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特許7589042人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システム
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20241118BHJP
【FI】
B62M6/45
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020219526
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022104358
(43)【公開日】2022-07-08
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】勝木 琢也
(72)【発明者】
【氏名】永田 紀一郎
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 大樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 利彦
(72)【発明者】
【氏名】桑山 和也
(72)【発明者】
【氏名】宮川 敦史
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-011617(JP,A)
【文献】特開平09-086477(JP,A)
【文献】特開2016-203932(JP,A)
【文献】特開2019-172227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車の推進をアシストする電動モータを含むドライブユニットと、制動力を発生させるブレーキ装置と、前記電動モータとは異なる電動アクチュエータによって前記制動力を制御するブレーキ制御装置と、を含む人力駆動車に用いられる制御装置であって、
前記ブレーキ制御装置の作動状態に応じて前記電動モータを制御する制御部を備え
前記制御部は、
前記ブレーキ装置が作動し、かつ、前記ブレーキ制御装置を作動させる場合、前記電動モータの制御状態を変更し、
前記ブレーキ装置が作動し、かつ、前記ブレーキ制御装置が作動しない場合、前記電動モータの前記制御状態を変更しない、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ブレーキ装置が作動し、かつ、前記ブレーキ制御装置が作動せず、かつ、変更条件が満たされる場合、前記電動モータの前記制御状態を変更する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ブレーキ制御装置の作動状態に応じて前記電動モータの駆動を停止する、請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ブレーキ制御装置の作動状態に応じて前記電動モータの前記制御状態を第1状態から第2状態に変更し、
前記第2状態は、前記第1状態よりも前記電動モータのアシストレベルが小さい、請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ブレーキ制御装置を作動させる場合、前記電動モータの前記制御状態を前記第1状態から前記第2状態に変更する、請求項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ブレーキ制御装置の作動を停止してから第1期間が経過するまでに前記ブレーキ制御装置を作動させる場合、前記電動モータの前記制御状態を前記第1状態から前記第2状態に変更する、請求項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記電動モータの前記制御状態が前記第2状態の場合、第1条件が満たされると前記電動モータの前記制御状態を前記第2状態から前記第1状態に変更する、請求項からのいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ブレーキ制御装置の作動状態に応じて前記電動モータの前記制御状態を第3状態から第4状態に変更し、
前記第4状態は、前記第3状態よりも前記電動モータのアシストレベルが大きい、請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記ブレーキ制御装置を作動状態から停止状態に変更し、かつ、前記人力駆動車の車速が所定車速以上の場合、前記電動モータの前記制御状態を前記第3状態から前記第4状態に変更する、請求項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記人力駆動車の走行状態に関する所定条件が満たされると前記電動モータを駆動し、前記ブレーキ制御装置が作動する場合、前記所定条件が満たされても前記電動モータを駆動しない、請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記ブレーキ制御装置を作動状態から停止状態に変更し、かつ、前記人力駆動車の車速が前記所定車速以上の場合、前記電動モータの前記制御状態を前記第3状態から前記第4状態に変更した後、第2条件を満たすと、前記電動モータの前記制御状態を前記第4状態から前記第3状態に変更し、
前記第2条件は、第2期間が経過すること、および、前記人力駆動車の走行状態が所定状態になることの少なくとも一方により満たされる、請求項に記載の制御装置。
【請求項12】
人力駆動車用の制御システムであって、
請求項1から11のいずれか一項に記載の人力駆動車用の制御装置と、
前記ドライブユニットと、
前記ブレーキ制御装置と、を備える、制御システム。
【請求項13】
前記ブレーキ装置は、流体の圧力によって前記制動力を発生させ、
前記ブレーキ制御装置は、前記流体の流路に設けられるバルブを前記電動アクチュエータによって駆動させる、請求項12に記載の制御システム。
【請求項14】
前記ブレーキ装置は、流体の圧力によって前記制動力を発生させ、
前記ブレーキ制御装置は、前記流体の流路に設けられるポンプを前記電動アクチュエータによって駆動させる、請求項12に記載の制御システム。
【請求項15】
前記ブレーキ制御装置は、前記ブレーキ装置と一体に構成される、請求項12または13に記載の制御システム。
【請求項16】
前記人力駆動車は、第1車輪および第2車輪を備え、
前記電動アクチュエータは、前記第1車輪と対応する第1アクチュエータと、前記第2車輪と対応する第2アクチュエータと、を備える、請求項12から15のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項17】
前記制御部は、前記電動モータを制御する第1制御部、および、前記電動アクチュエータを制御する第2制御部を備え、
前記第1制御部は、前記ドライブユニットに設けられ、
前記第2制御部は、前記ブレーキ制御装置に設けられ、
前記人力駆動車は、第1車輪および第2車輪を備え、
前記電動アクチュエータは、前記第1車輪と対応する第1アクチュエータと、前記第2車輪と対応する第2アクチュエータと、を備え、
前記第2制御部は、前記第1アクチュエータを制御する第3制御部と、前記第2アクチュエータを制御する第4制御部と、を備える、請求項12から15のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項18】
前記制御部は、前記電動モータを制御する第1制御部、および、前記電動アクチュエータを制御する第2制御部を備え、
前記第1制御部は、前記ドライブユニットに設けられ、
前記第2制御部は、前記ブレーキ制御装置に設けられる、請求項12から16のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項19】
前記制御部は、前記電動モータを制御する第1制御部、および、前記電動アクチュエータを制御する第2制御部を備え、
前記第1制御部および前記第2制御部は、一体に構成される、請求項12から16のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項20】
前記ドライブユニットに設けられて前記第1制御部に接続される第1通信部と、前記ブレーキ制御装置に設けられて前記第2制御部に接続される第2通信部と、をさらに備え、
前記第1通信部と前記第2通信部とは、有線通信または無線通信によって通信可能に接続される、請求項17または18に記載の制御システム。
【請求項21】
前記第1制御部と前記第1通信部とは、一体に構成される、請求項20に記載の制御システム。
【請求項22】
