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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】間仕切り用ユニットおよび間仕切り
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20241118BHJP
【FI】
E04B2/74 561H
E04B2/74 531E
E04B2/74 531G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019211695
(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公開番号】P2020090886
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-02-21
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-25
(31)【優先権主張番号】P 2018220137
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 重人
(72)【発明者】
【氏名】松尾 則之
(72)【発明者】
【氏名】竹田 昌史
(72)【発明者】
【氏名】古賀 隆智
【合議体】
【審判長】古屋野 浩志
【審判官】蔵野 いづみ
【審判官】太田 恒明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-227764(JP,A)
【文献】特開平7-217070(JP,A)
【文献】実開昭50-73782(JP,U)
【文献】実開昭50-73783(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72-2/82
F16H 1/00-1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する支柱どうしを連結する梁が横架された間仕切りの構成単位であるユニットどうしが組み合わせられて前記間仕切りに組み立てられる間仕切り用ユニットであって、
角紙管からなる四角筒状の構造体どうしを連結するジョイント機構を備え、
前記ジョイント機構は、前記構造体において互いに連結される第一構造体および第二構造体前記第一構造体に取り付けられた第三構造体とが設けられ、前記第一構造体が前記間仕切りの前記支柱となり、前記第二構造体が前記間仕切りの前記梁となり、前記第三構造体と前記第二構造体とが嵌め込み可能に設けられた機構であり、
前記第二構造体が嵌め込まれる方向から視た前記第三構造体の外形と前記第二構造体が嵌め込まれる方向とは反対方向から視た前記第二構造体の中空空間の外形とが同様に設けられ、
前記第一構造体および前記第二構造体ならびに前記第三構造体は、前記角紙管からなる四角筒状の前記構造体であり、
前記第三構造体に用いられる前記角紙管は、前記第一構造体に用いられる前記角紙管と断面構造が同じであり、
前記第三構造体は、前記第一構造体に用いられる前記角紙管を切断して得る
ことを特徴とする間仕切り用ユニット。
【請求項2】
前記角紙管は、スパイラル巻き紙管である
ことを特徴とする請求項1に記載の間仕切り用ユニット
【請求項3】
前記構造体の筒面に対して面接触した状態で取り付けられる付属体を備えた
ことを特徴とする請求項1または2に記載の間仕切り用ユニット。
【請求項4】
請求項1~の何れか1項に記載の間仕切り用ユニットを用いた
ことを特徴とする間仕切り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切りを構成するユニットである間仕切り用ユニットおよびこのユニットを備えた間仕切りに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、避難所やイベントスペースといった一時的に使用される場所において、簡易的な間仕切りが用いられている。このような間仕切りには、組み立てが簡単であることや容易に廃棄できることが要求される。
