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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】電子機器、および外部装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20241118BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20241118BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20241118BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20241118BHJP
【FI】
G03B17/56 J
G03B17/02
H04N23/50
H04N23/60 300
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021022569
(22)【出願日】2021-02-16
(65)【公開番号】P2022124751
(43)【公開日】2022-08-26
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】岡野 好伸
(72)【発明者】
【氏名】平山 慧大
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-251570(JP,A)
【文献】特開2006-065700(JP,A)
【文献】特開2009-212592(JP,A)
【文献】特開2022-006845(JP,A)
【文献】特開2016-090822(JP,A)
【文献】特開2013-250462(JP,A)
【文献】特開2012-002984(JP,A)
【文献】特開2010-178893(JP,A)
【文献】特開2005-292187(JP,A)
【文献】特開2000-315380(JP,A)
【文献】国際公開第2013/011988(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0124291(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G03B 15/03
G03B 15/05
G03B 17/02
G11C 5/00
H04N 23/50
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置の外部係合部が装着される機器係合部と、
前記機器係合部に装着されている前記外部装置の前記外部係合部に設けられる複数の外部の無線通信手段の各々と対向するように前記機器係合部に設けられる複数の機器の無線通信手段と、
を有し、
前記機器係合部は、前記機器係合部に対してスライド装着される前記外部装置の前記外部係合部をスライド方向以外の三方において囲って係合する金属製シュープレートを有し、
前記機器係合部に設けられる複数の前記機器の無線通信手段は、少なくともすべての放射特性が平行とならないように配置されており、
前記機器係合部に前記外部装置の前記外部係合部がスライド装着されている状態において対向する前記機器の無線通信手段と前記外部の無線通信手段との間隔は、少なくとも前記機器の無線通信手段と前記金属製シュープレートとの間隔より狭いことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記金属製シュープレートは、
前記外部装置の前記外部係合部を左右から挟む一対の係合部と、一対の前記係合部の間を連結する連結部と、により、装着されている前記外部装置の前記外部係合部をスライド方向以外の三方において囲って係合可能なものであり、
前記外部装置の前記外部係合部が、一対の前記係合部についての前記連結部により連結されていないスライド開口部の側から連結部へ向けて、一対の前記係合部の間へスライド装着されるものであり、
複数の前記機器の無線通信手段は、前記外部係合部のスライド方向において互いに間隔を開けて、前記スライド開口部の側から順番に並べられる第一の機器の無線通信手段と、第二の機器の無線通信手段と、を含み、
前記スライド開口部に最も近い第一の前記機器の無線通信手段は、前記スライド開口部の方向へ向かう放射特性を有し、
前記第一の前記機器の無線通信手段の次に前記スライド開口部に次に近い第二の前記機器の無線通信手段は、第一の前記機器の無線通信手段とは直交する放射特性を有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記外部装置の前記外部係合部が前記機器係合部にスライド装着される際に、前記外部装置と擦接可能なカバー部材を有し、
複数の前記機器の無線通信手段は、前記カバー部材に覆われている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記無線通信手段の放射特性の方向は、前記無線通信手段としてのアンテナの指向性における最大放射方向である、ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載の電子機器。
【請求項5】
前記電子機器は、撮像装置である、ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載の電子機器。
【請求項6】
外部装置であって、
電子機器の機器係合部にスライド装着可能な外部係合部と、
前記電子機器の前記機器係合部に設けられる複数の機器の無線通信手段の各々と対向するように前記外部係合部に設けられる複数の外部の無線通信手段と、
を有し、
前記外部係合部に設けられる複数の外部の無線通信手段は、少なくともすべての放射特性が平行とならないように配置され
前記外部係合部は、前記電子機器にスライド装着される前記外部装置のスライド方向以外の三方において囲う金属製シュープレートと係合し、
前記外部の無線通信手段についての前記機器の無線通信手段との間隔は、
少なくとも、前記外部係合部が前記機器係合部にスライド装着されている状態における前記電子機器の前記金属製シュープレートとの間隔より狭いことを特徴とする外部装置。
【請求項7】
前記外部係合部に設けられる複数の前記外部の無線通信手段は、前記外部係合部がスライド装着される前記電子機器と接離する方向において上下動可能に設けられる、ことを特徴とする請求項6に記載の外部装置。
【請求項8】
上下動可能に設けられる複数の前記外部の無線通信手段は、
前記外部係合部が前記電子機器にスライド装着される際に、前記電子機器から離れる退避位置にあり、
前記外部係合部が前記電子機器にスライド装着されている状態において、前記電子機器に近づくように下がる、ことを特徴とする請求項7に記載の外部装置。
【請求項9】
上下動可能に設けられる複数の前記外部の無線通信手段は、
前記外部装置の前記外部係合部が前記電子機器にスライド装着される動作、
前記外部係合部と前記電子機器との装着位置を規制する動作、または、
