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特許7588945上サブガイド、上ワイヤガイド、下サブガイドおよび下ワイヤガイド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】上サブガイド、上ワイヤガイド、下サブガイドおよび下ワイヤガイド
(51)【国際特許分類】
   B23H 7/10 20060101AFI20241118BHJP
【FI】
B23H7/10 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023180126
(22)【出願日】2023-10-19
【審査請求日】2024-10-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 聡
(72)【発明者】
【氏名】及川 功志
【審査官】杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-100528(JP,U)
【文献】特開昭62-107922(JP,A)
【文献】国際公開第2023/079598(WO,A1)
【文献】実開昭58-154024(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤ放電加工機において、被加工物よりもワイヤ電極の走行方向の上流側に位置し、上メインガイドとともに前記ワイヤ電極を案内する上サブガイドであって、
前記上メインガイドの孔径よりも大きい孔径を有する保持部と、
前記ワイヤ電極の導入側から前記保持部に向かって徐々に狭まる導入壁面と、
前記保持部から前記ワイヤ電極の導出側に向かって徐々に広がる導出壁面と、を有し、
前記導入壁面の少なくとも一部の断面は、多角形形状または前記多角形形状の各辺を円弧状に内側に湾曲させた形状を有する、上サブガイド。
【請求項2】
前記多角形形状は、正六角形、正七角形、正八角形、正九角形、正十角形のいずれかである、請求項1に記載の上サブガイド。
【請求項3】
請求項1に記載の上サブガイドと、
前記上メインガイドと、
前記上サブガイドおよび前記上メインガイドを収容する上ガイドホルダと、を備える上ワイヤガイド。
【請求項4】
前記上ガイドホルダは、前記上サブガイドと前記上メインガイドとの間に加工液を供給する側孔を含む、請求項3に記載の上ワイヤガイド。
【請求項5】
ワイヤ放電加工機において、被加工物よりもワイヤ電極の走行方向の下流側に位置し、下メインガイドとともに前記ワイヤ電極を案内する下サブガイドであって、
前記下メインガイドの孔径よりも大きい孔径を有する保持部と、
前記ワイヤ電極の導入側から前記保持部に向かって徐々に狭まる導入壁面と、
前記保持部から前記ワイヤ電極の導出側に向かって徐々に広がる導出壁面と、を有し、
前記導出壁面の少なくとも一部の断面は、多角形形状または前記多角形形状の各辺を円弧状に内側に湾曲させた形状を有する、下サブガイド。
【請求項6】
前記多角形形状は、正六角形、正七角形、正八角形、正九角形、正十角形のいずれかである、請求項5に記載の下サブガイド。
【請求項7】
請求項5に記載の下サブガイドと、
前記下メインガイドと、
前記下メインガイドおよび前記下サブガイドを収容する下ガイドホルダと、を備える下ワイヤガイド。
【請求項8】
前記下ガイドホルダは、前記下メインガイドと前記下サブガイドとの間に加工液を供給する側孔を含む、請求項7に記載の下ワイヤガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤ放電加工機に用いられる、上サブガイドおよびそれを備える上ワイヤガイドならびに下サブガイドおよびそれを備える下ワイヤガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ放電加工機による放電加工にあたっては、まず、被加工物を挟んで設けられる一対のワイヤガイドにワイヤ電極が挿通され、ワイヤ電極が張架される。この作業を結線という。ワイヤガイドは、徐々に繰り出されて走行するワイヤ電極を、案内するとともに位置決めする。張架されたワイヤ電極に対しては、通電子を介して電圧が供給される。以下、被加工物を基準に、ワイヤ電極の走行方向の上流側にあるワイヤガイドを上ワイヤガイド、ワイヤ電極の走行方向の下流側にあるガイドを下ワイヤガイドという。また、ワイヤガイドにおいて、ワイヤ電極を直接的に保持する部材をガイド本体という。一般に、ガイド本体は、ダイヤモンドやサファイア等の耐摩耗性に優れた絶縁体から製造される。
