(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】正確なバスケットカテーテル追跡
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20241118BHJP
A61M 25/095 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
A61M25/00 530
A61M25/00 600
A61M25/095
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020142376
(22)【出願日】2020-08-26
【審査請求日】2023-06-29
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・トーマス・ビークラー
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0030063(US,A1)
【文献】特表2018-511392(JP,A)
【文献】特開2018-094417(JP,A)
【文献】特開2012-125579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61M 25/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
生体被験者の身体部分に挿入されるように構成されたカテーテルであって、
遠位端と、前記遠位端に配設され
たコイルベースの
第1の位置センサとを含む挿入管と、
コイルベースの
第2の位置センサと、遠位部分とを含み、前記挿入管を通って前進及び後退するように構成されているプッシャと、
前記プッシャの前記遠位部分の周囲に周方向に配設された複数の可撓性ストリップを備える拡張可能なアセンブリであって、前記
可撓性ストリップの第1の端部が前記挿入管の前記遠位端に接続され、前記
可撓性ストリップの第2の端部が前記プッシャの前記遠位部分に接続され、前記可撓性ストリップが、前記プッシャが後退したときに径方向外側に弓形に曲がるように構成されている、拡張可能なアセンブリと、を備える、カテーテルと、
前記身体部分が位置する領域内に交番磁場を送信するように構成された少なくとも1つの磁場放射器であって、前記第1及び第2の位置センサが、送信された前記交番磁場に応じてそれぞれの第1及び第2の位置信号を出力するように構成されている、少なくとも1つの磁場放射器と、
処理回路と、を備え、前記処理回路が、
前記第1及び第2の位置センサから前記第1及び第2の位置信号を受信し、
前記第1及び第2の位置センサの位置座標及び配向座標を、前記
第1及び第2の位置センサのそれぞれの前記位置座標及び前記配向座標がそれぞれの受信された前記
第1及び第2の位置信号に応じて相互依存的に反復して計算される位置計算を使用して、前記第1及び第2の位置センサが同軸であるという制約に従って、計算し、
前記第1の位置センサの計算された前記位置座標と前記第2の位置センサの計算された前記位置座標との間の距離を計算し、
少なくとも計算された前記距離に応じて、前記可撓性ストリップのそれぞれの位置を推定するように構成されている、システム。
【請求項2】
ディスプレイを更に備え、前記処理回路が、前記第1又は第2の位置センサのうちの少なくとも1つからの前記
第1又は第2の位置信号に応じて、前記拡張可能なアセンブリのロールを計算し、前記可撓性ストリップの推定された前記それぞれの位置に応じて、前記カテーテル及び前記身体部分の少なくとも一部の表現を前記ディスプレイにレンダリングするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理回路が、前記位置計算を使用して、前記第1及び第2の位置センサのうちの一方のセンサの前記位置座標及び前記配向座標を計算し、前記第1及び第2の位置センサのうちの他方のセンサの計算された前記配向座標は所与の許容範囲内で前記一方のセンサの計算された前記配向座標と等しくなるという制約に従って、前記他方のセンサの前記位置座標を計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理回路が、前記位置計算を使用して、前記第1及び第2の位置センサの初期位置座標及び初期配向座標を計算し、前記第1及び第2の位置センサの前記初期配向座標の平均を計算し、前記第1及び第2の位置センサの前記配向座標は所与の許容範囲内で前記初期配向座標の計算された前記平均と等しくなるという制約に従って、前記位置計算を使用して、前記第1及び第2の位置センサの前記位置座標及び前記配向座標を計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記処理回路が、前記第1及び第2の位置センサの計算された前記配向座標は所与の許容範囲内で等しくなるという制約に従って、前記第1及び第2の位置センサの前記位置座標及び前記配向座標を計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
システムであって、
生体被験者の身体部分に挿入されるように構成されたカテーテルであって、
遠位端と、前記遠位端に配設され
たコイルベースの
第1の位置センサとを含む挿入管と、
コイルベースの
第2の位置センサと、遠位部分とを含み、前記挿入管を通って前進及び後退するように構成されているプッシャと、
前記プッシャの前記遠位部分の周囲に周方向に配設された複数の可撓性ストリップを備える拡張可能なアセンブリであって、前記
可撓性ストリップの第1の端部が前記挿入管の前記遠位端に接続され、前記
可撓性ストリップの第2の端部が前記プッシャの前記遠位部分に接続され、前記可撓性ストリップが、前記プッシャが後退したときに径方向外側に弓形に曲がるように構成されている、拡張可能なアセンブリと、を備える、カテーテルと、
前記身体部分が位置する領域内に交番磁場を送信するように構成された少なくとも1つの磁場放射器であって、前記第1及び第2の位置センサが、送信された前記交番磁場に応じてそれぞれの第1及び第2の位置信号を出力するように構成されている、少なくとも1つの磁場放射器と、
処理回路と、を備え、前記処理回路が、
前記第1及び第2の位置センサから前記第1及び第2の位置信号を受信し、
受信された前記
第1及び第2の位置信号に応じて、前記第1の位置センサと前記第2の位置センサとの間の距離及び相対配向角度を計算し、
少なくとも計算された前記距離及び前記相対配向角度に応じて前記可撓性ストリップのそれぞれの位置を推定する一方で、前記相対配向角度がゼロより大きい値を有するときに、対称配置からの前記可撓性ストリップのうちの1つ以上の歪みを考慮するように構成されている、システム。
【請求項7】
ディスプレイを更に備え、前記処理回路が、前記第1又は第2の位置センサのうちの少なくとも1つからの前記
第1又は第2の位置信号に応じて、前記拡張可能なアセンブリのロールを計算し、前記可撓性ストリップの推定された前記それぞれの位置に応じて、前記カテーテル及び前記身体部分の少なくとも一部の表現を前記ディスプレイにレンダリングするように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
処理回路を備えたシステムの作動方法であって、
前記システムが、生体被験者の身体部分に挿入されたカテーテルを
含み、前記カテーテルが挿入管と、前記挿入管の遠位端に配設され
たコイルベースの
第1の位置センサと
、コイルベースの
第2の位置センサを含むプッシャと、前記プッシャの遠位部分の周囲に周方向に配設された可撓性ストリップを含む拡張可能なアセンブリと、を備え、前記
可撓性ストリップの第1の端部が前記挿入管の前記遠位端に接続され、前記
可撓性ストリップの第2の端部が前記プッシャの前記遠位部分に接続さ
れ、前記可撓性ストリップは、前記プッシャ
が後退
することにより、前記可撓性ストリップを径方向外側に弓形に曲
がるように構成され、
前記システムの作動方法が、
前記処理回路が、少なくとも1つの磁場放射器から送信され
た交番磁場に応じて、前記第1及び第2の位置センサ
からそれぞれの第1及び第2の位置信号
を受信することと、
前記処理回路が、前記第1及び第2の位置センサの位置座標及び配向座標を、前記
第1及び第2の位置センサのそれぞれの前記位置座標及び前記配向座標がそれぞれの受信された前記
第1及び第2の位置信号に応じて相互依存的に反復して計算される位置計算を使用して、前記第1及び第2の位置センサが同軸であるという制約に従って、計算することと、
前記処理回路が、前記第1の位置センサの計算された前記位置座標と前記第2の位置センサの計算された前記位置座標との間の距離を計算することと、
前記処理回路が、少なくとも計算された前記距離に応じて、前記可撓性ストリップのそれぞれの位置を推定することと、を含む、
システムの作動方法。
【請求項9】
前記処理回路が、前記第1又は第2の位置センサのうちの少なくとも1つからの前記
第1又は第2の位置信号に応じて、前記拡張可能なアセンブリのロールを計算することと、
前記処理回路が、前記可撓性ストリップの推定された前記それぞれの位置に応じて、前記カテーテル及び前記身体部分の少なくとも一部の表現をディスプレイにレンダリングすることと、を更に含む、請求項8に記載の
システムの作動方法。
【請求項10】
前記処理回路が、前記位置計算を使用して、前記第1及び第2の位置センサのうちの一方のセンサの前記位置座標及び前記配向座標を計算することと、
