(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】医薬を安全に分配するためのコンピュータによる経口処方薬投与、関連するシステム、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61J 7/00 20060101AFI20241118BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20241118BHJP
A61M 39/22 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
A61J7/00 A
A61J1/05 315Z
A61M39/22
(21)【出願番号】P 2021569062
(86)(22)【出願日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2020034044
(87)【国際公開番号】W WO2020237075
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-01-19
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-13
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519255115
【氏名又は名称】バークシャー バイオメディカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ボイヤー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティー コーリー
(72)【発明者】
【氏名】リチャード クローネンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン カークパトリック
【合議体】
【審判長】平瀬 知明
【審判官】安井 寿儀
【審判官】近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-526553(JP,A)
【文献】特表2010-516302(JP,A)
【文献】特表2018-536513(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0161753(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0174554(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0118873(US,A1)
【文献】国際公開第2018/132633(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/016150(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 7/00
A61M 11/00- 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象利用者に物質を安全に分配するための要素部材であって、
前記要素部材は、
物質を収容するハウジングと螺合するように構成された第1の構成部材と、
該第1の構成部材に連結された第2の構成部材であって、前記第1の構成部材を前記ハウジングに固定して取り付けるように構成された第2の構成部材と、
該第2の構成部材を選択的に受容する大きさ及び形状の空洞を有する第3の構成部材と、
前記第1の構成部材に連結された弁であって、
前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の前記空洞内に受容されたとき、対象利用者の固有のバイオメトリック属性が検出されたとプロセッサが判定することに応答して、前記物質が前記ハウジングから対象利用者に分配されることを可能にする開状態にあり、前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の前記空洞内に受容されないとき、前記物質が前記ハウジングから分配されることを防止する閉状態にある、弁と、
を備える、要素部材。
【請求項2】
前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の前記空洞内に受容されないときに、前記弁を付勢して閉状態にするように構成された付勢部材を更に含む、請求項1に記載の要素部材。
【請求項3】
前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の前記空洞内に受容されるとき、前記付勢部材が圧縮される、請求項2に記載の要素部材。
【請求項4】
前記第1の構成部材は前記ハウジングのリップ部を回りを囲むように構成された複数のラッチ部分を有し、前記複数のラッチ部分は、前記第1の構成部材が前記ハウジングから軸方向に外れることを防止するように構成されている、請求項1に記載の要素部材。
【請求項5】
前記第2の構成部材は、前記複数のラッチ部分を入れて、前記複数のラッチ部分が半径方向に前記ハウジングの前記リップ部から外れるのを防止するように構成された遠位部分を有する、請求項4に記載の要素部材。
【請求項6】
前記複数のラッチ部分は、前記第1の構成部材の円周の周りで円周方向に配置される、請求項5に記載の要素部材。
【請求項7】
前記第1の構成部材は少なくとも1つの
ラッチ部分を含む、請求項1に記載の要素部材。
【請求項8】
前記第2の構成部材は、前記第1の構成部材の前記少なくとも1つの
ラッチ部分と係合して、前記第2の構成部材が前記第1の構成部材から軸方向に取り外されるのを防止するように構成された少なくとも1つのラッチを備える、請求項7に記載の要素部材。
【請求項9】
前記弁は長手方向軸を含み、前記第2の構成部材は、該第2の構成部材が前記第1の構成部材に連結されたときに前記弁の前記長手方向軸を中心に回転するように構成される、請求項1に記載の要素部材。
【請求項10】
前記固有のバイオメトリック属性は対象利用者の固有の生歯を含む、請求項1に記載の要素部材。
【請求項11】
センサアレイを有するマウスピースであって、前記物質は前記ハウジングから前記マウスピースを介して前記対象利用者の口に分配されるマウスピースを更に有する、請求項10に記載の要素部材。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記対象利用者の前記固有のバイオメトリック属性が前記センサアレイによって検出されることを判定するように構成される、請求項11に記載の要素部材。
【請求項13】
前記センサアレイは容量性センサアレイである、請求項11に記載の要素部材。
【請求項14】
前記容量性センサアレイによって得られたデータは、前記対象利用者に関連付けられた容量性マップを含む、請求項13に記載の要素部材。
【請求項15】
前記対象利用者の前記固有のバイオメトリック属性が前記センサアレイによって検出されることを判定することは、前記対象利用者に関連する前記容量性マップを、前記対象利用者に関連する所定の容量性マップと比較することを含む、請求項14に記載の要素部材。
【請求項16】
前記第2の構成部材は、該第2の構成部材の上面に配置された1つ以上のセンサを有する、請求項1に記載の要素部材。
【請求項17】
前記第3の構成部材は、該第3の構成部材の下面に配置された1つ以上の検出器を有し、該1つ以上の検出器は前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の前記空洞内に受容されたときに、前記第2の構成部材の前記1つ以上のセンサと接触するように構成される、請求項16に記載の要素部材。
【請求項18】
前記第3の構成部材の前記1つ以上の検出器は、前記第2の構成部材の前記1つ以上のセンサと通信するように構成され、前記対象利用者に関連付けされた固有の識別子を受ける、請求項17に記載の要素部材。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記1つ以上の検出器が前記対象利用者に関連付けられた前記固有の識別子を受信したと判定することに応答して、前記物質を前記ハウジングから前記対象利用者の口に分配させるように更に構成される、請求項18に記載の要素部材。
【請求項20】
物質を収容するハウジングから対象利用者に
該物質を安全に分配するためのシステムであって、
前記システムは、
装置ハウジングと、
該装置ハウジングに連結され
、かつポンプに流体的に連結されたロックキャップであって、
前記物質を収容する
前記ハウジングと螺合するように構成された第1の構成部材と、
該第1の構成部材に連結された第2の構成部材であって、前記第1の構成部材を前記ハウジングに固定して取り付けるように構成された第2の構成部材と、
該第2の構成部材を選択的に受容されるような大きさ及び形状の空洞を含む第3の構成部材と、
前記第1の構成部材に連結された弁であって、
前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の空洞内に受容されるとき、前記物質が前記ハウジングから分配されることを可能にする開状態にあり、前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の空洞内に受容されないとき、前記物質が前記ハウジングから分配されることを防止する閉状態にある弁と、を備えるロックキャップと、
前記装置ハウジングに連結されたマウスピースであって、凹部を含むマウスピースと、
プロセッサであって、前記対象利用者の固有の生歯が前記マウスピースの凹部内に配置されていることを判定し、前記対象利用者の前記固有の生歯が前記マウスピースの凹部内に配置されていることを判定することに応答して、
前記ポンプが前記物質を前記ハウジングから前記対象利用者の口に分配させる
ようにする、プロセッサと、
を備える、システム。
【請求項21】
前記マウスピースは、該マウスピースの前記凹部内に位置決めされた
前記固有の生歯に関するデータを得るように構成された容量性センサアレイを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記容量性センサアレイによって得られたデータは、前記対象利用者に関連付けられた容量性マップを含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記プロセッサは、更に、前記マウスピースの利用者に関連付けられた容量性マップを、前記対象利用者に関連付けられた所定の容量性マップと比較するように構成される、請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
前記ロックキャップは、前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の前記空洞内に受容されないときに、前記弁を前記閉状態に付勢するように構成された付勢部材を更に含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
前記ロックキャップの前記第1の構成部材は、前記装置ハウジングのリップ部の回りを囲むように構成された複数のラッチ部分を備え、該複数のラッチ部分は前記装置ハウジングからの前記第1の構成部材の軸方向へ外れるのを防止するように構成される、請求項20に記載のシステム。
【請求項26】
前記ロックキャップの前記第2の構成部材は、前記複数のラッチ部分を囲むように構成された遠位部分を備え、前記装置ハウジングの前記リップ部から半径方向に前記複数のラッチ部分が取り外されるのを防止する、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記ロックキャップの前記第2の構成部材は、該第2の構成部材の上面に配置された1つ以上のセンサを有する、請求項20に記載のシステム。
【請求項28】
前記ロックキャップの前記第3の構成部材は、前記第3の構成部材の下面に配置された1つ以上の検出器を有し含み、該1つ以上の検出器は前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の空洞内に受容されたときに、前記第2の構成部材の前記1つ以上のセンサと接触するように構成される、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記第3の構成部材の前記1つ以上の検出器は、前記第2の構成部材の前記1つ以上のセンサと通信して、前記対象利用者に関連付けられた固有の識別子を受信するように構成される、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記プロセッサは、前記1つ以上の検出器が前記対象利用者に関連付けられた前記固有の識別子を受信したと判定することに応答して、前記物質を前記ハウジングから前記対象利用者の口に分配させるように更に構成される、請求項29に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、令和1年5月22日に出願された米国特許出願公開第2016/420002号明細書の優先権及び利益を主張する。
