(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】電気解剖学的マップの再アノテーション
(51)【国際特許分類】
A61B 5/343 20210101AFI20241118BHJP
A61B 5/287 20210101ALI20241118BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
A61B5/343
A61B5/287
A61B18/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020132212
(22)【出願日】2020-08-04
【審査請求日】2023-07-31
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ナタン・シャロン・カッツ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・コーエン
(72)【発明者】
【氏名】リオール・ザール
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-051309(JP,A)
【文献】特開2016-019753(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0234718(US,A1)
【文献】国際公開第2018/212996(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/318-5/367
A61B 5/287
A61B 18/12-18/14
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備えた医療器具の作動方法であって、
前記プロセッサが、被験者の心臓内のそれぞれの位置に配置された複数の電極から受信された信号を処理し、前記プロセッサが、前記電極が接触している所与の位置ごとに、前記心臓の周期における少なくとも1つの対応する局所興奮到達時間(LAT)を識
別することと、
前記位置のそれぞれについて、
前記プロセッサが、前記周期における最も早いLAT
を識別することと、
それぞれの位置を有し、電気解剖学的マップ内のそれぞれの位置における前記最も早いLATを示すマッピング点を含む、前記電気解剖学的マップを
前記プロセッサが生成してディスプレイにレンダリングすることと、
前記プロセッサが、前記マッピング点のサブセットを選択する入力
を受信することと、
前記プロセッサが、前記サブセット内の大半の前記マッピング点の前記最も早いLATを含む時間範囲
を識別することと、
前記プロセッサが、前記最も早いLATが識別された前記時間範囲に先行する、前記サブセット内の1つ以上の範囲外のマッピング点
を識別することと、
前記プロセッサが、前記範囲外のマッピング点で識別され
た少なくとも1つのLATの中で、前記心臓の前記周期における前記最も早いLATよりも遅い、それぞれの第2のLAT
を検出することと、
前記範囲外のマッピング点のうち
の1つ以上
のマッピング点で検出された前記それぞれの第2のLATを表示するために、
前記プロセッサが、前記電気解剖学的マップを更新してレンダリングすることと、を含む、
医療器具の作動方法。
【請求項2】
前記信号が心電図信号を含む、請求項1に記載の
医療器具の作動方法。
【請求項3】
前記サブセット内の前記大半の前記マッピング点の前記最も早いLATを含む前記時間範囲を識別することが、
前記プロセッサが、前記サブセット内の前記LATに多数決アルゴリズムを適用することを含む、請求項1に記載の
医療器具の作動方法。
【請求項4】
前記それぞれの第2のLATが、前記識別された時間範囲内にある、請求項1に記載の
医療器具の作動方法。
【請求項5】
前記電気解剖学的マップを更新してレンダリングする
ことが、
前記プロセッサが、認証信号を受信すると実行される、請求項1に記載の
医療器具の作動方法。
【請求項6】
器具であって、
ディスプレイと、
プロセッサであって、
被験者の心臓内のそれぞれの位置に配置された複数の電極を含む遠位端を有する心臓内カテーテルから、前記電極が接触している心筋組織内の電気活動に応答する前記電極からの信号を受信し、
前記電極が接触している所与の位置ごとに、前記心臓の周期における少なくとも1つの対応する局所興奮到達時間(LAT)を識別するように、前記信号を処理し、
前記位置のそれぞれについて、前記周期における最も早いLATを識別し、
それぞれの位置を有し、電気解剖学的マップ内のそれぞれの位置における前記最も早いLATを示すマッピング点を含む、前記電気解剖学的マップを生成して前記ディスプレイにレンダリングし、
前記マッピング点のサブセットを選択する入力を受信し、
前記サブセット内の大半の前記マッピング点の前記最も早いLATを含む時間範囲を識別し、
前記最も早いLATが識別された前記時間範囲に先行する、前記サブセット内の1つ以上の範囲外のマッピング点を識別し、
前記範囲外のマッピング点で識別され
た少なくとも1つのLATの中で、前記心臓の前記周期における前記最も早いLATよりも遅い、それぞれの第2のLATを検出し、
前記範囲外のマッピング点のうち
の1つ以上
のマッピング点で検出された前記それぞれの第2のLATを表示するために、前記電気解剖学的マップを更新してレンダリングするように構成されている、プロセッサと、を含む、器具。
【請求項7】
前記心臓内カテーテルが、
複数のスプラインのそれぞれの上に前記電極のうちの少なくとも1つを有するマルチスプラインカテーテルを含む、請求項
6に記載の器具。
【請求項8】