そこで、組立性や易廃棄性の向上が図られた間仕切りが提案されている。たとえば、丸紙管からなる円筒状の構造体が組み合わせられることで組み立てられる間仕切りが検討されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】坂茂建築設計 ホームページ、“避難所用簡易間仕切システム4”、[online]、[平成30年10月15日検索]、インターネット< http://www.shigerubanarchitects.com/SBA_NEWS/pps4/pps4.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の間仕切りには円筒状の構造体が用いられることから、構造体が転がりやすく、構造体の載置性や保管性といった取扱性の低下を招くおそれがある。
よって、間仕切りの取扱性を高めるうえで改善の余地がある。
【0005】
ここで開示する間仕切り用ユニットおよび間仕切りは、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、取扱性を高めることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで開示する間仕切り用ユニットは、角紙管からなる四角筒状の構造体を備える。
ここで開示する間仕切りは、上記の間仕切り用ユニットを備える。
【発明の効果】
【0007】
開示の間仕切り用ユニットおよび間仕切りによれば、取扱性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】角紙管を示す斜視図である。
図2】間仕切りを模式的に示す斜視図である。
図3】間仕切りのジョイント機構を示す分解斜視図である。
図4】間仕切りの好ましい形態のジョイント機構を示す斜視図である。
図5】変形例にかかる間仕切りの要部を示す斜視図である。
図6】もう一つの変形例にかかる間仕切りの要部を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態としての間仕切り用ユニット(以下「ユニット」と略称する)および間仕切りを説明する。
間仕切りは、ユニットどうしが組み合わせられることで組み立てられる。本実施形態のユニットには、角筒状の紙管(以下「角紙管」と称する)が用いられている。
下記の実施形態では、水平面上に組み立てられた間仕切りを具体例に挙げて説明し、水平方向および鉛直方向を説明に用いる。水平方向は、前方(図面では「F」で表記),後方(図面では「B」で表記),左方(図面では「L」で表記)および右方(図面では「R」で表記)の四方向に細別される。また、鉛直方向は、下方(図面では「D」で表記)および上方(図面では「U」で表記)の二方向に細別される。
【0010】
[I.一実施形態]
[1.構成]
本項目[1]では、角紙管を小項目[1-1]で述べ、角紙管からなる角筒状の構造体が設けられた間仕切りを小項目[1-2]で説明する。そして、間仕切りの構造体どうしを連結するジョイント機構を小項目[1-3]で詳述する。
【0011】
[1-1.角紙管]
まず、図1を参照して、角紙管Tを概説する。
角紙管Tは、紙が多層巻きにされた角筒状の中空体であり、筒軸(図1には一点鎖線で示す)に沿って延在する長尺状をなす。ここでは、四角筒状の角紙管Tを例示する。
上記の角紙管Tは、下記の工程1,2を経て形成される。
・工程1:四角柱状のマンドレル(図示省略)に原紙(図示省略)が巻き回される
・工程2:巻き回された原紙がマンドレルから抜き取られる
【0012】
工程1では、以下に例示する方式で原紙が巻き回される。
・ 平巻方式 :マンドレルの軸芯に対して直交する方向の原紙が巻き回される
・スパイラル巻方式:マンドレルの軸芯に対して傾斜する方向の原紙が巻き回される
