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特許7589231フィードバック制御およびフィードフォワード制御を用いた、ナノインプリントリソグラフィにおける位置合わせ制御
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  • 特許-フィードバック制御およびフィードフォワード制御を用いた、ナノインプリントリソグラフィにおける位置合わせ制御 図1
  • 特許-フィードバック制御およびフィードフォワード制御を用いた、ナノインプリントリソグラフィにおける位置合わせ制御 図2
  • 特許-フィードバック制御およびフィードフォワード制御を用いた、ナノインプリントリソグラフィにおける位置合わせ制御 図3
  • 特許-フィードバック制御およびフィードフォワード制御を用いた、ナノインプリントリソグラフィにおける位置合わせ制御 図4
  • 特許-フィードバック制御およびフィードフォワード制御を用いた、ナノインプリントリソグラフィにおける位置合わせ制御 図5A
  • 特許-フィードバック制御およびフィードフォワード制御を用いた、ナノインプリントリソグラフィにおける位置合わせ制御 図5B
  • 特許-フィードバック制御およびフィードフォワード制御を用いた、ナノインプリントリソグラフィにおける位置合わせ制御 図5C
  • 特許-フィードバック制御およびフィードフォワード制御を用いた、ナノインプリントリソグラフィにおける位置合わせ制御 図6
  • 特許-フィードバック制御およびフィードフォワード制御を用いた、ナノインプリントリソグラフィにおける位置合わせ制御 図7
  • 特許-フィードバック制御およびフィードフォワード制御を用いた、ナノインプリントリソグラフィにおける位置合わせ制御 図8A
  • 特許-フィードバック制御およびフィードフォワード制御を用いた、ナノインプリントリソグラフィにおける位置合わせ制御 図8B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】フィードバック制御およびフィードフォワード制御を用いた、ナノインプリントリソグラフィにおける位置合わせ制御
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20241118BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241118BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20241118BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
G03F7/20 501
B29C59/02 Z
H01L21/68 F
H01L21/68 K
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022510203
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 US2020057520
(87)【国際公開番号】W WO2021118698
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】16/712,739
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロウ, ミンジ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, ビュン-ジン
(72)【発明者】
【氏名】クライン, ジェフリー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】吉田 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ジェンキンス, スティーブン ティー.
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-093256(JP,A)
【文献】特開2016-004440(JP,A)
【文献】特開2016-154207(JP,A)
【文献】特開2019-110295(JP,A)
【文献】特開2019-140289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
B29C 59/02
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持して移動可能なステージの位置を制御する方法であって、
センサから、物体に設けられたマークに対する前記基板の位置を表す第1位置情報を取得する工程と、
前記1位置情報に基づいて、少なくとも1つのパラメータ値を含む位置合わせ予測情報を生成する工程と、
前記1位置情報および前記置合わせ予測情報に基づいて、前記少なくとも1つのパラメータ値を含む第1軌跡情報を生成する工程と、
前記置合わせ予測情報と、前記第1軌跡情報と、前記テージの位置を表す第2位置情報とに基づいて、第2軌跡情報を生成する工程と、
前記第2軌跡情報に基づいて、出力制御信号を生成する工程と、
前記制御信号に基づいて、目標位置に近づくよう前記テージを制御する工程と、
前記出力制御信号に従って前記ステージが移動した後、前記センサによって取得された物体のマークに対する前記基板の位置を表す第3位置情報に基づいて、前記位置合わせ予測情報と、該位置合わせ予測情報に含まれる前記少なくとも1つのパラメータ値とを更新する工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第2軌跡情報に従って移動した前記物体に設けられた前記マークに対する前記基板の位置を表す前記センサに基づいて誤差値を求める工程と、
前記誤差値が所定範囲内にあることに基づいて、更新された出力制御信号を生成する工程と、
前記更新された出力制御信号に基づいて、前記目標位置に近づくよう前記テージを制御する工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記位置合わせ予測情報の終了位置における前記物体に設けられた前記マークに対する前記基板の位置を表す前記センサに基づく誤差値が所定範囲外であると判定されたことに応じて、更新された第1位置情報に基づいて決定された更新された少なくとも1つのパラメータ値を含む新たな位置合わせ予測情報を生成する工程と、
前記位置合わせ予測情報、前記第1軌跡情報、および前記第2軌跡情報、を生成する際に使用される1つ以上の制御項を調整する工程と、
前記新たな位置合わせ予測情報と前記第2軌跡情報とを組み合わせて、更新された出力制御信号を生成する工程と、
前記更新された出力制御信号に基づいて前記テージを制御する工程と、
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記出力制御信号は、第3フィードフォワード制御信号と前記第2軌跡情報との組み合わせに更に基づく、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのパラメータは、(a)所望の位置値、(b)所望の速度値、(c)所望の加速度値、(d)所望の回転値、および(e)決定された軌跡に沿う前記ステージの移動を開始する所望の開始時刻、のうちの1つ以上を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記位置合わせ予測情報は、第1フィードフォワード制御信号と、第2フィードフォワード制御信号と、第3フィードフォワード制御信号とを含み、
前記第1軌跡情報の前記生成は、前記第1フィードフォワード制御信号にも基づいており、
前記第2軌跡情報の前記生成は、前記第2フィードフォワード制御信号にも基づいており、
前記出力制御信号の前記生成は、前記第3フィードフォワード制御信号にも基づいている、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
フィードフォワード制御グループが、前記第1フィードフォワード制御信号と、前記第2フィードフォワード制御信号と、前記第3フィードフォワード制御信号とからなり、
前記フィードフォワード制御グループ内の1つの制御信号が、前記フィードフォワード制御グループ内の他の1つまたは2つの制御信号に基づいている、
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
インプリントレジストが塗布された基板にテンプレートを接触させるインプリントリソグラフィシステムであって、
前記基板を保持するステージであって、該ステージの位置を変更できるように移動可能なステージと、
前記ンプレートに対する前記基板の位置を検出するセンサと、
前記ステージおよび前記センサと通信する制御部であり、前記テンプレートに接触する、インプリントレジストが塗布された前記基板に基づいて、
前記センサから、前記テンプレートに設けられたマークに対する前記基板の位置を表す第1位置情報を取得し、
前記1位置情報に基づいて、少なくとも1つのパラメータ値を含む位置合わせ予測情報を生成し、
前記1位置情報および前記置合わせ予測情報に基づいて、前記少なくとも1つのパラメータ値を含む1軌跡情報を生成し、
前記置合わせ予測情報、前記第1軌跡情報、および前記テージの位置を表す第2位置情報に基づいて、第2軌跡情報を生成し、
前記第2軌跡情報に基づいて出力制御信号を生成し、
前記制御信号に基づいて目標位置に近づくよう前記テージを制御する、
御部と、
を有し、
