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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】食材管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20241118BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20241118BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20241118BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
G06K7/10 240
B65G1/00 521A
B65G1/137 A
F25D23/00 301G
G06K7/10 132
G06K7/10 264
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021204977
(22)【出願日】2021-12-17
(65)【公開番号】P2023090163
(43)【公開日】2023-06-29
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】原 和規
(72)【発明者】
【氏名】栗山 哲
(72)【発明者】
【氏名】林 正二
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 功一
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-135502(JP,A)
【文献】特開2001-317862(JP,A)
【文献】特開2007-137553(JP,A)
【文献】特開2009-077354(JP,A)
【文献】特開2001-317859(JP,A)
【文献】特開2000-259786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
B65G 1/137
B65G 1/00
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を放射するアンテナと、
前記アンテナで受信した信号により食材に付されたRFIDタグを読み取るリーダと、
を備え、保管庫に保管される食材を管理する食材管理システムであって、
前記アンテナは、近傍界距離で前記RFIDタグと通信が可能な複数のアンテナを有し、かつ、各アンテナの放射する電波が近傍界距離で重複しないように配置され、
前記RFIDタグを読み取った前記アンテナの順序により、前記食材の前記保管庫に対する入庫か出庫かを判定するものであって、
前記リーダは、
前記RFIDタグを読み取った前記アンテナの順序を検出する順序検出部と、
複数のアンテナ順序に対して、前記食材の入庫および出庫の処理を含む複数の命令が、予め定義された命令テーブルを格納する命令テーブル記憶部と、
前記命令テーブル記憶部を参照して、前記順序検出部で検出されたアンテナ順序に対応する命令を判定する命令判定部と、
を有する食材管理システム。
【請求項2】
請求項に記載の食材管理システムにおいて、
前記リーダは、前記RFIDタグが最後に読み取られてから第1所定時間が経過しても前記RFIDタグが再び読み取られない場合、前記RFIDタグのユーザーによる一連の入力シーケンスが終了したと判定するシーケンス終了判定部、をさらに有する食材管理システム。
【請求項3】
請求項に記載の食材管理システムにおいて、
前記一連の入力シーケンスには、同じアンテナ順序となる複数の入力シーケンス、または、逆のアンテナ順序となる複数の入力シーケンス、が含まれる食材管理システム。
【請求項4】
請求項に記載の食材管理システムにおいて、
前記シーケンス終了判定部は、前記RFIDタグが最後に読み取られてから第2所定時間が経過する前に前記RFIDタグが再び読み取られた場合、誤入力と判定する食材管理システム。
【請求項5】
請求項に記載の食材管理システムにおいて、
前記リーダは、前記RFIDタグの読み取り時間間隔を検出する時間間隔検出部、をさらに有し、
前記命令テーブルでは、各アンテナ順序に対して、時間間隔のバリエーションごとに、命令が予め定義されており、
前記命令判定部は、前記順序検出部で検出されたアンテナ順序と、前記時間間隔検出部で検出された時間間隔と、に対応する命令を判定する食材管理システム。
【請求項6】
請求項に記載の食材管理システムにおいて、
前記命令テーブルでは、各アンテナ順序に対して、ユーザーごとに、命令が予め定義されている食材管理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の食材管理システムにおいて、
前記複数のアンテナは、互いのアンテナから放射される電波が遠ざかる向きに傾斜させて配置される食材管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食材の過剰な在庫による食品ロスの低減に向けて、食材にRFID(Radio Frequency Identifier)タグを添付し、そのタグIDを元に在庫管理をする食材管理システムが提案されている。例えば、家庭用冷蔵庫において、入庫用のRWアンテナ(リーダライタアンテナ)と出庫用のRWアンテナを用意して、タグがどちらのアンテナで読み取れたのかによって、入庫と出庫を判別して処理を行う方法が知られている。
【0003】
また、タグを物流の貨物に付け、2個以上のRWアンテナで通過するタグを読んで、貨物が出る方向でゲートを通過したのか、入る方向でゲートを通過したのか、判別を行うシステムもある。例えば、特許文献1には、RWアンテナ2個で2点の既知の座標とし、RFIDタグ1枚で1点の未知の座標とし、合計で3点の座標とし、2つのRWアンテナそれぞれの電波強度の計測値と三角形の計算式を用いて、未知であるタグの座標を算出して、さらには移動方向も判別することも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-169722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
家庭用の冷蔵庫では、デザイン性の観点でアンテナの設置スペースが制限され、入庫用と出庫用2つのアンテナを近づけて設置することが重要である。しかし、入庫用のRWアンテナと出庫用のRWアンテナが近接していると、タグをかざした時に誤って隣のRWアンテナでタグが読まれる操作ミスが発生しやすい。ユーザーは、食材のタグが貼っている側を裏返してかざすので、ユーザーからはタグが見えず、特に、大きな食材に小さなタグが貼られていた場合、タグをかざす位置がずれてしまう可能性が高くなる。
【0006】
また、前述の特許文献1に記載の技術では、2つのRWアンテナから1m以上離れるような遠い距離で、2つのRWアンテナの電波が重複するエリア内を、タグが移動することを前提としている。ここで、RWアンテナの電波の重複とは、複数のRWアンテナが同時に電波を放射する場合も、複数のRWアンテナが交互に電波を放射する場合も、両方の場合を含むものとする。仮に、特許文献1の技術を家庭用の冷蔵庫に適用し、RWアンテナから離れた距離でタグを移動させて、移動方向で入庫か出庫を判別しようとした場合、タグを移動させる際にユーザーの人体で電波が反射し、タグの受信電波に干渉する可能性がある。更には、冷蔵庫周辺の壁やテーブル、金属製ラック、ガラス、電磁波カットフィルムなど周辺環境から反射した電波も干渉する可能性がある。そうすると、タグの受信電波とRWが受信するタグ反射電波の強さは、突発的に大幅に増えたり減ったりする。場合によっては、タグの移動で本来は電波強度が増えるはずであるにも関わらず、周辺からの電波の反射で逆位相の電波が加わり、合成後の受信電波強度が減少する場合が発生する。このような場合、移動方向を誤って判定される可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、家庭用の冷蔵庫などの保管庫に対して、RFIDタグの付された食材が入庫されたか出庫されたかを、精度良く判定できる食材管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を達成するために、本発明は、電波を放射するアンテナと、前記アンテナで受信した信号により食材に付されたRFIDタグを読み取るリーダと、を備え、保管庫に保管される食材を管理する食材管理システムであって、前記アンテナは、近傍界距離で前記RFIDタグと通信が可能な複数のアンテナを有し、かつ、各アンテナの放射する電波が近傍界距離で重複しないように配置され、前記RFIDタグを読み取った前記アンテナの順序により、前記食材の前記保管庫に対する入庫か出庫かを判定する
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、家庭用の冷蔵庫などの保管庫に対して、RFIDタグの付された食材が入庫されたか出庫されたかを、精度良く判定できる食材管理システムを提供することが可能である。前述した以外の課題、構成および効果は、以下の発明を実施するための形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】食材管理システムが適用される冷蔵庫の構造を示す鳥観図
図2】RWアンテナのビームパターンを示す水平断面図
図3】RFIDタグを複数回スライドタッチしたときにRWアンテナが受信する、RFIDタグで反射された電波の強度を示すグラフ
図4】RWアンテナとRFIDタグの距離が変化する時の通信波形を示すグラフ
図5】食材管理システムの動作を示すフローチャート
図6】実施例1に係る食材管理システムの機能ブロック図
図7A】第一RWアンテナと第二RWアンテナとRFIDタグの動線を示す正面図
図7B図7Aの動線のようにRFIDタグがスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフ
図8A】第一RWアンテナと第二RWアンテナとRFIDタグの動線を示す正面図
