(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】小型分光光学機器
(51)【国際特許分類】
G01J 3/32 20060101AFI20241118BHJP
G01J 3/18 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
G01J3/32
G01J3/18
(21)【出願番号】P 2020532704
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(86)【国際出願番号】 US2018065592
(87)【国際公開番号】W WO2019118800
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-11-11
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592096443
【氏名又は名称】ホリバ インスツルメンツ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HORIBA INSTRUMENTS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】コバック ロナルド ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】アッゼニ サルヴァトーレ ハウプトマン
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-541027(JP,A)
【文献】特開昭52-117689(JP,A)
【文献】特開2011-058898(JP,A)
【文献】特開2016-173265(JP,A)
【文献】特開2012-230074(JP,A)
【文献】特表2006-506672(JP,A)
【文献】特開平10-325755(JP,A)
【文献】特開2008-175760(JP,A)
【文献】特開平02-249948(JP,A)
【文献】特開2007-171027(JP,A)
【文献】特開平05-142036(JP,A)
【文献】特開平04-105025(JP,A)
【文献】特開昭62-182628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00- G01J 3/51
G01J 1/02- G01J 1/04
G01N 21/00- G01N 21/01
G01N 21/17- G01N 21/74
G01B 11/00- G01B 11/30
G02B 5/18
G02B 21/00
G02B 21/06- G02B 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光分光法及び吸光分光法により試料を分光分析する蛍光・吸光分光計を含む光学機器であって、
光学的に閉じた空間を内部に形成するハウジングと、
前記ハウジング内の空間に収容され、光学部品を上面又は底面のいずれかに固定するように構成されたプレートと、
前記ハウジング内の空間に収容された光源と、
前記ハウジング内の空間に収容された、前記試料から放出された後波長毎に分光された蛍光を検出する検出器と、
前記ハウジング内の空間に収容され、前記試料を保持するように構成された試料ホルダと、
前記プレートに固定され、前記光源からの光を前記プレートの少なくとも一つの開口部を通して、前記試料ホルダに保持された前記試料に向けるように構成されるとともに、前記試料からの光を前記プレートの
前記少なくとも一つの開口部を通して前記検出器に向けるように構成された少なくとも一つのミラーと、
前記ハウジング内の空間に収容されたモノクロメータと、
前記光源及び前記検出器と通信するように構成された制御装置と、
前記プレートの前記上面に固定され、前記試料を通過した前記光源からの光の光路上に配置されており、前記制御装置と通信する吸光検出器とを備え、
前記少なくとも一つのミラーが、
前記プレートの底面に固定され、前記光源からの光を前記モノクロメータの入力部に向けるように構成された第1のミラーと、
前記プレートの底面に固定され、前記モノクロメータの出力部からの光を、前記プレートの前記少なくとも一つの開口部を通して、前記プレートの前記上面に固定されている前記少なくとも一つのミラーの一つに向けるように構成された第2のミラーと、を備える光学機器。
【請求項2】
前記光源と前記第1のミラーとの間の光路上に、前記プレートの前記底面に固定されたレンズを更に備える請求項1に記載の光学機器。
【請求項3】
前記光源が前記プレートの下方に配置される請求項1に記載の光学機器。
【請求項4】
前記試料ホルダが前記プレートの前記上面に取り外し可能に固定されている請求項1に記載の光学機器。
【請求項5】
前記ハウジングがアクセスパネルを含み、
前記光源がランプを備えるモジュールを含み、当該ランプが前記モジュールに固定され、且つ前記モジュールの電気コネクタに接続されており、
前記モジュールが、前記ハウジングに挿入されると前記ハウジング内の相補的な電気コネクタと係合するように構成され、
前記モジュールが、前記アクセスパネルを介して前記光学機器から取り外し可能であり、関連するラッチによって前記ハウジング内に固定されるように構成される、請求項1に記載の光学機器。
【請求項6】
前記プレートの前記上面に固定され、前記制御装置と通信する基準検出器を更に備え、
前記基準検出器が、前記光源からの光の一部を受け取り、対応する信号を前記制御装置に供給するように配置されている請求項1に記載の光学機器。
【請求項7】
前記プレートの前記上面の上方に配置され、前記制御装置と通信するアパーチャ配置機構を更に備え、
前記アパーチャ配置機構が、前記制御装置からの配置信号に応じて、前記試料と前記検出器との間の光路上又は光路外にアパーチャを選択的に配置するように構成され、
前記検出器が分光器を備える請求項1に記載の光学機器。
【請求項8】
前記制御装置と通信するスリットプレート配置機構を更に備え、
前記スリットプレート配置機構が、互いの幅が異なり、且つ高さが同じである複数の入射スリットが形成されたスリットプレートを有し、
前記スリットプレートが、前記アパーチャ配置機構と前記分光器との間の前記光路内に配置され、
前記スリットプレート配置機構が、前記制御装置からの信号に応じて、前記複数の入射スリットのうちの一つを前記光路内における前記アパーチャ配置機構が備える前記アパーチャと前記分光器との間に配置するように構成されている請求項7に記載の光学機器。
【請求項9】
前記試料を通過した後の入力光ビームを受け取り、当該入力光ビームを波長依存角度で回折するように配置された固定凹面回折格子と、
前記固定凹面回折格子から回折された光を受光するように配置され、前記固定凹面回折格子から受光した光に応じた信号を前記制御装置に供給するように構成された検出器と
、を備える
分光器を更に備える請求項1に記載の光学機器。
【請求項10】
前記ハウジングが、前記プレートの上面によって画定される底部を有する試料チャンバにアクセスするために選択的に開くことができるヒンジ式の試料アクセスドアを含み、
前記試料チャンバに挿入され、前記光源と前記検出器との間の光路上に前記試料を配置するように構成された試料トレイモジュールを更に備え、
前記試料トレイモジュールが、当該試料トレイモジュールを識別するように構成され、関連する電気コネクタに接続されたマイクロコントローラを有し、
