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特許7589030血管から閉塞性血塊を除去するためのステントリーバー装置及びその方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】血管から閉塞性血塊を除去するためのステントリーバー装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/221 20060101AFI20241118BHJP
【FI】
A61B17/221
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020200079
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2021087777
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】16/701,323
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515248931
【氏名又は名称】ニューラヴィ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ブレンダン・ケーシー
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0239907(US,A1)
【文献】特表2017-517338(JP,A)
【文献】国際公開第2012/009675(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22 - A61B 17/221
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管から血塊を除去するためのステントリーバーであって、
近位端と遠位端との間に延在するシャフトと、
前記シャフトから延在する第1の拡張可能な血塊係合部分と、
前記第1の拡張可能な血塊係合部分の近位に隣接して位置付けられた近位流路であって、前記第1の拡張可能な血塊係合部分からの吸引を前記近位流路まで方向付ける近位流膜を備える、近位流路と、を含み、
前記ステントリーバーが、マイクロカテーテルに挿入される折り畳まれた構成を含み、
前記ステントリーバーが、前記血塊に外向きの半径方向力を及ぼすための拡張構成を含み、
前記近位流路が、
マイクロカテーテルに挿入される折り畳まれた構成と、
前記近位流路が中間カテーテルに半径方向力を及ぼす拡張構成と、を含み、
前記近位流路の前記拡張構成において、前記近位流膜が、吸引流を方向付けるために、近位封止領域において前記中間カテーテルの内側表面と係合する、ステントリーバー。
【請求項2】
前記第1の拡張可能な血塊係合部分が、前記血塊を捕捉する第1の血塊入口を更に備える、請求項1に記載のステントリーバー。
【請求項3】
前記第1の拡張可能な血塊係合部分が、前記吸引を前記第1の拡張可能な血塊係合部分内に方向付ける第1の血塊係合膜を備える、請求項1に記載のステントリーバー。
【請求項4】
前記シャフトから延在する第2の拡張可能な血塊係合部分を更に含み、
前記第2の拡張可能な血塊係合部分が、前記第1の拡張可能な血塊係合部分の遠位に位置付けられている、請求項1に記載のステントリーバー。
【請求項5】
前記第2の拡張可能な血塊係合部分が、前記吸引を前記第2の拡張可能な血塊係合部分内に方向付ける第2の血塊係合膜を備える、請求項4に記載のステントリーバー。
【請求項6】
前記第2の拡張可能な血塊係合部分の近位に隣接して位置付けられた中間流路を更に含む、請求項4に記載のステントリーバー。
【請求項7】
血管から血塊を除去するためのステントリーバーであって、
近位端と遠位端との間に延在するシャフトと、
前記シャフトから延在する第1の拡張可能な血塊係合部分と、
前記第1の拡張可能な血塊係合部分の近位に隣接して位置付けられた近位流路であって、前記第1の拡張可能な血塊係合部分からの吸引を前記近位流路まで方向付ける近位流膜を備える、近位流路と、
前記シャフトから延在する第2の拡張可能な血塊係合部分であって、前記第2の拡張可能な血塊係合部分が、前記第1の拡張可能な血塊係合部分の遠位に位置付けられている、第2の拡張可能な血塊係合部分と、
前記第2の拡張可能な血塊係合部分の近位に隣接して位置付けられた中間流路と、を含み、
前記ステントリーバーが、マイクロカテーテルに挿入される折り畳まれた構成を含み、
前記ステントリーバーが、前記血塊に外向きの半径方向力を及ぼすための拡張構成を含む、ステントリーバー。
【請求項8】
血管から血塊を除去するためのステントリーバーであって、
近位端と遠位端との間に延在するシャフトと、
前記シャフトから延在する第1の拡張可能な血塊係合部分と、
前記第1の拡張可能な血塊係合部分の近位に隣接して位置付けられた近位流路であって、前記第1の拡張可能な血塊係合部分からの吸引を前記近位流路まで方向付ける近位流膜を備える、近位流路と、
前記第1の拡張可能な血塊係合部分の遠位に位置付けられ、前記シャフトから延在する遠位係合部分であって、前記遠位係合部分が、血塊断片を捕捉する複数の遠位血塊セルを含む、遠位係合部分と、を含み、
前記ステントリーバーが、マイクロカテーテルに挿入される折り畳まれた構成を含み、
前記ステントリーバーが、前記血塊に外向きの半径方向力を及ぼすための拡張構成を含む、ステントリーバー。
【請求項9】
前記遠位係合部分が遠位膜を備え、前記遠位膜が、前記遠位係合部分内への前記吸引の流れを抑制する遠位孔を備える、請求項8に記載のステントリーバー。
【請求項10】
前記第1の拡張可能な血塊係合部分が、前記血塊を捕捉する第1の血塊入口を更に備え、
前記遠位膜が、前記遠位係合部分から前記近位流路への流れを抑制して、前記第1の拡張可能な血塊係合部分において負圧を生成し、それによって、前記血塊を前記第1の血塊入口に引き込む、請求項9に記載のステントリーバー。
【請求項11】
血管から血塊を除去するためのシステムであって、
ステントリーバーであって、
近位端と遠位端との間に延在するシャフトと、
前記シャフトから延在する第1の拡張可能な血塊係合部分と、
前記第1の拡張可能な血塊係合部分の近位に隣接して位置付けられた近位流路であって、近位流膜を備える、近位流路と、を含む、ステントリーバーと、
中間カテーテルと、を含み、
前記ステントリーバーが、マイクロカテーテルに挿入される折り畳まれた構成を含み、
前記ステントリーバーが、前記血管内で拡張される拡張構成を含み、
前記拡張構成において、前記近位流路が、前記中間カテーテルに半径方向力を及ぼし、
前記近位流膜が、前記中間カテーテルの内側表面に対して封止する、システム
【請求項12】
前記第1の拡張可能な血塊係合部分が、前記血塊を捕捉する第1の血塊入口を更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の拡張可能な血塊係合部分が、吸引を前記第1の拡張可能な血塊係合部分内に方向付ける第1の血塊係合膜を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記ステントリーバーが、前記シャフトから延在する第2の拡張可能な血塊係合部分を更に含み、
前記第2の拡張可能な血塊係合部分が、前記第1の拡張可能な血塊係合部分の遠位に位置付けられており、