図8B図8Aの動線のようにRFIDタグがスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフ
図9A】第一RWアンテナと第二RWアンテナとRFIDタグの動線を示す正面図
図9B図9Aの動線のようにRFIDタグがスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフ
図10A】第一RWアンテナと第二RWアンテナとRFIDタグの動線を示す正面図
図10B図10Aの動線のようにRFIDタグがスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフ
図11A】第一RWアンテナと第二RWアンテナとRFIDタグの動線を示す正面図
図11B図11Aの動線のようにRFIDタグがスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフ
図12A】第一RWアンテナと第二RWアンテナとRFIDタグの動線を示す上面図
図12B図12Aの動線のようにRFIDタグがスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフ
図13A】第一RWアンテナと第二RWアンテナとRFIDタグの2つの動線を示す正面図
図13B図13Aの2つの動線のようにRFIDタグがスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフと、各アンテナのタグ読み取りタイミングを示すグラフ
図14A】第一RWアンテナと第二RWアンテナとRFIDタグの2つの動線を示す正面図
図14B図14Aの2つの動線のようにRFIDタグがスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフと、各アンテナのタグ読み取りタイミングを示すグラフ
図15A】実施例2に関し、第一RWアンテナと第二RWアンテナと第三RWアンテナとRFIDタグの2つの動線を示す正面図
図15B図15Aの2つの動線のようにRFIDタグがスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフと、各アンテナのタグ読み取りタイミングを示すグラフ
図16A】実施例2に関し、第一RWアンテナと第二RWアンテナと第三RWアンテナとRFIDタグの2つの動線を示す正面図
図16B図16Aの2つの動線のようにRFIDタグがスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフと、各アンテナのタグ読み取りタイミングを示すグラフ
図17】実施例2に関し、第一RWアンテナと第二RWアンテナと第三RWアンテナと第四RWアンテナとRFIDタグの動線を示す正面図
図18】実施例2に関し、第一RWアンテナと第二RWアンテナと第三RWアンテナと第四RWアンテナとRFIDタグの2つの動線を示す正面図
図19】実施例3に関し、第一RWアンテナと第二RWアンテナのアンテナ面を示す、水平断面図
図20】実施例4に係る食材管理システムの機能ブロック図
図21A】実施例4に関し、第一RWアンテナとRFIDタグの3つの動線を示す正面図
図21B図21Aの3つの動線のようにRFIDタグがスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフと、第一RWアンテナのタグ読み取りタイミングを示すグラフ
図22A】実施例4に関し、第一RWアンテナとRFIDタグの3つの動線を示す正面図
図22B図22Aの3つの動線のようにRFIDタグがスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフと、第一RWアンテナのタグ読み取りタイミングを示すグラフ
図23】実施例5に係るアンテナ構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。実施例は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0012】
また、発明を実施するための形態では、冷蔵庫を例に説明するが、収納棚やストッカーなど他の保管庫であっても構わない。
【0013】
同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0014】
実施例において、プログラムを実行して行う処理について説明する場合がある。ここで、計算機は、プロセッサ(例えばCPU、GPU)によりプログラムを実行し、記憶資源(例えばメモリ)やインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら、プログラムで定められた処理を行う。そのため、プログラムを実行して行う処理の主体を、プロセッサとしてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路を含んでいてもよい。ここで、専用回路とは、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等である。
【0015】
プログラムは、プログラムソースから計算機にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバーまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバーの場合、プログラム配布サーバーはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバーのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、実施例において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0016】
本実施形態に係る食材管理システムについて、図1を用いて説明する。
【0017】
図1は、食材管理システムが適用される冷蔵庫の構造を示す鳥観図である。図1に示すように、冷蔵庫1本体は、貯蔵室扉9を備え、貯蔵室扉9には、電波を放射するとともに食材5に付されたRFIDタグ4から反射した電波を受信する、第一RWアンテナ2および第二RWアンテナ3が設けられている。第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3は、デザイン性と省スペースの観点から、互いの間隔を1~2cmと近接させて貯蔵室扉9に内蔵または表面に配置される。また、各RWアンテナは、操作性の観点から、平均的な身長のユーザーの腰の高さ、例えば、冷蔵室扉の下部に配置されるのが望ましい。さらに、各RWアンテナは、消費電力を低減する観点から、扉スイッチを用いて検出した貯蔵室扉9の開閉時、やユーザーが所定の操作をした時をトリガーとして、所定のタイミングのみに電波を放射するようにしてもよい。
【0018】
図2は、RWアンテナのビームパターンを示す水平断面図である。図2に示すように、貯蔵室扉9の外装表面近傍を通るRFIDタグ4の動線8では、第一RWアンテナ2の電波放射エリア6bが、第二RWアンテナ3の電波放射エリア6と、重複していない。
【0019】
また、各RWアンテナは、レドームと呼ばれる電磁波透過性の筐体で覆われており、本実施形態のように冷蔵庫に適用する場合、貯蔵室扉9の外装を形成する樹脂部分が、レドームの役割を果たしている。貯蔵室扉9の外装表面とRWアンテナ面とは、1cm~5cm離して配置される。
【0020】
ユーザーがRFIDタグ4をアンテナ設置面と最短距離になるよう近づけると、貯蔵室扉9の外装表面にタグを押し当てた格好になる。ユーザーが、RFIDタグ4を押し当てたまま外装表面を滑らせて直線状にスライド(スライドタッチ)させると、RFIDタグ4が、RWアンテナのビームパターン(有効放射角度)の外側から内側に入り、内側から外側に出る。このスライドタッチの動作には、貯蔵室扉9の外装表面から数mm離れた状態で滑らせる動作や、直線の軌道から数mmずれて曲線的に滑らせる動作も含まれる。
【0021】
ここで、各RWアンテナは、近傍界距離(アンテナ設置面から鉛直方向距離1~5cm)でRFIDタグ4と通信が可能である。すなわち、RFIDタグ4が近傍界距離にあるときに、各RWアンテナのインピーダンスとリーダライタ回路のインピーダンスの整合ロスが、通信できる許容値(例えば10dB)以内となっており、RFIDタグ4が反射してRWアンテナに返す電波の強さが、リーダライタ回路で受信できる感度に収まっている。また、各アンテナの放射する電波が近傍界距離で重複しないように、有効放射角度が設定されている。このため、貯蔵室扉9の外装表面に押し当てられた状態にあるRFIDタグ4の位置では、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3の電波放射エリアが重ならず、読取ミスの発生が防止できる。
【0022】
図3は、RFIDタグ4を複数回スライドタッチしたときにRWアンテナが受信する、RFIDタグ4で反射された電波の強度を示すグラフである。図3によれば、RFIDタグ4をRWアンテナの設置面に対して平行にスライドさせる度に、RWアンテナが受信する電波強度が繰り返し急峻に変化することが分かる。
【0023】
図4は、RWアンテナとRFIDタグ4の距離が変化する時の通信波形を示すグラフである。RFIDタグ4が受信する電波には、負荷変調信号と距離変化に反比例する電波包絡線が示される。通常、RFIDタグ4を手で移動させる時の電波強度変動のレートは、数Hz程度、つまり1秒間にRFIDタグ4を数回程度、反復運動を行える程度である。このレートは、一般の情報伝送には適さないが、リーダライタの動作モードの切り替えのトリガーに使う分には十分な速度である。なお、RWアンテナとRFIDタグ4の距離を反復的に変化させる操作には、RFIDタグ4をRWアンテナ外装表面に押し当てて複数回スライドタッチする操作も含める。
【0024】
図5は、食材管理システムの動作を示すフローチャートである。リーダライタは、冷蔵庫1本体の電源がON(ステップS100)した後、RFIDタグ4より反射電波が返ってくるのを待つ(ステップS101)状態となる。RFIDタグ4から電波が反射して返ってくると、受信データがバッファに格納される(ステップS102)。