前記関連する電気コネクタは、前記試料トレイモジュールを前記試料チャンバ内に挿入すると、前記制御装置に接続され、且つ前記試料チャンバ内に配置されている相補的な電気コネクタに係合するように構成されている請求項1に記載の光学機器。
【請求項11】
固定凹面回折格子を含む分光器を
更に含み、
当該分光器が100mm未満の焦点距離を有する請求項1に記載の光学機器。
【請求項12】
蛍光分光法及び吸光分光法により試料を分光分析する蛍光・吸光分光計を含む光学機器であって、
光学的に閉じた空間を内部に形成するものであり、光学機器の一つ又は複数の光学部品の光学基準面として構成され、上方又は下方に光学部品を固定するように構成されたプレートを内部の空間に収容するハウジングと、
前記ハウジング内の空間において前記プレートの下方に配置された光源と、
前記ハウジング内の空間に収容され、前記プレートの下方に配置されると共に前記プレートに固定されたモノクロメータと、
前記ハウジング内の空間に収容され、固定凹面回折格子を有し、前記プレートの下方に配置されると共に前記プレートに固定されており、前記試料から放出される蛍光を波長毎に分光する分光器と、
前記ハウジング内の空間に収容され、前記試料を保持するように構成された試料ホルダと、
前記ハウジング内の空間において前記プレートの上方に配置されると共に前記プレートに固定されたものであって、前記モノクロメータからの光を、前記プレートの第1の開口部を通して前記プレートの上方に配置された、前記試料ホルダに保持された試料を通すように向けるとともに、前記試料からの光を、前記プレートの第2の開口部を通して前記分光器に導くように構成された一つ又は複数のミラーと、
前記プレートの底面に固定され、前記光源からの光を前記モノクロメータの入力部に向けるように構成された第1のミラーと、
前記プレートの底面に固定され、前記モノクロメータの出力部からの光を、前記プレートの前記
第1の開口部を通して、前記プレートの上面に固定されている前記少なくとも一つのミラーの一つに向けるように構成された第2のミラーと、
前記モノクロメータ及び前記分光器と通信するように構成された制御装置と、
前記プレートの上方に配置されるとともに前記プレートに固定されており、前記制御装置と通信するように構成され、前記試料を通過した後の前記モノクロメータからの光の光路上に配置されている吸光検出器と、を含む光学機器。
【請求項13】
前記制御装置と通信するアクチュエータによって、前記試料と前記分光器との間の光路上又は光路外に選択的に配置されるように構成されたアパーチャを更に含む請求項12に記載の光学機器。
【請求項14】
前記アパーチャが前記プレートの上方に配置される請求項13に記載の光学機器。
【請求項15】
前記プレートの上方の前記ハウジングの試料チャンバに挿入され、前記モノクロメータと前記分光器との間の光路上に前記試料を配置するように構成された試料トレイモジュールを更に備え、
前記試料トレイモジュールが、当該試料トレイモジュールを識別するように構成され、電気コネクタに接続されたマイクロコントローラを有し、
前記電気コネクタが、前記ハウジング内の前記制御装置に接続された相補的な電気コネクタに前記試料チャンバ内で係合するように構成されている請求項14に記載の光学機器。
【請求項16】
前記光源が、
ランプを備えるモジュールを含み、当該ランプが前記モジュールに固定され、且つ前記モジュールの電気コネクタに接続されており、
前記モジュールが、前記ハウジングに挿入されると前記ハウジング内の相補的な電気コネクタと係合するように構成され、
前記モジュールが、前記ハウジングのアクセスパネルを介して前記光学機器から取り外し可能に構成されており、関連するラッチによって締結具を用いることなく前記ハウジング内に固定されている請求項12に記載の光学機器。
【請求項17】
前記プレートの上方に配置されるとともに前記プレートに固定されており、前記制御装置と通信するように構成され、前記モノクロメータからの光の一部を受け取るように構成された基準検出器とを更に備える請求項12に記載の光学機器。
【請求項18】
互いの幅が異なり、且つ所定の高さである複数の入射スリットが形成されたスリットプレートに関連付けられたアクチュエータを更に含み、
当該アクチュエータが、前記プレートの下方に配置され、前記制御装置と通信して、前記複数の入射スリットの1つを前記分光器への入力ビームの光路上に配置するように構成された請求項12に記載の光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年12月15日に出願された米国特許第15/844,228号に対して優先権を主張し、参照することによりその全体が本明細書に取り込まれる。
【0002】
本開示は、概して、試料の蛍光・吸光測定を含む様々な用途に使用することができる3次元光路を有する小型分光器に関する。
【背景技術】
【0003】
吸収分光法や蛍光分光法を含む分光分析は、例えば、化学、食品科学、生物学、薬理学、材料/ナノテクノロジー、ならびに様々な環境、地質学、水文学、海洋学/石灰学及び土壌科学用途における水質分析を含む様々な分野における研究や産業の用途において使用される。
汎用の市販の分光器は、吸光測定及び蛍光測定の両方に対応させながら、波長動作範囲、分解能及びスループット等に関連する計器性能要件を満たすように、様々な設計上の妥協点を有することがある。これらの機器は、機器の性能だけでなく、コスト、操作性、メンテナンス要件(ユーザ及び/又は技術者)、複数の用途に対する柔軟性又は適応性、更にはたまにしか使用されない精密機器に必要な物理的なベンチスペースに基づいて市場で競合することが多い。
【発明の概要】
【0004】
一つ又は複数の実施形態では、光学機器は、ハウジングと、前記ハウジング内に配置され、光学部品を上面又は底面のいずれかに固定するように構成されたプレートとを含む。機器は更に、光源と、プレートの底面に固定されたモノクロメータと、プレートの底面に固定された分光器と、プレートの上面に固定され、モノクロメータからの光を、プレートの第1の開口部を通して試料を通過させるように向け、試料からの光を、プレートの第2の開口部を通して分光器に向けるように構成された一つ又は複数のミラーと、モノクロメータ及び分光器と通信するように構成された制御装置とを含む。
【0005】
様々な実施形態では、光学機器は、試料を保持するように構成され、締結具なしでプレートの上面に取り外し可能に固定される試料ホルダを含んでもよい。機器は、プレートの底面に固定され、光源からの光をモノクロメータの入力部に向けるように構成された第1のミラーと、プレートの底面に固定され、モノクロメータの出力部からの光を、プレートの開口部を通して、上面に固定された複数のミラーの一つに向けるように構成された第2のミラーとを含んでもよい。光源と第1ミラーとの間の光路上において、レンズがプレートの底面に固定されていてもよい。ハウジングは、光源を有するアクセスパネルを備え、この光源は、ランプを備えるモジュールを含み、当該ランプがモジュールに固定され、且つモジュールの電気コネクタに接続されていてもよい。モジュールが、ハウジングに挿入されるとハウジング内の相補的な電気コネクタと係合するように構成され、モジュールが、アクセスパネルを介して光学機器から取り外し可能であり、関連するラッチによって締結具を用いることなくハウジング内に固定されるように構成されてもよい。
【0006】