前記制御部は、前記出力制御信号に従って前記ステージが移動した後、前記センサによって取得された物体のマークに対する前記基板の位置を表す第3位置情報に基づいて、前記位置合わせ予測情報と、該位置合わせ予測情報に含まれる前記少なくとも1つのパラメータ値とを更新する、
ことを特徴とするステム。
【請求項9】
前記御部は
前記第2軌跡情報に従って移動した前記テンプレートに設けられた前記マークに対する前記基板の位置を表す前記センサに基づいて誤差値を求め、
前記誤差値が所定範囲内にあることに基づいて、更新された出力制御信号を生成し、
前記更新された出力制御信号に基づいて、前記目標位置に近づくよう前記テージを制御する、
とを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記御部は
前記位置合わせ予測情報の終了位置における前記テンプレートに設けられた前記マークに対する前記基板の位置を表す前記センサに基づく誤差値が所定範囲外であると判定されたことに応じて、更新された第1位置情報に基づいて決定された更新された少なくとも1つのパラメータ値を含む新たな位置合わせ予測情報を生成し、
前記新たな位置合わせ予測情報と前記第2軌跡情報とを組み合わせて、更新された出力制御信号を生成し、
前記更新された出力制御信号に基づいて前記テージを制御する、
ことを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記出力制御信号は、第3フィードフォワード制御信号と前記第2軌跡情報との組み合わせに更に基づく、ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのパラメータは、(a)所望の位置値、(b)所望の速度値、(c)所望の加速度値、(d)所望の回転値、および(e)決定された軌跡に沿う前記ステージの移動を開始するための所望の開始時刻、のうちの1つ以上を含む、ことを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項13】
物品の製造方法であって、
移動可能なステージに支持された基板上にインプリントレジストを塗布する工程と、
前記インプリントレジストと、に設けられたパターンと、を接触させる工程と、
請求項1に記載の方法を用いて前記ステージを制御する工程と、
記基板を処理して前記物品を製造する工程と、
を有することを特徴とする製造方法。
【請求項14】
前記基板を処理する工程は、
前記基板にエネルギーを印加して前記インプリントレジストを硬化させ、前記物体の前記パターンに対応するパターンを前記基板の上に形成する工程を更に有し、
印加されたエネルギーによって前記インプリントレジストが硬化される前に前記物体と前記基板とが位置合わせされるように、前記物体が前記インプリントレジストと接触している間に前記テージを制御する方法が繰り返し実行される、
ことを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
物体を支持して移動可能なステージの位置を制御する方法であって、
センサから、前記物体の位置を表す第1位置情報を取得する工程と、
取得された前記第1位置情報に基づいて、第1フィードフォワード情報と第2フィードフォワード情報を生成する工程と、
取得された前記第1位置情報および生成された前記第1フィードフォワード情報に基づいた情報を第1フィードバック制御器へ入力する工程と、
生成された前記第2フィードフォワード情報と、前記第1フィードバック制御器からの出力と、前記ステージの位置を表す第2位置情報と、に基づいた情報を、第2フィードバック制御器へ入力する工程と、
前記第2フィードバック制御器からの出力に基づいて前記ステージを制御する工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項16】
物体を支持して移動可能なステージの位置を制御するシステムであって、
前記ステージの位置を制御するコントローラを有し、
前記コントローラは、
前記物体の位置を計測するセンサからの、物体の位置を表す第1位置情報に基づいて、第1フィードフォワード情報と第2フィードフォワード情報を生成するフィードフォワード制御器と、
取得された前記第1位置情報および生成された前記第1フィードフォワード情報に基づいた情報を取得する第1フィードバック制御器と、
生成された前記第2フィードフォワード情報と、前記第1フィードバック制御器からの出力と、前記ステージの位置を表す第2位置情報と、に基づいた情報を取得する第2フィードバック制御器と、を含み、
前記コントローラは、前記第2フィードバック制御器からの出力に基づいて前記ステージを制御する、ことを特徴とするシステム。
【請求項17】
物品の製造方法であって、
移動可能なステージに支持された基板上にインプリントレジストをディスペンスする工程と、
前記インプリントレジストと、該インプリントレジストに接触するパターンを有する物体と、を接触させる工程と、
請求項15に記載の方法を用いて前記ステージを制御する工程と、
前記パターンにより前記インプリントレジストが成形された前記基板を処理して前記物品を製造する工程と、
を有することを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ナノインプリントリソグラフィにおける位置合わせ制御に関し、より具体的には、リアルタイムのフィードバック制御およびフィードフォワード制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノインプリントリソグラフィでは、ナノメートルレベルのオーバーレイ精度を達成するために、フィールド間位置合わせのための技術が使用されている。いくつかの例では、基板(例えば、ウエハ)に対してインプリントテンプレートを移動させることによって、該テンプレートと基板上の対応するフィールドとの間の初期位置合わせ誤差が補正されうる。しかし、ナノインプリントリソグラフィのための高速で一貫した位置合わせは課題である。より具体的には、薄い液体摩擦と初期状態の変動が2つの大きな困難である。現在の位置合わせ方式は、典型的にはチューニングノブを介して手動でチューニングされ得る単一の制御アルゴリズムを利用する。制御アルゴリズムへの修正を実施するための時間遅延のような制御アルゴリズムを手動で調整することに関連する従来の欠点に加えて、現在の手法の変動および非線形性は、異なるRLT(テンプレートと基板との間の硬化可能液体の残留層厚さ)、位置、および遷移プロセスを処理するためには十分ではなかった。これにより、遅い位置合わせ収束、位置合わせオーバーシュート、位置合わせアンダーシュート、ストール、発振、および繰り返し性の問題を含む様々な問題が生じた。これらの問題は大量生産の歩留まりおよび効率に一貫して影響を及ぼし、したがって、それらを修正することが望まれている。
【発明の概要】
【0003】
本開示によれば、基板を支持して移動可能なステージの位置を制御する方法が提供される。センサから、物体に設けられたマークに対する前記基板の位置を表す第1位置情報が取得される。前記1位置情報に基づいて、なくとも1つのパラメータ値を含む位置合わせ予測情報が生成される前記第1位置情報および前記位置合わせ予測情報に基づいて、前記少なくとも1つのパラメータ値を含む第1軌跡情報が生成され。前記置合わせ予測情報と、前記第1軌跡情報と、前記テージの位置を表す第2位置情報とに基づいて、第2軌跡情報が生成される。記第2軌跡情報に基づいて、出力制御信号が生成される。前記出力制御信号に基づいて目標位置に近づくよう前記テージ制御れる。前記出力制御信号に従って前記ステージが移動した後、前記センサによって取得された物体のマークに対する前記基板の位置を表す第3位置情報に基づいて、前記位置合わせ予測情報と、該位置合わせ予測情報に含まれる前記少なくとも1つのパラメータ値とが更新される。
【0004】
本開示によるさらなる実施形態では、前記第2軌跡情報に従って移動した前記物体上の前記マークに対する前記基板の位置を表す前記センサに基づいて誤差値が求められ、前記誤差値が所定範囲内にあることに基づいて、更新された出力制御信号が生成され、前記更新された出力制御信号に基づいて、前記目標位置に近づくよう前記移動可能なステージを制御する際に使用される。
【0005】
本開示による他の実施形態では、前記出力制御信号に従って前記移動可能なステージが移動した後、撮像装置によって取得された更新された第1位置情報に基づいて、前記位置合わせ予測情報と、該位置合わせ予測情報に含まれる前記少なくとも1つのパラメータ値とが更新される。
【0006】
本開示によれば、前記位置合わせ予測情報は、第1フィードフォワード信号であり、前記生成された第1軌跡情報は、前記取得された第1位置情報と前記フィードフォワード位置合わせ予測情報との間の差を得ることにより生成された第1フィードバック信号である。
【0007】
本開示は、前記位置合わせ予測情報の終了位置における前記物体上の前記マークに対する前記基板の位置を表す前記センサに基づく誤差値が所定範囲外であると判定されたことに応じて、更新された第1位置情報に基づいて決定された更新された少なくとも1つのパラメータ値を含む新たな位置合わせ予測情報を生成する、さらなる実施形態を提供する。このように、前記出力制御信号は、第3フィードフォワード制御信号と前記第2軌跡情報との組み合わせに更に基づいている。
【0008】
本明細書で説明する一般的な態様および実装の利点には、リアルタイムシステム識別情報に基づく位置合わせ誤差のフィードフォワード制御およびフィードバック制御が含まれ、その結果、インプリントリソグラフィにおける位置合わせ誤差が迅速かつ正確に補正される。位置合わせ条件への基板移動の滑らかな遷移を伴う迅速で正確な補正によって、位置合わせのスループットおよびオーバレイ精度が向上する。
【0009】