前記信号が心電図信号を含む、請求項
6に記載の器具。
【請求項9】
前記プロセッサが、前記サブセット内の前記LATに多数決アルゴリズムを適用することによって、前記サブセット内の前記大半の前記マッピング点の前記最も早いLATを含む前記時間範囲を識別するように構成されている、請求項
6に記載の器具。
【請求項10】
前記それぞれの第2のLATが、前記識別された時間範囲内にある、請求項
6に記載の器具。
【請求項11】
前記プロセッサが、認証信号を受信すると、前記電気解剖学的マップを更新してレンダリングす
るように構成されている、請求項
6に記載の器具。
【請求項12】
コンピュータソフトウェア製品であって、被験者の心臓に挿入するための複数の電極を含む遠位端を有する心臓内カテーテルと共に操作され、前記製品は、プログラム命令が記憶される非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体を含み、前記命令は、コンピュータによって読み取られると、前記コンピュータに、
前記被験者の前記心臓内のそれぞれの位置に配置された前記複数の電極から、前記電極が接触している心筋組織内の電気活動に応答する前記電極からの信号を受信させ、
前記電極が接触している所与の位置ごとに、前記心臓の周期における少なくとも1つの対応する局所興奮到達時間(LAT)を識別するように、前記信号を処理させ、
前記位置のそれぞれについて、前記周期における最も早いLATを識別させ、
それぞれの位置を有し、電気解剖学的マップ内のそれぞれの位置における前記最も早いLATを示すマッピング点を含む、前記電気解剖学的マップを生成させ
てディスプレイにレンダリングさせ、
前記マッピング点のサブセットを選択する入力を受信させ、
前記サブセット内の大半の前記マッピング点の前記最も早いLATを含む時間範囲を識別させ、
前記最も早いLATが識別された前記時間範囲に先行する、前記サブセット内の1つ以上の範囲外のマッピング点を識別させ、
前記範囲外のマッピング点で識別され
た少なくとも1つのLATの中で、前記心臓の前記周期における前記最も早いLATよりも遅い、それぞれの第2のLATを検出させ、
前記範囲外のマッピング点のうち
の1つ以上
のマッピング点で検出された前記それぞれの第2のLATを表示するために、前記電気解剖学的マップを更新してレンダリングさせる、コンピュータソフトウェア製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して心臓マッピングに関し、具体的には、電気解剖学的マップの領域を再アノテートすることに関する。
【背景技術】
【0002】
心房細動などの心不整脈は、不規則な心拍を生じさせる心臓リズムである。不整脈は、典型的に、心臓組織の諸領域が、隣接組織に電気信号を異常に伝導することによって正常な心周期を阻害し、非同期的な律動を引き起こす場合に発生する。
【0003】
心臓内の電位のマッピングは、心不整脈を診断し、治療するために一般的に使用されるツールである。典型的には、時間的に変化する心内膜内の電位を検知し、心臓内の位置の関数として記録した後に、これを用いて局所電位図又は局所興奮到達時間をマッピングする。興奮到達時間は、電気インパルスが心筋を通して伝導するのに要する時間により、心内膜内の点によって異なる。心臓内の任意の点におけるこの電気伝導の方向は、従来、等電活動面(isoelectric activation front)に垂直な興奮ベクトルによって表されており、これらのいずれも、興奮到達時間のマップから導出され得る。心内膜の任意の点を通る活動面の伝播速度は、速度ベクトルとして表され得る。
【0004】
活動面及び伝導場をマッピングすることは、心臓組織内の電気的伝播障害領域に起因する、心室性及び心房性頻脈症並びに心室及び心房細動などの異常を特定しかつ診断する際に、医師をサポートする。
【0005】
Brodnickらへの米国特許出願第2017/0251942号は、マッピングチャネル及び複数の基準チャネルを含む少なくとも3つのマルチチャネル心臓電位図信号から局所興奮到達時間(LAT)を決定するための方法を記載している。この方法は、マッピングチャネル信号及び第1の基準チャネル信号を収集して、複数のマッピングチャネル位置のLAT値を計算することと、第1の基準チャネル信号のタイミング安定性を監視することと、監視された信号のタイミング安定性が安定性基準を下回る場合、第2の基準チャネルの信号を使用してLAT値を決定することと、を含む。
【0006】
Botzerらへの米国特許出願第2018/0042504号は、波面をアノテートするための方法を記載している。この方法は、ヒト被験者の心筋に近接した一対の電極から双極性信号を受信することと、一対の電極のうちの選択された1つから単極性信号を受信することと、電極信号を前処理して、基線ワンダー、ローパスフィルタリング、及び任意の微分順序を除去することと、を含む。この方法はまた、信号内の候補アノテーションを識別することと、アノテーションから特徴を抽出することと、特徴閾値に基づいて基準を満たす任意の候補アノテーションを排除することと、別の非常に近い活動化に対して重要ではない任意の残りの候補アノテーションを排除することと、その特徴値に基づいて、それぞれの残りの候補アノテーションにスコアを割り当てることと、スコア閾値を上回る任意の候補アノテーションのタイミング及び特徴を使用してマップを生成することと、を含む。
【0007】
