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特許7589184焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と相関をもつ統計量を探索する方法、及び、所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体が得られるか否かを予測する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と相関をもつ統計量を探索する方法、及び、所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体が得られるか否かを予測する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/00 20060101AFI20241118BHJP
   G01N 15/08 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
G01N3/00 Z
G01N15/08 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022019081
(22)【出願日】2022-02-09
(65)【公開番号】P2023116337
(43)【公開日】2023-08-22
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宇野 祥太
(72)【発明者】
【氏名】二宮 宏史
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-139856(JP,A)
【文献】特表2023-532402(JP,A)
【文献】国際公開第2022/006768(WO,A1)
【文献】特開2016-098123(JP,A)
【文献】特開2015-161543(JP,A)
【文献】特開2013-024561(JP,A)
【文献】国際公開第2022/230692(WO,A1)
【文献】特表2001-519310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00-3/62
G01N 15/00ー15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周側壁と、外周側壁の内周側に配設され、第一底面から第二底面まで流路を形成する複数の多角形セルを区画する隔壁とを備えた柱状ハニカム構造部を有する所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と相関をもつ統計量を探索する方法であって、
所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体を作製するための複数の焼成前の柱状ハニカム成形体を作製する工程Aと、
工程Aで作製した複数の焼成前の柱状ハニカム成形体のそれぞれに対して、第一底面又は第二底面の少なくとも一方を観察することによって測定可能な2種以上のパラメータを、最外周におけるパーシャルセルを除く多角形セルのうち、90%以上の数の多角形セルに対して測定し、測定された各パラメータについて2種以上の統計量を算出する工程Bと、
工程Aで作製した複数の焼成前の柱状ハニカム成形体のそれぞれを所定条件で焼成し、複数の焼成後の柱状ハニカム成形体を作製する工程Cと、
各パラメータについて工程Bで算出された2種以上の統計量と工程Cで作製した複数の焼成後の柱状ハニカム成形体の強度との相関を評価する工程Dと、
工程Dの結果に基づき、所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と最も高い相関をもつ統計量を前記2種以上の統計量の中から決定する工程Eと、
を含む方法。
【請求項2】
前記2種以上のパラメータが、各多角形セルの開口部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータ、各多角形セルの各辺を画定する隔壁部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータ、及び、各多角形セルの各角部を画定する隔壁部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータから選択される2種以上のパラメータである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各多角形セルの開口部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータが、開口面積、内接円半径、矩形近似短辺、矩形近似長辺、長方形度、真円度、コンパクト度、輪郭長、凸面度、長径短径比、楕円度合い、構造係数、中心距離偏差、丸み度、外接円半径、楕円近似長径、楕円近似短径、セル方向、及び、長辺短辺比から選択される1種以上を含み、
各多角形セルの各辺を画定する隔壁部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータが、隔壁曲がり、隔壁厚、及び隔壁方向から選択される1種以上を含み、
各多角形セルの各角部を画定する隔壁部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータが、角部を画定する隔壁部分の面積を含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記2種以上のパラメータが、10種以上のパラメータである請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記2種以上の統計量が、5種以上の統計量である請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記2種以上の統計量が、算術平均、標準偏差、尖度、歪度、最小値、中央値、及び最大値から選択される2種以上を含む請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記強度はアイソスタティック破壊強度である請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一実施形態において、焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と相関をもつ統計量を探索する方法に関する。また、本発明は別の一実施形態において、所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体が得られるか否かを予測する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、環境対策や特定物資の回収等のために使用される触媒担体又はフィルタとして、耐熱性、耐食性に優れるセラミックス製の柱状ハニカム構造体が採用されている。柱状ハニカム構造体は、外周側壁と、外周側壁の内周側に配設され、第一底面から第二底面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁とを有する。一般に、柱状ハニカム構造体は、セラミックス原料粉末、分散媒、バインダー及び造孔剤等を混合及び混練して坏土を作製した後、所定の形状に成形して柱状ハニカム成形体とし、これを焼成する工程を経て製造される。
【0003】
柱状ハニカム構造体は、衝撃及び熱負荷に耐えるために、十分な機械的強度を必要とする。特に、車両のフィルタ又は触媒担体として使用される柱状ハニカム構造体は、「キャニング(canning)」と称されるプロセス中に金属筐体中に配置できるように十分な機械的強度を有しなければならない。
【0004】
柱状ハニカム構造体の機械的強度の1つの目安がアイソスタティック破壊強度である。柱状ハニカム構造体のアイソスタティック破壊強度の測定においては、柱状ハニカム構造体を圧力容器内の水中に沈め、水圧を徐々に増加させることで柱状ハニカム構造体に等方的な圧力を加える試験が行われる。圧力容器内の水圧が徐々に増加することで、最終的に柱状ハニカム構造体の隔壁や外周側壁に破壊が生じる。破壊が生じた際の圧力の値(破壊強度)がアイソスタティック破壊強度である。
【0005】
しかしながら、アイソスタティック破壊強度の測定を実施する際、圧力容器内へ試験品をセットして圧力を掛けるという作業が発生するため時間を要する。また、アイソスタティック破壊強度の測定によって、柱状ハニカム構造体に損傷が生じる。このため、柱状ハニカム構造体の品質検査のためにアイソスタティック破壊強度を直接測定することは、非現実的である。このような事情から、柱状ハニカム構造体の強度検査を簡便に実施する方法が従来提案されている。
【0006】
例えば、特開2017-96879号公報(特許文献1)及び特開2001-41867号公報(特許文献2)では、測定時間の短縮が可能な、弾性体を利用した簡易的な破壊強度試験方法が提案されている。
【0007】
特表2019-512079号公報(特許文献3)では、ウェブを有するセラミック物品について、ウェブのデジタル画像を記録する工程と、当該デジタル画像に基づいてセラミック物品の2D表現を形成する工程と、当該2D表現に与えられるアイソスタティック圧力の選択量をシミュレートして、ウェブの2D表現内の最大応力値を特定する工程と、最大応力値を用いてセラミック物品のアイソスタティック破壊強度を特定することを含む、セラミック物品のアイソスタティック破壊強度を特徴づける非接触方法が開示されている。
【0008】
また、柱状ハニカム構造体の強度を検査することを目的とした発明ではないが、特開2015-161543号公報(特許文献4)には、セラミック製のハニカム構造体のセル変形欠陥を短時間で検査する目的で、所定の一部のセルについてのみ、隔壁に内接する内接円の大きさを画像解析装置を用いて測定することが提案されている。
【0009】
特開2021-139856号公報(特許文献5)では、焼成前又は焼成後の柱状セラミックス成形体が有する複数のセルのうち異常な大きさの開口を有するセルの数が、焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と有意な相関関係を示すという知見に基づき、非破壊で実施可能であり、強度検査に代替可能な焼成前又は焼成後の柱状ハニカム成形体の検査方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2017-96879号公報
