(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】トレーニング装置、トレーニングシステム、トレーニングプログラム及びトレーニング方法
(51)【国際特許分類】
G09B 7/02 20060101AFI20241118BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20241118BHJP
【FI】
G09B7/02
G06Q50/20
(21)【出願番号】P 2024159914
(22)【出願日】2024-09-17
【審査請求日】2024-09-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516267692
【氏名又は名称】株式会社首都圏中学模試センター
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 一
(72)【発明者】
【氏名】本間 勇人
(72)【発明者】
【氏名】福原 将之
(72)【発明者】
【氏名】野尻 幸義
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特許第7508162(JP,B1)
【文献】特許第7452916(JP,B1)
【文献】特開2023-162581(JP,A)
【文献】特開2022-9907(JP,A)
【文献】特開2021-33227(JP,A)
【文献】特開2019-174580(JP,A)
【文献】登録実用新案第3227380(JP,U)
【文献】アダプティブラーニングとは?主要な学習ツール、メリット、デメリットを徹底解説!,コエテコ[online],2022年01月22日,https://coeteco.jp/articles/10634,[2022年11月07日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56
17/00-19/26
G06Q 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
問題の特性を表す複数の思考コードドメインがそれぞれ割り当てられ、且つ、当該問題を解くために要求される思考スキルが紐づけられた複数の問題に対するユーザの回答を入力する入力部と、
前記複数の問題に対する前記ユーザの回答に基づき、前記ユーザの思考コードドメイン毎のスコアである思考コードドメインスコアを判断する思考コードドメインスコア判断部と、
前記思考コードドメインスコアが相対的に高い思考コードドメインである得意思考コードドメインを判断する得意思考コードドメイン判断部と、
前記思考コードドメインスコアを高めるターゲットであるターゲット思考コードドメインを判断するターゲット思考コードドメイン判断部と、
前記ターゲット思考コードドメインの思考コードドメインスコアを高めるために、
前記得意思考コードドメインが割り当てられ且つ前記ユーザが正答した問題の思考スキルが紐づけられ、且つ、前記ターゲット思考コードドメインが割り当てられた問題であるトレーニング問題を出力する
トレーニング問題出力部と
を具備するトレーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のトレーニング装置であって、
前記入力部は、複数の知能カテゴリそれぞれに関して、複数の思考コードドメインがそれぞれ割り当てられ且つ思考スキルが紐づけられた複数の問題に対する前記ユーザの回答を入力し、
前記思考コードドメインスコア判断部は、前記複数の知能カテゴリそれぞれについての思考コードドメインスコアを判断し、
前記複数の知能カテゴリそれぞれについての前記思考コードドメインスコアに基づき、前記ユーザの知能カテゴリ毎のスコアである知能カテゴリスコアを判断する知能カテゴリスコア判断部と、
前記知能カテゴリスコアが相対的に高い知能カテゴリである得意知能カテゴリを判断する得意知能カテゴリ判断部と、
知能カテゴリスコアを高めるターゲットであるターゲット知能カテゴリを判断するターゲット知能カテゴリ判断部と、
をさらに具備し、
前記得意思考コードドメイン判断部は、前記得意知能カテゴリの得意思考コードドメインを判断し、
前記ターゲット思考コードドメイン判断部は、前記ターゲット知能カテゴリのターゲット思考コードドメインを判断し、
前記トレーニング問題出力部は、
前記ターゲット知能カテゴリの知能カテゴリスコアを高めるように、前記ターゲット知能カテゴリの前記ターゲット思考コードドメインの思考コードドメインスコアを高めるために、
前記得意知能カテゴリの前記得意思考コードドメインが割り当てられ且つ前記ユーザが正答した問題の思考スキルが紐づけられ、且つ、前記ターゲット知能カテゴリの前記ターゲット思考コードドメインが割り当てられた問題を、前記トレーニング問題として出力する
トレーニング装置。
【請求項3】
請求項2に記載のトレーニング装置であって、
前記ターゲット知能カテゴリは前記得意知能カテゴリであり、前記ターゲット知能カテゴリの前記知能カテゴリスコアを高めることは、前記ユーザが得意な知能カテゴリの能力を向上させることである、
前記得意知能カテゴリと異なり且つ前記ユーザが潜在能力を有する知能カテゴリである潜在能力知能カテゴリを判断する潜在能力知能カテゴリ判断部をさらに具備し、前記ターゲット知能カテゴリは前記潜在能力知能カテゴリであり、前記ターゲット知能カテゴリの前記知能カテゴリスコアを高めることは、前記得意知能カテゴリの能力を前記潜在能力知能カテゴリに転移させて、前記潜在能力知能カテゴリの能力を顕在化させることである、又は