一つ又は複数の実施形態では、光学機器は、プレートの上面に固定されており、制御装置と通信するように構成された吸光検出器を含み、当該吸光検出器は、試料を通過したモノクロメータからの光の光路上に配置されていてもよい。機器は、プレートの上面に固定され、制御装置と通信する基準検出器を更に備え、当該基準検出器が、光源からの光の一部を受け取り、対応する信号を制御装置に供給するように配置されていてもよい。光学機器はまた、プレートの上面の上方に配置され、制御装置と通信するアパーチャ配置機構を更に備え、当該アパーチャ配置機構が、制御装置からの配置信号に応じて、試料と分光器との間の光路上又は光路外にアパーチャを選択的に配置するように構成されてもよい。また光学機器は、制御装置と通信するスリットプレート配置機構を更に備えてもよく、スリットプレート配置機構が、互いの幅が異なり、且つ高さが同じである複数の入射スリットが形成されたスリットプレートを有し、当該スリットプレートが、試料と分光器との間の光路内に配置され、スリットプレート配置機構が、制御装置からの信号に応じて、複数の入射スリットのうちの一つを光路内に配置するように構成されていてもよい。
【0007】
様々な実施形態では、光学機器は、試料を通過した後の入力光ビームを受け取り、入力光ビームを波長依存角度で回折するように配置された固定凹面回折格子と、固定凹面回折格子から回折された光を受光するように配置され、固定凹面回折格子から受光した光に応じた信号を制御装置に供給するように構成された検出器とを含んでもよい。
光学機器はまた、プレートの上面によって画定される底部を有する試料チャンバにアクセスするために選択的に開くことができるヒンジ式の試料アクセスドアを有するハウジングを含んでもよい。試料トレイモジュールは、試料チャンバに挿入され、モノクロメータと分光器との間の光路上に試料を配置するように構成されてもよい。試料トレイモジュールが、試料トレイモジュールを識別するように構成され、関連する電気コネクタに接続されたマイクロコントローラを有しており、この関連する電気コネクタが、試料トレイモジュールを試料チャンバ内に挿入すると、制御装置に接続され、且つ試料チャンバ内に配置されている相補的な電気コネクタに係合するように構成されていてもよい。
【0008】
一つ又は複数の実施形態では、光学機器は、光学機器の一つ又は複数の光学部品の光学基準面として構成され、上方又は下方に光学部品を固定するように構成されたプレートを有するハウジングを含む。光源は、ハウジング内においてプレートの下方に配置される。モノクロメータは、プレートの下方に配置されると共にプレートに固定される。分光器は、固定凹面回折格子を含み、100mm未満の焦点距離を有しており、プレートの下方に配置されると共にプレートに固定される。複数のミラーが、プレートの上に配置されるとともに固定され、モノクロメータからの光を、プレートの第1の開口部を通して試料を通過させるように向け、試料からの光を、プレートの第2の開口部を通して分光器に向けるように構成されている。制御装置が、モノクロメータ及び分光器と通信するように構成されている。
【0009】
様々な実施形態は、制御装置と通信するアクチュエータによって、試料と分光器との間の光路上又は光路外に選択的に配置されるように構成されたアパーチャを有する光学機器を含んでもよい。アパーチャは、プレートの上方に配置されてもよい。光学機器はまた、プレートの上方のハウジングの試料チャンバに挿入され、モノクロメータと分光器との間の光路上に試料を配置するように構成された試料トレイモジュールを含んでもよい。試料トレイモジュールは、当該試料トレイモジュールを識別するように構成され、電気コネクタに接続されたマイクロコントローラを有し、電気コネクタが、ハウジング内の制御装置に接続された相補的な電気コネクタに試料チャンバ内で係合するように構成されていてもよい。機器はまた、ランプを備えるモジュールを備え、当該ランプがモジュールに固定され、且つ前記モジュールの電気コネクタに接続されている光源を備えてもよい。モジュールは、ハウジングに挿入されるとハウジング内の相補的な電気コネクタと係合するように構成され、モジュールが、ハウジングのアクセスパネルを介して光学機器から取り外し可能に構成されており、関連するラッチによって締結具を用いることなくハウジング内に固定されていてもよい。
【0010】
一つ又は複数の実施形態では、光学機器は、プレートの上に配置され、プレートに固定された吸光検出器を含む。吸光検出器は、制御装置と通信するように構成され、試料を通過した後のモノクロメータからの光の光路上に配置される。機器はまた、プレートの上方に配置されるとともにプレートに固定される基準検出器を含んでもよい。基準検出器は、制御装置と通信するように構成され、モノクロメータからの光の一部を受け取るように構成されてもよい。機器はまた、互いの幅が異なり、且つ所定の高さである複数の入射スリットが形成されたスリットプレートに関連付けられたアクチュエータを含んでもよい。このアクチュエータは、プレートの下方に配置され、制御装置と通信して、複数の入射スリットの1つを分光器への入力ビームの光路上に配置するように構成されてもよい。
【0011】
種々の実施形態は、光学基準平面を画定し、上面及び下面を有するプレートを有する光学機器を含んでもよい。第1の光学部品がプレートの上面に固定され、第2の光学部品がプレートの下面に固定される。第2の光学部品は、光源、検出器、モノクロメータ及び分光器のうちの少なくとも一つである。光学機器はまた、プレートの下面に固定され、プレートの第1の開口部を通して第2の光学部品からの光を導くように構成された少なくとも一つのミラーと、プレートの上面に固定され、プレートの第1の開口部からの光を第1の光学部品に導くように構成され、かつプレートの第2の開口部を通して第1の光学部品からの光を導くように構成された少なくとも一つのミラーとを含んでもよい。
【0012】
本開示による一つ又は複数の実施形態は、関連する利点を提供することができる。例えば、本開示による分光光学機器のための三次元屈曲光学設計は、競争力のあるコストでベンチトップ空間を効率的に使用することができる、蛍光・吸光測定のためのコンパクトな精密機器を提供する。一つ又は複数の実施形態によるモジュラー式光源モジュールを使用することで、ツールを使用することなくユーザが取り付けることができる、事前に取り付けられ、事前に位置合わせされた光源を提供でき、技術者による交換と調整のサービスコールを排除することができる。一つ又は複数の実施形態によるモジュール式試料トレイは、自己識別や、モータ制御式タレット用の電力や、温度プローブ及びpH計等の統合された計器からのデジタル又はアナログ信号の信号伝送のための、統合されたマイクロコントローラを有する、様々なタイプの単一又は複数のキュベットを容易にする。一つ又は複数の実施形態のハウジング及び光学基準プレートは、製造及び品質調整中に最小限の調整により光学的な調整を容易にするよう、成形された光学制御点(molded optical control points)を有する高度に一体化された成形設計を取り入れてもよい。さらに、一つ又は複数の実施形態において、アルミベースプレートに適合(又は一致)する膨張係数を有する射出成形加工ポリマーを使用することにより、周囲温度の変化に関連する光学的歪みを低減又は排除する。
【0013】
当業者は、添付の図面と共に考慮される以下の詳細な説明に基づいて、一つ又は複数の実施形態の追加の特徴及び利点を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の代表的な実施形態の光学基準プレートを有する光学機器のためのコンパクトな構成を示す光学ブロック図。
【
図2】本開示の代表的な実施形態の小型光学機器のハウジングを示す斜視図。
【