前記処理回路が、前記第1及び第2の位置センサのうちの他方のセンサの計算された前記配向座標は所与の許容範囲内で前記一方のセンサの計算された前記配向座標と等しくなるという制約に従って、前記他方のセンサの前記位置座標を計算することと、を更に含む、請求項8に記載の
システムの作動方法。
【請求項11】
前記処理回路が、前記位置計算を使用して、前記第1及び第2の位置センサの初期位置座標及び初期配向座標を計算することと、
前記処理回路が、前記第1及び第2の位置センサの前記初期配向座標の平均を計算することと、
前記処理回路が、前記第1及び第2の位置センサの前記配向座標は所与の許容範囲内で前記初期配向座標の計算された前記平均と等しくなるという制約に従って、前記位置計算を使用して、前記第1及び第2の位置センサの前記位置座標及び前記配向座標を計算することと、を更に含む、請求項8に記載の
システムの作動方法。
【請求項12】
前記処理回路が、前記第1及び第2の位置センサの計算された前記配向座標は所与の許容範囲内で等しくなるという制約に従って、前記第1及び第2の位置センサの前記位置座標及び前記配向座標を計算することを更に含む、請求項8に記載の
システムの作動方法。
【請求項13】
処理回路を備えたシステムの作動方法であって、
前記システムが、生体被験者の身体部分に挿入されたカテーテルを
を含み、前記カテーテルが挿入管と、前記挿入管の遠位端に配設され
たコイルベースの
第1の位置センサと
、コイルベースの
第2の位置センサを含むプッシャと、前記プッシャの遠位部分の周囲に周方向に配設された可撓性ストリップを含む拡張可能なアセンブリと、を備え、前記
可撓性ストリップの第1の端部が前記挿入管の前記遠位端に接続され、前記
可撓性ストリップの第2の端部が前記プッシャの前記遠位部分に接続さ
れ、前記可撓性ストリップは、前記プッシャ
が後退
することにより、前記可撓性ストリップを径方向外側に弓形に曲
がるように構成され、
前記システムの作動方法が、
前記処理回路が、少なくとも1つの磁場放射器から送信され
た交番磁場に応じて、前記第1及び第2の位置センサ
から第1及び第2の位置信号
を受信することと、
前記処理回路が、受信された前記
第1及び第2の位置信号に応じて、前記第1の位置センサと前記第2の位置センサとの間の距離及び相対配向角度を計算することと、
前記処理回路が、少なくとも計算された前記距離及び前記相対配向角度に応じて前記可撓性ストリップのそれぞれの位置を推定する一方で、前記相対配向角度がゼロより大きい値を有するときに、
前記処理回路が、対称配置からの前記可撓性ストリップのうちの1つ以上の歪みを考慮することと、を含む、
システムの作動方法。
【請求項14】
前記処理回路が、前記第1又は第2の位置センサのうちの少なくとも1つからの前記
第1又は第2の位置信号に応じて、前記拡張可能なアセンブリのロールを計算することと、
前記処理回路が、前記可撓性ストリップの推定された前記それぞれの位置に応じて、前記カテーテル及び前記身体部分の少なくとも一部の表現
をディスプレイにレンダリングすることと、を更に含む、請求項13に記載の
システムの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用装置に関し、特にカテーテルの位置の追跡に関する。
【背景技術】
【0002】
広範囲にわたる医療処置が、カテーテルなどのプローブを患者の身体内に配置することを伴う。このようなプローブを追跡するために、位置検知システムが開発されている。磁気的位置検知は、当該技術分野において既知の方法の1つである。磁気的位置検知においては、一般的に、磁場発生器が患者の体外の既知の位置に配置される。プローブの遠位端内の磁界センサがこれらの磁界に応じて電気信号を生成し、この信号が処理されてプローブの遠位端の位置座標が決定される。これらの方法及びシステムは、米国特許第5,391,199号、同第6,625,563号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第1996/005768号、並びに米国特許出願公開第2003/0120150号及び同第2004/0068178号に記載されており、これらの開示は参照により全体が本明細書に組み込まれている。位置が、インピーダンスベースのシステム又は電流ベースのシステムを使用して追跡されてもよい。
【0003】
Hoitinkらの欧州特許公開第3,178,384号は、カテーテル本体の遠位端に二重ノードマルチレイ電極アセンブリを有するカテーテルを記載している。二重ノードマルチレイ電極アセンブリは、一方の端部で接続された複数のスパインを有する近位マルチレイアレイを含み、各スパインは、少なくとも1つのアブレーション電極と、遠位ノードと、を有する。二重ノードマルチレイ電極アセンブリは、拡張配置と、スパインがカテーテル本体の長手方向軸に概ね沿って配置されている畳み込まれた配置と、を有してもよい。遠位ノードは、血管内に配置されるように構成されてもよく、近位マルチレイアレイは、アブレーション電極を用いて血管の小孔を形成する組織と係合するように構成されてもよい。一部の実施形態では、近位マルチレイアレイと遠位ノードとの間の相対距離は調節可能である。
【0004】
Montagらの米国特許公開第2017/0181706号は、複数の導電性ワイヤループによって形成されたフレーム枠を使用して実行される心臓のカテーテル法について記載している。ワイヤループを多角形としてモデル化し、それぞれの多角形を複数の三角形に細分化する。ワイヤループをそれぞれの周波数の磁束に曝して、信号をループから読み取る。多角形における理論上の磁束は、その三角形における理論上の磁束のそれぞれの合計として計算される。心臓内のフレーム枠の場所及び向きは、計算された理論上の磁束を信号に関連付けることによって決定される。
【0005】
Esguerraらの米国特許公開第2015/0025365号は、カテーテルの一部に沿って直接取り付けられた単軸センサを有するカテーテルを記載しており、センサの位置/場所が着目されている。磁気ベースの単軸センサは、線形又は非線形単軸センサ(SAS)アセンブリ上にある。カテーテルは、カテーテル本体と、支持部材によって提供される遠位の2D又は3D構成と、を含み、この支持部材上に、少なくとも1つの、場合によっては少なくとも3つの単軸センサが、支持部材の長さに沿って連続的に取り付けられている。磁気ベースのセンサアセンブリは、支持部材上に巻き付けられた少なくとも1つのコイル部材を含んでもよく、このコイル部材は、位置情報を提供する信号を、コイル部材からマッピング及び位置決定システムへと送信するように適合された、対応するケーブル部材に、接合領域を介して連結される。接合領域により、少なくとも1つのコイル部材及びそれぞれのケーブル部材が分離しないように、張力緩和が適合される。
【0006】
Harlevらの米国特許公開第2015/0150472号は、(i)心内膜表面を有する心臓腔に、複数の空間的に分布した電極を含むカテーテルを挿入することと、(ii)心内膜表面から離間したカテーテルを用いて、心臓腔内の電気活動に応じて、カテーテル電極における信号を測定することと、(iii)心内膜表面に対する電極の測定された信号及び位置に基づいて心内膜表面の複数の位置における生理学的情報を決定することと、を含む非接触心臓マッピング方法を記載している。
【0007】
Fuimaonoらの米国特許公開第2006/0009689号は、心臓のマッピングに特に有用な、改善されたバスケットカテーテルが提供されることを記載している。カテーテルは、遠位端、近位端、及び、遠位端及び近位端を通過する少なくとも1つの内腔を備えた、伸長されたカテーテル本体を含む。バスケット形状の電極アセンブリが、カテーテル本体の遠位端部に取り付けられている。バスケットアセンブリは、近位端と遠位端とを有し、その近位端と遠位端とに接続された、複数のスパインを備える。それぞれのスパインは、少なくとも1つの電極を備える。バスケットアセンブリは、スパインが径方向外側に弓形に曲がっている拡張した配置と、スパインがカテーテル本体の軸線に概ね沿って配列されている畳み込まれた配置とを有する。カテーテルは、バスケット形状の電極アセンブリの遠位端又はその近くに取り付けられた遠位位置センサと、バスケット形状の電極アセンブリの近位端又はその近くに取り付けられた近位位置センサとを更に有している。カテーテルが使用される際、それぞれのスパインの少なくとも1つの電極の位置を見出すために、近位センサの座標に対する遠位側位置センサの相対的座標が決定されて、バスケット形状のマッピングアセンブリのスパインの曲率に関する既知の情報と共に用いられ得る。
【0008】
Kirschらの米国特許公開第2002/0198676号は、磁場センサと磁場源との組み合わせが固有の測定磁場値を生成するように、複数の磁場源及び少なくとも1つの磁場センサを含むプローブの位置、配向、及びシステムゲイン係数を決定するシステムを記載している。システムは、ゲイン、位置、及び配向が、これらの固有の測定磁場値に影響を及ぼすプローブを含む。プロセッサは、これらの固有の測定磁場値を受信し、反復的に処理して、プローブのゲインを示すシステムゲイン係数、並びにプローブの位置及び配向を示す複数の位置係数を決定するように構成される。生成された固有の測定磁場値の数は、計算されたゲイン及び位置係数の数の合計に少なくとも等しくなければならない。
【0009】