工程2では、マンドレルから巻き回された原紙が取り外されることで、積層された原紙の内部に四角柱状のマンドレルに対応する中空の空間が形成される。中でも、スパイラル巻方式により得られた角紙管T(スパイラル巻き紙管)は、平巻方式により得られた角紙管T(平巻き紙管)よりも強度が強いため、好ましい。原紙の巻き回数は特に限定しないが、強度と重さのバランスから、3回以上であって5回以下が好ましい。
【0013】
なお、角紙管Tの原紙には、通常の紙管原紙が使用される。紙管原紙としては板紙が好適であり、2層以上の多層抄きした板紙が好ましい。紙管原紙に加えてまたは紙管原紙の一部を替えて、ラミネート紙、プラスチックフィルムや金属箔といった他の材料を用いてもよい。このように他の材料を原紙として、特に角紙管Tの外側に用いることで、角紙管Tの耐久性や強度を高めることができ、防水性あるいは導電性といった機能性を角紙管Tに付加することもできる。また、クラフト紙や着色した紙、印刷した原紙で角紙管Tの表面を覆って美的性を高めることもできる。
【0014】
角紙管Tの筒軸に直交(交差)する方向に沿った断面形状(以下「単に断面形状」と称する)は、四角形であれば特に限定されるものではなく、長方形であっても、正方形であっても構わない。ただし、間仕切りとして支柱となる角紙管Tの断面形状は、正方形あるいは略正方形であることが好ましい。略正方形とは、「角紙管Tの幅の長い方の長さ」÷「角紙管Tの幅の短い方の長さ」の値が、1.0~1.6程度、好ましくは1.0~1.4である。角紙管Tの幅は、5cm~12cmが好ましく、6~11cmがより好ましく、7~10cmが更に好ましい。角紙管Tの幅は、上記下限値以上にすることで十分な強度を得ることができ、上限値以下とすることで組立作業性に適する。角紙管Tの長さは、その用途によって定まるが、160cm~220cm程度である。角紙管Tの紙層の厚み2mm~8mm程度、好ましくは3mm~6mmである。角紙管Tの紙層の厚みは、上記下限値以上にすることで十分な強度を得ることができ、上限値以下とすることで軽量化することができ組立作業性に適する。
角紙管Tは、同等の強度であれば、円筒状の紙管(以下「丸紙管」)よりも軽量な傾向にある。具体的には、断面形状の相違により、矩形の断面形状を有する角紙管Tのほうが円形の断面形状を有する丸紙管よりも単位重量あたりに確保される強度が大きい性向がみられる。
上記のように同等の強度を有する丸紙管よりも軽量な角紙管Tは、つぎに説明する間仕切りに用いられる。
【0015】
[1-2.間仕切り]
以下、図2を参照して、間仕切りPを概説する。
間仕切りPは、「パーティション」とも称され、小部屋状に空間(いわば「大部屋」)を区画する仕切りである。ここでは、直方体状をなす複数の小部屋R(図2には一箇所のみ符号を付す)に空間を仕切る間仕切りPを例示する。
間仕切りPには、複数の支柱A(図2には一箇所のみ符号を付す)が立設され、隣接する支柱Aどうしを連結する梁B(図2には一箇所のみ符号を付す)が横架されている。支柱Aは、小部屋Rの形状に対応する直方体の上面および下面を結ぶ端辺に沿って配置される。梁Bは、小部屋Rの形状に対応する直方体の上面を囲む端辺に沿って配置される。
【0016】
この間仕切りPには、開閉自在なカーテン状に垂れ下げられる仕切材C(図2には二点鎖線で示して符号を一箇所のみに付す)が梁Bに取り付けられている。たとえば、布やフィルム、紙、段ボールといったシート状の部材が仕切材Cに用いられる。安全ピンやクリップなどの止着部材で仕切材Cの一部が止め着けられて形成された筒状の内部に梁Bが挿通された状態とすれば、梁Bに沿って移動可能な仕切材Cが設けられ、仕切材Cによって小部屋Rどうしの連通および遮蔽が可能となる。
【0017】
なお、支柱Aや梁Bとしての強度を損なわない範囲で支柱Aや梁Bをなす部材(後述する第一部材1や第二部材2)に孔を空けておき、ハンガーや照明などを掛けることもできる。
