(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】蓄電装置用コンテナ装置及びコンテナ型蓄電システム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/617 20140101AFI20241118BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241118BHJP
H01M 10/651 20140101ALI20241118BHJP
H01M 10/627 20140101ALI20241118BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20241118BHJP
H01M 10/6557 20140101ALI20241118BHJP
H01M 10/6571 20140101ALI20241118BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20241118BHJP
H01M 10/6566 20140101ALI20241118BHJP
【FI】
H01M10/617
H01M10/613
H01M10/651
H01M10/627
H01M10/6563
H01M10/6557
H01M10/6571
H01M10/615
H01M10/6566
(21)【出願番号】P 2021041581
(22)【出願日】2021-03-15
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 悟
【審査官】山口 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-118694(JP,A)
【文献】特開2011-154985(JP,A)
【文献】特開2004-247320(JP,A)
【文献】特開2015-037044(JP,A)
【文献】特開2008-258027(JP,A)
【文献】特開2016-081771(JP,A)
【文献】特開2015-103428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/617
H01M 10/613
H01M 10/651
H01M 10/627
H01M 10/6563
H01M 10/6557
H01M 10/6571
H01M 10/615
H01M 10/6566
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機を有し、下流側に風速が一様な空気を送風する送風部と、
前記送風部の下流側に接続され、外殻部を形成するコンテナ本体と、
前記コンテナ本体内の、前記送風部の下流側に設けられ、流路断面積が前記送風部の下流端から前記送風部に対向する遠位端まで一定であるメインダクトと、
前記メインダクトを間に挟むように対向し、前記メインダクトを流れる前記空気の一部の向きを前記メインダクトから離れる方向に変更する、前記コンテナ本体に設けられた、複数の変更部と、
前記変更部を前記メインダクトと挟む位置で、前記コンテナ本体に設けられ複数のバッテリが整列して置かれる、複数の蓄電池配置部と、
前記蓄電池配置部及び前記変更部を前記メインダクトと挟む位置で、前記コンテナ本体に設けられ、前記変更部、前記蓄電池配置部を流れる前記空気を排気する排気部と
を有する、蓄電装置用コンテナ装置。
【請求項2】
前記送風部は、
前記送風機の下流側に設けられ、前記送風機で発生させた前記空気の流れを拡散する拡散胴と、
前記拡散胴の下流側に設けられ前記空気の流れを整流する整流胴と、
前記整流胴の下流側に設けられ、整流された前記空気を圧縮する縮流胴と
を有する、請求項1に記載の蓄電装置用コンテナ装置。
【請求項3】
前記送風部は、前記メインダクトに流す前記空気の温度を調整するとともに、前記メインダクトに前記風速が一様な前記空気を送風する温度調整部を有する、請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置用コンテナ装置。
【請求項4】
前記コンテナ本体は、前記コンテナ本体の前記送風部の正面に設けられ、前記メインダクトを流れる前記空気を排気するメインダクト排気部を備える、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の蓄電装置用コンテナ装置。
【請求項5】