図3】本開示の代表的な実施形態における、励起・蛍光の光路を示す光学機器のコンパクトな構成における構成要素の透視図。
【
図4】本開示の代表的な実施形態の光学機器のハウジングの一部が取り除かれ、光学基準プレート上に固定された構成要素の配置を示す斜視図。
【
図5】本開示の代表的な実施形態の、試料ホルダモジュールを取り外すための開放カバーを有する光学機器を示す斜視図。
【
図6A】本開示の代表的な実施形態の光学機器のモジュール式光源のユーザ保守性を示す図。
【
図6B】本開示の代表的な実施形態の光学機器のモジュール式光源のユーザ保守性を示す図。
【
図7】本開示の代表的な実施形態の光学機器のモジュール式光源の斜視図。
【
図8】本開示の代表的な実施形態の光学機器の代表的な上部光学アセンブリを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示によるシステム及び方法の様々な代表的な実施形態を詳細に説明する。しかしながら、以下の代表的な実施形態は単なる例であり、本開示によるシステム及び方法は、様々な代替の形態で実施され得ることを理解されたい。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、いくつかの特徴は特定の構成要素の詳細を示すために誇張又は最小化されることがある。したがって、本明細書で開示される特定の構造及び機能の詳細は限定的に解釈されるべきではなく、単に、特許請求される主題を様々に使用するように当業者に教示するための代表的な基準として解釈されるべきである。システム又は方法の代表的な実施形態の動作を示すために、簡略化したフローチャートやブロック図を提供することがある。当業者は、ステップ又はプロセスの順序が特定の用途のために必要とされなくてもよく、いくつかのステップが図示及び説明を容易にするために省略されてもよく、ステップ又はプロセスが個別に、及び/又は図示されたステップ又はプロセスのサブセットとして繰り返されてもよいことを理解するのであろう。同様に、本明細書に記載された一つ又は複数の利点を提供するために、図示又は説明された全てのステップが必要とされるわけではないことに留意されたい。
【0016】
当業者が理解するように、図面のいずれか一つを参照して図示及び説明されるような本開示の様々な特徴は、一つ又は複数の他の図面に示される特徴と組み合わされ、明示的に図示や説明されていない本開示の実施形態を生成してもよい。図示された特徴の組み合わせは、典型的な用途のための代表的な実施形態を提供する。しかしながら、本開示の挟持と一致する特徴の様々な組み合わせ及び修正が、特定の用途又は実装のために所望され得る。
【0017】
図1は、本開示の代表的な実施形態による、光学基準プレート102を有する光学機器100のコンパクトな配置を示す光学ブロック図である。一つ又は複数の実施形態の機器100は、プレート102の下に配置された一つ又は複数の光学要素と、プレート102の上に配置された一つ又は複数の光学要素とを有する蛍光・吸光分光計(a fluorescence and absorbance spectrometer)を備える。プレート102は、様々な光学部品の光学基準面として機能し、その上面/頂面104又は下面/底面106のいずれかに光学部品を固定するように構成されてもよい。
図1のブロック図によって図示される代表的な実施形態では、基準プレート102の下方に示される光学部品は、基準プレート102の底面(下面)に直接的又は間接的に固定されてもよい。同様に、基準プレート102の上方に示される光学部品は、基準プレート102の上面(頂面)に直接又は間接的に固定してもよい。本明細書でより詳細に図示及び説明するように、光学基準プレート102はハウジング内に固定されてもよい。
【0018】
光学機器100は、ハウジング内のプレート102の下に固定されたランプ又は他の光源を有する光源モジュール108を含む。
図6A、
図6B及び
図7を参照してより詳細に図示及び説明するように、一つ又は複数の実施形態では、ライトモジュール108は、モジュールに固定され、且つモジュールの電気コネクタに接続されたランプを有する、ユーザが保守可能なモジュールである。一つ以上の実施例では、光源モジュール108は75Wキセノンランプを含む。
【0019】
光源モジュール108からの光は、楕円形状のリフレクタによって反射され、空気を通ってミラー112に到達し、当該ミラーは、モノクロメータ116の対応する入射スリットを有する入力/入射スリットホイール114に光を反射させる。モノクロメータ116は、光学基準プレート102の底面106に固定されてもよい。入射スリットホイール114は、制御装置120と通信する関連するアクチュエータ118によって制御されてもよい。一実施形態のアクチュエータ118は、互いに異なるサイズの6つの入射スリットを有するスリットホイールを含む配置機構(又は位置決め機構、positioning mechanism)内に実装される。アクチュエータ118は、制御装置120からの関連する信号に応じて、スリットホイール114を回転させ、選択された入射スリットを光源モジュール108からの光の光路内に配置する。
【0020】
図1の代表的な実施形態では光学基準プレート102の下に図示されているが、制御装置120は光学基準プレート102の上方及び/又は下方に配置されてもよい。同様に、制御装置120は、関連するハウジングの内側又は外側に配置されてよく、特定の用途及び実装形態に応じて、有線及び/又は無線の通信チャネルによって一つ又は複数の構成要素と通信してもよい。
図1の簡略化されたブロック図では単一のデバイスとして示されているが、制御装置120に関連して説明された特徴又は機能は、特定の用途及び実装形態に応じて、光学機器100の複数の構成要素を制御するために使用される複数の制御装置を用いて実装されてもよい。制御装置120は概して、一つ又は複数のマイクロプロセッサ、ASIC、IC、メモリ(例えば、FLASH、ROM、RAM、EPROM及び/又はEEPROM)及びソフトウェアコードを含み、様々な機能を実行する制御装置又はコンピュータを表す。制御装置120は、一つ又は複数のシステムセンサ又はアクチュエータと直接的に、及び又は有線又は無線接続を使用するネットワークを介して通信することができる。
【0021】
制御装置120は、本明細書で説明されるような、一つ又は複数のアルゴリズムを実行するように構成又はプログラムされてよい。制御装置120によって実行される制御論理、機能又はアルゴリズムは、様々な実施形態の詳細な説明に基づいて、当業者には明らかであろう。図示及び説明された制御特性及び機能は、イベント駆動型、割り込み駆動型、マルチタスキング、マルチスレッディング等の一つ又は複数の処理戦略を用いて実行される、代表的な制御戦略及び/又は制御論理を提供する。したがって、図示された様々なステップ又は機能は、図示された順序で、並行して、又は場合によっては省略して実行され得る。必ずしも明示的に例示されているわけではないが、当業者は、例示されたステップ又は機能のうちの一つ又は複数が、使用されている特定の処理戦略に応じて繰り返し実行できることを認識するのであろう。同様に、処理の順序は、本明細書に記載される特徴及び利点を達成するために必ずしも必要ではなく、例示及び説明を容易にするために提供される。制御ロジックは、制御装置120等のマイクロプロセッサベースの制御装置によって実行されるソフトウェアで主に実現することができる。もちろん、制御ロジックは、前述の特定の用途に応じて、ソフトウェア、ハードウェア又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせで、一つ又は複数の制御装置に実装してもよい。ソフトウェアで実現される場合、制御論理は、一つ又は複数のコンポーネントを制御し、データを処理し、ユーザ入力を受け付けるユーザインターフェースを提供するために、コンピュータによって実行されるコード又は命令を表すデータを記憶する、一つ又は複数の一時的でないコンピュータ可読記憶デバイス又はメディアに記憶されてもよい。コンピュータ可読記憶デバイス又はメディアは、実行可能な命令及び関連する較正情報、動作変数、測定データ、計算結果等を保持するために、電気、磁気及び/又は光学記憶デバイスを利用する、いくつかの既知の物理デバイスのうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0022】
