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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】電源装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20241118BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241118BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20241118BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20241118BHJP
   H01G 2/10 20060101ALI20241118BHJP
   H01G 9/12 20060101ALI20241118BHJP
   H01G 17/00 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
H02M3/28 Y
G03G15/00 680
G03G21/16 109
B41J29/00 C
H01G2/10 M
H01G9/12
H01G17/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020193672
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2022082230
(43)【公開日】2022-06-01
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】平林 純
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-220420(JP,A)
【文献】特開2004-157463(JP,A)
【文献】特開平07-086103(JP,A)
【文献】特開2014-003193(JP,A)
【文献】特開2013-105870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次巻線と二次巻線を備え、前記一次巻線に入力された電圧に応じて前記二次巻線に電圧を出力するトランスを有する電源装置において、
前記トランスの一次側回路に設けられ、所定値以上の電圧が印可された場合に開弁して内部の電解液を外部へと噴出させる防爆弁を備える電解コンデンサと、
前記電源装置の熱を放出するためのヒートシンクと、
前記電解コンデンサ及び前記ヒートシンクが設置された基板と、を有し、
前記電解コンデンサは前記防爆弁が設けられた面とは反対側の面が前記基板と向き合うように前記基板に設置され、前記ヒートシンクは前記基板の表面に対して突出する方向にのびた突出部と、前記基板から離れた状態で前記突出部の一部から前記基板の表面に沿ってのびたカバー部と、を含み、
前記カバー部には穴が形成されており、前記防爆弁が設けられた面と垂直な方向から見たとき、前記防爆弁と前記カバー部が重ならないように前記穴が配置され、前記カバー部は前記防爆弁を囲んでおり、
前記ヒートシンクはさらに、前記カバー部の周囲の一部に接続され、前記カバー部に対して内側に傾斜した傾斜部を含むことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記電解コンデンサは直流平滑のために用いられる一次平滑コンデンサであって、
前記電解コンデンサによって平滑化された直流を前記一次巻線に供給するか否かを切り替えるスイッチング素子を有し、
前記スイッチング素子は前記ヒートシンクと接触していることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記スイッチング素子は前記ヒートシンクの前記突出部と接触しており、前記突出部のサイズは少なくとも前記スイッチング素子よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記カバー部は、前記電解コンデンサの前記防爆弁が設けられた面よりも前記基板の表面から離れていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記カバー部は、前記電解コンデンサの前記防爆弁が設けられた面よりも前記基板の表面に近いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電源装置。
の電源装置。
