(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】電気機器設置体、及び電気機器の設置構造
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20241118BHJP
H02B 1/44 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
H05K5/02 A
H02B1/44
(21)【出願番号】P 2021079568
(22)【出願日】2021-05-10
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】山本 茂樹
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-154561(JP,A)
【文献】特開2002-010432(JP,A)
【文献】特開2004-064962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00- 5/06
H02B 1/40- 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に固定される基台と、当該基台に一体に組み付けられて、当該基台の前面に取着された電気機器の前面側を覆うカバー体と、から成る電気機器設置体であって、
前記基台には、その前面に取着された電気機器を挟むようにして、その両側に対向して配置された一対の被係合部を備え、
前記カバー体には、前記被係合部と係合して前記基台に組み付けられる一対の係合部が、前記一対の被係合部と対応する位置に対向して配置されており、
前記一対の被係合部及び前記一対の係合部の少なくとも一方は、前記対向する方向に弾性変形する弾性片に設けられて、当該弾性片の弾性変形により前記対向する方向に移動可能であり、
前記カバー体を前記弾性片の復元力に抗して前記対向する方向にスライド移動するように押圧付勢することで、
当該スライド移動の移動元に位置する弾性片の弾性変形により、当該スライド移動を許容して、当該スライド移動の移動先に配置された被係合部と係合部との係合が解除される構成であることを特徴とする電気機器設置体。
【請求項2】
前記カバー体は、四角筒状のカバー体本体に天板部が一体に設けられることで、底面が開口された四角形箱状であって、
前記カバー体本体における前記スライド移動の方向と直交する方向に対向配置される各側板部の内面には、前記カバー体が前記基台に組み付けられた状態で、当該基台における前記スライド移動の方向に沿った各角部が嵌合状態で組み付けられる嵌合段差部が対向して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気機器設置体。
【請求項3】
前記カバー体は、前記スライド移動の方向の長さよりも、当該スライド移動の方向と直交する方向の長さが短いことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気機器設置体。
【請求項4】
前記被係合部及び係合部は、前記スライド方向と直交する方向に沿って所定間隔をおいて複数対形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電気機器設置体。
【請求項5】
請求項
2に記載の電気機器設置体により、電気機器が設置される構造であって、
建物壁に固定された前記基台の前面側に前記電気機器が取着されており、
前記カバー体は、前記基台に一体に組み付けられて、前記基台に取着された電気機器が内部の収容空間に収容した状態で、前記基台の前面全体を覆い隠し、かつ前記収容空間に収容された前記電気機器の一部は、当該カバー体の前記天板部に設けられた貫通口を通して外部に突出配置されており、
前記突出配置された電気機器の一部と、前記貫通口の内面との間には、前記スライド移動を許容する隙間が形成されていることを特徴とする電気機器の設置構造。
【請求項6】
前記電気機器の前面側には、前記突出配置された電気機器の一部の周囲に平面部が形成され、
前記カバー体の天板部の内面における前記貫通口の周縁部と、前記電気機器の平面部との間に、目立たない程度に両者を離間させる隙間が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電気機器の設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基台とカバー体とが一体に組み付けられて、内部の収容空間に電気機器を収容するのに使用される電気機器設置体、及び電気機器の設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記の電気機器設置体として、特許文献1に開示のものが知られている。当該特許文献1の明細書の段落「0019」及び「0020」並びに図面の
図4には、それぞれ電気機器設置体を構成する「基台」及び「カバー体」の具体的構成が記載され、明細書の段落「0041」には、「基台」と「カバー体」との組み付けが記載されている。
【0003】
即ち、明細書の段落「0019」には、「ベース41は金属板を折曲することによって、矩形板状の載置片42の長手方向における一端側の側縁から断面L形の脚片43を延設すると共に、長手方向における他端側に一段低くなった段部42bを形成して、段部42bの先端縁から断面L形の脚片43を延設してある。」と記載され、明細書の段落「0020」には、「カバー45は絶縁性を有する合成樹脂により下面が開口した箱状に形成され、上面略中央には増設用分岐開閉器50a,50bのハンドル53を露出させるための窓孔45aが貫設されている。また、カバー45の長手方向に沿う両側面46には、ベース41の載置片42の両側縁とそれぞれ係合する一対のリブ46aが内側面に突設されている。また、カバー45の短幅方向に沿う両側面47には、下端部の略中央にケーブル導入用のノックアウト部47aがそれぞれ形成されている。」と記載されている。また、明細書の段落「0041」には、「この分岐開閉器ブロック40を組み立てる際には、一対の留め具72をベース41の載置片42に設けた取付孔42cにそれぞれ圧入して、固定した後、載置片42における両当接片42a,42bの間の部位に2個の増設用分岐開閉器50a,50bを並べて配置し、・・・ベース41の上側から、端子台60と2個の増設用分岐開閉器50a,50bとを覆うようにしてカバー45を被せると、カバー45の両側面46の弾性によってリブ46aがベース41の載置片42を乗り越え、載置片42の端縁と係合することで、カバー45とベース41とが結合され、組立作業が完了する。」と記載されている。
