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特許7588983ドラッグ可能な測地線の重なりを有する混合電気解剖学的マップカラーリングツール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】ドラッグ可能な測地線の重なりを有する混合電気解剖学的マップカラーリングツール
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/343 20210101AFI20241118BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20241118BHJP
   A61B 5/367 20210101ALI20241118BHJP
【FI】
A61B5/343
A61B5/33
A61B5/367
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020135626
(22)【出願日】2020-08-11
(65)【公開番号】P2021027992
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】16/537,658
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・コーエン
(72)【発明者】
【氏名】イタイ・ドロン
(72)【発明者】
【氏名】アミラム・シャイナー
(72)【発明者】
【氏名】イリヤ・シュティルバーグ
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・トーマス・ビークラー
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0339820(US,A1)
【文献】特開2019-024733(JP,A)
【文献】特開2016-087463(JP,A)
【文献】特表2017-511166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05-5/0538
A61B 5/24-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
患者の器官の少なくとも一部分の2つ以上の表面表現を受信することと、
受信した前記2つ以上の表面表現を互いに位置合わせすることと、
前記2つ以上の表面表現のうちの1つを基本マップとして選択することと、
前記基本マップとして選択されない前記2つ以上の表面表現のうちの少なくとも1つについて、ドラッグ可能な測地線領域を生成することであって、前記測地線領域は移動可能であり、前記測地線領域が前記基本マップ上でドラッグされるにつれて、前記測地線領域の表示内容が、変化する解剖学的構造に追従するように構成されている、ことと、
前記ドラッグ可能な測地線領域を前記基本マップに重ね合わせて、混合多層表現を生成することと、
前記混合多層表現をユーザーに提示することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記2つ以上の表面表現が、異なるタイプの電気解剖学的(EA)マップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記異なるタイプのEAマップが、色分けされたEAマップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記異なるタイプのEAマップが、双極マップ及び局所活性化時間(LAT)マップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記測地線領域が円形形状を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記測地線領域が、ユーザー入力に応じてドラッグされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザー入力に応じて、別の表面表現を前記基本マップとして選択することと、前記基本マップとして選択されない前記2つ以上の表面表現のうちの少なくとも1つについて、前記ドラッグ可能な測地線領域を生成することと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
システムであって、
メモリであって、患者の器官の少なくとも一部分の2つ以上の表面表現を記憶するように構成されているメモリと、
プロセッサであって、
受信した前記2つ以上の表面表現を互いに位置合わせすることと、
前記2つ以上の表面表現のうちの1つを基本マップとして選択することと、
