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特許7589138偏向可能な湾曲した先端を有するエンドエフェクタを有する外科用ステープラ用のバットレスアプライヤカートリッジ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】偏向可能な湾曲した先端を有するエンドエフェクタを有する外科用ステープラ用のバットレスアプライヤカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20241118BHJP
【FI】
A61B17/072
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021502566
(86)(22)【出願日】2019-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 IB2019056041
(87)【国際公開番号】W WO2020016761
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】16/035,834
(32)【優先日】2018-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】バコス・グレゴリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヘス・クリストファー・ジェイ
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/035216(WO,A1)
【文献】特表2015-507965(JP,A)
【文献】特表2010-524509(JP,A)
【文献】特表2014-531260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器であって、
閉鎖構成にあるとき、プラットフォームに接して変形するように構成されている湾曲した遠位先端を備える、外科用ステープラのエンドエフェクタと、
装置であって、
(a)前記エンドエフェクタの一部分を受容するように構成された間隙を画定するハウジングであって、前記ハウジングは、近位部分及び遠位部分を含む、ハウジングと、
(b)前記プラットフォームであって、前記プラットフォームの一部分は、前記ハウジングによって画定された前記間隙内において露出され、前記プラットフォームは近位部分及び遠位部分を含む、前記プラットフォームと、
(c)前記プラットフォームの少なくとも前記近位部分上に位置付けられた第1のバットレス組立体であって、前記第1のバットレス組立体は、前記ハウジングによって画定された前記間隙において露出されている、第1のバットレス組立体と、を備え、
前記ハウジングの前記遠位部分は、前記エンドエフェクタの前記湾曲した遠位先端を受容するように構成された空洞を含み、
前記空洞は、前記プラットフォームの上面において終端をなし、前記プラットフォームは、前記エンドエフェクタが閉鎖構成にあるとき、前記エンドエフェクタの前記湾曲した遠位先端に接触し、前記湾曲した遠位先端を変形させるように構成されている、医療機器
【請求項2】
装置であって、
(a)外科用ステープラのエンドエフェクタの一部分を受容するように構成された間隙を画定するハウジングであって、前記ハウジングは、近位部分及び遠位部分を含む、ハウジングと、
(b)プラットフォームであって、前記プラットフォームの一部分は、前記ハウジングによって画定された前記間隙内において露出され、前記プラットフォームは近位部分及び遠位部分を含む、プラットフォームと、
(c)前記プラットフォームの少なくとも前記近位部分上に位置付けられた第1のバットレス組立体であって、前記第1のバットレス組立体は、前記ハウジングによって画定された前記間隙において露出されている、第1のバットレス組立体と、を備え、
前記ハウジングの前記遠位部分は、前記エンドエフェクタの湾曲した遠位先端を受容するように構成された空洞を含み、
前記空洞は、前記プラットフォームを完全に貫通して延在し、前記エンドエフェクタの前記湾曲した遠位先端は、前記エンドエフェクタが前記プラットフォーム上において閉鎖構成にあるとき、前記遠位先端の湾曲形状を維持し、前記プラットフォームに接して変形することがないように構成されている、装置。
【請求項3】
前記湾曲した遠位先端は、前記閉鎖構成において、前記エンドエフェクタの対向するステープルカートリッジのステープルデッキの下方に延在するように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
装置であって、
(a)外科用ステープラのエンドエフェクタの一部分を受容するように構成された間隙を画定するハウジングであって、前記ハウジングは、近位部分及び遠位部分を含む、ハウジングと、
(b)プラットフォームであって、前記プラットフォームの一部分は、前記ハウジングによって画定された前記間隙内において露出され、前記プラットフォームは近位部分及び遠位部分を含む、プラットフォームと、
(c)前記プラットフォームの少なくとも前記近位部分上に位置付けられた第1のバットレス組立体であって、前記第1のバットレス組立体は、前記ハウジングによって画定された前記間隙において露出されている、第1のバットレス組立体と、を備え、
前記ハウジングの前記遠位部分は、前記エンドエフェクタの湾曲した遠位先端を受容するように構成された空洞を含み、
前記空洞は、前記プラットフォームに対して垂直に延在し、前記空洞は、前記プラットフォームに近づくにつれて増加する、前記プラットフォームに対して平行な断面積を有する、装置。
【請求項5】
前記装置は、前記プラットフォームによって画定される平面に対して対称である、請求項1に記載の医療機器
【請求項6】
装置であって、
(a)外科用ステープラのエンドエフェクタの一部分を受容するように構成された間隙を画定するハウジングであって、前記ハウジングは、近位部分及び遠位部分を含む、ハウジングと、
(b)プラットフォームであって、前記プラットフォームの一部分は、前記ハウジングによって画定された前記間隙内において露出され、前記プラットフォームは近位部分及び遠位部分を含む、プラットフォームと、
(c)前記プラットフォームの少なくとも前記近位部分上に位置付けられた第1のバットレス組立体であって、前記第1のバットレス組立体は、前記ハウジングによって画定された前記間隙において露出されている、第1のバットレス組立体と、を備え、
前記ハウジングの前記遠位部分は、前記エンドエフェクタの湾曲した遠位先端を受容するように構成された空洞を含み、
前記エンドエフェクタは、対向する第1のつかみ具及び第2のつかみ具を含み、前記第1のつかみ具は前記湾曲した遠位先端を含み、前記第2のつかみ具はステープルカートリッジを含み、前記ハウジングの前記遠位部分は、前記ステープルカートリッジの遠位角度付き部分に当接するように構成されている第1の角度付き表面を含む、装置。
【請求項7】
前記プラットフォームは、対向する第1の側及び第2の側を含み、前記空洞は前記第1の側に隣接し、前記第1の角度付き表面は前記第2の側に隣接し、前記第1の角度付き表面は、前記ステープルカートリッジの配置を支援するように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のバットレス組立体は、
(i)本体と、
(ii)接着層であって、前記接着層は、前記ハウジングによって画定された前記間隙において露出されている、接着層と、を含む、請求項1に記載の医療機器
【請求項9】
第2のバットレス組立体を更に備え、前記第1のバットレス組立体は、前記プラットフォームの第1の側に位置付けられ、前記第2のバットレス組立体は、前記第1の側の反対側に配置された、前記プラットフォームの第2の側に位置付けられている、請求項1に記載の医療機器
【請求項10】
前記ハウジングは、一体型部品として、前記プラットフォームと共に、一緒に一体形成されている、請求項1に記載の医療機器
【請求項11】
前記ハウジングは、前記プラットフォームとは別に形成され、続いて前記プラットフォームと連結される、請求項1に記載の医療機器
【請求項12】
装置であって、
(a)外科用ステープラのエンドエフェクタの一部分を受容するように構成された間隙を画定するハウジングであって、前記ハウジングは、近位部分及び遠位部分を含む、ハウジングと、
(b)対向する第1の側及び第2の側を含むプラットフォームであって、前記プラットフォームの一部分は、前記ハウジングによって画定された前記間隙内において露出され、前記プラットフォームは、近位部分及び遠位部分を含む、プラットフォームと、
(c)前記プラットフォームの前記第1の側に位置付けられた第1のバットレス組立体であって、前記第1のバットレス組立体は、前記ハウジングによって画定された前記間隙内において露出されている、第1のバットレス組立体と、を備え、
前記ハウジングの前記遠位部分は、前記プラットフォームの前記第1の側に隣接する空洞を含み、前記空洞は、前記エンドエフェクタの第1のつかみ具の湾曲した遠位先端を受容するように構成され、
前記ハウジングの前記遠位部分は、前記プラットフォームの前記第2の側に隣接して、前記間隙を横切って延在する角度付き表面を含み、前記角度付き表面は、前記プラットフォームの前記第2の側に隣接する、前記エンドエフェクタの第2のつかみ具のステープルカートリッジの配置を支援するように構成されている、装置。
【請求項13】
前記プラットフォームの前記第2の側に第2のバットレス組立体を更に備え、前記第2のバットレス組立体は、前記ハウジングによって画定された前記間隙において露出されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記空洞は、前記プラットフォームの平坦面において終端をなし、前記エンドエフェクタの前記湾曲した遠位先端は、前記エンドエフェクタが閉鎖構成にあるとき、前記プラットフォームに接して変形するように構成されている、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記空洞は前記プラットフォームを完全に貫通して延在し、前記エンドエフェクタの前記湾曲した遠位先端は、前記エンドエフェクタが閉鎖構成にあるとき、前記遠位先端の湾曲形状を維持し、前記プラットフォームに接して変形することがないように構成されている、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
対向する第1のつかみ具及び第2のつかみ具を有するエンドエフェクタにバットレス組立体を固定する方法であって、前記方法は、
(a)前記第1のつかみ具及び前記第2のつかみ具が開放構成にある間に、バットレスアプライヤカートリッジのプラットフォームを前記第1のつかみ具と前記第2のつかみ具との間に位置付けることであって、前記プラットフォームは、上に前記バットレス組立体が配置されている、ことと、
(b)前記第1のつかみ具及び前記第2のつかみ具の一方又は両方を前記プラットフォームに向かって駆動させることによって、前記バットレス組立体を前記第1のつかみ具及び前記第2のつかみ具のうちの一方と係合させることであって、前記バットレスアプライヤカートリッジの遠位部分は、前記第1のつかみ具又は前記第2のつかみ具のうちの一方の湾曲した遠位先端を受容するようにサイズ決めされ成形された空洞を含み、前記エンドエフェクタの前記湾曲した遠位先端は、閉鎖構成にあるときに、前記第1のつかみ具又は前記第2のつかみ具のうちの他方のステープルカートリッジのステープルデッキより遠位に位置付けられるように構成されており、前記第1のつかみ具又は前記第2のつかみ具のうちの一方の前記湾曲した遠位先端は、前記閉鎖構成にあるときに、前記第1のつかみ具又は第2のつかみ具のうちの他方の前記ステープルカートリッジの前記ステープルデッキを、前記湾曲した遠位先端から前記ステープルカートリッジに向かう方向に越えて延在する、ことと、
(c)前記第1のつかみ具又は前記第2のつかみ具の一方又は両方を前記プラットフォームから離すように駆動することによって、前記バットレス組立体を前記プラットフォームから引き離すことと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
内視鏡外科用器具は、エンドエフェクタとハンドル部分との間に、臨床医によって操作されるシャフトを含み得る。このようなシャフトは、トロカールを通した所望の深さへの挿入及びシャフトの長手方向軸線を中心とした回転を可能にすることにより、患者の体内でエンドエフェクタを位置付けることを容易にする。エンドエフェクタの位置付けは、エンドエフェクタをシャフトの長手方向軸線に対して選択的に関節動作させるか、又はそうでない場合には偏向させることを可能にする、1つ以上の関節動作ジョイント又は機構を含めることによって更に容易にしてもよい。
【0002】
内視鏡外科用器具の例として、外科用ステープラが挙げられる。このようなステープラのいくつかは、組織層をクランプし、クランプされた組織層を切断し、組織層を通してステープルを打ち込むことによって、組織層の切断された端部の近くで、切断された組織層同士を互いに実質的にシールするように動作可能である。単なる例示的な外科用ステープラが、2008年6月3日に発行された米国特許第7,380,696号、名称「Articulating Surgical Stapling Instrument Incorporating a Two-Piece E-Beam Firing Mechanism」、2013年4月2日に発行された、米国特許第8,408,439号、名称「Surgical Stapling Instrument with An Articulatable End Effector」、及び2013年6月4日に発行された、米国特許第8,453,914号、名称「Motor-Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」、に開示されている。上に引用した米国特許及び米国特許出願公開のそれぞれの開示内容を参照により本明細書に援用するものとする。
【0003】
