(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/40 20230101AFI20241118BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20241118BHJP
H04N 23/667 20230101ALI20241118BHJP
【FI】
H04N23/40 100
G03B17/02
H04N23/667
(21)【出願番号】P 2020032453
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 貴純
【審査官】吉川 康男
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-173038(JP,A)
【文献】特開2005-352927(JP,A)
【文献】特開2019-185023(JP,A)
【文献】国際公開第2018/135313(WO,A1)
【文献】特開2020-005250(JP,A)
【文献】特開2012-237870(JP,A)
【文献】特開2006-243091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/40
G03B 17/02
H04N 23/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮影モードに切り替え可能な撮像装置において、
レリーズボタンと、前記レリーズボタンに対するユーザーの操作に応じた触覚をユーザーに伝えるために前記撮像装置を振動させる振動デバイスと、前記振動デバイスの駆動を制御する複数の振動パターンを有する振動制御手段と、を備え、
前記振動制御手段は、撮影モードが電子シャッタを用いた撮影を行うモードである場合において、連写する撮影の枚数が多いときは連写する撮影の枚数が少ないときに比べて、前記振動デバイスの振動継続時間を短く設定することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記振動デバイスの振動パラメータは、振動周波数、振幅、振動継続時間を含むことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記振動デバイスが取り付けられた外装部材と、前記振動デバイスに接触している振動伝搬部材と、前記レリーズボタンが第一の位置から第二の位置に操作されたことを検出する検出手段とを有し、
前記振動デバイスは、前記第二の位置の撮影開始状態において前記レリーズボタンを振動させる第1の振動モードと、前記第一の位置において前記外装部材を振動させる第2の振動モードを備え、
前記第一の位置において前記レリーズボタンが前記振動伝搬部材と接触せず、前記第二の位置又は前記レリーズボタンが前記第二の位置に達する前において前記レリーズボタンが前記振動伝搬部材に接触することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記振動制御手段は、前記撮影モードがメカシャッターを用いた撮影を行うモードである場合には前記振動デバイスの駆動をOFFに設定し、前記撮影モードが
電子シャッターを用いた撮影を行うモードである場合には前記振動デバイスの駆動をONに設定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記電子シャッタを用いた撮影を行うモードは前記振動デバイスの静音モードと前記振動デバイスの非静音モードとを有し、
前記振動制御手段は、前記静音モードである場合、前記振動デバイスの振動を小さく設定し、前記非静音モードである場合、前記振動デバイスの振動を大きく設定することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記電子シャッタを用いた撮影を行うモードにおいて、前記振動制御手段は、前記電子シャッタのシャッタ速度が速いとき前記電子シャッタのシャッタ速度が遅いときに比べて、前記振動デバイスの振動継続時間を短く設定することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記電子シャッタを用いた撮影を行うモードにおいて、前記振動制御手段は、1秒間の撮影の枚数の速度が所定の閾値以上に設定されている場合の振動デバイスの振幅が1秒間の撮影の枚数の速度が所定の閾値未満に設定されている場合の振動デバイスの振幅よりも小さく設定することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
撮像光学系の焦点距離が長いときの振動デバイスの振動が前記撮像光学系の焦点距離が短いときの振動デバイスの振動よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイスを有するデジタルカメラ、等々の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、美術館などの雑音を気にする静かな環境下でも撮影したい要望が増えている。
【0003】
一般的に撮像装置はシャッタ機構を制御して撮影する機械シャッタ方式(以下、メカシャッタという)のため、ユーザは撮影時の機械シャッタの動作による振動や音が発生する。
【0004】
それにより撮影した操作感を得られるが、静かな環境下では撮影をすることができない。
【0005】
そこで、最近ではメカシャッタに加え、撮像素子を電子的に制御して撮影する電子シャッタ方式(以下、電子シャッタという)を搭載した撮像装置が増えている。
【0006】
しかし、電子シャッタはメカシャッタの機構が動かないため無音で撮れる一方で、ユーザはメカシャッタで得ていた撮影した操作感を得ることができない。
【0007】
特許文献1には、ユーザが入力操作を行うと、撮像装置内に配置した複数の振動デバイスを駆動することで、撮影した操作感をユーザに伝達する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1はメカシャッタで得ていた撮影した操作感を得るために、複数の振動デバイスを同時に駆動することで大きな振動を発生させる。
【0010】
そのため、静かな環境下では振動デバイスの駆動音が騒音となる可能性がある。また、撮像装置はメカシャッタと電子シャッタの両方を搭載している場合が多くなっている。
【0011】
そのため、ユーザが選択したシャッタ方式に応じて振動デバイスの振動制御を行わないと、ユーザがメカシャッタを選択し振動デバイスによる撮影した操作感が不要の場合でも、レリーズボタン操作時に振動デバイスを駆動させてしまう。
【0012】
つまり、メカシャッタの動作で発生した振動に、振動デバイスによる振動が加わることで、ユーザに違和感ある操作感を与えてしまう可能性がある。
【0013】
さらに、撮像装置は電子シャッタによる連写撮影枚数が秒間数十枚程度の高速撮影が可能になっている。
【0014】
そのため、単写撮影時と同じ振動パターンでユーザに撮影した操作感を与えると、連写の撮影間隔に対して振動デバイスによる振動間隔が遅れ、ユーザに違和感を与えてしまう可能性がある。