Kirschらの背景項は、測定された磁場が位置及び配向の非線形関数であるため、磁場測定値からプローブの位置及び配向を決定することは簡単ではないと述べている。測定磁場値からプローブの位置及び配向を決定するために、プローブの位置及び配向は、最初に、予測された位置及び配向にあると推定されるか、又は「推測」される。反復処理を使用して、推測されたプローブの位置及び配向における磁場の値を、測定磁場値と比較する。推測された位置及び配向における磁場値が測定値に近い場合、推測された位置及び配向は、プローブの実際の位置及び配向を正確に表すと推定される。反復処理は、プローブの環境の物理的モデルを使用する。物理的モデルは、各フィールドソースの位置及び配向を指定する。指定された位置及び配向から、電気力学の法則は、フィールド値を決定する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一実施形態によれば、システムであって、生体被験者の身体部分に挿入されるように構成されたカテーテルであって、遠位端と、遠位端に配設された第1のコイルベースの位置センサとを含む挿入管と、上に配設された第2のコイルベースの位置センサと、遠位部分とを含み、挿入管を通って前進及び後退するように構成されているプッシャと、プッシャの遠位部分の周囲に周方向に配設された複数の可撓性ストリップを備える拡張可能なアセンブリであって、ストリップの第1の端部が挿入管の遠位端に接続され、ストリップの第2の端部がプッシャの遠位部分に接続され、可撓性ストリップが、プッシャが後退したときに径方向外側に弓形に曲がるように構成されている、拡張可能なアセンブリと、を備える、カテーテルと、身体部分が位置する領域内に交番磁場を送信するように構成された少なくとも1つの磁場放射器であって、第1及び第2の位置センサが、送信された交番磁場に応じてそれぞれの第1及び第2の位置信号を出力するように構成されている、少なくとも1つの磁場放射器と、処理回路と、を備え、処理回路が、第1及び第2の位置センサから第1及び第2の位置信号を受信し、第1及び第2の位置センサの位置座標及び配向座標を、位置センサのそれぞれの位置座標及び配向座標がそれぞれの受信された位置信号に応じて相互依存的に反復して計算される位置計算を使用して、第1及び第2の位置センサが同軸であるという制約に従って、計算し、第1の位置センサの計算された位置座標と第2の位置センサの計算された位置座標との間の距離を計算し、少なくとも計算された距離に応じて、可撓性ストリップのそれぞれの位置を推定するように構成されるシステムが提供される。
【0011】
更に、本開示の一実施形態によれば、システムはディスプレイを備え、処理回路は、第1又は第2の位置センサのうちの少なくとも1つからの位置信号に応じて、拡張可能なアセンブリのロールを計算し、可撓性ストリップの推定されたそれぞれの位置に応じて、カテーテル及び身体部分の少なくとも一部の表現をディスプレイにレンダリングするように構成される。
【0012】
更に本開示の一実施形態によれば、処理回路は、位置計算を使用して、第1及び第2の位置センサのうちの一方のセンサの位置座標及び配向座標を計算し、第1の位置センサ及び第2の位置センサのうちの他方のセンサの計算された配向座標は所与の許容範囲内で一方のセンサの計算された配向座標と等しくなるという制約に従って、他方のセンサの位置座標を計算するように構成される。
【0013】
加えて、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、位置計算を使用して、第1及び第2の位置センサの初期位置座標及び初期配向座標を計算し、第1及び第2の位置センサの初期配向座標の平均を計算し、第1及び第2の位置センサの配向座標は所与の許容範囲内で初期配向座標の計算された平均と等しくなるという制約に従って、位置計算を使用して、第1及び第2の位置センサの位置座標及び配向座標を計算するように構成される。
【0014】
更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、第1及び第2の位置センサの計算された配向座標は所与の許容範囲内で等しくなるという制約に従って、第1及び第2の位置センサの位置座標及び配向座標を計算するように構成される。
【0015】
本開示の別の実施形態によれば、システムであって、生体被験者の身体部分に挿入されるように構成されたカテーテルであって、遠位端と、遠位端に配設された第1のコイルベースの位置センサとを含む挿入管と、上に配設された第2のコイルベースの位置センサと、遠位部分とを含み、挿入管を通って前進及び後退するように構成されているプッシャと、プッシャの遠位部分の周囲に周方向に配設された複数の可撓性ストリップを備える拡張可能なアセンブリであって、ストリップの第1の端部が挿入管の遠位端に接続され、ストリップの第2の端部がプッシャの遠位部分に接続され、可撓性ストリップが、プッシャが後退したときに径方向外側に弓形に曲がるように構成されている、拡張可能なアセンブリと、を備える、カテーテルと、身体部分が位置する領域内に交番磁場を送信するように構成された少なくとも1つの磁場放射器であって、第1及び第2の位置センサが、送信された交番磁場に応じてそれぞれの第1及び第2の位置信号を出力するように構成されている、少なくとも1つの磁場放射器と、処理回路と、を備え、処理回路が、第1及び第2の位置センサから第1及び第2の位置信号を受信し、受信された位置信号に応じて、第1の位置センサと第2の位置センサとの間の距離及び相対配向角度を計算し、少なくとも計算された距離及び相対配向角度に応じて可撓性ストリップのそれぞれの位置を推定する一方で、相対配向角度がゼロより大きい値を有するときに、対称配置からの可撓性ストリップのうちの1つ以上の歪みを考慮するように構成されるシステムも提供される。
【0016】
更に、本開示の一実施形態によれば、システムはディスプレイを備え、処理回路は、第1又は第2の位置センサのうちの少なくとも1つからの位置信号に応じて、拡張可能なアセンブリのロールを計算し、可撓性ストリップの推定されたそれぞれの位置に応じて、カテーテル及び身体部分の少なくとも一部の表現をディスプレイにレンダリングするように構成される。
【0017】
本開示の更に別の実施形態によれば、方法であって、カテーテルを生体被験者の身体部分に挿入することであって、カテーテルが挿入管と、挿入管の遠位端に配設された第1のコイルベースの位置センサと、上に配設された第2のコイルベースの位置センサを含むプッシャと、プッシャの遠位部分の周囲に周方向に配設された可撓性ストリップを含む拡張可能なアセンブリと、を備え、ストリップの第1の端部が挿入管の遠位端に接続され、ストリップの第2の端部がプッシャの遠位部分に接続されている、ことと、プッシャを後退させて、可撓性ストリップを径方向外側に弓形に曲げることと、交番磁場を身体部分が位置する領域に送信することと、送信された交番磁場に応じて、第1及び第2の位置センサによってそれぞれの第1及び第2の位置信号を出力することと、第1及び第2の位置センサから第1及び第2の位置信号を受信することと、第1及び第2の位置センサの位置座標及び配向座標を、位置センサのそれぞれの位置座標及び配向座標がそれぞれの受信された位置信号に応じて相互依存的に反復して計算される位置計算を使用して、第1及び第2の位置センサが同軸であるという制約に従って、計算することと、第1の位置センサの計算された位置座標と第2の位置センサの計算された位置座標との間の距離を計算することと、少なくとも計算された距離に応じて、可撓性ストリップのそれぞれの位置を推定することと、を含む方法も提供される。
【0018】
本開示の更なる一実施形態によれば、方法は、第1又は第2の位置センサのうちの少なくとも1つからの位置信号に応じて、拡張可能なアセンブリのロールを計算することと、可撓性ストリップの推定されたそれぞれの位置に応じて、カテーテル及び身体部分の少なくとも一部の表現をディスプレイにレンダリングすることと、を含む。
【0019】
加えて、本開示の一実施形態によれば、方法は、位置計算を使用して、第1及び第2の位置センサのうちの一方のセンサの位置座標及び配向座標を計算することと、第1の位置センサ及び第2の位置センサのうちの他方のセンサの計算された配向座標は所与の許容範囲内で一方のセンサの計算された配向座標と等しくなるという制約に従って、他方のセンサの位置座標を計算することと、を含む。
【0020】
更に、本開示の一実施形態によれば、方法は、位置計算を使用して、第1及び第2の位置センサの初期位置座標及び初期配向座標を計算することと、第1及び第2の位置センサの初期配向座標の平均を計算することと、位置計算を使用して、第1及び第2の位置センサの配向座標は所与の許容範囲内で初期配向座標の計算された平均と等しくなるという制約に従って、第1及び第2の位置センサの位置座標及び配向座標を計算することと、を含む。
【0021】
更に、本開示の一実施形態によれば、方法は、第1及び第2の位置センサの計算された配向座標は所与の許容範囲内で等しくなるという制約に従って、第1及び第2の位置センサの位置座標及び配向座標を計算することを含む。
【0022】