【文献】特開2001-41867号公報
【文献】特表2019-512079号公報
【文献】特開2015-161543号公報
【文献】特開2021-139856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1及び特許文献2に記載の試験方法では、破壊にまでは至らないものの、柱状ハニカム構造体に対して実際に圧力を印加して強度の検査を実施するため、依然として検査に要する作業量が多く、検査時間も長くなりやすい。また、製品へダメージを与えるおそれもある。特許文献3には、非接触でアイソスタティック破壊強度を予測する方法が開示されているが、複雑なシミュレーションが必要となり、また、その予測精度も不明である。
【0012】
特許文献4では、画像解析装置を用いて柱状ハニカム構造体が有するセルの一部について変形欠陥の有無を検査することで、測定セルのうちセル変形欠陥が生じているセルの割合を算出している。しかしながら、一部のセルの変形欠陥が柱状ハニカム構造体の強度とどのような関係にあるのかは不明である。
【0013】
特許文献5では、焼成前の柱状ハニカム成形体の複数のセルの開口の大きさを測定し、その測定結果に基づき、予め定めた許容範囲から逸脱する大きさの開口をもつ異常セルを複数のセルの中から特定し、異常セルの数を計測する工程が実施される。しかしながら、特許文献5に記載の検査方法では個々のセルが異常セルか否かを判断する基準を設定する必要があるところ、柱状ハニカム成形体の検査は異常セルの有無を個別に判断する方法以外の方法で実施できる可能性がある。また、大きさ、形状、セル構造、材質等の柱状ハニカム成形体の設計仕様によっては、特許文献5に記載の検査方法よりも優れた方法が発見される可能性も残されている。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、一実施形態において、非破壊で測定可能であり、焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と相関をもつ焼成前の柱状ハニカム成形体の統計量を探索する方法を提供することを課題とする。また、本発明は別の一実施形態において、焼成前の柱状ハニカム成形体に基づいて、所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体が得られるか否かを予測する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
[1]
外周側壁と、外周側壁の内周側に配設され、第一底面から第二底面まで流路を形成する複数の多角形セルを区画する隔壁とを備えた柱状ハニカム構造部を有する所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と相関をもつ統計量を探索する方法であって、
所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体を作製するための複数の焼成前の柱状ハニカム成形体を作製する工程Aと、
工程Aで作製した複数の焼成前の柱状ハニカム成形体のそれぞれに対して、第一底面又は第二底面の少なくとも一方を観察することによって測定可能な2種以上のパラメータを、最外周におけるパーシャルセルを除く多角形セルのうち、90%以上の数の多角形セルに対して測定し、測定された各パラメータについて2種以上の統計量を算出する工程Bと、
工程Aで作製した複数の焼成前の柱状ハニカム成形体のそれぞれを所定条件で焼成し、複数の焼成後の柱状ハニカム成形体を作製する工程Cと、
各パラメータについて工程Bで算出された2種以上の統計量と工程Cで作製した複数の焼成後の柱状ハニカム成形体の強度との相関を評価する工程Dと、
工程Dの結果に基づき、所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と最も高い相関をもつ統計量を前記2種以上の統計量の中から決定する工程Eと、
を含む方法。
[2]
前記2種以上のパラメータが、各多角形セルの開口部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータ、各多角形セルの各辺を画定する隔壁部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータ、及び、各多角形セルの各角部を画定する隔壁部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータから選択される2種以上のパラメータである[1]に記載の方法。
[3]
各多角形セルの開口部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータが、開口面積、内接円半径、矩形近似短辺、矩形近似長辺、長方形度、真円度、コンパクト度、輪郭長、凸面度、長径短径比、楕円度合い、構造係数、中心距離偏差、丸み度、外接円半径、楕円近似長径、楕円近似短径、セル方向、及び、長辺短辺比から選択される1種以上を含み、
各多角形セルの各辺を画定する隔壁部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータが、隔壁曲がり、隔壁厚、及び隔壁方向から選択される1種以上を含み、
各多角形セルの各角部を画定する隔壁部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータが、角部を画定する隔壁部分の面積を含む、
[2]に記載の方法。
[4]
前記2種以上のパラメータが、10種以上のパラメータである[1]~[3]の何れか一項に記載の方法。
[5]
前記2種以上の統計量が、5種以上の統計量である[1]~[4]の何れか一項に記載の方法。
[6]
前記2種以上の統計量が、算術平均、標準偏差、尖度、歪度、最小値、中央値、及び最大値から選択される2種以上を含む[1]~[5]の何れか一項に記載の方法。
[7]
前記強度はアイソスタティック破壊強度である[1]~[6]の何れか一項に記載の方法。
[8]
外周側壁と、外周側壁の内周側に配設され、第一底面から第二底面まで流路を形成する複数の多角形セルを区画する隔壁とを備えた柱状ハニカム構造部を有する焼成前の柱状ハニカム成形体の測定結果に基づき、所定の焼成条件で焼成した場合に所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体が得られるか否かを予測する方法であって、
前記焼成前の柱状ハニカム成形体の第一底面又は第二底面の少なくとも一方を観察することによって、最外周におけるパーシャルセルを除く多角形セルのうち、90%以上の数の多角形セルに対して、開口部分の形状を特徴付ける構造係数、セル方向及び長辺短辺比、並びに、角部を画定する隔壁部分の面積から選択される1種以上のパラメータを測定する工程1と、
工程1で測定されたパラメータが構造係数である場合は、算術平均及び中央値から選択される1種以上の統計量、
工程1で測定されたパラメータがセル方向である場合は、標準偏差及び尖度から選択される1種以上の統計量、
工程1で測定されたパラメータが長辺短辺比である場合は、算術平均、標準偏差及び最大値から選択される1種以上の統計量、
工程1で測定されたパラメータが角部を画定する隔壁部分の面積である場合は、尖度及び歪度から選択される1種以上の統計量、
を工程1の結果に基づき算出する工程2と、
工程2で算出された1種以上の統計量と、前記所定の設計仕様及び統計量の種類に応じて予め定めた判定基準とを比較する工程3と、
を含む方法。
[9]
前記柱状ハニカム成形体と同一の設計仕様の別の複数の柱状ハニカム成形体について予め求めた、焼成前の柱状ハニカム成形体に対する前記1種以上の統計量と前記所定の焼成条件で焼成後の当該別の複数の柱状ハニカム成形体の強度との相関関係を利用して、工程2で算出された1種以上の統計量に基づき前記焼成前の柱状ハニカム成形体を当該所定の焼成条件で焼成した後の柱状ハニカム成形体の強度を推定する工程4を含む[8]に記載の方法。
[10]
前記強度はアイソスタティック破壊強度である[9]に記載の方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態によれば、非破壊で測定可能であり、焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と相関をもつ焼成前の柱状ハニカム成形体の統計量を探索する方法が提供される。当該実施形態に係る探索方法では、第一底面又は第二底面の少なくとも一方を観察することによって測定可能な2種以上のパラメータ(特徴量)を対象としている。底面観察は非破壊で簡単に行うことができるので、当該実施形態に係る探索方法は利便性が高い。
【0017】
また、大きさ、形状、セル構造、材質等の柱状ハニカム成形体の設計仕様によっては、焼成後の強度と相関関係の高いパラメータが変動し得るが、当該実施形態に係る探索方法を採用することで、柱状ハニカム成形体の設計仕様に応じた最適なパラメータ及び統計量を発見することができる。よって、当該実施形態に係る探索方法によれば、ハニカム成形体の種類や製品番号に応じた最適な非破壊検査方法を発見することができる。
【0018】
焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と相関をもつ焼成前の柱状ハニカム成形体の統計量が探索されると、焼成前の柱状ハニカム成形体に基づいて、所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体が得られるか否かを予測する方法も提供可能になる。当該予測方法は、焼成後の柱状ハニカム成形体の強度推定や品質検査に利用することも可能である。
【0019】
