(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】衣類乾燥装置
(51)【国際特許分類】
D06F 58/22 20060101AFI20241118BHJP
D06F 58/02 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
D06F58/22
D06F58/02 K
(21)【出願番号】P 2021048161
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 開斗
(72)【発明者】
【氏名】染澤 俊介
(72)【発明者】
【氏名】石木 達也
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-101374(JP,A)
【文献】特開2019-042410(JP,A)
【文献】特開2007-288456(JP,A)
【文献】特開2010-005097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/22
D06F 58/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を収容自在な乾燥室と、その乾燥室に乾燥用空気を供給自在な乾燥用空気供給部と、乾燥室の空気を外部に排気させる排気部と、乾燥室から排気する空気の通過位置に配設されたフィルターと、そのフィルターに付着した異物を回収して異物貯留部に貯留させる清掃作動を実行自在な清掃部とが備えられ
、
前記清掃部は、フィルターに付着している異物を掻き取る掻取部と、その掻取部を移動操作する移動操作部とが備えられ、
前記移動操作部は、
フィルターに対する接近離間方向においてフィルターにて対して掻取部を当接させる当接位置でフィルターの面方向に沿ってフィルターの上端部から下端部まで掻取部を移動させる第1移動操作と、
フィルターに対する接近離間方向において当接位置からフィルターに対して掻取部を離間させる離間位置に掻取部を移動させる第2移動操作と、
フィルターに対する接近離間方向において離間位置でフィルターの面方向に沿ってフィルターの下端部から上端部まで掻取部を移動させる第3移動操作と、
フィルターに対する接近離間方向において離間位置から当接位置に掻取部を移動させる第4移動操作とを行うように構成され、
前記異物貯留部は、フィルターの下方側に配設されている衣類乾燥装置。
【請求項2】
前記乾燥用空気供給部、前記排気部、及び、前記清掃部の作動状態を制御する制御部が備えられ、
前記制御部は、前記乾燥用空気供給部及び前記排気部を作動させて、前記乾燥室に収容された衣類を乾燥させる乾燥運転と、その乾燥運転の終了後に、前記清掃部を清掃作動させて、前記フィルターに付着した異物を回収して異物貯留部に貯留させるフィルター清掃運転とを実行自在に構成されている請求項1に記載の衣類乾燥装置。
【請求項3】
回転駆動自在な回転ドラムが備えられ、その回転ドラムの内部空間が前記乾燥室として備えられ、前記乾燥室の空気の排気側には、回転ドラムの外部に乾燥室と連通されて乾燥室からの空気が通流される連通部が固定状態で備えられ、その連通部に、前記フィルターが配設されている請求項1又は2に記載の衣類乾燥装置。
【請求項4】
前記異物貯留部は、筐体の内部に位置してフィルターに付着している異物を貯留自在な貯留状態と筐体の外部に露出して貯留された異物を取り出し自在な取出状態とに切替自在に構成されている請求項
1~3の何れか1項に記載の衣類乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿った衣類を乾燥させる衣類乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類乾燥装置として、衣類を収容自在な乾燥室と、その乾燥室に乾燥用空気を供給自在な乾燥用空気供給部と、乾燥室の空気を外部に排気させる排気部とが備えられているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の衣類乾燥装置では、回転駆動自在な回転ドラムの内部空間が乾燥室として備えられている。これにより、回転ドラムを回転駆動させて、乾燥室内において衣類を一定の位置に止めることなく移動させることで、衣類を効率よく乾燥させている。