前記第2の拡張可能な血塊係合部分が、前記血塊を捕捉する第2の血塊入口を更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記ステントリーバーが、前記第2の拡張可能な血塊係合部分の近位に隣接して位置付けられた中間流路を更に含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2の拡張可能な血塊係合部分が、吸引を前記第2の拡張可能な血塊係合部分内に方向付ける第2の血塊係合膜を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記ステントリーバーが、前記第1の拡張可能な血塊係合部分の遠位に位置付けられ、前記シャフトから延在する遠位係合部分を更に含み、前記遠位係合部分が、前記遠位係合部分内への吸引の流れを抑制する複数の遠位孔を備える、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、血管から急性閉塞を除去することを意図した装置に関し、より詳細には、流体吸引を方向付け、閉塞性血塊に対するステントリーバーの把持力を強化するための膜を有するステントリーバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高レベルの性能を提供することができる凝塊除去デバイスの設計に関連する重大な課題が存在する。1つの課題は、しばしば脆弱であり繊細である、閉塞性血塊の周囲の脈管構造の性質から生じる。例えば、神経脈管の血管は、身体の他の部分の同様の大きさの血管よりも脆弱である。これらの血管に過度の張力が加えられると、穿孔及び出血につながる恐れがある。別の課題は、閉塞性血塊の広範な形態及び軟度から生じる。長い紐状のより軟質の凝塊物質は、2又は3で詰まる傾向があり、その結果、複数の血管が相当な長さにわたって同時に閉塞することがある。より成熟して組織化された血塊物質は、より軟質の新たな血塊物質より圧縮性が低い可能性があり、血圧の作用下では、血塊が内部に詰まっている柔軟な血管を血塊物質が膨張させる可能性がある。
【0003】
別名ステントリーバーとしても知られるステント状血塊回収装置は、上述の課題のいくつかに対処するに際して有望であるため、血塊を除去するためにますます使用されている。ステントリーバーは、長いシャフトの端部に取り付けられたステントと外観が似た自己拡張型装置であり、マイクロカテーテルを通して進められ、血塊を捕捉及び回収するために血塊閉塞部を横切って展開される。多くのステントリーバーは、自己拡張型ステント状本体と血管壁との間に血塊を捕捉することによって血塊を掴むピンニング機構に依存する。現在のステントリーバーは、装置の実用性を低下させる多数の欠点を有している。
【0004】
1つの欠点は、多くのステントリーバーが、血塊に対する把持力を保持するために、外向きの半径方向力(radial force、RF)だけに依存していることである。RFが低すぎる場合、ステントリーバーは血塊に対するその把持力を失う可能性があるが、RFが高すぎると、ステントリーバーは血管壁に損傷を与える場合がある、及び/又は血管からステントリーバーを引き抜くために過剰な力を必要とする場合がある。全ての血塊タイプに対処するのに十分なRFを加えるステントリーバーは、血管外傷及び患者の重篤な損傷を引き起こし得るものであり、非外傷性を維持するために低いRFを加えるステントリーバーは、全ての血塊タイプを効果的に処理することができない場合がある。
【0005】
現在のステントリーバーの別の欠点は、ピンニング機構自体である。血塊を血管壁に対して挟み込むことだけに依存するステントリーバーは、血管枝を通過するとき、又はステントリーバーの完全に拡張した直径よりも大きい血管に入るときに、血塊を効果的に拘束しない場合がある。これらの欠点及び他の欠点は、従来のステントリーバー装置につきものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、血塊に加わる外向きのRFを増加させることなく閉塞性血塊(clop)に対する把持力を改善し、それによって周囲の脈管構造を保護することができる、改善されたステントリーバー装置に対する継続的な必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に提示される実施例は、流体吸引を方向付け、かつ閉塞性血塊に対するステントリーバーの把持力を強化するための膜を有するステントリーバーを含む。本明細書に記載されるステントリーバー設計は、近位端に膜被覆を含むことができ、この膜被覆は、中間カテーテルの先端と封止を形成するようにサイズ決めされることができる。ステントリーバーの血塊係合部分及び/又は遠位係合部分はまた、吸引力の方向及び/又は吸引が血栓又は血塊に対する吸引力を適用する領域を制御するための、完全な又は部分的な膜被覆を含むことができる。血塊をステントリーバーの血塊係合部分内により深く引き込み、それによって血塊に対する把持力を改善するために、膜を使用して吸引を方向付けることができる。この設計はまた、遠位係合部分内に孔及び/又は血塊セルを提供することによって、破砕性の血塊に対する血塊断片保護の効果を高めることができる。
【0008】
例示的なステントリーバーは、近位端と遠位端との間の延在するシャフトを含むことができる。第1の拡張可能な血塊係合部分は、シャフトから延在することができる。ステントリーバーは、第1の拡張可能な血塊係合部分の近位に位置付けられた近位流路を含むことができる。近位流路は、第1の拡張可能な血塊係合部分から近位流路を通って吸引を方向付けるための膜被覆を含むことができる。ステントリーバーは、マイクロカテーテルに挿入される折り畳まれた構成を含み得、閉塞性血塊に外向きの半径方向力を及ぼすための拡張構成を有することができる。
【0009】
第1の拡張可能な血塊係合部分は、血塊を捕捉するための第1の血塊入口を備えることができる。第1の血塊入口は、ステントリーバー上の第1の拡張可能な血塊係合部分より遠位に位置付けられることができる。
【0010】
近位流路は、マイクロカテーテルに挿入される折り畳まれた構成を含むことができ、近位流路は、中間カテーテルに外向きの半径方向力を及ぼすための拡張構成を有することができる。拡張構成において、近位流膜は、吸引流を方向付けるために、近位封止領域において中間カテーテルの内側表面と係合することができる。
【0011】
第1の拡張可能な血塊係合部分は、吸引を第1の拡張可能な血塊係合部分内に方向付ける第1の血塊係合膜を備えることができる。
【0012】
ステントリーバーは、シャフトから延在する第2の拡張可能な血塊係合部分を含むことができる。第2の拡張可能な血塊係合部分は、第1の拡張可能な血塊係合部分の遠位に位置付けられることができる。
【0013】
第2の拡張可能な血塊係合部分は、吸引を第2の拡張可能な血塊係合部分内に方向付ける第2の血塊係合膜を備えることができる。
【0014】
第2の拡張可能な血塊係合部分は、血塊を捕捉するための第2の血塊入口を備えることができる。第2の血塊入口は、ステントリーバー上の第2の拡張可能な血塊係合部分より遠位に位置付けられることができる。
【0015】
ステントリーバーは、第2の拡張可能な血塊係合部分の近位に隣接して位置付けられた中間流路を含むことができる。中間流路は、第2の拡張可能な血塊係合部分からの吸引を、第1の拡張可能な血塊係合部分へと方向付けることができる。
【0016】
ステントリーバーは、第1の拡張可能な血塊係合部分の遠位に位置付けられた遠位係合部分を含むことができる。遠位係合部分は、シャフトから延在することができる。遠位係合部分は、血塊断片を捕捉するための複数の遠位血塊セルを含むことができ、これにより、血塊断片は、ステントリーバーより遠位に通過しない。
【0017】
遠位係合部分は、遠位膜を備えることができる。遠位膜は、遠位係合部分内への吸引の流れを抑制することができる遠位孔を備えることができる。遠位係合部分を通る吸引流の抑制は、第1及び/又は第2の拡張可能な血塊係合部分の周囲に負圧を生じさせて、血塊を係合部分に更に引き込むことができる。
【0018】
第1の拡張可能な血塊係合部分は、血塊を捕捉する第1の血塊入口を更に備えることができる。遠位膜は、遠位係合部分から近位流路への流れを抑制して、第1の拡張可能な血塊係合部分において負圧を生成し、それによって、血塊を第1の血塊入口に引き込むことができる。
【0019】
血管から血塊を除去するための例示的なシステムは、ステントリーバーを含むことができる。ステントリーバーは、近位端と遠位端との間の延在するシャフトを含むことができる。ステントリーバーは、シャフトから延在する第1の拡張可能な血塊係合部分を含むことができる。ステントリーバーは、第1の拡張可能な血塊係合部分の近位に隣接して位置付けられた近位流路を含むことができる。近位流路は、近位流膜を備えることができる。システムは、中間カテーテルを更に含むことができる。ステントリーバーは、マイクロカテーテルに挿入される折り畳まれた構成を含むことができ、ステントリーバーは、血管内で拡張するための拡張構成を有することができる。拡張構成において、近位流路は、中間カテーテルに半径方向力を及ぼすことができ、近位流膜は、中間カテーテルの内側表面に対して封止することができる。吸引は、第1の拡張可能な血塊係合部分から、近位流路を通って、中間カテーテル内に方向付けられることができる。
