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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】RFIDスイッチ
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20241118BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20241118BHJP
   H01Q 19/02 20060101ALI20241118BHJP
   H01Q 1/10 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
G06K19/077 140
G06K19/077 296
G06K19/07 170
H01Q19/02
H01Q1/10 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021056607
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022153864
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】306029349
【氏名又は名称】ゼネラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157428
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 聞平
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】平田 周孝
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-102445(JP,A)
【文献】特開2012-057359(JP,A)
【文献】特開2010-208808(JP,A)
【文献】特開2005-086415(JP,A)
【文献】特開2012-166458(JP,A)
【文献】特開2013-105441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
G06K 19/07
H01Q 19/02
H01Q 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップが接続された共振回路と、
前記共振回路に対し磁界結合又は容量結合される結合状態となるように設けられたブースターアンテナと、
可動範囲が規定され、前記可動範囲内の移動に伴って、前記結合状態と前記結合状態が解除された非結合状態とが切り替わるように、前記共振回路を移動させるスイッチ可動部と
前記ブースターアンテナを保持するアンテナ保持部とを備え、
前記スイッチ可動部の一端側の部位は、前記アンテナ保持部に形成された貫通孔に挿通され、前記アンテナ保持部から一端側に突出している、RFIDスイッチ。
【請求項2】
前記スイッチ可動部に対し、前記結合状態の位置と前記非結合状態の位置との一方から他方に付勢する弾性部材をさらに備えている、請求項1に記載のRFIDスイッチ。
【請求項3】
ICチップが接続された共振回路と、
前記共振回路に対し磁界結合又は容量結合される結合状態となるように設けられたブースターアンテナと、
可動範囲が規定され、前記可動範囲内の移動に伴って、前記結合状態と前記結合状態が解除された非結合状態とが切り替わるように、前記共振回路を移動させるスイッチ可動部とを備え、
前記スイッチ可動部は、前記結合状態に切り替わるタイミングで他の部材に当たる当接面を有し、
前記スイッチ可動部では、前記当接面が前記他の部材に当たる際の移動方向を前方向として、前記ICチップの前面が前記当接面よりも後側に位置している、RFIDスイッチ。
【請求項4】
ICチップが接続された共振回路と、
前記共振回路に対し磁界結合又は容量結合される結合状態となるように設けられたブースターアンテナと、
可動範囲が規定され、前記可動範囲内の移動に伴って、前記結合状態と前記結合状態が解除された非結合状態とが切り替わるように、前記共振回路を移動させるスイッチ可動部と、
前記ブースターアンテナを保持するアンテナ保持部と、
前記アンテナ保持部に一体化され、前記スイッチ可動部を移動可能に収容し且つ前記スイッチ可動部の移動方向を規定する部材収容部とを備えている、RFIDスイッチ。
【請求項5】
前記共振回路と前記ブースターアンテナが磁界結合されることで、前記結合状態となる、請求項1乃至4の何れか1つに記載のRFIDスイッチ。
【請求項6】
前記スイッチ可動部は、前記ブースターアンテナのうち前記共振回路と磁界結合又は容量結合される結合部の配置平面と交差する方向に、前記共振回路を移動させる、請求項1乃至4の何れか1つに記載のRFIDスイッチ。
【請求項7】
前記スイッチ可動部は、前記ブースターアンテナのうち前記共振回路と磁界結合又は容量結合される結合部の配置平面に接する曲線に沿って、前記共振回路を移動させる、請求項3又は4に記載のRFIDスイッチ。
【請求項8】
前記スイッチ可動部は、前記ブースターアンテナのうち前記共振回路と磁界結合又は容量結合される結合部の配置平面に平行に、前記共振回路を移動させる、請求項3又は4に記載のRFIDスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency Identification)等に関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDは、誘導電磁界又は電波によって非接触で半導体メモリのデータを読み出し、書き込みを行うために近距離通信を行うものの総称である。RFIDを利用したRFIDシステムは、例えば、RFタグ(RFIDタグ)、リーダライタ、及び、これらを制御する上位装置から構成される。
【0003】
特許文献1には、RFID技術を用いて梱包箱内部の内容物の梱包状態を判定する方法が記載されている。この方法では、第1の内容物に、ICチップが接続されたループアンテナ部が取り付けられる。第2の内容物に、ループアンテナ部に電磁結合可能なブースターアンテナ部が取り付けらえる。ブースターアンテナ部とループアンテナ部との相対的な配置状態により、第1の内容物及び第2の内容物の梱包状態が判定される。
【0004】
特許文献2には、物品の管理を行うRFIDシステムが記載されている。このシステムは、外部のリーダーライタと通信可能な第1アンテナと、第1アンテナに接続するアンテナ切替器と、アンテナ切替器を介して第1アンテナに順次接続可能な複数の第2アンテナとを備えている。各第2アンテナは、当該第2アンテナによって画定される領域内に置かれる物に取り付けられたICタグと通信可能である。各第2アンテナは、アンテナ切替器にケーブルで接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-191759号公報
