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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】エアゾール型毛髪洗浄剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20241118BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20241118BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20241118BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241118BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20241118BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
A61K8/46
A61K8/19
A61K8/86
A61K8/73
A61Q5/02
A61K8/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020094446
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021187777
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】幸 克行
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/122044(WO,A1)
【文献】特開2015-098463(JP,A)
【文献】特開2016-183134(JP,A)
【文献】特開2017-145245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(A1)を含む界面活性剤(A)、及びポリマー(B)を含有し、成分(A1)の含有量が8質量%以上である毛髪洗浄剤原液と、二酸化炭素を含む噴射剤(C)とを含有し、
前記ポリマー(B)がノニオン性ポリマーを含む、エアゾール型毛髪洗浄剤。
【請求項2】
前記成分(A)が成分(A1)以外のアニオン性界面活性剤(A2)を含む、請求項1に記載のエアゾール型毛髪洗浄剤。
【請求項3】
前記ノニオン性ポリマーが、ヒドロキシアルキル化水溶性多糖類及び高重合度ポリアルキレングリコール類から選択される1種又は2種以上である、請求項1又は2に記載のエアゾール型毛髪洗浄剤。
【請求項4】
前記ノニオン性ポリマーが、ヒドロキシエチルセルロース、高重合度ポリエチレングリコール、及び高重合度ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体からなる群から選ばれる1種以上である、請求項3に記載のエアゾール型毛髪洗浄剤。
【請求項5】
前記毛髪洗浄剤原液中の成分(B)の含有量が1.0質量%以下である、請求項1~のいずれか1項に記載のエアゾール型毛髪洗浄剤。
【請求項6】
前記成分(B)の重量平均分子量が100万以上である、請求項1~のいずれか1項に記載のエアゾール型毛髪洗浄剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール型毛髪洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
エアゾール型化粧料は、エアゾール原液である化粧料を泡状に吐出して用いることができるため、皮膚又は毛髪に塗り延ばしやすいという利点がある。
【0003】
エアゾール型化粧料の噴射剤として炭酸ガスを用いることも知られている。噴射剤として炭酸ガスを用いたエアゾール型化粧料は、クリーミーで弾力のある質感の泡を吐出することができ、且つ、泡がすぐに消えることなく長時間持続する。さらに、吐出した泡中に炭酸ガスを封じ込めることで、皮膚又は毛髪に適用した際に、炭酸ガスがエイジングケア等の美容ケア成分として作用する効果も期待できる。
【0004】
噴射剤として炭酸ガスを用いたエアゾール型化粧料として、例えば特許文献1には、高重合ポリエチレングリコール、多価アルコール、イオン性界面活性剤および水を含有する水性原液、ならびに炭酸ガスを含有する噴射剤からなる発泡性塗布用組成物が、イオン性界面活性剤が析出することなく内容物の安定性に優れ、吐出物の発泡性、伸展性、肌への密着性に優れることが開示されている。また、上記発泡性塗布用組成物が毛髪のトリートメントやパック、シャンプー等の頭髪に塗り延ばして使用する製品として用いられることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-098463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エアゾール型化粧料が毛髪洗浄剤である場合には、吐出直後の発泡性だけでなく、毛髪洗浄時の泡立ち(以下「再起泡性」と称する)のよさも求められる。しかしながら特許文献1では、再起泡性については検討されておらず、改善の余地があった。
本発明は、毛髪洗浄時の再起泡性に優れるエアゾール型毛髪洗浄剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、界面活性剤、及びポリマーを含む毛髪洗浄剤原液と、二酸化炭素を含む噴射剤とを含有し、該毛髪洗浄剤原液中に特定のアニオン性界面活性剤を所定量以上含有させたエアゾール型毛髪洗浄剤が、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(A1)を含む界面活性剤(A)、及びポリマー(B)を含有し、成分(A1)の含有量が5質量%以上である毛髪洗浄剤原液と、二酸化炭素を含む噴射剤(C)とを含有するエアゾール型毛髪洗浄剤に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、毛髪洗浄時の再起泡性に優れるエアゾール型毛髪洗浄剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[エアゾール型毛髪洗浄剤]
