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特許7588986画像処理方法、装置、電子機器、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】画像処理方法、装置、電子機器、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20241118BHJP
   G06N 3/08 20230101ALI20241118BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
G06N3/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020139933
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2021064354
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】201910959233.7
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100158528
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 芳隆
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 亨
(72)【発明者】
【氏名】ジュ メンユェン
(72)【発明者】
【氏名】グオ シンユ
(72)【発明者】
【氏名】リ アンシン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ラン
(72)【発明者】
【氏名】山谷 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】小島 誠也
(72)【発明者】
【氏名】杉村 利明
(72)【発明者】
【氏名】酒井 俊樹
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】US,Guanshuo Wang, Yufeng Yuan, Xiong Chen, Ji wei Li, Xi Zhou,Learning Discriminative Features with Multiple Granularities for Person Re-Identification,外国雑誌,発行日 20180814,arxiv,https://arxiv.org/pdf/1804.01438.pdf
【文献】US,CA3Net: Contextual-Attentional Attribute-Appearance Network for Person Re-Identification,外国雑誌,発行日 20181119,arxiv,https://arxiv.org/pdf/1811.07544.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06N 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューラルネットワークシステムを使用して入力画像を処理する画像処理装置であって、
前記入力画像を受信し、また前記入力画像の初期特徴マップを抽出する入力層ユニットと、
前記初期特徴マップから画像特徴をさらに抽出して、中間層特徴マップを取得する中間層ユニットと、
前記中間層特徴マップに基づいて、前記入力画像に対する処理結果を出力する出力層ユニットと、を含み、
前記中間層ユニットは、少なくとも二つの分岐を含み、前記少なくとも二つの分岐は、異なるスケールを有する及び/又は前記初期特徴マップの異なる領域に対応する、中間層特徴マップを生成し、
前記中間層ユニットは、
前記中間層ユニットにおける第1分岐の第1サブ層において、第1ステップサイズで前記初期特徴マップを畳み込んで、第1サブ特徴マップを取得し、また前記第1分岐の第2サブ層において、前記第1サブ特徴マップに対して第1分割を実行して、第2サブ特徴マップを取得し、
前記中間層ユニットにおける第2分岐の第1サブ層において、第2ステップサイズで前記初期特徴マップを畳み込んで、第3サブ特徴マップを取得し、また前記第2分岐の第2サブ層において、前記第3サブ特徴マップに対して第2分割を実行して、第4サブ特徴マップを取得し、
前記第1ステップサイズは前記第2ステップサイズと異なり、また前記第1分割と前記第2分割のうち一方は水平分割であり、他方は垂直分割である、画像処理装置。
【請求項2】
ニューラルネットワークシステムを使用して入力画像を処理する画像処理装置であって、
前記入力画像を受信し、また前記入力画像の初期特徴マップを抽出する入力層ユニットと、
前記初期特徴マップから画像特徴をさらに抽出して、中間層特徴マップを取得する中間層ユニットと、
前記中間層特徴マップに基づいて、前記入力画像に対する処理結果を出力する出力層ユニットと、を含み、
前記中間層ユニットは、少なくとも二つの分岐を含み、前記少なくとも二つの分岐は、異なるスケールを有する及び/又は前記初期特徴マップの異なる領域に対応する、中間層特徴マップを生成し、
記中間層ユニットは、
前記中間層ユニットにおける第1分岐の第1サブ層において、前記初期特徴マップに対して第1分割を実行して第1サブ特徴マップを取得し、また前記第1分岐の第2サブ層において、第1ステップサイズで前記第1サブ特徴マップを畳み込んで第2サブ特徴マップを取得し、
前記中間層ユニットにおける第2分岐の第1サブ層において、前記初期特徴マップに対して第2分割を実行して第3サブ特徴マップを取得し、また前記第2分岐の第2サブ層において、第2ステップサイズで前記第3サブ特徴マップを畳み込んで第4サブ特徴マップを取得し、
前記第1ステップサイズは前記第2ステップサイズと異なり、また前記第1分割と前記第2分割のうち一方は水平分割であり、他方は垂直分割である、画像処理装置。
【請求項3】
損失関数により前記ニューラルネットワークシステムを訓練する訓練ユニットをさらに含み、
前記損失関数は、前記少なくとも二つの分岐のそれぞれによって取得された全部の特徴マップに関する、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
入力層と、中間層と、出力層とを含むニューラルネットワークシステムを使用して入力画像を処理する画像処理方法であって、