【0004】
このように、特許文献1では、ベース41の上側から、端子台60と2個の増設用分岐開閉器50a,50bとを覆うようにしてカバー45を被せると、カバー45の両側面46の弾性によってリブ46aがベース41の載置片42を乗り越えて、当該カバー45の両側面46の内面に対向して設けられた一対のリブ46aが、ベース41の載置片42の両側縁とそれぞれ係合することで、ベース41とカバー45とが、「嵌め殺し」に近い構造で一体に組み付けられる。
【0005】
このように、ベース41とカバー45との組み付けは、簡単であるが、組付け後において、内部の収容空間に収容された増設用分岐開閉器50a,50bの配線のし直し等の必要が生じて、ベース41に対してカバー45を取り外すには、当該カバー45の両側面46に対して拡開力を作用させる必要があるが、ベース41の全体をカバー45が覆った状態で、両者が「嵌め殺し」に近い構造で一体に組み付けられているため、カバー45に前記拡開力を作用させるのが難しい。このため、無理にカバー45を取り外した場合には、当該カバー45を破損させてしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、一体に組み付けられた基台とカバー体との当該組付けの解除を容易に行える電気機器設置体の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、構造物に固定される基台と、当該基台に一体に組み付けられて、当該基台の前面に取着された電気機器の前面側を覆うカバー体と、から成る電気機器設置体であって、
前記基台には、その前面に取着された電気機器を挟むようにして、その両側に対向して配置された一対の被係合部を備え、
前記カバー体には、前記被係合部と係合して前記基台に組み付けられる一対の係合部が、前記一対の被係合部と対応する位置に対向して配置されており、
前記一対の被係合部及び前記一対の係合部の少なくとも一方は、前記対向する方向に弾性変形する弾性片に設けられて、当該弾性片の弾性変形により前記対向する方向に移動可能であり、
前記カバー体を前記弾性片の復元力に抗して前記対向する方向にスライド移動するように押圧付勢することで、
当該スライド移動の移動元に位置する弾性片の弾性変形により、当該スライド移動を許容して、当該スライド移動の移動先に配置された被係合部と係合部との係合が解除される構成であることを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、基台の一対の被係合部と、カバー体の一対の係合部との係合により、当該基台と当該カバー体とが一体に組み付けられた状態で、当該一対の被係合部又は当該一対の係合部が対向する方向に沿ってスライド移動するようにカバー体を押圧付勢させると、当該スライド移動の移動元に位置する弾性片の弾性変形により、当該スライド移動を許容して、当該スライド移動の移動先に配置された被係合部と係合部との係合が解除され、この状態で、前記スライド移動の移動元の弾性片の部分を支点にして、基台に対してカバー体を回動させると、当該基台と当該カバー体とが分離される。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記カバー体は、四角筒状のカバー体本体に天板部が一体に設けられることで、底面が開口された四角形箱状であって、
前記カバー体本体における前記スライド移動の方向と直交する方向に対向配置される各側板部の内面には、前記カバー体が前記基台に組み付けられた状態で、当該基台における前記スライド移動の方向に沿った各角部が嵌合状態で組み付けられる嵌合段差部が対向して形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明によれば、基台とカバー体との組み付け状態において、前記カバー体本体における前記スライド移動の方向と直交する方向に対向配置される各側板部の内面に対向して設けられた各嵌合段差部と、前記基台における前記スライド移動の方向に沿った各角部とが嵌合されているので、基台の一対の被係合部とカバー体の一対の係合部との係合解除のために、当該カバー体の前記スライド方向へのスライドが安定して、前記係合解除を安定した状態で確実に行える。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記カバー体は、前記スライド移動の方向の長さよりも、当該スライド移動の方向と直交する方向の長さが短いことを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明によれば、底面が開口されたカバー体は、長方形箱状をなしていて、当該カバー体は、基台に対して自身の長辺の方向に沿ってスライド移動することで、当該基台の一対の被係合部と当該カバー体の一対の係合部との係合が解除される構成となるので、当該係合の解除の操作を行い易い。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記被係合部及び係合部は、前記スライド移動の方向と直交する方向に沿って所定間隔をおいて複数対形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項4の発明によれば、一対で一組となった前記被係合部及び係合部は、前記スライド方向と直交する方向に沿って所定間隔をおいて複数対形成されているため、基台の複数組の被係合部と、カバー体の複数組の係合部との係合による当該基台と当該カバー体との組み付け状態が安定化すると共に、前記係合の解除は、一対で一組となった前記被係合部及び係合部の当該組数が増えても、基台に対するカバー体のスライド移動のみで行える。
