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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】油中水型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20241118BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20241118BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20241118BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/891
A61K8/37
A61Q17/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020172772
(22)【出願日】2020-10-13
(65)【公開番号】P2021063071
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2019188722
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 正洋
(72)【発明者】
【氏名】建部 桃子
【審査官】新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-088346(JP,A)
【文献】国際公開第2016/068298(WO,A1)
【文献】特開2018-070556(JP,A)
【文献】特開2011-236201(JP,A)
【文献】国際公開第2020/032241(WO,A1)
【文献】特開2009-084171(JP,A)
【文献】特開2013-151660(JP,A)
【文献】特開2011-126854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)(C)(D)及び(H)
(A)シリコーン油(成分(C)を除く) 27~34質量%
(B)固体の有機紫外線吸収剤、
(C)カプリリルメチコン 0.2~20質量%、
(D)エステル油、
(H)油性ゲル化剤 0.1~2質量%
を含有し、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、0.02~15である油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
成分(C)に対する成分(D)の質量割合(D)/(C)が、0.5~50である請求項1記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
(E)ポリエーテル変性シリコーン型界面活性剤の含有量が、5質量%未満である請求項1又は2記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項4】
さらに、(F)微粒子金属酸化物及び(G)着色顔料を含有する請求項1~3のいずれか1項記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項5】
成分(F)及び成分(G)が、疎水化処理されたものである請求項4記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項6】
成分(D)の含有量が、1~20質量%である請求項1~のいずれか1項記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項7】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D) 、(E)及び(H)
(A)直鎖状ジメチルポリシロキサン、分岐状シロキサン、環状ジメチルシロキサンから選ばれる1種又は2種以上のシリコーン油(成分(C)を除く) 27~34質量%
(B)固体の有機紫外線吸収剤、
(C)カプリリルメチコン 0.2~20質量%、
(D)エステル油 1~20質量%、
(E)ポリエーテル変性シリコーン型界面活性剤 5質量%未満、
(H)油性ゲル化剤 0.1~2質量%
を含有し、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C) が0.02 ~15である油中水型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線による悪影響から皮膚を守るため、高い紫外線防御効果が得られる皮膚化粧料が求められ、紫外線防御効果とともに、使用感及び安定性に優れた化粧料が検討されている。なかでも、油中水型乳化化粧料は、汗や皮脂に強く、油溶性の有効成分を効率的に皮膚上に展開できることなどから、広く適用されている。
例えば、特許文献1には、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロパンジオール、カプリリルメチコン、シリコーンレジン被覆シリコーンゴム球状粉体に、金属酸化物を配合した油中水型乳化化粧料が、粘度の経時安定性、使用感(のび)、紫外線遮蔽効果に優れることが記載されている。特許文献2には、疎水化処理酸化亜鉛粉末、揮発性シリコーン、アルキルトリメチコンを含有する日焼け止め化粧料が、化粧持ち、洗浄容易性に優れることが記載されている。また、特許文献3には、極性油、炭化水素油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、表面処理粉体を含有する油中水型乳化化粧料が、使用感、粉体の分散安定性に優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-189671号公報
【文献】特開2005-232069号公報
【文献】特開2018-108952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの化粧料は、昨今厳しくなったSPFの基準に照らした紫外線防御効果や、使用感などの点で十分満足できるものではなかった。
また、従来の化粧料に、固体の紫外線吸収剤を含有させて油中水型乳化化粧料とする場合、固体の有機紫外線吸収剤は、水や多くの油に対しても難溶性であるため、化粧料中に均一に安定に含有させることが困難であり、高いSPFと紫外線防御効果を得ることができなかった。また、これら成分を配合した場合には、ムラになったり、べたつきが生じるなどの課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、固体の有機紫外線吸収剤を、エステル油を用いて化粧料に配合しようとした場合、使用感を考慮して、シリコーン油を併用すると、これらが分離してしまうが、さらに、アルキル基が付加されたシリコーン油を特定の割合で用いることにより、固体の有機紫外線吸収剤を化粧料中に均一に安定に配合することができ、紫外線防御効果が高く、べたつかず、均一に塗布することができ、磨いたようなつるんとした仕上がりの油中水型乳化化粧料が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)シリコーン油(成分(C)を除く)、
(B)固体の有機紫外線吸収剤、
(C)炭素数8~28のアルキル基が付加されたシリコーン油 0.2~20質量%、
(D)エステル油
を含有し、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、0.02~15である油中水型乳化化粧料に関する。
また、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)直鎖状ジメチルポリシロキサン、分岐状シロキサン、環状ジメチルシロキサンから選ばれる1種又は2種以上のシリコーン油(成分(C)を除く)、
(B)固体の有機紫外線吸収剤、
(C)炭素数8~28のアルキル基が付加されたシリコーン油 0.2~20質量%、
(D)エステル油 1~20質量%、
(E)ポリエーテル変性シリコーン型界面活性剤 5質量%未満、
油性ゲル化剤 0.05~3質量%
を含有し、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、0.02~15である油中水型乳化化粧料に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の油中水型乳化化粧料は、紫外線防御効果が高く、その効果が長時間持続するものである。また、べたつかず、均一に塗布することができ、均一で、磨いたようなつるんとした肌に仕上げることができ、その仕上がりが長時間維持される。さらに、磨いたようなつるんとした肌に仕上げられると、キメが整ったように見える。
なお、磨いたようなつるんとした肌とは、油中水型乳化化粧料を塗布することにより、未塗布の状態の肌と比べ、肌が、平面ではなく、立体的にふっくらと丸みを帯びて見え、毛穴や細かい肌の凹凸が目立たない状態のことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)のシリコーン油は、成分(C)を除き、通常の化粧料に用いられるもので、揮発性シリコーン油、不揮発性シリコーン油のいずれでも良く、25℃で液状のものが好ましい。液状とは、流動性を有するもので、クリーム状やペースト状のものも含まれる。
本発明で用いる成分(A)のシリコーン油としては、直鎖状ジメチルポリシロキサン、分岐状シロキサン、環状ジメチルシロキサン、フェニル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、高級アルコキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、架橋型オルガノポリシロキサン等の変性シリコーン油が挙げられ、シリコーン油としては、直鎖状ジメチルポリシロキサン、分岐状シロキサン、環状ジメチルシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、直鎖状ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、環状ジメチルシロキサンを含むのがさらに好ましい。