本開示は、概して、医薬品経口投与装置及びコンピュータによる経口処方薬投与(COPA)装置に関する。例えば、薬剤への無許可のアクセスを防止し、対象利用者のみへの薬剤の安全な分配を容易にするために、ロックキャップが薬剤ボトルに備わってもよい。
【背景技術】
【0002】
薬理学の歴史は、処方薬の有効な利益及び相対的コストを最大にすることに向けた継続的な探求において、投与経路、医薬製剤、投薬形態、及び投薬装置の継続的な進化をもたらしてきた。処方された物質の投与は、例えば、ヘルスケア施設において、又は患者の自宅において、医師によって制御されたヘルスケア環境で開始することができる。初期段階の製剤はエリキシル、強直薬、溶液、懸濁液、シロップ、及び最終的には注射、静脈内(IV)、及び硬膜外を含む、非経口(例えば、血流中)及び経腸(例えば、胃腸内)投与のための液体形態を含み得る。初期段階の製剤は、例えば、機械化及び製剤研究を介して、進歩した形態を生成するために開発され得る。初期段階の製剤、進歩した形成、ならびに初期段階の製剤及び/又は進歩した形成の患者の受け入れなどのさらなる研究及び臨床研究は、投与経路、医薬製剤、剤形、及び投薬装置に寄与し得る。
【0003】
医療処置が限られた緊急関与からより長い期間の慢性疾患ケアに移行することにつれて、処方された薬剤投与のより高い割合が管理された医療施設から患者管理施設にシフトした。患者管理環境では、訓練を受けた医療スタッフの管理外では液体製剤の投与が非特異的な投薬指示のために困難であり得る。ティースプーン及び/又はテーブルスプーンの測定値に基づく投与は、曖昧で多様である。投与カップは異なる測定フォーマットを有するかもしれない、したがって、患者管理環境において混乱を引き起こすことがある。更に、投薬カップはしばしば、初期処方ボトルから分離され、したがって、誤った投与につながり得る。
【0004】
機械的製造システム及び薬理学研究の進歩は処方された物質の患者管理投与が液体製剤から丸剤(例えば、錠剤又はカプセル製剤)に移行することを可能にし、これは、増加した貯蔵寿命を有し得、そして患者の使用の容易さ、投薬の正確さ、及び製造コストの低減を可能にし得る。このように、患者管理下での内服薬の大半は、現在では錠剤である。更に、ペレット、顆粒、マイクロ小片、ミニ錠剤などを含む微粒子製剤への関心が高まっている。しかしながら、乳児、高齢者、又は障害のある患者など、錠剤又はカプセル製剤を飲み込むことができないか、又は飲み込まないことを好まない患者には、患者管理下で投与用シリンジを介して経口液体処方を行うことがある。更に、非経口液体製剤はしばしば、最も速い吸収速度及び所望の結果における最も好都合な成功を有し、局所投与、在庫管理、詐欺防止、及び投与経路監査能力を改善することができるので、非経口液体製剤は、制御された健康管理環境において依然として一般に投与される。
【0005】
薬剤の投与を管理するエンティティに応じて、様々な形態の薬剤が、異なるエンティティの期待、ニーズ、及び課題を満たすように開発され得る。有効性及び毒性に基づくいくつかの例外があるが、ほとんどの医薬品製造業者は異なる投与経路及び投薬経路を支持するために、薬剤の複数の製剤を製造することができる。
【0006】
消費者が患者管理下での薬剤投与を含む予防的又は結果的な治療計画にますます関わるため、患者管理又は管理された状況下の薬剤投与の需要が高まっている。例えば、外来手術及び/又は1日の入院手術滞在は、患者の自宅でのその後の薬剤投与を含むかもしれない重大な医学的処置のためにますます一般的になっている。また、人口の高齢化に伴い、処方せん管理の需要が高まっている。消費者は複数の一般用医薬品及び/又は処方された医薬品を毎日服用することができ、この場合、医薬品は一般に丸剤の形態である。残念ながら、丸剤の使いやすさと慢性的な患者管理治療計画に関わる消費者の増加は、多くの薬剤分類の誤用と誤管理につながっている。
【0007】
例えば、丸剤形態、軽量で、持ち運び可能で、受容が特異ではなく、在庫管理が困難であり、個人識別番号を持たず、長い貯蔵寿命を有し、製造するのが安価である。したがって、丸剤の摂取又は使用は、医療管理環境外では一旦制御することが困難である。更に、製造工程における規模の経済性を達成するために、丸剤製造は将来の要求に基づく代わりに、利用可能な機械、材料、及び/又は原料の生産量を最大化することに基づいてスケジュールされる。少数の例外を除いて、製造された最小量の錠剤は、錠剤が長時間活性のままであるので、浪費される。丸剤は、私たちの社会に蔓延し、嗜癖や悪用へ導いてきた。
【0008】
処方箋の誤用及び誤管理の影響を非常に受けやすいこのような患者管理処置の一つは、オピオイドによる疼痛治療である。例えば、米国食品医薬品局(FDA)によると、米国(US)では1年間に約1億人が痛みに悩まされている。疼痛患者の約9~1200万人が慢性又は持続性の疼痛を有し、残りの疼痛患者は外傷、疾患、又は医学的処置による短期間の疼痛を有する。2014年、米国疾病管理予防センターは、米国における年間オピオイド処方数が米国人口の成人数とほぼ同数であると報告した。疼痛患者は熟練した適切な疼痛管理から恩恵を受けるべきであるが、オピオイドの誤用又は嗜癖をコントロールする必要がある。FDAのリーダー及び医師は2つの補完的な概念、すなわち、急性又は慢性の疼痛を経験している人の幸福を保護しながら、オピオイドの誤用及び嗜癖に積極的に対処することのバランスをとることにより、オピオイドの異常発生に対処しようと試みている。しかし、オピオイドの誤使用に向けられた改革、方針、制限が実施されている地域の疼痛患者は、そのバランスを得られない可能性がある。いくつかの州は、処方する前に提供者によってチェックされなければならない追加の既知の中毒者又はミスユーザデータベースをもっている。しかしながら、医師はシステムを使用する負担のために、処方前にデータベースをチェックすることができず、及び/又は真の慢性疼痛患者によるアクセスを制限することを望まない場合がある。他の州では、オピオイドファミリーから指示された医師を追跡するために報告及び監査証跡を持っています。しかしながら、監査による精査の追加ステップ及び可能性を回避するために、一部の医師は、疼痛管理又は短期疼痛処方の提供を拒否することがあり、全ての症例をペインクリニックに紹介することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
患者教育の改善、ラベル表示の強化、及び制限的処方の試みは、提供者、患者、薬局、及び保険会社にとってより高いコストをもたらし、患者にとってより低い有効性をもたらしている。結局、真の疼痛患者はオピオイドへのアクセスすることに苦しみ、一方、オピオイド誤用者は、実施された明らかな監督にかかわらず、アクセスのための利用可能な手段を操作し続ける。さまざまなレベルの政策や計画は成功しておらず、処方薬の誤用を抑制したり減らしたりするには不十分である。したがって、薬剤投与のための改善された装置、システム、及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下は議論された技術の基本的な理解を提供するために、本開示のいくつかの態様を要約する。この発明の概要は、本開示のすべての意図された特徴の広範な概要ではなく、本開示のすべての態様の重要な、又は重要な要素を識別することも、本開示の任意の又はすべての態様の技術的範囲を表現することも対象とされていない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、本開示の1つ以上の態様のいくつかの概念を要約形式で提示することである。
【0011】
本開示は、概して、医薬品経口投与装置及びコンピュータによる経口処方薬投与(COPA)装置に関する。これらのCOPA装置、システム、及び方法は、対象利用者への薬剤の確保分配を容易にする。この点に関して、COPA装置は薬剤ハウジング(例えば、瓶、管、ケーシングなど)を含み得るハウジングに連結され得る。薬剤ハウジングは、本開示のロックキャップが固定されるねじ付き開口部を含んでもよい。薬剤ハウジング内の物質(例えば、薬剤、処方された物質など)への許可されていないアクセスを防止するために、薬剤ハウジングは、ロックキャップに連結されてもよい。ロックキャップは、固有の識別子によって対象利用者に関係付けされる要素部材を含んでもよい。ロックキャップは、対象利用者が薬剤ハウジング内の薬剤にアクセスしようとしているかどうかを判定することができる。場合によっては、対象利用者に関連付けられた固有の識別子が検証されたときにのみ、薬剤が投薬されてもよい。対象利用者を認証するために、追加の検証装置、システム、及び方法を使用することもできる。例えば、1つ以上のバイオメトリックセンサは、対象利用者を認証するために対象利用者のバイオメトリック属性を検出するために使用されてもよい。
【0012】
一実施形態では、対象利用者に物質を確実に分配するための要素部材が設けられる。要素部材は物質を収容するハウジングと螺合するように構成された第1の構成部材と、第1の構成部材に連結され、第1の構成部材をハウジングに確保的に確保するように構成された第2の構成部材と、第2の構成部材を選択的に受容されるような大きさ及び形状の空洞を含む第3の構成部材と、第1の構成部材に連結された弁とを含み、第2の構成部材が第3の構成部材の空洞内に受容されたときに、対象利用者の固有のバイオメトリック属性が検出されたとプロセッサが判断したことに応答して、弁がハウジングから対象利用者に物質を分配することを可能にする開状態にあり、第2の構成部材が第3の構成部材の空洞内に受容されないときに、弁が、物質がハウジングから分配されることを防止する閉状態にあるようにする。
【0013】
いくつかの実施形態では、要素部材が更に、第2の構成部材が第3の構成部材の空洞内に受容されないときに弁を閉状態に付勢するように構成された付勢部材を含む。いくつかの実施形態では、第2の構成部材が第3の構成部材の空洞内に受容されると、付勢部材は圧縮される。いくつかの実施形態では第1の構成部材がハウジングのリップ部を封入するように構成された複数のラッチ部分を備え、複数のラッチ部分はハウジングからの第1の構成部材の軸方向への除去を防止するように構成される。いくつかの実施形態では、第2の構成部材が複数のラッチ部分を包み込んで、複数のラッチ部分が半径方向にハウジングのリップ部から外れるのを防止するように構成された遠位部分を含む。いくつかの実施態様において、複数のラッチ部分は、第1の構成部材の円周の周りに円周方向に配置される。いくつかの実施形態では、第1の構成部材が少なくとも1つの近位ラッチ部分を含む。いくつかの実施形態では、第2の構成部材が第1の構成部材の少なくとも1つの近位ラッチ部分と係合して、第2の構成部材が第1の構成部材から軸方向に取り外されるのを防止するように構成された少なくとも1つのラッチを備える。いくつかの実施形態では、弁は長手方向軸を含み、第2の構成部材は第2の構成部材が第1の構成部材に連結されたときに、弁の長手方向軸を中心に回転するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、固有のバイオメトリック属性が対象利用者の固有の生歯を含む。いくつかの実施形態では要素部材がセンサアレイを有するマウスピースを更に含み、物質はマウスピースを通してハウジングから対象利用者の口に分配される。いくつかの実施形態では、プロセッサが対象利用者の固有のバイオメトリック属性がセンサアレイによって検出されることを判定するように構成される。いくつかの実施形態では第2の構成部材が第2の構成部材の上面に配置された1つ以上のセンサを備え、1つ以上のセンサは対象利用者に関連付けられた固有の識別子を提供するように構成される。いくつかの実施形態では第3の構成部材が第3の構成部材の下面に配置された1つ以上の検出器を含み、1つ以上の検出器は第2の構成部材が第3の構成部材の空洞内に受容されたときに第2の構成部材の1つ以上のセンサと接触するように構成される。いくつかの実施形態では、第3の構成部材の1つ以上の検出器が第2の構成部材の1つ以上のセンサと通信して、対象利用者に関連付けられた固有の識別子を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサが1つ以上の検出器が対象利用者に関連付けられた固有の識別子を受け取ったと判定することに応答して、物質をハウジングから対象利用者の口に分配させるように更に構成される。