本発明のエアゾール型毛髪洗浄剤(以下、単に「本発明の毛髪洗浄剤」ともいう)は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(A1)を含む界面活性剤(A)、及びポリマー(B)を含有し、成分(A1)の含有量が5質量%以上である毛髪洗浄剤原液と、二酸化炭素を含む噴射剤(C)とを含有する。
なお、本発明においては、「成分Xを含む」又は「成分Xを含有する」とは、「成分Xを配合してなる」ことをも意味する。
【0010】
本発明の毛髪洗浄剤が上記構成であることにより本発明の効果を奏する理由については定かではないが、以下のように推察される。
本発明のエアゾール型毛髪洗浄剤に用いる、エアゾール原液である毛髪洗浄剤原液は、特定のアニオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(A1)を含む界面活性剤(A)及びポリマー(B)を含有し、成分(A1)の含有量が5質量%以上である。また噴射剤(C)は、二酸化炭素を含むものである。
成分(A)である界面活性剤はエアゾールによる泡の吐出性と、毛髪洗浄剤としての所望の性能を付与するために用いられる。さらに、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(A1)の毛髪洗浄剤原液中の含有量を5質量%以上とすることで、高い洗浄性を付与すると共に、成分(B)及び成分(C)との組み合わせによる相乗効果により、毛髪洗浄時の再起泡性が向上すると考えられる。
噴射剤(C)として二酸化炭素を用いることで、炭酸ガスを含むきめ細かい濃密な泡を吐出でき、伸展性、毛髪への密着性、毛髪への塗り広げ性などが向上する。さらに、エアゾール原液である毛髪洗浄剤原液に成分(B)であるポリマーを配合すると、吐出された泡中に噴射剤(C)のガスを封じ込めることができるため、炭酸ガスを含むきめ細かい濃密な泡を吐出でき、成分(A)及び成分(B)の効果と相まって、吐出直後の泡質と、毛髪洗浄時の再起泡性を向上できると考えられる。
【0011】
<成分(A):界面活性剤>
本発明の毛髪洗浄剤を構成する毛髪洗浄剤原液は、成分(A)として界面活性剤を含有する。成分(A)はエアゾールによる泡の吐出性と、毛髪洗浄剤としての所望の性能を付与するために用いられる。
本発明における毛髪洗浄剤原液は、洗浄性及び毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点から、成分(A)がポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(A1)を含むものである。
【0012】
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(A1))
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(A1)としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
-O-(CHCHO)-SOY (1)
式(1)中、Rは、炭素数8以上22以下の直鎖又は分岐アルキル基を示す。pは平均付加モル数を示し、0.25以上20以下の数である。Yはアルカリ金属又はアンモニウムを示す。
【0013】
における直鎖又は分岐アルキル基の炭素数は、洗浄性及び毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点、及び入手性の観点から、好ましくは炭素数8以上18以下、より好ましくは炭素数10以上18以下である。
式(1)におけるRの具体例としては、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基、ノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、n-ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、パルミチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基、イソステアリル基、ノナデシル基、イコシル基、へンイコシル基、及びドコシル基を挙げることができる。これらの中でも、Rは、好ましくは直鎖アルキル基であり、より好ましくはn-オクチル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、及びステアリル基からなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはデシル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、及びステアリル基からなる群から選ばれる1種以上、より更に好ましくはラウリル基である。
更にRは、ヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、ナタネ油、牛脂、豚脂、又は魚油等の天然物に含まれる複数の脂肪酸に由来するアルキル基であってもよい。この場合、前記式(1)で表される化合物は、互いに異なるアルキル基を有する複数の化合物の混合物として得られる。
【0014】
式(1)中のpは、平均付加モル数を示し、0.25以上20以下の数である。洗浄性及び毛髪洗浄時の再起泡性を付与する観点、及び入手性の観点から、pは好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上であり、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下である。式(1)中のpの具体的範囲は、0.25~20であり、好ましくは0.5~15、より好ましくは0.5~10、更に好ましくは1~5である。
式(1)中のYは、アルカリ金属又はアンモニウムを示す。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、又はカリウムが好ましい。アンモニウムは、アルキルアンモニウムやアルカノールアンモニウムであってもよい。
Yは、洗浄性及び毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点、及び入手性の観点から、好ましくはナトリウム、カリウム、及びアンモニウムからなる群から選ばれる1種以上、より好ましくはナトリウム及びアンモニウムからなる群から選ばれる1種以上である。
【0015】
