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特許7589074素子基板、記録ヘッド、記録装置及びその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】素子基板、記録ヘッド、記録装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20241118BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/01 401
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021040698
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022140060
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 卓
(72)【発明者】
【氏名】根岸 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】添田 康宏
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-104479(JP,A)
【文献】特開2006-015736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数グループの記録素子と、
複数グループのメモリ素子と、
クロック信号を入力する第1端子と、
データ信号を入力する第2端子と、
前記第1端子から入力されるクロック信号に同期して前記第2端子から入力されるデータ信号を受け取って、前記メモリ素子及び前記記録素子のグループ及びブロックを選択するための選択信号を出力する制御データ供給手段と、
前記データ信号に含まれる切り替え信号に応じて、前記第2端子と前記メモリ素子のメモリ制御信号との接続を切り替えるスイッチ手段と、を有し、
前記切り替え信号は、前記メモリ素子への書き込みの場合は前記スイッチ手段が前記第2端子と前記メモリ素子のメモリ制御信号とを接続するように切り替え、前記第2端子を介して前記メモリ素子に書き込むためのパルス信号が入力されることを特徴とする素子基板。
【請求項2】
複数グループの記録素子と、
複数グループのメモリ素子と、
クロック信号を入力する第1端子と、
データ信号を入力する第2端子と、
前記記録素子を駆動するための駆動信号を入力する第3端子と、
前記第1端子から入力されるクロック信号に同期して前記第2端子から入力されるデータ信号を受け取って、前記メモリ素子及び前記記録素子のグループ及びブロックを選択するための選択信号を出力する制御データ供給手段と、
前記データ信号に含まれる切り替え信号に応じて、前記第1端子から入力されるクロック信号及び前記第3端子から入力される前記駆動信号のいずれかを、前記記録素子の駆動を制御する記録素子制御信号及び前記メモリ素子を制御するためのメモリ制御信号と接続するよう選択する選択手段と、を有し、
前記切り替え信号は、前記記録素子の駆動時は、前記選択手段が前記第3端子から入力される前記駆動信号を選択し、前記メモリ素子の駆動時は、前記選択手段が前記第1端子から入力されるクロック信号を選択するように切り替え、前記第1端子を介して前記メモリ素子に書き込むためのパルス信号が入力されることを特徴とする素子基板。
【請求項3】
複数グループの記録素子と、
複数グループのメモリ素子と、
クロック信号を入力する第1端子と、
データ信号を入力する第2端子と、
前記第1端子から入力されるクロック信号に同期して前記第2端子から入力されるデータ信号を受け取って、前記メモリ素子及び前記記録素子のグループ及びブロックを選択するための選択信号を出力する制御データ供給手段と、
前記データ信号に含まれる切り替え信号に応じて、前記第1端子と前記メモリ素子のメモリ制御信号との接続を切り替えるスイッチ手段と、を有し、
前記切り替え信号は、前記メモリ素子への書き込みの場合、前記スイッチ手段が前記第1端子と前記メモリ素子のメモリ制御信号とを接続するように切り替え、前記第1端子を介して前記メモリ素子に書き込むためのパルス信号が入力されることを特徴とする素子基板。
【請求項4】
前記制御データ供給手段は、
前記第1端子から入力されるクロック信号に同期して前記第2端子から入力されるデータ信号を受け取って保持するシフトレジスタと、
ラッチ信号に応じて前記シフトレジスタに保持されているシリアルデータをラッチする複数段のラッチ回路と、
前記複数段のラッチ回路の出力をデコードして前記メモリ素子及び前記記録素子のグループ及びブロックを選択するための選択信号を出力するデコーダとを、有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の素子基板。
【請求項5】
前記切り替え信号は、前記複数段のラッチ回路の中の特定のラッチ回路の出力であることを特徴とする請求項4に記載の素子基板。
【請求項6】
前記切り替え信号は、前記記録素子と前記メモリ素子を排他的に選択する信号であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の素子基板。
【請求項7】
前記記録素子或いは前記メモリ素子のブロックは、前記複数グループに亘って、各グループでそれぞれ1つ選択される複数の記録素子或いはメモリ素子を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の素子基板。
【請求項8】
前記メモリ素子は、アンチヒューズメモリ素子を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の素子基板。
【請求項9】
請求項1に記載の素子基板を有する記録ヘッドを備えた記録装置であって、
前記メモリ素子及び前記記録素子のグループ及びブロックを選択するための選択信号を出力するときは、前記第1端子からクロック信号を供給し、当該クロック信号に同期して前記第2端子からデータ信号を前記素子基板に供給する第1供給手段と、
前記選択信号により選択されたメモリ素子にデータを書き込むときは、前記切り替え信号により、前記スイッチ手段が前記第2端子と前記メモリ素子のメモリ制御信号とを接続するように切り替え、前記第2端子を介して前記パルス信号を前記素子基板に供給する第2供給手段と、
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項10】
請求項2に記載の素子基板を有する記録ヘッドを備えた記録装置であって、
前記メモリ素子及び前記記録素子のグループ及びブロックを選択するための選択信号を出力するときは、前記第1端子からクロック信号を供給し、当該クロック信号に同期して前記第2端子からデータ信号を前記素子基板に供給する第1供給手段と、
前記選択信号により選択されたメモリ素子にデータを書き込むときは、前記切り替え信号により、前記選択手段が前記第1端子と前記メモリ素子のメモリ制御信号とを接続するように選択させ、前記第1端子を介して前記パルス信号を前記素子基板に供給する第2供給手段と、
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項11】
請求項3に記載の素子基板を有する記録ヘッドを備えた記録装置であって、
前記メモリ素子及び前記記録素子のグループ及びブロックを選択するための選択信号を出力するときは、前記第1端子からクロック信号を供給し、当該クロック信号に同期して前記第2端子からデータ信号を前記素子基板に供給する第1供給手段と、