【0015】
一実施形態では、対象利用者に物質を確実に分配する方法が提供される。この方法は、物質を収容するハウジングに固定されたロックキャップの弁を、物質がハウジングから対象利用者に分配されることを可能にする開状態に移動させることと、対象利用者の固有のバイオメトリック属性が検出されたことを判定することと、対象利用者の固有のバイオメトリック属性が検出されたことを判定することに応答して、ハウジングから対象利用者に物質を分配することとを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、この方法がロックキャップをハウジングに固定して取り付けることを更に含む。いくつかの実施形態では、ロックキャップをハウジングに固定して取り付けることはハウジングのリップ部をロックキャップの第1の構成部材の複数のラッチ部分で封入することを含み、第1の構成部材はハウジングに螺合している。いくつかの実施形態では、ロックキャップをハウジングに固定して取り付けるステップがロックキャップの第2の構成部材をロックキャップの第1の構成部材に連結するステップを更に含む。いくつかの実施形態では、ロックキャップの第2の構成部材をロックキャップの第1の構成部材に連結することは第1の構成部材の複数のラッチ部分で第2の構成部材の遠位部分の回りを囲むことを含む。いくつかの実施形態では、ロックキャップの弁を開状態に移動させるステップがロックキャップの第2の構成部材をロックキャップの第3の構成部材の空洞に挿入するステップを含む。いくつかの実施形態では、対象利用者の固有のバイオメトリック属性が検出されることを判定することは対象利用者の固有の生歯がマウスピースの凹部内に配置されることを判定することを含む。いくつかの実施形態では、対象利用者の固有の生歯がマウスピースの凹部内に位置付けられることを判定することはプロセッサによって、対象利用者の固有の生歯がマウスピースの凹部内に位置付けられることを判定することを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法がロックキャップの1つ以上の検出器によって、ロックキャップの1つ以上のセンサから、対象利用者に関連付けられた固有の識別子を受け取ることを更に含む。いくつかの実施形態では、ハウジングから対象利用者に物質を分配するステップが1つ以上の検出器が対象利用者に関連付けられた固有の識別子を受け取ったと判定することに応答して、物質を分配するステップを更に含む。
【0018】
一実施形態では、対象利用者に物質を確実に分配するためのシステムが提供される。システムは、装置ハウジングと、装置ハウジングに連結されたロックキャップとを含む。ロックキャップは物質を収容するハウジングと螺合するように構成された第1の構成部材と、第1の構成部材に連結され、第1の構成部材をハウジングに確保的に確保するように構成された第2の構成部材と、第2の構成部材を選択的に収容するようにサイズ決めされて成形された空洞を含む第3の構成部材と、第1の構成部材に連結された弁とを含み、第2の構成部材が第3の構成部材の空洞内に収容されたときに、弁が物質をハウジングから分配することを可能にする開状態にあり、第2の構成部材が第3の構成部材の空洞内に収容されていないときに、弁が、物質がハウジングから分配されることを防止する閉状態にある。システムは装置ハウジングに連結されたマウスピースを更に含み、マウスピースは凹部を含み、プロセッサは対象利用者の固有の生歯がマウスピースの凹部内に位置付けられることを判定し、対象利用者の固有の生歯がマウスピースの凹部内に位置付けられることを判定することに応答して、物質をハウジングから対象利用者の口に分配させるように構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、マウスピースがマウスピースの凹部内に位置決めされた凹部に関するデータを得るように構成された容量性センサアレイを含む。いくつかの実施形態では、容量性センサアレイによって得られるデータが対象利用者に関連付けられた容量性マップを含む。いくつかの実施形態では、プロセッサがマウスピースの利用者に関連付けられた容量性マップを、対象利用者に関連付けられた所定の容量性マップと比較するように更に構成される。
【0020】
本開示のさらなる態様、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本開示の例示的な実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による、装置ハウジングに連結された薬剤ハウジングの斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態による、ハウジングに連結されたロックキャップの断面図である。
【
図3A】
図3Aは、本開示の実施形態による、ハウジングから離間されたロックキャップの第1の構成部材及び第2の構成部材の断面図である。
【
図3B】
図3Bは、本開示の実施形態によるロックキャップの第1の構成部材及び第2の構成部材の斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、本開示の実施形態に従う、ハウジングに連結されたロックキャップの第1の構成部材と、第1の構成部材に連結されたロックキャップの第2の構成部材との断面図である。
【
図4B】
図4Bは、本開示の実施形態に従う、ハウジングに連結されたロックキャップの第1の構成部材と、第1の構成部材に連結されたロックキャップの第2の構成部材の断面図である。
【
図4C】
図4Cは、本開示の実施形態に従う、ハウジングに連結されたロックキャップの第1の構成部材と、第1の構成部材に連結されたロックキャップの第2の構成部材の断面図である。
【
図5A】
図5Aは、本開示の実施形態による、ロックキャップの第2の構成部材から離間したロックキャップの第3の構成部材の断面図である。
【
図5B】
図5Bは、本開示の実施形態による、ロックキャップの第2の構成部材に連結されたロックキャップの第3の構成部材の断面図である。
【
図5C】
図5Cは、本開示の実施形態による、ロックキャップの第2の構成部材に連結されたロックキャップの第3の構成部材の断面図である。
【
図5D】
図5Dは、本開示の実施形態による、ロックキャップの第1の構成部材に連結されたロックキャップの第2の構成部材の平面斜視図である。
【
図5E】
図5Eは、本開示の実施形態による、ロックキャップの第2の構成部材に連結されたロックキャップの第3の構成部材の平面斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、本開示の実施形態による、第3の構成部材がロックキャップの第2の構成部材に連結された場合の、ロックキャップの第3の構成部材の解除ボタンの正面断面図である。
【
図6B】
図6Bは、本開示の実施形態による、第3の構成部材がロックキャップの第2の構成部材に連結された場合のロックキャップの第3の構成部材の解除ボタンの側断面図である。
【
図6C】
図6Cは、本開示の実施形態によるロックキャップの第3の構成部材の解除ボタンの側面図である。
【
図6D】
図6Dは、本開示の実施形態による、第3の構成部材がロックキャップの第2の構成部材に連結された場合のロックキャップの第3の構成部材の解除ボタンの平面断面図である。
【
図7A】
図7Aは、本開示の実施形態による、ストッパがロック解除位置にある場合のロックキャップの第3の構成部材のストッパの側断面図である。
【
図7B】
図7Bは、本開示の実施形態による、ストッパが係止位置にある場合のロックキャップの第3の構成部材のストッパの側断面図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態による、対象利用者に物質を安全に分配する方法の流れ図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態による、ロックキャップの第1の構成部材とハウジングに連結されたロックキャップの第2の構成部材の断面図である。
【
図10A】
図10Aは、本開示の実施形態による、非圧縮状態のロックキャップの第1の構成部材の断面図である。
【
図10B】
図10Bは、本開示の実施形態による、圧縮状態におけるロックキャップの第1の構成部材の断面図である。
【
図11A】
図11Aは、本開示の実施形態に従う、ポンプ組立体と、第1の構成部材に連結されたロックキャップの第2の構成部材とを含む、ハウジングに連結されたロックキャップの第1の構成部材の側断面図である。
【
図11B】
図11Bは、本開示の実施形態に従う、ポンプ組立体と、第1の構成部材に連結されたロックキャップの第2の構成部材とを含む、ハウジングに連結されたロックキャップの第1の構成部材の正面断面図である。
【
図12A】
図12Aは、本開示の実施形態による、非圧縮状態のポンプ組立体を含む、ハウジングに連結されたロックキャップの側断面図である。
【
図12B】
図12Bは、本開示の実施形態による、圧縮状態にあるポンプ組立体を含むハウジングに連結されたロックキャップの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の原理の理解を促進する目的のために、ここで、図面に示された実施形態を参照し、それを説明するために特定の言葉を使用する。それにもかかわらず、本開示の範囲は制限されないことが理解される。説明された装置、システム、及び方法に対する任意の変更及びさらなる修正、ならびに本開示の原理の任意のさらなる適用は本開示が関係する当業者に通常想起されるように、本開示内に十分に意図され、含まれる。
【0023】
本開示の実施形態は、対象利用者に物質を確実に分配するための機構を提供する。一実施形態では、ロックキャップが物質を収容するハウジング(例えば、薬剤ボトル)と螺合可能な第1の構成部材を含む。この物質は、処方薬又は市販薬であってもよい。ロックキャップは、第1の構成部材に連結された第2の構成部材を含むことができる。第2の構成部材は、第1の構成部材をハウジングに固定して取り付けることができる。ロックキャップは、第2の構成部材を受容する大きさの空洞を含む第3の構成部材を含むことができる。第2の構成部材は空洞内に挿入された後に空洞から除去され得るように、空洞内に選択的に受容され得る。ロックキャップは、第1の構成部材に連結された弁を含んでもよい。弁は、開状態と閉状態との間で移動可能であってもよい。第2の構成部材が第3の構成部材の空洞内に受容されるとき、弁は開状態にあることができる。開状態は、物質がハウジングから対象利用者に分配されることを可能にする。物質は、対象利用者の固有のバイオメトリック属性が検出されることをプロセッサが判定することに応答して、対象利用者に分配されてもよい。第2の構成部材が第3の構成部材の空洞内に受容されない場合、弁は閉状態にある。閉状態は、物質がハウジングから分配されるのを防止する。プロセッサは、第2の構成部材が第3の構成部材の空洞内にいつ受容されるかを判定するように構成されてもよい。一実施形態では、第2の構成部材が対象利用者に関係付けされてもよい。
【0024】
開示された実施形態は、いくつかの利点を提供することができる。例えば、ロックキャップの使用は、ハウジング内の処方された薬剤が対象とされた受容者にのみ送達され、不正に変更されないことを確実にすることができる。したがって、開示された実施形態は、処方薬の誤用(意図的及び偶発的)ならびに誤管理を回避することができる。開示された実施形態は、正確な投薬量の処方された薬剤を患者に送達し得る。これは特に、高齢、障害、又は処方された薬剤を自己投与する能力を制限しうる行動上の問題を有する患者に有益となりうる。更に、ロックキャップの使用は、ロックキャップ及び取り付けられた薬剤ハウジングを含み得る1つの装置ハウジングが何人かの利用者のために使用されることを容易にし得る(一度に1つの対象利用者のみがロックキャップに関係付けされる)。したがって、開示された実施形態は、煩わしい製造コストを回避することができる。
【0025】