【0025】
次に、リーダライタによるRFIDタグ4の読み取り時間間隔が、所定の条件か否か、すなわち、第1所定時間(例えば2秒)以下かつ第2所定時間(例えば100ミリ秒)以上か否か、が判定される(ステップS103)。ステップS103において、所定の条件を満たさない場合、エラーと判定されて、リーダライタはRFIDタグ4の反射電波を待つ状態(ステップS101)に戻る。一方、ステップS103において、所定の条件を満たす場合、正常と判定されて、次のステップS104に進む。実用上、RFIDタグ4の読み取りは有限時間内で行う必要があるため、ステップS104では、繰り返しRFIDタグ4を読んだ合計時間が、決められた制限時間(例えば10秒)以内か否かが判定される。ステップS104において、合計時間が制限時間を超える場合、エラーと判定されて、バッファに格納した受信データを全てクリアして、リーダライタはRFIDタグ4の反射電波を待つ状態(ステップS101)に戻る。一方、ステップS104において、合計時間が制限時間以内の場合、正常と判定されて、次のステップS105に進む。
【0026】
ステップS105では、バッファに格納した受信データから、RFIDタグ4を読んだアンテナの順序と、前にRFIDタグ4を読んだ時間と後にRFIDタグ4を読んだ時間との時間間隔と、各アンテナの繰り返しスライドタッチされた回数と、が検出される。
【0027】
ここで、RFIDタグ4の読み取り時間間隔は、ユーザーのスライドタッチの移動速度で変わり、例えば、タッチの度に移動速度を「速い」「遅い」「速い」と変化させると、時間間隔は「短い」「長い」「短い」と検出され、ユーザーのタグ操作によって、時間間隔の長短変化のパターンを生成できる。このように検出した読み取り時間間隔の時系列データに基づき、時間間隔を「長」と「短」の2値化、あるいは「長」「中」「短」に3値化することを、以下では時間間隔の量子化と呼ぶことがある。
【0028】
また、ステップS105で検出された、アンテナ順序、時間間隔およびタッチ回数は、処理を分岐させるトリガーとして使うことができる。例えば、タッチ回数が2回の場合は「タグIDのデータベースへの書き込み」を実行するトリガーとし、タッチ回数が3回の場合は「タグIDの情報をデータベースから消去」を実行するトリガーとすることができる。
【0029】
次に、RFIDタグ4のRWアンテナへのタッチ回数が2回以上か否かが判定される(ステップS106)。ステップS106において、タッチ回数が2回未満の場合、エラーと判定されて、リーダライタはRFIDタグ4の反射電波を待つ状態(ステップS101)に戻る。タッチ回数が1回の場合は、意図しない読み取りであると考えられるためである。一方、ステップS106において、タッチ回数が2回以上の場合、正常と判定されて、次のステップS107に進む。
【0030】
ステップS107では、パラメータやフラグが初期化される。その後、ステップS108において、後述する過去情報記憶部17に記憶された過去情報も利用して、受信データから特徴情報が抽出される。特徴情報の例としては、RSSI(Received Signal Strength Indicator)の最大値を含む近似値とその時刻、RSSIの最小値を含む近似値とその時刻、RSSIの極大値を含む近似値とその時刻、RSSIの極小値を含む近似値とその時刻、RSSIの平均値、RSSIの時間微分値、受信電波の周波数の変化(一定、増加、減少)、あるRWアンテナがRFIDタグ4を読んだ最大値を含む近似値の時刻から次に同じあるいは別のRWアンテナがRFIDタグ4を読んだ最大値を含む近似値の時刻までの時間差、タグ読み取り時間間隔の長・中・短の変化パターン、などである。ここで、近似値としているのは、回路の熱雑音による影響や周囲からの電波干渉、電波伝搬路の歪み特性の影響などで、信号がバラつきを持っているため、信号波形の成形処理やフィルタ処理を行うと、生データの最大値と信号処理後の最大値点がずれることがあるためである。
【0031】
次に、ステップS108で抽出された特徴情報や、ステップS105で検出したアンテナ順序、読み取り時間間隔、タッチ回数などが、統合されて特徴情報として命令テーブルと照合される(ステップS110)。命令テーブルは、特徴情報の項目と、モード分類と、タスク分類と、で構成される。ここで、モード分類とは、「サーバーのデータベースに書き込む」、「サーバーのデータベースから読み出す」、「サーバーのデータベースからデータを消去する」、「表示装置に表示する」といったモードレベルでの処理の粒度を定義する分類である。そして、タスク分類とは、「食品名をデータベースに書き込む」、「賞味期限を書き込む」、「カロリーを読み出す」といったタスクレベルでの処理の粒度を定義する分類である。
【0032】
ステップS110では、特徴情報等を入力情報として、命令テーブルを照合し、どのモード分類でどのタスク分類を処理実行すべきかを判定して、リーダライタの保持する内部パラメータで該当する分類フラグを1にする(ステップS111)。仮に、アンテナ順序を入力情報として照合する場合であって、ステップS105で検出したアンテナ順序が命令テーブルに定義されていないときは、スライドタッチの移動が所定のタグ動線から外れてRFIDタグ4の読みこぼしがあると推定できる。この場合、最後の読み取りアンテナ情報を順次除外していき、スライドタッチの繰り返しの切りの良いパターン、すなわち、命令テーブルに定義されているアンテナ順序と同じになったら、これを推定パターンとしてもよい。最後の読み取りアンテナ情報を順次除外する意図は、スライドタッチのスライド反復操作が終わった後に、RFIDタグ4を不用意に動かしてしまい、操作ミスでRFIDタグ4が読み取られることがあるためである。このような、誤入力推定を行うことで、操作性が向上する。
【0033】
また、読み取り時間間隔を入力情報として参照する場合、量子化された時間間隔の「長」「短」あるいは「長」「中」「短」の時系列データが、命令テーブルと照合され、どのモード分類でどのタスク分類を処理実行すべきかが判定される。
【0034】
まず、分類フラグAが1であるか否かが判定される(ステップS112)。ステップS112において、分類フラグAが1であると判定された場合、処理Aを実行(ステップS116)して、RFIDタグ4の反射電波を待つ状態(ステップS101)に戻る。一方、ステップS112において、分類フラグAが1でないと判定された場合、次に、分類フラグBが1であるか否かが判定される(ステップS113)。ステップS113において、分類フラグBが1であると判定された場合、処理Bを実行(ステップS117)して、RFIDタグ4の反射電波を待つ状態(ステップS101)に戻る。一方、ステップS113において、分類フラグBが1でないと判定された場合、次に、分類フラグCが1であるか否かが判定される(ステップS114)。ステップS114において、分類フラグCが1であると判定された場合、処理Cを実行(ステップS118)して、RFIDタグ4の反射電波を待つ状態(ステップS101)に戻る。一方、ステップS114において、分類フラグCが1でないと判定された場合、次に、分類フラグDが1であるか否かが判定される(ステップS115)。ステップS115において、分類フラグDが1であると判定された場合、処理Dを実行(ステップS119)して、RFIDタグ4の反射電波を待つ状態(ステップS101)に戻る。一方、ステップS115において、分類フラグDが1でないと判定された場合、処理を実行せずに、RFIDタグ4の反射電波を待つ状態(ステップS101)に戻る。
【実施例1】
【0035】
図6は、実施例1に係る食材管理システムの機能ブロック図である。図6に示すように、本実施例の食材管理システムは、第一RWアンテナ2と、第二RWアンテナ3と、RFIDリーダライタ12と、制御用コンピュータ24と、インターネット通信網151と、データベース用サーバー31と、で構成される。なお、RFIDリーダライタ12は、タグから情報を読み取る機能を有していればよく、タグに情報を書き込む機能は必須ではない。
【0036】
RFIDリーダライタ12は、高周波処理部11と、ベースバンド信号処理部20と、リーダライタ通信I/F部22と、を備える。高周波処理部11は、第一RWアンテナ2または第二RWアンテナ3が受信した、RFIDタグ4が返す反射電波の周波数をダウンコンバージョンして、ベースバンド信号処理部20に送るものである。
【0037】
ベースバンド信号処理部20は、RSSI検出部13と、IDコード検出部14と、シーケンス終了判定部15と、特徴抽出部16と、過去情報記憶部17と、順序検出部18と、命令判定部19と、第一の命令テーブル記憶部26aと、分岐処理部21と、を備える。RSSI検出部13は、受信電波のRSSIを検出するものである。IDコード検出部14は、受信電波からRFIDタグ4のIDコードを読み出すものである。
【0038】
シーケンス終了判定部15は、RFIDタグ4の読み取り時間間隔を検出する時間間隔検出部15aと、時間間隔検出部15aが検出した時間間隔を量子化する時間間隔量子化部15bと、を有する。また、シーケンス終了判定部15は、RFIDタグ4が最後に読み取られてから第1所定時間が経過してもRFIDタグ4が再び読み取られない場合、RFIDタグ4のユーザーによる一連の入力シーケンスが終了したと判定する。さらに、シーケンス終了判定部15は、RFIDタグ4が最後に読み取られてから第2所定時間が経過する前にRFIDタグ4が読み取られた場合、誤入力と判定し、RFIDリーダライタ12は、RFIDタグ4の反射電波を待つ状態に戻る。
【0039】
特徴抽出部16は、受信データから、RSSIの最大値を含む近似値とその時刻など、前述した特徴情報を抽出するものである。過去情報記憶部17は、過去の読み取りデータから作成したデータモデルや、通信環境や条件ごとの読み取りデータを統計的(平均、分散、最大、最小など)に抽出したプロファイル情報などを記憶するものである。特徴抽出部16は、過去情報記憶部17からこれらの過去情報を読み出して、受信データの最尤推定に用いることができる。