【0004】
乾燥室内の空気には、塵埃等が含まれており、乾燥室内にて移動される衣類から糸屑等が発生することから、乾燥室から外部に排気する空気の通過位置にフィルターが配設されており、そのフィルターにて糸屑や塵埃等の異物を取り除いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の衣類乾燥装置では、フィルターにて、乾燥室から排気される空気に含まれる糸屑や塵埃等の異物を取り除いているが、フィルターに異物が溜まると、排気抵抗になり、乾燥時間が延びる等の不都合を生じる可能性があるので、フィルターに付着した異物を清掃(除去)する必要がある。
【0007】
しかしながら、フィルターから異物を除去する清掃作業は、フィルターに付着した異物を掻き取る作業を利用者の手作業にて行っており、大変手間のかかる作業となっている。特に、衣類乾燥装置を洗濯機の上部等に設置した場合には、衣類乾燥装置が高所に設置されることになるので、利用者が手作業にてフィルターに付着した異物を掻き取る作業を行うこと自体が困難なものとなっている。
【0008】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、フィルターに付着した異物を除去する清掃作業の簡素化を図ることができる衣類乾燥装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1特徴構成は、衣類を収容自在な乾燥室と、その乾燥室に乾燥用空気を供給自在な乾燥用空気供給部と、乾燥室の空気を外部に排気させる排気部と、乾燥室から排気する空気の通過位置に配設されたフィルターと、そのフィルターに付着した異物を回収して異物貯留部に貯留させる清掃作動を実行自在な清掃部とが備えられている点にある。
【0010】
本構成によれば、フィルターに付着した異物を回収して異物貯留部に貯留させる清掃作動を実行自在な清掃部が備えられているので、フィルターに付着した異物を掻き取る作業を手作業にて行わなくても、清掃部にてフィルターに付着した異物をフィルターから除去して異物貯留部に貯留させることができる。これにより、利用者は、異物貯留部に貯留されている異物を取り出して捨てる等の作業を行うだけで、フィルターから異物を除去することができるので、フィルターに付着した異物を除去する清掃作業の簡素化を図ることができる。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、前記乾燥用空気供給部、前記排気部、及び、前記清掃部の作動状態を制御する制御部が備えられ、
前記制御部は、前記乾燥用空気供給部及び前記排気部を作動させて、前記乾燥室に収容された衣類を乾燥させる乾燥運転と、その乾燥運転の終了後に、前記清掃部を清掃作動させて、前記フィルターに付着した異物を回収して異物貯留部に貯留させるフィルター清掃運転とを実行自在に構成されている点にある。
【0012】
フィルターに糸屑や塵埃等の異物が付着するのは、乾燥室内の衣類を乾燥する乾燥運転中となる。そこで、本構成によれば、制御部が、フィルター清掃運転を実行することで、乾燥運転の終了後に、フィルターから異物を除去する作業を行うことができる。これにより、フィルターに付着する異物の量が多くなる前に、その異物を除去することができ、適切なタイミングにて清掃部の清掃作動を行うことができる。
【0013】
本発明の第3特徴構成は、回転駆動自在な回転ドラムが備えられ、その回転ドラムの内部空間が前記乾燥室として備えられ、前記乾燥室の空気の排気側には、回転ドラムの外部に乾燥室と連通されて乾燥室からの空気が通流される連通部が固定状態で備えられ、その連通部に、前記フィルターが配設されている点にある。
【0014】
本構成によれば、回転ドラムの内部空間が乾燥室として備えられているので、乾燥室内において衣類を一定の位置に止めることなく移動させて、衣類を効率よく乾燥させることができる。しかしながら、例えば、回転ドラムと一体的に回転させるようにフィルターを配設すると、回転ドラムの形状や構成等との兼ね合いで、フィルターの形状や構成が制限されることになる。
【0015】
