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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】脳脊髄液圧測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20241118BHJP
   G01L 9/10 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
A61B5/00 101P
G01L9/10
【請求項の数】 23
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020167545
(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公開番号】P2021058587
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】16/591,912
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】イリヤ・シットニツキー
(72)【発明者】
【氏名】イェフダ・アルガウィ
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04062354(US,A)
【文献】西独国特許出願公開第03520833(DE,A1)
【文献】米国特許第06432058(US,B1)
【文献】中国実用新案第208755983(CN,U)
【文献】米国特許第04593703(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0297103(US,A1)
【文献】特開2017-181493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/01
A61B 5/03
G01L 7/00-23/32
G01L 27/00-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳脊髄液圧測定装置であって、
圧力計であって、
頭蓋を通して挿入するように構成され、かつ下端部、上端部、内側表面、及び外側表面を有する中空円筒体と、
前記下端部に取り付けられた膜であって、前記頭蓋内の脳脊髄液の圧力下で移動するように構成されている、膜と、
固定コイル及び移動コイルを含む複数のコイルであって、前記固定コイルは、前記中空円筒体内に配設され、前記中空円筒体に対して静止したままであるように前記中空円筒体の前記内側表面に接続されており、前記移動コイルは、前記中空円筒体内に配設され、前記膜が前記脳脊髄液からの前記圧力下で移動すると、前記移動コイルが前記固定コイルに対して移動するように、前記膜に接続されており、前記複数のコイルのうちの1つが送信コイルとして構成されており、前記複数のコイルのうちの別のコイルが受信コイルとして構成されている、複数のコイルと、を含む、圧力計と、
入力信号を前記送信コイルに印加し、前記入力信号に応じて前記受信コイルから出力信号を受信するために、前記中空円筒体の前記上端部に接触するように、かつ前記出力信号に応答して前記脳脊髄液の前記圧力の示度を生成するように、構成された制御ユニットと、を備える、装置。
【請求項2】
前記中空円筒体の前記外側表面が、前記圧力計を前記頭蓋内にねじ込み、前記頭蓋の中に締結することを可能にするようにねじ付きである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記中空円筒体の前記上端部が、前記圧力計を前記頭蓋内にねじ込み、前記頭蓋の中に締結することを補助するための駆動部又はボルトヘッドを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記移動コイルが第1の軸を有し、前記固定コイルが第2の軸を有し、前記第1の軸が前記第2の軸に実質的に平行である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の軸が、前記第2の軸と実質的に同一直線上にある、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の軸及び前記第2の軸の方向における前記移動コイルと前記固定コイルの間隔が、0.05mm~0.7mmの範囲である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記中空円筒体が、0.5mm~3.5mmの範囲の外径を有した、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記中空円筒体が、テーパ状円筒を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記中空円筒体の前記下端部が、0.5mm~3.2mmの範囲の外径を有し、前記中空円筒体の前記上端部が、0.7mm~3.5mmの範囲の外径を有し、前記中空円筒体は、長さ3~8mmの範囲の前記下端部から前記上端部までの長さ寸法を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記中空円筒体の前記外側表面が、前記圧力計を前記頭蓋内にねじ込み、前記頭蓋の中に締結することを可能にするようにねじ付きである、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記中空円筒体の前記上端部が、前記圧力計を前記頭蓋内にねじ込み、前記頭蓋の中に締結することを補助するための駆動部又はボルトヘッドを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記中空円筒体が、気密封止された空洞を含み、前記空洞は、内部に配設された前記移動コイルを含み、前記空洞は、前記膜によって部分的に封止されている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記膜がシリコーンを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記シリコーンが、CH[Si(CHO]nSi(CHの化学式を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記制御ユニットが、前記中空円筒体の前記上端部に可逆的に取り付け可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記制御ユニット及び前記上端部が、前記制御ユニットを前記中空円筒体に固定するための相補的な相互連結機構を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記相補的な相互連結機構が、前記制御ユニットを前記複数のコイルと電気的に接続するように構成された複数の電気的接続部を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記制御ユニットが、メモリと、プロセッサと、を含み、前記プロセッサは、前記脳脊髄液の前記圧力の前記示度を生成し、前記示度を前記メモリに記憶するように構成されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記制御ユニットが、電源と、データインターフェースと、を含み、前記データインターフェースは、前記メモリに記憶された前記圧力の前記示度を遠隔処理装置に提供するように構成されている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