外科用ステープラはまた、開腹手術において及び/又は他の非内視鏡手術において用いられ得る。あくまで例としてであるが、トロカールをステープラの導管として使用しない胸部外科手術では、外科用ステープラを開胸術によって患者の肋骨の間に挿入し、1つ以上の臓器に到達させることもできる。例えば、臓器につながる血管を、胸腔から臓器を切除する前にステープラによって切断して閉鎖することができる。当然のことながら、外科用ステープラは、様々な他の状況及び手術において使用され得る。
【0004】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者(ら)以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書に組み込まれていると共にその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
図1】第1の例示的な外科用ステープル留め器具の斜視図である。
図2】第1の例示的なエンドエフェクタを有する図1の器具の側面図である。
図3】開放構成にある図1の器具のエンドエフェクタの斜視図である。
図4A】発射ビームが近位位置にある、図3の線4-4に沿って取られた、図3のエンドエフェクタの側面断面図である。
図4B】発射ビームが遠位位置にある、図3の線4-4に沿って取られた、図3のエンドエフェクタの側面断面図である。
図5図3の線5-5に沿って取られた、図3のエンドエフェクタの端面断面図である。
図6図3のエンドエフェクタの分解斜視図である。
図7】組織に位置付けられ、かつ組織内で1回作動された後の、図3のエンドエフェクタの斜視図である。
図8】角度付きカートリッジと、先端を有する角度付きアンビルと、を含む、第2の例示的なエンドエフェクタの斜視図である。
図9図8のエンドエフェクタの拡大側面図である。
図10図8のエンドエフェクタの拡大上面図である。
図11】第1の配置先端部を有する第3のエンドエフェクタを有する第2の外科用ステープル留め器具の斜視図であり、上部つかみ具及び下部つかみ具は、開放構成にある。
図12】それぞれが図2のエンドエフェクタ又は図8のエンドエフェクタに取り付けられ得る、例示的なバットレス組立体の例示的な上部バットレス及び例示的な下部バットレスの斜視図である。
図13A図12のバットレスによって形成されたバットレス組立体がエンドエフェクタに取り付けられ、エンドエフェクタ内のバットレス間に組織が位置付けられ、エンドエフェクタが開放構成にある、図2のエンドエフェクタの一部分の断面端面図である。
図13B】エンドエフェクタ内のバットレス間に組織が位置付けられ、エンドエフェクタが閉鎖構成にある、図13Aのエンドエフェクタ及びバットレス組立体の断面端面図である。
図13C図2のエンドエフェクタによって組織に固定されている、図13Aのステープル及びバットレス組立体の断面図である。
図14図2のエンドエフェクタによって組織に固定されている、図13Aのステープル及びバットレス組立体の斜視図である。
図15図12のバットレス組立体を担持し、かつ適用するために使用され得る第1の例示的なバットレスアプライヤカートリッジの斜視図である。
図16図15のバットレスアプライヤカートリッジの上面図である。
図17A】エンドエフェクタがバットレスアプライヤカートリッジに接近している、図2のエンドエフェクタ及び図15のバットレスアプライヤカートリッジの斜視図である。
図17B】バットレスアプライヤカートリッジがエンドエフェクタ内に位置付けられた、図2のエンドエフェクタ及び図15のバットレスアプライヤカートリッジの斜視図である。
図18図12のバットレス組立体を担持し、かつ適用するために使用され得る第2の例示的なバットレスアプライヤカートリッジの概略斜視図である。
図19図18のバットレスアプライヤカートリッジの概略正面平面図である。
図20A】バットレスアプライヤカートリッジがエンドエフェクタ内に位置付けられ、エンドエフェクタが開放構成にある、図11のエンドエフェクタ及び図18のバットレスアプライヤカートリッジの概略断面側面図である。
図20B】バットレスアプライヤカートリッジがエンドエフェクタ内に位置付けられ、エンドエフェクタが閉鎖構成にある、図11のエンドエフェクタ及び図18のバットレスアプライヤカートリッジの概略断面側面図である。
図21図12のバットレス組立体を担持し、かつ適用するために使用され得る第3の例示的なバットレスアプライヤカートリッジの概略斜視図である。
図22図21のバットレスアプライヤカートリッジの概略正面平面図である。
図23A】バットレスアプライヤカートリッジがエンドエフェクタ内に位置付けられ、エンドエフェクタが開放構成にある、図11のエンドエフェクタ及び図21のバットレスアプライヤカートリッジの概略断面側面図である。
図23B】バットレスアプライヤカートリッジがエンドエフェクタ内に位置付けられ、エンドエフェクタが閉鎖構成にある、図11のエンドエフェクタ及び図21のバットレスアプライヤカートリッジの概略断面側面図である。
【0006】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本技術の特定の実施例の以下の説明は、その範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本技術の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本技術を実施する上で想到される最良の態様の1つである以下の説明により、当業者には明らかとなるであろう。理解されるように、本明細書に記載される技術は、いずれもその技術から逸脱することなく、その他の異なる、かつ明らかな態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0008】
本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上のものを、本明細書に記載される他の教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上のものと組み合わせることができる点も、更に理解されよう。したがって、以下に記載される教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して切り離して考慮されるべきではない。本明細書における教示を鑑みると、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、当業者には直ちに明らかとなろう。このような修正形態及び変形形態は、特許請求の範囲の範囲内に含まれるものとする。
【0009】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、人間又はロボットである外科用器具の操作者に対して、本明細書で定義する。用語「近位」とは、人間又はロボットである外科用器具の操作者により近く、かつ、外科用器具の外科用エンドエフェクタから更に離れた要素の位置を意味する。用語「遠位」とは、外科用器具の外科用エンドエフェクタにより近く、かつ、人間又はロボットである外科用器具の操作者から更に離れた要素の位置を意味する。加えて、用語「上部」、「下部」、「側方」、「横断」、「底部」、「頂部」は、以下に提供される図の説明に更なる明瞭性を提供するための相対的な用語である。用語「上部」、「下部」、「側方」、「横断」、「底部」、「頂部」は、したがって、本明細書に記載される発明を不必要に限定することを意図していない。
【0010】
加えて、用語「第1の」及び「第2の」は、本明細書では、外科用器具の1つ以上の部分を区別するために使用される。例えば、第1の組立体及び第2の組立体は、代替的にかつそれぞれ、第2の組立体及び第1の組立体として記載されてもよい。用語「第1の」及び「第2の」、並びに他の数字表記は、そのような用語の単なる例示であり、本明細書に記載される発明を不必要に限定することを意図していない。
【0011】
I.第1の例示的なエンドエフェクタを有する第1の例示的な外科用器具
図1図7は、外科的処置を行うために、トロカールカニューレ又は切開創(例えば、開胸術など)を通して患者内の手術部位へと挿入するようにサイズ決めされている、第1の例示的な外科用ステープル留め器具及び切断器具(10)を示す。本実施例の器具(10)は、シャフト(22)に接続されたハンドル部分(20)を含み、シャフト(22)は、関節動作ジョイント(11)において遠位で終端をなし、関節動作ジョイント(11)は、第1の例示的なエンドエフェクタ(12)と更に連結されている。シャフト(22)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年10月24日に発行された米国特許第9,795,379号、名称「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」、の教示の少なくとも一部に従って構築されてもよい。
【0012】
関節動作ジョイント(11)及びエンドエフェクタ(12)が、トロカールのカニューレ通路を通って一旦挿入されると、関節動作ジョイント(11)は、図1に仮想線で描写されるように、関節動作制御部(13)によって遠隔に操作され、関節動作することができ、エンドエフェクタ(12)を、シャフト(22)の長手方向軸線(LA)から所望の角度(α)に偏向することができる。関節動作ジョイント(11)及び/又は関節動作制御部(13)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2015年11月17日に発行された米国特許第9,186,142号、名称「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」、及び/又は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第9,795,379号、の教示の少なくとも一部に従って構築され、動作可能であってもよい。
【0013】
本実施例のエンドエフェクタ(12)は、下部つかみ具(16)及び枢動可能なアンビル(18)を含む。下部つかみ具(16)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2017年11月7日に発行された、米国特許第9,808,248号、名称「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」、の教示の少なくとも一部に従って構築されてもよい。アンビル(18)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月13日に発行された、米国特許第9,517,065号、名称「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月12日に発行された、米国特許第9,839,421号、名称「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」、及び/又は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、米国特許出願公開第2014/0239037号、名称「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」、の教示の少なくとも一部に従って構築されてもよい。
【0014】
ハンドル部分(20)は、ピストル把持部(24)及び閉鎖トリガー(26)を含む。閉鎖トリガー(26)は、ピストル把持部(24)に向かって枢動可能であり、エンドエフェクタ(12)の下部つかみ具(16)に向かってアンビル(18)のクランプ又は閉鎖を行うことができる。かかるアンビル(18)の閉鎖は、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(33)を介してもたらされ、その両方とも、ピストル把持部(24)に対する閉鎖トリガー(26)の枢動に応じてハンドル部分(20)に対して長手方向に移動する。閉鎖管(32)は、シャフト(22)の長さに沿って延在し、閉鎖用リング(33)は、関節動作ジョイント(11)の遠位に位置付けられている。関節動作ジョイント(11)は、閉鎖管(32)から閉鎖用リング(33)までの長手方向の運動を伝達/伝動するように動作可能である。
【0015】
ハンドル部分(20)はまた、発射トリガー(28)(図2に示す)を含む。細長部材(図示せず)は、シャフト(22)を通って長手方向に延在し、発射トリガー(28)の作動に応じて、ハンドル部分(20)から発射ビーム(14)まで長手方向の発射動作を伝達する。以下で更に詳細に説明されるように、発射ビーム(14)が遠位に移動することにより、エンドエフェクタ(12)においてクランプされた組織のステープル留め及び切断が行われる。
【0016】
図3図6は、Eビーム形態の発射ビーム(14)を取り入れているエンドエフェクタ(12)を示す。図4A及び図4Bに最も分かりやすく示されるように、発射ビーム(14)は、横断方向に配向された上方ピン(38)と、発射ビームキャップ(44)と、横断方向に配向された中間ピン(46)と、遠位方向に提示された切断縁部(48)と、を含む。上方ピン(38)は、アンビル(18)の長手方向アンビルスロット(42)内に位置付けられ、長手方向アンビルスロット(42)内を移動可能である。発射ビームキャップ(44)は、下部つかみ具(16)を通って形成された下部つかみ具スロット(45)(図4Bに図示)を通って延在する発射ビーム(14)を有することによって、下部つかみ具(16)の下側表面に摺動可能に係合する。中間ピン(46)は、発射ビームキャップ(44)と協働する下部つかみ具(16)の上面に摺動可能に係合する。発射ビーム(14)及び/又は関連するロックアウト機構は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年8月1日に発行された、米国特許第9,717,497号、名称「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」、の教示の少なくとも一部に従って構築され、動作可能であってもよい。
【0017】
