(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】ウエブの巻き出し装置のスプライス装置
(51)【国際特許分類】
B65H 19/20 20060101AFI20241118BHJP
B65H 19/18 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
B65H19/20
B65H19/18
(21)【出願番号】P 2020176969
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000240341
【氏名又は名称】株式会社ヒラノテクシード
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花房 将
(72)【発明者】
【氏名】村中 祐介
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-220668(JP,A)
【文献】特開2012-076153(JP,A)
【文献】特開2009-143706(JP,A)
【文献】特開昭57-141344(JP,A)
【文献】特開平09-030698(JP,A)
【文献】特開平08-108365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/00-19/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のアームの間にウエブを巻いた2個の巻き出しロールが回転自在に取り付けられ、この2個のうちウエブの巻き出しが終了間近の旧巻き出しロールから、ウエブが満巻に巻かれた新巻き出しロールに、前記アームを回転させてウエブを巻き出しながら交換するウエブの巻き出し装置のスプライス装置において、
左右方向に配された回転軸を中心に回転可能な左右一対のスプライス腕と、
左右一対の前記スプライス腕の先端に回転自在に設けられ、前記旧巻き出しロールからの旧ウエブを外部に案内するガイドロールと、
前記回転軸と前記ガイドロールの間にある左右一対の前記スプライス腕に回転自在に設けられ、前記新巻き出しロールに巻かれている新ウエブに設けられた接着部材に、前記ガイドロールによって外部に案内されている前記旧ウエブを押圧する押圧ロールと、
前記ガイドロールと前記押圧ロールの間にある左右一対の前記スプライス腕において、左右方向に架設された梁部材と、
前記梁部材における前記ガイドロールと前記押圧ロールに案内される前記旧ウエブ側に設けられたものであって、前記ガイドロールから前記押圧ロールに案内される前記旧ウエブと前記新ウエブとを接続した後に、前記旧ウエブの幅方向に走行しながら前記旧ウエブを切断するカッターを有する走行部と、
前記走行部に取り付けられ、前記ガイドロールと前記押圧ロールの間において前記カッターと共に前記旧ウエブの幅方向に走行しながら、前記ガイドロールから前記押圧ロールに案内される前記旧ウエブの切断端部へ空気を吹き付け、前記切断端部を前記新巻き出しロールに巻かれた前記新ウエブの外周面とは離れた位置に吹き飛ばすノズルと、
を有し、
前記ノズルの基部には、フレキシブル性と伸縮性を有するホースの一端が取り付けられ、
前記押圧ロールが前記旧ウエブを押圧している状態において左右一対の前記スプライス腕より上方で、かつ、前記回転軸から前記スプライス腕の延びる方向において前記押圧ロールよりも前記回転軸側に設けられたものであって、前記ウエブの幅方向の中央部に基点部材が設けられ、
前記ホースの他端が前記基点部材に接続され、
前記基点部材が空気配管を介して空気を送る供給手段と接続され、
前記ホースの前記一端は、前記基点部材を中心に前記ウエブの幅方向に沿って移動する、
ウエブの巻き出し装置のスプライス装置。
【請求項2】
前記ノズルは、前記走行部の移動方向に関して前記カッターの後方に設けられ、前記カッターが切断した前記旧ウエブの前記切断端部に空気を吹き付ける、
請求項1記載のウエブの巻き出し装置のスプライス装置。
【請求項3】
前記ノズルは、前記旧ウエブの移動方向に関して前記カッターの後方に設けられ、前記カッターが切断した前記旧ウエブの前記切断端部に空気を吹き付ける、
請求項1記載のウエブの巻き出し装置のスプライス装置。
【請求項4】