上記の間仕切りPは、構成単位のユニットに分解することができ、ユニットどうしが組み合わせられて組み立てられる。たとえば、支柱Aの単体部材や梁Bの単体部材,支柱Aおよび梁Bの連結されたモジュール部材といった構成単位がユニットとして挙げられる。
【0018】
[1-3.ジョイント機構]
つぎに、図3を参照して、ジョイント機構M1~M3を例説する。
具体的には、支柱Aと梁Bとを連結する第一ジョイント機構M1および第二ジョイント機構M2と、梁Bどうしを連結する第三ジョイント機構M3とを例に挙げて説明する。なお、図3では、例説のためジョイント機構M1~M3をまとめて記載しているが、ジョイント機構M1~M3のうち何れか単独を用いて間仕切りPを形成することもできる。
【0019】
――第一ジョイント機構――
第一ジョイント機構M1には、第一部材1(第一構造体),第二部材2(第二構造体)および第三部材3(第三構造体)が設けられている。
第一部材1および第二部材2は、何れか一方が支柱Aに対応する部材であり、何れか他方が梁Bに対応する部材である。第三部材3は、第一部材1および第二部材2の連結部材である。
【0020】
上記の部材1~3は、角紙管T(図1参照)からなる角筒状の構造体である。
第三部材3は、第一部材1および第二部材2よりも短尺の部材である。この第三部材3は、第一部材1と第二部材2とが連結される箇所において、第一部材1に対して貼り付けられる。
このように取り付けられた第一部材1および第三部材3のモジュール部材やこのモジュール部材に第二部材2が連結されたモジュール部材は、間仕切りPのユニットをなす。第二部材2の単体部材も間仕切りPのユニットをなす。
【0021】
この第一ジョイント機構M1では、第二部材2と第三部材3との嵌め込みが可能に設けられている。なお、第二部材2と第三部材3とが嵌め外し自在である第一ジョイント機構M1が好ましい。具体的には、第二部材2において内部空間の形状をなす四角柱の一部と第三部材3の外形とが同等の大きさに設定されている。
上記の第一ジョイント機構M1では、第三部材3が第二部材2に嵌め込まれて第一部材1に突き当てられることで、第三部材3を介して第二部材2が第一部材1に連結された第一組立状態となる。反対に、第一組立状態における第二部材2から第三部材3が抜き外されることで、第一部材1に連結されていた第二部材2が取り外された第一分解状態となる。そのほか、第一組立状態で第一部材1と第三部材3とがテープ止めされた場合には、連結された部材1,3どうしが互いに固定される。
【0022】
図3には、下記の部材1~3を例示する。
・第一部材1:前後左右の各方向に筒面を向けて上下に延在する支柱A
・第二部材2:上下左右の各方向に筒面を向けて前後に延在する梁B
・第三部材3:上下左右の各方向に筒面を向けて取り付けられる連結部材
なお、第二部材2の内部へ第三部材3が嵌め込まれる構成に限らず、第三部材3の内部へ第二部材2が嵌め込まれる構成を採用してもよい。
【0023】
ここで、図4を参照して、第一ジョイント機構M1の好ましい形態としての第一ジョイント機構M1′を説明する。
第一ジョイント機構M1′における第三部材3A(第三構造体)の断面形状(断面構造)は、支柱Aとなる第一部材1A(第一構造体)または第二部材2A(第二構造体,図4では第一部材1Aの支柱Aおよび第二部材2Aの梁Bを例示する)と同じ断面形状(断面構造)である。具体的に言えば、第一部材1Aが水平面で切断された部材は、第三部材3Aと同じ形状をなす。すなわち、第一部材1Aおよび第三部材3Aのそれぞれにおいて水平方向に沿った断面形状が互いに同じである。
【0024】
この場合には、第一部材1Aである支柱Aの筒面と第三部材3Aの筒面とが互いに接着(角紙管Tの面どうしを接着固定)される。このような面接着により、第一部材1Aと第三部材3Aとを強固に接着固定することができる。また、第一部材1Aで用いる角紙管Tを所定の寸法(図4では上下寸法)で切断することで、第三部材3Aを得ることができる。よって、第一部材1Aおよび第三部材3Aのそれぞれとなる角紙管Tを共用することができ、新たな形状の角紙管Tを準備する必要がなくなる。