前記ターゲット知能カテゴリは前記ユーザの目標達成のために前記知能カテゴリスコアを高める必要のある知能カテゴリであり、前記ターゲット知能カテゴリの前記知能カテゴリスコアを高めることは、前記ユーザが目標達成のための能力を向上させることである
トレーニング装置。
【請求項4】
請求項1に記載のトレーニング装置であって、
前記入力部は、前記トレーニング問題に対する前記ユーザの回答をさらに入力し、
前記思考コードドメインスコア判断部は、前記トレーニング問題に対する前記ユーザの回答に基づき、前記ユーザの前記思考コードドメインスコアを更新する
トレーニング装置。
【請求項5】
請求項2に記載のトレーニング装置であって、
前記入力部は、前記トレーニング問題に対する前記ユーザの回答をさらに入力し、
前記思考コードドメインスコア判断部は、前記トレーニング問題に対する前記ユーザの回答に基づき、前記ユーザの前記思考コードドメインスコアを更新し、
前記知能カテゴリスコア判断部は、前記トレーニング問題に対する前記ユーザの回答に基づき、前記ユーザの前記知能カテゴリスコアを更新する
トレーニング装置。
【請求項6】
請求項1に記載のトレーニング装置であって、
前記トレーニング問題出力部が、前記問題及び前記トレーニング問題を、音声、テキスト及び/又は画像で出力し、
前記入力部が、前記ユーザから音声、テキスト及び/又は画像で入力された回答を入力する
ことにより、前記トレーニング装置と前記ユーザとの対話を実現する
トレーニング装置。
【請求項7】
請求項1に記載のトレーニング装置であって、
前記複数の思考コードドメインは、思考レベルの高低を表現する第1の軸と、前記第1の軸に交差し知識レベルの高低を表現する第2の軸とにより構成されるマトリクス状である
トレーニング装置。
【請求項8】
請求項2に記載のトレーニング装置であって、
前記複数の知能カテゴリは、マルチプルインテリジェンスの8個の知能カテゴリである
トレーニング装置。
【請求項9】
トレーニング装置と、
前記トレーニング装置と通信可能な電子機器とを具備し、
前記トレーニング装置は、
問題の特性を表す複数の思考コードドメインがそれぞれ割り当てられ、且つ、当該問題を解くために要求される思考スキルが紐づけられた複数の問題に対するユーザの回答を前記電子機器から入力する入力部と、
前記複数の問題に対する前記ユーザの回答に基づき、前記ユーザの思考コードドメイン毎のスコアである思考コードドメインスコアを判断する思考コードドメインスコア判断部と、
前記思考コードドメインスコアが相対的に高い思考コードドメインである得意思考コードドメインを判断する得意思考コードドメイン判断部と、
前記思考コードドメインスコアを高めるターゲットであるターゲット思考コードドメインを判断するターゲット思考コードドメイン判断部と、
前記ターゲット思考コードドメインの思考コードドメインスコアを高めるために、
前記得意思考コードドメインが割り当てられ且つ前記ユーザが正答した問題の思考スキルが紐づけられ、且つ、前記ターゲット思考コードドメインが割り当てられた問題であるトレーニング問題を前記電子機器に出力する
トレーニング問題出力部と
を有する
トレーニングシステム。
【請求項10】
トレーニング装置のコンピュータを、
問題の特性を表す複数の思考コードドメインがそれぞれ割り当てられ、且つ、当該問題を解くために要求される思考スキルが紐づけられた複数の問題に対するユーザの回答を入力する入力部と、
前記複数の問題に対する前記ユーザの回答に基づき、前記ユーザの思考コードドメイン毎のスコアである思考コードドメインスコアを判断する思考コードドメインスコア判断部と、
前記思考コードドメインスコアが相対的に高い思考コードドメインである得意思考コードドメインを判断する得意思考コードドメイン判断部と、
前記思考コードドメインスコアを高めるターゲットであるターゲット思考コードドメインを判断するターゲット思考コードドメイン判断部と、
前記ターゲット思考コードドメインの思考コードドメインスコアを高めるために、
前記得意思考コードドメインが割り当てられ且つ前記ユーザが正答した問題の思考スキルが紐づけられ、且つ、前記ターゲット思考コードドメインが割り当てられた問題であるトレーニング問題を出力する
トレーニング問題出力部
として動作させるトレーニングプログラム。
【請求項11】
トレーニング装置のコンピュータがトレーニングプログラムを実行することにより、
問題の特性を表す複数の思考コードドメインがそれぞれ割り当てられ、且つ、当該問題を解くために要求される思考スキルが紐づけられた複数の問題に対するユーザの回答を入力するステップと、
前記複数の問題に対する前記ユーザの回答に基づき、前記ユーザの思考コードドメイン毎のスコアである思考コードドメインスコアを判断するステップと、
前記思考コードドメインスコアが相対的に高い思考コードドメインである得意思考コードドメインを判断するステップと、
前記思考コードドメインスコアを高めるターゲットであるターゲット思考コードドメインを判断するステップと、
前記ターゲット思考コードドメインの思考コードドメインスコアを高めるために、
前記得意思考コードドメインが割り当てられ且つ前記ユーザが正答した問題の思考スキルが紐づけられ、且つ、前記ターゲット思考コードドメインが割り当てられた問題であるトレーニング問題を出力するステップと
