(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】少なくとも1つの抗炎症物質を含む局所使用のための医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20241118BHJP
A61K 31/196 20060101ALI20241118BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20241118BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241118BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241118BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20241118BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20241118BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20241118BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241118BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20241118BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20241118BHJP
A61P 19/04 20060101ALI20241118BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241118BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20241118BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20241118BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241118BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241118BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20241118BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20241118BHJP
A61P 15/08 20060101ALI20241118BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20241118BHJP
A61K 31/216 20060101ALN20241118BHJP
A61K 31/381 20060101ALN20241118BHJP
A61K 31/407 20060101ALN20241118BHJP
A61K 31/192 20060101ALN20241118BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K31/196
A61K9/107
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/32
A61K47/44
A61P29/00
A61P19/02
A61P21/00
A61P19/04
A61P29/00 101
A61P17/00
A61P25/06
A61P19/08
A61P35/00
A61P31/04
A61P3/10
A61P13/00
A61P15/08
A61P1/04
A61K31/216
A61K31/381
A61K31/407
A61K31/192
(21)【出願番号】P 2021514330
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(86)【国際出願番号】 FR2019052116
(87)【国際公開番号】W WO2020058603
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-08-23
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】398057293
【氏名又は名称】ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ブルコート、カトリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】デニス、アリス
(72)【発明者】
【氏名】シグラニ、セヴェリーヌ
【審査官】六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-518486(JP,A)
【文献】特表2012-505189(JP,A)
【文献】特開2004-115525(JP,A)
【文献】特開2012-224550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 45/00
A61K 9/00-9/72
A61K 47/00-47/69
EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その重量の100%当たり、
-60重量%~80重量%のゲル化水相(A1)であって、非ステロイド系抗炎症物質を含むゲル化水相(A1)、
-20重量%~40重量%の脂肪相(A2)であって、
少なくとも1つの油と、
乳化系であって、アルキルポリグリコシド類の組成物、及びアルキルポリグリコシド類と脂肪アルコール類との組成物からなる群の要素から選択される少なくとも1つの乳化用界面活性剤(S1)と、
ポリヒドロキシステアリン酸ポリグリコー
ルから選択される少なくとも1つの乳化用界面活性剤(S2)との組み合わせを含む乳化系と
を含む脂肪相(A2)
を含み、
前記ゲル化水相
(A1)が、その重量の100%当たり、
-0.625重量%~10重量%の架橋型アニオン性高分子電解質(PA)、
-0.625重量%~5重量%の抗炎症物質、
-85重量%~98.75重量%の水
を含み、
前記架橋型アニオン性高分子電解質(PA)が、
その重量の100%当たり、アクリルアミド(ε)とアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム(γ)との架橋コポリマー(モル比(γ)/(ε)が30/70以上90/10以下)を30重量%以上40重量%以下含む自己転相可能な逆ラテックスであり、
前記脂肪相(A2)が、1.25重量%~25重量%の前記乳化系と、75重量%~98.75重量%の前記少なくとも1つの油とを含み、
前記乳化用界面活性剤(S1)が、
その重量の100%当たり、
-10重量%~50重量%の式(VIII)によって表される少なくとも1つのアルキルポリグリコシド組成物(C1):
R
1-O-(G)
x-H (VIII)
[式中、xは1.05~2.5の小数を表し、Gはグルコース残基を表し、及びR1は、基n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコ
シル及びn-ベヘニルからなる群の要素から選択される基を表す]であって、
-和a
1+a
2+a
3+a
4+a
5が1に等しく、且つ
-和a
1+2a
2+3a
3+4a
4+5a
5がxに等しい
ようなそれぞれのモル比率a
1、a
2、a
3、a
4及びa
5の式(VIII
1)、(VIII
2)、(VIII
3)、(VIII
4)及び(VIII
5):
R
1-O-(G)
1-H (VIII
1)
R
1-O-(G)
2-H (VIII
2)
R
1-O-(G)
3-H (VIII
3)
R
1-O-(G)
4-H (VIII
4)
R
1-O-(G)
5-H (VIII
5)
によって表される化合物の混合物からなる組成物
(C1);及び
-90重量%~50重量%の式(IX)の少なくとも1つの脂肪アルコール:
R’
1-OH (IX)
[式中、R’
1は、基n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル及びn-ベヘニルからなる群の要素から選択される基を表し、ここでR’
1はR
1と同じであっても又は異なってもよい]
を含
む組成物(C2)からなる、
油中水滴型エマルションの形態の局所使用のための医薬組成物。
【請求項2】
前記乳化系が、100重量%当たり、12重量%~88重量%の界面活性剤(S1)と12重量%~88重量%の界面活性剤(S2)とを含むことを特徴とする請求項1に記載の局所使用のための医薬組成物。
【請求項3】
前記抗炎症物質が、式(Ia)の2-[2-(2,6-ジクロロフェニル)アミノフェニル]エタン酸(CAS番号=15307-86-5)又はジクロフェナク、
【化1】
のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアンモニウム塩及びN,N,N-トリアルキルアンモニウム塩(これらのアルキル基は各々が1~4個の炭素原子を含む)から選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の局所使用のための医薬組成物。
【請求項4】
前記抗炎症物質が、2-[2-(2,6-ジクロロフェニル)アミノフェニル]エタン酸のナトリウム塩、2-[2-(2,6-ジクロロフェニル)アミノフェニル]エタン酸のジエチルアンモニウム塩
、から選択されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の局所使用のための医薬組成物。
【請求項5】
前記乳化用界面活性剤(S2)が、式(XII):
【化10】
[式中、y
2は2以上50以下の整数を表し、R4は、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、及びZ
2は、式(XIII)の基:
【化11】
(式中、y’
2は0以上10以下、より詳細には1以上10以下の整数を表す)を表し、
及びZ’
2は上記に定義するとおりの式(XIII)の基を表し、ここでZ’
2はZ
2と同じであっても又は異なってもよく、又は水素原子であってもよい]によって表される少なくとも1つのポリヒドロキシステアリン酸ポリグリコールからなることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の局所使用のための医薬組成物。
【請求項6】
前記乳化用界面活性剤(S1)と前記乳化用界面活性剤(S2)との重量比が1/4以上1以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の局所使用のための医薬組成物。
【請求項7】
前記組成物がヒト又は動物の治療への使用を意図することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の局所使用のための医薬組成物。
【請求項8】
局所痛、外傷後の関節、筋肉、腱又は靱帯炎症、限局型軟部組織リウマチ、限局型骨関節炎、過度の日光照射によって引き起こされる日光角化症、急性片頭痛、骨転移に伴う疼痛、悪性リンパ肉芽腫症(ホジキンリンパ腫)が原因の発熱、多剤耐性大腸菌(E.coli)、シャイ・ドレーガー症候群及び真性糖尿病を軽減し及び/又は消失させるための使用に向けた、請求項1~6のいずれか一項に記載の局所使用のための医薬組成物。
【請求項9】
起泡性及び/又は洗浄用界面活性剤、増粘及び/又はゲル化界面活性剤、増粘剤及び/又はゲル化剤、安定剤、皮膜形成化合物、溶媒及び共溶媒、ハイドロトロープ剤、可塑剤、乳白剤、パール光沢付与剤、過脂肪剤、金属イオン封鎖剤、キレート剤、抗酸化剤、芳香剤、精油、保存剤、コンディショニング剤、脱臭剤、無機フィラー又は色素から選択される少なくとも1つ以上の補助化合物を更に含むことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の局所使用のための医薬組成物。
【請求項10】
ポット、ポンプ付きボトル、ワイプ、マスク、経皮装置、パッチ、湿布、圧迫ガーゼ、チューブ、スプレーから選択される形態の装置であって、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの抗炎症物質を含む油中水滴型エマルションの形態の、ヒト又は動物の治療への使用が意図される局所使用のための医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚用医薬組成物及び医薬組成物は、水溶液、エマルション及び粉末の形態であり得る。エマルションは、こうした適用によく使用される水溶性物質及び脂溶性物質の両方を運ぶことが可能なため、好ましい形態である。連続相が親水性相、一般的には水相からなり、且つ分散相が親油性脂肪相からなる水中油滴(O/W)型エマルションと、連続相が親油性脂肪相からなり、且つ分散相が親水性相、一般的には水相からなる油中水滴(W/O)型エマルションとが区別される。
【0003】
本質的に水中油滴型エマルションの方が油中水滴型エマルションよりも安定性が高い;それにも関わらず油中水滴型エマルションには幾つもの利点がある。具体的には、水滴間が分離しているため、微生物が増殖する可能性が低くなる。加えて、連続相が脂肪の場合には、連続相が水性の場合に不可欠な保存剤の使用を回避し又は削減することができる。油中水滴型エマルションは、水中油滴型エマルションよりも低温感受性がはるかに低い。最後に、化粧品的使用のための局所適用について、欧州特許出願公開第1961455 A1号明細書として公開されている欧州特許出願は、油中水滴型エマルションの適用後は油性連続相によって肌の被覆が可能になり、それが持続性のある油性膜を形成することにより肌が脱水及び外部物質から保護され、ひいては乾燥肌を整えることが可能になると開示している。
【0004】
先行技術において油中水滴形態の皮膚科学的エマルションの調製に提案されている解決方法は、用いられているシリコーン誘導体が揮発性で、環境及び使用者に対して有害な影響を及ぼし得るか、又は用いられているシリコーン誘導体の揮発性が低く、ひいては局所適用後に、例えば皮膚がべたつく感覚など、不快な感覚特性を与えるかのいずれかの理由で、満足のいくものではない。加えて、こうした油中水滴型のエマルションは、例えば、特定の非ステロイド系抗炎症物質(即ちNSAIDs)、より詳細にはアリール酢酸(即ちアリールアルカン酸)誘導体及び2-アリールプロピオン酸(即ちプロフェン)など、特定の治療用物質を含むとき、保存中に安定性上の問題を呈し、又は安定した油中水滴形態を実現できないことさえある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このことから進めると、一つの課題は、油中水滴型エマルションの形態の、上記に明らかにした欠点を特徴としない、周囲温度(25℃)及び45℃で最低3ヵ月間保存した後にも均一なままである、且つ、特定の非ステロイド系抗炎症剤(即ちNSAIDs)、より詳細にはアリール酢酸(即ちアリールアルカン酸)誘導体及び2-アリールプロピオン酸(即ちプロフェン)からなる群の要素から選択される物質を活性治療剤として含む新規組成物を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決方法は、
-非ステロイド系抗炎症物質(即ちNSAID)、より詳細にはアリール酢酸(即ちアリールアルカン酸)誘導体及び2-アリールプロピオン酸(即ちプロフェン)を含む60重量%~80重量%のゲル化水相(A1)、
-少なくとも1つの油と、乳化系であって、アルキルポリグリコシド類の組成物、及びアルキルポリグリコシド類と脂肪アルコール類との組成物からなる群の要素から選択される少なくとも1つの乳化用界面活性剤(S1)と、ポリグリセロールエステル類、アルコキシル化ポリグリセロールエステル類、ポリヒドロキシステアリン酸ポリグリコール類、ポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセロール類、及びアルコキシル化ポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセロール類からなる群の要素から選択される少なくとも1つの乳化用界面活性剤(S2)との組み合わせを含む乳化系とを含む20重量%~40重量%の脂肪相(A2)
を含む油中水滴型エマルションの形態の局所使用のための医薬組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
好ましくは、前記局所使用のための組成物は、好ましくは、65重量%~80重量%、更により優先的には68重量%~80重量%の水相(A1)と、好ましくは20重量%~35重量%、更により優先的には20重量%~32重量%の脂肪相(A2)とを含む。
【0008】
場合によっては、本発明に係る局所使用のための組成物は、以下の特徴のうちの1つ以上を有し得る:
-ゲル化水相が、その重量の100%当たり、0.625重量%~10重量%の架橋型アニオン性高分子電解質と、0.625重量%~5重量%の抗炎症物質と、85重量%~98.75重量%の水とを含む;ゲル化水相は、好ましくは0.625重量%~8.5重量%、更により優先的には0.625重量%~7重量%の架橋型アニオン性高分子電解質(PA)と、好ましくは0.625重量%~3.5重量%、更により優先的には0.625%~2%の炎症性物質と、好ましくは88重量%~98.75重量%、更により優先的には91重量%~98.75重量%の水とを含むことが注記される;
-架橋型アニオン性高分子電解質が、25mol%以上の比率の遊離酸形態又は部分的に若しくは完全に塩化した形態の2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸に由来するモノマー単位を含む;
-乳化系が、100重量%当たり、12重量%~88重量%の界面活性剤(S1)と12重量%~88重量%の界面活性剤(S2)とを含む;