【0009】
揮発性シリコーン油において、揮発性とは、35~87℃の引火点を有するものである。
揮発性シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(1cs)、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等の直鎖状ジメチルポリシロキサン;エチルトリシロキサン、メチルトリメチコン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等の分岐状シロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシロキサンなどが挙げられる。
これらのうち、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン(1cs)ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)、メチルトリメチコンが好ましい。
【0010】
また、不揮発性シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン;高級脂肪酸エステル変性シリコーン、高級アルコキシ変性シリコーン等の変性シリコーン油などが挙げられる。
これらのうち、ジメチルポリシロキサンが好ましい。
また、ジメチルポリシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン(6cs)、ジメチルポリシロキサン(10cs)、ジメチルポリシロキサン(20cs)等の直鎖ジメチルポリシロキサンが挙げられ、ジメチルポリシロキサン(6cs)、ジメチルポリシロキサン(10cs)が好ましく、ジメチルポリシロキサン(6cs)がより好ましい。
【0011】
成分(A)としては、軽い使用感、化粧持ちの点から、揮発性シリコーンが好ましい。
また、成分(A)としては、紫外線防御効果が高く、その効果が長時間持続し、塗布後の肌を磨いたようなつるんとした肌に仕上げる点から、揮発性シリコーン油が好ましく、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン(1cs)、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)、メチルトリメチコンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン(2cs)、メチルトリメチコンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましい。また、少なくとも、デカメチルシクロペンタシロキサンを含むのがよりさらに好ましい。
【0012】
成分(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、べたつきがなく、化粧料を塗布したのち、肌に撥水性を与える点から、全組成中に10質量%以上であるのが好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、55質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に10~55質量%が好ましく、15~50質量%がより好ましく、20~45質量%がさらに好ましい。
また、成分(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、紫外線防御効果が高く、その効果が長時間持続し、塗布後の肌を磨いたようなつるんとした肌に仕上げ、べたつきを低減し、化粧料を塗布したのち、肌に撥水性を与える点から、全組成中に10質量%以上であるのが好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、27質量%以上がよりさらに好ましく、55質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましく、34質量%以下がよりさらに好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に10~55質量%が好ましく、15~50質量%がより好ましく、20~45質量%がさらに好ましく、27~34質量%がよりさらに好ましい。
【0013】
本発明で用いる成分(B)は、固体の有機紫外線吸収剤である。ここで、固体とは、25℃で固体のものである。
成分(B)の有機紫外線吸収剤としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良く、例えば、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、メチレンビズベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルへキシルトリアゾン等が挙げられる。これらのうち、成分(A)との相溶性が良く、化粧料の紫外線防御効果を高めて、しかもそれが持続する点から、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾンが好ましい。
また、成分(B)としては、紫外線防御効果が高く、その効果が長時間持続し、塗布後の肌を磨いたようなつるんとした肌に仕上げる点から、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾンから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましい。また、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルとビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0014】
成分(B)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、広範囲な紫外線波長において十分な紫外線防御効果を有し、使用感、安定性の点から、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下がよりさらに好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に0.1~10質量%が好ましく、0.2~7質量%がより好ましく、0.5~5質量%がさらに好ましく、0.5~3質量%がよりさらに好ましい。
また、成分(B)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、広範囲な紫外線波長において十分な紫外線防御効果を有し、使用感、安定性を向上し、塗布後の肌を磨いたようなつるんとした肌に仕上げ、べたつきを低減させる点から、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、1質量%以上がよりさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下がよりさらに好ましく、1.5質量%以下がことさら好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に0.1~10質量%が好ましく、0.2~7質量%がより好ましく、0.5~5質量%がさらに好ましく、0.5~3質量%がよりさらに好ましく、1~1.5質量%がことさら好ましい。
【0015】
本発明で用いる成分(C)のシリコーン油は、炭素数8~28のアルキル基が付加したものである。成分(A)、(B)及び(D)との相溶性をより良くし、べたつきを押さえ、化粧持ち、つるんとしたキメの整ったような仕上がりをより一層良くする点から、アルキル基は、炭素数4~30が好ましく、8~28がより好ましい。
成分(C)のシリコーン油は、アルキル基とシリコーンで構成されるものが好ましい。また、炭素数8~28のアルキル基以外の置換基を有していても良いが、成分(B)との相溶性を良好にし、べたつきを低減し、化粧持ちをより良好にする点から、乳化性能を有さないのが好ましく、ポリオキシアルキレン基を有さないのがより好ましい。
【0016】
成分(C)としては、通常の化粧料に用いられるもので、例えば、カプリリルメチコン、セチルジメチコン、アルキル(C26-28)ジメチコン、ステアリルジメチコン、ベヘノキシジメチコン、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー等が挙げられる。
なかでも、カプリリルメチコン、セチルジメチコン、アルキル(C26-28)ジメチコン、ステアリルジメチコン、ベヘノキシジメチコンが好ましく、カプリリルメチコンがより好ましい。
このような成分(C)を本発明の油中水型乳化化粧料に配合することにより、本発明の効果が得られる理由は定かではないが、その理由の一つとして、成分(C)は成分(A)、(B)及び後述する成分(D)のいずれの成分とも一定の相溶性を有しており、成分(A)~(D)を混合して油中水型乳化化粧料とした際に、油相の均一性をゆるく維持しているものと推測される。
【0017】