図1のブロック図に示されている代表的な実施形態を引き続き参照すると、モノクロメータ116は、出口スリット124に対して波長依存角度で光を回折する可動式の凹面回折格子122を含んでもよい。光学システム100は、単色光ビームを提供するために使用される特定タイプのモノクロメータ116又は他のデバイスから独立している。このように、モノクロメータ116は、例えば、凹面又は平面フォームファクターで形成されたミラー、レンズ、プリズム又は回折格子等(例えば、ブレーズド回折格子、機械刻線回折格子又はホログラフィック回折格子等)のような、様々なタイプの回折、屈折、又は反射要素を含む他の様々な内部および/または関連する外部部品を含んでもよい。制御装置120は、モノクロメータ116と通信して、入射スリット114及び回折格子122の位置を制御することによって、所望の波長帯域及び光の強度の選択を制御するよう構成してもよい。
【0023】
モノクロメータ116を出る光はレンズ134によって集められ、次いで、ミラー126によって反射され、光学基準プレート102の下方から、光学基準プレート102の第1の開口部130を通って、光学基準プレート102の上方に配置された一つ又は複数の構成要素に到達する。第1の開口130を通過する光は、ミラー132によって方向転換され、フィルタホイール136及び偏光子/フィルタホイール138を通過する。フィルタホイール136及び偏光子/フィルタホイール138は、制御装置120と通信する関連する配置機構又はアクチュエータ140を有してもよく、これはフィルタホイール136及び偏光子/フィルタホイール138の回転を制御して、複数の利用可能な偏光子又はフィルタのうちの一つを選択するようにしてもよい。
【0024】
次いで、光ビームはレンズ146を通過してビームスプリッタ142に到達し、このビームスプリッタは、偏光子/フィルタホイール138を通過する光の一部を、制御装置120と通信している基準検出器144に反射する。ビームスプリッタ142によって基準検出器144に反射されない光は、ビームスプリッタ142を通過して、励起光ビームで試料148を照射する。試料148は、関連する試料ホルダモジュール150によって、レンズ146からの励起光ビームの光路内に配置されてもよい。試料ホルダモジュール150は、分析用の試料を収容するように構成された一つ又は複数のキュベットを保持してもよい。様々なタイプの試料ホルダモジュール150を上面104に取り外し可能に固定して、試料148を保持してもよい。試料ホルダモジュールは、例えば、タレットモータ152と、pHメータ154及び温度センサ156によって表されるような一つ又は複数のメータ又はセンサとを含んでもよい。試料ホルダモジュール150は、制御装置120と通信するマイクロコントローラ又は他のプロセッサを含み、特定のタイプの試料ホルダモジュール150を識別し、タレットモータ152等のモジュール機構を差動させる電力を供給し、メータ及び/又はセンサ(例えば、pHメータ154、温度センサ156等)からのアナログ及び/又はデジタル信号を中継してもよい。
【0025】
試料148を通過した光は、レンズ158を通過して、制御装置120と通信する吸光度検出器160に到達する。例えば蛍光等により試料148によって放出された光は、例えばレンズ170を通過し、次に偏光子/フィルタホイール190及びフィルタホイール192を通過する。フィルタホイール136及び偏光子/フィルタホイール138と同様に、偏光子フィルタホイール190及びフィルタホイール192は、制御装置120と通信する関連するアクチュエータ(図示せず)を含み、複数のフィルタ及び/又は偏光子のうちの選択された一つを光ビーム内に配置するように構成されてもよい。
【0026】
一つ又は複数の実施形態では、本出願人が所有する同時係属中の米国特許出願15/844,069号により詳細に記載されているように、アパーチャホイール172又は同様の配置機構を使用して、試料148と分光器186の上流との間の光路内にアパーチャを選択的に配置してもよい。当該文献に記載されているように、アパーチャは、分光器の分解能を調整するように、光路内に配置されてもよく、光路から除去されてもよい。あるいは、アパーチャホイール172及び関連する配置機構又はアクチュエータ174が、制御装置120と通信して、複数の異なるサイズのアパーチャのうちの選択された一つを光路内に配置してもよい。アパーチャホイール172及び関連するアパーチャは、レンズ176の上流又は下流のいずれかに配置されてもよい。図示した代表的な実施形態では、アパーチャホイール172はレンズ176の上流に配置されている。ミラー178は、アパーチャホイール172の選択されたアパーチャを通過する光を、レンズ176を通し、光学基準プレート102の上方から第2の開口180を通して、光学基準プレート102の下の一つ又は複数の構成要素(例えば分光器186)に向けさせる。
【0027】
第2の開口180を通過する光は、関連する入射スリットホイール182の選択可能な入射スリットを通過する。この入射スリットホイール182は、制御装置120と通信する関連する配置機構又はアクチュエータ184によって制御される。一実施形態では、入射スリットホイール182は、スリットプレートに形成された異なる幅及び共通の高さを有する複数の入口スリットから選択された一つを、分光器186への入力光の光路内に配置するように動作する。選択された入射スリットを通過する光は、回折格子188から分光器186の検出器190に波長依存角度で回折される。分光器186は、電荷結合素子(CCD)検出器190を備える固定凹面回折格子188を含んでもよい。一つ又は複数の実施形態では、回折格子188は、固定された凹面ホログラフィック収差補正型回折格子(a fixed concave holographic aberration corrected grating)を含む。分光器186は、100mm未満の焦点距離を有する短焦点距離分光器であってもよい。一実施形態では、分光器186は70mmの焦点距離を有する。分光器186はまた、例えば0.25NA(f/2)より大きい(又はそれより速い)、高い開口数を有してもよい。一実施形態では、分光器186は、0.22(f/2.2)の開口数を有し、その結果、焦点面に配置された検出器190での高い光収集効率及び優れたスループットがもたらされる。
【0028】