前記入力層を介して、前記入力画像を受信し、また前記入力画像の初期特徴マップを抽出するステップと、
前記中間層を介して、前記初期特徴マップから画像特徴をさらに抽出して、中間層特徴マップを取得するステップと、
前記出力層を介して、前記中間層特徴マップに基づいて、前記入力画像に対する処理結果を出力するステップと、を含み、
前記中間層は、少なくとも二つの分岐を含み、前記少なくとも二つの分岐は、異なるスケールを有する及び/又は前記初期特徴マップの異なる領域に対応する、中間層特徴マップを生成し、
前記中間層を介して、前記初期特徴マップから画像特徴をさらに抽出して、中間層特徴マップを取得するステップは、
前記中間層における第1分岐の第1サブ層において、第1ステップサイズで前記初期特徴マップを畳み込んで、第1サブ特徴マップを取得し、また前記第1分岐の第2サブ層において、前記第1サブ特徴マップに対して第1分割を実行して、第2サブ特徴マップを取得するステップと、
前記中間層における第2分岐の第1サブ層において、第2ステップサイズで前記初期特徴マップを畳み込んで、第3サブ特徴マップを取得し、また前記第2分岐の第2サブ層において、前記第3サブ特徴マップに対して第2分割を実行して、第4サブ特徴マップを取得するステップと、を含み、
前記第1ステップサイズは前記第2ステップサイズと異なり、また前記第1分割と前記第2分割のうち一方は水平分割であり、他方は垂直分割である、画像処理方法。
【請求項5】
入力層と、中間層と、出力層とを含むニューラルネットワークシステムを使用して入力画像を処理する画像処理方法であって、
前記入力層を介して、前記入力画像を受信し、また前記入力画像の初期特徴マップを抽出するステップと、
前記中間層を介して、前記初期特徴マップから画像特徴をさらに抽出して、中間層特徴マップを取得するステップと、
前記出力層を介して、前記中間層特徴マップに基づいて、前記入力画像に対する処理結果を出力するステップと、を含み、
前記中間層は、少なくとも二つの分岐を含み、前記少なくとも二つの分岐は、異なるスケールを有する及び/又は前記初期特徴マップの異なる領域に対応する、中間層特徴マップを生成し、
前記中間層を介して、前記初期特徴マップから画像特徴をさらに抽出して、中間層特徴マップを取得するステップは、
前記中間層における第1分岐の第1サブ層において、前記初期特徴マップに対して第1分割を実行して第1サブ特徴マップを取得し、また前記第1分岐の第2サブ層において、第1ステップサイズで前記第1サブ特徴マップを畳み込んで第2サブ特徴マップを取得するステップと、
前記中間層における第2分岐の第1サブ層において、前記初期特徴マップに対して第2分割を実行して第3サブ特徴マップを取得し、また前記第2分岐の第2サブ層において、第2ステップサイズで前記第3サブ特徴マップを畳み込んで第4サブ特徴マップを取得するステップと、を含み、
前記第1ステップサイズは前記第2ステップサイズと異なり、また前記第1分割と前記第2分割のうち一方は水平分割であり、他方は垂直分割である、画像処理方法。
【請求項6】
損失関数により前記ニューラルネットワークシステムを訓練するステップをさらに含み、
前記損失関数は、前記少なくとも二つの分岐のそれぞれによって取得された全部の特徴マップに関する、請求項4又は5に記載の画像処理方法。
【請求項7】
コンピュータ読み取り可能な命令を記憶するメモリと、
前記コンピュータ読み取り可能な命令を実行して、請求項のいずれか一項に記載の画像処理方法を電子機器に実行させるプロセッサと、を含む、電子機器。
【請求項8】
コンピュータ読み取り可能な命令を記憶するコンピュータ記憶媒体であって、
前記コンピュータ読み取り可能な命令がコンピュータにより実行される場合、前記コンピュータが請求項のいずれか一項に記載の画像処理方法を実行する、コンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は画像処理分野に関し、更に具体的には、本開示は畳み込みニューラルネットワークシステムを使用して入力画像を処理する画像処理方法及び装置、並びにコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ニューラルネットワークは、大規模なマルチパラメータ最適化のツールである。ニューラルネットワークは、大量のトレーニングデータに依存して、データにおける要約するのが難しい隠れた特徴を学習でき、顔検出、画像セマンティックセグメンテーション、物体検出、動作追従、自然言語翻訳など、多くの複雑なタスクを完成できる。ニューラルネットワークは、既に人工知能業界で広く応用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
画像処理の分野でニューラルネットワークを使用する場合、顔認識技術の重要な補足として、歩行者再認識(Re-ID)は、異なるカメラでキャプチャされた画像またはビデオに特定の人物が存在するか否かを決定する処理タスクである。異なるカメラデバイス間の撮影の違い、及び歩行者対象が姿勢、アクセサリ、遮蔽物などの複数の要因の影響を受けやすいことから見ると、歩行者再認識はチャレンジのある画像処理タスクである。歩行者再認識用方法は、ResNet、GoogleNetなどの基本モデル、アテンションメカニズムモデル、及び事前知識モデルなどに基づく処理方法を含む。基本モデルに基づく処理方法は比較的に簡単な一方、抽出された画像の特徴が粗すぎるため、歩行者再認識タスクを効果的に完成できないことがよくある。アテンションメカニズムモデルに基づく処理方法は、ネットワークモデル自体の設計に対する要求が高く、不適切なネットワーク構成によりアテンションメカニズムを無効にする可能性がある。事前知識モデルに基づく処理方法は、一旦前処理モデルが間違った場合、後続の特徴学習に重大な妨害を及ぼす。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を鑑みて本開示を提出する。本開示は、ニューラルネットワークシステムを使用して入力画像を処理する画像処理方法及び装置、並びにコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0005】