成分(C)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、成分(A)(B)及び(D)との相溶性のバランスが良く、紫外線防御効果、べたつきの低減、塗布後の均一性、化粧持ちの良さ、磨いたようなつるんとした仕上がりをより一層向上させる点から、全組成中に0.2質量%以上であり、0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、20質量%以下であり、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.2~20質量%であり、0.3~15質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
また、成分(C)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、成分(A)(B)及び(D)との相溶性のバランスが良く、紫外線防御効果、べたつきの低減、塗布後の均一性、化粧持ちの良さ、磨いたようなつるんとした仕上がりをより一層向上させる点から、全組成中に0.2質量%以上であり、0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がよりさらに好ましく、20質量%以下であり、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がよりさらに好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.2~20質量%であり、0.3~15質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、1.5~5質量%がよりさらに好ましい。
【0018】
本発明において、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)は、相溶性のバランスを良好にし、紫外線防御効果等の本発明の効果を一層高める点から、0.02以上であり、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、15以下であり、5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。また、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)は、0.02~15であり、0.02~5が好ましく、0.05~4がより好ましく、0.1~3がさらに好ましい。
また、本発明において、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)は、相溶性のバランスを良好にし、紫外線防御効果等の本発明の効果を一層高め、べたつきを低減し、塗布後の均一性、化粧持ちの良さ、磨いたようなつるんとした仕上がりをより一層向上させる点から、0.02以上であり、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.2以上がよりさらに好ましく、15以下であり、5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下がさらに好ましく、1以下がよりさらに好ましい。また、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)は、0.02~15であり、0.02~5が好ましく、0.05~4がより好ましく、0.1~3がさらに好ましく、0.2~1がよりさらに好ましい。
【0019】
本発明において、成分(A)に対する成分(C)の質量割合(C)/(A)は、相溶性のバランスを良好にし、紫外線防御効果等の本発明の効果を一層高める点から、0.005以上であるのが好ましく、0.01以上がより好ましく、0.015以上がさらに好ましく、0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましい。また、成分(A)に対する成分(C)の質量割合(C)/(A)は、0.005~0.5が好ましく、0.01~0.4がより好ましく、0.015~0.3がさらに好ましい。
また、本発明において、成分(A)に対する成分(C)の質量割合(C)/(A)は、相溶性のバランスを良好にし、紫外線防御効果等の本発明の効果を一層高め、塗布後の肌を磨いたようなつるんとした肌に仕上げる点から、0.005以上であるのが好ましく、0.01以上がより好ましく、0.015以上がさらに好ましく、0.045以上がよりさらに好ましく、0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましく、0.2以下がよりさらに好ましい。また、成分(A)に対する成分(C)の質量割合(C)/(A)は、0.005~0.5が好ましく、0.01~0.4がより好ましく、0.015~0.3がさらに好ましく、0.045~0.2がよりさらに好ましい。
【0020】
本発明で用いる成分(D)のエステル油は、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、25℃で液状のものが好ましく、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸オレイル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソステアリル、リシノレイン酸オクチルドデシル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、パルミチン酸エチルヘキシル、エチルヘキサンン酸セチル、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、酢酸トコフェロール、炭酸プロピレン、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸プロパンジオール、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジ(カプリン酸/カプリル酸)プロパンジオール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリット、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソスタリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、オクタカプリル酸ポリグリセリル-6、(イソスタリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパンオリゴエステル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、イソステアリン酸トレハロースエステルズ、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、フィトステロール脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等のエステル油;アボガド油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、パーム油、ヤシ油、ヒマシ油、ホホバ油、ヒマワリ油、ツバキ油、トウモロコシ油等の植物油が挙げられる。
【0021】
これらのうち、成分(B)を溶解し、塗膜中での成分(B)の均一性を向上する点から、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸オレイル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソステアリル、リシノレイン酸オクチルドデシル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、パルミチン酸エチルヘキシル、エチルヘキサンン酸セチル、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル等の脂肪酸と1級アルコールのエステルが好ましく、これに加えて更に幅広い紫外線波長での紫外線防御効果をより一層高める点から、メトキシケイ皮酸エチルヘキシルがより好ましい。
また、紫外線防御効果が高く、その効果が長時間持続し、成分(B)を溶解し、塗膜中での成分(B)の均一性を向上し、塗布後の肌を磨いたようなつるんとした肌に仕上げる点から、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリルから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリルから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましい。また、少なくとも、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルを含むのが好ましい。
【0022】
成分(D)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、化粧持ち、使用感の点から、全組成中に1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。また、成分(D)の含有量は、全組成中に1~20質量%が好ましく、2~18質量%がより好ましく、5~15質量%がさらに好ましい。
また、成分(D)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、化粧持ち、使用感を向上し、紫外線防御効果が高く、その効果が長時間持続し、塗布後の肌を磨いたようなつるんとした肌に仕上げる点から、全組成中に1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、8質量%以下がよりさらに好ましい。また、成分(D)の含有量は、全組成中に1~20質量%が好ましく、2~18質量%がより好ましく、5~15質量%がさらに好ましく、5~8質量%がよりさらに好ましい。
