IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-プログラム、記憶媒体、情報処理装置 図1
  • 特許-プログラム、記憶媒体、情報処理装置 図2
  • 特許-プログラム、記憶媒体、情報処理装置 図3
  • 特許-プログラム、記憶媒体、情報処理装置 図4
  • 特許-プログラム、記憶媒体、情報処理装置 図5
  • 特許-プログラム、記憶媒体、情報処理装置 図6
  • 特許-プログラム、記憶媒体、情報処理装置 図7
  • 特許-プログラム、記憶媒体、情報処理装置 図8
  • 特許-プログラム、記憶媒体、情報処理装置 図9
  • 特許-プログラム、記憶媒体、情報処理装置 図10
  • 特許-プログラム、記憶媒体、情報処理装置 図11
  • 特許-プログラム、記憶媒体、情報処理装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】プログラム、記憶媒体、情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241118BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241118BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241118BHJP
   G06Q 10/10 20230101ALI20241118BHJP
【FI】
G06F3/12 324
G06F3/12 303
G06F3/12 373
G06F3/12 387
G03G21/00 396
B41J29/38 401
G06Q10/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020188195
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022077369
(43)【公開日】2022-05-23
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】中川 雅司
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-038296(JP,A)
【文献】特開2008-134805(JP,A)
【文献】特開2007-172087(JP,A)
【文献】特開2001-034431(JP,A)
【文献】特開2014-164691(JP,A)
【文献】特開2007-193695(JP,A)
【文献】特開2015-018404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00- 29/70
H04N 1/00
G03G 21/00
G06Q 10/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のプリントキューに登録された印刷ジョブに関する情報を印刷ジョブに関する情報の集計を行う外部のサービスに対して送信するアプリケーションが実行可能な情報処理装置のコンピュータを、
前記情報処理装置に登録済みの論理プリンタを複製し、かつ、プリンタ名を変更することによって、前記所定のプリントキューに印刷ジョブを登録するための論理プリンタを生成する生成手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記生成手段による変更の後のプリンタ名は、前記外部のサービスの管理者により指定された所定のプリンタ名である、ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記所定のプリンタ名は、業務用であることを前記情報処理装置のユーザーが識別可能なプリンタ名である、ことを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記生成手段は、前記情報処理装置に登録済みの複数の論理プリンタのうち、所定のプリンターモデルの論理プリンタもしくは所定のドライバーモジュールを使用する論理プリンタの少なくともどちらかを候補として表示し、当該表示された候補の中から前記情報処理装置のユーザーによって選択された論理プリンタを複製し、かつ、プリンタ名を変更することにより、前記所定のプリントキューに印刷ジョブを登録するための論理プリンタを生成する、ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記所定のプリンターモデルおよび前記所定のドライバーモジュールの少なくともいずれかは、前記外部のサービスの管理者により設定されることを特徴とする請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