図3は、近位に位置付けられている本実施例の発射ビーム(14)と、開放構成へと枢動されて、下部つかみ具(16)のチャネル内に、未使用のステープルカートリッジ(37)を着脱可能に装着することが可能なアンビル(18)と、を示す。図5及び図6に最も分かりやすく示されるように、この例のステープルカートリッジ(37)は、上部デッキ(72)を提示し、下部カートリッジトレー(74)と連結されている、カートリッジ本体(70)を含む。図3に最も分かりやすく示されるように、垂直スロット(49)が、ステープルカートリッジ(37)の一部を通じて形成されている。やはり図3に最も分かりやすく示されるように、3列のステープル開口部(51)が、垂直スロット(49)の片側の上部デッキ(72)を貫通して形成され、別の3列のステープル開口部(51)の組が、垂直スロット(49)の他方の側の上部デッキ(72)を貫通して形成されている。図4A図6に示すように、楔形スレッド(41)及び複数のステープルドライバ(43)が、カートリッジ本体(70)とトレー(74)との間に捕捉されており、楔形スレッド(41)は、ステープルドライバ(43)よりも近位に位置している。楔形スレッド(41)は、ステープルカートリッジ(37)内で長手方向に移動可能であるが、ステープルドライバ(43)は、ステープルカートリッジ(37)内で垂直方向に移動可能である。ステープル(47)も、カートリッジ本体(70)内で、対応するステープルドライバ(43)の上に配置されている。それぞれのステープル(47)は、ステープルドライバ(43)によってカートリッジ本体(70)内で垂直方向に駆動され、ステープル(47)は、関連付けられたステープル開口部(51)を通って外へと打ち出される。図4A図4B、及び図6に最も分かりやすく示されるように、楔形スレッド(41)は、楔形スレッド(41)がステープルカートリッジ(37)を通って遠位方向に駆動されるにつれてステープルドライバ(43)を上方に促す、傾斜したカム表面を提示する。ステープルカートリッジ(37)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第9,517,065号、及び/又は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第9,808,248号、の教示の少なくとも一部に従って構築され、動作可能であってもよい。
【0018】
図4A及び図4Bに描写されるように、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(33)を遠位方向に前進させることによってエンドエフェクタ(12)が閉鎖された状態で、発射ビーム(14)は、次いで、上方ピン(38)を長手方向アンビルスロット(42)に入れることによって、アンビル(18)と係合して前進する。プッシャブロック(80)(図5に図示)は、発射ビーム(14)の遠位端に位置し、発射トリガー(28)が作動されたとき、発射ビーム(14)がステープルカートリッジ(37)を通って遠位方向に前進するにつれて、楔形スレッド(41)を押す。かかる発射中に、発射ビーム(14)の切断縁部(48)は、ステープルカートリッジ(37)の垂直スロット(49)に入り、ステープルカートリッジ(37)とアンビル(18)との間にクランプされている組織を切断する。図4A及び図4Bに示すように、中間ピン(46)及びプッシャブロック(80)は共に、ステープルカートリッジ(37)内の垂直スロット(49)内に入ることによってステープルカートリッジ(37)を作動させ、楔形スレッド(41)を駆動してステープルドライバ(43)と上向きにカム接触させ、それにより、次に、ステープル(47)がステープル開口部(51)を通して外へと駆動され、アンビル(18)の内面のステープル成形ポケット(53)(図3に図示)との接触が形成される。図4Bは、組織の切断及びステープル留めが完了した後、遠位方向に完全に移動した発射ビーム(14)を示す。ステープル成形ポケット(53)は、図4A及び図4Bの図から意図的に省略されているが、図3には示されている。アンビル(18)は、図5の図から意図的に省略されている。
【0019】
図7は、組織(90)を通じた1回のストロークを通して作動されたエンドエフェクタ(12)を示している。切断縁部(48)(図7では不明瞭)は、組織(90)を切断しており、一方、ステープルドライバ(43)は、切断縁部(48)により形成される切断線の両側に、ステープル(47)の3本の交互の列を組織(90)を貫通して打ち込んでいる。第1のストロークが完了した後にエンドエフェクタ(12)を患者から引き抜き、使用済みのステープルカートリッジ(37)を新しいステープルカートリッジと交換し、次いでエンドエフェクタ(12)を再び挿入して、ステープル留めする部位に到達させて更なる切断及びステープル留めを行う。所望の数の切断及びステープル(47)が与えられるまで、このプロセスを繰り返してもよい。
【0020】
器具(10)の一部の変形形態は、発射ビーム(14)の電動制御を提供する。そのような電動制御は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2017年4月18日に発行された米国特許第9,622,746号、名称「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」、及び/又は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年7月3日に発行された米国特許第8,210,411号、名称「Motor-Driven Surgical Instrument」、の教示の少なくとも一部に従って提供されてもよい。
【0021】
器具(10)の動作の説明において、「枢動する」という用語(及び「枢動」を基体とした類義語)の使用は、必ずしも固定軸を中心とした枢動運動を必要とすると理解されるべきではない。一部の変形形態においては、アンビル(18)は、アンビル(18)が下部つかみ具(16)に向かって動く際、細長スロット又はチャネルに沿ってスライドするピン(又は同様の機構)によって画定される軸を中心として枢動する。かかる変形形態においては、枢軸がスロット又はチャネルによって画定される経路に沿って移動する一方で、アンビル(18)も同時にその枢軸を中心として枢動する。追加的にあるいは代替的に、まず枢軸がスロット/チャネルに沿ってスライドし、次いで枢軸がスロット/チャネルに沿ってある一定の距離をスライドした後、アンビル(18)が枢軸を中心として枢動してもよい。そのような摺動/並進枢動運動は、「枢動」、「枢動する」、「枢動の」、「枢動可能な」、「枢動している」などの用語内に包含される。
【0022】
そうでない場合は、器具(10)は、本明細書に引用されるいずれかの特許参考文献のうちのいずれかの教示に従って構成され、動作可能であってもよい。器具(10)に提供され得る更なる例示的な改変を、以下でより詳細に述べる。以下の教示は、本明細書に引用される特許で教示される器具(10)又はデバイスに限定されない。以下の教示は、外科用ステープラとして分類されない器具を含む他の様々な種類の器具にも容易に応用可能である。以下の教示を適用することができる他の様々な好適なデバイス及び状況は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかになるであろう。
【0023】
II.第2の例示的なエンドエフェクタを有する第1の例示的な外科用器具
エンドエフェクタ(12)が手術部位に挿入される際、ユーザーは、処置中に器具(10)のシャフト(22)及びエンドエフェクタ(12)を回転させる場合がある。場合によっては、アンビル(18)ではなく、むしろエンドエフェクタ(12)の下部つかみ具(16)が可視であり、他の場合では、下部つかみ具(16)ではなく、むしろアンビル(18)が可視である。図1の器具(10)において可能であるものを越えて手術部位の視認性をユーザーにもたらすことが望まれ得る。例えば、流体を輸送している血管を切断し、ステープル留めを行ういくつかの外科的処置の場合には、1回の作動で血管を完全に切断かつステープル留めすることができるように、アンビル(18)及び下部つかみ具(16)が、切断される血管を完全に包囲していることを目視確認することが望まれ得る。血管を完全にクランプするために、操作者が、血管に対するアンビル(18)及び下部つかみ具(16)の適切な位置をより簡単に視覚的に確認することを可能にすることが望ましい場合がある。手術部位の視覚化を強化する考えられる方法の1つとして、下部つかみ具(16)及びアンビル(18)の遠位先端に隣接する区域の視覚化を改善することが挙げられ得る。アンビル(18)が下部つかみ具(16)に向かって閉鎖する際に、アンビル(18)の遠位端が、組織(例えば、大血管)を、アンビル(18)と下部つかみ具(16)との間の空間内へと近位方向に付勢するように構成されるように、エンドエフェクタ(12)を構築することが望ましい場合もある。
【0024】
図8は、アンビル(218)及び下部つかみ具(216)を備える第2の例示的なエンドエフェクタ(212)を示す。エンドエフェクタ(212)は、器具(10)のエンドエフェクタ(12)の代わりに使用されてもよい。エンドエフェクタ(212)は、器具(10)と一体形成されてもよく、又は代替形態では、器具(10)のエンドエフェクタ(12)と互換可能であってもよい。アンビル(218)は、下部つかみ具(216)に対して枢動するように動作可能である。アンビル(218)及び下部つかみ具(216)は、図1に示すアンビル(18)及び下部つかみ具(16)によって行われるクランプと同様に組織(90)をクランプすることができる。エンドエフェクタ(212)は、図3に示すカートリッジ(37)と同様に、下部つかみ具(216)内に定置されるように動作可能なカートリッジ(237)を更に含む。
【0025】
図8図10に示すようなアンビル(218)は、アンビル(218)の最遠位先端(219)がカートリッジ(237)よりも更に遠位に長手方向に延在するように、アンビル(218)の遠位部分がカートリッジ(237)に向かって角度付けされた、細長い形状を有する。代替として、最遠位先端(219)は、長手方向にカートリッジ(237)と等しい距離まで延在してもよく、又はカートリッジ(237)上の最遠位点よりも近位に延在してもよい。図10で最も分かるように、アンビル(218)は、アンビル(218)の最遠位先端(219)に近付くにつれて横方向に先細りになる側面(241)を含む。アンビル(218)の角度付き形状により、エンドエフェクタ(212)を手術部位へより容易に挿入することができる。例えば、アンビル(218)の緩斜面又は反転したスキー先端形状は、アンビル(218)が組織に接触する際、又は組織を通って動く際、非外傷性の組織偏向表面を提供することができる。このような非外傷性組織の偏向は、アンビル(218)が下部つかみ具(216)に向かって閉鎖する際に、アンビル(218)と下部つかみ具(216)との間の空間内に近位に組織(例えば、大血管)を付勢することを含み得る。一旦手術部位に定置されると、アンビル(218)の角度付き形状はまた、エンドエフェクタ(212)のより良好な操作性、及び外科手術部位の解剖学的構造に対するエンドエフェクタ(212)の遠位端のより良好な視認性を提供し得る。
【0026】
カートリッジ(237)は、組織内へと駆動するための図4Aに示すステープル(47)のようなステープルを保持するように動作可能である。図9に示すように、カートリッジ(237)の遠位端は、先細り上面(239)及び先細り下面(238)によって画定される三角形の輪郭を有する。カートリッジ(237)の遠位端はまた、それぞれの側面上に先細り側面(243)を備える。本例では、カートリッジ(237)のそれぞれの先細り側面(243)は、アンビル(218)の側面(241)によって提示される先細り形体と概ね整列する。したがって、図10に示されるように、カートリッジ(237)の側面(243)は、アンビル(218)の側面(241)を越えてエンドエフェクタ(212)の長手方向軸(LA)から外向きに延在しない。先細り上面(239)及び先細り下面(238)は、カートリッジ(237)の最遠位端につながる。先細り下面(238)は、視線(240)を画定し、エンドエフェクタ(212)が手術部位に一旦挿入されると、ユーザーは、視線(240)に沿って見ることができる。視線(240)は、先細り下面(238)の縁部に沿って延在する。視線(240)は、エンドエフェクタ(212)を通って長手方向に延在する長手方向軸線(LA)と交差し、視野角(θ)を形成する。
【0027】
先細り下面(238)の平面形状は、アンビル(218)の最遠位先端(219)の可視化を容易にする。ユーザーが、視野角(θ)の範囲内において、視線(240)と長手方向軸線(LA)との交点を通過する任意の視線に沿って最遠位先端(219)を正面から見ることができるように、視野角(θ)は、ユーザーが有する、最遠位先端(219)の相対的な視認性を確立することができる。視野角(θ)が増加するにつれて、ユーザーは、近位の視座から、最遠位先端(219)のすぐ前方の区域のより高い視認性を有することになり、これに対して、視野角(θ)が減少するにつれて、ユーザーは、近位の視座から、最遠位先端(219)の前方の区域のより低い視認性を有する。一部の変形形態においては、視野角(θ)は、90度を超える角度を画定する。加えて、一部の変形形態においては、視野角(θ)は、135度を超える角度を画定する。例示した変形形態において、ユーザーは、一般に、視線(240)に沿って又は視野角(θ)の範囲内のいくつかの他の視線に沿って見るため、ユーザーは、視線に沿って、並びに視野角(θ)の範囲内の任意の区域において視認性を有する。最遠位先端(219)の下面は、長手方向軸線(LA)と視線(240)との交点の視認性を補助するために更に僅かに丸みを帯びている。
【0028】