前記ノズルの空気の吹き出し方向は、前記カッターの移動方向と直交し、かつ、切断位置において前記旧ウエブの移動方向と直交している、
請求項1記載のウエブの巻き出し装置のスプライス装置。
【請求項5】
前記ノズルの空気の吹き出し方向は、前記カッターの移動方向と直交し、かつ、切断位置において前記旧ウエブと直交している、
請求項1記載のウエブの巻き出し装置のスプライス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエブの巻き出し装置のスプライス装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フィルム、紙、布帛、金属箔などのウエブを連続的に巻出す巻き出し装置がある(例えば、特許文献1参照)。この巻き出し装置は、搬送ラインを停止させずに、巻出されてウエブが残り少なくなった巻き出し終了間近の巻き出しロール(以下、「旧巻き出しロール」という)から、満巻にウエブが巻かれた新しい巻き出しロール(以下、「新巻き出しロール」という)に交換可能であり、この巻き出し装置に設けられたスプライス装置は、旧巻き出しロールから巻き出された旧ウエブと、新巻き出しロールから巻き出される新ウエブを重ね継ぐスプライス作業を行う。
【0003】
従来、スプライス装置において、旧ウエブと新ウエブを貼り合わせた後に、カッターで旧ウエブを幅方向に切断し、この旧ウエブの切断端部が、新巻き出しロールの外周面に静電気で貼り付く場合があった。
【0004】
そのため本出願人は先に、カッターで旧ウエブを切断しながら、ウエブの一側部外方にある1個のノズルから空気を吹き出して、旧ウエブの切断端部が新ウエブに貼り付くことを防止するスプライス装置を提案した(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-180853号公報
【文献】特許第5085301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記スプライス装置において、1個のノズルがウエブの一側部外方から空気を吹き出すため、幅方向の広いウエブにおいては、ノズルと反対側における切断端部にノズルから空気が当たらず、新巻き出しロールの外周面に静電気で貼り付くことがあるという問題点があった。
【0007】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、狭い幅のウエブであっても、広い幅のウエブであっても切断時に確実に新巻き出しロールの外周面に貼り付かないウエブの巻き出し装置のスプライス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、左右一対のアームの間にウエブを巻いた2個の巻き出しロールが回転自在に取り付けられ、この2個のうちウエブの巻き出しが終了間近の旧巻き出しロールから、ウエブが満巻に巻かれた新巻き出しロールに、前記アームを回転させてウエブを巻き出しながら交換するウエブの巻き出し装置のスプライス装置において、左右方向に配された回転軸を中心に回転可能な左右一対のスプライス腕と、左右一対の前記スプライス腕の先端に回転自在に設けられ、前記旧巻き出しロールからの旧ウエブを外部に案内するガイドロールと、前記回転軸と前記ガイドロールの間にある左右一対の前記スプライス腕に回転自在に設けられ、前記新巻き出しロールに巻かれている新ウエブに設けられた接着部材に、前記ガイドロールによって外部に案内されている前記旧ウエブを押圧する押圧ロールと、前記押圧ロールと前記ガイドロールの間にある左右一対の前記スプライス腕において、左右方向に架設された梁部材と、前記梁部材における前記ガイドロールと前記押圧ロールに案内される前記旧ウエブ側に設けられたものであって、前記ガイドロールから前記押圧ロールに案内される前記旧ウエブと前記新ウエブとを接続した後に、前記旧ウエブの幅方向に走行しながら前記旧ウエブを切断するカッターを有する走行部と、前記走行部に取り付けられ、前記ガイドロールと前記押圧ロールの間において前記カッターと共に前記旧ウエブの幅方向に走行しながら、前記ガイドロールから前記押圧ロールに案内される前記旧ウエブの切断端部へ空気を吹き付け、前記切断端部を前記新巻き出しロールに巻かれた前記新ウエブの外周面とは離れた位置に吹き飛ばすノズルと、を有し、前記ノズルの基部には、フレキシブル性と伸縮性を有するホースの一端が取り付けられ、前記押圧ロールが前記旧ウエブを押圧している状態において左右一対の前記スプライス腕より上方で、かつ、前記回転軸から前記スプライス腕の延びる方向において前記押圧ロールよりも前記回転軸側に設けられたものであって、前記ウエブの幅方向の中央部に基点部材が設けられ、前記ホースの他端が前記基点部材に接続され、前記基点部材が空気配管を介して空気を送る供給手段と接続され、前記ホースの前記一端は、前記基点部材を中心に前記ウエブの幅方向に沿って移動する、ウエブの巻き出し装置のスプライス装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、走行部と共に旧ウエブの幅方向にノズルが走行しながら、ノズルから空気を吹き付けることにより、旧ウエブの幅方向における一端から他端まで空気が全て当たり、旧ウエブの切断端部が新ウエブに貼り付くことがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態の巻き出し装置の正面図である。
【
図9】スプライス装置の斜視図であり、押圧ロールとガイドロールを省略した図である。
【
図10】押圧ロールで旧ウエブを新ウエブにニップしようとしている状態のスプライス装置の側面図である。
【
図11】ウエブを切断しようとしている状態のスプライス装置の正面図である。
【
図13】ノズルで空気を吹き付けながらカッターでウエブを切断している状態のスプライス装置の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態の長尺状のウエブWの巻き出し装置100とスプライス装置20について
図1~
図13を参照して説明する。ウエブWは、長尺状のフィルム、紙、布帛、金属箔などである。
【0012】
(1)巻き出し装置100の構造
スプライス装置20を有する巻き出し装置100について
図1及び
図3に基づいて説明する。
【0013】
図1は巻き出し装置100の正面図であり、
図3は側面図である。巻き出し装置100の基台1から左右一対の支持脚3,3が立設し、これら左右一対の支持脚3,3には、回転支持軸2が回転自在に架設されている。
【0014】
回転支持軸2からは、左右一対のアーム4,4と左右一対のアーム6,6が、180°離れて突出している。左右一対のアーム4,4には、ウエブWを巻回する巻き出しロールが回動自在に取り付けられている。以下、このアーム(以下、「旧アーム」という)4,4に取り付けられている巻き出しロールを「旧巻き出しロール」8という。また、左右一対のアーム(以下、「新アーム」という)6,6にも、回動自在に巻き出しロール10が取り付けられている。以下、この左右一対のアーム6,6に取り付けられている巻き出しロール10を「新巻き出しロール」10という。
【0015】
旧巻き出しロール8、新巻き出しロール10は、その回転軸にウエブWを巻回するボビンが取り付けられたものである。そして、以下の説明では、旧巻き出しロール8に巻かれている旧ウエブ(以下、「旧ウエブ」という)Wが残り少なくなった場合に、満巻の新巻き出しロール10から新しいウエブ(以下、「新ウエブ」という)Wを引き出すものとする。そして、新巻き出しロール10の新ウエブWの先端には、両面接着テープ22が幅方向に取り付けられ、旧ウエブWと接続可能となっている。
【0016】
左右一対の旧アーム4,4と新アーム6,6との間には、左右一対の補助アーム13,13と左右一対の補助アーム15,15が回転支持軸2から突出している。左右一対の補助アーム13,13には、補助ロール12が回動自在に取り付けられ、左右一対の補助アーム15,15には、補助ロール14が回動自在に取り付けられている。そして、4組の旧アーム4,4、補助アーム13,13、新アーム6,6、補助アーム15,15はそれぞれ、90°毎に回転支持軸2から突出している。
【0017】
図1に示すように、一方の支持脚3には、回転支持軸2を回転させるためのモータ(以下、「主モータ」という)7が取り付けられている。この主モータ7としては、例えば、ACサーボモータである。
【0018】
図1に示すように、旧巻き出しロール8は、支持脚3に設けられたモータ(以下、「旧モータ」という)9からチェーンなどで動力を伝達されて回転する。旧モータ9としては、例えば、ACサーボモータである。
【0019】