本開示の更に別の実施形態によれば、方法であって、カテーテルを生体被験者の身体部分に挿入することであって、カテーテルが挿入管と、挿入管の遠位端に配設された第1のコイルベースの位置センサと、上に配設された第2のコイルベースの位置センサを含むプッシャと、プッシャの遠位部分の周囲に周方向に配設された可撓性ストリップを含む拡張可能なアセンブリと、を備え、ストリップの第1の端部が挿入管の遠位端に接続され、ストリップの第2の端部がプッシャの遠位部分に接続されている、ことと、プッシャを後退させて、可撓性ストリップを径方向外側に弓形に曲げることと、交番磁場を身体部分が位置する領域に送信することと、送信された交番磁場に応じて、第1及び第2の位置センサによってそれぞれの第1及び第2の位置信号を出力することと、第1及び第2の位置センサから第1及び第2の位置信号を受信することと、受信された位置信号に応じて、第1の位置センサと第2の位置センサとの間の距離及び相対配向角度を計算することと、少なくとも計算された距離及び相対配向角度に応じて可撓性ストリップのそれぞれの位置を推定する一方で、相対配向角度がゼロより大きい値を有するときに、対称配置からの可撓性ストリップのうちの1つ以上の歪みを考慮することと、を含む、方法も提供される。
【0023】
本開示の更なる一実施形態によれば、方法は、第1又は第2の位置センサのうちの少なくとも1つからの位置信号に応じて、拡張可能なアセンブリのロールを計算することと、可撓性ストリップの推定されたそれぞれの位置に応じて、カテーテル及び身体部分の少なくとも一部の表現をディスプレイにレンダリングすることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から理解されよう。
【
図1】本発明の一実施形態による、カテーテルを含む電気解剖学的マッピング用システムの概略図である。
【
図2A】畳み込まれた形成におけるバスケットカテーテルの遠位端の概略図である。
【
図2B】展開された形成における
図2Aのバスケットカテーテルの遠位端の概略図である。
【
図3A】
図2A及び
図2Bのバスケットカテーテルを使用する
図1のシステムの動作の方法におけるステップを含むフローチャートである。
【
図3B】
図3Aの方法におけるサブステップを含むフローチャートである。
【
図3C】
図3Aの方法における代替のサブステップを含むフローチャートである。
【
図4A】バスケットカテーテルの遠位端の概略図である。
【
図4B】横に変形した後の、
図4Aのバスケットカテーテルの遠位端の概略図である。
【
図5】
図4A及び
図4Bのバスケットカテーテルを使用する
図1のシステムの動作の方法におけるステップを含むフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
概論
Carto(商標)3システム(米国カリフォルニア州アーバインのBiosense Webster製)は、先進カテーテル位置(Advanced Catheter Location:ACL)ハイブリッド位置追跡技術を適用する。ACL技術において、カテーテルのプローブ電極に関連して測定された電流の分布は、電流-位置行列(CPM)と相関され、CPMは、電流分布と、磁気位置較正位置信号から以前に取得されたカテーテルの位置とをマッピングするものである。ACL技術は、磁気センサを有するカテーテルを使用して、CPMが計算された体積(単数又は複数)においてだけでなく、カテーテル(磁場センサを有さないカテーテルであっても)の位置特定及び可視化を可能にする。CPMを構築するための前提条件は、身体の体積に関するCPMを計算するために、磁場センサを備えたカテーテルを身体内に挿入し、その体積内でカテーテルを移動させることである。
【0026】
ACL技術を使用して、バスケットに電極を有するバスケットカテーテルを追跡することができる。しかしながら、電流又はインピーダンスを測定するACL技術は、状況によっては十分に高い精度を提供しない場合がある。
【0027】
本発明の実施形態は、バスケット及びその電極の位置の正確な計算を提供するために、2つのコイルベースの位置センサに基づく磁気ベースの追跡技術を用いてバスケットカテーテルの位置座標を計算する。少なくとも1つの磁場放射器は、身体部分が位置する領域内に交番磁場を送信し、コイルベースの位置センサは送信された交番磁場に応じてそれぞれの位置信号を出力するので、コイルから読み取られたそれぞれの位置信号は、コイルの位置に関する情報を提供する。
【0028】
一部の実施形態では、カテーテルは、内腔と、挿入管の遠位端に配設された第1のコイルベースの位置センサとを含む挿入管を含む。カテーテルはまた、上に配置された第2のコイルベースの位置センサを含むプッシャを含む。以下でより詳細に説明するように、プッシャは内腔を通って前進及び後退される。位置センサは、開示される実施形態を参照して説明されるように、単軸、二軸、又は三軸センサから選択されてもよい。
【0029】
カテーテルはまた、プッシャの遠位部分の周囲に周方向に配設された可撓性ストリップを備える拡張可能なアセンブリ(例えば、バスケットアセンブリ)を含み、ストリップの第1の端部は挿入管の遠位端に接続され、ストリップの第2の端部はプッシャの遠位端に接続されている。可撓性ストリップは、プッシャがカテーテルの遠位端の方向に押されて、プッシャが後退して平らになると、径方向外側に弓形に曲がる。可撓性ストリップのそれぞれは、上に配置された複数の電極を含む。
【0030】
ストリップは可撓性であるが、第1のコイルベースの位置センサと第2のコイルベースの位置センサとの間の計算されたコイル間距離が可撓性ストリップの形状の正確な推定を提供するように、ストリップは十分に頑丈である。しかしながら、バスケットが完全に展開されたときと、バスケットが完全に閉じられたときのコイル間距離の差は、バスケットの寸法に応じて、一部のバスケットについては約4mm、他のバスケットについては約10mmであってもよい。更に、磁気ベースの追跡技術の解像度は、約1mmであってもよい。それゆえ、磁気ベースの追跡技術を使用して計算されたコイル間距離は、可撓性ストリップの形状を正確に予測するのに十分に正確でなくてもよい。
【0031】
一部の実施形態は、第1のコイルベース位置センサ及び第2のコイルベース位置センサが同軸であるという仮定に基づいて、コイル間距離をより正確に計算するために、新規な位置計算を使用する。換言すれば、センサのうちの1つは、他のセンサのコイルと同軸であり、かつカテーテルの挿入管の軸と同軸であるコイルを含む。新規な位置計算は、一例として、位置測定の精度を約1mmから約0.1mmに改善することができる。
【0032】
システムは、第1及び第2の位置センサからそれぞれの位置信号を受信する処理回路を含む。処理回路は、位置センサのそれぞれの位置座標及び配向座標がそれぞれの位置信号に応じて相互依存的に反復して計算される位置計算を使用して、第1及び第2の位置センサの位置座標及び配向座標を計算する。位置計算は相互依存しているため、センサから受信した信号に基づいてセンサの1つについて計算された位置座標は、そのセンサについて計算された配向座標に依存し、その逆も同様である。同様に、位置座標を計算する際の誤差(例えば、ノイズ又は任意の他の係数による)は、配向を計算する際の不正確さにつながり、逆もまた同様である。
【0033】
任意の好適な反復位置計算を使用することができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれるKirschらの米国特許公開第2002/0198676号は、その背景項において反復位置計算について、及び詳細な説明においていくつかの拡張について記載している。Kirschらの背景項は、測定された磁場が位置及び配向の非線形関数であるため、磁場測定値からプローブの位置及び配向を決定することは簡単ではないと述べている。測定磁場値からプローブの位置及び配向を決定するために、プローブの位置及び配向は、最初に、予測された位置及び配向にあると推定されるか、又は「推測」される。反復処理を使用して、推測されたプローブの位置及び配向における磁場の値を、測定磁場値と比較する。推測された位置及び配向における磁場値が測定値に近い場合、推測された位置及び配向は、プローブの実際の位置及び配向を正確に表すと推定される。Kirschらの刊行物に記載されている位置計算は、本開示の実施形態で使用するために、必要な変更を加えて、好適な反復位置計算を提供することができる。例えば、Kirschらに記載されている反復位置計算は、以下に記載される配向に関する制約に従ってもよい。
【0034】
参照により本明細書に組み込まれるGoldenらの欧州特許公開第1,126,787号は、本開示の実施形態で使用するために、必要な変更を加えて、好適な反復位置計算を提供できる反復位置計算について説明している。
【0035】
計算の相互依存性及び反復的性質に基づいて、位置計算の精度の改善は、位置計算を、カテーテルの既知の幾何学的形状に基づいて、第1及び第2の位置センサが同軸であり、したがって両方のセンサは、両方のセンサの位置計算に使用される同じ配向を有するという制約に従わせることによって達成されてもよい。
【0036】
一部の実施形態では、処理回路は、第1及び第2の位置センサの計算された配向座標は所与の許容範囲内で等しくなるという制約に従って、第1及び第2の位置センサの位置座標及び配向座標を計算する。通常、配向座標を強制的に等しくすると、より正確に計算された位置座標が得られる。
【0037】
他の実施形態では、処理回路は、位置計算を使用してセンサのうちの一方(センサA)の位置座標及び配向座標を計算し、次いで、センサBの計算された配向座標は、センサAの既に計算された配向座標とプラス又はマイナス2度などの所与の許容範囲内で等しくなるという制約に従って、他方のセンサ(センサB)の位置座標を計算する。