を実行するトレーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザの能力をトレーニングするためのトレーニング装置、トレーニングシステム、トレーニングプログラム及びトレーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
入学試験の模擬試験等の受験者個人に最適化した学習素材を出力することで、受験者個人が効率的に学力を伸ばすことが出来るようにする技術が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入学試験のみならず、資格試験、就職試験、仕事の課題及び社会課題等の様々なキャリアステージにおいて個人の能力を伸ばすことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態に係るトレーニング装置は、
問題の特性を表す複数の思考コードドメインがそれぞれ割り当てられ、且つ、当該問題を解くために要求される思考スキルが紐づけられた複数の問題に対するユーザの回答を入力する入力部と、
前記複数の問題に対する前記ユーザの回答に基づき、前記ユーザの思考コードドメイン毎のスコアである思考コードドメインスコアを判断する思考コードドメインスコア判断部と、
前記思考コードドメインスコアが相対的に高い思考コードドメインである得意思考コードドメインを判断する得意思考コードドメイン判断部と、
前記思考コードドメインスコアを高めるターゲットであるターゲット思考コードドメインを判断するターゲット思考コードドメイン判断部と、
前記ターゲット思考コードドメインの思考コードドメインスコアを高めるために、
前記得意思考コードドメインが割り当てられ且つ前記ユーザが正答した問題の思考スキルが紐づけられ、且つ、前記ターゲット思考コードドメインが割り当てられた問題であるトレーニング問題を出力する
トレーニング問題出力部と
を具備する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、入学試験、資格試験、就職試験、仕事の課題及び社会課題等の様々なキャリアステージにおいて個人の能力を伸ばすことを図れる。
【0007】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係るトレーニング方法のコンセプトを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.トレーニング方法のコンセプト
【0010】
図1は、本開示の一実施形態に係るトレーニング方法のコンセプトを示す。
【0011】
本実施形態は、入学試験、資格試験、就職試験、仕事の課題及び社会課題等の様々なキャリアステージにおいて、個々のユーザにとって適切な知能カテゴリの能力を高めることを図る。一例として、知能カテゴリとして、マルチプルインテリジェンスMIの8個の知能カテゴリを利用することが出来る。マルチプルインテリジェンスMIとは、人間の知能を8個の知能カテゴリMI1-MI8(言語、数理、自然、空間、内省、対人、運動、音楽)として定義する理論である。
【0012】
本実施形態は、個々のユーザにとって適切な知能カテゴリMI1-MI8の能力を高めることを図るが、その具体例は以下の様なものである。例えば、(1)ユーザが得意とする知能カテゴリの能力を、さらに高めることを図る。(2)ユーザが潜在能力を有する知能カテゴリを発掘し、既に得意な知能カテゴリの能力を転移させて、潜在能力を有する知能カテゴリの能力を顕在化させることを図る。(3)ユーザの目標達成のために必要な知能カテゴリの能力を、既に得意な知能カテゴリの能力を転移させて高めることを図る。
【0013】
各知能カテゴリのユーザの能力を判断するため、複数(8個)の知能カテゴリMI1-MI8それぞれに関して、複数(9個)の問題(8x9=72個)を出力し、ユーザの回答を得る。複数(8個)の知能カテゴリMI1-MI8それぞれに関して、複数(9個)の思考コードドメインA1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3がそれぞれ割り当てられた複数(少なくとも9個)の問題が出力される。即ち、少なくとも72個(=8x9)の問題が出力される。思考コードドメインは、問題の特性を表す。複数(少なくとも72個)の問題には、ランダムに複数の思考スキル501-515(後述の思考スキル群500に含まれる)がそれぞれ紐づけられている。思考スキルは、当該問題を解くために要求されるスキルである。
【0014】
複数の知能カテゴリMI1-MI8それぞれに関して、9種類のうちどの思考コードドメインのスコア(思考コードドメインスコア)が高いか低いかの分布により、ユーザが得意とする知能カテゴリ(得意知能カテゴリ)や、ユーザが潜在能力を有する知能カテゴリ(潜在能力知能カテゴリ)を判断することが出来る。
【0015】
本実施形態では、ターゲット知能カテゴリ(知能カテゴリスコアを高めるターゲット)の知能カテゴリスコアを高めるために、トレーニング問題をユーザに出力する。トレーニング問題は、ユーザが得意な思考コードドメインやユーザが正答した問題の
思考スキルを考慮した問題である。これにより、効率的に、得意知能カテゴリのユーザの能力を向上させたり、潜在能力知能カテゴリのユーザの能力を顕在化させたりすることを図る。