本開示の一つの態様によると、ニューラルネットワークシステムを使用して入力画像を処理する画像処理装置であって、前記入力画像を受信し、また前記入力画像の初期特徴マップを抽出する入力層ユニットと、前記初期特徴マップから画像特徴をさらに抽出して、中間層特徴マップを取得する中間層ユニットと、前記中間層特徴マップに基づいて、前記入力画像に対する処理結果を出力する出力層ユニットと、を含み、前記中間層ユニットは、少なくとも二つの分岐を含み、前記少なくとも二つの分岐は、異なるスケールを有する及び/又は前記初期特徴マップの異なる領域に対応する中間層特徴マップを生成する、画像処理装置が提供される。
【0006】
なお、本開示の一つの態様の画像処理装置によると、前記中間層ユニットは、前記中間層ユニットにおける第1分岐の第1サブ層において、第1ステップサイズで前記初期特徴マップを畳み込んで、第1サブ特徴マップを取得し、また前記第1分岐の第2サブ層において、前記第1サブ特徴マップに対して第1分割を実行して、第2サブ特徴マップを取得し、前記中間層ユニットにおける第2分岐の第1サブ層において、第2ステップサイズで前記初期特徴マップを畳み込んで、第3サブ特徴マップを取得し、また前記第2分岐の第2サブ層において、前記第3サブ特徴マップに対して第2分割を実行して、第4サブ特徴マップを取得し、前記第1ステップサイズは前記第2ステップサイズと異なり、また前記第1分割と前記第2分割のうち一方は水平分割であり、他方は垂直分割である。
【0007】
なお、本開示の一つの態様の画像処理装置によると、前記中間層ユニットは、前記中間層ユニットにおける第1分岐の第1サブ層において、前記初期特徴マップに対して第1分割を実行して第1サブ特徴マップを取得し、また前記第1分岐の第2サブ層において、第1ステップサイズで前記第1サブ特徴マップを畳み込んで第2サブ特徴マップを取得し、前記中間層ユニットにおける第2分岐の第1サブ層において、前記初期特徴マップに対して第2分割を実行して第3サブ特徴マップを取得し、また前記第2分岐の第2サブ層において、第2ステップサイズで前記第3サブ特徴マップを畳み込んで第4サブ特徴マップを取得し、前記第1ステップサイズは前記第2ステップサイズと異なり、また前記第1分割と前記第2分割のうち一方は水平分割であり、他方は垂直分割である。
【0008】
なお、本開示の一つの態様の画像処理装置によると、損失関数により前記ニューラルネットワークシステムを訓練する訓練ユニットをさらに含み、前記損失関数は、前記少なくとも二つの分岐のそれぞれによって取得された全部の特徴マップに関する。
【0009】
本開示のもう一つの態様によると、入力層と、中間層と、出力層とを含むニューラルネットワークシステムを使用して入力画像を処理する画像処理方法であって、前記入力層を介して、前記入力画像を受信し、また前記入力画像の初期特徴マップを抽出するステップと、前記中間層を介して、前記初期特徴マップから画像特徴をさらに抽出して、中間層特徴マップを取得するステップと、前記出力層を介して、前記中間層特徴マップに基づいて、前記入力画像に対する処理結果を出力するステップと、を含み、前記中間層は、少なくとも二つの分岐を含み、前記少なくとも二つの分岐は、異なるスケールを有する及び/又は前記初期特徴マップの異なる領域に対応する、中間層特徴マップを生成する。
【0010】
なお、本開示のもう一つの態様の画像処理方法によると、前記中間層を介して、前記初期特徴マップから画像特徴をさらに抽出して、中間層特徴マップを取得するステップは、前記中間層ユニットにおける第1分岐の第1サブ層において、第1ステップサイズで前記初期特徴マップを畳み込んで、第1サブ特徴マップを取得し、また前記第1分岐の第2サブ層において、前記第1サブ特徴マップに対して第1分割を実行して、第2サブ特徴マップを取得するステップと、前記中間層ユニットにおける第2分岐の第1サブ層において、第2ステップサイズで前記初期特徴マップを畳み込んで、第3サブ特徴マップを取得し、また前記第2分岐の第2サブ層において、前記第3サブ特徴マップに対して第2分割を実行して、第4サブ特徴マップを取得するステップと、を含み、前記第1ステップサイズは前記第2ステップサイズと異なり、また前記第1分割と前記第2分割のうち一方は水平分割であり、他方は垂直分割である。
【0011】
なお、本開示のもう一つの態様の画像処理方法によると、前記中間層を介して、前記初期特徴マップから画像特徴をさらに抽出して、中間層特徴マップを取得するステップは、前記中間層ユニットにおける第1分岐の第1サブ層において、前記初期特徴マップに対して第1分割を実行して第1サブ特徴マップを取得し、また前記第1分岐の第2サブ層において、第1ステップサイズで前記第1サブ特徴マップを畳み込んで第2サブ特徴マップを取得するステップと、前記中間層ユニットにおける第2分岐の第1サブ層において、前記初期特徴マップに対して第2分割を実行して第3サブ特徴マップを取得し、また前記第2分岐の第2サブ層において、第2ステップサイズで前記第3サブ特徴マップを畳み込んで第4サブ特徴マップを取得するステップと、を含み、前記第1ステップサイズは前記第2ステップサイズと異なり、また前記第1分割と前記第2分割のうち一方は水平分割であり、他方は垂直分割である。
【0012】
なお、本開示のもう一つの態様の画像処理方法によると、損失関数により前記ニューラルネットワークシステムを訓練するステップをさらに含み、前記損失関数は、前記少なくとも二つの分岐のそれぞれによって取得された全部の特徴マップに関する。
【0013】
本開示のさらにもう一つの態様によると、コンピュータ読み取り可能な命令を記憶するメモリと、前記コンピュータ読み取り可能な命令を実行して、前記電子機器に上記のような画像処理方法を実行させるプロセッサと、を含む電子機器が提供される。
【0014】
本開示のさらにもう一つの態様によると、コンピュータ読み取り可能な命令を記憶するコンピュータ記憶媒体であって、前記コンピュータ読み取り可能な命令がコンピュータにより実行される場合、前記コンピュータが上記のような画像処理方法を実行するコンピュータ記憶媒体が提供される。
【0015】
以下で詳しく説明する、本開示の実施例による、ニューラルネットワークシステムを使用して入力画像を処理する画像処理方法及び装置、並びにコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、複数の分岐によって、異なるスケールと、水平方向や垂直方向のような異なる粒度とで、画像の特徴を抽出するように設計することで、全域及び局所特徴をより効果的に抽出することを実現し、ネットワークにおける全部の分岐によって抽出された特徴に関する損失関数を構成して、ニューラルネットワークシステム全体を訓練することで、各分岐の特徴間の相関性を強化し、また、ニューラルネットワークシステムにおける一つの分岐によって前層から抽出された特徴が分割されていないまま、後層に直接出力するため、分岐全体で全部の初期特徴を維持する。本開示の実施例の、ニューラルネットワークシステムを使用して入力画像を処理する画像処理方法によると、歩行者再認識(Re-ID)のような画像処理タスクで、より良好な認識効果を達成する。