前記外部装置または前記電子機器に設けられる操作部材の動作、と連動して、前記電子機器から離れている退避位置から前記電子機器に近づくように下がる、ことを特徴とする請求項または記載の外部装置。
【請求項10】
複数の前記外部の無線通信手段は、前記外部係合部のスライド方向において互いに間隔を開けて、前記電子機器の前記金属製シュープレートについてのスライド開口部の側から順番に並べられる第一の外部の無線通信手段と、第二のアクセサリ側の線通信手段と、を含み、
前記電子機器の前記スライド開口部に近い第一の前記外部の無線通信手段は、前記スライド開口部へ向かう放射特性を有し、
第一の前記外部の無線通信手段の次に前記電子機器の前記スライド開口部に次に近い第二の前記外部の無線通信手段は、第一の前記外部の無線通信手段とは直交する放射特性を有する、ことを特徴とする請求項からのいずれか一項記載の外部装置。
【請求項11】
前記電子機器のデータを記憶する記憶手段、を有する、ことを特徴とする請求項から10のいずれか一項記載の外部装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、および外部装置、に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、たとえばアクセサリ装置といった外部装置を装着して使用できるデジタルカメラがある。
【0003】
デジタルカメラといった撮像装置には、たとえばフラッシュ装置、投光装置といったアクセサリ装置を装着することができる(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-084681号公報
【文献】特開2016-086211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、撮像装置などの電子機器では、今後、大量のデータを生成する可能性がある。この場合、電子機器の記憶領域だけでは、データの記憶容量が不足する可能性がある。このため、電子機器では、電子機器のデータを記憶できる外部装置を接続できるようにすることが考えられる。そして、電子機器と外部装置との間では、大量のデータを、高速に送受できるようにすることが求められると考えられる。
【0006】
それとは別に、デジタルカメラといった撮像装置では、アクセサリ装置を接続するために従来からアクセサリシュー機構の機器係合部が用いられている。電子機器のデータを記憶する外部装置についても、アクセサリシュー機構のようなものを用いて、電子機器へ装着することが考えられる。
【0007】
しかしながら、撮像装置でのアクセサリシュー機構の機器係合部には、既に、撮像装置とアクセサリ装置との間で設定データなどを送受するために、複数のピン電極部材や、複数の電極端子がフラット配列されているフラットコネクタといったものが、設けられている。アクセサリシュー機構の機器係合部において、さらに物理的に接続されるコネクタや電極部材を設けることは難しい。このため、特許文献1、2では、アクセサリシュー機構の機器係合部とは別に、たとえばアクセサリシュー機構の機器係合部の周囲に、機器の無線通信手段を設けている。しかしながら、このようにアクセサリシュー機構の機器係合部とは別に機器の無線通信手段を設けると、撮像装置といった電子機器の無線通信手段からアクセサリ装置といった外部装置の無線通信手段までのとの距離が長くなる。電波を伝搬させる距離が長くなると、無線通信の出力を上げる必要がある。大量のデータを高速に送受する場合には特に電波の周波数が高くなり、より一層出力を上げる必要がある。
【0008】
このように撮像装置などの電子機器では、装着される外部装置との間で大量のデータを高速に送受できるように装着可能にすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態に係る電子機器は、外部装置の外部係合部が装着される機器係合部と、前記機器係合部に装着されている前記外部装置の前記外部係合部に設けられる複数の外部の無線通信手段の各々と対向するように前記機器係合部に設けられる複数の機器の無線通信手段と、を有し、前記機器係合部は、前記機器係合部に対してスライド装着される前記外部装置の前記外部係合部をスライド方向以外の三方において囲って係合する金属製シュープレートを有し、前記機器係合部に設けられる複数の前記機器の無線通信手段は、少なくともすべての放射特性が平行とならないように配置されており、前記機器係合部に前記外部装置の前記外部係合部がスライド装着されている状態において対向する前記機器の無線通信手段と前記外部の無線通信手段との間隔は、少なくとも前記機器の無線通信手段と前記金属製シュープレートとの間隔より狭い
【発明の効果】
【0010】
本発明では、電子機器は、それに装着される外部装置との間で大量のデータを高速に送受できるように装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る電子機器としてのデジタルカメラと外部装置としての外部メディア装置との斜視図である。
図2図1のデジタルカメラの概略構成の説明図である。
図3図1の外部メディア装置の概略構成の説明図である。
図4図3の外部メディア装置を、外係合部のある下側から見た外観斜視図である。
図5図4の外部メディア装置の係合部分の断面図である。
図6図4の外部メディア装置の分解斜視図である。
図7図6(b)の一部の部品を組み立てた状態の斜視図である。
図8図2のデジタルカメラのアクセサリシュー機構による機器係合部の説明図である。
図9図8のデジタルカメラのアクセサリシュー機構による機器係合部の分解斜視図である。
図10図9の機器係合部の主たる装着部品を示す説明図である。
図11図3の外部メディア装置を、図8のデジタルカメラにスライド装着する状態の説明図である。
図12図3の外部メディア装置を、図8のデジタルカメラにスライド装着している通信可能状態の説明図である。
図13図8のデジタルカメラの係合部分に設けられる複数の機器無線通信モジュールの放射特性の説明図である。
図14図3の外部メディア装置の係合部分に設けられる複数の外部無線通信モジュールの放射特性の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の実施形態に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は実施形態に記載されている構成によって限定されることはない。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る電子機器としてのデジタルカメラ1と外部装置としての外部メディア装置2との斜視図である。
【0014】
図1(a)は、デジタルカメラ1と外部メディア装置2とが分離している状態での斜視図である。
【0015】
図1(b)は、外部メディア装置2がデジタルカメラ1にスライド装着されている状態での斜視図である。
【0016】
図中には、デジタルカメラ1の光軸方向である前後方向のZ軸、上下方向のY軸、左右方向のX軸が示されている。後述する各図には、図面間の参照のために必要に応じて、これらの三軸を記載する。