前記コンテナ本体は、前記コンテナ本体の前記メインダクトのうち、前記遠位端での、単位時間当たりの排気量を調整可能な排気量調整部を有する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の蓄電装置用コンテナ装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の蓄電装置用コンテナ装置と、
前記蓄電装置用コンテナ装置の前記複数の蓄電池配置部にそれぞれ配置するバッテリと
を有する、コンテナ型蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄電装置用コンテナ装置及びコンテナ型蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばバッテリ間の隙間に冷却風を流してバッテリを冷却する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、連続運用される各バッテリの温度を均一温度に近づけることが可能な蓄電装置用コンテナ装置、及び、コンテナ型蓄電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、蓄電装置用コンテナ装置は、送風部と、コンテナ本体と、メインダクトと、複数の変更部と、複数の蓄電池配置部と、排気部とを有する。送風部は、送風機を有し、下流側に風速が一様な空気を送風する。コンテナ本体は、前記送風部の下流側に接続され、外殻部を形成する。メインダクトは、コンテナ本体内の、送風部の下流側に設けられ、流路断面積が送風部の下流端から送風部に対向する遠位端まで一定である。複数の変更部は、前記コンテナ本体に設けられる。複数の変更部は、メインダクトを間に挟むように対向し、メインダクトを流れる空気の一部の向きをメインダクトから離れる方向に変更する。複数の蓄電池配置部は、変更部をメインダクトと挟む位置で、コンテナ本体に設けられる。複数の蓄電池配置部には、複数のバッテリが整列して置かれる。排気部は、蓄電池配置部及び変更部をメインダクトと挟む位置で、コンテナ本体に設けられる。排気部は、変更部、蓄電池配置部を流れる空気を排気する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】
図1中の蓄電装置用コンテナ装置のA-A線に沿う概略的な断面図。
【
図3】
図1中の蓄電装置用コンテナ装置のB-B線に沿う概略的な断面図。
【
図4】
図1中の蓄電装置用コンテナ装置のC-C線に沿う概略的な断面図。
【
図5】
図1中の蓄電装置用コンテナ装置のD-D線に沿う概略的な断面図。
【
図6】
図1中の符号Eで示す方向から見た蓄電装置用コンテナ装置の変更部の概略図。
【
図7】変形例に係る蓄電装置用コンテナ装置の概略的な平面図。
【
図8】
図7中の蓄電装置用コンテナ装置の温度カートリッジヒータを示すF-F線に沿う概略的な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1から
図6を用いて、実施形態に係るコンテナ型蓄電システム1について説明する。
【0008】
図1は、コンテナ型蓄電システム1の概略的な平面図を示す。
図2は、
図1中のコンテナ型蓄電システム1のA-A線に沿う概略的な断面図を示す。
図3は、
図1中のコンテナ型蓄電システム1のB-B線に沿う概略的な断面図を示す。
図4は、
図1中のコンテナ型蓄電システム1のC-C線に沿う概略的な断面図を示す。
図5は、
図1中のコンテナ型蓄電システム1のD-D線に沿う概略的な断面図を示す。
図6は、
図1中の符号Eで示す方向から見たコンテナ型蓄電システム1の概略図を示す。
【0009】
図1から
図4に示すように、コンテナ型蓄電システム1は、蓄電装置用コンテナ装置10と、複数のバッテリ110を有する、複数の蓄電池盤100とを備える。
【0010】
蓄電装置用コンテナ装置10は、下流側に整流した空気を送風する送風部12と、蓄電池盤(バッテリモジュール)100が配置され送風部12からの送風によりバッテリ110を冷却することによりバッテリ110の温度を調整するコンテナ14とを有する。
【0011】