【0016】
2.思考コード
【0017】
【0018】
思考コードの一例として、入学試験や模擬試験の問題の特性を表す思考コード200が挙げられる。思考コード200は、複数(本例では9個)の思考コードドメインA1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3を含む。
【0019】
複数の思考コードドメインA1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3は、横軸である第1の軸211と、第1の軸211に交差(本例では直交)する第2の軸212とにより構成される3x3のマトリクス状である。第1の軸211は、思考レベルの高低(本例では3段階)を表現する。第2の軸212は、知識レベルの高低(本例では3段階)を表現する。
【0020】
第1の軸211は、思考コードドメインA1を原点として、思考コードドメインA1から離れるほど(思考コードドメインB1、C1と進む順に)思考レベルが3段階で高くなって行くことを示す。具体的には、「A」は「知識があるか・理解できているか」、「B」は「応用できるか・論理的に思考し表現できるか」、「C」は「批判的に思考し表現できるか・創造的に思考し表現できるか」という観点を表す。
【0021】
第2の軸212は、思考コードドメインA1を原点として、思考コードドメインA1から離れるほど(思考コードドメインA2、A3と進む順に)知識レベルが3段階で高くなって行くことを示す。具体的には、「1」は「単純な知識レベルの問題」、「2」は「複雑な知識レベルの問題」、「3」は「変容的(高次)な知識レベルの問題」という尺度を表す。
【0022】
思考コードドメインA1は「単純な知識レベルの問題の知識があるか・理解できているか」という力を表し、具体的には、一般採点基準に関する。思考コードドメインA2は「複雑な知識レベルの問題の知識があるか・理解できているか」という力を表し、具体的には、主張の明快さに関する。思考コードドメインA3は「変容的(高次)な知識レベルの問題の知識があるか・理解できているか」という力を表し、具体的には、発想のおもしろさに関する。
【0023】
思考コードドメインB1は「単純な知識レベルの問題において応用できるか・論理的に思考し表現できるか」を表し、具体的には、具体例、データ、エピソードに関する。思考コードドメインB2は「複雑な知識レベルの問題において応用できるか・論理的に思考し表現できるか」を表し、具体的には、主張と理由のつながり、主張に対する反論とその反論を説得する理由に関する。思考コードドメインB3は「変容的(高次)な知識レベルの問題において応用できるか・論理的に思考し表現できるか」を表し、具体的には、複眼思考、5つの目(鳥の目、虫の目、魚の目、コウモリの目、心の目)活用度に関する。
【0024】
思考コードドメインC1は「単純な知識レベルの問題において批判的に思考し表現できるか・創造的に思考し表現できるか」を表し、具体的には、誰にとってどれくらい重要なのか条件を明示することに関する。思考コードドメインC2は「複雑な知識レベルの問題において批判的に思考し表現できるか・創造的に思考し表現できるか」を表し、具体的には、理由を裏付ける時代背景やストーリーに関する。思考コードドメインC3は「変容的(高次)な知識レベルの問題において批判的に思考し表現できるか・創造的に思考し表現できるか」を表し、具体的には、独創的なアイデアに関する。
【0025】
【0026】
思考コードの一例として、入学試験や模擬試験の問題の特性を表す思考コード400が挙げられる。思考コード400は、複数(本例では9個)の思考コードドメインA1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3を含む。
【0027】
複数の思考コードドメインA1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3は、横軸である第1の軸411と、第1の軸411に交差(本例では直交)する第2の軸412とにより構成される3x3のマトリクス状である。第1の軸411は、考える過程レベルの高低(本例では3段階)を表現する。第2の軸412は、プロダクト活動のレベル・世界との関係性を作るレベルの高低(本例では3段階)を表現する。
【0028】
第1の軸411は、思考コードドメインA1を原点として、思考コードドメインA1から離れるほど(思考コードドメインB1、C1と進む順に)思考レベルが3段階で高くなって行くことを示す。具体的には、「A」は「知識・理解」、「B」は「適用・論理」、「C」は「批判・創造」という観点を表す。
【0029】
第2の軸412は、思考コードドメインA1を原点として、思考コードドメインA1から離れるほど(思考コードドメインA2、A3と進む順に)知識レベルが3段階で高くなって行くことを示す。具体的には、「1」は「分解・自分」、「2」は「統合・仲間」、「3」は「変形・世界」という尺度を表す。
【0030】
思考コードドメインA1は「今ここでの自分」を表す。思考コードドメインA2は「他者から見た自分」を表す。思考コードドメインA3は「世界と他者と自分を結ぶもの・こと」を表す。
【0031】
思考コードドメインB1は「いまここでの自己の可能性と限界」を表す。思考コードドメインB2は「仲間と共に自己の可能性と限界に気づく」を表す。思考コードドメインB3は「世界と仲間を結ぶもの・ことを破壊するもの・ことに気づく自己」を表す。
