a)は吹出ファンの断面図、(b),(c)は掃除機用ノズルで置物等の間の埃を吸引する様子を説明する断面図である。
図5は、本発明に係る掃除機用ノズルにおける他の実施例の動作を示す断面図であり、親指で、ブレーキボタンを押し、吹出量を調整する様子を示す断面模式図である。
図6は、本発明に係る掃除機用ノズルにおける他の実施例の動作を示す模式図であり、(a),(b),(c)と吹出ファンに入る空気量を調整する様子を示す模式図である。
図7は、本発明に係る掃除機用ノズルにおける他の実施例の動作を示す断面図であり、(a),(b),(c)と吸引ファン及び吹出部の位置を変化させた状態を示す断面図である。
【0017】
掃除機用ノズル1は、電気掃除機が備える吸引ホースの先端に接続される掃除機アタッチメントである。
一般的な掃除機に装着し、掃除機の吸引力をブロアの駆動力として用い、ブロアをダスタとして用い、埃を吹き飛ばすと同時に埃を掃除機により吸引する事で、対象物である展示品の間や隙間に堆積した埃を効率的に巻き上げ、巻き上げた埃の飛び散りを減少させるものである。
従来、ガス圧や電動、掃除機の気流の吐出を利用したダスタは提案されている。また、堆積した埃を掃除機のノズル先端に取り付けて叩きやブラシにより堆積した埃をはたき吸引するノズルは各種提案されている。
しかしながら、先述のダスタは埃を吹き飛ばす事はできるが、埃が飛び散り再堆積したり、周辺を掃除する必要がある。
また、ブラシ付きノズルでは、展示物等の立体的な部分にブラシ部を届かせる事が困難であったり、ブラシにより展示物を動かしたり破損させる恐れがある。
本発明は、掃除機の吸引部に装着し、ダスタ機能と掃除機の吸引機能を同時に作動させ、堆積した埃を吹き飛ばしながら飛ばした埃を効率的に掃除機にて吸引させるものである。
【0018】
掃除機用ノズル1は、吸引部10と吹出部30とコーン部50とから構成されている。また、キャップ部80を付加しても良い。
吸引部10は、塵埃を吸引する部分である。吹出部30は、大気中の空気を吹出す部分である。コーン部50は、吸引部10の先端に取り付けられ、吹出口からの気流で舞い上がる塵埃の拡散を防ぐものである。
吸引部10の一端が吸引ホース90の先端に接続され、他端が吸引口11であり、一端から他端までが吸引気流の流路である吸引気流路12となっている。
吸引部10は、主に、管部13と膨出部14と吸引ファン20とから成る。
管部13は、吸引部10の一端から他端までを構成し、管部10の側面から膨出した膨出部14を持つ。
吸引ファン20は、吸引気流12によって回転する。
吸引部10は、全体としては、
図3(a)に示すように、管部13と、筒状である管部13の中間部分で、側面の外側に膨らんだ膨出部14から成る形状である。
管部13は、例えば、円柱状でも良い。吸引ホースとの親和性が高いからである。また、
管部13は直管で
ある。そうすると、管の断面形状は略同一となり、気流の乱れが少なくなるからである。
膨出部14は、吸引ファン20を収容する部分であり、吸引ファン保持部15を含む。回転軸22は吸引ファン保持部15に保持されるので、回転軸22も膨出部14にある。
図3(a)に示すように、吸引ファン20は、主に、膨出部14に収容され、一部が、管部13に出る構造である。また、吸引ファン20の羽根部21は、管部13をすべて塞ぐことは無い。言い換えれば、吸引気流12の一部は、吸引ファン20の回転領域の外周23の外側を通る構造である。
また、比較的大きな塵埃の通過を考えると、塵埃の大きさは、概ね、管部13の太さの半分以下のものが、殆どと思われる。
そうすると、管部13内を吸引気流が通る断面積に対して、吸引ファン20によって、管部13の一部を最も塞いだ際、吸引ファン20の部分での断面積が、半分以上であれば、比較的大きな塵埃も問題なく通過できると考えられる。
そこで、
図2(c)に示すように、管部13の断面積S1に対して、吸引ファン20の羽根部21によって、最も流量が細くなり際の断面積をS2とし、S2が、S1の半分以上としている。
【0019】
回転軸22の軸方向は、吸引気流路12の流れに対して、垂直である。言い換えれば、管部の長手方向に対して、垂直である。
吸引ファン20の羽根部21は、長方形の平板状である。吸引ファン20の回転軸22は、吸引ファン保持部15で保持されている。