ここで、蓄電装置用コンテナ装置10のコンテナ14には、複数のバッテリ110を含む複数の蓄電池盤100が並べられて収納される。バッテリ110は、例えばリチウムイオン二次電池などの二次電池を用いる。各蓄電池盤100は、複数のバッテリ110を直列及び/又は並列に接続するとともに整列させてひとまとめにする。蓄電池盤100は、例えば銅板やアルミニウム板等の良熱伝導性を有する熱伝導素材120で複数のバッテリ110同士を例えば間接的に接触させている。このため、各蓄電池盤100のバッテリ110同士は、温度の均一化が図られている。そして、蓄電池盤100同士が、直列及び/又は並列に接続される。
図1中、蓄電池盤100は、コンテナ14内の一方の蓄電池ラック(蓄電池配置部)48に6個、他方の蓄電池ラック48に6個の蓄電池盤100が配置されているが、蓄電池盤100の数は、適宜に設定される。
【0012】
送風部12は、送風機22と、送風機22の空気の流れを拡散する拡散胴24と、拡散胴24の下流側に設けられた整流胴26と、整流胴26の下流側に設けられ、整流された空気を圧縮する縮流胴28とを有する。送風機22、拡散胴24、整流胴26、縮流胴28は、同軸上に配置される。
【0013】
送風機22は、軸流型、遠心型のいずれも用いることができる。送風機22は、例えば出力が30kWなど、大型のものを用いる。
【0014】
拡散胴24は、送風機22側の上流側から、送風機22から遠位の下流側に向かうにつれて内側の面積が縮小する、例えば中空の四角錘台状に形成される。
【0015】
縮流胴28は、上流側から下流側に向かうにつれて内側の面積が縮小する、例えば中空の四角錘台状に形成される。拡散胴24の下流端と、縮流胴28の上流端とは同じ形状、同じ大きさに形成されていることが好ましい。
【0016】
拡散胴24の下流端と、縮流胴28の上流端との間には、整流胴26が設けられている。
図5に示すように、整流胴26は、四角筒状の外殻32と、外殻32の内側に設けられた整流部(整流金網)34とを有する。
図2中の整流部34は、ハニカム状の例を示す。整流部34は、格子状など、種々の形状が用いられ得る。整流部34は整流胴26の上流端と下端との間に例えばハニカム状のものと格子状のものとが積層されるなど、複数により形成されていてもよい。整流部34は、例えば、
図5に示すハニカム状のもの、及び、図示しない格子状のものが風の流れに沿って配置されるなど、複数の整流器が配置されていてもよい。
【0017】
図1及び
図2に示すように、コンテナ14は、送風部12に連結される。コンテナ14は、例えば20フィート(約6000mm)から40フィート(約12000mm)など、規格化された大きさであってもよく、規格がない、適宜の大きさであってもよい。
【0018】
図1から
図4に示すように、コンテナ14は、外殻部を形成するコンテナ本体42と、メインダクト44と、空気が流れる向きを変更する変更部46と、複数の蓄電池盤100が整列して置かれる蓄電池ラック48とを有する。メインダクト44、変更部46、蓄電池ラック48は、コンテナ本体42内に設けられる。
【0019】
コンテナ本体42は、略直方体状の箱型に形成されている。コンテナ本体42は、略直方体の縁(辺)となる位置が例えば金属材製のフレームで形成されている。略直方体状のコンテナ本体42の例えば最も小さい面52,54の一方の面52に送風部12が接続されている。送風部12から離れた面54は、例えばルーバー状に形成されるなど、コンテナ本体42の内部と外部とを連通させる排気部(メインダクト排気部)54aを有する。
【0020】
図1、
図3及び
図4に示すように、コンテナ本体42の上面62及び下面64は金属材又は樹脂材製のパネルで形成されている。コンテナ本体42の上面62及び下面64のパネルは断熱材を含んでいてもよい。
【0021】
コンテナ本体42のうち、送風部12側から面54を見たとき、左側の左側面72は、例えばルーバー状に形成されるなど、コンテナ14の内部と外部を連通させる排気部72aを有する。同様に、コンテナ本体42のうち、送風部12側から面54を見たとき、右側の右側面74は、例えばルーバー状に形成されるなど、コンテナ14の内部と外部を連通させる排気部74aを有する。
【0022】
このように、コンテナ本体42は、例えば3つの面54,72,74に排気部54a,72a,74aを有する。
【0023】
メインダクト44は、コンテナ本体42に送風部12の下流側に連続して設けられる。具体的には、メインダクト44は、縮流胴28の下流端に接続されている。送風機22、拡散胴24、整流胴26、縮流胴28、メインダクト44は、一直線上に配置される。このため、送風機22、拡散胴24、整流胴26、縮流胴28、メインダクト44は、同軸上に配置される。縮流胴28の下流端と、メインダクト44のある位置での開口形状は一致する。
【0024】