前記選択信号により選択されたメモリ素子にデータを書き込むときは、前記切り替え信号により、前記スイッチ手段が前記第1端子と前記メモリ素子のメモリ制御信号とを接続するように切り替え、前記第1端子を介して前記クロック信号を供給することで前記パルス信号を前記素子基板に供給する第2供給手段と、
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項12】
前記第2供給手段が前記パルス信号を前記素子基板に供給しているときに、前記第1供給手段により前記第2端子からデータ信号を前記素子基板に供給することが可能であることを特徴とする請求項11に記載の記録装置。
【請求項13】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の素子基板を備えたことを特徴とする記録ヘッド。
【請求項14】
請求項13に記載の記録ヘッドを有する記録装置。
【請求項15】
請求項1に記載の素子基板を有する記録ヘッドを備えた記録装置を制御する制御方法であって、
前記メモリ素子及び前記記録素子のグループ及びブロックを選択するための選択信号を出力するときは、前記第1端子からクロック信号を供給し、当該クロック信号に同期して前記第2端子からデータ信号を前記素子基板に供給する第1供給工程と、
前記選択信号により選択されたメモリ素子にデータを書き込むときは、前記切り替え信号により、前記スイッチ手段が前記第2端子と前記メモリ素子のメモリ制御信号とを接続するように切り替え、前記第2端子を介して前記パルス信号を前記素子基板に供給する第2供給工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項16】
請求項2に記載の素子基板を有する記録ヘッドを備えた記録装置を制御する制御方法であって、
前記メモリ素子及び前記記録素子のグループ及びブロックを選択するための選択信号を出力するときは、前記第1端子からクロック信号を供給し、当該クロック信号に同期して前記第2端子からデータ信号を前記素子基板に供給する第1供給工程と、
前記選択信号により選択されたメモリ素子にデータを書き込むときは、前記切り替え信号により、前記選択手段が前記第1端子と前記メモリ素子のメモリ制御信号とを接続するように選択させ、前記第1端子を介して前記パルス信号を前記素子基板に供給する第2供給工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項17】
請求項3に記載の素子基板を有する記録ヘッドを備えた記録装置を制御する制御方法であって、
前記メモリ素子及び前記記録素子のグループ及びブロックを選択するための選択信号を出力するときは、前記第1端子からクロック信号を供給し、当該クロック信号に同期して前記第2端子からデータ信号を前記素子基板に供給する第1供給工程と、
前記選択信号により選択されたメモリ素子にデータを書き込むときは、前記切り替え信号により、前記スイッチ手段が前記第1端子と前記メモリ素子のメモリ制御信号とを接続するように切り替え、前記第1端子を介して前記クロック信号を供給することで前記パルス信号を前記素子基板に供給する第2供給工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子基板、当該素子基板を有する記録ヘッド、および当該記録ヘッドを有する記録装置とその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液体吐出ヘッドに搭載される記録素子基板において、製品IDや設定パラメータ等の固有情報をヘッド内部に記録するOTP(One Time Programmable)ROMとしてPolyヒューズメモリが知られている。このPolyヒューズメモリは、トランジスタのゲート配線や抵抗素子等を形成するPolyシリコンを用いたものであり、既存の半導体の製造プロセス工程を追加することなく、記録素子基板上にメモリを形成できる利点がある。Polyヒューズメモリへの書き込みを行う書き込む回路を用いた従来技術として、例えば特許文献1がある。
【0003】
近年、Polyヒューズメモリと比較してメモリモジュールを小さくすることができ、且つ、新たな工程を追加する事なく、従来の半導体製造プロセスを用いて作成可能なメモリとして、特許文献1に記載されているアンチヒューズメモリがある。これは、MOSトランジスタのゲート酸化膜をメモリとして形成したものであり、ゲート酸化膜に過電圧を印加して短絡させ、その特性変化をメモリとして使用するものである。
【0004】
特許文献1では、Polyヒューズメモリの書込み動作において、クロック信号に同期してシリアルデータ信号をシフトレジスタに入力した後、ラッチ信号により、そのデータ信号をラッチ回路に保持している。そして、このラッチ信号を書込み動作の制御信号としている。このラッチ信号は、本来は、シフトレジスタのデータをラッチ回路に保持させる信号であるため、一般的に高周波でラッチ信号を入力させることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-15736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
Polyヒューズメモリは、抵抗体を断線させて書込みを行う原理を採用しているため、直流電圧を一定時間に1回だけ印加することで書き込みが可能である。従って、ラッチ信号を書込み動作の制御信号としても問題とならない。
【0007】
一方で、アンチヒューズメモリの場合は、ゲート酸化膜を破壊させて書込みを行う原理を用いているため、直流電圧では書き込みが行われず、電圧を断続的に印加するパルス波形を複数回印加する必要がある。よって、より短時間で書き込みを行うためには、高周波のパルス波形を印加しなければならない。従って、アンチヒューズメモリに書き込む際にラッチ信号を制御信号とすると、高周波でラッチ回路を作動させることになる。これにより、上述のラッチ回路等の誤動作が発生して、誤ったデータが保持されてしまう等の不具合が生じるおそれがある。このため、アンチヒューズメモリ書込み専用の制御信号を設けることも考えられるが、その信号用の端子が増えるため、端子数の増加により記録素子基板の大型化を招くという課題がある。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の課題の少なくとも一つを解決することにある。
【0009】
本発明の目的は、メモリ素子の書込み専用の信号を入力するための端子を追加することなく、回路の誤動作を防止してメモリ素子に、短時間で、かつ確実にデータを書き込むできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る素子基板は以下のような構成を備える。即ち、
複数グループの記録素子と、
複数グループのメモリ素子と、
クロック信号を入力する第1端子と、
データ信号を入力する第2端子と、
前記第1端子から入力されるクロック信号に同期して前記第2端子から入力されるデータ信号を受け取って、前記メモリ素子及び前記記録素子のグループ及びブロックを選択するための選択信号を出力する制御データ供給手段と、
前記データ信号に含まれる切り替え信号に応じて、前記第2端子と前記メモリ素子のメモリ制御信号との接続を切り替えるスイッチ手段と、を有し、
前記切り替え信号は、前記メモリ素子への書き込みの場合は前記スイッチ手段が前記第2端子と前記メモリ素子のメモリ制御信号とを接続するように切り替え、前記第2端子を介して前記メモリ素子に書き込むためのパルス信号が入力されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、メモリ素子への書込み専用の信号を入力する端子を追加することなく、回路の誤動作を防止して、メモリ素子に、短時間で、かつ確実にデータを書き込むことができるという効果がある。