情報処理装置に登録済みの論理プリンタを複製し、かつ、プリンタ名を変更することによって、所定のプリントキューに印刷ジョブを登録するための論理プリンタを生成する生成手段と、
前記生成された論理プリンタにより前記所定のプリントキューに登録された印刷ジョブに関する情報を取得する取得手段と、
前記取得した印刷ジョブに関する情報を、印刷ジョブに関する情報の集計を行う外部のサービスに送信する送信手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
前記送信手段は、前記取得手段で前記印刷ジョブに関する情報を取得するたびに、前記印刷ジョブに関する情報を前記外部のサービスに送信することを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記送信手段は、前記印刷ジョブに関する情報を、定期的に、前記外部のサービスに送信することを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置に登録済みの論理プリンタを複製し、かつ、プリンタ名を変更することによって、所定のプリントキューに印刷ジョブを登録するための論理プリンタを生成し、
前記生成された論理プリンタにより前記所定のプリントキューに登録された印刷ジョブに関する情報を取得し、
前記取得した印刷ジョブに関する情報を、印刷ジョブに関する情報の集計を行う外部のサービスに送信する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の印刷ジョブに関する情報(例えば、在宅勤務時に業務として行った印刷に関する情報)を外部のサービスに送信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーが自宅で在宅勤務しているときに文書を印刷する必要が生じた場合、ユーザーは個人所有のプリンターを用いて印刷を行うことがある。このように、業務で利用することが目的の印刷を行った場合は、その印刷に掛かる費用は勤務先が負担すべきである。また、勤務先から貸与されたプリンターを用いてユーザーが文書を印刷する場合、その印刷が業務目的(公用目的)の印刷であるのか私用目的の印刷であるのかを区別できるようにすることが望ましい。
【0003】
特許文献1には、用紙サイズやカラー・モノクロの別や印刷面などの設定を行う印刷設定画面において、私用目的の印刷であるか公用目的の印刷であるかをユーザに選択させるためのボタンを表示することが記載されている。そして、貸与されたプリンターを用い、公用目的で印刷した場合は、印刷費用の算出に必要な利用量ログと印刷画像を示すコンテンツログとを勤務先のログ収集装置に送信し、私用目的で印刷した場合は利用量ログのみを該ログ収集装置に送信する。これにより、公用目的の印刷と、私用目的の印刷とを区別して、印刷費用を精算することが記載されている。また、特許文献1には、別の実施例として、個人所有のプリンターを用いる場合は、公用目的で印刷されたときのみ、利用量ログとコンテンツログとを勤務先のログ収集装置に送信することで、業務で使用した印刷の費用を精算できるようにすることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-049059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、用紙サイズやカラー・モノクロや印刷面などを設定するための印刷設定画面内に、私用目的の印刷か公用目的の印刷かを選択させるためのボタンを表示するようにしたプリンタードライバーを用意する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明のプログラムは、所定のプリントキューに登録された印刷ジョブに関する情報を印刷ジョブに関する情報の集計を行う外部のサービスに対して送信するアプリケーションが実行可能な情報処理装置のコンピュータを、前記情報処理装置に登録済みの論理プリンタを複製し、かつ、プリンタ名を変更することによって、前記所定のプリントキューに印刷ジョブを登録するための論理プリンタを生成する生成手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