【文献】特開2009-70163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献2の図2に記載のRFIDシステムは、ICタグが取り付けられた物品が第2アンテナ(ループアンテナ)内にない場合は、第2アンテナから電波を放射しても、ICタグから電波を受信できない。そのため、このRFIDシステムを物品の有無の検出に用いることが考えられる。しかし、このRFIDシステムでは、各第2アンテナへの配線が必要となる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、検出スイッチとして使用可能で、簡易な構成のRFIDシステムを構成することができるRFIDスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するべく、第1の発明は、ICチップが接続された共振回路と、共振回路に対し磁界結合又は容量結合される結合状態となるように設けられたブースターアンテナと、可動範囲が規定され、可動範囲内の移動に伴って、結合状態と結合状態が解除された非結合状態とが切り替わるように、共振回路とブースターアンテナの一方を移動させるスイッチ可動部とを備えている、RFIDスイッチである。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、スイッチ可動部に対し、結合状態の位置と非結合状態の位置との一方から他方に付勢する弾性部材をさらに備えている。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、スイッチ可動部は、結合状態に切り替わるタイミングで他の部材に当たる当接面を有し、スイッチ可動部では、当接面よりも他の部材側とは反対側に、ICチップが位置している。
【0011】
第4の発明は、第1乃至第3の何れか1つの発明において、ブースターアンテナが取り付けられたアンテナ保持部をさらに備え、アンテナ保持部では、ブースターアンテナのうち共振回路と磁界結合又は容量結合される結合部の近傍に、スイッチ可動部のうち共振回路が取り付けた部位が導入される穴部又は切欠き部が形成されている。
【0012】
第5の発明は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、共振回路とブースターアンテナが磁界結合されることで、結合状態となる。
【0013】
第6の発明は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、スイッチ可動部は、ブースターアンテナのうち共振回路と磁界結合又は容量結合される結合部の配置平面と交差する方向に、共振回路を移動させる。
【0014】
第7の発明は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、スイッチ可動部は、ブースターアンテナのうち共振回路と磁界結合又は容量結合される結合部の配置平面に接する曲線に沿って、共振回路を移動させる。
【0015】
第8の発明は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、スイッチ可動部は、ブースターアンテナのうち共振回路と磁界結合又は容量結合される結合部の配置平面に平行に、共振回路を移動させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、スイッチ可動部の移動に伴って、共振回路とブースターアンテナとが結合された結合状態と非結合状態とが切り替わる。非結合状態では、RFIDリーダライタ等の通信装置と交信可能な距離が極めて短い。一方、結合状態では、非結合状態で共振回路から放射される電波に比べて高強度の電波が、ブースターアンテナから放射される。そのため、通信装置と交信可能な距離が比較的長くなる。そのため、結合状態では通信装置がRFIDスイッチと交信可能となり、非結合状態では交信不能となるように、RFIDシステムを構成して、通信装置においてRFIDスイッチと交信可能か否かを判定することにより、スイッチ可動部の移動状態の検出が可能である。RFIDスイッチは、検知スイッチとして使用することができる。ここで、スイッチ可動部の移動状態の検出には、RFIDスイッチへの配線は必要ない。本実施形態によれば、検出スイッチとして使用可能で、簡易な構成のRFIDシステムを構成することができるRFIDスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態に係るRFIDスイッチの斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るRFIDスイッチの分解斜視図である。
図3図3(a)は、実施形態に係るRFIDスイッチの上面図であり、図3(b)は、RFIDスイッチの正面図であり、図3(c)は、RFIDスイッチの側面図であり、図3(d)は、RFIDスイッチの背面図である。
図4図4は、実施形態に係るRFIDスイッチについて、RFタグ及びブースターアンテナを正面から見た図である。
図5図5(a)は、実施形態に係るRFIDスイッチについて、非結合状態の断面図であり、図5(b)は、結合状態の断面図である。
図6図6は、第1変形例のRFIDスイッチについて、RFタグ及びブースターアンテナを正面から見た図である。
図7図7は、第2変形例のRFIDスイッチについて、RFタグ及びブースターアンテナを正面から見た図である。
図8図8(a)は、第3変形例のRFIDスイッチの説明図であり、図8(b)は、第4変形例のRFIDスイッチの説明図であり、図8(c)は、第5変形例のRFIDスイッチの説明図である。
図9図9(a)は、第6変形例のRFIDスイッチの説明図であり、図9(b)は、第7変形例のRFIDスイッチについて物品が商品の場合の説明図であり、図9(c)は、第7変形例について物品が工具の場合の説明図である。
図10図10(a)は、第8変形例のRFIDスイッチの説明図であり、図10(b)は、第9変形例のRFIDスイッチの説明図である。
図11図11(a)は、第10変形例のRFIDスイッチの説明図であり、図11(b)は、第11変形例のRFIDスイッチの説明図である。
図12図12(a)は、第12変形例のRFIDスイッチについて磁界結合型の場合の説明図であり、図12(b)は、第12変形例のRFIDスイッチについて容量結合型の場合の説明図であり、図12(c)は、第12変形例においてブースターアンテナの配置を変更する場合の説明図であり、図12(d)は、第13変形例のRFIDスイッチの説明図である。