【0038】
更に他の実施形態では、処理回路は、センサから受信した信号に基づいて位置計算を使用して、両方のセンサの初期位置座標及び初期配向座標を計算し、次いで、両方のセンサの初期配向座標の平均を計算する。次いで、処理回路は、それぞれのセンサから受信された信号に基づく位置計算を使用して、各センサの最終的に計算された配向座標は、初期配向座標の計算された平均とプラス又はマイナス2度などの所与の許容範囲内で等しくなるという制約に従って、各センサの位置座標及び配向座標を計算する。
【0039】
第1及び第2のセンサの計算された位置座標は、第1の位置センサと第2の位置センサとの間の距離を計算するために使用することができる。
【0040】
可撓性ストリップの機械的特性の知識に基づいて、及び/又は、どのコイル間距離が、可撓性ストリップのどの湾曲に対応するかを見出すための事前較正を(センサ間の様々な距離で)実行することによって、可撓性ストリップのそれぞれの位置は、計算された距離、並びにカテーテル上に配設された二軸又は三軸の位置センサの信号から計算され得るバスケットのロールに応じて推定することができる。処理回路は、可撓性ストリップ及び計算されたロールの推定されたそれぞれの位置に応じて、カテーテル及び身体部分の少なくとも一部の表現をディスプレイにレンダリングする。
【0041】
一部の実施形態では、改善された距離測定は、局所送信機として使用されるセンサのうちの一方のセンサ、及び局所受信機として使用される他方のセンサによって提供されてもよい。次いで、送信機は、上記の磁場放射器(単数又は複数)によって使用される周波数とは異なる周波数で受信機に信号を送信してもよい。局所的に送信され受信された信号は、両方のセンサの位置に関する追加情報(受信信号の強度によるセンサ間の距離など)を提供することができ、これを使用して、バスケット可視化の精度を高めることができる。
【0042】
一部の実施形態では、プッシャ及びバスケットが、(例えば、身体部分内の組織に押し付けられるとき)挿入管の軸に対して1つの側に押されるのに十分柔らかい場合、処理回路は、受信した位置信号に応じて、第1の位置センサと第2の位置センサとの間の距離及び相対配向角度を計算してもよい。次いで、ゼロ以外の相対配向角度は、拡張可能なアセンブリ(例えば、バスケット)が挿入管の軸に対して横にたわんでいることを示し、拡張可能なアセンブリが挿入管の軸の周りに中心に位置付けられたときに、可撓性ストリップの少なくとも一部が、可撓性ストリップの形状と比較して歪むことを示す。可撓性ストリップの機械的特性の知識に基づいて、及び/又は、どの相対配向角度が、可撓性ストリップのどの変形に対応するかを見出すための事前較正を(センサ間の距離で)実行することによって、相対配向角度がゼロより大きい値を有するときに、対称配置からの可撓性ストリップのうちの1つ以上の歪みを考慮しながら、少なくとも計算された距離及び相対配向角度に応じて可撓性ストリップ(歪んだ可撓性ストリップを含む)のそれぞれの位置を推定してもよい。
【0043】
システムの説明
参照により本明細書に組み込まれる文書は本出願の一体部とみなされるべきであり、いかなる用語も、それらの組み込まれた文書内で、本明細書で明示的又は暗示的に行われる定義と相反するように定義される場合を除き、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。本明細書で任意の数値又は数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べるその意図された目的に沿って機能することを可能とする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指し得る。
【0044】
ここで、本発明の一実施形態によるカテーテル追跡システム20の概略図である
図1を参照する。システム20は、生体被験者(例えば、患者28)の身体部分に挿入されるように構成されたカテーテル40を含む。医師30は、挿入
図45に詳細が示されているカテーテル40(例えば、米国カリフォルニア州アーバインのBiosense Websterが製造したバスケットカテーテル)を、挿入管22の近位端29付近のマニピュレータ32及び/又はシース23からの偏向を使用して、カテーテル40の挿入管22の偏向可能なセグメントを操作することによって、患者28の心臓26の目標位置に誘導する。図に見られる実施形態では、医師30が、カテーテル40を使用して、心臓腔の電気解剖学的マッピングを実行する。
【0045】
挿入管22は、遠位端33を含む。カテーテル40は、複数の電極48(簡略化のために一部にのみラベル付け)が配設されるアセンブリ35(例えば、バスケットアセンブリ)を含む。アセンブリ35は、挿入管22の遠位に配設され、遠位端33で挿入管22の結合部材を介して挿入管22に接続されてもよい。挿入管22の連結部材は、挿入管22の残りの部分の一体部分として、又は挿入管22の残りの部分と接続する別個の要素として形成されてもよい。
【0046】
アセンブリ35は、複数の可撓性ストリップ55(簡略化のためにラベル付けされた1つのみ)を更に備え、そのそれぞれに電極48が連結されている。アセンブリ35は、任意の好適な数の電極48を含んでもよい。一部の実施形態では、アセンブリ35は、10個の可撓性ストリップ55及び120個の電極を含み得、12個の電極が各可撓性ストリップ55上に配設される。
【0047】
カテーテル40は、プッシャ37を含む。プッシャ37は、典型的には、挿入管22の内腔内に配設され、挿入管22の近位端29から遠位端33まで広がる管である。プッシャ37の遠位端は、典型的にはプッシャ37の連結部材を介して可撓性ストリップ55の第1の端部に接続される。プッシャ37の連結部材は、プッシャ37の残りの部分の一体部分として、又はプッシャ37の残りの部分と接続する別個の要素として形成されてもよい。挿入管22の遠位端は、典型的には遠位端33の連結部材を介して可撓性ストリップ55の第2の端部に接続される。プッシャ37は、一般に、マニピュレータ32を介して制御されて、アセンブリ35を展開し、挿入管22に対するプッシャ37の長手方向の変位に従ってアセンブリ35の楕円率を変更する。
【0048】
実際のバスケットアセンブリ35の構造は、異なっていてもよい。例えば、可撓性ストリップ55は、プリント回路基板(PCB)、又は形状記憶合金で作製されてもよい。
【0049】
本明細書に記載された実施形態は、単に例として、主にバスケット遠位端アセンブリ35を指す。代替の実施形態では、開示される技術は、バルーンベースの遠位端アセンブリ又は任意の他の好適なタイプの遠位端アセンブリを有するカテーテルと共に使用することができる。
【0050】
カテーテル40は、折り畳まれた構成でシース23を通って挿入され、カテーテル40がシース23を出た後にのみ、カテーテル40はその意図された機能形状を取り戻す。カテーテル40を折り畳まれた構成で収容することにより、シース23はまた、標的位置へ向かう途中での血管外傷を最小限に抑える働きをする。
【0051】
カテーテル40は、挿入管22の遠位端(すなわち、バスケットアセンブリ35の近位端)に、挿入
図45に見られる磁気センサ50Aを組み込んでもよい。必ずしもそうではないが、典型的には、センサ50Aは、単軸センサ(Single-Axis Sensor:SAS)である。第2の磁気センサ50Bは、プッシャ37上の任意の好適な位置に含まれてもよい。センサ50Bは、例えばサイジング考慮に基づいて、一例として、三軸(Triple-Axis Sensor:TAS)又は二軸(Dual-Axis Sensor:DAS)、又はSASであってもよい。
【0052】
磁気センサ50A及び50B、並びに電極48は、挿入管22内を通るワイヤによって、コンソール24内の様々な駆動回路に接続される。
【0053】
一部の実施形態では、システム20は、センサ50Aと50Bとの間の距離からバスケットアセンブリ35の伸長を推定することによって、心臓26の心臓腔内において、カテーテル40のバスケットアセンブリ35の楕円率、更にその伸長/収縮状態を推定する磁気検知サブシステムを備える。患者28は、ユニット43によって駆動される1つ以上の磁場発生器コイル42を含むパッドによって発生した磁場内に置かれる。コイル(単数又は複数)42によって発生した磁場は、交番磁場を身体部分が位置する領域に送信する。送信された交番磁場は、磁気センサ50A及び50B内で、位置及び/又は方向を示す信号を生成する。生成された信号は、コンソール24に送信され、処理回路41に対応する電気的入力となる。処理回路41は、信号を使用して、
図2~
図5を参照して以下でより詳細に説明されるセンサ50Aと50Bとの間の計算された距離から、バスケットアセンブリ35の伸長を計算し、バスケット楕円率及び伸長/収縮状態を推定する。
【0054】
外部磁場並びに50A及び50Bのような磁気センサを使用する位置及び/又は方向の検知方法は、様々な医療用途において、例えば、Biosense-Webster製のCARTO(商標)システムに実装されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び、同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳述されており、これらの開示は、全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