【0023】
本発明において、成分(C)に対する成分(D)の質量割合(D)/(C)は、成分(A)~(D)の相溶性のバランスを良好にし、紫外線防御効果等の本発明の効果を一層高める点から、0.5以上であるのが好ましく、0.7以上がより好ましく、1以上がさらに好ましく、50以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい。また、成分(C)に対する成分(D)の質量割合(D)/(C)は、0.5~50が好ましく、0.7~30がより好ましく、1~20がさらに好ましい。
また、本発明において、成分(C)に対する成分(D)の質量割合(D)/(C)は、成分(A)~(D)の相溶性のバランスを良好にし、紫外線防御効果等の本発明の効果を一層高め、塗布後の肌を磨いたようなつるんとした肌に仕上げる点から、0.5以上であるのが好ましく、0.7以上がより好ましく、1以上がさらに好ましく、50以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、5以下がよりさらに好ましい。また、成分(C)に対する成分(D)の質量割合(D)/(C)は、0.5~50が好ましく、0.7~30がより好ましく、1~20がさらに好ましく、1~5がよりさらに好ましい。
【0024】
本発明の油中水型乳化化粧料は、べたつきがなく、化粧持ちがより向上する点から、(E)シリコーン型界面活性剤の含有量が、5質量%未満であるのが好ましく、4.5質量%以下がより好ましく、4.0質量%以下がさらに好ましく、2質量%以下がよりさらに好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。また、べたつきがなく、化粧持ちがより向上し、保存安定性を向上させる観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましい。
シリコーン型界面活性剤としては、ポリオキシエチレン基又はポリオキシプロピレン基を有するジメチルポリシロキサンや、ポリエチレングリコールが付加されたジメチルポリシロキサンであって、通常の化粧料に用いられるものが挙げられる。なお、ジメチルポリシロキサンは一部がフッ素変性しているものであってもよい。
シリコーン型界面活性剤としては、紫外線防御効果が高く、その効果が長時間持続し、塗布後の肌を磨いたようなつるんとした肌に仕上げる点から、ポリエーテル変性シリコーン型界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレン基又はポリオキシプロピレン基を有するジメチルポリシロキサンがより好ましく、少なくともポリオキシエチレン基を有するジメチルポリシロキサンがさらに好ましい。
なお、シリコーン型界面活性剤には、架橋型のものは含まないことが好ましい。
このようなシリコーン型界面活性剤は、HLBが12以下であることが好ましい。
また、紫外線防御効果が高く、その効果が長時間持続し、塗布後の肌を磨いたようなつるんとした肌に仕上げる点から、HLBは、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、12以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下がさらに好ましく、6以下がよりさらに好ましい。
【0025】
ここで、HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lipophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。また、2種以上のシリコーン型界面活性剤から構成される場合、混合界面活性剤のHLBは、次のようにして求められる。混合界面活性剤のHLBは、各シリコーン型界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて相加算平均したものである。
混合HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
HLBxは、シリコーン型界面活性剤XのHLB値を示す。
Wxは、HLBxの値を有するシリコーン型界面活性剤Xの質量(g)を示す。
【0026】
本発明の油中水型乳化化粧料は、さらに、(F)微粒子金属酸化物を含有することができ、紫外線防御効果をより高めることができる。
かかる金属酸化物としては、通常の化粧料に用いられるもので、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化クロム等が挙げられる。
【0027】
微粒子金属酸化物粉末の形状は、特に制限されず、球状、薄片状、棒状、紡錘状、針状、不定形状等のいずれでも良い。
また、微粒子金属酸化物の平均1次粒子径は、紫外線防御効果向上の点から、0.005~0.2μmであるのが好ましく、0.01~0.1μmがより好ましい。なお、平均1次粒子径は、カタログ値もしくは透過型電子顕微鏡により測定される。
【0028】
これらの微粒子金属酸化物は、そのまま使用することができ、疎水化処理して用いることもできる。
疎水化処理としては、通常の化粧料用粉体に施されている処理であれば制限されず、フッ素化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、アミノ酸系化合物、レシチン、アルキルシラン、油剤、有機チタネート等の表面処理剤を用い、乾式処理、湿式処理等を行えばよい。
表面処理剤の具体例としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルアルコキシシラン、フッ素変性シリコーン等のフッ素系化合物;ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状シリコーン、片末端又は両末端トリアルコキシ基変性オルガノポリシロキサン、架橋型シリコーン、シリコーン樹脂、フッ素変性シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン等のシリコーン系化合物;ステアリン酸アルミニウム、ミリスチン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸;プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニン、グリシン、サルコシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン及びそれらの誘導体、アシル化アミノ酸等のアミノ酸系化合物;レシチン、水添レシチン;メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、トリエトキシカプリリルシラン等のアルキルシラン;ポリイソブチレン、ワックス、油脂、脂肪酸等の油剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等の有機チタネートなどが挙げられる。
【0029】
疎水化処理は、通常の方法に従って行うことができる。
疎水化処理の処理量は、溶媒へ分散性向上の点から、被覆粉体の量に対して0.1~15質量%であるのが好ましく、1~12質量%がより好ましい。
【0030】
成分(F)としては、化粧持ち、紫外線防御効果向上の点から、酸化亜鉛、酸化チタンが好ましい。
【0031】
成分(F)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、紫外線防御効果をより一層高くする点から、全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。また、成分(F)の含有量は、全組成中に0.1~40質量%が好ましく、0.2~35質量%がより好ましく、0.5~30質量%がさらに好ましい。
【0032】
本発明の油中水型乳化化粧料は、シミや肌のきめ、毛穴等の肌の欠点をぼかし、目立たなくさせる観点から、さらに、(G)着色顔料を含有することができる。
着色顔料としては、通常の化粧料に用いられるもので、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラ、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物、マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体、更にカーボンブラック等の無機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等の合成有機顔料、有機色素及びそのレーキ顔料;β-カロチン、カラメル、パプリカ色素等の天然有機色素等が挙げられ、これらの着色顔料の複合体、これらの着色顔料を硫酸バリウムやタルク等の体質顔料で希釈した混合顔料などが挙げられる。
なお、成分(G)において用いられる金属酸化物は、成分(F)に該当するものは除かれる。
【0033】
これらの着色顔料はそのまま用いることができ、さらに、成分(F)と同様に、疎水化処理して用いることができる。
【0034】
成分(G)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、シミや肌のきめ、毛穴等の肌の欠点をぼかし、目立たなくさせる点から、全組成中に0.01質量%以上であるのが好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましく、35質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。また、成分(G)の含有量は、全組成中に0.01~35質量%が好ましく、0.02~30質量%がより好ましく、0.05~25質量%がさらに好ましい。