図1は、本開示の実施形態による、装置ハウジング100に連結された薬剤ハウジング132の斜視図である。いくつかの実施形態では、装置ハウジング100がCOPA装置110に連結される。装置ハウジング100は、解除ボタン120を含む。薬剤ハウジング132は、ロックキャップ130を介して装置ハウジング100に連結され得る。装置ハウジング100は、ハンドヘルド使用のために寸法決めされ、形状化されてもよい。例えば、装置ハウジング100は、装置ハウジング100の周囲に利用者の指及び掌を置くことによって、利用者の片手によって把持されるように構造的に配置されてもよい。装置ハウジング100は、円筒、直角プリズム、立方体、それらの部分、及び/又はそれらの任意の組み合わせなど、任意の適切な形状であってもよい。いくつかの実施形態では、装置ハウジング100が薬剤ハウジング132を覆う取り外し可能なバックカバーを含む。このような実施形態では、背面カバーはまた、解除ボタン120が装置ハウジング100から背面カバーが取り外されたときにのみアクセスできるように、解除ボタン120を覆ってもよい。いくつかの例では、背面カバーが装置ハウジング100に連結されたときに薬剤ハウジング132の薬剤ラベルが見えるように、透明であってもよい。
【0026】
背面カバーは薬剤師などの許可された人が薬剤ハウジング132にアクセスし、必要に応じて薬剤ハウジング132を補充及び/又は交換することを可能にするために取り外されてもよい。いくつかの実施形態ではバックカバーを取り外すために、許可された人はバックカバーを装置ハウジング100からロック解除してもよい。次に、許可された人は、解除ボタン120を押すことによって、空の薬剤ハウジング132を装置ハウジング100から取り外すことができる。いくつかの実施形態では、許可された人が処方された物質で薬剤ハウジング132を再充填し、薬剤ハウジング132を装置ハウジング100内に戻すことができる。薬剤ハウジング132を装置ハウジング100内に配置した後、許可された人は、バックカバーを装置ハウジング100にロックすることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、マウスピースを含むことができるCOPA装置110が対象利用者の固有の生歯を検出するために使用される1つ以上のセンサ又はセンサアレイを有することができる。いくつかの例では、マウスピースのセンサが容量性センサアレイを含んでもよい。容量性センサアレイは、COPA装置110の現在の利用者から検出された入力に関連する容量性マップを検出するように構成されてもよい。容量性マップは、COPA装置110の現在の利用者の生歯に関連付けられてもよい。いくつかの例では、容量性マップが対象利用者の固有の生歯に関連付けられる。プロセッサは、対象利用者の固有の生歯がCOPA装置110の凹部内に配置されているかどうかを判定することができる。例えば、プロセッサは、COPA装置110の現在の利用者からの検出された入力に関連付けられた容量性マップを、対象利用者の固有の生歯に関連付けられた所定の容量性マップと比較することができる。この比較から、プロセッサは、COPA装置110の現在の利用者とCOPA装置110の対象利用者との間に一致があるか否かを判定する。一致する場合、プロセッサは、薬剤ハウジング132から対象利用者に物質を投与させることができる。いくつかの実施形態では、プロセッサが装置ハウジング100に含まれる。代替実施形態では、プロセッサはCOPA装置110に含まれる。さらなる代替実施形態では、プロセッサが装置ハウジング100及びCOPA装置110とは別個のシステムに含まれる。
【0028】
装置ハウジング100及びCOPA装置110に関するさらなる詳細は2017年1月13日に出願された米国特許出願第15/406,043号明細書、現在は米国特許第9731103号明細書、2017年8月10日に出願された米国特許出願第15/674,046号明細書、現在は米国特許第10188840号明細書、2017年9月18日に出願された米国特許出願第15/708,045号明細書、現在は米国特許第9981116号明細書、2018年4月29日に出願された米国特許出願第15/958,809号明細書、2018年6月6日に出願された米国特許出願第16/001,498号明細書、及び2019年1月11日に出願された米国特許出願第16/246,122号明細書に見出すことができ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0029】
図2は、本開示の実施形態による、薬剤ハウジング132に連結されたロックキャップ130の断面図である。薬剤ハウジング132は、ねじ山136及びリップ部138を含む。ロックキャップ130は、第1の構成部材140と、第2の構成部材160と、第3の構成部材170とを含む。第1の構成部材140は、薬剤ハウジング132のねじ山136に対応する溝142を含む。溝142は、ねじ山136を受け入れる。これにより、第1の構成部材140と薬剤ハウジング13とを螺合させることができる。第1の構成部材140は、上側リム144と、下側リム146と、少なくとも1つのラッチ部分148と、各ラッチ部分148に対応する下側タブ150と、上側リム144及び下側リム146によって画定される凹部152と、凸部154と、近位ラッチ部分とも呼ばれる少なくとも1つの上側タブ156とを更に含む。いくつかの実施形態では、第2の構成部材160が第1の構成部材140の上側タブ156に対応する少なくとも1つの上側タブ162を含む。第2の構成部材160は、遠位部分164及び回路基板210を更に含む。いくつかの実施形態では、回路基板210が1つ以上のセンサ又はセンサアレイに連結することができる。代替の実施形態では、センサが回路基板210内に一体化されてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、第3の構成部材170が解除ボタン120を含む。代替の実施形態では、第3の構成部材170が装置ハウジング100の一部として含まれてもよい。第3の構成部材170は更に、第3の構成部材170の上面であってもよい上面に配置された回路基板200を含む。いくつかの実施形態では、回路基板200が1つ以上の検出器又は検出器アレイに連結することができる。代替の実施形態では、検出器が回路基板200内に集積されてもよい。いくつかの例では、検出器が第2の構成部材160のセンサと連絡している。プロセッサは、センサによって得られたデータを使用して、第2の構成部材160が第3の構成部材170に連結されているかどうかを判定することができる。いくつかの実施形態では、第2の構成部材160が第3の構成部材170の空洞内に受容されたときに、第2の構成部材160が第3の構成部材170に連結され、これについては以下で更に詳細に説明する。
【0031】
いくつかの実施形態では、ロックキャップ130が弁組立体180を含む。弁組立体180は、弁182と、付勢部材184と、流体コネクタ190とを含む。いくつかの実施形態では、弁組立体180がチェック弁を含む。弁組立体180は、ボール弁、ダイヤフラム弁、グローブ弁、ニードル弁、重力弁、ダックビルド弁など、任意の他の適切なタイプの弁を含んでもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、付勢部材184はばねである。他の実施形態では、付勢部材184が弁182を特定の方向に付勢するように構成された任意の他の適切なタイプの構成要素であってもよい。いくつかの例では、第2の構成部材160が第3の構成部材170の空洞172内に受容されないときに、付勢部材184が弁182を閉状態に付勢する。弁組立体180は、第1の構成部材140の一部として一体的に形成されてもよい。他の実施形態では、弁組立体180が第1の構成部材140内に受け入れられ、第1の構成部材に連結された別個の構成要素であってもよい。
図2の実施形態に示すように、弁組立体180は、第1の構成部材140内に受容され、浸漬管134に接続される。浸漬管134は、薬剤ハウジング132内に配置され、所定の物質であってもよい物質を薬剤ハウジング132から対象利用者に輸送するために使用される。
【0032】
いくつかの実施形態では、第3の構成部材170が弁組立体180を装置ハウジング100に連結するためのカップリング部材220を含む。
図2の実施形態に示すように、弁組立体180の流体コネクタ190は、カップリング部材220に連結される。
図2の実施形態にも示されているように、カップリング部材220はポンプ230に連結されている。いくつかの実施形態では、ポンプ230が装置ハウジング100の一部として含まれる。したがって、いくつかの実施形態では、カップリング部材220がロックキャップ130とポンプ230を介した装置ハウジング100との間の接続を容易にする。この接続は規定された物質が薬剤ハウジング13から、弁組立体180を通って、ポンプ230を通って、対象利用者に分配されることを可能にする。いくつかの例では、規定された物質はまた、対象利用者に到達する前に、COPA装置110を通して分配される。このような例では、処方された物質が対象利用者の口に分配される。
【0033】
図3Aは、本開示の実施形態による、薬剤ハウジング132から離間された第1の構成部材140及び第2の構成部材160の断面図である。
図3Bは、本開示の実施形態による第1の構成部材140及び第2の構成部材160の斜視図である。
図3Bの実施態様に示されるように、ラッチ部分148は、第1の構成部材140の円周の周りで円周方向に配置される。各ラッチ部分148は、各ラッチ部分148のより大きな可撓性及び移動の容易さを提供するために、ギャップによって分離されてもよい。例えば、各ラッチ部分148は第1の構成部材140が薬剤ハウジング132に連結されるとき、他のラッチ部分148とは独立に移動し、撓むことができる。いくつかの実施形態では、第1の構成部材140が
図3Bに示されるように、8つのラッチ部分148を含む。しかしながら、第1の構成部材140は任意の他の所望の数のラッチ部分を含んでもよく、それは8未満又は8を超えるラッチ部分であってもよいことを理解されたい。代替例では、第1の構成部材140が第1の構成部材140の円周の周りに延在する、任意のギャップを除く、1つの連続したラッチ部分148を含んでもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1の構成部材140の凸部154がラッチ部分148に近接して配置される。例えば、凸部154は、ラッチ部分148が第1の構成部材140の装置本体155と接続する接続点に配置されてもよい。
図3Bの実施形態に示すように、上側リム144及び下側リム146は、凸部154から離間している。代替の実施形態では凸部154がラッチ部分148から間隔を置いて配置されてもよく、凸部154は下側リム146に近接して配置されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の構成部材140が上側リップ部157及び下側リップ部159を更に含む。上側リップ部157及び下側リップ部159は、上側リップ部157及び下側リップ部159の間に係止溝158が画定されるように、互いに離間されている。いくつかの実施形態では、上側リップ部157は上側リム144と位置合わせされ、下側リップ部159は下側リム146と位置合わせされる。上側リム144及び下側リム146は、一緒になって係止リングを形成することができる。係止リングは、1つ以上の係止溝158を含んでもよい。いくつかの例では、
図3Aの実施形態に示されるように、第1の構成部材140は2つの係止溝158を含む。いくつかの例では、第2の構成部材160が係止溝158内に嵌合するような大きさ及び形状の係止タブ166を含む。第2の構成部材160は各係止溝158が対応する係止タブ166を受け入れるように、係止溝158と同数の係止タブ166を含むことができる。いくつかの例では、係止リングが必要及び/又は所望の数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つなど)の係止溝158を含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、第2の構成部材160は、第1の構成部材140上に第2の構成部材160を最初に押すことによって第1の構成部材140に連結され、第2の構成部材160の各係止タブ166が対応する上側リップ部157上を移動し、第1の構成部材140の対応する係止溝158によって受けられる。係止タブ166が係止溝158内に位置決めされると、第2の構成部材160は第1の構成部材140に対して第1の位置にある。いくつかの実施形態では第2の構成部材160が第1の構成部材140に対して第1の位置にあるとき、第2の構成部材160及び第1の構成部材140は互いに対して回転係止される。したがって、第2の構成部材160が回転すると、第1の構成部材140は第2の構成部材160と共に回転する。したがって、第1の構成部材140を薬剤ハウジング132に取り付けるために、第1の構成部材140は、薬剤ハウジング132の上部に載置される。次いで、第2の構成部材160を回転(例えば、時計回り方向又は反時計回り方向)させて、第1の構成部材140を薬剤ハウジング132にねじ込むことができる。代替実施形態では、第1の構成部材140が第2の構成部材160に接続されることなく、薬剤ハウジング132にねじ込まれてもよい。そのような実施形態では、第2の構成部材160は、第1の構成部材140が薬剤ハウジング13に連結された後に、第1の構成部材140に連結されてもよい。