前記基本マップとして選択されない前記2つ以上の表面表現のうちの少なくとも1つについて、ドラッグ可能な測地線領域を生成することであって、前記測地線領域は移動可能であり、前記測地線領域が前記基本マップ上でドラッグされるにつれて、前記測地線領域の表示内容が、変化する解剖学的構造に追従するように構成されている、ことと、
前記ドラッグ可能な測地線領域を前記基本マップに重ね合わせて、混合多層表現を生成することと、
前記混合多層表現をユーザーに提示することと、を行う
ように構成されている、プロセッサと、を備える、
システム。
【請求項9】
前記2つ以上の表面表現が、異なるタイプの電気解剖学的(EA)マップを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記異なるタイプのEAマップが、色分けされたEAマップを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記異なるタイプのEAマップが、双極マップ及び局所活性化時間(LAT)マップを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記測地線領域が円形形状を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記測地線領域が、ユーザー入力に応じてドラッグされる、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサが、前記ユーザー入力に応じて、別の表面表現を前記基本マップとして選択し、前記基本マップとして選択されない前記2つ以上の表面表現のうちの少なくとも1つについて、前記ドラッグ可能な測地線領域を生成するように更に構成されている、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、心臓マッピングに関し、特に、解剖学的心臓マップの可視化に関する。
【背景技術】
【0002】
レンダリングされた器官の分析を支援するためのグラフィカルツールは、特許文献において以前に提案されている。例えば、米国特許出願公開第2007/0003119号は、複数のコンピュータ支援検出(CAD)検出のための表示及びナビゲーション方法を記載している。医用画像がビューワーに表示され、CAD支援ビューイングをインスタンス化するための要求が受信される。CAD検出のための時間的提示順序は、所定の順序付け基準に従って自動的に計算される。CAD検出ごとに、コンピュータ画面上で浮動する拡張提示用の2次元ウィンドウが、医用画像内のその関連する場所について表示され、拡張提示用ウィンドウは、時間的提示順序に従って表示される。
【0003】
別の例として、米国特許出願公開第2010/0268059号は、患者の心臓の静脈網内の様々な位置にあるカテーテルを介して取得された心臓情報にアクセスすることを含む、例示の方法を記載している。心臓情報は、位置情報、電気情報、及び機械的情報を含む。局所電気的活性化時間は、電気的活性化時間マップを生成するために解剖学的位置にマッピングされる。局所機械的活性化時間は、機械的活性化時間マップを生成するために解剖学的位置にマッピングされる。電気機械的遅延マップは、対応する局所機械的活性化時間から局所電気的活性化時間を減算することによって生成され、少なくとも電気機械的遅延マップはディスプレイにレンダリングされる。
【0004】
米国特許出願公開第2003/0016850号は、身体像を分析するためのシステム及びグラフィカルユーザーインターフェースを記載している。例示の実施形態では、本発明は、マイクロ処理デバイス及びメモリデバイスに連結されたディスプレイを有するグラフィカルユーザーインターフェースを提供する。グラフィカルユーザーインターフェースは、第1の身体像及び第2の身体像の電子表現と、第1の身体像及び第2の身体像上の小節の位置を表す電子マップと、を有する。一実施形態では、画像の結果は、2つの入力画像間の2項演算によって導出される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、患者の器官の少なくとも一部分の2つ以上の表面表現を受信し、それらを重ね合わせることを含む方法を提供する。受信した2つ以上の表面表現は互いに位置合わせされる。表面表現のうちの1つは、基本マップとして選択される。基本マップとして選択されない2つ以上の表面表現のうちの少なくとも1つについて、ドラッグ可能な測地線領域が生成され、測地線領域は、領域が基本マップ上でドラッグされるにつれて変化する解剖学的構造に追従するように構成されている。ドラッグ可能な測地線領域は、基本マップに重ね合わされて混合多層表現が生成され、その混合された多層表現がユーザーに提示される。
【0006】