また、成分(G)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、シミや肌のきめ、毛穴等の肌の欠点をぼかし、目立たなくさせ、塗布後の肌を磨いたようなつるんとした肌に仕上げる点から、全組成中に0.01質量%以上であるのが好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましく、0.1質量%以上がよりさらに好ましく、2量%以上がことさら好ましく、35質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましく、21質量%以下がよりさらに好ましく、5質量%以下がことさら好ましい。また、成分(G)の含有量は、全組成中に0.01~35質量%が好ましく、0.02~30質量%がより好ましく、0.05~25質量%がさらに好ましく、0.1~21質量%がよりさらに好ましく、2~5質量%がことさら好ましい。
【0035】
本発明の油中水型乳化化粧料は、成分(A)~(D)を含有することにより、高い紫外線防御効果などを得ることができるが、さらに、(G)着色顔料を含有することにより、肌のきめ、毛穴等の肌の欠点をぼかし、目立たなくさせるという効果も得ることができる。このような成分(G)を組成物中に含有することは、シミや肌のきめ、毛穴等の肌の欠点をぼかし、目立たなくさせる点から好ましい一方、成分(G)を含有する分だけ成分(A)や成分(D)の含有量が抑えられ、成分(B)とのバランスがとりにくくなる場合も発生する。本発明では、このような場合、例えば、成分(A)、(C)及び(D)の合計含有量が50質量%以下、更には35質量%以下になるような場合であっても、各成分のバランスを良好に保ったまま、本発明の効果を十分に発揮した上で、更に肌の欠点を目立たなくさせる効果をも実現することができる点で好ましい。
【0036】
本発明の油中水型乳化化粧料は、成分(F)及び(G)を含有することにより、メイクアップ化粧料とすることができ、紫外線防御効果が高く、使用感が良好で、メイク効果にも優れたメイクアップ化粧料を得ることができる。この場合、特に、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー等として好適である。また、成分(F)及び(G)は、肌への密着性を上げ、化粧持続性を向上させる観点から、疎水化処理されたものであるのが好ましい。
【0037】
本発明の油中水型乳化化粧料は、さらに、油性ゲル化剤を含有することができ、より高い紫外線防御効果を得ることができる。
かかる油性ゲル化剤としては、通常の化粧料に用いられるもので、油相を増粘できるものであればいずれでも良い。
油性ゲル化剤としては、例えば、有機変性粘土鉱物、架橋型オルガノポリシロキサン、デキストリン脂肪酸エステル、金属石鹸、ショ糖脂肪酸エステル、25℃で固体の油性成分(ワックス)等が挙げられる。
【0038】
有機変性粘土鉱物としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されずに用いることができる。例えば、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム等の層状粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理して得られるカチオン変性粘土鉱物が好ましい。
ここで、第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、下記式(1):
【0039】
【化1】
【0040】
(式中、R1は炭素原子数10~22のアルキル基又はベンジル基を示し、R2はメチル基又は炭素原子数10~22のアルキル基を示し、R3及びR4は炭素原子数1~3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、Xはハロゲン原子又はメチルサルフェート残基を示す)
で表されるものである。
【0041】
具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、セチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、セチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルミリスチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルベヘニルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルステアリルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジベヘニルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、及び上記各化合物のクロリドに代えてブロミド化合物としたもの等、さらにジパルミチルプロピルエチルアンモニウムメチルサルフェート等が挙げられる。
なかでも、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリドが好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリドがより好ましい。
【0042】
層状粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理して得られるカチオン変性粘土鉱物としては、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト等が好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライトがより好ましい。また、市販品としては、ベントン38、ベントン38VCG、ベントン27(以上、エレメンティスジャパン社製)等が挙げられる。
【0043】
有機変性粘土鉱物は、作業性向上の点、油の増粘効果に優れる点から、溶媒によって希釈された分散液として用いることもできる。
具体的には、有機変性粘土鉱物を予め溶媒に分散させたプレミックスゲルを用いることが好ましい。溶媒としては、有機変性粘土鉱物によって増粘可能であれば制限されないが、油の増粘効果の点から、オクチルドデカノール、ミネラルオイル、揮発性シリコーン油等が好ましい。
プレミックスゲル中の有機変性粘土鉱物の含有量は、作業性向上の点、油の増粘効果、及び増粘した油性ゲル自体の油分離を抑制する点から、5~25質量%が好ましく、10~20質量%がより好ましく、10~18質量%がさらに好ましい。
プレミックスゲルとしては、カチオン変性粘土鉱物を10質量%含有するベントンゲルEUGV、ベントンゲルMIOV、18質量%含有するベントンゲルVS-5 PCV、15質量%含有するベントンゲル PTM(以上、エレメンティスジャパン社製)等の市販品を用いることができる。
【0044】
架橋型オルガノポリシロキサンとしては、架橋型ジメチルポリシロキサン、架橋型アルキルポリシロキサンが挙げられ、さらに、架橋型ポリエーテル変性シリコーンを用いることもできる。
【0045】
架橋型ジメチルポリシロキサンは、シロキサン骨格を三次元架橋させた架橋構造を有する重合物であり、架橋型アルキルポリシロキサンは、さらに、炭素数6~20のアルキル基を有するものである。
これらのうち、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマー、セテアリルジメチコンクロスポリマーが好ましい。
これらは、固体状のまま使用しても良く、液状油と均一に混合したものを使用しても良い。なかでも、化粧料中への分散性、作業性の点から、液状油によって希釈された分散液として用いるのが好ましく、シリコーン油、炭化水素油、エステル油を用いるのが好ましく、シリコーン油、炭化水素油を用いるのがより好ましく、ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、流動パラフィン、軽質イソパラフィンを用いるのがさらに好ましい。
【0046】
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとしては、デカメチルシクロペンタシロキサンとの混合物であるKSG-15、低粘度ジメチルポリシロキサンとの混合物であるKSG-16(以上、信越化学工業社製)などの市販品を用いることができる。
(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマーとしては、メチルフェニルポリシロキサンとの混合物であるKSG-18(信越化学工業社製)などの市販品を用いることができる。
また、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーとしては、流動パラフィンとの混合物であるKSG-41、軽質イソパラフィンとの混合物であるKSG-42、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリルとの混合物であるKSG-43、スクワランとの混合物であるKSG-44(以上、信越化学工業社製)などの市販品を用いることができる。
さらに、アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマーとしては、シクロペンタシロキサンとの混合物であるVelvesil 125(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などの市販品を用いることができる。
また、セテアリルジメチコンクロスポリマーとしては、ジメチコンの混合物であるVelvesil DM(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などの市販品を用いることができる。
【0047】