【0036】
図4Aは、本開示の実施形態による、薬剤ハウジング132に連結された第1の構成部材140及び第1の構成部材140に連結された第2の構成部材160の断面図である。いくつかの実施形態では、第2の構成部材160が第1の構成部材140のラッチ部分148のそれぞれの下側タブ150が薬剤ハウジング132のリップ部138上を移動し、次いでそれと係合するまで回転される。そのような実施形態では、下側タブ150がリップ部138の下に置かれることによって、及び/又はリップ部138の下面に接触することによって、リップ部138と係合してもよい。この位置では、第1の構成部材140が弁組立体180の付勢部材184の長手方向軸Lに実質的に平行な方向などの長手方向に薬剤ハウジング132に固定される。また、長手方向を軸方向と呼ぶこともできる。第1の構成部材140が薬剤ハウジング132にしっかりと固定された後、第2の構成部材160は、第2の構成部材160が第1の構成部材140にしっかりと固定される第2の位置に移動されてもよい。
【0037】
図4Bは、本開示の実施形態による、薬剤ハウジング132に連結された第1の構成部材140及び第1の構成部材140に連結された第2の構成部材160の断面図である。
図4Bに示す実施形態では、第2の構成部材160が第1の構成部材140に対して第2の位置にある。図に示すように、上側タブ162は先に移動し、第1の構成部材の上側タブ156と係合している。したがって、第2の構成部材160は第1の構成部材140に長手方向に固定され、これは軸方向とも呼ばれ、長手方向軸Lに実質的に平行であり、
図4Bの実施形態に更に示されるように、第2の構成部材160の遠位部分164は、第1の構成部材140のラッチ部分148の回りを囲む。したがって、第1の構成部材140は薬剤ハウジング13に半径方向に固定され、この半径方向は長手方向軸Lと略直交する方向であってもよい。したがって、いくつかの例では第2の構成部材160が第1の構成部材140に対して第2の位置にある場合、第1の構成部材140は薬剤ハウジング132に長手方向及び半径方向の両方に固定的に固定される。そのような例では、第1の構成部材140及び第2の構成部材160が薬剤ハウジング132と不可逆的に固定的に係合されてもよい。したがって、薬剤ハウジング132から第1の構成部材140又は第2の構成部材160のいずれかを取り外す唯一の方法は、ロックキャップ130の1つ以上の部品を破壊することである。第1の構成部材140及び第2の構成部材160は、長手方向及び半径方向の一方又は両方において、薬剤ハウジング13と不可逆的に固定的に係合されてもよい。
【0038】
図4Cは、本開示の実施形態による、薬剤ハウジング132及び第2の構成部材160に連結された第1の構成部材140の断面図である。いくつかの実施形態では第2の構成部材160が第1の構成部材140に対して第2の位置にあるとき、第2の構成部材160の係止タブ166は下側リップ部159と凸部154との間にある。これにより、第1位置から第2の位置へ移動するために、第2の構成部材160は長手方向軸Lとほぼ平行な方向L1に押され、第2の構成部材160が第1位置から第2の位置へ移動すると、係止タブ166は係止溝158内から下側リップ部159と凸部154との間に移動する。第1の位置から第2の位置へのこの移行中に、係止タブ166は、下側リップ部159を越えて移動する。
【0039】
いくつかの例では、第2の構成部材160の遠位部分164が第1の構成部材140のラッチ部分148よりも硬い及び/又はより剛性の材料から作製される。したがって、遠位部分164は、ラッチ部分148の任意の試みられた半径方向移動を拘束及び/又は抑制する。利用者が第1の構成部材140を薬剤ハウジング13から取り外そうとすると、半径方向の移動が起こり得る。いくつかの実施形態では第2の構成部材160が第1の構成部材140に対して第2の位置にあるとき、第2の構成部材160及び第1の構成部材140はもはや互いに対して回転ロックされない。したがって、このような実施形態では、第2の構成部材160が第1の構成部材140の周りで自由に回転可能である。薬剤ハウジング132が装置ハウジング100に連結されると、許可された人は例えば、薬剤ハウジング132の情報ラベルが装置ハウジング100の背面カバーに面する位置まで薬剤ハウジング132を回転させることができる。この位置において、利用者は薬剤ハウジング132が装置ハウジング100内にロックされている間に、情報ラベルを読み取ることができる。情報ラベルは、物質の種類、物質の量、物質の投薬指示などの、処方された物質に関する情報を含むことができる。
【0040】
図5Aは、本開示の実施形態による、第2の構成部材160から離間されたロックキャップ130の第3の構成部材170の断面図である。第3の構成部材170は、第2の構成部材160を受容することができる空洞172を含む。いくつかの実施形態において、空洞172は、空洞172の直径が第2の構成部材160の外径よりもわずかに大きくなるように成形される。このような実施形態では、第2の構成部材160が第2の構成部材160と第3の構成部材170との間に流体密封シールが形成されるように、第3の構成部材170の空洞172内に嵌合することができる。他の実施形態では、空洞172が第2の構成部材160が空洞172内に受容されるときに、第2の構成部材160と第3の構成部材170との間にギャップが存在するような大きさにされる。
【0041】
いくつかの例では、弁182が開状態と閉状態との間で変化することができる。弁182が開状態にあるとき、所定の物質は、薬剤ハウジング13から対象利用者に分配されることが可能である。いくつかの実施形態では処方された物質が対象利用者の固有のバイオメトリック属性が検出されたとプロセッサが判断したことに応答して分配されてもよく、これについては以下で更に詳細に説明する。弁182が閉状態にあるとき、所定の物質が薬剤ハウジング13から分配されることが防止される。いくつかの例では、弁182が第2の構成部材160が第3の構成部材170の空洞172内に受容されないとき、閉状態にある。このような例では、第2の構成部材160が空洞172内に受容されたときに、弁182は開状態にある。いくつかの実施形態では、付勢部材184が閉状態で弁182を付勢する。しかしながら、第2の構成部材160が第3の構成部材170の空洞172内に受容されると、カップリング部材220は弁182に接触する。いくつかの実施形態では、この接触が弁182上の付勢部材184によって付与される付勢力を克服する。付勢部材184は、弁182が閉状態から開状態に移動するときに圧縮されてもよい。
図5Aの実施形態に示すように、第2の構成部材160は空洞172内に受容されず、したがって、カップリング部材220は弁182と接触しない。したがって、
図5Aに示す実施形態では、弁182は閉状態にある。
【0042】
図5Bは、本開示の実施形態による、第2の構成部材160に連結された第3の構成部材170の断面図である。
図5Bに示す実施形態では、第2の構成部材160は第3の構成部材170の空洞172内に受容され、弁182は開状態にある。図から分かるように、カップリング部材220は弁182と接触し、付勢部材184は圧縮される。これにより、弁182がL1方向に移動し、薬剤ハウジング13から所定の物質を分配することができる。例えば、ポンプ230は、所定の物質を薬剤ハウジング13から分配させることができる。
【0043】
図5Cは、本開示の実施形態による、第2の構成部材160に連結された第3の構成部材170の断面図である。
図5Cの断面図は、
図5Bの断面図から約15°回転される。第3の構成部材170は、回路基板200及び回路基板210の両方と接触する接触部材174を含む。いくつかの例では、接触部材174が第2の構成部材160が第3の構成部材170に連結されているか否かにかかわらず、回路基板200と接触したままである。接触部材174は、回路基板200、210の構成要素間の通信を容易にする。いくつかの実施形態では、対象利用者に関連付けられた固有の識別子が第2の構成部材160のトランシーバから第3の構成部材170のトランシーバに送信されてもよい。また、第2の構成部材160の送受信部は、回路基板210に接続されていてもよい。また、第3の構成部材170の送受信部は、回路基板200に接続されていてもよい。いくつかの実施形態において、固有の識別子は、メモリ内に記憶されてもよい。
図5Cの実施形態に示すように、第2の構成部材160が第3の構成部材170の空洞172内に受容されると、接触部材174は回路基板210に接触する。
【0044】
図5Dは、本開示の実施形態による、第1の構成部材140に連結された第2の構成部材160の平面斜視図である。第2の構成部材160は、第2の構成部材160の上面244上に配置された1つ以上のセンサを含むことができるセンサアレイ240を含む。いくつかの実施形態では、センサアレイ240が回路基板210に連結される。他の実施形態では、センサアレイ240が回路基板210内に集積される。
図5Dの実施形態に示されるように、センサアレイ240は、4つの個々のセンサ242を含む。センサ242は、対象利用者に関連付けられた固有の識別子を提供するようにプログラムされる。したがって、第2の構成部材160は、対象利用者に関係付けされてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、対象利用者が対象利用者に関係付けされた第2の構成部材160が第1の構成部材140に連結されたときにのみ、薬剤ハウジング13内の所定の物質にアクセスすることができる。いくつかの例では、各センサ242が固有の識別子を提供するために使用される。他の例では、唯一のセンサ242が固有の識別子を提供するために使用される。しかし、いくつかの実施形態では、第3の構成部材170が第2の構成部材160に連結されているかどうかを示すために、1つ以上のセンサ242を設けることができる。そのような実施形態では、1つ以上のセンサ242が対象利用者に関連付けられた固有の識別子に含まれなくてもよい。センサアレイ240は対象利用者に関連付けられた固有の識別子を提供するために、任意の数のセンサ242を含んでもよいことを理解されたい。例えば、4つ未満又は4つより多いセンサ242をセンサアレイ240に含めることができる。
【0045】
図5Dの実施形態に示されるように、第2の構成部材160は、上面244に開口部246を更に含む。いくつかの例では、弁182が開口部246内に適合する。したがって、第2の構成部材160が第3の構成部材170の空洞172内に受容されると、弁182はカップリング部材220と接触することができる。そのような実施形態では、弁182が閉状態から開状態に移動されてもよい。開口部246内に弁182を配置することにより、薬剤ハウジング132内の処方された物質へのアクセスも防止される。例えば、利用者は、開口部246を通して針又は他の物体を配置せず、規定された物質にアクセスし得ない。したがって、薬剤ハウジング13が装置ハウジング100に連結されていない場合であっても、所定の物質へのアクセスが防止される。
【0046】
第2の構成部材160は、ガイドリブ168a、168bを更に含む。ガイドリブ168a、168bは第2の構成部材160が第3の構成部材170の空洞172内に受容されたときに、第3の構成部材170の対応するガイドチャネル内に嵌合するように寸法決めされている。ガイドリブ168a、168bは第2及び第3の構成部材160、170が共に連結されるときに、第2の構成部材160及び第3の構成部材170が同じ回転位置で連結されることを確実にする。これは、センサアレイ240が第3の構成部材170の対応する検出器アレイ250と位置合わせされることを確実にする。
【0047】
図5Eは、本開示の実施形態による、第2の構成部材160に連結された第3の構成部材170の平面斜視図である。第3の構成部材170は検出器アレイ250を含み、検出器アレイは、第3の構成部材170の下面であってもよい底面に配置された1つ以上の検出器を含んでもよい。いくつかの実施形態では、検出器アレイ250が回路基板200に連結される。他の実施形態では、検出器アレイ250が回路基板200内に集積される。