Reisfeldへの米国特許第6,301,496号は、複数のサンプリング点を含むグリッドを再構築するための方法を記載している。この方法は、グリッドにモデルの歪みの段階を適用することを含み、グリッドは、サンプリング点によって画定される形状におおむね調整される。この方法はまた、サンプリング点の座標に従ってグリッド点を微調整することによって実行される、可撓性整合の反復段階を含む。この方法は、平滑化、アフィン変換などの1つ以上のアルゴリズムを適用すること、かつ/又はグリッドを実質的に全てのサンプリング点を含むようにする正確な整合段階を実行することを更に含む。サンプリング点に関連付けられたパラメータ値は、全てのグリッド点に補間することができ、グリッドはディスプレイ上に提示され得る。
【0008】
Duらへの米国特許出願第2017/0027524号は、複数の電極から信号を受信するマルチチャネルマッピングシステムにおける有効信号を検出するための方法を記載している。この方法は、所与の電極から信号を取得することと、信号の一次導関数を計算することと、一次導関数から最小及び最大導関数を決定することと、最小及び最大導関数の符号が異なるかどうかを判定することと、最小及び最大導関数の符号が異なるかどうかの判定に応じて、信号が有効かどうかを表示器具に表示することと、を含む。
【0009】
上記説明は、当該分野における関連技術の一般的概論として記載したものであって、この説明に含まれる何らの情報が本特許出願に対する先行技術を構成することを容認するものと解釈するべきではない。
【0010】
本特許出願で参照される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部と見なすものとする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、被験者の心臓内のそれぞれの位置に配置された複数の電極を含む遠位端を有する心臓内カテーテルから、電極が接触している心筋組織内の電気活動に応答する電極からの信号をコンピュータで受信することと、電極が接触している所定の位置ごとに、心臓の周期における少なくとも1つの対応する局所興奮到達時間(LAT)を識別するように、コンピュータによって信号を処理することと、位置のそれぞれについて、周期における最も早いLATをコンピュータによって識別することと、それぞれの位置を有し、電気解剖学的マップ内のそれぞれの位置で最も早いLATを示すマッピング点を含む、電気解剖学的マップを生成してディスプレイにレンダリングすることと、マッピング点のサブセットを選択する入力をコンピュータで受信することと、サブセット内の大半のマッピング点の最も早いLATを含む時間範囲をコンピュータによって識別することと、最も早いLATが識別された時間範囲に先行している、サブセット内の1つ以上の範囲外のマッピング点をコンピュータによって識別することと、範囲外のマッピング点で識別された少なくとも1つのLATの中で、心臓の周期における最も早いLATよりも遅い、それぞれの第2のLATをコンピュータによって検出することと、範囲外のマッピング点のうちの1つ以上において検出された、それぞれの第2のLATを表示するため、電気解剖学的マップを更新してレンダリングすることと、を含む、方法が提供される。
【0012】
いくつかの実施形態では、心臓内カテーテルは、スプラインのそれぞれに電極のうちの少なくとも1つを有するマルチスプラインカテーテルを含む。
【0013】
別の実施形態では、信号は心電図信号を含む。
【0014】
更なる実施形態では、サブセット内の大半のマッピング点の最も早いLATを含む時間範囲を識別することは、サブセット内のLATに多数決アルゴリズムを適用することを含む。
【0015】
補足的な実施形態では、それぞれの第2のLATは、識別された時間範囲内にある。
【0016】
他の実施形態では、電気解剖学的マップを更新してレンダリングする工程は、認証信号を受信すると実行される。
【0017】
また、本発明の一実施形態によれば、器具であって、ディスプレイと、プロセッサであって、被験者の心臓内のそれぞれの位置に配置された複数の電極を含む遠位端を有する心臓内カテーテルから、電極が接触している心筋組織内の電気活動に応答する電極からの信号を受信し、電極が接触している所定の位置ごとに、心臓の周期における少なくとも1つの対応する局所興奮到達時間(LAT)を識別するように信号を処理し、位置のそれぞれについて、周期における最も早いLATを識別し、それぞれの位置を有し、電気解剖学的マップ内のそれぞれの位置で最も早いLATを示すマッピング点を含む、電気解剖学的マップを生成してディスプレイにレンダリングし、マッピング点のサブセットを選択する入力を受信し、サブセット内の大半のマッピング点の最も早いLATを含む時間範囲を識別し、最も早いLATが識別された時間範囲に先行する、サブセット内の1つ以上の範囲外のマッピング点を識別し、範囲外のマッピング点で識別された少なくとも1つのLATの中で、心臓の周期における最も早いLATよりも遅い、それぞれの第2のLATを検出し、かつ範囲外のマッピング点のうちの1つ以上において検出されたそれぞれの第2のLATを表示するため、電気解剖学的マップを更新してレンダリングするように構成されている、プロセッサと、を含む、器具が提供される。
【0018】