【0003】
ここで、特許文献1に開示されるように、ガイド本体の貫通孔を、ワイヤ電極の直径よりもわずかに大きい孔径を有する保持部と、ワイヤ電極の導入側から保持部に向かって徐々に狭まる略逆円錐形状の導入壁面と、保持部からワイヤ電極の導出側に向かって徐々に広がる略円錐形状の導出壁面と、から構成することが知られている。従来の導入壁面および導出壁面はともにその断面が円形状であるので、ワイヤ電極は、導入壁面のある断面において1点で支持されるとともに、導出壁面のある断面において1点で支持される。
【0004】
また、特許文献2に開示されるように、ガイド本体は、上ワイヤガイドおよび下ワイヤガイドにそれぞれ2つずつ設けられてもよい。ワイヤ電極の直径よりもわずかに大きい孔径を有するメインガイドと、メインガイドの孔径よりも大きい孔径を有するサブガイドとでワイヤ電極を案内することで、より安定してワイヤ電極の保持が行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-283423号公報
【文献】特開平03-234421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ワイヤ電極の保持の安定性を高め、高精度加工を実現するためには、ガイド本体の孔径を小さくすることが考えられる。しかしながら、ワイヤ電極が挿通しにくくなり結線が失敗しやすくなる上、ワイヤ電極との接触面積が増えることにより断線しやすくなるというデメリットも生じるので、ガイド本体の小径化には限界がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、結線率や断線率に大きな悪影響を与えることなく、ワイヤ電極を安定して保持し、振動や位置ずれを抑制できるサブガイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、ワイヤ放電加工機において、被加工物よりもワイヤ電極の走行方向の上流側に位置し、メインガイドとともにワイヤ電極を案内する上サブガイドであって、上メインガイドの孔径よりも大きい孔径を有する保持部と、ワイヤ電極の導入側から保持部に向かって徐々に狭まる導入壁面と、保持部からワイヤ電極の導出側に向かって徐々に広がる導出壁面と、を有し、導入壁面の少なくとも一部の断面は、多角形形状または多角形形状の各辺を円弧状に内側に湾曲させた形状を有する、上サブガイドが提供される。
【0009】
また、本発明によれば、ワイヤ放電加工機において、被加工物よりもワイヤ電極の走行方向の下流側に位置し、下メインガイドとともにワイヤ電極を案内する下サブガイドであって、下メインガイドの孔径よりも大きい孔径を有する保持部と、ワイヤ電極の導入側から保持部に向かって徐々に狭まる導入壁面と、保持部からワイヤ電極の導出側に向かって徐々に広がる導出壁面と、を有し、導出壁面の少なくとも一部の断面は、多角形形状または多角形形状の各辺を円弧状に内側に湾曲させた形状を有する、下サブガイドが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上サブガイドによれば、ワイヤ電極は導入壁面における多角形形状または多角形形状の各辺を円弧状に内側に湾曲させた形状の2面に沿って案内される。つまり、上サブガイドの導入壁面のある断面においては、ワイヤ電極は2点で支持される。また、本発明の下サブガイドによれば、ワイヤ電極は導出壁面における多角形形状または多角形形状の各辺を円弧状に内側に湾曲させた形状の2面に沿って案内される。つまり、下サブガイドの導出壁面のある断面においては、ワイヤ電極は2点で支持される。これにより、ワイヤ電極が安定して保持されるので、振動や位置ずれの発生が抑制される。ひいては、より高精度の加工が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】上ガイドユニットおよび下ガイドユニットの斜視図である。
図2】上ガイドユニットおよび下ガイドユニットの断面図である。
図3】上ワイヤガイドおよび下ワイヤガイドの側面図である。
図4図3のIV―IV断面図である。
図5】第1の下ガイドホルダと第2の下ガイドホルダが分離した状態を示す。
図6】上サブガイドの上面図である。
図7図6のVII―VII断面図である。
図8図7のVIII―VIII断面図であって、ワイヤ電極が挿通された状態を示す。
図9】上メインガイドの側面断面図である。
図10】下メインガイドの側面断面図である。