【0012】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1】実施形態1に係る素子基板11に搭載される吐出モジュールとメモリモジュールと駆動回路構成の一部を示す図。
図2】本発明の実施形態に係る記録ヘッドユニットを搭載可能な記録装置と、記録ヘッドユニット、記録ヘッド及びメモリモジュール回路構成を説明する図。
図3】実施形態1に係る吐出モジュールの駆動時の記録装置からヘッド基板への信号入力と動作を説明するタイムチャート(a)、実施形態1に係るメモリモジュールの書き込み時の記録装置からヘッド基板への信号入力と動作を説明するタイムチャート(b)、実施形態2に係るメモリモジュールの書き込み時の記録装置からヘッド基板への信号入力と動作を説明するタイムチャート(c)、実施形態3に係るメモリモジュールの書き込み時の記録装置からヘッド基板への信号入力と動作を説明するタイムチャート(d)。
図4】実施形態1に係る記録装置が吐出モジュールを駆動するときの処理を説明するフローチャート。
図5】実施形態1に係る記録装置によるメモリモジュールへの書き込み処理を説明するフローチャート。
図6】実施形態2に係る素子基板11aに搭載される吐出モジュールとメモリモジュールと駆動回路構成の一部を示す図。
図7】実施形態2に係る記録装置が吐出モジュールを駆動するときの処理を説明するフローチャート。
図8】実施形態2に係る記録装置によるメモリモジュールへの書き込み処理を説明するフローチャート。
図9】実施形態に係る記録装置を制御する制御構成の概略を説明するブロック図。
図10】実施形態3に係る素子基板11bに搭載される吐出モジュールとメモリモジュールと駆動回路構成の一部を示す図。
図11】実施形態3に係る記録装置が吐出モジュールを駆動するときの処理を説明するフローチャート。
図12】実施形態3に係る記録装置によるメモリモジュールへの書き込み処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これら複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0015】
尚、以下の実施形態の説明において、「記録」には、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、又は媒体の加工を行う場合も含まれ、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。また、本実施形態では「記録媒体」としてシート状の紙を想定するが、布、プラスチック・フィルム等であってもよい。
【0016】
図2(a)は、本発明の実施形態に係る記録ヘッドユニット20を搭載可能な記録装置1000を示す概略斜視図である。
【0017】
図2(a)に示すように、リードスクリュー5004は、駆動モータ5013の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア5008,5009を介して回転する。キャリッジHCは記録ヘッドユニット20を載置可能であり、リードスクリュー5004の螺旋溝5005に係合するピン(不図示)を有しており、リードスクリュー5004が回転することによって矢印a,b方向に往復移動される。
【0018】
図2(b)は、実施形態に係る記録ヘッド10を備える記録ヘッドユニット20の一例を示す斜視図である。
【0019】
記録ヘッドユニット20は、記録ヘッド10と、記録ヘッド10に供給する記録剤(インク)を収容する収容部24を備え、これらが一体となったカートリッジを構成している。記録ヘッド10は、図2(a)に示す記録媒体Pに対向する面に設けられている。尚、これらは必ずしも一体である必要はなく、収容部24が取り外し可能な形態を取ることもできる。また、記録ヘッドユニット20はテープ部材22を備えている。このテープ部材22は、記録ヘッド10に電力を供給するための端子を有しており、記録装置本体から接点23を介して電力や各種信号をやり取りする。
【0020】
図2(c)は、実施形態に係る記録ヘッド10の模式的な斜視図である。
【0021】
液体吐出ヘッドとしての記録ヘッド10は、記録素子基板I1と流路形成部材120とを備えている。記録素子基板I1には電気熱変換素子によって生じた熱エネルギーを記録剤に付与するための熱作用部117が複数配列して設けられている。また、流路形成部材120は、記録剤を吐出する吐出口121が熱作用部117に対応して複数配列して設けられた吐出口部材でもある。記録装置本体からテープ部材22を介して記録素子基板I1に電力や信号が送られ、電気熱変換素子が駆動されて生じた熱エネルギーが熱作用部117を介して記録剤(液体;インク)に付与されて、吐出口121から記録剤が吐出される。
【0022】
[実施形態1]
次に、図1図3を参照して、本発明の実施形態1に係る半導体基板としての記録素子基板(以下、単に「基板」とも称する)に搭載される吐出モジュール204とメモリモジュール206の回路構成を説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態1に係る記録素子基板11の回路構成の一部を示す図である。尚、この記録素子基板11は、前述した図2の記録素子基板I1として使用される。
【0024】
この基板11は、複数グループの吐出モジュール204と複数グループのメモリモジュール206とを含む。吐出モジュール204は、記録素子Rh(例えば、電気熱変換素子)と、記録素子Rhを駆動するための駆動素子(トランジスタ)MD1と、記録素子選択用の論理積回路AND1とを含む。記録素子Rhを駆動することによりインク等の記録剤が吐出口121から吐出されて記録(印刷)を行うことができる。
【0025】
またメモリモジュール206は、メモリ素子としてのアンチヒューズ素子AFと、アンチヒューズ素子AFに情報を書き込むための駆動素子(トランジスタ)MD2と、メモリ素子選択用の論理積回路AND2とを含む。アンチヒューズ素子AFは、過電圧が供給されることにより情報を固定的に保持する。即ち、1回だけプログラム可能なメモリとして機能する。
【0026】
信号供給回路であるの制御データ供給回路201から出力された論理データ信号に基づいて、記録素子Rhやアンチヒューズ素子AFの駆動が制御される。制御データ供給回路201は、シフトレジスタ(S/R)239、ラッチ(LT)回路238、デコーダ237等を含む。制御データ供給回路201には、記録装置1000本体や不図示のホストPC等を介して、クロック信号CLK、データ信号DATA、ラッチ信号LT等の論理データ信号が入力される。また論理積回路AND1、論理積回路AND2、及び制御データ供給回路201には、ロジック用の電源電圧として、第1の電源電圧VDD(例えば、3~5V)が供給される。ここで記録素子及びメモリ素子を選択する際は、DATA信号は、後述する吐出モジュール204やメモリモジュール206を選択するためのシリアルデータを含んでおり、そのうちの特定のビット(例えばシリアルデータの先頭ビット)が後述する切り替え信号205となる。
【0027】
ここで制御データ供給回路201は、例えば、それぞれがn個の吐出モジュール204を有するm個のグループについて、グループごとに吐出モジュール204の動作を制御して記録素子Rhを駆動する時分割駆動を可能とする。制御データ供給回路201は、mビットのグループ選択信号202と、nビットのブロック選択信号203とを出力する。更に制御データ供給回路201は、記録素子とメモリ素子とを切り替える切り替え信号205を少なくとも1ビット出力する。グループ選択信号202のうちの少なくとも1ビットと、ブロック選択信号203のうちの少なくとも1ビットと、切り替え信号205の少なくとも1ビットと、記録素子制御信号HE(ヒートイネーブル)220とを、各々の吐出モジュール204が受信することで記録素子Rhが時分割駆動される。