業務目的の論理プリンタのプリントキューに生成された印刷ジョブに関する情報を取得して送信するようにし、ユーザが業務目的のプリントキューと私用目的のプリントキューを使い分けることにより、業務目的で行った印刷に関する情報を容易に外部のサービスに送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明におけるシステム構成を示す図である。
図2】本発明におけるクライアント端末のシステム構成例である。
図3】本発明におけるソフトウェア構成例である。
図4】本実施例における印刷処理のシーケンスの説明図である。
図5】本実施例におけるクラウドプリントサービス管理者設定画面の一例である。
図6】本実施例における集計対象プリンターを追加登録する画面の一例である。
図7】本実施例における集計対象プリンターの候補リストを表示してユーザーに選択させるためのセットアップ画面を表示するまでの処理のフローチャートである。
図8】本実施例における集計対象プリンターの選択画面の一例である。
図9】本実施例における集計対象プリンターを作成する処理のフローチャートである。
図10】本実施例における集計対象プリンターの作成が完了したことを通知する画面の一例である。
図11】プリンタ選択画面の例である。
図12】プリンタ選択画面でプリンタ一覧を表示した際の例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の実施例におけるシステム構成を示すブロック図である。クライアント端末103-105は、ネットワーク(インターネット、LAN)を介してクラウドプリントサービス(以下、CPSと呼ぶ)102に接続されている。CPS102は、クラウドコンピューティングにより提供されるクラウドプリントサービスである。CPS102では、印刷ジョブの制御や、印刷ジョブに関する情報(業務用の印刷の枚数など)の集計・精算処理などを提供するものとする。また、クライアント端末103は、LANまたはUSBを介して、画像形成装置(プリンターや複合機)101と通信可能であり、ユーザの操作に応じて印刷指示を行うことができる。クライアント端末103は、生成した印刷ジョブをLANまたはUSBを介して画像形成装置101に送信して印刷指示することもできるし、CPS102を介して画像形成装置101に印刷ジョブを送信することもできるものとする。また、他のユーザやCPSの管理者が利用するクライアント端末104-105もネットワークを介してCPS102に接続されている。画像形成装置101は、クライアント端末103から送信された印刷ジョブを、直接またはCPS102を介して受信し、当該受信した印刷ジョブに基づき印刷処理を実行する。なお、本実施例において、画像形成装置101は、ユーザーの自宅にある個人用のプリンターや複合機を想定しているが、それに限定するものではない。また、本実施例において、CPS102はクラウドコンピューティングにより提供されるものとするが、クラウドに限るものではなく、サーバー装置(クライアント端末とは異なる外部の装置)で、印刷ジョブに関する情報の集計などのサービスが提供されるものであってもよい。
【0010】
図2は、本実施例におけるクライアント端末(情報処理装置)103のシステム構成例である。なお、クライアント端末104,105も同様の構成を有する。クライアント端末103のCPU201は、システムバス207で接続される各デバイスを直接あるいは間接的に制御し、本実施例を実現するためのプログラムを実行する。ROM2021はBIOSが格納してある。RAM2022は、CPU201のワーク領域として利用されたり、本実施例を実現するためのプログラムをロードする為の一次記憶として利用されたりする。ストレージ205には、クライアント端末の基本ソフトウェアであるOS2051や、アプリケーション2053、プリンタードライバー2052が記憶されている。後述する印刷アプリケーション301や印刷レポート管理アプリケーション310は、ソフトウェア構成上、アプリケーション2053に属するものである。なお、プリンタードライバーセットアップツール2054も、ソフトウェア構成上ではアプリケーション2053に属するものだが、説明の都合上、分けて記載する。ストレージ205の具体例としては、HDD(ハードディスクドライブ)、もしくはSSD(ソリッドステートドライブ)などがあるがこれに限定されるものではない。出力I/F204はモニター210などと接続するためのインターフェースである。入力I/F203はキーボード208やマウスなどのポインティングデバイス209などと接続するためのインターフェースである。通信I/F206は、LANやインターネット等のネットワーク300に接続するためのインターフェースである。