図13図13(a)は、第14変形例のRFIDスイッチについて磁界結合型の場合の説明図であり、図13(b)は、第14変形例のRFIDスイッチについて容量結合型の場合の説明図であり、図13(c)は、第14変形例において弾性部材として板バネを用いる場合の説明図である。
図14図14(a)は、第15変形例のRFIDスイッチについて磁界結合型の場合の説明図であり、図14(b)は、第15変形例のRFIDスイッチについて容量結合型の場合の説明図であり、図14(c)は、第16変形例のRFIDスイッチについて磁界結合型の場合の説明図であり、図14(d)は、第16変形例のRFIDスイッチについて容量結合型の場合の説明図である。
図15図15(a)は、第17変形例のRFIDスイッチについて磁界結合型の場合の説明図であり、図15(b)は、第17変形例のRFIDスイッチについて容量結合型の場合の説明図であり、図15(c)は、第18変形例のRFIDスイッチについて磁界結合型の場合の説明図であり、図15(d)は、第18変形例のRFIDスイッチについて容量結合型の場合の説明図である。
図16図16(a)は、その他の変形例のRFIDスイッチの説明図であり、図16(b)は、その他の変形例の別のRFIDスイッチの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態及び変形例は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0019】
本実施形態は、検出スイッチ等として使用可能なRFIDスイッチ10である。RFIDスイッチ10は、図1図3に示すように、ICチップ20が接続された共振回路21を有するRFタグ(RFIDタグ)11と、共振回路21に対し磁界結合される結合状態となるように設けられたブースターアンテナ22と、可動範囲が規定されて該可動範囲内の移動に伴って結合状態と非結合状態(結合状態が解除された状態)とが切り替わるように共振回路21を移動させるスイッチ可動部13とを備えている。共振回路21とブースターアンテナ22は、一体化されておらず、互いに分離されている。なお、RFタグ11への電力供給方式について、本実施形態は、RFIDスイッチ10が電池を内蔵しないパッシブ方式であるが、アクティブ方式又はセミパッシブ方式を採用してもよい。
【0020】
ブースターアンテナ22は、共振回路21に対し磁界結合される結合部22aを有する。RFIDスイッチ10では、スイッチ可動部13の移動に伴って、共振回路21が結合部22aに近接する近接位置に移動した時に結合状態となり、近接位置から離れた離間位置に共振回路21が移動した時に非結合状態となる。結合状態では、RFIDスイッチ10が、RFIDリーダライタ等の通信装置(図示省略)と交信可能である。非結合状態では、RFIDスイッチ10が、上述の通信装置と交信不能である。
【0021】
また、RFIDスイッチ10は、図2に示すように、スイッチ可動部13に対し付勢する弾性部材14と、ブースターアンテナ22を保持するアンテナ保持部23と、アンテナ保持部23に一体化されて内部にスイッチ可動部13の収容空間(以下、「可動用空間」と言う。)15が形成された部材収容部24とをさらに備えている。部材収容部24は、スイッチ可動部13を可動に支持する。
【0022】
アンテナ保持部23では、ブースターアンテナ22の結合部22aの近傍に、スイッチ可動部13のうち共振回路21が取り付けられた部位(後述する本体部61)が導入される穴部(後述する開口部15a)が形成されている。本実施形態では、結合部22aの面内における近接位置(図4(a)の位置)に、共振回路21が移動した時に結合状態となる。
【0023】
部材収容部24は、スイッチ可動部13の移動方向及び可動範囲を規定する部分であり、スイッチ可動部13とともにスイッチ機構を構成している。スイッチ可動部13は、結合部22aが配置された配置平面と交差する一方向だけに移動可能である。なお、本実施形態では、スイッチ可動部13が、結合部22aの配置平面に直交する方向に移動可能であるが、配置平面に斜め方向に移動可能としてもよい。
【0024】
[RFIDスイッチの各パーツ等について]
RFタグ11は、RFIDインレイである。RFタグ11は、図2における破線内の拡大図に示すように、ICチップ20と、ICチップ20が接続された共振回路21と、ICチップ20及び共振回路21が実装された小型の基板25とを備えている。基板25は、略矩形の平板状に形成されている。RFタグ11では、ICチップ20の静電容量Cと共振回路21のインダクタンスLとを含めて形成される電気回路がLC共振回路を構成する。この電気回路は、LC共振回路の共振周波数がICチップ20の動作周波数又はその近傍の値となるように設計される。
【0025】
なお、RFタグ11にRFIDインレイを使用しない場合(例えば、ラベル型、カード型、丸型、スティック型などのRFタグを用いる場合)も、ICチップ20とLC共振回路によって、ブースターアンテナ22と磁界結合を行えるようにする。
【0026】
ICチップ20は、基板25の表側面の中央部に配置されている。共振回路21は、コイルアンテナであり、渦巻状に複数回巻かれた配線パターン(プリント配線)により構成されている。共振回路21は、基板25の表側面におけるICチップ20よりも外側の領域に実装されている。共振回路21では最外周部分が、基板25の各辺に沿って各辺の近傍を延びている。共振回路21の上側の最外周部分は、ブースターアンテナ22の結合部22aと磁界結合される。
【0027】
アンテナ保持部23は、ブースターアンテナ22の収容空間が内部に形成された薄板状の箱体である。アンテナ保持部23は、図2に示すように、第1板状部31と、隙間を存して第1板状部31に対面する第2板状部32と、第1板状部31に一体化された周壁部33と、第1板状部31に第2板状部32を取り付けるための取付構造34とを備えている。なお、図3(a)及び図3(c)では、第2板状部32を破線で表す。また、以下では、第1板状部31側を「前側」、第2板状部32側を「後ろ側」と言う場合がある。また、第1板状部31の長辺方向を「左右方向」、第1板状部31の短辺方向を「上下方向」と言う場合がある。
【0028】
第1板状部31は、略矩形の平板状に形成されている(図3(b)参照)。第1板状部31の外周部には、ブースターアンテナ22の収容空間を周囲から区画する周壁部33が一体化されている。第1板状部31の下部における左右方向の中央部には、周囲に比べて厚みが大きい突出部31aが設けられている。突出部31aは、前側に突出している。突出部31aには、厚さ方向の貫通孔として、後述する前方突出部62を挿通させる前側貫通孔17が形成されている。