図11】下サブガイドの底面図である。
図12図11のXII―XII断面図である。
図13図12のXIII―XIII断面図であって、ワイヤ電極が挿通された状態を示す。
図14】変形例の上サブガイドに係る上面断面図である。
図15】変形例の下サブガイドに係る底面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に説明される各種変形例は、それぞれ任意に組み合わせて実施することができる。
【0013】
図1および図2は、本実施形態のワイヤ放電加工機の上ガイドユニット1および下ガイドユニット2を示す。上ガイドユニット1と下ガイドユニット2との間には被加工物Wが設置され、ワイヤ電極Eに印加される電圧と逆の極性の電圧が印加される。上ガイドユニット1と下ガイドユニット2との間に張架されたワイヤ電極Eを被加工物Wに対して相対移動させることで、被加工物Wは所望の形状に放電加工される。ワイヤ電極Eと被加工物Wとの間の僅かな隙間である加工間隙には、放電加工中は加工液が供給される。加工液は、純水または油を主成分とする誘電性の流体である。
【0014】
上ガイドユニット1は、ハウジング11と、通電子13と、上ワイヤガイド3と、噴流ノズル15と、を備える。ハウジング11は、通電子13および上ワイヤガイド3を内部に収容する。また、ハウジング11の下面には、噴流ノズル15が取り付けられる。通電子13は、上ワイヤガイド3よりも上流側でワイヤ電極Eと接触し、通電子13を介してワイヤ電極に電圧が印加される。通電子13はワイヤ電極Eを押圧するので、上ワイヤガイド3の上流側のワイヤ電極Eは傾斜する。通電子13は、前後退可能に構成され、結線時はワイヤ電極Eの進路の妨げとならないよう後退し、結線完了後に前進してワイヤ電極Eと接触する。上ワイヤガイド3は、挿通されたワイヤ電極Eを案内するとともに位置決めする。噴流ノズル15は、放電加工時、加工間隙に対して加工液を噴出する。また、噴流ノズル15は結線時、下方に加工液を噴出することでワイヤ電極Eを案内する。
【0015】
下ガイドユニット2は、ハウジング21と、噴流ノズル25と、下ワイヤガイド4と、通電子23と、を備える。ハウジング21は、下ワイヤガイド4および通電子23を内部に収容する。また、ハウジング21の上面には、噴流ノズル25が取り付けられる。噴流ノズル25は、放電加工時、加工間隙に対して加工液を噴出する。下ワイヤガイド4は、挿通されたワイヤ電極Eを案内するとともに位置決めする。通電子23は、下ワイヤガイド4よりも下流側でワイヤ電極Eと接触し、通電子3を介してワイヤ電極に電圧が印加される。通電子23はワイヤ電極Eを押圧するので、下ワイヤガイド4の下流側のワイヤ電極Eは傾斜する。通電子23は、前後退可能に構成され、結線時はワイヤ電極Eの進路の妨げとならないよう後退し、結線完了後に前進してワイヤ電極Eと接触する。
【0016】
図3および図4に示されるように、上ワイヤガイド3は、上ガイドホルダ31と、上サブガイド33と、上メインガイド35と、を含む。上ガイドホルダ31は、支持部材337を介して上サブガイド33を収容し、支持部材357を介して上メインガイド35を収容する。上サブガイド33および上メインガイド35は、ワイヤ電極Eを直接的に保持するガイド本体であって、ダイヤモンドやサファイア等の耐摩耗性に優れた絶縁体からなる。支持部材337,357は、セラミック等の絶縁体からなる。
【0017】
図3および図4に示されるように、下ワイヤガイド4は、下ガイドホルダ41と、下メインガイド43と、下サブガイド45と、を含む。下ガイドホルダ41は、支持部材437を介して下メインガイド43を収容し、支持部材457を介して下サブガイド45を収容する。下メインガイド43および下サブガイド45は、ワイヤ電極Eを直接的に保持するガイド本体であって、ダイヤモンドやサファイア等の耐摩耗性に優れた絶縁体からなる。支持部材437,457は、セラミック等の絶縁体からなる。
【0018】
上ガイドホルダ31は、上サブガイド33と上メインガイド35との間に加工液を供給する側孔311を含んでいてよい。また、下ガイドホルダ41は、下メインガイド43と下サブガイド45との間に加工液を供給する側孔413を含んでいてよい。ワイヤ電極Eは、上ワイヤガイド3および下ワイヤガイド4に対して摺動することで、表面が削り落ちたワイヤ粉が発生することがある。側孔311に加工液を供給することで、上ワイヤガイド3の内部に蓄積したワイヤ粉を上サブガイド33側から排出することができる。また、側孔413に加工液を供給することで、下ワイヤガイド4の内部に蓄積したワイヤ粉を下サブガイド45側から排出することができる。側孔311,413への加工液の供給は、放電加工時常に実施されてよい。