【請求項6】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電源装置と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
鉛直方向にのびた外装カバーを有し、
前記外装カバーと前記電解コンデンサの防爆弁が対向するような向きで前記電源装置が設けられていることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
鉛直方向にのびた外装カバーと、
一次巻線と二次巻線を備え、前記一次巻線に入力された電圧に応じて前記二次巻線に電圧を出力するトランスを有する電源装置であって、
前記トランスの一次側回路に設けられ、所定値以上の電圧が印可された場合に開弁して内部の電解液を外部へと噴出させる防爆弁を備える電解コンデンサと、
前記電源装置の熱を放出するためのヒートシンクと、
前記電解コンデンサ及び前記ヒートシンクが設置された基板と、
を有する電源装置と、
前記電解コンデンサは前記防爆弁が設けられた面とは反対側の面が前記基板と向き合うように前記基板に設置され、前記ヒートシンクは前記基板の表面に対して突出する方向にのびた突出部と、前記基板から離れた状態で前記突出部の一部から前記基板の表面に沿ってのびたカバー部と、を含み、
前記カバー部には穴が形成されており、前記防爆弁が設けられた面と垂直な方向から見たとき、前記防爆弁と前記カバー部が重ならないように前記穴が配置され、前記カバー部は前記防爆弁を囲んでおり、
前記外装カバーと前記電解コンデンサの防爆弁が対向するような向きで前記電源装置が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記電解コンデンサは直流平滑のために用いられる一次平滑コンデンサであって、
前記電解コンデンサによって平滑化された直流を前記一次巻線に供給するか否かを切り替えるスイッチング素子を有し、
前記スイッチング素子は前記ヒートシンクと接触していることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記スイッチング素子は前記ヒートシンクの前記突出部と接触しており、前記突出部のサイズは少なくとも前記スイッチング素子よりも大きいことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記カバー部は、前記電解コンデンサの前記防爆弁が設けられた面よりも前記基板の表面から離れていることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記カバー部は、前記電解コンデンサの前記防爆弁が設けられた面よりも前記基板の表面に近いことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防爆弁を備えた電解コンデンサを有する電源装置及びその電源装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レーザプリンタ等の画像形成装置には、商用交流電源を整流・平滑して直流電源に変換する電源装置が用いられている。直流用の電源装置の一種としてのスイッチング電源装置では、整流・平滑化した直流電源をトランスに入力してスイッチングさせ、所望の出力を得ている。スイッチング電源装置の方式としては、フライバック方式、フォワード方式、電流共振方式等がある。これらのスイッチング電源装置は、入力された交流電源を整流する整流回路及び整流された電流を平滑化する平滑回路を有している。
【0003】
平滑回路には、大容量のキャパシタンスを得るために、電解コンデンサを用いる場合がある。電解コンデンサに過大な電圧が印加されると、コンデンサ内部からガスが発生する。ガスによるコンデンサ内部の圧力上昇を防止するために、電解コンデンサには防爆弁と呼ばれる切れ込みが形成されている。この防爆弁が作動すると、コンデンサ内部から導電性を有する電解液が外部へと噴出する。噴出した電解液が周辺の回路に付着すると回路がその影響を受けることがある。具体的には、電解液が一次側の回路に付着することでショートが発生し、大きな電流が流れてしまう可能性がある。
【0004】