更に、本発明の一実施形態によれば、コンピュータソフトウェア製品であって、被験者の心臓に挿入するための複数の電極を含む遠位端を有する心臓内カテーテルと共に操作され、製品は、プログラム命令が記憶される非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体を含み、命令は、コンピュータによって読み取られると、コンピュータに、被験者の心臓内のそれぞれの位置に配置された複数の電極から、電極が接触している心筋組織内の電気活動に応答する電極からの信号を受信させ、電極が接触している所定の位置ごとに、心臓の周期における少なくとも1つの対応する局所興奮到達時間(LAT)を識別するように信号を処理させ、位置のそれぞれについて、周期における最も早いLATを識別させ、それぞれの位置を有し、電気解剖学的マップ内のそれぞれの位置で最も早いLATを示すマッピング点を含む、電気解剖学的マップを生成してディスプレイにレンダリングさせ、マッピング点のサブセットを選択する入力を受信させ、サブセット内の大半のマッピング点の最も早いLATを含む時間範囲を識別させ、最も早いLATが識別された時間範囲に先行する、サブセット内の1つ以上の範囲外のマッピング点を識別させ、範囲外のマッピング点において識別された少なくとも1つのLATの中で、心臓の周期における最も早いLATよりも遅い、それぞれの第2のLATを検出させ、範囲外のマッピング点のうちの1つ以上において検出されたそれぞれの第2のLATを表示するため、電気解剖学的マップを更新してレンダリングさせる、コンピュータソフトウェア製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本明細書で、本開示をあくまで一例として添付図面を参照しつつ説明する。
【
図1A】本発明の一実施形態による、マッピングカテーテルを含む医療システムの概略絵図である。
【
図1B】本発明の一実施形態による、マッピングカテーテルを含む医療システムの概略絵図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、マッピングカテーテルの遠位端の概略絵図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、マッピングカテーテルから受信した信号に基づいて電気解剖学的マップを生成し、再アノテートする方法を概略的に示したフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態による、マッピング処置中の心室におけるマッピングカテーテルの遠位端の概略詳細図である。
【
図5】本発明の一実施形態による、範囲外の局所興奮到達時間を有するマッピング点を含む電気解剖学的マップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
心室の電気解剖学的マップを生成するために医療処置を行うとき、マッピングカテーテルの遠位端は、心室内の心筋組織に沿って移動され、異なる測定位置からの信号が取得される。信号は、それらのそれぞれの局所興奮到達時間(LAT)を検出するために自動的に分析され、電気解剖学的マップは、LATが心室の3次元(3D)マップ上に異なる色(すなわち、異なる時間)として提示されるように生成され、レンダリングされる。
【0021】
自動信号分析が、マップ内に何らかの不正確なLAT値を生成する場合があり得る。本発明の実施形態は、自動分析によって生成された任意の不正確なLAT値を補正するための方法及びシステムを提供する。本明細書で後述するように、被験者の心臓内のそれぞれの位置に配置された複数の電極を含む遠位端を有する心臓内カテーテルから、電極が接触している心筋組織内の電気活動に応答する電極からの信号を受信すると、信号は、電極が接触している所与の位置ごとに、心臓の周期における少なくとも1つの対応するLATを識別するように処理される。位置のそれぞれについて、周期における最も早いLATが識別され、それぞれの位置を有し、電気解剖学的マップ内のそれぞれの位置で最も早いLATを示すマッピング点を含む、電気解剖学的マップが生成され、ディスプレイにレンダリングされる。
【0022】
マップのレンダリングに続いて、マッピング点の選択されたサブセットを示す入力が受信され、サブセット内の大半のマッピング点の最も早いLATを含む時間範囲が識別される。最も早いLATが識別された時間範囲に先行する、サブセット内の1つ以上の範囲外のマッピングポイントが識別され、範囲外のマッピング点で識別された少なくとも1つのLATの中で、範囲外のマッピング点のうちの1つ以上にて、心臓の周期における最も早いLATよりも遅いそれぞれの第2のLATが検出される。最後に、電気解剖学的マップは、範囲外のマッピング点のうちの1つ以上で検出されたそれぞれの第2のLATを表示するため、更新され、レンダリングされる。
【0023】
電気解剖学的マップは、多数の(場合によっては約5,000個の)信号に基づくマッピング点を含んでもよい。選択された領域内の任意のマッピング点を自動的に補正することによって、本発明の実施形態を実装するシステムは、医療専門家が、不正確なLAT値に対応するマッピング点のサブセット(場合によっては約100個)を迅速に補正することを可能にする。
【0024】
システムの説明
図1A及び
図1Bは、医療用プローブ22と制御コンソール24とを備える医療システム20の概略絵図であり、
図2は、本発明の例示的な一実施形態による、医療用プローブ22の遠位端26の概略絵図である。医療システム20は、例えば、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,California,U.S.A.)によって製造されたCARTO(登録商標)システムに基づいていてもよい。本明細書で後述する例示的な実施形態では、医療用プローブ22は、例えば、患者30の心臓28の電位をマッピングするためなど、診断又は治療処置のために使用され得る。本明細書に記載の例示的な実施形態では、医療用プローブ22は、マッピングカテーテルとも称され得る。代替的に、医療用プローブ22を、心臓又は他の体の臓器における他の治療及び/又は診断目的のために、必要な変更を加えて使用してもよい。
【0025】