メインダクト44は、上面44a及び下面44bを有する。メインダクト44は、送風部12の下流端、上面44a、下面44b、変更部46のメインダクト44側の面、送風部12の正面の面54により囲まれる領域をいう。
図3及び
図4に示すように、メインダクト44の上流側又は縮流胴28側からメインダクト44側の下流側を見たとき、メインダクト44の流路断面積は、送風部12の下流端からメインダクト44の下流端である面54まで一定である。メインダクト44の上面44a及び下面44bは閉塞する。メインダクト44の上面44a及び下面44bは、できるだけ摩擦が少ない面として形成され、送風部12の下流端から送風部12の正面の面54の間で風の流れを一様に保つ。
【0025】
なお、メインダクト44の上面44aとコンテナ本体42の上面62とが同一面であってもよい。メインダクト44の下面44bとコンテナ本体42の下面64とが同一面であってもよい。
【0026】
メインダクト44の上流側からメインダクト44側の下流側を見たとき、メインダクト44の左側及び右側には、変更部(整流金網)46が設けられている。変更部46は、メインダクト44の幅方向の中央の仮想面Sに対して対称の位置に配置される。複数の変更部46は、メインダクト44を間に挟むように対向し、メインダクト44を流れる空気の一部の向き(風向き)を、メインダクト44から離れる方向に変更する。変更部46は、
図6に示すように例えばハニカム状に形成されている。変更部46は、格子状など、種々の形状が用いられ得る。
【0027】
メインダクト44の上流側からメインダクト44側の下流側を見たとき、変更部46のメインダクト44側とは反対側(背面側)には、蓄電池ラック48が設けられている。蓄電池ラック48は、メインダクト44の幅方向の中央の仮想面Sに対して対称の位置に配置される。なお、
図1は、蓄電池盤100が蓄電池ラック48に配置された状態を示す。1対の蓄電池ラック48には、例えば16個の蓄電池盤100が配置されて接続される。蓄電池盤100は、メインダクト44の幅方向の中央の仮想面Sに対して対称の位置に配置される。
【0028】
メインダクト44の上流側からメインダクト44側の下流側を見たとき、蓄電池ラック48の変更部46側とは反対側(背面側)には、排気部72a,74aが形成されている。排気部72a,74aは、メインダクト44の幅方向の中央の仮想面Sに対して対称の位置に配置される。排気部72a,74aは、コンテナ14の側面として形成される。
【0029】
コンテナ14には、直流高速遮断機82及び制御盤84が配設されている。これら直流高速遮断機82及び制御盤84は、メインダクト44、変更部46及び蓄電池ラック48とは隔離された別の部屋に設けられている。直流高速遮断機82及び制御盤84は、例えば、縮流胴28にそれぞれ対向する位置に設けられている。
【0030】
コンテナ型蓄電システム1の作用について説明する。
【0031】
コンテナ型蓄電システム1は適宜の位置に設置される。コンテナ型蓄電システム1の各バッテリ110を含む蓄電池盤100は、制御盤84で制御されながら、例えば10年から20年など、寿命まで連続運用される。
【0032】
コンテナ型蓄電システム1の蓄電装置用コンテナ装置10の送風機22を用いて風を発生させ、拡散胴24に風を送る。送風機22からの風量は、外気温、湿度やバッテリ110の温度などに応じて調整される。送風機22からの風量の調整は、バッテリ110の温度に応じて、コンテナ14に設ける制御盤84で制御してもよく、クラウドサーバを用いて、制御してもよい。
【0033】
拡散胴24は、送風機22で発生させた風(気流)を上流側から下流側に向かって広げるとともに、減速させる。そして、拡散胴24は、空気の流れ(風)を、整流胴26の内側の面積の大きさまで拡散する。
【0034】
整流胴26は、拡散胴24を通った風の風速分布を整流する。すなわち、整流部34は、拡散胴24を通る空気を一様流にし、縮流胴28に流す。
【0035】
縮流胴28は、整流胴26で整流した風を上流側から下流側に向かって縮小させて圧縮し、増速させる。下流に向かうほど、縮流胴28の内側の面積を小さくするので、下流側ほど風速分布は一様に近づく。
【0036】
そして、送風部12の下流端からメインダクト44に、一様な速度分布又は一様に近づけた速度分布の風速V1の空気を送る。このとき、送風部12の下流端では、メインダクト44の仮想面S上の上面44aと下面44bとの間に、同じ速度V1の風を流す。また、送風部12の下流端では、変更部46同士の間に、同じ速度V1の風を流す。また、変更部46とメインダクト44の上面44aとの境界、変更部46とメインダクト44の下面44bとの境界に、送風部12の下流端では、同じ速度V1の風を流す。