前記第2制御部と前記第2通信部とは、一体に構成される、請求項20または21に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、人力駆動車用のブレーキ制御装置を開示する。特許文献1の人力駆動車用の制御装置は、人力駆動車の推進をアシストするモータを用いてブレーキを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-203932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的の1つは、人力駆動車の推進をアシストするモータを好適に制御できる人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車の推進をアシストする電動モータを含むドライブユニットと、制動力を発生させるブレーキ装置と、前記電動モータとは異なる電動アクチュエータによって前記制動力を制御するブレーキ制御装置と、を含む人力駆動車に用いられる制御装置であって、前記ブレーキ制御装置の作動状態に応じて前記電動モータを制御する制御部を備える。
上記第1側面の制御装置によれば、ブレーキ制御装置の作動状態に応じて、人力駆動車の推進をアシストするモータを好適に制御できる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記制御部は、前記ブレーキ制御装置の作動状態に応じて前記電動モータの駆動を停止する。
上記第2側面の制御装置によれば、ブレーキ制御装置の作動状態に応じて電動モータの駆動を停止できる。
【0007】
前記第1側面に従う第3側面の制御装置において、前記制御部は、前記ブレーキ制御装置の作動状態に応じて前記電動モータの制御状態を第1状態から第2状態に変更し、前記第2状態は、前記第1状態よりも前記電動モータのアシストレベルが小さい。
上記第3側面の制御装置によれば、ブレーキ制御装置の作動状態に応じて、電動モータのアシストレベルを小さくできる。
【0008】
前記第3側面に従う第4側面の制御装置において、前記制御部は、前記ブレーキ制御装置を作動させる場合、前記電動モータの前記制御状態を前記第1状態から前記第2状態に変更する。
上記第4側面の制御装置によれば、ブレーキ制御装置を作動させる場合に、電動モータのアシストレベルを小さくできる。
【0009】
前記第3側面に従う第5側面の制御装置において、前記制御部は、前記ブレーキ制御装置の作動を停止してから第1期間が経過するまでに前記ブレーキ制御装置を作動させる場合、前記電動モータの制御状態を前記第1状態から前記第2状態に変更する。
上記第5側面の制御装置によれば、ブレーキ制御装置の作動を停止してから第1期間が経過するまでにブレーキ制御装置を作動させる場合、電動モータのアシストレベルを小さくできる。
【0010】
前記第3から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の制御装置において、前記制御部は、前記電動モータの制御状態が第2状態の場合、第1条件が満たされると前記電動モータの制御状態を前記第2状態から前記第1状態に変更する。
上記第6側面の制御装置によれば、第1条件が満たされると、モータの制御状態を第2状態から第1状態に変更できる。
【0011】
前記第1側面に従う第7側面の制御装置において、前記制御部は、前記ブレーキ制御装置の作動状態に応じて前記電動モータの制御状態を第3状態から第4状態に変更し、前記第4状態は、前記第3状態よりも前記電動モータのアシストレベルが大きい。
上記第7側面の制御装置によれば、ブレーキ制御装置の作動状態に応じて、電動モータのアシストレベルを大きくできる。
【0012】
前記第7側面に従う第8側面の制御装置において、前記制御部は、前記ブレーキ制御装置を作動状態から停止状態に変更し、かつ、前記人力駆動車の車速が所定車速以上の場合、前記電動モータの制御状態を第3状態から第4状態に変更する。
上記第8側面の制御装置によれば、ブレーキ制御装置を作動状態から停止状態に変更し、かつ、人力駆動車の車速が所定車速以上の場合、アシストレベルを大きくできる。このため、ブレーキ制御装置を作動状態から停止状態に変更した場合、ライダの負荷の上昇を抑制できる。
【0013】
前記第1側面に従う第9側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の走行状態に関する所定条件が満たされると前記電動モータを駆動し、前記ブレーキ制御装置が作動する場合、前記所定条件が満たされても前記電動モータを駆動しない。
上記第9側面の制御装置によれば、ブレーキ制御装置が作動する場合、所定条件が満たされても電動モータを駆動しないため、ブレーキ制御装置が作動する場合に電動モータの駆動が人力駆動車の走行状態に影響を与えることを抑制できる。
【0014】
前記第8側面に従う第10側面の制御装置において、前記制御部は、前記ブレーキ制御装置を作動状態から停止状態に変更し、かつ、前記人力駆動車の車速が前記所定車速以上の場合、前記電動モータの前記制御状態を前記第3状態から前記第4状態に変更した後、第2条件を満たすと、前記電動モータの前記制御状態を前記第4状態から前記第3状態に変更し、前記第2条件は、第2期間が経過すること、および、前記人力駆動車の走行状態が所定状態になることの少なくとも一方により満たされる。
上記第10側面の制御装置によれば、第2期間が経過すること、および、人力駆動車の走行状態が所定状態になることの少なくとも一方の場合、アシストレベルを小さくできる。
【0015】
本開示の第11側面に従う制御システムは、人力駆動車用の制御システムであって、第1から第10側面のいずれか1つに記載の人力駆動車用の制御装置と、前記ドライブユニットと、前記ブレーキ制御装置と、を備える。
上記第11側面の制御システムによれば、ドライブユニットとブレーキ制御装置とを備える制御システムにおいて、モータを好適に制御できる。
【0016】
前記第11側面に従う第12側面の制御システムにおいて、前記ブレーキ装置は、流体の圧力によって前記制動力を発生させ、前記ブレーキ制御装置は、前記流体の流路に設けられるバルブを前記電動アクチュエータによって駆動させる。
上記第12側面の制御システムによれば、バルブを駆動させることによってブレーキ制御装置を作動できる。
【0017】
前記第11側面に従う第13側面の制御システムにおいて、前記ブレーキ装置は、流体の圧力によって前記制動力を発生させ、前記ブレーキ制御装置は、前記流体の流路に設けられるポンプを前記電動アクチュエータによって駆動させる。
上記第13側面の制御システムによれば、ポンプを駆動することによってブレーキ制御装置を作動できる。
【0018】
前記第11または第12側面に従う第14側面の制御システムにおいて、前記ブレーキ制御装置は、前記ブレーキ装置と一体に構成される。
上記第14側面の制御システムによれば、ブレーキ制御装置をブレーキ装置と一体に構成できるため、部品点数を削減できる。
【0019】
前記第11から第14側面のいずれか1つに従う第15側面の制御システムにおいて、前記人力駆動車は、第1車輪および第2車輪を備え、前記電動アクチュエータは、前記第1車輪と対応する第1アクチュエータと、前記第2車輪と対応する第2アクチュエータと、を備える。
上記第15側面の制御システムによれば、第1車輪および第2車輪のそれぞれを好適に制動できる。
【0020】
前記第11から第14側面のいずれか1つに従う第16側面の制御システムにおいて、前記制御部は、前記電動モータを制御する第1制御部、および、前記電動アクチュエータを制御する第2制御部を備え、前記第1制御部は、前記ドライブユニットに設けられ、前記第2制御部は、前記ブレーキ制御装置に設けられ、前記人力駆動車は、第1車輪および第2車輪を備え、前記電動アクチュエータは、前記第1車輪と対応する第1アクチュエータと、前記第2車輪と対応する第2アクチュエータと、を備え、前記第2制御部は、前記第1アクチュエータを制御する第3制御部と、前記第2アクチュエータを制御する第4制御部と、を備える。
上記第16側面の制御システムによれば、第3制御部と、第4制御部とによって、第1アクチュエータと第2アクチュエータとのそれぞれを好適に制御できる。
【0021】
前記第11から第15側面のいずれか1つに従う第17側面の制御システムにおいて、前記制御部は、前記電動モータを制御する第1制御部、および、前記電動アクチュエータを制御する第2制御部を備え、前記第1制御部は、前記ドライブユニットに設けられ、前記第2制御部は、前記ブレーキ制御装置に設けられる。
上記第17側面の制御システムによれば、モータを制御する第1制御部がドライブユニットに設けられ、ブレーキ制御装置を制御する第2制御部がブレーキ制御装置に設けられるため、制御システムを簡便に構成できる。
【0022】
前記第11から第15側面のいずれか1つに従う第18側面の制御システムにおいて、前記制御部は、前記電動モータを制御する第1制御部、および、前記電動アクチュエータを制御する第2制御部を備え、前記第1制御部および前記第2制御部は、一体に構成される。
上記第18側面の制御システムによれば、第1制御部と第2制御部とを一体に構成できるため、部品点数を削減できる。
【0023】
前記第16または第17側面に従う第19側面の制御システムにおいて、前記ドライブユニットに設けられて前記第1制御部に接続される第1通信部と、前記ブレーキ制御装置に設けられて前記第2制御部に接続される第2通信部と、をさらに備え、前記第1通信部と前記第2通信部とは、有線通信または無線通信によって通信可能に接続される。