組織(90)が、閉鎖されたカートリッジ(237)とアンビル(218)との間にクランプされるとき、ユーザーは、視線(240)に沿って又は視野角(θ)の範囲内のどこかから見て、例えば、アンビル(218)がどこで組織(90)をクランプしたかを正確に確認することができる。更に、ユーザーは、組織がエンドエフェクタ(212)の端部を越えてはみ出さないように、組織がアンビル(218)とカートリッジ(237)との間で完全にクランプされているかどうかを判定することができるであろう。ユーザーは、組織(90)に対するアンビル(218)とカートリッジ(237)との間のクランプの質も視認することができるだろう。場合によっては、エンドエフェクタ(212)を、組織(90)をクランプする前に、クランプ中に、又はクランプした後に、回転させてもよい。その結果、アンビル(218)の先細りの形状はまた、最遠位先端(219)の、又は実質的に隣接する最遠位先端(219)の、より見やすい視界をもたらし得る。カートリッジ(237)の先細り下面(238)に沿うアンビル(218)の先細り形体により、非外傷的に、エンドエフェクタ(212)を組織内へ容易に挿入することを更に促進し得る。更に、エンドエフェクタ(212)の先細り端部によって、トロカール又はエンドエフェクタ(212)を手術部位に導入するように動作可能な他のデバイスを通ってエンドエフェクタ(212)を嵌合させることがより容易となり得る。先細り下面(238)及びアンビル(218)の先細り形状は、引込部をもたらし、エンドエフェクタ(212)の残りの部分をトロカール内へと誘導することができる。したがって、アンビル(218)の両側(241)及びカートリッジ(237)のそれぞれの側面(243)の先細りの設計によって、視認性及び操縦性を向上させることができる。
【0029】
前述に加えて、エンドエフェクタ(212)及びエンドエフェクタ(212)を組み込んだ器具(10)の変形形態は、本明細書に引用される特許参考文献のうちのいずれか1つ以上の教示に従って構成され、動作可能であってもよい。エンドエフェクタ(212)に組み込まれ得る更なる改変が、以下により詳細に説明される。
【0030】
いくつかの処置では、組織に沿って、又は組織を通して切断することが必要であり得、その場合、1つよりも多い切断順序が、処理を完了するために必要であり、換言すれば、連続経路に沿って連続的に切断する。このような処置では、この連続的な切断技術は、「マーチング(marching)」として定義され得る。マーチングを伴う処置では、器具(10)は、手術部位に配置され、切断し、かつステープル留めするように作動され、次いで、新しいカートリッジ(37)を装着するために手術部位から除去され、次いで、次の切断及びステープル留めのために、以前の切断及びステープル留めサイクルが行われたのと同一経路に沿って手術部位に再び配置され得る。このプロセスは、切断及びステープル留め処置が完了するまで繰り返される。図4A図4B及び図7から分かるように、エンドエフェクタ(12)の遠位端構成は、アンビル(18)の遠位端とカートリッジ(37)の遠位端との間に間隙を提供する。この間隙は、各マーチング工程の開始時に、エンドエフェクタ(12)の遠位端を進入させる組織の非外傷性空間を提供することによって、マーチングを容易にし得る。
【0031】
上記のように、エンドエフェクタ(212)の遠位端構成は、エンドエフェクタ(12)の遠位端構成とは異なり、エンドエフェクタ(212)の様々な構成が、改善された可視化、操作性、及び/又は組織採取効果などの様々な潜在的利点を提供する。しかしながら、エンドエフェクタ(212)の全ての構造が剛性である変形形態では、アンビル(218)が下部つかみ具(216)に向かって閉鎖されるにつれて、アンビル(218)と下部つかみ具(216)との間の空間内に採取されない組織に対して、最遠位先端(219)が外傷を与え得るので、アンビル(218)の最遠位先端(219)の屈曲した構成が、マーチング操作に対してそれ自体が良好に役立たない場合がある。したがって、エンドエフェクタ(212)の全ての構造が剛性である変形形態では、エンドエフェクタ(212)は、切断され、かつステープル留めされる組織の全てが最遠位先端(219)の近位に採取される切断及びステープル留め操作(例えば、血管横切開)に最も好適であり得る。
【0032】
上記を考慮すると、そうでない場合に、完全に剛性な変形形態のエンドエフェクタ(212)と関連付けられ得る外傷のリスクの増加をもたらすことなく、エンドエフェクタ(12)のマーチング能力、改善された視認性、操作性、及びエンドエフェクタ(212)に関連付けられた組織採取能力を提供するエンドエフェクタ(12、212)の変形形態を提供することが望ましい場合がある。以下では、エンドエフェクタ(12、212)のそのような変形形態のいくつかの単なる例示的な例を説明する。以下の例では、アンビルは、遠位先端(219)のような屈曲又は角度付き構成をとるように弾性的に付勢された遠位先端を有し、更に、弾性的に付勢された遠位先端は、遠位先端に対する十分な荷重に応答して、下部つかみ具から離れる方向に偏向可能である。変形可能な先端を提供することは、組織を通して手術部位へとナビケートするという観点から、操作性についての更なるレベルの便益を提供することができる。このようにして、変形可能な先端は、偏向又は変形して、特にマーチング操作中に、組織を通るエンドエフェクタの平滑かつ非外傷的な運動を促進することができる。
【0033】
III.配置先端部を有するエンドエフェクタを含む第2の例示的な外科用器具
図11は、例示的なエンドエフェクタ(312)及び例示的な配置先端部(314)を有する第2の例示的な器具(310)を示す。器具(310)は、シャフト(322)がハンドル部分(320)から選択的に取り外し可能であり、かつハンドル部分(320)に選択的に取り付け可能であるようなモジュール式構成を有してもよい。器具(310)は、器具(310)の操作性及び使用方法が、器具(10)について上述したものと同じであるように器具(10)と同様に構成されており、モジュール式構成を有するという器具(310)の追加の特徴を有する。そのモジュール式構成により、器具(310)は、所望のエンドエフェクタを変更する方法を提供する。器具(310)のモジュール式構成を提供するように動作可能な機構は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2017年3月30日に発行された米国特許出願公開第2017/0086823号、名称「Surgical Stapling Instrument with Shaft Release,Powered Firing,and Powered Articulation」、及び/又は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2018年3月13日に発行された米国特許第9,913,642号、名称「Surgical Instrument Comprising a Sensor System」、の教示の少なくとも一部に従って提供されてもよい。いくつかの他の変形形態では、シャフト(322)は、ハンドル部分(320)から取り外し可能ではない。
【0034】
エンドエフェクタ(312)は、ハンドル部分(320)から取り外し可能なシャフト(322)上に設けられている。エンドエフェクタ(312)は、組織を圧縮し、ステープル留めし、かつ切断するように動作可能である。エンドエフェクタ(312)は、図1に示すエンドエフェクタ(12)の代わりに使用されてもよい。一部の変形形態においては、エンドエフェクタ(312)は、シャフト(322)と一体形成されてもよく、代替として、別々に形成され、続いて組み合わされてもよい。一部の変形形態においては、エンドエフェクタ(312)は、ロボットシステムで使用するために提供されてもよい。このようなロボットシステムでは、以下のエンドエフェクタ(312)のいずれかを有するモジュール式シャフト(322)は、本体を含む、ロボットシステムの構成要素によって、ハンドル部分(320)が交換されるように、使用するためにロボットシステムの一部に取り付け可能であってもよい。以下の配置先端部(314)のいずれかを有するエンドエフェクタ(312)を、ユーザーが操作するか又はロボットが操作する器具に組み込む他の方法が当業者には明らかであろう。
【0035】
配置先端部(314)は、非偏向位置から偏向位置へと弾性的に変形するように動作可能である。配置先端部(314)は、エンドエフェクタ(312)が組織をクランプしていないときには非偏向位置をとる。より具体的には、この非偏向位置では、エンドエフェクタ(312)は、図11に示すように開放構成にあってもよく、又はエンドエフェクタ(212)に対して図8及び図9に示すように閉鎖構成にあってもよい。エンドエフェクタ(312)がこの非偏向位置にある場合、エンドエフェクタ(312)は、非荷重状態又は非荷重位置にあると考えることができる。逆に、エンドエフェクタ(312)が組織をクランプしている偏向位置(図示せず)では、エンドエフェクタ(312)は、荷重状態又は荷重位置にあると考えることができる。偏向位置では、配置先端部(314)の少なくとも一部分が上方に偏向する。配置先端部(314)の偏向位置は、一部の変形形態においては、実質的に真っ直ぐであってもよいが、他の変形形態においては、ある程度(例えば、長手方向(LA1)の僅か上に又は僅か下に)偏向されてもよい。配置先端部(314)に対する偏向位置は、対応する下部つかみ具(316)とアンビル(318)との間に捕捉されている組織の特性(例えば、厚さ、密度など)によって画定されてもよく、それにより配置先端部(314)の偏向を引き起こすことを理解すべきである。いくつかの変形形態では、配置先端部(314)は、荷重に応じて偏向することがない。
【0036】
図11は、第3の例示的なエンドエフェクタ(312)及び第1の例示的な配置先端部(314)を備える外科用ステープラとして構成された外科用器具(310)を示す。エンドエフェクタ(312)は、上部つかみ具及び下部つかみ具(316)を含み、上部つかみ具は、アンビル(318)を含む。器具(310)は加えて、ハンドル部分(320)として示される本体と、ハンドル部分(320)から延在するシャフト(322)と、を含む。図11に示すように、シャフト(322)は、エンドエフェクタ(312)のエンドエフェクタ軸線(EEA1)と同一直線上にある長手方向軸線(LA1)を画定するが、エンドエフェクタ(312)が関節動作ジョイント(323)を使用してシャフト(322)に対して関節運動しているときは、同一直線上になく、代わりに角度が付けられていてもよい。
【0037】
配置先端部(314)は、アンビル(318)の遠位端(321)又は下部つかみ具(316)の遠位端のうちの少なくとも一方に隣接して位置している。図11に示すように、配置先端部(314)は、アンビル(318)の遠位端(321)と連結されている。配置先端部(314)は、アンビル(318)と恒久的に連結されてもよく、又は代替として、配置先端部(314)は、アンビル(318)と取り外し可能に連結されてもよい。配置先端部(314)は、一体型部品として、アンビル(318)と一緒に一体形成されてもよく、又は別個に形成された構成要素からなってもよい。配置先端部(314)は、ステープルカートリッジ(324)と同じつかみ具上に、又はアンビル(318)と同じつかみ具上に位置付けられてもよい。図11に示すように、上部つかみ具は、アンビル(318)を含み、一方、下部つかみ具(316)は、ステープルカートリッジ(324)と取り外し可能に連結される。しかしながら、この関係は、必要に応じて反転されてもよい。ステープルカートリッジ(324)は、ステープルカートリッジ(37)と同様の形態で、1つ以上のステープルを保持するように構成されている。ステープルカートリッジは、角度付き遠位部分(326)を含む。前述したように、アンビル(318)又は下部つかみ具(316)のうちの少なくとも一方は、開放構成と閉鎖構成との間で、アンビル(318)又は下部つかみ具(316)の他方に対して移動可能である。図示したように、アンビル(318)は、器具(10)に関して上述したようなアンビル(18)と同様に、下部つかみ具(316)に向かって枢動可能に回転する。このようにして、エンドエフェクタ(312)は、横方向に偏向された構成及び配置先端部(314)の変形性を除いて、エンドエフェクタ(12)と同様である。
【0038】
IV.外科用ステープラ用の例示的なバットレス組立体
いくつかの場合では、ステープル(47)によってもたらされる組織の機械的締結を補強するため、エンドエフェクタ(12、212、312)にバットレス材料を備え付けることが望ましい場合がある。このようなバットレスは、適用されたステープル(47)が組織から抜け出ることを防止することができ、そうしない場合に生じる、ステープル(47)の適用部位又はその付近において組織が裂けるリスクを、低減させることができる。ステープル(47)のラインに構造的支持及び一体性を提供することに加えて又はそれに代えて、バットレスは、空隙又は間隙の充填、治療薬の投与、及び/又は別の効果などの、様々な他の種類の効果を提供し得る。いくつかの場合では、バットレスは、ステープルカートリッジ(37)の上部デッキ(72)上に設けられてもよい。上述したように、デッキ(72)は、ステープルドライバ(43)によって駆動されるステープル(47)を収納する。いくつかの他の場合では、バットレスは、ステープルカートリッジ(37、237、324)に面するアンビル(18、218、318)の表面上に設けられる場合もある。第1のバットレスがステープルカートリッジ(37、237、324)の上部デッキ(72)上に設けられ得る一方で、第2のバットレスが同じエンドエフェクタ(12、212)のアンビル(18、218、318)上に設けられることも理解すべきである。バットレスが取り得る様々な形の例を、以下により詳細に記載する。バットレスがステープルカートリッジ(37、237、324)又はアンビル(18、218、318)に固定され得る様々な方法についても、以下で詳細に述べる。例示的なバットレス組立体、バットレス組立体を適用するための例示的な材料及び技術、並びに例示的なバットレスアプライヤカートリッジは、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2017年3月2日に出願された米国特許出願公開第2017/0055981号、名称「Method of Applying a Buttress to a Surgical Stapler End Effector」の少なくとも一部の教示に従って構成されてもよい。
【0039】
A.外科用ステープラ用のバットレス組立体の例示的な構成
図12は、基本的構成の例示的な一対のバットレス組立体(410、412)を示す。本実施例のバットレス組立体(410)は、バットレス本体(414)と、上部接着層(416)と、を備える。同様に、バットレス組立体(412)は、バットレス本体(418)と、下部接着層(420)と、を備える。本実施例では、それぞれのバットレス本体(414、418)は、ステープル(447)のラインを構造的に支持するように構成された、強固でありながらも可撓性を有する材料を含む。あくまで一例として、各バットレス本体(414、418)は、Ethicon,Inc.(Somerville,New Jersey)によるポリグラクチン910材料のメッシュを含み得る。代替として、それぞれのバットレス本体(414、418)を形成するために、ポリグラクチン910材料に加えて又はそれに代えて、任意の他の好適な材料又は材料の組み合わせが使用されてもよい。