【0011】
一般的に、クライアント端末103のユーザが利用したい画像形成装置101を指定してOS2051の印刷システムへの追加指示を行うと、当該画像形成装置101のプリンタドライバがクライアント端末にインストールされて、当該画像形成装置101に対応する論理プリンタ(プリントキュー)がOSの印刷システムに追加登録される。論理プリンタ(プリントキュー)には、使用するプリンタドライバや、画像形成装置101にデータ送信する際に使用するポート名や、画像形成装置101のモデル名などが対応づけられて登録されている。一般の印刷アプリケーションから印刷を行う際は、ユーザが印刷システムに登録されている1乃至複数の論理プリンタ(プリントキュー)の中から所望のプリンタを選択して印刷指示すると、当該選択された論理プリンタに対応づけられている画像形成装置に印刷ジョブが送信されて印刷される。
【0012】
しかしながら、自宅で利用する画像形成装置101の論理プリンタ(プリントキュー)を、クライアント端末の印刷システムに単に追加しただけでは、私用目的の印刷と、業務目的の印刷とを区別することができない。そこで、本実施例では、後述するように、プリンタードライバーセットアップツール2054を実行することにより、印刷システムに登録済みの論理プリンタ(プリントキュー)の情報を利用して、業務用の論理プリンタ(プリントキュー)を新たに追加登録できるようにする。追加登録される業務用の論理プリンタは、使用するプリンタドライバやポート名は登録済みの論理プリンタと同様のものが複製されるが、プリンタ名は業務用であることを識別しやすい名称が新たに付与されるようにする。そして、この業務用の論理プリンタが選択されて印刷指示された場合は、印刷レポート管理アプリケーション310が、当該印刷処理された印刷ジョブに関する情報を印刷レポートとしてCPS102に送信する。CPS102では、受信した印刷レポート(業務用として印刷処理された印刷ジョブに関する情報)を保存し、集計処理や精算処理等を行う。
【0013】
図3は、本実施例におけるソフトウェア構成例を示す図である。クライアント端末103は、印刷アプリケーション301と、OS2051によって提供される印刷システム20511と、印刷システム20511と連動して動作するプリンタードライバ2052と、印刷レポート管理アプリケーション310(以降、印刷レポート管理アプリと呼ぶ)とを含む。
【0014】
また、印刷レポート管理アプリ310は、ネットワークを通じてCPS102と通信可能である。印刷アプリケーション301と印刷システム20511と印刷レポート管理アプリ310は、オペレーティングシステム(以降、OSと表現する)2051上で動作する。印刷アプリケーション301とは、印刷指示可能な一般的なアプリケーションであり、例えば、文書作成アプリケーションや表計算アプリケーションやウェブブラウザなどである。
【0015】
印刷システム20511は、スプール領域306と、プリントプロセッサ307とを含む。プリンタードライバー2052は、GDI(Graphics Device Interface)やXPSなどを使用して、印刷アプリケーションから印刷データを受信して印刷ジョブを生成する。プリンタードライバー2502は、コンフィグモジュール304と、レンダリングモジュール305とを含む。コンフィグモジュール304は、主に印刷設定情報302を編集する機能を有する。印刷設定情報302とは、印刷データから印刷ジョブ308を生成する際に使用する補助情報であり、例えば、両面印刷設定や、カラー印刷設定、用紙のサイズ設定、印刷対象ページ設定、印刷部数設定などの情報が含まれている。さらに、印刷設定情報302には、印刷指示を行ったユーザーに関する情報や、印刷した時刻などの情報が含まれることもある。また、プリンタードライバー2502は、印刷システム20511を介して、印刷アプリケーション301において印刷設定情報302を設定する際に必要となる、画像形成装置101が有する機能に関する情報などを提供する機能も有する。印刷アプリケーション301は、印刷設定画面において印刷設定が完了した後、印刷データ303を、印刷システム20511を介して、プリンタードライバー2052のレンダリングモジュール305に送信する。