上記第19側面の制御システムによれば、第1通信部と第2通信部とを、有線通信または無線通信によって通信可能に接続することによって、第1制御部と第2制御部との間において好適に情報の送信および受信が行える。
【0024】
前記第19側面に従う第20側面の制御システムにおいて、前記第1制御部と前記第1通信部とは、一体に構成される。
上記第20側面の制御システムによれば、第1制御部と第1通信部とを一体に構成することによって、制御システムを簡便に構成できる。
【0025】
前記第19または第20側面に従う第21側面の制御システムにおいて、前記第2制御部と前記第2通信部とは、一体に構成される。
上記第21側面の制御システムによれば、第2制御部と第2通信部とを一体に構成することによって、制御システムを簡便に構成できる。
【発明の効果】
【0026】
本開示の人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システムは、人力駆動車の推進をアシストするモータを好適に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態の人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システムを含む人力駆動車の側面図。
図2図1のブレーキ装置の構成を示す平面図。
図3図2のブレーキ装置およびブレーキ制御装置の構成を示す模式図。
図4】第1実施形態の人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システム、を含む人力駆動車の電気的な構成を示すブロック図。
図5図4の第2制御部によって実行され、ブレーキ制御装置を制御する処理のフローチャート。
図6図4の第1制御部によって実行され、所定条件に応じて電動モータを制御する処理のフローチャート。
図7図4の第1制御部によって実行され、電動モータを制御する処理のフローチャート。
図8】第2実施形態の制御部によって実行され、電動モータを制御する処理のフローチャート。
図9】第3実施形態の制御部によって実行され、電動モータを制御する処理のフローチャート。
図10】第4実施形態の制御部によって実行され、電動モータを制御する処理のフローチャート。
図11】第1変形例の人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システム、を含む人力駆動車の電気的な構成を示すブロック図。
図12】第2変形例の人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システム、を含む人力駆動車の電気的な構成を示すブロック図。
図13】第3変形例のブレーキ装置およびブレーキ制御装置の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
図1から図7を参照して、第1実施形態の人力駆動車用の制御システム40および人力駆動車用の制御装置80について説明する。人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力Hによって駆動できる乗り物である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、ハンドバイク、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車10が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車10は、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車10は、人力駆動力Hだけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(e-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10を、電動アシスト自転車、かつ、マウンテンバイクとして説明する。
【0029】
人力駆動車10は、人力駆動力Hが入力されるクランク12を備える。人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪14と、フレーム16と、をさらに備える。人力駆動車10は、第1車輪14Aおよび第2車輪14Bを備える。クランク12は、フレーム16に対して回転可能な入力回転軸12Aと、入力回転軸12Aの軸方向の第1端部に設けられる第1クランクアーム12Bと、入力回転軸12Aの軸方向の第2端部に設けられる第2クランクアーム12Cと、を含む。本実施形態において、入力回転軸12Aは、クランク軸である。第1クランクアーム12Bには、第1ペダル13Aが連結される。第2クランクアーム12Cには、第2ペダル13Bが連結される。
【0030】
駆動機構は、入力回転軸12Aに連結される第1回転体24を含む。入力回転軸12Aと第1回転体24とは、一体回転するように連結されてもよく、第1ワンウェイクラッチを介して連結されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク12が前転した場合に、第1回転体24を前転させ、クランク12が後転した場合に、クランク12と第1回転体24との相対回転を許容するように構成される。第1回転体24は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構は、第2回転体26と、連結部材28とをさらに含む。連結部材28は、第1回転体24の回転力を第2回転体26に伝達する。連結部材28は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0031】
第2回転体26は、第2車輪14Bに連結される。第2回転体26は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体26と第2車輪14Bとの間には、好ましくは、第2ワンウェイクラッチが設けられている。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体26が前転する場合に、第2車輪14Bを前転させ、第2回転体26が後転する場合に、第2回転体26と第2車輪14Bとの相対回転を許容するように構成される。人力駆動車10は、変速機を含んでいてもよい。変速機は、外装変速機および内装変速機の少なくとも1つを含む。外装変速機は、例えば、ディレーラ、第1回転体24、および、第2回転体26を含む。ディレーラは、フロントディレーラおよびリアディレーラの少なくとも1つを含む。第1回転体24は、複数のスプロケットを含んでいてもよい。第2回転体26は、複数のスプロケットを含んでいてもよい。内装変速機は、例えば、第2車輪14Bのハブに設けられてもよく、入力回転軸12Aから第1回転体24までの動力伝達経路に設けられてもよい。
【0032】
フレーム16には、フロントフォーク22を介して第1車輪14Aが取り付けられる。フロントフォーク22には、ハンドルバー20がステム18を介して連結される。本実施形態では、第2車輪14Bが駆動機構によってクランク12に連結されるが、第2車輪14Bおよび第1車輪14Aの少なくとも1つが、駆動機構によってクランク12に連結されてもよい。
【0033】
人力駆動車10は、人力駆動車用の制御システム40を備える。人力駆動車10は、人力駆動車10の推進をアシストする電動モータ72を含むドライブユニット70と、制動力を発生させるブレーキ装置30と、電動モータ72とは異なる電動アクチュエータ52によって制動力を制御するブレーキ制御装置50と、を含む。人力駆動車用の制御システム40は、人力駆動車用の制御装置80と、ドライブユニット70と、ブレーキ制御装置50と、を備える。
【0034】
制御システム40は、バッテリ46をさらに含む。バッテリ46は、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。バッテリ46は、制御装置80に電力を供給するように構成される。バッテリ46は、好ましくは、制御装置80の制御部82と電気ケーブルまたは無線通信装置を介して通信可能に接続される。バッテリ46は、例えば電力線通信(PLC;Power Line Communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)によって制御部82と通信可能である。
【0035】
ブレーキ装置30は、ブレーキ操作装置32、ブレーキ作動装置34、および、接続部材36を含む。ブレーキ装置30は、車輪14に制動力を付与する。ブレーキ操作装置32は、ブレーキ作動装置34を操作するために、ブレーキ作動装置34に接続される。ブレーキ作動装置34は、第1車輪14Aに制動力を付与する。ブレーキ作動装置34は、第2車輪14Bに制動力を付与するものであってもよい。接続部材36は、ブレーキ制御装置50の本体50Aと、ブレーキ操作装置32およびブレーキ作動装置34と、を接続する。
【0036】