【0016】
請求項5の発明は、請求項2に記載の電気機器設置体により、電気機器が設置される構造であって、
建物壁に固定された前記基台の前面側に前記電気機器が取着されており、
前記カバー体は、前記基台に一体に組み付けられて、前記基台に取着された電気機器が内部の収容空間に収容した状態で、前記基台の前面全体を覆い隠し、かつ前記収容空間に収容された前記電気機器の一部は、当該カバー体の前記天板部に設けられた貫通口を通して外部に突出配置されており、
前記突出配置された電気機器の一部と、前記貫通口の内面との間には、前記スライド移動を許容する隙間が形成されていることを特徴としている。
【0017】
請求項5の発明によれば、基台とカバー体との係合の解除のために、当該基台に対するカバー体のスライド移動が必要となるが、当該カバー体の天板部に設けられた貫通口を通して外部に突出配置された電気機器の一部と、当該貫通口の内面との間には、前記スライド移動を許容する隙間が形成されているため、外部に突出配置された電気機器の一部と、カバー体の天板部とが干渉することなく、係合解除のための前記スライド移動を支障なく行える。
【0018】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記電気機器の前面側には、前記突出配置された電気機器の一部の周囲に平面部が形成され、
前記カバー体の天板部の内面における前記貫通口の周縁部と、前記電気機器の平面部との間に、目立たない程度に両者を離間させる隙間が形成されていることを特徴としている。
【0019】
請求項6の発明によれば、カバー体の天板部の内面における前記貫通口の周縁部と、前記電気機器の平面部との間に、目立たない程度に両者を離間させる隙間が形成されているため、カバー体の貫通口の部分の見栄えが良好になるのに加えて、基台に対するカバー体のスライド移動の際に、当該カバー体の天板部と電気機器とが非接触状態で行える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、基台の一対の被係合部と、カバー体の一対の係合部との係合により、当該基台と当該カバー体とが一体に組み付けられた状態で、当該一対の被係合部又は当該一対の係合部が対向する方向に沿ってスライド移動するようにカバー体を押圧付勢させると、当該スライド移動の移動元に位置する弾性片の弾性変形により、当該スライド移動を許容して、当該スライド移動の移動先に配置された被係合部と係合部との係合が解除され、この状態で、前記スライド移動の移動元の弾性片の部分を支点にして、基台に対してカバー体を回動させると、当該基台と当該カバー体とが分離される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1基台V
1 及び第1カバー体L
1 を用いた既設のブレーカーD
1 の設置状態の一部を破断した斜視図である。
【
図3】第1基台V
1 及び第1カバー体L
1 の分離状態の斜視図である。
【
図4】(a),(b)は、それぞれ第1基台V
1 の表面側及び背面側から見た斜視図である。
【
図6】(a)~(d)は、それぞれ
図5のU
1 -U
1 線~U
4 -U
4 線の断面図である。
【
図7】(a),(b)は、第1基台V
1 の表面側の中央部に薄金属板Mが取着された状態の斜視図、及び弾性片15と嵌合溝板部18とを結ぶ部分の縦断面図である。
【
図8】第1カバー体L
1 を開口側から見た斜視図である。
【
図9】第1カバー体L
1 の底面図、及び中央横断面図である。
【
図10】第1基台V
1 と第1カバー体L
1 との組付け状態の中央縦断面図である。
【
図11】第1基台V
1 と第1カバー体L
1 とを組み付けた状態の中央横断面図である。
【
図13】(a),(b)は、第1カバー体L
1 の窓開口33から、高さの異なる各ブレーカーD
1 ,D
1'の操作レバー82が突出している部分の拡大断面図である。
【
図14】ブレーカーD
1 のケーブル81が建物壁Wの壁面に沿って配線された例の斜視図である。
【
図15】(a),(b)は、それぞれ拡張基台Vsを正面側及び背面側から見た斜視図である。
【
図16】第1基台V
1 と拡張基台Vsの分離状態の斜視図である。
【
図18】(a)は、
図15のY-Y線断面図であり、(b)は、
図17のZ-Z線断面図である。
【
図19】(a),(b)は、それぞれ拡張カバー体Lsを正面側及び背面側から見た斜視図である。
【
図20】(a),(b)は、それぞれ拡張カバー体Lsの背面図及び中央横断面図である。
【
図21】連結状態の第1基台V
1 と拡張基台Vsと、拡張カバー体Lsとの組付け状態の中央横断面図である。
【
図22】既設のブレーカーD
1 に対して別のブレーカーDsを増設することを示す全体斜視図である。
【
図23】(a)は、既設のブレーカーD
1 を固定している第1基台V
1 から第1カバー体L
1 を取り外した状態の斜視図であり、(b)は、既設及び増設の各ブレーカーD
1 ,Dsが固定されている第1基台V
1 及び拡張基台Vsに拡張カバー体Lsを組み付ける前の状態を示す斜視図である。
【
図24】既設及び増設の各ブレーカーD
1 ,Dsが固定されている第1基台V
1 及び拡張基台Vsに拡張カバー体Lsが組み付けられた状態の一部を破断した斜視図である。
【
図25】第1基台V
1 に対して第1カバー体L