【0025】
上記のジョイント機構M1′では、第二部材2Aが嵌め込まれる方向(以下「嵌込方向」と称する)から視た第三部材3Aの外形と、嵌込方向とは反対方向から視た第二部材2Aの中空空間の外形とが同様に設けられる。
詳細に言えば、第二部材2Aにおける水平方向の内寸a(断面形状の一辺の内側の寸法)が、第三部材3A(第一部材1A)における水平方向の外寸a′(断面形状の一辺の外側の寸法)と同一寸法に設定される。また、第二部材2Aにおける高さ方向の内寸b(断面形状の他の一辺の内側の寸法)が、第三部材3Aにおける高さ方向の外寸b′(断面形状の他の一辺の外側の寸法)と同一寸法に設定される。ただし、第二部材2Aの内寸aが第三部材3Aの外寸a′よりもやや大きくてもよく、同様に、第二部材2Aの内寸bが第三部材3Aの外寸b′よりもやや大きくてもよい。
【0026】
上記のような寸法設定により、第三部材3Aのなす連結部材に第二部材2Aを嵌め込むことができる。
このように取り付けられた第一部材1Aおよび第三部材3Aのモジュール部材やこのモジュール部材に第二部材2Aが連結されたモジュール部材についても、間仕切りPのユニットをなし、第二部材2Aの単体部材も間仕切りPのユニットをなす。
【0027】
――第二ジョイント機構――
図3に示すように、第二ジョイント機構M2には、上記の第一部材1のほか第四部材4が設けられている。
第二ジョイント機構M2の第一部材1には、その延在方向に対して直交(交差)する方向に貫通する孔(以下「貫通孔」と称する)Hが設けられている。この貫通孔Hに対して挿抜自在に第四部材4(図3では貫通孔Hに挿通された第四部材4の先端部を二点鎖線で示す)が設けられる。すなわち、第二ジョイント機構M2は、互いに連結される部材1,4の一部で構成される。
【0028】
第一部材1および第四部材4は、何れか一方が支柱Aに対応する部材であり、何れか他方が梁Bに対応する部材である。第四部材4は、第一部材1と同様に、角紙管T(図1参照)からなる角筒状の構造体である。
貫通孔Hは、第四部材4の外形に応じた大きさの矩形状に第一部材1の筒面が穿設された貫通構造である。ここでは、貫通孔Hとして第一貫通孔H1および第二貫通孔H2の二つが設けられている。これらの貫通孔H1,H2は、第四部材4が挿通される方向視で重複する箇所に配置されている。
【0029】
貫通孔Hの設けられた第一部材1および第四部材4のモジュール部材は、間仕切りPのユニットをなす。第一部材1の単体部材や第四部材4の単体部材も間仕切りPのユニットをなす。
上記の第二ジョイント機構M2では、第一部材1の貫通孔H1,H2に第四部材4が挿通されることで、第四部材4が第一部材1に連結された第二組立状態となる。反対に、第二組立状態における第一部材1の貫通孔H1,H2から第四部材4が抜き取られることで、第一部材1に連結されていた第四部材4が取り外された第二分解状態となる。そのほか、第二組立状態で第一部材1と第四部材4とがテープ止めされた場合には、連結された部材1,4どうしが互いに固定される。
【0030】
図3には、下記の第四部材4および貫通孔H1,H2を例示する。
・ 第四部材4 :上下前後の各方向に筒面を向けて左右に延在する梁B
・第一貫通孔H1:第一部材1において左方を向く筒面に穿設された貫通孔H
・第二貫通孔H2:第一部材1において右方を向く筒面に穿設された貫通孔H
なお、第一部材1の貫通孔Hに対して第四部材4の挿抜可能な構成に限らず、第四部材4に穿設された貫通孔Hに第一部材1を挿抜可能な構成を採用してもよい。
【0031】
――第三ジョイント機構――
第三ジョイント機構M3には、第四部材4のほか、第四部材4に対して連結される第五部材5と、これらの部材4,5の双方に対して嵌め込みが可能な第六部材6とが設けられている。なお、第四部材4および第五部材5に対して第六部材6が嵌め外し自在である第三ジョイント機構M3が好ましい。
第四部材4および第五部材5は、同方向に延在する部材であり、支柱Aまたは梁Bに対応する部材である。第六部材6は、第四部材4および第五部材5の継手部材である。