いくつかの実施形態では、2つ以上の表面表現は、異なるタイプの電気解剖学的(EA)マップを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、異なるタイプのEAマップは、色分けされたEAマップを含む。
【0008】
別の実施形態では、異なるタイプのEAマップは、双極マップ及び局所活性化時間(LAT)マップを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、測地線領域は円形形状を有する。他の実施形態では、測地線領域は、ユーザー入力に応じてドラッグされる。
【0010】
更に別の実施形態では、本方法は、ユーザー入力に応じて、別の表面表現を基本マップとして選択することと、基本マップとして選択されない2つ以上の表面表現のうちの少なくとも1つについて、ドラッグ可能な測地線領域を生成することと、を更に含む。
【0011】
また、本発明の実施形態によれば、メモリ及びプロセッサを含むシステムが更に提供される。メモリは、患者の器官の少なくとも一部分の2つ以上の表面表現を記憶するように構成されている。プロセッサは、(a)受信した2つ以上の表面表現を互いに位置合わせし、(b)表面表現のうちの1つを基本マップとして選択し、(c)基本マップとして選択されない2つ以上の表面表現のうちの少なくとも1つについて、ドラッグ可能な測地線領域を生成し、測地線領域は、領域が基本マップ上でドラッグされるにつれて変化する解剖学的構造に追従するように構成されており、(d)ドラッグ可能な測地線領域を基本マップに重ね合わせて混合多層表現を生成し、(e)混合多層表現をユーザーに提示するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
図1】本発明の例示の実施形態による、電気解剖学的(EA)マッピングのシステムの模式的な描写図である。
図2】本発明の例示の実施形態による、左心房の混合電気解剖学的(EA)マップの模式的な描写的ボリュームレンダリングである。
図3】本発明の例示の実施形態による、図2の混合電気解剖学的(EA)マップを生成するための方法を模式的に示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概論
カテーテルベースの電気解剖学的マッピング技術は、心臓の左心房などの器官の様々なタイプのEAマップを生成することができる。場合によっては、EAマップを解釈するために、医師は、2つの異なるEAマップを比較する必要がある。例えば、心臓瘢痕組織を確認するために、医師は、局所活性化時間(LAT)着色マップ、同じく双極電位着色マップを見ることがある。医師は、マップをトグルするか、又はそれらを2つのウィンドウ内に並列に配置してもよい。いずれの方法も時間がかかり、両方の方法とも、位置合わせがないため、特定の解剖学的領域を正確に比較することは困難である。
【0014】
更に、器官の領域で使用する切除エネルギーの量などの臨床決定を容易にするために、医師は、他のタイプのマップ、例えば、領域内の心臓壁厚及び/又は主血管の場所を視覚的に検査する必要がある場合があり、医師のタスクを更に複雑にしている。
【0015】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、EAマップ又は他のタイプのマップなどの、表面表現の1つ以上の領域を、別の表面表現(これもEAマップのタイプであり得る)に重ね合わせるリアルタイム統合モード方法を提供する。
【0016】
いくつかの例示の実施形態では、プロセッサは、2つ以上の表面表現を互いに位置合わせする。次いで、プロセッサは、ユーザーの裁量又は予め定められたプロトコルに基づいて、表面表現のうちの1つを基本マップとして選択する。プロセッサは、基本マップとして選択されない2つ以上の表面表現のうちの少なくとも1つについて、ドラッグ可能な測地線領域を生成し、測地線領域は、領域が基本マップ上でドラッグされるにつれて変化する解剖学的構造に追従するように構成されている。プロセッサは、基本マップとして機能する表面表現のうちの1つに、ドラッグ可能な測地線領域を重ね合わせる。最後に、プロセッサは、少なくとも1つのドラッグ可能な測地線領域を含む、結果として得られた混合多層表現をユーザーに提示する。
【0017】
例示の実施形態では、プロセッサは、例えば、ユーザーインターフェースツールから基本マップとして別の表面表現を選択するため、及び基本マップとして選択されない2つ以上の表面表現のうちの少なくとも1つについてドラッグ可能な測地線領域を生成するための機能を提供するように更に構成されている。
【0018】