ブレーキ操作装置32は、例えば、ハンドルバー20に設けられる。ブレーキ作動装置34は、ディスクブレーキシステムであってもよく、リムブレーキシステムであってもよく、ローラブレーキシステムであってもよい。本実施形態では、ブレーキ装置30はディスクブレーキシステムであり、ブレーキ作動装置34は、ディスクブレーキキャリパである。ブレーキ作動装置34は、車輪14に設けられるディスクブレーキロータを制動するように構成される。好ましくは、ブレーキ装置30は、流体の圧力によって制動力を発生させる。流体は、例えば作動油である。接続部材36の内部には流体が充填される。接続部材36は、ブレーキホースである。
【0037】
ブレーキ装置30は、ブレーキ操作装置32への操作に伴う流体の移動によってブレーキ作動装置34を作動させる。ブレーキ作動装置34は、ブレーキ操作装置32の操作量に応じて作動する。ブレーキ操作装置32の操作量が大きくなるほど、ブレーキ作動装置34による制動力が大きくなる。
【0038】
図3および図4に示すように、人力駆動車10は、ブレーキ装置30による制動力を制御可能に構成されるブレーキ制御装置50を含む。ブレーキ制御装置50は、流体の流路に設けられるバルブ54を電動アクチュエータ52によって駆動させる。好ましくは、ブレーキ制御装置50は、ブレーキ装置30と一体に構成される。ブレーキ制御装置50は、ブレーキ操作装置32の操作量と制動力との関係を変更可能に構成される。ブレーキ制御装置50は、本体50Aを備える。本体50Aは、例えば、フレーム16に設けられる。本実施形態では、本体50Aは、フレーム16の内部に設けられる。本体50Aは、フレーム16の外面に取り付けられてもよい。本体50Aは、ステム18、ハンドルバー20、または、フロントフォーク22に設けられてもよい。
【0039】
図3に示すように、本体50Aには、電動アクチュエータ52と、バルブ54と、が設けられる。バルブ54は、ブレーキ操作装置32とブレーキ作動装置34との間の流体の圧力を制御する。好ましくは、バルブ54は、本体50Aの流体室に設けられる。電動アクチュエータ52は、例えば、電気モータである。電動アクチュエータ52は、ソレノイドであってもよい。電動アクチュエータ52は、流体圧力を変更するように構成される。好ましくは、ブレーキ制御装置50は、電動アクチュエータ52の回転体の回転運動を直線運動に変換してバルブ54に伝える変換機構、および、電動アクチュエータ52の回転体の回転運動を変速して変換機構に伝える伝達機構を含む。
【0040】
接続部材36は、第1接続部材36A、および、第2接続部材36Bを含む。本体50Aは、第1接続部材36Aを介してブレーキ操作装置32に接続される第1ポート56と、第2接続部材36Bを介してブレーキ作動装置34に接続される第2ポート58と、を有する。バルブ54は、第1ポート56と第2ポート58との間における流体の流通状態を変更する。電動アクチュエータ52は、電動アクチュエータ52に電力を供給する電源に電気的に接続される。好ましくは、電源は、電動モータ72と電気的に接続されるバッテリ46である。バッテリ46とは別に、ブレーキ制御装置50専用の電源を準備してもよい。
【0041】
ドライブユニット70の電動モータ72は、1または複数の電気モータを含む。電気モータは、例えば、ブラシレスモータである。電動モータ72は、ペダル13A,13Bから第2車輪14Bまでの人力駆動力Hの動力伝達経路、および、第1車輪14Aの少なくとも1つに回転力を伝達するように構成される。ペダル13A,13Bから第2車輪14Bまでの人力駆動力Hの動力伝達経路には、第2車輪14Bも含まれる。本実施形態では、電動モータ72は、人力駆動車10のフレーム16に設けられ、第1回転体24に回転力を伝達するように構成される。
【0042】
電動モータ72は、ハウジング70Aに設けられる。ハウジング70Aは、フレーム16に設けられる。ハウジング70Aは、例えばフレーム16に着脱可能に取り付けられる。電動モータ72およびハウジング70Aを含んで、ドライブユニット70が構成される。ドライブユニット70には、電動モータ72の出力軸に接続される減速機が設けられてもよい。本実施形態では、ハウジング70Aは、入力回転軸12Aを回転可能に支持される。本実施形態では、電動モータ72と入力回転軸12Aとの間の動力伝達経路において、好ましくは、第3ワンウェイクラッチが設けられる。第3ワンウェイクラッチは、人力駆動車10が前進する方向に入力回転軸12Aを回転させた場合における、クランク12の回転力の電動モータ72への伝達を抑制するように構成される。第2車輪14Bおよび第1車輪14Aの少なくとも1つに電動モータ72が設けられる場合、電動モータ72は、ハブに設けられて、ハブと共にハブモータを構成し得る。
【0043】
制御装置80は、制御部82を備える。制御部82は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。制御部82に含まれる演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部82に含まれる演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。例えば、演算処理装置の一部は、人力駆動車10に設けられ、演算処理装置の他の一部は、インターネットに接続されるサーバに設けられてもよい。演算処理装置が、相互に離れた複数の場所に設けられる場合、演算処理装置の各部分は、無線通信装置を介して相互に通信可能に接続される。制御部82は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。
【0044】
図4に示されるように、好ましくは、制御部82は、電動モータ72を制御する第1制御部82A、および、電動アクチュエータ52を制御する第2制御部82Bを備える。第1制御部82Aは、ドライブユニット70に設けられ、第2制御部82Bは、ブレーキ制御装置50に設けられる。第1制御部82Aは、一部のみがドライブユニット70に設けられてもよい。第1制御部82Aは、一部がブレーキ制御装置50に設けられてもよく、全部がブレーキ制御装置50に設けられてもよい。第2制御部82Bは、一部のみがブレーキ制御装置50に設けられてもよい。第2制御部82Bは、一部がドライブユニット70に設けられてもよく、全部がドライブユニット70に設けられてもよい。
【0045】
第1制御部82Aは、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。第1制御部82Aに含まれる演算処理装置は、例えばCPUまたはMPUを含む。第1制御部82Aに含まれる演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。演算処理装置が、相互に離れた複数の場所に設けられる場合、演算処理装置の各部分は、無線通信装置を介して相互に通信可能に接続される。第1制御部82Aは、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。
【0046】
第2制御部82Bは、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。第2制御部82Bに含まれる演算処理装置は、例えばCPUまたはMPUを含む。第2制御部82Bに含まれる演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。演算処理装置が、相互に離れた複数の場所に設けられる場合、演算処理装置の各部分は、無線通信装置を介して相互に通信可能に接続される。第2制御部82Bは、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。
【0047】
好ましくは、制御装置80は、記憶部84をさらに含む。記憶部84には、制御プログラムと、制御処理に用いられる情報と、が記憶される。記憶部84は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。
【0048】
好ましくは、記憶部84は、第1記憶部84Aおよび第2記憶部84Bを備える。第1記憶部84Aは、ドライブユニット70に設けられ、第2記憶部84Bは、ブレーキ制御装置50に設けられる。第1記憶部84Aは、一部のみがドライブユニット70に設けられてもよい。第1記憶部84Aは、一部がブレーキ制御装置50に設けられてもよく、全部がブレーキ制御装置50に設けられてもよい。第2記憶部84Bは、一部のみがブレーキ制御装置50に設けられてもよい。第2記憶部84Bは、一部がドライブユニット70に設けられてもよく、全部がドライブユニット70に設けられてもよい。
【0049】
第1記憶部84Aには、制御プログラムと、制御処理に用いられる情報と、が記憶される。第1記憶部84Aは、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM、EPROM、EEPROM、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAMを含む。第1記憶部84Aには、例えば、電動モータ72の制御に関する制御プログラムと、制御処理に用いられる情報と、が記憶される。
【0050】