【0037】
メインダクト44の上面44a及び下面44bには、障害物がない。このため、
図2に示すようにメインダクト44内では、上面44aと下面44bとの間で、送風部12に近い位置から遠い位置まで、風は、一様な速度分布(速度V1)を維持する。すなわち、メインダクト44は、流路断面積が送風部12の下流端から送風部12の遠位端(面54)まで一定で、送風部12から流される空気の風速V1が一定の状態を維持する。メインダクト44を流れた風は、送風部12の正面に形成された面54の排気部54aを通してコンテナ14の外部に排出される。
【0038】
メインダクト44内を送風部12側(上流側)から面54(下流側)に向かって流れる、仮想面Sに対して左方向の風の一部、右方向の風の一部は、それぞれ変更部46に接触する。変更部46は、メインダクト44を流れる風を、排気部72a,74aに向かって変更するとともに、整流する。このため、
図3及び
図4に示すように、同じ速度V2(<V1)で同じ温度の風が、変更部46を通って蓄電池盤100同士の間に流れる。そして、蓄電池盤100同士の間に流れた風は、面72,74の排気部72a,74aを通してコンテナ14の外部に排出される。
【0039】
このため、蓄電池ラック48上の位置にかかわらず、各蓄電池盤100には、一様な風速V2の同じ温度の空気が接触し続ける。このため、各蓄電池盤100の各バッテリ110は、風により同じ温度に調整される。各蓄電池盤100のバッテリ110は、充電中にそれぞれ略同じ温度となり、また、放電中にそれぞれ略同じ温度となる。したがって、ある1つの蓄電池盤100での各バッテリ110は、均一温度に近づくように温度が調整される。また、異なる蓄電池盤100同士での各バッテリ110は、均一温度に近づくように温度が調整される。
【0040】
本実施形態に係る蓄電装置用コンテナ装置10では、送風機22、整流部34、縮流胴28の順に配置し、メインダクト44に風速V1及び温度が一様な風を流す。そして、メインダクト44と蓄電池盤100の蓄電池ラック48との間に、変更部46を配置し、蓄電池盤100に風速V2及び温度が一様な風を流す。本実施形態に係る蓄電装置用コンテナ装置10では、各蓄電池盤100を同じ温度、すなわち均一温度に近づくように調整するとともに、各蓄電池盤100が有する各バッテリ110を同じ温度、すなわち均一温度に近づくように調整することができる。したがって、本実施形態にかかる蓄電装置用コンテナ装置10は、各バッテリ110の温度にバラツキが生じることを防止することができる。
【0041】
通常、コンテナ型蓄電システムでは、バッテリの出力に応じて大きな空調設備が必要となる。本実施形態に係る蓄電装置用コンテナ装置10を含むコンテナ型蓄電システム1では、送風機22を用いればよく、例えば数百個などのバッテリ110をそれぞれ適宜の温度に維持する大型又は複数の空調設備が不要となる。本実施形態に係る蓄電装置用コンテナ装置10を含むコンテナ型蓄電システム1では、送風部12でメインダクト44に風速V1及び温度が一様な風を流すことで、各バッテリ110の温度を均一温度に近づけることができるため、空調設備を用いる場合に比べて各バッテリ110の温度を均一化するための複雑な制御が不要である。
【0042】
本実施形態に係るコンテナ型蓄電システム1において、例えば1kW出力の各バッテリ110を用いて、1MWの出力などの高出力を得る場合、例えば1ラックに500個のバッテリ110を2ラック並べて配置する。このため、コンテナ14内のバッテリ110の数が多くなる。同じ大きさのバッテリ110は、数が多くなればなるほど、広範囲にバッテリ110を配置する必要があり、各バッテリ110への温度調整にバラツキが生じやすい。例えばある1つのバッテリ110が低出力であると、そのバッテリ110に電気的に接続された他のバッテリ110は、潜在的にはより高出力を出すことが可能であっても、その低出力に合った出力がなされることとなる。本実施形態にかかる蓄電装置用コンテナ装置10では、各バッテリ110の温度のバラツキを抑制し、各バッテリ110の劣化度合いを均一化する。したがって、蓄電装置用コンテナ装置10は、運転温度の違いによる経時的な各バッテリ110の出力性能のバラツキを抑制することができる。したがって、本実施形態に係る蓄電装置用コンテナ装置10を含むコンテナ型蓄電システム1では、低出力のバッテリ110を出現させることを防止し、安定した出力を維持することができ、所望の出力を得る時間をより長時間化することができる。