-脂肪相(A2)が、1.25重量%~25重量%、より詳細には1.25重量%~20重量%の乳化系と、75重量%~98.75重量%、より詳細には80重量%~98.75重量%、更により詳細には82重量%~98.75重量%の少なくとも1つの油及び任意選択で少なくとも1つの蝋を含む;
-抗炎症物質が、式(Ia)の2-[2-(2,6-ジクロロフェニル)アミノフェニル]エタン酸(CAS番号=15307-86-5)又はジクロフェナク:
【化1】
式(Ib)の2-[2-[2-(2,6-ジクロロアニリノ)フェニル]アセチル]オキシ酢酸(CAS番号=89796-99-6)又はアセクロフェナク、
【化2】
式(Ic1)のRエナンチオマー形態及び式(Ic2)のSエナンチオマー形態の2-(5-ベンゾイルチオフェン-2-イル)プロパン酸(CAS番号=33005-95-7(RS))又はチアプロフェン酸
【化3】
式(Id)の2-[4-(2-メチルプロパ-2-エニルアミノ)フェニル]プロパン酸(CAS番号=39718-89-3)又はアルミノプロフェン、
【化4】
式(Ie)の2-(1,8-ジエチル-4,9-ジヒドロ-3H-ピラノ[3,4-b]インドール-1-イル)酢酸(CAS番号=41340-25-4)又はエトドラク、
【化5】
式(If1)のRエナンチオマー形態及び式(If2)のSエナンチオマー形態の(±)-2-フルオロ-α-メチル-(1,1’-ビフェニル)-4-酢酸又はフルルビプロフェン、(CAS番号=5104-49-4(RS)):
【化6】
式(Ig1)のRエナンチオマー形態及び式(Ig2)のSエナンチオマー形態の2-[4-(2-メチルプロピル)フェニル]プロパン酸又はイブプロフェン、(CAS番号=15687-27-1(RS)):
【化7】
式(Ih)のS(+)エナンチオマー形態(CAS番号=22161-81-5)及びR(-)エナンチオマー形態(CAS番号=56105-81-8)及びラセミ混合物の形態(CAS番号=22071-15-4)の2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオン酸又はケトプロフェン、
【化8】
式(Ii)のS(+)エナンチオマー形態(CAS番号=22204-53-1)又はラセミ混合物の形態(CAS番号=23981-80-8)の6-メトキシ-α-メチル-2-ナフタレン酢酸又はナプロキセン:
【化9】
からなる群の要素のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアンモニウム塩及びN,N,N-トリアルキルアンモニウム塩(これらのアルキル基は各々が1~4個の炭素原子を含む)から選択される、
-抗炎症物質が、2-[2-(2,6-ジクロロフェニル)アミノフェニル]エタン酸のナトリウム塩、2-[2-(2,6-ジクロロフェニル)アミノフェニル]エタン酸のジエチルアンモニウム塩、2-[2-[2-(2,6-ジクロロアニリノ)フェニル]アセチル]オキシ酢酸のナトリウム塩、2-[2-[2-(2,6-ジクロロアニリノ)フェニル]アセチル]オキシ酢酸のジエチルアンモニウム塩、2-[4-(2-メチルプロピル)フェニル]プロパン酸のナトリウム塩、及び2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオン酸のナトリウム塩から選択される;抗炎症物質は、好ましくは2-[2-(2,6-ジクロロフェニル)アミノフェニル]エタン酸のナトリウム塩である。
-乳化用界面活性剤(S1)が、式(VIII)によって表される少なくとも1つのアルキルポリグリコシド組成物(C1):
R1-O-(G)x-H (VIII)
[式中、x、重合度は1.05~2.5の小数を表し、Gはグルコシル基を表すか、又はβ-D-グルコピラノースからヘミアセタールヒドロキシル基を除くと得られるβ-D-グルコピラノシル基を表し、及びR1は、基n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル及びn-ベヘニルからなる群の要素から選択される基を表す]であって、
-和a1+a2+a3+a4+a5が1に等しく、且つ
-和a1+2a2+3a3+4a4+5a5がxに等しい
ようなそれぞれのモル比率a1、a2、a3、a4及びa5の式(VIII1)、(VIII2)、(VIII3)、(VIII4)及び(VIII5):
R1-O-(G)1-H (VIII1)
R1-O-(G)2-H (VIII2)
R1-O-(G)3-H (VIII3)
R1-O-(G)4-H (VIII4)
R1-O-(G)5-H (VIII5)
によって表される化合物の混合物からなる組成物(C1)からなる。
-乳化用界面活性剤(S1)が、その重量の100%当たり、
◆10重量%~50重量%の式(VIII)によって表される少なくとも1つのアルキルポリグリコシド組成物(C1):
R1-O-(G)x-H (VIII)
[式中、xは1.05~2.5の小数を表し、Gはグルコース残基を表し、及びR1は、基n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル及びn-ベヘニルからなる群の要素から選択される基を表す]であって、
・和a1+a2+a3+a4+a5が1に等しく、且つ
・和a1+2a2+3a3+4a4+5a5がxに等しい
ようなそれぞれのモル比率a1、a2、a3、a4及びa5の式(VIII1)、(VIII2)、(VIII3)、(VIII4)及び(VIII5):
R1-O-(G)1-H (VIII1)
R1-O-(G)2-H (VIII2)
R1-O-(G)3-H (VIII3)
R1-O-(G)4-H (VIII4)
R1-O-(G)5-H (VIII5)
によって表される化合物の混合物からなる組成物;及び
◆90重量%~50重量%の式(IX)の少なくとも1つの脂肪アルコール:
R’1-OH (IX)、
[式中、R’1は、基n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル及びn-ベヘニルからなる群の要素から選択される基を表し、ここでR’1はR1と同じであっても又は異なってもよい]
を含む少なくとも1つの組成物(C2)からなる。
-乳化用界面活性剤(S
2)が、式(XII)によって表される少なくとも1つのポリヒドロキシステアリン酸ポリグリコールからなる:
【化10】
[式中、y
2は2以上50以下の整数を表し、R
4は、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、及びZ
2は、式(XIII)の基:
【化11】
(式中、y’
2は0以上10以下、より詳細には1以上10以下の整数を表す)を表し、及びZ’
2は上記に定義するとおりの式(XIII)の基を表し、ここでZ
2’はZ
2と同じであっても又は異なってもよく、又は水素原子であってもよい]。
-乳化用界面活性剤(S1)と乳化用界面活性剤(S2)との重量比が1/4以上1以下、好ましくは1/3以上1以下、更により優先的には1/3以上1/2以下である;
-前記組成物がヒト又は動物の治療への使用を意図する。
-前記組成物が、局所痛、外傷後の関節、筋肉、腱又は靱帯炎症、限局型軟部組織リウマチ、限局型骨関節炎、過度の日光照射によって引き起こされる日光角化症、急性片頭痛、骨転移に伴う疼痛、悪性リンパ肉芽腫症(ホジキンリンパ腫)が原因の発熱、多剤耐性大腸菌(E.coli)、シャイ・ドレーガー症候群及び真性糖尿病を軽減し及び/又は消失させるために使用される。
-前記組成物が、起泡性及び/又は洗浄用界面活性剤、増粘及び/又はゲル化界面活性剤、増粘剤及び/又はゲル化剤、安定剤、皮膜形成化合物、溶媒及び共溶媒、ハイドロトロープ剤、可塑剤、乳白剤、パール光沢付与剤、過脂肪剤、金属イオン封鎖剤、キレート剤、抗酸化剤、芳香剤、精油、保存剤、コンディショニング剤、脱臭剤、無機フィラー又は色素から選択される少なくとも1つ以上の補助化合物を更に含む。本発明に係る組成物は、概して、局所使用、詳細には医薬品的又は皮膚用医薬品的使用のための製剤の分野においてよく使用される賦形剤及び/又は有効成分を含むことができる。
【0009】
本発明との関連において使用することのできる抗炎症物質の中でも、より詳細には、式(Ia)の2-[2-(2,6-ジクロロフェニル)アミノフェニル]エタン酸(CAS番号=15307-86-5)又はジクロフェナク、式(Ib)の2-[2-[2-(2,6-ジクロロアニリノ)フェニル]アセチル]オキシ酢酸(CAS番号=89796-99-6)又はアセクロフェナク、式(Ic1)のRエナンチオマー形態及び式(Ic2)のSエナンチオマー形態の2-(5-ベンゾイルチオフェン-2-イル)プロパン酸(CAS番号=33005-95-7(RS))又はチアプロフェン酸、式(Id)の2-[4-(2-メチルプロパ-2-エニルアミノ)フェニル]プロパン酸(CAS番号=39718-89-3)又はアルミノプロフェン、式(Ie)の2-(1,8-ジエチル-4,9-ジヒドロ-3H-ピラノ[3,4-b]インドール-1-イル)酢酸(CAS番号=41340-25-4)又はエトドラク、式(If1)のRエナンチオマー形態及び式(If2)のSエナンチオマー形態の(±)-2-フルオロ-α-メチル-(1,1’-ビフェニル)-4-酢酸又はフルルビプロフェン、(CAS番号=5104-49-4(RS))、式(Ig1)のRエナンチオマー形態及び式(Ig2)のSエナンチオマー形態の2-[4-(2-メチルプロピル)フェニル]プロパン酸又はイブプロフェン、(CAS番号=15687-27-1(RS))、式(Ih)のS(+)エナンチオマー形態(CAS番号=22161-81-5)及びR(-)エナンチオマー形態(CAS番号=56105-81-8)及びラセミ混合物の形態(CAS番号=22071-15-4)の2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオン酸又はケトプロフェン、式(Ii)のS(+)エナンチオマー形態(CAS番号=22204-53-1)又はラセミ混合物の形態(CAS番号=23981-80-8)の6-メトキシ-α-メチル-2-ナフタレン酢酸又はナプロキセンからなる群の要素のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、N,N-ジメチルアンモニウム塩及びN,N-ジエチルアンモニウム塩を挙げることができる。