第2記憶部84Bには、制御プログラムと、制御処理に用いられる情報と、が記憶される。第2記憶部84Bは、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM、EPROM、EEPROM、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAMを含む。第2記憶部84Bには、例えば、ブレーキ制御装置50の制御に関する制御プログラムと、制御処理に用いられる情報と、が記憶される。
【0051】
好ましくは、制御システム40は、第1通信部42と、第2通信部44と、をさらに備える。第1通信部42は、ドライブユニット70に設けられて第1制御部82Aに接続される。第2通信部44は、ブレーキ制御装置50に設けられて第2制御部82Bに接続される。第1通信部42と第2通信部44とは、有線通信または無線通信によって通信可能に接続される。第2通信部44は、例えば、ブレーキ制御装置50の作動状態に関する情報を第1通信部42に送信する。
【0052】
好ましくは、第1制御部82Aと第1通信部42とは、一体に構成される。例えば、第1制御部82Aと、第1通信部42とは、同一の回路基板に設けられる。好ましくは、第2制御部82Bと第2通信部44とは、一体に構成される。例えば、第2制御部82Bと、第2通信部44とは、同一の回路基板に設けられる。
【0053】
制御装置80は、好ましくは、電動モータ72の駆動回路86をさらに備える。駆動回路86と、制御部82とは、好ましくは、ドライブユニット70のハウジング70Aに設けられる。駆動回路86と、制御部82とは、例えば同一の回路基板に設けられてもよい。駆動回路86は、インバータ回路を含む。駆動回路86は、バッテリ46から電動モータ72に供給される電力を制御する。駆動回路86は、制御部82と、導電線、電気ケーブルまたは無線通信装置などを介して接続される。駆動回路86は、制御部82からの制御信号に応じて電動モータ72を駆動させる。
【0054】
好ましくは、人力駆動車10は、車速センサ60、クランク回転センサ62、および、人力駆動力検出部64の少なくとも1つをさらに含む。
【0055】
車速センサ60は、人力駆動車10の車速Vに関する情報を検出するように構成される。本実施形態では、車速センサ60は、人力駆動車10の少なくとも1つの車輪14の回転速度Wに関する情報を検出するように構成される。車速センサ60は、例えば、人力駆動車10の少なくとも1つの車輪14に設けられる磁石を検出するように構成される。車速センサ60は、例えば、少なくとも1つの車輪14のうちの1つの車輪14が1回転する間に、予め定める回数の検出信号を出力するように構成される。予め定める回数は、例えば、1である。車速センサ60は、車輪14の回転速度Wに応じた信号を出力する。制御部82は、車輪14の回転速度Wに応じた信号と、車輪14の周長に関する情報とに基づいて人力駆動車10の車速Vを算出できる。記憶部84には車輪14の周長に関する情報が記憶される。
【0056】
車速センサ60は、例えばリードスイッチを構成する磁性リード、または、ホール素子などの磁気センサを含む。車速センサ60は、人力駆動車10のフレーム16のチェーンステイに取り付けられ、第2車輪14Bに取り付けられる磁石を検出する構成としてもよく、フロントフォーク22に設けられ、第1車輪14Aに取り付けられる磁石を検出する構成としてもよい。本実施形態において、車速センサ60は、車輪14が1回転した場合に、リードスイッチが磁石を1回検出するように構成される。車速センサ60は、人力駆動車10の車速Vに関する情報を取得できればどのような構成であってもよく、車輪14に設けられる磁石を検出する構成に限らず、例えば、ディスクブレーキに設けられるスリットを検出するように構成されてもよく、光学センサなどを含んで構成されてもよく、GPS(Global Positioning System)受信機を含んで構成されてもよい。車速センサ60がGPS受信器を含む場合、制御部82は、時間と移動距離とに応じて車速Vを算出できる。車速センサ60は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部82に接続される。
【0057】
クランク回転センサ62は、入力回転軸12Aの回転速度Cに関する情報を検出するように構成される。クランク回転センサ62は、例えば、人力駆動車10のフレーム16またはドライブユニット70に設けられる。クランク回転センサ62は、ドライブユニット70のハウジング70Aに設けられてもよい。クランク回転センサ62は、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石が、入力回転軸12A、入力回転軸12Aに連動して回転する部材、または、入力回転軸12Aから第1回転体24までの間の動力伝達経路に設けられる。入力回転軸12Aに連動して回転する部材は、電動モータ72の出力軸を含んでもよい。
【0058】
クランク回転センサ62は、入力回転軸12Aの回転速度Cに応じた信号を出力する。例えば、入力回転軸12Aと第1回転体24との間に第1ワンウェイクラッチが設けられない場合、磁石は、第1回転体24に設けられてもよい。クランク回転センサ62は、入力回転軸12Aの回転速度Cに関する情報を取得できればどのような構成であってもよく、磁気センサに代えて光学センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、またはトルクセンサなどを含んでいてもよい。クランク回転センサ62は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部82に接続される。
【0059】
人力駆動力検出部64は、人力駆動力Hに関する情報を検出するように構成される。人力駆動力検出部64は、例えば、人力駆動車10のフレーム16、ドライブユニット70、クランク12、または、ペダル13A,13Bに設けられる。人力駆動力検出部64は、ドライブユニット70のハウジング70Aに設けられてもよい。人力駆動力検出部64は、例えば、トルクセンサを含む。トルクセンサは、人力駆動力Hによってクランク12に与えられるトルクに応じた信号を出力するように構成される。トルクセンサは、例えば、動力伝達経路に第1ワンウェイクラッチが設けられる場合、好ましくは、第1ワンウェイクラッチよりも動力伝達経路の上流側に設けられる。トルクセンサは、歪センサ、磁歪センサ、または、圧力センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。
【0060】
トルクセンサは、動力伝達経路、または、動力伝達経路に含まれる部材の近傍に設けられる。動力伝達経路に含まれる部材は、例えば、入力回転軸12A、入力回転軸12Aと第1回転体24との間において人力駆動力Hを伝達する部材、クランクアーム12B,12C、または、ペダル13A,13Bである。人力駆動力検出部64は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部82に接続される。人力駆動力検出部64は、人力駆動力Hに関する情報を取得できればどのような構成であってもよく、例えば、ペダル13A,13Bに与えられる圧力を検出するセンサ、または、チェーンの張力を検出するセンサなどを含んでいてもよい。
【0061】
第1制御部82Aは、電動モータ72を制御するように構成される。好ましくは、第1制御部82Aは、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hに応じて電動モータ72を制御するように構成される。人力駆動力Hは、トルクによって表されてもよく、仕事率によって表されてもよい。
【0062】
第1制御部82Aは、例えば、電動モータ72によるアシストレベルAが、予め定めるアシストレベルAになるように電動モータ72を制御するように構成される。アシストレベルAは、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hに対する電動モータ72の出力の比率、電動モータ72の出力の最大値、および、電動モータ72の出力が低下する場合における電動モータ72の出力変動の抑制レベルRの少なくとも1つを含む。アシストレベルAは、人力駆動力Hに対する電動モータ72によるアシスト力の比率、または、クランク12の回転速度に対する電動モータ72によるアシスト力の比率を含む。人力駆動力Hに対する電動モータ72によるアシスト力の比率を、アシスト比率と記載する場合がある。第1制御部82Aは、例えば、人力駆動力Hに対して、電動モータ72によるアシスト力が予め定める比率になるように、電動モータ72を制御するように構成される。人力駆動力Hは、ユーザがクランク12を回転させることによって発生する人力駆動車10の推進力に対応する。アシスト力は、電動モータ72が回転によって発生する人力駆動車10の推進力に対応する。予め定める比率は、一定ではなく、例えば、人力駆動力Hに応じて変化してもよく、入力回転軸12Aの回転速度Cに応じて変化してもよく、車速Vに応じて変化してもよく、人力駆動力H、入力回転軸12Aの回転速度C、および、車速Vのうちのいずれか2つ、または、全てに応じて変化してもよい。