【0015】
そこで本発明の目的は、ユーザが選択した様々な撮影設定に応じて、適宜振動デバイスの振動パターンを変更する。
【0016】
そして、静かな環境下での撮影に対応し、尚且つユーザに違和感ない撮影した操作感を与えることが可能な撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
その課題を解決するために、本発明は、複数の撮影モードに切り替え可能な撮像装置において、レリーズボタンと、前記レリーズボタンに対するユーザーの操作に応じた触覚をユーザーに伝えるために前記撮像装置を振動させる振動デバイスと、前記振動デバイスの駆動を制御する複数の振動パターンを有する振動制御手段と、を備え、前記振動制御手段は、撮影モードが電子シャッタを用いた撮影を行うモードである場合において、連写する撮影の枚数が多いときは連写する撮影の枚数が少ないときに比べて、前記振動デバイスの振動継続時間を短く設定するよう構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ユーザが選択した様々な撮影設定に応じて、適宜振動デバイスの振動パターンを変更する。
【0019】
そのため、静かな環境下での撮影に対応し、尚且つユーザに違和感ない撮影した操作感を与えることを可能とする撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態であるカメラの前面および後面斜視図と、カメラ本体と交換レンズの取り付けを示す分解斜視図、振動デバイスの内部構造とを示す図。
【
図2】本発明の実施形態であるカメラの構成を示すブロック図。
【
図4】本発明の実施形態であるフロントカバーユニットの分解斜視図。
【
図5】本発明の実施形態であるフロントカバーユニットの断面図と振動デバイスから発生した振動が伝搬する様子を示す図。
【
図6】本発明の実施形態であるカメラにおける撮像時における制御部115のタイミングチャート。
【
図7】本発明の実施形態である振動パターン管理テーブルの図。
【
図8】本発明の実施形態であるカメラの主な動作の一部を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の実施形態であるカメラの主な動作の一部を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施形態であるカメラの主な動作の一部を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施形態であるカメラの主な動作の一部を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の実施形態であるカメラの主な動作の一部を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の実施形態であるカメラの主な動作の一部を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の実施形態であるカメラの主な動作の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(撮像装置の一例)
以下、本発明の実施の形態による撮像装置の一例について、
図1~
図6を参照して説明する。
【0022】
図1は、交換レンズを装着可能な撮像装置としてのレンズ交換式デジタルカメラ(以下、カメラという)の本体斜視図である。
【0023】
図1(a)はカメラ100の前面本体斜視図、
図1(b)はカメラ100の背面本体斜視図である。
図1(c)はカメラ100に装着する交換レンズ102の装着前の状態図である。
図1(d)は振動デバイス109の内部構造を説明する図である。
【0024】
カメラ100の前面には、ユーザがカメラ100を把持するためにカメラ100の前方に突出するフロントグリップ202が設けられている。
【0025】
また、カメラ100の前面中央には、交換レンズ102を着脱可能とするマウント部107が設けられている。
【0026】
交換レンズ102の外周には、回転操作リング103が設けられている。
【0027】
回転操作リング103は、ユーザが交換レンズ102の光軸回りで回転操作可能であり、ユーザは、焦点位置や露出値等の撮像条件を変更する機能を回転操作リング103に割り当てることができる。
【0028】
カメラ100の上面には、電源レバー104、モードダイアル105、レリーズボタン106を備える。
【0029】
電源レバー104は、ユーザのレバー操作により、カメラ100の電源オン/オフを切り替える操作手段である。
【0030】
モードダイアル105は、ユーザの回転操作により各種撮像モードを切り替える操作手段である。
【0031】
各種撮像モードには、シャッタ速度や絞り値等の撮像条件をユーザが任意に設定可能なマニュアル静止画撮像モード、自動で適正な露光量が得られるオート静止画撮像モードおよび動画を撮像するための動画撮像モード等がある。
【0032】
レリーズボタン106は、ユーザの押圧操作により撮像を開始する撮影開始操作手段(撮影入力手段)である。フロントグリップ202の内側には、後述する振動デバイス109が取り付けられている。
【0033】
レリーズボタン106は、SW1で撮影準備動作を開始し、SW2で操作開始動作(露光開始)を指示する機能がある。
【0034】
振動デバイス109は、例えばリニアアクチュエータ(LRA)タイプや圧電素子タイプの振動デバイスであり、振動強度(振幅)や振動周波数等の振動パラメータの可変設定が可能である。
【0035】
振動デバイス109は、回転操作リング103、モードダイアル105およびレリーズボタン106等の操作部材のユーザ操作に応じて振動を発生する。
【0036】
さらに、振動デバイス109は、振動パラメータを変更することで、様々な振動パターンの振動を発生させることができる。
【0037】
カメラ100の背面には、背面操作部(操作手段)110と、表示部111とが設けられている。
【0038】
カメラ100の電源がオン状態であり、静止画または動画撮像モードが設定されているとき、表示部111には、不図示の撮像素子に撮像されている被写体像の画像信号(スルー画像)が表示される。
【0039】
また、表示部111には、シャッタ速度や絞り値等の撮像条件を示す撮像パラメータが表示される。
【0040】
そして、ユーザは表示部111の表示を見ながら背面操作部110を操作することによって撮像パラメータの設定値を変更することが可能である。
【0041】
また、背面操作部110は、記録された撮像画像の再生を指示するための再生ボタン1101を含み、該再生ボタン1101をユーザが操作することで、撮像画像が表示部111に再生表示される。
【0042】
また、背面操作部110は、動画撮影を指示するための動画ボタン1102を含み、該動画ボタン1102をユーザが操作することで、動画撮影の開始、そして停止を行う。
【0043】