【0016】
なお、前述の一般的な説明と以下の詳細的な説明はいずれも例示的なもので、保護を要求されている技術のさらなる説明を提供することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面に組み合わせて本発明の実施例をより詳細に説明することで、本発明の上記及び他の目的、特徴、及びメリットがさらに明確になる。図面は、本発明の実施例をさらに理解させるためであり、明細書の一部となり、本発明の実施例とともに、本発明を説明するのも用いられ、本発明を限定するものではない。図面で、同じ符号は一般的に同じ部材またはステップを表す。
図1】本開示の実施例による画像処理方法のフローチャートを示す。
図2】本開示の実施例による画像処理方法の概略図を示す。
図3】本開示の実施例によるニューラルネットワークシステムの概略図を示す。
図4】本開示の実施例によるニューラルネットワークシステムの概略図を示す。
図5】本開示の実施例によるニューラルネットワークシステムの概略図を示す。
図6】本開示の実施例によるニューラルネットワークシステムの概略図を示す。
図7】本開示の実施例による画像処理装置のブロック図である。
図8】本開示の実施例による電子機器のハードウェアブロック図を示す。
図9】本開示の実施例によるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の目的、技術案、及びメリットをさらに明確に説明するために、以下において図面を参照して、本開示の実施例を詳細に記載する。明らかなように、記載した実施例は本開示の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。なお、本開示は以下で記載された実施例により限定されるものではない。
【0019】
本開示はニューラルネットワークシステムを使用して入力画像を処理する画像処理方法及び装置に関する。一般的に、ニューラルネットワークシステムを利用して画像を処理する方法は、二つの段階、すなわち、訓練段階と画像処理段階とに分けることができる。いわゆる訓練段階とは、まず、訓練画像を利用してニューラルネットワークを訓練して、ニューラルネットワークの重み(パラメータとも称する)を調整する。いわゆる画像処理段階とは、その後、訓練されたニューラルネットワークにより、処理すべき画像から特徴を抽出し、画像に対する対象決定、分類など処理を実行する。本開示で、歩行者再認識(Re-ID)のような画像処理タスクでより優れた画像特徴の抽出を実現して、認識効果を高めるために、ニューラルネットワークシステムの複数の分岐によって、異なるスケールと、水平方向や垂直方向のような異なる粒度とで、画像の特徴を抽出するように設計することで、全域及び局所特徴をより効果的に抽出することを実現し、ニューラルネットワークシステムにおける一つの分岐によって前層から抽出された特徴は、分割されていないまま後層に直接出力するため、分岐全体で全部の初期特徴を維持する。なお、対応的に、訓練段階でネットワークにおける全部の分岐によって抽出された特徴に関する損失関数を構成して、ニューラルネットワークシステム全体を訓練することで、各分岐の特徴間の相関性を強化する。以下において、図面を参照しながら本開示の各実施例を説明する。
【0020】
まず、図1及び図2を参照しながら本開示の実施例による画像処理方法を説明する。図1は本開示の実施例による画像処理方法のフローチャートを示す。図2は本開示の実施例による画像処理方法の概略図を示す。
【0021】
図1及び図2に示すように、ステップS101において、入力層11を介して入力画像20を受信し、また入力画像20の初期特徴マップを抽出する。図2に概略的に示したように、本開示の実施例におけるニューラルネットワークシステム10は、入力層11と、中間層12と、出力層13とを含む。例えば、入力層11は、ResNet-50ニューラルネットワークシステムにおける最初の三つの層であり、入力画像20の基礎特徴を抽出して、前記初期特徴マップを取得する。入力層11は、ResNet-50ニューラルネットワークシステムの最初の三つの層に限定されず、任意の他のタイプのニューラルネットワークシステムにおいて、入力画像の基礎特徴を抽出し、且つ、まだ異なるスケールと、水平方向や垂直方向のような粒度とで画像の特徴を抽出することが発生していない複数の分岐の各層を含む。
【0022】
ステップS102において、中間層12を介して、前記初期特徴マップから画像特徴をさらに抽出して、中間層特徴マップを取得する。図3乃至図6を参照しながらさらに説明したように、本開示の実施例によるニューラルネットワークシステム10の中間層12は少なくとも二つの分岐を含み、前記少なくとも二つの分岐は、異なるスケールを有する及び/又は前記初期特徴マップの異なる領域に対応する、中間層特徴マップを生成する。
【0023】
ステップS103において、出力層13を介して、中間層特徴マップに基づいて、前記入力画像20に対する処理結果21を出力する。例示的に、当該処理結果は分類結果であってもよく、図2に例示的に示したように、出力層13は、例えば、全域プーリング、フルコネクション等の処理を行った後、分類結果21を出力する。本開示の実施例による画像処理方法は、画像中の対象分類を行うことに限定されず、対象物体の検出、分割、対象物体の動き予測、及び対象物体の類似度の比較等をさらに含む。例示的に、ニューラルネットワークシステムの出力層を介して出力された処理結果は、対象物体の位置情報、画像分割結果、対象物体の動き予測結果、対象物体の類似度などであってもよい。
【0024】
上記のような、本開示の実施例による画像処理方法は、ニューラルネットワークの複数の分岐によって、異なるスケールと、水平方向や垂直方向のような異なる粒度とで、画像の特徴を抽出し、全域及び局所特徴をより効果的に抽出することを実現する。以下において、図3乃至図6を参照して、本開示の実施例による画像処理方法で、異なるスケールと、水平方向や垂直方向のような異なる粒度とで、画像の特徴を抽出するのに用いられるニューラルネットワーク構造をさらに詳細に説明する。