羽根部21は、平板状であるので、比較的大きな塵埃91が羽根部21に当たっても、
図3(b)のように、塵埃91は、羽根部21の表面を滑って、吸引ホース90方向に流される。仮に、羽根が
図3(c)のようなタービン翼92であると、羽根が曲面であるため、空気の流れを受けとめやすい反面、塵埃91が羽根に付着しやすくなる。すると、吸引ファンのメンテナンスを頻繁に行う必要があり、性能低下となる。
また、羽根部21は、長方形であるので、吸引ファン20の回転でできる外周面はフラットな面となる。羽根部21が、例えば、楕円であると、大きな塵埃が通った際、羽根の先端で、塵埃が引っ掛ってしまう可能性がある。しかし、長方形であれば、羽根の先端は、フラットな面となるので、塵埃が引っ掛ってしまう可能性は少ない。
また、吸引ファン20の回転軸22が、膨出部14にある、言い換えれば、管部13の内径及び内径の延長上に無いことによって、塵埃91は
図3(b)に示すように、羽根部21の先端付近にしか当たらないので、塵埃91は、羽根部21の表面を滑って、排出される。
図3(d)のように、吸引ファン20の回転軸22が、管部13の内径及び内径の延長上にあると、塵埃91は、吸引ファン20の回転軸22付近にも付着してしまう。糸くず等であると、軸にそのまま巻き付いてしまい、頻繁にメンテナンスしないと、吸引ファン20の回転量が下がってしまう。
また、
図2(c)のように、羽根部21の幅を管部13の内径とほぼ同じ長さとすることによって、羽根部21と管部13との幅方向の隙間が小さくなり、気流の漏れが少なくなり、好適である。
【0020】
吹出部30は、大気中の空気を吸い込み、吹出口から吹出す部分である。
吹出部30は、吹出ガイド部32と吹出ファン40とから成る。
吹出ファン40の回転により、吹出気流が形成される。
吹出ガイド部32には、外部から空気を導入する吹出空気導入口31と導入した空気を吸引口の近傍に吹出す吹出口33が開けられている。近傍とは、吹き出された空気と、それによって巻き上げられた塵埃が、吸引口から吸引可能となる程度の近さである。例えば、コーン部50の対象側51の内側の範囲である。
吹出空気導入口31から吹出口33までが、吹出気流の流路である吹出気流路34である。
吹出空気導入口31付近には、吹出ファン40が、吹出ファン40の側面が吹出空気導入口31に対向する位置になるよう、配置されている。
吸引ファン20と吹出ファン40との回転軸は、
図2の各図に示すように、同一の軸上にあり、一体となっており、吸引ファン20での回転動作がそのまま、吹出ファン40に伝わり、吹出ファン40の回転動作となる。
吹出空気導入口31は、略円形であり、吹出ファン40の側面方向から、吹出ファン40の中心付近に空気を取入れやすい位置にある。
吹出ファン40は、回転軸42と円板部43と羽根部41とから成る。
円板部43は、回転外周を周とし、吹出ファン40の吸引ファン側の側面に配置されている。回転軸42に対して、円板部43の広面は、垂直であり、羽根部41が配置される。羽根部41は、吹出ファン40の回転により、内側の空気が外側に押し出される効果を生むような、曲線形状である。例えば、シロッコファンの形状である。
空気は、吹出ファン40が回転することで、吹出空気導入口31から吹出部30内に入る。空気は、吹出ファン40の羽根部41によって、吹出ファン40の外周側に押し出され、そのまま、吹出ガイド部32内を通り、吹出口33方向に導かれ、吹出口33より吹き出される。
吹出ガイド部32の構造は、送風機の送風構造でもよい。
【0021】
コーン部50は、吸引部10の吸引口11の前に配置される円錐状の筒である。径の小さい側である吸引口側52が吸引口11に取り付けられ、径の大きい側である対象側51が、埃等の対象側となる。
コーン部50は、吸引口11で吸引部10にのみに固定されている。そのため、コーン部50と吸引部10との接続構造はシンプルである。
置物等の間の塵埃を吸引する際、吹出口33からの空気によって、置物等の間の埃が舞い上がり、その埃を吸引口11から吸引することになるが、対象付近を覆うものが無いと、埃は四方に拡散し、吸引口11で、十分吸込むことができない場合も発生する。
対象物の周りをコーン部50で覆うことによって、吹出口33からの気流によって、舞い上がった埃は、コーン部50内に留まり、吸引口11から効果的に吸引することができる。