【0020】
第1の拡張可能な血塊係合部分は、血管の中の血塊を捕捉するための第1の血塊入口を備えることができる。
【0021】
第1の拡張可能な血塊係合部分は、第1の血塊係合膜を備えることができる。第1の血塊係合膜は、吸引を第1の拡張可能な血塊係合部分内に方向付けることができる。
【0022】
ステントリーバーは、シャフトから延在する第2の拡張可能な血塊係合部分を更に含むことができる。第2の拡張可能な血塊係合部分は、第1の拡張可能な血塊係合部分の遠位に位置付けられることができる。第2の拡張可能な血塊係合部分は、血塊を捕捉するための第2の血塊入口を更に備えることができる。
【0023】
ステントリーバーは、第2の拡張可能な血塊係合部分の近位に隣接して位置付けられた中間流路を更に含むことができる。中間流路は、第2の拡張可能な血塊係合部分からの吸引を、第1の拡張可能な血塊係合部分へと方向付けることができる。
【0024】
第2の拡張可能な血塊係合部分は、吸引を第2の拡張可能な血塊係合部分内に方向付ける第2の血塊係合膜を備えることができる。
【0025】
ステントリーバーは、第1の拡張可能な血塊係合部分の遠位に位置付けられかつシャフトから延在する、遠位係合部分を含むことができる。
【0026】
遠位係合部分は、血塊断片を捕捉するための複数の遠位血塊セルを含むことができる。
【0027】
遠位係合部分は、遠位膜を含むことができる。遠位膜は、遠位係合部分内への吸引の流れを抑制する遠位孔を備えることができる。遠位係合部分を通る吸引流の抑制は、第1及び/又は部分拡張可能な血塊係合部分の周囲に負圧を生じさせて、血塊を係合部分に更に引き込むことができる。
【0028】
遠位膜は、吸引を遠位係合部分内に方向付ける遠位流れ開口を備えることができる。遠位流れ開口は、遠位係合部分内への吸引物の流れを抑制する、遠位係合部分内の部分開口部であり得る。遠位係合部分を通る吸引流の抑制は、第1及び/又は部分拡張可能な血塊係合部分の周囲に負圧を生じさせて、血塊を係合部分に更に引き込むことができる。
【0029】
血管から血塊を除去するための例示的な方法は、ステントリーバーを血管内にかつ血塊を横切って送達することを含むことができる。ステントリーバーは、近位端と遠位端との間の延在するシャフトを含むことができる。ステントリーバーは、シャフトから延在する拡張可能な血塊係合部分を含むことができる。拡張可能な血塊係合部分は、流体を拡張可能な血塊係合部分内に方向付けるための血塊係合膜、及び血塊入口を備えることができる。ステントリーバーは、拡張可能な血塊係合部分の近位に隣接して位置付けられた近位流路を含むことができる。近位流路は、近位流膜を備えることができる。近位流膜は、拡張可能な血塊係合部分からの流体を近位流路へと方向付けることができる。この方法は、拡張可能な血塊係合部分が拡張し、血塊に係合するために血塊に半径方向力を及ぼすように、ステントリーバーを拡張させることを含むことができる。この方法は、中間カテーテルを血管内にかつ近位流路に前進させることを含むことができる。近位流膜は、中間カテーテルの内側表面に対して封止することができる。この方法は、血塊を血塊入口内に捕捉するために、流体の流れが血塊係合膜によって近位流路内に方向付けられるように、中間カテーテルに吸引を適用することを含むことができる。この方法は、血管から血塊を除去するために、ステントリーバーを近位に引くことを含むことができる。
【0030】
ステントリーバーは、拡張可能な血塊係合部分の遠位に位置付けられかつシャフトから延在する、遠位係合部分を含むことができる。遠位係合部分は、複数の遠位孔を備えた遠位膜を含むことができる。この方法は、複数の遠位孔を通って遠位係合部分に入る流体の流れを、遠位膜によって抑制することを更に含むことができる。流体の流れの抑制は、血塊を血塊入口内に引き込むための負圧を生成することができる。
【0031】
遠位係合部分は、複数の遠位血塊セルを含むことができる。この方法は、少なくともいくつかの血塊断片がステントリーバーより遠位に通過することを、複数の遠位血塊セルによって防止することを更に含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の上記及び更なる態様は、
添付の図面と併せて以下の説明を参照して更に考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を例示することが重視されている。図は、限定としてではなく単なる例示として、本発明の装置の1つ以上の実装形態を描写している。
図1】本発明の態様による、例示的なステントリーバーの側面図である。
図2】本発明の態様による、中間カテーテルと相互作用する例示的なステントリーバーの側面図である。
図3】本発明の態様による、中間流路を有する例示的なステントリーバーの側面図である。
図4】本発明の態様による、例示的なステントリーバーの上面図である。
図5A】本発明の態様による、内部チャネルを有する例示的なステントリーバーの側面図である。
図5B】本発明の態様による、例示的な内部チャネルの側面図である。
図6】本発明の態様による、全長内部チャネルを有する例示的なステントリーバーの斜視図である。
図7A】本開示の態様による、ステントリーバーの例示的なフレームの図である。
図7B】本開示の態様による、ステントリーバーの例示的なフレームの図である。
図8】本発明の態様による、部分的に開放された遠位係合部分の端面図である。
図9A】本発明の態様による、ステントリーバーを展開し、血管から閉塞性血塊を除去するための例示的な方法である。
図9B】本発明の態様による、ステントリーバーを展開し、血管から閉塞性血塊を除去するための例示的な方法である。
図9C】本発明の態様による、ステントリーバーを展開し、血管から閉塞性血塊を除去するための例示的な方法である。
図9D】本発明の態様による、ステントリーバーを展開し、血管から閉塞性血塊を除去するための例示的な方法である。
図9E】本発明の態様による、ステントリーバーを展開し、血管から閉塞性血塊を除去するための例示的な方法である。
図9F】本発明の態様による、ステントリーバーを展開し、血管から閉塞性血塊を除去するための例示的な方法である。
図9G】本発明の態様による、ステントリーバーを展開し、血管から閉塞性血塊を除去するための例示的な方法である。
図9H】本発明の態様による、ステントリーバーを展開し、血管から閉塞性血塊を除去するための例示的な方法である。
図9I】本発明の態様による、ステントリーバーを展開し、血管から閉塞性血塊を除去するための例示的な方法である。
図10A】本発明の態様による、ステントリーバーを使用して閉塞性血塊を除去する方法を示すフロー図である。
図10B】本発明の態様による、ステントリーバーを使用して閉塞性血塊を除去する方法を示すフロー図である。
図11】本発明の態様による、ステントリーバーを使用して閉塞性血塊を除去する方法を示すフロー図である。
図12A】本発明の態様による、ステントリーバーを使用して閉塞性血塊を除去する方法を示すフロー図である。
図12B】本発明の態様による、ステントリーバーを使用して閉塞性血塊を除去する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の態様は、装置の近位端に完全な又は部分的な膜被覆を備えるステントリーバーであって、この膜被覆が、近位部分が中間カテーテルの先端と封止を形成することができるようにサイズ決めされている、ステントリーバーに関する。ステントリーバー装置は、1つ又は2つ以上の拡張可能な血塊係合部分及び/又は遠位係合部分を含むことができる。拡張可能な血塊係合部分及び遠位係合部分はまた、吸引物の方向、したがって、血栓又は血塊に加わる吸引力の方向を制御するための膜被覆を備えることができる。吸引物の方向は、拡張可能な血塊係合部分の入口窓(すなわち、血塊入口)内のより深くへと血塊を引き込むように作用することができる。吸引物及び吸引力の方向は、血塊の把持を改善し、ステントリーバー内での血塊の移動を減少させ、血塊が中間カテーテル、アクセス若しくはガイドカテーテル、又はアクセスシース内に引き込まれるときの血塊の保持を増加させることができる。いくつかの実施例では、設計はまた、遠位係合部分を通る順行流を提供することによって、破砕性の血塊に対する血塊断片保護の効果を高めることができる。