【0017】
デジタルカメラ1は、カメラボディ10を有する。カメラボディ10の背面には、モニタ11が配置される。カメラボディ10の上面には、アクセサリシュー機構による機器係合部12が設けられる。
【0018】
外部メディア装置2は、デジタルカメラ1の機器係合部12にスライド装着できる。
【0019】
デジタルカメラ1のアクセサリシュー機構による機器係合部12には、外部メディア装置2の他にも、デジタルカメラ1のアクセサリ装置である、たとえばフラッシュ装置、投光装置などをスライド装着することが可能である。アクセサリシュー機構による機器係合部12には、フラッシュ装置などのアクセサリ装置との間で設定データなどを送受するために、既に、複数のピン電極部材や、複数の電極端子がフラット配列されているフラットコネクタといったものが、設けられている。このため、アクセサリシュー機構の機器係合部12に、外部メディア装置2のために、新たな大量のデータを高速に送受するための物理的に接続されるコネクタや電極部材を追加して設けることは容易なことではない。
【0020】
図2は、図1のデジタルカメラ1の概略構成の説明図である。
【0021】
図2のデジタルカメラ1は、撮像および記録のために、撮像光学系21、撮像素子22、A/D変換器23、メモリコントローラ24、タイミング信号発生回路25、バッファメモリ26、モニタ11、記録媒体制御部28、および、記録媒体29、を有する。
【0022】
撮像光学系21は、たとえばズームレンズやフォーカスレンズといった複数のレンズ、絞り、シャッタ、を有する。撮像光学系21は、被写界からの反射光を、撮像素子22に結像させる。
【0023】
撮像素子22は、たとえばCCDやCMOSといったイメージセンサでよい。撮像素子22は、被写界からの反射光である光学像を、電気信号に変換する。
【0024】
A/D変換器23は、撮像素子22から読み出されたアナログ電気信号(アナログ画像データ)をデジタル電気信号(デジタル画像データ)に変換する。
【0025】
バッファメモリ26は、A/D変換器23から出力されたデジタル画像データを一時的に記録する。バッファメモリ26は、モニタ11に表示する画像の画像データを一時的に記録してよい。
【0026】
メモリコントローラ24は、バッファメモリ26の動作を管理する。メモリコントローラ24は、バッファメモリ26に、リフレッシュ動作などを実行させる。
【0027】
タイミング信号発生回路25は、メモリコントローラ24の制御の下で、撮像素子22およびA/D変換器23へ動作のタイミング信号を出力する。
【0028】
モニタ11は、たとえば液晶パネル、有機ELパネルでよい。モニタ11は、バッファメモリ26に蓄積されている画像データなどを表示する。
【0029】
記録媒体29は、たとえばデジタルカメラ1に取り外し可能に装着されるメモリカードでよい。記録媒体29は、デジタルカメラ1に内蔵されたハードディスクなどでもよい。
【0030】
記録媒体制御部28は、記録媒体29へのデータの書き込みおよび読み出しを制御する。
【0031】
このように、デジタルカメラ1は、撮像した静止画や動画の画像データを記録する記録媒体29を有する。記録媒体29には、基本的に大容量の記憶領域を有するものが使用される。しかしながら、近年ではデジタルカメラ1において撮像素子22の画素数やフレームレートの増加が望まれており、デジタルカメラ1そのものに設けられる記録媒体29の記憶領域では、その容量不足が懸念される可能性がある。
【0032】
このため、デジタルカメラ1では、デジタルカメラ1のデータを記憶できる外部メディア装置2を接続できるようにすることが求められている。この場合、デジタルカメラ1と外部メディア装置2との間では、高解像度の静止画や動画のために大量のデータを高速に送受できるようにする必要がある。従来のデジタルカメラ1のアクセサリ装置で採用している複数のピン電極部材や、複数の電極端子がフラット配列されているフラットコネクタの規格では、このような大量のデータを高速に送受することが難しい。
【0033】
図2のデジタルカメラ1は、デジタルカメラ1の全体的な動作を制御するカメラMPU31、を有する。カメラMPU31は、たとえばマイクロコントローラでよい。
【0034】
カメラMPU31には、メモリコントローラ24、モニタ11、記録媒体制御部28、カメラLED補助光部32、外部装置制御部33、が接続される。カメラMPU31には、さらに、モータ制御部34、シャッタ制御部35、測光部37、レンズ制御部38、焦点検出部39、姿勢検出部40、スイッチ操作部41、が接続される。
【0035】
モータ制御部34は、カメラMPU31からの露出動作時の信号にしたがって、不図示のモータを制御する。モータ制御部34は、撮像光学系21に設けられる不図示をミラーのアップ/ダウンさせ、シャッタのチャージを行う。
【0036】
シャッタ制御部35は、カメラMPU31からの露出動作時の信号にしたがって、撮像光学系21が備えるシャッタ(シャッタ先幕、シャッタ後幕)の通電をカットする。これにより、シャッタ先幕とシャッタ後幕とが幕走行し、撮像素子22へ光が入射する。露出動作が実行される。
【0037】
測光部37は、多分割測光センサ36を有する。多分割測光センサ36は、撮像素子22の撮像画面を複数のエリアに分割して、各エリアの輝度信号を出力する。測光部37は、多分割測光センサ36の輝度信号をカメラMPU31へ出力する。カメラMPU31は、測光部37から取得した輝度信号に基づき、露出調節のためのAV(絞り値)、TV(シャッタスピード)、ISO(撮像素子22の感度)などを演算する。測光部37は、内蔵照明装置42が被写界へ向けて予備発光(プリ発光)したときの輝度信号をカメラMPU31に出力してよい。カメラMPU31は、予備発光での輝度信号から、本露出(本撮影)時の内蔵照明措置の発光量(メイン発光量)を演算してよい。
【0038】
焦点検出部39は、周知の位相差検出方式により、自動焦点制御(オートフォーカス(AF))のための被写界に対するデフォーカス量を検出する。
【0039】
カメラLED補助光部32は、焦点検出部39による焦点検出制御の補助光として使用される所定のパターンを有する近赤外光(LED補助光)を、被写界へ照射する。
【0040】
レンズ制御部38は、撮像光学系21の不図示の鏡筒部材に設けられる。レンズ制御部38は、不図示のレンズマウント接点を通じて、カメラMPU31と通信する。レンズ制御部38は、鏡筒部材の不図示のレンズ駆動モータおよびレンズ絞りモータを動作させて、撮像光学系21の焦点と絞りとを制御する。
【0041】
姿勢検出部40は、撮影光軸を中心とした回転方向に対するデジタルカメラ1の傾きを検出する。
【0042】
スイッチ操作部41は、第一スイッチSW1、第二スイッチSW2といった複数のスイッチにより、不図示のレリーズボタンの操作を検出する。撮像の開始などのためにレリーズボタンが半押しされると、第一スイッチSW1はオンとなる。カメラMPU31は、第一スイッチSW1のオン操作に基づいて、AF処理および測光処理を開始する。レリーズボタンが全押しされると、第二スイッチSW2はオンになる。カメラMPU31は、第二スイッチSW2のオン操作に基づいて、撮像するための露出動作を開始する。