【0040】
順序検出部18は、特徴抽出部16および過去情報記憶部17からの情報により、RFIDタグ4を読み取ったアンテナの順序を検出するものである。
【0041】
第一の命令テーブル記憶部26aは、RFIDリーダライタ12が搭載するメモリ領域に書き込まれている情報である命令テーブルを、命令判定部19の要請に応じて送り出すものである。ここで、命令テーブルでは、複数のアンテナ順序に対して、食材の入庫および出庫の処理を含む複数の命令が、予め定義されている。また、RFIDリーダライタ12の第一の命令テーブル記憶部26aに格納される命令テーブルは、制御用コンピュータ24の第二の命令テーブル記憶部26bに格納される命令テーブルと、タスク分類が一致している。そして、第一の命令テーブル記憶部26aには、各タスク分類に対応するRFIDリーダライタ12の実行処理タスクと、各タスク分類で制御用コンピュータ24が処理すべきタスクを要請するためのコマンドが定義されている。一方、第二の命令テーブル記憶部26bには、各タスク分類に対応する制御用コンピュータ24の実行処理タスクと、各タスク分類に対応するRFIDリーダライタ12の処理要請コマンドを識別するための情報、例えばコマンドのIDコードやコマンドのパケット長などが定義されている。なお、命令テーブルには、単にアンテナ順序ごとだけでなく、量子化された読み取り時間間隔のバリエーションに応じてさらに細分化されたタスク分類が含まれていてもよい。
【0042】
命令判定部19は、順序検出部18で検出したアンテナ順序や、特徴抽出部16が抽出した特徴情報に基づいて、第一の命令テーブル記憶部26aにデータを要請してから送られてくる情報である命令テーブルを照合し、アンテナ順序等に対応する命令、すなわち、どのタスク分類およびモード分類に該当するのか判定する。
【0043】
分岐処理部21は、命令判定部19で判定されたモード分類に基づき、RFIDリーダライタ12に実装されている制御プロトコルに従って、RFIDリーダライタ12の内部パラメータを変更してモードを切り替え、各モードの範囲内で分類された処理タスクを実行する。
【0044】
リーダライタ通信I/F部22は、RFIDリーダライタ12を制御する制御用コンピュータ24からの指令となる信号や情報を受信するとともに、RFIDリーダライタ12が読み取ったRFIDタグ4の情報や、それらをベースバンド処理したデータを、制御用コンピュータ24へ送信する。
【0045】
制御用コンピュータ24は、RW通信I/F部23と、CPU25と、第二の命令テーブル記憶部26bと、ネット通信I/F部27と、表示装置28と、を備える。なお、制御用コンピュータ24は、携帯端末や冷蔵庫に搭載されているものであっても良い。
【0046】
RW通信I/F部23は、RFIDリーダライタ12から送られてくる、読み取ったRFIDタグ4の情報や、制御用コンピュータ24の出す指令に対する応答情報などを受信するとともに、RFIDリーダライタ12を制御するための指令となる信号や情報を送信する。
【0047】
CPU25は、RFIDリーダライタ12から送られてくる、タグ情報と、ベースバンド処理済みデータと、命令テーブルで定義されたモード分類情報およびタスク分類情報と、処理要請コマンドと、を受信する。ここで、CPU25とそれに付帯する記憶装置には、処理タスクを要請するRFIDリーダライタ12からのコマンドを理解するためのプロトコルが実装されている。CPU25は、コマンドを受け取ると、第二の命令テーブル記憶部26bにデータを要請してから後に送られてくる情報である命令テーブルと、要請コマンドと、を照合して、どのモード分類とタスク分類に該当するのか判別し、命令テーブルのうち、該当するタスク分類に定義された処理を実行する。
【0048】
例えば、データベース用サーバー31のデータベース処理部30に書き込みが必要な場合、CPU25は、書き込むデータをネット通信I/F部27に送る。すると、ネット通信I/F部27が、受け取ったデータを通信パケットのフォーマット、例えばTCP/IPフォーマット等にし、インターネット通信網151経由で、データベース用サーバー31のネット通信I/F部29にTCP/IPのパケットを送信する。データベース用サーバー31のネット通信I/F部29は、受信したパケットから書き込むデータを取り出して、データベース処理部30に送信し、データベース処理部30は、受信したデータをデータベースに書き込む。なお、CPU25は、同様にして、データベースから該当するデータを読み出したり、データベースから該当するデータを消去したりもできる。
【0049】
一例として、制御用コンピュータ24がRFIDリーダライタ12から受け取ったモード分類情報およびタスク分類情報が、それぞれ、出力先を表示装置に変更すること、読み取った食材の食品名とカロリーの情報を送ること、であった場合について説明する。この場合、食材の食品名とカロリーの情報のテキストデータと、これらテキストデータのサイズや位置、色を定義するレイアウト情報と、をCPU25が表示装置28に送信する。表示装置28は、受信したテキストデータとレイアウト情報を、2次元の画素情報に変換して、液晶パネルなどの表示デバイスに、食材の食品名とカロリーの情報を含む画像を出力する。
【0050】
また、1つの冷蔵庫を家族などの複数のユーザーが使用する場合は、誰がどんな食材を入庫または出庫したのかなどを関連付けて、個人単位の食材を管理できるようにしてもよい。そこで、本実施例における個人の特定方法について、複数の例を説明する。
【0051】
第1の方法は、食材に付されるRFIDタグ4(以下、食材タグと呼ぶことがある)とは別に、個人を特定するRFIDタグ(以下、個人特定タグと呼ぶことがある)を用いる方法である。この方法の場合、まず、個人の氏名と個人特定タグのIDとを紐づける関係情報を、RFIDリーダライタ12の第一の命令テーブル記憶部26aと、制御用コンピュータ24の第二の命令テーブル記憶部26bと、の両方に保存する。そして、ユーザーは、個人特定タグと食材タグの2枚を組み合わせて、RFIDリーダライタ12に読ませる。すると、RFIDリーダライタ12は、第一の命令テーブル記憶部26aから個人特定タグIDで定義された氏名を命令判定部19に呼び出して、受信データと照合して処理を選択して実行する。このとき、制御用コンピュータ24は、第二の命令テーブル記憶部26bから個人特定タグIDで定義された氏名をCPU25に呼び出して、照合して処理を選択して実行する。
【0052】
第2の方法は、特定のタグ操作(アンテナ順序、読み取り時間間隔、タッチ回数など)に対して、特定のユーザーを割り当てる方法である。この方法の場合、個人の氏名と特定のタグ操作とを紐付ける情報が、第一の命令テーブル記憶部26aおよび第二の命令テーブル記憶部26bに保存される。
【0053】
第3の方法は、ユーザー個人ごとに、タグ読み取りのRSSIデータをAI(人工知能)で予め学習させておき、RFIDタグ4を読ませたときのRSSIの特徴情報から個人を特定する方法である。
【0054】
以下では、本実施例の食材管理システムにおいて、RFIDタグ4を様々な軌跡でスライドタッチさせた場合、順序検出部18がどのようにアンテナ順序を検出するか、図7A図14Bを用いて説明する。
【0055】
図7Aは、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3とRFIDタグ4の動線32を示す正面図である。第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3は、冷蔵庫1本体の貯蔵扉に内蔵あるいは表面に配置され、RFIDタグ4は、大きな食材5の表面に付され、図7Aのように、RWアンテナ中心を水平に移動するタグの動線32が示される。ユーザーは、食材5のRFIDタグ4が付された側を第一RWアンテナ2の方に向けて、RFIDタグ4を貯蔵室扉9外装表面に押し当てたまま扉外装表面を滑らせて直線状にスライドさせる。すなわち、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の外側から内側に、内側から外側に向かって直線的に第一RWアンテナ2の中心を通るように移動して、さらに第二RWアンテナ3の外側から内側に、内側から外側に向かって直線的に第二RWアンテナ3の中心を通るように移動する操作スライドタッチが行われる。このとき、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3の近距離を通過するRFIDタグ4のアンテナのインピーダンスとリーダライタ回路のインピーダンスの整合ロスは、通信できる許容値の範囲内に収まっている。また、RFIDタグ4が電波を反射して第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3が受信する電波の強さは、RFIDリーダライタ12の回路の受信感度範囲内で、かつ、通信で許容される値の範囲内に収まっている。このため、RFIDリーダライタ12は、RFIDタグ4を読み取ることができ、RFIDタグ4をかざしたRWアンテナの順序を特定できる。
【0056】
図7Bは、図7Aの動線32のようにRFIDタグ4がスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフである。まず、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の左の外側から内側に向かって直進して行くと、第一RWアンテナ2の受信電波の強さを表すRSSIは徐々に増加していき、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の中心に来た所でピークとなる。次に、第一RWアンテナ2の中心から右の外側に進むに従って、第一RWアンテナ2のRSSIは低減していくが、第二RWアンテナ3のRSSIは徐々に増加していき、RFIDタグ4が第二RWアンテナ3の中心に来た所でRSSIはピークとなる。さらに、RFIDタグ4が第二RWアンテナ3の中心から右の外側に進むに従って、第二RWアンテナ3のRSSIは低減していく。このように、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3は共に、RFIDタグ4の移動によってRSSIの山状の波形が生じており、それぞれのピークになる時間が求められ、RFIDタグ4を読み取ったRWアンテナの順序も求められる。したがって、仮に、RFIDタグ4の軌跡がRWアンテナ中心からずれる場合であっても、RWアンテナが受信するRSSI強度の時間変動が生じ、RFIDタグ4をかざしたタイミングと読み取ったRWアンテナの順序を特定できる。その結果、冷蔵庫の周囲に存在するユーザーや物体による電波の反射などの影響を受けずに、アンテナ順序に対応した命令(例えば、入庫や出庫)を正しく判定することが可能となる。