【0019】
図2および図4に示されるように、ワイヤ電極Eの走行方向の上流側から順に、通電子13、上サブガイド33、上メインガイド35、被加工物W、下メインガイド43、下サブガイド45、通電子23の順で配置される。上サブガイド33および上メインガイド35は、被加工物Wよりもワイヤ電極Eの走行方向の上流側に位置し、ワイヤ電極Eを案内する。下メインガイド43および下サブガイド45は、被加工物Wよりもワイヤ電極Eの走行方向の下流側に位置し、ワイヤ電極Eを案内する。
【0020】
メインガイドを収容するガイドホルダとサブガイドを収容するガイドホルダは、一体に形成されてもよいし、分離可能に形成されてもよい。本実施形態においては、上サブガイド33および上メインガイド35は、一体に形成された上ガイドホルダ31に収容される。下メインガイド43および下サブガイド45は、それぞれ第1の下ガイドホルダ411および第2の下ガイドホルダ412に収容され、第1の下ガイドホルダ411および第2の下ガイドホルダ412は、下ガイドホルダ41を構成する。図5に示されるように、第1の下ガイドホルダ411および第2の下ガイドホルダ412は分離可能である。もちろん、上サブガイド33および上メインガイド35はそれぞれ別のガイドホルダに収容されてもよいし、下メインガイド43および下サブガイド45は一体に形成されたガイドホルダに収容されてもよい。
【0021】
図示省略されているが、着脱を容易にするため、上ガイドホルダ31および下ガイドホルダ41の一部にはねじ切り加工がなされていてもよい。上ガイドホルダ31の上部には、上ガイドユニット1のハウジング11に螺合する雄ねじが形成されていてよい。第1の下ガイドホルダ411の内部および第2の下ガイドホルダ412の上部には、それぞれ互いに螺合する雌ねじおよび雄ねじが形成されていてよい。第2の下ガイドホルダ412の下部には、下ガイドユニット2のハウジング21に螺合する雄ねじが形成されていてよい。
【0022】
以下、ガイド本体である、上サブガイド33、上メインガイド35、下メインガイド43および下サブガイド45の構成について詳述する。なお、本明細書において、ガイド本体の断面とは、特段の断りがない限り、ワイヤ電極Eの挿通方向に直交する断面、換言すれば、ワイヤ電極Eが挿通される貫通孔の中心線に直交する断面をいう。
【0023】
図6および図7に示されるように、上サブガイド33は、保持部331と、導入壁面333と、導出壁面335と、を有し、保持部331、導入壁面333および導出壁面335は貫通孔を構成する。保持部331は、上メインガイド35の孔径よりも大きい孔径を有する。保持部331の孔径は、上メインガイド35の孔径よりも大きければよいが、例えば約0.4mmである。導入壁面333は、ワイヤ電極Eの導入側から保持部331に向かって徐々に狭まる形状を有する。導出壁面335は、保持部331からワイヤ電極Eの導出側に向かって徐々に広がる略円錐形状を有する。導出壁面335は、円形の断面を有する。
【0024】
図8に示されるように、導入壁面333の少なくとも一部の断面は、多角形形状を有する。多角形形状は、好ましくは正多角形である。また、頂点が少なすぎると、上サブガイド33が大型化する。頂点が多すぎると、内角が大きくなるのでワイヤ電極Eがずれやすくなる。そのため、多角形形状は、特に、正六角形、正七角形、正八角形、正九角形、正十角形のいずれかであることが好ましい。本実施形態の上サブガイド33によれば、通電子13により傾斜したワイヤ電極Eは、導入壁面333における多角形形状の2面に沿って案内されるので、ワイヤ電極Eが安定して保持される。
【0025】
図9に示されるように、上メインガイド35は、保持部351と、導入壁面353と、導出壁面355と、を有し、保持部351、導入壁面353および導出壁面355は貫通孔を構成する。保持部351は、ワイヤ電極Eの直径よりも僅かに大きい孔径を有する。保持部351の孔径は、ワイヤ電極Eの直径よりも、例えば約5μm以上約20μm以下の範囲で大きい。ワイヤ電極Eの直径に応じて、適切な孔径の上ワイヤガイド3が使用される。導入壁面353は、ワイヤ電極Eの導入側から保持部351に向かって徐々に狭まる略逆円錐形状を有する。導出壁面355は、保持部351からワイヤ電極Eの導出側に向かって徐々に広がる略円錐形状を有する。導入壁面353および導出壁面355は、円形の断面を有する。