【0028】
また制御データ供給回路201は、例えば、それぞれがx個のメモリモジュール206を有するy個のグループについて、グループごとにメモリモジュール206の動作を制御してアンチヒューズ素子AFを駆動する時分割駆動を可能とする。制御データ供給回路201が出力するグループ選択信号202、ブロック選択信号203、切り替え信号205の各信号の少なくとも1ビットと、メモリ制御(ME)信号を各々のメモリモジュール206が受信することで、アンチヒューズ素子AFは時分割駆動される。ここで、メモリ制御信号221は、切り替え信号205によって制御される(スイッチ)SW3によって接続が制御される。
【0029】
即ち、メモリモジュール206への書き込み時はSW3がオンされて接続され、DATA端子231に入力される、メモリ書込みパルス生成部226で生成された信号が、メモリ制御信号221として入力される。一方、吐出モジュール204の駆動時は、切り替え信号205によりSW3はオフされ、メモリモジュール206にメモリ制御信号221は入力されない。この動作は、詳しく後述する。また、どのメモリモジュール206に含まれるアンチヒューズ素子AFに情報を書き込むかは、信号CLK、DATA、LT、HEに従うグループ選択信号202、ブロック選択信号203、及び切り替え信号205によって決定される。
【0030】
尚、吐出モジュール204及びメモリモジュール206は、切り替え信号205により排他的に駆動され、全ての記録素子Rhと全てのアンチヒューズ素子AFとが同一の時間において駆動されないように構成されている。即ち、切り替え信号205は、記録素子Rh及びアンチヒューズ素子AFのうちのいずれか一方が駆動されるように駆動を切り替えるための信号である。
【0031】
記録素子選択用の論理積回路AND1には、対応するグループ選択信号202、ブロック選択信号203、切り替え信号205、記録素子制御信号220が入力される。入力された信号に応答して駆動素子MD1が導通状態(オン状態)となり、記録素子用の駆動素子MD1に直列に接続された記録素子Rhが駆動される。
【0032】
ここで、記録素子用の駆動素子MD1としては、例えば、高耐圧MOSトランジスタであるDMOSトランジスタ(Double-diffused MOSFET)が用いられる。メモリ素子としてアンチヒューズ素子AFを用いる場合、一般的に、記録素子の駆動電流とメモリ素子の駆動電流とでは、メモリ素子の駆動電流の方が小さく、DMOSトランジスタの電流駆動能力も小さくて済む。従って、メモリ素子用の駆動素子MD2の面積を、記録素子用の駆動素子MD1の面積よりも小さくしても良い。また記録素子選択用の論理積回路AND1としては、例えば、MOSトランジスタが用いられる。ここで、吐出モジュール204には、吐出モジュール駆動用の電源電圧(VH例えば、24V)がVH端子から供給され、接地電位をGNDHとする。
【0033】
またメモリ素子選択用の論理積回路AND2には、対応するグループ選択信号202、ブロック選択信号203、切り替え信号205、メモリ制御信号221が入力される。入力された信号に応じた信号がメモリ素子用の駆動素子MD2に出力され、駆動素子MD2の導通状態/非導通状態が切り替えられる。駆動素子MD2としては、例えば、記録素子用の駆動素子MD1と同様に、DMOSトランジスタが用いられる。また、メモリ素子選択用の論理積回路AND2としては、MOSトランジスタが用いられる。ここで、メモリモジュール206には、アンチヒューズ素子AFに情報を書き込むためのメモリ書込み用電源電圧(例えば、24V)がVID端子から供給され、接地電位をGNDHとする。図1に示すように、記録素子用の駆動素子MD1とメモリ素子用の駆動素子MD2とが共通のグランド配線を介して共通のGNDH端子に接続されるように構成してもよい。
【0034】
尚、メモリ書込み用電源回路228と吐出モジュール駆動用電源回路229は、独立した電源ラインである例を記載している。しかしアンチヒューズ素子AFへの書き込みに要する電圧の最小値が吐出モジュール駆動用電圧以下の場合は、例えば降圧回路と併せて、吐出モジュール駆動用電源電圧を用いてもよい。
【0035】
図2(d)は、基板11に用いるメモリモジュール206の回路構成例を示す図である。
【0036】
ここでは、メモリ素子選択用の論理積回路AND2をNAND回路及びインバータINVで示している。インバータINVはPMOSトランジスタMP1及びNMOSトランジスタMN1で構成されており、トランジスタMP1及びMN1としてはMOSFETが用いられる。インバータINVには入力信号Sigが入力され、出力信号Vgがメモリ素子用の駆動素子MD2のゲートに出力される。尚、図2(d)は、図1に示した駆動素子MD2と論理積回路AND2との配置を左右逆にして示している。
【0037】
アンチヒューズ素子AFは、情報が書き込まれる前は、例えば容量素子Caとして機能する。図2(d)は、アンチヒューズ素子AFに情報が書き込まれる前の状態を示しており、アンチヒューズ素子AFは容量Caとして表わしている。アンチヒューズ素子AFとしての容量Caは、その一端において駆動素子MD2と直列に接続されている。また容量Caの他端には情報の読み書きを行う際に、メモリ書込み用電圧VIDが供給される。
【0038】
また、メモリモジュール206は、アンチヒューズ素子AFと並列に接続された抵抗素子(抵抗値をRpとし、以下、単に「抵抗素子Rp」とも示す)を備えている。これにより、駆動素子MD2が非導通状態であるにも拘わらず、アンチヒューズ素子AFの両端に過電圧が印加されて、アンチヒューズ素子AFに誤って情報が書き込まれるような事態が生じるのを防ぐことができる。
【0039】
次に、アンチヒューズ素子AFに情報を書き込む際のメモリモジュール206の動作を説明する。アンチヒューズ素子AFに情報を書き込む際には、制御信号Sigにロウレベルの信号を入力することにより、駆動素子MD2をオン状態にする。これにより、アンチヒューズ素子AFを構成するゲート酸化膜にメモリ書込み用電圧VIDが印加され、ゲート酸化膜が破壊されることで、アンチヒューズ素子AFに情報が書込まれる。即ち、情報を書き込む前にはアンチヒューズ素子AFは容量素子Caであったのに対し、書き込み後にはアンチヒューズ素子AFは抵抗素子となる。
【0040】
次に、アンチヒューズ素子AFから情報を読み出す際のメモリモジュール206の動作を説明する。
【0041】
アンチヒューズ素子AFの情報を読み出す際には、制御信号Sigにロウレベルの信号を入力することにより、メモリ素子用の駆動素子MD2をオン状態にする。このときのVID-GNDH間の抵抗を測定することで、アンチヒューズ素子AFに情報が書込まれたか否かを判別することができる。
【0042】
図1の基板においてアンチヒューズ素子AFの情報を読み出す際は、書き込み時と同様にして選択されたメモリモジュールを駆動した後、SW1により、メモリ読み出し用電流生成部227側を選択する。その後、測定用定電流通電時の電圧Voutを測定し、VID-GNDH間の抵抗を測定することで、メモリモジュール206に情報が書込まれているか否かを判別することができる。
【0043】
アンチヒューズ素子AFに書き込む情報は、例えばチップIDや設定パラメータ等の製品固有の情報であり、これらは、製品出荷時に工場にて検査機等を用いて書き込みが行われる。或いは、製品本体に搭載され、ユーザが製品の使用開始後に情報を書き込む場合は、製品本体から高電圧VIDに相当する電圧が供給される。