任意選択的な例示の実施形態では、プロセッサが、複数の層表現の1つ以上の外側層において、1つ以上の内側層を見るために1つ以上のウィンドウを開く、開示される方法の変形例が提供される。測地線ウィンドウを開くことは、(i)マップの順序を逆にすること、及び(ii)内側マップの領域を見るために、外側マップ内の測地線ウィンドウを開くこと、により測地線領域を重ね合わせることと同等の結果をもたらす。したがって、本発明のいくつかの例示の実施形態では、測地線領域を重ね合わせること、又は測地線ウィンドウを開くことは、医師にとって同様のユーザーエクスペリエンス及び同様の利益を得る2つの手段である。
【0019】
例示の実施形態では、医師は、測地線領域を、コンピュータマウス及び/又はタッチスクリーンなどのユーザーインターフェースツールでドラッグすることによって測地線領域を移動させることができる。
【0020】
いくつかの例示の実施形態では、プロセッサは、双極電位マップの円形の測地線領域をLATマップに重ね合わせる。ユーザーインターフェースツールを使用して、ドラッグ及び/又は重なりの大きさを変更することにより、医師は、例えば、2つのEAマップ間を切り替える(すなわち、トグルする)必要なく、心臓組織領域が瘢痕化しているか否かを迅速に確認することができる。
【0021】
別の例示の実施形態では、LATマップは、測地線領域が主マップとは異なるLAT範囲を有する測地線領域に重ね合わされてもよい。
【0022】
別の例示の実施形態では、EAマップの順序は、医師が、例えばユーザーインターフェースツールを使用して、混合マップの2つの順序付けオプション間でトグルすることによって交換されてもよい(すなわち、LATマップの測地線領域が双極電位マップに重ね合わされる)。複数のマップの複数の重なり領域が生成されると、医師は、基本マップを構成する層、及び基本マップ上に重ね合わされる領域を有する層を選択するために、層を再順序付けすることができる。
【0023】
別の例示の実施形態では、複数の測地線領域は、マップ上に同時に開かれ、独立して配置され、移動されてもよい。
【0024】
典型的に、プロセッサは、上で概説したプロセッサ関連工程及び機能のそれぞれをプロセッサが実行することを可能にする、特定のアルゴリズムを用いてプログラムされている。
【0025】
開示される技術は、同じ器官の2つ以上のタイプのEAマップ、並びに他のタイプのマップの解釈において医師を支援し得る。このように、開示される技術は、診断カテーテル法で必要とされるものなどの複雑な診断タスクの品質を促進し、改善することができる。
【0026】
システムの説明
図1は、本発明の例示の実施形態による、電気解剖学的(EA)マッピングのシステムの模式的な描写図である。図1は、患者25の心臓23のEAマッピングを行うために、EA Pentaray(登録商標)カテーテル29を使用している医師27を示す。カテーテル29は、その遠位端に、機械的に可撓性であり得る1つ又は2つ以上のアーム20を備え、各アームに1つ又は2つ以上の電極22が連結されている。マッピング手技中に、電極22は、心臓23の組織から及び/又は心臓23の組織への単極信号及び/又は双極信号を取得及び/又は注入する。プロセッサ28は、電気的インターフェース35を介してこれらの信号を受信し、これらの信号に含まれる情報を使用してEAマップ31を構築し、EAマップ31は、プロセッサ28によってメモリ33に記憶される。手技中に、及び/又は手技に続いて、プロセッサ28は、ディスプレイ26上にEAマップ31を表示することができる。
【0027】
いくつかの例示の実施形態では、EAマップ31は、図2に示され、後で詳細に記載されるように、LATマップに重ね合わされる双極電位マップの円形の測地線重なり領域を含む。
【0028】
手技中に、追跡システムを使用して感知電極22のそれぞれの位置を追跡することで、信号のそれぞれとその信号が取得された位置とを関連付けることができる。例えば、米国特許第8,456,182号に記載され、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Biosense-Webster(Irvine California)製のAdvanced Catheter Location(ACL)システムが使用されてもよい。ACLシステムでは、プロセッサは、感知電極22のそれぞれと患者25の皮膚に連結されている複数の表面電極24との間で測定されたインピーダンスに基づいて電極のそれぞれの位置を推定する。例えば、3つの表面電極24を患者の胸部に、別の3つの表面電極を患者の背部に、連結してもよい。(例示しやすいように、1本の表面電極のみを図1に示す。)患者の心臓23内部の電極22と表面電極24との間に電流が流される。プロセッサ28は、表面電極24で測定して得られた電流振幅間(又はこれらの振幅によって示されるインピーダンス間)の比及び患者の身体上の電極24の既知の位置に基づいて、患者の心臓内の全ての電極22の推定位置を計算する。こうして、プロセッサは、電極22から受信した任意の所与のインピーダンス信号と信号が取得された位置とを関連付けることができる。