【0034】
ここで図面を参照すると、図1は、本発明の態様による、例示的なステントリーバー100の側面図である。いくつかの実施例では、この拡張構成は、血管内に展開されるステントリーバー100の例示である。いくつかの実施例では、ステントリーバー100は、第1の拡張可能な血塊係合部分102を含み得る。第1の拡張可能な血塊係合部分102は、折り畳まれた構成及び拡張構成を有する拡張可能な特徴部であってもよく、図1には拡張構成が示されている。折り畳まれた構成では、第1の拡張可能な血塊係合部分102は、血管内に及び血塊を横切って展開させるために、マイクロカテーテルに挿入されることができる。第1の拡張可能な血塊係合部分102の直径103は、第1の拡張可能な血塊係合部分102が折り畳まれた構成にあるときに約1.75mm未満であり得ることが考えられる。例えば、通常のマイクロカテーテルは、0.015インチ~0.065インチ(約0.38mm~約1.65mm)の内径を有することができ、第1の拡張可能な血塊係合部分102の直径103はこれらの典型的な範囲内に収まると考えられる。拡張構成では、第1の拡張可能な血塊係合部分102は、血塊に半径方向力を及ぼすことによって血管内の血塊と係合するように開くことができる。第1の拡張可能な血塊係合部分102は、ステントリーバー100が内部で展開されている脈管構造のサイズに従って製造されることができる。拡張された第1の拡張可能な血塊係合部分102の直径103は、例えば、約1.5mm~約7.0mmの範囲であり得、限定するものではないが、約4.00mmであり得ることが考えられる。本明細書で使用するとき、任意の数値又は範囲に関する「約」又は「およそ」という用語は、本明細書に記載されるように、構成要素の一部又は集合がその意図される目的に応じて機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指し得る。
【0035】
第1の拡張可能な血塊係合部分102は、一旦抜け出て(unsheathed)その拡張構成になるとその形状を自動的に回復することができる材料から作製されることができる。材料は、ワイヤ、ストリップ、シート、又は管などの多くの形態であり得る。いくつかの実施例では、第1の拡張可能な血塊係合部分102は、限定するものではないが、ニチノール、ステンレス鋼、MP35N、タングステン、及び/若しくは同様のもの、又はこれらの任意の組み合わせ若しくは合金を含むことができる。いくつかの実施例では、材料は、ニチノールなどの形状記憶材料から作製されることができ、第1の拡張可能な血塊係合部分102の拡張構成は、材料を拡張構成にヒートセットすることによって作製されることができる。
【0036】
いくつかの実施例では、ステントリーバー100は、第1の拡張可能な血塊係合部分102に取り付けられた第1の血塊係合膜104を含むことができる。第1の血塊係合膜104は、吸引力及び/又は吸引物を第1の拡張可能な血塊係合部分102内に方向付けるための、第1の拡張可能な血塊係合部分102の完全な又は部分的な被覆であり得る。第1の血塊係合膜104の材料としては、シリコン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、及び/又は同様のものを挙げることができる。いくつかの実施例では、第1の血塊係合膜104の材料は、第1の拡張可能な血塊係合部分102が折り畳まれた構成から拡張構成に開く際に材料を開くことができるように、柔軟であり得る。
【0037】
第1の拡張可能な血塊係合部分102は、第1の血塊入口106を備えることができる。第1の血塊入口106は、第1の血塊係合膜104によって覆われていない、第1の拡張可能な血塊係合部分102より遠位の開口部であってもよく、閉塞性血塊が第1の拡張可能な血塊係合部分102内に引き込まれるための領域を提供する。理解されるように、本明細書に記載される実施例は、ステントリーバー100の拡張可能な部分によって加えられる半径方向力だけに依存することなく血塊を捕捉する方法を提供する。吸引力がステントリーバー100に適用されると、血塊は、吸引物の流れと共に、第1の血塊係合膜104を介して第1の血塊入口106内へと方向付けられることができ、継続的な吸引力は、血塊に対する改善された把持力を提供することができる。
【0038】
ステントリーバー100は、近位流路108を含むことができる。近位流路108は、第1の拡張可能な血塊係合部分102の近位に位置付けられることができる。近位流路108は、上述の第1の拡張可能な血塊係合部分102と同様に、折り畳まれた構成及び拡張構成を有することができる。折り畳まれた構成における近位流路108の直径109は、第1の拡張可能な血塊係合部分102と同様に、血管内への送達のためにマイクロカテーテル内に収まるように、約1.75mm未満であり得ることが考えられる。
【0039】
近位流路108は、編組チューブ、レーザー切断金属チューブ、レーザー切断ポリマーチューブ及び/又は同様のものであってもよい。いくつかの実施例では、近位流路108は、限定するものではないが、ニチノール、ステンレス鋼、MP35N、タングステン、及び/若しくは同様のもの、又はこれらの任意の組み合わせ若しくは合金などの材料を含むことができる。いくつかの実施例では、材料は、ニチノールなどの形状記憶材料から作製されることができ、近位流路108の拡張構成は、材料を拡張構成にヒートセットすることによって作製されることができる。
【0040】
近位流路108は、近位流膜110を備えることができる。近位流膜110は、第1の拡張可能な血塊係合部分102の近位の位置の近位流路108の外側表面を覆うことができる。近位流膜110は、吸引物の流れを、第1の拡張可能な血塊係合部分102から近位流路108を通るように方向付けることができる。近位流路108を通る吸引物の流れは、血塊を第1の血塊入口106のより深くへと引き込むように、第1の拡張可能な血塊係合部分102の周りの吸引力を増加させることができる。近位流膜110の材料は、シリコン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、及び/又は同様のものであり得る。いくつかの実施例では、近位流膜110の材料は、近位流路108が折り畳まれた構成から拡張構成に開く際に材料を開くことができるように、柔軟であり得る。
【0041】
いくつかの実施例では、近位流路108は、血管内に展開されている間にその拡張構成へと開くことができる。拡張すると、近位流路108は、中間又はアクセスカテーテルの内径とほぼ等しい直径109を有することができる。例えば、展開されると、ステントリーバー100が血塊内で展開された後に、中間カテーテルを適所に前進させることができる。中間カテーテルは、近位流路108に向けて方向付けられることができる。いくつかの実施例では、近位流膜110は、中間カテーテルの内側表面と共に封止を形成することができる。封止により、吸引を、第1の拡張可能な血塊係合部分102から、膜被覆近位流路108を通して、中間カテーテル内まで引き込み、血塊を第1の血塊入口106に更に引き込むことが可能となり得る。中間カテーテルは、約0.040インチ~約0.120インチ(約1.0mm~約3.0mm)の内径を有することができる。したがって、拡張構成における近位流路108の直径109は、それらの範囲内に収まり得ることが考えられる。
【0042】
近位流路108は、血塊の近傍まで進められた中間カテーテルと係合するのに好適な長さを有することができる。別の実施形態では、近位流路は、内頸動脈内に置かれた中間又はアクセスカテーテルと係合するのに十分な長さを有することができる。近位路(proximal channel)の長さは、約2.0mm~100mmの範囲を有し得ることが考えられる。
【0043】