【0032】
思考コードドメインC1は「自分のさらなる可能性」を表す。思考コードドメインC2は「仲間の限界をケアする自分の可能性」を表す。思考コードドメインC3は「世界と仲間のさらなる可能性に気づく自分のマインドとスキル創出」を表す。
【0033】
3.思考スキル群
【0034】
【0035】
思考スキル群500は、複数の思考スキル501-515を有する。
【0036】
複数の思考スキル501-515は、情報を獲得する501、知識502、再現する503、理由504、調べる505、置き換え506、順序立てて筋道をとらえる507、比較508、特徴的な部分に注目する509、分類510、具体・抽象511、一般化512、関係づけ513、特定の状況を仮定する514、推論515である。
【0037】
4.トレーニングシステム
【0038】
【0039】
トレーニングシステム1は、トレーニング装置10と、電子機器20とを有する。
【0040】
電子機器20は、ユーザ(問題回答者)が使用する端末装置である。電子機器20は、典型的には、スマートフォン、タブレットデバイス、パーソナルコンピュータ、ロボット型デバイス等の汎用のデバイスでよいが、トレーニングシステム専用デバイスでもよい。電子機器20は、コンピュータ、入力装置及び出力装置を有する。入力装置は、例えば、マイクロフォン、タッチパネル、キーボード、マウス等である。出力装置は、例えば、スピーカ、ディスプレイ等である。
【0041】
トレーニング装置10は、インターネット等のネットワークNを介して電子機器20と通信可能なサーバ装置である。トレーニング装置10のコンピュータは、ユーザが回答すべき問題やトレーニング問題を電子機器20に送信し、電子機器20に音声、テキスト及び/又は画像で出力させる。トレーニング装置10のコンピュータは、ユーザから入力装置を介して音声、テキスト及び/又は画像で入力された回答を入力する。トレーニング装置10は、ユーザの回答に基づき次にユーザに出力すべき問題を判断し、その問題を電子機器20に送信し出力させる。この繰り返しにより、トレーニング装置10と、電子機器20を介したユーザとの対話が実現する。
【0042】
電子機器20が画像を出力する場合、その画像は人間を表現した画像でよい。電子機器20が音声を出力する場合、その音声は画像として表現される人間の発話を表現した音声でよい。これにより、トレーニング装置10は、電子機器20を介した電子的な家庭教師、メンター、カウンセラーとして機能する。
【0043】
5.トレーニング装置の構成
【0044】
【0045】
トレーニング装置1は、コンピュータを構成するCPUがROMに記録されたトレーニングプログラムをRAMにロードして実行することにより、入力部101、思考コードドメインスコア判断部102、知能カテゴリスコア判断部103、得意知能カテゴリ判断部104、潜在能力知能カテゴリ判断部105、ターゲット知能カテゴリ判断部106、得意思考コードドメイン判断部107、ターゲット思考コードドメイン判断部108、トレーニング問題出力部109として動作する。
【0046】
思考コードドメインスコア判断部102、知能カテゴリスコア判断部103、得意知能カテゴリ判断部104、潜在能力知能カテゴリ判断部105、ターゲット知能カテゴリ判断部106、得意思考コードドメイン判断部107、ターゲット思考コードドメイン判断部108、トレーニング問題出力部109の全て又は一部が生成AIにより実現されてよい。例えば、少なくともトレーニング問題出力部109は生成AIにより実現されてよい。
【0047】
6.トレーニング装置の情報処理
【0048】
【0049】
入力部101に、ユーザの現状の資質、能力、スキル等に関するデータが入力される(ステップS1)。ユーザ現状の資質、能力、スキル等に関するデータは、例えば、セルフキャリアに関するデータ(エントリーシート、ポートフォリオ等)、受験に関するデータ(ユーザの成績、模擬試験の点数データ、志望校の入学試験のデータ等)を含んでよい。ユーザ現状の資質、能力、スキル等に関するデータは、さらに、ユーザ現状の資質、能力、スキル等を判断するための複数の問題に対するユーザの回答を含んでよい。
【0050】
この複数の問題は、複数の知能カテゴリM1-M8(例えば、マルチプルインテリジェンスの8個の知能カテゴリ)それぞれに関して、複数(9個)の思考コードドメインA1-C3がそれぞれ割り当てられた複数(少なくとも9個)の問題が出力される。即ち、少なくとも72個(=8x9)の問題が出力される。思考コードドメインA1-C3は、問題の特性を表す。複数(少なくとも72個)の問題には、ランダムに複数の思考スキルがそれぞれ紐づけられている。思考スキルは、当該問題を解くために要求されるスキルである。
【0051】
思考コードドメインスコア判断部102は、複数(8個)の知能カテゴリM1-M8それぞれについて、複数(少なくとも9個)の問題に対するユーザの回答に基づき、ユーザの思考コードドメインA1-C3毎のスコア(思考コードドメインスコア)を判断する(ステップS2)。思考コードドメインスコア判断部102は、定性的な回答を定量化してスコアを算出するなど、各種の方法により思考コードドメインスコアを判断すればよく、その方法は限定されない。
【0052】