本明細書で説明される主題の1つまたは複数の実装形態の詳細は、添付の図面および以下の説明において記載される。主題の他の潜在的な特徴、態様、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、ナノインプリントリソグラフィシステムの側面図を示す。
【0011】
図2図2は、図1の基板の側面図である。
【0012】
図3図3は、基板上の液体インプリントレジストと接触するナノインプリントリソグラフィテンプレートの側面図を示し、テンプレートと基板それぞれの位置合わせマークの例示的な対の間の初期位置合わせ誤差X0を示す。
【0013】
図4図4は、テンプレートおよび基板のマークの位置合わせに使用するためのフィードフォワード制御およびフィードバック制御を示すブロック図を示す。
【0014】
図5A-5C】図5A-5Cは、図4に示されるフィードフォワード制御部の異なるタイプを示す。
【0015】
図6図6は、位置合わせ制御アルゴリズムを詳細化したフローチャートである。
【0016】
図7図7は、種々の移動軌跡を生成するために使用されるフィードフォワード信号のグラフである。
【0017】
図8A-8B】図8A-8Bは、制御信号が目標位置に収束するのに要する時間のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、基板102上にレリーフパターンを形成するインプリントリソグラフィシステム100を示す。基板102は、基板チャック104に結合されうる。いくつかの例において、基板チャック104は、真空チャック、ピン型チャック、溝型チャック、電磁チャック、またはその他の適切なチャックを含む。例示的なチャックは、米国特許第6,873,087号に記載されている。この引用により、その内容は本明細書に組み込まれる。基板102および基板チャック104はさらに、ステージ106によって支持されうる。ステージ106は、x軸、y軸、およびz軸に沿う運動、ならびにz軸まわりの回転(例えばθ)を提供する。この点に関して、ステージ106は、XYθステージとよばれてもよい。また、ステージ106、基板102、および基板チャック104は、ベース(図示せず)上に位置決めされてもよい。
【0019】
インプリントリソグラフィシステム100は、基板102から離間して配置されたインプリントリソグラフィテンプレート108を含む。いくつかの例では、テンプレート108は、テンプレート108から基板102に向かって延びるメサ110(モールド110)を含む。いくつかの例では、モールド110はパターン面112を含む。テンプレート108および/またはモールド110は、溶融シリカ、石英、シリコン、有機ポリマー、シロキサンポリマー、ホウケイ酸ガラス、フルオロカーボンポリマー、金属、硬化サファイア、または他の適切な材料から構成されるが、それらに限定されない。図示の例では、パターン面112は、離間した凹部124および凸部126によって画定される複数のフィーチャを含む。上述のように形成されるパターンは単に例示の目的のためであり、任意のタイプのパターンがパターン面112上に表されていてもよい。したがって、パターン面112は、インプリント処理によって基板102上に形成されるパターンの基礎を形成する任意のパターンを画定することができる。
【0020】
テンプレート108は、テンプレートチャック128に結合されうる。いくつかの例では、テンプレートチャック128は、真空チャック、ピン型チャック、溝型チャック、電磁チャック、または任意の適切なチャックを含む。例示的なチャックは、米国特許第6,873,087号に記載されている。いくつかの実施形態では、テンプレートチャック128は、基板チャック104と同じタイプであってもよい。他の実施形態では、テンプレートチャック128および基板チャックが異なる種類のチャックであってもよい。さらに、テンプレートチャック128は、テンプレートチャック128、インプリントヘッド130、またはその両方がテンプレート108の移動を容易にするように構成されるよう、インプリントヘッド130に結合されてもよい。テンプレート108の移動は、テンプレートの平面内での移動(面内移動)と、テンプレートに対するテンプレートの平面外での移動(面外移動)とを含む。面内移動は、テンプレートの平面内(例えば、図1に描かれるように、X-Y平面内)におけるテンプレート108の平行移動、およびテンプレートの平面内(例えば、X-Y平面内およびZ軸を中心とする)におけるテンプレートの回転を含む。基板102に対するテンプレート108の平行移動または回転はまた、基板の平行移動または回転によって達成されてもよい。テンプレート108の面内移動は、テンプレートのX-Y平面内のテンプレートの寸法を増減するために、テンプレートの反対側(例えば、拡大アクチュエータを用いて)の圧縮力を増減することも含む。テンプレート108の面外移動は、Z軸に沿ったテンプレートの並進(例えば、テンプレートと基板との間の距離を増減することによってテンプレートを介して基板に加えられる力を増減するため)と、テンプレートのX-Y平面内の軸の周りのテンプレートの回転とを含む。テンプレートのX-Y平面内の軸の周りのテンプレート108の回転は、テンプレート108のX-Y平面と基板102のX-Y平面との間の角度を変更させ、本明細書では基板に対してテンプレートを「傾斜させる」、または基板に対してテンプレートの「傾斜」または「傾斜角度」を変更させるともいう。米国特許第8,387,482号は、インプリントリソグラフィシステムにおけるインプリントヘッドを介したテンプレートの移動を開示している。この引用により、その開示内容は本明細書に組み込まれる。
【0021】
インプリントリソグラフィシステム100は、流体ディスペンスシステム132をさらに含みうる。流体ディスペンスシステム132は、基板102上に重合性材料134を堆積させるために使用されうる。重合性材料134は、滴下ディスペンス、スピンコーティング、浸漬コーティング、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、薄膜蒸着、厚膜蒸着、または他の適切な方法などの技法を使用して、基板102上に配置されうる。いくつかの例では、重合性材料134は、モールド110と基板102との間に所望の体積が画定される前または後に、基板102上に配置される。重合性材料134は、米国特許第7,157,036号および米国特許出願公開第2005/0187339号に記載されているようなモノマーを含みうる。これらの文献の開示内容は両方とも、この引用により本明細書に組み込まれる。いくつかの例では、重合性材料134は、複数の液滴136として基板102上に配置される。
【0022】
図1および図2を参照すると、インプリントリソグラフィシステム100は、経路142に沿って直接、エネルギー140に結合されたエネルギー源138をさらに含みうる。いくつかの例では、インプリントヘッド130およびステージ106は、テンプレート108および基板102を経路142と重ね合わせて位置決めするように構成される。インプリントリソグラフィシステム100は、ステージ106、インプリントヘッド130、流体ディスペンスシステム132、エネルギー源138、またはそれらの任意の組み合わせと通信する制御部144によって調整され、メモリ146に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラム上で動作しうる。
【0023】
いくつかの例では、インプリントヘッド130、ステージ106、またはその両方は、モールド110と基板102との間の距離を変化させて、重合性材料134によって満たされる所望の体積をそれらの間に画定する。例えば、インプリントヘッド130は、モールド110が重合性材料134に接触するようにテンプレート108に力を加えることができる。所望の体積が重合性材料134によって充填された後、エネルギー源138は広帯域紫外線などのエネルギー140を生成して重合性材料134を重合させ、基板102の表面148およびパターン面112の形状に一致させ、基板102上にポリマーパターン層150を画定する。いくつかの例ではパターン層150は、残留層152と、凸部154および凹部156として示される複数のフィーチャ部とを含み、凸部154は厚さt1を有し、残留層152は厚さt2を有する。
【0024】
上述のシステムおよび方法は、米国特許第6,932,934号、米国特許出願公開第2004/0124566号、米国特許出願公開第2004/0188381号、および米国特許出願公開第2004/0211754号に参照されるインプリントリソグラフィプロセスおよびシステムにおいてさらに実施されてもよい。これらの文献の開示内容はすべて、この引用により本明細書に組み込まれる。
【0025】
インプリントリソグラフィ基板およびテンプレートは、テンプレートおよび基板のリアルタイム位置合わせを可能にする位置合わせマークの対応する対を含みうる。パターニングされたテンプレートが基板の上に配置された後(例えば、基板の上に重ね合わされ)、基板位置合わせマークに対するテンプレート位置合わせマークの位置合わせが決定される。位置合わせ方式は、対応するアライメントマークの対に関連する位置合わせ誤差の「スルーザメサ」(TTM)計測と、それに続く、米国特許第6,916,585、7,170,589、7,170,589、7,298,456、および7,420,654号に開示されているような、テンプレートと基板上の所望のインプリント位置との正確な位置合わせを達成するためのこれらの誤差の補償とを含みうる(これらの文献の開示内容の全ては、この引用により本明細書中に組み込まれる)。位置合わせ誤差は、基板とテンプレートとの相対的な位置決め、基板またはテンプレートの変形、またはそれらの組み合わせによって生じうる。
【0026】