これに対し、特許文献1には電解コンデンサの防爆弁と向かい合う位置に、防爆弁が開弁した際に噴出される電解液を、電解液が付着しても問題ない回路のエリアに誘導する偏向板を設けることが記載されている。具体的には、噴出した電解液は偏向板によって一次側の回路に付着することなく、二次側の回路へ導かれるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6598511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、近年プリンタの小型化に伴い、プリンタの外装面と回路基板の距離は従来に比べて近くなってきている。その結果、特許文献1に記載された偏向板を設けるスペースを確保することができず、噴出した電解液が外装に反射して回路に付着してしまう可能性がある。また、偏向板を設けたとしても、偏向板と電解コンデンサの間の十分な距離を確保できず、噴出した電解液の一部が回路機能に影響を及ぼすエリアに付着してしまう可能性もある。
【0007】
本発明の目的は、画像形成装置を小型化しつつ、電解コンデンサから噴出した電解液が回路に付着してしまうことを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の電源装置は、一次巻線と二次巻線を備え、前記一次巻線に入力された電圧に応じて前記二次巻線に電圧を出力するトランスを有する電源装置において、前記トランスの一次側回路に設けられ、所定値以上の電圧が印可された場合に開弁して内部の電解液を外部へと噴出させる防爆弁を備える電解コンデンサと、前記電源装置の熱を放出するためのヒートシンクと、前記電解コンデンサ及び前記ヒートシンクが設置された基板と、を有し、前記電解コンデンサは前記防爆弁が設けられた面とは反対側の面が前記基板と向き合うように前記基板に設置され、前記ヒートシンクは前記基板の表面に対して突出する方向にのびた突出部と、前記基板から離れた状態で前記突出部の一部から前記基板の表面に沿ってのびたカバー部と、を含み、前記カバー部には穴が形成されており、前記防爆弁が設けられた面と垂直な方向から見たとき、前記防爆弁と前記カバー部が重ならないように前記穴が配置され、前記カバー部は前記防爆弁を囲んでおり、前記ヒートシンクはさらに、前記カバー部の周囲の一部に接続され、前記カバー部に対して内側に傾斜した傾斜部を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置を小型化しつつ、電解コンデンサから噴出した電解液が回路に付着してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成装置の断面図である。
図2】電源装置の回路構成図である。
図3】画像形成装置の上面図である。
図4】比較例の構成を説明するための図である。
図5】実施例の構成を説明するための図である。
図6】変形例1の構成を説明するための図である。
図7】変形例2の構成を説明するための図である。
図8】変形例3の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施例1>
[画像形成装置の構成]
本実施例における画像形成装置100の構成について説明する。本実施例の画像形成装置100は、電子写真プロセスを用いたモノクロレーザプリンタであり、パーソナルコンピュータなどの外部機器から送信された画像情報に応じて、記録材である紙Pにトナー(現像剤)による画像を形成するものである。
【0012】
以下の説明において、画像形成装置100が水平な面に設置された場合における画像形成装置100の高さ方向(鉛直方向とは反対の方向)をZ方向とする。Z方向と交差し、後述する感光ドラム105の軸線方向(主走査方向)と平行な方向をY方向とする。Y方向及びZ方向と交差する方向をX方向とする。X方向、Y方向、Z方向は、好ましくは互いに垂直に交差する。また便宜上、X方向においてプラス側を前側または正面側、マイナス側を後側または背面側と呼び、Y方向においてプラス側を右側、マイナス側を左側と呼び、Z方向においてプラス側を上側、マイナス側を下側と呼ぶ。
【0013】
図1は画像形成装置100の断面図である。図1において、101は印刷対象の紙Pを格納しておく給紙部であり、内部には紙Pが積載されている。102はレーザスキャナ、103はトナータンクで磁性体トナーが入っている。104は現像ローラ、105は感光ドラム、106は転写ローラ、107は帯電ローラ、108は前露光のためのライトガイド、109は定着ローラ、110は加圧ローラである。111は排紙部、112は紙Pの搬送経路、113はレーザスキャナ102から照射されるレーザ光、114は給紙ローラである。なお、ライトガイド108は感光ドラム105の長手方向(軸線方向)にのびており、内部に溝が形成されている。ライトガイド108は、長手方向における一端から投射された前露光用のLED(不図示)からの光を内部に形成された溝によって光の入射部から最遠部に渡って少しずつ反射させる。これによって、前露光用のLEDからの光が感光ドラム105の長手方向全域に一様に照射される構成となっている。
【0014】
[画像形成装置の動作]