【0029】
第2板状部32は、略矩形の平板状に形成されている(図3(d)参照)。第2板状部32は、第1板状部31に対応した形状に形成されている。第2板状部32は、第1板状部31よりも少し小さく、周壁部33の内側に入り込む。第2板状部32の内面(前面)には、可動用空間15の一端(前端)の開口部15aが開口している。第2板状部32の内面では、第1板状部31の前側貫通孔17及びその周辺部に対面する領域に、開口部15aが配置されている。開口部15aの正面形状は矩形である。
【0030】
取付構造34は、複数の爪状部34aと、複数の爪状部34aが挿通される複数の爪挿通部34bとを有する。第1板状部31の外周部のうち、突出部31a側の辺を除く3辺に、爪挿通部34bがそれぞれ設けられている。また、第1板状部31では、前側貫通孔17の左右の近傍に、爪挿通部34bがそれぞれ設けられている。一方、第2板状部32では、第1板状部31における複数の爪挿通部34bに対応する位置に、複数の爪状部34aが設けられている。各爪状部34aは、対応する爪挿通部34bに挿通されることで、爪挿通部34bの縁部に引っ掛かる。なお、取付構造34は、本実施形態の構造に限定されない。
【0031】
アンテナ保持部23には、RFIDスイッチ10の取り付けに用いるスイッチ取付部28が一体形成されている。スイッチ取付部28は、部材収容部24の左右にそれぞれ設けられている。RFIDスイッチ10は、スイッチ取付部28のネジ挿通孔28aに通したネジにより所定の物品などに固定された状態で使用される。また、アンテナ保持部23では、第2板状部32と部材収容部24とを接続する補強リブ27が設けられている。
【0032】
ブースターアンテナ22は、図2及び図4に示すように、所定のパターン形状に形成された平面アンテナである。ブースターアンテナ22は、所定の平面上にて拡張するように形成されている。ブースターアンテナ22は、正面から見て左右対称に形成されている。ブースターアンテナ22は、第2板状部32の内面に取り付けられて保持されている。図2では、ブースターアンテナ22にハッチングを付けている。なお、ブースターアンテナ22は、第1板状部31の内面に取り付けてもよい。
【0033】
ブースターアンテナ22は、図4に示すように、開口部15aの上側近傍を左右方向に延びる結合部22aと、結合部22aの左右にそれぞれ接続された一対のアンテナ本体部22bとを備えている。結合部22aは、共振回路21の最外周部分と磁界結合される箇所であり、開口部15aに近接する位置に配置されている。各アンテナ本体部22bは、電波の送受信を担う部分であり、上下方向に往復するミアンダラインアンテナにより構成されている。なお、アンテナ本体部22bには、ヘリカルアンテナ、パッチアンテナなど様々なアンテナ方式を採用することができる。
【0034】
スイッチ可動部13は、真っすぐな棒状に形成されている。スイッチ可動部13は、RFタグ11が取り付けられた本体部61と、本体部61から前方に突出する前方突出部62と、本体部61から後方に突出する後方突出部63とを備えている(図2参照)。スイッチ可動部13は、前方突出部62が前側貫通孔17に挿通され、且つ、後方突出部63が後述する後側貫通孔18に挿通された状態で、可動用空間15に収容されている。
【0035】
スイッチ可動部13は、外力又は弾性部材14の復元力が作用することによって、長さ方向に移動する。スイッチ可動部13は、外力が作用した時に、結合状態の第1位置と、非結合状態の第2位置との一方から他方へ移動する。本実施形態では、スイッチ可動部13が、外力が作用した時に、第1位置から第2位置へ移動する。スイッチ可動部13が第1位置にある場合に共振回路21は近接位置にあり、スイッチ可動部13が第2位置にある場合に共振回路21は離間位置にある。なお、外力が作用した時に、スイッチ可動部13が第2位置(共振回路21は離間位置)から第1位置(共振回路21は近接位置)へ移動するようにしてもよい。
【0036】
本体部61の前面61aには、後方に凹む凹部61bが形成されている。凹部61bには、基板25の表面側が前方を向く状態で、RFタグ11が固定されている。基板25の裏面は、凹部61bの底面に当接している(図5(a)の破線内参照)。凹部61bの深さDは、RFタグ11の厚みよりも大きい。そのため、RFタグ11の前面は、本体部61の前面61aよりも後側に位置する。そのため、スイッチ可動部13では、結合状態に切り替わるタイミングで前面61aが第1板状部31の内面にぶつかるが、RFタグ11の前面側のICチップ20及び共振回路21は第1板状部31の内面にぶつからない。スイッチ可動部13では、本体部61の前面61aが、結合状態に切り替わるタイミングで他の部材に当たる当接面61aに相当する。スイッチ可動部13では、当接面61aよりも他の部材側とは反対側に、ICチップ20が位置している。
【0037】
部材収容部24は、中空構造で真っすぐな柱状に形成されている。第2板状部32では、開口部15aの形成位置の裏側から部材収容部24が、第2板状部32に対し垂直に突出している。部材収容部24の内部には、突出方向(長さ方向)に沿って、上述の可動用空間15が形成されている。部材収容部24の先端側(後端側)には、可動用空間15を塞ぐ先端部24aが設けられている。先端部24aには、後方突出部63を挿通させる後側貫通孔18が形成されている。
【0038】
可動用空間15の内周形状は、部材収容部24の長さ方向に垂直な断面で見た場合に、矩形である。可動用空間15は、角柱形状の空間である。スイッチ可動部13のうち少なくとも本体部61の断面形状が、可動用空間15の内周形状に対応した矩形である。これにより、可動用空間15では、スイッチ可動部13が回転不能に収容されている。
【0039】
弾性部材14は、弾性変形が可能な部材であり、スイッチ可動部13を非結合状態の第2位置から結合状態の第1位置へ自動的に移動させる。弾性部材14には、直線状に伸縮するコイルばね(圧縮ばね)を用いることができる。弾性部材14は、自然長よりも収縮した状態で、スイッチ可動部13の本体部61と部材収容部24の先端部24aとの間に挟まれている。弾性部材14の内側には、後方突出部63が挿通されている。弾性部材14は、スイッチ可動部13に対し前側に付勢している。
【0040】
[RFIDスイッチの動作について]
RFIDスイッチ10では、前方突出部62に対し外力が後方に向かって作用すると、弾性部材14が縮みながら、スイッチ可動部13が、可動範囲の後方の第2位置に移動する。そして、この移動に伴って共振回路21が離間位置(図5(a)に示す位置)に移動し、共振回路21と結合部22aとが磁界結合されていない非結合状態となる。非結合状態では、RFIDスイッチ10の交信可能距離が極めて短い。そのため、RFIDリーダライタ等の通信装置から電波がRFIDスイッチ10に到達しても、通信装置はRFIDスイッチ10と交信不能である。