圧力計装置であって、
頭蓋を通して挿入するための、かつ下端部、上端部、内側表面、及び外側表面を有する中空円筒体であって、前記中空円筒体の前記外側表面は、前記圧力計装置を前記頭蓋内にねじ込み、前記頭蓋の中に締結することを可能にするようにねじ付きであり、前記中空円筒体は、テーパ状円筒を含む、中空円筒体と、
前記下端部に取り付けられた膜であって、前記膜は、前記頭蓋内の脳脊髄液の圧力下で移動するように構成されている、膜と、
固定コイル及び移動コイルを含む複数のコイルであって、前記固定コイルは、前記中空円筒体内に配設され、前記中空円筒体に対して静止したままであるように前記中空円筒体の前記内側表面に接続されており、前記移動コイルは、前記中空円筒体内に配設され、前記膜が前記脳脊髄液からの前記圧力下で移動すると、前記移動コイルが前記固定コイルに対して移動するように、前記膜に接続されており、前記複数のコイルのうちの1つが送信コイルとして構成されており、前記複数のコイルのうちの別のコイルが受信コイルとして構成されている、複数のコイルと、を備え、
前記中空円筒体の前記上端部は、前記圧力計装置を前記頭蓋内にねじ込み、前記頭蓋の中に締結することを補助するための駆動部又はボルトヘッドを含み、
前記上端部は、制御ユニットの相補的な機構と相互接続するように構成され、前記制御ユニットは、前記中空円筒体の前記上端部に可逆的に取り付け可能であり、
前記上端部は、前記制御ユニットを前記複数のコイルと電気的に接続するように構成された複数の電気的接続部を含み、
前記制御ユニットは、入力信号を前記送信コイルに印加し、前記入力信号に応じて前記受信コイルから出力信号を受信するために、前記中空円筒体の前記上端部に接触するように、かつ前記出力信号に応答して前記脳脊髄液の前記圧力の示度を生成するように、構成されている、装置。
【請求項21】
前記移動コイルが第1の軸を有し、前記固定コイルが第2の軸を有し、前記第1の軸が前記第2の軸と実質的に同一直線上にある、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記膜がシリコーンを含む、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記シリコーンが、CH[Si(CHO]nSi(CHの化学式を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む、請求項22に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力測定装置に関し、特に、これに限定されるものではないが、脳脊髄液圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
救急センターにおけるもの、並びに外傷及び水頭症の症例を含む、患者の頭蓋内の脳脊髄液(CSF)の圧力を測定することが重要である多くの状況が存在する。本システムは、典型的には、頭蓋を通して挿入される圧力計を使用するが、これらは比較的大きく、扱いにくいものであり、頭蓋を通してそれらを挿入することは、時間がかかる。
【0003】
Cosmanに対する米国特許第4,593,703号は、埋め込み可能な遠隔測定差圧感知装置を記載している。埋め込まれた装置は、可撓性ダイヤフラムと共に移動する平面的な閉じた導電ループを含み、ダイヤフラムは、その両側の2つの身体圧力の差の変化の際に移動する。装置内に固定された共振回路に対する導電ループの位置は、共振回路の共振周波数を決定する。共振周波数は、身体の外側で遠隔的に検出され、その値は、2つの身体圧力の差を決定するために使用される。
【0004】
Kawoosらの米国特許出願公開第2011/0066072号は、頭皮と圧力装置回路がある頭蓋との間に位置するハウジングと、ハウジングからCSFの近傍まで下方に延在する導管とを含む頭蓋内のCSF圧力を測定するための頭蓋内圧装置について記載している。圧力計は、導管に結合され、CSFと連通して配置され、圧力センサはCSFの圧力を直接感知し、導管を介して圧力装置回路へのCSFの圧力を表す信号を提供する。頭蓋は、硬膜を有し、導管は、頭蓋を通る開口及び硬膜を通る開口を経由して延在して、センサをCSFと直接接触させて位置付ける。流体リザーバは、チューブを経由し、ハウジングを経由してCSFと連通することができる。流体リザーバはCSFを含む。
【0005】
Geigerの米国特許出願公開第2006/0020224号は、長期間にわたって連続的又は周期的に患者内の頭蓋内圧(ICP)を監視するためのシステム及び方法を記載している。状況によっては、介護者は、傾向データを得るために、より長い期間にわたってICP測定を記録することを望む場合がある。ICPを監視するためのシステムは、患者の頭部の少なくとも実質的な部分を取り囲むように設計され、埋め込まれたICPモニターに電力を供給するように設計されたシュラウド様の誘導電力伝送素子を含む。シュラウド様素子は、テーブル又はベッドの幅にわたって弧を形成し、患者の頭部のための空間を提供する、テーブルに取り付けられた装置であってもよい。
【0006】
Seaverらの米国特許出願公開第2015/0119752号は、体内圧力を測定し、測定された体内圧力に対応する情報を無線で送信する、埋め込み可能な皮下装置であって、患者の身体の特定の領域の圧力を感知し、感知された圧力に対応する圧力信号を出力する圧力センサを含む、埋め込み可能な皮下装置と、圧力信号を受信し、信号を符号化して、体外受信機に送信されるセンサ情報信号を生成するエンコーダと、センサ情報信号をエンコーダから受信し、センサ情報信号を体外受信機に送信するトランシーバと、圧力センサ、エンコーダ、及びトランシーバを密閉する生体適合性ハウジングと、を記載する。
【0007】