図1に示すように、新巻き出しロール10は、支持脚3に設けられたモータ(以下、「新モータ」という)11からチェーンなどで動力を伝達されて回転する。新モータ11としては、例えば、ACサーボモータである。
【0020】
図3に示すように、旧巻き出しロール8の後方には、旧ウエブWと新ウエブWを重ね継ぐためのスプライス装置20が設けられている。スプライス装置20については後から詳しく説明する。
【0021】
(2)スプライス装置20
次に、ウエブWのスプライス装置20の構造について
図9~
図13を参照して説明する。
【0022】
左右一対のスプライス腕26,26は、左右一対の支持脚3,3の側方にある不図示のフレームに設けられた回転軸28を中心に回転可能であり、左右一対のスプライス腕26,26の先端が、新巻き出しロール10に巻かれている新ウエブWの外周面に近づいたり、離れたりすることができる。左右一対のスプライス腕26,26は、不図示のフレームに取り付けられている腕用エアシリンダで回転軸28を中心に回転させる(
図2参照)。
【0023】
左右一対のスプライス腕26,26の先端には、ガイドロール16が左右一対の軸受け32を用いて回転自在に取り付けられている。
【0024】
ガイドロール16と回転軸28との間にある左右一対のスプライス腕26,26には、押圧ロール24が回転自在に取り付けられている。この押圧ロール24は、左右一対のクランク部材34を介して、左右一対のスプライス腕26,26の内側に取り付けられたエアシリンダ36,36にそれぞれ接続されている。そして左右一対のエアシリンダ36,36をそれぞれ動作させることにより、左右一対のクランク部材34,34に取り付けられた押圧ロール24が、新巻き出しロール10に巻かれた新ウエブWの外周面に旧ウエブWをニップできる。
【0025】
押圧ロール24とガイドロール16との間には、カッター駆動装置30が左右方向(ウエブWの幅方向)に取り付けられている。このカッター駆動装置30について説明する。カッター駆動装置30は、左右一対のスプライス腕26,26の間に架設された梁部材38を有する。この梁部材38の下面には、直方体のエアスライドシリンダよりなる移動装置40が取り付けられている。この移動装置40の下面には、移動装置40のピストンと共に移動する走行部42が設けられている。この走行部42は、その下面に板状のカッター取り付け部44が設けられ、カッター取り付け部44には、ウエブWを切断する平行四辺形のカッター18が取り付けられている。このカッター18の下端は、カッター取り付け部44の下面より突出している。
【0026】
移動装置40の一端部には待機部材48が取り付けられている。この待機部材48は、移動装置40の一端面から下方に支持部材50が延び、この支持部材50の下端部から内側に向かって、かつ、水平に断面L字型に屈曲された待機板52が取り付けられている。そして、走行部42が旧ウエブWを切断する前の待機位置にあるときには、カッター18が、この待機板52の上方に位置し、カッター18の刃が露出しない。
【0027】
移動装置40の他端部の下面には、走行部42が停止する位置を決定し、かつ、停止時のショックを和らげるためのダンパ54が取り付けられている。
【0028】
走行部42には、旧ウエブWに空気を吹き出すノズル56が取り付けられている。このノズル56は、吹き出し口58が、走行部42の移動方向に関してカッター18の後方に配置され、かつ、ウエブWの移動方向に関して、カッター18よりも後方に位置している。このノズル56は、第1管部60と、第2管部62と第3管部64が連続して設けられたものであり、第1管部60はカッター18の延びる方向と平行に配され、その下端に吹き出し口58を有する部材であって、空気の吹き出し方向は、カッター18の移動方向と直交し、かつ、切断位置において旧ウエブWの移動方向と直交している。第2管部62は、第1管部60の上端から走行部42の前方に延びる部材である。第3管部64は、前方に延びた第2管部62の前端部から上方に延びる部材である。そして、第1管部60、第2管部62、第3管部64はほぼS字状に形成されている。
【0029】