【0025】
図3は本開示の実施例によるニューラルネットワークシステムの概略図を示す。説明の便宜上、図3乃至図6は、主に本開示の実施例によるニューラルネットワークシステムの中間層の例示的な構造を示す。
【0026】
図3に示すように、中間層300は、入力層(未図示)によって抽出された入力画像の初期特徴マップ301に対して、画像特徴をさらに抽出する。中間層300は二つの分岐を含み、すなわち、第1分岐302と第2分岐303とを含む。なお、本開示の実施例によるニューラルネットワークシステムの中間層は、二つの分岐のみ含むものに限定されず、異なるスケール及び/又は水平方向や垂直方向のような異なる粒度で、画像の特徴を抽出する複数の分岐を含んでもよい。
【0027】
前記中間層300における第1分岐302の第1サブ層において、第1ステップサイズで前記初期特徴マップ301を畳み込んで、第1サブ特徴マップ304を取得し、また前記第1分岐302の第2サブ層において、前記第1サブ特徴マップ304に対して第1分割を実行して、第2サブ特徴マップ305を取得する。
【0028】
前記中間層300における第2分岐303の第1サブ層において、第2ステップサイズで前記初期特徴マップ301を畳み込んで、第3サブ特徴マップ306を取得し、また前記第2分岐303の第2サブ層において、前記第3サブ特徴マップ306に対して第2分割を実行して、第4サブ特徴マップ307を取得する。
【0029】
本開示の一つの実施例において、前記第1ステップサイズは前記第2ステップサイズと異なるため、第1分岐302と第2分岐303とによって抽出された第1サブ特徴マップ304と第3サブ特徴マップ306とは、異なるスケールを有する。本開示のもう一つの実施例において、第1分岐302と第2分岐303とは、スケールの異なる畳み込みカーネルにより、前記初期特徴マップ301を畳み込んで、異なるスケールを有する第1サブ特徴マップ304と第3サブ特徴マップ306とを取得してもよい。なお、本開示の実施例によるニューラルネットワークシステムは、これに限られず、異なる分岐で同一な初期特徴マップから異なるスケールで特徴をさらに抽出する他の状況を含む。
【0030】
本開示の一つの実施例において、前記第1分割と前記第2分割のうち一方は水平分割であり、他方は垂直分割である。例えば、図3に示すように、前記第1分割は第1サブ特徴マップ304に対する水平分割で、第1サブ特徴マップ304を上下の二つの部分に分け、画像全体と異なるさらに小さい粒度で、画像の局所特徴をさらに抽出する。前記第2分割は第3サブ特徴マップ306に対する垂直分割で、第3サブ特徴マップ306を左右の二つの部分に分け、画像全体と異なるさらに小さい粒度で、画像の局所特徴をさらに抽出する。前記第1分割と前記第2分割とは、お互いに異なる分割方式であるため、取得された第2サブ特徴マップ305と第4サブ特徴マップ307とは、異なる粒度で特徴をさらに抽出することができる。なお、本開示の実施例によるニューラルネットワークシステムは、これに限られず、異なる粒度で画像特徴をさらに抽出できれば、前工程特徴マップをさらに三つの部分や複数の部分に分ける方式、前工程特徴マップを均一に分割、不均一に分割する方式、前工程特徴マップに対して水平/垂直の規則分割、非水平/垂直の不規則分割を行う方式を全部含んでもよい。
【0031】
図4は本開示の実施例によるニューラルネットワークシステムの概略図を示す。図3に示した、異なる分岐で、異なるスケールで画像特徴を抽出し、そして異なる粒度で画像特徴を抽出することと異なり、図4は、異なる分岐で、まず異なる粒度で画像特徴を抽出し、そして異なるスケールで画像特徴を抽出する実施形態を示している。
【0032】
図4に示すように、中間層400は、入力層(未図示)によって抽出された入力画像の初期特徴マップ401に対して画像特徴をさらに抽出する。図4に示すように、中間層400は二つの分岐を含み、すなわち、第1分岐402と第2分岐403とを含む。なお、本開示の実施例によるニューラルネットワークシステムの中間層は、二つの分岐のみ含むことに限られず、異なるスケール及び/又は水平方向や垂直方向のような異なる粒度で、画像の特徴を抽出する複数の分岐を含んでもよい。
【0033】
前記中間層400における第1分岐402の第1サブ層において、前記初期特徴マップ401に対して第1分割を実行して、第1サブ特徴マップ404を取得し、また前記第1分岐402の第2サブ層において、第1ステップサイズで前記第1サブ特徴マップ404を畳み込んで、第2サブ特徴マップ405を取得する。図4に示した二つの第2サブ特徴マップ405は、それぞれ第1サブ特徴マップ404の上下の二つの領域に対応する。なお、異なるステップサイズ又は畳み込みカーネルで、第1サブ特徴マップ404の上下の二つの領域にたいして畳み込んで、異なるスケールを有する二つの第2サブ特徴マップ405を取得してもよい。
【0034】
前記中間層400における第2分岐403の第1サブ層において、前記初期特徴マップ401に対して第2分割を実行して、第3サブ特徴マップ406を取得し、また前記第2分岐403の第2サブ層において、第2ステップサイズで前記第3サブ特徴マップ406を畳み込んで、第4サブ特徴マップ407を取得する。図4に示した二つの第4サブ特徴マップ407は、それぞれ第3サブ特徴マップ406の左右の二つの領域に対応する。なお、異なるステップサイズ又は畳み込みカーネルで、第3サブ特徴マップ406の左右の二つの領域を畳み込んで、異なるスケールを有する二つの第4サブ特徴マップ407を取得してもよい。
【0035】
本開示の一つの実施例において、前記第1ステップサイズは前記第2ステップサイズと異なるため、第1分岐402と第2分岐403とによって抽出された第2サブ特徴マップ405と第4サブ特徴マップ407とは、異なるスケールを有する。本開示のもう一つの実施例において、第1分岐402と第2分岐403とは、スケールの異なる畳み込みカーネルで前記第1サブ特徴マップ404と前記第3サブ特徴マップ406とに対して畳み込み、異なるスケールを有する第2サブ特徴マップ405と第4サブ特徴マップ407とを取得してもよい。なお、本開示の実施例によるニューラルネットワークシステムは、これに限られず、異なる分岐で同一な初期特徴マップから異なるスケールで特徴をさらに抽出する他の状況を含む。
【0036】