そこで、本構成によれば、回転ドラムの外部に乾燥室と連通されて乾燥室からの空気が通流される連通部を固定状態で備え、その連通部にフィルターを備えることで、フィルターを固定状態で備えている。これにより、回転ドラムとの兼ね合いを考慮することなく、フィルターの形状や構成を設定することができ、フィルターの形状や構成の自由度を向上することができる。よって、フィルターの形状や構成について、清掃部による清掃作動にて付着した異物を除去し易い形状や構成を採用することができ、清掃部による清掃作動を効率よく行うことができる。
【0016】
本発明の第4特徴構成は、前記清掃部は、フィルターに付着している異物を掻き取る掻取部と、その掻取部を移動操作する移動操作部とが備えられ、
前記移動操作部は、
フィルターに対する接近離間方向においてフィルターにて対して掻取部を当接させる当接位置でフィルターの面方向に沿ってフィルターの一端部から他端部まで掻取部を移動させる第1移動操作と、
フィルターに対する接近離間方向において当接位置からフィルターに対して掻取部を離間させる離間位置に掻取部を移動させる第2移動操作と、
フィルターに対する接近離間方向において離間位置でフィルターの面方向に沿ってフィルターの他端部から一端部まで掻取部を移動させる第3移動操作と、
フィルターに対する接近離間方向において離間位置から当接位置に掻取部を移動させる第4移動操作とを行うように構成されている点にある。
【0017】
本構成によれば、移動操作部が第1移動操作を行うことで、フィルターに対する接近離間方向において掻取部をフィルターに当接させる当接位置で掻取部をフィルターの一端部から他端部まで掻取部を移動させる間に、フィルターに付着している異物を掻取部にて掻き取って異物貯留部に貯留させることができる。移動操作部が第2移動操作、第3移動操作、第4移動操作を順次行うことで、掻取部をフィルターに当接させずにスムーズに移動させながら、フィルターに対する接近離間方向において当接位置となる第1移動操作前の当初の位置に復帰させることができる。このように、移動操作部が、第1移動操作、第2移動操作、第3移動操作、第4移動操作を順次行うことで、掻取部を効率よく移動させながら、清掃部による清掃作動を適切に行うことができる。しかも、移動操作部が、第1移動操作、第2移動操作、第3移動操作、第4移動操作を順次行う動作を複数回連続して行うこともでき、フィルターに付着した異物を的確に除去することができる。
【0018】
本発明の第5特徴構成は、前記異物貯留部は、筐体の内部に位置してフィルターに付着している異物を貯留自在な貯留状態と筐体の外部に露出して貯留された異物を取り出し自在な取出状態とに切替自在に構成されている点にある。
【0019】
本構成によれば、異物貯留部を、貯留状態だけでなく、取出状態に切り替えることができるので、利用者は、異物貯留部を取出状態に切り替えるだけで、筐体の外部に露出された異物貯留部から異物を簡易に取り出して捨てることができる。よって、異物貯留部に貯留されている異物を取り出す作業も簡易に行うことができ、作業の簡素化を一層図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図6】異物貯留部の貯留状態と取出状態とを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る衣類乾燥装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
この衣類乾燥装置1は、
図1に示すように、燃料ガスNの燃焼により生成した高温空気K1によって、脱水後等の湿った衣類2を乾燥させるものである。衣類乾燥装置1は、箱状の筐体3が備えられ、その筐体3には、衣類2を収容自在な乾燥室4と、その乾燥室4に高温空気K1(乾燥用空気)を供給自在な乾燥用空気供給部5と、乾燥室4の空気Kを外部に排気させる排気部6とが備えられている。
【0022】
筐体3の前面側には、
図1及び
図6に示すように、片開き式の扉7が開閉自在に支持されている。この扉7を開閉することで、
図1に示すように、筐体3の前方側部位に備えられた衣類投入口8が閉塞及び開放可能に構成されている。利用者は、扉7を開き状態として、衣類投入口8を通して衣類2を乾燥室4内に投入したり、乾燥室4内の衣類2を取り出している。
【0023】
乾燥室4は、回転駆動自在な回転ドラム11にて形成されている。回転ドラム11は、円形状の衣類投入口8よりも大径の円筒状の内部空間を有しており、その内部空間が乾燥室4として備えられている。回転ドラム11は、前方側が開放された前方開口部11a(