図3は、基板102上の液体インプリントレジスト134と接触するインプリントリソグラフィテンプレート108の側面図を示しており、一例におけるテンプレート108の位置合わせマーク302と基板102の位置合わせマーク304との対における両者の間の第1のまたは初期位置合わせ誤差X0を示している。位置合わせ誤差X0は、センサ158のような撮像装置によって計測されうる。いくつかの例では、センサ158は、液体インプリントレジスト134を通過することができる位置合わせマーク302及び304からの回折光を検出するように構成されたTTM位置合わせ装置を含む。初期位置合わせ誤差X0は、許容可能な位置合わせ誤差、例えば、1nm以下の再現性で10nm未満でありうる、を超える場合がある。センサ158は、撮像装置として説明されうるが、これは単に例示的なものであり、撮像装置は、回折光をリアルタイムで検出、捕捉、及び送信することができる任意のデバイスを含みうる。
【0027】
位置合わせ誤差X0は主に、ステージ106の配置誤差、回転誤差、および/またはコンプライアンスおよびヒステリシス(例えば、XYθステージ)によって生じ、x軸およびy軸における誤差、およびz軸(θ)を中心とする回転を含み得る。例えば、配置誤差は一般に、テンプレートと基板との間のX-Y位置決め誤差(すなわち、X軸、Y軸、またはその両方に沿った並進、ここで、X軸およびY軸は図1に示されるように、テンプレートまたは基板のインプリント表面の平面内にあるか、またはそれに平行である)を指す。回転(θ)誤差は一般に、Z軸を中心とした相対的な配向誤差(すなわち、Z軸を中心とした回転であって、ここで、Z軸は、図1に描かれているようにX-Y平面に対して直交している)を指す。
【0028】
テンプレート位置合わせマーク302および対応する基板位置合わせマーク304がX-Y平面内でオフセットされた配置誤差は、テンプレートと基板との相対移動によって(例えば、基板、テンプレート、またはその両方のX-Y平面内での制御された移動によって)補償されうる。回転誤差は、X-Y平面におけるテンプレートと基板の相対角度を変更することによって(例えば、基板、テンプレート、またはその両方の回転によって)補償されうる。
【0029】
本開示は、メサ110上に画定されたパターンが基板102上にうまくインプリントされることを確実にするために位置合わせマーク302および304が適切な位置合わせのために収束するのに要する時間を短縮するための、図1図3に関して上述したインプリントシステムの動作を制御するための制御メカニズムを記載する。すなわち以下では、X0によって一般的に示される低減された誤差値を所定の時間内に所定の誤差閾値未満にするための制御アルゴリズムを説明する。好ましくは、テンプレート上のマークと基板上のマークとの間の相対距離が所定の距離値未満になるという結果が得られることである。しかし、基板とその上にパターンをインプリントするために使用されるポリマーの両方の様々な物理的特性のために、この誤差値を許容可能な時間内に許容可能なレベルにすることにはある程度の困難があった。より具体的には、ポリマー(例えば、インプリントレジスト)が基板上に堆積され、硬化中にそれにエネルギーが印加された時から、基板とテンプレートを、それぞれの上の位置合わせマーク間の相対距離が互いに対して所定の相対距離内にあるように位置合わせさせることは困難である。
【0030】
テンプレートのマークと基板のマークとを位置合わせするために、XYθ方向へのステージの移動を制御するための制御信号が生成される。制御信号は、ステージを所望の目標位置に移動させるためにステージモータ(図示せず)に印加される電気信号に変換される1つ以上のパラメータ値を含む。制御信号を構成するパラメータ値は、移動が行われる時間を示す加速度値、速度値、回転値および時間値のうちの任意の1つ以上でありうる。
【0031】
位置合わせ処理中に決定されるパラメータ値によって、2つの共通の問題のうちの1つが生じる。1つの生じうる問題は、目標位置をオーバーシュートすることに関するものである。これは、1つ以上のパラメータ値によって、基板上のマークがテンプレート上のマークを通過してしまい、それによって位置合わせのためのさらなる補正が必要になるようにステージを移動させる軌跡をもたらすために起こる。別の生じうる問題は、ストールに関するものである。ストールは、ステージがゆっくり動きすぎる制御信号のパラメータ値を示している。その場合、テンプレートを通して基板上に印加されるエネルギーによって、液体レジストが硬化し重合する結果、マークが位置合わせされる前に位置合わせ処理が失速してしまう。これらの問題は、以下に記載される制御アルゴリズムを使用することによって解決される。これは、ステージを目標位置に向かって移動させるために使用される制御信号を継続的に修正および更新するために、フィードバック信号と統合される、サンプル当たりに少なくとも2つのフィードフォワード信号を使用するものである。テンプレートの位置に対するステージおよび基板の位置情報を連続的に監視し、これらの計測値を使用することによって、以下で説明するシステムは基板102の特性に悪影響を及ぼすことなく、重合可能材料134が重合される前の所定の時間内に、位置合わせマーク間の誤差値をより迅速に低減することに成功する。
【0032】
図4は、フィードフォワード制御及びフィードバック制御のための一例の制御ブロック図を示す。本明細書に記載される制御システムは、図1に示されるシステム100における制御部144の一部として具現化されて示される。制御部144は、少なくとも1つの中央処理装置およびメモリを含み、メモリに記憶された命令を実行して、記載された演算および/またはファンクションのうちの1つ以上を実行することができる。制御部144は1つ以上のメモリ(例えば、RAMおよび/またはROM)と通信しており、いくつかのインスタンスでは、記憶された命令を実行して、1つまたは制御動作を実行する。他の例では、制御部144が後述する様々な信号の演算および生成に使用される1つまたは複数のメモリにデータを一時的に格納することができる。このように、制御部144は、RAMおよび/またはROMに記憶されたコンピュータプログラム(CPUによって実行可能な1つ以上の一連の記憶された命令)およびデータを使用することによって、図1のシステム100を制御する。ここで、制御部144は、CPUとは異なる1つ以上の専用ハードウェアまたはグラフィックス処理ユニット(GPU)を含んでもよく(またはそれらと通信していてもよい)、GPUまたは専用ハードウェアはCPUによって処理の一部を実行してもよい。専用ハードウェアの一例としては、ASIC (application specific integrated circuit)、FPGA (field programmable gate array)、DSP (digital signal processor)等がある。一実施形態では、制御システム100は、図1に示すような制御部144の一部として実施することができる。いくつかの実施形態では、制御部144が専用制御部であってもよい。他の実施形態では、制御システム100は、互いに通信する複数の制御部と、本明細書で説明する動作を実施するための制御システム100の他の構成要素とを含むことができる。
【0033】
以下、本開示による制御機能を実行する図4のブロック図を説明する。以下では様々な制御部を参照するが、特定の実施形態では、各制御部が、記載された機能を実行するために制御部144のCPUによって実行される一連の記憶された命令を含むことができる。他の実施形態では、本明細書で説明される各制御部が、それぞれがそれ自体のCPUおよびメモリを備え、それに関連する処理を実行するために専用である個々の集積回路として具現化されてもよい。他の実施形態では、本明細書に記載される制御部のうちの1つ以上が、単一の集積回路として具現化されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、説明される制御部のいくつかは専用の処理ユニットであってもよく、本明細書で説明される機能動作を完了するために格納された命令を実行している制御部のCPUと通信していてもよい。
【0034】
図4は、センサ158、フィードフォワード制御部410、位置合わせフィードバック制御部430、ステージフィードバック制御部450、およびステージ増幅器470(以下、「増幅器470」という。)を含む。上記の構成要素の間には、互いに加算、減算、または畳み込みを行うことによってそれらに供給するそれぞれの制御部によって出力された信号をマージする複数の結合部が配置されている。上記構成要素の各々は、基板を支持するステージを所定の位置合わせ誤差範囲内で位置合わせ誤差値を表す目標位置に移動させるために、以下に説明するように動作する。一実施形態では、目標位置は、基板上のマークがテンプレート上のマークと直接位置合わせされていることを示す、実質的にゼロの位置合わせ誤差値を表す。
【0035】
位置合わせフィードバック制御部430およびステージフィードバック制御部450の各々は、比例積分微分(PID)制御部または任意の他のフィードバック制御部として実行することができる。そうすることにより、出力信号を生成するためにそれぞれの入力信号を処理するための例示的な制御関数は、以下のような制御関数とすることができる。
【数1】