ノズル56の基部である第3管部64の上端部には、蛇腹状のホース66の一端が取り付けられている。このホース66は、フレキシブル性を有して曲がりやすく、かつ、蛇腹状であるため長さ方向に伸縮自在である。このホース66の他端は、左右一対のスプライス腕26,26の上方で、かつ、押圧ロール24よりも回転軸28側に設けられた基点部材68に固定されている。この基点部材68には、空気配管70の一端が取り付けられ、この空気配管70の他端には空気を供給するコンプレッサ72が接続されている。コンプレッサ72から空気が供給されると空気配管70、基点部材68、ホース66、ノズル56を経て吹き出し口58から空気が吹き出される。
【0030】
走行部42が、移動装置40によって一端から他端に移動した場合には、カッター18と共に、ノズル56が同時に移動し、この場合にホース66が、フレキシブル性と伸縮性を有するため、基点部材68を中心にウエブWの幅方向に沿って移動できる。
【0031】
(3)巻き出し装置100の電気的構成
次に、巻き出し装置100の電気的構成について
図2のブロック図を参照して説明する。
【0032】
マイクロコンピュータよりなる制御部80には、回転支持軸2を回転させる主モータ7、旧巻き出しロール8を回転させる旧モータ9、新巻き出しロール10を回転させる新モータ11、スプライス装置20の腕用エアシリンダ74、移動装置40、コンプレッサ72、ニップ用エアシリンダ36が接続されている。
【0033】
(4)巻き出し装置100の動作の工程
以下、ウエブWの巻き出し装置100のスプライス工程を
図3~
図8に基づいて説明する。
【0034】
(4-1)第1工程
図3に示すように、第1工程において、制御部80は、水平方向に配された左右一対の旧アーム4,4に取り付けられた旧巻き出しロール8を旧モータ9によって回転速度Vで反時計回りの方向で回転させて、旧巻き出しロール8からの旧ウエブWを外部の塗工、加熱などの装置に、不図示のフレームに設けられた搬送ロール5から供給する。この回転速度Vは、旧ウエブWの走行速度(例えば、2~100m/分)に合うように、制御部80が制御している。また、水平方向に配された左右一対の新アーム6,6には、新しい新ウエブWが満巻に巻かれた新巻き出しロール10が取り付けられている。
【0035】
(4-2)第2工程
図4に示すように、第2工程において、制御部80は、旧巻き出しロール8に巻かれている旧ウエブWが残り少なくなり巻き出しが終了間近になると、回転支持軸2を中心に旧アーム4,4と新アーム6,6を時計回りの方向に回転させ、旧巻き出しロール8と新巻き出しロール10の位置を180゜反対の位置に向かって移動させ始める。
【0036】
(4-3)第3工程
図5に示すように、第3工程において、制御部80は、旧アーム4,4と新アーム6,6を時計回りの方向に回転させつつ、旧巻き出しロール8から供給されている旧ウエブWを、補助ロール12、搬送ロール5を介して引き続き供給する。
【0037】
(4-4)第4工程
図6に示すように、第4工程において、制御部80は、旧アーム4,4と新アーム6,6を時計回りの方向に回転させつつ、旧巻き出しロール8から供給されている旧ウエブWに、ガイドロール16と押圧ロール24とカッター18を有したスプライス腕26,26を、回転軸28を中心に回転させて近づけ、押圧ロール24で旧ウエブWを下方に押圧する。また、新巻き出しロール10を新モータ11によって反時計回りの方向に回転速度Vで回転させる。この第4工程については、後から詳しく説明する。
【0038】
(4-5)第5工程
図7に示すように、第5工程において、制御部80は、旧アーム4,4と新アーム6,6を時計回りの方向に回転させつつ、ガイドロール16で、走行している旧ウエブWを押さえつつ、押圧ロール24によって旧ウエブWを、回転している新巻き出しロール10の新ウエブWの両面接着テープ22に押圧(ニップ)して旧ウエブWと新ウエブWを重ね継ぎ、その後にカッター18で旧ウエブWを切断する。切断時間は、1~3秒である。この第5工程については、後から詳しく説明する。
【0039】
(4-6)第6工程
図8に示すように、第6工程において、制御部80は、旧巻き出しロール8と新巻き出しロール10を180゜反対の位置で回転を停止し、回転している新巻き出しロール10から新ウエブWを引き続き供給する。また、旧巻き出しロール8を逆回転させ、旧巻き出しロール8に残った旧ウエブWを全て巻き取る。
【0040】
(5)スプライス装置20の動作状態
次に、上記で説明した第4工程及び第5工程におけるスプライス装置20のスプライスの動作状態についてさらに詳しく説明する。