カメラ100のマウント部107には、電気接点群108を備えている。カメラ100は、マウント部107に装着された交換レンズ102との通信や電源供給は、電気接点群108を介して行われる。
【0044】
(振動デバイス109の内部構造)
図1(d)は、フロントグリップ202の内側に取り付けられた振動デバイス109の内部構造を示している。
【0045】
LRA(リニアレゾナントアクチュエーター)タイプの振動デバイス109は、振動子109a、マグネット109b、バネ109c、コイル109dおよびベース109eにより構成されている。
【0046】
振動子109aは、マグネット109bを保持し、かつベース109eに対してバネ109cにより移動可能に結合されている。
【0047】
コイル109dは、マグネット109bの近傍に配置され、システムシステム制御部115(
図2参照)と電気的に接続される。
【0048】
コイル109dは、システムシステム制御部115から電流を与えられることで電磁力を発生し、その電磁力とマグネット109bとの間の吸着力また反発力により振動子109aが往復運動し、振動デバイス109に振動が発生する。
【0049】
(カメラシステム全体のブロック図)
図2は、カメラ100の電気的および光学的な構成を示している。
【0050】
カメラ100は、後述する各部に電源を供給する電源部113と、前述した電源レバー104、モードダイアル105、レリーズボタン106および背面操作部110を含む操作部114とを有する。
【0051】
カメラ100および交換レンズ102からなるカメラシステム全体の制御は、システム制御部115によって行われる。
【0052】
この際、交換レンズ102は、前述した電気接点群107を介してシステム制御部115との通信を行う。
【0053】
システム制御部115は、不図示のメモリに格納されている制御プログラムを読み出して実行することで、カメラシステム全体を制御する。
【0054】
交換レンズ102は、光軸方向に移動して変倍を行うズームレンズを含むズームユニット116と、光軸に対して直交するX/Y軸方向に移動(シフト)して像振れを低減(補正)するシフトレンズを含むレンズ防振ユニット118とを有する。
【0055】
また、交換レンズ102は、光量調節機能を有する絞りユニット122と、光軸方向に移動して焦点調節を行うフォーカスレンズを含むフォーカスユニット124とを有する。
【0056】
さらに、交換レンズ102は、回転操作リング103の回転を検出する回転検出部133を有する。
【0057】
システム制御部115は、回転操作リング103が操作されて回転検出部133を介して変倍の指示が入力される。
【0058】
その場合、交換レンズ102に設けられたズーム駆動部117を介してズームユニット116の駆動を制御することで変倍を行わせる。
【0059】
また、システム制御部115は、操作部114から受けた絞り値の設定値または画像処理部131から取得した輝度信号に応じて、交換レンズ102に設けられた絞り駆動部123を介して絞りユニット122の駆動を制御する。
【0060】
また、システム制御部115は、画像処理部131から取得した焦点信号に応じて、交換レンズ102に設けられたフォーカス駆動部125を介してフォーカスユニット124の駆動を制御することで、オートフォーカスを行う。
【0061】
カメラ100には、ピッチ防振演算部121aとヨー防振演算部121bが設けられている。
【0062】
ピッチ防振演算部121aは、ピッチ振れ検出部120aからの振れ信号を用いてレンズ防振ユニット118(シフトレンズ)とセンサ防振ユニット130(撮像素子126)のY軸方向でのシフト位置を算出する。
【0063】
また、ヨー防振演算部121bは、ヨー振れ検出部120bからの振れ信号を用いてレンズ防振ユニット118とセンサ防振ユニット130のX軸方向でのシフト位置を算出する。
【0064】
カメラ100には、センサ防振ユニット130を駆動するセンサ駆動部127が設けられている。交換レンズ102には、レンズ防振ユニット118を駆動する防振駆動部119が設けられている。
【0065】
システム制御部115は、ピッチおよびヨー防振演算部121a,121bが算出したピッチ/ヨー方向のシフト位置に応じて、レンズ防振ユニット118とセンサ防振ユニット130のシフト位置を制御する。
【0066】
その場合、防振駆動部119とセンサ駆動部127を介してレンズ防振ユニット118とセンサ防振ユニット130のシフト位置を制御する。
【0067】
これにより、像振れを補正する防振動作が行われる。
【0068】
カメラ100には、メインミラーとサブミラー(不図示)から成るミラーユニット153と、これを駆動するミラー駆動部154とを有する。
【0069】
カメラ100には、機械式のフォーカルプレーンシャッタ(不図示)から成るシャッタユニット151と、これを駆動するシャッタ駆動部152とを有する。
【0070】
また、システム制御部115は、レリーズボタン106による撮像指示操作に応じて、ミラー駆動部154とシャッタ駆動部152を介してシャッタユニット151とミラーユニット153の駆動を制御する。
【0071】
これにより、交換レンズ102により形成された光学像が撮像素子126に露光され、撮像素子126によって光電変換され撮像信号として出力される。
【0072】
画像処理部131は、撮像信号に対して各種画像処理を行って画像信号を生成し、SDカードなどの記憶部132に記憶される。
【0073】
表示部111は、画像処理部131から出力された画像信号(スルー画像)を表示したり、記憶部132に記録された撮像画像を再生表示したりする。
【0074】
システム制御部115は、回転操作リング103や操作部114の操作を検出すると、振動デバイス駆動部134に振動デバイス109に対して駆動信号を出力し、振動デバイス109に振動を発生させる。
【0075】
このように、振動デバイス109が
図1(a)に示したフロントグリップ202に振動を与える。
【0076】
よって、フロントグリップ202を把持するユーザに対して回転操作リング103の回転操作に対するクリック感や操作部114の操作に対する操作感を与えることができる。
【0077】
(カメラ100の各ユニットを展開した展開斜視図)
図3は、カメラ100の各ユニットを展開した展開斜視図である。
【0078】
カメラ100は、内部構造体101とフロントカバーユニット200、上面カバーユニット400、リアカバーユニット500から構成され、システム制御部115は、該内部構造体101にビス締結されている。
【0079】
(フロントカバーユニット200)
図4(a)は、フロントカバーユニット200の前面斜視図であり、
図4(b)はフロントカバーユニット200の背面分解斜視図である。
【0080】
フロントカバーユニット200は、外装カバーである樹脂製のフロントカバー201と、表層に弾性を有し、且つユーザが把持するためのフロントグリップ202を有する。
【0081】
フロントグリップ202は、フロントカバー201の外側から組み付けられ、不図示の両面テープにより固定される。
【0082】