【0032】
第五部材5および第六部材6は、第四部材4と同様に、角紙管T(図1参照)からなる角筒状の構造体である。
この第三ジョイント機構M3では、第四部材4および第五部材5の双方とも、断面形状および断面サイズが同様に設けられている。これらの部材4,5の内部空間の形状をなす四角柱の一部に対して、第六部材6の外形が同等の大きさに設定されている。すなわち、第六部材6に対して第四部材4や第五部材5が摺動可能なテレスコピック機構として、第三ジョイント機構M3が設けられている。
【0033】
これらの部材4,5,6のうち二つまたは三つの部材であるモジュール部材は、間仕切りPのユニットをなす。部材4,5,6の各単体部材もユニットをなす。
上記の第三ジョイント機構M3では、第四部材4に対して第六部材6の一側(図3では左下側)が嵌め込まれるとともに第五部材5に対して第六部材6の他側(図3では右上側)が嵌め込まれることで、第四部材4と第五部材5とが第六部材6を介して連結された第三組立状態となる。反対に、第三組立状態における第四部材4および第五部材5の双方から第六部材6が抜き取られることで、連結されていた第四部材4および第五部材5が互いに取り外された第三分解状態となる。そのほか、第三組立状態で第四部材4と第五部材5とがテープ止めされた場合には、連結された部材4,5どうしが互いに固定される。
【0034】
図3には、下記の部材5,6を例示する。
・第五部材5:上下前後の各方向に筒面を向けて左右に延在する梁B
・第六部材6:上下前後の各方向に筒面を向けて左右に延在する継手部材
なお、第四部材4および第五部材5の内部に挿抜される第六部材6に限らず、第六部材6の内部に対して第四部材4および第五部材5が挿抜される構成を採用してもよい。
【0035】
[2.作用および効果]
本実施形態は上述のように構成されるため、以下のような作用および効果を得ることができる。
間仕切りPのユニットに角紙管Tからなる角筒状の部材1~6が用いられることから、間仕切りに丸紙管からなる円筒状の部材が用いられるのと比較して、部材1~6のユニットが転がりにくく、ユニットを安定して載置や保管することが可能となる。
よって、間仕切りPの取扱性を高めることができる。
【0036】
さらに、同等の強度を有する丸紙管よりも軽量の角紙管Tが部材1~6に用いられることから、丸紙管からなる円筒状の部材が用いられた間仕切りと比較して、間仕切りPを軽量化することができる。この点からも、間仕切りPの取扱性を高めることができる。
上記の部材1~6がジョイント機構M1~M3によって連結されることから、モジュール部材や単体部材のさまざまなユニットを連結させて間仕切りPを組み立てることができる。この点からも、間仕切りPの取扱性を高めることができる。部材1~6が紙材料であれば、間仕切りPのリサイクル適性や易廃棄性をも高めることができる。
【0037】
第一ジョイント機構M1によれば、第二部材2を第三部材3に嵌め込むだけで第一部材1と第二部材2とを連結させることができる。第二部材2と第三部材3とが嵌め外し自在であれば、第三部材3から第二部材2を取り外すだけで部材1,2どうしの連結を解除することもできる。このように容易に組み立てられる間仕切りPは、組立性が高まる。
【0038】
第二ジョイント機構M2は、互いに連結される部材1,4の一部で構成されることから、間仕切りPの軽量化やユニット数の低減に資する。
この第二ジョイント機構M2によれば、第一部材1の貫通孔H1,H2に第四部材4を挿通するだけで第一部材1と第四部材4とを連結することができ、貫通孔H1,H2から第四部材4を抜き取るだけで部材1,4どうしの連結を解除することができる。また、第三ジョイント機構M3によれば、第四部材4および第五部材5に第六部材6を嵌め込むだけで第四部材4と第五部材5とを連結することができる。第四部材4および第五部材5に対して第六部材6が嵌め外し自在であれば、第四部材4および第五部材5から第六部材6を抜き取るだけで部材4,5どうしの連結を解除することができる。これらの第二ジョイント機構M2および第三ジョイント機構M3によっても、間仕切りPを容易に組み立てることができる。