【0043】
外部装置制御部33には、アクセサリシュー機構による機器係合部12と、内蔵照明装置42と、が接続される。
【0044】
内蔵照明装置42は、被写界へ向けて予備発光(プリ発光)する。
【0045】
アクセサリシュー機構による機器係合部12には、デジタルカメラ1のアクセサリ装置が取り外し可能にスライド装着される。
【0046】
アクセサリシュー機構による機器係合部12には、機器接続端子43とともに、機器送信モジュール44、機器受信モジュール45、が設けられる。機器接続端子43は、複数のピン電極部材、複数の電極端子がフラット配列されている外部フラットコネクタ104、を含んでよい。
【0047】
機器送信モジュール44、機器受信モジュール45は、デジタルカメラ1の複数の機器の無線通信手段である。
【0048】
外部装置制御部33は、外部メディア装置2といったアクセサリ装置が、アクセサリシュー機構による機器係合部12に装着されることを検出すると、アクセサリシュー機構による機器係合部12を介してアクセサリ装置への給電を開始する。
【0049】
図3は、図1の外部メディア装置2の概略構成の説明図である。
【0050】
図3の外部メディア装置2は、外部メディアMPU51、を有する。外部メディアMPU51には、外係合部52、電源部53、記録媒体制御部54、を有する。
【0051】
外部メディアMPU51は、外部メディア装置2の不図示のメイン基板に実装される。外部メディアMPU51は、外部メディア装置2の全体的な動作を制御する。電源部53は、外部メディア装置2の各部へ電力を供給する。電源部53は、外部メディア装置2に内蔵されていても、外部メディア装置2から取り外し可能なものでもよい。
【0052】
電源部53は、外係合部52に設けられて、デジタルカメラ1の機器接続端子43を通じて、デジタルカメラ1の外部装置制御部33から給電される電力を、外部メディア装置2の各部へ電力を供給してもよい。
【0053】
記録媒体制御部54は、外部メディア装置2に装着されている記録媒体29へのデータの書き込みおよび読み出しを制御する。記録媒体制御部54は、たとえばデジタルカメラ1のデータを記憶手段としての記録媒体29に記憶させることができる。
【0054】
記録媒体55は、たとえば外部メディア装置2に取り外し可能に装着されるメモリカードでよい。メモリカードは、半導体メモリでよい。
【0055】
外係合部52は、デジタルカメラ1のアクセサリシュー機構による機器係合部12とスライド係合する。デジタルカメラ1と外部メディア装置2とは、外係合部52と機器係合部12とが係合している状態で、機械的に接続され、かつ電気的に接続される。
【0056】
外係合部52には、外接続端子56とともに、外送信モジュール57、外受信モジュール58、が設けられる。外接続端子56は、外係合部52と機器係合部12とが係合することにより、デジタルカメラ1の機器接続端子43と物理的に接続される。
【0057】
また、外係合部52と機器係合部12とが係合する部分において、外部メディア装置2の外送信モジュール57は、デジタルカメラ1の機器受信モジュール45と近接する。外部メディア装置2の外受信モジュール58は、デジタルカメラ1の機器送信モジュール44と近接する。
【0058】
カメラMPU31と外部メディアMPU51とは、外送信モジュール57と機器受信モジュール45とによる無線通信路と、外受信モジュール58と機器送信モジュール44とによる無線通信路と、の複数組の無線通信手段を用いて、少ない出力および消費電力により、大量のデータを高速に送受することができる。
【0059】
なお、無線通信手段は、3組以上で設けられてもよい。
【0060】
図4は、図3の外部メディア装置2を、外係合部52のある下側から見た外観斜視図である。
【0061】
図5は、図4の外部メディア装置2の係合部分の断面図である。
【0062】
図5(a)は、図4のA-A断面図である。図5(b)は、図4のB-B断面図である。
【0063】
図6は、図4の外部メディア装置2の分解斜視図である。図6(a)は、図4の状態での分解斜視図である。図6(b)は、図6(a)とはY軸方向の上下を入れ替えた分解斜視図である。
【0064】
図7は、図6(b)の一部の部品を組み立てた状態の斜視図である。
【0065】
図4から図7に示すように、外部メディア装置2は、記録媒体55が取り外し可能に装着される略立方体形状の外部ボディ100と、略立方体形状の外部ボディ100の下側からY軸方向へ下向きに突出するエンクロージャー101と、を有する。エンクロージャー101は、たとえば合成樹脂材料といった非導電性材料(誘電材料)を用いて、外部ボディ100の外形より一回り小さい略円柱形状に形成されている。
【0066】
略円柱形状のエンクロージャー101の外周には、操作部材としてのロックレバー102が周方向へ回動可能に設けられる。
【0067】
エンクロージャー101についてのY軸方向の下面の外縁部分には、外係合部52が突出して設けられる。外係合部52は、その外形が略四角形の平板形状となるように、エンクロージャー101の外周の下縁部分から外向きに突出している。外係合部52は、外部メディア装置2において、デジタルカメラ1の機器係合部12にスライド装着可能な部分である。
【0068】
エンクロージャー101の下面には、凹部103が形成される。凹部103には、略平板状の外部カバー部材110が、Y軸方向に沿って上下動可動に設けられる。略平板状の外部カバー部材110についてのY軸方向の上面には、外電波吸収部材111により互いに離間した状態に保持されている外受信モジュール58と外送信モジュール57と、が設けられる。外受信モジュール58と、外送信モジュール57とは、外係合部52の内側の凹部103において、略平板状の外部カバー部材110に覆われた状態で、外部カバー部材110とともにY軸方向に沿って上下動可能に設けられる。外受信モジュール58と、外送信モジュール57とは、エンクロージャー101の内部を通したフレキシブルプリント板106により、図3の外部メディアMPU51に接続される。
【0069】
エンクロージャー101の下面には、凹部103についてのZ軸方向に隣接する部位に、複数の電極端子がフラット配列されている外部フラットコネクタ104による外接続端子56が設けられる。外部メディア装置2の外係合部52には、外受信モジュール58、および、外送信モジュール57とともに、外接続端子56が、互いに近接して密に配置される。外接続端子56は、現存するデジタルカメラ1の他のアクセサリ装置が共通に使用できる外部フラットコネクタ104と接続可能なものである。外受信モジュール58と、外送信モジュール57とは、外部メディア装置2の複数の外部の無線通信手段である。なお、図4から図7とは異なり、エンクロージャー101の下面にはさらに、現存するデジタルカメラ1の他のアクセサリ装置が使用する複数のピン電極部材が設けられてもよい。この場合、外受信モジュール58、および、外送信モジュール57は、外部メディア装置2の外係合部52において、外接続端子56や複数のピン電極部材と重ならない位置に、レイアウトされるとよい。