印刷データ303を受信したレンダリングモジュール305は、画像形成装置101が解釈できるフォーマット(PDL:ページ記述言語)の印刷ジョブに変換する。なお、印刷ジョブ308のフォーマットは、画像形成装置101が解釈できるフォーマットであればよく、PDLに限定するものではない。また、プリンタードライバーは、印刷データを変換する際、コンフィグモジュール304で設定した印刷設定302を印刷ジョブ308に反映する機能も有する。例えば、割り付け印刷と言われる1枚の用紙に2ページを割り付けて印刷する設定の場合、実際の印刷データ303の各ページの画像を約半分の大きさの画像となるように縮小し、2ページ分のデータを1枚に配置する処理を行う。レンダリングモジュール305は、変換後の印刷ジョブ308をスプール領域306に送信する。スプール領域306に印刷ジョブ308を一時的に溜める理由は、画像形成装置101に印刷ジョブ308を直接送信してしまうと画像形成装置101が処理しきれず、場合によっては印刷ジョブ308が消滅してしまう恐れがあるためである。そこで、いったんスプール領域306に印刷ジョブ308を溜めて、画像形成装置101が処理できるタイミングをとりながら印刷ジョブ308を送信している。印刷システム20511は画像形成装置101が次のデータが処理できると判断すると、スプール領域306に溜められた印刷ジョブ308をプリントプロセッサ307に渡す。プリントプロセッサ307は主に印刷ジョブ308全体の管理を行う。なお、プリントプロセッサ307は、印刷ページに「社外秘」や「コピー禁止」などを追加で描画するウォーターマーク機能や印刷ジョブ308の総印刷ページ数を計算する機能を有してもよい。
【0016】
印刷レポート管理アプリ310は、プリンタードライバーで生成された印刷ジョブ308を監視し、どのような印刷が為されたかを示す情報を印刷レポート309としてCPS102に登録するアプリケーションである。印刷レポート管理アプリ310は、印刷レポート制御部3101と、印刷レポートアップロード部3102とを含む。印刷レポート制御部3101は、印刷ジョブが生成された論理プリンタ(プリントキュー)が、印刷レポートの対象(集計対象)であるかを判断し、レポート対象と判断した場合はその印刷ジョブに関する情報に基づき印刷レポート309を作成する。そして、印刷レポートアップロード部3102は、印刷レポート制御部3101で作成した印刷レポート309をCPS102にアップロードする。印刷レポート309には、両面/片面印刷ページ数、カラー/モノクロ印刷ページ数、総印刷枚数、印刷ジョブ名称、印刷したユーザーの名前などの情報が含まれる。印刷レポート309は印刷が行われるたび、もしくは、所定のタイミングで(例えば定期的に)CPS102にアップロードされる。なお、本実施例の印刷レポート管理アプリ310は、クライアント端末103の起動後から常駐し、印刷システム20511のスプール領域306を定期的に参照することによって、どの論理プリンタ(プリントキュー)で印刷ジョブが処理されたかを判断するものとする。ただし、このように印刷レポート管理アプリが定期的にスプール領域を参照するという構成に限るものではない。すなわち、印刷レポート管理アプリ310が、どのプリントキューで印刷ジョブが処理されたか検知できればよく、その手法は問わない。例えば、プリンタードライバーで印刷ジョブ308が生成された際に、印刷システム20511がその旨の通知を印刷レポート管理アプリ310に対して行うような仕組みであってもよい。また、印刷レポート管理アプリ310は、プリントプロセッサ307と連携し、プリントプロセッサ307が印刷ジョブ308を画像形成装置101に送信した際に、その旨の通知を受けるような仕組みであってもよい。
【0017】
図4を用いて本実施例における印刷処理のシーケンスの説明をする。ステップS400において、印刷レポート管理アプリ310は、定期的に、CPS102に対して、集計対象(印刷レポートの送信対象)となる業務用の論理プリンタの情報(プリンタ名など)を問い合わせて取得しておく。集計対象になる業務用の論理プリンタは、CPS102の管理者により予め指定されており、この指定された論理プリンタの情報(プリンタ名など)が取得される。なお、この情報を取得するタイミングは、これに限るものではなく、例えば、後述するように、印刷ジョブがプリンタドライバによって生成されてプリントキューに登録されたことを、印刷レポート管理アプリ310が検知した時点で、CPS102に問い合わせて最新の集計対象プリンタの情報を取得するようにしてもよい。
【0018】