典型的には汎用コンピュータの一部である処理回路41は、好適なフロントエンド及びインターフェース回路44を介して更に接続されて、表面電極49から信号を受信する。処理回路41は、ケーブル39を通って患者28の胸部まで延びるワイヤによって表面電極49に接続される。
【0056】
カテーテル40は、処理回路41に連結するために挿入管22の近位端29に配設されたコネクタ47を含む。
【0057】
一実施形態では、処理回路41は、
図2~
図5を参照してより詳細に説明される挿入管22及び可撓性ストリップ55の計算された位置座標に応じて、システム20を使用して以前に登録された身体部分のスキャン(例えば、CT又はMRI)から、カテーテル40及び身体部分の少なくとも一部の表現31をディスプレイ27にレンダリングする。
【0058】
処理回路41は、典型的には、汎用マイクロプロセッサ内のソフトウェアにプログラムされて、汎用マイクロプロセッサを特定のプロセッサに変換し、本明細書に記載される機能を実行する。ソフトウェアは、例えば、ネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができるか、又は代替的に若しくは付加的に、磁気メモリ、光学メモリ若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体上に提供及び/若しくは記憶されてもよい。
【0059】
図1に示す例示的な図は、純粋に、概念を分かりやすくするために選択されたものである。
図1は、簡潔性かつ明瞭性のため、開示される技術に関連する要素のみを示す。システム20は、典型的に、開示される技術には直接関連せず、したがって
図1及び対応する説明から意図的に省略されている、追加のモジュール及び要素を備える。システム20の要素、及び本明細書に記載の方法は、例えば、心臓26の組織のアブレーションを制御するために、更に適用されてもよい。
【0060】
ここで、
図2A及び
図2Bを参照する。
図2Aは、折り畳まれた構成におけるバスケットカテーテル40の遠位端の概略図である。
図2Bは、展開された構成における
図2Aのバスケットカテーテル40の遠位端の概略図である。
【0061】
磁気センサ50Aは、挿入管22の遠位端33に、例えば遠位端33の連結部材内に配設されたコイルベースの位置センサである。磁気センサ50Bは、例えば、可撓性ストリップ55の遠位端をプッシャ37に連結する遠位部分52の連結部材内に、プッシャ37の遠位部分52に配設されたコイルベースの位置センサである。プッシャ37は、挿入管22を通って前進及び後退するように構成される。各センサ50A、50Bは、SAS、DAS、又はTASであってもよい。センサ50A、50Bは、同じタイプのセンサ、又は異なるタイプのセンサであってもよい。センサ50A、50Bの両方が単軸センサである場合、カテーテル40は一般に、アセンブリ35のロールを追跡するための別の位置センサを含む。磁気センサ50A、50Bは、磁場発生器コイル(単数又は複数)42(
図1)によって送信された交番磁場に応じて、それぞれの第1及び第2の位置信号を出力するように構成される。
【0062】
アセンブリ35は、典型的には、プッシャ37の遠位部分52の周囲に周方向に配設された可撓性ストリップ55を備える拡張可能なアセンブリであり(簡略化のために一部にだけラベル付け)、ストリップ55の第1の端部は挿入管22の遠位端33(例えば、遠位端33の連結部材)に接続され、ストリップ55の第2の端部はプッシャ37の遠位部分52(例えば、遠位部分52の連結部材)に接続される。可撓性ストリップ55は、プッシャ37が後退したときに径方向外側に弓形に曲がるように構成される。複数の電極48(簡略化のために一部にだけラベル付け)が、可撓性ストリップ55のそれぞれの上に配設される。
【0063】
ここで、
図2A及び
図2Bのバスケットカテーテル40を使用する
図1のシステム20の動作方法におけるステップを含むフローチャート60である
図3Aを参照する。
【0064】
処理回路41(
図1)は、磁気センサ50A、50Bから第1及び第2の位置信号をそれぞれ受信する(ブロック62)ように構成される。一部の実施形態では、磁気センサ50Aは、磁気センサ50Aの1つ以上のコイルに対応する1つ以上の位置信号を提供してもよい。同様に、磁気センサ50Bは、磁気センサ50Bの1つ以上のコイルに対応する1つ以上の位置信号を提供してもよい。
【0065】
処理回路41は、受信された信号に基づいて、磁気センサ50A及び50Bのそれぞれの位置座標及び配向座標はそれぞれの受信された位置信号に応じて相互依存的に反復して計算される位置計算を使用して、磁気センサ50A、50B(コイルを含む)が同軸であり、したがって同じ配向を有するという制約に従って、磁気センサ50A、50Bの位置座標及び配向座標を計算する(ブロック64)ように構成される。
【0066】
一部の実施形態では、処理回路41は、磁気センサ50A、50Bの計算された配向座標は、プラス又はマイナス2度などの所与の許容範囲内で等しくなるという制約に従って、磁気センサ50A、50Bの位置座標及び配向座標を計算するように構成される。ブロック64のステップについて、
図3B及び
図3Cを参照してより詳細に説明する。
【0067】
処理回路41は、磁気センサ50Aの計算された位置座標と磁気センサ50Bの計算された位置座標との間の距離を計算する(ブロック66)ように構成される。計算された距離は、ブロック70のステップを参照してより詳細に後述するように、可撓性ストリップ55の湾曲(
図2B)及びバスケットアセンブリ35の一般的な形状(
図2B)を示す。
【0068】
処理回路41は、磁気センサ50A、及び/又は磁気センサ50B、及び/又はカテーテル40の別の位置センサからの位置信号(単数又は複数)に応じて、拡張可能なアセンブリ35のロールを計算する(ブロック68)ように構成される。前述のように、ロールの計算のためのデータを提供するセンサは、典型的には、DAS又はTASである。
【0069】
カテーテル40の固定点(挿入管22の遠位先端など)に対する可撓性ストリップ55の湾曲及び/又は可撓性ストリップ55上の電極48(又は他の特徴部)の位置は、磁気センサ50Aと50Bとの間の様々な距離について測定されてもよい。例えば、カテーテル40上の固定点に対する電極48の位置は、挿入管22に対するプッシャ37の0.2mmの移動毎に測定され、0.2mmの移動毎に、磁気センサ50間の計算された距離は、電極48の位置と共に記録される。次いで、このデータを使用して、磁気センサ50間の計算された距離に応じて、カテーテル40の固定点(挿入管22の遠位先端など)に対する可撓性ストリップ55の湾曲及び/又は可撓性ストリップ55上の電極48(又は他の特徴部)の位置を見出すことができる。
【0070】
一部の実施形態では、可撓性ストリップ55の湾曲及び/又はカテーテル40上の固定点(挿入管22の遠位先端など)に対する可撓性ストリップ55上の電極48(又は他の特徴部)の位置は、磁気センサ50と、カテーテル40のモデルとの間の計算された距離に基づいて計算されてもよく、これは可撓性ストリップ55の機械的特性及び寸法に基づいて計算された距離に対する可撓性ストリップ55の湾曲及び電極48の位置を提供する。
【0071】
処理回路41は、計算された距離、計算されたロール、及び1つ以上の磁気センサ50の計算された位置座標及び配向座標に応じて、可撓性ストリップ55のそれぞれの位置を推定する(ブロック70)ように構成される。計算された距離は、カテーテル40の固定点に対する可撓性ストリップ55のそれぞれの位置を提供する。計算されたロール、磁気センサ50のうちの1つ以上の位置座標及び配向座標は、システム20で使用される磁気座標フレームに対する可撓性ストリップ55のそれぞれの位置を提供する。
【0072】
処理回路41は、(例えば、磁気センサ50Aから受信された信号(単数又は複数)に基づく)可撓性ストリップ55の推定されたそれぞれの位置及び挿入管22の計算された位置に応じて、カテーテル40及び身体部分(例えば、心臓26)の少なくとも一部の表現31(
図1)をディスプレイ27(
図1)にレンダリングする(ブロック72)ように構成される。
【0073】
ここで、
図3Aの動作方法におけるサブステップを含むフローチャート74である
図3Bを参照する。以下のサブステップは、
図3Aのブロック64のステップのサブステップである。
【0074】
処理回路41(
図1)は、磁気センサ50A、50Bのうちの一方のセンサの受信された信号に応じて、位置計算を使用して、一方のセンサの位置座標及び配向座標を計算する(ブロック76)ように構成される。処理回路41は、位置計算を使用して、磁気センサ50A、50Bのうちの他方のセンサの計算された配向座標は、プラス又はマイナス2度などの所与の許容範囲内で一方のセンサの計算された配向座標と等しくなるという制約に従って、他方のセンサの位置座標を計算する(ブロック78)ように構成される。
【0075】
ここで、
図3Aの動作方法における代替のサブステップを含むフローチャート80である
図3Cを参照する。以下のサブステップは、
図3Aのブロック64のステップのサブステップである。
【0076】
処理回路41(
図1)は、位置計算を使用して両方の磁気センサ50の初期位置座標及び初期配向座標を計算する(ブロック82)ように構成される。
【0077】