【0043】
本実施形態によれば、連続運用される各バッテリ110の温度を均一温度に近づけるように調整可能な蓄電装置用コンテナ装置10及びコンテナ型蓄電システム1を提供することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、
図1中、メインダクト44の風の流れと、面72,74の排気部72a,74aを通る風の流れとが直交するように描かれているが、メインダクト44の風の流れに対して、面72,74の排気部72a,74aを通る風の流れが、直交する必要はない。例えば、変更部46の形状、及び、蓄電池盤100の配置等により、面72,74の排気部72a,74aを通る風を流す方向は調整可能である。
【0045】
(変形例)
変形例に係る蓄電装置用コンテナ装置10について、
図7及び
図8を用いて説明する。
【0046】
図7は、変形例に係る蓄電装置用コンテナ装置10の概略的な平面図を示す。
図8は、
図7中の蓄電装置用コンテナ装置10の温度カートリッジヒータ(温度調整部)90を示すF-F線に沿う概略的な断面図である。
【0047】
送風部12は、縮流胴28の例えば下流端に、温度カートリッジヒータ90を有する。
図8に示すように、温度カートリッジヒータ90は、複数の金網状に形成される。温度カートリッジヒータ90は、制御盤84又はクラウドサーバにより制御される。このため、温度カートリッジヒータ90は、例えば送風機22で送られる外気の温度を、バッテリ110が所望の温度帯になるように温度調整して、メインダクト44に流す。このとき、送風部12は、送風部12の下流端からメインダクト44に、一様な速度分布又は一様に近づけた速度分布の速度V1の風を送る。
【0048】
バッテリ110では、温度により最大出力にバラツキが生じる、バッテリ110は、最大出力を最も大きくすることが可能な温度帯がある。バッテリ110の温度を均一温度に近づけるように調整する場合、単に冷却するのではなく、バッテリ110の出力を最も大きくすることが可能な適切な温度帯に温度を調整することがコンテナ型蓄電システム1を運用する上で効率的である。
【0049】
例えば、外気温が0℃で、バッテリ110が最大出力を発揮する最適温度を例えば40℃とする。外気温の温度の風を蓄電池盤100同士の間に送ると、バッテリ110の温度がバッテリ110の最適温度よりも下げられる場合がある。このような状態を避けるため、温度カートリッジヒータ90で外気温に対して高い温度の風を、メインダクト44に送るように、風の温度を調整する。制御盤84又はクラウドサーバは、送風機22の送風量を調整し、風量を調整する。
【0050】
送風部12から離れた面54は、排気量調整部54bを有する。排気量調整部54bは、送風部12に対向する送風部12から離れた面54を開けた状態と、閉じた状態との間で、単位時間当たりの排気量を調整可能である。排気量調整部54bは、メインダクト44を流す風の風速を低下させることに伴って、排気量調整部54bの開口面積を小さくする。排気量調整部54bは、メインダクト44を流す風の風速V1を上昇させることに伴って、排気量調整部54bの開口面積を大きくする。なお、排気量調整部54bの排気量は、制御盤84又はクラウドサーバにより制御される。
【0051】
本変形例によれば、連続運用される各バッテリ110の温度を所望の最適な均一温度に近づけるように調整可能な蓄電装置用コンテナ装置10及びコンテナ型蓄電システム1を提供することができる。
【0052】
以上述べた少なくともひとつの実施形態によれば、連続運用される各バッテリ110の温度を均一温度に近づけるように調整可能な蓄電装置用コンテナ装置10及びコンテナ型蓄電システム1を提供することができる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1…コンテナ型蓄電システム、10…蓄電装置用コンテナ装置、12…送風部、14…コンテナ、22…送風機、24…拡散胴、26…整流胴、28…縮流胴、32…外殻、34…整流部、42…コンテナ本体、44…メインダクト、44a…上面、44b…下面、46…変更部、48…蓄電池ラック、52,54…面、54a…排気部、62…上面、64…下面、72,74…面、72a,74a…排気部、82…直流高速遮断機、84…制御盤、100…蓄電池盤、110…バッテリ、120…素材