焼成前の柱状ハニカム成形体に対して当該予測方法を実施することにより、所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体が得られないと予測された成形体は、不合格品として焼成対象から外すことができる。このため、焼成に要するコスト及び時間を無駄にしなくて済むという利点が得られる。焼成前に不合格品を選別できれば、成形原料として容易に再利用できるので好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ウォールスルー型の柱状ハニカム成形体を模式的に示す斜視図である。
図2】ウォールスルー型の柱状ハニカム成形体をセルの延びる方向に直交する方向から観察したときの模式的な断面図である。
図3】ウォールフロー型の柱状ハニカム成形体を模式的に示す斜視図である。
図4】ウォールフロー型の柱状ハニカム成形体をセルの延びる方向に直交する方向から観察したときの模式的な断面図である。
図5】セルの開口形状の一例を示す模式図である。
図6】多角形セルの直線部を画定する直線状の隔壁部分、及び、多角形セルの角部を画定する隔壁部分を示す模式図である。
図7】曲がりが発生した隔壁を例示的に示す模式図である。
図8】画像解析装置の機能ブロック図の例を示す。
図9】試験例1に係るハニカム成形体について、長辺短辺比の標準偏差を横軸に、アイソスタティック破壊強度を縦軸にして二次元座標にプロットした結果を示す。
図10】試験例2に係るハニカム成形体について、矩形近似短辺の標準偏差を横軸に、アイソスタティック破壊強度を縦軸にして二次元座標にプロットした結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0022】
<1.柱状ハニカム成形体>
本発明に係る統計量探索方法は、焼成前の柱状ハニカム成形体を観察対象とすることができる。一般に、柱状ハニカム成形体は、外周側壁と、外周側壁の内周側に配設され、第一底面から第二底面まで流路を形成する複数のセルを区画する隔壁とを備えた柱状ハニカム構造部を有する。
【0023】
図1及び図2には、ウォールスルー型の自動車用排ガスフィルタ及び/又は触媒担体として適用可能な柱状ハニカム成形体100の模式的な斜視図及び断面図がそれぞれ例示されている。この柱状ハニカム成形体100は、外周側壁102と、外周側壁102の内周側に配設され、第一底面104から第二底面106まで流体の流路を形成する複数のセル108を区画する隔壁112とを備えた柱状ハニカム構造部を有する。この柱状ハニカム成形体100においては、各セル108の両端が開口しており、第一底面104から一つのセル108に流入した排ガスは、当該セルを通過する間に浄化され、第二底面106から流出する。
【0024】
図3及び図4には、ウォールフロー型の自動車用排ガスフィルタ及び/又は触媒担体として適用可能な柱状ハニカム成形体200の模式的な斜視図及び断面図がそれぞれ例示されている。この柱状ハニカム成形体200は、外周側壁202と、外周側壁202の内周側に配設され、第一底面204から第二底面206まで流体の流路を形成する複数のセル208a、208bを区画形成する隔壁212とを備えた柱状ハニカム構造部を有する。
【0025】
柱状ハニカム成形体200において、複数のセル208a、208bは、外周側壁202の内側に配設され、第一底面204から第二底面206まで延び、第一底面204が開口して第二底面206に目封止部209を有する複数の第1セル208aと、外周側壁202の内側に配設され、第一底面204から第二底面206まで延び、第一底面204に目封止部209を有し、第二底面206が開口する複数の第2セル208bに分類することができる。そして、この柱状ハニカム成形体200においては、第1セル208a及び第2セル208bが隔壁212を挟んで交互に隣接配置されている。
【0026】
焼成後の柱状ハニカム成形体200の上流側の第一底面204にスス等の粒状物質(PM)を含む排ガスが供給されると、排ガスは第1セル208aに導入されて第1セル208a内を下流に向かって進む。第1セル208aは下流側の第二底面206に目封止部209を有するため、排ガスは第1セル208aと第2セル208bを区画する多孔質の隔壁212を透過して第2セル208bに流入する。粒状物質(PM)は隔壁212を通過できないため、第1セル208a内に捕集され、堆積する。粒状物質(PM)が除去された後、第2セル208bに流入した清浄な排ガスは第2セル208b内を下流に向かって進み、下流側の第二底面206から流出する。
【0027】
焼成後の柱状ハニカム成形体100、200の底面形状に制限はないが、例えば円形状、楕円形状、レーストラック形状及び長円形状等のラウンド形状、三角形状及び四角形状等の多角形状、並びに、その他の異形形状とすることができる。図示の柱状ハニカム成形体100、200は、底面形状が円形状であり、全体として円柱状である。
【0028】
柱状ハニカム成形体の高さ(第一底面から第二底面までの長さ)は特に制限はなく、用途や要求性能に応じて適宜設定すればよい。柱状ハニカム成形体の高さと各底面の最大径(柱状ハニカム成形体の各底面の重心を通る径のうち、最大長さを指す)の関係についても特に制限はない。従って、柱状ハニカム成形体の高さが各底面の最大径よりも長くてもよいし、柱状ハニカム成形体の高さが各底面の最大径よりも短くてもよい。
【0029】
本発明に係る統計量探索方法においては、強度との相関が高いパラメータを探しやすいという観点から、セルの流路方向に垂直な断面における開口形状が多角形である複数のセルを有する柱状ハニカム成形体を対象とする。多角形である限り、セルの開口形状に特に制限はないが、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。これらのなかでも、正方形及び六角形が好ましい。セルの開口形状をこのようにすることにより、柱状ハニカム成形体に流体を流したときの圧力損失が小さくなり、触媒の浄化性能が優れたものとなる。
【0030】
ここで、セルの開口形状が“多角形”であるとは実際のセルの開口形状が数学上の厳密な多角形である必要はなく、設計仕様上のセルの開口形状が多角形であることを意味する。また、多角形セルの各角部(頂点付近)がR処理等された曲線状であっても多角形とみなす。図5を参照すると、多角形セル500の各辺は、直線部503と、直線部503の両端に設けられたR処理等された曲線状の角部502とを有する。この場合、曲線状の角部502がなかったと仮定した場合の多角形セル500の一辺の長さ(L1)に対する、当該一辺に沿った一つの曲線状の角部502の長さ(L2)の比(L2/L1)は、例えば0.005~0.020とすることができる。セルの変形抑制と排ガスフィルタとしての低圧力損失の維持を重視する観点からは、L2/L1は0.005~0.008とすることが好ましく、強度を重視する観点からは0.011~0.017とすることが好ましい。なお、ここでのL1及びL2は焼成後の柱状ハニカム成形体の設計仕様上の値を指す。
【0031】
柱状ハニカム成形体は断面形状が多角形ではないセルを有していてもよいが、強度との相関が高いパラメータを探しやすいという観点から、柱状ハニカム成形体が有するすべてのセル(パーシャルセルを含む)の数のうちで、開口形状が多角形であるセルの割合は90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、98%以上であることが更により好ましい。
【0032】
“パーシャルセル”とは、最外周に位置し、外周側壁によって少なくとも一部が区画形成されているセルを指す。パーシャルセルは、その輪郭の一部が外周側壁によって形成されているため、パーシャルセル以外のセル(以下、「通常セル」ともいう。)とは形状が異なり、面積も通常セルより小さい。パーシャルセルは柱状ハニカム成形体の外周側壁とセルの配置の兼ね合いから適宜設けられるものであり、欠陥ではなく設計仕様上存在するセルである。
【0033】
焼成後の柱状ハニカム成形体におけるセル密度(単位断面積当たりのセルの数)についても特に制限はなく、例えば6~2000セル/平方インチ(0.9~311セル/cm2)、更に好ましくは50~1000セル/平方インチ(7.8~155セル/cm2)、特に好ましくは100~600セル/平方インチ(15.5~92.0セル/cm2)とすることができる。ここで、セル密度は、柱状ハニカム成形体100、200が有するセルの個数を、柱状ハニカム成形体100、200の外周側壁を除く一方の底面積で割ることにより算出される。
【0034】
焼成後の柱状ハニカム成形体において、隔壁は多孔質とすることができる。隔壁の気孔率は、用途に応じて適宜調整すればよいが、流体の圧力損失を低く抑えるという観点からは、40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更により好ましい。また、隔壁の気孔率は、焼成後の柱状ハニカム成形体の強度を確保するという観点から、80%以下であることが好ましく、75%以下であることがより好ましく、70%以下であることが更により好ましい。気孔率は、水銀ポロシメータを用いて、JIS R1655:2003に準拠して水銀圧入法によって測定される。
【0035】
焼成後の柱状ハニカム成形体における隔壁の厚みは、強度確保及びフィルタ用途の場合に捕集効率を高めるという観点から150μm以上であることが好ましく、170μm以上であることがより好ましく、190μm以上であることが更により好ましい。また、隔壁の厚みは圧力損失を抑制するという観点から260μm以下であることが好ましく、240μm以下であることがより好ましく、220μm以下であることが更により好ましい。
【0036】
焼成後の柱状ハニカム成形体100、200を触媒担体として使用する場合、隔壁112、212の表面に目的に応じた触媒をコーティングすることができる。触媒としては、限定的ではないが、炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)を酸化燃焼させて排ガス温度を高めるための酸化触媒(DOC)、スス等のPMの燃焼を補助するPM燃焼触媒、窒素酸化物(NOx)を除去するためのSCR触媒及びNSR触媒、並びに、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NOx)を同時に除去可能な三元触媒が挙げられる。触媒は、例えば、貴金属(Pt、Pd、Rh等)、アルカリ金属(Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(Mg、Ca、Ba、Sr等)、希土類(Ce、Sm、Gd、Nd、Y、La、Pr等)、遷移金属(Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sc、Ti、Zr、V、Cr等)等を適宜含有することができる。