【0070】
図7に示すように、外接続端子56についてのX軸方向の両側には、外係合部52により当接面105が形成される。当接面105は、デジタルカメラ1に装着した場合において、機器係合部12と当たる。これにより、外部メディア装置2についてのZ軸方向での装着位置は、一定に位置決めされる。外部メディア装置2についてのデジタルカメラ1への装着位置は、X軸方向およびY軸方向においてだけでなくZ軸方向においても一定の位置に安定して位置決めされる。
【0071】
エンクロージャー101の下面の凹部103には、さらに、フレキシブルプリント板106の上側に、略平板状のピン連結部材107が設けられる。エンクロージャー101には、Y軸方向に沿って延在する摺動ピン108が設けられる。摺動ピン108は、Y軸方向へ移動可能に設けられ、凹部103に設けられるピン連結部材107を上から下へ向けて押すことができる。エンクロージャー101には、さらに、Y軸方向に沿って延在する一対のロックピン109が設けられる。一対のロックピン109は、Y軸方向へ移動可能に設けられ、エンクロージャー101の下面からY軸方向へ向かって突出できる。
【0072】
そして、ロックレバー102を一方向に回転させると、不図示のカム部の作用により、一対のロックピン109および摺動ピン108は、エンクロージャー101の下面へ向かうようにY軸方向に沿って移動する。一対のロックピン109は、エンクロージャー101の下面から突出する。摺動ピン108は、ピン連結部材107とともに、外部カバー部材110を、Y軸方向へ下向きに押す。これにより、外部カバー部材110は、エンクロージャー101の下面の凹部103に収まる退避位置から下がり、エンクロージャー101の下面と面一となる位置まで移動できる。
【0073】
ロックレバー102を逆方向に回転させると、一対のロックピン109および摺動ピン108は、エンクロージャー101の上面へ向かうようにY軸方向に沿って移動する。一対のロックピン109は、エンクロージャー101の下面から突出しないように、エンクロージャー101に収まる。摺動ピン108により下向きに押されなくなったピン連結部材107は、Y軸方向に沿って上へ移動する。外部カバー部材110は、エンクロージャー101の下面と面一とならないようにY軸方向に沿って上がり、エンクロージャー101の下面の凹部103に収まる退避位置へ上がる。
【0074】
図8は、図2のデジタルカメラ1のアクセサリシュー機構による機器係合部12の説明図である。図8(a)は、機器係合部12をY軸方向の上から見た機器係合部12の透視外観図である。図8(b)は、図8(a)の機器係合部12の断面図である。
【0075】
図9は、図8のデジタルカメラ1のアクセサリシュー機構による機器係合部12の分解斜視図である。
【0076】
図10は、図9の機器係合部12の主たる装着部品を示す説明図である。図10(a)は、金属製シュープレート201を斜め上側から見た斜視図である。図10(b)は、図10(a)の金属製シュープレート201の裏面の斜視図である。図10(c)は、端子用部材202を斜め上側から見た斜視図である。
【0077】
図8から図10に示すように、デジタルカメラ1のアクセサリシュー機構による機器係合部12は、金属製シュープレート201、端子用部材202、シュースプリング203、を有する。端子用部材202には、機器接続端子43とともに、機器送信モジュール44、機器受信モジュール45、が設けられる。
【0078】
そして、機器係合部12は、カメラボディ10の上部に形成される装着凹部13において露出するように設けられる。
【0079】
端子用部材202は、略四角形の平板形状の基板である。
【0080】
略四角形の平板形状の端子用部材202についてのZ軸方向の一端部分には、複数の電極端子がフラット配列されている機器フラットコネクタ204が設けられる。機器フラットコネクタ204は、機器接続端子43であり、略四角形の平板形状の端子用部材202についての一辺に亘って形成される。機器フラットコネクタ204の周囲は、端子用部材202の外縁に沿って設けられるリブ部205に囲われる。リブ部205には、機器係合部12にスライド装着される外部メディア装置2の当接面105が当たる。
【0081】
略四角形の平板形状の端子用部材202についてのZ軸方向の他端部分には、略平板状の機器カバー部材206が形成される。機器カバー部材206は、略四角形の平板形状の端子用部材202の上面から、Y軸方向において上へ突出している。機器カバー部材206は、外部メディア装置2の外係合部52が機器係合部12にスライド装着される際に、外部メディア装置2と擦接可能である。
【0082】
機器カバー部材206についてのY軸方向の下側には、機器電波吸収部材207により互いに離間した状態に保持されている機器受信モジュール45と機器送信モジュール44と、が設けられる。機器受信モジュール45と、機器送信モジュール44とは、略平板状の機器カバー部材206に覆われる。機器受信モジュール45と、機器送信モジュール44とには、機器カバー部材206による静電気防止効果が期待できる。機器受信モジュール45と、機器送信モジュール44とは、フレキシブルプリント板208により、図2の外部装置制御部33に接続される。
【0083】
略四角形の平板形状の端子用部材202には、略平板状の機器カバー部材206についてのX軸方向の両側に、一対のロックピン109が挿入可能な一対のロック凹部209が形成される。
【0084】
金属製シュープレート201は、金属板を平らな管状に形成したものであり、一対の係合部221と、一対の係合部221の間を連結する連結部222と、を有する。平らな管状の金属製シュープレート201には、端子用部材202が挿入される。一対の係合部221は、略平板状の機器カバー部材206についてのX軸方向の左右両側において、Z軸方向に沿って延在する。連結部222は、機器フラットコネクタ204とY軸方向において重なる。これにより、一対の係合部221と連結部222との間には、係合用凹部223が形成される。一対の係合部221と連結部222とは、係合用凹部223についての3辺を囲うように略コの字形状に形成される。略平板状の機器カバー部材206は、係合用凹部223に露出する。機器フラットコネクタ204は、連結部222により隠れる。
【0085】
このようなアクセサリシュー機構による機器係合部12では、平らな管状の金属製シュープレート201についての係合用凹部223が形成される側のスライド開口部210から、外部メディア装置2の外係合部52を金属製シュープレート201へスライド挿入できる。
【0086】
シュースプリング203は、ベース材231についての左右両側のバネ部232を形成するように折り曲げた構造を有する。そして、バネ部232をベース材231へ向けて圧縮した状態で、金属製シュープレート201と、それに挿入される端子用部材202との間に挿入される。金属製シュープレート201と端子用部材202との間にスライド挿入される外部メディア装置2の外係合部52は、シュースプリング203により、金属製シュープレート201に対して押し付けられ得る。