処理回路41は、磁気センサ50の初期配向座標の平均を計算する(ブロック84)ように構成される。例えば、配向座標が、例えばそれぞれヨー及びピッチを表す2つの角度θ、φによって表される場合、磁気センサ50Aの配向はθA、φAであり、磁気センサ50Bの配向はθB、φBであり、磁気センサ50の平均配向は、θav、φavに等しく、ここでθavはθA及びθBの平均であり、φavは、φA及びφBの平均である。
【0078】
処理回路41は、センサ50から受信された信号に基づく位置計算を使用して、両方のセンサ50の配向座標は、プラス又はマイナス2度などの所与の許容範囲内で初期配向座標の計算された平均と等しくなるという制約に従って、磁気センサ50の位置座標及び配向座標を計算する(ブロック86)ように構成される。
【0079】
ここで、
図4A及び
図4Bを参照する。
図4Aは、バスケットカテーテル90の遠位端の概略図である。
図4Bは、横に変形した後の、
図4Aのバスケットカテーテル90の遠位端の概略図である。バスケットカテーテル90は、バスケットカテーテル90が、バスケットカテーテル90の挿入管96の軸に対して横に押され得る、プッシャ92及び拡張可能なアセンブリ94(例えば、バスケット)を含むことを除いて、
図2A及び
図2Bのカテーテル40と実質的に同じである。例えば、拡張可能なアセンブリ94が組織に押し付けられると、拡張可能なアセンブリ94は変形し得る。
図2Aのカテーテル40と同様に、バスケットカテーテル90は、複数の可撓性ストリップ98(簡略化のために一部にのみラベル付け)、各可撓性ストリップ98に配設された電極100(簡略化のために一部にのみラベル付け)、及び(
図2Aの磁気センサ50と同様の)2つの磁気センサ102A、102Bを含む。磁気センサ102Aは、挿入管96の遠位端(例えば、挿入管96をアセンブリ94に連結する連結部材内)に配設され、磁気センサ102Bは、プッシャ92の遠位端(例えば、プッシャ92を可撓性ストリップ98の遠位端に連結する連結部材内)に配設される。
【0080】
図4Bは、拡張可能なアセンブリ94が組織に押し付けられているために、可撓性ストリップ98の一部が他よりも弓形に曲がっていることを示す。例えば、可撓性ストリップ98-1は、他の可撓性ストリップ98よりも弓形に曲がっている。加えて、可撓性ストリップ98-2などの可撓性ストリップ98のうちの一部は、拡張可能なアセンブリ94が組織に押し付けられていない場合よりも湾曲が少ない。
図4Bから、磁気センサ102が同軸ではなく、磁気センサ102Bの軸が、磁気センサ102Aを含む挿入管96の軸とは別の方向を向いていることがはっきりと分かる。
【0081】
ここで、
図4A及び
図4Bのバスケットカテーテル90を使用する
図1のシステム20の動作方法におけるステップを含むフローチャート110である
図5を参照する。
図4A及び
図4Bも参照する。
【0082】
処理回路41(
図1)は、磁気センサ102A、102Bからの第1及び第2の位置信号をそれぞれ受信する(ブロック112)ように構成される。一部の実施形態では、磁気センサ102Aは、磁気センサ102Aの1つ以上のコイルに対応する1つ以上の位置信号を提供してもよい。同様に、磁気センサ102Bは、磁気センサ102Bの1つ以上のコイルに対応する1つ以上の位置信号を提供してもよい。
【0083】
処理回路41は、受信された位置信号に応じて磁気センサ102間の距離及び相対配向角度を計算する(ブロック114)ように構成される。ゼロより大きい値を有する相対配向角度は、一般に、拡張可能なアセンブリ94が挿入管96の軸に対して横にたわんでいることを示し、可撓性ストリップ98のうちの少なくとも一部が、拡張可能なアセンブリ94が挿入管96の軸の周りに中央に位置付けられたときの可撓性ストリップ98の形状と比べて、歪んでいることを示す。
【0084】
処理回路41は、磁気センサ102のうちの1つ以上から又はバスケットカテーテル90に配設された他方のセンサからの位置信号に応じて、拡張可能なアセンブリ94のロールを計算する(ブロック116)ように構成される。
【0085】
カテーテル90の固定点(挿入管96の遠位先端など)に対する可撓性ストリップ98の湾曲及び/又は可撓性ストリップ98上の電極100(又は他の特徴部)の位置は、磁気センサ102間の様々な距離、及び磁気センサ102間の様々な相対配向角度について測定されてもよい。例えば、カテーテル90上の固定点に対する電極100の位置は、挿入管96に対するプッシャ92の約0.2mmの移動毎に、及び磁気センサ102間の1度毎の相対的な配向について(拡張可能なアセンブリ94の最大の横方向移動まで)測定されてもよい。それぞれの異なる距離/相対配向の組み合わせで、磁気センサ50間の計算された距離及び計算された相対配向角度は、電極100の位置データと共に記録される。次いで、このデータを使用して、磁気センサ102間の計算された距離及び相対配向角度に応じて、カテーテル90の固定点(挿入管96の遠位先端など)に対する可撓性ストリップ98の湾曲及び/又は可撓性ストリップ100上の電極100(又は他の特徴部)の位置を推定することができる。
【0086】
加えて、又は代替的に、可撓性ストリップ98の湾曲は、以下の仮定に基づいて推定されてもよい:(a)可撓性ストリップ98のそれぞれは、固定の既知の長さであり、(b)可撓性ストリップ98のそれぞれは、連結部材に接続され、この連結部材は、プッシャ92を、連結部材の長手方向軸に実質的に垂直に(プラス又はマイナス10度以内の誤差で)可撓性ストリップ98の遠位端に連結し、(c)可撓性ストリップ98のそれぞれは、連結部材に接続され、この連結部材は、可撓性ストリップ98の近位端を、挿入管96の長手方向軸に実質的に平行に(プラス又はマイナス10度以内の誤差で)挿入管96に連結する。上記の仮定(a)~(c)に基づいて、並びに磁気センサ102の計算された位置に基づく結合部材の計算された位置に基づいて、可撓性ストリップ98のそれぞれの湾曲は、三次多項式を使用して計算されてもよい。一部の実施形態では、可撓性ストリップ98の湾曲及び/又はカテーテル90上の固定点(挿入管96の遠位先端など)に対する可撓性ストリップ98上の電極100(又は他の特徴部)の位置は、磁気センサ102と、カテーテル90のモデルとの間の計算された距離及び配向に基づいて計算されてもよく、これは可撓性ストリップ98の機械的特性及び寸法に基づいて計算された距離に対する可撓性ストリップ98の湾曲及び電極100の位置を提供する。
【0087】
処理回路41は、相対配向角度がゼロより大きい値を有するときに、対称配置からの可撓性ストリップ98のうちの1つ以上の歪みを考慮しながら、少なくとも計算された距離及び相対配向角度に応じて可撓性ストリップ98のそれぞれの位置を推定する(ブロック118)ように構成される。磁気センサ102間の計算された距離及び相対配向角度は、カテーテル90の固定点に対する可撓性ストリップ98のそれぞれの位置を提供する。計算されたロール、磁気センサ102のうちの1つ以上の位置座標及び配向座標は、システム20で使用される磁気座標フレームに対する可撓性ストリップ98のそれぞれの位置を提供する。
【0088】
処理回路41は、(例えば、磁気センサ102Aから受信された信号(単数又は複数)に基づく)可撓性ストリップ98の推定されたそれぞれの位置及び挿入管96の計算された位置に応じて、カテーテル90及び身体部分(例えば、心臓26)の少なくとも一部の表現31(
図1)をディスプレイ27(
図1)にレンダリングする(ブロック120)ように構成される。
【0089】
本発明の様々に異なる特徴が、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されているが、これらが単一の実施形態中に組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴が、別々に又は任意の好適な部分的組み合わせとして提供されてもよい。
【0090】
上に記載される実施形態は、例として引用されており、本発明は、上記の明細書に特に図示及び記載されたものによって限定されない。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の記載を読むと当業者が思い付くであろう先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【0091】
〔実施の態様〕
(1) システムであって、
生体被験者の身体部分に挿入されるように構成されたカテーテルであって、
遠位端と、前記遠位端に配設された第1のコイルベースの位置センサとを含む挿入管と、
上に配設された第2のコイルベースの位置センサと、遠位部分とを含み、前記挿入管を通って前進及び後退するように構成されているプッシャと、
前記プッシャの前記遠位部分の周囲に周方向に配設された複数の可撓性ストリップを備える拡張可能なアセンブリであって、前記ストリップの第1の端部が前記挿入管の前記遠位端に接続され、前記ストリップの第2の端部が前記プッシャの前記遠位部分に接続され、前記可撓性ストリップが、前記プッシャが後退したときに径方向外側に弓形に曲がるように構成されている、拡張可能なアセンブリと、を備える、カテーテルと、
前記身体部分が位置する領域内に交番磁場を送信するように構成された少なくとも1つの磁場放射器であって、前記第1及び第2の位置センサが、送信された前記交番磁場に応じてそれぞれの第1及び第2の位置信号を出力するように構成されている、少なくとも1つの磁場放射器と、
処理回路と、を備え、前記処理回路が、