コーン部50は、透明又は半透明であると好適である。コーン部50で対象物付近を覆った際、コーン部50が不透明であると、対象物が見えず、コーン部50や吹出口33が対象物と接触してしまうことが考えられる。コーン部50を透明又は半透明とすることによって、使用者は、コーン部50を通して、対象物を確認でき、コーン部50や吹出口33が対象物と接触することを避けながら、清掃を行うことができる。
コーン部50は、樹脂等で形成され、変形可能であると好適である。対象物が壁のそばにあったり、対象物が凹凸のある台等に載っていた場合、コーン部50が変形可能でないと、コーン部50が邪魔になり、対象物付近に接近できない場合が出てくる。
コーン部50が変形可能であることで、壁や台に対して、コーン部50が柔軟に変形することができ、対象物にスムーズに接近することができる(
図4(b))。
また、
図2(a)に示すように、吹出部30の一部は、コーン部50の吹出部用孔53を貫通する配置である。
吹出部30とコーン部50とは、コーン部50の吹出部用孔53部分で、遊嵌とすることで、コーン部50の変形に対して、吹出部30が影響を受けることは無い。
【0022】
キャップ部80は、吹出口33に装着するものである。先端が細くなった筒状である(
図1(b))。
キャップ部80を装着することで、吹出気流は、細い口から出ることになり、気流は細くなり、気流の速度が増す。
そのため、強い気流をピンポイント的に当てることができるので、深く堆積した埃等についても、スムーズに排除することができる(
図4c))。
【0023】
掃除機用ノズル1の動作について、
図2、
図3、
図4に沿って、説明する。掃除機用ノズル1は、電気掃除機の吸引ホース90の先端に取り付ける掃除機用ノズル1である。床以外の、隙間、凹凸のある場所の埃を吸引するためのものである。吸引と並行して、空気の吹出しを行うことで、積もった埃を、空中に巻き上げ、それを吸引するものである。
空気の吹出しは、吸引の気流の風圧を利用する。吸引側に吸引ファン20を設け、その両側に吹出ファン40を設け、吸引の気流の風圧で吸引ファン20が回転し、その力を、そのまま、吹出ファン40に伝える。そして、吹出ファン40の回転で発生した風圧を吹出口33から吹出すものである。
そのため、吸引ファン20と吹出ファン40とは、
図2の各図にあるように、吸引部10、吹出部30の仕切を介して、軸で一体化している。
吹出ファン40を左右2つ持つことによって、吹出し量を2つの分散できるので、吹出ファン40の形状を薄くすることができ、全体としてコンパクトにすることができる。
図2(b)に沿って、吸引気流、吹出気流の流れを説明する。
電気掃除機によって、発生する吸引気流は、流れとしては、コーン部50で集められ、吸引口11を通り、管部13を通り、吸引ファン20を回転させ、吸引ホース90から電気掃除機に送られることになる。
その際、塵埃を吸込むため、吸引ファン20へのゴミ、埃の付着が問題となるが、
図3(a)のように、吸引ファン20が管部13全体を覆っているわけではないので、大きな塵埃は、吸引ファン20の外周の外を通過する。小さな塵埃は、
図3(b)のように、羽根部21に当たる場合もあるが、羽根部21は、平板状であるので、塵埃が、羽根部21から滑り落ち、羽根部21に留まることは少ない。
また、回転軸22が、管部13側にあると
図3(d)のように、軸付近に塵埃が付着する。軸付近は、遠心力も少ないことから、そのまま留まってしまうこともあるし、糸くずであれば、軸に絡まってしまうこともある。
本実施例の形態では、回転軸22が膨出部14側にあることから、塵埃が、直接回転軸22付近に当たることがなく、塵埃が、回転軸22に絡まることも少ない。
【0024】
吸引ファン20で得た回転力は、左右の吹出ファン40に伝わる。吹出ファン40が回転することで、外気の空気を取り込み、吹出ガイド部32を通って、吹出口33付近で左右の吹出気流が合流し、吹出口33より対象物に対して吹出される。
吹き出された空気は、
図4(c)に示すように、対象物である置物F付近に当たり、置物F付近の埃を巻き上げ、巻き上がった埃をコーン部50で覆うようにし、吸引口11より吸引する。
この一連の動作によって、展示品、置物等の間に堆積した埃を効率よく吸引することができる。