【0040】
それぞれのバットレス本体(414、418)は、例えば、血液を凝固させることを支援し、かつ組織(T、T)に沿った切断及び/又はステープル留めされた手術部位における出血を低減するための、フィブリンなどの止血剤を含む材料を含み得る。別の単なる例示的な実施例として、それぞれのバットレス本体(414、418)が、血液を凝固させ、かつ手術部位における出血量を低減させることを支援し得るように、それぞれのバットレス本体(414、418)は、他の添加剤を含んでもよく、又はトロンビンなどの止血剤を含んでもよい。それぞれのバットレス本体(414、418)に組み入れられ得る他の添加剤又は試薬として、薬液又はマトリックス成分を更に挙げることができるが、これらに限定されない。それぞれのバットレス本体(414、418)を形成するために使用され得る材料、並びに、そうでない場合に、それぞれのバットレス本体(414、418)の中に組み入れられ得る材料の単なる例示的な実施例が、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2016年9月29日に発行された米国特許出願公開第2016/0278774号、名称「Method of Applying a Buttress to a Surgical Stapler」に開示されている。あるいは、任意の他の好適な材料が使用され得る。
【0041】
本実施例では、バットレス本体(414)をアンビル(18)の下面(424)に接着するために、接着層(416)がバットレス本体(414)上に設けられる。同様に、バットレス本体(418)をステープルカートリッジ(37)の上部デッキ(72)に接着するために、接着層(420)がバットレス本体(418)上に設けられる。そのような接着材料は、エンドエフェクタ(12)の作動前及び作動中におけるバットレス本体(414、418)の適切な位置付けをもたらし、次いで、バットレス本体(414、418)のその後の適切な機能を損なうのに実質的に十分な損傷をバットレス本体(414、418)に引き起こすことなく、エンドエフェクタ(12)が作動された後に、バットレス本体(414、418)をエンドエフェクタ(12)から分離させることを可能にし得る。接着層(416、420)を形成するために使用され得る様々な好適な材料の例が、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2016/0278774号に開示されている。
【0042】
B.外科用ステープラにバットレスを接着するための例示的な材料及び技法
図13A図13Cは、バットレス組立体(410、412)を装填されたエンドエフェクタ(12)が作動されて、2つの対向する組織層(T、T)を通してステープル(47)を駆動し、バットレス組立体(410、412)がステープル(47)によって同じ組織層(T、T)に固定されるシーケンスを示す。具体的には、図13Aは、アンビル(18)とステープルカートリッジ(37)との間に位置付けられた組織層(T、T)を示し、アンビル(18)は、開放位置にある。バットレス組立体(410)は、接着層(416)を介してアンビル(18)の下面(424)に接着されており、バットレス組立体(412)は、接着層(420)を介してステープルカートリッジ(37)の上部デッキ(72)に接着されている。したがって、組織層(T、T)は、バットレス組立体(410、412)の間に置かれている。次に、閉鎖トリガー(26)を、ピストル把持部(24)に向けて枢動させて、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(33)を遠位方向に駆動する。これにより、図13Bに示すように、アンビル(18)が閉鎖位置へと駆動される。この段階において、バットレス組立体(410、412)が、組織層(T、T)の対向する表面を係合して、組織層(T、T)がアンビル(18)とステープルカートリッジ(37)との間で圧迫される。次いで、上述のようにエンドエフェクタ(12)が作動され、バットレス組立体(410、412)及び組織(T、T)を通してステープル(47)を駆動する。図13Cに示すように、駆動されたステープル(47)のクラウン部(422)は、組織層(T)に対してバットレス組立体(412)を捕捉し、かつ保持する。ステープル(47)の変形した脚部(426)が、組織層(T)に対してバットレス組立体(410)を捕捉し、かつ保持する。
【0043】
一連のステープル(47)が同様に、組織層(T、T)に対してバットレス組立体(410、412)を捕捉し、かつ保持することにより、図14に示すように、バットレス組立体(410、412)が組織(T、T)に固定されることになる。ステープル(47)及びバットレス組立体(410、412)が配置された後に、エンドエフェクタ(12)が組織(T、T)から引き離されるにつれて、バットレス組立体(410、412)はエンドエフェクタから係合解除され、それにより、バットレス組立体(410、412)は、ステープル(47)によって組織(T、T)に固定されたままになる。したがって、バットレス組織(T、T)が、ステープル(47)のラインに構造的な補強をもたらす。図14でも分かるように、遠位に示される、発射ビーム(14)の切断縁部(48)はまた、バットレス組織組立体(410、412)の中央線を通って切断し、それぞれのバットレス組立体(410、412)を対応する一対の部分に分離し、それによりそれぞれの部分は組織(T、T)の対応する切断領域に固定されたままである。
【0044】
C.アクティブリテーナアームを備える第1の例示的なバットレスアプライヤカートリッジ
エンドエフェクタ(12)は、1回の外科手術における器具(10)の使用中に何度も作動され得るため、操作者がこの1回の外科手術中に繰り返しかつ簡単にバットレス組立体(410)をアンビル(18)の下面(424)上に装填できるようにすることが望ましい場合がある。図15図17Bは、バットレス組立体(410、412)を支持し、かつ保護するために使用され得る第1の例示的なバットレスアプライヤカートリッジ(510)を示す。バットレス組立体(410、412)をエンドエフェクタ(12)に簡単に装填するために、カートリッジ(510)もまた使用され得る。図15及び図16で最もよく分かるように、この実施例のカートリッジ(510)は、開放端部(512)及び閉鎖端部(514)を備える。以下で更に詳細に説明するように、開放端部(512)は、エンドエフェクタ(12)を受容するように構成されている。カートリッジ(510)は、それぞれが全体として「U」字形状を画定して開放端部(512)を呈する第1のハウジング(516a)及び第2のハウジング(516b)を更に含む。プラットフォーム(518)及びスレッド保持具(520)が、第1のハウジング(516a)と第2のハウジング(516b)との間に置かれている。
【0045】
本実施例のプラットフォーム(518)は、プラットフォーム(518)の一方の側で一対のバットレス組立体(410)を、プラットフォーム(518)のもう一方の側で別の一対のバットレス組立体(412)を支持するように構成されている。プラットフォーム(518)は、第1のハウジング(516a)及び第2のハウジング(516b)の「U」字構成のプロングの間に形成された凹部において露出されている。それぞれのバットレス組立体(410、412)は、それぞれ、アンビル(18)及びステープルカートリッジ(37)のスロット(42、49)を横切って広がることを回避するために分離された対応する一対の部分として提供されているが、プラットフォーム(518)は、アンビル(18)及びステープルカートリッジ(37)のスロット(42、49)を横切って一体として広がる、幅広型のバットレス組立体(410、412)をも、それぞれ、同様に簡単に支持し得る。より具体的には、プラットフォーム(518)の外縁は、第1のハウジング(516a)及び第2のハウジング(516b)に更に係合する隆起部の形態の保持機構(530)を含んで、プラットフォーム(518)が、第1のハウジング(5161)及び第2のハウジング(516b)に対してスライドすることを防止している。
【0046】
第1のハウジング(516a)及び第2のハウジング(516b)は、カートリッジ(510)の使用中に、操作者がカートリッジ(510)を把持することを促進するように構成されている幾何学的表面形状を有する一体になった把持機構(522)を含む。インジケータプレート(524)が、第1のハウジング(516a)及び第2のハウジング(516b)内に形成された窓部(526)に対応するように位置付けられ、それにより、インジケータプレート(524)は、様々な時間において窓部(526)を通して視認可能である。本実施例のアーム(528)は、バットレス組立体(410、412)をプラットフォーム(518)に選択的に固定するように構成されている。本実施例では、アーム(528)は弾性であり、したがって、バットレス組立体(410、412)を弾性的に支持し、それによりバットレス組立体(410、412)をプラットフォーム(518)に対して挟み込むように構成されている。バットレスアプライヤカートリッジ(510)は、先細りカム表面(532)及びハウジング係合機構(534)を含む。図16で最もよく分かるように、ハウジング係合機構(534)は、第1のハウジング(516a)及び第2のハウジング(516b)の対応する表面と係合するように位置付けられている。図15及び図16に示すように、第1のハウジング(516a)及び第2のハウジング(516b)は、近位ガイド機構(536)及び遠位ガイド機構(538)を含む。ガイド機構(536、538)は、エンドエフェクタ(40)をカートリッジ(510)と適切に整列させることを支援するように構成されている。本実施例では、ガイド機構(536、538)は、第1のハウジング(516a)及び第2のハウジング(516b)の一体として形成された機構である。
【0047】
図17Aは、リテーナアーム(528)がバットレス組立体(410、412)をプラットフォーム(518)に対して保持するように位置付けられている構成にあるカートリッジ(510)を示し、図17Bは、リテーナアーム(528)がバットレス組立体(410、412)をプラットフォーム(518)から解放するように位置付けられている構成にあるカートリッジ(510)を示す。図17A及び図17Bは、プラットフォーム(518)上のバットレス組立体(410)のみを示しているが、バットレス組立体(412)が、同一の方式でプラットフォーム(518)上に保持され、プラットフォーム(518)から解放される。カートリッジ(510)を使用してエンドエフェクタ(12)を装填するために、操作者は最初に、図17Aに示すようにエンドエフェクタがカートリッジ(510)の開放端部(512)と整列するように、カートリッジ(510)及びエンドエフェクタ(12)を位置付けるであろう。操作者は次いで、図17Bに示すように、エンドエフェクタ(12)を遠位側に前進させて(かつ/又はカートリッジ(510)を近位側に後退させて)、プラットフォーム(518)及びバットレス組立体(410、412)をアンビル(18)とステープルカートリッジ(37)との間に位置付ける。これにより、最終的には図17Aに示す構成配置が得られることになる。
【0048】
V.例示的なバットレスアプライヤカートリッジ
バットレス組立体(410、412)をエンドエフェクタ(212、312)と共に使用することが望ましい場合がある。しかしながら、エンドエフェクタ(212、312)は、湾曲した遠位先端(219、314)を有するため、カートリッジ(510)を使用して、バットレス組立体(410、412)をエンドエフェクタ(212、312)上に装填することは困難又は非実用的であり得る。したがって、湾曲した遠位先端(219、314)を収容し、それにより、エンドエフェクタ(212、312)上へのバットレス組立体(410、412)の装填を容易にする、修正形態のカートリッジ(510)を提供することが望ましい場合がある。このようなバットレスアプライヤカートリッジ(610、710)の例を以下に説明する。バットレスアプライヤカートリッジ(610、710)は、エンドエフェクタ(312)との関連で説明されているが、バットレスアプライヤカートリッジ(610、710)はまた、エンドエフェクタ(212)、及び湾曲した又は偏向した遠位先端部分を有する他のエンドエフェクタと共に使用されてもよい。
【0049】
A.第2の例示的なバットレスアプライヤカートリッジ
図18図20Bは、バットレス組立体(410、412)を支持し、かつ保護するために使用され得る第2の例示的なバットレスアプライヤカートリッジ(610)を示す。バットレスアプライヤカートリッジ(610)はまた、バットレス組立体(410、412)をエンドエフェクタ(312)に簡単に装填するために使用され得る。図18に示すように、バットレスアプライヤカートリッジ(610)は、開放端部(612)及び閉鎖端部(614)を含む。開放端部(612)は、図17A及び図17Bに示すバットレスアプライヤカートリッジ(510)と類似の方法で、エンドエフェクタ(312)を受容するように構成されている。バットレスアプライヤカートリッジ(610)は、器具(310)、エンドエフェクタ(312)、配置先端部(314)、下部つかみ具(316)、アンビル(318)、及びステープルカートリッジ(324)に関連して以下に記載され示されるが、原理は、下部つかみ具(216)、アンビル(218)、遠位先端(219)、及びステープルカートリッジ(37)を含むエンドエフェクタ(212)などの、湾曲した遠位先端を有する他の器具にもまた適用可能である。
【0050】