1 をスライド移動させて、移動先の被係合部16と係合部35の係合が解除された状態の縦断面図である。
【
図26】移動先の被係合部16と係合部35の係合の解除後に、移動元の被係合部16及び係合部35の部分を支点にして、第1基台V
1 に対して第1カバー体L
1 を回動させた状態の縦断面図である。
【
図27】(a),(b)は、それぞれ別のブレーカーボックスB’に第1カバー体L
1'の取り外しの前後の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、複数の最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
【0023】
最初に、建物壁に固定されて、安全ブレーカー、漏電ブレーカー、充電用ブレーカー、コンセント、スイッチ等の種々の電気機器を内部に収容するブレーカーボックス(電気機器設置体)Bについて説明し、その後に、既設の電気機器の側方に、別の電気機器を増設する場合について説明し、当該増設に係る電気工事の途中において不可避的に発生する前記ブレーカーボックスBを構成する第1基台V1 と第1カバー体L1 との分離の部分において、本発明の作用について説明する。以下の実施例では、電気機器の一例として、上記した種々のブレーカーを挙げ、その総称として「ブレーカーD1(Ds) 」の用語を使用する。
【0024】
ブレーカーボックスBは、
図1~
図3に示されるように、1個のみのブレーカーD
1 を収容可能な1個用であって、建物壁Wに固定される第1基台V
1 と、当該第1基台V
1 に一体に組み付けられて、内部の収容空間K
1 に1個のみのブレーカーD
1 が収容される第1カバー体L
1 とから成る。第1基台V
1 は、
図4~
図6に示されるように、樹脂の射出成形により形成されて、正面視で概略長方形状をなし、しかも所定の高さを有している。第1基台V
1 の基台本体1は、短手方向に所定間隔をおいて配置された一対の側板部2と、背面視でクランク軸状に屈曲されて、長手方向の両端部に短手方向に沿って配置される一対の屈曲板部3とが枠状となって一体形成されて、当該一対の側板部2と当該一対の屈曲板部3の表面側が表板部4で一体に覆われることで、背面側の全面が開口された浅い箱状を成している。前記一対の側板部2は、長手方向に沿って所定間隔をおいた計4枚の横リブ板部5で連結されていると共に、前記一対の屈曲板部3は、短手方向の中央部に配置された1枚の縦リブ板部6で連結されている。当該1枚の縦リブ板部6は、前記した計4枚の横リブ板部5と交差している。このように、第1基台V
1 の基台本体1は、一対の側板部2、一対の屈曲板部3、及び表板部4で形成されて、背面側が開口された浅い箱状の部材が、背面側において複数枚の横リブ板部5及び1枚の縦リブ板部6で互いに連結されたリブ補強構造により、全体積に対する使用樹脂量(樹脂で成形される部分の占める体積)の割合を小さくすることで、軽量化を図ったうえで、全体としての必要強度が確保される構造になっている。
【0025】
第1基台V1 の表板部4と各側板部2とが交差する長手方向に沿った角部における当該長手方向に沿った中央部は、所定長だけ欠落されて横断面が方形状の角溝部7が設けられ、当該角溝部7及び基台本体1の全体との双方の長手方向の中央部には、当該第1基台V1 に対して後述の拡張基台Vs を増設させて連結する際に、後述の拡張基台Vsの位置決め嵌合孔41に挿入して嵌合される位置決め板部8が、第1基台V1 の表面側から背面側に後退して露出した側板部2の端面2aに対して起立していて、当該位置決め板部8の上端面8aは、前記表板部4の表面と同一面となっている。当該位置決め板部8の内外の両側面は、拡張基台Vsの位置決め嵌合孔41に対する嵌合が容易なように、基端から先端に向けて肉厚が小さくなるようなテーパー面に形成されている。前記角溝部7を形成することで内部が露出される計4つの開口部のうち、表板部4に接続する開口部は、前記側板部2と平行な第1覆い板部11で覆われていると共に、当該角溝部7の長手方向の両端の相対向する各開口部は、それぞれ第2覆い板部12で覆われている。
【0026】
第1基台V
1 の長手方向の両端部は、背面視でクランク軸状をした前記屈曲板部3が配置されることで、短手方向の中央部に、ブレーカーD
1 から引き出されたケーブル81を配設するケーブル配設用凹部13が形成されることで、基台本体1における当該ケーブル配設用凹部13の両側には、相対的に一対の突出部14が形成され、長方形状の基台本体1としては、計4つの各コーナー部に、それぞれ突出部14が長手方向に突出して形成されている。各突出部14の突出方向の端面14aの上端部(表板部4の側の端部)には、当該端面14aと所定間隔をおいて当該突出部14と同幅を維持して弾性片15が背面側に向けて当該端面14aと平行にそれぞれ形成されて、当該弾性片15の自由端部には、第1カバー体L
1 の後述の係合部35に係合される被係合部16が外側に向けて形成されている。前記弾性片15における前記突出部14の表板部4の側の連結部は、わん曲して形成されて、当該弾性片15のわん曲部15aの上面は、基台本体1の表面と同一面となっていて〔
図6(b)参照〕、基台本体1における弾性片15との連結部は、前記わん曲部15aと前記突出部14との協働により、V字状凹部17を形成することで、前記弾性片15のわん曲部15aの形成を可能にしている。この結果、第1基台V
1 の長方形状の基台本体1の長手方向の両端部であって、しかも短手方向の両端部には、当該長手方向に沿って延びる一対一組となった二組の弾性片15が相対向して設けられ、計4個の各弾性片15の自由端部の外側には、被係合部16がそれぞれ形成されている。
【0027】