【0057】
図8Aは、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3とRFIDタグ4の動線37を示す正面図である。第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3は、冷蔵庫1本体の貯蔵室扉9に内蔵あるいは表面に配置され、RFIDタグ4は、大きな食材5の表面に付され、図8Aのように、RWアンテナ下端を水平に移動するタグの動線37が示される。ユーザーは、食材5のRFIDタグ4が付された側を第一RWアンテナ2の方に向けて、RFIDタグ4を貯蔵室扉9外装表面に押し当てたまま扉外装表面を滑らせて直線状にスライドさせる。すなわち、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の外側から内側に、内側から外側に向かって直線的に第一RWアンテナ2の中心を通るように移動して、さらに第二RWアンテナ3の外側から内側に、内側から外側に向かって直線的に第二RWアンテナ3の中心を通るように移動する操作スライドタッチが行われる。このとき、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3の近距離を通過するRFIDタグ4のアンテナのインピーダンスとリーダライタ回路のインピーダンスの整合ロスは、通信できる許容値の範囲内に収まっている。また、RFIDタグ4が電波を反射して第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3が受信する電波の強さは、RFIDリーダライタ12の回路の受信感度範囲内で、かつ、通信で許容される値の範囲内に収まっている。このため、RFIDリーダライタ12は、RFIDタグ4を読み取ることができ、RFIDタグ4をかざしたRWアンテナの順序を特定できる。
【0058】
図8Bは、図8Aの動線37のようにRFIDタグ4がスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフである。まず、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の左の下端外側から内側に向かって直進して行くと、第一RWアンテナ2の受信電波の強さを表すRSSIは徐々に増加していき、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の中心下端に来た所でピークとなる。次に、第一RWアンテナ2の中心下端から右の外側下端に進むに従って、第一RWアンテナ2のRSSIは低減していくが、第二RWアンテナ3のRSSIは徐々に増加していき、RFIDタグ4が第二RWアンテナ3の中心下端に来た所でRSSIはピークとなる。さらに、RFIDタグ4が第二RWアンテナ3の中心下端から右の外側下端に進むに従って、第二RWアンテナ3のRSSIは低減していく。このように、第一RWアンテナ2のRSSIのピークと第二RWアンテナ3のRSSIのピークは共に図7Bのピークよりも小さいが、RFIDタグ4の移動によってRSSIの山状の波形は、生じている。したがって、第一RWアンテナ2のRSSIと第二RWアンテナ3のRSSIがそれぞれピークになる時間を求めることができ、RFIDタグ4を読み取ったRWアンテナの順序も求めることが可能となる。
【0059】
図9Aは、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3とRFIDタグ4の動線42を示す正面図である。第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3は、冷蔵庫1本体の貯蔵室扉9に内蔵あるいは表面に配置され、RFIDタグ4は、大きな食材5の表面に付され、図9Aのように、RWアンテナの下端から右隣アンテナ中央に斜め移動するタグの動線42が示される。ユーザーは、食材5のRFIDタグ4が付された側を第一RWアンテナ2の方に向けて、RFIDタグ4を貯蔵室扉9外装表面に押し当てたまま扉外装表面を滑らせて直線状にスライドさせる。すなわち、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の外側から内側に、内側から外側に向かって直線的に第一RWアンテナ2の中心を通るように移動して、さらに第二RWアンテナ3の外側から内側に、内側から外側に向かって直線的に第二RWアンテナ3の中心を通るように移動する操作スライドタッチが行われる。このとき、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3の近距離を通過するRFIDタグ4のアンテナのインピーダンスとリーダライタ回路のインピーダンスの整合ロスは、通信できる許容値の範囲内に収まっている。また、RFIDタグ4が電波を反射して第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3が受信する電波の強さは、RFIDリーダライタ12の回路の受信感度範囲内で、かつ、通信で許容される値の範囲内に収まっている。このため、RFIDリーダライタ12は、RFIDタグ4を読み取ることができ、RFIDタグ4をかざしたRWアンテナの順序を特定できる。
【0060】
図9Bは、図9Aの動線42のようにRFIDタグ4がスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフである。まず、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の下端から右斜め上に向かって直進して行くと、第一RWアンテナ2の受信電波の強さを表すRSSIは徐々に増加していき、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の中心に近づいた所でピークとなる。次に、第一RWアンテナ2の中心下端から右の外側に進むに従って、第一RWアンテナ2のRSSIは低減していくが、第二RWアンテナ3のRSSIは徐々に増加していき、RFIDタグ4が第二RWアンテナ3の中心に来た所でRSSIはピークとなる。さらに、RFIDタグ4が第二RWアンテナ3の中心から右の外側上端に進むに従って、第二RWアンテナ3のRSSIは低減していく。このように、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3は共に、RFIDタグ4の移動によってRSSIの山状の波形が生じている。したがって、第一RWアンテナ2のRSSIと第二RWアンテナ3のRSSIがそれぞれピークになる時間を求めることができ、RFIDタグ4を読み取ったRWアンテナの順序も求めることが可能となる。なお、第一RWアンテナ2のRSSIピークと第二RWアンテナ3のRSSIピークでは、後者の方が大きく有意差が見られるが、ピークの値の大小は問題とならない。
【0061】
図10Aは、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3とRFIDタグ4の動線47を示す正面図である。第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3は、冷蔵庫1本体の貯蔵室扉9に内蔵あるいは表面に配置され、RFIDタグ4は、大きな食材5の表面に付され、図10Aのように、RWアンテナの中央から右隣アンテナ上端に斜め移動するタグの動線47が示される。ユーザーは、食材5のRFIDタグ4が付された側を第一RWアンテナ2の方に向けて、RFIDタグ4を貯蔵室扉9外装表面に押し当てたまま扉外装表面を滑らせて直線状にスライドさせる。すなわち、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の外側から内側に、内側から外側に向かって直線的に第一RWアンテナ2の中心を通るように移動して、さらに第二RWアンテナ3の外側から内側に、内側から外側に向かって直線的に第二RWアンテナ3の中心を通るように移動する操作スライドタッチが行われる。このとき、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3の近距離を通過するRFIDタグ4のアンテナのインピーダンスとリーダライタ回路のインピーダンスの整合ロスは、通信できる許容値の範囲内に収まっている。また、RFIDタグ4が電波を反射して第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3が受信する電波の強さは、RFIDリーダライタ12の回路の受信感度範囲内で、かつ、通信で許容される値の範囲内に収まっている。このため、RFIDリーダライタ12は、RFIDタグ4を読み取ることができ、RFIDタグ4をかざしたRWアンテナの順序を特定できる。
【0062】