【0039】
そのほか、四角筒状の部材1~6が用いられることから、三角筒状または五角以上の多角筒状の部材と比較して積み重ねやすく、五角以上の多角筒状の部材よりも転がりにくい。かかる点からも、間仕切りPの取扱性を高めることができる。
なお、間仕切りPは、ユニットから組み立てられることから、上述のユニットによる作用および効果を得ることができる。
【0040】
[II.その他]
上述した実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
【0041】
たとえば、図5に示すように、支柱A′や梁B′をなす部材に加えて、支柱A′や梁B′の筒面に対して面接触した状態で貼り付けられる付属体D′が間仕切りP′に設けられてもよい。
このように取り付けられた付属体D′には、少なくとも外表面に平面を有する部材が用いられる。たとえば、平板状の板紙材(いわゆる「平板アングル」)が付属体D′に用いられる。
【0042】
図5には、付属体D′の例として、隣接する支柱Aの間で交差して設けられた筋交い状の第一付属体D1′や、互いに直交(交差)する梁B′のそれぞれに交差して取り付けられた火打ち梁状の第二付属体D2′を示す。これらのように間仕切りP′の補強部材として設けられる付属体D1′,D2′のほか、支柱A′や梁B′における任意の箇所に取り付けられた付属体D′をハンガー掛けやペン立てといったアクセサリ部材として利用することもできる。
【0043】
上記のように間仕切りP′で付属体D′が面接触した状態で取り付けられることから、間仕切りに丸紙管からなる円筒状の部材を用いられた場合と比較して、支柱A′や梁B′と付属体D′との結合面積を確保することができ、間仕切りP′に対して付属体D′を確実に取り付けることができる。
さらに、補強部材の付属体D1′,D2′が設けられた場合には、堅牢な間仕切りP′を組み立てることができる。ハンガー掛けやペン立てといったアクセサリ部材として付属体D′が利用された場合には、間仕切りP′のユーザビリティを高めることができる。
【0044】
また、図6に示すように、支柱A″と梁B″とを連結する第四ジョイント機構M4を採用してもよい。
第四ジョイント機構M4には、互いに連結される第七部材7(第四構造体)および第八部材8(第五構造体)が設けられている。これらの部材7,8は、角紙管T(図1参照)からなる角筒状の構造体であり、互いに直交(交差)する姿勢で連結される。なお、図6では、角紙管Tの四面のうち斜視方向手前側の二面のみを実線で図示し、実線で図示する箇所以外の要部を破線で示している。
【0045】
第七部材7および第八部材8は、何れか一方が支柱A″(図6には第七部材7を例示する)に対応する部材であり、何れか他方が梁B″(図6には第八部材8を例示する)に対応する部材である。
第七部材7および第八部材8のモジュール部材は間仕切りP″のユニットをなし、第七部材7や第八部材8の単体部材も間仕切りP″のユニットをなす。
第七部材7には、第八部材8よりも太い部材が用いられる。具体的に言えば、立設された第七部材7の水平断面において中空空間を囲繞する端辺の寸法Xは、水平方向に沿って延在する第八部材8において上面視で筒軸と直交する方向の外形の寸法Yよりも大きく設定される。
【0046】
第四ジョイント機構M4には、第七部材7および第八部材8を互いに嵌め込み可能にする切込部Sが設けられている。すなわち、部材7,8の一部で第四ジョイント機構M4が構成される。
ここで例示する切込部Sには、第七部材7に切り込まれた第一切込部S1が設けられ、第八部材8に切り込まれた第二切込部S2が設けられている。
切込部S1,S2を介して部材7,8どうしが嵌め込まれることで、第七部材7と第八部材8とが連結される。この嵌め込みが解除されれば、第七部材7と第八部材8との連結も解除され、第七部材7および第八部材8の何れか一方から他方が取り外される。