【0037】
<2.柱状ハニカム成形体の製法>
柱状ハニカム成形体は、公知の作製方法によって作製可能であるが以下に例示的に説明する。まず、セラミックス原料、分散媒、造孔剤及びバインダーを含有する原料組成物を混練して坏土を作製した後、坏土を押出成形し、乾燥することにより焼成前の柱状ハニカム成形体を製造することができる。原料組成物中には分散剤等の添加剤を必要に応じて配合することができる。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚み、セル密度等を有する口金を用いることができる。
【0038】
乾燥工程においては、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の従来公知の乾燥方法を用いることができる。なかでも、成形体全体を迅速かつ均一に乾燥することができる点で、熱風乾燥と、マイクロ波乾燥又は誘電乾燥とを組み合わせた乾燥方法が好ましい。目封止部は、乾燥したハニカム成形体の両底面の所定位置に目封止部を形成した上で目封止部を乾燥することで形成可能である。
【0039】
セラミックス原料は、金属酸化物及び金属等の焼成後に残存し、セラミックスとして焼成後の柱状ハニカム成形体(柱状ハニカム構造体)の骨格を構成する部分の原料である。セラミックス原料は例えば粉末の形態で提供することができる。セラミックス原料としては、コージェライト、ムライト、ジルコン、チタン酸アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、ジルコニア、スピネル、インディアライト、サフィリン、コランダム、チタニア等のセラミックスを得るための原料が挙げられる。具体的には、限定的ではないが、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、蛇紋石、パイロフェライト、ブルーサイト、ベーマイト、ムライト、マグネサイト、水酸化アルミニウム等が挙げられる。セラミックス原料は、1種類を単独で使用するものであっても、2種類以上を組み合わせて使用するものであってもよい。
【0040】
DPF及びGPF等のフィルタ用途の場合、セラミックスとしてコージェライトを好適に使用することができる。この場合、セラミックス原料としてはコージェライト化原料を使用することができる。コージェライト化原料とは、焼成によりコージェライトとなる原料である。コージェライト化原料は、アルミナ(Al23)(アルミナに変換される水酸化アルミニウムの分を含む):30~45質量%、マグネシア(MgO):11~17質量%及びシリカ(SiO2):42~57質量%の化学組成からなることが望ましい。
【0041】
分散媒としては、水、又は水とアルコール等の有機溶媒との混合溶媒等を挙げることができるが、特に水を好適に用いることができる。
【0042】
造孔剤としては、焼成後に気孔となるものであれば、特に限定されず、例えば、小麦粉、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル、炭素(例:グラファイト、コークス)、セラミックスバルーン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、アクリル、フェノール等を挙げることができる。造孔剤は、1種類を単独で使用するものであっても、2種類以上を組み合わせて使用するものであってもよい。造孔剤の含有量は、焼成後のハニカム成形体の気孔率を高めるという観点からは、セラミックス原料100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であるのがより好ましく、3質量部以上であるのが更により好ましい。造孔剤の含有量は、焼成後のハニカム成形体の強度を確保するという観点からは、セラミックス原料100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、7質量部以下であるのがより好ましく、4質量部以下であるのが更により好ましい。
【0043】
バインダーとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の有機バインダーを例示することができる。特に、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを併用することが好適である。また、バインダーの含有量は、焼成前のハニカム成形体の強度を高めるという観点から、セラミックス原料100質量部に対して4質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であるのがより好ましく、6質量部以上であるのが更により好ましい。バインダーの含有量は、焼成工程での異常発熱によるキレ発生を抑制する観点から、セラミックス原料100質量部に対して9質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であるのがより好ましく、7質量部以下であるのが更により好ましい。バインダーは、1種類を単独で使用するものであっても、2種類以上を組み合わせて使用するものであってもよい。
【0044】
分散剤には、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリエーテルポリオール等を用いることができる。分散剤は、1種類を単独で使用するものであっても、2種類以上を組み合わせて使用するものであってもよい。分散剤の含有量は、セラミックス原料100質量部に対して0~2質量部であることが好ましい。
【0045】
柱状ハニカム成形体は、図1及び図2に示す柱状ハニカム成形体100のように、すべてのセルの両端を開口させてもよい。また、柱状ハニカム成形体は、図3及び図4に示す柱状ハニカム成形体200のように、セルの一端が交互に目封止されたセル構造を有することもできる。柱状ハニカム成形体の底面を目封止する方法は、特に限定されるものではなく、公知の手法を採用することができる。
【0046】
目封止部の材料については、特に制限はないが、強度や耐熱性の観点からセラミックスであることが好ましい。セラミックスとしては、コージェライト、ムライト、ジルコン、チタン酸アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、ジルコニア、スピネル、インディアライト、サフィリン、コランダム、及びチタニアからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するセラミックスであることが好ましい。目封止部はこれらのセラミックスを合計で50質量%以上含む材料で形成されていることが好ましく、80質量%以上含む材料で形成されていることがより好ましい。焼成時の膨張率を同じにでき、耐久性の向上につながるため、目封止部はハニカム成形体の本体部分と同じ材料組成とすることが更により好ましい。
【0047】
目封止部の形成方法について例示的に説明する。目封止スラリーを、貯留容器に貯留しておく。次いで、目封止部を形成すべきセルに対応する箇所に開口部を有するマスクを一方の底面に貼る。マスクを貼った底面を、貯留容器中に浸漬して、開口部に目封止スラリーを充填して目封止部を形成する。他方の底面についても同様の方法で目封止部を形成することができる。
【0048】
焼成前の柱状ハニカム成形体に対して、脱脂工程及び焼成工程を実施することで焼成後の柱状ハニカム成形体(柱状ハニカム構造体)を製造することができる。脱脂工程及び焼成工程の条件はハニカム成形体の材料組成に応じて公知の条件を採用すればよく、特段に説明を要しないが以下に具体的な条件の例を挙げる。
【0049】
脱脂工程について説明する。バインダーの燃焼温度は200℃程度、造孔剤の燃焼温度は300~1000℃程度である。従って、脱脂工程はハニカム成形体を200~1000℃程度の範囲に加熱して実施すればよい。加熱時間は特に限定されないが、通常は、10~100時間程度である。脱脂工程を経た後のハニカム成形体は仮焼体と称される。
【0050】
焼成工程は、ハニカム成形体の材料組成にもよるが、例えば仮焼体を大気雰囲気下で1350~1600℃に加熱して、3~10時間保持することで行うことができる。
【0051】
<3.強度と相関をもつ統計量を探索する方法>
本発明の一実施形態によれば、
外周側壁と、外周側壁の内周側に配設され、第一底面から第二底面まで流路を形成する複数の多角形セルを区画する隔壁とを備えた柱状ハニカム構造部を有する所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と相関をもつ統計量を探索する方法であって、
所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体を作製するための複数の焼成前の柱状ハニカム成形体を作製する工程Aと、
工程Aで作製した複数の焼成前の柱状ハニカム成形体のそれぞれに対して、第一底面又は第二底面の少なくとも一方を観察することによって測定可能な2種以上のパラメータを、最外周におけるパーシャルセルを除く多角形セルのうち、90%以上の数の多角形セルに対して測定し、測定された各パラメータについて2種以上の統計量を算出する工程Bと、
工程Aで作製した複数の焼成前の柱状ハニカム成形体のそれぞれを所定条件で焼成し、複数の焼成後の柱状ハニカム成形体を作製する工程Cと、
各パラメータについて工程Bで算出された2種以上の統計量と工程Cで作製した複数の焼成後の柱状ハニカム成形体の強度との相関を評価する工程Dと、
工程Dの結果に基づき、所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と最も高い相関をもつ統計量を前記2種以上の統計量の中から決定する工程Eと、
を含む方法が提供される。
【0052】