図2参照)が備えられ、その前方開口部11aが衣類投入口8に連通されている。回転ドラム11は、略水平方向に延びる支持軸(図示省略)にて回転軸心P周りで回転自在に支持されている。回転ドラム11を回転駆動するために、駆動モータ12と第1伝達ベルト14とが備えられている。第1伝達ベルト14は、駆動モータ12の第1駆動プーリ13と回転ドラム11の外周部とに巻き掛けられている。駆動モータ12にて第1駆動プーリ13を回転駆動させて、第1伝達ベルト14を巻回作動させることで、駆動モータ12の駆動力を回転ドラム11に伝達して、回転ドラム11を回転駆動させている。
【0024】
乾燥用空気供給部5は、燃料ガスNを燃焼させるバーナ21と、そのバーナ21の燃焼により生成(加熱)された高温空気K1(乾燥用空気)を乾燥室4に供給する高温空気供給路22とが備えられている。バーナ21に燃料ガスNを供給する燃料供給路23が備えられ、その燃料供給路23の下流側端部に備えられた燃料ノズル24から燃料ガスNを噴出して、バーナ21に燃料ガスNを供給している。燃料供給路23の途中部位には、燃料供給弁25が備えられ、燃料ガスNの供給が断続され、その燃料ガスNの供給量を調整自在としている。ちなみに、
図1では、1つの燃料供給弁25を図示しているが、例えば、燃料ガスNの供給を断続する断続弁と、燃料ガスNの供給量を調整する供給量調整弁との2つの弁を備えることができる。
【0025】
筐体3の下面部には、開口部26が形成され、その開口部26から筐体3の内部に空気Kが流入自在となっている。バーナ21は、その流入した空気Kを燃焼用空気として、燃料供給路23にて供給される燃料ガスNを燃焼させて、高温空気K1(乾燥用空気)を生成している。高温空気供給路22は、回転ドラム11の前方下方側に形成された給気口27を通して乾燥室4内に連通され、バーナ21にて生成された高温空気K1(乾燥用空気)を乾燥室4内に供給自在となっている。
【0026】
排気部6は、排気ファン31と、乾燥室4の空気Kを外部に排気させる排気通路32とが備えられている。排気ファン31を駆動させるために、駆動モータ12と第2伝達ベルト16とが備えられている。第2伝達ベルト16は、駆動モータ12の第2駆動プーリ15と排気ファン31とに巻き掛けられている。駆動モータ12にて第2駆動プーリ15を回転駆動させて、第2伝達ベルト16を巻回作動させることで、駆動モータ12の駆動力を排気ファン31に伝達して、排気ファン31を作動させている。このように、1つの駆動モータ12の駆動力を回転ドラム11と排気ファン31とに伝達させて、回転ドラム11と排気ファン31という2つの機器を作動自在としている。
【0027】
排気ファン31は、回転ドラム11の後方側に配設され、乾燥室4内の空気Kを吸引するように備えられている。排気通路32は、筐体3内の内部通路部位33と筐体3外の外部通路部位34とが備えられ、内部通路部位33に外部通路部位34(排気筒)を接続することで、乾燥室4内の空気Kを屋外に排気させる排気通路32を形成している。排気ファン31を作動させることで、筐体3の下面部の開口部26から筐体3の内部に空気Kを取り込み、その取り込んだ空気Kをバーナ21を介して乾燥室4内に供給し、乾燥室4内の空気Kを排気通路32を通して屋外に排気するという空気Kの流れを生じさせている。
【0028】
回転ドラム11の後方側には、乾燥室4から排気する空気Kの通過位置にフィルター41が配設されている。フィルター41は、空気Kの通流方向で、乾燥室4の下流側(排気側)で且つ排気ファン31の上流側に配設され、乾燥室4から排気される空気Kに含まれる塵埃や糸屑等の異物を取り除いている。
【0029】
筐体3の前方下方側部位には、各機器の作動状態を制御する制御部9が備えられている。制御部9は、各機器の作動状態を制御することで、複数種の運転を実行可能であるが、主として、乾燥用空気供給部5及び排気部6を作動させて、乾燥室4に収容された衣類2を乾燥させる乾燥運転を実行可能に構成されている。
【0030】
筐体3の前面部には、
図6に示すように、操作部51及び表示部52が備えられている。操作部51には、例えば、電源スイッチ、運転や運転コースを選択する選択スイッチ、乾燥運転を開始及び一時停止させるためのスイッチ、乾燥運転の乾燥時間を設定する設定スイッチ等の各種のスイッチが備えられている。表示部52には、例えば、運転状態を表示する表示部や、乾燥の残り時間の目安等を表示するデジタル表示部等の各種の表示部が備えられている。