図5Eの実施形態に示されるように、検出器アレイ250は4つの個々の検出器252を含む。検出器252は第2の構成部材160が第3の構成部材170によって受け取られるとき、検出器252がセンサアレイ240のセンサ242と整列するように配置される。いくつかの実施形態では、検出器252が対象利用者に関連する固有の識別子をセンサアレイ240のセンサ242から受信するようにプログラムされている。いくつかの例では、各検出器252が固有の識別子を受信するために使用される。他の例では、唯一の検出器252が固有の識別子を受信するために使用される。しかし、いくつかの実施形態では、第3の構成部材170が第2の構成部材160に連結されているかどうかを検出するために、1つ以上の検出器252を設けることができる。そのような実施形態では、1つ以上の検出器252が対象利用者に関連付けられた固有の識別子に含まれなくてもよい。検出器アレイ250は対象利用者の固有の識別子を受け取るために、任意の数の検出器252を含むことができることを理解されたい。例えば、検出器アレイ250には、4つ未満又は4つを超える検出器252を含めることができる。いくつかの実施形態では、検出器アレイ250内の検出器252の数がセンサアレイ240内のセンサ242の数に等しい。
【0048】
図6Aは、本開示の実施形態による、第3の構成部材170が第2の構成部材160に連結されたときのロックキャップ130の解除ボタン120の正面断面図である。解除ボタン120は、係止タブ122を含む。係止タブ122は、第2の構成部材160に向かってD1方向に延びている。更に、いくつかの実施形態では、係止タブ122が第2の構成部材160のガイドリブ168a、168bの少なくとも1つの下に配置される。例えば、係止タブ122は、ガイドリブ168bではなく、ガイドリブ168aの下に配置されてもよい。したがって、第2の構成部材160が第3の構成部材170の空洞172内に受容されると、係止タブ122は解除ボタン120が押されるまで、空洞172からの第2の構成部材160の除去を防止し、これについては、以下で更に詳細に説明する。代替実施形態では、係止タブ122がガイドリブ168aではなく、ガイドリブ168bの下に配置することができる。さらなる例では、係止タブ122が両方のガイドリブ168a、168bの下に配置されてもよい。
【0049】
図6Bは、本開示の実施形態による、第3の構成部材170が第2の構成部材160に連結されたときの解除ボタン120の側断面図である。上述のように、解除ボタン120、特に係止タブ122は、第2の構成部材160が第3の構成部材170の空洞172内に受容されると、第2の構成部材160のガイドリブ168a、168bの少なくとも1つの下方に配置される。
図6Bに示す実施形態では、係止タブ122がガイドリブ168aの下に配置されている。
【0050】
図6Bの実施形態に示されるように、解除ボタン120は、近位タブ129及び付勢部材124を更に含む。いくつかの実施形態では、付勢部材124はばねである。他の実施形態では、付勢部材124が解除ボタン120を特定の方向に付勢するように構成された任意の他の適切なタイプの構成要素であってもよい。いくつかの実施形態では、第3の構成部材170が封止部材126と、空洞176と、少なくとも1つのタブ178とを含む。封止部材126は液体が空洞176に入るのを防止するために、液体を通さないシールを提供することができる。液体防止用の空洞176は解除ボタン120が適切に機能することを可能にし、誤作動の機会を減少させる。以下で更に詳細に説明するように、解除ボタン120が押されると、付勢部材124が圧縮される。これにより、第2の構成部材160を第3の構成部材170の空洞172から取り外すことができる。解除ボタン120が押されると、解除ボタン120は、付勢部材124の長手方向軸Aと実質的に平行な方向A1に移動する。いくつかの実施形態では、付勢部材124が解除ボタン120の近位タブ129が第3の構成部材170のタブ178と接触するように、解除ボタン120を方向A2に付勢してもよい。
【0051】
図6Cは、本開示の実施形態による解除ボタン120の側面図である。解除ボタン120は、テーパ面128を更に含む。いくつかの実施形態では、第2の構成部材160が第3の構成部材170の空洞172に挿入されると、ガイドリブ168aは例えば、テーパ面128に接触する。第2の構成部材160が空洞172内に更に挿入されると、ガイドリブ168aはテーパ面128に沿って乗り上げ、これにより解除ボタン120を方向A1に移動させる。いくつかの例では、第2の構成部材160が空洞172内に十分に挿入されると、ガイドリブ168aは解除ボタン120のテーパ面128を通過する。このような例では、ガイドリブ168aが解除ボタン120の上方に配置される。ガイドリブ168aがテーパ面128をクリアし、解除ボタン120の上方に移動すると、付勢部材124は
図6Bの実施形態に示すように、解除ボタン120を再びロック位置に移動させる。ロック位置では、解除ボタン120の近位タブ129が第3の構成部材170のタブ178と接触している。テーパ面128の存在は解除ボタン120を能動的に押す必要なしに、第2の構成部材160が第3の構成部材170の空洞172内に挿入されることを可能にする。
【0052】
図6Dは、本開示の実施形態による、ロック解除位置にある解除ボタン120の平面断面図である。解除ボタン120は、解除ボタン120が押されると、ロック解除位置にある。解除ボタン120が押されると、付勢部材124が圧縮される。これにより、解除ボタン120がA1方向に移動する。解除ボタン120が方向A1に移動すると、係止タブ122は方向A1に移動する。いくつかの実施形態では、
図6Dの実施形態に示すように、解除ボタン120が最終的なロック解除位置に達すると、係止タブ122は空洞176内に配置される。このような実施形態では、係止タブ122がもはやガイドリブ168aの下には配置されていない。したがって、係止タブ122は、もはや、空洞172からの第2の構成部材160の除去を妨げない。したがって、第2の構成部材160を空洞172から取り外すことができる。
【0053】
図7Aは、本開示の実施形態による、ストッパ300がロック解除位置にあるときの第3の構成部材170のストッパ300の側断面図である。ストッパ300は、近位部分302と、近位タブ304と、遠位部分306と、付勢部材308とを含む。いくつかの実施形態では、付勢部材308はばねである。他の実施形態では、付勢部材308がストッパ300を特定の方向に付勢するように構成された任意の他の適切なタイプの構成要素であってもよい。いくつかの実施形態では、ストッパ300が押し下げられ、方向L1に移動するとき、近位タブ304が付勢部材308と係合する。これにより、付勢部材308を圧縮させることができる。いくつかの実施形態では、ストッパ300が近位部分302を押し下げることによって押し下げられてもよい。いくつかの例では、モータ、ソレノイド、機械的リンク機構、又は任意の他の適切な構成要素を使用して、ストッパ300の近位部分302を方向L1に押してストッパ300を押し下げることができる。
【0054】
図7Bは、本開示の実施形態による、ストッパ300がロック位置にあるときの第3の構成部材170のストッパ300の側断面図である。ストッパ300はストッパ300の遠位部分306が空洞176に入るとき、ロック位置にある。いくつかの実施形態では、ストッパ300が第2の構成部材160が第3の構成部材170の空洞172内に受容され、ロックされた後に、ロック位置に移動されてもよい。ロック位置では近位タブ129がストッパ300の遠位部分306に接触するので、遠位部分306は近位タブ129が方向A1に移動するのを防止する。従って、解除ボタン120の係止タブ122は、ガイドリブ168aの下に残る。したがって、第2の構成部材160が第3の構成部材170の空洞172から取り外されることを防止することができる。ストッパ300は所定の物質が薬剤ハウジング132から分配されている間、解除ボタン120が押されることを防止するために、ロック位置に移動されてもよい。これは、処方された物質が正しく(例えば、正しい用量で)分配されていることを確実にするのに役立つ。これはまた、規定された物質への許可されていないアクセスを防ぐのに役立ち、これは、ロックキャップ130にさらなる安全対策を追加する。いくつかの実施形態では、ストッパ300がストッパ300を押し下げるために使用される構成要素によって、ロック位置に能動的に保持されてもよい。他の実施形態では、ストッパ300が機械的ロック、電磁的ロックなどのロック機構によって、ロック位置に保持されてもよい。
【0055】
図8は、本開示の実施形態による、対象利用者に物質を安全に分配する方法400の流れ図である。方法400は、
図1及び
図5A~
図5Eを参照してより良く理解することができる。図示されるように、方法400はいくつかの列挙されたステップを含むが、方法400の実施形態は列挙されたステップの前、後、及びその間に追加のステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、列挙されたステップのうちの1つ又は複数が省略され得るか、又は異なる順序で実行され得る。
【0056】
ステップ402において、方法400は、物質を収容するハウジングに固定的に固定されたロックキャップの弁を、物質がハウジングから対象利用者に分配されることを可能にする開状態に移動させることを含む。いくつかの実施態様において、ロックキャップはロックキャップ130であり、ハウジングは、薬剤ハウジング132である。このような実施形態では、弁は弁182である。いくつかの例では、方法400がロックキャップ130を薬剤ハウジング13に確実に固定するステップを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、ロックキャップ130を薬剤ハウジング13に固定して取り付けることは薬剤ハウジング13のリップ部138をロックキャップ130の第1の構成部材140の複数のラッチ部分148で封入することを含むことができる。他の実施形態では、ロックキャップ130を薬剤ハウジング13に固定して取り付けることはロックキャップ130の第2の構成部材160を第1の構成部材140と連結することを含むことができる。いくつかの例では、第2の構成部材160を第1の構成部材140に連結することは、複数のラッチ部分148を第2の構成部材160の遠位部分164で回りを囲むことを含む。いくつかの例では、弁182を開状態に移動させることは第2の構成部材160を第3の構成部材170の空洞172内に挿入することを含む。
【0057】
ステップ404で、方法400は、対象利用者の固有のバイオメトリクス属性が検出されることを判定することを含む。いくつかの実施形態では、プロセッサが対象利用者の固有のバイオメトリック属性がバイオメトリックセンサ上に配置されているかどうかを判定することができる。バイオメトリックセンサは、装置ハウジング100の表面上に配置されてもよい。例えば、プロセッサは装置ハウジング100の現在の利用者と装置ハウジング100の対象利用者との間に一致があるかどうかを判定するために、バイオメトリックセンサによる入力に関連付けられた指紋モデルを、対象利用者に関連付けられた所定の指紋モデルと比較することができる。いくつかの例では、利用者の固有のバイオメトリック属性が利用者の固有のバイオメトリック属性がバイオメトリックセンサ上に配置されたときに、バイオメトリックセンサによって検出される。他の例では、利用者の固有のバイオメトリック属性が利用者の固有のバイオメトリック属性がバイオメトリックセンサから離れているときに、バイオメトリックセンサによって検出される。他の実施形態では、判定が対象利用者の固有の生歯がマウスピース(例えば、COPA装置110)の凹部内に位置付けられることを判定することを含む。そのような実施形態では、これはプロセッサによって、対象利用者の固有の生歯がマウスピースの凹部内に位置付けられることを判定することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、容量性センサアレイがマウスピースの凹部内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、容量性センサアレイがマウスピースの現在の利用者の生歯に関連する容量性マップを検出することができる。いくつかの例では、プロセッサがマウスピースの現在の利用者に関連する容量性マップを、対象利用者に関連する所定の容量性マップと比較することができる。COPA装置110に関するさらなる詳細は、基準によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年4月29日に出願された米国特許出願第15/958809号明細書に見出すことができる。