本開示の一つの実施例において、前記第1分割と前記第2分割のうち一方は水平分割であり、他方は垂直分割である。例えば、図4に示すように、前記第1分割は初期特徴マップ401に対する水平分割で、初期特徴マップ401を上下の二つの部分に分け、画像全体と異なるさらに小さい粒度で、画像の局所特徴をさらに抽出する。前記第2分割は初期特徴マップ401に対する垂直分割で、初期特徴マップ401を左右の二つの部分に分け、画像全体と異なるさらに小さい粒度で、画像の局所特徴をさらに抽出する。前記第1分割と前記第2分割とは、お互いに異なる分割方式であるため、取得された第1サブ特徴マップ404と第3サブ特徴マップ406とは、異なる粒度で特徴をさらに抽出することができる。なお、本開示の実施例によるニューラルネットワークシステムは、これに限られず、異なる粒度で画像特徴をさらに抽出できれば、前工程特徴マップをさらに三つの部分や複数の部分に分ける方式、前工程特徴マップを均一に分割、不均一に分割する方式、前工程特徴マップに対して水平/垂直の規則分割、非水平/垂直の不規則分割を行う方式を全部含んでもよい。
【0037】
なお、図3及び図4のいずれも、一つの分岐でそれぞれ異なるスケールと異なる粒度とで画像特徴を抽出することが概略的に示している。しかし、本開示の実施例は、これに限られず、一つの分岐で異なるスケール又は異なる粒度で画像特徴を抽出する状況を含んでもよく、さらに、異なるスケール又は異なる粒度で画像特徴を抽出することを実行しない一つの分岐が存在する状況を含んでもよく、中間層全体で異なるスケール又は異なる粒度で画像特徴を抽出すればよい。
【0038】
図5及び図6は中間層がさらなる分岐を含む例示的な実施例をさらに示す。なお、図3及び図4と異なり、図5及び図6は、さらに、分岐毎に初期特徴マップから異なるスケール及び異なる粒度で特徴を抽出してから、さらに一つのプーリング操作(例えば、全域最大プーリング)を行って、当該分岐の最終的な出力特徴マップを取得することを別途に示している。
【0039】
図5に示すように、示された中間層500は、第1分岐501乃至第6分岐506を含む。中間層500は、入力層(未図示)によって抽出された入力画像50の初期特徴マップ60に対して、画像特徴をさらに抽出する。
【0040】
前記中間層500における第1サブ層において、異なるステップサイズで前記初期特徴マップ60を畳み込んで、第1サブ特徴マップ5011と、第1サブ特徴マップ5012と、第1サブ特徴マップ5013とを取得する。第1サブ特徴マップ5011、第1サブ特徴マップ5012と、第1サブ特徴マップ5013とに対して、さらに異なるスケールで特徴を抽出してから、さらに異なる分割方式で分割して、異なる粒度で特徴を抽出することができる。なお、一つの分岐に対して、分割せずに入力画像50の全域特徴マップとして入力してもよい。
【0041】
具体的に、第1分岐501は、異なる粒度で分割することが行っていない全域特徴マップfg1を取得する。第2分岐502は、異なるスケール及び水平に二つに分けることで、全域特徴マップfg2と、局所特徴マップfp21と、局所特徴マップfp22とを取得する。第3分岐503は、異なるスケール及び垂直に二つに分けることで、全域特徴マップfg3と、局所特徴マップfp31と、局所特徴マップfp32とを取得する。第4分岐504は、異なるスケール及び水平に三つに分けることで、全域特徴マップfg4と、局所特徴マップfp41乃至fp43を取得する。第五分岐505は、異なるスケール及び水平に二つに分けることで、全域特徴マップfg5と、局所特徴マップfp51と、局所特徴マップfp52とを取得する。第6分岐506は、異なるスケール及び水平に二つに分けることで、全域特徴マップfg6と、局所特徴マップfp61と、局所特徴マップfp62と、局所特徴マップfp7とを取得する。
【0042】
なお、上記の各分岐に、いずれも、ニューラルネットワークシステムにおける一つの分岐によって前層から抽出された特徴が分割されていないまま、後層に直接出力することが存在し、分岐全体で全部の初期特徴を維持する(例えば、fg1乃至fg6)。
【0043】
図3及び図4と類似に、図5及び図6は、それぞれ、まず異なるスケールで後に異なる粒度で特徴を抽出する状況と、まず異なる粒度で後に異なるスケールで特徴を抽出する状況を示している。よって、図6に関する繰り返しの説明を省略する。
【0044】
図5及び図6に示された中間層は、図3及び図4の例に比べて、より豊富なスケール及び粒度配置方式を提供する。なお、図3乃至図6に示された中間層は、いずれも例示的なもののみで、本開示の実施例はこれに限られず、全体的に、実際の画像処理ニーズに基づいて、異なるスケール又は異なる粒度で画像特徴を抽出することを実現するができる、あらゆる中間層配置を含むことができる。
【0045】
図5及び図6はニューラルネットワークシステムを訓練するための損失関数の配置をさらに例示的に示している。ニューラルネットワークシステムによって歩行者再認識のような画像処理タスクを実行する前に、損失関数により、前記ニューラルネットワークシステムを訓練する必要がある。本開示の実施例によるニューラルネットワークシステムは、異なるスケール又は異なる粒度で画像特徴を抽出した中間層分岐を含むため、各中間層分岐によって抽出された特徴の相関性を高めて画像処理性能を高めるために、中間層分岐のそれぞれによって取得された全部の特徴マップに関する前記損失関数を配置する。
【0046】
図5及び図6に示すように、各分岐に対して、いずれもSoftmax損失関数を配置し、全体的なSoftmax損失関数は、以下の式で表すことができる。
【数1】
【0047】
各中間層分岐によって抽出された特徴の相関性を高めるために、L2規則化してから各分岐からの各特徴に対して、トリプレット(Triplet)損失関数を応用し、その全体的な式は以下のように表すことができる。
【数2】
【0048】
なお、各中間層分岐によって抽出された直列特徴に対して、さらにトリプレット(Triplet)損失関数を応用し、その全体的な式は以下のように表すことができる。
【数3】
【0049】
最終的に訓練に用いる総体的な損失関数は、すべてのSoftmax損失関数の平均値とトリプレット損失関数の平均値との合計にすることができる。
【数4】
【0050】
以上において、図面を参照しながら本開示の実施例による画像処理方法を説明し、特に本開示の実施例による画像処理方法におけるニューラルネットワークシステムのネットワーク構造を、主に説明している。以下において、当該画像処理方法を実行する画像処理装置をさらに説明する。
【0051】