【0031】
乾燥運転では、制御部9が、
図1に示すように、バーナ21による燃焼を行うように、乾燥用空気供給部5における燃料供給弁25等を制御し、排気部6における排気ファン31を作動させるように、駆動モータ12の作動状態を制御している。この乾燥運転では、制御部9が、駆動モータ12を作動させることで、排気ファン31を作動させるとともに、回転ドラム11を回転駆動させて、乾燥室4内の衣類2を一定の位置に止めることなく移動させ、衣類2を効率よく乾燥させている。
【0032】
制御部9は、乾燥運転の運転開始から設定時間が経過すると、バーナ21での燃焼を停止させるように、乾燥用空気供給部5における燃料供給弁25等を制御し、排気部6における排気ファン31を作動停止させるように、駆動モータ12の作動状態を制御して、乾燥運転を終了している。
【0033】
設定時間については、例えば、予め設定した初期設定時間としたり、乾燥室4に投入された衣類2の量や重さ等から、その予め設定した初期設定時間を変更設定することができる。また、乾燥運転を終了させるための条件としては、設定時間が経過するという条件に限らず、例えば、衣類2の乾燥度を検知自在な乾燥度センサの検出情報に基づいて、衣類2の乾燥完了を検知した場合に、乾燥運転を終了させることもできる。
【0034】
筐体3には、乾燥室4から排気される空気Kの通過位置に、その空気Kに含まれる塵埃や糸屑等の異物Gを取り除くフィルター41が配設されている。このフィルター41には、異物G(
図3参照)が付着することから、その異物Gを除去して清掃する必要がある。そこで、この実施形態では、フィルター41に付着した異物Gを回収して異物貯留部49に貯留させる清掃作動を実行自在な清掃部42が備えられている。
【0035】
以下、フィルター41及び清掃部42について説明する。
回転ドラム11の後方側には、
図2に示すように、乾燥室4と連通されて乾燥室4からの空気Kが通流される連通部43が備えられ、その連通部43の後端部にフィルター41が配設されている。回転ドラム11の後壁部11bの中央側には、回転ドラム11よりも小径の開口部44が形成され、その開口部44を閉塞する状態で、通気自在な多数の孔部が形成された多孔部45(例えば、パンチングメタル)が備えられている。フィルター41は、例えば、上下幅が回転ドラム11よりも小径の開口部44の直径と略同一に形成されている。
【0036】
回転ドラム11とは別に連通部43が備えられ、その連通部43が図外の固定支持部により固定状態で備えられている。回転ドラム11の後壁部11bと連通部43との接続箇所には、回転ドラム11の回転による摩擦を受けるための緩衝材46が備えられている。連通部43にフィルター41が備えられていることから、回転ドラム11が回転駆動するのに対して、フィルター41が固定状態で備えられている。これにより、フィルター41は、回転ドラム11との兼ね合いが無い状態で形状や構成を設定することができ、その形状や構成等を自由に設定することができる。例えば、フィルター41を、正面視において矩形状(
図5参照)等の単純な形状に形成することができる。
【0037】
清掃部42も、
図2に示すように、フィルター41とともに連通部43に備えられ、フィルター41の前面部に隣接する位置に配設されている。清掃部42は、フィルター41に付着している異物Gを掻き取る掻取部47と、その掻取部47を移動操作する移動操作部48とが備えられている。掻取部47は、
図5に示すように、矩形状のフィルター41の左右方向の全長に亘る長さを有している。掻取部47は、
図2に示すように、例えば、ブラシ状に形成されており、フィルター41に当接した状態で移動操作部48にて移動操作されることで、フィルター41に付着している異物Gを掻き取るようにしている。
【0038】
移動操作部48は、
図2に示すように、矩形状のフィルター41の上端部に対応する上方位置(
図3(A)、
図4(B)及び
図5の実線を参照)と下端部に対応する下方位置(
図3(B)、
図4(A)及び
図5の点線を参照)との間で掻取部47を上下方向に昇降操作自在な昇降操作部48aと、フィルター41に当接する当接位置(
図3(A)及び(B)参照)とフィルター41から離間する離間位置(