【0010】
本発明の主題である局所使用のための組成物(E1)の定義において、「油」は、25℃で水及び液体に不溶性の化合物及び/又は化合物の混合物、より詳細には、
-11~19個の炭素原子を含む直鎖アルカン;
-7~40個の炭素原子を含む分枝アルカン、例えば、イソドデカン、イソペンタデカン、イソヘキサデカン、イソヘプタデカン、イソオクタデカン、イソノナデカン又はイソエイコサン、又はこれらの一部の混合物、例えば、下述の、そのINCI名:C7~8イソパラフィン、C8~9イソパラフィン、C9~11イソパラフィン、C9~12イソパラフィン、C9~13イソパラフィン、C9~14イソパラフィン、C9~16イソパラフィン、C10~11イソパラフィン、C10~12イソパラフィン、C10~13イソパラフィン、C11~12イソパラフィン、C11~13イソパラフィン、C11~14イソパラフィン、C12~14イソパラフィン、C12~20イソパラフィン、C13~14イソパラフィン、C13~16イソパラフィンによって特定されるものなど;
-1つ以上の直鎖又は分枝アルキル基によって任意選択で置換されているシクロアルカン;
-白色鉱油、例えば以下の商品名:Marcol(商標)52、Marcol(商標)82、Drakeol(商標)6VR、Eolane(商標)130、Eolane(商標)150で販売されているものなど;
-ヘミスクアラン(又は2,6,10-トリメチルドデカン;CAS番号:3891-98-3)、スクアラン(又は2,6,10,15,19,23-ヘキサメチルテトラコサン)、水添ポリイソブテン又は水添ポリデセン;
-15~19個の炭素原子を含むアルカン類の混合物であって、前記アルカン類が直鎖アルカン、分枝アルカン及びシクロアルカンである混合物、より詳細には、その重量の100%当たり、重量基準で90%以上100%以下の比率の分枝アルカンと;重量基準で0%以上9%以下、より詳細には5%未満の比率の直鎖アルカンと、重量基準で0%以上1%以下の比率のシクロアルカンとを含む混合物(M1)、例えば商品名Emogreen(商標)L15又はEmogreen(商標)L19で販売されている混合物;
-式(II)の脂肪アルコールエーテル類:
Z1-O-Z2 (II)
[式中、Z1及びZ2は、同じであっても又は異なってもよく、5~18個の炭素原子を含む直鎖又は分枝アルキル基、例えば、ジオクチルエーテル、ジデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ドデシルオクチルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、(1,3-ジメチルブチル)テトラデシルエーテル、(1,3-ジメチルブチル)ヘキサデシルエーテル、ビス(1,3-ジメチルブチル)エーテル又はジヘキシルエーテルを表す];
-式(III)の脂肪酸及びアルコールモノエステル類:
R’1-(C=O)-O-R’2 (III)
[式中、R’1-(C=O)は、8~24個の炭素原子を含む飽和又は不飽和直鎖又は分枝アシル基を表し、及びR’2は、R’1と独立に、1~24個の炭素原子を含む飽和又は不飽和直鎖又は分枝炭化水素系鎖、例えば、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸プロピル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸2-ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ヤシ油脂肪酸メチル、ヤシ油脂肪酸エチル、ヤシ油脂肪酸プロピル、ヤシ油脂肪酸イソプロピル、ヤシ油脂肪酸ブチル、ヤシ油脂肪酸2-ブチル、ヤシ油脂肪酸ヘキシル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸2-ブチル、ミリスチン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸プロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸2-ブチル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸オクチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸プロピル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸2-ブチル、オレイン酸ヘキシル、オレイン酸オクチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸プロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸2-ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸オクチル、イソステアリン酸メチル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸プロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸2-ブチル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸イソステアリルを表す];
-式(IV)及び式(V)の脂肪酸及びグリセロールのジエステル類:
R’3-(C=O)-O-CH2-CH(OH)-CH2-O-(C=O)-R’4 (IV)
R’5-(C=O)-O-CH2-CH[O-(C=O)-R’6]-CH2-OH (V)、
[式中、式(VI)(VII)R’3-(C=O)、R’4-(C=O)、R’5-(C=O)及びR’6-(C=O)は、同じであっても又は異なってもよく、8~24個の炭素原子を含む飽和又は不飽和直鎖又は分枝アシル基を表す];
-式(VI)の脂肪酸及びグリセロールのトリエステル類:
R’7-(C=O)-O-CH2-CH[O-(C=O)-R’’8]-CH2-O-(C=O)-R’’9 (VI)、
[式中、R’7-(C=O)、R’8-(C=O)及びR’9-(C=O)は、同じであっても又は異なってもよく、8~24個の炭素原子を含む飽和又は不飽和直鎖又は分枝アシル基を表す]
-植物油、例えば、フィトスクアラン、甘扁桃油、ココヤシ核油、ヒマシ油、ホホバ油、オリーブ油、菜種油、ピーナッツ油、ヒマワリ油、コムギ胚芽油、トウモロコシ胚芽油、ダイズ油、綿実油、アルファルファ油、ケシ種子油、カボチャ種子油、月見草油、キビ油、オオムギ油、ライムギ油、ベニバナ油、ククイ油、トケイソウ油、ヘーゼルナッツ油、パーム油、シアバター、杏仁油、テリハボク油、キハナハタザオ油、アボカド油、キンセンカ油、花又は野菜に由来する油;
-エトキシル化植物油
を意味する。
【0011】
本発明に係る組成物が蝋を含むとき、蝋は、より詳細には、蜜蝋、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋、オウリキュリー蝋、木蝋、コルク繊維蝋、サトウキビ蝋、パラフィン蝋、亜炭蝋、微晶蝋、ラノリン蝋;オゾケライト;ポリエチレンワックス;シリコーンワックス;植物蝋;周囲温度で固体である脂肪アルコール類及び脂肪酸;周囲温度で固体であるグリセリド類から選択される。
【0012】
好ましくは、本発明に係る組成物は、ヒマシ油、流動パラフィン、カプリン酸/カプリル酸ココイル、ミリスチン酸イソプロピル及びカプリン酸/カプリル酸トリグリセリドからなる群の要素から選択される少なくとも1つの油を含む。
【0013】
本発明に係る組成物の定義において、用語「架橋型アニオン性高分子電解質(PA)」は、水不溶性だが水膨潤性の3次元網目構造の形態の、化学ゲルの生成につながる非直鎖架橋型アニオン性高分子電解質を意味する。
【0014】
好ましくは、架橋型アニオン性高分子電解質は、100mol%当たり、
(a1)-25mol%以上100mol%以下の比率の、遊離酸形態又は部分的に若しくは完全に塩化した形態の2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸に由来するモノマー単位;