医療用プローブ22は、挿入管32と、挿入管の近位端に連結されたハンドル34と、を備える。ハンドル34を操作することによって、医療専門家36は、患者30の体腔内にプローブ22を挿入することができる。例えば、医療専門家36は、プローブ22の遠位端26が心臓28の心室に進入し、所望の位置(単数又は複数)において心筋組織に係合するように、プローブ22を患者30の血管系に通して挿入することができる。例として、
図2に示すように、プローブ22の遠位端26は、管状シャフト82の端部に形成された可撓性スプライン80を含む。医療処置の間、医療専門家36は、挿入管32から管状シャフトを延在させることによってスプライン80を配設することができる。
【0026】
制御コンソール24は、ケーブル38によって身体表面電極に接続され、身体表面電極は、典型的には患者30に貼付される接着性皮膚パッチ40を含む。制御コンソール24は、プロセッサ42を含み、プロセッサ42は、電流追跡モジュール44と共に、接着性皮膚パッチ40と、
図2に示されているスプライン80に貼付されたマッピング電極84との間で測定されるインピーダンスに基づいて、心臓28の内側の遠位端部26の位置座標を決定する。本明細書に記載の例示的な実施形態では、電極84はまた、心臓28内の組織に信号を印加するように、かつ/又は心臓内の位置における特定の生理学的特性(例えば、局所的表面電位)を測定するように構成され得る。電極84は、医療用プローブ22を通るワイヤ(図示せず)によって、制御コンソール24に接続されている。
【0027】
本明細書における例示的な実施形態は、Pentaray(著作権)NAVカテーテルなどのマルチスプライン心臓内カテーテルを含むプローブ22を示しているが、Navistar(登録商標)Thermocool(登録商標)カテーテルなどの他の多電極心臓内カテーテルの使用も、本発明の趣旨及び範囲内であると見なされる。Pentaray(著作権)NAV及びNavistar(登録商標)Thermocool(登録商標)カテーテルは、両方ともBiosense Webster Inc.により製造されている。
【0028】
プロセッサ42は、典型的には、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として構成されているリアルタイムノイズ低減回路46と、続いてアナログ・デジタル(A/D)ECG(心電計)信号変換集積回路48と、を含み得る。このプロセッサは、信号をA/D ECG回路48から別のプロセッサに伝えることができ、かつ/又は、本明細書で開示される1つ以上のアルゴリズムを実行するようにプログラム可能であり、1つ以上のアルゴリズムはそれぞれ、本明細書で後述する工程を含む。このプロセッサは、1つ以上のアルゴリズムを実行するために、回路46及び回路48、並びに以下でより詳細に記載されるモジュールの特徴を使用する。
【0029】
図1及び
図2に示される医療システムは、遠位端26の位置を測定するためにインピーダンスに基づいた検知を使用しているが、他の位置追跡技術を使用してもよい(例えば、磁気系のセンサを用いる技術)。インピーダンスに基づく位置追跡技術は、例えば、米国特許第5,983,126号、同第6,456,864号、及び同第5,944,022号に記載されている。本明細書で上述する位置感知方法は、上述のCARTO(登録商標)システムに実装され、上記で引用した特許に詳細に説明されている。
【0030】
制御コンソール24はまた、制御コンソールが、電極84及び接着性皮膚パッチ40から信号を伝達し、かつ/又はそれらに信号を伝達することを可能にする、入力/出力(I/O)通信インターフェース50を含む。電極84及び/又は接着性皮膚パッチ40から受信した信号に基づいて、プロセッサ42は、以下の
図5を参照する説明に記載されるように、心臓伝導速度の測定値を提示する電気解剖学的局所興奮到達時間(LAT)マップ52(
図1A)を生成し得る。
【0031】
処置中、プロセッサ42は、ディスプレイ54上で医療専門家36に電気解剖学的LATマップ52を提示し、以下の
図1Aを参照する説明に記載されるように、メモリ56内の電気解剖学的LATマップを表すデータを記憶し得る。メモリ56は、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなどの任意の好適な揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを備えてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、医療専門家36は、1つ以上の入力デバイス78を使用して、マップ52を操作することができる。代替実施形態では、ディスプレイ54は、マップ52を提示することに加えて、医療専門家36からの入力を受け取るように構成され得るタッチスクリーンを含んでもよい。
【0032】
制御コンソール24はまた、電極84から受信した信号からECGチャート60を生成するように構成され得る心電図(ECG)モジュール58を含んでもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ42は、ディスプレイ54上に(すなわち、LATマップ52と共に)1つ以上のECGチャート60を提示し、メモリ56内のECGチャートマップを表すデータを記憶する。
【0033】
図1Aに示すように、メモリ56は、プロセッサ42が電気解剖学的マップ52を生成してレンダリングするために使用し得る電気解剖学的マップデータ62を記憶し、プロセッサがECGチャート60を生成してレンダリングするために使用し得るECGチャートデータセット64を記憶する。電気解剖学的マップデータは、複数のマッピング点レコード66を含み、マッピング点レコードのそれぞれは、位置座標68のセット(すなわち、患者30内)と、局所興奮到達時間(LAT)70と、を含む。本明細書の例示的な実施形態では、位置座標68は、位置68とも称され得る。