次に、印刷アプリケーション301は、ユーザの操作により印刷メニューが選択された場合(ステップS410)、印刷システム20511に登録済みの論理プリンタの情報を問い合わせて、印刷出力先のプリンタを選択させるためのプリンタ選択画面を表示する(ステップS411)。図11は、プリンタ選択画面1101の例である。プリンタ選択画面1101には、出力先となる論理プリンタをユーザの操作に基づき選択するためのドロップダウンリスト1103と、ドロップダウンリストで現在選択中の論理プリンタに関する詳細な印刷設定を行うための印刷設定画面(不図示)を更に表示させるための選択メニュー1104と、印刷対象の文書のプレビュー1105と、印刷処理を開始させるためのボタン1102等が含まれている。ユーザーが、ドロップダウンリスト1103を選択すると、図12のようにクライアント端末に登録済みのプリンタ(論理プリンタ)の一覧1201がドロップダウン表示される。そして、その一覧から、ユーザーが業務用の論理プリンタ(例えば、「Remote Work」という名称が付与されたプリンタ)を選択した後に印刷指示した場合は、後述するように、その印刷ジョブに関する情報が印刷レポートとしてCPS102に通知されることになる。一方、ユーザが、ドロップダウンリスト1103において、業務用以外の論理プリンタ(例えば、「AAAA TS XXXX Series」という名称のプリンタ)を選択した後に印刷した場合は、印刷レポートとしてCPS102に通知されることはない。したがって、ユーザは、業務目的の印刷か使用目的の印刷かに応じて、ドロップダウンリスト1103から対応する論理プリンタを選択するだけで、印刷レポートを自動送信するか否かを切り替えることができる。なお、本実施例では、印刷アプリケーション301がプリンタ選択画面を表示するものとして説明したが、これに限るものではなく、印刷システム20511がプリンタ選択画面を表示するようにしてもよい。
【0019】
図11のプリンタ選択画面においてプリンタプロパティ表示用の選択メニュー1104がユーザにより指定された場合、印刷システム20511は、対応するプリンタードライバー2052に対して印刷設定画面の表示を指示する(ステップS412)。すると、プリンタードライバー2052のコンフィグモジュール304は印刷設定画面を表示する(ステップS413)。印刷設定画面(プリンタプロパティ画面)は、両面印刷設定や、カラー印刷設定などの詳細な印刷設定を行うための画面である。印刷設定画面で印刷設定の変更完了がユーザにより指定されると、変更後の印刷設定情報302が印刷システム20511に送付される(ステップS414)。
【0020】
図11のプリンタ選択画面において印刷処理開始ボタン1102がユーザにより選択されると、印刷アプリケーション301は、印刷システム20511へ印刷処理の開始を指示する(ステップS415)。印刷処理開始指示を受けた印刷システム20511は、プリンタードライバー2052に印刷データ303と印刷設定情報302とを送信してレンダリング開始指示する(ステップS416)。すると、プリンタードライバー2052のレンダリングモジュール305は、印刷データ303の変換処理(レンダリング処理)を行って印刷ジョブ308を生成する(ステップS417)。こプリンタードライバー2052は、当該生成した印刷ジョブ308を印刷システム20511へ送付し、当該選択された論理プリンタのプリントキューに登録する(ステップS418)。
【0021】
印刷レポート管理アプリ310は、集計対象(レポート対象)の論理プリンタのプリントキューに印刷ジョブが登録されたかどうかを検知する(ステップS419)。検知する方法としては、前述したように、印刷レポート管理アプリ310がスプール領域306を定期的に監視することにより、集計対象の論理プリンタのプリントキューに印刷ジョブが登録されたか検知するようにすればよい。もしくは、印刷レポート管理アプリ310が印刷システム20511にコールバック関数を予め渡しておき、印刷ジョブ308がプリントキューに登録された際に、印刷システム20511がそのコールバック関数を呼び出して、印刷レポート管理アプリ310に通知するようにしてもよい。
【0022】