Chubbuckらに対する米国特許第4,265,252号は、生体の体腔内のセンサの環境の圧力によって影響される固有周波数を有する受動的RF共振回路を含む埋め込み可能なトランセンサ装置が記載されている。トランセンサの回路は、インダクタ及びコンデンサを含み、そのうちの少なくとも1つは、回路の共振周波数を変化させるために、環境圧力の変動に直接関係して値が変化する。回路を外部から問い合わせて、監視装置によって提供される掃引周波数電磁放射のインポジションにより、任意の時点で回路の共振周波数を決定することができ、この監視装置は、放射の周波数がトランセンサ回路の共振周波数と同じになったことにより、放射の一部がいつ吸収されるかを判断する。感知された環境圧力と、回路の無効分のリアクタンスとの間には、強制的な関係が存在する。感圧リアクタンスと、回路の共振周波数との間には、自然な関係が存在する。その結果、環境圧力の増加は、周波数の対応する増加を引き起こし、環境圧力の低下は、周波数の減少を引き起こす。
【0008】
Miethkeらの米国特許出願公開第2008/0139959号は、剛性ハウジング内に配置されたマイクロチップを含む頭蓋内圧を決定するための埋め込み可能な装置を記載している。非常に薄い生体適合性膜を介した圧力伝達は、移送媒体を介して圧力測定装置に作用する。
【0009】
Stendelらの米国特許出願公開第2006/0025704号は、脳のパラメータを測定するための埋め込み可能な装置を記載している。その装置は、電子機器ユニットと、その中に一体化されたセンサユニットと、からなる。電子機器ユニットは、堅固かつ緊密に封止され、その滅菌後に再利用可能である。センサユニットは、圧力及び/又は温度測定のために、少なくとも1つの単一ルーメンカテーテル及びその中に配置されたセンサを備える。
【0010】
Stoneの米国特許出願公開第2011/0160560号は、容積内の圧力を測定するように構成及び適合されたセンサアセンブリを有する埋め込み可能な圧力センサシステムを記載しており、センサアセンブリは、メモリ手段、温度補償システム、ドリフト補償システム、及びセンサアセンブリに電力供給するための電源手段を有する特定用途向け集積回路(ASIC)である第1のMEMS圧力センサを少なくとも含み、第1のMEMS圧力センサは、露出圧力に応答する圧力感知素子を有し、圧力感知素子は、露出圧力を表す圧力センサ信号を生成するように適合され、温度補償システムは、圧力センサ信号における温度誘起変動を補正するように適合され、ドリフト補償システムは、圧力及び温度誘起圧力センサ信号ドリフトを補正するように適合されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一実施形態によれば、圧力計であって、頭蓋を通して挿入するように構成され、下端部、上端部、内側表面、及び外側表面を有する中空円筒体と、下端部に取り付けられた膜であって、その膜は、頭蓋内の脳脊髄液の圧力下で移動するように構成されている、膜と、固定コイル及び移動コイルを含む複数のコイルであって、固定コイルは中空円筒体内に配設され、中空円筒体に対して静止したままであるように中空円筒体の内側表面に接続されており、移動コイルは、中空円筒体内に配設され、膜が脳脊髄液からの圧力下で移動すると、移動コイルが固定コイルに対して移動するように、膜に接続されており、複数のコイルのうちの1つが送信コイルとして構成され、複数のコイルのうちの別のコイルが受信コイルとして構成されている、複数のコイルと、を含む、圧力計と、入力信号を送信コイルに印加し、入力信号に応じて受信コイルから出力信号を受信するために、中空円筒体の上端部に接触するように、かつ出力信号に応答して脳脊髄液の圧力の示度を生成するように構成された制御ユニットと、を含む脳脊髄液圧測定装置が提供される。
【0012】
更に、本開示の一実施形態によれば、中空円筒体の外側表面は、圧力計を頭蓋内にねじ込み、頭蓋の中に締結することを可能にするようにねじ付きである。
【0013】
また更に、本開示の一実施形態によれば、中空円筒体の上端部は、圧力計を頭蓋内にねじ込み、頭蓋の中に締結することを補助するための駆動部又はボルトヘッドを含む。
【0014】
加えて、本開示の一実施形態によれば、移動コイルは第1の軸を有し、固定コイルは第2の軸を有し、第1の軸は第2の軸に実質的に平行である。
【0015】
更に、本開示の一実施形態によれば、第1の軸は、第2の軸と実質的に同一直線上にある。
【0016】
更に、本開示の一実施形態によれば、第1の軸及び第2の軸の方向における移動コイルと固定コイルの間隔は、0.05mm~0.7mmの範囲である。
【0017】
また更に、本開示の一実施形態によれば、中空円筒体は、0.5mm~3.5mmの範囲の外径を有した。
【0018】
加えて、本開示の一実施形態によれば、中空円筒体は、テーパ状円筒を含む。
【0019】
更に、本開示の一実施形態によれば、中空円筒体の下端部は、0.5mm~3.2mmの範囲の外径を有し、中空円筒体の上端部は、0.7mm~3.5mmの範囲の外径を有し、中空円筒体は、長さ3~8mmの範囲の下端部から上端部までの長さを有する。
【0020】
更に、本開示の一実施形態によれば、中空円筒体の外側表面は、圧力計を頭蓋内にねじ込み、頭蓋の中に締結することを可能にするようにねじ付きである。
【0021】
また更に、本開示の一実施形態によれば、中空円筒体の上端部は、圧力計を頭蓋内にねじ込み、頭蓋の中に締結することを補助するための駆動部又はボルトヘッドを含む。
【0022】
加えて、本開示の一実施形態によれば、中空円筒体は、気密封止された空洞を含み、空洞は、内部に配設された移動コイルを含み、空洞は膜によって部分的に封止されている。
【0023】
更に、本開示の一実施形態によれば、膜は、シリコーンを含む。
【0024】
更に、本開示の一実施形態によれば、シリコーンは、CH[Si(CHO]nSi(CHの化学式を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む。
【0025】
また更に、本開示の一実施形態によれば、制御ユニットは、中空円筒体の上端部に可逆的に取り付け可能である。
【0026】
加えて、本開示の一実施形態によれば、制御ユニット及び上端部は、制御ユニットを中空円筒体に固定するための相補的な相互連結機構を含む。
【0027】
更に、本開示の一実施形態によれば、相補的な相互連結機構は、制御ユニットを複数のコイルと電気的に接続するように構成された複数の電気的接続部を含む。
【0028】
更に、本開示の一実施形態によれば、制御ユニットは、メモリ及びプロセッサを含み、プロセッサは、脳脊髄液の圧力の示度を生成し、その示度をメモリに記憶するように構成されている。
【0029】
また更に、本開示の一実施形態によれば、制御ユニットは、電源と、データインターフェースと、を含み、データインターフェースは、メモリに記憶された圧力の示度を遠隔処理装置に提供するように構成されている。
【0030】