【0044】
以下実施形態1を説明する前に、図9を参照して実施形態1に係る記録装置1000の制御回路の構成について説明する。
【0045】
図9は、本発明の実施形態に係る記録装置1000を制御する制御構成の概略を説明するブロック図である。
【0046】
コントローラ900は、この記録装置1000の動作を制御する。コントローラ900は、CPU901、RAM902、ROM903、入出力インタフェース(I/O I/F)904を有している。CPU901は、ROM903に記憶されているプログラムを読み出して、そのプログラム実行することで、後述するフローチャートで示す処理を実行する。またCPU901は、この記録装置1000の印刷処理などの各種動作を制御している。入出力インタフェース(I/O I/F)904は、前述の搬送モータ5013を回転駆動するモータドライバ905と接続されている。尚、実施形態に係る記録装置1000は、これら以外に操作パネルや各種センサ、給紙部などを備えているが、ここではそれらを省略している。尚、図1に示す記録装置1000の各部の機能は、CPU901がROM903に記憶されているプログラムを実行することで実現される。
【0047】
以下、図1図3(a)、図4を参照して、吐出モジュール204の駆動時の動作を説明する。
【0048】
図3(a)は、実施形態1に係る吐出モジュール204の駆動時の記録装置1000からヘッド基板11への信号入力と動作を説明するタイムチャートである。
【0049】
図3(a)のCLK,DATA、LT,HEは、図1の記録装置1000から記録素子基板11のCLK端子230,DATA端子231、LT端子232,HE端子233にそれぞれ入力される信号である。Iheは吐出モジュール204に流れる電流、Iafはメモリモジュール206に流れる電流を示す。図3(a)は、記録素子を選択するためのシリアルデータ(DATA)をCLK信号に同期してシフトレジスタ239に入力し、ラッチ信号(LT)により複数段のラッチ回路238にラッチする。そしてHE端子から駆動信号が入力されると、選択された記録素子Rhには電流Iheが流れる。
【0050】
図4は、実施形態1に係る記録装置1000が吐出モジュール204を駆動するときの処理を説明するフローチャートである。尚、このフローチャートで示す処理は、CPU901がROM903に記憶されているプログラムを実行することにより達成される。
【0051】
図4のS401で、記録装置1000が吐出モジュールの204駆動動作を開始する。このとき信号の生成に先立って、S402で吐出モジュール駆動用電源回路229がオンされる。これにより、吐出モジュール駆動用電源電圧VH(例えば24V)がVH端子235を通して吐出モジュール204に印加される。このときGNDH端子236を0Vとする。尚、このS402は、CPU901の制御と関係なく、記録装置1000の電源の投入と同時に実行されてもよい。
【0052】
実施形態1では、SW2を切り替えることにより、DATA生成部223とメモリ書込みパルス生成部226の出力を選択的にDATA端子231に接続可能な構成としている。従ってS403でCPU901は、SW2をDATA生成部223側に切り替える。これによりDATA端子231には、DATA生成部223で生成されたDATA信号が入力される。
【0053】
次にS404に進みCPU901は、CLK生成部222でCLK信号を生成し、DATA生成部223で吐出モジュール204を選択駆動するためのDATA信号をCLK信号に同期して出力させる。ここでDATA信号は、図3(a)に示すように、グループビットの15ビット、グループ選択信号ビットの4ビット、切り替え信号205の1ビットを含む20ビットで構成される。グループビットとブロック選択ビットは、駆動させる吐出モジュール204に対応したビットが「1」となる信号である。切り替え信号205は、吐出モジュール204を選択して駆動するときにロウレベルとなる。
【0054】
ここで吐出モジュール204の駆動時は、切り替え信号205はロウレベルで供給されるが、吐出モジュール204及びメモリモジュール206は、切り替え信号205により排他的に駆動され、全ての記録素子Rhと全てのアンチヒューズ素子AFとが同一の時間において駆動されない。
【0055】
そしてS405でCPU901は、CLK端子230から入力されたCLK信号に同期してDATA信号を出力してシフトレジスタ(S/R)239にシリアルで入力する。こうして20ビットのデータがシフトレジスタ239に入力されるとS406に進む。S406でCPU901は、LT端子232からLT生成部224で生成されたラッチ(LT)信号を供給する。これにより、20ビットのデータ信号がLT回路238に保持される。こうして入力されたシリアル信号がパラレル信号に変換される。このとき、20ビットのうちの一部のデータ信号はデコーダ237を経てブロック選択信号203として出力される。
【0056】
実施形態1では、吐出モジュール204のブロックを選択する4ビットのデータがデコーダ237により16ビットのブロック選択信号203にデコードされて出力される。また、20ビットのデータ信号に含まれる1ビットの切り替えビットの値に応じて、制御データ供給回路201は切り替え信号205を出力する。
【0057】
このとき、メモリ制御信号221とDATA端子231との接続を制御するSW3は、制御データ供給回路201から供給されたロウレベルの切り替え信号205によってオフされる。これによりメモリモジュール206へ入力されるメモリ制御信号221はオープン状態となり、メモリモジュール206にメモリ制御信号ME221は入力されない。
【0058】
そしてS407に進みCPU901は、HE生成部225で生成された記録素子制御信号であるHE(ヒートイネーブル)信号をHE端子233から入力する。これにより、選択された記録素子選択用の論理積回路AND1には、対応するグループ選択信号202、ブロック選択信号203、切り替え信号205、記録素子制御信号HE220が入力される。これにより、その選択された吐出モジュール204の駆動素子MD1が、その制御信号HE220に応答して導通状態となり、その駆動素子MD1と直列に接続された記録素子Rhが通電駆動され、その吐出モジュールに電流Iheが流れる。そしてS408に進みCPU901は、例えば1ラインの記録が終了したかどうか判定し、終了していないときはS405に戻って前述の処理を実行し、1ラインの記録が終了するとこの処理を終了する。
【0059】
尚、図3(a)では、吐出モジュール204の駆動と並行して、次の記録処理のためにCLK信号、DATA信号が供給されている。これは次のカラムで駆動させる吐出モジュール204を選択するための信号をシフトレジスタ239に入力しているものである。こうして記録素子制御信号HE220が入力されて吐出モジュール204の駆動を終了した後、LT信号が入力されると、次のカラムで駆動させる吐出モジュール204を選択する信号がラッチ回路238にラッチされる。そして再び、制御データ供給回路201から供給されたHE信号が入力されると、選択された記録素子Rhが駆動され、選択された吐出モジュール204に電流Iheが流れるという動作を繰り返す。
【0060】
次に図1図3(b)、図5を参照して、メモリモジュール206の駆動時の動作を説明する。
【0061】
図3(b)は、実施形態1に係るメモリモジュール206の書き込み時の記録装置1000からヘッド基板11への信号入力と動作を説明するタイムチャートである。
【0062】