ステントリーバー100は、可撓性シャフト112を含むことができる。シャフト112は、ステントリーバー100を血管内に送り込むための送達機構として、かつステントリーバー100の更なる特徴部のための足場又はフレームとして機能することができる。拡張可能な血塊係合部分(例えば、第1の拡張可能な血塊係合部分102)は、例えば、シャフト112に接続され、シャフト112から延在することができる。シャフトは、金属及びポリマーをなどであるがこれらに限定されない可撓性材料から作製されることができ、これにより、ステントリーバー100は、装置が血管内に展開される際に屈曲することができる。
【0044】
ステントリーバー100は、第2の拡張可能な血塊係合部分114を含むことができる。第2の拡張可能な血塊係合部分114は、第1の拡張可能な血塊係合部分102と同様にシャフト112から延在し、シャフト112上の第1の拡張可能な血塊係合部分102の遠位に位置付けられてもよい。第2の拡張可能な血塊係合部分114は、あらゆる面で第1の拡張可能な血塊係合部分102と同様であり得る。第1の拡張可能な血塊係合部分102及び第2の拡張可能な血塊係合部分114は、同一の材料を含み、同一の寸法を有するが、2つの部分が同一である必要はない。第2の拡張可能な血塊係合部分114は、第2の捕捉装置として機能することができ、拡張構成では、第2の拡張可能な血塊係合部分114は、血塊に半径方向力を及ぼすことによって血管内で血塊に係合することができる。図1は、2つの血塊係合部分(すなわち、第1の拡張可能な血塊係合部分102及び第2の拡張可能な血塊係合部分114)を有するステントリーバー100を示しているが、2つを超える血塊係合部分が設けられる場合があるので、本明細書に記載されるステントリーバー100は、2つの血塊係合部分に限定されるものではない。
【0045】
いくつかの実施例では、ステントリーバー100は、第2の拡張可能な血塊係合部分114に取り付けられた第2の血塊係合膜116を含み得る。第2の血塊係合膜116は、吸引力及び/又は吸引物を第2の拡張可能な血塊係合部分114内に方向付けるための、第2の拡張可能な血塊係合部分114の完全な又は部分的な被覆であり得る。第2の血塊係合膜116の材料は、第1の血塊係合膜104について上述した材料と同様であり得る。
【0046】
第2の拡張可能な血塊係合部分114は、第2の血塊入口118を備えることができる。第2の血塊入口118は、第2の血塊係合膜116によって覆われていない、第2の拡張可能な血塊係合部分114より遠位の開口部であってもよく、閉塞性血塊が第2の拡張可能な血塊係合部分114内に引き込まれるための領域を提供する。第1の血塊入口106及び第2の血塊入口118を設けることによって、近位流路108に吸引を提供することによって血塊が血塊入口106、118の両方に引き込まれ、血塊に対する把持力が改善する。
【0047】
ステントリーバー100のシャフト112は、遠位先端120を含むことができる。遠位先端120は、ステントリーバー100が血管内に展開される際に血管の壁を穿孔しないように、丸みを帯びた及び/又は滑らかな端部を備えることができる。いくつかの実施例では、遠位先端120は、X線透視下での可視性のために、遠位先端120上又は遠位先端120内に配設された放射線不透過コイル又はマーカーを含むことができる。医師がX線透視下で閉塞性血塊に対する装置の位置を見ることができるように、更なる放射線不透過コイル又はマーカーが拡張可能な血塊係合部分の近くに追加されてもよい。
【0048】
ステントリーバー100は、第1の拡張可能な血塊係合部分102の遠位に位置付けられた遠位係合部分202を含み得る。ステントリーバー100が第2の拡張可能な血塊係合部分114を含む場合、遠位係合部分202は第2の部分の遠位にある。医師がステントリーバー100を血管に挿入するとき、遠位係合部分202が血塊より遠位の血管内にくるように、ステントリーバー100を血塊を越えて通過させることができる。遠位係合部分202は、折り畳まれた構成及び拡張構成を有することができ、折り畳まれた構成及び拡張構成における遠位係合部分202の寸法は、第1の拡張可能な血塊係合部分102について上述した寸法と同様であり得る。以下で説明するように、一旦拡張すると、遠位係合部分202は、血管の断面積いっぱいに広がり、遠位係合部分202を通る流体の流れを抑制することができる。遠位係合部分202に使用され得る材料としては、限定するものではないが、ニチノール、ステンレス鋼、MP35N、タングステン、及び/若しくは同様のもの、又はこれらの任意の組み合わせ若しくは合金を挙げることができる。いくつかの実施例では、材料は、ニチノールなどの形状記憶材料から作製されることができ、遠位係合部分202の拡張構成は、材料を拡張構成にヒートセットすることによって作製されることができる。
【0049】
遠位係合部分202は、遠位膜204を備えることができる。遠位膜204は、遠位係合部分202の遠位端の部分膜被覆であってもよい。遠位膜204の材料は、シリコン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、及び/又は同様のものであり得る。
【0050】
遠位膜204は、1つ又は2つ以上の遠位孔206を備えることができる。遠位孔206は、遠位膜204を通る流れを(限定的な流れではあるが)可能にするための、遠位膜204内に形成された穴であってもよい。遠位孔206は、遠位膜204の材料内のレーザー切断穴、打ち抜き穴、又は穿孔穴であってもよい。遠位孔206の少なくとも一部分は、500マイクロメートル未満の遠位孔206の一方の側から他方の側までの長さを有することができる。遠位孔206が円形である場合、円形の遠位孔206は、500マイクロメートル未満の直径を有することができる。遠位孔206の長さ及び/又は直径は、遠位孔206を通って流れることができる流量を増加又は減少させるように変更されてもよい。例えば、遠位孔206は、遠位係合部分202を通る吸引物の流れを抑制する(すなわち、部分的に限定するが、必ずしも完全に制限しない)ことができる。中間カテーテルを介して近位流路108に吸引力が適用されると、遠位孔206を通る抑制された流れは、遠位係合部分202と第1の拡張可能な血塊係合部分102との間に負圧の領域を作り出すことができる。この負圧は、第1の血塊入口106内に血塊を向かわせる吸引力を増加させ、それによって血塊に対する把持力を改善することができる。ステントリーバー100が第2の拡張可能な血塊係合部分114を含む場合、抑制された流れによって提供される負圧はまた、血塊を第2の血塊入口118に更に引き込むことができる。
【0051】
いくつかの実施例では、遠位孔206はまた、砕けやすい血塊断片がステントリーバー100より遠位に通過することを防止するように機能することができる。上述したように、血塊は、多くの場合、脆弱で壊れやすい。血塊が血管から除去されているときに、血塊の断片が閉塞物の本体から移動する可能性がある。遠位孔206は、血塊及び装置が血管から除去される際に、はがれた断片がステントリーバー100より遠位に通過することを防止するための機構を提供する。
【0052】
遠位係合部分202は、遠位膜204の近位に位置付けられた複数の遠位血塊セル208を含み得る。遠位血塊セル208は、遠位係合部分202のフレームの一部であり得る。例えば、遠位係合部分202は、上述の材料の編組メッシュであってもよく、遠位血塊セル208は、編組メッシュの足場間の領域であり得る。遠位血塊セル208は、ステントリーバー100が血管から除去される際に、血塊を把持し、血塊がステントリーバーより遠位に移動するのを防止するのに役立ち得る。遠位血塊セル208はまた、血塊及び装置が血管から除去される際に、血塊のはがれた断片がステントリーバー100より遠位に通過するのを防止するための機構を提供することができる。
【0053】
図2は、本発明の態様による、中間カテーテル300と相互作用する例示的なステントリーバー100の側面図である。図2は、上述のように、近位流路108に位置付けられている例示的な中間カテーテル300を示す。中間カテーテル300は、近位封止領域302において近位流膜110と封止を形成することができ、それによって、吸引力が、第1の拡張可能な血塊係合部分102から中間カテーテル300を通って近位流路108へと方向付けられることを可能にする。中間カテーテル300は、シャフト112の上を前進させられることができ、シャフト112の近位端は、カテーテルが近位流路108に近接しているときに、中間カテーテル300内に存在し得る。