【0029】
図1に示す例示的な図は、純粋に、概念を分かりやすくするために選択されたものである。電圧信号の測定に基づく方法など、他の追跡方法を使用することができる。Lasso(登録商標)カテーテル(Biosense Webster製)など、他のタイプの感知カテーテルも同等に採用され得る。接触センサは、EAカテーテル29の遠位端に取り付けられてもよい。上述したように、アブレーションに使用される電極などの他のタイプの電極が、必要な位置データを取得するための電極22に取り付けられて同様の方法で利用されてもよい。よって、この場合、位置データを収集するために使用されるアブレーション電極が、感知電極と見なされる。任意選択的な実施形態では、プロセッサ28は、測定中に電極22のそれぞれと心室の内面との間の物理的接触の質を示すように更に構成されている。
【0030】
プロセッサ28は、通常、本明細書に記載されている機能を実行するようにプログラムされたソフトウェア搭載の汎用コンピュータを備える。具体的には、プロセッサ28は、以下に更に記載されるように、本開示の工程をプロセッサ28が行うことを可能にする、図3を含む本明細書に開示される専用アルゴリズムを実行する。ソフトウェアは、例えば、ネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができるか、又は代替的に若しくは付加的に、磁気メモリ、光学メモリ若しくは電子メモリなどの、非一時的実体的媒体上で提供及び/若しくは記憶されてもよい。
【0031】
ドラッグ可能な測地線の重なりを有する混合電気解剖学的マップカラーリングツール
図2は、本発明の例示の実施形態による、左心房40の混合電気解剖学的(EA)マップの模式的な描写ボリュームレンダリングである。図示されるように、図2は、LATマップ50に重ね合わされた双極電位マップのドラッグ可能な円形の測地線領域60を示す。測地線領域60は、色分けされた双極ECG信号振幅を示し、一方、LATマップ50は色分けされた活性化時間を示す(本明細書では、両方ともグレースケールで示される)。医師は、例えば、円の内側をドラッグすることによって、円形の測地線重なり領域60を移動させることができ、また、円形領域60の半径を変更することができる。測地線の重なりを使用して、医師は、例えば、2つのEAマップ間での切り替え(すなわち、トグル)を行わずに心臓組織領域が瘢痕化されているか否かを迅速に確認することができる。
【0032】
図2は、円形の測地線重なり領域を示しているが、重ね合わされた領域は、例えば、器官上の位置と共に変化する等角図を提供するものなど、別の形状を有してもよい。更に、図2は混合二重層EAマップを示しているが、開示される技術は、2つ以上の重ね合わされた測地線領域を含む多層マップを作製するように、より多くのマップから領域を重ね合わせてもよく、そのうちの少なくとも1つはEPマップではなく、かかる重なり領域は、例えば心臓壁厚を示す。
【0033】
マップが異なる時間に取得されるか、又は異なる位置モダリティを使用して取得される場合、プロセッサ28は、1つ以上のマップを調整して現在の主マップに最良に適合させてもよい。そうすることで、他のマップからの情報が、主マップ上の対象となる測地線領域内に適切に表示されることになる。
【0034】
図3は、本発明の例示の実施形態による、図2の混合電気解剖学的(EA)マップを生成するための方法を模式的に示したフローチャートである。提示された実施形態によるアルゴリズムは、マップ受信工程70においてプロセッサ28が左心房40のLAT及び双極電位EAマップを受信することから始まるプロセスを実行する。例示の一実施形態では、プロセッサは、マップをメモリ33からアップロードする。
【0035】
次に、プロセッサ28は、マップ位置合わせ工程72において、双極マップをLATマップに登録する。
【0036】
次に、プロセッサは、基本マップ選択工程74において、LATマップ50を基本マップとして選択する。プロセッサ28は、領域の重ね合わせ工程76において、双極電位マップのドラッグ可能な測地線領域60を生成し、領域60をLATマップ50に重ね合わせる。最後に、プロセッサ28は、混合マップを提示する工程78において、結果として得られた混合EAマップ102をディスプレイ上で医師に提示する。
【0037】
図3に示されている例示のフローチャートは、単に概念を分かりやすくする目的で選択される。任意選択的な例示の実施形態では、例えば、医用画像などの追加の層を自動的に位置合わせするため、また追加の層の対応の測地線重なり領域を生成及び表示するために、様々な追加の工程が実行されてもよい。