【0058】
ステップ406において、方法400は、対象利用者の固有のバイオメトリック属性が検出されたと判定することに応答して、ハウジングから対象利用者に物質を分配することを含む。いくつかの実施形態では、分配することは対象利用者の固有の生歯がマウスピースの凹部内に配置されていることをプロセッサによって判定することに応答して物質を分配することを含む。他の実施形態では、分配が対象利用者に関連付けられた第2の構成部材160の固有の識別子が第3の構成部材170の検出器アレイ250によって検出されることをプロセッサが判定することに応答して、別個に又は追加的に物質を分配することを含む。いくつかの例では、この判定が検出器アレイ250によって、対象利用者に関連付けられた固有の識別子を受け取ることを含むことができる。検出器アレイ250は第2の構成部材160のセンサアレイ240から、対象利用者に関連付けられた固有の識別子を受け取ることができる。
【0059】
図9は、本開示の実施形態による、ロックキャップ500の第1の構成部材510と、薬剤ハウジング132に連結されたロックキャップ500の第2の構成部材520との断面図である。
図1~8に関する上記の議論は、
図9の実施形態にも同様に適用される。ここで、上述した構成要素と
図9の実施形態に示す構成要素との間の差について説明する。
【0060】
代替の実施形態では、ロックキャップ500が薬剤ハウジング132から所定の物質を確実に分配するために、装置ハウジング100内に受容されてもよい。ロックキャップ500は、第1の構成部材510及び第2の構成部材520を含む。第1の構成部材510は、薬剤ハウジング13のねじ山136に対応する溝部512を含む。溝部512は、ねじ山136を受け入れる。これにより、第1の構成部材510と薬剤ハウジング13とを螺合させることができる。第2の構成部材520は、下側タブ522を含む。いくつかの実施形態では、ロックキャップ130に関して上述したように、第2の構成部材520が回転すると、第1の構成部材510は第2の構成部材520と共に回転する。したがって、第1の構成部材510を薬剤ハウジング13に取り付けるには、第1の構成部材510が薬剤ハウジング13の上部に載置される。第2の構成部材520は第1の構成部材510を薬剤ハウジング13にねじ込むために、(例えば、時計回り方向又は反時計回り方向に)回転させてもよい。いくつかの実施形態では、第2の構成部材520が第2の構成部材520の下側タブ522が薬剤ハウジング13のリップ部138上を移動し、次いでそれと係合するまで回転される。したがって、第2の構成部材520は薬剤ハウジング13に(例えば、軸方向に)固定的に固定されてもよい。次いで、第2の構成部材520は上述したように、第3の構成部材170の空洞172内に受容されてもよい。
【0061】
図10Aは、本開示の実施形態による非圧縮状態のロックキャップ600の断面図である。
図1~
図8に関する上記の議論は、
図10A及び
図10Bの実施形態にも同様に適用される。ここで、上述の構成要素と
図10A及び10Bの実施形態に示される構成要素との間の相違について説明する。
【0062】
代替の実施形態では、ロックキャップ600が薬剤ハウジング132から所定の物質を確実に分配するために、装置ハウジング100内に受容されてもよい。ロックキャップ600はストッパ610と、細長い、ねじ部材620と、圧縮部材630と、ねじ付きナット640とを含む。細長いねじ部材620は、ねじ山622及び長手方向軸LAを含む。ねじ付きナット640はねじ山622に対応し、それを受け入れる溝部642を含む。従って、細長い、ねじ部材及びねじナット640は、ねじで係合可能である。いくつかの実施形態では、圧縮部材630が非圧縮状態と圧縮状態との間で遷移することができる。圧縮部材630が非圧縮状態にあるとき、
図10Aの実施形態に示されるように、ロックキャップ600は、薬剤ハウジング132内に挿入され、ハウジングから取り外されることができる。いくつかの実施形態では、圧縮部材630を非圧縮状態から圧縮状態に遷移させるために、ねじ付きナット640が長手方向軸LAを中心として回転される。
【0063】
図10Bは、本開示の実施形態による、圧縮状態にあるロックキャップ600の断面図である。ねじ付きナット640が回転すると、ねじ付きナット640は、長手方向軸LAと実質的に平行な方向LA1に細長いねじ部材620を上昇させる。ねじ付きナット640がLA1の方向に移動すると、圧縮部材630は、圧縮部材630が薬剤ハウジング132の内面650に接して静止するまで圧縮する。いくつかの例では、圧縮部材630と薬剤ハウジング132の内面650との間の相互作用によって、ロックキャップ600が薬剤ハウジング132から取り外されるのを防止するシールを形成する。いくつかの実施形態では、次に、ロックキャップ600を第3の構成部材170内に受け入れることができる。他の実施形態では、第2の構成部材160がロックキャップ600の上に配置されてもよい。このような実施形態では、第2の構成部材160が薬剤ハウジング13を収容することができる。次いで、このような実施形態では、第2の構成部材160が第3の構成部材170によって受容されてもよい。
【0064】
図11Aは、本開示の実施形態による、ポンプ組立体730と、第1の構成部材740に連結された第2の構成部材760とを含む、薬剤ハウジング132に連結された第1の構成部材740の側断面図である。
図1~
図8に関する上記の議論は、
図11A及び
図11Bの実施形態にも同様に適用される。ここで、上述の構成要素と
図11A及び11Bの実施形態に示される構成要素との間の相違について説明する。
【0065】
代替の実施形態では、ロックキャップ700が第1の構成部材740、第2の構成部材760、弁710、及びポンプ組立体730を含む。弁710は、長手方向軸Vと、弁ステム712と、シャフト714と、付勢部材716と、カム718とを含む。ポンプ組立体730は、カムフォロア732と、上側部材734と、下側部材736と、付勢部材738とを含む。したがって、
図11Aの実施形態に示されるように、薬剤ハウジング132は弁(例えば、弁710)及びポンプ(例えば、ポンプ組立体730)の両方を含む。いくつかの実施形態では、所定の物質の投与量がポンプサイクル中に分配された後、流体経路内に残っている所定の物質の残存量が薬剤ハウジング132内に含まれることになるので、薬剤ハウジング132内に弁及びポンプの両方を含むことが有益であり得る。ポンプ組立体730が例えば、薬剤ハウジング132の外側に含まれる場合、所定の物質の投与量がポンプサイクル中に分配された後、所定の物質の残存量が薬剤ハウジング132の外側(例えば、ポンプ組立体730内)に残り得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、第1の構成部材740が第1の構成部材140と同じ機能を果たす。また、第1の構成部材740の構造は、第1の構成部材140と同じ構造であってもよい。他の実施形態では、第1の構成部材740の構造が第1の構成部材140とは異なる構造であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の構成部材760が第2の構成部材160と同じ機能を果たす。また、第2の構成部材760の構造は、第2の構成部材160と同じ構造であってもよい。他の実施形態では、第2の構成部材760の構造が第2の構成部材160とは異なる構造であってもよい。
【0067】
いくつかの例では、付勢部材716が所定の物質が薬剤ハウジング132から分配されることを防止される位置であり得る閉位置に弁710を付勢する。いくつかの実施形態では、付勢部材716はばねである。他の実施形態では、付勢部材716が弁710を特定の方向に付勢するように構成された任意の他の適切なタイプの構成要素であってもよい。弁ステム712は、以下で更に詳細に論じられる第3の構成部材770によって係合されるような大きさ及び形状である。シャフト714は、カム718の内外に自由に移動するように構成される。
図11Aに示す実施形態では、弁ステム712が長手方向軸Vとほぼ平行であり得る方向V1に押されると、付勢部材716が圧縮される。したがって、弁710は、閉位置から開位置に移動される。しかしながら、弁ステム712をV1方向に押すだけでは、所定の物質が薬剤ハウジング13から分配されることはない。弁ステム712をV1方向に押すと弁710が開くが、弁710も回転しない限り、また回転するまで、所定の物質は分配されず、これについては以下で更に詳細に説明する。
【0068】
図11Bは、本開示の実施形態による、薬剤ハウジング13に連結されたロックキャップ700の第1の構成部材740と、第1の構成部材740に連結されたロックキャップ700の第2の構成部材760の正面断面図である。弁710は、停止部材720と、複数のタブ722とを更に含む。いくつかの実施形態では、タブ722がシャフト714の垂直移動の下限をマークする。例えば、シャフト714が方向V1に進むと、弁710の停止部材720がタブ722に接触し、シャフト714の上下運動を停止する。いくつかの実施形態において、タブ722はシャフト714の前にシャフト714の垂直運動を停止させ、ポンプ組立体730を開き、薬剤ハウジング13から所定の物質の分配を開始させるのであろう。
【0069】
図12Aは、本開示の実施形態による、非圧縮状態のポンプ組立体730を含むロックキャップ700の側断面図である。
図12Bは、本開示の実施形態による、圧縮状態のポンプ組立体730を含む、薬剤ハウジング132に連結されたロックキャップ700の側断面図である。
図12Aの実施形態では、第2の構成部材760が第3の構成部材770の空洞172内に受け入れられる。この実施形態では、第3の構成部材770が弁ステム712と係合する。例えば、カップリング部材220は、弁ステム712と係合することができる。いくつかの実施形態において、第3の構成部材770が弁ステム712と係合すると、第3の構成部材770は、弁710を閉位置から開位置に移動させる。いくつかの実施形態では、第3の構成部材770が第3の構成部材170と同じ機能を果たす。また、第3の構成部材770の構造は、第3の構成部材170と同じ構造であってもよい。他の実施形態では、第3の構成部材770の構造が第3の構成部材170とは異なる構造であってもよい。
【0070】
上述したように、薬剤ハウジング132から所定の物質を分配するために、弁710を開放位置に移動させ、また回転させることができる。いくつかの実施形態では、第3の構成部材770を回転させることによって、弁710を回転させることができる。この回転により、カップリング部材220が回転することがある。次いで、弁710は、それに対応して、カップリング部材220と共に回転してもよい。いくつかの実施形態では、弁710が回転すると、シャフト714はカム718を回転させる。カム718が回転すると、ポンプ組立体730のカムフォロア732も回転する。カムフォロア732は、カム718に抗して乗り上げ、方向V1に押されてもよい。カムフォロア732が方向V1に移動すると、カムフォロア732は上側部材734を下側部材736に向かって移動させる。これにより、付勢部材738を圧縮することができる。いくつかの例では付勢部材738が圧縮されると、ポンプ組立体730は閉位置から開位置に遷移する。開位置では、ポンプ組立体730が薬剤ハウジング13から所定の物質を分配することができる。付勢部材738は付勢部材738が圧縮されるまで、ポンプ組立体730が閉鎖位置に留まるように、上側部材734を方向V2に付勢してもよい。いくつかの実施形態では、付勢部材738はばねである。他の実施形態では、付勢部材738が上側部材734を特定の方向に付勢するように構成された任意の他の適切なタイプの構成要素であってもよい。いくつかの実施形態では、弁710が開位置にあり、ポンプ組立体730も開位置にあるとき、所定の物質を薬剤ハウジング13から分配することができる。そのような実施形態では、規定された物質が薬剤ハウジング13から対象利用者に分配されてもよい。
次の表に、参照符号と対応する参照名称を示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0071】