基台本体1の表面側の中央部には、表板部4を開口させることで、背面側の空間部と連通する方形状の開口部4aが形成され、基台本体1の表板部4には、当該開口部4aの全体を覆うようにして、方形状の薄金属板Mが配置され、当該薄金属板Mは、基台本体1の表板部4の前記開口部4aの長手方向に沿った両側に設けられた一対の嵌合溝板部18及び一対の弾性係合爪21によって、基台本体1の長手方向及び短手方向を含む全方向に移動せず、しかも浮上しないようにして支持される。嵌合溝板部18は、表板部4の表面との間に所定間隔をおいて連結板部18aを介して表板部4と平行に配置される溝形成板部18bと、当該表板部4との間に嵌合溝部18cが形成され、当該嵌合溝部18cの外側の端部が、ストッパ板部18dで閉塞された構造である。溝形成板部18bの内面は、薄金属板Mの挿入を容易にすべく、前記嵌合溝部18cの溝幅が開口側から奥底側に向けて狭くなるような傾斜面に形成されている。断面U字状にわん曲された弾性係合爪21は、
図6(a)に示されるように、その基端部が表板部4の背面側に一体に連結されて、その大部分が当該表板部4の背面側の空間部に配置され、表板部4に形成された方形状の開口部22を通して、先端部の係合爪部21aのみが、当該表板部4の表面に対して所定長だけ突出された構成である。そして、
図7に示されるように、長方形状の薄金属板Mの一方の短辺部を、外側に僅かに弾性変形された前記一対の弾性係合爪21の係合爪部21aに係合させた状態で、当該薄金属板Mの他方の短辺部を一対の嵌合溝板部18の嵌合溝部18cに挿入嵌合させた状態で開放させると、外側に弾性変形されていた前記一対の弾性係合爪21の弾性変形量が少なくなる(原形状に復元する直前の弾性変形状態)ことで、表板部4の中央部に配置された前記薄金属板Mは、当該一対の弾性係合爪21と前記一対の嵌合溝板部18とで、全方向に移動不能であって、しかも浮上が防止された状態で固定支持される。
【0028】
第1基台V1 の基台本体1に固定支持された前記薄金属板Mは、その上面に固定配置される発熱されたブレーカーD1 の放熱を助けたり、火災時における延焼防止の作用を果す。リブ補強構造を主体としている基台本体1における表板部4の背面側は、縦横の各リブ板部6,5を除いて肉部が殆ど存在しない背面全開口構造になっており、この構造も、発熱されたブレーカーD1 の放熱に大きく寄与している。なお、計4個の横リブ板部5のうち隣接する中央の2本の横リブ板部5と、1本の縦リブ板部6における表板部4の開口部4aに対応する部分は、当該開口部4aから背面側に向けて後退して、当該部分のみ高さが低くなることで、縦横の各リブ板部6,5における表板部4の側の所定長の部分が欠落されて、部分的な一体空間が形成されており、この一体空間形成構造も、発熱されたブレーカーD1 の放熱に寄与している。
【0029】
また、
図3~
図5及び
図9に示されるように、基台本体1における複数の横リブ板部5のうち最も外側の2枚の横リブ板部5と縦リブ板部6とが交差する部分には、当該基台本体1を建物壁Wに固定する第1ビスJ
1 を貫通させる上下一対のビス貫通孔23か形成され、基台本体1における前記一対のビス貫通孔23の内側には、当該基台本体1に対してブレーカーD
1 を固定するための第2ビスJ
2 をねじ込ませるビス下孔24が貫通して形成されている。
図4(b)及び
図10に示されるように、前記一対のビス貫通孔23を形成している各段差状筒部25は、縦横の各リブ板部6,5の交差部に一体に形成されていると共に、前記一対のビス下孔24を形成する各楕円筒部26は、前記一対の段差状筒部25の内側において縦リブ板部6と交差して一体に形成されており、この構造も、基台本体1の強度の増大に寄与している。なお、前記薄金属板Mにおける第1基台V
1 に形成された一対のビス下孔24に対応する部分には、前記第2ビスJ
2 を挿通させる一対のビス挿通孔27が形成されている。
【0030】
次に、
図8~
図13を参照して、前記第1基台V
1 に対して一体に組み付けられる第1カバー体L
1 について説明する。第1カバー体L
1 は、前記第1基台V
1 の平面形状である長方形状に対応して、平板状の一対の縦側板部31aと、同じく平板状の一対の横側板部31bとが一体化された短角筒状のカバー体本体31の一方の開口側が、平板の長手方向の両端部が同一方向に緩やかにわん曲された天板部32で閉塞されて一体化された形状であって、当該天板部32と対向する部分は、長方形状の開口33となっている。カバー体本体31を構成する一対の縦側板部31aの開口の側の前記第1基台V
1 が配置される所定高さの部分〔第1基台V
1 の高さ(厚さ)に対応する部分〕は、互いに平行な平行部31a
1になっているが、残りの部分は、前記平行部31a
1よりも肉厚が大きくて、僅かに内側に傾斜した傾斜部31a
2となっていて、前記平行部31a
1と傾斜部31a
2の接続部の内面側には、各部31a
1,31a
2の肉厚差による嵌合段差部34〔
図9(b)及び
図11参照〕が形成されている。一対の横側板部31bに関しても、前記一対の縦側板部31aと同様に、平行部31b
1と傾斜部31b
2で構成され、一対の縦側板部31a及び一対の横側板部31bの各平行部31a
1, 31b
1は、各コーナー部で接続されていると共に、各傾斜部31a
2,31b
2も、同様に、各コーナー部で接続されている。
【0031】
第1カバー体L
1 における相対向して配置されている一対の横側板部31bの各平行部31b
1の内面の短手方向(幅方向)の両端部には、前記第1基台V
1 の一対一組となった二組(計4個)の弾性片15の自由端の被係合部16に係合される計4個の係合部35がそれぞれ内方に突出して形成されている。また、
図8~
図10に示されるように、第1カバー体L
1 の一対の横側板部31bの各平行部31b
1の内面における短手方向の中央部には、ブレーカーD
1 から引き出されるケーブル81を建物壁Wに沿って配設させるために、当該ケーブル81を引き出すためのケーブル引出し孔36(
図14参照)をノックアウト(打ち抜き)により形成するための肉厚の相違によりサイズの異なる2種類の方形状の薄肉のノックアウト部37a,37bが形成されている。
【0032】
また、第1カバー体L