(a2)-任意選択で、0mol%超75mol%以下の比率の、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド;メタクリルアミド及びN-イソプロピルアクリルアミドからなる群の要素から選択される少なくとも1つのモノマーに由来するモノマー単位;
(a3)-任意選択で、0mol%超20mol%以下、より詳細には0mol%超15mol%以下、更により詳細には0mol%以上10mol%以下の比率の、アクリル酸(2-ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2,3-ジヒドロキシプロピル)、メタクリル酸(2-ヒドロキシエチル)、メタクリル酸(2,3-ジヒドロキシプロピル)及びビニルピロリドンからなる群の要素から選択される少なくとも1つのモノマーに由来するモノマー単位;
(a4)-任意選択で、0mol%超75mol%以下の比率の、アクリル酸、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及び3-メチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]ブタン酸からなる群の要素から選択される少なくとも1つのモノマーに由来するモノマー単位(前記モノマーのカルボン酸官能基は遊離酸形態、部分的に塩化された形態又は完全に塩化された形態である);
(a5)任意選択で、0mol%超5mol%以下の比率の、式(VII)の少なくとも1つのモノマー:
【化12】
[式中、Rは、8~20個の炭素原子を含む直鎖又は分枝アルキル基を表し、及びnは0以上20以下の整数を表す];
(a6)-0mol%超1mol%以下の比率の、少なくとも1つのジエチレン又はポリエチレン架橋モノマー(AR)に由来するモノマー単位を含み;モノマー単位a1)、a2)、a3)、a4)、a5)及びa6)の前記モル比率の和は100mol%に等しい。
【0015】
本発明の目的上、用語「塩化された」は、モノマー中に存在する酸性官能基がアニオン形態でカチオン、詳細にはナトリウム若しくはカリウムカチオンなどのアルカリ金属塩、又はアンモニウム塩、リジン塩若しくはモノエタノールアミン塩(HOCH2-CH2-NH4
+)などの窒素含有塩基カチオンなどと塩形態で会合していることを指し示す。これらは好ましくはナトリウム塩又はアンモニウム塩である。
【0016】
用語「少なくとも1つのジエチレン又はポリエチレン架橋モノマー(AR)」は、特に、前記架橋型アニオン性高分子電解質(P)の定義においては、メチレンビス(アクリルアミド)、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジアリル尿素、トリアリルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジアリルオキシ酢酸若しくはジアリルオキシ酢酸ナトリウムなどのその塩からなる群の要素から選択されるモノマー、又はこれらの化合物の混合物;及びより詳細には、エチレングリコールジメタクリレート、トリアリルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレート又はメチレンビス(アクリルアミド)から選択されるモノマー又はこれらの化合物の混合物を意味する。
【0017】
本発明の別の詳細な態様によれば、局所使用のための組成物(E1)は、上記に定義したとおりの前記架橋モノマー(AR)が0.5%以下、より詳細には0.25%以下及び最も詳細には0.1%以下のモル比率で使用されることを特徴とする;これはより詳細には0.005mol%以上である。
【0018】
本発明の主題である局所使用のための組成物(E1)に使用される架橋型アニオン性高分子電解質(PA)はまた、錯化剤、連鎖移動剤又は連鎖律速剤などの様々な添加剤も含み得る。
【0019】
本発明の主題である局所使用のための組成物(E1)に使用される架橋型アニオン性高分子電解質(PA)は、当業者に公知のラジカル重合プロセス、例えば、溶液重合、懸濁重合、逆懸濁重合、エマルション重合、逆エマルション重合のプロセス、又は溶媒中での重合後、形成された重合体を沈殿させるステップが続くプロセスを実施することにより調製されてもよい。
【0020】
より詳細な態様によれば、本発明の主題である局所使用のための組成物(E1)に使用される架橋型アニオン性高分子電解質(PA)は、溶媒中での重合後、形成された重合体を沈殿させるステップが続くプロセス、又は逆エマルション重合後、任意選択で濃縮及び/又は微粒化するステップが続くプロセスを実施することにより調製されてもよい。
【0021】
より詳細な態様によれば、本発明の主題である局所使用のための組成物(E1)に使用される架橋型アニオン性高分子電解質(PA)は、上記に記載されるプロセスのうちの1つにより調製されてもよく、連鎖移動剤又は連鎖律速剤の使用が関わり得る。連鎖移動剤又は連鎖律速剤は、より詳細には、次亜リン酸ナトリウム、低分子量アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール又はブタノール、チオール類、例えば2-メルカプトエタノール、硫酸官能基を含む連鎖移動剤、例えばメタリルスルホン酸ナトリウム、又は前記連鎖移動剤の混合物からなる群から選択される。連鎖移動剤又は連鎖律速剤は、より詳細には、使用されるモノマーの総モル数に対して表せば、0.001mol%~1mol%、より詳細には0.001mol%~0.5mol%、及び最も詳細には0.001mol%~0.1mol%のモル比率で使用される。
【0022】
本発明の別の詳細な態様によれば、前記架橋型アニオン性高分子電解質(PA)は、トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)と架橋した、ナトリウム塩又はアンモニウム塩形態で部分的又は完全に塩化した2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸のホモポリマー;トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)と架橋した、ナトリウム塩又はアンモニウム塩形態で部分的又は完全に塩化した2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸とナトリウム塩又はアンモニウム塩形態で部分的又は完全に塩化したアクリル酸とのコポリマー;トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)と架橋した、ナトリウム塩又はアンモニウム塩形態で部分的又は完全に塩化した2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(γ)とナトリウム塩形態で部分的又は完全に塩化したアクリル酸(δ)との30/70以上90/10以下のモル比率(γ)/(δ)のコポリマー;トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)と架橋した、ナトリウム塩形態で部分的又は完全に塩化した2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(γ)と、ナトリウム塩形態で部分的又は完全に塩化したアクリル酸(δ)との40/60以上90/10以下のモル比率(γ)/(δ)のコポリマー;トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)と架橋した、ナトリウム塩形態で部分的又は完全に塩化した2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(γ)と、アクリルアミド(ε)との30/70以上90/10以下のモル比率(γ)/(ε)のコポリマー;トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)と架橋した、ナトリウム塩形態で部分的又は完全に塩化した2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(γ)と、アクリル酸ヒドロキシエチル(ζ)との30/70以上90/10以下のモル比率(γ)/(ζ)のコポリマー;ナトリウム塩又はアンモニウム塩形態で部分的又は完全に塩化した2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸と、アクリルアミドと、ナトリウム塩又はアンモニウム塩形態で部分的又は完全に塩化したアクリル酸との、トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)と架橋したターポリマー;30%以上45%以下のモル比率のナトリウム塩又はアンモニウム塩形態で部分的又は完全に塩化した2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸と、45%以上68%以下のモル比率のアクリルアミドと、2%以上10%以下のモル比率のナトリウム塩又はアンモニウム塩形態で部分的又は完全に塩化したアクリル酸との、トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)と架橋したターポリマー;30%以上45%以下のモル比率のナトリウム塩又はアンモニウム塩形態で部分的又は完全に塩化した2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸と、47%以上68%以下のモル比率のアクリルアミドと、2%以上8%以下のモル比率のナトリウム塩又はアンモニウム塩形態で部分的又は完全に塩化したアクリル酸との、トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)と架橋したターポリマー;60%以上80%以下のモル比率のナトリウム塩又はアンモニウム塩形態で部分的又は完全に塩化した2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸と、15%以上39.5%以下のモル比率のN,N-ジメチルアクリルアミドと、0.5%以上5%以下のモル比率のテトラエトキシル化メタクリル酸ラウリルとの、トリメチロールプロパントリアクリレート及び/又はトリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)と架橋したターポリマー;60%以上80%以下のモル比率のナトリウム塩又はアンモニウム塩形態で部分的又は完全に塩化した2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸と、15%以上39%以下のモル比率のN,N-ジメチルアクリルアミドと、0.5%以上2.5%以下のモル比率のメタクリル酸ラウロイルと、0.5%以上2.5%以下のモル比率のメタクリル酸ステアロイルとの、トリメチロールプロパントリアクリレート及び/又はトリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)と架橋したテトラポリマーからなる群の要素である。
【0023】
乳化用界面活性剤(S1)に関して、上記に定義するとおりの式(VIII)の中で、基R1-O-はサッカリド残基のアノマー炭素を介してGに連結され、そのためアセタール官能基を形成する。
【0024】
詳細な一態様によれば、式(VIII)の定義の中で、x、即ち平均重合度は、1.05以上2.5以下、より詳細には1.05以上2.0以下、及び更により詳細には1.25以上2.0以下の小数を表す。
【0025】
別の詳細な態様によれば、少なくとも1つの乳化用界面活性剤(S1)と少なくとも1つの乳化用界面活性剤(S2)との組み合わせは、その重量の100%当たり、
-12重量%~88重量%の少なくとも1つの乳化用界面活性剤(S
1)であって、その重量の100%当たり、
*10重量%~50重量%の式(VIII)によって表される少なくとも1つのアルキルポリグリコシド組成物(C
1):
R
1-O-(G)
x-H (VIII)
[式中、xは1.05~2.5の小数を表し、Gはグルコース残基を表し、及びR
1は、基n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル及びn-ベヘニルからなる群の要素から選択される基を表す]であって、
-和a
1+a
2+a
3+a
4+a
5が1に等しく、且つ
-和a
1+2a
2+3a
3+4a
4+5a
5がxに等しい
ようなそれぞれのモル比率a
1、a
2、a
3、a
4及びa
5の式(VIII
1)、(VIII
2)、(VIII
3)、(VIII
4)及び(VIII
5):
R
1-O-(G)
1-H (VIII
1)
R
1-O-(G)
2-H (VIII
2)
R
1-O-(G)
3-H (VIII
3)
R
1-O-(G)
4-H (VIII
4)
R
1-O-(G)
5-H (VIII
5)
によって表される化合物の混合物からなる組成物;及び
*90重量%~50重量%の式(IX)の少なくとも1つの脂肪アルコール:
R’
1-OH (IX)
[式中、R’
1は、基n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル及びn-ベヘニルからなる群の要素から選択される基を表し、ここでR’
1はR
1と同じであっても又は異なってもよい]
を含む少なくとも1つの組成物(C
2)からなる乳化用界面活性剤(S
1);
-12重量%~88重量%の少なくとも1つの乳化用界面活性剤(S
2)であって、式(XII):
【化13】
[式中、y
2は2以上50以下の整数を表し、R
4は、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、及びZ
2は、式(XIII)の基:
【化14】
(式中、y’
2は0以上10以下、より詳細には1以上10以下の整数を表す)を表し、及びZ’
2は上記に定義するとおりの式(XIII)の基を表し、ここでZ
2’はZ
2と同じであっても又は異なってもよく、又は水素原子であってもよい]によって表される少なくとも1つのポリヒドロキシステアリン酸ポリグリコールからなる乳化用界面活性剤(S
2)
を含む。
【0026】
別の詳細な態様によれば、本発明に係る組成物は、20℃の温度下にブルックフィールドLVT粘度計を使用して6rpmの速度で測定した動粘度が500mPa.s以上40000mPa.s以下である。
【0027】
本発明の主題はまた、ポット、ポンプ付きボトル、ワイプ、マスク、経皮装置、パッチ、湿布、圧迫ガーゼ、チューブ、スプレーから選択される形態の装置であって、本発明に係る医薬組成物を含む装置でもある。
【0028】
本発明に係る組成物は局所使用が意図され、局所使用が意図される任意のタイプの皮膚用医薬若しくは医薬製剤、又はその他、皮膚と接触させて置かれることが意図される任意のタイプの担体(紙、ワイプ、布、経皮装置等)に組み込まれ得る。
【0029】
表現「局所使用のための」は、それが皮膚用医薬又は医薬製剤の場合のように直接的な適用か、それとも、例えば、布製物品、例えばワイプ、圧迫ガーゼ、パッチ又はパップ剤、又は紙製物品、例えば衛生用途の紙の形態の製品の場合のように間接的な適用かに関わらず、組成物(E1)が皮膚、頭皮又は粘膜への適用により使用されることを意味する。
【0030】
本発明に係る組成物は、エアロゾル装置又は「ポンプ付きボトル」型の装置、チューブ、有孔壁を備えた、例えばグリルを備えた装置、又はボールアプリケータを備えた装置(「ロールオン式」として知られる)に加圧された形態で包装することができる。
【0031】
本発明に係る組成物は、局所使用のための製剤、詳細には医薬製剤又は皮膚用医薬製剤の分野においてよく使用される賦形剤及び/又は有効成分を更に含み得る。
【0032】
補助化合物に関して、本発明に係る組成物と組み合わされてもよい起泡性及び/又は洗剤用アニオン性界面活性剤の中でも、アルキルエーテル硫酸、アルキル硫酸、アルキルアミドエーテル硫酸、アルキルアリールポリエーテル硫酸、モノグリセリド硫酸、α-オレフィンスルホン酸、パラフィンスルホン酸、アルキルリン酸、アルキルエーテルリン酸、アルキルスルホン酸、アルキルアミドスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸、アルキルカルボン酸、アルキルスルホコハク酸、アルキルエーテルスルホコハク酸、アルキルアミドスルホコハク酸、アルキルスルホ酢酸、アルキルサルコシン酸、アシルイセチオン酸、N-アシルタウリン酸、アシル乳酸、N-アシル化アミノ酸誘導体、N-アシル化ペプチド誘導体、N-アシル化タンパク質誘導体、又は脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩又はアミノアルコール塩を挙げることができる。
【0033】
本発明に係る組成物中に任意選択で存在する起泡性及び/又は洗剤用両性界面活性剤の中でも、アルキルベタイン類、アルキルアミドベタイン類、スルタイン類、アルキルアミドアルキルスルホベタイン類、イミダゾリン誘導体、ホスホベタイン類、アンホポリアセテート類及びアンホプロピオネート類を挙げることができる。
【0034】
本発明に係る組成物中に任意選択で存在する起泡性及び/又は洗剤用カチオン性界面活性剤の中でも、特に第4級アンモニウム誘導体を挙げることができる。
【0035】
本発明に係る組成物中に任意選択で存在する起泡性及び/又は洗剤用非イオン性界面活性剤の中でも、より詳細には、直鎖又は分枝飽和又は不飽和脂肪族基を含有し且つ8~12個の炭素原子を含むアルキルポリグリコシド類;ヒマシ油誘導体、ポリソルベート類、ココナツ核アミド類及びN-アルキルアミン類を挙げることができる。
【0036】
本発明に係る組成物中に任意選択で存在する増粘及び/又はゲル化界面活性剤の例としては、
-任意選択でアルキルポリグリコシド類のアルコキシル化脂肪酸エステル類、及び最も詳細には、それぞれ商品名Glucamate(商標)LT及びGlumate(商標)DOE120で販売されている三オレイン酸PEG 120メチルグルコース及びジオレイン酸PEG 120メチルグルコースなど、エトキシル化メチルポリグルコシドエステル類;