図1のブロック図に示すように、光学機器100は、光学基準プレート102の上面104に固定された一つ又は複数のミラー132、178を含み、モノクロメータ116等の光源からプレート102の開口部130を通過する光を、試料148に導き、そして試料148からの光を、プレート102の開口部180を通して分光器186等の検出器に導くように構成されている。光は、対応する光学素子によって、プレート102の同じ開口部を通って、又は代表的な実施形態に示されるように異なる開口部を通って導かれてもよい。同様に、光は、光学素子によって開放空気を通して方向付けられてプレート102の上下の二次元光路を結合してもよく、あるいは、例えば一つ又は複数のファイバによって方向付けられてもよい。しかしながら、ファイバを使用すると、システムのコストが増加し、光学効率及び関連するスループットが低下する可能性がある。光学機器100は、プレート102の底面106に固定され、光源モジュール108からの光をモノクロメータ116の入力に向けるように構成された第1のミラー112と、プレート102の底面106に固定され、モノクロメータ116の出力からの光を第1の開口130を通してプレート102の上面106に固定されたミラー132に向けるように構成された第2のミラー126と、によって表される一つ又は複数のミラー又は他の要素を含んでもよい。図示された代表的な実施形態は光ビームを所望の光路に沿って導くための一つ又は複数のミラーを含むが、当業者は光ビームが特定の用途及び実装に応じて、様々な他の反射光学系、屈折光学系又は回折光学系によって導かれてもよいことを認識するのであろう。
【0029】
一つ又は複数の実施形態の機器100は、制御装置120と通信し、プレート102の上面104に固定された吸光度検出器160を含む。吸光度検出器160は、試料148を通過するモノクロメータ116からの光の光路内に配置される。同様に機器100は、制御装置120と通信し、プレート102の上面104に固定された基準検出器144を含む。基準検出器144は、モノクロメータ116から光の一部を受け取り、対応する信号を動作中の制御装置120に供給するように配置される。機器100はまた、プレート102の上方に配置され、制御装置120と通信し、制御装置120からの配置信号に応じて試料148と分光器186との間の光路内又は光路外にアパーチャを選択的に配置するように構成された、例えばアパーチャホイール172及びアクチュエータ174等のアパーチャ配置機構を含む。機器100はまた、スリットプレートホイール182及び関連付けられたアクチュエータ184のようなスリットプレート配置機構を含んでもよい。このスリットプレート配置機構は、試料148と分光器186との間の光路に配置された、異なる幅と共通の高さを有する複数の入射スリットを含むスリットプレートを有し、制御装置120からの関連する信号に応じて、複数の入射スリットのうちの一つを光路内に配置するように構成されてもよい。一つ又は複数の実施形態のハウジング及びプレート102は、製造及び品質調整中に最小限の調整で光学的な調整を容易にするよう、成形された光学制御点(molded optical control points)を有する高度に一体化された成形設計を取り入れてもよい。さらに、一つ又は複数の実施形態において、アルミニウムベースプレートと一致する膨張係数を有する射出成形加工ポリマーを使用することにより、周囲温度の変化に関連する光学的歪みを低減又は排除する。単一の光学基準プレート102を使用することにより、三次元の屈曲光学設計を容易にし、競争力のあるコストでベンチトップ空間を効率的に使用できる、蛍光及び吸光測定用のコンパクトな精密機器を提供できる。
【0030】
また、様々な実施形態の機器100は、試料148を通過した後の入力光ビームを受け取り、当該入力光ビームを波長依存角度で回折するように配置された固定凹面回折格子188を含んでもよい。さらに、検出器190は、固定凹面回折格子188から回折された光を受光するように配置され、固定凹面回折格子188から受け取った光に応じて制御装置120に信号を供給するように構成されてもよい。機器100は、プレート102の頂部のハウジングの試料チャンバに挿入されるように構成された試料トレイモジュール又は試料ホルダモジュール150を含んでもよい。試料ホルダモジュール150は、モノクロメータ116と分光器186との間の光路内に試料148を位置決めするように構成されてもよい。試料ホルダモジュール150は、モジュール150を識別し、制御装置120と通信するように構成されたマイクロコントローラを含んでもよい。
【0031】
図1のブロック図によって示されるように、様々な実施形態では、中間プレートとも呼ばれ得る光学基準プレート102を含み、これは、プレートの上下の光学構成要素の位置合わせのための共通の光学基準を提供する。これにより三次元光路が容易になり、製造時及び品質調整時の部品調整及び位置合わせを最小限にすることにより製造及び保守コストを低減しながらも、コンパクトな器具を提供でき、同様に基準プレートに対して自動調整(自己調整、self-aligning)するユーザが使用しやすい(user servisable)モジュールを提供することができる。一つ又は複数の実施形態において、励起源、蛍光検出器及び関連する光学系はプレートの下に配置され、試料の取扱い部、吸光度検出器、基準検出器及び関連する光学系はプレートの上にある。励起のための構成要素は、例えば、光源、モノクロメータ、フィルタ、偏光子及びミラーを含んでもよい。蛍光検出のための構成要素は、偏光子、フィルタ、様々な構成を有する様々なタイプの分光計又は分光器、回折格子、及び、光電子増倍管(PMT)、フォトダイオード、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)等のシングルチャネル検出器(SCD)又は電荷結合素子(CCS)等のマルチチャネル検出器を含む検出器を含んでもよい。関連する機械式取り付けインターフェース、光学インターフェース(最大4ポート)及び電気的/論理的インターフェースと組み合わせたこの基本構成は、様々な用途のためのいくつかの実施形態を提供するために活用され、このコンパクトな3次元光学設計の全てを利用して、必要なベンチトップスペースを制限しながらも光学効率を提供することができる。以下により詳細に記載されるように、電気/論理インターフェースは、機器コントローラとモジュール式サンプルトレイとの間の電力及びデータの転送を容易にし、これは温度センサやpH計等の一般的なトランスデューサをサポートする関連する制御装置を含み得る。
【0032】
一実施形態では、複数のミラーは、プレート102の下から第1の開口部を通すように励起光ビームを方向付け、一つの面上の試料キュベット又はマイクロセルを照射するように構成されている。試料キュベット又はマイクロセルの残りの3つの面から出る光は、それぞれが異なる情報がエンコードされており、プレート102の一つ又は複数の開口部を通って一つ又は複数の検出器に戻るように導かれる。例えば、照射された面と反対側のキュベット面は、キュベット及び試料材料をほぼ真っ直ぐに通過する光に関連する透過/吸光度情報を含んでいる。照射軸に直交する2つの残りの面は、同じ試料からの2つの蛍光発光チャネルを含む。これらの3つのビームの各々は、プレート102の一つ又は複数の開口部を通って下方に向けられ、偏光子及び/又はフィルタを含み得る関連する光学系を通って、分光器及び検出器(シングルチャネル又はマルチチャネル)に進む。この実施形態は、異なる偏光子の角度(典型的には垂直及び水平)を用いて(所謂“マジックアングル”位置の一つを含んでもよい)2つの発光チャネルが同時に監視される、偏光を伴うストップト・フロー動力学(stopped-flow kinetics)等の研究を容易にする。
【0033】