【0054】
図3は、本発明の態様による、中間流路402を有する例示的なステントリーバー100の側面図である。ステントリーバー100は、第2の拡張可能な血塊係合部分114の近位に隣接して位置付けられた中間流路402を含むことができる。中間流路402は、近位流路108について上述した構成と同様に、折り畳み構成及び拡張構成を有することができる。中間流路402の寸法はまた、近位流路108の寸法と同様であり得る。中間流路は、編組チューブ、レーザー切断金属チューブ、レーザー切断ポリマーチューブ及び/又は同様のものであり得る。いくつかの実施例では、中間流路402は、限定するものではないが、ニチノール、ステンレス鋼、MP35N、タングステン、及び/若しくは同様のもの、又はこれらの任意の組み合わせ若しくは合金などの材料を含むことができる。いくつかの実施例では、材料は、ニチノールなどの形状記憶材料から作製されることができ、中間流路402の拡張構成は、材料を拡張構成にヒートセットすることによって作製されることができる。
【0055】
中間流路402は、近位流路108に関して上述した近位流膜110と同様の膜を備えることができる。中間流路402は、第2の拡張可能な血塊係合部分114からの吸引物の流れを、第2の拡張可能な血塊係合部分114より近位の位置へと方向付けることができる。中間流路402を通る吸引物の流れは、吸引力を血塊上に局所化するために使用され得る。例えば、中間流路402は、吸引物吸引力が第2血塊入口118に向けて方向付けられることを可能にし、血塊に対する把持力を更に改善することができる。いくつかの実施例では、第1の血塊入口106が、血塊の少なくとも一部を捕捉するための空間を有するように、中間流路402の近位端と第1の血塊入口106との間に一定量の開放空間が配置されてもよい(図に示されるように)。
【0056】
図4は、本発明の態様による、例示的なステントリーバー100の上面図である。ステントリーバー100のこの図は、図1に示されるステントリーバー100の代替図を提供する。見て分かるように、第1の血塊入口106(及び設けられる場合には第2の血塊入口118)は、開いたままであり得、膜被覆を有していない。これにより、被覆されていない領域に血塊が進入して入口の中に捕捉される。
【0057】
図5Aは、本発明の態様による、内部チャネル404を有する例示的なステントリーバー100の側面図である。いくつかの実施例では、ステントリーバー100は、装置の近位端から遠位係合部分202まで延在する内部チャネル404を含み得る。図5Aは、第1の拡張可能な血塊係合部分102、第2の拡張可能な血塊係合部分114、又は遠位係合部分202上に膜を有しない例示的なステントリーバー100を示す。図中に膜が不在であることで、例示的な内部チャネル404を遮るものがない眺めが提供されている。内部チャネル404は、近位流路108について上述した構成と同様に、折り畳まれた構成及び拡張構成を有することができる。内部チャネル404は、いくつかの実施例では、近位流路108の延長部であり得る。これらの実施例では、近位流路108と内部チャネル404の組み合わせは、第1の拡張可能な血塊係合部分102より近位の領域から遠位係合部分202まで延在し得る。近位流路108は、本明細書に記載されるように、吸引物及び/又は吸引力を方向付けるのを助けるために、第1の血塊入口106まで延在する膜(例えば、近位流膜110)を備えることができる。
【0058】
図5Bは、本発明の態様による、例示的な内部チャネル404の側面図である。この図は、血塊に接触するための拡張可能な部分を有しない例示的な内部チャネル404を示しており、したがって、内部チャネル404の詳細図を提供する。内部チャネル404は、編組チューブ、レーザー切断金属チューブ、レーザー切断ポリマーチューブ及び/又は同様のものであってもよい。いくつかの実施例では、内部チャネル404は、限定するものではないが、ニチノール、ステンレス鋼、MP35N、タングステン、及び/若しくは同様のもの、又はこれらの任意の組み合わせ若しくは合金などの材料を含むことができる。いくつかの実施例では、材料は、ニチノールなどの形状記憶材料から作製されることができ、内部チャネル404の拡張構成は、材料を拡張構成にヒートセットすることによって作製されることができる。
【0059】
内部チャネル404は、内部チャネル404の長さに沿った位置に内部チャネル膜406を備えることができる。内部チャネル膜406は、上記の近位流膜110について説明したものと同様の材料で作製されることができる。内部チャネル膜406は、上述の1つ又は2つ以上の血塊係合部分に対応するように、内部チャネル404の長さ上の場所に位置付けられることができる。例えば、内部チャネル膜406は、第2の拡張可能な血塊係合部分114(図示せず)に近接して位置付けられることができ、それにより、吸引物は、第2の拡張可能な血塊係合部分114から内部チャネル膜406内へ、かつ装置内の近位へと方向付けられることができる。いくつかの実施例では、遠位係合部分202からの流れを方向付けるために、内部チャネル膜406は遠位係合部分202(図示せず)に近接して設けられてもよい。
【0060】
いくつかの実施例では、内部チャネル404は、内部チャネル404の表面内に複数の内部チャネル孔408を備えることができる。内部チャネル孔408は、流体が内部チャネル404の外側の領域から内部チャネル404内側の領域へと流れることを可能にする開口部であり得る。内部チャネル孔408は、近位流膜110から内部チャネル404の端部まで延在することができる。1つ又は2つ以上の内部チャネル膜406を有する実施例では、内部チャネル孔408は、膜材料で覆われていない領域内に存在し得る。いくつかの実施例では、内部チャネル孔408は、内部チャネル404の表面に切り込まれる、刻み込まれる、ドリルで穿設されるなどすることができる。他の実施例では、内部チャネル孔408は、内部チャネル404の材料の固有の特徴であり得る。例えば、内部チャネル404が編組チューブなどである場合、内部チャネル孔408は、材料の編組の間の領域であり得る。内部チャネル孔408は、大きな血塊断片が内部チャネル404に進入するのを防止し、それによってステントリーバー100が詰まるのを防止するように機能することができる。ステントリーバー100の近位端の詰まりは、血塊に対する把持力を改善する、本明細書に記載される吸引力を低下させる場合がある。内部チャネル孔408は、約200マイクロメートル~約1.50mm(例えば、約200マイクロメートル~約500マイクロメートル、約500マイクロメートル~約800マイクロメートル、800マイクロメートル~約1.20mm、又は約1.20mm~約1.50mm)である長さ及び/又は直径(特定の内部チャネル孔408の形状に応じて)を有することができることが考えられる。これらの寸法は、大きな血塊断片が内部チャネル404に進入し、吸引力を詰まらせるのを防止することができるが、小さい断片が吸引され、領域から除去される(例えば、近位流路108及び中間カテーテル300を介して)ことも可能にすることができる。
【0061】
図6は、本発明の態様による、全長内部チャネル404を有する例示的なステントリーバー100の斜視図である。図6の例示的なステントリーバー100は、図1図5Aに示される実施例が単に例示的なものであり、本明細書で企図される全ての設計を包括するものではないことを示す。いくつかの実施例では、ステントリーバー100は、近位流路108から遠位係合部分202まで延在する内部チャネル404を含み得る。内部チャネル404は、装置の長さにわたって部分的にのみ、例えば、第2の拡張可能な血塊係合部分114(又は第3の部分など)までだけ延在し得ることも考えられる。図6はまた、いくつかの実施例による、近位流路108のみが膜(すなわち、近位流膜110)を備える一方で、内部チャネル404の長さの残部は膜を備えない、例示的なステントリーバー100を示す。
【0062】