引き続き図18を参照すると、バットレスアプライヤカートリッジ(610)は、第1のハウジング(616a)及び第2のハウジング(616b)を含み、それぞれが概ね「U」字形を画定して開放端部(612)を呈している。第1のハウジング(616a)及び第2のハウジング(616b)は、外科用ステープラ(310)のエンドエフェクタ(312)の一部分を受容するように構成された間隙(G)を画定している。第1のハウジング(616a)及び第2のハウジング(616b)は、プラットフォーム(618)を受容する。第1のハウジング(616a)は、近位部分(620a)及び遠位部分(622a)を含む一方で、第2のハウジング(616b)は、近位部分(620b)及び遠位部分(622b)を含む。図示するように、第1のハウジング(616a)及び第2のハウジング(616b)は、プラットフォーム(618)とは別に形成され、続いてプラットフォーム(618)と連結される。代替として、第1のハウジング(616a)及び第2のハウジング(616b)は、一緒の一体型部品として一体形成され、続いてプラットフォーム(618)と連結されてもよく、代替として、第1のハウジング(616a)及び第2のハウジング(616b)は、プラットフォーム(618)と一緒の一体型部品として一体形成されてもよい。図示するように、第1のハウジング(616a)及び第2のハウジング(616b)並びにプラットフォーム(618)は、プラットフォーム(618)によって概ね画定される平面に対して対称である。換言すれば、図19の空間的向きを使用して、バットレスアプライヤカートリッジ(610)の左側は、バットレスアプライヤカートリッジ(610)の右側に対して対称である。同様に、遠位部分(622a及び622b、630)を示す図20A及び図20Bの空間的向きを使用して、バットレスアプライヤカートリッジ(610)の頂部側は、バットレスアプライヤカートリッジ(610)の底部側に対して対称である。バットレスアプライヤカートリッジ(610)は、必要に応じて非対称であってもよい。
【0051】
プラットフォーム(618)は、プラットフォーム(618)の第1の側(624)(例えば上部側)に対して1つ以上のバットレス組立体(400、410)を、そしてプラットフォーム(618)の第2の側(626)(例えば底部側)に対して1つ以上のバットレス組立体(412)を支持するように構成されている。図示するように、プラットフォーム(618)は、近位部分(628)及び遠位部分(630)を含む。プラットフォーム(618)は、第1のハウジング(616a)と第2のハウジング(616b)との間に配置される。プラットフォーム(618)の一部分は、第1のハウジング(616a)及び第2のハウジング(616b)によって画定される間隙(G)内に配置される。間隙(G)内でのプラットフォーム(618)とバットレス組立体(410、412)との配置により、バットレス組立体(410、412)と手術室内の他のデバイスとの間の偶発的な接触が防止され得る。換言すれば、第1のハウジング(616a)及び第2のハウジング(616b)は、バットレス組立体(410、412)をある程度まで物理的に遮蔽し得る。プラットフォーム(618)の外側部分は、第1のハウジング(616a)と第2のハウジング(616b)との間に捕捉され、それにより、プラットフォーム(618)を、第1のハウジング(616a)及び第2のハウジング(616b)に固定可能に連結することができる。
【0052】
一部の変形形態においては、プラットフォーム(618)は、高い摩擦係数をもたらす材料から形成され、それにより、そうでない場合には、バットレス組立体(410、412)がプラットフォーム(618)の対応する表面に沿ってスライドするいかなる傾向も、低減される。例えば、プラットフォーム(618)は、エラストマー材料及び/又は発泡材料を含み得る。いくつかの事例では、プラットフォーム(618)は、エンドエフェクタ(312)によって圧縮された後に圧縮形状を維持するように構成された圧縮性発泡材料から形成される。あくまで一例として、プラットフォーム(618)は、サントプレーン(Santoprene)、独立気泡ポリウレタン発泡材、任意の他の圧縮性材料、及び/又は幾何学的形状によって圧縮性となり得る材料(例えば、変形可能な起立機構を備えるゴム材料)を含み得る。プラットフォーム(618)を形成するために使用され得る種々の好適な材料及び構造的構成が、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなろう。
【0053】
プラットフォーム(618)の遠位部分(630)又は第1のハウジング(616a)の遠位部分(622a)及び第2のハウジング(616b)の遠位部分(622b)のうちの少なくとも1つは、エンドエフェクタ(312)の第1のつかみ具の湾曲した遠位先端(314)を受容するように構成された1つ以上の空洞を含む。図18図20Bに示すように、第1のハウジング(616a)は、プラットフォーム(618)の第1の側(624)に隣接して配置された第1の空洞(632)を含む。第1の空洞(632)は、閉鎖構成において、湾曲した遠位先端(314)が、ステープルデッキ(例えば、ステープルカートリッジ(37)のステープルデッキ(72))の下方に延在することを可能にする。第1の空洞(632)は、プラットフォーム(618)の上面で終端をなす。図示するように、第1の空洞(632)は、プラットフォーム(618)に対して概ね垂直に延在する。しかしながら、第1の空洞(632)は、プラットフォーム(618)に対して様々な好適な角度で延在してもよい。図示するように、第1の空洞(632)は、プラットフォーム(618)に向かって移動するにつれて増加する断面積を有する。第1の空洞(632)は、エンドエフェクタ(312)の湾曲した遠位先端(314)の外周(OP)を密接して収容するように構成された内壁(634)によって画定される内周(IP)を有する。図示するように、第1の空洞(632)は、間隙(G)の幅全体にわたって延在していない。しかしながら、第1の空洞(632)は、必要に応じて、間隙(G)の幅全体にわたって延在してもよい。図20Bに示すように、エンドエフェクタ(312)の湾曲した遠位先端(314)は、エンドエフェクタ(312)が閉鎖構成にあるとき、プラットフォーム(618)に接して変形するように構成されている。
【0054】
バットレスアプライヤカートリッジ(610)は、対称であるように示されているため、内壁(638)を有する第2の空洞(636)は、プラットフォーム(618)の第2の側(626)に隣接している。図19に示すように、第2の空洞(636)は、プラットフォーム(618)の第2の側(626)において終端をなす。第1の空洞(632)及び第2の空洞(636)は、配置先端部(314)の外周(OP)を受容するように構成された内周(IP)を有するので、第1の空洞(632)及び第2の空洞(636)の具体的な形状及び寸法は、所望の配置先端部(314)に対応するように変化し得る。このように、第2の空洞(636)は、第1の空洞(632)と同様にサイズ決めされ成形されてもよく、又は代替として、所望であれば、第2の空洞(636)が、第1の空洞(632)とは異なる配置先端部を受容するように構成されるように、第1の空洞(632)とは異なってサイズ決めされ、かつ/又は成形されてもよいことが想定される。
【0055】
プラットフォーム(618)の遠位部分(630)又はハウジング(616a及び616b)の遠位部分(622a及び622b)のうちの少なくとも1つは、エンドエフェクタ(312)の第2のつかみ具のステープルカートリッジ(324)の配置を支援するように構成された表面を含む。図19図20Bに示すように、第2のハウジング(616b)は、第1の空洞(632)の対向する側に形成された第1の角度付き表面(640)を含む。第1の角度付き表面(640)は、プラットフォーム(618)の第2の側(626)に隣接して、間隙(G)を横切って延在する。第1の角度付き表面(640)は、プラットフォーム(618)の第2の側(626)に隣接して、エンドエフェクタ(212、312)の第2のつかみ具の配置を支援するように構成されている。より具体的には、第1の角度付き表面(640)は、ステープルカートリッジ(37、324)の配置を支援するように構成されている。図示するように、配置先端部(314)は、ステープルカートリッジ(324)を受容するように構成された下部つかみ具(316)の反対側に配置されたアンビル(318)と連結されている。対向するつかみ具(下部つかみ具(16)及びアンビル(18)など)が閉鎖構成に向かって移動しているとき、第1の角度付き表面(640)は、ステープルカートリッジ(37、33)の遠位角度付き部分(326)に当接している。加えて、第1の角度付き表面(640)は、所望であれば隆起部(642)を含む。
【0056】
図示するように、第1のハウジング(616a)は、第2の空洞(636)の対向する側に形成された第2の角度付き表面(644)を含む。第2の角度付き表面(644)は、プラットフォーム(618)の第1の側(624)に隣接して、間隙(G)を横切って延在する。第2の角度付き表面(644)は、プラットフォーム(618)の第1の側(624)に隣接して、エンドエフェクタ(312)の第1のつかみ具の配置を支援するように構成されている。より具体的には、第2の角度付き表面(644)は、配置先端部(314)の配置を全体的に支援し得る。第2の角度付き表面(644)は、隆起部(646)を含んでもよい。
【0057】
図18図20Bに示すように、第1のバットレス組立体(410)は、プラットフォーム(618)の少なくとも近位部分(628)上に位置付けられている。第1のバットレス組立体(410)は、ハウジング(616a及び616b)によって画定される間隙(G)内に配置される。図19図20Bに示すように、第2のバットレス組立体(412)は、プラットフォーム(618)の第2の側(626)上に位置付けられている。加えて、図15図17Aに関連して示すように、器具(10)を参照したときに、それぞれアンビル(18)及びステープルカートリッジ(37)のスロット(42、49)を横切って一体として広がる、幅広型のバットレス組立体(410、412)を支持するために、バットレス組立体(410、412)は、スロット(42、49)を横切って広がることを回避するために、分離された対応する一対の部分として提供されてもよい。
【0058】
図20A及び図20Bは、カートリッジ(610)を使用して、バットレス組立体(410、412)をエンドエフェクタ(312)に固定する例示的な方法を示す。本方法は、第1及び第2のつかみ具が開放構成にある間に、バットレス組立体(410)がアンビル(318)の下方にあり、バットレス組立体(412)が下部つかみ具(316)のデッキの上方にあるように、バットレスアプライヤカートリッジ(610)のプラットフォーム(618)を、エンドエフェクタ(312)の第1のつかみ具と第2のつかみ具との間に位置付けることを含む。第1の空洞(632)は、そのような位置付け中に湾曲した遠位先端(314)を収容する。この方法はまた、エンドエフェクタ(312)の第1のつかみ具又は第2のつかみ具の一方又は両方をプラットフォーム(618)に向かって駆動させることによって、バットレス組立体(410、412)と係合させることを含む。図20Bに示すように、エンドエフェクタ(312)が閉鎖構成へと移動するとき、エンドエフェクタ(312)の湾曲した遠位先端(314)がプラットフォーム(618)の第1の側(624)に接触し、続いて第1の側(624)に接して湾曲するにつれて、湾曲した遠位先端(314)の角度が変化する。本方法はまた、エンドエフェクタ(312)の第1のつかみ具又は第2のつかみ具の一方又は両方をプラットフォーム(618)から離すように駆動することによって、バットレス組立体(410、412)をプラットフォーム(618)から引き離すことを含む。
【0059】
B.第3の例示的なバットレスアプライヤカートリッジ
図22図23Bは、第3の例示的なバットレスアプライヤカートリッジ(710)を示す。バットレスアプライヤカートリッジ(610)と同様に、本実施例のバットレスアプライヤカートリッジ(710)は、本明細書に記載されるいずれかのエンドエフェクタ(12、312、412)と共に、また本明細書に引用される様々な特許参考文献に記載されている様々な手順のいずれかで使用されてもよい。バットレスアプライヤカートリッジ(710)は、以下に示す差異を除くと、まさにバットレスアプライヤカートリッジ(610)のように構成され、動作可能である。
【0060】
バットレスアプライヤカートリッジ(710)は、開放端部(712)、閉鎖端部(714)、第1のハウジング(716a)、第2のハウジング(716b)、プラットフォーム(718)、近位部分(720)、遠位部分(722)、第1の側(724)、第2の側(726)、近位部分(728)、遠位部分(730)、第1の空洞(732)、内壁(734)、第2の空洞(736)、内壁(738)、第1の角度付き表面(740)、隆起部(742)、第2の角度付き表面(744)、及び隆起部(746)を含む。この目的のため、以下の同様の番号は、上述の同様の特徴を示している。したがって、以下に別途記載される場合を除き、バットレスアプライヤカートリッジ(710)の一定の詳細は以下の記載から省略され、そのような詳細は、バットレスアプライヤカートリッジ(610)についての記載において既に上述されていることが理解される。様々なバットレスアプライヤカートリッジが使用され得る他の好適な方法が、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかになるであろう。
【0061】
図22図23Bに示すように、第1の空洞(732)及び第2の空洞(736)は接続し、したがって、プラットフォーム(718)を完全に貫通して延在している。換言すれば、第1の空洞(732)及び第2の空洞(736)は、プラットフォーム(718)の第1の側(724)及び第2の側(726)を完全に貫通して延在し、カートリッジ(710)の全厚を通過する通路を画定する。プラットフォーム(718)を完全に貫通して延在する第1の空洞(732)及び第2の空洞(736)は、エンドエフェクタ(312)が図23Bに示すように閉鎖構成にあるときに、配置先端部(314)がその湾曲形状を維持し、プラットフォーム(718)に接して変形することがないことを可能にしている。したがって、バットレスアプライヤカートリッジ(710)は、遠位先端(219)又は配置先端部(314)が剛性である変形形態において使用されてもよく、又は遠位先端(219)又は配置先端部(314)が偏向しないことが望ましい変形形態において使用されてもよい。
【0062】