【0041】
非結合状態の時に外力が除去されると、弾性部材14の復元力により、スイッチ可動部13が可動範囲の前方の第1位置に移動する。そして、この移動に伴って共振回路21が近接位置(図5(b)に示す位置)に移動し、共振回路21と結合部22aとが磁界結合された結合状態となる。結合状態では、RFIDスイッチ10の交信可能距離が非結合状態に比べて長くなる。そのため、通信装置から電波がRFIDスイッチ10に到達すると、通信装置とRFIDスイッチ10の交信が行われる。なお、RFIDスイッチ10は、ブースターアンテナ22から、ICチップ20の格納情報を搬送する搬送波を放射する。
【0042】
なお、本実施形態に係るRFIDスイッチ10は、外力が作用している期間だけ非結合状態となるモーメンタリスイッチであるが、外力が作用している期間だけ結合状態となるように構成してもよいし、オルタネイトスイッチなど他タイプのスイッチとして構成してもよい。
【0043】
[本実施形態の効果等について]
本実施形態では、スイッチ可動部13の前後方向の移動に伴って、結合状態と非結合状態とが切り替わる。そのため、結合状態では通信装置がRFIDスイッチ10と交信可能となり、非結合状態では交信不能となるようにRFIDシステムを構成し、電波を常に放射する通信装置においてRFIDスイッチ10と交信可能か否かを判定することにより、スイッチ可動部13の移動状態の検出が可能である。RFIDスイッチ10は、検知スイッチとして使用することができる。なお、RFタグ11のICチップには特定のコードを記憶させておく。ここで、スイッチ可動部13の移動状態の検出には、RFIDスイッチ10への配線は必要ない。本実施形態によれば、検出スイッチとして使用可能で、簡易な構成のRFIDシステムを構成することができるRFIDスイッチ10を提供することができる。また、スイッチ可動部13は、ブースターアンテナ22の結合部22aの配置平面と交差する方向に共振回路21を移動させるため、スイッチ可動部13が一方向だけに移動する簡易な構成のRFIDスイッチ10を構成することができる。
【0044】
本実施形態では、RFIDスイッチ10が、共振回路21とブースターアンテナ22が磁界結合されることで結合状態となる磁界結合型である。ここで、後述する容量結合型で通信性能を確保しようとすると、互いに分離された共振回路21及びブースターアンテナ22の結合部22aが、結合状態の時に、限りなく導通状態に近い状態となるようにする必要があり、結合状態に切り替わるタイミングで、共振回路21と結合部22aを、互いに対向させて衝突させる必要がある。そのため、結合部22aに例えばパッド電極を用いる等の対策が必要となる可能性がある。さらに、結合状態に切り替わる度に、RFタグ11が結合部22aにぶつかるため、RFタグ11の耐久性の確保が容易ではない。それに対し、磁界結合型では、共振回路21とブースターアンテナ22が非接触であるため、上述の対策が必要なくブースターアンテナ22の設計が容易であり、さらにRFタグ11の耐久性の確保も容易である。
【0045】
本実施形態では、スイッチ可動部13において、本体部61の当接面61aよりも第1板状部31側とは反対側(後側)に、ICチップ20が位置している。ここで、ICチップは一般的には衝撃に弱い。そのため、結合状態に切り替わるタイミングでICチップ20が第1板状部31にぶつかることを回避することができ、ICチップ20の損傷を抑制することができる。
【0046】
[第1変形例]
本変形例では、図6に示すように、結合状態においてRFタグ11の3辺に沿うようにブースターアンテナ22の結合部22aが設けられている。ブースターアンテナ22は、例えば第1板状部32の内面に取り付けられる。本変形例では、共振回路21とブースターアンテナ22との間で流れる電流が多くなり、RFIDスイッチ10の交信距離を長くすることができる。
【0047】
[第2変形例]
本変形例では、RFIDスイッチ10が、共振回路21とブースターアンテナ22が容量結合されることで結合状態となる容量結合型である。この場合、ブースターアンテナ22の結合部22aは、結合状態の時に共振回路21の一部と接触し、導通もしくは容量結合する状態となるように配置される。
【0048】
具体的に、ブースターアンテナ22は、例えば第1板状部32の内面に取り付けられる。ブースターアンテナ22は、互いに離間した一対の結合部22aを有する。各結合部22aは、第1板状部32の内面のうち、スイッチ可動部13の移動方向から見て、共振回路21の各外側パターン部(最外周部)21aと重なる位置に配置される(図7参照)。スイッチ可動部13が前方に移動すると、外側パターン部21aと結合部22aは、互いに対向する状態で衝突して結合状態に切り替わる。なお、結合部22aに例えばパッド電極を用いてもよく、これにより共振回路21の損傷を抑制することができる。
【0049】
[第3変形例]
本変形例では、スライド扉40の開閉状態を検知する検知スイッチとして、RFIDスイッチ10が使用される。例えば、RFIDスイッチ10は、図8(a)に示すように、スライド扉40の枠体41のうち扉本体42が全開の時に当接する部位に取り付けられる。RFIDスイッチ10のケーシング50からは、スイッチ可動部13の一部が露出している。
【0050】
図8(a)の左図に示すように、RFIDスイッチ10は、扉本体42が閉状態の場合、スイッチ可動部13に外力が作用しておらずOFF状態となる。そして、扉本体42が開状態になると、図8(a)の右図に示すように、扉本体42によってスイッチ可動部13が押されて移動することでON状態に切り替わる。本変形例では、RFIDスイッチ10と交信可能か否かを判定することにより、スライド扉40の開閉状態の検出が可能である。
【0051】
なお、RFIDスイッチ10は、ON状態で非結合状態となり、OFF状態で結合状態となるように構成することもできるし、ON状態で結合状態となり、OFF状態で非結合状態となるように構成することもできる。この点は、後述する変形例でも同じである。
【0052】
[第4変形例]
本変形例では、片開き扉45の開閉状態を検知する検知スイッチとして、RFIDスイッチ10が使用される。例えば、RFIDスイッチ10は、片開き扉45の枠体に取り付けられる。
【0053】
図8(b)の左図に示す状態では、片開き扉45は開状態であり、スイッチ可動部13に外力が作用しておらずOFF状態となる。この状態から、図8(b)の右図に示すように、片開き扉45を閉じると、片開き扉45によってスイッチ可動部13が押されて移動することでON状態に切り替わる。本変形例では、RFIDスイッチ10と交信可能か否かを判定することにより、片開き扉45の開閉状態の検出が可能である。