さらに、架橋型ポリエーテル変性シリコーンとしては、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG-10/ラウリルジメチコン)クロスポリマーが好ましい。
架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、化粧料中への分散性、作業性の点から、液状油によって希釈された分散液として用いるのが好ましく、シリコーン油、炭化水素油、エステル油を用いるのがより好ましく、シリコーン油、炭化水素油を用いるのがよりさらに好ましい。
さらに、揮発性炭化水素油に希釈又は分散されたものが好ましく、揮発性炭化水素油としては、イソドデカンがより好ましい。
【0048】
架橋型ポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、KSG-210、KSG-240(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー);KSG-310、KSG-320、KSG-330((PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー);KSG-340((PEG-10/ラウリルジメチコン)クロスポリマー及び(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー)(以上、信越化学工業社製)等の市販品を用いることができる。
【0049】
デキストリン脂肪酸エステルは、脂肪酸とデキストリンのエステルであり、脂肪酸の炭素数は8~24であることが好ましく、より好ましくは炭素数が14~18であり、脂肪酸は直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和脂肪酸であり、また、平均重合度は10~50であることが好ましく、20~30がより好ましい。
具体的には、パルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、パルミチン酸/ステアリン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン等が挙げられる。
これらの市販品としては、千葉製粉社製のパルミチン酸デキストリン(レオパール KL2、レオパール KS2、レオパール TL2)、パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸デキストリン(レオパール TT2)、ミリスチン酸デキストリン(レオパール MKL2)等が挙げられる。
【0050】
25℃で固体の油性成分としては、例えば、カルナウバロウ(融点:80~86℃)、ミツロウ(融点:64℃)、キャンデリラロウ(融点:68~72℃)、コメヌカロウ(融点70~83℃)、ジョジョバロウ(融点:55℃)、モクロウ(融点:55℃)、ホホバ脂(融点46~54℃)、ラノリン(融点37~43℃)等のロウ;水添ホホバ油(融点:68℃)、イソステアリン酸硬化ヒマシ油(融点:45℃)、硬化ヒマシ油(融点:84℃)、水添パーム油(融点:65℃)、硬化ヤシ油(融点:70℃)、パルミチン酸セチル(融点50℃)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル(融点:66℃)、ベヘン酸グリセリル、トリステアリン、トリベヘニン、シア脂(融点36~45℃)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)(融点38℃)、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリル(融点40℃)、オレイン酸フィトステリル、マカダミアナッツ脂肪酸フィトステリル等のエステル油;バチルアルコール(融点:60~70℃)、キミルアルコール(融点60.5~61.5℃)等のエーテル油;ステアリルアルコール(融点58.0℃)、ベヘニルアルコール(融点70.5℃)等の高級アルコールなどが挙げられる。
【0051】
油性ゲル化剤としては、塗膜に適度な粘度と仕上がりの均一感、より一層高い紫外線防御効果を付与する点から、有機変性粘土鉱物、架橋型オルガノポリシロキサン、デキストリン脂肪酸エステル、25℃で固体の油性成分が好ましく、さらに分散安定性を良好にし、保存安定性を向上させる点から、有機変性粘土鉱物、25℃で固体の油性成分がより好ましく、ジステアリルジモニウムヘクトライト、トリベヘニンがさらに好ましい。
また、油性ゲル化剤としては、塗膜に適度な粘度と仕上がりの均一感、より一層高い紫外線防御効果を付与し、塗布後の肌を磨いたようなつるんとした肌に仕上げ、べたつきを低減する点から、有機変性粘土鉱物、架橋型オルガノポリシロキサン、デキストリン脂肪酸エステル、25℃で固体の油性成分から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、有機変性粘土鉱物、架橋型オルガノポリシロキサン、25℃で固体の油性成分から選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、有機変性粘土鉱物、架橋型オルガノポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましい。また、有機変性粘土鉱物、架橋型オルガノポリシロキサンを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0052】
油性ゲル化剤は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、より高い紫外線防御効果を得る点から、全組成中に0.05質量%以上であるのが好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、5質量%以下であるのが好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。また、油性ゲル化剤の含有量は、全組成中に0.05~5質量%であるのが好ましく、0.1~3質量%がより好ましく、0.1~2質量%がさらに好ましい。
また、油性ゲル化剤は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、より高い紫外線防御効果が得られ、塗布後の肌を磨いたようなつるんとした肌に仕上げ、べたつきを低減する点から、全組成中に0.05質量%以上であるのが好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5量%以上がよりさらに好ましく、5質量%以下であるのが好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましく、1.7質量%以下がよりさらに好ましい。また、油性ゲル化剤の含有量は、全組成中に0.05~5質量%であるのが好ましく、0.1~3質量%がより好ましく、0.1~2質量%がさらに好ましく、0.5~1.7質量%がよりさらに好ましい。
【0053】
本発明において、水の含有量は、全組成中に0.1~50質量%が好ましく、1~30質量%がより好ましく、5~20質量%がさらに好ましい。
【0054】
本発明の化粧料は、前記成分以外に、通常化粧料に用いられる成分、例えば、前記以外の油成分、前記以外の粉体、前期以外の界面活性剤、水溶性高分子、酸化防止剤、香料、色素、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、保湿剤、清涼剤等を含有することができる。
【0055】
本発明の油中水型乳化化粧料は、通常の方法に従って製造することができ、液状、乳液液、ペースト状、クリーム状、ジェル状等の剤型にすることができる。
また、本発明の油中水型乳化化粧料は、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー;ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料;スキンケア乳液、スキンケアクリーム、BBクリーム、美容液等のスキンケア化粧料などとして適用することができる。なかでも、紫外線防御化粧料やメイクアップ化粧料が好ましい。また、成分(F)及び(G)を含有するメイクアップ化粧料として好適である。
【0056】
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物を開示する。
【0057】
<1>次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)シリコーン油(成分(C)を除く)、
(B)固体の有機紫外線吸収剤、
(C)炭素数8~28のアルキル基が付加されたシリコーン油 0.2~20質量%、
(D)エステル油
を含有し、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、0.02~15である油中水型乳化化粧料。
【0058】
<2>成分(A)が、好ましくは、直鎖状ジメチルポリシロキサン、分岐状シロキサン、環状ジメチルシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含み、直鎖状ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、環状ジメチルシロキサンを含むのがさらに好ましい、前記<1>記載の油中水型乳化化粧料。
<3>成分(A)が、好ましくは、揮発性シリコーンであって、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン(1cs)、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)、メチルトリメチコンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン(2cs)、メチルトリメチコンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましく、少なくとも、デカメチルシクロペンタシロキサンを含むのがよりさらに好ましい、前記<1>又は<2>記載の油中水型乳化化粧料。