-商品名Crothix(商標)DS53で販売されているテトラステアリン酸PEG 150ペンタエリスリチル、又は商品名Antil(商標)141で販売されているオレイン酸PEG 55プロピレングリコールなどのアルコキシル化脂肪酸エステル類;
-商品名Elfacos(商標)T211で販売されているPPG 14ラウレスイソホリルジカルバメート、又は商品名Elfacos(商標)GT2125で販売されているPPG 14パルメス60ヘキシルジカルバメートなど、脂肪鎖ポリアルキレングリコールカルバメート類
を挙げることができる。
【0037】
本発明に係る組成物中に任意選択で存在する乳化用界面活性剤の例としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤を挙げることができる。
【0038】
本発明に係る組成物中に任意選択で存在する乳化用非イオン性界面活性剤の例としては、エトキシル化ヒマシ油及びエトキシル化硬化ヒマシ油、例えば商品名Simulsol(商標)989で販売されている製品;ステアリン酸グリセロール及び5mol~150molのエチレンオキシドを付加したポリ(エトキシル化)ステアリン酸を含む組成物、例えば商品名Simulsol(商標)165で販売されている135molのエチレンオキシドを付加した(エトキシル化)ステアリン酸及びステアリン酸グリセロールを含む組成物;エトキシル化ソルビタンエステル類、例えば商品名Montanox(商標)で販売されている製品;エトキシル化マンニタンエステル類;スクロースエステル類;メチルグルコシドエステル類を挙げることができる。
【0039】
本発明に係る組成物中に任意選択で存在する乳化用アニオン性界面活性剤の例としては、リン酸デシル、商品名Amphisol(商標)で販売されているリン酸セチル、クエン酸ステアリン酸グリセリル;硫酸セテアリル;商品名Sensanov(商標)WRで販売されているリン酸アラキジル/ベヘニル及びアラキジル/ベヘニルアルコール類組成物;石ケン、例えばステアリン酸ナトリウム又はステアリン酸トリエタノールアンモニウム、又は塩化しているN-アシル化アミノ酸誘導体、例えばステアロイルグルタミン酸などを挙げることができる。
【0040】
本発明に係る組成物中に任意選択で存在する乳化用カチオン性界面活性剤の例としては、アミンオキシド類、クオタニウム-82、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、及び文献国際公開第96/00719号パンフレットに記載される界面活性剤及び主に脂肪鎖が少なくとも16個の炭素原子を含むものを挙げることができる。
【0041】
本発明に係る組成物中に任意選択で存在する乳白剤及び/又はパール光沢付与剤の例としては、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール及び12~22個の炭素原子を含む脂肪アルコール類を挙げることができる。
【0042】
本発明に係る組成物中に任意選択で存在するキメ改善剤の例としては、N-アシル化アミノ酸誘導体、例えば商品名Aminohope(商標)LLで販売されているラウロイルリジン、商品名Dryflo(商標)で販売されているコハク酸オクテニルデンプン、商品名Montanov 14で販売されているミリスチルポリグリコシド、セルロース繊維、綿繊維、キトサン繊維、タルク、セリサイト及び雲母を挙げることができる。
【0043】
本発明に係る組成物中に任意選択で存在する溶媒及び共溶媒の例としては、水、有機溶媒、例えば、グリセロール、ジグリセロール、グリセロールオリゴマー類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、水溶性アルコール類、例えば、エタノール、イソプロパノール又はブタノールなど、水と前記有機溶媒との混合物、炭酸プロピレン、酢酸エチル、ベンジルアルコール及びジメチルスルホキシド(DMSO)を挙げることができる。
【0044】
本発明に係る組成物中に任意選択で存在する皮膚透過性を改善する薬剤の例としては、グリコールエーテル類、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(又はトランスクトールP)、オレイン酸などの脂肪酸、グリセロールの脂肪酸エステル類、例えば、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ベヘノイルマクログリセリド類、ポリオキシエチレン-2-ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン-2-オレイルエーテル、テルペン類、例えばD-リモネン、及び精油、例えばユーカリ精油を挙げることができる。
【0045】
本発明に係る組成物中に任意選択で存在する増粘剤及び/又はゲル化剤の例としては、単糖のみからなる多糖、例えば、グルカン類又はグルコースホモポリマー類など、グルコマンノグルカン類(glucomannoglucans)、キシログリカン類、D-マンノース主鎖上のD-ガラクトース単位の置換度(DS)が0~1、より詳細には1~0.25であるガラクトマンナン類、例えば、カシアガム(DS=1/5)、ローカストビーンガム(DS=1/4)、タラガム(DS=1/3)、グアーガム(DS=1/2)又はフェヌグリークガム(DS=1)に由来するガラクトマンナン類などを挙げることができる。
【0046】
本発明に係る組成物中に任意選択で存在する増粘剤及び/又はゲル化剤の例としては、単糖誘導体からなる多糖、例えば、硫酸化ガラクタン類、より詳細にはカラギーナン及び寒天、ウロナン類(uronans)、より詳細には、アルギン、アルギン酸塩及びペクチン、単糖とウロン酸とのヘテロポリマー、より詳細には、キサンタンガム、ジェランガム、アラビアゴム浸出液及びカラヤゴム浸出液、グルコサミノグリカン類などを挙げることができる。
【0047】
本発明に係る組成物中に任意選択で存在する増粘剤及び/又はゲル化剤の例としては、セルロース、セルロース誘導体、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど、ケイ酸塩、デンプン、親水性デンプン誘導体、及びポリウレタン類を挙げることができる。
【0048】
本発明に係る組成物中に任意選択で存在する安定剤の例としては、微晶蝋、より詳細にはオゾケライト、及び塩化ナトリウム又は塩化マグネシウムなどの無機塩類を挙げることができる。
【0049】
本発明に係る組成物と組み合わせることのできる温泉水又は鉱泉水の例としては、少なくとも300mg/lの鉱水化を呈する温泉水又は鉱泉水、詳細には、アベンヌ(Avene)水、ヴィッテル(Vittel)水、ヴィシー(Vichy)流域水、ウリアージュ(Uriage)水、ラ・ロシュ=ポゼ(La Roche-Posay)水、ラ・ブルブール(La Bourboule)水、アンギャン=レ=バン(Enghien-les-Bains)水、サン=ジェルベ=レ=バン(Saint-Gervais-les-Bains)水、ネリ=レ=バン(Neris-les-Bains)水、アルバール=レ=バン(Allevard-les-Bains)水、ディーニュ(Digne)水、メジエール(Maizieres)水、ネイラック=レ=バン(Neyrac-les-Bains)水、ロン=ル=ソーニエ(Lons-le-Saunier)水、ロシュフォール(Rochefort)水、サン・クリスト(Saint Christau)水、レ・フュマード(Les Fumades)水及びテルシ=レ=バン(Tercis-les-Bains)水を挙げることができる。
【0050】
本発明に係る組成物と組み合わせることのできる活性薬剤の例としては、ヒト又は動物対象に有益な効果をもたらす物質又は組成物を挙げることができる。そうした活性薬剤は、例えば、抗体、鎮痛薬、抗炎症薬、サイトカイン、サイトキシン(cytoxin)、成長因子、ホルモン、脂質、オリゴヌクレオチド、ポリマー、多糖類、ポリペプチド、プロテアーゼ阻害薬、ビタミン類、防虫剤、抗生物質又は抗真菌剤であってもよい。
【0051】
本発明に係る組成物と組み合わせることのできる鎮痛剤及び抗炎症剤の例としては、アセトアミノフェン、アスピリン、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸コリン、サリチル酸グリコール、1-メントール、樟脳、メフェナム酸、フルフェナム酸、インドメタシン、protizidic酸、フェンチアザク、トルメチン、チアプロフェン酸、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、クロフェゾン、ペンタゾシン、メピリゾール、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、トリアムシノロン、メドリゾン、プレドニゾロン、フルランドレノリド、プレドニゾン、ハルシノニド、メチルプレドニゾロン、フルドロコルチゾン、コルチコステロン、パラメタゾン及びベタメタゾンを挙げることができる。
【0052】