【0034】
それぞれECG信号データセット64は、複数のECGチャート点レコード72を含み、ECG信号点レコードのそれぞれは、測定時間74及び電位測定値76を含む。本明細書の例示的な実施形態では、それぞれの所与の電極84は、所与のECGチャートデータセット64と対応する1対1対応を有する。換言すれば、それぞれの所与のECGチャートデータセット64は、プロセッサ42がその対応する電極84から受信する電位測定値76及び測定時間74を記憶する、複数のECGチャート点レコードを記憶する。
【0035】
電気解剖学的マップの生成及び再アノテーション
図3は、本発明の例示的な実施形態による、心臓28の心室用の電気解剖学的マップ52を生成及び再アノテートするための方法を概略的に示すフローチャートであり、
図4は、本発明の例示的な実施形態による、心室内の心筋組織120と係合するスプライン80の概略詳細図である。
【0036】
挿入工程90では、医療専門家36は、スプライン80が心筋組織120と係合するように遠位端26を心室に挿入し、操作工程92では、医療専門家36は、複数の心周期中に、遠位端26のスプライン80を心筋組織120に沿って移動させる。医療専門家36が、複数の心周期中にスプライン80を心筋組織120に沿って移動させると、プロセッサ42は、接着性皮膚パッチ40と電極84との間で測定されたインピーダンスを示す位置信号を受信する。
【0037】
いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサ42は、接着性皮膚パッチ40から受信した位置信号を電流追跡モジュール44に伝達することによって、所与の電極84の所与の位置を決定し得、電流追跡モジュール44は、上記の実施形態を使用して所与の場所を計算し得る。それぞれの所与の電極84から位置信号を受信すると、プロセッサ42は、位置信号を処理して、電極に対する位置座標のそれぞれのセットを決定し得る。
【0038】
第1の受信工程94では、プロセッサ42はまた、それぞれのサンプリング時間に、電極84が接触している心筋組織120内の電気活動に応答する測定信号を電極84から受信する(すなわち、位置信号を受信することに加えて)。処理工程96では、プロセッサ42は、電極が接触している位置座標の所与のセットごとに、測定信号が示す電位値を識別するように、かつ心臓28の周期における少なくとも1つの対応する局所興奮到達時間(LAT)を識別するように、測定信号を処理する。
【0039】
所与の電極84に関するマッピング及び位置信号を受信し、処理すると、プロセッサ42は、対応するECGチャートデータセットに、サンプリング時間のそれぞれに関する対応のレコード72を追加し、追加されたECGチャート点レコード72ごとに、測定時間74に対応のサンプリング時間を投入し、電位測定値76に対応の電位値を投入する。ECGチャートデータセット64を記憶し、投入すると、プロセッサ42は、識別されたLATのそれぞれに関する新しいレコード66を追加し、追加されたマッピング点データレコード66(すなわち、所与のLATに対応する)ごとに、位置68に対応するLATの位置座標を投入し、LAT70に対応するLATのサンプリング時間を投入する。
【0040】
第1の識別工程98では、プロセッサ42は、位置座標68の所与のセットごとに、周期におけるLATのうちの最も早いものを識別する。典型的には、プロセッサ42は、位置座標68の所与のセットごとに、単一のLAT70を識別する。しかしながら、プロセッサ42が、位置座標68の所与のセットごとに、2つ以上のLAT70を識別する場合もあり得る。単一及び複数のLAT70を示すECGチャート60は、以下の
図5を参照する説明に記載されている。
【0041】
マップ生成工程100では、プロセッサ42は、それぞれの位置68を有し、電気解剖学的マップ内の位置のそれぞれにおいて最も早いLAT70を示すマッピング点を含む、電気解剖学的マップ52を生成してディスプレイ54にレンダリングする。
【0042】
図5は、本発明の例示的な実施形態による、心臓28の心室の物理マップ130を含むLATマップ52の一部を示す概略絵図である。
図5では、マップ52の局所興奮到達時間情報が物理マップ130に組み込まれ、キー132に従ったパターンを使用して符号化される。これらのパターンは実際の機能マップの疑似色を模擬する。この例では、マップ52は、比較的短いLATを有する第1の領域134と、比較的長い局所興奮到達時間を有する第2の領域136と、を含む。
【0043】
LATマップ52は、複数のマッピング点140(後述するように140A及びB)を含み、マッピング点のそれぞれは、位置座標68の所与のセット及び所与の局所興奮到達時間70に対応する。選択工程102では、プロセッサは、マッピング点のサブセット138を含むマップ内の領域を選択する入力を(例えば、入力デバイス78から)受信する。特定のユーザーインターフェースでは、この入力は、「ブラシツール」を含んでもよい。
【0044】
第2の識別工程104では、プロセッサ42は、サブセット内の大半のマッピング点の最も早いLATを含む時間範囲を識別する。例えば、プロセッサ42は、ボーヤー・ムーア多数決アルゴリズムを使用して、時間範囲を識別し得る。
図5では、マッピング点140は、対応のECGチャート60に対応し、マッピング点、ECGチャート、及びECGチャートのそれぞれの要素は、マッピング点140AがECGチャート60Aに対応し、マッピング点140BがECGチャート60Bに対応するように、識別数字に文字を付加することによって区別され得る。