【0063】
人力駆動力Hおよびアシスト力をトルクによって表わす場合、人力駆動力Hを人力トルクHTと記載し、アシスト力をアシストトルクMTと記載する。人力駆動力Hおよびアシスト力を仕事率によって表わす場合、人力駆動力Hを人力仕事率HWと記載し、アシスト力をアシスト仕事率MWと記載する。比率は、人力駆動車10の人力トルクHTに対するアシストトルクMTのトルク比率であってもよく、人力仕事率HWに対する電動モータ72によるアシスト仕事率MWの比率であってもよい。
【0064】
本実施形態のドライブユニット70では、クランク12が変速機を介さずに第1回転体24に接続され、かつ、電動モータ72の出力が第1回転体24に入力される。クランク12が変速機を介さずに第1回転体24に接続され、かつ、電動モータ72の出力が第1回転体24に入力される場合、人力駆動力Hは、ユーザがクランク12を回転させることによって第1回転体24に入力される駆動力に対応する。クランク12が変速機を介さずに第1回転体24に接続され、かつ、電動モータ72の出力が第1回転体24に入力される場合、アシスト力は、電動モータ72が回転することによって第1回転体24に入力される駆動力に対応する。電動モータ72の出力が減速機を介して第1回転体24に入力される場合は、アシスト力は、減速機の出力に対応する。
【0065】
第2車輪14Bに電動モータ72が設けられる場合、人力駆動力Hは、ユーザのみによって駆動される第2車輪14Bの出力に対応する。第2車輪14Bに電動モータ72が設けられる場合、アシスト力は、電動モータ72のみによって駆動される第2車輪14Bの出力に対応する。第1車輪14Aに電動モータ72が設けられる場合、人力駆動力Hは、ユーザのみによって駆動される第2車輪14Bの出力に対応する。第1車輪14Aに電動モータ72が設けられる場合、アシスト力は、電動モータ72のみによって駆動される第1車輪14Aの出力に対応する。
【0066】
第1制御部82Aは、アシスト力が上限値MX以下になるように電動モータ72を制御するように構成される。電動モータ72の出力が第1回転体24に入力され、かつ、アシスト力がトルクによって表される場合、第1制御部82Aは、アシストトルクMTが上限値MTX以下になるように電動モータ72を制御するように構成される。好ましくは、上限値MTXは、20Nm以上200Nm以下の範囲の値である。上限値MTXは、例えば、電動モータ72の出力特性によって決定される。電動モータ72の出力が第1回転体24に入力され、かつ、アシスト力が仕事率によって表される場合、第1制御部82Aは、アシスト仕事率MWが上限値MWX以下になるように電動モータ72を制御するように構成される。
【0067】
好ましくは、第1制御部82Aは、電動モータ72の出力変動の抑制レベルRを変更可能に構成される。電動モータ72の出力変動の抑制レベルRが大きくなるほど、電動モータ72の制御パラメータの単位時間当たりの変化量に対する電動モータ72の出力の単位時間当たりの変化量が減少する。電動モータ72の出力変動の抑制レベルRが小さくなるほど、電動モータ72の制御パラメータの単位時間当たりの変化量に対する電動モータ72の出力の単位時間当たりの変化量が増加する。電動モータ72の制御パラメータは、人力駆動力Hまたは入力回転軸12Aの回転速度Cである。電動モータ72の出力変動の抑制レベルRは、電動モータ72の応答速度に反比例する。電動モータ72の応答速度は、電動モータ72の制御パラメータの単位時間当たりの変化量に対する電動モータ72の出力の単位時間当たりの変化量によって表される。電動モータ72の出力変動の抑制レベルRが増加すると、電動モータ72の応答速度は減少する。
【0068】
第1制御部82Aは、例えば、フィルタによって抑制レベルRを変更する。フィルタは、例えば、時定数を有するローパスフィルタを含む。第1制御部82Aは、フィルタの時定数を変更することによって抑制レベルRを変更する。第1制御部82Aは、人力駆動力Hから電動モータ72の出力を算出するためのゲインを変更することによって抑制レベルRを変更するようにしてもよい。フィルタは、例えば、演算処理装置において予め定めるソフトウェアを実行することによって構成される。
【0069】
第2制御部82Bは、作動開始条件が満たされると、ブレーキ制御装置50を作動させる。好ましくは、作動開始条件は、車輪14の状態に関する。作動開始条件は、例えば、第1車輪14Aの回転速度と第2車輪14Bの回転速度との差が所定回転速度以上の場合、車体速度と車輪14の回転速度によって算出される車速との差が所定速度以上の場合、ブレーキ操作装置32の所定時間あたりの操作量が所定操作量以上の場合、および、第1車輪14Aがロックまたはスリップになった状態の少なくとも1つにおいて、満たされる。
【0070】
好ましくは、人力駆動車10は、車輪状態検出部66を備える。作動条件が、第1車輪14Aの回転速度と第2車輪14Bの回転速度との差が所定回転速度以上である場合、車輪状態検出部66は、第1車輪14Aの回転速度を検出する第1車速センサ66Aおよび第2車輪14Bの回転速度を検出する第2車速センサ66Bを含む。作動条件が、車体速度と車輪14の回転速度によって算出される車速Vとの差が所定速度以上である場合、車輪状態検出部66は、第1車速センサ66Aおよび第2車速センサ66Bの一方と、人力駆動車10の車体速度を検出する車体速度センサ66Cと、を含む。車体速度センサ66Cは、任意の構成を採用できる。車体速度センサ66Cは、例えば、GPSを用いて車体速度を取得するように構成されてもよいし、加速度を積算することによって車体速度を演算するように構成されてもよい。作動条件が、ブレーキ操作装置32の所定時間あたりの操作量が所定操作量以上である場合、車輪状態検出部66は、ブレーキ操作装置32の操作状態を検出する操作状態センサ66Dを含む。
【0071】
第2制御部82Bは、作動終了条件が満たされると、ブレーキ制御装置50の作動を終了させる。作動終了条件は、例えば、第1車輪14Aの回転速度と第2車輪14Bの回転速度との差が所定回転速度未満の場合、車体速度と車輪14の回転速度によって算出される車速との差が所定速度未満の場合、および、ブレーキ操作装置32の所定時間あたりの操作量が所定操作量未満の場合、第1車輪14Aがロックまたはスリップしていない状態になった場合、および、ブレーキ制御装置50の作動開始から所定期間が経過した場合、の少なくとも1つにおいて、満たされる。
【0072】
図5を参照して、第2制御部82Bがブレーキ制御装置50を制御する処理について説明する。第2制御部82Bは、例えば、第2制御部82Bに電力が供給されると、処理を開始して図5に示すフローチャートのステップS11に移行する。第2制御部82Bは、図5のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS11からの処理を繰り返す。
【0073】
第2制御部82Bは、ステップS11においてブレーキ制御装置50の作動開始条件が満たされるか否かを判定する。第2制御部82Bは、作動開始条件が満たされる場合、ステップS12に移行する。第2制御部82Bは、作動開始条件が満たされない処理を終了する。
【0074】
第2制御部82Bは、ステップS12において、ブレーキ制御装置50を作動させ、ステップS13に移行する。
【0075】
第2制御部82Bは、ステップS13において、作動終了条件が満たされるか否かを判定する。第2制御部82Bは、作動終了条件が満たされない場合、ステップS12に移行する。第2制御部82Bは、作動終了条件が満たされる場合、ステップS14に移行する。
【0076】
第2制御部82Bは、ステップS14において、ブレーキ制御装置50の作動を終了し、処理を終了する。
【0077】
好ましくは、制御部82は、人力駆動車10の走行状態に関する所定条件が満たされると電動モータ72を駆動する。所定条件は、例えば、人力駆動力Hが所定駆動力HX以上の場合、車速Vが所定車速VX以下の場合、および、入力回転軸12Aの回転速度Cが所定車速CX以上の場合、の少なくとも1つの場合に満たされる。
【0078】
図6を参照して、第1制御部82Aが電動モータ72を制御する処理について説明する。第1制御部82Aは、例えば、第1制御部82Aに電力が供給されると、処理を開始して図6に示すフローチャートのステップS15に移行する。第1制御部82Aは、図6のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS15からの処理を繰り返す。
【0079】
第1制御部82Aは、ステップS15において所定条件が満たされるか否かを判定する。第1制御部82Aは、所定条件が満たされる場合、ステップS16に移行する。第1制御部82Aは、所定条件が満たされない場合、処理を終了する。
【0080】
第1制御部82Aは、ステップS16において、電動モータ72を駆動させ、処理を終了する。
【0081】
制御部82は、ブレーキ制御装置50の作動状態に応じて電動モータ72を制御する。本実施形態では、制御部82は、ブレーキ制御装置50の作動状態に応じて電動モータ72の駆動を停止する。好ましくは、第1制御部82Aは、ブレーキ制御装置50が作動している場合、電動モータ72の駆動を停止する。