レリーズボタン106の裏面には、該レリーズボタン106の押込方向(以下、R軸方向という)に延設された押し子106aと当接部106bを有する。
【0083】
レリーズボタン106の押し子106aには、Eリング204を装着する溝部106cを有する。
【0084】
フロントカバー201は、レリーズボタン106を収容する収納部2011を有する。
【0085】
フロントカバー201は、収納部2011にはレリーズボタン106の押し子106aと当接部106bがそれぞれ挿通する貫通孔2011aと2011bを有する。
【0086】
レリーズボタン106は、フロントカバーの外側から収納部2011に組み込まれ、フロントカバー201の内側まで貫通してきた押し子106aの溝部106cにEリング204を組み込まれる。
【0087】
撮影条件の設定変更や撮影の開始と終了を指示するレリーズボタン106は、Eリング204によりフロントカバー201に対する抜け止めとしている。
【0088】
振動減衰部材208は矩形形状の部品で、ゴムやエラストマなど小さな力で大きく変形し、大きな弾性変形領域を持った材料で構成されている。
【0089】
振動減衰部材208は、フロントカバー201の内側に備える台座2014に不図示の両面テープにより固定される。
【0090】
レリーズボタン106の2段階押圧操作の検出は、押し込み量に応じて第1スイッチ(SW1)及び第2スイッチ(SW2)が順にオンするように構成された後述する3枚の接片(2051、2052、2053)から成るスイッチユニット205で行われる。
【0091】
スイッチユニット205には、複数の回路が配線されたフレキシブル基板209を有し、3枚の接片(2051、2052、2053)は、フレキシブル基板209の各回路とそれぞれ接触し電気的に接続されている。
【0092】
さらに、フレキシブル基板209には、振動デバイス109を駆動するための各回路も配線され、振動デバイス109とフレキシブル基板209の各回路が電気的に接続されている。
【0093】
フレキシブル基板209は、システム制御部115(
図2参照)に接続される。スイッチユニット205は、フロントカバーの内側にビス206により固定される。
【0094】
保持部品207には、振動デバイスを固定する基面207aと、基面207aから延設しR軸方向に弾性変形可能な振動伝搬部207bを有する。
【0095】
振動デバイス109は、保持部品207の基面207aに不図示の両面テープにより固定される。
【0096】
振動デバイス109が固定された保持部品207は、フロントカバーの内側にビス210により固定される。
【0097】
撮影条件の設定変更や撮影の開始と終了を指示するレリーズボタン106が操作されていない状態(以下、通常状態)において、振動伝搬部207bは、振動減衰部材208に当接するように構成されている。
【0098】
上述のように、レリーズボタン106、スイッチユニット205、振動デバイス109を固定する保持部材207、振動減衰部材208は同一のフロントカバー201に固定される。
【0099】
上述のようにフロントカバー201に部品を組み付けることで、組み付けによる組立公差を小さくすることができるので、関連部品の位置関係を容易に調整することが可能となる。
【0100】
図5(a)は、レリーズボタンの直上から見たフロントカバーユニット200を示し、
図5(b)(c)(d)は、
図5(a)中のA-A線とB-B線での断面を拡大して示す。
【0101】
A-A線、B-B線は、それぞれレリーズボタン106の押し子106aの中心軸を通っている。
【0102】
図5の通常状態は、レリーズボタン106が押下されていない、すなわちレリーズボタン106が初期位置に位置する状態を示している。
【0103】
図5のSW1状態は、レリーズボタン106が押下され、第一のスイッチ(SW1)がオンとなる状態を示している。
【0104】
図5のSW2状態は、SW1状態からさらにレリーズボタン106が押下され、第二のスイッチ(SW2)がオンとなる状態を示している。
【0105】
スイッチユニット205は、フロントカバー201の内側にビス206で固定される。
【0106】
スイッチユニット205は、レリーズボタン106側から第一の接片2051、第二の接片2052、第三の接片2053から構成され、各接片は互いに絶縁されている。
【0107】
第一の接片2051の自由端は、レリーズボタン106の押し子106aの先端に圧接することで、レリーズボタン106を上方へ付勢する。
【0108】
レリーズボタン106は、押し子106bの溝部106cに組み付けられたEリング204がフロントカバー201の収納部2011の下端に当接することで、レリーズボタン106のR軸方向の上方位置を規制する。
【0109】
第二の接片2052と第三の接片2053の自由端は、フロントカバーの位置規制部2015、2016に当接することで、第二の接片2052と第三の接片2053の自由端のR軸方向の位置を規制する。
【0110】
図5(b)の通常状態からレリーズボタン106を第一の接片2051の弾性力に抗して押し込む。
【0111】
よって、
図5(b)SW1オン状態のように、第一の接片2051は弾性変形して第二の接片2052に接触し、第一のスイッチ(SW1)がオンとなる。
【0112】
第一スイッチ(SW1)がオンされると、フォーカス駆動部125がフォーカスユニット124を駆動してピント調整を行う。
【0113】
また、絞り駆動部123が絞りユニット122を駆動して自動露出調節(AE)を行い、システム制御部115により自動ホワイトバランス(AWB)、EF(フラッシュプリ発光)処理等の撮影準備を行う。
【0114】
そして、レリーズボタン106をさらに押し込むと、
図5(b)S2オン状態のように、第二の接片2052は第三の接片2053に接触して、第二のスイッチ(S2)がオンとなる。
【0115】
第二スイッチ(SW2)がオンされると、シャッタ駆動部152がシャッタユニット151を駆動して、交換レンズ102により形成された光学像が撮像素子126に露光される。
【0116】
図5(c)は、レリーズボタン106が通常状態における当接部106bと振動伝搬部207bおよび振動減衰部材208の位置関係と、振動デバイス109から発生した振動の伝搬の様子を示す。
【0117】
図5(c)に示す通常状態では、振動減衰部材208は振動伝搬部207bにより圧接された状態になる。
【0118】
振動デバイス109で発生した振動は、保持部品207の基面207aを介して振動伝搬部207bへ伝搬する。
【0119】
振動伝搬部207bへ伝搬される振動は、振動減衰部材208と当接する区間L1で減衰する。
【0120】
そのため、振動伝搬部207bの自由端側の区間L2へ伝搬される振動は、振動デバイス109で発生した振動と比べ、小さいものとなっている。
【0121】
また、通常状態において、振動伝搬部207bは、レリーズボタン106とは離間しているため、レリーズボタン106には振動伝搬部207bから直接振動が伝わらない。
【0122】
つまり、通常状態において振動デバイス109を駆動しても、可動部であるレリーズボタン106や弾性変形可能な振動伝搬部207bが振動することで発生する雑音は最小限に抑えることが可能となる。