クライアント端末103の印刷システムが、印刷ジョブ308を画像形成装置101へ送付し印刷処理が完了すると(ステップS420)、印刷レポート管理アプリ310は、その印刷処理結果を取得する(ステップS421)。印刷レポート管理アプリ310は、集計対象の論理プリンタのプリントキューで印刷ジョブを処理した結果を取得した場合、その印刷ジョブに関する情報を印刷レポート309としてCPS102に通知する(ステップS422)。印印刷レポートを受け取ったCPS102は、その印刷レポート309を印刷レポート用記憶領域1022に保存する(ステップS423)。これにより、業務用の論理プリンタがユーザにより選択されて印刷処理が為された場合は、CPS102に印刷レポートが通知されるので、CPS102では、当該印刷レポートに基づいて業務目的の印刷に掛かった費用を精算することができる。
【0023】
次に、集計対象となる論理プリンタ(プリントキュー)をクライアント端末103に作成する際に必要となる処理について説明する。本実施例では、事前に、CPS102の管理者が、集計対象にするプリンタのプリンタ名やプリンターモデルなどを指定しておくものとし、その設定手順を図5および図6を用いて説明する。図5は、CPS102の管理者によって操作可能なクラウドプリントサービス管理者設定画面500である。このクラウドプリントサービス管理者設定画面500は、Webサービスを使用して、CPS102の管理者が利用するクライアント端末のウェブブラウザからアクセスできるものとするが、これに限定されるものではない。クラウドプリントサービス管理者設定画面500には、「印刷レポートの収集を有効にする」チェックボックス501と、「収集するプリンターを限定する」チェックボックス502と、集計対象プリンター名のリスト506とが含まれる。また、追加ボタン503、削除ボタン504、編集ボタン505を操作することで、集計対象プリンター名のリスト506内の集計対象プリンタの追加、削除、編集することができる。CPS102の管理者は、これらのチェックボックス501,502を有効/無効にしたり、集計対象のプリンターを追加、削除することにより、印刷レポート309の対象とするプリンタの管理を行うことができる。
【0024】
図6は、図5の追加ボタン503が押下された場合に表示される、集計対象プリンターの情報を追加登録するための画面を説明する図である。集計対象プリンター追加画面600は、「集計対象のプリンター名」を入力するためのコントロール601と、「複製元プリンターモデル」を指定するためのドロップダウンリスト602と、「ドライバーモジュール名」を入力するためのコントロール603とで構成される。なお、「複製元プリンターモデル」を指定するためのドロップダウンリスト602と、「ドライバーモジュール名」を入力するためのコントロール603は、どちらか一方を択一で入力するようにラジオボタンで選択できるようになっている。「集計対象のプリンター名」を入力するためのコントロール601には、実際にクライアント端末103に論理プリンターを作成する際に使用される集計対象のプリンターのプリンター名を入力する。複製元プリンターモデルのドロップダウンリスト602では、集計対象の論理プリンターを作成する際の複製元になるプリンタードライバーのモデルもしくは製品名称を選択しておく。そうすることにより、クライアント端末103においてプリンタードライバーセットアップツール2054が集計対象の論理プリンターを作成する際に、クライアント端末の印刷システムに登録済みのどの論理プリンタを元にして集計対象の論理プリンターを作成するかを容易に判断することができる。また、ドロップダウンリスト602でプリンタードライバーのモデル名を指定する代わりに、コントロール603でプリンタードライバーモジュール名を指定した場合は、このプリンタードライバーモジュール名を含む論理プリンタを元にして集計対象の論理プリンターを作成する。なお、このプリンタードライバーモジュールとは、図3で説明したレンダリングモジュール305のファイル名を指すものとするが、それに限定されるわけではなく、サポートするプリンターの機種を限定するためのドライバーパッケージに含まれるモジュール名であればよい。昨今、プリンタードライバーのユニバーサル化が進んでおり、異なる機種でも共通のプリンタードライバーモジュールを使用している場合が多い。そこで、プリンタードライバーのモデル名で判断するだけではなく、ドライバーモジュール名でも集計対象の論理プリンターを判断できるようにすることにより、集計対象とするプリンタドライバ全てのモデル名を入力する手間が省けるので、クラウドプリントサービス管理者の作業負担軽減につながる。
【0025】
図7は、クライアント端末103においてプリンタードライバーセットアップツール2054を実行することにより、集計対象の論理プリンタの候補を表示してユーザーに選択させるためのセットアップ画面を表示する処理を説明するフローチャートである。