このように、本実施例は、吹出空気導入口31を側面に設置し、吹出ファンにより高圧の風圧を用い、置物等の立体的な物の上の埃を巻き上げ上げて清掃することができるものである。
また、
図2(c)に示すように、吸引ファン20の回転軸22の幅は、概ね、管部13の直径と同じである。このような寸法とすることで、回転軸22の側面部分からの吸引気流の漏れが少なくなり、回転の効率を向上させることができる。
また、キャップ部80を装着することで、より細かな部分の埃を吸引することもできる。
【0025】
吸引時に、吹出気流を利用できることは便利であるが、対象物によっては、吹出気流を弱める必要がある場合もある。例えば、対象物が繊細で、強い気流が不適当である場合である。
そこで、吹出気流を調整する吹出量調整部について説明する。
【0026】
吹出量調整部の一つとして、吹出ファン40の回転を直接制御する構造が考えられる。
図5に沿って説明する。
吹出部30にブレーキ部60を付加する。ブレーキ部60は、主に、制動部61とボタン部62とばね63とからなる。制動部61は、吹出ファン40の円板部43に当接し、摩擦力で、吹出ファン40の回転量を制限する部分である。例えば、ゴム、エラストマ、シリコン等から成る。ボタン部62は、使用者が、吹出量を下げたい、あるいは、止めたい場合に押す部分である。掃除機用ノズル1は、使用者が持って利用する場合が多いので、例えば、掃除機用ノズル1を持った場合の親指の置かれる位置にあると操作しやすく、好適である。
ボタン部62は、制動部61と接続され、ばね63によって、通常は、制動部61が円板部43から離れた位置にある。
使用者は、掃除機用ノズル1を使用中、吹出量を下げたい、あるいは、止めたい場合に、ブレーキ部60のボタン部62を押す。軽く押すことで、吹出量が小さくなり、強く押すことで、吹出を停止することができる。
このように、簡単な操作で、吹出量を調整することができるので好適である。
また、この方法は、一定量の摩擦量を与え続けることで安定した制御となる。そのため、円板部43を持つファンが好適である。よって、例えば、シロッコファンのような側面をもつファンが好適である。
【0027】
また、他の吹出量調整部として、吹出ファン40へ入る空気量を制限する構造が考えられる。
図6に沿って説明する。
吹出部30の吹出空気導入口31付近に導入口閉鎖板35を設ける。導入口閉鎖板35で、吹出空気導入口31の一部又は全部を塞ぐことで。吹出量を制限するものである。導入口閉鎖板35は、導入口閉鎖板回転軸36で吹出部30に回転可能に固定されている。通常は、
図7(a)のように吹出空気導入口31は、すべて開口している。
吹出量を制限する場合、導入口閉鎖板35を回転させ、吹出空気導入口31の一部を塞ぐ。塞ぐことで、吹出空気導入口31から吹出部30内に入る空気量が減少し、吹出量が減少する。
また、
図7(c)のように、導入口閉鎖板35で、吹出空気導入口31を完全に塞ぐことで、吹出を停止することができる。
また、左右の吹出空気導入口31に対して、別々に調整することで、より細かな制御が可能となる。
このように、簡単な操作で、吹出量を調整することができるので好適である。
【0028】
また、他の吹出量調整部として、吸引ファン20に対して、吸引気流の当たる量を調整する構造が考えられる。
図7に沿って説明する。
膨出部14を広くして、吸引ファン20の回転軸22の軸受けである吸引ファン保持部15を上下方向に広くして、吸引ファン20が上下方向に移動可能とする。吸引ファン20の回転軸22の位置を移動し、吸引ファン20の回転領域の外周23の外側を通る吸引気流12の変更することで、相対的に、吸引ファン20への気流の量も変更され、吸引ファン20及び吹出ファン40の回転量が変更され、吹出量を調整することになる。
上下移動するのは、吸引ファン20と、吸引ファン20と一体となった吹出ファン40と、吹出ファン40を含む吹出部30である。
図5の例では、吹出部30とコーン部50の交差する部分に吸引ファン吹出部移動支点70を設け、この点を軸として、吸引ファン20及び吹出部30が回転する構造としている。
吸引ファン吹出部移動支点70は、例えば、管部13に固定され、支点まで延長された腕部に設けることで、安定した支点とすることができる。