ただし、Kp、Ki、Kdはそれぞれ、具現化される制御部の特定の動作を制御するための、比例、積分、微分制御項を表す。フィードバック制御部によって実行されるこの制御関数は公知であり、これ以上説明する必要はなく、そこで受け取った入力に基づいて誤差値を継続的に計算する。第1結合部420は、フィードフォワード制御部410とセンサ158との間に配置され、第1フィードフォワード制御信号412と、基板のマークに対するテンプレートのマークの位置を表す計測信号402との差を得ることにより、位置合わせフィードバック制御部430への第1入力信号422を生成する。第1フィードフォワード信号412は、位置合わせ基準軌跡情報を表しており、これは、計測信号402およびメモリに記憶された基準軌跡情報に基づいて生成される。第1フィードフォワード信号412は、ステージの移動動作を制御するために使用される1つ以上の態様を規定する少なくとも1つのパラメータを含む。例えば、該少なくとも1つのパラメータは、(a)所望の位置値、(b)所望の速度値、(c)所望の加速度値、(d)所望の回転値、(e)決定された軌跡に沿ってステージの移動を開始するための所望の開始時刻、のうちの1つ以上を含みうる。第1フィードフォワード信号は、サンプルごとにフィードフォワード信号を生成するために時間領域(x軸:時間、y軸:位置)にマッピングされる位相平面(x軸:位置、y軸:速度)内のフィードフォワード軌跡であってもよい。この位相平面における軌跡は、フィードフォワード信号およびフィードバック信号から観測される摩擦変動に基づく反復学習およびモデル予測を通してオフラインまたはオンラインで最適化される。この最適化は、テンプレートのマークと基板のマークとを互いに位置合わせする際の最小の振動および収束時間で最小のオーバーシュートおよびアンダーシュートを達成するためのものである。
【0036】
基準軌跡情報と共にテンプレートに対する基板のリアルタイムの計測位置を利用することによって、第1フィードフォワード信号412は、時間領域に変換される位置-速度位相平面における多項式または指数関数的減衰線を表すことができる。このようにして、第1フィードフォワード信号412の位置合わせ基準軌跡情報と、センサ158からリアルタイムで得られた計測信号402に符号化された計測位置値とを組み合わせることによって、位置合わせ制御部430は、基板のマークとテンプレートのマークとをより迅速に位置合わせする位置合わせ軌跡(制御指令または制御エフォートとも呼ばれうる)を生成することができる。位置合わせ制御部430は、第1入力信号422に基づいて位置合わせ軌跡情報432を生成し、位置合わせ軌跡情報432を第2結合部440に出力する。すなわち、位置合わせフィードバック制御部は、次式に従って位置合わせ誤差値を連続的に計算する。
【数2】
ただし、eTTMは、所与の時刻における誤差値を表し、FF1は、フィードフォワード制御部410によって生成された第1フィードフォワード信号412の値であり、POSTTMは、センサ158によって得られるステージ106によって支持される基板に対するテンプレートの現在位置である。誤差値を計算した後、位置合わせフィードバック制御部430は、位置合わせ軌跡情報をUAL(t)として出力する。位置合わせ軌跡情報432は、以下に説明するように、基板とテンプレートとを位置合わせするためにステージを移動させる軌跡(または制御エフォート)を生成するために使用される。
【0037】
フィードフォワード制御部410は、更に、第2結合部440に第2フィードフォワード制御信号414を出力する。一実施形態において、第1フィードフォワード信号412および第2フィードフォワード信号414は同じである。別の実施形態においては、第2フィードフォワード信号が第1フィードフォワード信号412に基づいて生成される。例えば、一実施形態において、第2フィードフォワード信号414は、第1フィードフォワード信号412が初期開始時刻から開始するようにシフトされる、第1フィードフォワード信号412の振幅または時間シフトバージョンでありうる。例えば、一実施形態において、第2フィードフォワード信号414 FF2は、第1フィードフォワード信号412が次式で表されるような振幅がシフトされた、第1フィードフォワード信号412 FF1の振幅シフトバージョンであってもよい。
【数3】
したがって、ステージが移動される目標位置が実質的にゼロの位置合わせ誤差を表す場合、第2フィードフォワード信号414は、第1フィードフォワード信号412と同じ値を有するが、計測位置402で開始する第1フィードフォワード信号412と比較して、ゼロの目標位置で開始する。第2フィードフォワード信号414を生成する他の例は、次式で表されるように、伝達関数f( )を第1フィードフォワード信号412に適用することを含む。ここで、f( )は、時間シフトを含む非線形伝達関数である。
【数4】
伝達関数f( )は、ステージ位置センサ476およびマークセンサ158によって検出される動作の非同期化を引き起こす非線形摩擦を表すことができる。別の実施形態では、第2フィードフォワード信号414は、第1フィードフォワード信号412とは独立して生成される。
【0038】
第2結合部440は、位置合わせ軌跡情報432及び第2フィードフォワード信号414に加えて、増幅器470のステージ位置センサ476から得られるステージ位置情報474を入力として受信する。ステージ位置情報474は、増幅器470によって要求されたステージ移動動作の結果におけるステージ106の現在の計測位置を表す。第2結合部440は、位置合わせ情報432を第2フィードフォワード信号414と組み合わせ、次いで、組み合わせられた信号とステージ位置情報474との間の差を取得して、第2入力信号442を生成する。第2入力信号442は、ステージフィードバック制御部に入力され、そこからの出力としてステージ軌跡情報452を生成する。ステージ位置センサ476はステージ106から分離して示されているが、これは単なる例示であり、システム動作の理解を容易にするために示されているものである。ステージ位置センサ476は、ステージ106に含まれてもよいことを理解されたい。
【0039】
ステージ位置センサ476およびマークセンサフィードバック402によって検出されるステージセンサフィードバック474は、両フィードバック信号が各サンプルにおけるステージ106の動作から導出されるにもかかわらず、同じ信号ではないことに留意されたい。これは、マークセンサフィードバック402とステージセンサフィードバック474が同一の座標空間内になく、したがって同期されないためである。これらが存在する座標空間に関して、ステージセンサフィードバック474は典型的にはゼロとして設定されるホームポジションを有し、グローバル座標系においては、装置全体(例えば、機械)と同じように設定される。しかしながら、マークセンサフィードバック402はテンプレートと基板との間のマーク誤差がゼロである場合に、ゼロに設定される。これは、図3においてX0として見ることができる。マークセンサ158の座標空間は、テンプレートと基板との間に関連する空間である。換言すれば、マークセンサフィードバック402を生成するマークセンサ158の座標空間は、ローカル座標系である。フィードフォワード信号412および414として具現化される予測情報は、両方の座標空間のシフトを考慮することによって生成される。
【0040】
異なる座標空間によるシフトに加えて、テンプレートと基板との間の非線形摩擦もまた、非線形スケーリングを引き起こし、第1フィードフォワード信号412と第2フォワード信号414との間で時間および振幅のシフトを引き起こし得る。例えば、極端な場合には、基板とテンプレートとの間の非常に大きな摩擦によって、ステージセンサフィードバック474がステージ106が移動していることを示しているにもかかわらず、ストール(例えば、基板とテンプレートとが互いに固着している)が発生したことをマークセンサ158が検出する結果となり得る。これなどの実施形態では、第1フィードフォワード信号412および第2フィードフォワード信号414の生成には、フィードフォワード制御部410の動作の一部として非線形伝達関数の実行が必要となりうる。
【0041】
ステージフィードバック制御部450は、増幅器470によって制御されるようにステージの位置に関連する誤差値を継続的に計算する。誤差値は、以下の式を使用してステージフィードバック制御部450によって計算されうる。
【数5】
ただし、estageはステージの位置の誤差値を表し、UAL(t)は位置合わせ軌跡情報432を表し、FF2(t)は第2フィードフォワード信号414(例えば、FF1(t)の一定のオフセット(FFshift)加算バージョン)を表し、POSstageは増幅器470によって演算され、ステージ位置センサ476によって検知されたステージ106の現在位置である。このプロセスでは、第2フィードフォワード信号414(FF2(t))はまた、第1フィードフォワード信号412からの少なくとも1つのパラメータ値に関連する値を含む。一実施形態では、第2フィードフォワード信号414内のパラメータ値は、上記の一定のオフセットが追加されるため、オフセットを除いて、第1フィードフォワード信号412内のパラメータ値と同じである。別の実施形態では、位置合わせ軌跡情報処理の一部として決定された誤差値に鑑み、移動制御(例えば、位置、速度、回転、加速度)を表す少なくとも1つのパラメータ値のうちの1つ以上を、決定された誤差値に基づいて更新することによって、ステージフィードバック制御部450によって出力されるステージ軌跡情報452を改善することができる。
【0042】
一実施形態において、ステージ軌跡情報452は、ステージ軌跡情報452を電気信号に変換する増幅器470に直接出力され、次いで、(図1に示すように)ステージ106に印加されて、ステージ106を目標位置に向けて駆動する。信号452で定義されたステージ軌跡の終わりにおけるステージ動作の結果において、内部のステージ増幅器470はステージフィードバック制御部450から指令を取得し、この指令をステージ動作を生成するために使用されるステージ電気信号として出力する。新たなステージ位置は、ステージ位置センサによって得られ、第2結合部440にフィードバックされ、上述したように誤差値を決定するために使用される。ステージ制御指令情報452は、Ustage(t)(出力制御信号472)として出力される。