【0054】
[第5変形例]
本変形例では、キーシリンダ46の開閉状態を検知する検知スイッチとして、RFIDスイッチ10が使用される。例えば、RFIDスイッチ10は、図8(c)に示すように、キーシリンダ46のうち鍵穴を有する内筒13に、RFタグ11が取り付けられ、キーシリンダ46の外筒47に、ブースターアンテナ22の結合部22aが取り付けられる。本使用例では、キーシリンダ46の内筒13がスイッチ可動部13を構成する。
【0055】
図8(c)の左図は、非結合状態のRFIDスイッチ10を表す。RFタグ11の共振回路21は、ブースターアンテナ22の結合部22aから離間した位置にある、この状態から、図8(c)の右図に示すように、鍵48によりスイッチ可動部(内筒)13を回転させると、RFタグ11の共振回路21が結合部22aに近接する位置に移動し、RFIDスイッチ10は結合状態に切り替わる。本変形例では、RFIDスイッチ10と交信可能か否かを判定することにより、キーシリンダ46の開閉状態の検出が可能である。
【0056】
[第6変形例]
本変形例では、物品51の有無を検出する検知スイッチとして、RFIDスイッチ10が使用される。図9(a)に示すように、複数の物品51が所定位置に載置される載置台52において、各物品51の載置位置にRFIDスイッチ10がそれぞれ設置されている。各RFIDスイッチ10は、載置台52からスイッチ可動部13が上方に突出するように設置されている。
【0057】
RFIDスイッチ10は、物品51が所定位置に載置されている場合、物品51によってスイッチ可動部13が押されて移動しておりON状態となっている。そして、図9(a)の右図に示すように、物品51を所定位置から除去すると、その物品51に対応するRFIDスイッチ10のスイッチ可動部13に外力が作用しない状態となり、スイッチ可動部13が弾性部材14により上方に移動する。この移動に伴って、RFIDスイッチ10はOFF状態に切り替わる。本変形例では、各RFIDスイッチ10と交信可能か否かを判定することにより、各物品51の有無の検出が可能である。
【0058】
[第7変形例]
本変形例では、第6変形例と同様に、物品53の有無を検出する検知スイッチとして、RFIDスイッチ10が使用される。図9(b)及び図9(c)に示すように、物品53を吊り下げるフック54に対しRFIDスイッチ10が取り付けられている。RFIDスイッチ10は、複数のフック54のそれぞれに取り付けられている。なお、図9(b)では、フック54に吊り下げられる物品53が商品であり、RFIDスイッチ10が商品の棚管理に利用される。図9(c)では、フック54に吊り下げられる物品53が工具であり、RFIDスイッチ10が工具管理に利用される。
【0059】
RFIDスイッチ10は、フック54に物品53が引っ掛けられている場合、物品53の重量によってスイッチ可動部13が下方に引っ張られて移動しておりON状態となっている。そして、図9(b)及び図9(b)の右図に示すように、物品53をフック54から除去すると、そのフック54に対応するRFIDスイッチ10のスイッチ可動部13に外力が作用しない状態となり、スイッチ可動部13が弾性部材14により上方に移動する。この移動に伴って、RFIDスイッチ10はOFF状態に切り替わる。本変形例でも、各物品53の有無の検出が可能である。
【0060】
[第8変形例]
本変形例では、機械装置70の制御時の動作状況を検出する検知スイッチとして、RFIDスイッチ10が使用される。RFIDスイッチ10は、ロータリースイッチである。RFIDスイッチ10は、シャフト71に回転自在に支持されたスイッチ可動部13を備えている。スイッチ可動部13は、弾性部材(ねじりコイルばね、図示省略)により、図10(a)における時計回りの方向に付勢されている。
【0061】
図10(a)の左図に示す状態では、スイッチ可動部13がシャフト71から真上に延びている。RFタグ11は、この状態におけるスイッチ可動部13の下端部に位置し、RFタグ11の共振回路21に近接する位置にブースターアンテナ22の結合部22aが配置される。RFIDスイッチ10は結合状態となっている。この状態から、図10(a)の右図に示すように、機械装置70の突出部70aによってスイッチ可動部13が横方向に押されて回転した状態で保持されると、スイッチ可動部13の回転に伴って、RFタグ11が回転移動して、共振回路21は結合部22aから離れた位置に移動する。RFIDスイッチ10は非結合状態に切り替わる。そして、突出部70aが移動して、スイッチ可動部13に外力が作用しなくなると、スイッチ可動部13がねじりコイルばねにより時計回りに回転して、図10(a)の左図の位置に戻る。RFIDスイッチ10は結合状態に切り替わる。本変形例では、RFIDスイッチ10と交信可能か否かを判定することにより、機械装置70の動作状況の検出が可能である。
【0062】
[第9変形例]
本変形例では、第8変形例と同様に、機械装置70の制御時の動作状況を検出する検知スイッチとして、RFIDスイッチ10が使用される。RFIDスイッチ10は、プッシュ式スイッチである。本変形例では、RFIDスイッチ10に加えて、シャフト71に回転自在に支持された回転部材72が、スイッチシステムを構成している。回転部材72は、図10(b)における時計回りの方向に付勢されている。
【0063】
図10(b)の左図に示す状態では、回転部材72が上下方向に延びている状態であり、回転部材72の下端部によりスイッチ可動部13が押されて下方に移動したON状態となっている。そして、図10(b)の右図に示すように、機械装置70の突出部70aによって回転部材72が横方向に押されて回転した状態で保持されると、回転部材72の下端部がスイッチ可動部13から離れる。スイッチ可動部13には外力が作用しない状態となり、スイッチ可動部13が弾性部材14により上方に移動する。この移動に伴って、RFIDスイッチ10はOFF状態に切り替わる。本変形例でも、機械装置70の動作状況の検出が可能である。
【0064】
[第10変形例]
本変形例では、折り畳みコンテナ75の状態を検出する検知スイッチとして、RFIDスイッチ10が使用される。折り畳みコンテナ75が組み立てられた状態では、図11(a)の左図に示すように、RFIDスイッチ10は、折り畳みコンテナ75の一部(柱部)によってスイッチ可動部13が押されて移動したON状態となっている。そして、折り畳みコンテナ75が畳まれると、図11(a)の右図に示すように、スイッチ可動部13に外力が作用しない状態となり、スイッチ可動部13が弾性部材14により移動する。この移動に伴って、RFIDスイッチ10はOFF状態に切り替わる。本変形例では、RFIDスイッチ10と交信可能か否かを判定することにより、折り畳みコンテナ75の状態の検出が可能である。