1 の天板部32の長手方向の中央部には、第1基台V
1 と第1カバー体L
1 の収容空間K
1 に収容されたブレーカーD
1 の操作レバー82を外部に露出させるための正方形状のレバー用窓部38が形成され、当該レバー用窓部38は、
図9及び
図13に示されるように、前記天板部32の肉厚のうち外側の半分の部分に形成され、内側の半分の部分には、前記レバー用窓部38よりも僅かにサイズの大きな外形が正方形状の凹部39が形成されている。ブレーカーボックスBに収容可能なブレーカーには、
図13(a)に示されるような相対的に高さの低いブレーカーD
1 と、当該ブレーカーD
1 よりも僅かに高さの高いブレーカーD
1'とがあり、高さの僅かに低いブレーカーD
1 の操作レバー82の基端の部分は、
図13(a)に示されるように、第1カバー体L
1 の天板部32に接触することなく、当該天板部32に近接する部分まで配置されるが、高さの僅かに高いブレーカーD
1'の操作レバー82の基端の部分は、第1カバー体L
1 の天板部32との干渉を回避して、方形状の前記凹部39に収容された状態で配置される。これにより、高さの僅かに低いブレーカーD
1 を収容した場合において、天板部32の内面(裏面)とブレーカーD
1 の上面の平坦部86との間に形成される隙間88を小さくできる利点がある。即ち、高さの僅かに高いブレーカーD
1'を基準にして、第1カバー体L
1 の高さを定めて、その天板部32の全肉厚の部分に方形状のレバー用窓部38を形成した場合には、高さの僅かに低いブレーカーD
1 を当該第1カバー体L
1 に収容すると、天板部32の内面とブレーカーD
1 の上面との間に形成される前記隙間88が大きくなり過ぎて、見栄えが悪くなり、この不具合を解消するために、上記構造が採用されている。また、後述のように、第1基台V
1 に対して第1カバー体L
1 を取り外す場合には、当該第1カバー体L
1 を、その長手方向であるスライド方向Pに沿ってスライド移動させる必要があり、方形状の前記レバー用窓部38における第1カバー体L
1 のスライド方向Pと直交する方向の各内端面38a,38bと、操作レバー82との各距離E
1 ,E
2 は、いずれも後述する第1カバー体L
1 の取外し時における当該カバー体L
1 のスライド長Sよりも遥かに大きいので、第1カバー体L
1 の取外し時において、前記操作レバー82と当該カバー体L
1 との干渉は生じない。
【0033】
そして、上記した第1基台V
1 と第1カバー体L
1 とから成るブレーカーボックスBを用いて、建物壁WにブレーカーD
1 を設置するには、以下のようにして行う。まず、
図7に示されるようにして、第1基台V
1 の基台本体1の表板部4に薄金属板Mを固定配置させ、この状態で、
図1及び
図2に示されるように、第1基台V
1 の基台本体1に固定配置された薄金属板Mの上にブレーカーD
1 を配置して、一対の第2ビスJ
2 を用いて当該ブレーカーD
1 を基台本体1に固定する。この状態で、一対の第1ビスJ
1 を用いて、建物壁Wの壁表面に第1基台V
1 を固定し、この状態で、基台本体1に固定されたブレーカーD
1 に対して、建物壁W内から引き出された各ケーブル81を接続させる。
【0034】
最後に、建物壁Wに固定されている第1基台V
1 に対して第1カバー体L
1 を押し付けると、当該第1カバー体L
1 の一対の横側板部31bの内面における開口33に近い部分に内方に突出して設けられた計4個の各係合部35が、第1基台V
1 の長方形状の基台本体1の各コーナー部に設けられた各弾性片15の先端の被係合部16に当接することで、当該各弾性片15は、基台本体1の各突出部14の端面14aの側に僅かに弾性変形された後の前記各被係合部16の通過により、原形状に復元して、第1基台V
1 の計4個の各被係合部16は、第1カバー体L
1 の計4個の各係合部35に係合されることで、第1基台V
1 に対して第1カバー体L
1 が一体に組み付けられ(
図11及び
図12参照)、
図1に示されるように、内部の収容空間K
1 に、第1基台V
1 に固定されたブレーカーD
1 が収容された状態となる。第1基台V
1 に対して第1カバー体L
1 が組み付けられた状態では、当該第1カバー体L
1 のカバー体本体31の前記開口33を形成していて、全体として方形状となっている連続する端面は、建物壁Wの壁表面の微少の隙間を有して近接状態で配置される。第1基台V
1 と第1カバー体L
1 とが一体に組み付けられた状態では、
図12に示されるように、第1カバー体L
1 の一対の縦側板部31aの開口33の側の各平行部31a
1は、第1基台V
1 の一対の側板部2の外側に配置されると共に、当該第1カバー体L
1 の内面の各嵌合段差部34に、第1基台V
1 の各側板部2及び位置決め板部8の上端部の外側のコーナー部が嵌着されるため、第1基台V
1 と第1カバー体L
1 とが一体化状態となって、その組付けが確実となる。
【0035】
また、ブレーカーD
1 から引き出されたケーブル81を建物壁Wの壁表面に沿って配設するには、
図14に示されるように、第1カバー体L
1 のノックアウト部37aをノックアウトしてケーブル引出し孔36を形成しておき、この状態で壁表面に固定されている第1基台V
1 に対してケーブル引出し孔36が形成された第1カバー体L
1 を一体に組み付けて、当該ケーブル引出し孔36からケーブル81を引き出す。壁表面に引き出されたケーブル81は、基台83とカバー体84から成るケーブル保護カバー85に収容される。
【0036】
次に、建物壁Wの壁表面に固定されたブレーカーボックスBの収容空間K1 に収容された既設のブレーカーD1 の側方に別のブレーカーDsを増設する場合について説明する。ブレーカーDsの増設には、壁表面における前記第1基台V1 の側方に並列配置されて、当該第1基台V1 と同様に一個のブレーカーDsを固定可能な拡張基台Vsと、互いに並列配置されていて、既設のブレーカーD1 及び増設のブレーカーDsがそれぞれ固定されている第1基台V1 及び拡張基台Vsの2個の基台に対して一体に組み付けられる2個用の拡張カバー体Lsとを必要とする。