図7は本開示の実施例による画像処理装置のブロック図である。図7に示された本開示の実施例による画像処理装置700は、図1に示された本開示の実施例による画像処理方法を実行することができる。図7に示すように、本開示の実施例による画像処理装置700は、入力層ユニット701と、中間層ユニット702と、出力層ユニット703と、訓練ユニット704とを含む。上記の各モジュールは、それぞれ、図1を参照して説明した本開示の実施例による画像処理方法の各ステップを実行することができる。当業者は、これらのユニットモジュールが、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組み合わせによって様々な方式で実現することができ、本開示がそれらのいずれにも限定されないことを理解するべきである。
【0052】
入力層ユニット701は、前記入力画像を受信し、また前記入力画像の初期特徴マップを抽出する。中間層ユニット702は、前記初期特徴マップから画像特徴をさらに抽出して、中間層特徴マップを取得する。出力層ユニット703は、前記中間層特徴マップに基づいて、前記入力画像に対する処理結果を出力する。
【0053】
中間層ユニット702は、少なくとも二つの分岐を含み、前記少なくとも二つの分岐は、異なるスケールを有する及び/又は前記初期特徴マップの異なる領域に対応する、中間層特徴マップを生成する。前記中間層ユニット702は、図3乃至図6を参照して説明した中間層を有する構造配置であってもよい。
【0054】
一つの実施例において、前記中間層ユニット702における第1分岐の第1サブ層において、第1ステップサイズで前記初期特徴マップを畳み込んで、第1サブ特徴マップを取得し、また前記第1分岐の第2サブ層において、前記第1サブ特徴マップに対して第1分割を実行して、第2サブ特徴マップを取得し、前記中間層ユニット702における第2分岐の第1サブ層において、第2ステップサイズで前記初期特徴マップを畳み込んで、第3サブ特徴マップを取得し、また前記第2分岐の第2サブ層において、前記第3サブ特徴マップに対して第2分割を実行して、第4サブ特徴マップを取得する。前記第1ステップサイズは前記第2ステップサイズと異なり、また前記第1分割と前記第2分割のうち一方は水平分割であり、他方は垂直分割である。
【0055】
もう一つの実施例において、前記中間層ユニット702における第1分岐の第1サブ層において、前記初期特徴マップに対して第1分割を実行して、第1サブ特徴マップを取得し、また前記第1分岐の第2サブ層において、第1ステップサイズで前記第1サブ特徴マップを畳み込んで、第2サブ特徴マップを取得し、前記中間層ユニット702における第2分岐の第1サブ層において、前記初期特徴マップに対して第2分割を実行して、第3サブ特徴マップを取得し、また前記第2分岐の第2サブ層において、第2ステップサイズで前記第3サブ特徴マップを畳み込んで、第4サブ特徴マップを取得する。前記第1ステップサイズは前記第2ステップサイズと異なり、また前記第1分割と前記第2分割のうち一方は水平分割であり、他方は垂直分割であり。
【0056】
訓練ユニット704は、損失関数によって前記画像処理装置700におけるニューラルネットワークシステムを訓練する。前記損失関数は、前記中間層ユニット702における前記少なくとも二つの分岐のそれぞれによって取得された全部の特徴マップに関する。
【0057】
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0058】
例えば、本発明の一つの実施形態における電子機器は、本発明のテキスト処理方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図8は本開示の実施例による電子機器のハードウェアブロック図を示す。図8に示すように、電子機器800は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0059】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。電子機器800のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0060】
例えば、プロセッサ1001は一つのみ示しているが、複数のプロセッサでもよい。また、上述の各種処理は、1つのプロセッサで実行されているが、一つ以上のプロセッサにより同時又は逐次又はほかの方法で実行・処理されてもよい。なお、プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。
【0061】
電子機器800における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信や、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
【0062】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。
【0063】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールやデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。
【0064】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)、他の適切な記憶媒体のうち、少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本発明の一実施形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0065】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であり、例えば、フレキシブルディスク(flexible disk)、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク(例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、リムーバブルディスク、ハードディスクドライブ、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック(stick)、キードライブ(key driver))、磁気ストリップ、データベース 、サーバ、その他の適切な記憶媒体のうち、少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。