【0082】
好ましくは、制御部82は、ブレーキ制御装置50が作動する場合、所定条件が満たされても電動モータ72を駆動しない。好ましくは、制御部82は、電動モータ72の制御状態が第2状態の場合、第1条件が満たされると電動モータ72の制御状態を第2状態から第1状態に変更する。好ましくは、第1制御部82Aは、ブレーキ制御装置50が作動する場合に電動モータ72の駆動を停止した後、第1条件を満たすと、電動モータ72の駆動を許容する。好ましくは、第1条件は、所定期間TXが経過すること、および、人力駆動車10の走行状態が所定状態になることの少なくとも一方により満たされる。所定状態は、例えば、ブレーキ制御装置50の作動終了条件が満たされる状態と対応する。
【0083】
図7を参照して、第1制御部82Aが電動モータ72を制御する処理について説明する。制御部82は、例えば、制御部82に電力が供給されると、処理を開始して図7に示すフローチャートのステップS21に移行する。制御部82は、図7のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS21からの処理を繰り返す。
【0084】
第1制御部82Aは、ステップS21において、ブレーキ制御装置50が作動しているか否かを判定する。第1制御部82Aは、例えば、第1通信部42の受信する第2通信部44からの情報に応じてブレーキ制御装置50が作動しているか判定する。第1制御部82Aは、ブレーキ制御装置50が作動していない場合、ステップS22に移行する。第1制御部82Aは、ブレーキ制御装置50が作動している場合、ステップS23に移行する。
【0085】
第1制御部82Aは、ステップS22において、変更条件が満たされるか否かを判定する。本実施形態において、第1制御部82Aは、例えば、車速Vが所定車速VX以上の場合、変更条件が満たされると判定する。第1制御部82Aは、例えば、入力回転軸12Aの回転速度Cが所定回転速度CX以上の場合、変更条件が満たされると判定する。第1制御部82Aは、例えば、人力駆動力Hが所定人力駆動力HX以上の場合、変更条件が満たされると判定する。第1制御部82Aは、変更条件が満たされない場合、処理を終了する。第1制御部82Aは、変更条件が満たされる場合、ステップS23に移行する。
【0086】
第1制御部82Aは、ステップS23において、電動モータ72の制御状態を第2状態に変更し、ステップS24に移行する。第2状態は、第1状態よりも電動モータ72のアシストレベルAが小さい。好ましくは、第1制御部82Aは、ステップS23において、電動モータ72の駆動を停止する。好ましくは、第1制御部82Aは、ステップS23以降において、電動モータ72の駆動を停止する。
【0087】
第1制御部82Aは、ステップS24において、第1条件が満たされるか否かを判定する。第1制御部82Aは、第1条件が満たされない場合、再びステップS24の処理を実行する。第1制御部82Aは、第1条件が満たされる場合、ステップS25に移行する。
【0088】
第1制御部82Aは、ステップS25において、電動モータ72の制御状態を第1状態に変更し、処理を終了する。第1制御部82Aは、ステップS25において、電動モータ72の駆動を許可する。第1制御部82Aは、ステップS23によって電動モータ72の駆動を停止した場合、ステップS25において、ステップS23によって電動モータ72の駆動を停止する前の制御状態において電動モータ72の駆動を再開するようにしてもよい。
【0089】
第1制御部82Aは、ステップS23からステップS25までの期間において、所定条件が満たされても、電動モータ72を駆動しない。第1制御部82Aは、ステップS25以降において、所定条件が満たされる場合、電動モータ72を駆動する。
【0090】
<第2実施形態>
図8を参照して、第2実施形態の制御装置80について説明する。第2実施形態の制御装置80は、図7のフローチャートの処理に代えて図8のフローチャートの処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置80と同様である。第2実施形態の制御装置80のうちの、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0091】
本実施形態では、制御部82は、ブレーキ制御装置50の作動状態に応じて電動モータ72の制御状態を第1状態から第2状態に変更する。第2状態は、第1状態よりも電動モータ72のアシストレベルAが小さい。好ましくは、制御部82は、ブレーキ制御装置50を作動させる場合、電動モータ72の制御状態を第1状態から第2状態に変更する。
【0092】
図8を参照して、第1制御部82Aが電動モータ72を制御する処理について説明する。制御部82は、例えば、制御部82に電力が供給されると、処理を開始して図8に示すフローチャートのステップS31に移行する。制御部82は、図8のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS31からの処理を繰り返す。
【0093】
第1制御部82Aは、ステップS31において、ブレーキ制御装置50が作動しているか否かを判定する。第1制御部82Aは、例えば、第1通信部42の受信する第2通信部44からの情報に応じてブレーキ制御装置50が作動しているか判定する。第1制御部82Aは、ブレーキ制御装置50が作動していない場合、処理を終了する。第1制御部82Aは、ブレーキ制御装置50が作動している場合、ステップS32に移行する。
【0094】
第1制御部82Aは、ステップS32において、前回ブレーキ制御装置50を作動させてからの移動距離Lが所定距離LX以下か否かを判定する。所定距離LXは、例えば、50メートル以下である。所定距離LXは、例えば、30メートル以上である。第1制御部82Aは、例えば、図7のステップS22と同様の方法によって移動距離Lを算出する。第1制御部82Aは、移動距離Lが所定距離LX以下ではない場合、処理を終了する。第1制御部82Aは、移動距離Lが所定距離LX以下の場合、ステップS33に移行する。
【0095】
第1制御部82Aは、ステップS33において、電動モータ72の制御状態を第2状態に変更し、ステップS34に移行する。
【0096】
第1制御部82Aは、ステップS34において、第1条件が満たされるか否かを判定する。第1制御部82Aは、第1条件が満たされない場合、再びステップS34の処理を実行する。第1制御部82Aは、第1条件が満たされる場合、ステップS35に移行する。
【0097】
第1制御部82Aは、ステップS35において、電動モータ72の制御状態を第1状態に変更し、処理を終了する。好ましくは、ステップS35において、第1制御部82Aは、ステップS35によって第2状態に変更する前のアシストレベルAに戻す。ステップS35において、第1制御部82Aは、ステップS33によって第2状態に変更する前のアシストレベルAとは、異なるアシストレベルAに変更してもよい。
【0098】
<第3実施形態>
図9を参照して、第3実施形態の制御装置80について説明する。第3実施形態の制御装置80は、図7のフローチャートの処理に代えて図9のフローチャートの処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置80と同様である。第3実施形態の制御装置80のうちの、第1実施形態および第2実施形態と共通する構成については、第1実施形態および第2実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0099】
本実施形態では、制御部82は、ブレーキ制御装置50の作動を停止してから第1期間T1が経過するまでにブレーキ制御装置50を作動させる場合、電動モータ72の制御状態を第1状態から第2状態に変更する。制御部82は、ブレーキ制御装置50の作動を停止してから第1期間T1が経過するまでにブレーキ制御装置50を作動させるような、ブレーキ制御装置50が短期間で作動状態を繰り返すような状況において、電動モータ72の制御状態を第1状態から第2状態に変更できる。
【0100】
図9を参照して、第1制御部82Aが電動モータ72を制御する処理について説明する。制御部82は、例えば、制御部82に電力が供給されると、処理を開始して図9に示すフローチャートのステップS41に移行する。制御部82は、図9のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS41からの処理を繰り返す。
【0101】
第1制御部82Aは、ステップS41において、ブレーキ制御装置50が作動しているか否かを判定する。第1制御部82Aは、例えば、第1通信部42の受信する第2通信部44からの情報に応じてブレーキ制御装置50が作動しているか判定する。第1制御部82Aは、ブレーキ制御装置が作動していない場合、処理を終了する。第1制御部82Aは、ブレーキ制御装置が作動している場合、ステップS42に移行する。
【0102】