図4(A)及び(B)参照)とに掻取部47を筐体3の前後方向(フィルター41に対する接近離間方向)に移動操作自在な前後移動操作部48bとが備えられている。昇降操作部48aは、例えば、モータ等のアクチュエータにより昇降ベルトを昇降させて掻取部47を昇降操作自在としている。前後移動操作部48bは、例えば、ピストン等のアクチュエータにより前後方向に延びるガイドに沿って、掻取部47を昇降操作部48aごと筐体3の前後方向(フィルター41に対する接近離間方向)に移動操作自在としている。
【0039】
移動操作部48は、昇降操作部48a及び前後移動操作部48bによって、掻取部47を移動させる移動操作として、第1移動操作、第2移動操作、第3移動操作、第4移動操作を順次行うように構成されている。
【0040】
第1移動操作では、移動操作部48が、
図3(A)から
図3(B)に推移するように、掻取部47をフィルター41に当接させた当接位置でフィルター41の面方向に沿って上方位置から下方位置まで掻取部47を昇降操作部48aにて下降させている。第2移動操作では、移動操作部48が、
図3(B)から
図4(A)に推移するように、フィルター41に当接させた当接位置からフィルター41から離間させた離間位置に前後移動操作部48bにて掻取部47を移動させている。第3移動操作では、移動操作部48が、
図4(A)から
図4(B)に推移するように、掻取部47をフィルターから離間させた離間位置でフィルター41の面方向に沿って下方位置から上方位置まで昇降操作部48aにて掻取部47を上昇させている。第4移動操作では、移動操作部48が、
図4(B)から
図3(A)に推移するように、フィルター41から離間させた離間位置からフィルター41に当接させた当接位置に前後移動操作部48bにて掻取部47を移動させている。
【0041】
図3(A)から
図3(B)に推移するように、移動操作部48が第1移動操作を行うことで、掻取部47をフィルター41に当接させた当接位置において掻取部47を上方位置から下方位置まで下降させる間に、フィルター41に付着している異物Gを掻取部47にて掻き取って落下させ、フィルター41の下方側に配設された異物貯留部49に異物Gを貯留させている。異物貯留部49は、有底筒状の箱形形状に形成されており、落下される異物Gを受け止めてその内部に貯留させている。
【0042】
図3(B)→
図4(A)→
図4(B)→
図3(A)の順に推移するように、移動操作部48が第2移動操作、第3移動操作、第4移動操作を順次行うことで、掻取部47をフィルター41から離間させた離間位置において掻取部47を下方位置から上方位置まで上昇させることで、掻取部47をフィルター41に当接させずに上方位置まで移動させ、その後、当初のフィルター41に当接させた当接位置に掻取部47を復帰させている。
【0043】
このようにして、清掃部42は、第1移動操作、第2移動操作、第3移動操作、第4移動操作を移動操作部48にて順次行うことで、フィルター41に付着した異物Gを回収して異物貯留部49に貯留させる清掃作動を行っている。清掃部42は、移動操作部48によって、第1移動操作、第2移動操作、第3移動操作、第4移動操作を順次行う動作を実行するが、1回の清掃作動において、第1移動操作、第2移動操作、第3移動操作、第4移動操作を順次行う回数を適宜設定することができ、例えば、2回以上に設定することもできる。このように、第1移動操作、第2移動操作、第3移動操作、第4移動操作を順次行う回数を2回以上と設定した場合には、第1移動操作、第2移動操作、第3移動操作、第4移動操作を順次行う動作が繰り返し行われ、フィルター41に付着した異物Gをより確実に除去できることになる。
【0044】
図1に示すように、制御部9は、乾燥運転に加えて、乾燥運転の終了後に、清掃部42を清掃作動させて、フィルター41に付着した異物Gを回収して異物貯留部49に貯留させるフィルター清掃運転を実行可能に構成されている。制御部9は、乾燥運転の終了後に自動的にフィルター清掃運転を行うことができる。これにより、乾燥運転を行うたびに、フィルター清掃運転を実行することができ、フィルター41に異物Gが溜まるのを適切に防止することができる。
【0045】