VI.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方式に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの特許請求の範囲の適用範囲をも限定することを目的としたものではない、と理解すべきである。一切の棄権を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の様々な教示は、多くの他の方式で構成及び適用され得ると考えられる。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも、考えられる。したがって、本発明者ら又は本発明者らの利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含むいかなる特許請求の範囲も本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0063】
装置であって、(a)外科用ステープラのエンドエフェクタの一部分を受容するように構成された間隙を画定するハウジングであって、ハウジングは、近位部分及び遠位部分を含む、ハウジングと、(b)プラットフォームであって、プラットフォームの一部分は、ハウジングによって画定された間隙内において露出され、プラットフォームは、近位部分及び遠位部分を含む、プラットフォームと、(c)プラットフォームの少なくとも近位部分上に位置付けられた第1のバットレス組立体であって、第1のバットレス組立体は、ハウジングによって画定された間隙において露出されている、第1のバットレス組立体と、を備え、プラットフォームの遠位部分又はハウジングの遠位部分のうちの少なくとも一方は、エンドエフェクタの湾曲した遠位先端を受容するように構成された空洞を含む、装置。
【実施例2】
【0064】
空洞は、プラットフォームの上面において終端をなし、エンドエフェクタの湾曲した遠位先端は、エンドエフェクタが閉鎖構成にあるとき、プラットフォームに接して変形するように構成されている、実施例1に記載の装置。
【実施例3】
【0065】
空洞は、プラットフォームを完全に貫通して延在し、エンドエフェクタの湾曲した遠位先端は、エンドエフェクタがプラットフォーム上で閉鎖構成にあるとき、その湾曲形状を維持し、プラットフォームに接して変形することがないように構成されている、実施例1~2のうちの任意の1つ以上に記載の装置。
【実施例4】
【0066】
湾曲した遠位先端は、閉鎖構成において、エンドエフェクタの対向するステープルカートリッジのステープルデッキの下方に延在するように構成されている、実施例1~3のうちの任意の1つ以上に記載の装置。
【実施例5】
【0067】
空洞は、プラットフォームに対して垂直に延在し、空洞は、プラットフォームに向かって移動するにつれて増加する断面積を有する、実施例1~4のうちの任意の1つ以上に記載の装置。
【実施例6】
【0068】
空洞の内周は、エンドエフェクタの湾曲した遠位先端の外周を密接して収容するように構成されている、実施例1~5のうちの任意の1つ以上に記載の装置。
【実施例7】
【0069】
空洞は、間隙の幅全体にわたって延在していない、実施例1~6のうちの任意の1つ以上に記載の装置。
【実施例8】
【0070】
装置は、プラットフォームによって画定される平面に対して対称である、実施例1~7のうちの任意の1つ以上に記載の装置。
【実施例9】
【0071】
エンドエフェクタは、対向する第1のつかみ具及び第2のつかみ具を含み、第1のつかみ具は湾曲した遠位先端を含み、第2のつかみ具はステープルカートリッジを含み、プラットフォームの近位部分は、対向する第1のつかみ具と第2のつかみ具との間にあるように構成されている、実施例1~8のうちの任意の1つ以上に記載の装置。
【実施例10】
【0072】
エンドエフェクタは、対向する第1のつかみ具及び第2のつかみ具を含み、第1のつかみ具は湾曲した遠位先端を含み、第2のつかみ具はステープルカートリッジを含み、ハウジングの遠位部分又はプラットフォームの遠位部分は、ステープルカートリッジの遠位角度付き部分に当接するように構成されている第1の角度付き表面を含む、実施例1~9のうちの任意の1つ以上に記載の装置。
【実施例11】
【0073】
プラットフォームは、対向する第1の側及び第2の側を含み、空洞は第1の側に隣接し、第1の角度付き表面は第2の側に隣接し、第1の角度付き表面は、ステープルカートリッジの配置を支援するように構成されている、実施例1~10のうちの任意の1つ以上に記載の装置。
【実施例12】
【0074】
第1のバットレス組立体は、(i)本体と、(ii)接着層であって、接着層は、ハウジングによって画定された間隙において露出されている、接着層と、を含む、実施例1~11のうちの任意の1つ以上に記載の装置。
【実施例13】
【0075】
第2のバットレス組立体を更に備え、第1のバットレス組立体は、プラットフォームの第1の側に位置付けられ、第2のバットレス組立体は、第1の側の反対側に配置された、プラットフォームの第2の側に位置付けられている、実施例1~12のうちの任意の1つ以上に記載の装置。
【実施例14】
【0076】
ハウジングは、一体型部品として、プラットフォームと共に、一緒に一体形成されている、実施例1~13のうちの任意の1つ以上に記載の装置。
【実施例15】
【0077】
ハウジングは、プラットフォームとは別に形成され、続いてプラットフォームと連結される、実施例1~14のうちの任意の1つ以上に記載の装置。
【実施例16】
【0078】
装置であって、(a)外科用ステープラのエンドエフェクタの一部分を受容するように構成された間隙を画定するハウジングであって、ハウジングは、近位部分及び遠位部分を含む、ハウジングと、(b)対向する第1の側及び第2の側を含むプラットフォームであって、プラットフォームの一部分は、ハウジングによって画定された間隙内において露出され、プラットフォームは、近位部分及び遠位部分を含む、プラットフォームと、(c)プラットフォームの第1の側に位置付けられた第1のバットレス組立体であって、第1のバットレス組立体は、ハウジングによって画定された間隙内において露出されている、第1のバットレス組立体と、を備え、プラットフォームの遠位部分又はハウジングの遠位部分のうちの少なくとも一方は、プラットフォームの第1の側に隣接する空洞を含み、空洞は、エンドエフェクタの第1のつかみ具の湾曲した遠位先端を受容するように構成され、プラットフォームの遠位部分又はハウジングの遠位部分のうちの少なくとも一方は、プラットフォームの第2の側に隣接して、間隙を横切って延在する角度付き表面を含み、角度付き表面は、プラットフォームの第2の側に隣接する、エンドエフェクタの第2のつかみ具のステープルカートリッジの配置を支援するように構成されている、装置。
【実施例17】
【0079】
プラットフォームの第2の側に第2のバットレス組立体を更に備え、第2のバットレス組立体は、ハウジングによって画定された間隙において露出されている、実施例1~16のうちの任意の1つ以上に記載の装置。
【実施例18】
【0080】
空洞は、プラットフォームの平坦面において終端をなし、エンドエフェクタの湾曲した遠位先端は、エンドエフェクタが閉鎖構成にあるとき、プラットフォームに接して変形するように構成されている、実施例1~17のうちの任意の1つ以上に記載の装置。
【実施例19】
【0081】
空洞は、プラットフォームを完全に貫通して延在し、エンドエフェクタの湾曲した遠位先端は、エンドエフェクタが閉鎖構成にあるとき、遠位先端の湾曲形状を維持し、プラットフォームに接して変形することがないように構成されている、実施例1~18のうちの任意の1つ以上に記載の装置。
【実施例20】
【0082】
対向する第1のつかみ具及び第2のつかみ具を有するエンドエフェクタにバットレス組立体を固定する方法であって、方法は、(a)第1のつかみ具及び第2のつかみ具が開放構成にある間に、バットレスアプライヤカートリッジのプラットフォームを第1のつかみ具と第2のつかみ具との間に位置付けることであって、プラットフォームは、上にバットレスが配置されている、ことと、(b)第1のつかみ具及び第2のつかみ具の一方又は両方をプラットフォームに向かって駆動させることによって、バットレス組立体を第1のつかみ具及び第2のつかみ具のうちの一方と係合させることであって、バットレスアプライヤカートリッジの遠位部分は、第1のつかみ具又は第2のつかみ具のうちの一方の湾曲した遠位先端を受容するようにサイズ決めされ成形された空洞を含み、湾曲した遠位先端は、閉鎖構成にあるときに、第1のつかみ具又は第2のつかみ具のうちの他方のステープルカートリッジのステープルデッキを越えて延在する、ことと、(c)第1のつかみ具又は第2のつかみ具の一方又は両方をプラットフォームから離すように駆動することによって、バットレス組立体をプラットフォームから引き離すことと、を含む、方法。
【0083】
VII.その他
本明細書に記載の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現要素、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書における教示を鑑みると、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、当業者には直ちに明らかとなろう。このような修正形態及び変形形態は、特許請求の範囲の範囲内に含まれるものとする。
【0084】
本明細書の教示を、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、本願と同日出願の「Method of Applying a Buttress to a Surgical Stapler End Effector」と題する米国特許出願[代理人整理番号END7816USNP5.0630672]の様々な教示と容易に組み合わせることができることもまた理解すべきである。本明細書の教示を、米国特許出願[代理人整理番号END7816USNP5.0630672]の教示と組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には明らかであろう。
【0085】
本明細書の教示を、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、本願と同日出願の「Method of Surgical Stapling with End Effector Component Having a Curved Tip」と題する米国特許出願[代理人整理番号END8115USCIP3.0659198]の様々な教示と容易に組み合わせることができることもまた理解すべきである。本明細書の教示を、米国特許出願[代理人整理番号END8115USCIP3.0659198]の教示と組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には明らかであろう。
【0086】
本明細書の教示を、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、本願と同日出願の「Surgical Stapling End Effector Jaw with Tip Deflecting Toward Other Jaw」と題する米国特許出願[代理人整理番号END8115USCIP2.0659204]の様々な教示と容易に組み合わせることができることもまた理解すべきである。本明細書の教示を、米国特許出願[代理人整理番号END8115USCIP2.0659204]の教示と組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には明らかであろう。
【0087】
本明細書の教示を、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、本願と同日出願の「Surgical Stapling End Effector Component with Tip Having Varying Bend Angle」と題する米国特許出願[代理人整理番号END8115USCIP1.0659200]の様々な教示と容易に組み合わせることができることもまた理解すべきである。本明細書の教示を、米国特許出願[代理人整理番号END8115USCIP1.0659200]の教示と組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には明らかであろう。
【0088】
本明細書の教示を、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、本願と同日出願の「Permanent Attachment Means for Curved Tip of Component of Surgical Stapling Instrument」と題する米国特許出願[代理人整理番号END7578USNP.0658213]の様々な教示と容易に組み合わせることができることもまた理解すべきである。本明細書の教示を、米国特許出願[代理人整理番号END7578USNP.0658213]の教示と組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には明らかであろう。
【0089】
本明細書の教示を、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、本願と同日出願の「Surgical Stapling End Effector Component with Deformable Tip Having Void」と題する米国特許出願[代理人整理番号END8593USNP.0659208]の様々な教示と容易に組み合わせることができることも理解すべきである。本明細書の教示を、米国特許出願[代理人整理番号END8593USNP.0659208]の教示と組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には明らかであろう。
【0090】