図5は、実施形態1に係る記録装置1000によるメモリモジュール206への書き込み処理を説明するフローチャートである。尚、このフローチャートで示す処理は、CPU901がROM903に記憶されているプログラムを実行することにより達成される。
【0063】
まずS501で、記録装置1000がメモリモジュール206への書込み動作を開始する。次にS502に進み、CPU901は、信号の生成に先立ってメモリ書込み用電源回路228をオンし、メモリ書込み用電源電圧VID(例えば24V)がVID端子234を通してメモリモジュール206に印加される。ここでGNDH端子236を0Vとする。尚、このS502は、CPU901の制御と関係なく、記録装置1000の電源の投入と同時に実行されてもよい。
【0064】
次にS503に進みCPU901は、SW2をDATA生成部223側に接続し、DATA端子231に、生成されたDATA信号が入力されるようにする。次にS504に進みCPU901は、CLK生成部222でCLK信号を生成し、DATA生成部223でDATA信号を生成し、切り替え信号205をハイレベルにする。そしてS505でCPU901は、DATA生成部223で生成した、メモリモジュール206を駆動するためのDATA信号をCLK信号に同期して出力する。ここでDATA信号は、図3(b)に示すように、ブロック選択ビットの15ビット、ブロック選択ビットの4ビット、切り替え信号205の1ビットの20ビットで構成される。この送信ビットの構成は、吐出モジュール204の駆動時と同じである。グループ選択ビットとブロック選択ビットは、書込むメモリモジュール206に対応したビットがハイレベルとなる。このとき切り替え信号205は、メモリモジュール206への書込みであるためハイレベルである。
【0065】
ここで、メモリモジュール206への書込み時は、切り替え信号205はハイレベルで供給されるが、吐出モジュール204及びメモリモジュール206は、切り替え信号205により排他的に駆動されるため、全ての記録素子Rhと全てのアンチヒューズ素子AFとが同一の時間において駆動されない。
【0066】
そしてS506に進みCPU901は、LT生成部224で生成されたLT信号をLT端子232を介して出力する。これにより、20ビットのデータ信号がLT回路238にラッチされて、入力したシリアル信号がパラレル信号に変換される。このときデータ信号の一部の信号はデコーダ237を経て、制御データ供給回路201からグループ選択信号202、ブロック選択信号203が供給される。
【0067】
ここでは、メモリモジュール206のブロック選択ビットの4ビットがデコーダ237により16ビットのブロック選択信号203に変換されて供給される。また、切り替え信号205がハイレベルであるため、メモリ制御信号とDATA端子231の接続を制御するSW3がオンになる。こうしてメモリ制御信号MEとDATA端子231が接続される。
【0068】
次にS507でCPU901は、SW2をメモリ書き込みパルス生成部226側に切り替える。これによりメモリ書き込みパルス生成部226がDATA端子231に接続される。こうしてメモリ書き込みパルス生成部226の出力が、メモリモジュール206へ入力されるメモリ制御信号MEと接続されるとS508に進む。S508でCPU901は、メモリ書き込みパルス生成部226によりメモリ書き込みパルス信号を生成して、そのパルス信号をDATA端子231を通してメモリ制御信号MEとしてメモリモジュール206に入力する。
【0069】
これにより、メモリ素子選択用の論理積回路AND2には、対応するグループ選択信号202、ブロック選択信号203、切り替え信号205、メモリ素子制御信号MEが入力される。こうして、入力されたメモリ素子制御信号MEに応答して、選択されたメモリ素子用の駆動素子MD2がパルス駆動された状態となる。これによりメモリ素子用の駆動素子MD2と直列に接続されたアンチヒューズ素子AFに電流Iafが流れる。
【0070】
そしてS509で書込みが終了したかどうか判定し、終了していない、即ち、他のメモリモジュール206に書き込む場合はS503に戻って、上述した一連の動作を繰り返す。また、上述した吐出モジュール204の駆動動作を行うことも可能である。
【0071】
ここで、前述したように、アンチヒューズメモリの書き込み原理は、アンチヒューズ素子AFを構成するゲート酸化膜に電圧を印加し、ゲート酸化膜を破壊することで、アンチヒューズ素子AFに情報を書込む。これに対して、ポリヒューズメモリのような抵抗素子を断線させて書き込みを行う素子の場合は、直流電圧を一定時間印加することで書き込みを行う。しかし、アンチヒューズ素子AFの場合は直流電圧では書き込みができない。
【0072】
そこでアンチヒューズメモリの場合、図3(b)のDATA(メモリ素子制御信号ME)のようなパルス波形の電圧を断続的に印加するバースト駆動を行う。これにより、アンチヒューズ素子AFのゲート酸化膜が破壊され、メモリモジュール206に情報が書込まれる。メモリ素子制御信号MEは、記録装置1000のメモリ書き込みパルス生成部226において、任意の周波数及びパルス数のパルス波形を生成して使用する。
【0073】
実施形態1では、メモリ書き込みパルス生成部226は、周波数5MHz、パルス数10万回の矩形波を生成し、これをメモリ素子制御信号MEとしてメモリモジュール206に出力して書き込みを行う。
【0074】
尚、実施形態1では、図3(b)に示すように、メモリモジュール206の書き込みを行っているときは、図3(a)の吐出モジュール204の駆動時とは異なり、CLK信号を出力しない。そして万が一、CLK信号が出力された場合でも、メモリモジュール206への書き込みが行われない回路構成(不図示)としている。これは、吐出モジュール204の駆動時にメモリモジュール206の書き込み時と共通してグループ選択信号202、ブロック選択信号203を使用しているためである。そして万が一、切り替え信号205がノイズ等で反転して誤動作した場合でも、メモリモジュール206が誤って書き込まれないようにしている。
【0075】
以上説明したように実施形態1によれば、アンチヒューズメモリ素子にデータを書き込む場合に、SW3を介してメモリ制御信号としてメモリ書込みパルスを与えることにより、素子基板の端子数を増やすことなくメモリ素子にデータを書き込むことができる。
【0076】
[実施形態2]
図6は、実施形態2に係る素子基板11a(以下、単に「基板」とも称する)に搭載される吐出モジュール204とメモリモジュール206と駆動回路構成の一部を示す図である。尚、図6において、前述の図1の素子基板11と共通する箇所は同じ参照番号で示し、それらの説明を省略する。
【0077】
前述の図1に示す実施形態1に係る記録素子基板11と異なる点は2点である。1点はCLK生成部222とメモリ書込みパルス生成部226は、SW2の切り替えにより選択的にCLK端子230に接続可能であること。もう1点は、メモリ制御信号ME221と記録素子制御信号HE220をマルチプレクサ240で選択的に共通配線を通してメモリモジュール206と吐出モジュール204に供給する点である。ここでマルチプレクサ240は、切り替え信号205がロウレベルの場合はHE端子233から入力されるHE(ヒートイネーブル)信号を選択してHE信号220として出力する。一方、切り替え信号205がハイレベルの場合はCLK端子230から入力されるCLK信号を選択してメモリ制御信号ME221として出力する。図6の回路では、切り替え信号205は、吐出モジュール204の論路積回路AND1とメモリモジュール206の論路積回路AND2に入力されている。そして論路積回路AND1は切り替え信号205がロウレベルの時にハイレベルの信号を出力でき、論路積回路AND2は切り替え信号205がハイレベルの時にハイレベルの信号を出力できる。従って、記録素子制御信号HE220により吐出モジュール204とメモリモジュール206が同時に駆動されることはない。