【0041】
第4工程において、制御部80は、
図6に示すように、回転軸28を中心にスプライス腕26を回転させ、押圧ロール24で旧ウエブWを下方に押圧しつつ、旧ウエブWを新巻き出しロール10の新ウエブWの外周面に近づける。
【0042】
次に、第5工程において、
図7と
図10に示すように、制御部80は、新巻き出しロールに巻かれた新ウエブWの外周面に取り付けられている両面接着テープ22が押圧ロール24の位置に近づいてくると、押圧ロール24をエアシリンダ36で動作させ、旧ウエブWを新ウエブWの両面接着テープ22にニップする。このとき旧ウエブWは押圧ロール24とガイドロール16との間で架け渡された状態で走行している。
【0043】
次に、制御部80は、
図10~
図13に示すように、カッター駆動装置30の移動装置40を用いて、走行部42のカッター18を、押圧ロール24とガイドロール16との間で架け渡された旧ウエブWの一端から他端に移動させる。このとき同時に、コンプレッサ72を用いてノズル56から空気を吹き出す。ノズル56はカッター18と共に空気を吹き出しながら移動し、カッター18で切断された旧ウエブWの切断端部W1を新巻き出しロール10に巻かれた新ウエブWの外周面とは離れた位置に吹き飛ばす。すなわち、ノズル56の吹き出し口58から吹き出された空気は、
図10に示すように旧ウエブWをカッター18で切断された位置から切断端部W1、W2の方向に吹き飛ばしていく。
【0044】
カッター18が旧ウエブWを切断していくと、
図13に示すように、旧ウエブWの切断端部W1は三角形となっている。この理由は、旧ウエブWを走行させながらカッター18を幅方向に走行させるため、切断方向が斜めになるからである。このように切断された旧ウエブWの切断端部W1(W2)は、
図10に示すように新巻き出しロール10に巻かれた新ウエブWの外周面とは離れた位置に垂れ下がる。そして、旧巻き出しロール8を逆回転させ、旧巻き出しロール8に旧ウエブWを全て巻き取る。
【0045】
旧ウエブWの切断が終了した後は、制御部80は、左右一対のスプライス腕26,26を回転軸28を中心に逆回転させ待機位置に戻し、また、カッター18とノズル56を有した走行部42も、ダンパ54がある移動装置40を他端部から、移動装置40の一端部にある待機部材48の位置まで戻す。
【0046】
(6)効果
本実施形態によれば、空気を吹き出すノズル56が、カッター18と共に移動して旧ウエブWの切断端部W1を新巻き出しロール10に巻かれた新ウエブWの外周面とは異なる方向に吹き出すため、狭い幅のウエブWであっても、広い幅のウエブWであっても、旧ウエブの幅方向における一端から他端に至る切断端部W1に空気が全て当たり、新巻き出しロール10の外周面に旧ウエブWの切断端部W1(W2)が貼り付かない。
【0047】
また、ノズル56は、カッター18の移動方向に関してカッター18より後方で、かつ、旧ウエブWの移動方向に関して旧ウエブWの後方に吹き出し口58を有しているため、カッター18で切断された直後の旧ウエブWの切断端部W1を他の部分に触れることなく吹き飛ばすことができる。
【0048】
また、ノズル56が旧ウエブWの幅方向に移動しても、このノズル56は、基点部材68に接続されたホース66に接続されているため、空気を常にコンプレッサ72から供給することができる。特に、ホース66がフレキシブル性を有し、かつ、長さ方向に伸縮自在なため、ノズル56の移動に合わせてホース66が、基点部材68を中心に移動できる。
【変更例】
【0049】
上記実施形態では、走行部42をエアスライドシリンダよりなる移動装置40で走行させたが、これ以外の直動式のアクチュエータ装置などの移動装置を用いてもよい。
【0050】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
W・・・ウエブ、W1・・・切断端部、8・・・旧巻き出しロール、10・・・新巻き出しロール、18・・・カッター、20・・・スプライス装置、22・・・両面接着テープ、24・・・押圧ロール、26・・・スプライス腕、28・・・回転軸、30・・・カッター駆動装置、40・・・移動装置、42・・・走行部、46・・・カッター、56・・・ノズル、58・・・吹き出し口、66・・・ホース、68・・・基点部材、72・・・コンプレッサ、80・・・制御部、100・・・巻き出し装置