【0065】
[第11変形例]
本変形例では、フォークリフトによって昇降されるパレット76の状態を検出する検知スイッチとして、RFIDスイッチ10が使用される。パレット76が載置された状態では、図11(b)の左図に示すように、RFIDスイッチ10は、載置面77によってスイッチ可動部13が押されて移動したON状態となっている。そして、フォークリフトによってパレット76が持ち上げられると、図11(b)の右図に示すように、スイッチ可動部13に外力が作用しない状態となり、スイッチ可動部13が弾性部材14により下方に移動する。この移動に伴って、RFIDスイッチ10はOFF状態に切り替わる。本変形例では、RFIDスイッチ10と交信可能か否かを判定することにより、パレット76の状態の検出が可能である。
【0066】
なお、RFIDリーダライタ等の通信装置又はRFIDリーダアンテナは、フォークリフトに搭載する、又は、フォークリフトが通過するゲートに設置することで、使用環境によって周囲のRFIDラベルの読み込みの影響を低減することができる。
【0067】
[第12変形例]
本変形例では、RFIDスイッチ10が、ロータリースイッチとして構成されている。RFIDスイッチ10では、摘み部13aを有する回転部材13が、スイッチ可動部13を構成している。回転部材13では、摘み部13aの外周近傍にRFタグ11が取り付けられている。また、回転部材13の上側の外周に沿って、ブースターアンテナ22の結合部22aが配置される。なお、図12(a)は、共振回路21と結合部22aとが磁界結合される場合を表す。図12(b)では、共振回路21と結合部22aとが容量結合される場合(導通タイプの場合)を表す。図12(a)も図12(b)も、上面視の図である。
【0068】
図12(a)及び図12(b)の各左図に示す状態では、回転部材13の摘み部13aがブースターアンテナ22に平行に延びている。RFタグ11の共振回路21は、ブースターアンテナ22の結合部22aから離れた位置にある。RFIDスイッチ10は非結合状態(OFF状態)となっている。この状態から、図12(a)及び図12(b)の各右図に示すように、摘み部13aがブースターアンテナ22に垂直に延びる状態となるように回転部材13を回転させると、RFタグ11の共振回路21が結合部22aに近接する位置(図12(b)では、接触する位置)に移動し、RFIDスイッチ10は結合状態(ON状態)に切り替わる。
【0069】
なお、図12(c)に示すように、回転部材13の回転軸の近傍にブースターアンテナ22を配置してもよい。図12(c)は、結合状態(ON状態)のRFIDスイッチ10を表す。この状態から回転部材13を回転させると非結合状態(OFF状態)に切り替わる(図示省略)。
【0070】
[第13変形例]
本変形例では、第12変形例と同様に、RFIDスイッチ10が、ロータリースイッチとして構成されている。ロータリースイッチの回転軸13は、スイッチ可動部13を構成している。回転軸13の外周面には、RFタグ11が取り付けられている。また、回転軸13の外周近傍に、ブースターアンテナ22の結合部22aが配置される。
【0071】
図12(d)の左図に示す状態では、RFタグ11の共振回路21がブースターアンテナ22の結合部22aから離れた位置にある。RFIDスイッチ10は非結合状態となっている。この状態から、図12(d)の右図に示すように、回転軸13を回転させると、RFタグ11の共振回路21が結合部22aに近接する位置に移動し、RFIDスイッチ10が結合状態に切り替わる。
【0072】
[第14変形例]
本変形例では、RFIDスイッチ10が、プッシュ型のボタンスイッチとして構成されている。RFIDスイッチ10のスイッチ可動部13は、人又は機械によって押される操作部13bと、操作部13bから下方に延びる軸部13cとを有する。RFタグ11は、軸部13cに取り付けられている。また、RFIDスイッチ10は、スイッチ可動部13を上下方向に移動可能に支持するケーシング80と、スイッチ可動部13を上側に付勢する弾性部材14とを備えている。ブースターアンテナ22は、ケーシング80内の底面に設置されている。なお、図13(a)は、共振回路21と結合部22aとが磁界結合される場合を表す。図13(b)では、共振回路21と結合部22aとが容量結合される場合を表す。
【0073】
図13(a)及び図13(b)の各左図に示す状態では、RFタグ11の共振回路21がブースターアンテナ22の結合部22aから離れた位置にある。RFIDスイッチ10は非結合状態となっている。この状態から、図13(a)及び図13(b)の各右図に示すように、操作部13bが押されてスイッチ可動部13が下方に移動すると、RFタグ11の共振回路21が結合部22aに近接する位置に移動し、RFIDスイッチ10は結合状態に切り替わる。
【0074】
なお、図13(c)に示すように、スイッチ可動部13に対し付勢する弾性部材14が、板バネであってもよい。図13(c)の場合、操作部13bが押されると、弾性部材14は先端部が下方に移動するように曲がり、スイッチ可動部13の先端部が下方に移動する。この移動に伴って、RFタグ11の共振回路21は結合部22aに近接する位置に移動し、RFIDスイッチ10は結合状態に切り替わる。
【0075】
[第15変形例]
本変形例では、RFIDスイッチ10が、プル型のスイッチとして構成されている。RFIDスイッチ10のスイッチ可動部13は、物品を引っ掛けるフック13dと、フック13dから上方に延びる軸部13cとを有する。スイッチ可動部13の軸部13cは、スイッチ可動部13を上下方向に移動可能に支持するケーシング80の下面の貫通孔に挿通されており、フック13dを含む下部が露出している。また、RFIDスイッチ10は、スイッチ可動部13を上側に付勢する弾性部材14を備えている。RFタグ11は、軸部13cの外周面に取り付けられている。ブースターアンテナ22は、ケーシング80内の底面に設置されている。なお、図14(a)は、共振回路21と結合部22aとが磁界結合される場合を表す。図14(b)では、共振回路21と結合部22aとが容量結合される場合を表す。
【0076】
図14(a)及び図14(b)の各左図に示す状態では、RFタグ11の共振回路21がブースターアンテナ22の結合部22aから離れた位置にある。RFIDスイッチ10は非結合状態となっている。この状態から、図14(a)及び図14(b)の各右図に示すように、フック13dが引っ張られてスイッチ可動部13が下方に移動すると、RFタグ11の共振回路21が結合部22aに近接する位置(図14(b)では、接触する位置)に移動し、RFIDスイッチ10は結合状態に切り替わる。
【0077】
[第16変形例]