続いて画像形成装置100の動作説明を行う。まず、印刷ジョブを受信すると各ローラとレーザスキャナ102が動作を開始する。感光ドラム105の図1の矢印方向に回転を開始する。帯電ローラ107は後述する電源装置200からの給電を受け負の高電圧を発生させ、感光ドラム105の表面を帯電させる。外部機器から画像信号が送られてくると、それに伴いレーザスキャナ102がレーザを画素に応じて点滅させながら走査する。帯電された感光ドラム105の表面において、レーザ光113が当たった部分は電荷が消滅し、感光ドラム105に静電潜像が形成される。
【0015】
現像ローラ104には負の高圧が供給されており、さらに中には磁石が入っている。現像ローラ104はトナータンク103内の磁性体トナーを磁力によって引き寄せ、感光ドラム105の静電潜像をトナーによって現像する。一方、給紙ローラ114によって給紙部101から給紙された紙Pは搬送経路112を通り、転写ローラ106と感光ドラム105によって形成される転写ニップへと搬送される。この時に転写ローラ106には正の高圧が印可されており、感光ドラム105に形成されたトナー像が転写ローラ106に引かれる形で紙Pに転写される。
【0016】
トナー像が転写された紙Pは排紙部111に向かって搬送され、定着ローラ109と加圧ローラ110によって形成される定着ニップへと搬送される。定着ニップにおいて紙Pは定着ローラ109によって数百度に加熱されると同時に、加圧ローラ110によって圧迫されることで、静電気力によってのみ紙Pに載っていたトナー像が定着される。トナー像が定着された紙Pは排紙部111へと排出され、順次積載されていく。
【0017】
一方、転写が終了した後の感光ドラム105の表面電位は画像によるムラのある状態になっている。上述した通り、ライトガイド108は前露光用のLEDから照射された光を長手方向にガイドし、感光ドラム105の表面電位を一様に0V付近まで除電することで前回の画像の影響を次の画像に出さないようにしている。以上の動作を繰り返しながら画像形成装置100は紙Pに画像を形成する。
【0018】
[電源装置の回路構成]
図2は、画像形成装置100に搭載された電源装置200の回路構成図である。上述した通り、画像形成装置100の動作プロセスの中では様々な電圧が使用される。電源装置200は外部電源から供給される交流を直流に変換し、これら様々な電圧を出力するために用いられる。図2に示す通り、電源装置200は、回路部(一次側回路)22と回路部(二次側回路)23とを有して構成される。回路部22と回路部23は、1枚のプリント基板24により構成されるが、基板を複数枚に分割して構成してもよい。
【0019】
回路部22は、インレット21、ヒューズ201、フィルタ回路202、整流回路(一次側整流回路)203、電解コンデンサ204、スイッチング素子(スイッチングFET)206、制御回路207を有している。回路部23は、整流回路(二次側整流回路)208、検出回路210を有している。電源装置200は、トランス205も有している。トランス205の一次巻線205aは回路部22に属し、二次巻線205bは回路部23に属するが、トランス205は素子全体としては、回路部22に含まれるものとする。
【0020】
電源装置200に商用交流電源20が接続され、インレット21を介して電力が供給されるようになっている。電源装置200に供給された電力は、ヒューズ201、フィルタ回路202を経由して整流回路203に到達する。整流回路203は、例えば四つのダイオードによるダイオードブリッジ回路である。商用交流電源20の正弦波形である交流の入力電流が整流回路203によって整流されて脈流波形となる。脈流波形を呈する入力電流は、電解コンデンサ204によって平滑化される。つまり、本実施例において電解コンデンサ204は一次平滑コンデンサとして機能する。
【0021】
平滑化された入力電圧の電圧値は、交流の入力電圧の正弦波形でのピーク電圧値に近い値となる。平滑化された入力電圧は、プラス端子203aよりトランス205に入力され、電流はスイッチング素子206を介してマイナス端子203bへと帰還する。スイッチング素子206のオンオフのタイミングは、制御回路207によって制御されている。制御回路207の電源電力はトランス205で生成されている。
【0022】