【0078】
以下、図6図3(a)、図7を参照して吐出モジュール204の駆動時の動作を説明する。尚、実施形態2に係る吐出モジュール204の駆動時のタイミングチャートは、前述の実施形態1の図3(a)と同じであるため、その説明を省略する。
【0079】
図7は、実施形態2に係る記録装置1000が吐出モジュール204を駆動するときの処理を説明するフローチャートである。尚、このフローチャートで示す処理は、CPU901がROM903に記憶されているプログラムを実行することにより達成される。尚、図7において、前述の図4と共通する処理は同じ参照番号で示す。但し、処理が同じであっても、前述の実施形態1の場合とは図6の回路の動作が異なるので、その相違点については詳しく説明する。
【0080】
前述したように、実施形態2の記録素子基板11aでは、CLK生成部222とメモリ書込みパルス生成部226は、SW2の切り替えにより選択的にCLK端子230に接続可能な構成としている。
【0081】
そのためS701でCPU901は、SW2をCLK生成部222側に切り替える。これによりCLK端子230には、CLK生成部222で生成されたCLK信号が入力される状態になる。そしてS404に進みCPU901は、CLK生成部222でCLK信号を生成し、DATA生成部223で吐出モジュール204を選択駆動するためのDATA信号をCLK信号に同期して出力させる。ここでDATA信号は、図3(a)に示すように、グループビットの15ビット、グループ選択信号ビットの4ビット、切り替え信号205の1ビットを含む20ビットで構成される。グループビットとブロック選択ビットは、駆動させる吐出モジュール204に対応したビットが「1」となる信号である。切り替え信号205は、吐出モジュール204が選択して駆動されるときにロウレベルとなる。これによりマルチプレクサ240は、HE端子233から入力されるHE(ヒートイネーブル)信号を選択する。
【0082】
そしてS405でCPU901は、CLK端子230から入力されたCLK信号に同期してDATA信号を出力してシフトレジスタ(S/R)239にシリアルで出力する。こうして20ビットのデータがシフトレジスタ239に入力されるとS406に進む。S406でCPU901は、LT端子232からLT生成部224で生成されたLT信号を供給する。これにより、20ビットのデータ信号がLT回路238に保持される。こうして入力されたシリアル信号がパラレル信号に変換される。このとき、20ビットのうちの一部のデータ信号はデコーダ237を経てブロック選択信号203として出力される。
【0083】
そしてS407で、HE端子233からHE生成部225で生成された記録素子制御信号であるHE(ヒートイネーブル)信号を供給する。このとき前述したように、マルチプレクサ240は、切り替え信号205に応じてHE端子233の入力を選択してメモリ制御信号ME221と記録素子制御信号HE220の共通配線へ出力している。これにより、選択された記録素子選択用の論理積回路AND1には、対応するグループ選択信号202、ブロック選択信号203、切り替え信号205、記録素子制御信号HE220が入力される。これにより、その選択された吐出モジュールの駆動素子MD1が、その制御信号HE220に応答して導通状態となり、その駆動素子MD1と直列に接続された記録素子Rhが通電駆動され、吐出モジュールに電流Iheが流れる。
【0084】
以上説明したようにして、吐出モジュール204を駆動して記録を行うことができる。
【0085】
次に、図6図3(c)、図8を参照して、実施形態2に係るメモリモジュール206の駆動時の動作を説明する。
【0086】
図3(c)は、実施形態2に係るメモリモジュール206の書き込み時の記録装置1000からヘッド基板11aへの信号入力と動作を説明するタイムチャートである。
【0087】
図8は、実施形態2に係る記録装置1000によるメモリモジュール206への書き込み処理を説明するフローチャートである。尚、このフローチャートで示す処理は、CPU901がROM903に記憶されているプログラムを実行することにより達成される。尚、図8において、前述の実施形態1の図5と共通する処理は同じ参照番号で示す。但し、処理が同じであっても、前述の実施形態1の場合とは図6の回路の動作が異なるので、その相違点については詳しく説明する。
【0088】
S801でCPU901は、SW2をCLK生成部222側に切り替える。これによりCLK端子230にはCLK信号が入力される。そしてS504に進みCPU901は、CLK生成部222でCLK信号を生成する。そしてS505でCPU901は、DATA生成部223で生成したメモリモジュール206を駆動するためのDATA信号をCLK信号に同期して出力する。このとき切り替え信号205は、メモリモジュール206への書込みが選択されるためハイレベルになる。ここで、メモリモジュール206への書込み時は、切り替え信号205はハイレベルで供給されるが、吐出モジュール204及びメモリモジュール206は、切り替え信号205により排他的に駆動されるため、全ての記録素子Rhと全てのアンチヒューズ素子AFとが同一の時間において駆動されない。
【0089】
そしてS506に進みCPU901は、LT生成部224で生成されたLT信号をLT端子232を介して出力する。このときデータ信号の一部の信号はデコーダ237を経て、制御データ供給回路201からグループ選択信号202、ブロック選択信号203が供給される。
【0090】
次にS802に進みCPU901は、SW2をメモリ書込みパルス生成部226側に切り替える。これによりメモリ書込みパルス生成部226で生成されたパルス信号がCLK端子230に入力される状態になる。ここでメモリモジュール206への書込み時は、切り替え信号205はハイレベルであるため、マルチプレクサ240はCLK端子230からの入力を選択する。これによりメモリ書込みパルス生成部226で生成されたパルス信号は、メモリ制御信号ME221として供給されることになる。こうしてS508で、入力されたメモリ素子制御信号ME221に応答して、選択されたメモリ素子用の駆動素子MD1がオン状態となり、メモリ素子用の駆動素子MD2と直列に接続されたアンチヒューズ素子AFに電流Iafが流れてメモリ素子への書き込みが行われる。
【0091】
これにより図3(c)に示すように、メモリ素子への書き込み時には、メモリ書込みパルス生成部226で生成されたパルス信号がメモリ制御信号ME221として供給される。これにより、アンチヒューズ素子AFに電圧を断続的に印加するパルス波形を複数回印加してメモリ素子への書き込みを行うことができる。
【0092】
尚、図3(c)に示すように、メモリモジュール206の書き込みを行っているときは、吐出モジュール204の駆動時と異なりDATA信号を入力しない、こうして、万が一DATA信号が入力された場合でも、メモリモジュール206への書き込みが行われない回路構成(不図示)としている。これは、吐出モジュール204の駆動時にグループ選択信号202、ブロック選択信号203、記録素子制御信号HE220を共通で使用しており、万が一、切り替え信号205がノイズ等でデータ反転して誤動作した場合にメモリモジュール206が誤まって書き込みされないようにするためである。
【0093】
以上説明したように実施形態2によれば、アンチヒューズ素子AFへの書き込み時に、メモリ書込みパルス生成部226で生成されたパルス信号を供給して書き込むことにより、メモリ素子へのデータの書き込みを実現できる。またこのパルス信号は、CLK信号と共通の端子を使用しているため、基板の端子数の増大を抑えることができる。