本変形例では、RFIDスイッチ10が、プッシュプル型のボタンスイッチとして構成されている。RFIDスイッチ10のスイッチ可動部13は、人又は機械によって押される操作部13bと、操作部13bから下方に延びる軸部13cとを有する。RFタグ11は、軸部13cに取り付けられている。また、RFIDスイッチ10は、スイッチ可動部13を上下方向に移動可能に支持するケーシング80を備えている。ブースターアンテナ22は、ケーシング80内の底面に設置されている。図14(c)は、共振回路21と結合部22aとが磁界結合される場合を表す。図14(d)では、共振回路21と結合部22aとが容量結合される場合を表す。
【0078】
図14(c)及び図14(d)の各左図に示す状態では、RFタグ11の共振回路21がブースターアンテナ22の結合部22aから離れた位置にある。RFIDスイッチ10は非結合状態となっている。この状態から、図14(c)及び図14(d)の各右図に示すように、操作部13bが押されてスイッチ可動部13が下方に移動すると、RFタグ11の共振回路21が結合部22aに近接する位置(図14(d)では、接触する位置)に移動し、RFIDスイッチ10は結合状態に切り替わる。また、第14変形例のRFIDスイッチ10とは異なり、RFIDスイッチ10は弾性部材14を有していない。そのため、人又は機械によって操作部13bが上側に引っ張られて、スイッチ可動部13が上方に移動することで、RFIDスイッチ10は非結合状態に戻る。
【0079】
[第17変形例]
本変形例では、RFIDスイッチ10が、シーソースイッチ(ロッカー・パドルスイッチ)として構成されている。RFIDスイッチ10のスイッチ可動部13は、人又は機械によって押される操作部13eと、操作部13eを回転自在に支持する回転軸13fとを有する。操作部13eは屈曲している。RFタグ11は、操作部13eの一端部の下面に取り付けられている。なお、図15(a)は、共振回路21と結合部22aとが磁界結合される場合を表す。図15(b)では、共振回路21と結合部22aとが容量結合される場合を表す。
【0080】
図15(a)及び図15(b)の左図に示す状態では、操作部13eの上面の他端側(図において右側)が押された後の状態であり、この状態のRFタグ11の共振回路21は、結合部22aから離れた位置にある。RFIDスイッチ10は非結合状態となっている。この状態から、操作部13eの上面の一端側(図において左側)が押されると、操作部13eが回転してRFタグ11が移動し、図15(a)及び図15(b)の右図に示すように、共振回路21は結合部22aに近接する位置(図15(b)では、接触する位置)に移動する。RFIDスイッチ10は結合状態に切り替わる。
【0081】
[第18変形例]
本変形例では、RFIDスイッチ10が、スライドスイッチとして構成されている。RFIDスイッチ10のスイッチ可動部13は、スライド自在に設けられた操作部13gを備えている。スイッチ可動部13の上面には凹凸が形成され、その凹凸の凹部に嵌まり込む凸部を備えた板状部材90が設けられている。板状部材90は弾性変形可能な部材である。RFタグ11は、スイッチ可動部13の下面に取り付けられている。なお、図15(c)は、共振回路21と結合部22aとが磁界結合される場合を表す。図15(d)では、共振回路21と結合部22aとが容量結合される場合を表す。
【0082】
図15(c)及び図15(d)の左図に示す状態では、操作部13gが可動範囲の右側に位置する状態であり、この状態のRFタグ11の共振回路21は、結合部22aから離れた位置にある。RFIDスイッチ10は非結合状態となっている。この状態から、操作部13gが左側にスライドされると、RFタグ11が移動し、図15(c)及び図15(d)の右図に示すように、共振回路21は結合部22aに近接する位置(図15(d)では、接触する位置)に移動する。RFIDスイッチ10は結合状態に切り替わる。なお、RFIDスイッチ10では、操作部13gをスライドさせる際に、板状部材90の凸部が操作部13gの上面の凸部を乗り越える際に、板状部材90が上側に撓む。
【0083】
[その他の変形例]
上述の実施形態では、ブースターアンテナ22の結合部22aの配置平面と交差する方向に、スイッチ可動部13が共振回路21を移動させるが、図16(a)に示すように、ブースターアンテナ22の結合部22aの配置平面に接する曲線に沿って、スイッチ可動部13がRFタグ11を移動させるように、RFIDスイッチ10を構成してもよい。この場合、例えばブースターアンテナ22を設ける部材85に切欠き部86を設け、スイッチ可動部13の移動に伴って切欠き部86にRFタグ11が導入されるように構成することができる。部材85では、切欠き部86の近傍に結合部22aが配置されている。また、図16(b)に示すように、ブースターアンテナ22の結合部22aの配置平面に平行に、スイッチ可動部13がRFタグ11を移動させるように、RFIDスイッチ10を構成してもよい。この場合も、スイッチ可動部13の移動に伴って切欠き部86にRFタグ11が導入されるように構成することができる。
【0084】
上述の実施形態において、第1板状部31の突出部31aの内面に、凹部を設けてもよい。スイッチ可動部13が近接位置に到達するタイミングで、本体部61の前面61aは、突出部31aの凹部の底面にぶつかるようにする。スイッチ可動部13を停止させる凹部の底面は、結合部22aの面外に位置する。この場合、突出部31aに衝突する本体部61の前面61aから、RFタグ11を遠ざけることが容易になる。
【0085】
上述の実施形態では、スイッチ可動部13が共振回路21を移動させたが、スイッチ可動部13はブースターアンテナ22を移動させてもよい。この場合、ブースターアンテナ22がスイッチ可動部13に取り付けられる。
【0086】
上述の実施形態では、スイッチ可動部13が1つであったが、RFIDスイッチ10が、共振回路21を移動させる第1スイッチ可動部と、ブースターアンテナ22を移動させる第2スイッチ可動部とを備え、これらのスイッチ可動部の移動に伴って結合状態と非結合状態とが切り替わるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、RFタグを備えたRFIDシステム等に適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
10 RFIDスイッチ
11 RFタグ
13 スイッチ可動部
14 弾性部材
20 ICチップ
21 共振回路
22 ブースターアンテナ
22a 結合部
23 アンテナ保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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