第1制御部82Aは、ステップS42において、前回のブレーキ制御装置50の作動が停止してから第1期間T1が経過したか否かを判定する。第1期間T1は、例えば、5秒以下である。第1制御部82Aは、前回のブレーキ制御装置50の作動が停止してから第1期間T1が経過している場合、処理を終了する。第1制御部82Aは、前回のブレーキ制御装置50の作動が停止してから第1期間T1が経過していない場合、ステップS43に移行する。
【0103】
第1制御部82Aは、ステップS43において、電動モータ72の制御状態を第2状態に変更し、ステップS44に移行する。電動モータ72の制御状態が第2状態の場合、第2状態を維持する。
【0104】
第1制御部82Aは、ステップS44において、第1条件が満たされるか否かを判定する。第1制御部82Aは、第1条件が満たされない場合、再びステップS44の処理を実行する。第1制御部82Aは、第1条件が満たされる場合、ステップS45に移行する。
【0105】
第1制御部82Aは、ステップS45において、電動モータ72の制御状態を第1状態に変更し、処理を終了する。第1制御部82Aは、ステップS45において、ステップS43において電動モータ72の制御状態を第2状態に変更する前の制御状態において電動モータ72を駆動させるようにしてもよい。
【0106】
<第4実施形態>
図10を参照して、第4実施形態の制御装置80について説明する。第4実施形態の制御装置80は、図7のフローチャートの処理に代えて図10のフローチャートの処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置80と同様である。第4実施形態の制御装置80のうちの、第1実施形態、第2実施形態、および、第3実施形態と共通する構成については、第1実施形態、第2実施形態、および、第3実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0107】
本実施形態では、制御部82は、ブレーキ制御装置50の作動状態に応じて電動モータ72の制御状態を第3状態から第4状態に変更する。第4状態は、第3状態よりも電動モータ72のアシストレベルAが大きい。第1状態と第4状態とは同じであってもよく、異なっていてもよい。第2状態と第3状態とは同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0108】
好ましくは、制御部82は、ブレーキ制御装置50を作動状態から停止状態に変更し、かつ、人力駆動車10の車速Vが所定車速VX以上の場合、電動モータ72の制御状態を第3状態から第4状態に変更する。
【0109】
好ましくは、制御部82は、ブレーキ制御装置50を作動状態から停止状態に変更し、かつ、人力駆動車10の車速Vが所定車速VX以上の場合、電動モータ72の制御状態を第3状態から第4状態に変更した後、第2条件を満たすと、電動モータ72の制御状態を第4状態から第3状態に変更する。第2条件は、第2期間T2が経過すること、および、人力駆動車10の走行状態が所定状態になることの少なくとも一方により満たされる。第2期間T2は、例えば、3秒以下である。所定状態の走行状態とは、例えば、入力回転軸12Aの回転速度Cが所定回転速度CX以下の状態、好ましくは、入力回転軸12Aの回転が停止している状態である。第1期間T1と第2期間T2とは同じであってもよく、異なっていてもよい。所定回転速度CXは、例えば、1rpm以下である。
【0110】
図10を参照して、第1制御部82Aが電動モータ72を制御する処理について説明する。制御部82は、例えば、制御部82に電力が供給されると、処理を開始して図10に示すフローチャートのステップS51に移行する。制御部82は、図10のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS51からの処理を繰り返す。
【0111】
第1制御部82Aは、ステップS51において、ブレーキ制御装置50が作動状態から停止状態に変更されたか否かを判定する。第1制御部82Aは、ブレーキ制御装置50が作動状態から停止状態に変更されていない場合、処理を終了する。第1制御部82Aは、ブレーキ制御装置50が作動状態から停止状態に変更された場合、ステップS52に移行する。
【0112】
第1制御部82Aは、ステップS52において、車速Vが所定車速VX以上か否かを判定する。所定車速VXは、例えば、時速6km以上である。第1制御部82Aは、車速Vが所定車速VX以上ではない場合、処理を終了する。第1制御部82Aは、車速Vが所定車速VX以上の場合、ステップS53に移行する。
【0113】
第1制御部82Aは、ステップS53において、電動モータ72の制御状態を第4状態に変更し、ステップS54に移行する。
【0114】
第1制御部82Aは、ステップS54において、第2条件が満たされるか否かを判定する。第1制御部82Aは、第2条件が満たされない場合、再びステップS54の処理を実行する。第1制御部82Aは、第2条件が満たされる場合、ステップS55に移行する。
【0115】
第1制御部82Aは、ステップS55において、電動モータ72の制御状態を第3状態に変更し、処理を終了する。第1制御部82Aは、ステップS55において、ステップS53において電動モータ72の制御状態を第4状態に変更する前の制御状態において電動モータ72を駆動させるようにしてもよい。
【0116】
<変形例>
各実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システムが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システムは、例えば以下に示される各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、各実施形態の形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0117】
図11に示すように、電動アクチュエータ52は、第1車輪14Aと対応する第1アクチュエータ52Aと、第2車輪14Bと対応する第2アクチュエータ52Bと、を備えていてもよい。この変形例において、好ましくは、第2制御部82は、第1アクチュエータ52Aを制御する第3制御部82Cと、第2アクチュエータ52Bを制御する第4制御部82Dと、を備える。好ましくは、第2記憶部84Bは、第1アクチュエータ52Aの制御に関する情報を記憶する第3記憶部84Cと、第2アクチュエータ52Bの制御に関する情報を記憶する第4記憶部84Dと、を備える。好ましくは、第2通信部44は、第3制御部82Cに接続される第3通信部44Aと、第4制御部82Dに接続される第4通信部44Bと、を備える。制御部82は、ブレーキ制御装置50を作動させる場合、第1アクチュエータ52Aと、第2アクチュエータ52Bとを異なる駆動状態となるように駆動させてもよい。制御部82は、ブレーキ制御装置50を作動させる場合、第1アクチュエータ52Aよび第2アクチュエータ52Bの一方のみを駆動させてもよい。
【0118】
図12に示すように、第1制御部82Aおよび第2制御部82Bは、一体に構成されてもよい。例えば、第1制御部82Aおよび第2制御部82Bは、同じ基板に設けられる。例えば、第1制御部82Aおよび第2制御部82Bは、ドライブユニット70およびブレーキ制御装置50の一方に設けられる。この場合、第1記憶部84Aおよび第2記憶部84Bも一体に構成されてもよい。この場合、第1通信部42および第2通信部44は省略されてもよい。
【0119】
図13に示すように、ブレーキ装置30は、流体の圧力によって制動力を発生させ、ブレーキ制御装置50は、流体の流路に設けられるポンプ90を電動アクチュエータ52によって駆動させるものであってもよい。ブレーキ制御装置50は、例えば、流路に設けられるバルブ94を駆動することによって、リザーバ92への流路を開放し、流体の圧力を低下させる。ポンプ90は、流体に圧力を付与する。
【0120】
・ブレーキ制御装置50は、ブレーキ作動装置34に設けられ、ブレーキ作動装置34の可動部の動作を制御するものであってもよい。この場合、ブレーキ装置30は、ブレーキ操作装置32とケーブルによって接続される機械式または電動のブレーキ装置30であってもよい。
【0121】
・ブレーキ制御装置50は、ABSに代えてまたは加えて、人力駆動車10の横滑りに応じてブレーキ装置30による制動力を制御するものであってもよい。
【0122】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0123】
10…人力駆動車、14A…第1車輪、14B…第2車輪、30…ブレーキ装置、40…制御システム、42…第1通信部、44…第2通信部、50…ブレーキ制御装置、52…電動アクチュエータ、52A…第1アクチュエータ、52B…第2アクチュエータ、54…バルブ、70…ドライブユニット、72…電動モータ、80…制御装置、82…制御部、82A…第1制御部、82B…第2制御部、82C…第3制御部、82D…第4制御部、90…ポンプ、94…バルブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13