また、本開示の更に別の実施形態によれば、圧力計装置であって、頭蓋を通して挿入するための、かつ下端部、上端部、内側表面、及び外側表面を有する中空円筒体であって、テーパ状円筒を含む、中空円筒体と、下端部に取り付けられた膜であって、その膜は、頭蓋内の脳脊髄液の圧力下で移動するように構成されており、中空円筒体の外側表面は、圧力計を頭蓋内にねじ込み、頭蓋の中に締結することを可能にするようにねじ付きである、膜と、固定コイル及び移動コイルを含む複数のコイルであって、固定コイルは中空円筒体内に配設され、中空円筒体に対して静止したままであるように中空円筒体の内側表面に接続されており、移動コイルは、中空円筒体内に配設され、膜が脳脊髄液からの圧力下で移動すると、移動コイルが固定コイルに対して移動するように、膜に接続されており、複数のコイルのうちの1つが送信コイルとして構成され、複数のコイルのうちの別のコイルが受信コイルとして構成されている、複数のコイルと、を含み、中空円筒体の上端部が、圧力計を頭蓋内にねじ込み、頭蓋の中に締結することを補助するための駆動部又はボルトヘッドを含み、上端部は、制御ユニットの相補的な機構と相互接続するように構成され、制御ユニットは、中空円筒体の上端部に可逆的に取り付け可能であり、上端部は、制御ユニットを複数のコイルと電気的に接続するように構成された複数の電気的接続部を含み、制御ユニットは、入力信号を送信コイルに印加し、入力信号に応じて受信コイルから出力信号を受信するために、中空円筒体の上端部に接触するように、かつ出力信号に応答して脳脊髄液の圧力の示度を生成するように、構成されている、圧力計装置が提供される。
【0031】
更に、本開示の一実施形態によれば、移動コイルは第1の軸を有し、固定コイルは第2の軸を有し、第1の軸は第2の軸と実質的に同一直線上にある。
【0032】
更に、本開示の一実施形態によれば、膜は、シリコーンを含む。
【0033】
更に、本開示の一実施形態によれば、シリコーンは、CH[Si(CHO]nSi(CHの化学式を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む。
【0034】
本開示の更に別の実施形態によれば、脳脊髄液圧測定装置の使用方法も提供され、この方法は、頭蓋を通して圧力計の中空円筒体を挿入することであって、この中空円筒体は、下端部、上端部、内側表面、及び外側表面を有し、圧力計はまた、下端部に取り付けられた膜であって、頭蓋内の脳脊髄液の圧力下で移動するように構成されている、膜と、固定コイル及び移動コイルを含む複数のコイルであって、固定コイルは、中空円筒体内に配設され、中空円筒体に対して静止したままであるように中空円筒体の内側表面に接続されており、移動コイルは、中空円筒体内に配設され、膜が脳脊髄液からの圧力下で移動すると、移動コイルが固定コイルに対して移動するように、膜に接続されており、複数のコイルのうちの1つが送信コイルとして構成されており、複数のコイルのうちの別のコイルが受信コイルとして構成されている、複数のコイルと、を含む、ことと、制御ユニットを中空円筒体の上端部に取り付けることと、入力信号を送信コイルに印加することと、入力信号に応じて受信コイルから出力信号を受信することと、出力信号に応答して脳脊髄液の圧力の示度を生成することと、を含む。
【0035】
また更に、本開示の一実施形態によれば、中空円筒体の外側表面はねじ付きであり、本方法は、圧力計を頭蓋内にねじ込み、頭蓋の中に締結することを更に含む。
【0036】
加えて、本開示の一実施形態によれば、中空円筒体の上端部は、駆動部又はボルトヘッドを含み、本方法は、圧力計を頭蓋内にねじ込み、頭蓋の中に締結することを更に含む。
【0037】
更に、本開示の一実施形態によれば、移動コイルは第1の軸を有し、固定コイルは第2の軸を有し、第1の軸は第2の軸と実質的に同一直線上にある。
【0038】
更に、本開示の一実施形態によれば、中空円筒体は、テーパ状円筒を含む。
【0039】
また更に、本開示の一実施形態によれば、膜は、シリコーンを含む。
【0040】
加えて、本開示の一実施形態によれば、シリコーンは、CH[Si(CHO]nSi(CHの化学式を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から理解されよう。
図1】本発明の実施形態に従って構成され、動作する、脳脊髄液圧測定装置の概略絵画図である。
図2A】本発明の実施形態に従って構成され、動作する、図1の脳脊髄液圧測定装置の圧力計の垂直切欠き図である。
図2B】線A-Aに沿った、図2Aの圧力計の縦断面図である。
図3】本発明の一実施形態に従って構成され、動作する、図1の脳脊髄液圧測定装置の制御ユニットのブロック図である。
図4図3の制御ユニットの動作方法における例示的なステップを示すフローチャートである。
図5A】本発明の代替実施形態に従って構成され、動作する、脳脊髄液圧測定装置の概略絵画図である。
図5B】本発明の代替実施形態に従って構成され、動作する、脳脊髄液圧測定装置の概略絵画図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
概論
前置きとして、頭蓋内に圧力計を設置して脳脊髄液(CSF)圧力を測定することは、頭蓋を通して計器を挿入するために取られる時間及び一旦挿入された圧力計を固定することを含む多くの課題を伴い得る。扱いが困難であるだけでなく、大きく、かつ扱いにくい計器はまた、患者にとって不快である場合がある。加えて、大きな計器の使用の望ましくない結果は、頭蓋内に大きな孔を作る必要があり得ることである。より小さい圧力計を製造することは、上記の課題の一部を軽減することができるが、より小さい圧力計は依然として感知精度を維持する必要があり、また、小さいサイズに起因して扱うことも困難であり得る。
【0043】
したがって、本発明のいくつかの実施形態では、頭蓋を通る容易かつ快適な挿入のために、概して0.5mm~3.5mmの範囲の直径を有する軽量かつコンパクトな圧力計を含む脳脊髄液圧測定装置が提供される。圧力計の外側表面は、圧力計を頭蓋内にねじ込み、頭蓋の中に締結することを可能にするために、ねじ山を含んでもよい。圧力計が頭蓋を通して挿入されると、圧力計の上端に制御ユニットを取り付けることができる。制御ユニットは、圧力計に電力を供給し、圧力計からの読み取り値を取得し、遠隔処理装置に圧力の表示を提供してもよい。
【0044】
圧力計は、以下により詳細に記載される、正確な圧力読み取り値を提供するためのコイル及び膜の配置を含み、結果として軽量かつコンパクトな圧力計において感知精度が損なわれない。圧力計は、一般に、頭蓋と接触する生体適合性材料を含み、CSFが発生する可能性が高い。
【0045】
挿入の更なる容易さのために、中空円筒体の上端部は、ねじ回し装置又は工具を可逆的に挿入して、圧力計を頭蓋内にねじ込み、頭蓋の中に締結するのを補助するための駆動部を任意選択的に含む。駆動部は、任意選択的に、制御ユニットの相補的な機構と相互接続するように形成され、制御ユニットは中空円筒体の上端部に可逆的に取り付け可能である。他の例示的な実施形態では、中空円筒体の上端部は、圧力計を頭蓋内にねじ込み、頭蓋の中に締結するのを補助するために、レンチを係合するためのボルトヘッドを任意選択的に含む。