本実施形態に係る探索方法によれば、焼成前の柱状ハニカム成形体の第一底面又は第二底面の少なくとも一方を観察することによって測定可能な2種以上のパラメータに関する統計量から、所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と最も高い相関をもつ統計量が決定される。底面観察は非破壊で簡単に行うことができるので、当該実施形態に係る探索方法は利便性が高い。また、大きさ、形状、セル構造、材質等の柱状ハニカム成形体の設計仕様によっては、焼成後の強度と相関の高いパラメータが変動し得るが、当該実施形態に係る探索方法を採用することで、柱状ハニカム成形体の種類や製品番号に応じた最適なパラメータ及び統計量を発見することができる。
【0053】
(工程A)
工程Aにおいては、所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体を作製するための複数の焼成前の柱状ハニカム成形体を作製する。焼成前の柱状ハニカム成形体の作製方法は先述した通りであるが、通常は焼成時の収縮を考慮して焼成前の柱状ハニカム成形体の目標寸法が決定される。作製する焼成前の柱状ハニカム成形体が当該目標寸法に近づくように、原料組成に応じて口金形状、押出成形条件、及び乾燥条件等を決定することが望ましい。
【0054】
(工程B)
工程Bにおいては、工程Aで作製した複数の焼成前の柱状ハニカム成形体のそれぞれに対して、第一底面又は第二底面の少なくとも一方を観察することによって測定可能な2種以上のパラメータを、最外周におけるパーシャルセルを除く多角形セル(以下、「通常セル」ともいう)のうち、90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくはすべての数の多角形セルに対して測定し、測定された各パラメータについて2種以上の統計量を算出する。最外周におけるパーシャルセルを除く多角形セルに対して2種以上のパラメータを測定するのは、信頼性の高い統計量を得るためである。パーシャルセルは数が少なく、強度への相関が無視できるのでパラメータの測定対象から除かれる。
【0055】
信頼性の高い統計量を得るためには、工程Bにおいて測定対象となる焼成前の柱状ハニカム成形体は、10個以上であることが好ましく、20個以上であることがより好ましく、50個以上であることが更により好ましい。一方、測定対象となる焼成前の柱状ハニカム成形体の数が多すぎても作業負担が大きくなる。また、データ数が増加するにつれて統計量も収束していく。このことから、工程Bにおいて測定対象となる焼成前の柱状ハニカム成形体は、500個以下であることが好ましく、300個以下であることがより好ましく、100個以下であることが更により好ましい。
【0056】
第一底面又は第二底面の少なくとも一方を観察することによって測定可能なパラメータの中でも、焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と相関が高いと予測されるパラメータを測定対象とすることが好ましい。このため、好ましい実施形態においては、各多角形セルの開口部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータ、各多角形セルの各辺を画定する隔壁部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータ、及び、各多角形セルの各角部を画定する隔壁部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータから選択される2種以上のパラメータが測定対象である。
【0057】
各多角形セルの開口部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータは、限定的ではないが、開口面積、内接円半径、矩形近似短辺、矩形近似長辺、長方形度、真円度、コンパクト度、輪郭長、凸面度、長径短径比、楕円度合い、構造係数、中心距離偏差、丸み度、外接円半径、楕円近似長径、楕円近似短径、セル方向、及び、長辺短辺比から選択される1種以上を含むことが好ましく、少なくとも構造係数、セル方向及び長辺短辺比を含むことがより好ましい。
【0058】
・開口面積は、一つのセル開口部分の面積を意味する。
・内接円半径は、一つのセル開口部分に内接する最大円の半径を意味する。
・矩形近似短辺は、一つのセル開口部分に外接する回転も考慮した最小矩形の短辺を意味する。
・矩形近似長辺は、一つのセル開口部分に外接する回転も考慮した最小矩形の長辺を意味する。
・長方形度は、一つのセル開口部分の領域と、当該一つのセル開口部分を長方形で近似した場合の近似長方形の領域との対称差の面積を意味する。近似長方形は、当該一つのセル開口部分と同じ重心、同じ二次モーメント、及び同じ面積をもつ長方形を意味する。二次モーメントは後述する近似楕円を求める際の二次モーメントと同じである。
・真円度は、一つのセル開口部分の面積と、当該一つのセル開口部分を当該開口部分と同じ重心で、同じ面積の真円で近似した場合の近似真円の面積の比を意味する。当該比はどちらを分母として計算してもよい。
・コンパクト度は、一つのセル開口部分の面積と当該一つのセル開口部分の輪郭長の比を意味する。当該比はどちらを分母として計算してもよい。
・輪郭長は、一つのセル開口部分の輪郭長を意味する。
・凸面度は、一つのセル開口部分の面積と、当該一つのセル開口部分を凸包で近似した場合の近似凸包面積の比を意味する。近似凸包は当該一つのセル開口部分を含む最小の凸集合として定義される。当該比はどちらを分母として計算してもよい。
・長径短径比は、一つのセル開口部分を楕円で近似した場合の、近似楕円の長径と短径の比を意味する。当該比はどちらを分母として計算してもよい。例えば、一つのセル開口部分を構成する領域に含まれる各画素の座標値を決め、当該領域の画像モーメントから重心座標を求め、更に重心座標から二次モーメントを算出することで近似楕円の方程式を求めることができる。
・楕円度合いは、一つのセル開口部分の面積と、当該一つのセル開口部分を楕円で近似した場合の近似楕円面積の比を意味する。当該比はどちらを分母として計算してもよい。
・構造係数は、(構造係数)=(長径短径比)×(楕円度合い)-1の式により算出される。
・中心距離偏差は、一つのセル開口部分の輪郭と重心を結ぶ線分を多数引いたときの線分の長さの標準偏差を意味する。線分は等間隔の角度差で360本以上引くことが好ましい。
・丸み度は、一つのセル開口部分の輪郭と重心を結ぶ線分を多数引いたときの線分の長さの標準偏差(中心距離偏差)と線分の長さの平均の比を意味する。当該比はどちらを分母として計算してもよい。
・外接円半径は、一つのセル開口部分に外接する最小円の半径を意味する。
・楕円近似長径は、一つのセル開口部分を楕円で近似した場合の近似楕円の長径を意味する。
・楕円近似短径は、一つのセル開口部分を楕円で近似した場合の近似楕円の短径を意味する。
・セル方向は、一つのセル開口部分を楕円で近似した場合の近似楕円の傾き度合いを意味する。傾き度合いはラジアン(rad)又は度(°)で表すことができる。
・長辺短辺比は、一つのセル開口部分に外接する回転も考慮した最小矩形の、長辺と短辺の比を意味する。当該比はどちらを分母として計算してもよい。
【0059】
各多角形セルの各辺を画定する隔壁部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータは、限定的ではないが、隔壁曲がり、隔壁厚、及び隔壁方向から選択される1種以上を含むことが好ましく、2種以上を含むことがより好ましい。
【0060】
・隔壁曲がりは、多角形セルの設計上の直線部を画定する隔壁部分の長手方向に延びる中心線を取り囲むことのできる最小長方形の短辺の長さを意味する。多角形セル500の設計上の直線部503を画定する直線状の隔壁部分504は長手方向に直線状に延びているため、その中心線505を取り囲む最小長方形507の短辺の長さは、長手方向に延びる中心線505の太さに等しい(図6)。これに対して、製造工程において直線状の隔壁部分504に曲がりが発生すると、曲がりの度合いに応じて中心線505も湾曲し、中心線505を取り囲むことのできる最小長方形507の短辺の長さが長くなる(図7)。中心線505の太さは適宜設定すればよいが、例えば1~3ピクセルとすることができ、好ましくは1ピクセルとすることができる。また、隔壁曲がりは、設計上、互いに平行な位置関係にある直線状の隔壁部分504を単位として統計量を算出してもよいし、すべての隔壁の直線状の隔壁部分504を対象にして一括して統計量を算出してもよい。
・隔壁厚は、多角形セル500の直線部503を画定する直線状の隔壁部分504に内接する最大円508の半径を意味する(図6)。隔壁厚は、当該最大円508の直径として算出してもよい。また、隔壁厚は、設計上、互いに平行な位置関係にある直線状の隔壁部分504を単位として統計量を算出してもよいし、すべての隔壁の直線状の隔壁部分504を対象にして一括して統計量を算出してもよい。
・隔壁方向は、設計上、互いに平行な位置関係にある直線状の隔壁部分504の長手方向が延びる方向の傾き度合いを意味する。
【0061】
各多角形セルの各角部を画定する隔壁部分の形状又は大きさを特徴付ける1種以上のパラメータは、限定的ではないが、角部を画定する隔壁部分の面積を含むことが好ましい。多角形セル500の角部502を画定する隔壁部分506は、隔壁のうち、多角形セル500の設計上の直線部503を画定する直線状の隔壁部分504に囲まれた部分を指す(図6)。
【0062】
上記の各パラメータ及び統計量は、カメラで第一底面及び/又は第二底面を撮像することで生成した画像から画像処理ライブラリを利用して自動的に測定及び算出可能である。例えば、MVTec社のHALCON(Ver.18.11又はそれ以降のバージョン)によって測定及び算出可能である。
【0063】
信頼性の高い統計量を得るためには、第一底面及び第二底面の両方を観察することが好ましい。特に、目封止部を有する柱状ハニカム成形体の場合には、目封止部を有するセルは、一方の底面を撮像しても開口部の大きさを測定することができないセルが存在するため、両底面を観察することが好ましい。
【0064】
測定対象となるパラメータの種類は、多い方が強度との相関が高いパラメータを発見しやすくなる。このため、測定対象となるパラメータの種類は、10種以上であることが好ましく、15種以上であることがより好ましく、20種以上であることが更により好ましい。一方で、測定対象となるパラメータの種類には限りがあり、また、種類が多くなるとデータ処理のための工数が増える。このことから、測定対象となるパラメータの種類は、30種以下であることが好ましく、28種以下であることがより好ましく、25種以下であることが更により好ましい。