【0045】
それぞれのECGチャート60は、横軸146に沿う時間に対して縦軸144に沿う電位測定値76をプロットする線142を含むトレースを含み、電位は、電圧Vとして測定され、時間は秒S単位で測定される。ECGチャート60では、線142は、単一の心周期中に測定された電位測定値76を示す。
【0046】
図5に示すECGチャートは、基準アノテーション148に関連して局所興奮到達時間を提示する。例えば、マッピング点140Aは、(この実施例の目的のために)基準アノテーション148Aによって示される時間の10ms後の局所興奮到達時間70に対応するLAT点150を含む、ECG60Aに対応し得る。いくつかの例示的な実施形態では、マッピング点140Aは、10ms+/-5msの許容誤差を有する第1の所与のLAT70に対応し得る。換言すれば、プロセッサ42は、局所興奮到達時間70が基準アノテーション148Aによって示される時間の5~15ms後の時間範囲内にある、位置68のマッピング点140Aを提示し得る。この場合、工程104では、プロセッサ42は、基準アノテーション148Aによって示される時間の5~15ms後である時間範囲を識別する。いくつかの例示的な実施形態では、時間範囲は医療専門家36によって指定され得る。
【0047】
図5に提示される実施例では、マッピング点140Bは、(この実施例の目的のために)基準アノテーション148Bによって示される時間の50ms前である、第2の所与の局所興奮到達時間70に対応するLAT点152を含むECG60Bと、基準アノテーション148Bによって示される時間の(例えば)11ms後である第2の所与の局所興奮到達時間70に対応するLAT点154と、に対応し得る。上述したように、プロセッサ42は、位置座標68のセットごとに最も早いLAT70を使用して、マップ52を生成する。したがって、マップ52内のマッピング点140Aは、LAT点152によって示されるLATに対応する。
【0048】
フロー図に戻ると、第3の識別工程106では、プロセッサ42は、最も早い対応するLAT70が識別された時間範囲に先行する、サブセット138内の1つ以上の範囲外のマッピング点60を識別する。
図5に示される実施例では、プロセッサ42は、マッピング点140Bを範囲外のマッピング点として識別する。この実施例では、マッピング点140Bの位置座標は、領域134内にあり、マッピング点140BのLAT(すなわち、凡例132による)は、領域136内のマッピング点と類似している。
【0049】
検出工程108では、プロセッサ42は、範囲外のマッピング点のうちの1つ以上において、範囲外のマッピング点で識別された少なくとも1つのLATの中で、心臓の周期において最も早いLATよりも遅い、それぞれの第2のLATを検出する。
図5に示す実施例では、プロセッサ42は、マッピング点140Bに対応する位置のより遅いLATとして、LAT点154に対応するLATを識別する。いくつかの例示的な実施形態では、識別されたより遅いLATは、工程104で識別された時間範囲内にある。
【0050】
最後に、更新工程110では、プロセッサ42は、範囲外のマッピング点のうちの1つ以上で検出されたそれぞれの第2のLATを提示するため、ディスプレイ54上の電気解剖学的マップ52を更新してレンダリングし、この方法は終了する。電気解剖学的マップ52を更新してレンダリングするために、プロセッサ42は、ディスプレイ54上でマッピング点140Bの擬似色を、マッピング点140Aに使用されたものと同じ疑似色に置換し得る。
【0051】
いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサ42は、医療専門家36からの認証を受信すると、更新工程110を実行し得る。例えば、工程108で第2のLATを識別すると、プロセッサ42は、ディスプレイ54上に第2のLATを提示し、マップを更新するための認証を要求するメッセージをディスプレイ上に提示し得る。認証メッセージを(例えば、所与の入力デバイス78から)受信すると、プロセッサ42は、ディスプレイ54上の電気解剖学的マップ52を更新してレンダリングし得る。
【0052】
上に述べた実施形態は例として挙げたものであり、本発明は上述に具体的に示し説明したものに限定されない点が理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、本明細書で上述のとおり様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を一読すると当業者が想起すると思われる、先行技術に開示されていないそれらの変形及び改変を含む。
【0053】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
被験者の心臓内のそれぞれの位置に配置された複数の電極を含む遠位端を有する心臓内カテーテルから、前記電極が接触している心筋組織内の電気活動に応答する前記電極からの信号をコンピュータで受信することと、
前記電極が接触している所与の位置ごとに、前記心臓の周期における少なくとも1つの対応する局所興奮到達時間(LAT)を識別するように、前記コンピュータによって前記信号を処理することと、
前記位置のそれぞれについて、前記周期における最も早いLATを前記コンピュータによって識別することと、
それぞれの位置を有し、電気解剖学的マップ内のそれぞれの位置における前記最も早いLATを示すマッピング点を含む、前記電気解剖学的マップを生成してディスプレイにレンダリングすることと、
前記マッピング点のサブセットを選択する入力を前記コンピュータで受信することと、