本明細書の教示を、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、本願と同日出願の「Surgical Stapling End Effector Component with Deformable Tip Skewing in Multiple Planes」と題する米国特許出願[代理人整理番号END8594USNP.0659212]の様々な教示と容易に組み合わせることができることもまた理解すべきである。本明細書の教示を、米国特許出願[代理人整理番号END8594USNP.0659212]の教示と組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には明らかであろう。
【0091】
本明細書の教示を、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、本願と同日出願の「Surgical Stapling End Effector Component with Articulation and Asymmetric Deformable Tip」と題する米国特許出願[代理人整理番号END8595USNP.0659215]の様々な教示と容易に組み合わせることができることもまた理解すべきである。本明細書の教示を、米国特許出願[代理人整理番号END8595USNP.0659215]の教示と組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には明らかであろう。
【0092】
本明細書の教示を、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、本願と同日出願の「Surgical Stapling End Effector Component with Deformable Tip Having Thick Distal End」と題する米国特許出願[代理人整理番号END8596USNP.0659218]の様々な教示と容易に組み合わせることができることもまた理解すべきである。本明細書の教示を、米国特許出願[代理人整理番号END8596USNP.0659218]の教示と組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には明らかであろう。
【0093】
参照により本明細書に組み込まれると言及されたいかなる特許、公報、又は他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれた内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載される他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる、と理解されなければならない。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示は、参考により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する資料に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0094】
上述の装置の変形形態は、医療専門家により行われる従来の医療処置及び手術における用途のみではなく、ロボット支援された医療処置及び手術における用途をも有することができる。単なる例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込むことができる。
【0095】
上述の装置の変形形態は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、一方又はその両方の場合において、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整されてよい。再調整は、装置の分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、装置のいくつかの変形形態は分解することができ、また、装置の任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、装置のいくつかの変形形態を、再調整用の施設において、又は処置の直前に使用者によってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、装置の再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。このような技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本出願の範囲内にある。
【0096】
単なる例として、本明細書に記載される変形形態は、処置前及び/又は処置後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に配置する。続いて、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、装置上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で周知の他の任意の技術を用いて、装置を滅菌してもよい。
【0097】
以上、本発明の様々な実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。このような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかとなるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきであり、本明細書及び図面において図示され、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして、理解されたい。
【0098】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)外科用ステープラのエンドエフェクタの一部分を受容するように構成された間隙を画定するハウジングであって、前記ハウジングは、近位部分及び遠位部分を含む、ハウジングと、
(b)プラットフォームであって、前記プラットフォームの一部分は、前記ハウジングによって画定された前記間隙内において露出され、前記プラットフォームは近位部分及び遠位部分を含む、プラットフォームと、
(c)前記プラットフォームの少なくとも前記近位部分上に位置付けられた第1のバットレス組立体であって、前記第1のバットレス組立体は、前記ハウジングによって画定された前記間隙において露出されている、第1のバットレス組立体と、を備え、
前記プラットフォームの前記遠位部分又は前記ハウジングの前記遠位部分のうちの少なくとも一方は、前記エンドエフェクタの湾曲した遠位先端を受容するように構成された空洞を含む、装置。
(2) 前記空洞は、前記プラットフォームの上面において終端をなし、前記エンドエフェクタの前記湾曲した遠位先端は、前記エンドエフェクタが閉鎖構成にあるとき、前記プラットフォームに接して変形するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記空洞は、前記プラットフォームを完全に貫通して延在し、前記エンドエフェクタの前記湾曲した遠位先端は、前記エンドエフェクタが前記プラットフォーム上において閉鎖構成にあるとき、前記遠位先端の湾曲形状を維持し、前記プラットフォームに接して変形することがないように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記湾曲した遠位先端は、前記閉鎖構成において、前記エンドエフェクタの対向するステープルカートリッジのステープルデッキの下方に延在するように構成されている、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記空洞は、前記プラットフォームに対して垂直に延在し、前記空洞は、前記プラットフォームに向かって移動するにつれて増加する断面積を有する、実施態様1に記載の装置。
【0099】
(6) 前記空洞の内周は、前記エンドエフェクタの前記湾曲した遠位先端の外周を密接して収容するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記空洞は、前記間隙の幅全体にわたって延在していない、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記装置は、前記プラットフォームによって画定される平面に対して対称である、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記エンドエフェクタは、対向する第1のつかみ具及び第2のつかみ具を含み、前記第1のつかみ具は前記湾曲した遠位先端を含み、前記第2のつかみ具はステープルカートリッジを含み、前記プラットフォームの前記近位部分は、対向する前記第1のつかみ具と前記第2のつかみ具との間に存在するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記エンドエフェクタは、対向する第1のつかみ具及び第2のつかみ具を含み、前記第1のつかみ具は前記湾曲した遠位先端を含み、前記第2のつかみ具はステープルカートリッジを含み、前記ハウジングの前記遠位部分又は前記プラットフォームの前記遠位部分は、前記ステープルカートリッジの遠位角度付き部分に当接するように構成されている第1の角度付き表面を含む、実施態様1に記載の装置。
【0100】
(11) 前記プラットフォームは、対向する第1の側及び第2の側を含み、前記空洞は前記第1の側に隣接し、前記第1の角度付き表面は前記第2の側に隣接し、前記第1の角度付き表面は、前記ステープルカートリッジの配置を支援するように構成されている、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記第1のバットレス組立体は、
(i)本体と、
(ii)接着層であって、前記接着層は、前記ハウジングによって画定された前記間隙において露出されている、接着層と、を含む、実施態様1に記載の装置。
(13) 第2のバットレス組立体を更に備え、前記第1のバットレス組立体は、前記プラットフォームの第1の側に位置付けられ、前記第2のバットレス組立体は、前記第1の側の反対側に配置された、前記プラットフォームの第2の側に位置付けられている、実施態様1に記載の装置。
(14) 前記ハウジングは、一体型部品として、前記プラットフォームと共に、一緒に一体形成されている、実施態様1に記載の装置。
(15) 前記ハウジングは、前記プラットフォームとは別に形成され、続いて前記プラットフォームと連結される、実施態様1に記載の装置。
【0101】
(16) 装置であって、
(a)外科用ステープラのエンドエフェクタの一部分を受容するように構成された間隙を画定するハウジングであって、前記ハウジングは、近位部分及び遠位部分を含む、ハウジングと、
(b)対向する第1の側及び第2の側を含むプラットフォームであって、前記プラットフォームの一部分は、前記ハウジングによって画定された前記間隙内において露出され、前記プラットフォームは、近位部分及び遠位部分を含む、プラットフォームと、
(c)前記プラットフォームの前記第1の側に位置付けられた第1のバットレス組立体であって、前記第1のバットレス組立体は、前記ハウジングによって画定された前記間隙内において露出されている、第1のバットレス組立体と、を備え、
前記プラットフォームの前記遠位部分又は前記ハウジングの前記遠位部分のうちの少なくとも一方は、前記プラットフォームの前記第1の側に隣接する空洞を含み、前記空洞は、前記エンドエフェクタの第1のつかみ具の湾曲した遠位先端を受容するように構成され、
前記プラットフォームの前記遠位部分又は前記ハウジングの前記遠位部分のうちの少なくとも一方は、前記プラットフォームの前記第2の側に隣接して、前記間隙を横切って延在する角度付き表面を含み、前記角度付き表面は、前記プラットフォームの前記第2の側に隣接する、前記エンドエフェクタの第2のつかみ具のステープルカートリッジの配置を支援するように構成されている、装置。
(17) 前記プラットフォームの前記第2の側に第2のバットレス組立体を更に備え、前記第2のバットレス組立体は、前記ハウジングによって画定された前記間隙において露出されている、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記空洞は、前記プラットフォームの平坦面において終端をなし、前記エンドエフェクタの前記湾曲した遠位先端は、前記エンドエフェクタが閉鎖構成にあるとき、前記プラットフォームに接して変形するように構成されている、実施態様16に記載の装置。
(19) 前記空洞は前記プラットフォームを完全に貫通して延在し、前記エンドエフェクタの前記湾曲した遠位先端は、前記エンドエフェクタが閉鎖構成にあるとき、前記遠位先端の湾曲形状を維持し、前記プラットフォームに接して変形することがないように構成されている、実施態様16に記載の装置。
(20) 対向する第1のつかみ具及び第2のつかみ具を有するエンドエフェクタにバットレス組立体を固定する方法であって、前記方法は、
(a)前記第1のつかみ具及び前記第2のつかみ具が開放構成にある間に、バットレスアプライヤカートリッジのプラットフォームを前記第1のつかみ具と前記第2のつかみ具との間に位置付けることであって、前記プラットフォームは、上にバットレスが配置されている、ことと、
(b)前記第1のつかみ具及び前記第2のつかみ具の一方又は両方を前記プラットフォームに向かって駆動させることによって、前記バットレス組立体を前記第1のつかみ具及び前記第2のつかみ具のうちの一方と係合させることであって、前記バットレスアプライヤカートリッジの遠位部分は、前記第1のつかみ具又は前記第2のつかみ具のうちの一方の湾曲した遠位先端を受容するようにサイズ決めされ成形された空洞を含み、前記湾曲した遠位先端は、閉鎖構成にあるときに、前記第1のつかみ具又は前記第2のつかみ具のうちの他方のステープルカートリッジのステープルデッキを越えて延在する、ことと、
(c)前記第1のつかみ具又は前記第2のつかみ具の一方又は両方を前記プラットフォームから離すように駆動することによって、前記バットレス組立体を前記プラットフォームから引き離すことと、を含む方法。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20A
図20B
図21
図22
図23A
図23B