【0087】
図11は、図3の外部メディア装置2を、図8のデジタルカメラ1にスライド装着する状態の説明図である。図11(a)は、外部メディア装置2の外係合部52を、デジタルカメラ1の機器係合部12の金属製シュープレート201にスライド挿入した状態を示す断面図である。図11(a)は、スライド挿入方向であるZ軸方向での断面図である。図11(b)は、図11(a)のスライド挿入状態においてさらにロックレバー102を一方向へ回転させた固定状態を示す断面図である。図11(b)は、図11(a)と同様に、スライド挿入方向であるZ軸方向での断面図である。図11(c)は、図11(b)の固定状態における一対のロックピン109と一対のロック凹部209との嵌合状態を示す断面図である。
【0088】
外部メディア装置2は、その外係合部52を、一対の係合部221についての連結部222により連結されていない側にあるスライド開口部210から、デジタルカメラ1の機器係合部12の金属製シュープレート201へスライド挿入される。外部メディア装置2の外係合部52は、平らな管状の金属製シュープレート201の一対の係合部221の間に挟まれた状態で、シュースプリング203をY軸方向において潰しながら、Z軸方向に沿ってスライド挿入される。外部メディア装置2の外係合部52は、当接面105がリブ部205に当たることにより、図11(a)に示すように、Z軸方向の位置決めがなされる。この状態において、外部メディア装置2の外係合部52は、スライド方向以外の三方が金属製シュープレート201の一対の係合部221と連結部222とにより囲われて、金属製シュープレート201と係合する。外部メディア装置2の外部フラットコネクタ104は、デジタルカメラ1の機器フラットコネクタ204と接触して電気的に接続される。
【0089】
外部メディア装置2は、そのロックレバー102が一方向へ回転操作されると、一対のロックピン109および摺動ピン108が、Y軸方向に沿って下へ向けて移動する。一対のロックピン109は、図11(c)に示すように、エンクロージャー101の下面から突出し、デジタルカメラ1の機器係合部12の一対のロック凹部209に挿入される。これにより、外部メディア装置2は、スライド開口部210の側へ向けてZ軸方向へスライド操作されても、デジタルカメラ1の機器係合部12から外れなくなる。
【0090】
また、外部メディア装置2のロックレバー102が一方向へ回転操作されると、その動作と連動して、摺動ピン108がピン連結部材107と外部カバー部材110を、Y軸方向へ下向きに押す。外部カバー部材110は、機器カバー部材206と接離する方向において上下動してデジタルカメラ1から離れている退避位置から下がり、図11(b)および図11(c)に示すように、機器カバー部材206と密着する。外部カバー部材110の上にある外受信モジュール58は、機器カバー部材206の下にある機器送信モジュール44と近づくように下がる。外部カバー部材110の上にある外送信モジュール57は、機器カバー部材206の下にある機器受信モジュール45と近づくように下がる。
【0091】
これにより、互いに対向している外受信モジュール58と機器送信モジュール44とは、近接することにより、高周波での無線通信が可能な無線通信路を形成し得る。互いに対向している外送信モジュール57と機器受信モジュール45とは、近接することにより、高周波での無線通信が可能な無線通信路を形成し得る。デジタルカメラ1のカメラMPU31と外部メディア装置2の外部メディアMPU51とは、これら複数の高周波での無線通信が可能な無線通信路を用いて、大量のデータを高速に送受できる。また、デジタルカメラ1のカメラMPU31と外部メディア装置2の外部メディアMPU51とは、さらに、デジタルカメラ1の機器フラットコネクタ204と外部メディア装置2の外部フラットコネクタ104とによる有線通信路を用いても、データを送受できる。
【0092】
図12は、図3の外部メディア装置2を、図8のデジタルカメラ1にスライド装着している通信可能状態の説明図である。図12(a)は、外部メディア装置2が装着されているデジタルカメラ1を、Y軸方向の上から見た図である。図12(b)は、図12(a)の装着状態にある外部メディア装置2とデジタルカメラ1との係合部分のAA-AA断面図である。
【0093】
図12に示すように、デジタルカメラ1の機器送信モジュール44と機器受信モジュール45とは、Z軸方向に沿って離間して配列されている。そして、機器送信モジュール44は、機器受信モジュール45よりスライド開口部210の近くに配置される。外部メディア装置2の外送信モジュール57と外受信モジュール58とは、Z軸方向に沿って離間して配列される。外受信モジュール58は、外送信モジュール57より、デジタルカメラ1のスライド開口部210の近くに配置される。
【0094】
このような装着状態において、デジタルカメラ1の機器送信モジュール44は、図12(b)の矢印Bに示すように、電波を出力する。機器送信モジュール44が出離した電波は、機器送信モジュール44の近くにおいて機器送信モジュール44と対向している外部メディア装置2の外受信モジュール58により受信される。
【0095】
外部メディア装置2の外送信モジュール57は、図12(b)の矢印Cに示すように、電波を出力する。外送信モジュール57が出力した電波は、外送信モジュール57の近くにおいて外送信モジュール57と対向しているデジタルカメラ1の機器受信モジュール45により受信される。
【0096】
図13は、図8のデジタルカメラ1の係合部分に設けられる複数の機器無線通信モジュールの放射特性の説明図である。
【0097】
デジタルカメラ1においてスライド開口部210の最も近くに設けられる機器送信モジュール44は、図13(a)に示すように、X軸方向へ延在する無線通信(非接触通信)用のアンテナ251を有する。この場合、機器送信モジュール44が出力する電波は、図13(b)に示すように、X軸方向よりZ軸方向において強く出力される放射特性を有する。図13(b)には、アンテナ251の指向性における最大放射方向が両矢印により示されている。機器送信モジュール44は、スライド開口部210の最も近くに設けられ、スライド開口部210の方向へ向かう放射特性を有する第一の機器無線通信モジュールとして機能する。
【0098】
デジタルカメラ1において機器送信モジュール44よりスライド開口部210から離れて設けられる機器受信モジュール45は、図13(a)に示すように、Z軸方向へ延在するアンテナ252を有する。この場合、機器受信モジュール45は、それから電波を出力すると、図13(b)に示すように、Z軸方向よりX軸方向において強く出力される放射特性を有する。電波を受信する強度は、放射特性と同様である。図13(b)には、アンテナ252の指向性における最大放射方向が両矢印により示されている。機器受信モジュール45は、第一の機器無線通信モジュールの次にスライド開口部210の近くに設けられ、第一の機器無線通信モジュールとは直交する方向へ向かう放射特性を有する第二の機器無線通信モジュールとして機能する。