知能カテゴリスコア判断部103は、複数の知能カテゴリM1-M8それぞれについての思考コードドメインスコアに基づき、ユーザの知能カテゴリM1-M8毎のスコア(知能カテゴリスコア)を判断する(ステップS3)。例えば、1つの知能カテゴリM1に対して、9個の思考コードドメインA1-C3それぞれの、9個の思考コードドメインスコアがある。この9個の思考コードドメインスコアに基づき、知能カテゴリM1の総合的なスコアである知能カテゴリスコアが判断される。知能カテゴリスコア判断部103は、1つの知能カテゴリM1に対する9個の思考コードドメインスコアの総和を単純に知能カテゴリスコアとしてもよいし、一部の思考コードドメインスコアを重みづけしてもよいし、各種の方法により知能カテゴリスコアを判断すればよく、その方法は限定されない。
【0053】
得意知能カテゴリ判断部104は、知能カテゴリスコア判断部103が判断した知能カテゴリM1-M8毎の知能カテゴリスコアに基づき、知能カテゴリスコアが相対的に高い知能カテゴリ(得意知能カテゴリ)を判断する(ステップS4)。得意知能カテゴリ判断部104は、知能カテゴリスコアが高い順に1以上の知能カテゴリM1-M8を得意知能カテゴリと判断すればよい。得意知能カテゴリ判断部104は、さらに、入力部101に入力(ステップS1)された、ユーザの現状の資質、能力、スキル等に関するデータ(エントリーシート、ポートフォリオ、ユーザの成績、模擬試験の点数データ等)を反映して、得意知能カテゴリを判断してもよい。
【0054】
潜在能力知能カテゴリ判断部105は、得意知能カテゴリと異なり、且つ、ユーザが潜在能力を有する知能カテゴリ(潜在能力知能カテゴリ)を判断する(ステップS5)。例えば、潜在能力知能カテゴリ判断部105は、知能カテゴリスコアは相対的に低いものの、特定の思考コードドメインA1-C3の思考コードドメインスコアが高い知能カテゴリを、潜在能力知能カテゴリと判断してもよい。潜在能力知能カテゴリ判断部105は、さらに、入力部101に入力(ステップS1)された、ユーザの現状の資質、能力、スキル等に関するデータ(エントリーシート、ポートフォリオ、ユーザの成績、模擬試験の点数データ等)を反映して、潜在能力知能カテゴリを判断してもよい。
【0055】
ターゲット知能カテゴリ判断部106は、知能カテゴリスコアを高めるターゲット(ターゲット知能カテゴリ)を判断する(ステップS6)。
【0056】
第1の例として、ターゲット知能カテゴリは、得意知能カテゴリでよい。この場合、ターゲット知能カテゴリ(得意知能カテゴリ)の知能カテゴリスコアを高めることは、ユーザが得意な知能カテゴリの能力を向上させることである。
【0057】
第2の例として、ターゲット知能カテゴリは、潜在能力知能カテゴリでよい。この場合、ターゲット知能カテゴリ(潜在能力知能カテゴリ)の知能カテゴリスコアを高めることは、得意知能カテゴリの能力を潜在能力知能カテゴリに転移させて、潜在能力知能カテゴリの能力を顕在化させることである。
【0058】
第3の例として、ターゲット知能カテゴリはユーザの目標達成のために知能カテゴリスコアを高める必要のある知能カテゴリでよい。この場合、ターゲット知能カテゴリの知能カテゴリスコアを高めることは、ユーザが目標達成のための能力を向上させることである。第3の例の場合、ターゲット知能カテゴリ判断部106は、入力部101に入力(ステップS1)された、ユーザの現状の資質、能力、スキル等に関するデータ(エントリーシート、ポートフォリオ、ユーザの成績、模擬試験の点数データ、志望校の入学試験のデータ等)を反映して、目標達成のための知能カテゴリを判断してもよい。
【0059】
得意思考コードドメイン判断部107は、得意知能カテゴリ判断部104が判断(ステップS4)した得意知能カテゴリの、思考コードドメインスコアが相対的に高い思考コードドメイン(得意思考コードドメイン)を判断する(ステップS7)。得意思考コードドメイン判断部107は、得意知能カテゴリにおいて、思考コードドメインスコアが高い順に1以上の思考コードドメインA1-C3を得意思考コードドメインと判断すればよい。
【0060】
ターゲット思考コードドメイン判断部108は、ターゲット知能カテゴリ判断部106が判断(ステップS6)したターゲット知能カテゴリの、思考コードドメインスコアを高めるターゲットである思考コードドメイン(ターゲット思考コードドメイン)を判断する(ステップS8)。
【0061】
第1の例として、ターゲット知能カテゴリが得意知能カテゴリである場合、得意知能カテゴリの9個の思考コードドメインA1-C3のうち、得意思考コードドメイン以外の思考コードドメイン(即ち、思考コードドメインスコアが相対的に低い、ユーザの苦手な思考コードドメイン)を、ターゲット思考コードドメインと判断すればよい。得意知能カテゴリにおいて、得意思考コードドメインは既に高い思考コードドメインスコアを持っているので、伸びしろが少ないと考えられる。逆に、得意知能カテゴリにおいて、相対的に苦手な思考コードドメインは、相対的に低い思考コードドメインスコアを持っているので、伸びしろが多いと考えられるためである。これにより、効率的に、得意知能カテゴリの能力を向上させることが出来ると考えられる。
【0062】
第2の例として、ターゲット知能カテゴリが潜在能力知能カテゴリである場合、潜在能力知能カテゴリの9個の思考コードドメインA1-C3のうち、得意知能カテゴリでの得意思考コードドメインを、ターゲット思考コードドメインと判断すればよい。潜在能力知能カテゴリにおいても、得意知能カテゴリでの得意思考コードドメインと同じ思考コードドメインについては、思考コードドメインスコアが伸びやすいと考えられるためである。これにより、得意知能カテゴリの得意思考コードドメインの能力を、潜在能力知能カテゴリの同じ思考コードドメインに転移させることができ、潜在能力知能カテゴリの能力を顕在化させることが出来ると考えられる。