【0043】
別の実施形態において、図4に示されるように、制御システムは、ステージフィードバック制御部450とステージ増幅器470との間に配置された第3結合部460を含む。第3結合部460は、ステージ軌跡情報452と、フィードフォワード制御部410によって生成され出力される第3フィードフォワード信号416とを組み合わせる。第3フィードフォワード信号416は、動作制御指令予測信号である。一実施形態では、位置合わせ誤差が実質的にゼロであるステージの目標位置と第2フィードフォワード信号414との間の差を取得し、その差にステージフィードバック制御部450がステージ106(図1)の移動を制御するために使用する比例ゲインを掛けることによって生成される。第3フィードフォワード信号416は、次式に従って計算されうる。
【数6】
ただし、FF3は第3フィードフォワード信号416であり、POStarget(t)は位置合わせ誤差が実質的に0であるときの目標ステージ位置を表し、Pgainはステージの動きを制御するためにステージフィードバック制御部450によって適用されるゲインを表す。第3結合部460は、FF3とUstage(t)とを組み合わせて、ステージ増幅器470への入力として使用されるステージ動作制御信号462を生成する。ステージ増幅器470は、第3フィードフォワード信号416(FF3)とステージ指令情報452(Ustage(t))とを組み合わせることによって生成された動作制御信号に従って、ステージ106を駆動するために使用される電圧または電流(出力制御信号472)に変換する。
【0044】
ステージ軌跡情報452とともに第3フィードフォワード信号416を生成して使用することによって、より高速な位置合わせをもたらすステージフィードバック制御部の処理に起因する位相遅延がより少なくなる。第3フィードフォワード信号416を使用することによって得られるさらなる利点は、剪断力を低減するためのより大きな設計自由度が生まれ、位置合わせおよび硬化処理の間の静的摩擦および非線形動作摩擦を解消することが可能になる。さらに、第3フィードフォワード信号416は、第2フィードフォワード信号414と目標位置との間の残留誤差に焦点を当てる。これは、基板のマークとテンプレートのマークとをより迅速に位置合わせさせる軌跡に沿ってステージを移動させるために、第3フィードフォワード信号416に基づいてステージ軌跡情報を更新することによって、ステージ軌跡情報を調整する能力を有利に向上させる。また、テンプレートと基板との間の非線形摩擦によって生じる第1フィードフォワードと第2フィードフォワードとの間の非同期化を最小化するために使用することができ、より小さなフィードバック誤差を扱う際のフィードバック制御部430および450のデザインの複雑さを低減する。
【0045】
以上のことに基づいて、図4の制御システムは、有利には、第1および第2フィードフォワード信号がそれぞれのフィードバックループに焦点を合わせることを可能にし、それによって、フィードフォワード制御部410によって生成される現在位置と第1および第2フィードフォワード軌跡情報のそれぞれとの間の残留誤差にそれらの処理が焦点を合わせるにつれて、位置合わせフィードバック制御部430およびステージフィードバック制御部450をより容易にチューニングすることを可能にする。これにより、第3フィードフォワード信号は、ステージを目標位置により近づけるために、前のステージ軌跡によって定義されたステージの最も最近の終了位置に基づくことが可能になる。フィードフォワード信号を示す例示的な時間トレースを図7に示す。x軸に沿って秒単位の時間が示され、y軸にナノメートル単位の位置が示される。これは、目標位置からの基板とテンプレートとの間の相対距離を示しており、特定の時刻において位置が異なることを示している。図7では、目標マーク位置合わせが702でラベル付けされた目標マーク距離0によって表されている。第1フィードフォワード信号412は、マークセンサ158によって検出された位置情報に基づいており、わずか初期時間0秒後に開始する。ここに示されるように、第1フィードフォワード信号412は、位置合わせ軌跡情報を生成するために使用される。第1フィードフォワード信号412と実質的に同じ特性を有する第2フィードフォワード信号414は、オフセット加算され、センサ158によって検出された位置で始まるのではなく、再初期化前の第1初期化位置または最後のステージ位置に対してゼロであり得る現在のステージ位置から始まるように再初期化される。ここに示されるように、第2フィードフォワード信号414は、ステージ軌跡情報を生成するために使用される。それに基づいて、実質的に同時に、動作制御指令予測情報を表す第3フィードフォワード信号416は、第2フィードフォワード信号414に基づいて生成される。このため、経時的に、位置合わせ軌跡および動作予測情報に示されるような検出されたマーク位置は、基板とテンプレートとの位置合わせを示す位置に収束する。
【0046】
マークセンサからの初期誤差が所定の範囲内であれば、フィードフォワード制御部は、目標マーク位置を用いて第1フィードフォワードを置き換え、第2および第3フィードフォワードはゼロに設定される。マークセンサからの初期誤差が所定の範囲外の場合、このマーク誤差をゼロにするために第1フィードフォワードを発生し、上記の説明に従って第2および第3フィードフォワードを発生する。生成されたフィードフォワードが使用されており、マークセンサからのトレース終了時のマークエラーがまだ所定の範囲より大きい場合、新たな初期誤差としてフィードフォワード終了時のマーク誤差に基づいてフィードフォワードが再生成される。第2フィードフォワードも、前のフィードフォワードトレースの終了を開始点として使用することによって再生される。所定の範囲は、マークセンサ誤差に基づく位置、速度または加速度とすることができる。マークセンサからの誤差がフィードフォワードが最後のサンプルを終了する前に目標に到達した場合、フィードフォワード信号は、最後のサンプルにジャンプするか、または最後のサンプルまで進み続けることができる。
【0047】
本制御システムによって得られる第3フィードフォワードのさらなる利点は、基板とテンプレートとを位置合わせするのに要する時間の長さのグラフ表示である図8Aおよび図8Bを見れば明らかであり、2つのフィードフォワード制御信号(図8A)および3つのフィードフォワード制御信号(図8B)を使用して、ステージが目標位置に到達する。図8Bから分かるように、すべてのトレースがゼロの目標位置に収束する時間は、図8Aと比較して減少する。これは、時間遅れと静摩擦を克服した第3フィードフォワードの直接的な結果である。もう1つの利点は、ステージ動作制御信号の終わりにあり、これは第3フィードフォワードでより小さく、2つのフィードフォワードのみの方式よりも速くストールを克服する。位置合わせの終わり近くのより小さいステージ制御指令力は、重合のためにエネルギーが供給されている間に重合性材料134が受ける力の量を減少させることができる。
【0048】
図4は、種々の制御部およびセンサによって具現化された全体の制御システムを示すが、図5A~5Cはそれぞれの構成要素がどのように具現化され得るかについての付加的な構成を示している。図5Aは、2つのフィードフォワード制御信号が生成され、上述の様々なフィードバック制御信号と統合される実施形態における、フィードフォワード制御部410のより詳細な図を示す。本明細書に示すように、各ブロックは、上述の計算を実行するそれぞれのCPUを表すことができる。図5Aにおいて、フィードフォワード制御部410は、センサ158からの入力を受けて、位置合わせ基準軌跡情報を表す第1フィードフォワード制御信号412を生成する処理ユニット(CPU)である第1フィードフォワード発生部502を含みうる。さらに、第1フィードフォワード発生部502は、処理ユニットである第2フィードフォワード発生部504(第1フィードフォワード発生部または別個のCPUのいずれかと同じ)に第1フィードフォワード信号を出力しうる。次に、第2フィードフォワード発生部504は、ステージ制御部450に出力するための第2フィードフォワード信号414を生成する。ここでは制御部430および450に直接出力される信号として示されているが、これは図4で説明したそれぞれの結合部への出力を示すことができることに留意されたい。あるいは、結合部によって実行される機能が位置合わせフィードバック制御部430およびステージフィードバック制御部450のそれぞれに含められてもよい。図5Bは、動作予測情報を含む第3フィードフォワード信号が生成され得る実施形態を示す図である。この実施形態では、フィードフォワード制御部410はそれ自体が自身の処理ユニットCPUであるか、または第1および第2フィードフォワード発生部の一方または両方を備えた処理ユニットの一部でありうる第3フィードフォワード発生部506を含む。さらに、図5Bにおいて点線のボックスによって示されるように、例示的な構成によれば、ステージフィードバック制御部450とは別個の単一の処理ユニット上にフィードフォワード制御部410および位置合わせフィードバック制御部430が設けられている。図5Cは、点線のボックスが、フィードフォワード制御部410、位置合わせフィードバック制御部430、およびステージフィードバック制御部450が単一の処理ユニット上に設けられていることを示す点を除いて、図5Bに示されているものと同様の構成要素を含む。
【0049】