【0123】
図5(d)は、レリーズボタン106がSW1/SW2オン状態における当接部106bと振動伝搬部207bおよび振動減衰部材208の位置関係と、振動デバイス109から発生した振動の伝搬の様子を示す。
【0124】
図5(d)SW1オン状態になる直前において、レリーズボタンの当接部106bは、振動伝搬部207bと当接し始め、振動伝搬部材207bが下方に押され始める。
【0125】
つまり、ユーザがレリーズボタン106を押し下げると振動伝搬部207bが振動減衰部材208を圧接する量が徐々に減る。
【0126】
図5(d)SW1/S2オン状態では、振動伝搬部207bは振動減衰部材208と接触しない位置まで下方に移動する。
【0127】
このように、ユーザがレリーズボタン106を操作しSW1/S2オン状態の位置では、振動伝搬部207bはレリーズボタンの当接部106bと接触し、振動減衰部材208と離間する位置関係になる。
【0128】
振動デバイス109の振動は、保持部品207の基面207aを介して振動伝搬部207bへ伝搬し、振動が大きく減衰しないまま、レリーズボタン106の当接部106bを介して、レリーズボタン106の外観表面106dへ伝搬する。
【0129】
SW1・S2オン状態において振動デバイス109の振動を小さくしても、振動が大きく減衰することなく、レリーズボタン106を操作する指に振動による操作感を与えることが可能となる。
【0130】
つまり、レリーズボタン106を操作した際に、振動デバイス109の振動により発生する雑音は最小限に抑えることが可能となる。
【0131】
(撮像時における制御部115のタイミングチャート)
図6は、
図2に示したカメラ100の撮像時における制御部115が行う処理の進行を示すタイミングチャートである。
【0132】
図6において、時刻t0からt4の間にスルー画像が表示部111に表示される。また、ピッチ方向振れ検出部120aおよびヨー方向振れ検出部120bは常時、カメラ100の振れを検出している。
【0133】
次に、時刻t1では、ユーザによるレリーズボタン107の半押し操作(SW1)が検出されることに応じて制御部115による振動デバイス動作処理が開始され、制御部115から振動デバイス109に駆動信号が送られる。
【0134】
この駆動信号に応じて振動デバイス109が時刻t1からt2の期間に振動してユーザに半押し操作した触覚(触感)をフィードバックする。
【0135】
振動デバイス109に駆動信号が送られた直後の時刻t1からt3の期間に、制御部115は、AF、AEおよびAWB処理を実行する。
【0136】
次に、時刻t2において、ユーザによるレリーズボタン107の全押し操作(SW2)が検出されると、制御部115による振動デバイス動作処理が開始され、制御部115から振動デバイス109に駆動信号が送られる。
【0137】
この駆動信号に応じて振動デバイスが時刻t4からt5の期間に振動してユーザに全押し操作した触覚(触感)をフィードバックする。
【0138】
振動デバイス109に駆動信号が送られた直後の時刻t4からt6の期間に行う露光処理の説明を行う。
【0139】
その期間に、制御部115は、ピッチ方向振れ検出部120aおよびヨー方向振れ検出部120bによって検出された振れ信号に基づいてレンズシフトユニット118とセンサユニット126を駆動して手振れを補正し、撮像部126に露光処理を行わせる。
【0140】
図6のタイミングチャートにおいて、SW2の検出に応じた振動デバイス109の振動発生期間(t4~t5)は、手振れ補正が行われる振れ信号検出期間と手振れ補正を行いながら露光する期間(t4~t6)と重なっている。
【0141】
つまり、振動デバイス109が駆動されて振動を発生したときに、ピッチ方向振れ検出部120aとヨー方向振れ検出部120bやレンズシフトユニット118とセンサユニット126に影響を与えてしまうと、手振れ補正結果に影響が出る可能性がある。
【0142】
このため、レリーズボタン操作時は、他の操作部材操作時と異なり、振動デバイスの振動を小さくし、ピッチ方向振れ検出部120a、ヨー方向振れ検出部120b、レンズシフトユニット118およびセンサユニット126への影響を最小限にする必要がある。
【0143】
図5で説明した通り、レリーズボタン操作時は、振動伝搬部207bはレリーズボタンの当接部106bと接触している。
【0144】
そのため、振動デバイス109の振動を小さくしても、レリーズボタン106を操作する指に振動による操作感を与えることが可能となる。
【0145】
つまり、レリーズボタン106を操作した際に、振動デバイス109の振動により発生する雑音は最小限に抑えつつ、ユーザに撮影した操作感を与えることを可能としている。
【0146】
(カメラ100の振動デバイス管理パターン)
カメラ100の振動デバイス管理パターンについて、
図7を参照して説明する。カメラ100に備えられた振動デバイス109は、特定の振動パターンに基づいて制御される。
【0147】
振動パターンは、振動デバイス109を駆動させる際の振動周波数、振動自体の強さを調整できる振幅、触覚(触感)を感じ取れる時間に関する振動持続時間などが振動パターンを決めるパラメータに含まれる。
【0148】
例えば、カメラ100のレリーズボタン106や操作部114を操作された場合、振動パターンが各撮影設定の状態に関わらず同じパターンである。
【0149】
その場合、ユーザが求める操作感に対して異なる操作感を与えてしまい、違和感を与えてしまうことが考えられる。
【0150】
そこで、本発明はユーザの各撮影設定に対応した振動パターンに基づいて振動デバイス109を駆動させることができるようにした。
【0151】
図7に示すような振動パターン管理テーブル(以降、管理テーブル)に管理データ情報としてカメラ100の記憶部132で記憶され、制御部115はユーザが設定した撮影設定に対応した振動パターンに変更することができる。
【0152】
(連写設定と振動デバイス管理テーブルとを関連付けた図)
まず、
図7(a)は、本発明の実施形態の一例として、レリーズボタン106操作時の振動デバイス109の動作モードにおいて、静音モードやシャッタ方式、連写設定と振動デバイス管理テーブルとを関連付けた図である。
【0153】
ユーザがメカシャッタを選択している場合は、撮影時のメカシャッタの動作による振動や音が発生するため、レリーズボタン106を操作した時に振動デバイス109は特に動作しない。
【0154】
つまり、記憶部132は、メカシャッタモードの管理テーブルを記憶されていない。
【0155】
電子シャッタは、メカシャッタの限界シャッタ速度を上回るシャッタ速度で撮影可能であるため、露出の自由度を高め、高輝度な環境下においても光量を調整するフィルターを使用することなく撮影領域を広げてくれる。
【0156】
しかし、電子シャッタの場合、ユーザはメカシャッタで得られていた撮影した操作感を得ることができない。つまり、ユーザが電子シャッタを選択している場合は、メカシャッタ動作の振動に代わる操作感をユーザに伝達する必要がある。