式(1)で表される、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(A1)の具体例としては、ポリオキシエチレンの平均付加モル数pが0.25~20、好ましくは0.5~15、より好ましくは0.5~10、更に好ましくは1~5の、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸アンモニウム等が挙げられる。
ラウレス硫酸ナトリウムの具体例としては、花王(株)製の「エマール227」等、ラウレス硫酸アンモニウムの具体例としては、花王(株)製の「エマール125A」等が挙げられる。
【0016】
毛髪洗浄剤原液中の成分(A1)の含有量は、洗浄性及び毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点、及び入手性の観点から、5質量%以上であり、好ましくは6質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。また、保存安定性向上の観点からは、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。毛髪洗浄剤原液中の成分(A1)の含有量の具体的範囲は、5質量%以上であり、好ましくは5~30質量%、より好ましくは6~20質量%、更に好ましくは8~15質量%、より更に好ましくは10~15質量%である。
また、成分(A)中の成分(A1)の含有量は、洗浄性及び毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは85質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
【0017】
(アニオン性界面活性剤(A2))
毛髪洗浄剤原液は、洗浄性及び毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点から、さらに、成分(A1)以外のアニオン性界面活性剤(A2)を含むことができる。
アニオン性界面活性剤(A2)としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸塩、リン酸モノ又はジエステル塩、スルホコハク酸エステル塩等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
成分(A2)が有するアルキル基、アルケニル基等の炭化水素基、又は構成脂肪酸は、好ましくは炭素数8以上22以下、より好ましくは炭素数8以上18以下、更に好ましくは炭素数10以上18以下である。
成分(A2)のアニオン性基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1~3個有するアルカノールアンモニウム(例えばモノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム等)が挙げられる。
【0018】
上記の中でも、成分(A2)としては、毛髪洗浄剤に用いる観点から、アルキル硫酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、及びN-アシルアミノ酸塩からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、N-アシルアミノ酸塩がより好ましい。
上記アルキル硫酸塩としては、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。アルキルエーテルカルボン酸塩としてはラウレス酢酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩が挙げられる。N-アシルアミノ酸塩としては、ココイルグルタミン酸ナトリウム等のN-アシルグルタミン酸塩が挙げられる。
【0019】
毛髪洗浄剤原液が成分(A2)を含む場合、毛髪洗浄剤原液中の成分(A2)の含有量は、洗浄性及び毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、より更に好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。毛髪洗浄剤原液中の成分(A2)の含有量の具体的範囲は、好ましくは0.05~5質量%、より好ましくは0.1~5質量%、更に好ましくは0.2~3質量%、より更に好ましくは0.3~2質量%である。
また、毛髪洗浄剤原液が成分(A2)を含む場合、成分(A)中の成分(A2)の含有量は、洗浄性及び毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは4質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。成分(A)中の成分(A2)の含有量の具体的範囲は、好ましくは1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、更に好ましくは4~10質量%である。
【0020】
また、成分(A)中の成分(A1)及び成分(A2)の合計含有量は、洗浄性及び毛髪洗浄時の再起泡性を付与する観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
【0021】
成分(A)は、さらに所望の性能を付与するために、アニオン性界面活性剤(A1)及び(A2)以外に、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上の界面活性剤を含むことができる。
【0022】
(ノニオン性界面活性剤)
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、アルキルアルカノールアミド、アルキルグリセリルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、アルキルサッカライド等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグルコシド、アルキルアルカノールアミド、アルキルグリセリルエーテル、及びアルキルサッカライドにおけるアルキル基、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルにおけるアルケニル基、及び、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸は、好ましくは炭素数8以上22以下、より好ましくは炭素数8以上18以下、更に好ましくは炭素数10以上18以下である。