本発明に係る組成物と組み合わせることのできる防腐剤の例としては、セトリミド、ポビドンヨード、クロルヘキシジン、ヨウ素、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、ニトロフラゾン、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、ヘキサクロロフェン、フェノール、レソルシノール及び塩化セチルピリジニウムを挙げることができる。
【0053】
本発明に係る組成物と組み合わせることのできる殺虫剤の例としては、トリクロルホン、トリフルムロン、フェンチオン、ベンダイオカルブ、シロマジン、ジフルベンズロン、ジシクラニル、フルアズロン、アミトラズ、デルタメトリン、シペルメトリン、クロルフェンビンホス、フルメトリン、イベルメクチン、アバメクチン、アベルメクチン、ドラメクチン、モキシデクチン、ζ-シペルメトリン、ダイアジノン、スピノサド、イミダクロプリド、ニテンピラム、ピリプロキシフェン、フィプロニル、シチオエート、ルフェヌロン、セラメクチン、ミルベマイシンオキシム、クロルピリホス、クマホス、プロペタンホス、α-シペルメトリン、高cisシペルメトリン、イベルメクチン、ジフルベンズロン、シクロジエン、カルバメート及びベンゾイル尿素を挙げることができる。
【0054】
本発明に係る組成物と組み合わせることのできる抗微生物剤の例としては、スルホンアミド類、アミノグリコシド類、例えばネオマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン、カナマイシン、スペクチノマイシン、パロモマイシン、ネチルマイシンなど、ポリペプチド類、セファロスポリン類、オキサゾリジノン類、例えば、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、及びオフロキサシンなどを挙げることができる。
【0055】
本発明に係る組成物と組み合わせることのできる活性薬剤の例としては、ビタミンE、補酵素Q10、L-カルニチン、コリン、葉酸、マグネシウム及びその塩、カプリル酸、リノール酸、ラウリン酸、タウリン、ビタミンC、ビタミンA及びビタミンB群を挙げることができる。
【0056】
本発明に係る上記に定義するとおりの組成物は、以下のステップを含む調製プロセスを実施することにより得られる:
【0057】
ステップa)それを構成する要素全てを所望の比率で混合することにより脂肪相(A2)を調製するステップ。この混合ステップは概して、20℃以上80℃以下、より詳細には25℃以上80℃以下、更により詳細には30℃以上80℃以下の温度で行われる;これは50rpm以上100rpm以下の適度な速度で機械的に撹拌しながら実施される;
【0058】
ステップb)所望の比率のそれを構成する要素全てから水相(A1)を調製するステップ。この混合ステップは概して、20℃以上80℃以下、より詳細には20℃以上60℃以下、更により詳細には20℃以上40℃以下の温度で行われる;これは500rpm以上3000rpm以下の適度な速度で機械的に撹拌しながら実施される。詳細には、ステップb)の終わりに得られる水相(A1)は、20℃においてブルックフィールドLV粘度計を使用して6rpmの速度で測定した動粘度が200mPa.s以上40000mPa.s以下、より詳細には1000mPa.s以上40000mPa.s以下、更により詳細には2000mPa.s以上40000mPa.s以下である;
【0059】
-ステップc)この間に、20℃以上80℃以下、より詳細には20℃以上60℃以下、更により詳細には20℃以上40℃以下の温度において、50rpm以上400rpm以下の適度な速度で機械的に撹拌しながら水相(A1)に脂肪相(A2)を添加し、これにより本発明に係る組成物が得られることになる。
【0060】
以下の例は本発明を説明するが、しかしながらそれを限定するものではない。
【実施例】
【0061】
本発明に係る油中水滴型エマルション及び比較対照の油中水滴型エマルションの調製及び評価
1)油中水滴型エマルションの調製
以下のプロセスを実施することにより、(F1)~(F3)と表す本発明に係る3つの油中水滴型エマルション、及び(F’1)~(F’7)と表す先行技術に係る7つの油中水滴型エマルションを調製する(その構成成分の重量比率は以下の表1に記録し、高分子電解質の重量含有量は重合体固体に対する割合として示す)。
【0062】
脂肪相の構成成分をビーカーに逐次導入し、混合し、温度を20℃に至らせる;混合は、プロペラ型スピンドルを備えた機械的撹拌機を使用して100rpmの速度で実施する。周囲温度においてビーカー内でグリセロール及び水を機械的撹拌機を使用して2000rpmの速度で混合し、次に増粘剤を徐々に加える。均一なゲルの形態の水相を得ることができるまでの間、この撹拌を継続する。アンカー型スピンドルを備えた撹拌機を使用して適度な撹拌速度(75~300rpm)で周囲温度において脂肪相を水性ゲルに一度に加える。次に撹拌を10分間継続し、冷却ステップは不要である。
【0063】
【0064】
【0065】
2 本発明に係る油中水滴型エマルション(F1)~(F3)及び先行技術に係る油中水滴型エマルション(F’1)~(F’7)の特性の実証。
2.1 本発明に係る油中水滴型エマルション(F1)~(F3)及び先行技術に係る油中水滴型エマルション(F’1)~(F’7)の外観及び粘度の特徴付け。
上記に記載したプロセスにより得られたエマルション(F1)~(F3)及び(F’1)~(F’7)を、次に25℃の温度に制御されている隔離された気候室に7日間保存する。この7日の期間が終了した後に、調製した各エマルションの外観(APP)を観察し、各エマルションの動粘度(μ)を測定する(mPas単位)。次にエマルションを、25℃の温度に制御されている同じ隔離された気候室に戻し、最長3ヵ月間保存する。1ヵ月の期間後、気候室から各エマルションを取り出すことにより、各エマルションの外観を観察し、25℃でのその動粘度を25℃で粘度計(ブルックフィールドLVT、速度6)を使用して測定する。
【0066】
上記に記載したプロセスにより得られたこれらの同じエマルション(F1)~(F3)及び(F’1)~(F’7)のアリコートをまた、45℃の温度に制御されている隔離された気候室にも7日間保存する。この7日の期間が終了した後に、調製した各エマルションの外観(APP)を観察し、各エマルションの動粘度(μ)を測定する(mPas単位)。
【0067】
2.2 本発明に係るエマルション(F1)~(F3)及び先行技術に係るエマルション(F’1)~(F’7)の方向の特徴付け。
本発明に係るエマルション(F1)~(F3)及びエマルション(F’1)~(F’7)の導電率(σ)について、25℃の温度に制御されている隔離された気候室における前記エマルションの1日の保存期間後に、TetraCon(商標)96電極を備えたWTWからのLF 196(商標)ブランド導電率計を用いて25℃で測定する。
【0068】
所与のエマルションについて、(σ)≦0.5μS.cm-1の場合、そのエマルションは非導電性と考えられ、従って外相は水相でなく、油相であると考えられる。
【0069】
所与のエマルションについて、(σ)>0.5μS.cm-1の場合、そのエマルションは導電性と考えられ、従って外相は油相でなく、水相であると考えられる。
【0070】
本発明に係るエマルション(F1)~(F3)及びエマルション(F’1)~(F’7)の同じ導電率測定値を25℃で7日後及び3ヵ月後、並びに45℃で7日後に測定する。
【0071】
2.3 本発明に係る油中水滴型エマルション(F1)~(F3)及び先行技術に係る油中水滴型エマルション(F’1)~(F’7)について得られた結果。
第2.1項及び第2.2項に記載される評価方法を、本発明に係る油中水滴型エマルション(F1)~(F3)及び先行技術に係る油中水滴型エマルション(F’1)~(F’7)に適用した。得られた結果は以下の表2に記録する。
【0072】
【0073】
【0074】
2.4 結果の分析
従って本発明に係る油中水滴型エマルション(F1)、(F2)及び(F3)は、
-25℃の温度で3ヵ月間保存した後のその油中水滴形態の安定性;この保存期間後に観察される外観はなおも均一である;
-45℃の温度で7日間保存した後のその油中水滴形態の安定性;この保存期間後に観察される外観はなおも均一である;
-25℃で7日間保存した後にブルックフィールドLV粘度計を用いて25℃及び6rpmの速度で測定される30000mPa.s((F3)について)~40000mPa.s((F1)について)の動粘度値
によって特徴付けられる。
【0075】
エマルション(F’1)及び(F’2)は、ジクロフェナクナトリウムが存在しない点が本発明に係るエマルションと異なるが、25℃の温度で3ヵ月間保存した後及び45℃の温度で7日間保存した後のその油中水滴形態の安定性。
【0076】
配合(F’5)は、1%ジクロフェナクが存在する点のみが配合(F’1)と異なる。
【0077】
配合(F’3)は、1%ジクロフェナクが存在する点のみが配合(F’2)と異なる。
【0078】
しかしながら、(F’5)及び(F’3)は45℃で7日間の保存期間後にもはや油中水滴形態でなく、水中油滴形態をとり、安定性がない。この観察結果は、ジクロフェナクナトリウムの存在によって引き起こされる不安定性を実証しており、配合(F1)、(F2)、及び(F3)の条件下では安定性の問題が解消される。