【0037】
前記拡張基台Vsの基本構成は、
図15~
図18に示されるように、前記第1基台V
1 を部分的に改変したものであるので、当該第1基台V
1 と同一部分には同一符号を付すると共に、僅かに相違する対応部分には、同一符号に「’」を付し、当該改変に係る部分のみについて説明する。即ち、拡張基台Vsは、第1基台V
1 の長手方向の中央部における短手方向の両端部に設けられた左右一対の位置決め板部8をいずれも欠落させて、その一方の部分のみに、当該第1基台V
1 の位置決め板部8を挿入嵌合させることで、当該第1基台V
1 と、その側方に並列配置される前記拡張基台Vsとを、建物壁Wに既に固定されている第1基台V
1 の一方の位置決め板部8を挿入嵌合させて、当該第1基台V
1 に対して位置決めして連結させるための位置決め嵌合孔41が、表板部4を側方に延設させた長方形状の表板延設部42に形成されている。位置決め嵌合孔41は、基台本体1の長手方向に沿って長辺が配置される細長比が大きな長方形状をなしている。表板延設部42は、基台本体1に対して片持支持構造となるため、強度確保のため表板部4よりも厚肉となっている。既設の第1基台V
1 の一方の位置決め板部8を、当該第1基台V
1 の一方の側方に並列配置される拡張基台Vsの位置決め嵌合孔41に嵌合させることで、既設の当該第1基台V
1 に対して拡張基台Vsの位置決めが行われるので、その位置決めの方向は、既設の第1基台V
1 の長手方向及び短手方向の両方向となる。
【0038】
即ち、拡張基台Vsには、第1基台V1 と同様に、表板部4と各側板部2とが交差する各角部における長手方向に沿って中央部が大きく欠落されて角溝部7,7’が形成されているが、前記表板延設部42が延設される側の角溝部7’における拡張基台Vsの高さ方向に沿った寸法は、他方の角溝部7と同一であるが、当該角溝部7’における当該拡張基台Vsの短手方向に沿った溝部の寸法は、他方の角溝部7よりも僅かに短く形成されて、当該角溝部7’における拡張基台Vsの長手方向の中央部に相当する部分に、長方形状の前記表板延設部42が側板部2を超えて側方に延設されている。拡張基台Vsにおける前記表板延設部42が設けられた側の側板部2の外側面は、傾斜面に形成されている。前記表板延設部42に形成された位置決め嵌合孔41は、その孔長を長く確保すべく、当該表板延設部42の裏面に長方形枠状の孔延設体部43が一体に形成されている。角溝部7’が形成された側の側板部2における表板延設部42の配置部に対応する部分は、前記孔延設体部43と近接するため欠落されている。
【0039】
また、前記拡張基台Vsは、ブレーカーDsの増設のために、建物壁Wに既に固定されている第1基台V
1 の側方に並列配置され、並列配置された2台の各基台V
1 ,Vsに対して2個用の前記拡張カバー体Lsが一体に組み付けられるので、新設に係る前記拡張基台Vsに設けられる被係合部16は、当該拡張カバー体Lsに設けられた計4個の係合部35に対応する部分のみに配置されていれば足りる。当該拡張カバー体Lsには、
図19及び
図20に示されるように、横側板部31b'の内面の開口33に臨む部分における縦側板部31aに近接する部分に計4個の係合部35が形成されている。よって、前記拡張基台Vsには、第1基台V
1 のように、計4個の係合部35を設ける必要はなく、位置決め嵌合孔41が形成されている側には、係合部35は不用であるので、当該位置決め嵌合孔41が形成された側と反対の側のみに、計2個の係合部35が形成されている。
【0040】
既設の第1基台V
1 に対する拡張基台Vsの連結は、当該第1基台V
1 のいずれの側に対しても可能であり、
図16及び
図17に示される連結例は、第1基台V
1 の左側に拡張基台Vsを連結させて、第1基台V
1 を左側方に拡張させる例であり、既設の第1基台V
1 の右側に拡張基台Vsを連結させる場合には、当該拡張基台Vsを上下反転させて、自身の左側に位置決め嵌合孔41を配置させればよい。
図16~
図18に示される例では、既設の第1基台V
1 の左側方に拡張基台Vsを隣接配置させて、当該第1基台V
1 を左側に拡張させる例であり、建物壁Wに固定されている既設の第1基台V
1 に対して拡張基台Vsを近接させて、当該拡張基台Vsの位置決め嵌合孔41に対して第1基台V
1 の位置決め板部8を嵌合させると、両基台V
1 ,Vsが一体に連結されて、既設の第1基台V
1 に対して当該拡張基台Vsは、当該第1基台V
1 の長手方向及び短手方向の両方向に沿って位置決めされる。なお、両基台V
1 ,Vsが一体に連結された状態では、両基台V
1 ,Vsにおける対向配置される各側板部2の間に、所定の隙間91が形成される(
図25参照)。この結果、第1基台V
1 における未嵌合の位置決め板部8の側の上下一対の被係合部16と、拡張基台Vsの上下一対の被係合部16とで構成される計4個の被係合部16の配置位置は、前記拡張カバー体Lsの内側面に形成された計4個の係合部35の配置位置と合致して、一体に連結された第1基台V
1 及び拡張基台Vsの2台の基台V
1 ,Vsに対して1個の拡張カバー体Lsが組み付け可能となる。
【0041】
拡張カバー体Lsは、
図19~
図21に示されるように、一体に連結された第1基台V
1 及び拡張基台Vsの2台の基台V
1 ,Vsに対して組み付け可能な形状であり、2個の前記第1カバー体L
1 を並列配置させて、1個のカバー体となるように一体化した形状であるので、当該第1カバー体L
1 と同一部分には、同一符号を付し、僅かに相違する対応部分には、同一符号に「’」を付して、図示のみ行う。従って、対向配置される一対の横側板部31b'の内面における開口33に臨む部分における拡張カバー体Lsの全体としての短手方向の両端部にそれぞれ係合部35が設けられ、拡張カバー体Lsとしては、計4個の係合部35が設けられている。また、天板部32’には、短手方向に沿って2個のレバー用窓部38が並列して配置されている。