【0065】
一つのパラメータからは、多種類の統計量を導き出すことができる。検討対象となる統計量の種類が増える方が、強度との相関が高いパラメータと統計量の組み合わせを発見しやすくなる。このことから、一つのパラメータに対して算出する統計量の種類は、2種以上であることが好ましく、5種以上であることがより好ましく、7種以上であることが更により好ましい。一方で、測定対象となる統計量の種類には限りがあり、また、種類が多くなるとデータ処理のための工数が増える。このことから、一つのパラメータに対して算出する統計量の種類は、15種以下であることが好ましく、13種以下であることがより好ましく、10種以下であることが更により好ましい。
【0066】
統計量の種類としては、限定的ではないが、算術平均、標準偏差、尖度、歪度、最小値、中央値、最大値、第一四分位数、第三四分位数、範囲(最大-最小)等の代表値が挙げられる。これらの中でも、経験的に焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と相関が高いと予測される統計量である算術平均、標準偏差、尖度、歪度、最小値、中央値、及び最大値から選択される2種以上を含むことが好ましく、5種以上を含むことがより好ましい。とりわけ、算術平均、標準偏差、最小値、中央値、及び最大値から選択される2種以上を含むことが好ましく、これら5種すべてを含むことがより好ましい。
【0067】
多角形セルの構造係数が測定対象である場合は、焼成後の柱状ハニカム成形体の強度との相関が特に高いことが予測されるため、算術平均及び中央値から選択される1種以上の統計量を算出することが好ましく、算術平均及び中央値の両方を算出することがより好ましい。
【0068】
多角形セルのセル方向が測定対象である場合は、焼成後の柱状ハニカム成形体の強度との相関が特に高いことが予測されるため、標準偏差及び尖度から選択される1種以上の統計量を算出することが好ましく、標準偏差及び尖度の両方を算出することがより好ましい。
【0069】
多角形セルの長辺短辺比が測定対象である場合は、焼成後の柱状ハニカム成形体の強度との相関が特に高いことが予測されるため、算術平均、標準偏差及び最大値から選択される1種以上の統計量を算出することが好ましく、2種以上の統計量を算出することがより好ましく、3種すべての統計量を算出することが更により好ましい。
【0070】
多角形セルの角部を画定する隔壁部分の面積が測定対象である場合は、焼成後の柱状ハニカム成形体の強度との相関が特に高いことが予測されるため、尖度及び歪度から選択される1種以上の統計量を算出することが好ましく、尖度及び歪度の両方を算出することがより好ましい。
【0071】
焼成前の各柱状ハニカム成形体の第一底面又は第二底面を観察する方法には特段の制限はないが、カメラで第一底面又は第二底面を撮像する方法が挙げられる。カメラによる撮像は、第一底面又は第二底面に対して垂直な方向から実施することが検査精度を高める上で好ましい。カメラはエリアカメラでもラインカメラでもよいが、撮像タクトが速い、照明幅が広い、及び設備サイズを小さくできる等の理由により、エリアカメラが好ましい。検査精度を高める観点からは、画素分解能が高いカメラを使用することが好ましい。具体的には、カメラはセルの一般的な開口面積を考慮すると、垂直方向及び水平方向共に、40μm/画素以下の画素分解能を有することが好ましく、25μm/画素以下が好ましく、例えば1~40μm/画素とすることができる。
【0072】
カメラで撮像することにより生成された画像において、上述した2種以上のパラメータを測定する。各種パラメータの測定は検査者が画像に基づき行ってもよいが、検査対象となるセルの数は多いため、画像解析装置を用いて自動測定することが好ましい。画像解析装置による測定手順の例については後述する。
【0073】
(工程C)
工程Cでは、工程Aで作製した複数の焼成前の柱状ハニカム成形体のそれぞれを所定条件で焼成し、複数の焼成後の柱状ハニカム成形体を作製する。焼成条件は、柱状ハニカム成形体の設計仕様に応じて適宜設定される。焼成前に測定した各種統計量と、焼成後の柱状ハニカム成形体の強度との相関を適切に評価するために、複数の焼成前の柱状ハニカム成形体を焼成する際は、焼成前の脱脂条件に加え、炉内雰囲気、ヒートカーブ、焼成時間等の設計上の焼成条件を一致させることが好ましい。なお、実際の焼成条件は外乱によって不可避的に変動し得るため、「設計上の焼成条件を一致させる」というのは、焼成条件の意図的な変動を行わないという意味である。
【0074】
(工程D)
工程Dでは、各パラメータについて工程Bで算出された2種以上の統計量と工程Cで作製した複数の焼成後の柱状ハニカム成形体の強度との相関をそれぞれ評価する。両者の相関は、例えば相関係数を求めることで評価可能である。相関係数の絶対値が大きいほど両者の相関が高いと言える。相関係数の絶対値が0.4以上であれば有意な相関があると言え、相関係数の絶対値が0.5以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましい。相関の評価は、相関係数以外にも、相関係数を二乗した値である決定係数を利用することができる。
【0075】
柱状ハニカム成形体の強度を表すパラメータは種々存在し、特に制限はないが、例えば、アイソスタティック破壊強度及び圧縮強度が挙げられる。この中でも、キャニング時の加圧に耐えられるか否かの評価を行いやすいという理由により、アイソスタティック破壊強度を採用することが好ましい。
【0076】
(工程E)
工程Eでは、工程Dの結果に基づき、所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と最も高い相関をもつ統計量を前記2種以上の統計量の中から決定する。所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と最も高い相関をもつ統計量は、例えば、相関係数の絶対値が最も高い統計量を選択することで決定可能である。
【0077】
<4.所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体が得られるか否かを予測する方法>
所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と最も高い相関をもつ統計量が決定すると、当該統計量を利用することで、焼成前の柱状ハニカム成形体に基づいて、所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体が得られるか否かを予測することが可能になる。また、焼成後の柱状ハニカム成形体の強度を推定することも可能である。よって、焼成前の柱状ハニカム成形体に対して当該統計量を品質検査の項目として取り入れることができる。
【0078】
また、本発明者の研究結果によると、大きさ、形状、セル構造、材質等の設計仕様に関わらず、焼成後の柱状ハニカム成形体の強度と相関の高いパラメータと統計量の組み合わせが存在する。具体的には、以下の(1)~(4)に示す組み合わせが好ましい。
(1)“構造係数”と、算術平均及び中央値から選択される1種以上の統計量との組み合わせ。
(2)“セル方向”と、標準偏差及び尖度から選択される1種以上の統計量との組み合わせ。
(3)“長辺短辺比”と、算術平均、標準偏差及び最大値から選択される1種以上の統計量との組み合わせ。
(4)“角部を画定する隔壁部分の面積”と、尖度及び歪度から選択される1種以上の統計量との組み合わせ。
【0079】
上記の(1)~(4)の中でも、“長辺短辺比”と、算術平均及び標準偏差から選択される1種以上の統計量との組み合わせがより好ましく、“長辺短辺比”と標準偏差の組み合わせが更により好ましい。
【0080】
従って、本発明の一実施形態によれば、
外周側壁と、外周側壁の内周側に配設され、第一底面から第二底面まで流路を形成する複数の多角形セルを区画する隔壁とを備えた柱状ハニカム構造部を有する焼成前の柱状ハニカム成形体の測定結果に基づき、所定の焼成条件で焼成した場合に所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体が得られるか否かを予測する方法であって、
前記焼成前の柱状ハニカム成形体の第一底面又は第二底面の少なくとも一方を観察することによって、最外周におけるパーシャルセルを除く多角形セルのうち、90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくはすべての数の多角形セルに対して、開口部分の形状を特徴付ける構造係数、セル方向及び長辺短辺比、並びに、角部を画定する隔壁部分の面積から選択される1種以上のパラメータを測定する工程1と、
工程1で測定されたパラメータが構造係数である場合は、算術平均及び中央値から選択される1種以上の統計量、
工程1で測定されたパラメータがセル方向である場合は、標準偏差及び尖度から選択される1種以上の統計量、
工程1で測定されたパラメータが長辺短辺比である場合は、算術平均、標準偏差及び最大値から選択される1種以上の統計量、
工程1で測定されたパラメータが角部を画定する隔壁部分の面積である場合は、尖度及び歪度から選択される1種以上の統計量、
を工程1の結果に基づき算出する工程2と、
工程2で算出された1種以上の統計量と、前記所定の設計仕様及び統計量の種類に応じて予め定めた判定基準とを比較する工程3と、
を含む方法が提供される。
【0081】
工程3における比較に使用する判定基準は、所定の設計仕様及び統計量の種類に応じて適切な基準を予め定めればよい。例示的に、所定の設計仕様の柱状ハニカム成形体が得られるかどうかを長辺短辺比の標準偏差により予測する場合について説明する。まず、予測対象となる柱状ハニカム成形体と同一の設計仕様の別の複数の柱状ハニカム成形体について、焼成前の柱状ハニカム成形体に対する長辺短辺比の標準偏差と所定条件で焼成後の当該別の複数の柱状ハニカム成形体の強度との相関関係を求める。次に、得られた相関関係に基づき、焼成後に要求される強度を有することが予測される長辺短辺比の標準偏差の許容範囲を焼成前の柱状ハニカム成形体について設定する。従って、この場合、長辺短辺比の標準偏差の当該許容範囲を判定基準として利用することができる。