【0099】
このように機器係合部12に設けられる複数の機器無線通信モジュールは、すべての機器無線通信モジュールの放射特性の方向が90度で異なり、平行とならないように配置されている。機器送信モジュール44と機器受信モジュール45とは、外係合部52のスライド方向において互いに間隔を開けて設けられる。
【0100】
図14は、図3の外部メディア装置2の係合部分に設けられる複数の外部無線通信モジュールの放射特性の説明図である。
【0101】
外部メディア装置2においてデジタルカメラ1のスライド開口部210の最も近くに設けられる外受信モジュール58は、X軸方向へ延在するアンテナ253を有する。この場合、外受信モジュール58は、それから電波を出力すると、図14に示すように、X軸方向よりZ軸方向において強く出力される放射特性を有する。電波を受信する強度は、放射特性と同様である。図14には、アンテナ253の指向性における最大放射方向が両矢印により示されている。外受信モジュール58は、スライド開口部210の最も近くに設けられ、スライド開口部210に対してスライド装着する方向と反対の方向へ向かう放射特性を有する第一の外部無線通信モジュールとして機能する。
【0102】
外部メディア装置2において外受信モジュール58よりデジタルカメラ1のスライド開口部210から離れて設けられる外送信モジュール57は、Z軸方向へ延在するアンテナ254を有する。この場合、外送信モジュール57が出力する電波は、図14に示すように、Z軸方向よりX軸方向において強く出力される放射特性を有する。図14には、アンテナ254の指向性における最大放射方向が両矢印により示されている。外送信モジュール57は、第一の機器無線通信モジュールの次にスライド開口部210の近くに設けられ、第一の機器無線通信モジュールとは直交する方向へ向かう放射特性を有する第二の機器無線通信モジュールとして機能する。
【0103】
このように外係合部52に設けられる複数の外部無線通信モジュールは、すべての外部無線通信モジュールの放射特性の方向が90度で異なり、平行とならないように配置されている。外送信モジュール57と外受信モジュール58とは、外係合部52のスライド方向において互いに間隔を開けて設けられる。
【0104】
なお、外送信モジュール57、外受信モジュール58、機器送信モジュール44、および機器受信モジュール45は、アンテナ251~254以外の部材、たとえば無線通信回路を備えてもよい。無線通信回路の機能は、外部装置制御部33または外部メディアMPU51において統合的に実現されてもよい。
【0105】
また、これら複数の無線通信モジュールは、ダイポール特性のアンテナではなく、たとえば電磁誘導、磁界共鳴といった電磁界により他のアンテナとの間で無線通信するアンテナを備えてもよい。
【0106】
そして、図12と比較すれば明らかなように、互いに対向している機器送信モジュール44と外受信モジュール58との間隔は、それらの無線通信モジュールと金属製シュープレート201との間隔より狭くなっている。
【0107】
互いに対向している機器受信モジュール45と外送信モジュール57との間隔は、それらの無線通信モジュールと金属製シュープレート201との間隔より狭くなっている。無線通信モジュールのアンテナは、所定の放射特性を持ち、放射特性により電波が強く放射される向きが決まる。無線通信では、この放射特性の方向に金属部材が存在すると、電波が金属部材に当たって反射する。反射した電波は、アンテナの特性に様々な影響を与える。
【0108】
図13および図14に示すように、XZ平面において、複数のすべての無線通信モジュールのアンテナ251~254の周囲には、金属製シュープレート201が存在する。金属製シュープレート201により、複数のすべての無線通信モジュールは三方で囲われている。
【0109】
このため、本実施形態では、スライド開口部210の最も近くに設けられる機器送信モジュール44と外受信モジュール58とによる組の複数の無線通信モジュールについては、Z方向の放射特性としている。これにより、スライド開口部210の最も近くに設けられる1組の無線通信モジュールにおいて送受される電波は、スライド開口部210から係合部分の外へ出力され易くなる。しかも、Z方向に存在する金属製シュープレート201の連結部222までの距離は、長い。金属製シュープレート201の連結部222において電波が反射するとしても、長い距離で往復する電波の強度は弱くなる。金属製シュープレート201の連結部222での反射波の影響は、最小限に抑えることができる。スライド開口部210の最も近くに設けられる1組の無線通信モジュールの無線通信は、その周囲に存在する金属製シュープレート201の影響を受け難くなる。自己干渉が生じ難くなる。
【0110】
また、スライド開口部210に対して次に近くに設けられる機器受信モジュール45と外送信モジュール57とによる組の複数の無線通信モジュールについては、Z方向と直行するX軸方向の放射特性としている。これにより、スライド開口部210の最も近くに設けられる複数の無線通信モジュールにおいて送受される電波の影響を受け難くなる。相互干渉が生じ難くなる。
【0111】
これに対し、機器受信モジュール45と外送信モジュール57との放射特性を、Z方向として機器送信モジュール44と外受信モジュール58と平行にした場合、これらの電波は強いまま相互に干渉し合うことになる。
【0112】
以上のように、本実施形態では、複数の機器無線通信モジュールは、機器係合部12において密集して設けられて、外部メディア装置2の外係合部52の複数の外通信モジュールと通信することができる。
【0113】
デジタルカメラ1は、外部メディア装置2との間で、複数の機器無線通信モジュールによる複数の無線通信路を用いた近接している無線通信により高速でのデータ通信を実現可能である。しかも、デジタルカメラ1の機器無線通信モジュールと外部メディア装置2の外通信モジュールとは、デジタルカメラ1と外部メディア装置2との係合部分に収められる。このため、機器無線通信モジュールから外通信モジュールまでの距離は、これらを係合部分の外に設ける場合より、短くできる。機器無線通信モジュールと外通信モジュールとは、大量のデータを高速に送受するために電波の周波数を高くした場合であっても、無線通信の出力の増加を抑制して、省電力で効率のよい無線通信を実現可能である。
【0114】
しかも、これら複数の機器係合部12において密集して設けられる機器無線通信モジュールは、少なくともすべての放射特性が平行とならないように配置されている。
【0115】
その結果、本実施形態では、たとえば1つの機器無線通信モジュールにより送受される電波は、その近くに配置されている他の機器無線通信モジュールにより受信され難くなる。
【0116】
これに対し、仮にたとえば、機器係合部12において密集して設けられる複数の機器無線通信モジュールでは、そのすべての放射特性が平行となるよう配置される可能性がある。この場合、たとえば1つの機器無線通信モジュールにより送受される電波は、その近くに配置されている他の機器無線通信モジュールにより受信され易くなる。機器係合部12という限られた範囲において密集して設けられる複数の機器無線通信モジュールは、それらの間で電波の相互干渉が生じ易くなる。本実施形態では、このような事態の発生を抑制し得る。