【0023】
上記の中でも、ノニオン性界面活性剤としては、毛髪洗浄剤に用いる観点から、好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、アルキルアルカノールアミド、アルキルグリセリルエーテル、及びポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油からなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグルコシド、アルキルアルカノールアミド、アルキルグリセリルエーテル、及びポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油からなる群から選ばれる1種以上である。
【0024】
(カチオン性界面活性剤)
カチオン性界面活性剤としては、(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩、(ii)アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、(iii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩、(iv)アルキルアミドアルキルトリメチルアンモニウム塩、(v)アルキルジメチルアミン及びその塩、(vi)アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩、並びに、(vii)アルキルアミドアルキルジメチルアミン及びその塩等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
上記カチオン性界面活性剤は、好ましくは炭素数8以上22以下、より好ましくは炭素数8以上18以下、更に好ましくは炭素数12以上18以下の長鎖アルキル基を有することが好ましい。
(v)~(vii)のアミンの塩としては、有機酸又は無機酸による塩が挙げられる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸等の脂肪族モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;ポリグルタミン酸等のポリカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸等が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。
【0025】
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤としては、ベタイン型界面活性剤、アミンオキサイド型界面活性剤、アミノ酸型界面活性剤等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
ベタイン型界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等のカルボキシベタイン型;アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型;イミダゾリン系ベタイン型;ホスホベタイン型等が挙げられる。
上記両性界面活性剤が有するアルキル基、アルケニル基等の炭化水素基、又は構成脂肪酸は、好ましくは炭素数8以上22以下、より好ましくは炭素数8以上18以下、更に好ましくは炭素数12以上18以下である。
【0026】
ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤を用いる場合、毛髪洗浄剤原液中のノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤の合計含有量は、所望の性能を付与する観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、より更に好ましくは0.3質量%以上であり、保存安定性向上の観点からは、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。毛髪洗浄剤原液中のノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤の合計含有量の具体的範囲は、好ましくは0.05~5質量%、より好ましくは0.1~5質量%、更に好ましくは0.2~3質量%、より更に好ましくは0.3~2質量%である。
【0027】
また、毛髪洗浄剤原液中の成分(A)の含有量は、5質量%以上であればよく、洗浄性及び再起泡性を付与する観点、エアゾールによる泡の吐出性、及び毛髪洗浄剤としての所望の性能を付与する観点から、好ましくは6質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、保存安定性向上の観点からは、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。毛髪洗浄剤原液中の成分(A)の含有量の具体的範囲は、好ましくは6~30質量%、より好ましくは8~25質量%、更に好ましくは10~20質量%である。
【0028】
<成分(B):ポリマー>
本発明の毛髪洗浄剤を構成する毛髪洗浄剤原液は、成分(B)として、ポリマーを含有する。毛髪洗浄剤原液が成分(B)を含有することで、成分(A)、及び成分(C)である噴射剤の効果と相まって、泡の吐出性、吐出直後の泡質、及び毛髪洗浄時の再起泡性を向上させることができる。該ポリマーとしては、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー、及び両性ポリマーが挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。成分(B)として用いるポリマーは、毛髪洗浄剤原液への溶解性の観点から、水溶性ポリマーであることが好ましい。
エアゾールによる泡の吐出性、吐出直後の泡質、及び毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点、並びに保存安定性の観点からは、該ポリマーは、好ましくはアニオン性ポリマー及びノニオン性ポリマーからなる群から選ばれる1種以上であり、ノニオン性ポリマーを含むことがより好ましく、成分(B)がノニオン性ポリマーであることが更に好ましい。
【0029】