フィードフォワード制御部410の上述の説明は、ステージ106の移動を制御するために生成され使用される少なくとも2つが時には3つのフィードフォワード信号を図示することを理解されたい。上述のように、この制御は、第1フィードフォワード信号412および第2フィードフォワード信号414を使用することによって実行することができる。さらに、上記の説明は、第3フィードフォワード信号416が第1フィードフォワード信号412および第2フィードフォワード信号414と組み合わせて使用され得ることに留意されたい。また、アルゴリズムは、第3フィードフォワード信号416のみを有する第1フィードフォワード信号をさらに使用してもよいことも理解されるべきである。あるいは、第2フィードフォワード信号414および第3フィードフォワード信号416のみを使用してもよい。これらの3つのフィードフォワード信号の方法および時期に関する判定は、実行される誤差計算、ならびにテンプレート上のマークが基板上のマークと位置合わせするようにステージを移動するように制御するために、より多くの(またはより少ない)積極的な予測情報が生成される必要があるような、計算された誤差が所定の範囲外であるか否かに依存する。フィードフォワード信号(412、414、416)の様々な組み合わせの目標は、制御エフォートの前に、高速で安定した位置および制御軌跡のセットを予測することであり得る。更なる目標は、フィードバック誤差(422および442)を可能な限り小さくすることである。一実施形態では、同期された3つのフィードフォワードの間に理想的な関係があり、これは以下のように書くことができる。
【数7】
ただし、Sysxxxは、フィードフォワード信号412、414、416への入力による開ループシステム応答を表す。別の実施形態では、3つのフィードフォワード信号の波形がモデル基準設計、反復学習、及び/又は反復制御によって決定されうる。一実施形態では、2つ以上のフィードフォワード信号がステージ位置合わせとマーク位置合わせとの間の協調システム差、基板とテンプレートとの間の非線形摩擦の1つ以上の観点から最適化されてもよい。
【0050】
次に、本開示による位置合わせ制御を実施するための例示的な制御アルゴリズムを示す図6を参照する。以下の説明では、アルゴリズム制御を実行する処理ユニットを示すために、図1~4に関連する参照符号が使用される。本明細書に示すように、アルゴリズムは、その上に支持された基板を有する移動可能なステージの位置を制御する方法を表す。工程S602では、テンプレート上のマークに対する基板の計測位置を表す第1位置情報がセンサ158によって得られる。第1位置情報は、ステージ106の現在の計測位置と、基板上のマークとテンプレートとの相対距離とを表す。第1位置情報は、フィードフォワード制御部410および位置合わせフィードバック制御部430のそれぞれに提供される。
【0051】
工程S604において、フィードフォワード制御部410は、得られた第1位置に基づいて、位置合わせ基準軌跡情報を生成する。生成された位置合わせ基準軌跡情報は、フィードフォワード制御部410からの第1、第2、および第3フィードフォワード信号412、414、および416出力を表し、基板のマークとテンプレートのマークとの間の位置合わせ誤差が実質的にゼロになるように、目標位置への移動可能なステージの移動を制御するために使用される少なくとも1つのパラメータ値を含む。少なくとも1つのパラメータは、(a)所望の位置値、(b)所望の速度値、(c)所望の加速度値、および(d)決定された軌跡に沿うステージの移動を開始するための所望の開始時刻のうちの1つ以上を含む。
【0052】
工程S606では、位置合わせフィードバック制御部によって第1軌跡情報が生成される。第1軌跡情報は位置合わせフィードバック制御部420によって出力された位置合わせ軌跡情報を表し、取得された第1位置情報および生成された位置合わせ予測情報に基づく少なくとも1つのパラメータ値を含む。第1軌跡情報は、得られた第1位置情報とフィードフォワード位置合わせ基準軌跡情報との間の差を得ることによって生成される第1フィードバック信号422である。
【0053】
工程S608では、第2軌跡情報452を生成する。第2軌跡情報452は、ステージフィードバック制御部450によって生成され、位置合わせ予測情報および414に基づいて、第2基準軌跡情報432から決定された誤差値、および移動可能なステージの現在位置を表すステージ位置情報474に基づいて生成される。その際、生成された第2軌跡情報452は、算出された誤差値に基づいて更新された、更新された少なくとも1つのパラメータ値を含む。第2軌跡情報は、第2フィードフォワード信号414と、位置合わせ軌跡情報432と、ステージ106の現在位置を表す位置信号とを組み合わせることによって生成される第2フィードバック信号を表す。いくつかの実施形態では、S608が第2軌跡情報および目標位置に従って移動された移動可能なステージの現在位置に基づいて第2誤差値を決定する第2誤差決定処理も含むことができる。
【0054】
工程S610において、ステージフィードバック制御部450は、更新された少なくとも1つのパラメータ値を含む出力制御信号472を生成し、工程S612において、生成された出力信号に基づいて目標位置に近づくように移動可能なステージを制御するステージ増幅器470に制御信号を出力する。工程S610で生成された出力制御信号472はまた、ステージが更新されたパラメータ値に従って移動するように工程S612で制御され得るように、上述した第2誤差処理によって決定されるような第3フィードフォワード信号を含んでもよい。
【0055】
工程S614では、基板のマークとテンプレートのマークの相対位置に関連付けられた誤差値をマークが所定の誤差範囲内にあるか否かについての判定が、センサ158によって行われる。S614における判定の結果が肯定的であり、誤差値が許容範囲内にあることを示す場合、判定はテンプレートのマークと基板のマークとが互いに位置合わせされたことを示し、制御アルゴリズムはS615で終了する。
【0056】
判定結果が否定的であれば、基板のマークとテンプレートのマークとが揃っていないことを示す。この場合、アルゴリズムは工程S602~S612を繰り返す。その際、本明細書で上述した情報および軌跡値のそれぞれは、そこに含まれ、ステージの動きを制御するために使用されるパラメータのうちの1つまたは複数がフィードバック制御およびフィードフォワード制御の両方に基づいて修正されるように更新される。これらの更新は出力制御信号472に従って移動可能なステージが移動し、目標位置ではない終了位置に達した後に、センサによって取得された更新された第1位置情報に基づいている。
【0057】
工程S602~S612の繰り返しに加えて、否定判定に応答して、アルゴリズムは工程S616において、動作予測情報を第3フィードフォワード信号416として生成する。このようにして、出力制御信号472に基づく移動可能なステージの終了位置が目標位置からの所定距離(例えば、所定の誤差閾値よりも大きい誤差値)外であると判断することに応答して、動作制御部予測情報が生成され、移動可能なステージの終了位置に基づいて決定された少なくとも1つのパラメータ値を更新する工程を含む。更新された少なくとも1つのパラメータ値は、終了位置と第2軌跡情報との間の差に基づいて更新される。動作制御部予測情報は、更新された出力制御信号472を生成するために第2軌跡情報と組み合わされ、その後、更新された出力制御信号472に基づいて移動可能なステージを制御するために使用される。
【0058】
上述のアルゴリズムによれば、基板に対するテンプレートの相対位置は、基板の位置合わせマークに対するテンプレートのマークの相対位置を表す位置合わせ情報を受け取ることによってうまく制御することができる。次いで、位置合わせ情報に基づくフィードフォワード位置合わせ軌跡が生成され、所望の位置、所望の速度、所望の加速度、およびフィードフォワード位置合わせ軌跡の所望の開始時刻のうちの1つ以上のものなどのパラメータを含み得る。これに基づいて、フィードフォワード位置合わせ軌跡から計測された位置合わせ軌跡を引いた位置合わせ誤差時系列を生成することができ、この場合、これらの軌跡の両方が位置、速度、および加速度のような1つ以上のパラメータを含む。位置合わせ誤差時系列は位置合わせ閉ループフィードバック制御出力時系列に変換することができ、それは次に、位置合わせ閉ループフィードバック制御出力時系列にステージフィードフォワード軌跡を加えた和として、増幅器が入力情報として使用するステージ軌跡情報を生成するために使用される。ステージフィードバック制御部はステージの位置を計測し、ステージ軌跡情報を継続的に更新および修正するステージ位置センサからステージ制御部入力情報およびフィードバック情報を受け取り、その後、ステージの位置を目標に向かって駆動するために、ステージフィードバック制御部によって使用されるステージ軌跡情報を継続的に更新および修正する。
【0059】
本開示は、ステージの終了位置が目標位置の所定の閾値内にない場合に、新たなフィードフォワード軌跡情報を生成するための動的フィードフォワード再初期化メカニズムを提供する。このようにして、フィードフォワード制御部は、ステージの直近の位置に基づいて、かつ基板とテンプレートとの間の相対位置を検出するセンサ158によって決定されるように、更新されたフィードフォワード信号を生成するように再初期化される。フィードフォワード再初期化のために、位置誤差は、フィードバックゲインおよびシステム全体の複雑さと共に低減され得る。動作において、基板とテンプレートとの間の相対距離のセンサ158計測値は、ステージ移動の絶対距離を計測するために使用される。第1サンプルを取得すると、生成されたフィードフォワードはセンサデータに基づいて初期位置で開始し、その後、フィードフォワードは、前のサンプルの間のステージの終了位置をもたらす全制御エフォートから開始するように再初期化される。したがって、二重フィードバックループは、各フィードフォワード再初期化の開始時に再初期化することができる。この動作は有利なことに、本明細書で説明する制御システムがインプリントリソグラフィのための迅速で一貫した位置合わせを提供することを可能にし、インプリントの開始時における液体レジストの液中フラクション(in-liquid fraction)および基板の物理的変動を補償する。上記のアルゴリズムは、インプリントリソグラフィ中のオーバーシュート、アンダーシュートおよびストールを低減するためのフィードバック制御システムに関連する変動および非線形性に関連する欠点を克服する。したがって、本明細書で提供される制御アルゴリズムは、基板からの1つまたは複数の物品の大量生産における歩留まりおよび効率を改善する。