【0042】
そして、ブレーカーボックスBに収容された既設のブレーカーD
1 の左隣に別のブレーカーDsを増設させるには、以下のようにして行う。即ち、
図22に示されるように、既設のブレーカーD
1 を収容しているブレーカーボックスBの第1基台V
1 から第1カバー体L
1 を取り外した状態で、当該既設のブレーカーD
1 が固定されている第1基台V
1 の位置決め板部8を、拡張基台Vsの位置決め嵌合孔41に対して相対的に挿入嵌合させることで、
図23(a)に示されるように、第1基台V
1 の左側方に拡張基台Vsを配置し、当該拡張基台Vsを複数の第1ビスJ
1 を介して建物壁Wに固定する。これにより、既設の第1基台V
1 に対して増設の拡張基台Vsが一体化されて、2個のブレーカーD
1 ,Dsを並列配置可能な1台の基台のように機能する。
【0043】
ここで、既設のブレーカーD
1 を収容しているブレーカーボックスBの第1基台V
1 から第1カバー体L
1 を取り外すには、以下のようにして行う。
図25で二点鎖線は、第1基台V
1 の一対一組となった二組の弾性片15の自由端部の外側に設けられた二組(計4個)の被係合部16と、第1カバー体L
1 の対向する一対の横側板部31bの内面における開口33に臨む部分に設けられた二組(計4個)の係合部35とが互いに係合されて、第1基台V
1 と第1カバー体L
1 とが一体に組み付けられている状態である。この状態において、建物壁Wに固定されている第1基台V
1 に対して第1カバー体L
1 を、当該第1カバー体L
1 の長手方向Pに僅かにスライド移動させると、当該スライド移動の移動元P
1 の側の2個の弾性片15は、当該弾性片15の先端に形成された第1基台V
1 の被係合部16と第1カバー体L
1 の係合部35との係合を維持した状態で、突出部14の端面14aの側に弾性変形されて、当該第1カバー体L
1 は、スライド移動量Sだけ移動させられると共に、前記スライド移動の移動先P
2 の側においては、第1基台V
1 の被係合部16と第1カバー体L
1 の係合部35とがスライド方向Pに沿って互いに離間させて、互いに係合が解除された状態となる。また、第1カバー体L
1 の各嵌合段差部34に対して第1基台V
1 の上面側の短手方向の各隅部が嵌合状態となってるいるので、第1基台V
1 に対する第1カバー体L
1 の上記スライド移動をスムーズに行える。
【0044】
上記において、
図26に示されるように、前記スライド移動の移動元P
1 の側において、互いに係合している第1基台V
1 の被係合部16と第1カバー体L
1 の係合部35との係合部を支点として、第1基台V
1 に対して第1カバー体L
1 を建物壁Wから離れる側に回動させると、建物壁Wに固定されている第1基台V
1 に対して第1カバー体L
1 が分離される。
【0045】
次に、
図23(b)に示されるように、増設に係る拡張基台Vsに対して増設に係るブレーカーDsを複数本の第2ビスJ
2 を介して固定して、当該ブレーカーDsに対してケーブル81の配線を行う。最後に、一体化されることで、1台の基台のように機能する第1基台V
1 及び拡張基台Vsに対して拡張カバー体Lsを組み付けると、
図24~
図26に示されるように、その収容空間Ksに既設及び増設に係る2個のブレーカーD
1 ,Dsが収容されて、既設及び増設の各ブレーカーD
1 ,Dsの各操作レバー82の部分が、拡張カバー体Lsの各レバー用窓部38に臨んでそれぞれ配置されて、各操作レバー82は、別々のレバー用窓部38から突出して配置される。
【0046】
既設のブレーカーD1 を収容しているブレーカーボックスBを構成する第1基台V1 及び第1カバー体L1 は、増設に係るブレーカーDsの施工時よりも以前に施工されたものであるため、第1基台V1 及び第1カバー体L1 の双方が経時変色されているが、当該第1カバー体L1 は、第1基台V1 から取り外されていて、既設及び増設に係る各ブレーカーD1 ,Ds並びに第1基台V1 及び拡張基台Vsは、いずれも施工時期に相違があるが、共通の1個の拡張カバー体Lsで覆われるために、前記施工時期の相違を認識させずに、恰も、同時期に施工されたように認識されて、違和感を与えない。また、既設のブレーカーD1 は、配線し直すことなく、既設の配線をそのまま残して(利用して)、増設に係るブレーカーDsの配線のみを行えばよいので、ブレーカーの増設時における配線作業量を最少にできて、ブレーカーの増設に係る各種作業を効率的に行える。
【0047】
また、
図27には、前記ブレーカーボックスBを改変した別のブレーカーボックスB’が示されている。即ち、ブレーカーボックスB’は、前記ブレーカーボックスBに対して「弾性片」の配置を逆にしたものであって、第1カバー体L
1'の側に設けられた弾性片15’の自由端部に被係合部16’が設けられていると共に、第1基台V
1'の側に係合部35’が形成されている。本別例においても、第1カバー体L
1'をスライド移動させて、スライド移動の移動元の側の弾性片15’を弾性変形させることで、第1基台V
1'と第1カバー体L
1'との係合を解除して、当該第1カバー体L
1'を取り外せられる。
【符号の説明】
【0048】
B:ブレーカーボックス
D1 :ブレーカー(既設)
Ds :ブレーカー(増設)
L1 :第1カバー体
Ls:拡張カバー体
P:蓋体のスライド移動方向
P1 :蓋体のスライド移動の移動元
P2 :蓋体のスライド移動の移動先
V1 :第1基台
15:弾性片
16:被係合部
31:カバー体本体
31a:縦側板部
34:嵌合段差部
35:係合部
38:カバー体のレバー用窓部
82:ブレーカーの操作レバー(突出配置部)
86:ブレーカーの平坦部
88:第1カバー体とブレーカーの上面平坦部との隙間