成分(B)の重量平均分子量(Mw)は、泡の吐出性、吐出直後の泡質を向上させる観点から、好ましくは1万以上、より好ましくは5万以上、更に好ましくは10万以上、より更に好ましくは20万以上、より更に好ましくは50万以上、より更に好ましくは100万以上である。また、毛髪洗浄時の再起泡性及び保存安定性向上の観点から、好ましくは500万以下、より好ましくは400万以下、更に好ましくは350万以下である。成分(B)の重量平均分子量の具体的範囲は、好ましくは1万~500万、より好ましくは5万~500万、更に好ましくは10万~400万、より更に好ましくは20万~400万、より更に好ましくは50万~350万、より更に好ましくは100万~350万である。
成分(B)の重量平均分子量は、例えばゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、以下の条件にて測定することができる。
移動層:50mM LiBr、1%CHCOOH/エタノール:水=3:7(w/w)
カラム:TSK gel α-M(東ソー株式会社製)(2本直列)
標準物質:ポリエチレングリコール
【0030】
アニオン性ポリマーとしては、毛髪洗浄剤原液への溶解性の観点、泡の吐出性、吐出直後の泡質を向上させる観点から、アニオン性基としてカルボキシ基を有するポリマーが好ましい。
アニオン性ポリマーの具体例としては、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル/アルキルアクリルアミド共重合体、ビニルピロリドン/(メタ)アクリル酸エステル/(メタ)アクリル酸共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸モノアルキルエステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/マレイン酸モノアルキルエステル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
上記の中でも、毛髪洗浄剤原液への溶解性の観点、泡の吐出性、吐出直後の泡質を向上させる観点から、アニオン性ポリマーとしては、好ましくはキサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル/アルキルアクリルアミド共重合体、及びビニルピロリドン/(メタ)アクリル酸エステル/(メタ)アクリル酸共重合体からなる群から選ばれる1種以上、より好ましくはキサンタンガムである。
【0031】
ノニオン性ポリマーとしては、デンプン、セルロース、グアガム、タラガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン等の水溶性多糖類;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキル化水溶性多糖類;高重合度ポリエチレングリコール、高重合度ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体等の高重合度ポリアルキレングリコール類;ポリビニルアルコール等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。ここでいう「高重合度」とは、重量平均分子量が好ましくは前記範囲であることをいう。
上記の中でも、毛髪洗浄剤原液への溶解性の観点、泡の吐出性、吐出直後の泡質を向上させる観点から、ノニオン性ポリマーとしては、好ましくは水溶性多糖類、ヒドロキシアルキル化水溶性多糖類、及び高重合度ポリアルキレングリコール類からなる群から選ばれる1種以上、より好ましくはデンプン、セルロース、グアガム、タラガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、高重合度ポリエチレングリコール、及び高重合度ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体からなる群から選ばれる1種以上、更に好ましくはヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、高重合度ポリエチレングリコール、及び高重合度ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体からなる群から選ばれる1種以上である。
【0032】
毛髪洗浄剤原液中の成分(B)の含有量は、泡の吐出性、吐出直後の泡質、及び毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点から、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.02質量%以上である。また、毛髪洗浄剤原液を適切な粘度に調整する観点、毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点、及び保存安定性向上の観点から、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下である。毛髪洗浄剤原液中の成分(B)の含有量の具体的範囲は、好ましくは0.005~5.0質量%、より好ましくは0.01~2.0質量%、更に好ましくは0.02~1.0質量%である。
【0033】
成分(B)がノニオン性ポリマーを含む場合、成分(B)中のノニオン性ポリマーの含有量は、泡の吐出性、吐出直後の泡質、及び毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上であり、100質量%であってもよい。
【0034】
毛髪洗浄剤原液中の成分(A)に対する成分(B)の質量比[(B)/(A)]は、泡の吐出性、吐出直後の泡質、及び毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.002以上であり、毛髪洗浄剤原液を適切な粘度に調整する観点、及び保存安定性向上の観点から、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは1以下、より更に好ましくは0.5以下、より更に好ましくは0.2以下である。毛髪洗浄剤原液中の成分(A)に対する成分(B)の質量比[(B)/(A)]の具体的範囲は、好ましくは0.001~5、より好ましくは0.001~3、更に好ましくは0.001~1、より更に好ましくは0.001~0.5、より更に好ましくは0.002~0.2である。
【0035】