【0094】
[実施形態3]
図10は、実施形態3に係る素子基板11b(以下、単に「基板」とも称する)に搭載される吐出モジュール204とメモリモジュール206と駆動回路構成の一部を示す図である。尚、図10において、前述の図1の素子基板11と共通する箇所は同じ参照番号で示している。
【0095】
実施形態3が実施形態1と異なるのは2点である。1点は、任意の周波数及びパルス数のパルス波形を生成可能なメモリ書込みパルス生成部226及び切り替えSW2を設けていないこと。もう1点は、CLK端子230に供給されるCLK信号をメモリ制御信号ME221として使用することである。そして、メモリモジュール206の書き込み時と、メモリモジュール206の書込み時に送信するCLKの周波数及びパルス数の信号を繰り返してメモリモジュール206への書込みを行う構成としている点である。
【0096】
図3(d)は、実施形態3に係るメモリモジュール206の書き込み時の記録装置1000からヘッド基板への信号入力と動作を説明するタイムチャートである。
【0097】
図11は、実施形態3に係る記録装置1000が吐出モジュール204を駆動するときの処理を説明するフローチャートである。尚、このフローチャートで示す処理は、CPU901がROM903に記憶されているプログラムを実行することにより達成される。尚、図11において、前述の図4と共通する処理は同じ参照番号で示す。実施形態1の図4のフローチャートと異なる点は、図4のS402が削除されたことのみである。それ以外の動作は、実施形態1と同じである。また実施形態3に係る吐出モジュールの駆動時の動作は、実施形態1と同じ図3(a)で示される。
【0098】
実施形態3では、上述したようにメモリ書込みパルス生成部226及び切り替えSW2を設けていないため、図4のS402で行われる切り替えSW2を制御する動作を行う必要がない。
【0099】
次に図10図3(d)、図12を参照して、実施形態3に係るメモリモジュール206の駆動時の動作を説明する。
【0100】
図12は、実施形態3に係る記録装置1000によるメモリモジュール206への書き込み処理を説明するフローチャートである。図13のフローチャートにおいて、前述の実施形態1に係る図5のフローチャートと共通する処理は同じ参照番号を付して、その説明を省略する。
【0101】
実施形態3では、上述したようにメモリ書込みパルス生成部226及び切り替えSW2を設けていないため、図5のS503とS507で行われる、切り替えSW2を制御する動作を行う必要がない。
【0102】
図12では、S504で切り替え信号205をハイレベルにすることによりSW3をオンにしている。これによりS508で、CLK生成部222で生成されたCLK信号がCLK端子230を通してメモリ制御信ME号221としてメモリモジュール206に入力される。これにより、メモリ素子選択用の論理積回路AND2に、対応するグループ選択信号202、ブロック選択信号203、切り替え信号205、メモリ素子制御信号ME221が入力される。そして、入力されたメモリ素子制御信号MEに応答して選択されたメモリ素子用の駆動素子MD1がオン状態となり、メモリ素子用の駆動素子MD2と直列に接続されたアンチヒューズ素子AFに電流Iafが流れる。
【0103】
ここで、前述したようにアンチヒューズメモリの場合、パルス波形の電圧を断続的に印加するバースト駆動を行うことでアンチヒューズ素子のゲート酸化膜が破壊され、メモリモジュール206に情報が書込まれる。
【0104】
実施形態3では、1カラムのデータ送信でCLK信号は図3(d)のように10パルス(周波数8MHz)であるため、1万カラムのデータ送信を繰り返し、前述の実施形態1と同じ10万回の矩形波パルスを印加している。尚、印加するパルスの条件は、印加電圧やアンチヒューズメモリ素子AFの構造等の条件により異なるため、記録装置1000や記録素子に応じて最適なパルス条件を設定すればよい。
【0105】
また実施形態3では、図10の基板で示すように、CLK端子230、DATA端子231は、それぞれCLK信号、DATA信号だけが使用している。このため、吐出モジュール204の駆動時と同様に、メモリモジュール206の書き込みに並行して、次カラムの書込みのためのDATA信号を送信できる(前述の実施形態1,2とは異なる)。よって、次に素子基板11bがLT信号を受信したときには、次のカラムで書き込むメモリモジュール206が選択された状態となる。こうしてLT信号を出力するたびに、メモリ素子への書込みと選択データの送信を並行して行うことができる。これにより、繰り返してデータを送信する場合は、より短時間でメモリモジュール206の書き込みを行うことが可能となる。
【0106】
実施形態3では、メモリ書込みパルス生成部226と切り替えSW2を設けないことにより、実施形態1及び実施形態2と比べると、記録装置1000の回路構成や動作を簡略化できる。
【0107】
以上、実施形態1~3で、記録素子基板の一部構成を変えた例を挙げたが、その変形箇所はそれぞれの実施形態で組み合わせ種々の形態を構成しても良い。例えば、実施形態1と実施形態3に対して、実施形態2のメモリ制御信号ME221と記録素子制御信号HE220をマルチプレクサMPで選択的に共通配線を通してメモリモジュール206と吐出モジュール204に供給する構成にしても良い。
【0108】
または実施形態2に対して、DATA生成部223とメモリ書込みパルス生成部226はSW2の切り替えにより、選択的にCLK端子230に接続可能な構成としても良い。また実施形態3において、DATA端子231に供給されるDATA信号をメモリ制御信号ME221として使用しても良い。
【0109】
尚、吐出モジュール204の駆動時、及びメモリモジュール206の書込み時に、万が一、切り替え信号205がノイズ等で反転して誤動作、誤書込みされないように、メモリ制御信号ME221を、記録素子制御信号HE220として併用しない方が望ましい。
【0110】
以上説明したように実施形態3によれば、アンチヒューズメモリ書込み用の制御信号をデータ信号とクロック信号と兼用している。これにより、クロック信号とクロック信号に同期して送信されるデータ信号は一般的に高周波で送信できる。これにより高周波信号を送信しても不具合無く、より短時間で信頼性の高いデータの書込みが可能となる。
【0111】
またアンチヒューズメモリ素子の書込み用の制信号を別途設けないので、端子数が削減できるため、素子基板が大型化するのを抑制できる効果がある。
【0112】
以上説明したように実施形態によれば、クロック信号とクロック信号に同期して送信されるデータ信号は、高周波信号を送信しても不具がない。そこで、アンチヒューズメモリの書込み用の制御信号を、データ信号またはクロック信号で兼用することで、より短時間で信頼性高いデータ書込みが可能となる。
【0113】
また、アンチヒューズメモリ書込み用の制御信号を別途設けないので、端子数の増大を防止できるため記録素子基板の大型化を抑制できるという効果がある。
【0114】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0115】
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【符号の説明】
【0116】
11,11a,11b…素子基板、201…制御データ供給回路、204…吐出モジュール、205…切り替え信号、206…メモリモジュール、220…記録素子制御信号HE、221…メモリ制御信号ME、240…マルチプレクサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12