図7A及び図7Bは、本開示の態様による、ステントリーバーの例示的なフレーム504の図である。いくつかの実施例では、拡張可能な血塊係合部分(すなわち、第1の拡張可能な血塊係合部分102、第2の拡張可能な血塊係合部分114、遠位係合部分202など)は、フレーム504に取り付けられることができる。フレーム504は、図7Bに示されるように、シャフト112に取り付けられ、そこから延在して、本明細書に記載の拡張された構造体を作り出すことができる。いくつかの実施例では、全長又は部分長の内部チャネル404(例えば、図5Bに示される内部チャネル)は、シャフト112の長さに沿って、かつフレーム504の内側に延在するように提供されることができる。フレーム504は、本明細書に記載される特徴のうちのいずれかを含むことができる。
【0063】
いくつかの実施例では、遠位係合部分202の遠位端は、(図1図4に示されるような)遠位孔206の代わりに、遠位流れ開口502を含むことができる。遠位流れ開口502は、遠位係合部分202を通る吸引物の流れを抑制するように遠位膜204で覆われていない、遠位係合部分202の領域であり得る。
【0064】
図8は、本発明の態様による、部分的に開放された遠位係合部分202の端面図である。上述したように、遠位係合部分202を通る流れの抑制は、遠位係合部分202より近位に負圧を生じさせ、それによって血塊に対する把持力を増加させることができる。遠位流れ開口502は、制限された量の流体が遠位膜204を通って流れることができるようにする、遠位膜204内の部分開口部とすることができる。
【0065】
図9A図9Fは、本発明の態様による、ステントリーバー100を展開し、血管12から閉塞性血塊10を除去するための、例示的な方法を示す。図9Aは、血管12を閉塞させている血塊10を示す。図9Bにおいて、ガイドワイヤ602が、血管12を通ってかつ血塊10を横切って送り込まれることができる。次いで、マイクロカテーテル600をガイドワイヤ602の上に前進させ、血塊10の遠位に前進させることができる。ガイドワイヤ602は次いで、カニューレ状のマイクロカテーテル600内から除去されることができる。
【0066】
図9Cに示すように、装置の遠位先端120がマイクロカテーテル600の遠位端に到達するまで、ステントリーバー100をその折り畳まれた構成でマイクロカテーテル600を通して前進させることができる。図9Dに示すように、次に、ステントリーバー100の位置を維持した状態で、マイクロカテーテル600を近位に後退させることができる。マイクロカテーテル600を後退させると、ステントリーバー100が抜け出て、ステントリーバー100はその拡張構成へと拡張することができる。図9Dでは、遠位係合部分202のみが抜け出ている。
【0067】
図9Eに示されるように、一旦ステントリーバー100が抜け出て完全に拡張されると、中間カテーテル300が、例えばマイクロカテーテルの上に及び/又はステントリーバー100のシャフトに沿って近位流路108まで前進させられることができる。上述したように、近位流路108は、中間カテーテルが近位流路108に対して封止を形成することを可能にする膜を備えることができる。
【0068】
図9F及び図9Gに示すように、中間カテーテル300に吸引を適用することができる。流体16の流れは、膜で覆われた第1の拡張可能な血塊係合部分102(及び、図に示されるように、第2の拡張可能な血塊係合部分114)によって方向付けられて、血塊10を係合部分に引き込むことができる。遠位係合部分202は、遠位係合部分202を通る流体16の流れを抑制するために、本明細書に記載される遠位孔206又は遠位流れ開口502を備えることができる。遠位係合部分202を通る流体16の抑制された流れ604は、拡張可能な血塊係合部分102、114の近くに負圧領域606を形成することができ、これにより、血塊を部分102、114に引き込むことを容易にすることができる。
【0069】
図9Hに示すように、一旦吸引力が近位流路108に適用され、血塊10が十分に捕捉されると、血塊10は、中間カテーテル300内に引き込まれて血管12から除去されることができる。中間カテーテル300の位置を維持することができ、引き続き吸引を提供して、図9Iに示されるように、ステントリーバー100の遠位に移動した可能性のあるあらゆる血塊断片14を吸引することができる。いくつかの実施例では、中間カテーテル300は、ステントリーバー100及び血塊10と共に単一ユニットとして、ガイドカテーテル又はアクセスカテーテルを通して除去されることができる。
【0070】
図10A図12Bは、ステントリーバーを使用して閉塞性血塊を除去する方法を示すフロー図である。理解されるように、これらの方法工程は、本明細書に記載される例示的手段のいずれかによって、又は同様の手段によって実施されることができる。
【0071】
図10Aに概説される方法1000を参照すると、工程1010において、ステントリーバーが、血管内にかつ血塊を横切って送達されることができる。ステントリーバーは、近位端と遠位端との間の延在するシャフトを含むことができる。拡張可能な血塊係合部分は、シャフトから延在することができる。拡張可能な血塊係合部分は、流体を係合部分内に方向付ける血塊係合膜を備えることができる。血塊を捕捉するために、血塊入口が係合部分に設けられてもよい。ステントリーバーはまた、本明細書に記載されるように、近位流膜を有する近位流路を含むことができる。工程1020において、ステントリーバーを拡張するために、ステントリーバーを、例えば、アクセスシース又はマイクロカテーテルから抜け出させることができる。ステントリーバーが拡張すると、拡張可能な血塊係合部分は血塊と係合することができる。工程1030において、中間カテーテルを血管内に、ステントリーバーの近位流路まで前進させることができる。本明細書に記載されるように、中間カテーテルの内側表面は、近位流膜と共に封止を形成することができる。工程1040において、流体の流れを血塊係合膜によって近位流路に方向付けて血塊を血塊入口に引き込むために、中間カテーテルに吸引を適用することができる。工程1050において、血管から血塊を除去するために、ステントリーバーを近位に引くことができる。
【0072】
図10Aに示す方法1000は、図10Bに概説する工程のうちの1つ又は2つ以上を更に含むことができる。図10Bに概説される方法1060を参照すると、工程1070において、血塊係合部分における吸引の流れは、遠位係合部分の遠位孔によって抑制されることができる。流れの抑制は、血塊を血塊入口に引き込むための負圧を、血塊係合部分の近くに生じさせることができる。工程1080において、遠位係合部分内の複数の遠位血塊セル及び/又は遠位係合部分の遠位孔によって、砕けやすい血塊断片がステントリーバーより遠位に通過するのを防止することができる。
【0073】
図10A及び図10Bに示す方法1000及び方法1060は、図11に概説する工程のうちの1つ又は2つ以上を更に含むことができる。図11に概説される方法1100を参照すると、工程1110において、ガイドワイヤが、閉塞性血塊を横切って送達されることができる。工程1120において、マイクロカテーテルが、ガイドワイヤに沿って血塊10を横切って送達されることができる。工程1130において、マイクロカテーテルを血管内の適所に残した状態で、マイクロカテーテルからガイドワイヤを除去することができる。工程1140において、本明細書に記載されるように、ステントリーバーが、折り畳まれた構成でマイクロカテーテルを通して前進させられることができる。工程1150において、マイクロカテーテルを近位に引く(すなわち、後退させる)ことにより、ステントリーバーが拡張構成に拡張することを可能にし、それによって、血塊に外向きの半径方向力を及ぼすことができる。
【0074】
図10A図11に示す方法1000、方法1060及び方法1100は、図12Aに概説する工程のうちの1つ又は2つ以上を更に含むことができる。図12Aに概説される方法1200aを参照すると、工程1210において、ステントリーバー内(すなわち、ステントリーバーの血塊入口内)に血塊を捕捉することができ、ステントリーバー及び血塊を中間カテーテルに引き込むことができる。工程1220において、中間カテーテルを適所に残した状態で、中間カテーテルからステントリーバー及び捕捉された血塊を除去することができる。工程1230において、中間カテーテルが血管内の定位置にある状態で、中間カテーテルに吸引力を提供して、血管内のあらゆる残りの血塊断片を吸引することができる。