毛髪洗浄剤原液中の成分(A)及び成分(B)の合計含有量は、泡の吐出性、吐出直後の泡質、及び毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点、並びに保存安定性向上の観点から、好ましくは5.01質量%以上、より好ましくは5.1質量%以上、更に好ましくは5.5質量%以上、より更に好ましくは6.0質量%以上、より更に好ましくは6.5質量%以上、より更に好ましくは8.5質量%以上、より更に好ましくは10.5質量%以上であり、また、泡の吐出性の観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、より更に好ましくは22質量%以下である。毛髪洗浄剤原液中の成分(A)及び成分(B)の合計含有量の具体的範囲は、好ましくは5.01~40質量%、より好ましくは5.1~30質量%、更に好ましくは5.5~20質量%、より更に好ましくは6.0~25質量%、より更に好ましくは6.5~25質量%、より更に好ましくは8.5~25質量%、より更に好ましくは10.5~22質量%である。
【0036】
<水性媒体>
毛髪洗浄剤原液は、成分(A)及び成分(B)、並びにその他の成分を溶解又は分散させる観点で、通常、水性媒体を含有する。水性媒体としては、水、有機溶剤が挙げられる。該有機溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;1,3-ブチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の炭素数6以下の低分子ジオール及びトリオールが挙げられる。これらの中でも、水性媒体としては水が好ましい。
毛髪洗浄剤原液中の水性媒体の含有量は、成分(A)及び成分(B)、並びにその他の成分を溶解又は分散させる観点、泡の吐出性及び吐出直後の泡質を向上させる観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であり、好ましくは95質量%未満、より好ましくは94質量%以下である。
【0037】
<その他の成分>
毛髪洗浄剤原液には、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分を適宜含有させてもよい。当該成分としては、例えば、毛髪洗浄剤に通常配合される成分である、有機酸又はその塩、酸化防止剤、油剤、抗フケ剤、ビタミン剤、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、保湿剤、パール剤、セラミド類、香料、紫外線吸収剤、pH調整剤等が挙げられる。これらの中でも、所望の性能を付与する観点から、毛髪洗浄剤原液は、さらに有機酸又はその塩、及び香料を含むことが好ましい。
【0038】
有機酸としては、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
カルボン酸系化合物としては、例えば、酢酸、プロピオン酸等の脂肪族モノカルボン酸;安息香酸等の芳香族モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;ポリグルタミン酸等のポリカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸等が挙げられる。
スルホン酸系化合物としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸;p-トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸;等が挙げられる。
【0039】
有機酸塩における塩としては、毛髪洗浄剤に用いる観点、及び入手容易性の観点から、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩及びカリウム塩からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
【0040】
上記の中でも、毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点から、有機酸又はその塩としては脂肪族ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、芳香族スルホン酸、又はこれらの塩からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、脂肪族ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、及び芳香族スルホン酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としてはコハク酸がより好ましく、ヒドロキシカルボン酸としては乳酸、リンゴ酸、酒石酸、及びクエン酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、リンゴ酸がより好ましい。また芳香族スルホン酸としては、p-トルエンスルホン酸が好ましい。
【0041】
毛髪洗浄剤原液中の有機酸の含有量は、毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上であり、毛髪洗浄剤原液への溶解性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5.0質量%以下である。毛髪洗浄剤原液中の有機酸の含有量の具体的範囲は、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは0.2~15質量%、更に好ましくは0.3~10質量%、より更に好ましくは0.3~5.0質量%である。
なお有機酸塩を用いる場合は、毛髪洗浄剤原液中の有機酸塩を有機酸に換算した量が上記範囲となることが好ましい。
【0042】
毛髪洗浄剤原液の製造方法は特に限定されず、成分(A)及び成分(B)、並びに必要に応じて用いられるその他の成分を常法により配合、混合することにより製造できる。
【0043】
<成分(C):噴射剤>
本発明の毛髪洗浄剤を構成する噴射剤(C)は、二酸化炭素を含むものである。成分(C)が二酸化炭素を含むことで、きめ細かい濃密な泡を吐出できるとともに、前述した作用機構により毛髪洗浄時の再起泡性を高めることができる。