【0082】
上記の判定基準に基づいて、焼成前の柱状ハニカム成形体の品質検査を実施することができる。例えば、算出された長辺短辺比の標準偏差が許容範囲を超えていれば、当該柱状ハニカム成形体は不合格品と判定し、算出された長辺短辺比の標準偏差が許容範囲内であれば、当該柱状ハニカム成形体は合格品と判定することができる。
【0083】
また、上記相関関係を利用することで、焼成後の柱状ハニカム成形体の強度を推定することも可能となる。従って、当該予測方法の一実施形態によれば、予測対象となる柱状ハニカム成形体と同一の設計仕様の別の複数の柱状ハニカム成形体について予め求めた、焼成前の柱状ハニカム成形体に対する前記1種以上の統計量と前記所定の焼成条件で焼成後の当該別の複数の柱状ハニカム成形体の強度との相関関係を利用して、工程2で算出された1種以上の統計量に基づき前記焼成前の柱状ハニカム成形体を当該所定の焼成条件で焼成した後の柱状ハニカム成形体の強度を推定する工程4を含む。
【0084】
上記の推定方法で推定される強度に基づいて、焼成前の柱状ハニカム成形体の品質検査を実施することができる。例えば、推定された強度が焼成後の柱状ハニカム成形体に要求される強度を下回っていれば、検査対象となった柱状ハニカム成形体は不良品と判定し、推定された強度が要求される強度以上であれば合格品と判定することができる。
【0085】
(画像解析装置)
図8には、画像解析装置300の機能ブロック図の例が示されている。画像解析装置300は、データ記憶部301、表示部302、入力部303、及び演算部304を備える。
【0086】
データ記憶部301は、例えば半導体メモリで構成することができ、カメラによって生成された柱状ハニカム成形体の第一底面又は第二底面の少なくとも一方の画像データを記憶することができる。また、上記予測方法の工程3で使用する判定基準を記憶することができる。
【0087】
入力部303は、例えばキーボード、タッチパネル、テンキー及びマウス等で構成することができ、検査者は入力部303を介して、柱状ハニカム成形体の第一底面又は第二底面を示す所望の画像に対して画像解析の開始指示を行うことができる。
【0088】
表示部302は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置により構成することができ、データ記憶部301に記憶されている画像データを表示することができる。また、画像解析の結果を表示することができる。
【0089】
演算部304は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等により構成することができる。演算部304は、入力部303から画像解析開始の指令を受け付けると、データ記憶部301に保存されている画像データに基づき画像解析を実行し、所定のパラメータの測定及び統計量の算出を行うことができる。画像解析に使用するソフトウェアとしては、先述したMVTec社のHALCON(Ver.18.11又はそれ以降のバージョン)を好適に使用可能である。
【0090】
画像解析は、一実施形態において、カメラによって撮像された柱状ハニカム成形体の第一底面又は第二底面の少なくとも一方の画像を画像処理する工程と、画像処理する工程により得られた第一底面又は第二底面の少なくとも一方の画像に基づき、先述した2種以上のパラメータを、最外周におけるパーシャルセルを除く多角形セルのうち、90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくはすべての数の多角形セルに対して測定する工程と、測定された各パラメータについて2種以上の統計量を算出する工程を含む。
【0091】
各種パラメータを容易に測定するため、画像処理する工程においては、演算部304は、
柱状ハニカム成形体の第一底面又は第二底面の少なくとも一方の画像において、外周側壁の内周側を、予め定めた輝度の閾値に基づいて、セルの開口領域と、隔壁領域及び外周側壁領域との二つに分ける二値化処理と、
二値化処理後、外周側壁の外表面を形成する輪郭線から内側に所定の閾値分だけオフセットした領域から外側を外周側壁領域として区別し、隔壁領域を特定する工程と、
を含む画像処理を行うことが好ましい。
また、「隔壁曲がり」を算出する場合には、隔壁領域から隔壁領域の中心線を抽出する骨格化処理を行うことが好ましい。
【0092】
二値化処理における閾値は、開口領域と隔壁領域及び外周側壁領域とを区別して認識するという観点から設定することができる。二値化処理は、公知の方法を用いて行えばよいが、例えば大津の二値化法等の動的な二値化法を好ましく用いることができる。二値化処理を行うことで、隔壁部と開口部とに明瞭に分けることができ、画像解析が容易化するという利点が得られる。
【0093】
骨格化処理においては、例えば隔壁の厚みに相当する直径を有する円を、隔壁の延びる方向に沿って互いに隣接させて隔壁領域内に直列に並べ、円の中心画素を互いに接続することで中心線を抽出することができる。骨格化処理を行うことで、隔壁の中心線を認識することができるので、隔壁の直線性を鮮明に認識でき、検査精度が上がるという利点が得られる。
【0094】
先述した、所定の焼成条件で焼成した場合に所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体が得られるか否かを予測する方法において、判定基準との比較をする工程3は、画像解析装置300に行わせることも可能である。この場合、データ記憶部301には、判定基準に関する情報が保存されており、演算部304は、算出された統計量と判定基準を比較する。比較の結果、判定基準を満たすか否かの結果が表示部302に表示されるように画像解析装置300を構成することも可能である。
【0095】
また、所定の焼成条件で焼成した場合に所定の設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体が得られるか否かを予測する方法において、所定の焼成条件で焼成した後の柱状ハニカム成形体の強度を推定する工程4を画像解析装置300に行わせることも可能である。この場合、データ記憶部301には、焼成前の柱状ハニカム成形体に対する1種以上の統計量と所定の焼成条件で焼成後の当該別の複数の柱状ハニカム成形体の強度との相関関係に関する情報が保存されており、演算部304は、算出された統計量に基づいて強度を推定する。推定される強度が表示部302に表示されるように画像解析装置300を構成することも可能である。
【実施例
【0096】
<試験例1>
(1.ハニカム成形体の作製)
所定の製品番号が付与される予定の以下の設計仕様のハニカム成形体について、焼成前のハニカム成形体を以下の手順で作製した。
[焼成後のハニカム成形体の設計仕様]
全体形状:直径118mm×高さ114mmの円柱状
通常セルの流路方向に垂直な断面におけるセル形状:正方形
通常セルの流路方向に垂直な断面における開口の設計寸法:0.97mm×0.97mm
セル密度(単位断面積当たりのセルの数):600セル/in2
隔壁の厚み:64μm
【0097】
コージェライト化原料100質量部に、造孔剤を1質量部、分散媒を30質量部、有機バインダーを8質量部、分散剤を1質量部、それぞれ添加し、混合、混練して坏土を調製した。コージェライト化原料としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、及びシリカを使用した。分散媒としては水を使用し、造孔剤としては平均粒子径1~10μmのコークスを使用し、有機バインダーとしてはヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用し、分散剤としてはエチレングリコールを使用した。
【0098】
この坏土を押出成形機に投入して、所定の口金を介して水平方向に押出成形することにより円柱状のハニカム成形体を得た。得られたハニカム成形体を誘電乾燥及び熱風乾燥した後、所定の寸法となるように両底面を切断して、円柱状のハニカム成形体を得た。
【0099】
上記と同様の手順で、円柱状のハニカム成形体を合計で306個作製した。但し、そのうち8個は強度低下を狙い、意図的に分散媒の量を変化させ、セル形状の歪みを促した。また、それ以外の298個のハニカム成形体においては意図的な製造条件の変更は行わなかったが、不可避的に若干の寸法変動が生じる。
【0100】
(2.セルを特徴付ける各種パラメータの測定及び統計量の算出)
得られた各ハニカム成形体について、以下の手順に従って各種パラメータを測定し、パラメータ毎に各種統計量を算出した。各柱状ハニカム成形体の一方の底面を、底面に垂直な方向からエリアカメラ(垂直方向の画素分解能0.01455mm/画素、水平方向の画素分解能0.01453mm/画素)で撮像し、当該底面の画像を生成した。生成された画像を、画像処理ライブラリ(MVTec社製HALCON、Ver.18.11)を用いて画像処理及び画像解析し、パーシャルセルを除くすべてのセルについて表1に示す各種パラメータを測定し、当該パラメータに関する以下の統計量を各ハニカム成形体について算出した。
[各多角形セルの開口部分の形状又は大きさを特徴付けるパラメータ]
開口面積、内接円半径、矩形近似短辺、矩形近似長辺、長方形度、真円度、コンパクト度、輪郭長、凸面度、長径短径比、楕円度合い、構造係数、中心距離偏差、丸み度、外接円半径、楕円近似長径、楕円近似短径、セル方向、及び、長辺短辺比
[各多角形セルの各辺を画定する隔壁部分の形状又は大きさを特徴付けるパラメータ]
隔壁曲がり、隔壁厚、及び隔壁方向
(セルの延びる方向に垂直な断面において、押出成形時に鉛直方向に延びる隔壁を隔壁1とし、押出成形時に水平方向に延びる隔壁を隔壁2として、隔壁1及び隔壁2のそれぞれについて隔壁曲がり、隔壁厚、及び隔壁方向を算出した。)
[各多角形セルの各角部を画定する隔壁部分の形状又は大きさを特徴付けるパラメータ]
角部を画定する隔壁部分の面積
【0101】
画像解析に当たっては、画像処理ライブラリ(MVTec社製HALCON、Ver.18.11)を用いて以下の画像処理を行った。
・前記底面の画像において、外周側壁の内周側を、大津の二値化法により動的に算出した閾値に基づいて、セルの開口領域と隔壁領域の二つに分ける二値化処理
・「隔壁曲がり」を算出する場合のみ、平滑化処理後の隔壁領域から隔壁領域の中心線(太さ1ピクセル=0.01453mm)を抽出する骨格化処理