【0038】
本明細書に記載される実施形態は、主に心臓用途に対処するが、本明細書に記載される方法及びシステムはまた、脳又は耳鼻咽喉学的処置の電気解剖学的マッピングなどの他の用途において、CT\PET\MRIを含むマルチモダリティなど、2D又はRDグラフィックスの使用に関する多層の情報を表示する用途と共に使用することもできる。
【0039】
したがって、上記に述べた実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上記に具体的に示し説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組み合わせ及びその一部の組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者により想到されるであろう、また従来技術において開示されていないそれらの変形及び修正を含むものである。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部と見なすものとする。
【0040】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
患者の器官の少なくとも一部分の2つ以上の表面表現を受信することと、
受信した前記2つ以上の表面表現を互いに位置合わせすることと、
前記表面表現のうちの1つを基本マップとして選択することと、
基本マップとして選択されない前記2つ以上の表面表現のうちの少なくとも1つについて、ドラッグ可能な測地線領域を生成することであって、前記測地線領域は、前記領域が前記基本マップ上でドラッグされるにつれて変化する解剖学的構造に追従するように構成されている、ことと、
前記ドラッグ可能な測地線領域を前記基本マップに重ね合わせて、混合多層表現を生成することと、
前記混合多層表現をユーザーに提示することと、を含む、方法。
(2) 前記2つ以上の表面表現が、異なるタイプの電気解剖学的(EA)マップを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記異なるタイプのEAマップが、色分けされたEAマップを含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記異なるタイプのEAマップが、双極マップ及び局所活性化時間(LAT)マップを含む、実施態様2に記載の方法。
(5) 前記測地線領域が円形形状を有する、実施態様1に記載の方法。
【0041】
(6) 前記測地線領域が、ユーザー入力に応じてドラッグされる、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記ユーザー入力に応じて、別の表面表現を基本マップとして選択することと、基本マップとして選択されない前記2つ以上の表面表現のうちの少なくとも1つについて、前記ドラッグ可能な測地線領域を生成することと、を含む、実施態様6に記載の方法。
(8) システムであって、
メモリであって、患者の器官の少なくとも一部分の2つ以上の表面表現を記憶するように構成されているメモリと、
プロセッサであって、
受信した前記2つ以上の表面表現を互いに位置合わせすることと、
前記表面表現のうちの1つを基本マップとして選択することと、
基本マップとして選択されない前記2つ以上の表面表現のうちの少なくとも1つについて、ドラッグ可能な測地線領域を生成することであって、前記測地線領域は、前記領域が前記基本マップ上でドラッグされるにつれて変化する解剖学的構造に追従するように構成されている、ことと、
前記ドラッグ可能な測地線領域を前記基本マップに重ね合わせて、混合多層表現を生成することと、
前記混合多層表現をユーザーに提示することと、を行うように構成されている、プロセッサと、を備える、システム。
(9) 前記2つ以上の表面表現が、異なるタイプの電気解剖学的(EA)マップを含む、実施態様8に記載のシステム。
(10) 前記異なるタイプのEAマップが、色分けされたEAマップを含む、実施態様9に記載のシステム。
【0042】
(11) 前記異なるタイプのEAマップが、双極マップ及び局所活性化時間(LAT)マップを含む、実施態様9に記載のシステム。
(12) 前記測地線領域が円形形状を有する、実施態様8に記載のシステム。
(13) 前記測地線領域が、ユーザー入力に応じてドラッグされる、実施態様8に記載のシステム。
(14) 前記プロセッサが、前記ユーザー入力に応じて、別の表面表現を基本マップとして選択し、基本マップとして選択されない前記2つ以上の表面表現のうちの少なくとも1つについて、前記ドラッグ可能な測地線領域を生成するように更に構成されている、実施態様13に記載のシステム。
図1
図2
図3