【0117】
このように本実施形態では、デジタルカメラ1に対して、大量のデータを高速に送受できるように外部メディア装置2を装着することが可能である。
【0118】
また、本実施形態では、機器無線通信モジュールが外部無線通信モジュールとの間で送受する電波の一部は、その周囲に設けられる金属製シュープレート201において反射されたり伝搬したりする可能性がある。
【0119】
このため、本実施形態では、機器無線通信モジュールと外部無線通信モジュールとの間隔を、少なくとも機器無線通信モジュールと金属製シュープレート201との間隔より狭くしている。
【0120】
本実施形態では、金属製シュープレート201を介して伝搬する電波についての受信強度と比べて、対向する無線通信モジュールの間で直接的に伝搬する電波についての受信強度を相対的に高くできる。
【0121】
本実施形態では、金属製シュープレート201において反射して伝搬する電波の影響を抑制して、対向する無線通信モジュールの間での無線通信の通信速度の低下などを抑制できる。
【0122】
また、本実施形態では、外部メディア装置2に対向する面を投影上から見て、複数の機器無線通信モジュールの中の一方である第一の機器無線通信モジュールについての放射特性の方向における機器係合部12との距離は、複数の機器無線通信モジュールの中の他方である第二の機器無線通信モジュールについての放射特性の方向における機器係合部12との距離より、長い。第一の機器無線通信モジュールが外部無線通信モジュールとの間で送受する電波は、スライド開口部210の側においては金属製シュープレート201において反射することなくそのまま放射され、かつ、スライド開口部210とは反対の側においても金属製シュープレート201との距離が長いため、反射波について大きく減衰することが期待できる。
【0123】
第一の機器無線通信モジュールにより送受される電波により、スライド開口部210とは反対の側において奥まって設けられる第二の機器無線通信モジュールとそれに対向する外係合部52の外部無線通信モジュールとの間での無線通信への影響を生じ難くできる。
【0124】
また、本実施形態では、外部メディア装置2の複数の外部無線通信モジュールは、上下へ移動可能に、外部メディア装置2の外係合部52に設けられる。このため、外部メディア装置2の外係合部52を機器係合部12に対してスライド装着する際に、機器係合部12は、外係合部52に設けられる複数の外部無線通信モジュールに対して強く当たることがない。
【0125】
これに対して仮にたとえば、外部メディア装置2の複数の外部無線通信モジュールは、機器係合部12に設けられる複数の機器無線通信モジュールと近接する位置に固定的に設けられる可能性がある。この場合、外部メディア装置2の外係合部52を機器係合部12に対してスライド装着する際に、機器係合部12が、外係合部52に設けられる複数の外部無線通信モジュールに対して強く当たって引っかかる可能性がある。外部無線通信モジュールが強い力で破損してしまう可能性もある。
【0126】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【0127】
本発明は、上述の実施の形態の以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークや記憶媒体を介してシステムや装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータの1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。また、本発明は、以上の機能を実現する回路(たとえば、ASIC)によっても実現可能である。
【0128】
上述した実施形態では、スライド開口部210の最も近くとなる位置に、機器送信モジュール44と外受信モジュール58とが配置されている。
【0129】
この他にもたとえば、スライド開口部210の最も近くとなる位置には、機器受信モジュール45と外送信モジュール57とが配置されてもよい。この場合、機器送信モジュール44と外受信モジュール58とは、スライド開口部210の次の近くとなる位置に配置されることになる。この場合でも、上述した実施形態と同様の効果を期待できる。
【0130】
また、このような無線通信モジュールの組は、3組以上で設けられてもよい。
【0131】
上述した実施形態では、外部メディア装置2の外送信モジュール57と外受信モジュール58とは、外部メディア装置2に設けられる操作部材としてのロックレバー102の回転と連動して、デジタルカメラ1から離れている退避位置からデジタルカメラ1に近づくように下がる。
【0132】
この他にもたとえば、外送信モジュール57と外受信モジュール58とは、外部メディア装置2がデジタルカメラ1にスライド装着される動作と連動して、デジタルカメラ1から離れている退避位置からデジタルカメラ1に近づくように下がってもよい。
【0133】
また、外送信モジュール57と外受信モジュール58とは、外部メディア装置2の外係合部52についてのデジタルカメラ1への装着位置を規制する動作と連動して、デジタルカメラ1から離れている退避位置からデジタルカメラ1に近づくように下がってもよい。
【0134】
また、外部メディア装置2の外送信モジュール57と外受信モジュール58とではなく、デジタルカメラ1の機器送信モジュール44と機器受信モジュール45とが、これらの動作と連動して、外部メディア装置2から離れている退避位置から外部メディア装置2に近づくように上がってもよい。
【0135】
この場合、たとえば操作部材は、外部メディア装置2ではなく、デジタルカメラ1に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0136】
1 デジタルカメラ(電子機器)
2 外部メディア装置(外部装置)
10 カメラボディ
11 モニタ
12 機器係合部
43 機器接続端子
44 機器送信モジュール(機器無線通信モジュール)
45 機器受信モジュール(機器無線通信モジュール)
56 外接続端子
57 外送信モジュール(外部無線通信モジュール)
58 外受信モジュール(外部無線通信モジュール)
100 外部ボディ
101 エンクロージャー
102 ロックレバー(操作部材)
103 凹部
107 ピン連結部材
108 摺動ピン
109 ロックピン
110 外部カバー部材
201 金属製シュープレート
206 機器カバー部材
209 ロック凹部
210 スライド開口部
221 係合部
222 連結部
251~254 アンテナ
図1
図2
図3
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図5
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