【0102】
(3.ハニカム成形体の焼成)
その後、各ハニカム成形体を大気雰囲気下、200~1000℃の所定の条件で脱脂した後、1350~1600℃に加熱して、3~10時間の所定の焼成条件で焼成した。何れのハニカム成形体も同じ焼成条件(意図的な焼成条件の変更はなし)で焼成した。
【0103】
(4.アイソスタティック破壊強度の測定)
焼成後のすべてのハニカム成形体のアイソスタティック破壊強度を、社団法人自動車技術協会発行の自動車規格(JASO M505-87)に基づいて測定した。
【0104】
(5.相関係数の算出)
作製したすべてのハニカム成形体についての焼成前に算出した各種統計量及び焼成後に測定したアイソスタティック破壊強度の結果から、両者の相関係数を算出した。結果を表1に示す。相関係数の絶対値が0.4以上の場合、両者に有意な相関があると考えられる。このため、表中、相関係数の絶対値が0.4以上のパラメータ及び統計量の組み合わせに“OK”と記載し、相関係数の絶対値が0.4未満のパラメータ及び統計量の組み合わせに“-”と記載した。
【0105】
<試験例2>
(1.ハニカム成形体の作製)
試験例1とは異なる製品番号が付与される予定の以下の設計仕様のハニカム成形体について、試験例1と同様の手順で、焼成前のハニカム成形体を作製した。試験例2は試験例1に対して設計上の全体形状のみが相違する。
[焼成後の柱状ハニカム成形体の設計仕様]
全体形状:直径132mm×高さ95mmの円柱状
通常セルの流路方向に垂直な断面におけるセル形状:正方形
通常セルの流路方向に垂直な断面における開口の設計寸法:0.97mm×0.97mm
セル密度(単位断面積当たりのセルの数):600セル/in2
隔壁の厚み:64μm
【0106】
上記と同様の手順で、円柱状のハニカム成形体を合計で135個作製した。但し、そのうち13個は強度低下を狙い、意図的に分散媒の量を変化させ、セル形状の歪みを促した。また、それ以外の122個のハニカム成形体においては意図的な製造条件の変更は行わなかったが、不可避的に若干の寸法変動が生じる。
【0107】
(2.セルを特徴付ける各種パラメータの測定及び統計量の算出)
得られた各ハニカム成形体について、試験例1と同様の手順で各種パラメータを測定し、パラメータ毎に各種統計量を算出した。
【0108】
(3.ハニカム成形体の焼成)
その後、各ハニカム成形体を大気雰囲気下、200~1000℃の所定の条件で脱脂した後、1350~1600℃に加熱して、3~10時間の所定の焼成条件で焼成した。何れのハニカム成形体も同じ焼成条件(意図的な焼成条件の変更はなし)で焼成した。
【0109】
(4.アイソスタティック破壊強度の測定)
焼成後のすべてのハニカム成形体のアイソスタティック破壊強度を、社団法人自動車技術協会発行の自動車規格(JASO M505-87)に基づいて測定した。
【0110】
(5.相関係数の算出)
作製したすべてのハニカム成形体についての焼成前に算出した各種統計量及び焼成後に測定したアイソスタティック破壊強度の結果から、両者の相関係数を算出した。結果を表1に示す。相関係数の絶対値が0.4以上の場合、両者に有意な相関があると考えられる。このため、表中、相関係数の絶対値が0.4以上のパラメータ及び統計量の組み合わせに“OK”と記載し、相関係数の絶対値が0.4未満のパラメータ及び統計量の組み合わせに“-”と記載した。
【0111】
【表1-1】
【0112】
【表1-2】
【0113】
【表1-3】
【0114】
【表1-4】
【0115】
<考察>
試験例1に係る設計仕様のハニカム成形体において、以下のパラメータと統計量の組み合わせは相関係数の絶対値が0.4以上であり、有意な相関があることが分かる。また、最も相関係数が高かったのは、長辺短辺比と標準偏差の組み合わせであった。
・構造係数と算術平均の組み合わせ
・構造係数と中央値の組み合わせ
・セル方向と標準偏差の組み合わせ
・セル方向と尖度の組み合わせ
・長辺短辺比と算術平均の組み合わせ
・長辺短辺比と標準偏差の組み合わせ
・長辺短辺比と最大値の組み合わせ
・角部を画定する隔壁部分の面積と尖度の組み合わせ
・角部を画定する隔壁部分の面積と歪度の組み合わせ
【0116】
試験例1で作製したすべてのハニカム成形体について、長辺短辺比の標準偏差を横軸に、アイソスタティック破壊強度を縦軸にして二次元座標にプロットした結果を図9に示す。図9から、長辺短辺比の標準偏差が0.0162以下である場合にアイソスタティック破壊強度が3MPa以上であることが分かる。従って、例えば、3MPa以上のアイソスタティック破壊強度が焼成後のハニカム成形体に要求される強度とする場合、焼成前のハニカム成形体についての長辺短辺比の標準偏差が0.0162以下であるかどうかを判定基準として、試験例1に係る設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体が得られるか否か判断すると、高い精度で品質検査を実施することができる(合格品を不合格品と判定する過剰検出=0個、不合格品を合格品と判定する見逃し例=0個)。
【0117】
試験例2に係る設計仕様のハニカム成形体において、以下のパラメータと統計量の組み合わせは相関係数の絶対値が0.4以上であり、有意な相関があることが分かる。また、最も相関係数が高かったのは、矩形近似短辺と標準偏差の組み合わせであった。

・開口面積と算術平均の組み合わせ
・開口面積と標準偏差の組み合わせ
・開口面積と歪度の組み合わせ
・開口面積と最大値の組み合わせ
・内接円半径と標準偏差の組み合わせ
・内接円半径と最大値の組み合わせ
・矩形近似短辺と標準偏差の組み合わせ
・矩形近似短辺と歪度の組み合わせ
・矩形近似短辺と最大値の組み合わせ
・矩形近似長辺と算術平均の組み合わせ
・矩形近似長辺と標準偏差の組み合わせ
・矩形近似長辺と歪度の組み合わせ
・矩形近似長辺と中央値の組み合わせ
・矩形近似長辺と最大値の組み合わせ
・長方形度と算術平均の組み合わせ
・長方形度と標準偏差の組み合わせ
・長方形度と歪度の組み合わせ
・真円度と算術平均の組み合わせ
・真円度と歪度の組み合わせ
・真円度と中央値の組み合わせ
・コンパクト度と算術平均の組み合わせ
・コンパクト度と中央値の組み合わせ
・長径短径比と算術平均の組み合わせ
・長径短径比と標準偏差の組み合わせ
・長径短径比と中央値の組み合わせ
・構造係数と算術平均の組み合わせ
・構造係数と標準偏差の組み合わせ
・構造係数と中央値の組み合わせ
・中心距離偏差と算術平均の組み合わせ
・中心距離偏差と標準偏差の組み合わせ
・中心距離偏差と中央値の組み合わせ
・丸み度と算術平均の組み合わせ
・丸み度と標準偏差の組み合わせ
・丸み度と中央値の組み合わせ
・外接円半径と算術平均の組み合わせ
・外接円半径と標準偏差の組み合わせ
・外接円半径と中央値の組み合わせ
・外接円半径と最大値の組み合わせ
・楕円近似長径と算術平均の組み合わせ
・楕円近似長径と標準偏差の組み合わせ
・楕円近似長径と中央値の組み合わせ
・楕円近似長径と最大値の組み合わ
楕円近似短径と標準偏差の組み合わせ
・楕円近似短径と最大値の組み合わせ
・セル方向と算術平均の組み合わせ
・セル方向と標準偏差の組み合わせ
・セル方向と尖度の組み合わせ
・セル方向と歪度の組み合わせ
・セル方向と中央値の組み合わせ
・長辺短辺比と算術平均の組み合わせ
・長辺短辺比と標準偏差の組み合わせ
・長辺短辺比と最大値の組み合わせ
・隔壁曲がり(隔壁1)と標準偏差の組み合わせ
・隔壁曲がり(隔壁2)と標準偏差の組み合わせ
・隔壁厚(隔壁1)と算術平均の組み合わせ
・隔壁厚(隔壁1)と最小値の組み合わせ
・隔壁厚(隔壁2)と算術平均の組み合わせ
・隔壁厚(隔壁2)と標準偏差の組み合わせ
・角部を画定する隔壁部分の面積と算術平均の組み合わせ
・角部を画定する隔壁部分の面積と尖度の組み合わせ
・角部を画定する隔壁部分の面積と歪度の組み合わせ
・角部を画定する隔壁部分の面積と最小値の組み合わせ
・角部を画定する隔壁部分の面積と中央値の組み合わせ
【0118】
試験例2で作製したすべてのハニカム成形体について、矩形近似短辺の標準偏差を横軸に、アイソスタティック破壊強度を縦軸にして二次元座標にプロットした結果を図10に示す。図10から、矩形近似短辺の標準偏差が0.402以下である場合にアイソスタティック破壊強度が3MPa以上である確率が極めて高いことが分かる。従って、例えば、3MPa以上のアイソスタティック破壊強度が焼成後のハニカム成形体に要求される強度とする場合、焼成前のハニカム成形体についての矩形近似短辺の標準偏差が0.402以下であるかどうかを判定基準として、試験例2に係る設計仕様の焼成後の柱状ハニカム成形体が得られるか否か判断すると、高い精度で品質検査を実施することができる(合格品を不合格品と判定する過剰検出例=1個、不合格品を合格品と判定する見逃し例=0個)。
【0119】
また、上記の結果から、以下のパラメータと統計量の組み合わせは、相関係数の絶対値が試験例1及び試験例2の何れにおいても0.4以上であり、有意な相関があることが分かる。つまりこれらのパラメータと統計量の組み合わせはハニカム成形体の設計仕様が変わっても強度との相関が高い。特に長辺短辺比と標準偏差の組み合わせは試験例1及び試験例2の何れにおいても相関係数の絶対値が0.6以上であり、汎用性が高い。
・構造係数と算術平均の組み合わせ
・構造係数と中央値の組み合わせ
・セル方向と標準偏差の組み合わせ
・セル方向と尖度の組み合わせ
・長辺短辺比と算術平均の組み合わせ
・長辺短辺比と標準偏差の組み合わせ
・長辺短辺比と最大値の組み合わせ
・角部を画定する隔壁部分の面積と尖度の組み合わせ
・角部を画定する隔壁部分の面積と歪度の組み合わせ
【符号の説明】
【0120】
100、200 柱状ハニカム成形体
102、202 外周側壁
104、204 第一底面
106、206 第二底面
108、208a、208b セル
112、212 隔壁
209 目封止部
300 画像解析装置
301 データ記憶部
302 表示部
303 入力部
304 演算部
500 多角形セル
502 角部
503 直線部
504 多角形セルの直線部を画定する直線状の隔壁部分
505 中心線
506 多角形セルの角部を画定する隔壁部分
507 最小長方形
508 最大円
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10