【0063】
第3の例として、ターゲット知能カテゴリが目標達成のための知能カテゴリである場合、目標達成のための知能カテゴリの9個の思考コードドメインA1-C3のうち、得意知能カテゴリでの得意思考コードドメインを、ターゲット思考コードドメインと判断すればよい。目標達成のための知能カテゴリにおいても、得意知能カテゴリでの得意思考コードドメインと同じ思考コードドメインについては、思考コードドメインスコアが伸びやすいと考えられるためである。これにより、得意知能カテゴリの得意思考コードドメインの能力を、目標達成のための知能カテゴリの同じ思考コードドメインに転移させることができ、目標達成のための知能カテゴリの能力を高めることが出来ると考えられる。
【0064】
トレーニング問題出力部109は、ターゲット知能カテゴリの知能カテゴリスコアを高めることを目的として、ターゲット知能カテゴリのターゲット思考コードドメインの思考コードドメインスコアを高めるためのトレーニング問題を出力する(ステップS9)。トレーニング問題出力部109は、例えば生成AIを用いてトレーニング問題を生成して出力してもよいし、データベースに蓄積されたトレーニング問題を選択して出力してもよい。
【0065】
ここで、トレーニング問題出力部109は、ターゲット知能カテゴリのターゲット思考コードドメインが割り当てられた問題を、トレーニング問題として出力する。その際、トレーニング問題は、得意知能カテゴリの得意思考コードドメインが割り当てられ、且つ、ユーザが正答した問題の思考スキルが紐づけられた問題とする。即ち、ユーザにとっての得意知能カテゴリ、得意思考コードドメイン、且つ、正答した問題の思考スキルという、3個の基準に照らして全て得意である問題をトレーニング問題とする。これにより、ターゲット知能カテゴリのターゲット思考コードドメインが割り当てられた問題(即ち、ユーザが正答するのが望まれるトレーニング問題)を、ユーザにとって正答しやすい特性の問題として出力することが出来る。
【0066】
トレーニング問題出力部109は、トレーニング問題をユーザの電子機器20に送信し、電子機器20に音声、テキスト及び/又は画像で出力させる。ユーザは、電子機器20を介して音声、テキスト及び/又は画像でトレーニング問題に対する回答を入力する。電子機器20は、トレーニング問題に対するユーザの回答をトレーニング装置10に送信する。
【0067】
その後、トレーニング装置10の入力部101は、トレーニング問題に対するユーザの回答をさらに入力する(ステップS1)。思考コードドメインスコア判断部102は、トレーニング問題に対するユーザの回答に基づき、ユーザの思考コードドメインスコアを更新する(ステップS2)。知能カテゴリスコア判断部103は、トレーニング問題に対するユーザの回答に基づき、ユーザの知能カテゴリスコアを更新する(ステップS3)。
【0068】
得意知能カテゴリ判断部104は、更新された知能カテゴリスコアに基づき得意知能カテゴリを判断する(ステップS4)。ユーザの知能カテゴリスコアの向上に従って、得意知能カテゴリは変更されることもある。得意知能カテゴリが変更されるとは、例えば、潜在能力知能カテゴリスコアが向上した結果、潜在能力知能カテゴリが得意知能カテゴリに転移した場合である。
【0069】
同様に、潜在能力知能カテゴリ判断部105は、更新された知能カテゴリスコアに基づき潜在能力知能カテゴリを判断する(ステップS5)。ユーザの知能カテゴリスコアの向上に従って、潜在能力知能カテゴリは変更されることもある。潜在能力知能カテゴリが変更されるとは、例えば、潜在能力知能カテゴリスコアが向上した結果、潜在能力知能カテゴリが得意知能カテゴリに転移し、且つ、以前は能力が目立たなかった知能カテゴリの能力が潜在的に向上して来た場合である。
【0070】
得意知能カテゴリや潜在能力知能カテゴリが変更されることにより、ターゲット知能カテゴリ判断部106が判断するターゲット知能カテゴリもまた変更(更新)されることになる(ステップS6)。
【0071】
一方、得意思考コードドメイン判断部107は、更新された得意知能カテゴリの、更新された得意思考コードドメインを判断する(ステップS7)。
【0072】
ターゲット思考コードドメイン判断部108は、更新されたターゲット知能カテゴリのターゲット思考コードドメインを判断する(ステップS8)。
【0073】
トレーニング問題出力部109は、更新されたターゲット知能カテゴリの更新されたターゲット思考コードドメインが割り当てられた問題を、トレーニング問題として出力する。その際、トレーニング問題は、更新された得意知能カテゴリの更新された得意思考コードドメインが割り当てられ、且つ、ユーザが正答したトレーニング問題の思考スキルが紐づけられた問題とする(ステップS9)。
【0074】
この繰り返しにより、トレーニング装置10は、トレーニング問題に対するユーザの回答に基づき次にユーザに出力すべきトレーニング問題を判断し、そのトレーニング問題を電子機器20に送信し出力させる。この繰り返しにより、トレーニング装置10と、電子機器20を介したユーザとの対話が実現する。対話を経て、ターゲット知能カテゴリの知能カテゴリスコアが向上し、今度は、別のターゲット知能カテゴリの知能カテゴリスコアを向上させることを継続的に実現することが出来る。