前記第1及び第2の位置センサから前記第1及び第2の位置信号を受信し、
前記第1及び第2の位置センサの位置座標及び配向座標を、前記位置センサのそれぞれの前記位置座標及び配向座標がそれぞれの受信された前記位置信号に応じて相互依存的に反復して計算される位置計算を使用して、前記第1及び第2の位置センサが同軸であるという制約に従って、計算し、
前記第1の位置センサの計算された前記位置座標と前記第2の位置センサの計算された前記位置座標との間の距離を計算し、
少なくとも計算された前記距離に応じて、前記可撓性ストリップのそれぞれの位置を推定するように構成されている、システム。
(2) ディスプレイを更に備え、前記処理回路が、前記第1又は第2の位置センサのうちの少なくとも1つからの前記位置信号に応じて、前記拡張可能なアセンブリのロールを計算し、前記可撓性ストリップの推定された前記それぞれの位置に応じて、前記カテーテル及び前記身体部分の少なくとも一部の表現を前記ディスプレイにレンダリングするように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記処理回路が、前記位置計算を使用して、前記第1及び第2の位置センサのうちの一方のセンサの前記位置座標及び配向座標を計算し、前記第1及び第2の位置センサのうちの他方のセンサの計算された前記配向座標は所与の許容範囲内で前記一方のセンサの計算された前記配向座標と等しくなるという制約に従って、前記他方のセンサの前記位置座標を計算するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記処理回路が、前記位置計算を使用して、前記第1及び第2の位置センサの初期位置座標及び初期配向座標を計算し、前記第1及び第2の位置センサの前記初期配向座標の平均を計算し、前記第1及び第2の位置センサの前記配向座標は所与の許容範囲内で前記初期配向座標の計算された前記平均と等しくなるという制約に従って、前記位置計算を使用して、前記第1及び第2の位置センサの前記位置座標及び配向座標を計算するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記処理回路が、前記第1及び第2の位置センサの計算された前記配向座標は所与の許容範囲内で等しくなるという制約に従って、前記第1及び第2の位置センサの前記位置座標及び配向座標を計算するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0092】
(6) システムであって、
生体被験者の身体部分に挿入されるように構成されたカテーテルであって、
遠位端と、前記遠位端に配設された第1のコイルベースの位置センサとを含む挿入管と、
上に配設された第2のコイルベースの位置センサと、遠位部分とを含み、前記挿入管を通って前進及び後退するように構成されているプッシャと、
前記プッシャの前記遠位部分の周囲に周方向に配設された複数の可撓性ストリップを備える拡張可能なアセンブリであって、前記ストリップの第1の端部が前記挿入管の前記遠位端に接続され、前記ストリップの第2の端部が前記プッシャの前記遠位部分に接続され、前記可撓性ストリップが、前記プッシャが後退したときに径方向外側に弓形に曲がるように構成されている、拡張可能なアセンブリと、を備える、カテーテルと、
前記身体部分が位置する領域内に交番磁場を送信するように構成された少なくとも1つの磁場放射器であって、前記第1及び第2の位置センサが、送信された前記交番磁場に応じてそれぞれの第1及び第2の位置信号を出力するように構成されている、少なくとも1つの磁場放射器と、
処理回路と、を備え、前記処理回路が、
前記第1及び第2の位置センサから前記第1及び第2の位置信号を受信し、
受信された前記位置信号に応じて、前記第1の位置センサと前記第2の位置センサとの間の距離及び相対配向角度を計算し、
少なくとも計算された前記距離及び相対配向角度に応じて前記可撓性ストリップのそれぞれの位置を推定する一方で、前記相対配向角度がゼロより大きい値を有するときに、対称配置からの前記可撓性ストリップのうちの1つ以上の歪みを考慮するように構成されている、システム。
(7) ディスプレイを更に備え、前記処理回路が、前記第1又は第2の位置センサのうちの少なくとも1つからの前記位置信号に応じて、前記拡張可能なアセンブリのロールを計算し、前記可撓性ストリップの推定された前記それぞれの位置に応じて、前記カテーテル及び前記身体部分の少なくとも一部の表現を前記ディスプレイにレンダリングするように構成されている、実施態様6に記載のシステム。
(8) 方法であって、
カテーテルを生体被験者の身体部分に挿入することであって、前記カテーテルが挿入管と、前記挿入管の遠位端に配設された第1のコイルベースの位置センサと、上に配設された第2のコイルベースの位置センサを含むプッシャと、前記プッシャの遠位部分の周囲に周方向に配設された可撓性ストリップを含む拡張可能なアセンブリと、を備え、前記ストリップの第1の端部が前記挿入管の前記遠位端に接続され、前記ストリップの第2の端部が前記プッシャの前記遠位部分に接続されている、ことと、
前記プッシャを後退させて、前記可撓性ストリップを径方向外側に弓形に曲げることと、
交番磁場を前記身体部分が位置する領域に送信することと、
送信された前記交番磁場に応じて、前記第1及び第2の位置センサによってそれぞれの第1及び第2の位置信号を出力することと、
前記第1及び第2の位置センサから前記第1及び第2の位置信号を受信することと、
前記第1及び第2の位置センサの位置座標及び配向座標を、前記位置センサのそれぞれの前記位置座標及び配向座標がそれぞれの受信された前記位置信号に応じて相互依存的に反復して計算される位置計算を使用して、前記第1及び第2の位置センサが同軸であるという制約に従って、計算することと、
前記第1の位置センサの計算された前記位置座標と前記第2の位置センサの計算された前記位置座標との間の距離を計算することと、
少なくとも計算された前記距離に応じて、前記可撓性ストリップのそれぞれの位置を推定することと、を含む、方法。
(9) 前記第1又は第2の位置センサのうちの少なくとも1つからの前記位置信号に応じて、前記拡張可能なアセンブリのロールを計算することと、
前記可撓性ストリップの推定された前記それぞれの位置に応じて、前記カテーテル及び前記身体部分の少なくとも一部の表現をディスプレイにレンダリングすることと、を更に含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記位置計算を使用して、前記第1及び第2の位置センサのうちの一方のセンサの前記位置座標及び配向座標を計算することと、
前記第1及び第2の位置センサのうちの他方のセンサの計算された前記配向座標は所与の許容範囲内で前記一方のセンサの計算された前記配向座標と等しくなるという制約に従って、前記他方のセンサの前記位置座標を計算することと、を更に含む、実施態様8に記載の方法。
【0093】
(11) 前記位置計算を使用して、前記第1及び第2の位置センサの初期位置座標及び初期配向座標を計算することと、
前記第1及び第2の位置センサの前記初期配向座標の平均を計算することと、
前記第1及び第2の位置センサの前記配向座標は所与の許容範囲内で前記初期配向座標の計算された前記平均と等しくなるという制約に従って、前記位置計算を使用して、前記第1及び第2の位置センサの前記位置座標及び配向座標を計算することと、を更に含む、実施態様8に記載の方法。
(12) 前記第1及び第2の位置センサの計算された前記配向座標は所与の許容範囲内で等しくなるという制約に従って、前記第1及び第2の位置センサの前記位置座標及び配向座標を計算することを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(13) 方法であって、
カテーテルを生体被験者の身体部分に挿入することであって、前記カテーテルが挿入管と、前記挿入管の遠位端に配設された第1のコイルベースの位置センサと、上に配設された第2のコイルベースの位置センサを含むプッシャと、前記プッシャの遠位部分の周囲に周方向に配設された可撓性ストリップを含む拡張可能なアセンブリと、を備え、前記ストリップの第1の端部が前記挿入管の前記遠位端に接続され、前記ストリップの第2の端部が前記プッシャの前記遠位部分に接続されている、ことと、
前記プッシャを後退させて、前記可撓性ストリップを径方向外側に弓形に曲げることと、
交番磁場を前記身体部分が位置する領域に送信することと、
送信された前記交番磁場に応じて、前記第1及び第2の位置センサによってそれぞれの第1及び第2の位置信号を出力することと、
前記第1及び第2の位置センサから前記第1及び第2の位置信号を受信することと、
受信された前記位置信号に応じて、前記第1の位置センサと前記第2の位置センサとの間の距離及び相対配向角度を計算することと、
少なくとも計算された前記距離及び相対配向角度に応じて前記可撓性ストリップのそれぞれの位置を推定する一方で、前記相対配向角度がゼロより大きい値を有するときに、対称配置からの前記可撓性ストリップのうちの1つ以上の歪みを考慮することと、を含む、方法。
(14) 前記第1又は第2の位置センサのうちの少なくとも1つからの前記位置信号に応じて、前記拡張可能なアセンブリのロールを計算することと、
前記可撓性ストリップの推定された前記それぞれの位置に応じて、前記カテーテル及び前記身体部分の少なくとも一部の表現を前記ディスプレイにレンダリングすることと、を更に含む、実施態様13に記載の方法。