【0046】
いくつかの例示的な実施形態では、圧力計は、頭蓋を通した挿入を容易にするために、テーパ状円筒として形成されてもよい。圧力計のコンパクト性を示すために、テーパ状円筒は、概ね0.5mm~3.2mm(例えば、1.2mm)の下端部(CSFの最も近くに挿入されている)における外径と、概ね0.7mm~3.5mm(例えば、1.7mm)の上端部(一般には頭蓋骨の外側に残る)における外径と、を有し得る。圧力計は、一般に、3~8mm(例えば4~5mm)の範囲のその下端部からその上端部までの長さを有し得る。
【0047】
膜は、圧力計が頭蓋を通して挿入されると、膜が頭蓋内のCSFの圧力下で移動するように、円筒体の下端部に取り付けられる。膜は、シリコーン又は他の可撓性生体適合性材料を含んでもよい。シリコーンは、CH[Si(CHO]nSi(CHの化学式を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)を含み得る。
【0048】
固定コイル及び移動コイルを含む複数のコイルが、円筒体内に配設されている。コイルは、一般に、その軸が円筒体の軸と同一直線上になるように、円筒体内に配設されている。しかしながら、コイルの互い及び円筒体に対する他の配置が可能である。固定コイルは、膜がCSFの圧力下で移動しても、中空円筒体に対して静止したままであるように、円筒体の内側表面に接続されている。一方、移動コイルは、膜がCSFからの圧力下で移動するとき、移動コイルが固定コイルに対して移動するように、膜に接続されている。
【0049】
円筒体の上端部は、一般に、制御ユニットを圧力計内に配設されたコイルと電気的に接続するように構成された電気的接続部を含む。コイルのうちの1つは送信コイルとして指定され、他方のコイルは受信コイルとして指定される。どのコイルが受信コイルであるか、又は送信コイルであるかの指定は一般的に任意である。制御ユニットは、入力信号を送信コイルに印加し、入力信号に応じて受信コイルから出力信号を受信する。2つのコイル間の距離が、膜に及ぼされる圧力に従って変化するとき、この変化は、受信コイルで生成された出力信号に直接関連する。制御ユニットは、出力信号に応答してCSFの圧力の示度を生成することができる。制御ユニットは、出力信号とそれぞれの圧力値との間の対応を提供するように較正される必要があり得る。
【0050】
システムの説明
参照により本明細書に組み込まれる文書は本出願の一体部とみなされるべきであり、いかなる用語も、それらの組み込まれた文書内で、本明細書で明示的又は暗示的に行われる定義と相反するように定義される場合を除き、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【0051】
ここで、図1を参照するが、図1は、本発明の例示的な実施形態により、構成され、動作する、脳脊髄液圧測定装置10の概略絵画図である。脳脊髄液圧測定装置10は、圧力計12及び制御ユニット14を含む。この目的のために、任意の好適なドリル器具を使用して、頭蓋16に孔を穿設してもよい。圧力計12は、頭蓋16を通して挿入するように構成された中空円筒体18を含む。中空円筒体18について、図2A及び図2Bを参照してより詳細に説明する。中空円筒体18は、頭蓋16内への圧力計12の挿入及び固定を補助するために、その外側表面26上にねじ山を含んでもよい。
【0052】
制御ユニット14は、中空円筒体18内に配設されたコイルに入力信号を印加し、中空円筒体18内に配設された別のコイルから出力信号を受信するために、中空円筒体18の上端部20に接触するように構成されている。コイルについて、図1には示していないが、図2A及び図2Bを参照してより詳細に示し説明する。制御ユニット14は、出力信号に応答して頭蓋16内のCSFの圧力の示度を生成するように構成されている。制御ユニットについて、図3及び図4を参照してより詳細に説明する。
【0053】
制御ユニット14は、中空円筒体18の上端部20に可逆的に取り付け可能であるように構成されている。代替の例示的な実施形態では、制御ユニット14は圧力計12に永続的に固定されてもよい。
【0054】
制御ユニット14及び中空円筒体18の上端部20は、制御ユニット14を中空円筒体18に固定するための相補的な相互連結機構22を含む。相互連結機構22は、単なる例として、圧入又はインターロック機構を提供するように構成されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、制御ユニット14は、1つ以上の場所で頭蓋16にねじ込まれてもよい。追加的に、又は代替的に、制御ユニット14は、好適な接着剤を使用して頭蓋16に固着されてもよい。制御ユニット14を頭蓋16に固定することは、中空円筒体18の外側表面がねじ切りされていないときに特に有用である。中空円筒体18がねじ付きである場合であっても、制御ユニット14は、更なる接着を提供するために頭蓋16に固定されてもよい。
【0055】
制御ユニット14及び圧力計12は、一般に、制御ユニット14と圧力計12とを電気的に接続するための複数の電気的接続部24を含む。電気的接続部24は、一般に、圧力計12及び制御ユニット14の相互連結機構22上に配設される。
【0056】
次に、図2A図2Bを参照する。図2Aは、本発明の例示的な実施形態に従って構成され、動作する、図1の脳脊髄液圧測定装置10の圧力計12の垂直切欠き図である。図2Bは、図2Aの線A-Aに沿った圧力計12の縦断面図である。
【0057】
中空円筒体18は、テーパ状円筒を含んでもよい。いくつかの例示的な実施形態では、中空円筒体18はテーパ状ではない。中空円筒体18は、任意の好適な耐久性のある材料で作製されてもよい。中空円筒体18の外側表面26は、一般的に、生体適合性材料、例えば、チタン又はステンレス鋼を含むが、これらに限定されない。
【0058】
中空円筒体18の外径は、一般に、ただし限定されるものではなく、0.5mm~3.5mmの範囲内であるが、より小さい又はより大きい直径もまた実施され得る。中空円筒体18がテーパ状であるとき、中空円筒体18の下端部28は、一般に、ただし限定されるものではなく、0.5mm~3.2mm、例えば、1.2mmの範囲の外径(DL)を有してもよいが、より小さい又はより大きい直径もまた実装されてもよい。中空円筒体18の上端部20は、一般に、ただし限定されるものではなく、0.7mm~3.5mm、例えば、1.7mmの範囲の外径(DU)を有してもよいが、より小さい又はより大きい直径もまた実装されてもよい。中空円筒体18は、一般に、ただし限定されるものではなく、3~8mm、例えば4~5mmの範囲の下端部28から上端部20までの長さ(L)(高さ)を有してもよいが、より小さい又はより大きい長さもまた実装されてもよい。頭蓋内に穿設された孔の直径は、一般に、ただし限定されるものではなく、下端部28の直径と同等又はそれ以上である。例えば、下端部28の直径が1.2mmであり、上端部20の直径が1.7mmである場合、穿設された孔の直径は1.2mm~1.6mmの範囲であってもよい。