【0026】
まず、セットアップツール2054は、クライアント端末103の印刷システムに登録済みの論理プリンタ(プリントキュー)のリストを取得する(ステップS701)。次に、当該取得したリスト内の一つのプリンター情報を対象として、そのプリンターモデル名(プリンター機種名)を取得する(ステップS702)。S702で取得したプリンターモデル名が、CPS102から取得した集計対象のプリンターモデルの名称(図6の602で指定した複製元プリンターモデル名)のいずれかと一致しているかどうかを調べる(ステップS703)。一致していると判定した場合(ステップS703でYes)、その論理プリンターを複製対象の候補リストに追加する(ステップS706)。一方、プリンターモデル名が一致しないと判定した場合(ステップS703でNo)は、S702で当該対象としたプリンター情報からドライバーモジュール名を取得する(ステップS704)。そして、当該取得したドライバーモジュール名が、CPS102から取得した「ドライバーモジュール名」の文字列(図6の603で指定した文字列)が含まれているかどうかを判定する(ステップS705)。指定されたドライバーモジュール名の文字列を含むと判定した場合(ステップS705でYes)、その論理プリンターを複製対象の候補リストに追加する(ステップS706)。一方、そのドライバーモジュール名の文字列を含まないと判定した場合(ステップS705でNo)、ステップS707に進み、ステップS701で取得したリスト内の論理プリンタすべてを処理対象としたか判定し、未処理の論理プリンタがあると判定した場合はステップS702に戻って次のプリンタ情報を対象として上述した処理を繰り返す。クライアント端末103の印刷システムに登録済みの論理プリンターを全て調べたら、作成した候補リストをドロップダウンリストにした図8のような集計対象プリンターの選択画面を表示する(ステップS708)。図8の集計対象プリンターの選択画面800は、複製元となる論理プリンターのプリンタ名をドロップダウンリストで表示して、クライアント端末103のユーザーが業務で使用する画像形成装置101の業務用の論理プリンタを作成指示できるようにしている。
【0027】
図9は、集計対象となる画像形成装置の業務用の論理プリンター(業務用のプリントキュー)を作成する処理を示すフローチャートである。この処理はプリンタードライバーセットアップツール2054により実行される。
【0028】
図8の集計対象プリンターの選択画面800において、ドロップダウンリスト801からユーザーにより所望のプリンタが選択された後、OKボタン押下された場合(ステップS901でYes)、当該選択された論理プリンターを複製して集計対象となる論理プリンターを作成する(ステップS902)。そして、当該作成した集計対象の論理プリンターのプリンタ名として、CPS102で事前に定義されているプリンター名(図5の506で指定されたプリンター名)を付与する(ステップS903)。集計対象の論理プリンターが作成されたら、図10のように、当該作成されたプリンター名を通知する作成完了通知画面1000を表示する(ステップS904)。例えば、図8のドロップダウンリスト801で「AAAA TS XXXX Series」というプリンタモデルが選択された場合、当該選択されたプリンタモデルに対応するプリンタ名「Remote Work」を付与した論理プリンターが作成されて、図10のような画面が表示される。このようにして作成された業務用の論理プリンター(集計対象となるプリンター)が、図12のように印刷アプリケーションで印刷する際にドロップダウンリスト1201内に表示され、ユーザーが選択できるようになる。
【0029】
上述したように、本実施例によれば、クライアント端末103に登録済みのプリンタ(個人所有のプリンタのプリントキュー)を元にして、業務用の論理プリンタ(プリントキュー)を容易に作成することができる。そして、ユーザーは在宅勤務時に業務用の印刷を行う必要が生じた場合は、当該業務用の論理プリンタを選択して印刷指示するだけで、業務で必要となった印刷の情報が自動的にCPS102に通知される。
【0030】
さらに、本実施例によれば、特許文献1のように、印刷設定画面内に、私用目的の印刷か公用目的の印刷かを選択させるためのボタンを表示するようにしたプリンタドライバーを新たに用意する必要がなくなる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12