図10Bは、図10Aの動線47のようにRFIDタグ4がスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフである。まず、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の左の下端外側から右斜め上に向かって直進して行くと、第一RWアンテナ2の受信電波の強さを表すRSSIは徐々に増加していき、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の中心に来た所でピークとなる。次に、第一RWアンテナ2の中心から右の外側上端に進むに従って、第一RWアンテナ2のRSSIは低減していくが、第二RWアンテナ3のRSSIは徐々に増加していき、RFIDタグ4が第二RWアンテナ3の中心上端に来た所でRSSIはピークとなる。さらに、RFIDタグ4が第二RWアンテナ3の中心上端から右の外側に進むに従って、第二RWアンテナ3のRSSIは低減していく。このように、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3は共に、RFIDタグ4の移動によってRSSIの山状の波形が生じている。したがって、第一RWアンテナ2のRSSIと第二アンテナのRSSIがそれぞれピークになる時間を求めることができ、RFIDタグ4を読み取ったRWアンテナの順序も求めることが可能となる。なお、第一RWアンテナ2のRSSIピークと第二RWアンテナ3のRSSIピークでは、前者の方が大きく有意差が見られるが、ピークの値の大小は問題とならない。
【0063】
図11Aは、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3とRFIDタグ4の動線52を示す正面図である。第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3は、冷蔵庫1本体の貯蔵室扉9に内蔵あるいは表面に配置され、RFIDタグ4は、大きな食材5の表面に付され、図11Aのように、RWアンテナの左下端から右隣アンテナ右下端へ弧を描くタグの動線52が示される。ユーザーは、食材5のRFIDタグ4が付された側を第一RWアンテナ2の方に向けて、RFIDタグ4を貯蔵室扉9外装表面に押し当てたまま扉外装表面を滑らせて円弧状にスライドさせる。すなわち、ユーザーにはRFIDタグ4を円弧状に移動させる意図はなくても、手と腕の関節可動域が楽になるように曲線的な軌跡となってしまう場合がある。しかし、このような場合であっても、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3の近距離を通過するRFIDタグ4のアンテナのインピーダンスとリーダライタ回路のインピーダンスの整合ロスは、通信できる許容値の範囲内に収まっている。また、RFIDタグ4が電波を反射して第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3が受信する電波の強さは、RFIDリーダライタ12の回路の受信感度範囲内で、かつ、通信で許容される値の範囲内に収まっている。このため、RFIDリーダライタ12は、RFIDタグ4を読み取ることができ、RFIDタグ4をかざしたRWアンテナの順序を特定できる。
【0064】
図11Bは、図11Aの動線52のようにRFIDタグ4がスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフである。まず、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の左の下端外側から右斜め上に向かって弧を描くと、第一RWアンテナ2の受信電波の強さを表すRSSIは徐々に増加していき、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の中心に近づいた所でピークとなる。次に、第一RWアンテナ2の中心付近から右隣アンテナとの境界に近づくに従って、第一RWアンテナ2のRSSIは低減していくが、第二RWアンテナ3のRSSIは徐々に増加していき、RFIDタグ4が第二RWアンテナ3の中心に近づいた所でRSSIはピークとなる。さらに、RFIDタグ4が第二RWアンテナ3の中心付近から右の下端外側に弧を描いて進むに従って、第二RWアンテナ3のRSSIは低減していく。このように、RFIDタグ4の動線52が円弧状の軌跡であったとしても、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3は共に、RFIDタグ4の移動によってRSSIの山状の波形が生じている。したがって、第一RWアンテナ2のRSSIと第二RWアンテナ3のRSSIがそれぞれピークになる時間を求めることができ、RFIDタグ4を読み取ったRWアンテナの順序も求めることが可能となる。
【0065】
図12Aは、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3とRFIDタグ4の動線57を示す上面図(鉛直方向上から見た平面図)である。第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3は、冷蔵庫1本体の貯蔵室扉9に内蔵あるいは表面に配置され、RFIDタグ4は、大きな食材5の表面に付され、図12Aのように、RWアンテナの左の外側手前から二つのアンテナ境界の奥の位置に弧を描いて進み、奥の位置から隣のアンテナの右の外側手前へ弧を描くタグの動線57が示される。ユーザーは、食材5のRFIDタグ4が付された側を第一RWアンテナ2の方に向けて、RFIDタグ4を貯蔵室扉9外装表面に押し当てたまま扉外装表面を滑らせてスライドさせる。すなわち、ユーザーにはRFIDタグ4を円弧状に移動させる意図はなくても、手と腕の関節可動域が楽になるように曲線的な軌跡となってしまう場合がある。しかし、このような場合であっても、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3の近距離を通過するRFIDタグ4のアンテナのインピーダンスとリーダライタ回路のインピーダンスの整合ロスは、通信できる許容値の範囲内に収まっている。また、RFIDタグ4が電波を反射して第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3が受信する電波の強さは、RFIDリーダライタ12の回路の受信感度範囲内で、かつ、通信で許容される値の範囲内に収まっている。このため、RFIDリーダライタ12は、RFIDタグ4を読み取ることができ、RFIDタグ4をかざしたRWアンテナの順序が特定できる。
【0066】
図12Bは、図12Aの動線57のようにRFIDタグ4がスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフである。まず、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の左の外側手前から二つのアンテナ境界に向かって弧を描いて進んで行くと、第一RWアンテナ2の受信電波の強さを表すRSSIは徐々に増加していき、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の中心に近づいた所でピークとなる。次に、第一RWアンテナ2の中心付近から右隣アンテナとの境界に近づくに従って、第一RWアンテナ2のRSSIは低減していくが、第二RWアンテナ3のRSSIは徐々に増加していき、RFIDタグ4が第二RWアンテナ3の中心に近づいた所でRSSIはピークとなる。さらに、RFIDタグ4が第二RWアンテナ3の中心付近から右の外側手前に向かって弧を描いて進むに従って、第二RWアンテナ3のRSSIは低減していく。このように、RFIDタグ4の動線57が円弧状の軌跡であったとしても、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3は共に、RFIDタグ4の移動によってRSSIの山状の波形が生じている。したがって、第一RWアンテナ2のRSSIと第二RWアンテナ3のRSSIがそれぞれピークになる時間を求めることができ、RFIDタグ4を読み取ったRWアンテナの順序も求めることが可能となる。
【0067】
図13Aは、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3とRFIDタグ4の動線64と動線65を示す正面図である。RFIDタグ4の動線64は、第一RWアンテナ2から第二RWアンテナ3に向かって通過する2回のスライド動線(往路-往路)のうち、1回目の動線を示す。RFIDタグ4の動線65は、第一RWアンテナ2から第二RWアンテナ3に向かって通過する2回のスライド動線(往路-往路)のうち、2回目の動線を示す。すなわち、図13Aに示す一連の入力シーケンスには、同じアンテナ順序となる複数(2回)の入力シーケンスが含まれている。ユーザーは、食材5のRFIDタグ4が付された側を第一RWアンテナ2の方に向けて、RFIDタグ4を貯蔵室扉9外装表面に押し当てたまま扉外装表面を滑らせて直線状にスライドさせる。すなわち、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の外側から内側に、内側から外側に向かって直線的に第一RWアンテナ2の中心を通るように移動して、さらに第二RWアンテナ3の外側から内側に、内側から外側に向かって直線的に第二RWアンテナ3の中心を通るように移動する操作スライドタッチが行われる。このとき、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3の近距離を通過するRFIDタグ4のアンテナのインピーダンスとリーダライタ回路のインピーダンスの整合ロスは、通信できる許容値の範囲内に収まっている。また、RFIDタグ4が電波を反射して第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3が受信する電波の強さは、RFIDリーダライタ12の回路の受信感度範囲内で、かつ、通信で許容される値の範囲内に収まっている。このため、RFIDリーダライタ12は、RFIDタグ4を読み取ることができ、RFIDタグ4をかざしたRWアンテナの順序を特定できる。
【0068】