【0026】
図10に示されるように、下メインガイド43は、保持部431と、導入壁面433と、導出壁面435と、を有し、保持部431、導入壁面433および導出壁面435は貫通孔を構成する。保持部431は、ワイヤ電極Eの直径よりも僅かに大きい孔径を有する。保持部431の孔径は、ワイヤ電極Eの直径よりも、例えば約5μm以上約20μm以下の範囲で大きい。ワイヤ電極Eの直径に応じて、適切な孔径の下ワイヤガイド4が使用される。導入壁面433は、ワイヤ電極Eの導入側から保持部431に向かって徐々に狭まる略逆円錐形状を有する。導出壁面435は、保持部431からワイヤ電極Eの導出側に向かって徐々に広がる略円錐形状を有する。導入壁面433および導出壁面435は、円形の断面を有する。
【0027】
図11および図12に示されるように、下サブガイド45は、保持部451と、導入壁面453と、導出壁面455と、を有し、保持部451、導入壁面453および導出壁面455は貫通孔を構成する。保持部451は、下メインガイド43の孔径よりも大きい孔径を有する。保持部451の孔径は、下メインガイド43の孔径よりも大きければよいが、例えば、約0.6mmである。導入壁面453は、ワイヤ電極Eの導入側から保持部451に向かって徐々に狭まる略逆円錐形状を有する。導出壁面455は、保持部451からワイヤ電極Eの導出側に向かって徐々に広がる形状を有する。導入壁面453は、円形の断面を有する。
【0028】
図13に示されるように、導出壁面455の少なくとも一部の断面は、多角形形状を有する。多角形形状は、好ましくは正多角形である。また、頂点が少なすぎると、下サブガイド45が大型化する。頂点が多すぎると、内角が大きくなるのでワイヤ電極Eがずれやすくなる。そのため、多角形形状は、特に、正六角形、正七角形、正八角形、正九角形、正十角形のいずれかであることが好ましい。本実施形態の下サブガイド45によれば、通電子23により傾斜したワイヤ電極Eは、導出壁面455における多角形形状の2面に沿って案内されるので、ワイヤ電極Eが安定して保持される。
【0029】
本発明は、以上に説明した実施形態の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形または応用が可能である。
【0030】
例えば、図14に示されるように、上サブガイド33の導入壁面333の少なくとも一部の断面は、多角形形状に代えて、多角形形状の各辺を円弧状に内側に湾曲させた形状を有していてよい。また、図15に示されるように、下サブガイド45の導出壁面455の少なくとも一部の断面は、多角形形状に代えて、多角形形状の各辺を円弧状に内側に湾曲させた形状を有していてよい。このようにしても、ワイヤ電極Eは、2面に沿って案内されるので、ワイヤ電極Eが安定して保持される。
【0031】
また、本実施形態における各ガイド本体においては、導壁面と導出壁面とは直接接しており、保持部は実質的に高さを持たない平面的な円形状の孔である。保持部は円筒状の孔として構成してもよいが、ワイヤ電極Eの断線を防止する観点では、ワイヤ電極Eとの接触面積は極力小さい方が望ましいので、保持部は平面的な孔である方が好ましい。
【符号の説明】
【0032】
3 上ワイヤガイド
31 上ガイドホルダ
311 側孔
33 上サブガイド
331 保持部
333 導入壁面
335 導出壁面
35 上メインガイド
4 下ワイヤガイド
41 下ガイドホルダ
413 側孔
43 下メインガイド
45 下サブガイド
451 保持部
453 導入壁面
455 導出壁面
E ワイヤ電極
W 被加工物
【要約】      (修正有)
【課題】ワイヤ電極を安定して保持し、振動や位置ずれを抑制できるサブガイドを提供する。
【解決手段】上メインガイド35の孔径よりも大きい孔径を有する保持部と、保持部に向かって徐々に狭まる導入壁面と、保持部から徐々に広がる導出壁面と、を有し、導入壁面の少なくとも一部の断面は、多角形形状または多角形形状の各辺を円弧状に内側に湾曲させた形状を有する、上サブガイド33が提供される。または、下メインガイド43の孔径よりも大きい孔径を有する保持部と、保持部に向かって徐々に狭まる導入壁面と、保持部から徐々に広がる導出壁面と、を有し、導出壁面の少なくとも一部の断面は、多角形形状または多角形形状の各辺を円弧状に内側に湾曲させた形状を有する、下サブガイド45が提供される。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15