【0157】
つまり、記憶部132は、電子シャッタモードの管理テーブルT1が管理されている。
【0158】
管理テーブルT1は、レリーズボタン106に固有の共振周波数付近で振動デバイス109を振動させることで、効率よく振動を発生させ、ユーザに操作感を与えることが可能な振動パターンが管理されている。
【0159】
また、ユーザが静かな環境下での撮影に適した静音モードを選択している場合は、制御部115は自ずと電子シャッタ静音モードに切り替える。
【0160】
電子シャッタモードと同様に、撮影した操作感をユーザに伝達するが、振動デバイス109により発生する雑音は最小限にする必要がある。
【0161】
つまり、記憶部132は、振動デバイス109の振動により発生する雑音を最小限に抑えた管理パターンT3が管理されている。
【0162】
例えば、管理パターンT1に対して、共振周波数付近に設定された振動周波数のパラメータはそのままで、振幅のパラメータを小さくしても良いし、共振周波数付近に設定された振動周波数のパラメータを変更し、更に振幅のパラメータも小さくしても良い。
【0163】
さらに、電子シャッタの場合、撮影設定次第で連写枚数が秒間数十枚を超える高速連写が可能である。
【0164】
高速連写撮影時に、単写撮影時と同じ振動パターンで駆動させると、高速連写撮影の間隔に対して、単写撮影時の振動デバイスの振動継続時間が大きい。
【0165】
そのため、徐々に撮影と振動のタイミングが合わなくなりユーザに違和感ある操作感を与えてしまう可能性がある。
【0166】
つまり、記憶部132は、単写撮影時の管理テーブルT1やT3に対して少なくとも振動継続時間を小さくし、高速連写撮影の間隔に対応した管理テーブルT2やT4が管理されている。
【0167】
カメラ100に搭載された振動デバイス109の応答速度上、振動継続時間を小さくする変更が対応できない場合は、さらに振幅のパラメータを変更することで高速連写撮影の間隔に対応しても良い。
【0168】
(管理テーブルT1)
図7(b)は、前述した4種類の管理テーブルの内、管理テーブルT1とT2を例として示した図である。
【0169】
図7(b)で示す通り、管理テーブルは各シャッタ速度に対応した振動パターンが管理されている。
【0170】
各振動パターンのパラメータの詳細は記載しないが、振動デバイス109を駆動するための振動周波数、振幅、振動継続時間等を組み合わせた振動の合成波形が管理されている。
【0171】
図7(b)に示すT1-15の振動パラメータは、シャッタ速度の遅いT1-10の振動パラメータに対して、少なくとも振動継続時間のパラメータを小さいものに変更している。
【0172】
この変更により、メカシャッタで得られていたシャッタ速度を早くしたことを認知させる操作感を与えることが可能である。
【0173】
連写設定がONに設定されると、撮影時のシャッタ速度が速くなるにつれ、連写撮影枚数が多くなる。
【0174】
つまり、記憶部132は、シャッタ速度に応じた連写撮影の間隔に対応可能な管理パターンT2が管理されている。
【0175】
例えば、
図7(b)に示すT2-15は、連写設定がOFFに設定されたT1-15に対して、少なくとも振動継続時間のパラメータを小さいものに変更している。この変更により、電子シャッタの高速連写撮影の間隔にあった操作感を与えることが可能となる。
【0176】
カメラ100に搭載された振動デバイス109の応答速度次第で、振動継続時間を小さくする変更が対応できない場合は、さらに振幅のパラメータを変更することで高速連写撮影の間隔に対応しても良い。
【0177】
図7(b)に示すT1-10のように撮影時のシャッタ速度が遅く連写撮影の間隔が、T1-10の振動継続時間より大きくなる場合、連写設定がONであっても連写設定OFFの振動パターンと同じものを格納して良い。
【0178】
(T2やT4の振動パターン)
図7(c)は、連写撮影に対応した管理テーブルT2やT4の振動パターンにおいて、高速連写時の撮影間隔に対して、単写撮影時の振動デバイスの振動継続時間が大きい場合の振動イメージを示した図である。
【0179】
制御部115はSW2信号がONになったことを検出すると、制御部115は管理パターンを参照して、シャッタ速度に対応した振動パターンで振動デバイス109を駆動する。
【0180】
制御部115がSW2信号を検出して1枚目の撮影時は、単写撮影時と同じ振動パターンW1で振動デバイスを駆動させる。
【0181】
その後も制御部115がSW2信号を検出し続けた場合、2枚目、3枚目と徐々に振動デバイスから発生する振幅を小さくし振動収束時間を短くすることで、高速連写時の撮影間隔に対応可能な振動パターンW2にする。
【0182】
ここで、振動パターンW1から振動パターンW2へ急激に変化させてしまうと、ユーザは振動の大幅な変化を違和感として感じてしまう恐れがある。
【0183】
そのため、記憶部132は、連写撮影に対応した
図7(c)のような振動パターンW1からW2へ徐々に減衰させる振動パターンが記憶されている。
【0184】
その後は、振動デバイス109は連写撮影の間隔に対応可能な振動パターンW2で一定の振動で駆動し、ユーザに撮影が継続していることを認知させる操作感を与える。
【0185】
また、連写撮影を長時間続けた場合、撮影した情報を記憶する記憶部132のバッファやSDカードなどの記録メディアの容量が足りなくなり、連写撮影は強制的に終了することになることがある。
【0186】
ユーザは自分の意図しないときに連写撮影が強制的に終了するため、大事な撮影シーンを撮り逃してしまう可能性がある。
【0187】
そこで、連写撮影中に、記憶部のバッファがある閾値に達したところで、振動パターンW2とは異なる振動パターンW3で駆動させても良い。
【0188】
または、一定の撮影枚数N枚目や一定の撮影枚数毎に、振動パターンW2とは異なる振動パターンW3で振動デバイスを駆動させても良い。
【0189】
このことにより、連写撮影が強制的に終了する事前にユーザに知らせたり、連写撮影の枚数がどれ位に達したかをユーザに知らせることができる。
【0190】
上記のように管理テーブルT1乃至T4に振動パターンが記憶されていることで、各撮影設定に対応した振動パターンで振動デバイス109を振動させることができる。
【0191】
(
図8~
図13に示すフローチャート)
以上説明した振動デバイス109の振動制御について、
図8~
図13に示すフローチャートを参照して、説明を行う。
【0192】
まず、カメラ100の電源レバー104や再生ボタン1101を操作すると、制御部115は、ステップS101にて、起動方法を調べる。
【0193】
この結果、再生ボタン1101で起動していればステップS102へ進み、再生モード処理を実行し、電源レバー104で起動していればステップS103へ進む。
【0194】
次のステップS103では、制御部115は、操作部114の入力を監視し、撮影動作を開始しない操作部入力では、ステップS104へ進み、操作入力処理を実行する。
【0195】
一方、撮影動作を開始するレリーズボタン106や動画ボタン1102が操作されると、ステップS105へ進み、撮影開始処理が実行される。