制御部9がフィルター清掃運転を実行するタイミングについては、適宜設定することができる。例えば、利用者が操作部51を操作することで、制御部9がフィルター清掃運転を実行することができ、利用者の必要性に応じて、制御部9がフィルター清掃運転を実行することができる。また、制御部9が乾燥運転を設定回数実行すると、その乾燥運転の終了後に、制御部9がフィルター清掃運転を自動的に実行することもできる。更に、制御部9は、設定期間や設定時間が経過するごとに、フィルター清掃運転を実行することもできる。このように、制御部9による乾燥運転の実行中でなければ、制御部9がフィルター清掃運転を実行するタイミングを適宜設定することができる。
【0046】
異物貯留部49は、
図2に示すように、多数の異物Gを貯留できるだけの貯留量を有している。異物貯留部49における異物Gの貯留量は、例えば、乾燥運転を設定回数(例えば、3回)実行したときにフィルター41から除去される異物Gの全てを貯留できるだけの容量に設定することができる。これにより、乾燥運転を行うごとに異物貯留部49から異物Gを取り出して捨てる等の作業を行う必要がなく、異物Gを取り出して捨てる等の作業の回数を減少させて、作業手間の軽減を図ることができる。
【0047】
異物貯留部49は、
図6に示すように、筐体3の内部に位置してフィルター41に付着している異物Gを貯留自在な貯留状態(
図6において点線にて示す状態)と筐体3の外部に露出して貯留された異物Gを取り出し自在な取出状態(
図6において実線にて示す状態)とに切替自在に構成されている。異物貯留部49は、筐体3に対して左右方向にスライド移動自在に備えられ、このスライド移動により貯留状態と取出状態とに切替自在に構成されている。異物貯留部49は、筐体3の側面部よりも外側に膨出することで、取出状態に切替自在に備えられている。異物貯留部49を貯留状態から取出状態に切り替える際に、利用者が手で異物貯留部49を引っ張り出すための引っ掛け部49aが異物貯留部49の側面部に備えられている。
【0048】
異物貯留部49には、異物Gの貯留量を検出自在な貯留量検出部を備えることもできる。この場合には、貯留量検出部にて異物Gの貯留量が設定量以上となると、利用者に対して異物貯留部49における異物Gの貯留量が一杯であり、その異物Gを取り出して捨てる等の作業を促す注意喚起の表示を表示部52にて行うことができる。
【0049】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、夫々単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0050】
(1)上記実施形態では、バーナ21の燃焼により高温空気K1(乾燥用空気)を生成しているが、例えば、電気ヒータによる加熱によって高温空気(乾燥用空気)を生成することもでき、高温空気K1を生成するための加熱部については、バーナに限らず、他の加熱部を適用することもできる。
【0051】
(2)上記実施形態では、略水平方向に沿う回転軸心P周りで回転ドラム11を回転駆動させているが、略上下方向に沿う回転軸心周りで回転ドラムを回転駆動させることもでき、回転ドラムの回転軸心をどのように設定するか適宜変更が可能である。
【0052】
(3)上記実施形態では、回転駆動自在な回転ドラム11の内部空間を乾燥室4として備えているが、乾燥室4を固定状態にて備えることもできる。
【0053】
(4)上記実施形態では、移動操作部48が、掻取部47をフィルター41の面方向に沿って上方位置と下方位置との間で移動させているが、例えば、フィルター41の面方向に沿ってフィルター41の横幅方向の一端部と他端部との間で左右方向に掻取部47を移動させることもでき、掻取部47をどのように移動させるかは適宜変更が可能である。
【0054】
(5)上記実施形態では、固定状態の連通部43が備えられ、その連通部43にフィルター41及び清掃部42が備えられているが、例えば、フィルター41を回転ドラム11の後壁部11b等に配設することで、回転ドラム11と一体的に回転自在に備えることもできる。この場合には、清掃部42を回転ドラム11の内部に配設することができる。このように、フィルター41及び清掃部42の配設箇所については適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 衣類乾燥装置
2 衣類
3 筐体
4 乾燥室
5 乾燥用空気供給部
6 排気部
9 制御部
11 回転ドラム
41 フィルター
42 清掃部
43 連通部
47 掻取部
48 移動操作部
49 異物貯留部
G 異物
K 空気
K1 高温空気(乾燥用空気)