<4>成分(A)の含有量が、好ましくは、全組成中に10質量%以上であって、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、27質量%以上がよりさらに好ましく、55質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましく、34質量%以下がよりさらに好ましい、前記<1>~<3>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0059】
<5>成分(B)が、好ましくは、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾンから選ばれる1種又は2種以上を含み、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、また、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルとビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを組み合わせるのが好ましい、前記<1>~<4>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<6>成分(B)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、0.2質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、1質量%以上がよりさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下がよりさらに好ましく、1.5質量%以下がことさら好ましい、前記<1>~<5>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0060】
<7>成分(C)が、好ましくは、カプリリルメチコン、セチルジメチコン、アルキル(C8-28)ジメチコン、ステアリルジメチコン、ベヘノキシジメチコンであって、カプリリルメチコンがより好ましい、前記<1>~<6>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<8>成分(C)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.2質量%以上であって、0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がよりさらに好ましく、20質量%以下であり、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がよりさらに好ましい、前記<1>~<7>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0061】
<9>成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、好ましくは、0.05以上であって、0.1以上がより好ましく、0.2以上がよりさらに好ましく、5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下がさらに好ましく、1以下がよりさらに好ましい、前記<1>~<8>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<10>成分(A)に対する成分(C)の質量割合(C)/(A)が、好ましくは、0.005以上であって、0.01以上がより好ましく、0.015以上がさらに好ましく、0.045以上がよりさらに好ましく、0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましく、0.2以下がよりさらに好ましい、前記<1>~<9>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0062】
<11>成分(D)が、好ましくは、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリルから選ばれる1種又は2種以上を含み、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリルから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、また、少なくとも、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルを含むのが好ましい、前記<1>~<10>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<12>成分(D)の含有量が、好ましくは、全組成中に1質量%以上であって、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、8質量%以下がよりさらに好ましい、前記<1>~<11>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<13>成分(C)に対する成分(D)の質量割合(D)/(C)が、好ましくは、0.5以上であって、0.7以上がより好ましく、1以上がさらに好ましく、50以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、5以下がよりさらに好ましい、前記<1>~<12>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0063】
<14>(E)シリコーン型界面活性剤の含有量が、5質量%未満であるのが好ましく、4.5質量%以下がより好ましく、4.0質量%以下がさらに好ましく、2質量%以下がよりさらに好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましい、前記<1>~<13>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<15>(E)シリコーン型界面活性剤が、好ましくは、ポリエーテル変性シリコーン型界面活性剤であって、ポリオキシエチレン基又はポリオキシプロピレン基を有するジメチルポリシロキサンがより好ましく、少なくともポリオキシエチレン基を有するジメチルポリシロキサンがさらに好ましい、前記<14>記載の油中水型乳化化粧料。
<16>(E)シリコーン型界面活性剤が、好ましくは、HLB1以上であって、3以上がより好ましく、12以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下がさらに好ましく、6以下がよりさらに好ましい、前記<14>又は<15>記載の油中水型乳化化粧料。
【0064】
<17>さらに、好ましくは、(F)微粒子金属酸化物を含有し、酸化亜鉛、酸化チタンがより好ましい、前記<1>~<16>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<18>成分(F)が、好ましくは、疎水化処理されたものである、前記<17>記載の油中水型乳化化粧料。
<19>成分(F)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、0.2質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい、前記<17>又は<18>記載の油中水型乳化化粧料。
【0065】
<20>さらに、好ましくは、(G)着色顔料を含有する、前記<1>~<19>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<21>成分(G)が、好ましくは、疎水化処理されたものである、前記<20>記載の油中水型乳化化粧料。
<22>成分(G)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.01質量%以上であるのが好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましく、0.1質量%以上がよりさらに好ましく、2量%以上がことさら好ましく、35質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましく、21質量%以下がよりさらに好ましく、5質量%以下がことさら好ましい、前記<20>又は<21>記載の油中水型乳化化粧料。
【0066】
<23>(F)微粒子金属酸化物及び(G)着色顔料を含有する、前記<1>~<22>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<24>成分(F)及び成分(G)が、疎水化処理されたものである、前記<23>記載の油中水型乳化化粧料。
【0067】
<25>さらに、好ましくは、油性ゲル化剤を含有する、前記<1>~<24>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<26>油性ゲル化剤が、好ましくは、有機変性粘土鉱物、架橋型オルガノポリシロキサン、デキストリン脂肪酸エステル、金属石鹸、ショ糖脂肪酸エステル、25℃で固体の油性成分(ワックス)であって、有機変性粘土鉱物、架橋型オルガノポリシロキサン、デキストリン脂肪酸エステル、25℃で固体の油性成分から選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、有機変性粘土鉱物、架橋型オルガノポリシロキサン、25℃で固体の油性成分から選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましく、有機変性粘土鉱物、架橋型オルガノポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがよりさらに好ましく、また、有機変性粘土鉱物、架橋型オルガノポリシロキサンを組み合わせて用いるのが好ましい、前記<25>記載の油中水型乳化化粧料。