図13Bは、図13Aの動線64および動線65のようにRFIDタグ4がスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフと、各アンテナのタグ読み取りタイミングを示すグラフである。RFIDリーダライタ12および制御用コンピュータ24は、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3のRSSI波形のピークから、それぞれのアンテナがRFIDタグ4を読み取ったタイミングを判定している。ここで、前述のように、RFIDタグ4が最後に読み取られてから第1所定時間が経過するまでに、次に読み取りがあった場合は、一連の入力シーケンスと見做され、RFIDリーダライタ12によるRFIDタグ4の読み取りは継続する。図13Bでは、1回目の動線64に対応する第二RWアンテナ3の読み取りがあってから第1所定時間が経過する前に、2回目の動線65に対応する第一RWアンテナ2の読み取りがあるため、2回のスライド動線は1つの入力シーケンスと見做される。したがって、同一方向に複数回スライドタッチが繰り返された場合でも、RFIDタグ4を読み取ったRWアンテナのすべての順序を求めることが可能である。
【0069】
図14Aは、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3とRFIDタグ4の動線68と動線69を示す正面図である。RFIDタグ4の動線68は、第一RWアンテナ2から第二RWアンテナ3までを往復する2回のスライド動線(往路-復路)のうち、1回目の動線を示し、第一RWアンテナ2から第二RWアンテナ3に向かって進む。RFIDタグ4の動線69は、第一RWアンテナ2から第二アンテナまでを往復する回のスライド動線(往路-復路)のうち、2回目の動線を示し、第二RWアンテナ3から第一RWアンテナ2に向かって進む。すなわち、図14Aに示す一連の入力シーケンスには、逆のアンテナ順序となる複数(2回)の入力シーケンスが含まれている。ユーザーは、食材5のRFIDタグ4が付された側を第一RWアンテナ2の方に向けて、RFIDタグ4を貯蔵室扉9外装表面に押し当てたまま扉外装表面を滑らせて直線状にスライドさせる。すなわち、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2の外側から内側に、内側から外側に向かって直線的に第一RWアンテナ2の中心を通るように移動して、さらに第二RWアンテナ3の外側から内側に、内側から外側に向かって直線的に第二RWアンテナ3の中心を通るように移動する操作スライドタッチが行われる。このとき、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3の近距離を通過するRFIDタグ4のアンテナのインピーダンスとリーダライタ回路のインピーダンスの整合ロスは、通信できる許容値の範囲内に収まっている。また、RFIDタグ4が電波を反射して第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3が受信する電波の強さは、RFIDリーダライタ12の回路の受信感度範囲内で、かつ、通信で許容される値の範囲内に収まっている。このため、RFIDリーダライタ12は、RFIDタグ4を読み取ることができ、RFIDタグ4をかざしたRWアンテナの順序を特定できる。
【0070】
図14Bは、図14Aの動線68および動線69のようにRFIDタグ4がスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフと、各アンテナのタグ読み取りタイミングを示すグラフである。RFIDリーダライタ12および制御用コンピュータ24は、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3のRSSI波形のピークから、それぞれのアンテナがRFIDタグ4を読み取ったタイミングを判定している。図14Bでは、1回目の動線68に対応する第二RWアンテナ3の読み取りがあってから第1所定時間が経過する前に、2回目の動線69に対応する第二RWアンテナ3の読み取りがあるため、2回のスライド動線は1つの入力シーケンスと見做される。したがって、反対方向にスライドタッチが繰り返された場合でも、RFIDタグ4を読み取ったRWアンテナのすべての順序を求めることが可能である。
【0071】
以上、図7A図14Bを用いて説明したように、本実施例によれば、RFIDタグ4を読み取ったアンテナの順序を検出できるので、スライドタッチの向きを判定することが可能である。したがって、限られたスペースに複数のRWアンテナが並べて配置されていても、高精度の入力が実現できる。
【実施例2】
【0072】
実施例2は、RWアンテナを3つ以上にすることで、RFIDタグ4をかざすRWアンテナの順序パターンのバリエーションを増やした食材管理システムの例である。本実施例では、RFIDリーダライタ12の処理分岐を増やせるので、コマンドの選択肢も増加する。なお、RWアンテナの間隔は、不均等な場合も含む。
【0073】
図15Aは、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3と第三RWアンテナ72とRFIDタグ4の動線73と動線74を示す正面図である。RFIDタグ4の動線73は、第一RWアンテナ2から第三RWアンテナ72に向かって通過する2回のスライド動線(往路-往路)のうち、1回目の動線を示す。RFIDタグ4の動線74は、第一RWアンテナ2から第三RWアンテナ72に向かって通過する2回のスライド動線(往路-往路)のうち、2回目の動線を示す。
【0074】
図15Bは、図15Aの動線73および動線74のようにRFIDタグ4がスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフと、各アンテナのタグ読み取りタイミングを示すグラフである。RFIDリーダライタ12および制御用コンピュータ24は、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3と第三RWアンテナ72のRSSI波形のピークから、それぞれのアンテナがRFIDタグ4を読み取ったタイミングを判定している。図15Bでは、1回目の動線73に対応する第三RWアンテナ72の読み取りがあってから第1所定時間が経過する前に、2回目の動線74に対応する第一RWアンテナ2の読み取りがあるため、2回のスライド動線は1つの入力シーケンスと見做される。したがって、RFIDタグ4を読み取ったRWアンテナのすべての順序を求めることが可能である。
【0075】
図16Aは、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3と第三RWアンテナ72とRFIDタグ4の動線78と動線79を示す正面図である。RFIDタグ4の動線78は、第一RWアンテナ2から第三RWアンテナ72までを往復する2回のスライド動線(往路-復路)のうち、1回目の動線を示し、第一RWアンテナ2から第三RWアンテナ72に向かって進む。RFIDタグ4の動線79は、第一RWアンテナ2から第三RWアンテナ72までを往復する2回のスライド動線(往路-復路)のうち、2回目の動線を示し、第三RWアンテナ72から第一RWアンテナ2に向かって進む。
【0076】
図16Bは、図16Aの動線78および動線79のようにRFIDタグ4がスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフと、各アンテナのタグ読み取りタイミングを示すグラフである。RFIDリーダライタ12および制御用コンピュータ24は、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3と第三RWアンテナ72のRSSI波形のピークから、それぞれのアンテナがRFIDタグ4を読み取ったタイミングを判定している。図16Bでは、1回目の動線78に対応する第三RWアンテナ72の読み取りがあってから第1所定時間が経過する前に、2回目の動線79に対応する第三RWアンテナ72の読み取りがあるため、2回のスライド動線は1つの入力シーケンスと見做される。したがって、RFIDタグ4を読み取ったRWアンテナのすべての順序を求めることが可能である。
【0077】
図17は、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3と第三RWアンテナ72と第四RWアンテナ94とRFIDタグ4の動線119を示す正面図である。RFIDタグ4の動線119では、RFIDタグ4が、まず、第一RWアンテナ2から第二RWアンテナ3へ移動し、次に、第二RWアンテナ3から第三RWアンテナ72へ移動し、さらに第三RWアンテナ72から第四RWアンテナ94へ移動する。このように、RWアンテナが4つある場合でも、RFIDリーダライタ12は、RFIDタグ4を読み取ったタイミングと、読み取ったアンテナの順序を特定できる。
【0078】
図18は、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3と第三RWアンテナ72と第四RWアンテナ94とRFIDタグ4の動線120および動線121を示す正面図である。RFIDタグ4の動線120では、RFIDタグ4が第一RWアンテナ2から第四RWアンテナ94へ移動し、RFIDタグ4の動線121では、RFIDタグ4が第二RWアンテナ3から第三RWアンテナ72へ移動する。このように、RWアンテナが4つある場合でも、RFIDリーダライタ12は、RFIDタグ4を読み取ったタイミングと、読み取ったアンテナの順序を特定できる。
【0079】
本実施例では、RWアンテナの数が3つの例を図15A図16Bで説明し、RWアンテナの数が4つの例を図17および図18で説明したが、RWアンテナの数を5つ以上であっても良い。いずれの場合でも、読み取れるアンテナ順序のバリエーションを増やすことができるので、コマンドの種類を豊富にすることが可能となる。
【実施例3】
【0080】
実施例3は、貯蔵室扉9の外装表面と平行な同一平面上に二つのRWアンテナを配置するのではなく、二つのRWアンテナを外側へ傾斜させて、すなわち、互いのRWアンテナから放射される電波が遠ざかる向きに傾斜させて、配置する例である。このようなアンテナ配置とすることにより、各RWアンテナが放射する電波の重複エリアが少なくなり、電波の排他性が高まるため、どちらのRWアンテナでRFIDタグ4が読み取れたのかを精度良く検出できる。
【0081】