当業者であれば、上述の装置、システム、及び技術は、様々な技術で修正することができることを理解するのであろう。したがって、当業者は、本開示によって包含される実施形態が上述の特定の例示的な実施形態に限定されないことを理解するのであろう。その点に関して、例示的な実施形態が示され、説明されてきたが、前述の開示において、広範囲の修正、変化、及び置換が意図される。このような変形は、本開示の技術的範囲から逸脱することなく、上記になされ得ることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示と一致するように広く解釈されることが適切である。
なお、本発明の参考態様として以下に示すものがある。
[参考態様1]
対象利用者に物質を安全に分配するための要素部材であって、
前記要素部材は、
物質を収容するハウジングと螺合するように構成された第1の構成部材と、
該第1の構成部材に連結された第2の構成部材であって、前記第1の構成部材を前記ハウジングに固定して取り付けるように構成された第2の構成部材と、
該第2の構成部材を選択的に受容する大きさ及び形状の空洞を有する第3の構成部材と、
前記第1の構成部材に連結された弁であって、
前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の前記空洞内に受容されたとき、対象利用者の固有のバイオメトリック属性が検出されたとプロセッサが判定することに応答して、前記物質が前記ハウジングから対象利用者に分配されることを可能にする開状態にあり、前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の前記空洞内に受容されないとき、前記物質が前記ハウジングから分配されることを防止する閉状態にある、弁と、
を備える、要素部材。
[参考態様2]
前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の前記空洞内に受容されないときに、前記弁を付勢して閉状態にするように構成された付勢部材を更に含む、参考態様1に記載の要素部材。
[参考態様3]
前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の前記空洞内に受容されるとき、前記付勢部材が圧縮される、参考態様2に記載の要素部材。
[参考態様4]
前記第1の構成部材は前記ハウジングのリップ部を回りを囲むように構成された複数のラッチ部分を有し、前記複数のラッチ部分は、前記第1の構成部材が前記ハウジングから軸方向に外れることを防止するように構成されている、参考態様1に記載の要素部材。
[参考態様5]
前記第2の構成部材は、前記複数のラッチ部分を入れて、前記複数のラッチ部分が半径方向に前記ハウジングの前記リップ部から外れるのを防止するように構成された遠位部分を有する、参考態様4に記載の要素部材。
[参考態様6]
前記複数のラッチ部分は、前記第1の構成部材の円周の周りで円周方向に配置される、参考態様5に記載の要素部材。
[参考態様7]
前記第1の構成部材は少なくとも1つの近位ラッチ部分を含む、参考態様1に記載の要素部材。
[参考態様8]
前記第2の構成部材は、前記第1の構成部材の前記少なくとも1つの近位ラッチ部分と係合して、前記第2の構成部材が前記第1の構成部材から軸方向に取り外されるのを防止するように構成された少なくとも1つのラッチを備える、参考態様7に記載の要素部材。
[参考態様9]
前記弁は長手方向軸を含み、前記第2の構成部材は、該第2の構成部材が前記第1の構成部材に連結されたときに前記弁の前記長手方向軸を中心に回転するように構成される、参考態様1に記載の要素部材。
[参考態様10]
前記固有のバイオメトリック属性は対象利用者の固有の生歯を含む、参考態様1に記載の要素部材。
[参考態様11]
センサアレイを有するマウスピースであって、前記物質は前記ハウジングから前記マウスピースを介して前記対象利用者の口に分配されるマウスピースを更に有する、参考態様10に記載の要素部材。
[参考態様12]
前記プロセッサは、前記対象利用者の前記固有のバイオメトリック属性が前記センサアレイによって検出されることを判定するように構成される、参考態様11に記載の要素部材。
[参考態様13]
前記センサアレイは容量性センサアレイである、参考態様11に記載の要素部材。
[参考態様14]
前記容量性センサアレイによって得られたデータは、前記対象利用者に関連付けられた容量性マップを含む、参考態様13に記載の要素部材。
[参考態様15]
前記対象利用者の前記固有のバイオメトリック属性が前記センサアレイによって検出されることを判定することは、前記対象利用者に関連する前記容量性マップを、前記対象利用者に関連する所定の容量性マップと比較することを含む、参考態様14に記載の要素部材。
[参考態様16]
前記第2の構成部材は、該第2の構成部材の上面に配置された1つ以上のセンサを有し、該1つ以上のセンサは、前記対象利用者に関連付けられた固有の識別子を提供するように構成される、参考態様1に記載の要素部材。
[参考態様17]
前記第3の構成部材は、該第3の構成部材の下面に配置された1つ以上の検出器を有し、該1つ以上の検出器は前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の前記空洞内に受容されたときに、前記第2の構成部材の前記1つ以上のセンサと接触するように構成される、参考態様16に記載の要素部材。
[参考態様18]
前記第3の構成部材の前記1つ以上の検出器は、前記第2の構成部材の前記1つ以上のセンサと通信するように構成され、前記対象利用者に関連付けされた前記固有の識別子を受ける、参考態様17に記載の要素部材。
[参考態様19]
前記プロセッサは、前記1つ以上の検出器が前記対象利用者に関連付けられた前記固有の識別子を受信したと判定することに応答して、前記物質を前記ハウジングから前記対象利用者の口に分配させるように更に構成される、参考態様18に記載の要素部材。
[参考態様20]
対象利用者に物質を安全に分配する方法であって、
前記方法は、
物質を収容するハウジングに固定して取り付けたロックキャップの弁を、物質が前記ハウジングから対象利用者に分配されることを可能にする開状態に移動させるステップと、
前記対象利用者の固有のバイオメトリクス属性が検出されることを判定するステップと、
前記対象利用者の前記固有のバイオメトリクス属性が検出されることを判定することに応答して、前記物質を前記ハウジングから前記対象利用者に分配するステップと、
を含む、方法。
[参考態様21]
前記ロックキャップを前記ハウジングに固定して取り付けるステップを更に含む、参考態様20に記載の方法。
[参考態様22]
前記ロックキャップを前記ハウジングに固定して取り付けるステップは、前記ハウジングのリップ部を前記ロックキャップの第1の構成部材の複数のラッチ部分で囲むことを含み、前記第1の構成部材は前記ハウジングに螺合する、参考態様21に記載の方法。
[参考態様23]
前記ロックキャップを前記ハウジングに固定して取り付けステップは、前記ロックキャップの第2の構成部材を前記ロックキャップの前記第1の構成部材と連結することを更に含む、参考態様22に記載の方法。
[参考態様24]
前記ロックキャップの前記第2の構成部材を前記ロックキャップの前記第1の構成部材に連結するステップは、前記第1の構成部材の前記複数のラッチ部分を前記第2の構成部材の遠位部分で回りを囲むことを含む、参考態様23に記載の方法。
[参考態様25]
前記ロックキャップの前記弁を前記開状態に移動させるステップは、前記ロックキャップの第2の構成部材を前記ロックキャップの第3の構成部材の空洞に挿入することを含む、参考態様22に記載の方法。
[参考態様26]
対象利用者の前記固有のバイオメトリック属性が検出されることを判定するステップは、前記対象利用者の固有の生歯がマウスピースの凹部内に配置されることを判定することを含む、参考態様20に記載の方法。
[参考態様27]
前記対象利用者の固有の生歯がマウスピースの凹部内に配置されることを判定することは、プロセッサによって、前記対象利用者の前記固有の生歯が前記マウスピースの前記凹部内に配置されることを判定することを含む、参考態様26に記載の方法。
[参考態様28]
前記ロックキャップの1つ以上の検出器によって、前記ロックキャップの1つ以上のセンサから、前記対象利用者に関連付けられた固有の識別子を受け取るステップを、更に含む、参考態様20記載の方法。
[参考態様29]
前記物質を前記ハウジングから前記対象利用者に分配するステップは、前記1つ以上の検出器が、前記対象利用者に関連する固有の識別子を受け取ったと判定することに応答して物質を分配することを、更に含む、参考態様28に記載の方法。
[参考態様30]
対象利用者に物質を安全に分配するためのシステムであって、
前記システムは、
装置ハウジングと、
該装置ハウジングに連結されたロックキャップであって、
前記物質を収容するハウジングと螺合するように構成された第1の構成部材と、
該第1の構成部材に連結された第2の構成部材であって、前記第1の構成部材を前記ハウジングに固定して取り付けるように構成された第2の構成部材と、
該第2の構成部材を選択的に受容されるような大きさ及び形状の空洞を含む第3の構成部材と、
前記第1の構成部材に連結された弁であって、
前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の空洞内に受容されるとき、前記物質が前記ハウジングから分配されることを可能にする開状態にあり、前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の空洞内に受容されないとき、前記物質が前記ハウジングから分配されることを防止する閉状態にある弁と、を備えるロックキャップと、
前記装置ハウジングに連結されたマウスピースであって、凹部を含むマウスピースと、
プロセッサであって、前記対象利用者の固有の生歯が前記マウスピースの凹部内に配置されていることを判定し、前記対象利用者の前記固有の生歯が前記マウスピースの凹部内に配置されていることを判定することに応答して、前記物質を前記ハウジングから前記対象利用者の口に分配させる、プロセッサと、
を備える、システム。
[参考態様31]
前記マウスピースは、該マウスピースの前記凹部内に位置決めされた凹部に関するデータを得るように構成された容量性センサアレイを含む、参考態様30に記載のシステム。
[参考態様32]
前記容量性センサアレイによって得られたデータは、前記対象利用者に関連付けられた容量性マップを含む、参考態様31に記載のシステム。
[参考態様33]
前記プロセッサは、更に、前記マウスピースの利用者に関連付けられた容量性マップを、前記対象利用者に関連付けられた所定の容量性マップと比較するように構成される、参考態様30に記載のシステム。
[参考態様34]
前記ロックキャップは、前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の前記空洞内に受容されないときに、前記弁を前記閉状態に付勢するように構成された付勢部材を更に含む、参考態様30に記載のシステム。
[参考態様35]
前記ロックキャップの前記第1の構成部材は、前記装置ハウジングのリップ部の回りを囲むように構成された複数のラッチ部分を備え、該複数のラッチ部分は前記装置ハウジングからの前記第1の構成部材の軸方向へ外れるのを防止するように構成される、参考態様30に記載のシステム。
[参考態様36]
前記ロックキャップの前記第2の構成部材は、前記複数のラッチ部分を囲むように構成された遠位部分を備え、前記装置ハウジングの前記リップ部から半径方向に前記複数のラッチ部分が取り外されるのを防止する、参考態様35に記載のシステム。
[参考態様37]
前記ロックキャップの前記第2の構成部材は、該第2の構成部材の上面に配置された1つ以上のセンサを有し、該1つ以上のセンサは、前記対象利用者に関連付けられた固有の識別子を提供するように構成される、参考態様30に記載のシステム。
[参考態様38]
前記ロックキャップの前記第3の構成部材は、前記第3の構成部材の下面に配置された1つ以上の検出器を有し含み、該1つ以上の検出器は前記第2の構成部材が前記第3の構成部材の空洞内に受容されたときに、前記第2の構成部材の前記1つ以上のセンサと接触するように構成される、参考態様37に記載のシステム。
[参考態様39]
前記第3の構成部材の前記1つ以上の検出器は、前記第2の構成部材の前記1つ以上のセンサと通信して、前記対象利用者に関連付けられた固有の識別子を受信するように構成される、参考態様38に記載のシステム。
[参考態様40]
前記プロセッサは、前記1つ以上の検出器が前記対象利用者に関連付けられた前記固有の識別子を受信したと判定することに応答して、前記物質を前記ハウジングから前記対象利用者の口に分配させるように更に構成される、参考態様39に記載のシステム。