【0196】
これらの再生モード、操作入力処理および撮影開始処理の詳細は、
図9乃至
図10を用いて後述する。
【0197】
ステップS105での撮影開始処理のルーチンが終了すると、次のステップS106へ進み、制御部115は電源の状態を判定する。
【0198】
そして、電源がオフされていなければステップS101へ戻り、電源がオフされていれば、制御部115はシステム終了の処理を行う。
【0199】
(ステップS102における再生モード処理)
次に、
図9のフローチャートを用いて、
図8のステップS102における再生モード処理について説明する。
【0200】
まず、ステップS201でSDカードなどの記録メディアに格納された撮影画像を表示し、次のステップS202で制御部115は操作部114の入力を監視する。
【0201】
ステップS202にて撮影動作を開始する操作部が操作されると、次のステップS203へ進み、撮像した画像データを逐次表示するスルー表示状態に設定してこの再生モード処理のルーチンを終了する。
【0202】
ステップS202にて撮影動作を開始しない操作部が操作されると、ステップS204へ進み、入力操作処理が実行される。
【0203】
ステップS204での入力操作処理のルーチンが終了すると、ステップS202へ戻り、次の操作部の入力に備える。
【0204】
(ステップS104における操作入力処理)
次に、
図10のフローチャートを用いて、
図8のステップS104における操作入力処理について説明する。
【0205】
まず、ステップS301にて、制御部115は振動デバイス109の静音モード設定状態を調べ、静音モードがONに設定されていたならば、ステップS302へ進んで、振動デバイスの動作モードを静音モードに設定する。
【0206】
一方、静音モードがOFFに設定されていたならば、ステップS303へ進み、振動デバイスの動作モードを通常モードに設定する。
【0207】
なお、振動デバイス109の動作モードの設定は、制御部115の内部メモリ或いは記憶部132に記憶する。
【0208】
次のステップS304にて、制御部115は、前のステップS302あるいはS303で設定された振動デバイスの動作モードに基づいて、振動デバイス109を駆動するように指令する。
【0209】
これにより、制御部115は、振動デバイス駆動部134を制御して、振動デバイス109を振動させ、ユーザに操作部を入力した操作感をフィードバックする。
【0210】
次のステップS305にて、制御部115はカメラ100の電源状態を判定し、電源がOFFされていれば、制御部115はシステム終了の処理を行い、電源がONされていれば、この再生モード処理のルーチンを終了する。
【0211】
(ステップS105における撮影開始処理)
次に、
図11のフローチャートを用いて、
図8のステップS105における撮影開始処理について説明する。
【0212】
まず、ステップS401にて、制御部115は撮影モードを調べる。この結果、動画撮影であればステップS402へ進み、動画モード処理を実行し、静止画撮影であればステップS403へ進む。
【0213】
次のステップS403では、制御部115はシャッタの動作モードを調べ、電子シャッタモードがONに設定されていたならば、ステップS404へ進み、振動デバイスの動作モード状態を調べる。
【0214】
静音モードがONに設定されていたならば、ステップS405へ進み、電子シャッタ静音モード処理を実行し、静音モードがOFFに設定されていたならば、ステップS406へ進み、カメラ100に取り付けられているレンズ102を確認する。
【0215】
例えば、望遠レンズやマクロレンズなどの手振れに対して敏感度の高いレンズであれば、S405へ進む。
【0216】
ステップS406で、例えばズームレンズなどの手ブレに対して敏感度の高い領域と低い領域を持つレンズの場合は、次のステップS407へ進み、ユーザが設定している撮像光学系の焦点距離と、その焦点距離における敏感度を確認する。
【0217】
敏感度が所定の値よりも高い場合は、ステップ405へ進み、低い場合はステップS408へ進み、電子シャッタモード処理を実行する。
【0218】
一方、ステップS403で、電子シャッタモードがOFFに設定されていたならば、ステップS407へ進む。
【0219】
そして、制御部115は、モードダイアル105が特定の撮影モード(以下プラスムービーオートモードと呼ぶ)に設定されているかどうかを調べる。
【0220】
ここで、プラスムービーオートモードは、静止画撮影した時に、静止画の記録を行うとともに、静止画撮影前の所定秒数の動画を同時に記録するため、撮影時に発生する動作音は小さくすることが望まれている。
【0221】
それ故に、プラスムービーオートモードに設定されていたならば、ステップS405へ進み、電子シャッタ静音モード処理を実行する。
【0222】
そして、プラスムービーオートモードの他のモードに設定されていたならば、ステップS408へ進み、メカシャッタモード処理を実行する。このように、撮影モードやシャッタモードの設定状態を監視することで、適切な振動デバイスの動作モードを選択可能にしている。
【0223】
次に、
図12~
図14のフローチャートを用いて、
図11の振動デバイスの各動作モードにおける処理について説明する。
【0224】
(動画モードにおける処理)
図12のフローチャートを用いて、動画モードにおける処理について説明する。
【0225】
まず、ステップS501にて、制御部115はレリーズボタン106が押されてレリーズSW1がONされていたならば、次のステップS502へ進む。
【0226】
動画ボタン1101が押されて動画SWがONされていたならば、ステップS503へ進む。ステップS502では、制御部115は操作部の入力を監視し、レリーズSW2がONされていればステップS503へ進み、振動デバイスの動作モードを静音モードに設定する。
【0227】
一方、レリーズSW2が一定時間以上OFFの状態が続けば、ステップS504に進み、レリーズSW1の状態を監視する。
【0228】
レリーズSW1がONの状態であれば、ステップS502へ戻り、レリーズSW1がOFFの状態であれば、この動画モード処理のルーチンを終了する。
【0229】
ステップS505では、設定された振動デバイスの動作モードに基づいて、振動デバイスを動作するように指令する。
【0230】
次のステップS506では、引き続き操作部の入力を監視し、撮影を停止する操作部の入力でない場合は、ステップS507にて、静音モードで振動デバイスを動作するように指令し、ステップS506に戻る。
【0231】
ステップS506で、撮影を停止する操作部の入力である場合は、この動画モード処理のルーチンを終了する。
【0232】
このように、動画撮影中では、振動デバイスは常に静音モードで動作し、振動デバイスの駆動音を少なくしつつ、ユーザに操作部を操作した操作感を与えることができる。
【0233】
(電子シャッタモードと電子シャッタ静音モードにおける処理)
図13のフローチャートを用いて、電子シャッタモードと電子シャッタ静音モードにおける処理について説明する。