【0066】
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0067】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0068】
また、プロセッサ1001やメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0069】
また、電子機器800は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
【0070】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーションプログラム、ソフトウェアアプリケーションプログラム、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0071】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線及びマイクロ波などの無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0072】
図9は本開示の実施例によるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の概略図を示す。図9に示すように、本開示の実施例によるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体900には、コンピュータ読み取り可能な命令901が記憶されている。前記コンピュータ読み取り可能な命令901がプロセッサによって実行される場合、上記図面を参照して説明した本開示の実施例による画像処理方法を実行する。
【0073】
本発明の実施例によると、コンピュータプログラムをさらに提供し、当該コンピュータプログラムは、クラウド側またはローカル記憶媒体に格納されている。当該コンピュータプログラムがコンピュータまたはプロセッサによって実行される場合、本発明の実施例の画像処理方法に対応するステップを実行し、本発明の実施例による画像処理装置に対応するモジュールを実現する。
【0074】
以上において、図面を参照して、本開示の実施例によるニューラルネットワークシステムを使用して入力画像を処理する画像処理方法及び装置、並びにコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を説明し、複数の分岐によって、異なるスケールと、水平方向や垂直方向のような異なる粒度とで、画像の特徴を抽出するように設計することで、全域及び局所特徴をより効果的に抽出することを実現し、ネットワークにおける全部の分岐によって抽出された特徴に関する損失関数を構成して、ニューラルネットワークシステム全体を訓練することで、各分岐の特徴間の相関性を強化し、また、ニューラルネットワークシステムにおける一つの分岐によって前層から抽出された特徴が分割されていないまま、後層に直接出力するため、分岐全体で全部の初期特徴を維持する。本開示の実施例のニューラルネットワークシステムを使用して入力画像を処理する画像処理方法によると、歩行者再認識(Re-ID)のような画像処理タスクで、より良好な認識効果を達成する。
【0075】
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0076】
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0077】
本明細書で使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1および第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0078】
「含む(including)」、「含んでいる(comprising)」、およびそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0079】
当業者は、本願の様々な態様が、あらゆる新規で有用な工程、機械、製品又は材料の組み合わせ、又はこれらのあらゆる新規で有用な改善を含む、いくつかの特許可能な種類又は状況によって説明・解釈できることを理解するべきである。それに応じて、本願の様々な態様は、完全にハードウェアによって実行されてもよく、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)によって実行してもよく、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実行されてもよい。上記のハードウェア又はソフトウェアは、「データブロック」、「モジュール」、「エンジン」、「ユニット」、「コンポーネント」、又は「システム」と呼ばれてもよい。また、本願の様々な態様が、1つまたは複数のコンピュータ可読媒体に配置され且つコンピュータ読み取り可能なプログラムコードを含むコンピュータ製品として表われる。
【0080】
本願では本願の実施例を説明するために特定の単語を使用している。例えば、「一実施例」、「一実施形態」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連するある特徴、構造、又は特性を意味する。したがって、本明細書の異なる位置で2回以上言及された「一実施例」又は「一実施形態」又は「一代替型実施形態」は、必ずしも同じ実施例を指しているわけではないことを強調し、留意すべきである。また、本願の1つまたは複数の実施例におけるある特徴、構造、又は特性は、適切に組み合わせることができる。
【0081】
特に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本開示の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、通常の辞書で定義されているような用語は、関連技術の文脈での意味と一致する意味を持つものとして解釈されるべきであり、ここで明示的に述べられていない限り、理想的又は極端に形式化的な意味で解釈されるべきではないことも理解されたい。
【0082】
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9