別の実施形態では、顕微鏡は、プレート102の下面に取り付けるように構成されており、プレート102は、光学基準プレート102に対して顕微鏡を機械的に位置合わせするために協働する一つ又は複数の位置決め/位置合わせ機構を有している。位置決め/位置合わせ機構は、ピンや支持体等を含み、運動学的/再現可能(kinematic/reproducible)な位置合わせを提供してもよい。プレート102の第1の側(すなわち、上又は下)に配置された光源によって生成され、プレート102の反対側の試料に向けられ、プレート102の第1の側に戻される一つ又は複数の光ビームは、顕微鏡によってアクセス可能であり、例えば落射蛍光顕微鏡法又は通常の試料上顕微鏡法等の様々なタイプの分析を実行することができる。
【0034】
一つ又は複数の実施形態では、三次元の屈曲光路を備えたコンパクトな設計を有する機器のモジュール式の試料取扱い機構は、運動制御を有するマイクロウェルプレート又はマイクロタイタープレートとともに使用されてもよく、これはモジュール式の機械的インターフェースを使用する光学基準プレート102の上面に固定され、光学的な位置合わせを提供する。励起/透過は、透明な底部を有するマイクロウェルプレートを使用して、同時に蛍光シグナルとともに容易に実施することができる。これらの全ては、分析のために、プレート102中の一つ又は複数の開口部を通して光学的に下向きに向けられる。機器はまた、同様の様式で配置されたマイクロフルイディクスチップ又はデバイスにも対応することができ、励起とそれに続く蛍光、そして必要に応じて偏光を伴う(又は伴わない)透過/吸光によって光学的に調査される(interrogated with)流動的な試料を提供する。
【0035】
別の実施形態では、モジュール式アタッチメントは、2つ以上の光ファイバ又は光ファイババンドルが、プレート102の励起ポートからの光を、その遠位端における外部試料又はプロセスに転送できるように、光学基準プレート102に機械的及び光学的に結合する。一つ又は複数の光ファイバ又は光ファイババンドルは、外部試料又はプロセスからの光信号をプレート102上の分析ポートに戻す。例えば、透過と蛍光を同時に測定するのに、光ファイババンドルを使用して、試料又はプロセスに励起ビームを送ることができる。試料に対して適切に配置(透過のために180°、所望の測定に応じて蛍光の場合は種々の他の角度、通常90°)された試料又はプロセスからの2つの戻りファイバ又はバンドルは、検出器による分析のために、プレート102の対応する光学分析ポートと係合する。
【0036】
当業者であれば、本明細書に記載される代表的な実施形態によって示されるような光学基準プレートを有するコンパクトな機器設計を使用する、多数の他の用途及び実施を理解することができる。
【0037】
図2は、本開示の代表的な実施形態による小型光学機器100のハウジング200を示す斜視図である。ハウジング200は複数の構成要素を含むことができ、そのうちの一部のみが
図2に示されている。一つ又は複数の実施形態では、ハウジング200は、前述のようにモジュール式の試料トレイモジュールを取り付け又は取り外すために選択的に開くことができるヒンジ付きカバー210を含んでもよい。ヒンジ式カバー210は、選択的に開くことができるヒンジ式試料ドア220を含み、試料トレイモジュール全体を取り外すことなく、モジュール式試料トレイによって保持された試料キュベットを交換することができる。ハウジング200はまた、
図6A、
図6B及び
図7でより詳細に説明及び図示されるように、ユーザが保守可能なランプモジュールへのアクセスを可能にするアクセスパネル230を含んでもよい。
【0038】
図3は、本開示の代表的な実施形態による、励起光路300及び蛍光光路302を図示する、光学機器100のコンパクトに配置された構成要素を示す透視図である。
図1及び
図3に図示及び説明されるように、機器100は、蛍光及び吸光測定を容易にする屈曲三次元光学レイアウトを含み、これは光学基準プレート102の第1の開口部130および第2の開口部180を通過する2つの垂直光路によって接続された2つの水平光路面を提供し、コンパクトな設計を提供し必要なベンチトップスペースを減少させる。
図3の斜視図では、励起用三次元光路300及び蛍光用三次元光路302をより良く示すために、光学プレート102の多くは省略されている。
図3に示すように、光源108、励起モノクロメータ116及びCCD検出器を有する発光分光器186は全て、光学基準プレート102の下方のハウジング200の下部に配置されている。光源モジュール108は、ハウジング200内で、リフレクタ310を通って延びるランプと位置合わせされてもよい。
【0039】
励起光路300は、光源モジュール108からの光を含み、この光はリフレクタ310によって、モノクロメータ116に関連する配置機構のアクチュエータ118によって制御されるスリットホイール114の選択された入射スリットを通すように光を反射させるための折り返しミラー(又は屈曲ミラー、折り畳みミラー、folding mirror)112へ向けて反射される。モノクロメータ116からの光は、入力光と同じ水平面内にあり、折り返しミラー126によって垂直方向に向きを変えられ、プレート102の第1の開口130(
図1)を通って、別の折り返しミラー132へと到達する。次いで、光は、試料(明瞭化のために省略)を照射する前に、プレート102の上方の第2の水平面内において、フィルタホイール136及び偏光子/フィルタホイール138を通ってレンズ146まで進む。蛍光等によって試料から放出される光は、ほぼ垂直に進行し、レンズ170と、アクチュエータ174によって制御されるアパーチャホイール172の選択されたアパーチャ(十分に大きいアパーチャを選択することによって効果的に除去されてもよい)とを通過する。プレート102の上の第2の水平面内のアパーチャホイール172を通過する光は、それから垂直に下向きに向け直され、プレート102の第2の開口180(
図1)を通って、分光器186の入力に到達する。一つ又は複数の実施形態では、第2の蛍光経路(図示せず)は、第2の水平面内で励起経路300に垂直な蛍光経路302のほぼ反対側に設けられてもよく、一つ又は複数の光学構成要素を設けて、試料からの放射光(emitted light)を、プレート102内の開口部を通って、プレート102の下に固定された検出器にほぼ垂直に導くようにしてもよい。
【0040】
吸光度測定のための光路は、簡潔にするため
図3から省略されているが、
図4に概略的に示されるように、第2の水平平面内の試料位置を通って、フィルタホイール136の向かい側の吸光度検出器まで延びる。
【0041】
図4は本開示の代表的な実施形態による、ハウジング200の一部を取り外し、一部の構成要素を省略し、光学機器内の光学基準プレート102上に固定された構成要素の配置を示すようにした斜視図である。
図4は、試料トレイモジュール150によって配置された試料への励起光路300の上部と、蛍光路302の上部と、吸光度検出器160まで延びる吸光路308とを含む第2の水平面を示す。ハウジング200の下部は回転可能なラッチ420を含み、光源モジュール108をハウジング200内に固定するようにしてもよい。回転可能なラッチ420又は同様の装置は、ユーザ保守性(user-serviceability)を提供し、これによりツールを使用することなく光源モジュール108を取り外し、また取付けるようにできる。
【0042】