【0059】
中空円筒体18の外側表面26は、圧力計12を頭蓋16内にねじ込み(図1)、頭蓋の中により容易に締結することを可能にするようにねじ付きである。中空円筒体18の上端部20は、ねじ回しツールを可逆的に挿入して、圧力計12を頭蓋16内にねじ込み、頭蓋の中に締結するのを補助するための駆動部30を含んでもよい。
【0060】
中空円筒体18は、例としてのみ、任意の好適な接着剤を使用して中空円筒体18の下端部28に取り付けられた膜32を含む。膜32は、頭蓋16内のCSFの圧力下で移動するように構成されている。膜は、任意の好適な可撓性生体適合性材料を含み得る。シリコーン系材料が膜32に好適であると判定された。シリコーンは、乳房インプラントのシェルで使用されるものと同様の、CH[Si(CHO]nSi(CHの化学式を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)を含み得る。
【0061】
圧力計12は、中空円筒体18内に配設された固定コイル34及び移動コイル36を含む複数のコイルを含む。固定コイル34は、中空円筒体18に対して静止したままであるように、中空円筒体18の内側表面38に接続されている。膜32がCSFからの圧力下で移動するとき、移動コイル36が固定コイル34に対して移動する(矢印46)ように、移動コイル36の一端が膜32に接続されている。コイル36の予想される変位は、一般に、ただし限定されるものではなく、0.05mm~0.5mmの範囲内である。実装に応じて、測定される最小変位は、約0.01mmであってもよい。移動コイル36は軸40を有し、固定コイル34は軸42を有する。軸40及び軸42は、実質的に互いに平行である。軸40及び軸42は概ね互いに整列しているが、本明細書及び「特許請求の範囲」で使用される用語「実質的に平行」は、完全に平行ではないが互いの30度以内である軸40、42を含むように定義される。図2A及び図2Bに示される例示的な実施形態では、軸40、42は実質的に同一直線上にある。軸40及び軸42は概ね整列しているが、本明細書及び「特許請求の範囲」で使用される用語「実質的に同一直線上」は、完全に同一直線上にある又は更には完全に平行であるのではなくて、コイル34、36の平均直径の3分の1の距離まで離れており、かつ互いの30度以内である軸40、42を含むように定義される。
【0062】
軸40、42の方向における移動コイル36及び固定コイル34の間隔Sは、一般に、ただし限定されるものではなく、0.05mm~0.7mmの範囲、例えば0.1mmである。固定コイル34及び移動コイル36は、コイルのうちの1つによって放出された信号が他のコイルによって受信され、有意義な圧力読み取り値を提供するのに十分な振幅を有するように、共に十分に近接しながらCSFの圧力下での移動コイル36の完全な動きを可能にするのに十分に分離される必要がある。コイル34、36のワイヤの厚さは、任意の好適な厚さであってもよく、コイルは任意の好適な数の巻取りを有してもよい。例示的な一実施形態では、コイルのワイヤの厚さは0.01~0.05mmであり、1コイル当たり10~30巻きである。
【0063】
固定コイル34及び移動コイル36は、中空円筒体18の上端部20内に配設された電気的接続部24に接続されている。コイル34、36のうちの1つは送信コイルとして構成され、コイル34、36のもう一方は受信コイルとして構成されている。コイル34、36は、電気的接続部24に対するコイル34、36及び制御ユニット14の配線によって、並びに/又は、コイル34、36のどちらが送信コイル及び受信コイルであるべきかを制御ユニット14が選択することによって、送信コイル又は受信コイルとして構成されてもよい。
【0064】
中空円筒体18は、気密封止された空洞44を含む。空洞44は、その中に配置された固定コイル34及び移動コイル36を含む。空洞44は、中空円筒体18の膜32、内側表面38、及び上端部20によって封止される。空洞内の圧力は一般に、約1気圧に等しいように設定されるが、任意の好適な値に設定されてもよい。
【0065】
ここで図3を参照すると、同図は、本発明の例示的実施形態に従って、構成され、動作する、図1の脳脊髄液圧測定装置10の制御ユニット14のブロック図である。制御ユニット14は、メモリ48、プロセッサ50、電源52、データインターフェース54、及び電気的接続部24を含んでもよい。制御ユニット14の異なる要素は、電源52から電力を受け取る。メモリ48は、プロセッサ50によって使用されるデータ(及びソフトウェア)、並びに以下により詳細に記載される圧力データを記憶するように構成されている。メモリ48は、揮発性及び/又は不揮発性メモリを含むことができる。データインターフェース54は、遠隔処理装置56に(及び遠隔処理装置56から)データを転送するように構成されている。データインターフェース54は、例えば、限定されるものではないが、無線(WIFI(登録商標)又はBluetooth(登録商標))及び/又は有線データ転送プロトコルなどの任意の好適なプロトコルを使用してデータを転送することができる。
【0066】
制御ユニット14は、入力信号を送信コイル(例えば、固定コイル34)に印加し、入力信号に応じて受信コイル(例えば、移動コイル36)から出力信号を受信するために、中空円筒体18(図2A図2B)の上端部20(図2A図2B)と接触するように構成されている。2つのコイル34、36間の距離が、膜32に及ぼされる圧力に従って変化するとき(図2A図2B)、距離の変化は、受信コイルで生成された出力信号に直接関連する。プロセッサ50は、出力信号に応答してCSFの圧力の示度を生成するように構成されている。例示的な一実施形態では、5~50mmHgの圧力値は、約0.01mmHgの精度で予測される。制御ユニット14は、較正された装置によって測定された既知のCSF圧力における出力信号の複数の測定値に基づいて較正されてもよい。
【0067】
いくつかの例示的実施形態では、制御ユニット14は、メモリ48、プロセッサ50、及び電源52を含むことなく、電気的接続部24及び遠隔処理装置56へのデータインターフェース54を含んでもよく、図4を参照して説明されるプロセッサ50の機能性は、遠隔処理装置56によって提供される。他の例示的な実施形態では、制御ユニット14は、電気的接続部24、データインターフェース54、プロセッサ50及びメモリ48を含んでもよいが、電力は、例えば、USBケーブル又は無線電力などの好適な接続を介して、遠隔処理装置56内で外部電源によって供給される。
【0068】