トランス205の二次巻線205bには、整流回路208が接続されている。トランス205によって電圧変換された電力は整流回路208へと至り、整流回路208で所定の電圧値に整流・平滑化され、電源装置200の外部の負荷209へと出力される。整流回路208の出力側端子は、検出回路210に接続されており、整流回路208の出力電圧値が検出回路210にも入力されるようになっている。検出回路210での検出値(整流回路208の出力電圧値)は、制御回路207へと入力される。検出回路210側(二次側回路部23側)と制御回路207側(一次側回路部22側)との間の絶縁を確保するために、例えばフォトカプラ等の絶縁素子を介して検出回路210と制御回路207とが接続される。制御回路207に入力された検出回路210での検出値に基づき、制御回路207は、スイッチング素子206のオンオフのタイミングを決定する。
【0023】
[電源装置の配置構成]
図3は画像形成装置100の上面図である。図3に示すように、図2で説明した電源装置200はプリント基板24の表面がXZ面と略平行となるように画像形成装置100の内部に配置されている。つまり、プリント基板24は水平面に対して略垂直となるように配置されている。
【0024】
301は本体の各ローラ等を駆動するための動力源となるメインモータであり、破線で示したエリア302はメインモータ301の回転力を伝達するギヤボックスである。破線で示したエリア303には電源装置200や、画像形成装置100の全体の動きを制御する制御基板などが含まれる。図3では電源装置200に含まれる複数の電子部品のうち、電解コンデンサ204のみを指し示している。図3に示す通り、電解コンデンサ204と外装カバー304のY方向における距離は近いことがわかる。
【0025】
[電解コンデンサの周辺の構成]
図4は比較例における電解コンデンサ204の周辺の構成を説明するための図である。図4(a)は電解コンデンサ204が設置されたプリント基板24を横から見たときの図であり、図4(b)はプリント基板24の表面に対して垂直な方向から見たときの図である。401は回路上の熱を放出するためにプリント基板24に設置されたヒートシンクである。スイッチング素子206は回路上の部品の中でも特に熱を発生しやすいため、ヒートシンク401に直接取り付けられ、接触している。
【0026】
図4(b)に記載されている通り、電解コンデンサ204はバツ印の防爆弁204aを備えており、防爆弁204aが設けられている面とは反対側の面がプリント基板24と向かい合うように、電解コンデンサ204はプリント基板24に設置されている。なお、本実施例においてはプリント基板24の表面と防爆弁204aが設けられた面が平行となるように、電解コンデンサ204はプリント基板24に対して垂直に取り付けられている。また、204bは電解コンデンサ204の外形部204bを示している。
【0027】
防爆弁204aは、電解コンデンサ204に耐圧を超える所定値以上の電圧が加えられた場合に開弁し、電解液を外部に放出することで電解コンデンサ204の内部の極度な圧力上昇を防止する。例えば商用周波数が100Vの地域向けに製造された画像形成装置100を、商用周波数が200Vの地域で使ってしまった場合には電解コンデンサ204の防爆弁204aが開弁することになる。防爆弁204aが開弁した結果、比較例の構成においては図4(a)に示すように、電解コンデンサ204から放出された電解液は対向する外装カバー304の内側で跳ね返り、プリント基板24や他の電子部品に付着してしまうことになる。
【0028】
図5は本実施例における電解コンデンサ204の周辺の構成を説明するための図である。図5(a)は図4(a)と同じ方向から見たときの図であり、図5(b)は図4(b)と同じ方向から見たときの図である。図4と異なる点として、図5ではヒートシンク401の形状を変更しており、ヒートシンク401の面積も拡大している。
【0029】
図5(a)に示す通り、ヒートシンク401はプリント基板24の表面に対してY軸マイナス方向に突出した突出部402と、プリント基板24から離れた状態で突出部402の一部からプリント基板24の表面に沿ってのびたカバー部403と、を有している。ここで、突出部402とカバー部403は1つの部材を折り曲げることで構成しているが、別々の部材を接続することで構成してもよい。突出部402のサイズは少なくともスイッチング素子206よりも大きいものとする。
【0030】
図5(b)に示す通り、カバー部403には電解コンデンサ204の外形部204b(電解コンデンサ204の直径)に対応する大きさの穴404が形成されている。このような形状にすることによって、防爆弁204aが開弁して放出される電解液はカバー部403に形成された穴404を通過して外装カバー304の内側で反射するが、反射してきた電解液はカバー部403で防がれる。つまり、電解液がプリント基板24や電解コンデンサ204の周囲の一次側の回路に付着することを防ぐことができる。
【0031】