【0075】
7.結語
【0076】
本実施形態によれば、先ず、現状の資質能力・スキルを分析する。そして、第1に、資質能力・スキルの次元向上トレーニングというアクションを行うことで、セルフキャリアの資質能力・スキル成長度をポートフォリオ化することが可能となる。第2に、潜在的能力発掘トレーニングというアクションを行うことで、ライフシフト潜在能力成長度をポートフォリオ化することが可能となる。能力向上と、潜在能力の顕在化を交互に繰り返し、新たな目標設定・計画策定を実現することが出来る。
【0077】
具体的には、まず、セルフキャリアに関係する資料・データを入力する。トレーニング装置1は、各知能カテゴリに関して、思考コードドメインごとに問題を生成し、ユーザは音声や文章で回答するというアクションを実行する。トレーニング装置1は、各知能カテゴリに関して、ユーザの思考コードドメイン及び思考スキルのスコアをフィードバックする。トレーニング装置1は、得意知能カテゴリの能力を向上させるために弱みの知能カテゴリを補強する問題を出力したり、潜在能力知能カテゴリの能力を顕在化するために創造性を育む問題を出力したりする。この問題に対してさらにユーザは音声や文章で回答するというアクションを実行する。するとまた、トレーニング装置1は、各知能カテゴリに関して、ユーザの思考コードドメイン及び思考スキルのスコアをフィードバックし、フィードバックされた結果に基づき問題を出力する。この繰り返しにより、本実施形態のトレーニング装置1は、ユーザのトレーニングの能力の変遷をポートフォリオ化することができ、人生のステージごとの思考コードドメインと思考スキルの成長度が明らかになる。
【0078】
ステージとは、例えば、中学入試ステージ、高校入試ステージ、大学入試ステージ、各種資格ステージ、仕事の課題解決ステージ、社会課題解決ステージ等が挙げられる。各ステージには、以下のようなキャリア実現への道筋が求められる。例えば、入試に対して志望校合格、資格試験受験に対して資格取得、就職試験に対して入社、仕事の課題に対して課題解決、社会課題に対して社会貢献及び課題解決というキャリア実現が目標とされる。本実施形態のトレーニング装置1によれば、ニングのフィードバックの繰り返しにより、キャリア実現への道筋を達成することが可能となる。
【0079】
セルフキャリアデザインとは、個人が自分自身のキャリアを主体的に構築するプロセスや戦略を指す。セルフキャリアデザインの過程を細分化すると、自己分析(気づき)、目標設定、計画の策定(行動計画)、アクションと調整(実践)、フィードバックと評価(振り返り)、フィードバックと評価(振り返り)の流れとなる。本実施形態のトレーニング装置1は、このセルフキャリアデザインの過程を実現化し、さらに繰り返すことで、ユーザの成長度に合った過程を実現することが出来る。
【0080】
具体的には、自己分析(気づき)とは、自分の強み、弱み、興味、価値観、スキルを深く理解することから始めることである。これにより、自分自身を知りどのようなキャリアを追求したいのかが明確になる。目標設定とは、短期的及び長期的なキャリア目標を設定することである。具体的かつ実現可能なゴールを設定することで、計画がより達成しやすくなる。計画の策定(行動計画)とは、目標を達成するための具体的な行動計画を立てることである。これには必要なスキルや知識の習得、資格の取得、必要な経験の積み重ねなどが含まれる。アクションと調整(実践)とは、実際に行動を起こし、必要に応じて計画を見直し調整していくことである。市場や業界の変化に応じて柔軟に対応できるようになる。フィードバックと評価(振り返り)とは、定期的に自分の進捗を確認し、適宜フィードバックを取り入れて改善することである。これにより、計画が効果的に進行しているかどうかを確認することができる。
【0081】
本技術の各実施形態及び各変形例について上に説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0082】
10:トレーニング装置、101:入力部、102:思考コードドメインスコア判断部、103:知能カテゴリスコア判断部、104:得意知能カテゴリ判断部、105:潜在能力知能カテゴリ判断部、106:ターゲット知能カテゴリ判断部、107:得意思考コードドメイン判断部、108:ターゲット思考コードドメイン判断部、109:トレーニング問題出力部、20:電子機器。
【要約】
【課題】様々なキャリアステージにおいて個人の能力を伸ばす。
【解決手段】トレーニング方法は、問題の特性を表す複数の思考コードドメインがそれぞれ割り当てられ、且つ、当該問題を解くために要求される思考スキルが紐づけられた複数の問題に対するユーザの回答を入力し、複数の問題に対するユーザの回答に基づき、ユーザの思考コードドメイン毎のスコアである思考コードドメインスコアを判断し、思考コードドメインスコアが相対的に高い思考コードドメインである得意思考コードドメインを判断し、思考コードドメインスコアを高めるターゲットであるターゲット思考コードドメインを判断し、ターゲット思考コードドメインの思考コードドメインスコアを高めるために、得意思考コードドメインが割り当てられ且つユーザが正答した問題の思考スキルが紐づけられ、且つ、ターゲット思考コードドメインが割り当てられた問題であるトレーニング問題を出力する。
【選択図】
図1