ここで図4を参照すると、図4は、図3の制御ユニット14の動作方法における例示的なステップを含むフローチャート58である。図3もまた参照する。プロセッサ50は、入力信号を生成し、関連する電気的接続部24を介して入力信号を送信コイルに印加する(ブロック60)ように構成されている。プロセッサ50は、入力信号に応じて受信コイルから出力信号を受信する(ブロック62)ように構成されている。プロセッサ50はまた、出力信号に応答してCSFの圧力の示度を生成し(ブロック64)、メモリ48内の示度を記憶する(ブロック66)ように構成されている。メモリに記憶された示度は、出力信号又はプロセッサ50によって計算された値であってもよく、例えば、限定されるものではないが圧力の好適な単位における圧力値などの出力信号に基づいてもよい。示度はまた、圧力の示度が測定された時間を示すタイムスタンプと共に記憶されてもよい。ブロック60~68の上記ステップは、複数の圧力読み取り値を周期的に提供するように繰り返されてもよい(矢印70)。プロセッサ50は、メモリ48に記憶された圧力の示度(複数可)をデータインターフェース54経由で遠隔処理装置56に提供するように構成されている。
【0069】
実際には、プロセッサ50の機能の一部又はすべては、組み合わせて単一の物理コンポーネントとするか、あるいは複数の物理コンポーネントを使用して具現化することが可能である。これらの物理的構成要素は、ハードワイヤードデバイス又はプログラマブルデバイス、あるいはこれら2つの組み合わせを備えてもよい。いくつかの実施形態では、処理回路の機能の少なくともいくつかは、適切なソフトウェアの制御下でプログラム可能なプロセッサによって実行されてもよい。このソフトウェアは、例えばネットワークを介して電子的形態で制御ユニット14にダウンロードされてもよい。代替的又は追加的に、このソフトウェアは、有形の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0070】
ここで図5A及び図5Bを参照するが、図5A及び図5Bは、本発明の代替的な例示的実施形態により、構成され、動作する、脳脊髄液圧測定装置100の概略絵画図である。図5Bは、脳脊髄液圧測定装置100のコンパクト性を強調するために1枚の1セント102上に配設された脳脊髄液圧測定装置100を示す。図5A及び図5Bの脳脊髄液圧測定装置100は、圧力計112(中空円筒体118及び膜132を有する)及び制御ユニット114を含む。脳脊髄液圧測定装置100は、以下の相違点を除いて、図1図4を参照して上述した脳脊髄液圧測定装置10と実質的に同じである。中空円筒体118の上端部120の形状は、レンチ又は同様の工具を使用して、頭蓋を通して中空円筒体118を挿入するために、ボルトヘッド130、例えば六角形状のボルトヘッドとして構成されている。圧力計112及び制御ユニット114は、圧力計112と制御ユニット114との間に物理的及び電気的相互接続を提供する突起及びソケットとして構成された相互連結機構122及び電気的接続部124を含む。相互連結機構122は、圧入を提供してもよく、又は圧力計112及び制御ユニット114を一緒にクリック嵌め(clicking)することを可能にする他の機構を含んでもよい。制御ユニット14は、遠隔処理装置に接続するための複数の他の電気的接続部126を含む。
【0071】
本発明の様々な特徴が、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されているが、これらが単一の実施形態に組み合わされて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴が、別々に又は任意の好適な部分的組み合わせで提供されてもよい。
【0072】
上に記載される実施形態は、例として引用されており、本発明は、上記の明細書に具体的に図示及び記載されたものによって限定されない。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の記載を読むと当業者が思い付くであろう、先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【0073】
〔実施の態様〕
(1) 脳脊髄液圧測定装置であって、
圧力計であって、
頭蓋を通して挿入するように構成され、かつ下端部、上端部、内側表面、及び外側表面を有する中空円筒体と、
前記下端部に取り付けられた膜であって、前記頭蓋内の脳脊髄液の圧力下で移動するように構成されている、膜と、
固定コイル及び移動コイルを含む複数のコイルであって、前記固定コイルは、前記中空円筒体内に配設され、前記中空円筒体に対して静止したままであるように前記中空円筒体の前記内側表面に接続されており、前記移動コイルは、前記中空円筒体内に配設され、前記膜が前記脳脊髄液からの前記圧力下で移動すると、前記移動コイルが前記固定コイルに対して移動するように、前記膜に接続されており、前記複数のコイルのうちの1つが送信コイルとして構成されており、前記複数のコイルのうちの別のコイルが受信コイルとして構成されている、複数のコイルと、を含む、圧力計と、
入力信号を前記送信コイルに印加し、前記入力信号に応じて前記受信コイルから出力信号を受信するために、前記中空円筒体の前記上端部に接触するように、かつ前記出力信号に応答して前記脳脊髄液の前記圧力の示度を生成するように、構成された制御ユニットと、を備える、装置。
(2) 前記中空円筒体の前記外側表面が、前記圧力計を前記頭蓋内にねじ込み、前記頭蓋の中に締結することを可能にするようにねじ付きである、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記中空円筒体の前記上端部が、前記圧力計を前記頭蓋内にねじ込み、前記頭蓋の中に締結することを補助するための駆動部又はボルトヘッドを含む、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記移動コイルが第1の軸を有し、前記固定コイルが第2の軸を有し、前記第1の軸が前記第2の軸に実質的に平行である、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記第1の軸が、前記第2の軸と実質的に同一直線上にある、実施態様4に記載の装置。
【0074】
(6) 前記第1の軸及び前記第2の軸の方向における前記移動コイルと前記固定コイルの間隔が、0.05mm~0.7mmの範囲である、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記中空円筒体が、0.5mm~3.5mmの範囲の外径を有した、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記中空円筒体が、テーパ状円筒を含む、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記中空円筒体の前記下端部が、0.5mm~3.2mmの範囲の外径を有し、前記中空円筒体の前記上端部が、0.7mm~3.5mmの範囲の外径を有し、前記中空円筒体は、長さ3~8mmの範囲の前記下端部から前記上端部までの長さ寸法を有する、実施態様8に記載の装置。