【0060】
したがって、上で詳述した制御アルゴリズムは、1つまたは複数の物品またはデバイスを製造するための半導体製造プロセスで使用することができる。本明細書で上述した制御アルゴリズムに従って成功裏に位置合わせされた基板を処理するためのこれらのプロセスにはインプリントリソグラフィ、フォトリソグラフィ、ベーキング、酸化、層形成、堆積、ドーピング、エッチング、デスカム処理、ダイシング、ボンディング、パッケージングなどが含まれるが、これらに限定されない。基板は例えば、検査、硬化、酸化、層形成、堆積、ドーピング、平坦化、エッチング、成形可能な材料除去、ダイシング、ボンディング、パッケージングなどを含む、物品製造のための他の公知の工程およびプロセスを使用してさらに処理することができる。上記に基づいて、基板は、複数の物品(デバイス)を製造するために処理されうる。
【0061】
一例において、処理は、基板上にインプリントレジスト(例えば、液体)をディスペンスする工程と、パターンを有する物体がインプリントレジストに接触するように、インプリントレジストを物体と接触させる工程とを含みうる。この処理は、基板と物体(例えば、テンプレート)とを所定のアライメント位置に位置合わせするための位置合わせ処理と、次に、物品を製造するためにインプリントレジストがディスペンスされた基板を処理することとを含む。その際、基板にエネルギーを印加してレジストを硬化させ、テンプレート上のパターンに対応するパターンを基板上に形成する。このプロセスは印加されたエネルギーによってレジストが硬化される前に、物体と基板とが位置合わせされるように、繰り返し実行される。
【0062】
いくつかの実施形態を説明してきた。ただし、本開示の技術思想および範囲から逸脱することなく種々の改変がなされうることを理解されたい。したがって、他の実施形態は添付の特許請求の範囲の内にある。
【0063】
また、本開示の一実施形態は、上述した実施形態の1つ以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介して、システム或いは装置に提供し、システム或いは装置のコンピュータにおいて、1つ以上のプロセッサが、そのプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。また、本開示の一実施形態は1つ以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC(application specific integrated circuit))によって実行されうる。
【0064】
また、本開示の実施形態は、上述の実施形態のうちの1つ以上の機能を実行するために記憶媒体(「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」とも呼ばれる)に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば、1つ以上のプログラム)を読み出して実行し、上述の実施形態のうちの1つ以上の機能を実行し、かつ/または上述の実施形態のうちの1つ以上の機能を実行するために1つ以上の回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))を含むシステムまたは装置のコンピュータによって、および、例えば、上述の実施形態のうちの1つ以上の機能を実行するために記憶媒体からコンピュータ実行可能命令を読み出して実行し、かつ/または上述の実施形態のうちの1つ以上の機能を実行するために1つ以上の回路を制御することによって、システムまたは装置のコンピュータによって実行される方法によって実現されてもよい。コンピュータは、1つ以上のプロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU)、マイクロ処理装置(MPU))を含み、コンピュータ実行可能命令を読み出して実行するための別個のコンピュータまたは別個のプロセッサのネットワークを含み得る。コンピュータ実行可能命令は例えば、ネットワークまたは記憶媒体からコンピュータに提供されてもよい。記憶媒体は例えば、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、分散コンピューティングシステムの記憶装置、光ディスク(コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、またはBlu-ray(登録商標) Disc (BD)など)、フラッシュメモリデバイス、メモリカードなどの1つ以上を含みうる。
【0065】
説明を参照する際に、開示された実施例の完全な理解を提供するために、特定の詳細が記載された。他の例では、本開示を不必要に長くしないために、周知の方法、手順、構成要素、および回路は詳細に説明されていない。
【0066】
要素または部分が本明細書において、別の要素または部分の「上に」、「対抗して」、「接続されて」、または「結合されて」いると言及される場合、要素または部分は、他の要素または部分の上に直接、対抗して、接続されて、または結合されてもよく、あるいは介在する要素または部分が存在してもよいことを理解されたい。対照的に、要素が、別の要素または部品の「直接上に」、「直接接続されて」、または「直接結合されて」いると言及される場合、介在する要素または部品は存在しない。使用される場合、用語「および/または」は、そのように提供される場合、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数の任意のおよびすべての組み合わせを含む。
【0067】
「下に」、「上に」、「上に」、「近位に」、「遠位に」などの空間的に相対的な用語は本明細書では説明を容易にするために、様々な図に示されるように、1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するために使用することができる。しかしながら、空間的に相対的な用語は、図に示される向きに加えて、使用または動作中のデバイスの異なる向きを包含することが意図されることが理解されるべきである。例えば、図中のデバイスが裏返される場合、他の要素または特徴の「下」または「下」として記載される要素は、次いで、他の要素または特徴の「上」に配向される。したがって、「下」などの相対空間用語は、上および下の両方の向きを包含することができる。デバイスは別の方法で配向されてもよく(90°回転されるか、または他の配向で)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈されるべきである。同様に、「近位」および「遠位」という相対的な空間的用語も、適用可能であれば、交換可能であってもよい。
【0068】
本明細書で使用される用語「約」は例えば、10%以内、5%以内、またはそれ未満を意味する。いくつかの実施形態では、用語「約」が計測誤差内を意味し得る。
【0069】
第1、第2、第3などの用語は、本明細書では様々な要素、構成要素、領域、部品、および/またはセクションを説明するために使用され得る。これらの要素、構成要素、領域、部品、および/またはセクションは、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、部分、またはセクションを別の領域、部分、またはセクションから区別するためにのみ使用されている。したがって、以下で説明する第1要素、構成要素、領域、部分、またはセクションは、本明細書の教示から逸脱することなく、第2要素、構成要素、領域、部分、またはセクションと呼ぶことができる。
【0070】
本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明するためだけのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は文脈がそわないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図されている。さらに、「含む(includes)」および/または「含んでいる(including)」という用語は本明細書で使用される場合、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、明示的に述べられていない1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことを理解されたい。
【0071】
上記は、単に本開示の原理を例示するものである。本明細書の教示を考慮すれば、記載された例示的な実施形態に対する様々な修正および変更が当業者には明らかであろう。
【0072】
図面に示される例示的な実施形態を説明する際に、明確にするために、特定の用語が使用される。しかしながら、この特許明細書の開示はそのように選択された特定の用語に限定されることは意図されておらず、各特定の要素は同様に動作する全ての技術的均等物を含むことが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B