【0047】
第一切込部S1は、第七部材7の筒面に設けられた二つ(一対)の切れ込みから構成され、第七部材7の延在方向端部から第七部材7の延在方向に沿って直線状に切り込まれている。第一切込部S1を構成する切れ込みどうしが最も離間する寸法Zは、上記の寸法Yよりもやや大きく設定されている。
なお、図6に二点鎖線で示すように、二つの切れ込みに加えて二つの切れ込みの間が切り取られた部位が第一切込部S1であってもよい。
【0048】
第二切込部S2は、第八部材8における四つの筒面のうち連設された三つの筒面に跨がって設けられた直線状の切れ込みから構成され、第八部材8の延在方向端部よりもやや内側で第八部材8の延在方向に直交する平面に沿ってコ字形に切り込まれている。
ここで例示する切込部S1,S2は、第七部材7と第八部材8とが連結された状態で第七部材7の端面に沿って第八部材8が延在するように、第一切込部S1の切り込まれた第一深さ寸法L1と第二切込部S2の切り込まれた第二深さ寸法L2とが設定される。詳細に言えば、第一深さ寸法L1,第二深さ寸法L2および第八部材8における紙層の厚み寸法L3の和(L1+L2+L3)は、第八部材8の嵌め込み方向における外形の寸法L4と等しくあるいはほぼ等しく設定される。
【0049】
第七部材7と第八部材8とが連結されると、第七部材7において第一切込部S1に対して両側に存在する部位で第八部材8が挟装される。そのため、第一切込部S1の切れ込みが並ぶ方向への第八部材8の動きが規制される。また、第二切込部S2に対して第八部材8の延在方向の両側の存在される部位で第七部材7が挟装され、第八部材8の延在方向への第八部材8の動きが規制される。
【0050】
上述の切込部S1,S2で部材7,8が連結される第四ジョイント機構M4は、部材7,8の一部で構成されることから、間仕切りP″の軽量化やユニット数の低減に資する。
さらに、第一切込部S1と第二切込部S2とを嵌め込むだけで部材7,8どうしを連結することができる。第一切込部S1と第二切込部S2との嵌め込みを解除すれば、部材7,8どうしを容易に取り外すこともできる。
【0051】
なお、切込部Sから第一切込部S1を省略してもよい。このように第二切込部S2のみの切込部Sを採用した場合には、間仕切りP″のユニットを簡素な構成にすることができる。この場合には、第一切込部S1の切れ込みが並ぶ方向への第八部材8の動きが規制されず、第七部材7に連結された第八部材8の安定性がやや低下するおそれがある。
そこで、第七部材7と第八部材8とが連結された状態を固定するために、第四ジョイント機構M4に、互いに直角に屈曲した板状部からなる側面視でL字状の板紙材(以下「アングル」と称する)9を付設してもよい。互いに連結された部材7,8の双方にアングル9をボルトやナットといったアンカー部材10で固定すれば、部材7,8の連結状態を確実に保持することができる。
【0052】
そのほか、上述のジョイント機構M1~M4に加えてまたは替えて、さまざまな公知のジョイント機構を用いてもよい。
なお、第三部材3や付属体D′にかかる貼り付け手法には、粘着テープや接着剤による貼り付け手法だけでなく、その他のさまざまな公知の取り付け手法も含まれる。
【符号の説明】
【0053】
A,A′,A″ 支柱
B,B′,B″ 梁
C 仕切材
D′ 付属体
D1′ 第一付属体
D2′ 第二付属体
H 貫通孔
H1 第一貫通孔
H2 第二貫通孔
1,L2,L3,L4,X,Y,Z 寸法
M1 第一ジョイント機構
M2 第二ジョイント機構
M3 第三ジョイント機構
M4 第四ジョイント機構
P,P′,P″ 間仕切り
R 小部屋
S 切込部
S1 第一切込部
S2 第二切込部
T 角紙管
1 第一部材
2 第二部材
3 第三部材
4 第四部材
5 第五部材
6 第六部材
7 第七部材
8 第八部材
9 アングル
10 アンカー部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6