図19は、第一RWアンテナ2と第二RWアンテナ3のアンテナ面を示す、水平断面図(鉛直方向上方向から見た断面図)である。図19に示すように、二つのRWアンテナは屋根のようなハの字型でアンテナレドーム131または樹脂の筐体の内部に配置され、互いの放射電波は、並行を角度0°とすると、角度20~45°程度で配置されている、このため、互いの電波の重複エリアが減少して、電波の排他性が良くなり、読み取ったRWアンテナの区別がつき易くなる効果がある。なお、本実施例では、RWアンテナが二つの場合の二つ折りの配置について説明したが、RWアンテナが三つの場合は、互いの電波が遠ざかるような三つ折りの配置としても良い。同様に、RWアンテナが四つ以上に増えた場合も、互いの電波が遠ざかるような傾斜配置とすることで、電波の排他性の低下を抑制できる。
【実施例4】
【0082】
実施例4は、RWアンテナの数を1個とすることでコストの低減を図りつつ、RWアンテナの読み取り回数や時間間隔の変化で読み取りパターンのバリエーションを確保する例である。
【0083】
図20は、実施例4に係る食材管理システムの機能ブロック図である。本実施例の食材管理システムは、図6に示す実施例1の食材管理システムと異なり、RWアンテナが第一RWアンテナ2のみであり、順序検出部18の代わりに回数検出部33を備えている。
【0084】
図21Aは、第一RWアンテナ2とRFIDタグ4の動線81と動線82と動線83を示す正面図である。RFIDタグ4の動線81は、第一RWアンテナ2を通過する3回のスライド動線(往路-往路-往路)のうち、1回目の動線を示し、第一RWアンテナ2の左側から右側に向かって進む。RFIDタグ4の動線82は、第一RWアンテナ2を通過する3回のスライド動線(往路-往路-往路)のうち、2回目の動線を示し、第一RWアンテナ2の左側から右側に向かって進む。RFIDタグ4の動線83は、第一RWアンテナ2を通過する3回のスライド動線(往路-往路-往路)のうち、3回目の動線を示し、第一RWアンテナ2の左側から右側に向かって進む。
【0085】
図21Bは、図21Aの動線81、動線82および動線83のようにRFIDタグ4がスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフと、第一RWアンテナ2のタグ読み取りタイミングを示すグラフである。RFIDリーダライタ12および制御用コンピュータ24は、第一RWアンテナ2のRSSI波形のピークから、RFIDタグ4を読み取ったタイミングを判定している。図21Bでは、1回目の動線81に対応する第一RWアンテナ2の読み取りがあってから第1所定時間が経過する前に、2回目の動線82に対応する第一RWアンテナ2の読み取りがある。同様に、2回目の動線82に対応する第一RWアンテナ2の読み取りがあってから第1所定時間が経過する前に、3回目の動線83に対応する第一RWアンテナ2の読み取りがある。したがって、3回のスライド動線は、1つの入力シーケンスと見做され、読み取り回数が3回であると特定できる。また、図21Bに示すように、1回目と2回目のスライドタッチの時間間隔が、2回目と3回目のスライドタッチの時間間隔よりも長い。このため、RFIDタグ4をRFIDリーダライタ12に読み取らせる時間間隔の長短の組み合わせに対応した分類の命令テーブルを用意すれば、1つのRWアンテナであってもコマンドの種類を一定程度確保できる。さらには、RFIDタグ4のスライドタッチの移動速度の組合せに対応した命令テーブルを用意してもよい。
【0086】
図22Aは、第一RWアンテナ2とRFIDタグ4の動線85と動線86と動線87を示す正面図である。RFIDタグ4の動線85は、第一RWアンテナ2を通過する3回のスライド動線(往路-復路-往路)のうち、1回目の動線を示し、第一RWアンテナ2の左側から右側に向かって進む。RFIDタグ4の動線86は、第一RWアンテナ2を通過する3回のスライド動線(往路-復路-往路)のうち、2回目の動線を示し、第一RWアンテナ2の右側から左側に向かって進む。RFIDタグ4の動線87は、第一RWアンテナ2を通過する3回のスライド動線(往路-復路-往路)のうち、3回目の動線を示し、第一RWアンテナ2の左側から右側に向かって進む。
【0087】
図22Bは、図22Aの動線85、動線86および動線87のようにRFIDタグ4がスライドタッチされたときのRSSI波形を示すグラフと、第一RWアンテナ2のタグ読み取りタイミングを示すグラフである。RFIDリーダライタ12および制御用コンピュータ24は、第一RWアンテナ2のRSSI波形のピークから、RFIDタグ4を読み取ったタイミングを判定している。図22Bでは、1回目の動線85に対応する第一RWアンテナ2の読み取りがあってから第1所定時間が経過する前に、2回目の動線86に対応する第一RWアンテナ2の読み取りがある。同様に、2回目の動線86に対応する第一RWアンテナ2の読み取りがあってから第1所定時間が経過する前に、3回目の動線87に対応する第一RWアンテナ2の読み取りがある。したがって、3回のスライド動線は、1つの入力シーケンスと見做され、読み取り回数が3回であると特定できる。
【実施例5】
【0088】
実施例5は、1つ以上のアンテナで構成されるアンテナ組体を複数有し、各アンテナ組体が導体線路で連結され、共通の端子を介してRFIDリーダライタ12と接続される構成の例である。また、各アンテナ組体を構成するアンテナの数は、互いに異なっているため、読み取られたアンテナの数によって、どのアンテナ組体がスライドタッチされたかが判定できる。すなわち、本実施例によれば、アンテナ端子を1本に集約できるので、食材管理システムを低コストで実現することが可能である。
【0089】
図23は、実施例5に係るアンテナ構成を示す図である。本実施例では、図示しないアンテナ端子と連結される1つの導体線路152が、3本の分岐線路に接続されており、各分岐線路には複数のアンテナが接続されている。具体的には、第一の分岐線路には、RWアンテナ134、RWアンテナ135およびRWアンテナ136の3つのRWアンテナが接続され、第二の分岐線路には、RWアンテナ137、RWアンテナ138、RWアンテナ139、RWアンテナ140およびRWアンテナ141の5つのRWアンテナが接続され、第三の分岐線路には、RWアンテナ142、RWアンテナ143、RWアンテナ144およびRWアンテナ145の4つのRWアンテナが接続される。すなわち、各分岐線路に接続されるRWアンテナの数は、互いに異なっている。
【0090】
また、各RWアンテナの形状は、RFIDタグ4のスライドタッチ進行方向と直交する方向に細長く、短冊状となっている。さらに、各RWアンテナは、長手方向が平行になるよう複数並べられることで分岐線路を形成しているが、分岐線路内での各RWアンテナの間隔を狭めることで、多数のRWアンテナを配置できる。なお、分岐線路内での各RWアンテナの間隔は、RWアンテナ134~136とRWアンテナ137~141では均等であるが、RWアンテナ142~145では、不均等である。
【0091】
動線150は、RWアンテナ134~136の3つのRWアンテナをRFIDタグ4が通過することを示し、RFIDタグ4の動線153は、RWアンテナ137~141の5つのRWアンテナをRFIDタグ4が通過することを示し、動線154は、RWアンテナ142~145の4つのRWアンテナをRFIDタグ4がRWアンテナ142からRWアンテナ145の方向へ通過することを示し、動線155は、RWアンテナ142~145の4つのRWアンテナをRFIDタグ4がRWアンテナ145からRWアンテナ142の方向へ通過することを示している。すなわち、RFIDタグ4が3回連続して読み取れた場合は、RWアンテナ134~136がスライドタッチされたと判定でき、RFIDタグ4が5回連続して読み取れた場合は、RWアンテナ137~141がスライドタッチされたと判定でき、RFIDタグ4が4回連続して読み取れた場合は、RWアンテナ142~145がスライドタッチされたと判定できる。
【0092】
また、第三の分岐線路に接続されるRWアンテナ142~145は、アンテナの設置間隔が大、大、小の順で異なっている。このため、RFIDタグ4の読み取り時間間隔が、長、長、短の順になっている場合は、RWアンテナ142~145が動線154の方向でスライドタッチされたと判定でき、RFIDタグ4の読み取り時間間隔が、短、長、長の順になっている場合は、RWアンテナ142~145が動線155の方向でスライドタッチされたと判定できる。
ただし、ここで言うスライドタッチとは、各々の動線が最初の地点から最後の地点まで一気呵成にRFIDタグ4を移動できるほどの比較的短い距離であり、動線の途中でRFIDタグ4の移動を止めたり、動線の途中からRFIDタグ4の移動速度を増減変化させるような操作は含めない。このように、読み取り時間間隔を絶対時間で判定するのではなく、前後の読み取りとの比較による相対的な長短で判定しているので、RFIDタグ4の移動速度に依存しない利点がある。したがって、アンテナの設置間隔に規則性を持たせたパターンの種類を増やせば、それに応じてコマンドの数も増加させることが可能である。
【0093】
前述の実施例1乃至5は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0094】
1…冷蔵庫、2…第一RWアンテナ、3…第二RWアンテナ、4…RFIDタグ、5…食材、9…貯蔵室扉、11…高周波処理部、12…RFIDリーダライタ、13…RSSI検出部、14…IDコード検出部、15…シーケンス終了判定部、15a…時間間隔検出部、15b…時間間隔量子化部、16…特徴抽出部、17…過去情報記憶部、18…順序検出部、19…命令判定部、20…ベースバンド信号処理部、21…分岐処理部、24…制御用コンピュータ、25…CPU、26a…第一の命令テーブル記憶部、26b…第二の命令テーブル記憶部、28…表示装置、30…データベース処理部、31…データベース用サーバー、33…回数検出部、72…第三RWアンテナ、94…第四RWアンテナ、131…アンテナレドーム、134~145…RWアンテナ、151…インターネット通信網、152…導体線路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図23