また、上述した通り、プリント基板24はXZ面と略平行となるように配置されている、所謂縦置きの構成のため、二重に反射した電解液は勢いを失い下方へ落下し、プリント基板24に付着することはない。さらに、ヒートシンク401の面積を拡大したことにより、スイッチング素子206の放熱効果も高くなるという副次効果も得られる。
【0032】
なお、防爆弁204aが設けられた面とプリント基板24の表面は平行であるため、図5(b)は防爆弁204aが設けられた面と垂直な方向から見たときの図ということもできる。図5(b)においてカバー部403に形成された穴404と防爆弁204aは重なっておらず、カバー部403は防爆弁204aの周りを囲むように配置されている。この構成によって、電解液がプリント基板24や電解コンデンサ204の周囲の一次側の回路に付着することを防ぐことができる。
【0033】
以上より、本実施例によれば、画像形成装置100を小型化しつつ、電解コンデンサ204から噴出した電解液が回路に付着してしまうことを抑制できる。
【0034】
なお、上記の実施例においてカバー部403は電解コンデンサ204のY軸マイナス方向における端面よりもプリント基板24から離れた位置にあった。しかし、これに限定されない。カバー部403が電解コンデンサ204のY軸マイナス方向における端面よりもプリント基板24に近い位置にあってもよい。
【0035】
図6は変形例1における電解コンデンサ204の周辺の構成を説明するための図である。図6(a)は図4(a)と同じ方向から見たときの図であり、図6(b)は図4(b)と同じ方向から見たときの図である。図6(a)に示すように、ヒートシンク401のカバー部403の高さ(Y軸方向における距離)は必ずしも電解コンデンサ204よりも高い必要はない。このとき、電解コンデンサ204はヒートシンク401のカバー部403を貫通することになるため、カバー部403に形成された穴404は電解コンデンサ204の直径よりも少し大きいことが望ましい。
【0036】
また、上記の実施例においてはカバー部403で外装カバー304から反射してきた電解液を受け止めていたが、この構成に限定されない。カバー部403の周囲にさらにヒートシンク401の部材を追加して、より幅広く電解液の飛散を抑え込む構成としてもよい。
【0037】
図7は変形例2における電解コンデンサ204の周辺の構成を説明するための図である。図7(a)は図4(a)と同じ方向から見たときの図であり、図7(b)は図4(b)と同じ方向から見たときの図である。本変形例においては電解液をカバー部403へ導くように内側に傾斜した傾斜部405、406がカバー部403の上下に追加されている。
【0038】
また、上記の実施例においてカバー部403に形成された穴404は電解コンデンサ204の外形部204bに対応する大きさとしていた。しかし、これに限定されない。穴404の大きさは外形部204bより大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0039】
図8は変形例3における電解コンデンサ204の周辺の構成を説明するための図である。図8(a)は図4(a)と同じ方向から見たときの図であり、図8(b)は図4(b)と同じ方向から見たときの図である。図8(b)に記載されている通り、本変形例の穴404の大きさは電解コンデンサ204の外形部204bよりも小さくなっている。防爆弁204aの開弁時に電解液が飛散するルート上に穴が開いていればよいため、穴404の大きさは電解コンデンサ204の外形部204bよりも小さくてもよい。
【0040】
このように、図5を用いて説明した構成に比べて穴404の大きさを小さくすれば、よりヒートシンク401の面積を大きくとることができ、スイッチング素子206の放熱効果も高くなる。ただし、防爆弁204aのエリアまでカバー部403で覆ってしまうと、電解液が内側で跳ね返りプリント基板24に落ちてしまう。そのため、カバー部403に開ける穴404の大きさは少なくとも防爆弁204aの大きさ、一般的な電解コンデンサで言えば表面に張られているラベルの部分の大きさよりは大きくした方がよい。
【0041】
また、上記の実施例では一時平滑コンデンサとして用いられる電解コンデンサ204を例に説明を行ったが、これに限定されない。防爆弁を有するコンデンサであれば全てに適用できる技術であり、直流平滑のための一次平滑コンデンサに限ったものではない。
【符号の説明】
【0042】
100 画像形成装置
200 電源装置
204 電解コンデンサ
204a 防爆弁
401 ヒートシンク
402 突出部
403 カバー部
404 穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8