図5は、本開示の代表的な実施形態による、試料ホルダモジュール150を取り外すためにカバー210を開放している光学機器100を示す斜視図である。試料ホルダモジュール150は、前述したように、モノクロメータと分光器との間の光路に試料を配置するように、光学基準プレート上のハウジング200内の試料チャンバに挿入されるように構成されている。試料トレイ又はホルダモジュール150は、試料トレイモジュールを識別するように構成され、電気コネクタに接続されたマイクロコントローラを含んでいてもよい。そしてこの電気コネクタは、ハウジング内の相補的な(又は予備的な、補足的な、対応する、complementary)電気コネクタに試料チャンバ内で係合するように構成されるとともに、制御装置120(
図1)に接続されていてよい。
【0043】
図6A及び
図6Bは、本開示の代表的な実施形態による、光学機器100内のモジュール式光源のユーザ保守性を示す。
図7は、本開示の代表的な実施形態による光学機器100のモジュール式光源の斜視図である。機器100は、前述のようなアクセスパネルを有するハウジング200を含み、このアクセスパネルは、光源モジュール108の取り付けを示すために取り外されている。一つ又は複数の実施形態では、光源モジュール108は、モジュール108に固定され、且つモジュール108の電気コネクタ620に接続されたランプ610を含む。この電気コネクタ620は、モジュール108をハウジング200内に挿入すると、ハウジング200内の相補的な電気コネクタと係合するように構成されている。モジュール108は、光学機器100から取り外し可能に構成され、関連するラッチ(又は掛け金、外れ止め、歯止め、latch)420又は同様の機構によって締結具を使用することなくハウジング200内に選択的に固定される。
【0044】
モジュール108は、ハウジング200内でセルフアライメントするための、複数の位置決め機構を有するハウジング700を含む。一つ又は複数の実施形態では、位置決め機構は、適切な位置合わせのために、ハウジング200内の関連する開口部と一致する非対称の外形形状又は幾何形状を含んでもよい。追加の位置決め機構は、ハウジング200内の対応するスロット又は同様の機構と係合する、フランジ又はレール710、712及び714を含んでもよい。ランプ610の光学的位置合わせは、関連する位置決め面又は機構720によって提供されてもよく、この位置決め面又は機構720は、ハウジング200内に固定され、且つランプ610を受けるように適合された開口部を有する光源リフレクタの背面の対応する面と係合する。
【0045】
図8は、本開示の代表的な実施形態による、光学機器のための代表的な上部光学アセンブリを図示する。一つ又は複数の実施形態では、光学アセンブリ800又は同様の装置は、配置機構として使用されてもよく、選択された光学部品を光ビームの光路内に配置するようにしてもよい。例えば、光学アセンブリ800は配置装置として用いられてよく、機器100を制御するように1つ又は複数の関連する制御装置から関連付けられたアクチュエータに提供される信号に基づいて、選択された入射スリット、選択されたアパーチャ、選択された偏光子、選択されたフィルタ、選択されたレンズ等を光ビームの光路内に配置するように構成されていてもよい。
【0046】
様々な実施形態では
、アセンブリ800はハウジング802を含み、このハウジング802は、
図1に示すようなプレート102の上面104又はプレート102の底面106に固定されるように構成されてもよい。このハウジング802は、ミラー804をプレート102に間接的に固定してもよく、ミラー804の光学的位置合わせのための一つ又は複数の調整位置決めネジ(adjustment set screws)を含んでもよい。ハウジング802は、ステッピングモーター808と協調してホイール810を選択的に回転させるか、又は同様の装置を動かす1つ又は複数のギア806を含んでもよく、これにより、ホイール810に取り付けられた複数の光学部品(812で示されるような)の1つを光ビームの光路内に配置するようにしてもよい。ハウジング802は、複数の光学部品822を有する第2のホイール820によって表されるように、複数のホイール及びアクチュエータを収容してもよい。カバー又はエンドプレート830は、ハウジング802に固定されてもよい。エンドプレート830は、一つ又は複数の固定された又は調整可能な光学素子840を受容するように構成されてもよい。一つ又は複数の実施形態では、エンドプレート830は、調節可能な焦点レンズアセンブリのための支持体840を含む。
【0047】
アセンブリ800は、機器100内の特定の用途に応じて変更されてもよく、単一のホイール810、ホイール820によって表されるようなデュアルホイール構成、又は複数のホイールを含んでもよい。同様に、アセンブリ800又は同様の配置機構は、
図1を参照して前述したよう
な、モノクロメータ116のための複数の入射スリットの一つ、分光器186のための複数の入射スリットの一つ、複数の偏光子又はフィルタ136の一つを選択するのに用いられてよく、あるいは、分光器186の上流及び試料148の下流の光路内又は光路外に、アパーチャを選択的に配置するのに用いられてもよい。
【0048】
当業者であれば理解するように、前述し図示した実施形態の一つ又は複数は、競争力のあるコストでベンチトップスペースを効率的に使用することができる、蛍光・吸光測定のための三次元屈曲光学設計を有する小型機器を含む、関連する複数の利点を提供することができる。モジュラー式光源モジュールを使用することにより、ツールを使用することなくユーザが取り付けることができる、事前に取り付けられ、事前に位置合わせされた光源を提供でき、技術者による交換と調整のサービスコールを排除することができる。モジュール式試料トレイは、自己識別(self-identification)や、モータ制御式タレット用の電力や、温度プローブ及びpH計等の統合された計器からのデジタル又はアナログ信号の信号伝送のための、統合されたマイクロコントローラを有する、様々なタイプの単一又は複数のキュベットを容易にする。一つ又は複数の実施形態のハウジング及び光学基準プレートは、製造及び品質調整中に最小限の調整により光学的な調整を容易にするよう、成形された光学制御点(molded optical control points)を有する高度に一体化された成形設計を取り入れてもよい。さらに、ベースプレートに適合(又は一致)する膨張係数を有する射出成形加工ポリマーを使用することにより、周囲温度の変化に関連する光学的歪みを低減又は排除する。
【0049】
代表的な実施形態を上記で説明したが、これらの実施形態は本開示による多孔質固体及び粉末材料の表面特徴付けのためのシステム又は方法のすべての可能な形態を説明することを意図するものではない。本明細書で使用される用語は限定ではなく説明の用語であり、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることを理解されたい。前述のように、様々な代表的な実施形態の特徴はさらなる実施形態を形成するために、明示的に図示又は説明されていない方法で組み合わせることができる。様々な実施形態が一つ又は複数の所望の特性に関して利点を提供するものとして、又は他の実施形態又は従来技術の実施形態よりも好ましいものとして説明されてきたが、当業者には理解されるように、一つ又は複数の特性は特定の用途及び実施に依存する所望のシステム属性を達成するために妥協され得る。これらの属性には、コスト、強度、耐久性、ライフサイクルコスト、市場性、外観、包装、サイズ、供用性、重量、製造性、組立の容易さ、操作の容易さ等が含まれるが、これらに限定されない。一つ又は複数の特性に関して他の実施形態又は従来技術の実装よりも望ましくないものとして本明細書で説明される任意の実施形態は、本開示の範囲外ではなく、特定の用途に望ましい場合がある。