【0234】
電子シャッタモードと電子シャッタ静音モードは、後述するステップS605とS607の振動デバイスの動作モード(振動モード)の設定値が異なるだけである。
【0235】
まず、ステップS601にて、制御部115はレリーズSW2の状態を監視し、レリーズSW2がONであれば、ステップS602に進む。
【0236】
レリーズSW2がONされていなければ、ステップS603でレリーズSW1の状態を監視する。
【0237】
ステップS603で、レリーズSW1がONであれば、ステップS601に戻り、レリーズSW1がOFFであれば、この電子シャッタモード処理のルーチンを終了する。
【0238】
次に、ステップS602で制御部115は撮影するシャッタ速度を確認し、ステップS604で制御部115は、連写撮影の設定を確認する。
【0239】
連写撮影の設定がOFF(単写撮影)であれば、ステップS605に進み、振動デバイスの動作モードを電子シャッタの単写モードに設定する。
【0240】
つまり、制御部115は、次のステップS606にて、
図6に示す管理テーブルT1に基づいて、シャッタ速度に応じた振動パターンを参照して、振動デバイスに指令を行う。
【0241】
これにより、電子シャッタによる静止画撮影中においても、振動デバイスを駆動させ、メカシャッタが動作したような操作感をユーザに与える。
【0242】
一方、ステップS604で連写撮影の設定がONであれば、ステップS607に進み、振動デバイスの動作モード(振動モード)を電子シャッタの連写モードに設定する。
【0243】
次のステップS608にて、
図6に示す管理テーブルT2に基づいて、シャッタ速度に応じた振動パターンを参照して、振動デバイスに指令を行う。
【0244】
その後、ステップS609でレリーズSW2の状態を監視し続ける。
【0245】
S609でレリーズSW2がONの状態が続けば、ステップS608の振動デバイスの動作を継続して、連写撮影している間、ユーザに撮影した操作感を与え続けることができる。
【0246】
ステップS609でレリーズSW2がOFFになれば、この電子シャッタモードの処理のルーチンを終了する。
【0247】
ここで、電子シャッタ静音モードの場合は、前述したステップS605、S607の振動デバイスの動作モードの設定値が電子シャッタ静音モード用の値になる。
【0248】
(メカシャッタモードにおける処理)
図14のフローチャートを用いて、メカシャッタモードにおける処理について説明する。
【0249】
まず、ステップS701にて、制御部115はレリーズSW2の状態を監視し、レリーズSW2がONであれば、ステップS702に進み、レリーズSW2がOFFであれば、ステップS703でレリーズSW1の状態を監視する。
【0250】
ステップS703で、レリーズSW1がONであれば、ステップS701に戻り、レリーズSW1がOFFであれば、このメカシャッタモードの処理のルーチンを終了する。
【0251】
次に、ステップS702でレリーズSW1の状態を監視し、レリーズSW1がONであれば、ステップS701に戻り、レリーズSW1がOFFであれば、このメカシャッタモード処理のルーチンを終了する。
【0252】
このように、メカシャッタモードにおいては、撮影した際にはメカシャッタ動作による振動や音によりユーザに撮影した操作感を与えることができる為、振動デバイスを駆動する必要はない。
【0253】
本実施例の撮像装置は、撮影の露光開始と露光終了を指示する撮影開始操作手段105、106、110と、撮影開始操作手段に対するユーザーの操作に応じた触覚(触感)をユーザーに伝えるために撮像装置を振動させる振動デバイス109とを有する。
【0254】
また、振動デバイスの駆動を制御する複数の振動パターンを有する振動制御手段134と、を有する。
【0255】
振動制御手段134は、撮影記録の期間中、撮影モード及び撮影開始操作手段105、106、110に対するユーザーの操作に応じて振動デバイス109の振動パラメータを変更する。
【0256】
振動デバイスの振動パラメータは、振動周波数、振幅、振動継続時間を含んでいる。
【0257】
振動デバイスが取り付けられた外装部材201と、振動デバイスに接触している振動伝搬部材207と、撮影開始操作手段106が第一の位置から第二の位置に操作されたことを検出する検出手段205とを有する。
【0258】
振動デバイスは、第二の位置の撮影開始状態において撮像開始操作手段を振動させる第1の振動モードと、記第一の位置において前記外装部材を振動させる第2の振動モードを有する。
【0259】
第一の位置において撮影開始操作手段が振動伝搬部材と接触せず、第二の位置又は撮影開始操作手段が第二の位置に達する前において撮影開始操作手段が振動伝搬部材に接触する。
【0260】
撮影モードは、メカシャッタモードと電子シャッタモードとを有する。
【0261】
振動制御手段は、メカシャッタモードである場合、振動デバイスの駆動をOFFに設定し、電子シャッタモードである場合、振動デバイスの駆動をONに設定する。
【0262】
振動制御手段は、静音モードである場合、振動デバイスの振動を小さく設定し、非静音モードである場合、振動デバイスの振動を大きく設定する。
【0263】
電子シャッタモードは、振動デバイスの静音モードと振動デバイスの非静音モードとを有する。
【0264】
振動制御手段は、静音モードである場合、振動デバイスの振動を小さく設定し、非静音モードである場合、振動デバイスの振動を大きく設定する。
【0265】
振動制御手段は、電子シャッタのシャッタ速度が速いとき電子シャッタのシャッタ速度が遅いときに比べて、振動デバイスの振動継続時間を短く設定する。
【0266】
振動制御手段は、電子シャッタのシャッタ速度が速いとき電子シャッタのシャッタ速度が遅いときに比べて、振動デバイスの振幅を小さく設定しても良い。
【0267】
振動制御手段は、電子シャッタの連写する撮影の枚数が多いとき電子シャッタの連写する撮影の枚数が少ないときに比べて、振動デバイスの振動継続時間を短く設定する。
【0268】
振動制御手段は、電子シャッタの連写する撮影の枚数が多いとき電子シャッタの連写する撮影の枚数が少ないときに比べて、振動デバイスの振幅を小さく設定しても良い。
【0269】
振動制御手段は、1秒間の撮影の枚数の速度が所定の閾値以上に設定されている場合の振動デバイスの振幅が1秒間の撮影の枚数の速度が所定の閾値未満に設定されている場合の振動デバイスの振幅よりも小さく設定する。
【0270】
撮像光学系の焦点距離が長いときの振動デバイスの振動が撮像光学系の焦点距離が短いときの振動デバイスの振動よりも小さい。
【0271】
上述のように、撮影設定に応じて適切に振動デバイスの振動制御を行うことで、振動デバイスの駆動が騒音になることなく、ユーザに違和感ない操作感を与えることができる撮像装置を提供することが可能となる。以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0272】
106 レリーズボタン
109 振動デバイス
134 振動デバイス駆動部