【0075】
図12Aに概説される方法1200aに提供される工程の代替として、図12Bに概説される工程のうちの1つ以上を実施することができる。方法1200bを参照すると、工程1240において、ステントリーバー内(すなわち、ステントリーバーの血塊入口内)に血塊を捕捉することができ、ステントリーバー及び血塊を中間カテーテルに引き込むことができる。工程1250において、ガイドカテーテル又はアクセスシースを介してステントリーバー、血塊、及び中間カテーテルを除去することができる。
【0076】
本明細書に含まれる記述は、本発明の実施形態の例であり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。本明細書に記載されるように、本発明は、代替的な構造要素の幾何学的形状を使用することと、様々な例示的実施形態からの形状及び構造要素を組み合わせることと、代替材料などを使用することと、を含む、ステントリーバー装置の多くの変形及び修正を企図する。これらの修正は、本発明が関連する当業者には明らかであり、以下の特許請求の範囲内であることが意図される。
【0077】
〔実施の態様〕
(1) 血管から血塊を除去するためのステントリーバーであって、
近位端と遠位端との間に延在するシャフトと、
前記シャフトから延在する第1の拡張可能な血塊係合部分と、
前記第1の拡張可能な血塊係合部分の近位に隣接して位置付けられた近位流路であって、前記第1の拡張可能な血塊係合部分からの吸引を前記近位流路まで方向付ける近位流膜を備える、近位流路と、を含み、
前記ステントリーバーが、マイクロカテーテルに挿入される折り畳まれた構成を含み、前記ステントリーバーが、前記血塊に外向きの半径方向力を及ぼすための拡張構成を含む、ステントリーバー。
(2) 前記第1の拡張可能な血塊係合部分が、前記血塊を捕捉する第1の血塊入口を更に備える、実施態様1に記載のステントリーバー。
(3) 前記近位流路が、
マイクロカテーテルに挿入される折り畳まれた構成と、
前記近位流路が中間カテーテルに半径方向力を及ぼす拡張構成と、を含み、
前記拡張構成において、前記近位流膜が、吸引流を方向付けるために、近位封止領域において前記中間カテーテルの内側表面と係合する、実施態様1に記載のステントリーバー。
(4) 前記第1の拡張可能な血塊係合部分が、前記吸引を前記第1の拡張可能な血塊係合部分内に方向付ける第1の血塊係合膜を備える、実施態様1に記載のステントリーバー。
(5) 前記シャフトから延在する第2の拡張可能な血塊係合部分を更に含み、
前記第2の拡張可能な血塊係合部分が、前記第1の拡張可能な血塊係合部分の遠位に位置付けられている、実施態様1に記載のステントリーバー。
【0078】
(6) 前記第2の拡張可能な血塊係合部分が、前記吸引を前記第2の拡張可能な血塊係合部分内に方向付ける第2の血塊係合膜を備える、実施態様5に記載のステントリーバー。
(7) 前記第2の拡張可能な血塊係合部分の近位に隣接して位置付けられた中間流路を更に含む、実施態様5に記載のステントリーバー。
(8) 前記第1の拡張可能な血塊係合部分の遠位に位置付けられ、前記シャフトから延在する遠位係合部分を更に含み、前記遠位係合部分が、血塊断片を捕捉する複数の遠位血塊セルを含む、実施態様1に記載のステントリーバー。
(9) 前記遠位係合部分が遠位膜を備え、前記遠位膜が、前記遠位係合部分内への前記吸引の流れを抑制する遠位孔を備える、実施態様8に記載のステントリーバー。
(10) 前記第1の拡張可能な血塊係合部分が、前記血塊を捕捉する第1の血塊入口を更に備え、
前記遠位膜が、前記遠位係合部分から前記近位流路への流れを抑制して、前記第1の拡張可能な血塊係合部分において負圧を生成し、それによって、前記血塊を前記第1の血塊入口に引き込む、実施態様9に記載のステントリーバー。
【0079】
(11) 血管から血塊を除去するためのシステムであって、
ステントリーバーであって、
近位端と遠位端との間に延在するシャフトと、
前記シャフトから延在する第1の拡張可能な血塊係合部分と、
前記第1の拡張可能な血塊係合部分の近位に隣接して位置付けられた近位流路であって、近位流膜を備える、近位流路と、を含む、ステントリーバーと、
中間カテーテルと、を含み、
前記ステントリーバーが、マイクロカテーテルに挿入される折り畳まれた構成を含み、
前記ステントリーバーが、前記血管内で拡張される拡張構成を含み、
前記拡張構成において、前記近位流路が、前記中間カテーテルに半径方向力を及ぼし、
前記近位流膜が、前記中間カテーテルの内側表面に対して封止する、システム
(12) 前記第1の拡張可能な血塊係合部分が、前記血塊を捕捉する第1の血塊入口を更に備える、実施態様11に記載のシステム。
(13) 前記第1の拡張可能な血塊係合部分が、吸引を前記第1の拡張可能な血塊係合部分内に方向付ける第1の血塊係合膜を備える、実施態様11に記載のシステム。
(14) 前記ステントリーバーが、前記シャフトから延在する第2の拡張可能な血塊係合部分を更に含み、
前記第2の拡張可能な血塊係合部分が、前記第1の拡張可能な血塊係合部分の遠位に位置付けられており、
前記第2の拡張可能な血塊係合部分が、前記血塊を捕捉する第2の血塊入口を更に備える、実施態様11に記載のシステム。
(15) 前記ステントリーバーが、前記第2の拡張可能な血塊係合部分の近位に隣接して位置付けられた中間流路を更に含む、実施態様14に記載のシステム。
【0080】
(16) 前記第2の拡張可能な血塊係合部分が、吸引を前記第2の拡張可能な血塊係合部分内に方向付ける第2の血塊係合膜を備える、実施態様14に記載のシステム。
(17) 前記ステントリーバーが、前記第1の拡張可能な血塊係合部分の遠位に位置付けられ、前記シャフトから延在する遠位係合部分を更に含み、前記遠位係合部分が、前記遠位係合部分内への吸引の流れを抑制する複数の遠位孔を備える、実施態様11に記載のシステム。
(18) 血管から血塊を除去する方法であって、
前記血管内にかつ前記血塊を横切ってステントリーバーを送達することであって、前記ステントリーバーは、
近位端と遠位端との間に延在するシャフトと、
前記シャフトから延在する拡張可能な血塊係合部分であって、流体を前記拡張可能な血塊係合部分内に方向付ける血塊係合膜、及び血塊入口を備える、拡張可能な血塊係合部分と、
前記拡張可能な血塊係合部分の近位に隣接して位置付けられた近位流路であって、前記近位流路は近位流膜を備え、前記近位流膜が、前記流体を、前記拡張可能な血塊係合部分から前記近位流路まで方向付ける、近位流路と、を含む、ことと、
前記拡張可能な血塊係合部分が拡張し、前記血塊に係合するために前記血塊に半径方向力を及ぼすように、前記ステントリーバーを拡張させることと、
中間カテーテルを前記血管内にかつ前記近位流路に前進させることであって、前記近位流膜が前記中間カテーテルの内側表面に対して封止する、ことと、
前記血塊を前記血塊入口内に捕捉するために、前記流体の流れが前記血塊係合膜によって前記近位流路内に方向付けられるように、前記中間カテーテルに吸引を適用することと、
前記血管から前記血塊を除去するために、前記ステントリーバーを近位に引くことと、を含む、方法。
(19) 前記ステントリーバーが、
前記拡張可能な血塊係合部分の遠位に位置付けられかつ前記シャフトから延在する遠位係合部分を更に含み、前記遠位係合部分が、複数の遠位孔を有する遠位膜を備え、
前記方法が、
前記複数の遠位孔を通って前記遠位係合部分に入る前記流体の前記流れを、前記遠位膜によって抑制することを更に含み、前記流体の前記流れを抑制することが、前記血塊を前記血塊入口内に引き込むための負圧を生成する、実施態様18に記載の血管から血塊を除去する方法。
(20) 前記遠位係合部分が、複数の遠位血塊セルを更に含み、
前記方法が、
少なくともいくつかの血塊断片が前記ステントリーバーより遠位に通過することを、前記複数の遠位血塊セルによって防止することを更に含む、実施態様19に記載の血管から血塊を除去する方法。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図9I
図10A
図10B
図11
図12A
図12B