噴射剤(C)中の二酸化炭素の含有量は、吐出直後の泡質向上の観点、及び毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、より更に好ましくは100質量%である。すなわち噴射剤(C)は、二酸化炭素のみからなることが好ましい。
成分(C)は、二酸化炭素以外の噴射剤として、窒素、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン及びこれらの混合物である液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、イソペンタン等のその他液化ガスを、本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。
【0044】
本発明のエアゾール型毛髪洗浄剤における噴射剤(C)の充填量は、吐出直後の泡質向上の観点、毛髪洗浄時の再起泡性を向上させる観点、及び、適度な噴射速度を得る観点から、前記毛髪洗浄剤原液及び噴射剤(C)の合計量を100質量%とした場合、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。毛髪洗浄剤原液及び噴射剤(C)の合計量を100質量%とした場合の噴射剤(C)の充填量の具体的範囲は、好ましくは0.5~5質量%、より好ましくは1~3質量%である。
また、適度な噴射速度を得るために、噴射剤(C)を充填した後のエアゾール容器の内圧が、25℃において好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上であり、好ましくは1.3MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下となるように調整する。噴射剤(C)を充填した後のエアゾール容器の内圧の具体的範囲は、好ましくは0.1~1.3MPa、より好ましくは0.3~1.0MPaである。
【0045】
<エアゾール容器>
本発明のエアゾール型毛髪洗浄剤は、エアゾール容器に充填して用いられる。該エアゾール容器としては、金属製、プラスチック製等の公知の耐圧容器、ならびに、耐圧容器の内部に内袋が収容された二重構造容器が挙げられる。二重構造容器においては、内袋に毛髪洗浄剤原液を充填し、耐圧容器と内袋との間に噴射剤(C)を充填することが好ましい。
【0046】
本発明のエアゾール型毛髪洗浄剤の調製方法は特に制限されない。例えば、エアゾール容器を構成する耐圧容器に毛髪洗浄剤原液を充填してバルブを取り付け、次いでバルブ部分から噴射剤(C)を充填することにより調製できる。
【0047】
<エアゾール型毛髪洗浄剤の使用方法>
本発明のエアゾール型毛髪洗浄剤の使用方法は、エアゾール容器から毛髪洗浄剤を泡状に吐出し、毛髪に適用して洗浄する工程を有する方法であれば特に制限はない。
例えば、泡状に吐出された毛髪洗浄剤を毛髪に塗布し、毛髪を洗浄する工程を含む方法等が挙げられる。毛髪を洗浄する工程には、毛髪上で毛髪洗浄剤を泡立てる操作と、その後に毛髪洗浄剤を洗い流す操作も含まれる。
【実施例
【0048】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。
【0049】
実施例1~11、比較例1~3(毛髪洗浄剤の作製及び評価)
表1に示す組成に従って、毛髪洗浄剤原液に配合する各成分を配合した後、均一になるまで混合し、毛髪洗浄剤原液を調製した。次いで、噴射剤を含むものに関しては、毛髪洗浄剤原液50gと、各表に示す噴射剤とを、表に示す質量比となるように容量100mLのエアゾール容器(東洋製罐(株)製、容器型:BL35A115-H、内面コート:エポキシフェノール系、外面:銀無地(もしくは白))に充填し、エアゾール型毛髪洗浄剤を作製した。噴射剤充填後のエアゾール容器の内圧は、0.65~0.85MPaの範囲に調整した。
作製した毛髪洗浄剤について、以下の方法で再起泡性評価を行った。結果を表1に示す。
なお、表に記載した配合量は各成分の有効成分量(質量%)である。
【0050】
(再起泡性)
各例のエアゾール型毛髪洗浄剤について、エアゾール容器から泡状の毛髪洗浄剤を手のひらに約0.5g吐出した。長さ30cm、幅6cm、重さ20gの毛髪トレスを35~40℃の温水で十分に湿らせた後、吐出した毛髪洗浄剤をのせ、10回泡立てた後に、さらに10回泡立てた際の泡立ちの状態について、以下の5段階の評価基準で目視評価した。噴射剤を含まない毛髪洗浄剤に関しては、毛髪洗浄剤原液約0.5gを使用して同様に評価を行った。
〔評価基準〕
5:毛髪トレス上での再起泡性が非常に優れている
4:毛髪トレス上での再起泡性がより良好である
3:毛髪トレス上での再起泡性が良好である
2:毛髪トレス上での再起泡性が比較例1の毛髪洗浄剤と同程度である
1:毛髪トレス上での再起泡性が殆ど認められない
【0051】
【表1】
【0052】
表中で使用した成分は下記である。
<界面活性剤(A)>
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(A1))
ラウレス硫酸Na;ポリオキシエチレン(2)ラウリルエ一テル硫酸ナトリウム、花王(株)製「エマール227」、有効成分量27質量%
ラウレス硫酸アンモニウム;ポリオキシエチレン(1)アルキル(C10-16)エーテル硫酸アンモニウム、花王(株)製「エマール125A」、有効成分量25質量%
(成分(A1)以外のアニオン性界面活性剤(A2))
ココイルグルタミン酸Na;味の素へルシーサプライ(株)製「アミソフトCS-22B」、有効成分量25質量%
<ポリマー(B)>
PEG-45M;ポリエチレングリコール、重量平均分子量2,000,000、ダウ・ケミカル社製「ポリオックス WSRN-60K」
PEG/PPG-2000/200コポリマー;ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体、重量平均分子量3,000,000、明成化学工業(株)製「アルコックス E100」
ヒドロキシエチルセルロース;重量平均分子量1,500,000、ダイセルファインケム(株)製「HECダイセル 850K」
キサンタンガム;重量平均分子量2,000,000、DSP五協フード&ケミカル(株)製「エコーガム」
【0053】
表1に示すように、本実施例のエアゾール型毛髪洗浄剤は、比較例の毛髪洗浄剤よりも再起泡性に優れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、毛髪洗浄時の再起泡性に優れるエアゾール型毛髪洗浄剤を提供することができる。