(10) 前記中空円筒体の前記外側表面が、前記圧力計を前記頭蓋内にねじ込み、前記頭蓋の中に締結することを可能にするようにねじ付きである、実施態様8に記載の装置。
【0075】
(11) 前記中空円筒体の前記上端部が、前記圧力計を前記頭蓋内にねじ込み、前記頭蓋の中に締結することを補助するための駆動部又はボルトヘッドを含む、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記中空円筒体が、気密封止された空洞を含み、前記空洞は、内部に配設された前記移動コイルを含み、前記空洞は、前記膜によって部分的に封止されている、実施態様1に記載の装置。
(13) 前記膜がシリコーンを含む、実施態様1に記載の装置。
(14) 前記シリコーンが、CH[Si(CHO]nSi(CHの化学式を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む、実施態様13に記載の装置。
(15) 前記制御ユニットが、前記中空円筒体の前記上端部に可逆的に取り付け可能である、実施態様1に記載の装置。
【0076】
(16) 前記制御ユニット及び前記上端部が、前記制御ユニットを前記中空円筒体に固定するための相補的な相互連結機構を含む、実施態様15に記載の装置。
(17) 前記相補的な相互連結機構が、前記制御ユニットを前記複数のコイルと電気的に接続するように構成された複数の電気的接続部を含む、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記制御ユニットが、メモリと、プロセッサと、を含み、前記プロセッサは、前記脳脊髄液の前記圧力の前記示度を生成し、前記示度を前記メモリに記憶するように構成されている、実施態様17に記載の装置。
(19) 前記制御ユニットが、電源と、データインターフェースと、を含み、前記データインターフェースは、前記メモリに記憶された前記圧力の前記示度を遠隔処理装置に提供するように構成されている、実施態様18に記載の装置。
(20) 圧力計装置であって、
頭蓋を通して挿入するための、かつ下端部、上端部、内側表面、及び外側表面を有する中空円筒体であって、前記中空円筒体は、テーパ状円筒を含む、中空円筒体と、
前記下端部に取り付けられた膜であって、前記膜は、前記頭蓋内の脳脊髄液の圧力下で移動するように構成されており、前記中空円筒体の前記外側表面は、前記圧力計を前記頭蓋内にねじ込み、前記頭蓋の中に締結することを可能にするようにねじ付きである、膜と、
固定コイル及び移動コイルを含む複数のコイルであって、前記固定コイルは、前記中空円筒体内に配設され、前記中空円筒体に対して静止したままであるように前記中空円筒体の前記内側表面に接続されており、前記移動コイルは、前記中空円筒体内に配設され、前記膜が前記脳脊髄液からの前記圧力下で移動すると、前記移動コイルが前記固定コイルに対して移動するように、前記膜に接続されており、前記複数のコイルのうちの1つが送信コイルとして構成されており、前記複数のコイルのうちの別のコイルが受信コイルとして構成されている、複数のコイルと、を備え、
前記中空円筒体の前記上端部は、前記圧力計を前記頭蓋内にねじ込み、前記頭蓋の中に締結することを補助するための駆動部又はボルトヘッドを含み、
前記上端部は、制御ユニットの相補的な機構と相互接続するように構成され、前記制御ユニットは、前記中空円筒体の前記上端部に可逆的に取り付け可能であり、
前記上端部は、前記制御ユニットを前記複数のコイルと電気的に接続するように構成された複数の電気的接続部を含み、
前記制御ユニットは、入力信号を前記送信コイルに印加し、前記入力信号に応じて前記受信コイルから出力信号を受信するために、前記中空円筒体の前記上端部に接触するように、かつ前記出力信号に応答して前記脳脊髄液の前記圧力の示度を生成するように、構成されている、装置。
【0077】
(21) 前記移動コイルが第1の軸を有し、前記固定コイルが第2の軸を有し、前記第1の軸が前記第2の軸と実質的に同一直線上にある、実施態様20に記載の装置。
(22) 前記膜がシリコーンを含む、実施態様20に記載の装置。
(23) 前記シリコーンが、CH[Si(CHO]nSi(CHの化学式を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む、実施態様22に記載の装置。
(24) 脳脊髄液圧測定装置の使用方法であって、
頭蓋を通して圧力計の中空円筒体を挿入することであって、前記中空円筒体が、下端部、上端部、内側表面、及び外側表面を有し、前記圧力計はまた、前記下端部に取り付けられた膜であって、前記膜が、前記頭蓋内の脳脊髄液の圧力下で移動するように構成されている、膜と、固定コイル及び移動コイルを含む複数のコイルであって、前記固定コイルは、前記中空円筒体内に配設され、前記中空円筒体に対して静止したままであるように前記中空円筒体の前記内側表面に接続されており、前記移動コイルは、前記中空円筒体内に配設され、前記膜が前記脳脊髄液からの前記圧力下で移動すると、前記移動コイルが前記固定コイルに対して移動するように、前記膜に接続されており、前記複数のコイルのうちの1つが送信コイルとして構成されており、前記複数のコイルのうちの別のコイルが受信コイルとして構成されている、複数のコイルと、を含む、ことと、
前記中空円筒体の前記上端部に制御ユニットを取り付けることと、
入力信号を前記送信コイルに印加することと、
前記入力信号に応じて前記受信コイルから出力信号を受信することと、
前記出力信号に応答して前記脳脊髄液の前記圧力の示度を生成することと、を含む、方法。
(25) 前記中空円筒体の前記外側表面がねじ付きであり、前記方法が、前記圧力計を前記頭蓋内にねじ込み、前記頭蓋の中に締結することを更に含む、実施態様24に記載の方法。
【0078】
(26) 前記中空円筒体の前記上端部が駆動部又はボルトヘッドを含み、前記方法が、前記圧力計を前記頭蓋内にねじ込み、前記頭蓋の中に締結することを更に含む、実施態様25に記載の方法。
(27) 前記移動コイルが第1の軸を有し、前記固定コイルが第2の軸を有し、前記第1の軸が前記第2の軸と実質的に同一直線上にある、実施態様24に記載の方法。
(28) 前記中空円筒体が、テーパ状円筒を含む、実施態様24に記載の方法。
(29) 前記膜がシリコーンを含む、実施態様24に記載の方法。
(30) 前記シリコーンが、CH[Si(CHO]nSi(CHの化学式を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む、実施態様29に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B