前記サブセット内の大半の前記マッピング点の前記最も早いLATを含む時間範囲を前記コンピュータによって識別することと、
前記最も早いLATが識別された前記時間範囲に先行する、前記サブセット内の1つ以上の範囲外のマッピング点を前記コンピュータによって識別することと、
前記範囲外のマッピング点で識別された前記少なくとも1つのLATの中で、前記心臓の前記周期における前記最も早いLATよりも遅い、それぞれの第2のLATを前記コンピュータによって検出することと、
前記範囲外のマッピング点のうちの前記1つ以上で検出された前記それぞれの第2のLATを表示するために、前記電気解剖学的マップを更新してレンダリングすることと、を含む、方法。
(2) 前記心臓内カテーテルが、前記スプラインのそれぞれの上に前記電極のうちの少なくとも1つを有するマルチスプラインカテーテルを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記信号が心電図信号を含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記サブセット内の前記大半の前記マッピング点の前記最も早いLATを含む前記時間範囲を識別することが、前記サブセット内の前記LATに多数決アルゴリズムを適用することを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記それぞれの第2のLATが、前記識別された時間範囲内にある、実施態様1に記載の方法。
【0054】
(6) 前記電気解剖学的マップを更新してレンダリングする前記工程が、認証信号を受信すると実行される、実施態様1に記載の方法。
(7) 器具であって、
ディスプレイと、
プロセッサであって、
被験者の心臓内のそれぞれの位置に配置された複数の電極を含む遠位端を有する心臓内カテーテルから、前記電極が接触している心筋組織内の電気活動に応答する前記電極からの信号を受信し、
前記電極が接触している所与の位置ごとに、前記心臓の周期における少なくとも1つの対応する局所興奮到達時間(LAT)を識別するように、前記信号を処理し、
前記位置のそれぞれについて、前記周期における最も早いLATを識別し、
それぞれの位置を有し、電気解剖学的マップ内のそれぞれの位置における前記最も早いLATを示すマッピング点を含む、前記電気解剖学的マップを生成して前記ディスプレイにレンダリングし、
前記マッピング点のサブセットを選択する入力を受信し、
前記サブセット内の大半の前記マッピング点の前記最も早いLATを含む時間範囲を識別し、
前記最も早いLATが識別された前記時間範囲に先行する、前記サブセット内の1つ以上の範囲外のマッピング点を識別し、
前記範囲外のマッピング点で識別された前記少なくとも1つのLATの中で、前記心臓の前記周期における前記最も早いLATよりも遅い、それぞれの第2のLATを検出し、
前記範囲外のマッピング点のうちの前記1つ以上で検出された前記それぞれの第2のLATを表示するために、前記電気解剖学的マップを更新してレンダリングするように構成されている、プロセッサと、を含む、器具。
(8) 前記心臓内カテーテルが、前記スプラインのそれぞれの上に前記電極のうちの少なくとも1つを有するマルチスプラインカテーテルを含む、実施態様7に記載の器具。
(9) 前記信号が心電図信号を含む、実施態様7に記載の器具。
(10) 前記プロセッサが、前記サブセット内の前記LATに多数決アルゴリズムを適用することによって、前記サブセット内の前記大半の前記マッピング点の前記最も早いLATを含む前記時間範囲を識別するように構成されている、実施態様7に記載の器具。
【0055】
(11) 前記それぞれの第2のLATが、前記識別された時間範囲内にある、実施態様7に記載の器具。
(12) 前記プロセッサが、認証信号を受信すると、前記電気解剖学的マップを更新してレンダリングする工程を実行するように構成されている、実施態様7に記載の器具。
(13) コンピュータソフトウェア製品であって、被験者の心臓に挿入するための複数の電極を含む遠位端を有する心臓内カテーテルと共に操作され、前記製品は、プログラム命令が記憶される非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体を含み、前記命令は、コンピュータによって読み取られると、前記コンピュータに、
前記被験者の前記心臓内のそれぞれの位置に配置された前記複数の電極から、前記電極が接触している心筋組織内の電気活動に応答する前記電極からの信号を受信させ、
前記電極が接触している所与の位置ごとに、前記心臓の周期における少なくとも1つの対応する局所興奮到達時間(LAT)を識別するように、前記信号を処理させ、
前記位置のそれぞれについて、前記周期における最も早いLATを識別させ、
それぞれの位置を有し、電気解剖学的マップ内のそれぞれの位置における前記最も早いLATを示すマッピング点を含む、前記電気解剖学的マップを生成させて前記ディスプレイにレンダリングさせ、
前記マッピング点のサブセットを選択する入力を受信させ、
前記サブセット内の大半の前記マッピング点の前記最も早いLATを含む時間範囲を識別させ、
前記最も早いLATが識別された前記時間範囲に先行する、前記サブセット内の1つ以上の範囲外のマッピング点を識別させ、
前記範囲外のマッピング点で識別された前記少なくとも1つのLATの中で、前記心臓の前記周期における前記最も早いLATよりも遅い、それぞれの第2のLATを検出させ、
前記範囲外のマッピング点のうちの前記1つ以上で検出された前記それぞれの第2のLATを表示するために、前記電気解剖学的マップを更新してレンダリングさせる、コンピュータソフトウェア製品。