<27>油性ゲル化剤の含有量が、好ましくは、全組成中に0.05質量%以上であって、0.1質量%以上がより好ましく、0.5量%以上がよりさらに好ましく、5質量%以下であるのが好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましく、1.7質量%以下がよりさらに好ましい、前記<25>又は<26>記載の油中水型乳化化粧料。
<28>水の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1~50質量%であって、1~30質量%がより好ましく、5~20質量%がさらに好ましい、前記<1>~<27>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0068】
<29>次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)直鎖状ジメチルポリシロキサン、分岐状シロキサン、環状ジメチルシロキサンから選ばれる1種又は2種以上のシリコーン油(成分(C)を除く)、
(B)固体の有機紫外線吸収剤、
(C)炭素数8~28のアルキル基が付加されたシリコーン油 0.2~20質量%、
(D)エステル油 1~20質量%、
(E)ポリエーテル変性シリコーン型界面活性剤 5質量%未満、
油性ゲル化剤 0.05~3質量%
を含有し、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、0.02~15である油中水型乳化化粧料。
【0069】
<30>次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)直鎖状ジメチルポリシロキサン、分岐状シロキサン、環状ジメチルシロキサンから選ばれる1種又は2種以上のシリコーン油(成分(C)を除く)、
(B)固体の有機紫外線吸収剤、
(C)炭素数8~28のアルキル基が付加されたシリコーン油 0.2~20質量%、
(D)エステル油 1~20質量%、
(E)ポリエーテル変性シリコーン型界面活性剤 5質量%未満、
油性ゲル化剤 0.05~2質量%
を含有し、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、0.02~15である油中水型乳化化粧料。
【0070】
<31>次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)直鎖状ジメチルポリシロキサン、分岐状シロキサン、環状ジメチルシロキサンから選ばれる1種又は2種以上のシリコーン油(成分(C)を除く) 15~50質量%、
(B)固体の有機紫外線吸収剤、
(C)炭素数8~28のアルキル基が付加されたシリコーン油 0.2~20質量%、
(D)エステル油 1~20質量%、
(E)ポリエーテル変性シリコーン型界面活性剤 5質量%未満、
油性ゲル化剤 0.05~2質量%
を含有し、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、0.02~15である油中水型乳化化粧料。
【0071】
<32>次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)直鎖状ジメチルポリシロキサン、分岐状シロキサン、環状ジメチルシロキサンから選ばれる1種又は2種以上のシリコーン油(成分(C)を除く) 15~50質量%、
(B)固体の有機紫外線吸収剤、
(C)炭素数8~28のアルキル基が付加されたシリコーン油 0.2~20質量%、
(D)エステル油 1~20質量%、
(E)ポリエーテル変性シリコーン型界面活性剤 0.1質量%以上5質量%未満、
油性ゲル化剤 0.05~2質量%
を含有し、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、0.02~15である油中水型乳化化粧料。
【0072】
<33>次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)直鎖状ジメチルポリシロキサン、分岐状シロキサン、環状ジメチルシロキサンから選ばれる1種又は2種以上のシリコーン油(成分(C)を除く) 15~50質量%、
(B)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾンから選ばれる1種又は2種以上を含む固体の有機紫外線吸収剤、
(C)炭素数8~28のアルキル基が付加されたシリコーン油 0.2~20質量%、
(D)エステル油 1~20質量%、
(E)ポリエーテル変性シリコーン型界面活性剤 0.1質量%以上5質量%未満、
有機変性粘土鉱物、架橋型オルガノポリシロキサン、デキストリン脂肪酸エステル、25℃で固体の油性成分から選ばれる1種又は2種以上を含む油性ゲル化剤 0.05~2質量%
を含有し、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、0.02~15である油中水型乳化化粧料。
【実施例
【0073】
実施例1~18及び比較例1~3
表1~表3に示す組成の油中水型乳化化粧料を、常法により製造し、SPF値を測定するとともに、仕上がりの化粧持続性、仕上がりの均一性、べたつきのなさ、つるんとした肌の仕上がりを評価した。結果を表1に併せて示す。
【0074】
(評価方法)
(1)SPF値:
PMMA板上に、各化粧料を1.4mg/cm2 になるように1分間均一に塗布し、冷暗所で15分乾燥させた。試料乾燥後、SPFアナライザー(UV2000S, 米国Labsphere製)にて、正方形のPMMA板上の中点、各頂点、各頂点を結んだ辺の中点の計9箇所の吸収スペクトル(波長350nm)の透過率(%)を測定し、9箇所の平均を求めた。その透過率(%)から、SPF値(-)を求めた。
【0075】
(2)仕上がりの化粧持続性:
専門パネラー3名により、洗顔、整肌後、全顔に各化粧料を塗布し、それぞれの化粧の持続性に対して目視評価を行った。基準を5段階に分け、6時間化粧の仕上がりに変化がない場合を5、2時間内に変化がある場合を1として評価した。結果は、パネラー3名のスコアの合計値を示した。
【0076】
(3)仕上がりの均一性:
専門パネラー3名により、洗顔、整肌後、全顔に各化粧料を塗布し、それぞれの仕上がりの均一性に対して目視評価を行った。基準を5段階に分け、顔の局所的な部位による塗りむらがない場合を5、毛穴落ちや塗りむらができやすく、塗膜にばらつきがある場合を1とした。結果は、パネラー3名のスコアの合計値を示した。
【0077】
(4)べたつきのなさ:
専門パネラー3名により、洗顔、整肌後、全顔に各化粧料を塗布し、仕上がった塗膜のべたつきに対して官能評価を行った。基準を5段階に分け、仕上がった肌にべたつきを感じない場合を5、仕上がった肌に油分等での不快なべたつきを感じる場合を1とした。結果は、パネラー3名のスコアの合計値を示した。
【0078】
(5)つるんとした肌の仕上がり:
専門パネラー3名により、洗顔、整肌後、全顔に各化粧料を塗布し、仕上がった印象について官能評価を行った。基準を5段階に分け、つるんとした仕上がりを感じる場合を5、感じない場合を1とした。結果は、パネラー3名のスコアの合計値を示した。
なお、磨いたようなつるんとした肌とは、油中水型乳化化粧料を塗布することにより、未塗布の状態の肌と比べ、肌が、平面ではなく、立体的にふっくらと丸みを帯びて見え、毛穴や細かい肌の凹凸が目立たない状態のことを示す。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
なお、実施例で使用した成分の商品名等は、以下のとおりである。
*1:ユビナール A PLUS GRANULAR(BASF社製)
*2:TINOSORB S(BASF社製)
*3:BENTONE GEL PTM(エレメンティスジャパン社製):15質量%純分、85質量%フェニルトリメチコン
*4:KSG-210(信越化学工業社製):24質量%純分、76質量%メチルトリメチコン(KSG-210中のメチルトリメチコンは、成分(A)の含有量に含めた)
*5:シンクロワックス HR-C(クローダ社製)
*6:レオパールKL2(千葉製粉社製)
*7:SA/NAI-TR-10 MIBRID COLOR POWDER(三好化成社製)
*8:SA/NAI-R-10 MIBRID COLOR POWDER(三好化成社製)
*9:SA/NAI-Y-10 MIBRID COLOR POWDER(三好化成社製)
*10:SA/NAI-B-10 MIBRID COLOR POWDER(三好化成社製)
*11:トスパール 145A(モメンティブ社製)
*12:SA処理微粒子酸化チタンD5分散体(1次粒子径 10-90nm)中のD5は、デカメチルシクロペンタシロキサンを示し、D5は、成分(A)の含有量に含めた。
*13:オクチルシリル化超微粒子酸化亜鉛分散液(45質量%デカメチルシクロペンタシロキサンスラリー液)中のデカメチルシクロペンタシロキサンは、成分(A)の含有量に含めた。
【0083】
処方例1
表4に示す組成の油中水型乳化化粧料を常法により製造した。
得られた油中水型乳化化粧料は、SPF値が50であり、仕上がりの化粧持続性に優れ、仕上がりが均一で、べたつきがなく、つるんとした肌の仕上がりが得られる。
【0084】
【表4】