吹出部30の後方には、吸引ファン吹出部移動ガイド71を設けている。吸引ファン吹出部移動ガイド71は、吹出部30を移動する際のガイドレールの役割である。吹出部30の後方に当接し、摺動することで、任意の位置に吹出部30が移動しやすくしている。
吸引ファン保持部15には、吸引ファン軸移動ガイド72を設けている。吸引ファン軸移動ガイド72に沿って、回転軸22及び吸引ファン保持部15を移動することができる。
図5(a)が、通常の位置に吸引ファン20及び吹出部30がある状態である。吸引ファン吹出部移動支点70を軸として、吸引ファン20及び吹出部30を下方向に少し、回転させたのが
図5(b)の状態である。吸引ファン20に対する吸引気流の当たる量は少なくなり、回転力は減少し、結果的に、吹出量を低減することができる。
さらに、
図5(c)は、吸引ファン20及び吹出部30が回転させた状態である。吸引ファン20に対して、吸引気流は、ほとんど当たらず、ほぼ回転しない状態である。
このように、吸引ファン20及び吹出部30の位置を調整することによって、吹出量を調整することができ、使い勝手を向上させることができる。
【0029】
このように、本発明に係る掃除機用ノズルによれば、吸引気流のファンを用いて吹出気流を作るアタッチメントにおいて、吸引側ファンへの埃の絡みを防止することができ、メンテナンス容易なアタッチメントとすることができる。
【0030】
また、吸引ファンの羽根が平板状であり、滑りやすいことから、塵埃の羽根への付着を軽減することができ、メンテナンス容易とすることができる。
【0031】
また、円錐型で透明又は半透明で変形可能なコーン部を持つことによって、吹出し気流によって、巻き上がられた塵埃が四方に拡散することを防ぐと共に、コーンの置物等へ接触を確認でき、狭い部分へのノズルの挿入が可能となり、便利である。
【0032】
また、管部内を吸引気流が通る断面積に対して、吸引ファンによって、管部の一部を最も塞いだ際、吸引ファンの部分での断面積が、半分以上となるので、比較的大きな塵埃も問題なく通過でき、メンテナンス容易なアタッチメントとすることができる。
【0033】
また、吹出ファンの回転量を制限するブレーキを持つことによって、吹出量を制限でき、使用者の意図に沿った吹出量とすることができ、便利である。
【0034】
また、吹出ファンへの空気の流入部分に蓋を設けることで、吹出量を制限でき、使用者の意図に沿った吹出量とすることができ、便利である。
【0035】
また、吹出ファンの回転軸の位置を変えることで、吹出量を制限でき、使用者の意図に沿った吹出量とすることができ、便利である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係る掃除機用ノズルは、コンパクトでありながら、他の動力を用いることなく、掃除機用ノズルにブロアを付加する技術であり産業上の利用可能性は大きいと解する。
【符号の説明】
【0037】
1 掃除機用ノズル
10 吸引部
11 吸引口
12 吸引気流路
13 管部
14 膨出部
15 吸引ファン保持部
20 吸引ファン
21 羽根部
22 回転軸
23 外周
30 吹出部
31 吹出空気導入口
32 吹出ガイド部
33 吹出口
34 吹出気流路
35 導入口閉鎖板
36 導入口閉鎖板回転軸
40 吹出ファン
41 羽根部
42 回転軸
43 円板部
50 コーン部
51 対象側
52 吸引口側
53 吹出部用孔
60 ブレーキ部
61 制動部
62 ボタン部
63 ばね
70 吸引ファン吹出部移動支点
71 吸引ファン吹出部移動ガイド
72 吸引ファン軸移動ガイド
80 キャップ部
90 吸引ホース
91 塵埃
92 タービン翼
F 置物
S 台
H 手
【要約】
【課題】吸引気流によりファンを回し、それに連動して、吹出側のファンを回す掃除機用ノズルにおいて、吸引ファンへの埃等の付着を回避可能な掃除機用ノズルを提供する。
【解決手段】一端が該吸引ホースの先端に接続され、他端が吸引口である吸引部と、外部から空気を導入する吹出空気導入口および導入した空気を吸引口の近傍に吹出す吹出口を有する吹出部と、から成り、吸引部には、吸引部内の吸引気流によって回転する吸引ファンが設けられ、吹出部には、吹出部内の吹出気流を形成する吹出ファンが設けられ、吸引ファンと吹出ファンは、一体として回転し、吸引気流の一部は、吸引ファンの回転領域の外周の外側を通る手段を採用する。
【選択図】
図1